JP4547948B2 - 塗布型光学膜用材料、およびそれを用いた光学多層膜と反射スクリーン - Google Patents

塗布型光学膜用材料、およびそれを用いた光学多層膜と反射スクリーン Download PDF

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Description

本発明は塗布型光学膜用材料に関し、それを用いて形成した光学多層膜、さらに、該光学多層膜を備えた反射スクリーンに関する。
光学材料には、ガラス等の無機光学材料とプラスチック等の有機高分子光学材料とがあるが、いずれの光学材料とも何らかの欠点を有しており光学材料に求められる要求をすべて満足するものではなかった。
すなわち、有機高分子光学材料は、さまざまな形状に成型加工し易く、迅速な大量生産性があり、軽くて割れにくいという利点を有するが、屈折率が低い、軟らかい、傷つき易い、吸湿性があるために形状変化が起こって光学特性が変化する、複屈折率が大きい等の欠点を有していた。
一方、無機光学材料は、硬くて傷つきにくく、耐熱性が高く、吸湿性が小さいこと、屈折率は有機高分子光学材料よりも高く幅広く選択できる、複屈折率が小さい、解像度が高いという利点を有するが、衝撃で割れ易い、成型性が悪い、迅速な大量生産性が悪いという欠点を有していた。
したがって、現状では両者ともに光学材料として不十分であり、それらの欠点のない、つぎの5つの特性を満たす新しい光学材料が求められていた。
1)加工性が良いこと、
2)屈折率値を自由に連続的に選択できること、
3)耐衝撃性があり、割れにくいこと、
4)着色性が少なく、広い波長域において可視光の光透過率が高いこと、
5)傷つきにくいこと
ところで、上記の光学材料を検討する上で、ある屈折率をもつ光学膜の上に異なる屈折率をもつ光学膜を積層することにより光学材料として所望の機能を付与する手法がある。例えば、波長550nmの光に対する屈折率が1.35〜1.45の低屈折率膜の下層に高屈折率膜を設けると効果的な光反射防止膜が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
また、有機高分子材料中に種々の金属酸化物の微粒子を混入させることにより、塗膜の屈折率を自由に調整することが可能であり、これをフィルムやレンズ上に塗布することによって、ディスプレイ、モニタ、レンズの表面特性を改良する手法、あるいはそれを光学材料に用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−64601号公報(段落0017〜0018、図1) 特開2000−171603号公報(段落0024、図1)
しかしながら、フッ素含有膜や離型フィルム等の上に上記微粒子を添加した有機高分子材料を塗布して光学膜を形成しようとすると、その有機高分子材料の表面張力がフッ素含有膜や離型フィルム等の表面エネルギーよりも高いために適正な塗膜とならず積層することができなかった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、屈折率を広い範囲で自由に選択でき、表面エネルギーの低い膜上にも塗布できる低表面張力を持った塗布型光学膜用材料を提供することを目的とし、また広い波長範囲の光に対して透過性が良く、成型が容易で、生産性に優れた光学多層膜及び反射スクリーンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する請求項1に係る塗布型光学膜用材料は、
フッ素含有基体上に塗布して光学膜を形成する塗布型光学膜用材料であって、
微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、化学式量が110〜3000である親油基および親水基からなる分散剤とを含有し、
分散剤の親水基が、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基またはリン酸塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、であり、
分散剤の含有量が微粒子に対して2.2〜22μmol/m2であり、塗布した時の表面張力が19dyne/cm以下であり、
微粒子の含有量が2〜20重量%であり、一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項の発明に係る塗布型光学膜用材料は、請求項1の発明において、塗布後に得られる光学膜の屈折率が1.7〜2.1であることを特徴とする。
請求項1および2の発明により、屈折率を広い範囲で自由に選択できつつ、低表面張力の塗布型光学膜用材料となるため、表面エネルギーの低い膜上にも塗布ができ、積層が可能となる。
前記課題を解決するために提供する請求項の発明に係る光学多層膜は、請求項1または2に記載の塗布型光学膜用材料を塗布して得られる光学膜と、フッ素含有膜とが少なくとも積層されてなることを特徴とする。
請求項の発明により、目的の屈折率と膜厚を有する本発明に係る塗布型光学膜用材料による光学膜とフッ素含有膜とが積層されるため、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成することが可能となる。
前記課題を解決するために提供する請求項の発明に係る反射スクリーンは、基板と、光吸収層と、請求項に記載の光学多層膜と、光拡散層とが順次設けられてなることを特徴とする。
請求項の発明により、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となるため、反射スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能となり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。
請求項1および2の発明によれば、表面エネルギーの低い膜上にも塗布ができ、積層構造とすることができる。
請求項の発明によれば、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成できる。
請求項の発明によれば、反射スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することができ、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することができる。
以下に、本発明に係る塗布型光学膜用材料の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であり、これに限定されるものではない。
(塗布型光学膜用材料)
本発明に係る塗布型光学膜用材料は、フッ素含有膜上に塗布されて光学膜を形成する材料であって、結合剤が溶解した有機溶媒中に微粒子が分散剤により分散された光学膜用材料である。また、この光学膜用材料は塗布された後に硬化反応により、高屈折率の光学膜となるものである。
本発明の塗布型光学膜用材料は、微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、化学式量が110〜3000である親油基および親水基からなる分散剤とを含有し、分散剤の含有量が微粒子に対して2.2〜22μmol/m2であり、塗布した時の表面張力が19dyne/cm以下となり、フッ素含有基体上に塗布して光学膜を形成する塗布型光学膜用材料である。また、基体であるフッ素含有基体は、フィルム、板、レンズ状など全ての形状の基板や光学薄膜に適用可能である。
塗布型光学膜用材料の微粒子は、成膜された後の光学膜の屈折率を調整するために添加される高屈折率材料の微粒子であり、Ti、Zr、Al、Ce、Sn、La、In、Y、Sb、等の酸化物、または、In- Sn等の合金酸化物が挙げられる。なお、光触媒を抑える目的でTi酸化物にAl、Zr等の酸化物が適当量含有されたとしても、本発明の効果を妨げるものではない。
また、微粒子の比表面積は55〜85 m2/gが好ましく、75〜85 m2/gであることがより好ましい。比表面積がこの範囲にあると、微粒子の分散処理により、光学膜用材料中における微粒子の粒度(一次粒子径)を100nm以下に抑えることが可能となり、ヘイズの非常に小さな光学膜を得ることが可能である。
微粒子の含有量としては、光学膜用材料において2〜20wt%であることが好ましい。
有機溶媒は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒等を用いる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。また、低い表面エネルギーをもつ支持体や光学膜上に塗布するためには、より低い表面張力をもつ溶媒を選択することが望ましく、例えばメチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
結合剤は、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化型樹脂、電子線(EB)硬化型樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂、UV硬化型樹脂、EB硬化型樹脂の例としてはポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式等)基を有するポリマーでもよい。また、炭素鎖中にフッ素、シラノール基の入った樹脂でも構わない。
上記樹脂を硬化反応させる方法は放射線または加熱のいずれでもよいが、紫外線照射により結合剤の硬化反応を行う場合には、重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等のパーオキシド系開始剤が挙げられる。これらの開始剤の使用量は、重合性単量体合計100重量部あたり0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部とする。
結合剤の含有量としては、光学膜用材料において3〜32wt%であることが好ましい。
分散剤は、微粒子の分散性向上とともに、分散によって微粒子表面に配向された分散剤が光学膜用材料の表面上でも配向した形態をとり、少量添加でも塗料である光学膜用材料の表面張力を低下させるのに好適である。分散剤は親油基と親水基とからなり、親水基である極性官能基の導入部位は特に限定されない。
分散剤に含まれる親油基の重量平均分子量(化学式量)は110〜3000である。分子量が110よりも低いと、有機溶媒に対して十分に溶解しないなどの弊害が生じ、分子量が3000を超えると光学膜中の微粒子の十分な分散性を得ることができない。なお、分散剤には、結合剤と硬化反応を起こすための官能基を有していてもよい。
分散剤に含まれる親水基の極性官能基の量は、10-3〜10-1mol/gである。官能基がこれより少ない、あるいは多い場合には、微粒子の分散に対する効果が発現せず、分散性低下などにつながる。また、極性官能基として以下に示すような官能基は凝集状態にならないため、有用である。すなわち、-SO3M、-OSO3M、-COOM、P=O(OM)2(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩(R1(R2)(R3)NHX(ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。))、-OH、-SH、-CN、エポキシ基等の極性官能基などである。これら分散剤は、1種単独で用いられることが可能であるが、2種以上を併用することも可能である。
分散剤の含有量は、微粒子に対し2.2〜22μmol/m2である。2.2μmol/m2より含有量が少ないと光学膜に十分な分散性を得ることができず、さらに効果的な表面張力低下効果も得られない。逆に、22μmol/m2より含有量が多いと、微粒子の分散状態に関わらず表面張力は低下するが、光学膜中における分散剤体積比率が上昇するために、膜屈折率が低下して屈折率の調整範囲が狭くなることから光学膜積層設計が困難となる。なお、分散剤の分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により行えばよい。
また、光学膜用材料Aの塗膜における分散剤の含有量は、総量で上記微粒子100重量部に対して、20〜60重量部、より好ましくは38〜55重量部である。なお、本発明の分散剤以外の結合剤を含む場合には結合基を多く有する多官能ポリマー、またはモノマーが好ましい。
塗布型光学膜用材料は塗布した時の表面張力が19dyne/cm以下となっており、フッ素含有膜などの表面エネルギーの低い膜上にも均一に塗布することが可能となる。また、塗布された後に、光または熱エネルギーによって硬化反応が促進され高屈折率タイプの光学膜となる。
上記光学膜用材料の製造に当たっては、混練工程、分散工程及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程によって行われる。本発明において使用する微粒子、樹脂、溶媒など全ての原料は何れの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。分散及び混練には、アジター、ペイントシェーカー等の従来公知の装置を用いればよい。
(光学多層膜)
光学多層膜は、本発明の根幹をなすものであり、第1の光学膜として上記塗布型光学膜用材料を塗布・硬化して得られる高屈折率の光学膜(I)と、第2の光学膜としてフッ素含有膜である低屈折率の光学膜(II)とが交互に積層された構成である。詳しくは、基板上から、まず光学膜(I)が設けられ、ついで光学膜(II)が設けられ、以降光学膜(I)と光学膜(II)とが交互に設けられ、最後に光学膜(I)が設けられた構成であり、2n+1層(nは1以上の整数である。)からなる積層膜となっている。
光学膜(I)は、基板、または光学膜(II)の上に上記塗布型光学膜用材料を塗布した後に硬化反応により形成される光学膜である。
この光学膜の膜厚は、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。15μmより厚くすると、分散し切れなかった微粒子によるヘイズ成分が増大して光学膜としての機能が得られないからである。
この光学膜の屈折率は、1.70〜2.10とすることが好ましい。屈折率を2.10よりも高くすると、微粒子の分散性が不充分となって光学膜としての機能が損なわれ、屈折率を1.70よりも低い場合には必要とされる光学特性が得られない場合がある。
光学膜(II)は、光学膜(I)の上に所定の下地層用塗料を塗布した後に硬化反応により形成されるフッ素含有膜である。屈折率は、1.30〜1.69が好ましく、1.45以下の屈折率をもつ膜がとくに好ましい。光学膜(II)の屈折率は塗料に含まれる樹脂の種類、場合によっては微粒子の種類及び添加量などにより決まる。なお、屈折率が1.69よりも高くなると光学膜(I)との屈折率の差が確保できず、光学膜(I)に積層した場合の反射特性が十分ではなくなり、スクリーンとしての特性が不充分となる。また、1.3よりも低い屈折率をもった膜を形成することは困難であり、屈折率1.3が製造上の下限となる。
また、この光学膜の膜厚は、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。
以上の構成により、光学多層膜は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するようになる。なお、光学膜(I)、光学膜(II)それぞれの屈折率や厚みを調整することにより、光学多層膜として反射する三波長帯の波長位置をシフトさせて調整することが可能であり、これによりプロジェクターから投射される光の波長に対応させた光学多層膜とすることができる。
なお、光学多層膜を構成する光学膜(I)及び光学膜(II)の層数は特に限定されるものではなく、所望の層数とすることができる。また、光学多層膜はプロジェクター光の入射側及びその反対側の最外層が光学膜(I)となる奇数層により構成されることが好ましい。光学多層膜を奇数層の構成とすることにより、偶数層とした構成の場合よりも三原色波長帯域フィルターとして機能が優れたものとなる。
光学多層膜の具体的な層数は3〜7層の奇数層とすることが好ましい。層数が2以下の場合には反射層としての機能が十分ではないためである。一方、層数が多いほど反射率は増加するが、層数8以上では反射率の増加率が小さくなり、光学多層膜の形成所要時間をかけるほど反射率の改善効果が得られなくなるためである。
(反射スクリーン)
つぎに、本発明に係る反射スクリーンの実施の形態について説明する。
本発明に係る反射スクリーンの構成例を図1に示す。反射スクリーン10は、基板11上に、光学多層膜12と、光吸収層13と、光拡散層14とが設けられた構成である。
基板11は、透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等の所望の光学特性を満足するものであればよい。光学特性として、上記基板11を構成する材料の屈折率は1.3〜1.7、ヘイズは8%以下、透過率は80%以上が好ましい。また、基板11にアンチグレア機能をもたせてもよい。
透明フィルムはプラスチックフィルムが好ましく、このフィルムを形成する材料としては、例えばセルロース誘導体(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース)、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA 型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールA のモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといっ
た熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。この場合には加熱温度の上限が200℃以上となり、その温度範囲が幅広くなることが予想される。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
また、上記プラスチックフィルムの表面がハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであってもよく、無機物と有機物からなる光学多層膜の下層にこの被膜材料を存在させることによって、付着性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向上させることも可能である。
また、基板11上に光学機能性薄膜、あるいは透明支持体表面処理として、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、オルガノアルコキシメタル化合物やポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンが挙げられる。また、コロナ放電、UV照射処理を行うのが好ましい。
光学多層膜12は、本発明の塗布型光学膜用材料を基体上に塗布・硬化して得られる高屈折率の光学膜12Hと、フッ素含有膜である低屈折率の光学膜12Lとが交互に積層された構成であり、上記で示した光学多層膜の構成であればよい。
光吸収層13は、光学多層膜12を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、図1では基板11の光学多層膜12が設けられた面とは反対面に黒色の樹脂フィルムを貼り付けた態様を示している。
あるいは、光吸収層13は、黒色の塗料を用いて塗布によって得られた層でもよい。
黒色の塗料として、カーボンブラック微粒子、シリカ微粒子等表面にカーボンブラックを被着させた微粒子等が挙げられる。これらの微粒子には導電性があっても良い。
また、カーボンブラック微粒子の製法は、オイルファーネス法、チャンネル法、ランプ法、サーマル法等が知られている。
黒色を沈める目的の場合、微粒子の一次粒子径、分散性が塗膜としての黒色を決定する大きな要素となり、一次粒子径が小さく表面積が大きなものほど漆黒性は向上する。また、表面官能基の多いカーボンブラックは、アルキド樹脂のようにOH基やカルボキシル基など極性官能基を有するビヒクルと親和性が高く、極性の低い炭化水素系溶剤と組み合わせることにより、樹脂との濡れ性がよくなり、光沢や漆黒度が高くなる。また、上記樹脂がもつ官能基と反応性のあるイソシアネート基、カルボキシル基をもつ硬化剤を添加して、塗膜を硬化させると良い。
一般に表面官能基の量は、チャンネルカーボンの方がファーネスカーボンよりも多いが、ファーネス法でも酸化処理を施すことによって、官能基量を増やすことができる。カーボンブラックの一次粒子径は、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。粒子径が大きくなると、漆黒度が下がり、光吸収層としての性能が落ちる。
塗布方法は、スクリーン塗布、ブレード塗布、スプレー塗布等従来既知の方法で構わない。
また、膜厚は、10〜50μm程度が好ましく、より好ましくは15〜25μmである。膜厚が10μmよりも小さい場合には、とくにスプレー塗布の場合に漆黒度が低下してしまう。一方、膜厚が50μmよりも大きい場合には、塗膜が脆くなり、クラックが発生し易くなる。
光拡散層14は、片面の表面が凹凸形状となっており、その構成材料はプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、拡散層として通常使用されるガラスやプラスチックなどでよい。例えば、光学多層膜12の上に透明エポキシ樹脂を塗布し、エンボス加工などにより表面に凹凸を設けてもよいし、すでにそのような形状となった拡散フィルムを貼り合わせてもよい。光学多層膜12で選択的に反射された光は光拡散層14を透過して射出される際に拡散し、視聴者はこの拡散した反射光を観察することで自然な画像を視認することができるようになる。光拡散層14における拡散角はその視認性を決める重要な要因であり、拡散板を構成する材料の屈折率や表面の凹凸形状などを調整することによってその拡散角を増大させる。
また、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスクリーン上のぎらつきであるスペックルパターンの発生を防止するために光拡散層14の表面形状パターンをランダムにするとよい。
上記反射スクリーン10によって、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となり、スクリーン10上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成するものであり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクターのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上で広視野角で、かつコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
すなわち、スクリーン10に入射する光は、光拡散層14を透過し、光学多層膜12に到達し、当該光学多層膜12にて入射光に含まれる外光成分は透過されて光吸収層13で吸収され、映像に関わる特定波長領域の光のみ選択的に反射され、その反射光は光拡散層14の表面にて拡散され視野角の広い画像光として視聴者に供される。したがって、上記反射光である画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高コントラスト化が可能となる。
つぎに、本発明に係る反射スクリーン10の製造方法について以下に説明する。
(s1)基板11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、当該基板11の主面に本発明に係る塗布型光学膜用材料を所定量塗布する。
(s2)塗布型光学膜用材料の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
(s3)ついで、光学膜12H上にフッ素を含有した下地層用塗料を所定量塗布する。
(s4)その塗膜を乾燥後、熱硬化させ、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(s5)ついで、基板11の最外層にある光学膜12L上に所定量の本発明に係る塗布型光学膜用材料を塗布する。
(s6)塗布型光学膜用材料の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。以降、ステップs3〜s6までの処理を所定回数行い、基板11上に光学多層膜12を形成する。
(s7)光学多層膜12の最外層表面に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に板形状の光拡散層層14の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させて光学多層膜12と光拡散層14とを貼り合わせる接着層とする。
(s8)基板11の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、光吸収層13を形成し、本発明に係る反射スクリーン10とする。
上記製造工程において、表面エネルギーの低い基板11や光学膜12L上に塗布型光学膜用材料を均一に塗布することができる。すなわち、本発明の塗布型光学膜用材料に用いられる分散剤が微粒子に対して所定の関係を有することにより、塗布型光学膜用材料の表面張力が基板11や光学膜12Lの表面エネルギーよりも低くなり、基板11や光学膜12L上への塗布型光学膜用材料の均一な塗布を実現し、所期の光学膜12Hを形成することが可能となり、ひいては目的の反射特性を有する光学多層膜を得ることができる。
なお、塗布型光学膜用材料の塗布方法としては、このほかグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイコーティング、ディッピングなど従来公知の塗布方式によって塗布されてもよい。
また、本発明に係る反射スクリーンの他の実施の形態における構成として、図2に示すように、基板11の両面それぞれに上記と同じ構成の光学多層膜12が形成され、そのうち一方の光学多層膜12の最外層表面に光拡散層14が形成され、他方の光学多層膜12の最外層表面に光吸収層13が形成された構成としてもよい。この反射スクリーン20でも、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収することにより反射スクリーン上の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能である。
なお、基板11を凸レンズ、または凹レンズの形状として、その表面に光学多層膜12を形成すると、入射する光線束を選択的に反射しつつ、透過した光線束を集合または発散させて実像あるいは虚像を結ばせる光学レンズとすることができ、メガネ(矯正用、ファッション用)、顕微鏡、望遠鏡、拡大鏡、プロジェクション機器類(映画、オーバーヘッドプロジェクター、スライド映写機)、カメラ(ビデオカメラ、デジタルカメラ、写真用カメラ、内視鏡カメラ)、CDを主とした光メモリー用または読み取り用の対物レンズに利用することも可能である。この場合、その表面形状に制限はなく、球面状、非球面状のいずれの形状をとることもでき、従来の他のレンズと組合せて用いることもできる。
上記本発明を実際に実施した例を以下に説明する。この実施例は例示であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1における本発明による塗布型光学膜用材料からなる塗料(I)、下地層用塗料である塗料(II)の組成と製造方法及び光学膜形成方法を以下に示す。
(1)塗料(I)
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48) 100重量部
・分散剤:SO3Na基含有ウレタンアクリレート
(数平均分子量:350、SO3Na濃度:1×10-1 mol/g) 38重量部
・結合剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製UV硬化性樹脂、商品名DPHA) 19重量部
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK) 4800重量部
上記微粒子と分散剤と有機溶媒とを混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行い微粒子分散液を得た。この微粒子分散液を採取し、粒度分布計(UPA)でTiO2微粒子の粒度分布として平均粒径を測定した。また、この微粒子分散液に結合剤を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、塗料(I)とし、毛細管法によって塗料(I)の表面張力を測定した。
(2)塗料(II)
・結合剤:末端カルボキシル基をもつパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体 100重量部
・有機溶媒:含フッ素アルコール(C6F13C2H4OH)とパーフルオロブチルアミンとの混合溶媒(混合比95:5) 1666重量部
上記結合剤と有機溶媒とを混合し、十分攪拌して塗料(II)とした。
(3)光学膜形成方法
(s11)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面に塗料(I)を塗布する。
(s12)塗料(I)の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、膜厚1000nmの高屈折率の光学膜(I)を形成する。
(s13)ついで、その光学膜(I)上に塗料(II)を塗布する。
(s14)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥後、90℃で熱硬化させ、表面エネルギーが20dyne/cmである所定膜厚1100nm±350nmの低屈折率の光学膜(II)を形成する。
(s15)光学膜(II)上に塗料(I)を塗布する。
(s16)塗料(I)の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、膜厚1000nmの高屈折率の光学膜(I)を形成する。これにより高屈折率の光学膜(I)と低屈折率の光学膜(II)との積層膜を得た。
形成した光学膜の評価に当たっては、上記ステップs16終了時に形成された光学膜(I)の屈折率をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定し、ヘイズをヘイズメーター(JASCO V-560型)で測定した。
(実施例2)
実施例1の塗料(I)における分散剤の分子量を110、添加量を22.0μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例3)
実施例1の塗料(I)における分散剤の分子量を3000、添加量を2.2μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例4)
実施例1の塗料(I)における微粒子の添加量を2wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例5)
実施例1の塗料(I)における微粒子の添加量を8wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例6)
実施例1の塗料(I)における微粒子の添加量を18wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例7)
実施例1の塗料(I)における分散剤の添加量を6.74μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例8)
実施例1の塗料(I)における分散剤の添加量を20.2μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例9)
実施例1の塗料(I)における分散剤として、分子量245の分散剤Aと分子量1000の分散剤Bとの2種類の分散剤をそれぞれ6.7μmol/m、1.5μmol/m添加して、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例10)
実施例1の塗料(I)における微粒子TiOの表面にZrOをTiO微粒子に対して22%の体積割合で被着させ、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例11)
実施例1の塗料(I)における微粒子TiOの表面にAlをTiO微粒子に対して22%の体積割合で被着させ、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例12)
実施例1の塗料(I)における微粒子をZrOとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例13)
実施例1の塗料(I)における親水基をPOO(OH)基とした分散剤の添加量を2.2μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(実施例14)
実施例1の塗料(I)における親水基をPOO(OH)基とした分散剤の添加量を22.0μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例1)
実施例1の塗料(I)における分散剤の分子量を100とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例2)
実施例1の塗料(I)における分散剤の分子量を3100とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例3)
実施例1の塗料(I)における微粒子の添加量を0wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例4)
実施例1の塗料(I)における微粒子の添加量を1wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例5)
実施例1の塗料(I)における微粒子の添加量を20wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例6)
実施例1の塗料(I)における分散剤の添加量を2.0μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
(比較例7)
実施例1の塗料(I)における分散剤の添加量を25.0μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、塗料及び積層膜を得た。
実施例1〜14の結果を表1に示す。いずれの実施例においても、下層となる光学膜(II)の上に塗料(I)を問題なく均一に塗布でき、所望の光学膜(I)を設けることができた。
Figure 0004547948
比較例1〜7の結果を表2に示す。それぞれの結果は次の通りであった。
・比較例1:塗料(I)作製の段階で分散剤が溶けず、微粒子の分散ができなかった。
・比較例2:塗料(I)作製の段階で微粒子の分散性の低下が認められ、正常な塗膜を得ることができなかった。
・比較例3:塗料(I)作製の段階で微粒子を適切に分散できず、正常な塗膜を得ることができなかった。
・比較例7:光学膜(II)の上に塗料(I)を塗布できたが、光学膜(I)の屈折率が低くなった。
・比較例5:高固形分のために塗料(I)における微粒子の分散性が低下し、分散性不良のため塗料(I)による光学膜(I)の形成ができなかった。
・比較例6:塗料(I)作製の段階で微粒子の分散性の低下が認められ、正常な塗膜を得ることができなかった。
・比較例7:光学膜(II)の上に塗料(I)を塗布できたが、光学膜(I)の屈折率が低くなった。
Figure 0004547948
つぎに、実施例1の条件に基づいて光学多層膜及び反射スクリーンを実際に作製した例を以下に説明する。
(実施例15)
実施例1の光学膜形成条件で、PETフィルム上に光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)の3層の光学多層膜を得た。この光学多層膜における光学膜(I)の膜厚は600nmとし、光学膜(II)の膜厚は1000nmとして、得られた光学多層膜の反射特性をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定した。なお、反射特性として、波長480nmの青色波長、波長560nmの緑色波長、波長665nmの赤色波長の三原色波長域における反射率を測定した。
また、得られた光学多層膜について基板であるPETフィルムの裏面に粘着層を介して黒色PETフィルムを貼合し、光学多層膜の最外層表面には粘着層を介して拡散フィルムを貼合して、反射スクリーンを作製し、この反射スクリーンのゲインを分光放射輝度計(ミノルタ社製、CS-1000)で測定した。なお、ゲインとは、白色板に光を照射した際の該白色板における輝度(cd/m2)を1とした場合の比の最大値である。
さらに、このスクリーンの輝度を上記輝度計で測定し、コントラストを求めた。すなわち、反射スクリーンに白色光をプロジェクタから照射した時の輝度を測定し、次に黒色光をプロジェクタから照射した時の輝度を測定し、この白色と黒色の光を照射させた時の輝度の比からコントラストを測定した。
(実施例16)
実施例15における光学膜の積層数を光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)の5層とし、それ以外の条件は実施例15の条件と同じとして、光学多層膜及び反射スクリーンを得た。
(実施例17)
実施例15における光学膜の積層数を光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)の7層とし、それ以外の条件は実施例15の条件と同じとして、光学多層膜及び反射スクリーンを得た。
(実施例18)
実施例15で得られた光学多層膜に対して、PETフィルムの裏面側にスプレー塗布にて黒色塗料を塗布し、乾燥、硬化工程として75℃で30分間保温し、光吸収層を形成した。
黒色塗料は、次の組成物に溶剤を加えたものを用いた。
・カーボンブラック微粒子:オリジン電機社製、商品名オリジプレート
(一次粒子径:15nm)
・樹脂:ヒドロキリル基を有するアルキド樹脂
また、硬化剤として、オリジン電機社製、商品名ポリハードMH(イソシアネート系)を用いた。
ついで、光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼り合せて反射スクリーンを得、実施例15と同様の評価を行った。
(実施例19)
実施例16で得られた光学多層膜に対して、実施例18と同様の処理を施し反射スクリーンを得、同様の評価を行った。
(実施例20)
実施例17で得られた光学多層膜に対して、実施例18と同様の処理を施し反射スクリーンを得、同様の評価を行った。
実施例15〜20の結果として、光学多層膜の反射率、反射スクリーンのゲイン及びコントラストを表3に示す。3層構造の光学多層膜の反射率は55%であり、積層数が増えるにしたがって反射率の増加が認められ、7層構造の光学多層膜では88%の反射率が得られた。また、反射スクリーンにおいても、積層数に比例してゲインの増加が認められ、7層構造の反射スクリーンでは光吸収層が黒色PETフィルム(実施例17)の場合には1.6のゲインが得られ、黒色塗膜の場合(実施例19)には1.9のゲインが得られた。また、いずれの実施例でも高コントラストが得られた。
Figure 0004547948
本発明に係る反射スクリーンの一の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明に係る反射スクリーンの他の実施の形態の構成を示す断面図である。
符号の説明
10,20…反射スクリーン、11…基板、12…光学多層膜、12H,12L
…光学膜、13…光吸収層、14…光拡散層

Claims (4)

  1. フッ素含有基体上に塗布して光学膜を形成する塗布型光学膜用材料であって、
    微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、化学式量が110〜3000である親油基および親水基からなる分散剤とを含有し、
    前記分散剤の親水基が、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基またはリン酸塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、であり、
    前記分散剤の含有量が前記微粒子に対して2.2〜22μmol/m2であり、塗布した時の表面張力が19dyne/cm以下であり、
    前記微粒子の含有量が2〜20重量%であり、一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする塗布型光学膜用材料。
  2. 塗布後に得られる光学膜の屈折率が1.7〜2.1であることを特徴とする請求項1に記載の塗布型光学膜用材料。
  3. 請求項1または2に記載の塗布型光学膜用材料を塗布して得られる光学膜と、フッ素含有膜とが少なくとも積層されてなることを特徴とする光学多層膜。
  4. 基板と、光吸収層と、請求項に記載の光学多層膜と、光拡散層とが順次設けられてなることを特徴とする反射スクリーン。
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