JP2007203687A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2007203687A
JP2007203687A JP2006027942A JP2006027942A JP2007203687A JP 2007203687 A JP2007203687 A JP 2007203687A JP 2006027942 A JP2006027942 A JP 2006027942A JP 2006027942 A JP2006027942 A JP 2006027942A JP 2007203687 A JP2007203687 A JP 2007203687A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
layer
thickness
film
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006027942A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4983031B2 (ja
Inventor
Shunichi Osada
俊一 長田
Hagumu Takada
育 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2006027942A priority Critical patent/JP4983031B2/ja
Publication of JP2007203687A publication Critical patent/JP2007203687A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4983031B2 publication Critical patent/JP4983031B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】写り込みやコントラストの低下が少なく、干渉縞もなく、剛性・透明性・耐熱性・寸法安定性・耐薬品性にすぐれた積層フィルムを提供すること。
【解決手段】層厚みが15μm以上の樹脂Aを主成分とする層を1層以上含んでなり、層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関するものである。
更に詳しくは、液晶ディプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、リアプロジェクションテレビ、フィールドエミッションディスプレイ、フロントスクリーンなどの各種ディスプレイに好適な積層フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂を多層に積層したフィルムは、種々提案されており、例えば、耐引裂性に優れた多層に積層したフィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できるもの(たとえば特許文献1〜3参照)、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより、選択的に特定の波長を反射するフィルム(たとえば特許文献4〜6参照)等が存在する。これらの中で選択的に特定の波長を反射するフィルムは、特定の光を透過あるいは反射するフィルターとして作用し、液晶ディスプレイなどのバックライト用のフィルムとして利用されている。
一方、、液晶ディプレイやプラズマディスプレイやELディスプレイなどの各種ディスプレイにおいては、剛性、透明性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、コストなどの点から、光学機能フィルムの基材として、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートからなる二軸延伸フィルムが用いられている。通常、各種ディスプレイで用いられる光学機能フィルムは、数枚のフィルムを粘着剤等で貼り合わされて使用される。このため、しばしば、基材フィルムと粘着剤との屈折率差による反射が問題となる。すなわち、このわずかな反射が、写り込みや暗視野下でのコントラストを低減するためである。
また、光学機能フィルムでは、基材フィルムの表面にアクリル樹脂などを用いて、ハードコート層、反射防止層、近赤外線吸収層、拡散層、色補正層、電磁波吸収層、プリズムやレンチキュラーなどの光学素子が形成されている。この際、例えばハードコートフィルムなどでは、ハードコート層の屈折率と基材フィルムの屈折率に差があると、干渉縞と呼ばれるむらが見えるようになる問題がある。
本発明者らは、屈折率の異なる樹脂層を特殊な層厚みで多層に積層することにより、光の損失がほどんどない材料を提案している(たとえば特許文献7参照)。本方法では、フィルムの屈折率を制御できるものの、その構造的特徴のため、剛性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性などが不足し、各種ディスプレイに用いられる光学機能フィルムの基材としては必ずしも満足できるものではなかった。
特開平6-190995号公報(第2頁) 特開平6-190997号公報(第2頁) 特開平10-76620号公報(第2頁) 特開平3-41401号公報(第2頁) 特開平4-295804号公報(第2頁) 特表平9-506837号公報(第2頁) 国際公開第2005/037544号パンフレット
本発明の課題は、かかる問題を解決し、写り込みやコントラストの低下が少なく、干渉縞もなく、剛性・透明性・耐熱性・寸法安定性・耐薬品性にすぐれた積層フィルムを提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有する。すなわち、層厚みが15μm以上の樹脂Aを主成分とする層を1層以上含んでなり、層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなることを特徴とする積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、層厚みが15μm以上の樹脂Aを主成分とする層を1層以上含んでなり、層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなるので、写り込みやコントラストの低下を抑制可能である。また干渉縞もなく、透明性・耐熱性・寸法安定性・耐薬品性にもすぐれるものである。
上記目的を達成するため、本発明は、層厚みが15μm以上の樹脂Aを主成分とする層を1層以上含んでなり、層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなる積層フィルムでなければならない。
ここで、樹脂Aとしては透明性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、剛性に優れる樹脂であることが好ましい。樹脂Aとしては、例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、特に、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートなどのポリエステルが好ましい。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートは、透明性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、剛性にすぐれながら低コストであるからである。また、樹脂Aはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上樹脂がブレンドされた樹脂であってもよい。また、樹脂Aに各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
層厚みが15μm以上の樹脂Aを主成分とする層を1層以上含んでなると、耐熱性、寸法安定性、剛性に優れるフィルムとなる。本発明者らは、WO2005−037544にて特殊な層構成とすることによりフィルム内部の屈折率を調整する技術を提案しているが、本技術では10μm以上のコアとなる厚い層を形成することは困難であったため、積層する一方の樹脂の特性により、耐熱性、寸法安定性、剛性を満足するフィルムを得ることは難しかった。本発明では、この課題を解決することにより、フィルムの屈折率を制御しつつ、透明性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、剛性にすぐれるフィルムを提供できるようになったものである。
フィルムの屈折率を制御するため、本発明では層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなければならない。ここで樹脂Bは、樹脂Aとは屈折率が異なる樹脂でなければならない。より好ましくは、樹脂Aの屈折率と樹脂Bの屈折率の差の絶対値が0.01以上であることが好ましい。さらに好ましくは、0.03以上である。
層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでいると、フィルムの表層部や中心部などのごく一部分の屈折率を制御することが可能となる。また、可視光線を干渉などにより強く反射することもなく、層による散乱も低く抑えることができる。より好ましくは、樹脂Bを主成分とする層を9層以上含んでいる。樹脂Bを主成分とする層を9層以上含んでいると、ハードコートフィルムの基材とした場合、より干渉縞が見えにくくなる。
より好ましくは層厚みが30nm以下の樹脂Aを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Aを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含む。このような層構成を有すると、さらにフィルムのごく一部分の屈折率を制御することが容易となる。
ここで、本発明の層構成について例示する。まず、A1/B1/A2/B2/A3/B3/A0の層構成を考える。ここで、An(n=0,1,2,3)は樹脂Aを主成分とする層であり、Bn(n=1,2,3)は樹脂Bを主成分とする層である。本発明では、A1、A2、A3の層厚みは30nm以下であり、A0は15μm以上であるとよい。また、表層側のA1からA2、A3になるに従い、層の厚みは減少または増加することが好ましい。一方、B1、B2、B3の層厚みは30nm以下であり、表面側B1からB2、B3になるに従い、層の厚みは減少または増加する。ここで、樹脂Aを主成分とする層がA1からA2、A3になるに従い、層の厚みが増加する場合、樹脂Bを主成分とする層はB1からB2、B3になるに従い、層の厚みが減少すると好ましい。このような層構成において、例えば樹脂Aの屈折率が樹脂Bの屈折率よりも高い場合、散乱や強い干渉反射を引き起こすことなく、A1側表面の積層フィルムの屈折率を、A0側表面の屈折率よりも低くすることができる。また、逆に樹脂Aの屈折率が樹脂Bの屈折率よりも低い場合、散乱や強い干渉反射を引き起こすことなく、A1側表面の積層フィルムの屈折率を、A0側表面の屈折率よりも高くすることができる。これは見かけ上、徐々に屈折率が変化しているように捉えられるためである。また、層厚みが15μm未満の層について、隣接する層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)の最大値が、5以上であることが好ましい。より好ましくは、10以上である。さらに好ましくは20以上である。層厚みが15μm未満の層について、隣接する層の厚みの比の最大値が大きいほど、樹脂Aと樹脂Bの屈折率差が有効に寄与するため、フィルムの屈折率制御が容易となる。
また、本発明では、A1/B1/A2/B2/A3/B3/A0/B4/A4/B5/A5/B6/A6のような層構成でもよい。A1〜A6とB1〜B6の層の厚みが30nm以下とし、A0の層厚みを15μm以上と想定しているが、この場合、フィルム両表面の屈折率と内部の屈折率が異なることとなる。さらに、本発明では、A1/B1/A2/B2・・・Ax/Bx/A0のような層構成でもよい。ここでxは整数とし、A1〜AxとB1〜Bxの層厚みが30nm以下である。このように30nm以下の層数が多くなると、より干渉縞が見えにくくなる。
また、層厚みが30nm以下の樹脂Cを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Cを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなることも好ましい。このような層構成を有する場合も、さらにフィルムのごく一部分の屈折率を制御することが容易となる。ここで樹脂Cは、樹脂Bとは屈折率が異なる樹脂でなければならない。より好ましくは、樹脂Cの屈折率と樹脂Bの屈折率の差の絶対値が0.01以上であることが好ましい。さらに好ましくは、0.03以上である。
さらに好ましくは、表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少し、かつ樹脂Aまたは樹脂Cを主成分とする層の厚みが増加する層構成を含んでなる。
樹脂B、樹脂Cとしては、例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。また、樹脂B、樹脂Cはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上樹脂がブレンドされた樹脂であってもよい。また、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
この中で、特に、樹脂Bは、屈折率が1.56以下のポリエステルであることが好ましい。樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bの屈折率が1.56以下のポリエステルであると、層間密着力が高く、かつフィルムの一部分の屈折率を容易に制御することが可能となる。このため、光学機能フィルムの基材として本発明のフィルムを使用しても、機械特性・熱特性にも優れつつ、写り込みや干渉縞などが生じにくいものとなる。
ここで、屈折率が1.56以下のポリエステルとしては、ジカルボン酸成分またはジオール成分として少なくとも以下の一つ以上の成分が重合されていることが好ましい。
ジカルボン酸:脂肪族ジカルボン酸(例えば、HOOC(CH)nCOOH ここで、nは0〜12の整数)、脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)、およびこれらのエステル誘導体
ジオール:脂肪族ジオール(例えば、HO(CH)nOH、ここで、nは2〜20の整数)、脂環族ジオール(シクロヘキサンジメタノール)、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、フルオレン、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物。
特に好ましくは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bが脂肪族ジカルボン酸成分および/または脂環族ジカルボン酸成分を有するポリエステルである。また、樹脂Bのガラス転移温度が60℃以上であるとさらに好ましくなる。樹脂Bのガラス転移温度が60℃より低いと、経時で樹脂Bが結晶化するため、白化などの問題が発生するためである。
本発明の積層フィルムは、全光線透過率が91%以上99.9%以下であることが好ましい。全光線透過率が91%以上99.9%以下であると、光学用機能フィルムの基材として好適となる。より好ましくは、92%以上99.9%以下である。
本発明の積層フィルムは、少なくとも片面の長手方向または幅方向の屈折率が、1.47以上1.55以下であることが好ましい。なお、このフィルムの屈折率は、本発明の実施例に記載の測定法に従って測定しなければならない。少なくとも片面の長手方向または幅方向の屈折率が、1.47以上1.55以下であると、粘着剤やハードコート層との屈折率差が非常に小さくなるため、界面での反射がおきにくくなり、写り込みや干渉縞などの問題が起きにくくなる。
また、本発明の積層フィルムでは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
本発明の積層フィルムを得るための方法としては、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂を、以下に例示する積層装置にて多層に積層する方法が好ましい。なお、ここでは、両表面側に厚みが30nm以下の樹脂Aを主成分とする層と樹脂Bを主成分とする層を複数形成する例を示すが、これに限定するものではない。
図1は、厚みが30nm以下の樹脂Aを主成分とする層と厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を交互に積層し、かつ樹脂Aの厚みが表面側から中心部にむかうにつれ、徐々に増加するのに対し、樹脂Bの厚みが表面側から中心部にむかうにつれ、徐々に減少する層構成を形成するための装置である。ここで本装置を第一積層装置と称することとする。図1において、部材1〜7がこの順に重ねられ、第一積層装置8を形成する。
図1の第一積層装置8は、樹脂導入部材2,4,6に由来して3つの樹脂導入口を有するが、例えば樹脂Aを樹脂導入部材4の導入口9から供給し、樹脂Bを樹脂導入部材2,6の導入口9から供給する。
すると、
スリット部材3は、樹脂導入部材4から樹脂A、樹脂導入部材2から樹脂Bの供給を受け、
スリット部材5は、樹脂導入部材4から樹脂A、樹脂導入部材6から樹脂Bの供給を受けることになる。
ここで、各スリットに導入される樹脂の種類は、樹脂導入部材2,4,6における液溜部10の底面とスリット部材における各スリットの端部との位置関係により決定される。すなわち、図3に示すように、スリット部材における各スリットの頂部の稜線12は、スリット部材の厚み方向に対して傾斜を有する(図2(b),(c))。そして、樹脂導入部材2,4,6における液溜部10の底面の高さは、前記稜線12の上端部13と下端部14との間の高さに位置する。このことにより、前記稜線12が上がった側からは樹脂導入部材2,4,6の液溜部10から樹脂が導入されるが(図3中15)、前記稜線12が下がった側からはスリットが封鎖された状態となり樹脂は導入されない。かくして各スリットごとに樹脂AまたはBが選択的に導入されるので、積層構造を有する樹脂の流れがスリット部材3,5中に形成され、当該部材3,5の下方の流出口11より流出する。
スリットの形状としては、樹脂が導入される側のスリット面積と樹脂が導入されない側のスリット面積が同一ではないことが好ましい。さらには、(樹脂が導入されない側のスリット面積)/(樹脂が導入される側のスリット面積)が20%以上90%以下であることが好ましい。より好ましくは50%以下である。また、スリット長(図1中Z方向スリット長さの内、長い方)を100mm以上とすることが好ましい。
次に、樹脂Aの厚みが表面側から中心部にむかうにつれ、徐々に増加するのに対し、樹脂Bの厚みが表面側から中心部にむかうにつれ、徐々に減少する層構成を形成するための方法を例示する。この場合、図1のスリット部材3における樹脂Aが供給されるスリットは、スリットの間隙または長さが紙面左から右にむかうにつれ、広くなるまたは短くなるとともに、スリット部材5における樹脂Aが供給されるスリットは、スリットの間隙または長さが紙面右から左にむかうにつれ、広くなるまたは短くなるものである。一方、スリット部材3における樹脂Bが供給されるスリットは、スリットの間隙または長さが紙面左から右にむかうにつれ、狭くなるまたは長くなるとともに、スリット部材5における樹脂Aが供給されるスリットは、スリットの間隙または長さが紙面右から左にむかうにつれ、狭くなるまたは長くなるものである。本発明では、各層の厚みはスリットの間隙で調整する方が好ましい。本発明では、隣接する層の厚みの比の最大値が5以上であることが好ましいが、この場合、スリット長さで各層の厚みを調整すると、スリットの長さを5倍以上変化させる必要があり、高い積層精度を維持することが難しいためである。
また、第一積層装置内部に各スリットに対応したマニホールドを有していることも好ましい。マニホールドにより、スリット内部での幅方向(図1中Y方向)の流速分布が均一化するため、積層されたフィルムの幅方向の積層比率を均一化することができ、大面積のフィルムでも精度良く屈折率を制御することができる。
次に、第二積層装置にて、層厚み15ミクロン以上となる樹脂Aを主成分とする層を形成する流れと、第一積層装置にて形成した多層流れとの合流装置を、図4に示す。この合流装置を、第二積層装置(図4中の16)と称する。まず、第一積層装置では、スリット部材3,5の下方の流出口11は、2者の樹脂流れの積層構造が並列となる位置関係で配置され、また、樹脂導入部材4によって互いに隔てられている。第一積層装置で形成された2者の多層流れは、それぞれ図4中第二積層装置の17L、19Lに分配される。また、18Lには、別の供給手段によって供給された樹脂Aもしくは、第一積層装置に供給される前にあらかじめ必要な流量となるように分割された別の樹脂Aを供給する。
そこで、中L−L’からM−M’にかけてのような、流路の規制による配置の転換が行われ(図4中17M,18M,19M)、3者の樹脂流れの積層構造も直列となる。当該樹脂流れは図4中M−M’からN−N’にかけて拡幅され、図4中N−N’より下流にて合流する。この際、17Lおよび19Lの流量に比較して、18Lの流量は非常に大きいため、最終的に合流する前のN−N’では、流速差が0.5倍以上3倍以下になるように流路の形状を設計することが必要である。このような第二積層装置での合流方法とすることにより、従来の積層装置では困難であった流量比の大きな積層を可能とするものである。
また、第二積層装置のかわりに、マルチマニホールドダイを用いてもよい。この場合も、
中心の樹脂Aを主成分とする厚い層は、別の供給手段によって樹脂Aを供給するか、もしくは、第一積層装置に供給される前にあらかじめ必要な流量となるように分割された別の樹脂Aを供給することが好ましい。また、ダイ内での合流前の流速差が0.5倍以上3倍以下となるようにダイ形状を設計することが好ましい。
かくして形成された多層流れは、ダイから吐出され、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムとなる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、タッチロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂の過半量がポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂の過半量がポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。より好ましくは、樹脂Bの融点以上樹脂Aの融点以下で熱処理を行う。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃でオストワルド粘度計を用いて溶液粘度を測定し、当該溶液粘度から、算出した。固有粘度の単位は[dl/g]で示される。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(2)樹脂の屈折率
積層フィルムの構成に供給したものと同一組成の樹脂について、JIS K7142(1996)A法に従って測定した。なお、この際、樹脂は一旦加熱溶融した後、室温まで急冷したシートサンプルについて測定を行った。
(3)層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を3000〜200000倍に拡大観察し、断面写真を撮影し、当該断面写真より層厚みおよび積層数を測定した。なお、層構成を明確にするためにRuO4染色法にて染色を行い、異なる樹脂層同士の染め分けを行った。
(4)フィルム表面屈折率
ビームプロファイル反射率測定法にて、積層フィルム表面の屈折率を計測した。測定条件を以下に記す。
装置:サーマウェーブ社製 高精度膜厚計Opti−Probe2000
測定波長:675nm
ビームスポット:1μm
ステージ精度:±0.2μm
検出器:アレイディテクター
測定:ライン測定(100ミクロン)にて、長手方向屈折率および幅方向屈折率を測定した。各方向の屈折率は、ライン測定の平均値を採用した。
(5)全光線透過率
直読式ヘイズメーター HGM−2DP(C光源用)(スガ試験機器製作所)を用いてJIS K7105 A法(1981)に従って、測定した。n数は3回とし、その平均値を採用した。
(6)耐剥離性
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。
(7)ヤング率
測定は、ASTM試験方法D882−88に準じて行った。インストロンタイプの引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”)を用い、幅10mmの試料フィルムを、試長間100mm、引張り速度200mm/分の条件で測定した。n数は5回とし、その平均値を採用した。また、評価結果については、長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の平均値で示した。
(8)リップル値
ハードコート層を形成したフィルムについて、リップル値を以下の方法にて測定した。日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)に平行光線透過セルを用いて透過率を測定した。なお、サンプルは長手方向が上下方向になるようにセットし、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、300nm〜800nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。リップル値は、波長500〜600の区間における最大値と最小値の差とした。なお、リップル値が大きいほど干渉縞がはっきりと見えるようになる。
(実施例1)
1.ポリエステル1の合成
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとし、ポリエステル1を得た。
得られたポリエステル1の固有粘度は0.78であった。このポリエステル1のジカルボン酸成分は、テレフタル酸が80mol%であり、シクロヘキサンジカルボン酸が20mol%であった。また、ポリエステル1のジオール成分は、エチレングリコールが85mol%であり、スピログリコールが15mol%であった。
2.ポリエステル2の合成
同様にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部用いる以外は前記と同様にしてポリエステル2(ポリエチレンテレフタレート)を重合した。得られたポリエステル2の固有粘度は0.65でありTgは80℃であった。
3.積層フィルムの製膜
樹脂A、樹脂Bとして、
樹脂A:ポリエステル2
樹脂B:ポリエステル1を用いた。
これら樹脂A、Bをそれぞれ乾燥した後、押出機1および押出機2に別個に供給し、280℃の溶融状態とした。
溶融した樹脂A,Bは、それぞれギヤポンプおよびフィルタを経た後、100個のスリットを有するスリット部が2つある図1のごとき積層装置1に供給した。当該樹脂A,Bは、スリット部材にて各層の厚みが表層側から中央側に向かうにつれ徐々に変化し、樹脂Aが50層、樹脂Bが50層からなる厚み方向に交互に積層された構造(フィルム表面側が樹脂Aとなる)とした。各層の厚みは、積層装置1内のスリットの間隙により調整した。また樹脂A,Bの吐出量は、全体の積層比(=重量比)がX/Y=1になるよう調整した。
また、樹脂Aを乾燥した後、押出機3にも供給し、280℃の溶融状態とした。押出機3にて溶融状態となった樹脂Aは、ギヤポンプおよびフィルタを経た後、積層装置1にて形成された計100層からなる2つの多層流体と、図4のごとき積層装置2で合流せしめた。なお、3者の合流前の平均流速がほぼ等速となる合流部の形状とした。このようにして得られた多層流をコートハンガーダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
このキャストフィルムを、90℃の温度に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸した。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面にアクリル樹脂(メチルメタクリレート/エチレンアクリレート共重合体)/メチロール化メラミン/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる水系塗液を塗布し、易滑・易接着層を形成した。
次いでこの一軸延伸フィルムをテンターに導き、95℃の熱風で予熱後、横方向に4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、つづいて5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。
得られたフィルムの厚みは103μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞はほとんど見えなかった。
(実施例2)
1.ポリエステル3の合成
テレフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールの量比を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル3を重合した。
得られたポリエステル3の固有粘度は0.80であった。このポリエステル1のジカルボン酸成分は、テレフタル酸が40mol%であり、シクロヘキサンジカルボン酸が60mol%であった。また、ポリエステル1のジオール成分は、エチレングリコールが40mol%であり、スピログリコールが60mol%であった。
2.積層フィルムの製膜
樹脂A、樹脂Bとして、
樹脂A:ポリエステル2
樹脂B:ポリエステル3
を用いた以外は、実施例1と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは103μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例3)
6個のスリットを有するスリット部が一つある積層装置1と、積層装置1で形成された多層流と押出機3にて溶融状態となった樹脂Aとを合流する2つの流路からなる積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整し、易滑・易接着層を片面のみに形成した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは16μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、反対の表面側には約16μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ3層存在していた。
さらに、30nm以下の層が6層存在する側の最表面には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、得られたフィルムの易滑・易接着層形成側の面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞はわずかに見られたが、問題とならないレベルであった。
(実施例4)
18個のスリットを有するスリット部が一つある積層装置1と、積層装置1で形成された多層流と押出機3にて溶融状態となった樹脂Aとを合流する2つの流路からなる積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整し、易滑・易接着層を片面のみに形成した以外は、実施例3と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは16μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、反対の表面側には約16μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ9層存在していた。
さらに、30nm以下の層が18層存在する側の最表面には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、得られたフィルムの易滑・易接着層形成側の面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞はほとんど見えなかった。
(実施例5)
1.ポリエステル4
95wt%のポリエステル2と、5wt%のポリエステル3を、二軸押出機にてコンパウンドし、ポリエステル4とした。
2.積層フィルムの製膜
樹脂A、樹脂B、樹脂Cとして、
樹脂A:ポリエステル2
樹脂B:ポリエステル3
樹脂C:ポリエステル4を用いた。
これら樹脂B、Cをそれぞれ乾燥した後、押出機1および押出機2に別個に供給し、280℃の溶融状態とした。
溶融した樹脂B、Cは、それぞれギヤポンプおよびフィルタを経た後、100個のスリットを有するスリット部が2つある図1のごとき積層装置1に供給した。当該樹脂A,Bは、スリット部材内にて各層の厚みが表層側から中央側に向かうにつれ徐々に変化し、樹脂Aが50層、樹脂Bが50層からなる厚み方向に交互に積層された構造(フィルム表面側が樹脂Aとなる)とした。各層の厚みは、積層装置1内のスリットの間隙により調整した。また樹脂A,Bの吐出量は、全体の積層比(=重量比)がX/Y=1になるよう調整した。
また、樹脂Aを乾燥した後、押出機3にも供給し、280℃の溶融状態とした。押出機3にて溶融状態となった樹脂Aは、ギヤポンプおよびフィルタを経た後、積層装置1にて形成された計100層からなる2つの多層流体と、図4のごとき積層装置2で合流せしめた。なお、3者の合流前の平均流速がほぼ等速となる合流部の形状とした。このようにして得られた多層流をコートハンガーダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
このキャストフィルムを、90℃の温度に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸した。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面にアクリル樹脂(メチルメタクリレート/エチレンアクリレート共重合体)/メチロール化メラミン/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる水系塗液を塗布し、易滑・易接着層を形成した。
次いでこの一軸延伸フィルムをテンターに導き、95℃の熱風で予熱後、横方向に4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、つづいて5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。
得られたフィルムの厚みは103μmであった。なお、樹脂Aからなる層が中心部に存在し、その層厚みは100μmであった。また、樹脂Cの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなる層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Cからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。本例のフィルムは、非常に層間密着性に優れ、耐剥離性が特に良好であった。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例6)
スリットの間隙が実施例2の積層装置1とは異なる以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは103μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、3nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから3nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例7)
スリットの間隙が実施例2の積層装置1とは異なる以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは103μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、6nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから6nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表1に示すが、干渉縞はほとんど見えなかった。
(実施例8)
100個のスリットを有するスリット部が一つある積層装置1と、積層装置1で形成された多層流と押出機3にて溶融状態となった樹脂Aとを合流する2つの流路からなる積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整し、易滑・易接着層を片面のみに形成した以外は、実施例3と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは102μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、反対の表面側には約100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ50層存在していた。
さらに、30nm以下の層が100層存在する側の最表面には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの易滑・易接着層形成側の面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例9)
50個のスリットを有するスリット部が2つある積層装置1と、合流部手前の流路断面積を変更した積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは102μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ50層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例10)
24個のスリットを有するスリット部が2つある積層装置1と、合流部手前の流路断面積を変更した積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは101μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ24層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例11)
合流部手前の断面積を変更した積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは53μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には50μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例12)
合流部手前の断面積を変更した積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは191μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には188μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例13)
合流部手前の断面積を変更した積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは253μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には250μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(実施例14)
1.ポリエステル4の合成
ナフタレンジカルボン酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部用いる以外は前記と同様にしてポリエステル4(ポリエチレンナフタレート)を重合した。得られたポリエステル2の固有粘度は0.62でありTgは120℃であった。
2.積層フィルムの製膜
樹脂A、樹脂Bとして、
樹脂A:ポリエステル4
樹脂B:ポリエステル3
を用い、縦延伸倍率を4.1倍とし、横延伸倍率を4.9倍とした以外は、実施例1と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは103μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ100層存在していた。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表2に示すが、干渉縞は見えなかった。
(比較例1)
積層装置を用いずに、ポリエステル2からなる単層フィルムを、実施例2と同様の製膜条件にて製膜した。
得られたフィルムの厚みは、100μmであった。最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表3に示すが、干渉縞がはっきりと見えた。
(比較例2)
3層の一般的なフィードブロックを用い、ポリエステル2とポリエステル3からなる2層フィルムを、実施例2と同様の製膜条件にて製膜した。
得られたフィルムは厚みが100μmであり、両表面側にポリエステル3からなる10μmの層を有し、中心部にポリエステル2からなる80μmの層を有していた。また、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表3に示すが、干渉縞がはっきりと見えた。
(比較例3)
合流部手前の断面積を変更した積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは118μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、31nmから150nmに徐々に厚くなり、最中心部には100μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、150nmから31nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層は、存在しなかった。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
また、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表3に示すが、干渉反射が生じ、緑色の反射色を示すフィルムとなった。
(比較例4)
4個のスリットを有するスリット部が一つある積層装置1と、積層装置1で形成された多層流と押出機3にて溶融状態となった樹脂Aとを合流する2つの流路からなる積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整し、易滑・易接着層を片面のみに形成した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは16μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなり、反対の表面側には約16μmの層が1層存在する層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは片側の表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層がそれぞれ2層存在していた。
さらに、30nm以下の層が4層存在する側の最表面には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
また、得られたフィルムの易滑・易接着層形成側の面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表3に示すが、干渉縞がはっきりと見えた。
(比較例5)
267個のスリットを有するスリット部が3つある積層装置1と、積層装置1で形成された3つの多層中を合流せしめる積層装置2を用い、各押出機およびギヤポンプの吐出量を調整した以外は、実施例2と同様に製膜した。
得られたフィルムの厚みは16μmであった。なお、樹脂Aの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、1nmから30nmに徐々に厚くなる層構成であった。一方、樹脂Bの層厚みは両表面から中央部に向かうにつれ、30nmから1nmに徐々に薄くなる層構成であった。また、層厚み30nm以下の樹脂Aからなる層と、層厚み30nm以下の樹脂Bからなる層は、それぞれ401層と400層が存在していたが、層厚み15μm以上の樹脂Aからなる層は存在しなかった。
さらに、最表層には易滑・易接着層が存在し、その厚みは80nmであり、易滑・易接着層を形成する組成の屈折率は1.52であった。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。表1に示すとおり、ヤング率が低くなり、剛性不足となった。また、耐熱性も不足しており、80℃以上での使用は困難であった。
次に、得られたフィルムの片面に、光硬化性アクリル樹脂からなる屈折率1.52のハードコート層をその層厚みが5μmとなるように形成した。このハードコートフィルムのリップル値を表3に示すが、干渉縞は見えなかった。
Figure 2007203687
Figure 2007203687
Figure 2007203687
本発明は、各種ディスプレイに用いられる反射防止フィルム、ハードコートフィルム、拡散フィルム、異方拡散フィルム、近赤外線カットフィルム、電磁波カットフィルム、色補正フィルム、集光フィルムなどの基材フィルムとして好適であるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
積層装置1およびその構成部品 スリット部 スリット部と樹脂供給部とを連結した状態の断面図 積層装置2
符号の説明
1: 側板
2: 樹脂B供給部
3: スリット部
3a、3b: スリット
4: 樹脂A供給部
5: スリット部
6: 樹脂B供給部
7: 側板
8: 積層装置1
9: 導入口
10: 液溜部
11: 流出口
12: スリット稜線
13: 上端部
14: 下端部
15: 流体流れ方向
17: 積層装置2

Claims (10)

  1. 層厚みが15μm以上の樹脂Aを主成分とする層を1層以上含んでなり、層厚みが30nm以下の樹脂Bを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなることを特徴とする積層フィルム。
  2. 層厚みが30nm以下の樹脂Aを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Aを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 層厚みが30nm以下の樹脂Cを主成分とする層を3層以上含み、かつ表面から内部に向かうにつれ、樹脂Cを主成分とする層の厚みが減少または増加する層構成を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 表面から内部に向かうにつれ、樹脂Bを主成分とする層の厚みが減少し、かつ樹脂Aまたは樹脂Cを主成分とする層の厚みが増加する層構成を含んでなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 樹脂Aの屈折率と樹脂Bの屈折率との差の絶対値が0.03以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bまたは樹脂Cが脂肪族ジカルボン酸成分および/または脂環族ジカルボン酸成分を有するポリエステルであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 全光線透過率が91%以上99.9%以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 少なくとも片面の長手方向または幅方向の屈折率が、1.47以上1.55以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 易接着層を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. ハードコート層を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の積層フィルム。
JP2006027942A 2006-02-06 2006-02-06 積層フィルム Expired - Fee Related JP4983031B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006027942A JP4983031B2 (ja) 2006-02-06 2006-02-06 積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006027942A JP4983031B2 (ja) 2006-02-06 2006-02-06 積層フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007203687A true JP2007203687A (ja) 2007-08-16
JP4983031B2 JP4983031B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=38483552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006027942A Expired - Fee Related JP4983031B2 (ja) 2006-02-06 2006-02-06 積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4983031B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001347625A (ja) * 2000-04-03 2001-12-18 Toray Ind Inc 積層フィルム
JP2002509043A (ja) * 1998-01-13 2002-03-26 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー 変性コポリエステルおよび改善された多層反射フィルム
JP2004122764A (ja) * 2002-08-08 2004-04-22 Toray Ind Inc 積層フィルムおよび包装フィルム
WO2004108408A1 (ja) * 2003-06-04 2004-12-16 Toray Industries, Inc. 積層フィルムおよび二軸配向ポリエステルフィルム
JP2005099675A (ja) * 2003-08-21 2005-04-14 Sony Corp 塗布型光学積層膜、光学多層膜及び反射スクリーン
WO2005037544A1 (ja) * 2003-10-14 2005-04-28 Toray Industries, Inc. 積層フィルム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002509043A (ja) * 1998-01-13 2002-03-26 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー 変性コポリエステルおよび改善された多層反射フィルム
JP2001347625A (ja) * 2000-04-03 2001-12-18 Toray Ind Inc 積層フィルム
JP2004122764A (ja) * 2002-08-08 2004-04-22 Toray Ind Inc 積層フィルムおよび包装フィルム
WO2004108408A1 (ja) * 2003-06-04 2004-12-16 Toray Industries, Inc. 積層フィルムおよび二軸配向ポリエステルフィルム
JP2005099675A (ja) * 2003-08-21 2005-04-14 Sony Corp 塗布型光学積層膜、光学多層膜及び反射スクリーン
WO2005037544A1 (ja) * 2003-10-14 2005-04-28 Toray Industries, Inc. 積層フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP4983031B2 (ja) 2012-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4816419B2 (ja) 積層フィルム
JP6361400B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルム、それを用いた偏光板、液晶ディスプレイ
CN102869503B (zh) 纹理膜及其制造方法
TWI733848B (zh) 薄膜及積層體
CN110023076B (zh) 多层层叠膜和使用其的加工品
JP4899913B2 (ja) 積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム
WO2015129500A1 (ja) 積層フィルム
JP4730098B2 (ja) 積層フィルム
JP7392344B2 (ja) 多層積層フィルム
JP2012088613A (ja) 1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなる1軸延伸多層積層フィルム積層体
JP4983031B2 (ja) 積層フィルム
JP4967486B2 (ja) 延伸フィルムならびにその成型品
WO2016140103A1 (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP2021143308A (ja) 熱可塑性樹脂フィルム
JP4665421B2 (ja) 積層フィルム
JP2019155684A (ja) 積層フィルム
JP6172027B2 (ja) ディスプレイ用フィルム
KR102488716B1 (ko) 직하형 면광원용 백색 반사 필름 및 그것을 사용한 직하형 면광원
JP2007210142A (ja) 積層フィルムおよび成形体またはカード
JP2019014836A (ja) フィルム
JP2017043083A (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP2010191112A (ja) 反射シート
JP2017177350A (ja) 積層フィルム
JP2008068521A (ja) 積層フィルムおよびフィードブロック
JP2016153224A (ja) 二軸延伸積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120327

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120409

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4983031

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees