JP2006058453A - 低屈折率光学膜用塗料、光学多層膜及び反射型スクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低屈折率光学膜用塗料として、高屈折率光学膜用塗料の結合剤が有する官能基とエネルギーの吸収により化学結合する官能基を有し表面エネルギーが22dyne/cm以下であるフッ素系樹脂と、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基の極性基を有するフッ素系添加剤とを含み、前記フッ素系添加剤の極性基のモル数が前記フッ素系樹脂の平均モル数に対して2.7〜10倍とする。
【選択図】図1
Description
1)成形加工性が良いこと、
2)屈折率値を自由に連続的に選択できること、
3)耐衝撃性があり、割れにくいこと、
4)着色性が少なく、広い波長域において可視光の光透過率が高いこと、
5)傷つきにくいこと
また様々な屈折率をもつ層上に異なる屈折率をもつ光学膜を積層することにより光学材料として所望の機能を付与する手法がある。例えば、波長550nmの光に対する屈折率が1.35〜1.45の低屈折率膜の下層に高屈折率膜を設けると効果的な光反射防止膜が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
また、前記微粒子が、TiO2またはZrO2の微粒子であることが好ましい。
本発明の光学多層膜によれば、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成できる。
本発明の反射型スクリーンによれば、反射型スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することができ、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することができる。
本発明に係る低屈折率光学膜用塗料は、溶媒中に溶解しエネルギーを吸収して硬化反応を生じる官能基を有する結合剤に微粒子が分散された高屈折率光学膜用塗料で成膜される光学膜との密着性に寄与する官能基を有するフッ素系樹脂と、この高屈折率光学膜用塗料の濡れ性に寄与する極性基を有するフッ素系添加剤とを含有する低屈折率タイプの光学膜用塗料とすることにより、この塗料を用いて形成される低屈折率光学膜に、組み合わされて使用される高屈折率光学膜用塗料との濡れ性をよくし、さらにこの高屈折率光学膜用塗料により形成される高屈折率光学膜との密着性をよくする機能を付与するものである。
(式中、p、qは1〜50の整数)
また、一般式(1),(2)で表されるフッ素系化合物の分子量は特に限定されないが、安定性、取扱い易さなどの点から数平均分子量で2000〜10000程度のものが使用されることが望ましい。
つぎに、前記低屈折率光学膜用塗料と組み合わされて使用する高屈折率光学膜用塗料について説明する。
本発明で使用する高屈折率光学膜用塗料は、前記低屈折率光学膜用塗料から形成された低屈折率光学膜上に塗布されて光学膜を形成する材料であって、結合剤が溶解した有機溶媒中に微粒子が分散剤により分散された光学膜用塗料である。また、この光学膜用材料は塗布された後に硬化反応により、高屈折率光学膜となるものである。
本発明の分散剤以外の結合剤を含む場合には結合基を多く有する多官能ポリマー、またはモノマーが好ましい。
・−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩
・R1(R2)(R3)NHX(ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。)
・−OH、−SH、−CN、エポキシ基等
極性官能基の導入部位は特に規定はない。これら分散剤は、1種単独で用いられることが可能であるが、2種以上を併用することも可能である。
光学多層膜は、上記低屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる低屈折率の光学膜12Lと、上記高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率の光学膜12Hとが積層された構成である。詳しくは、支持体上に、まず光学膜12Hが設けられ、ついで光学膜12Lが設けられ、以降光学膜12Hと光学膜12Lとが交互に設けられ、最後に光学膜12Hが設けられた構成であり、2n+1層(nは1以上の整数。)からなる積層膜となっている。
この光学膜の膜厚は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するように、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。15μmより厚くすると、分散し切れなかった微粒子によるヘイズ成分が増大して光学膜としての機能が得られないからである。
また、この光学膜の屈折率は、1.75〜2.10とすることが好ましい。屈折率を2.10よりも高くすると、微粒子の分散性が不充分となって光学膜としての機能が損なわれ、屈折率を1.75よりも低い場合には必要とされる光学特性が得られない場合がある。
この光学膜の膜厚は、光学膜の膜厚は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するように、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1300nmとする。
また、この光学膜の屈折率は、1.45以下が好ましい。
例えば、レンズを支持体として使用する場合、その表面形状に制限はなく、球面状、非球面状のいずれの形状をとる事もできる。従来の他のレンズと組合せて用いる事もできる。光学レンズは、レンズに入った光線束を集合または発散させて実像あるいは虚像を結ばせるものであり、凸レンズ、凹レンズがある。その利用分野として、メガネ(矯正用、ファッション用)、顕微鏡、望遠鏡、拡大鏡、プロジェクション機器類(映画、オーバーヘッドプロジェクター、スライド映写機)、カメラ(ビデオカメラ、デジタルカメラ、写真用カメラ、内視鏡カメラ)、CDを主とした光メモリー用または読み取り用の対物レンズがある。
つぎに、本発明に係る反射型スクリーンの実施の形態について説明する。
本発明に係る反射型スクリーンの構成例を図1に示す。反射型スクリーン10は、支持体11上に光学多層膜12が設けられ、光学多層膜12の透過光を吸収する光吸収層13と、光学多層膜12の最外層上に光学多層膜12が反射した光を拡散させる光拡散層14とを備える構成である。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
黒色の塗料として、カーボンブラック微粒子、シリカ微粒子等表面にカーボンブラックを被着させた微粒子等が挙げられる。これらの微粒子には導電性があっても良い。
また、カーボンブラック微粒子の製法は、オイルファーネス法、チャンネル法、ランプ法、サーマル法等が知られている。
また、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスクリーン上のぎらつきであるスペックルパターンの発生を防止するために光拡散層14の表面形状パターンをランダムにするとよい。
(s1)支持体11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、当該支持体11の主面に上記高屈折率光学膜用塗料を所定量塗布する。
(s2)高屈折率光学膜用塗料の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
(s3)ついで、光学膜12H上に本発明の低屈折率光学膜用塗料を所定量塗布する。
(s4)その塗膜を乾燥後、熱硬化させ、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(s5)ついで、支持体11の最外層にある光学膜12L上に所定量の上記高屈折率光学膜用材料を塗布する。ここで、本発明の低屈折率光学膜用塗料から形成された光学膜12Lと上記高屈折率光学膜用塗料との組み合わせにより、該高屈折率光学膜用塗料は濡れ性よく塗布することができる。
(s6)塗布型光学膜用材料の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。ここで、光学膜12Lと光学膜12Hとは密着性よく積層される。
実施例1における低屈折率光学膜用塗料、高屈折率光学膜用塗料の組成と製造方法及び積層テスト方法を以下に示す。
(1)低屈折率光学膜用塗料(塗料(II))
・フッ素系樹脂:アクリル基を含有するパーフルオロ系重合体
(デュポン社製開発品) 100重量部
・フッ素系添加剤:カルボキシル基を含有するパーフルオロオリゴマー
(ソルベイソレクシス社製 Z-diac) 20重量部
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48) 100重量部
・分散剤:SO3Na基含有ウレタンアクリレート
(重量平均分子量:500、SO3Na基濃度:2×10−3 mol/g)
20重量部
・結合剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製UV硬化性樹脂、商品名DPHA) 30重量部
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK) 4800重量部
上記微粒子と分散剤と有機溶媒とを混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行い微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に結合剤を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、高屈折率光学膜用塗料とした。
(s11)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面にディッピング方式により低屈折率光学膜塗料(塗料(I))を塗布する。
(s12)ステップs11の塗膜を室温で乾燥し、表面エネルギーが14dyne/cmである光学膜12Lとした。
(s13)ついで、ステップs12の膜上に高屈折率光学膜用塗料(塗料(II))をディッピング方式により塗布する。
(s14)ステップs13の塗膜を室温で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
また、ステップs14の段階で光学膜12Lと光学膜12Hとの密着性を評価した。すなわち、試料の光学膜12H表面にメンディングテープ(ニチバン製ニチバンNo.405)を貼った後、一定の速度で引き剥がすことによる光学膜12Hの剥離状態を観察し、剥離面積率として0%を◎、0%超、30%以下を○、30%超、100%未満を△、100%を×と判定した。
また、上記ステップs12終了時に低屈折率光学膜12Lの屈折率をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定し、低屈折率光学膜の全体の表面エネルギーγs、極性項表面エネルギーγpを測定した。なお、表面エネルギーの測定は水、ジヨードメタンの接触角測定により行った。さらに、ステップs14終了時に高屈折率光学膜の屈折率を低屈折率光学膜の場合と同様の方法で測定した。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系樹脂をアクリル基含有パーフルオロ系重合体(大日本インキ社製 OP38Z)とし、塗料(II)をスピンコート方式によって塗布した。これを室温で乾燥し、基板側からUV硬化(1000mJ/cm2)を行い、表面エネルギーが15dyne/cmである光学膜12Lとした。その後は、実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系樹脂をエポキシ基含有パーフルオロ系重合体(社内開発品)とし、90℃30分間の乾燥により光学膜12Lとし、塗料(I)に添加する結合剤をUV硬化性樹脂であるOXT−331(東亞合成社製)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)を、ヒドロキシル基含有パーフルオロオリゴマー(ソルベイソレクシス社製 Z−deal)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)の添加量(フッ素樹脂に対する添加量)を、それぞれ11,16,40wt%((フッ素系添加剤極性基モル数)/(フッ素系樹脂平均モル数)として2.7,4,10)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をリン酸エステル基含有物(クローダ社製、クロダホスN3A)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をリン酸Na基含有物(日光ケミカルズ社製、DOP−8N)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をカルボン酸基含有物(花王社製、ホモゲノール L−18)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をカルボン酸Na基含有物(花王社製、SS−40N)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をスルホン酸基含有物(ライオン社製、ライポンLH−200)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をヒドロキシル基含有物(ドデシルフェノール)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をテトラエトキシアンモニウム塩基含有物(ライオン社製、LT−270)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤の添加量(微粒子に対する添加量)を、22μmol/m2とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる微粒子を、TiO2微粒子をコアとし、該微粒子表面にZrO2を被着したもの(石原産業社製、TTO−51D)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる微粒子の濃度を、1,16,55wt%とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)を、極性基のないパーフルオロオリゴマー(ソルベイソレクシス社製 FLUOROLINK A10)とし、それぞれの添加量フッ素樹脂に対する添加量)を、20,40wt%とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤を、極性基のないウレタンアクリレートとし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に微粒子を添加せず、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤の添加量(微粒子に対する添加量)を、それぞれ23,1.3μmol/m2とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(I)に含まれる微粒子の濃度を、0.5,56wt%とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系樹脂を官能基のないパーフルオロ系重合体(デュポン社製 TF)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)の添加量(フッ素樹脂に対する添加量)を、それぞれ10,44wt%((フッ素系添加剤極性基モル数)/(フッ素系樹脂平均モル数)として2.6,11)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
・試験例1〜4:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上で塗料(I)がはじかれる現象が認められ、積層塗布に不適であった。また、試験例3では塗料(I)で形成された膜は微粒子の分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
・試験例5〜9:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上に塗料(I)を積層塗布できた。しかしながら、各試験例は次の点で不充分であった。
試験例5:高屈折率光学膜の屈折率が1.73と低く、スクリーン用途としては不充分であった。
試験例6:塗料(I)で形成された膜は、微粒子に対する分散剤添加量が低すぎたために溶媒に対して微粒子が濡れきれずに、分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
試験例7:高屈折率光学膜の膜厚が検出限界(80nm)以下と薄すぎて、スクリーン用途としては使用できない厚さであった。
試験例8:塗料(I)で形成された膜は、微粒子濃度が高すぎたために溶媒に対して微粒子が濡れきれず、分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
・試験例9:形成された高屈折率光学膜の密着性が不良であった。
・試験例10:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上で塗料(I)がはじかれる現象が認められ、積層塗布に不適であった。
・試験例11:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上に塗料(I)を積層塗布できたが、形成された高屈折率光学膜の密着性が不良であった。また、高屈折率光学膜は透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。低屈折率光学膜における過剰なフッ素系添加剤が溶出し、高屈折率光学膜に悪影響を及ぼしたと推察される。
以下に示す光学膜形成条件で、PETフィルム上に片面当たり高屈折率光学膜(以下、光学膜12H)/低屈折率光学膜(以下、光学膜12L)/光学膜12Hの3層、計6層の光学多層膜を得た。なお、高屈折率、低屈折率それぞれの光学膜用塗料は実施例1に示す塗料を使用した。
(s22)塗料(I)の塗膜を室温で乾燥し、膜厚600nmの高屈折率の光学膜12Hを形成する。
(s23)ついで、その光学膜12H上にディッピング方式により低屈折率光学膜用塗料(塗料(II))を塗布する。
(s24)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥し、膜厚1000nmの低屈折率の光学膜12Lを形成する。
(s25)光学膜12L上にディッピング方式により塗料(I)を塗布する。
(s26)塗料(I)の塗膜を室温で乾燥し、膜厚1000nmの高屈折率の光学膜12Hを形成する。最終的にすべての光学膜12Hについて紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、これにより片面当たり高屈折率の光学膜12Hと低屈折率の光学膜12Lとの3層光学多層膜を得た。
実施例20における光学膜の積層数を片面当たり光学膜12H/光学膜12L/光学膜12H/光学膜12L/光学膜12Hの5層、計10層とし、それ以外の条件は実施例20の条件と同じとして、光学多層膜を得た。
実施例20における光学膜の積層数を片面当たり光学膜12H/光学膜12L/光学膜12H/光学膜12L/光学膜12H/光学膜12L/光学膜12Hの7層、計14層とし、それ以外の条件は実施例20の条件と同じとして、光学多層膜を得た。
実施例20で得られた光学多層膜に対して、該光学多層膜の一方の表面に粘着層を介して黒色PETフィルム(帝人社製)を貼合し、他方の光学多層膜の表面に粘着層を介して拡散フィルムを貼合して、反射型スクリーンを作製し、この反射型スクリーンのゲインを分光放射輝度計(ミノルタ社製、CS-1000)で測定した。なお、ゲインとは、白色板に光を照射した際の該白色板における輝度(cd/m2)を1とした場合の比の最大値である。
実施例21で得られた光学多層膜に対して、実施例23と同様の処理を施し反射型スクリーンを得た。
実施例22で得られた光学多層膜に対して、実施例23と同様の処理を施し反射スクリーンを得た。
実施例20で得られた光学多層膜に対して、該光学多層膜の一方の表面にスプレー塗布にて黒色塗料を塗布し、乾燥、硬化工程として75℃で30分間保温し、黒色の光吸収層を形成した。
黒色塗料は、次の組成物に溶剤を加えたものを用いた。
・カーボンブラック微粒子:オリジン電機社製、商品名オリジプレート
(一次粒子径:15nm)
・樹脂:ヒドロキリル基を有するアルキド樹脂
また、硬化剤として、オリジン電機社製、商品名ポリハードMH(イソシアネート系)を用いた。
ついで、他方の光学多層膜の表面に粘着層を介して拡散フィルムを貼り合せて反射型スクリーンを得た。
実施例21で得られた光学多層膜に対して、実施例26と同様の処理を施し反射型スクリーンを得た。
実施例22で得られた光学多層膜に対して、実施例26と同様の処理を施し反射型スクリーンを得た。
反射型スクリーンにおいて、積層数に比例してゲインの増加が認められ、7層構造の反射スクリーンでは光吸収層が黒色PETフィルム(実施例25)の場合には1.6のゲインが得られ、黒色塗膜の場合(実施例28)には1.9のゲインが得られた。
…光学膜、13…光吸収層、14…光拡散層
Claims (7)
- 金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含む高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率光学膜の下地層となる低屈折率光学膜を塗布形成するのに用いられる低屈折率光学膜用塗料であって、
前記高屈折率光学膜用塗料の結合剤が有する官能基と前記エネルギーの吸収により化学結合する官能基を有し表面エネルギーが22dyne/cm以下であるフッ素系樹脂と、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基の極性基を有するフッ素系添加剤とを含み、前記フッ素系添加剤の極性基のモル数が前記フッ素系樹脂の平均モル数に対して2.7〜10倍であることを特徴とする低屈折率光学膜用塗料。 - 塗布後に得られる低屈折率光学膜の表面エネルギーの極性項が、0.9dyne/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率光学膜用塗料。
- 請求項1または2に記載の低屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる低屈折率光学膜と、
金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含む高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率光学膜とが積層されてなることを特徴とする光学多層膜。 - 前記高屈折率光学膜用塗料では、前記分散剤が、微粒子の表面積に対して1.5〜22μmol/m2の割合で含まれていることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
- 前記微粒子が、TiO2またはZrO2の微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
- 透明支持体上に、前記高屈折率光学膜と前記低屈折率光学膜とが交互に積層された2n+1層(n=1,2,3)からなる積層膜であり、最外層が高屈折率光学膜であることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
- 光源からの光を反射して画像を表示する反射型スクリーンにおいて、
請求項3〜6のいずれか一に記載の光学多層膜と、該光学多層膜の透過光を吸収する光吸収層と、前記光学多層膜の最外層上に該光学多層膜が反射した光を拡散させる光拡散層とを備えることを特徴とする反射型スクリーン。
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