JP2017157529A - 電極複合体、電極複合体の製造方法、正極活物質層およびリチウム電池 - Google Patents

電極複合体、電極複合体の製造方法、正極活物質層およびリチウム電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体を提供する。【解決手段】集電体と、集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備えた電極複合体であって、正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体。【選択図】図2

Description

本発明は、電極複合体、電極複合体の製造方法、正極活物質層およびリチウム電池に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源として、リチウム電池(一次電池及び二次電池を含む)が利用されている。このようなリチウム電池のうち、高エネルギー密度と安全性を両立したリチウム電池として、正・負極間のリチウムイオンの伝導に固体電解質を用いた全固体型リチウム電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
リチウム電池としたときに高出力および大容量化を可能にする電極複合体の形成方法の一つとして、活物質成形体の空隙に固体電解質を充填する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法によれば、多孔質の活物質成形体に固体電解質の前駆体を含む溶液(以下、「前駆体を含む溶液」を単に「前駆体溶液」ということがある。)を含浸後、熱処理することにより活物質成形体の空隙に固体電解質を充填することができる。このとき、活物質成形体と集電体との接続部にも前駆体溶液が回り込むため、そのままでは電気的な接続を確保することができない。そのため、活物質成形体の空隙に固体電解質を充填後、上記の接続部を研磨し、活物質成形体を露出させる必要があった。
特開2009−215130号公報 特開2015−144061号公報
しかしながら、上記の接続部を研磨する際にクラック等が生じるおそれがあった。これにより、電極複合体の歩留まりが低下したり、リチウム電池としたときに所望の性能が安定して得られなくなったりするおそれがあった。
本発明の一態様はこのような事情に鑑みてなされたものであって、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体を提供することを目的とする。
また、本発明の一態様は、このような電極複合体が得られ、歩留まりが良好な電極複合体の製造方法を提供することを合わせて目的とする。
さらに、本発明の一態様は、このような電極複合体に含まれ、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた正極活物質層を提供することを合わせて目的とする。
さらに、このような電極複合体を有し、高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れたリチウム電池を提供することを合わせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、集電体と、集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備えた電極複合体であって、正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体を提供する。
この構成によれば、空隙率の高い層側から空隙率の低い層側に向けて固体電解質の前駆体溶液を充填する場合、その前駆体溶液は空隙率の高い層においては含浸しやすいので、空隙率の高い層に十分な量の固体電解質を形成することができる。
一方、固体電解質の前駆体溶液は、空隙率の低い層においては含浸しにくくなる。これにより、例えば空隙率の低い層側に集電体を形成する場合、空隙率の低い層側の表面と集電体との接続部に対する固体電解質の前駆体溶液の回り込みを低減することができる。そのため、集電体を形成する前の研磨工程を省略してもよく、研磨に起因するクラック等を低減できる。
以上の作用により、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体が得られる。
本発明の一態様においては、第1活物質層の空隙率が0%以上10%未満であり、第2活物質層の空隙率が10%以上60%未満である構成としてもよい。
この構成によれば、空隙率の高い第2活物質層側から固体電解質の前駆体溶液を充填すればよい。第2活物質層は十分な量の空隙を有しているので、第2活物質層に十分な量の固体電解質を形成することができる。これにより、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能となる。
一方、第1活物質層は空隙が十分に少ないので、正極活物質層と集電体との接続部に対する前駆体溶液の回り込みを低減することができる。そのため、集電体を形成する前の研磨工程を省略してもよく、研磨に起因するクラック等を低減できる。
以上の作用により、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体が得られる。
本発明の一態様においては、第1活物質層の厚みは、前記第2活物質層の厚みの1/20以上1/5以下である構成としてもよい。
この構成によれば、第1活物質層は十分な厚みを有しているので、正極活物質層と集電体との接続部に対する前駆体溶液の回り込みを低減することができる。そのため、集電体を形成する前の研磨工程を省略してもよく、研磨に起因するクラック等を低減できる。
また、第2活物質層は十分な厚みを有しているので、十分な量の固体電解質を形成することができ、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能となる。
以上の作用により、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体が得られる。
本発明の一態様においては、第1活物質層を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が100nm以上5μm未満であり、第2活物質層を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が5μm以上100μm以下である構成としてもよい。
この構成によれば、第1活物質層および第2活物質層の空隙率を好適な範囲に調整することができる。これにより、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体が得られる。
本発明の一態様においては、第1活物質層および前記第2活物質層は、いずれも第1活物質粒子群のみで形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、正極活物質層の形成材料として粒径が異なる2種類の粒子を用意する必要がないので、手間やコストがかからない。
本発明の一態様においては、第1活物質層および第2活物質層は、いずれも第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を含み、第1活物質層は、第1活物質粒子群を主体として形成され、第2活物質層は、第2活物質粒子群を主体として形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、互いに空隙率の異なる2層構造を有する正極活物質層を容易に形成することができる。
本発明の一態様においては、第1活物質層は、第1活物質粒子群のみで形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、第1活物質層の空隙率が好適な範囲となるため、リチウム電池としたときの信頼性に優れた電極複合体が得られる。
本発明の一態様においては、固体電解質は、第2活物質層には厚さ方向の全体にわたって含浸され、第1活物質層には厚さ方向の一部にのみ含浸されている構成としてもよい。
この構成によれば、正極活物質層の空隙に十分な量の固体電解質を形成することができるので、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能な電極複合体が得られる。また、第1活物質層には厚さ方向の一部にのみ含浸されているので、正極活物質層と集電体の接続部の電気的な接続を確保することができる。そのため、集電体を形成する前の研磨工程を省略することができ、研磨に起因するクラック等の発生が少なく、リチウム電池としたときの信頼性に優れた電極複合体が得られる。
本発明の一態様は、粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層であって、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された、正極活物質層を提供する。
この構成によれば、上述の電極複合体に含まれ、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた正極活物質層が得られる。
本発明の一態様は、集電体と、集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備え、正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体の製造方法であって、第1活物質粒子群を含む第1膜を形成する工程と、第1膜上に、第1活物質粒子群よりも大きい平均粒径を有する第2活物質粒子群を含む第2膜を形成する工程と、第1膜と第2膜の積層体を熱処理して正極活物質層を形成する工程と、正極活物質層の第2活物質層側から固体電解質の前駆体溶液を含浸させる工程と、
前駆体溶液を加熱して固体電解質を形成する工程と、正極活物質層の第1活物質層側に集電体を形成する工程と、を含む電極複合体の製造方法を提供する。
従来知られた、多孔質の正極活物質層においては、空隙率の調整に造孔材が用いられている。この方法によれば、造孔材を用いずに、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された正極活物質層を容易に製造することができる。
また、第2活物質層側から第1活物質層側に向けて固体電解質の前駆体溶液を充填する場合、その前駆体溶液は空隙率の高い第2活物質層においては含浸しやすいので、第2活物質層に十分な量の固体電解質を形成することができる。
一方、固体電解質の前駆体溶液は、空隙率の低い第1活物質層においては含浸しにくくなる。これにより、第1活物質層側に集電体を形成する場合、正極活物質層と集電体との接続部に対する固体電解質の前駆体溶液の回り込みを低減することができる。そのため、集電体を形成する前の研磨工程を省略してもよく、研磨に起因するクラック等を低減できる。
以上の作用により、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体が得られる。また、このような電極複合体が得られ、歩留まりが良好な電極複合体の製造方法が得られる。
本発明の一態様は、集電体と、集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備え、正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体の製造方法であって、第1活物質粒子群を含む第1膜を形成する工程と、第1膜上に、第1活物質粒子群と造孔材を含む液体を塗布して第2膜を形成する工程と、第1膜と第2膜の積層体を熱処理して正極活物質層を形成する工程と、正極活物質層の第2活物質層側から固体電解質の前駆体溶液を含浸させる工程と、前駆体溶液を加熱して前記固体電解質を形成する工程と、正極活物質層の第1活物質層側に集電体を形成する工程と、を含む電極複合体の製造方法。
この方法によれば、正極活物質層の形成材料として粒径が異なる2種類の粒子を用意する必要がないので、手間やコストがかからない。つまり、互いに空隙率の異なる2層構造の正極活物質層を備えた電極複合体を容易に製造することができる。
本発明の一態様は、集電体と、集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備え、正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体の製造方法であって、第1活物質粒子群と、第1活物質粒子群よりも大きい平均粒径を有する第2活物質粒子群とを混合して混合物を得る工程と、混合物をタッピング処理する工程と、タッピング処理後の混合物を熱処理して正極活物質層を形成する工程と、正極活物質層の第2活物質層側から固体電解質の前駆体溶液を含浸させる工程と、前駆体溶液を加熱して固体電解質を形成する工程と、正極活物質層の第1活物質層側に集電体を形成する工程と、を含む電極複合体の製造方法を提供する。
この方法によれば、粒子状の正極活物質を含む液体を調製することなく、互いに空隙率の異なる2層構造の正極活物質層を備えた電極複合体を容易に製造することができる。
本発明の一態様においては、第1活物質粒子群は、粒径100nm以上5μm未満の範囲に分布のピークを有し、第2活物質粒子群は、粒径5μm以上100μm未満の範囲に分布のピークを有する方法としてもよい。
この方法によれば、第1活物質層および第2活物質層の空隙率を好適な範囲に調整することができる。これにより、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れた電極複合体が得られる。また、得られる電極複合体は、集電体を形成する前の研磨工程を省略することができるため、クラック等の発生が少なく、歩留まりが良好な電極複合体の製造方法が得られる。
本発明の一態様は、上述の電極複合体と、負極と、を有するリチウム電池を提供する。
この構成によれば、上述の電極複合体を有しているので、高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れたリチウム電池が得られる。
第1実施形態のリチウム電池を模式的に示す断面図である。 第1実施形態の電極複合体を模式的に示す断面図である。 第1実施形態に係る電極複合体の製造方法を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る正極活物質層の形成工程S1を示すフローチャートである。 第1実施形態の第1膜形成工程S11を示す工程図である。 第1実施形態の第2膜形成工程S12を示す工程図である。 第1実施形態の熱処理工程S13を示す工程図である。 第1実施形態に係る固体電解質の形成工程S2を示すフローチャートである。 第2実施形態の電極複合体を模式的に示す断面図である。 第3実施形態の電極複合体を模式的に示す断面図である。 第3実施形態に係る正極活物質層の形成工程を示すフローチャートである。
<第1実施形態>
[リチウム電池]
以下、図1および図2を参照しながら、第1実施形態のリチウム電池ついて説明する。図1は、第1実施形態のリチウム電池を模式的に示す断面図である。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1に示すリチウム電池1000は、正極10と、固体電解質層20と、負極30とを備えている。正極10は、正極集電体11と、正極活物質層12とを備えている。負極30は、負極集電体31と、負極活物質層32とを備えている。正極集電体11と、正極活物質層12と、固体電解質層20と、を合わせた構成を電極複合体100と称する。なお、本実施形態の正極集電体11は、特許請求の範囲における集電体に相当する。
正極集電体11は、正極活物質層12の一方の面12aに設けられている。正極集電体11の形成材料としては、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、この群から選ばれる2種以上の金属元素を含む合金等が挙げられる。
正極集電体11の形状は、板状、箔状、網状等を採用することができる。正極集電体11の表面は、平滑であってもよく、凹凸が形成されていてもよい。
図2は、本実施形態の電極複合体100を模式的に示す断面図である。
正極活物質層12は、粒子状の正極活物質を含む多孔質の成形体である。図2に示すように、正極活物質層12は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層L1と第2活物質層L2とが積層された構成を有している。正極活物質層12の空隙には、固体電解質層20を構成する固体電解質14の一部が含浸されている。
ここで、正極活物質層12の空隙率は、(1)正極活物質層12の外形寸法から得られる、空隙を含めた正極活物質層12の体積(見かけ体積)と、(2)正極活物質層12の質量と、(3)正極活物質層12を構成する粒子状の正極活物質の密度と、から式(S1)に基づいて算出することができる。
Figure 2017157529
通常、正極活物質層の空隙に固体電解質を形成する方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、固体電解質の前駆体を含む溶液(以下、「前駆体を含む溶液」を単に「前駆体溶液」ということがある。)を調製する。次に、得られた固体電解質の前駆体溶液を、正極活物質層の一面に塗布または滴下することにより、正極活物質層の空隙に含浸させる。しかしながら、この方法では、正極活物質層と正極集電体との接続部となる面にも固体電解質の前駆体溶液が回り込み、正極活物質層の表面が固体電解質にほぼ覆われてしまう。この状態では、正極活物質層と正極集電体との電気的な接続を確保することができない。そのため、正極活物質層の空隙に固体電解質を形成後、一方の面を研磨し、正極活物質層を露出させる必要があった。
これに対し、本実施形態の正極活物質層12によれば、正極集電体11を形成する前の研磨工程を省略してもよく、研磨に起因するクラック等を低減できる。具体的には、空隙率の高い層側から空隙率の低い層側に向けて固体電解質14の前駆体溶液を含浸させる場合、その前駆体溶液は、空隙率の高い層においては含浸しやすいが、空隙率の低い層においては含浸しにくくなる。これにより、例えば空隙率の低い層の一方の面に正極集電体11を形成する場合、空隙率の低い層の一方の面と正極集電体との接続部に対する固体電解質14の前駆体溶液の回り込みを低減することができる。そのため、空隙率の低い層の一方の面においては正極活物質層12が露出した状態を維持できるので、表面を研磨しなくとも正極活物質層12と正極集電体11とを電気的に接続することができる。
一方、空隙率の高い層では十分に固体電解質14の前駆体溶液を含浸させることができるので、空隙率の高い層に十分な量の固体電解質14を形成することができる。これにより、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能となる。
第1活物質層L1の空隙率が0%以上10%未満であることが好ましい。第1活物質層L1の空隙率がこのような範囲であると、第1活物質層L1は空隙が十分に少ないので、固体電解質14の前駆体溶液が含浸しにくくなる。そのため、第1活物質層L1の一方の面に対する固体電解質14の前駆体溶液の回り込みを低減することができる。これにより、第1活物質層L1の一方の面においては正極活物質層12が露出した状態を維持できるので、正極活物質層12と正極集電体11とを電気的に接続することができる。そのため、正極集電体11を形成する前の研磨工程を省略してもよく、研磨に起因するクラック等を低減できる。
図1に示すように第1活物質層L1は、正極活物質層12において、正極集電体11に最も近い側に位置しており、正極集電体11と電気的に接続することができる。
第2活物質層L2の空隙率が10%以上60%未満であることが好ましい。すなわち、正極活物質層12において、第2活物質層L2は、第1活物質層L1と比べて空隙率が大きくなるように構成されている。つまり、第2活物質層L2側から第1活物質層L1に向けて固体電解質14の前駆体溶液を含浸させれば、正極活物質層12の空隙に固体電解質14を容易に形成することができる。
第2活物質層L2の空隙率がこのような範囲であると、第2活物質層L2は十分な量の空隙を有しているので、第2活物質層L2に対して固体電解質14の前駆体溶液を十分に含浸させることができる。そのため、第2活物質層L2に十分な量の固体電解質14を形成することができる。
また、第2活物質層L2と固体電解質14との接触面積を十分に大きくすることができる。これにより、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能となる。
正極活物質層12の厚みは、50μm以上300μm以下であることが好ましい。第1活物質層L1の厚みは、第2活物質層L2の厚みの1/20以上1/5以下であることが好ましい。
第1活物質層L1の厚みが上述の範囲であることにより、第1活物質層L1の厚みは十分な厚みを有しているので、正極活物質層12の一方の面12aに対する固体電解質14の前駆体溶液の回り込みを低減することができる。しかしながら、第1活物質層L1の厚みが1/20未満であると、正極活物質層12の一方の面12aに対して固体電解質14の前駆体溶液が回り込むおそれがある。そのため、正極活物質層12と正極集電体11との電気的な接続を確保するために、正極集電体11を形成する前の研磨工程が必要となり、この工程時にクラック等が発生するおそれがある。
また、第1活物質層L1の厚みが上述の範囲であることにより、第2活物質層L2は十分な厚みを有しているので、十分な量の固体電解質14を形成することができる。しかしながら、第1活物質層L1の厚みが1/5を超えると、相対的に第2活物質層L2の厚みが小さくなるので、正極活物質層12の空隙に十分な量の固体電解質14を形成することができない。これにより、リチウム電池としたときに高出力や大容量化が困難になるおそれがある。
正極活物質層12を構成する粒子状の正極活物質としては、リチウム電池の正極活物質として通常知られている物質を用いることができる。このような正極活物質としては、例えばリチウム複酸化物が挙げられる。
ここで、「リチウム複酸化物」とは、リチウムを必ず含み、且つ全体として2種以上の金属イオンを含む酸化物であって、オキソ酸イオンの存在が認められないものを指す。
このようなリチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMn、LiFePO、LiFeP、LiMnPO、LiFeBO、Li(PO、LiCuO、LiFeF、LiFeSiO、LiMnSiO等が挙げられる。また、本明細書においては、これらのリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。
第1活物質層L1を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が100nm以上5μm未満であることが好ましい。また、第2活物質層L2を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が5μm以上100μm以下であることが好ましい。正極活物質層12が、互いに異なる平均粒径を有する2種類の粒子状の正極活物質で構成されていることにより、正極活物質層12を互いに異なる空隙率を有する2層構造とすることが容易である。
なお、第1活物質層L1を構成する粒子状の正極活物質および第2活物質層L2を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径は、第1活物質層L1および第2活物質層L2の厚み比が上述の範囲になるように適宜決定することができる。
ここで、粒子状の正極活物質の平均粒径は、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、まず、走査型電子顕微鏡を用いて正極活物質層12の断面の画像を得る。次に、この画像上で、粒子状の正極活物質における粒径を所定の個数ランダムに測定する。得られた粒径の測定値を平均した値を、粒子状の正極活物質の平均粒径とする。
第1活物質層L1を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が上述の範囲であると、第1活物質層L1の空隙率を0%以上10%未満に調整することができる。第1活物質層L1を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が100nm未満であると、製造工程において、第1活物質層L1を安定して得ることができない。
一方、第1活物質層L1を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が5μm以上であると、得られる第1活物質層L1の空隙が大きくなりすぎるので、正極活物質層12の一方の面12aに対して固体電解質14の前駆体溶液が回り込むおそれがある。そのため、正極活物質層12と正極集電体11との電気的な接続を確保するために、正極集電体11を形成する前の研磨工程が必要となり、研磨に起因するクラック等が発生するおそれがある。
第2活物質層L2を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が上述の範囲であると、第2活物質層L2の空隙率を10%以上60%未満に調整することができる。第2活物質層L2を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が5μm未満であると、得られる第2活物質層L2における空隙が微小なものになりやすく、固体電解質14の前駆体溶液を含浸させることが困難となる。その結果、第2活物質層L2に十分な量の固体電解質14を形成しにくくなる。
一方、第2活物質層L2を構成する粒子状の正極活物質の平均粒径が100μm以上であると、製造工程において、第2活物質層L2を安定して得ることができない。また、第2活物質粒子群12Bを安定して得られたとしても、形成された第2活物質層L2の単位質量当たりの表面積である比表面積が小さくなり、第2活物質層L2と固体電解質14との接触面積が小さくなる。さらに、粒子状の正極活物質内から固体電解質14までのイオン拡散距離が長くなる。そのため、粒子状の正極活物質における電池反応への寄与が少なくなり、リチウム電池としたときに所望の出力や所望の容量が得られないおそれがある。
正極活物質層12は、第1活物質粒子群12Aおよび第2活物質粒子群12Bにより形成されている。正極活物質層12において、第1活物質層L1は第1活物質粒子群12Aのみで形成されている。
なお、本実施形態の正極活物質層12は、形成材料として造孔材をさらに含んでもよい。ここで、造孔材とは、熱処理において熱分解または燃焼することで造孔材の位置に空隙を形成することができる材料であり、例えば高分子化合物や炭素粉末を形成材料とする。このような造孔材を用いることにより、最終的な正極活物質層12の空隙率をコントロールすることができる。
このような造孔材の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、造孔材の平均粒径は、粒子状の正極活物質の平均粒径と同様の方法で測定することができる。
さらに、粒子状の正極活物質がリチウム複酸化物である場合、造孔材は潮解性を示す物質で形成された粒子を含んでもよい。この粒子が潮解することにより生じる水が、粒子状のリチウム複酸化物をつなぎ合わせるバインダーとして機能することができる。したがって、例えば粒子状の正極活物質を成形してから熱処理するまでの間、成形体の形状を維持することができる。
リチウム電池1000の出力を大きくする観点から、正極活物質層12の抵抗率は、700Ω/cm以下であることが好ましい。
ここで、抵抗率は、例えば直流分極測定により得ることができる。直流分極測定においては、例えば正極活物質層12の表面に銅箔を貼り付け、この銅箔を負極として用いる。
固体電解質14は、第2活物質層L2には厚さ方向の全体にわたって含浸され、第1活物質層L1には厚さ方向の一部にのみ含浸されていることが好ましい。これにより、正極活物質層12の空隙に十分な量の固体電解質14を形成することができる。
また、第1活物質層L1には厚さ方向の一部にのみ含浸されているので、正極活物質層12と正極集電体11の接続部の電気的な接続を確保することができる。そのため、正極集電体11を形成する前の研磨工程を省略することができ、研磨に起因するクラック等の発生が少ない。
固体電解質14は、第1電解質14Aと、第2電解質14Bとを含むことが好ましい。
第1電解質14Aの形成材料として、例えば酸化物、硫化物、ハロゲン化物または窒化物が用いられる。このような形成材料としては、SiO−P−LiO、SiO−P−LiCl、LiO−LiCl−B、Li3.40.6Si0.4、Li14ZnGe16、Li3.60.4Ge0.6、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO、Li2.88PO3.730.14、LiNbO、Li0.35La0.55TiO、LiLaZr12、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−P、LiPON、LiN、LiI、LiI−CaI、LiI−CaO、LiAlCl、LiAlF、LiI−Al、LiF−Al、LiBr−Al、LiO−TiO、La−LiO−TiO、LiN、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiN−LiCl、LiNBr、LiSO、LiSiO、LiPO−LiSiO、LiGeO−LiVO、LiSiO−LiVO、LiGeO−ZnGeO、LiSiO−LiMoO、LiPO−LiSiO、LiSiO−LiZrO等が挙げられる。
本実施形態において、これらの組成物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体も、第1電解質14Aの形成材料として用いることができる。
第1電解質14Aは、結晶質であってもよく、非晶質であってもよい。
第1電解質14Aの総イオン伝導率は、1×10−5S/cm以上であることが好ましい。第1電解質14Aがこのようなイオン伝導率を示すことにより、正極活物質層12の表面から離れた位置の第1電解質14Aに含まれるイオンも、正極活物質層12の表面に達し、正極活物質層12における電池反応に寄与することができる。そのため、リチウム電池としたときの容量を大きくすることができる。
ここで、固体電解質における総イオン伝導率とは、固体電解質自身の伝導率を示すバルク伝導率と、固体電解質が結晶質である場合において、結晶の粒子間における伝導率を示す粒界イオン伝導率と、の総和を表している。
固体電解質における総イオン伝導率は、例えば交流インピーダンス法により測定することができる。測定に使用する試料として、例えば所定の形状に成形した固体電解質の両面に負極を形成したものが用いられる。より具体的には、まず、粉末状の固体電解質を624MPaで錠剤型にプレス成形する。次に、得られたプレス成形体を大気雰囲気下700℃で8時間焼結する。さらに、得られた焼結体の両面に、直径0.5cm、厚み100nmのプラチナ負極をスパッタリングにより形成する。このようにして作製した試料に対してインピーダンス測定装置(例えば、ソーラトロン社製、SI1260)により測定することで、固体電解質における総イオン伝導率を求めることができる。
第2電解質14Bは、第1電解質14Aと比べて、熱処理時の体積収縮が少ない材料であることが好ましい。また、第2電解質14Bの熱処理温度は、第1電解質14Aの熱処理温度と同程度もしくはそれより低いことが好ましい。これにより、熱処理時に、第1電解質14Aと第2電解質14Bとの間における相互拡散を低減することができる。
第2電解質14Bの形成材料として、例えばリチウムイオン伝導性を示し、室温で非晶質(ガラス質、アモルファス)の材料が用いられる。このような形成材料としては、例えばケイ素(Si)またはホウ素(B)を含むリチウム複酸化物が挙げられる。より具体的には、第2電解質14Bは、LiSiOおよびLiSiOの少なくとも一方を含んでもよい。
電極複合体100において、後述する負極活物質層32側は固体電解質14が露出し、正極活物質層12は露出していない。したがって、本実施形態の電極複合体100を用いてリチウム電池1000を形成するときに、正極10と負極30とが接続し、短絡するのを抑制することができる。
固体電解質層20は、第1電解質14Aまたは第2電解質14Bの形成材料として示した材料と、同様の材料から形成されている。固体電解質層20として、第1電解質14Aまたは第2電解質14Bの形成材料を予め薄板状(箔状)に成型したものや、一般にリチウム電池に使用されている市販の固体電解質シートなどが用いられる。
固体電解質層20の厚さは、2mm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
本実施形態の電極複合体100に、固体電解質層20が設けられていることにより、本実施形態の電極複合体100を用いてリチウム電池1000を形成するときに、正極10と負極30とが接続し、短絡するのをより抑制することができる。
正極活物質層12および固体電解質層20の合計の厚さは、リチウム電池1000としたときの所望の容量に応じて適宜決定すればよく、例えば80μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましい。
図1に戻って、負極活物質層32は、電極複合体100における固体電解質層の表面に設けられている。負極活物質層32を構成する粒子状の負極活物質としては、リチウム電池の負極活物質として通常知られている物質を用いることができる。
このような負極活物質としては、例えば、シリコン−マンガン合金(Si−Mn)、シリコン−コバルト合金(Si−Co)、シリコン−ニッケル合金(Si−Ni)、五酸化ニオブ(Nb)、五酸化バナジウム(V)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化ニッケル(NiO)、錫(Sn)が添加された酸化インジウム(ITO)、アルミニウム(Al)が添加された酸化亜鉛(AZO)、ガリウム(Ga)が添加された酸化亜鉛(GZO)、アンチモン(Sb)が添加された酸化スズ(ATO)、フッ素(F)が添加された酸化スズ(FTO)、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質、TiOのアナターゼ相、LiTi12,LiTi等のリチウム複酸化物、Li金属等が挙げられる。
負極集電体31は、負極活物質層32の表面に設けられている。正極集電体11の形成材料として、アルミニウム(Al)を選択する場合、負極集電体31の形成材料としてリチウム(Li)を選択することができる。負極集電体31の形状は、正極集電体の形状と同様の形状を採用することができる。
なお、本実施形態では、正極集電体11に最も近い側に第1活物質層L1が形成されている限り、第2活物質層L2の他に第1活物質層L1および第2活物質層L2とは異なる空隙率を有する層をさらに有していてもよい。ただし、正極活物質層12において、第1活物質層L1の空隙率が最も小さくなるように構成されている。
以上のような構成の電極複合体によれば、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、信頼性に優れた電極複合体が得られる。
以上のような構成のリチウム電池によれば、上述の電極複合体を有しているので、高出力および大容量化が可能であり、かつ信頼性に優れたリチウム電池が得られる。
[リチウム電池の製造方法]
次いで、図3〜図7を参照しながら、本実施形態に係る電極複合体100の製造方法およびリチウム電池の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る電極複合体100の製造方法を示すフローチャートであり、図5〜図7は各工程における工程図である。
図3に示すように、本実施形態に係る電極複合体100の製造方法は、正極活物質層12の形成工程S1と、固体電解質14の形成工程S2と、正極集電体11の形成工程S3と、固体電解質層20の形成工程S4と、を含む。
[正極活物質層12の形成工程S1]
図4は、正極活物質層12の形成工程S1を示すフローチャートである。図4に示すように、正極活物質層12の形成工程S1は、第1膜形成工程S11と、第2膜形成工程S12と、熱処理工程S13と、を含む。
(第1膜形成工程S11)
第1膜形成工程S11では、第1活物質粒子群12Aを含む第1膜を形成する。具体的には、まず、第1活物質粒子群12Aをバインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、第1活物質層形成用スラリーを調製する。調製方法としては、例えばボールミルなどの従来公知の混合装置を用いた機械的な混合方法が挙げられる。
第1活物質粒子群12Aは、粒径100nm以上5μm未満の範囲に分布のピークを有することが好ましい。第1活物質粒子群12Aの粒径が上述の範囲であると、第1活物質層L1の空隙率を0%以上10%未満に調整することができる。第1活物質粒子群12Aの粒径が100nm未満であると、製造工程において第1活物質粒子群12Aを安定して得ることができない。
一方、第1活物質粒子群12Aの粒径が5μm以上であると、得られる第1活物質層L1の空隙が大きくなりすぎるので、正極活物質層12の一方の面12aに対して固体電解質14の前駆体溶液が回り込むおそれがある。そのため、正極活物質層12と正極集電体11との電気的な接続を確保するために、正極集電体11を形成する前の研磨工程が必要となり、研磨に起因するクラック等が発生するおそれがある。
第1膜形成工程S11で用いられる溶媒としては、例えば、2−プロパノール等のアルコール系溶媒や、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒などが用いられる。
第1膜形成工程S11で用いられるバインダーおよび可塑剤は、溶媒に分散されていてもよく、溶解していてもよい。
このようなバインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリビニルアルコール(PVA)などの高分子化合物が挙げられる。
また、このような可塑剤としては、例えばフタル酸ジブチルなどが挙げられる。可塑剤を用いることで、後に形成するグリーンシートに適度な柔軟性および弾力性を与えることができる。
次に、得られた第1活物質層形成用スラリーを、例えば離型剤層を備えた基体1の表面に塗布し、乾燥させることで、第1活物質粒子を含むグリーンシート2を形成する。図4は、第1膜形成工程S11を示す工程図である。なお、グリーンシート2は、特許請求の範囲における第1膜に対応する。基体1としては、例えばポリエステル樹脂等の高分子材料を主成分とし、かつ、基体の表面にケイ素等を主成分とする離型剤層を備えたシート状の基体が挙げられる。塗布方法としては、例えばドクターブレード法など従来公知の塗布方法が挙げられる。
(第2膜形成工程S12)
第2膜形成工程S12では、第2活物質粒子群12Bを含む第2膜を形成する。具体的には、まず、第1活物質粒子群12Aよりも大きい平均粒径を有する第2活物質粒子群12Bをバインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、第2活物質層形成用スラリーを調製する。調製方法として、第1膜形成工程S11と同様の方法を採用することができる。
第2膜形成工程S12で用いられる第2活物質粒子群12Bは、粒径5μm以上100μm未満の範囲に分布のピークを有することが好ましい。第2活物質粒子群12Bの粒径が上述の範囲であると、第2活物質層L2の空隙率を10%以上60%未満に調整することができる。第2活物質粒子群12Bの粒径が5μm未満であると、得られる第2活物質層L2における空隙が微小なものになりやすく、固体電解質14の前駆体溶液を含浸させることが困難となる。その結果、第2活物質層L2に十分な量の固体電解質14を形成しにくくなる。
一方、第2活物質粒子群12Bの粒径が100μm以上であると、製造工程において、第2活物質粒子群12Bを安定して得ることができない。また、第2活物質粒子群12Bを安定して得られたとしても、形成された第2活物質層L2の単位質量当たりの表面積である比表面積が小さくなり、第2活物質層L2と固体電解質14との接触面積が小さくなる。さらに、第2活物質粒子群12B内から固体電解質14までのイオン拡散距離が長くなる。そのため、第2活物質粒子群12Bにおける電池反応への寄与が少なくなり、リチウム電池としたときに所望の出力や所望の容量が得られないおそれがある。
ここで、第1活物質粒子群12Aおよび第2活物質粒子群12Bの粒径は、例えば粒子状の第1活物質粒子群12Aおよび第2活物質粒子群12Bを、n−オクタノールに0.1〜10質量%の濃度となるように分散させた後、光散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX250)を用いて測定することができる。
第2膜形成工程S12における第2膜形成工程S12で用いられる溶媒、バインダーおよび可塑剤として、第1膜形成工程S11と同様のものを使用することができる。
次に、第2活物質層形成用スラリーを基体3の表面に塗布し、乾燥させることで、第2活物質粒子を含むグリーンシート4を形成する。図5は、第2膜形成工程S12を示す工程図である。なお、グリーンシート4は、特許請求の範囲における第2膜に対応する。
(熱処理工程S13)
熱処理工程S13では、第1膜と第2膜の積層体を熱処理して正極活物質層12を形成する。具体的には、まず、グリーンシート2上にグリーンシート4を積層し、基体1および基体3の両側から所定の温度および圧力をかけることにより、積層体5を形成する。図6は、熱処理工程S13を示す工程図である。
なお、グリーンシート2およびグリーンシート4の積層は、後述する脱バインダー工程で実施してもよい。
次に、得られた積層体5を金型等を用いて所望の大きさに打ち抜いた後、基体1および基体3を剥離する。
次に、積層体5を熱処理することにより、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層L1と第2活物質層L2とが積層された構成を有する正極活物質層12を形成する。
このとき、積層体5の熱処理は、2段階で行うとよい。まず、得られた積層体5を所定の温度で熱処理することにより、積層体5に含まれるバインダーや可塑剤などの有機物を熱分解させ、低減させる。この工程を、一般に脱バインダー工程という。この場合の所定の温度は、積層体5に含まれるバインダーや可塑剤などの有機物の分解点より高い温度であり、例えば300℃程度であることが好ましい。
次に、脱バインダー工程の後に、積層体5を所定の温度で熱処理することにより、正極活物質層12を形成する。この場合の所定の温度は、850℃以上であって、かつ、正極活物質として用いる材料の融点および分解点のいずれか低い方の温度未満である。このような温度としては、例えば875℃以上1000℃以下で行うことが好ましく、900℃以上920℃以下で行うことがより好ましい。また、この熱処理は5分以上36時間以下行うことが好ましく、4時間以上14時間以下行うことがより好ましい。
このようにして、本実施形態の正極活物質層12を得ることができる。得られた正極活物質層12は、図2に示すように、第1活物質層L1は、第1活物質粒子群12Aのみで形成されている。
[固体電解質14の形成工程S2]
図8は、固体電解質14の形成工程S2を示すフローチャートである。図8に示すように、固体電解質14の形成工程S2は、第1含浸工程S21と、第1加熱工程S22と、第2含浸工程S23と、第2加熱工程S24と、を含む。なお、本実施形態の第1電解質14Aおよび第2電解質14Bは、特許請求の範囲における固体電解質に相当する。
(第1含浸工程S21)
第1含浸工程S21では、正極活物質層12の第2活物質層L2側から第1電解質14Aの前駆体溶液を含浸させる。具体的には、まず、第1電解質14Aが有する金属元素を含む化合物を所定の割合で溶媒に溶解させることにより、第1電解質14Aの前駆体溶液を作製する。このとき、所定の割合は第1電解質14Aの形成材料の組成比率により適宜決定することができる。
第1電解質14Aが有する金属元素を含む化合物は、無機塩、有機酸塩、有機金属化合物、金属錯体、金属アルコキシド等が挙げられる。
第1含浸工程S21で用いられる溶媒としては、第1電解質14Aが有する金属元素を含む化合物を溶解させる溶媒であればよく、例えば極性溶媒が挙げられる。このような極性溶媒としては、例えばn−ブタノールのようなアルコールや、プロピオン酸のような有機酸が挙げられる。
次に、得られた第1電解質14Aの前駆体溶液を、正極活物質層12の第2活物質層L2の表面に塗布または滴下することにより、正極活物質層12の空隙に含浸させる。また、別の例としては、正極活物質層12の第2活物質層L2側の端部を前駆体溶液に接触させ、毛細管現象を利用することにより、正極活物質層12の空隙に含浸させてもよい。
(第1加熱工程S22)
第1加熱工程S22では、第1電解質14Aの前駆体溶液を所定の温度で熱処理することで、第1電解質14Aを形成する。このとき、第1加熱工程S22の熱処理は、大気中で行われる。この場合の所定の温度は、熱処理工程S13の熱処理温度よりも低い温度であり、例えば300℃以上700℃以下ある。第1加熱工程S22における熱処理温度が700℃を超えると、正極活物質層12と第1電解質14Aとの界面における固相反応により、電気化学的に不活性な副生成物が生じるおそれがある。一方、第1加熱工程S22における熱処理温度が300℃未満であると、第1電解質14Aの結晶が十分に成長できず、イオン伝導率が低くなるおそれがある。これらの作用により、得られるリチウム電池は、低出力または低容量となるおそれがある。
第1加熱工程S22の熱処理の前に、第1電解質14Aの前駆体溶液に含まれる溶媒を低減してもよい。溶媒の低減方法として、加熱、減圧、送風などの従来公知の方法が用いられる。
このようにして本実施形態の第1電解質14Aが得られるが、第1電解質14Aを形成した後も正極活物質層12は空隙を有していることがある。この原因としては、第1含浸工程S21において、すべての空隙に対して第1電解質14Aの前駆体溶液を含浸させることは困難であること、第1加熱工程S22において、第1電解質14Aの前駆体溶液の体積が収縮することなどが挙げられる。
そこで、第2含浸工程S23および第2加熱工程S24において、正極活物質層12および第1電解質14Aが有する空隙に非晶質の第2電解質14Bを形成する。
(第2含浸工程S23)
第2含浸工程S23では、正極活物質層12の第2活物質層L2側から第2電解質14Bの前駆体溶液を含浸させる。具体的には、まず、第2電解質14Bが有する金属元素を含む化合物を所定の割合で溶媒に溶解させることにより、第2電解質14Bの前駆体溶液を作製する。このとき、所定の割合は第2電解質14Bの形成材料の組成比率により適宜決定することができる。
第2電解質14Bが有する金属元素を含む化合物は、無機塩、有機酸塩、有機金属化合物、金属錯体、金属アルコキシド等が挙げられる。
第2含浸工程S23で用いられる溶媒として、第1含浸工程S21で用いられる溶媒と、同様の溶媒が用いられる。
次に、得られた第2電解質14Bの前駆体溶液を、正極活物質層12および第1電解質14Aが有する空隙に含浸させる。具体的な方法については、第1含浸工程S21と同様である。
(第2加熱工程S24)
第2加熱工程S24では、第2電解質14Bの前駆体溶液を所定の温度で熱処理することで溶媒を低減し、第2電解質14Bを形成する。この場合の所定の温度は、第1加熱工程S22の熱処理温度と同程度かそれよりも低い温度であり、例えば300℃以上450℃以下である。このようにして、正極活物質層12の空隙に固体電解質14を含浸させることができる。
[正極集電体11の形成工程S3]
正極集電体11の形成工程S3では、得られた正極活物質層12の第1活物質層L1側の表面に正極集電体11を形成する。本実施形態によれば、正極活物質層12の一方の面12aに対する固体電解質14の前駆体溶液の回り込みを低減することができる。これにより、正極活物質層12の一方の面12aにおいては正極活物質が露出した状態を維持できるので、正極活物質層12と、予め成形した正極集電体11を電気的に接続することができる。したがって、正極集電体11を形成する前に研磨工程を行わなくてもよいので、研磨に起因するクラックを低減することができ、歩留まりが良好となる。
正極集電体の形成工程S3において、予め成形した正極集電体11を用いてもよいし、正極活物質層12の一方の面12aに対して従来公知の方法により集電体を成膜してもよい。従来公知の方法として、例えば物理気相成長法(PVD)や化学気相成長法(CVD)が用いられる。
なお、正極集電体の形成工程S3では、必要に応じて、正極活物質層12の一方の面12aを研磨してから正極集電体11を形成してもよい。
[固体電解質層20の形成工程S4]
固体電解質層20の形成工程S4では、得られた正極活物質層12の正極集電体11とは反対側の面に、固体電解質層20を形成する。固体電解質層20の形成工程S4において、第1電解質14Aまたは第2電解質14Bの形成材料を予め薄板状(箔状)に成型したものや、一般にリチウム電池に使用されている市販の固体電解質シートなどを用いてもよい。このようにして、電極複合体100が得られる。
得られた電極複合体100に負極活物質層32および負極集電体31を形成することでリチウム電池1000が得られる。具体的には、まず、得られた電極複合体100における固体電解質層20の表面に予め成型した負極活物質層32を形成する。次に、負極活物質層32の表面に負極集電体31を形成する。このとき、予め成形した負極集電体31を用いてもよいし、負極活物質層32の表面に対して従来公知の方法により負極集電体31を成膜してもよい。従来公知の方法として、例えば物理気相成長法(PVD)等が用いられる。
[第1変形例]
第1実施形態に係る電極複合体100の製造方法において、1つの基体に対して、最初からグリーンシート2およびグリーンシート4を重ね合わせた状態としてもよい。具体的な方法としては、例えば1つの基体に対して第1活物質層形成用スラリーを先に塗布し、所定時間乾燥させた後に、その上から第2活物質層形成用スラリーを塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。このように基体側に、空隙率の低いグリーンシート2が配置されることにより脱バインダーを効率的に行うことができる。以上のことから、基体側がグリーンシート2であると、好ましい。
[第2変形例]
第1実施形態に係る電極複合体100の製造方法において、正極集電体11上に最初から正極活物質層12を形成してもよい。具体的には、まず、第1膜形成工程において、第1活物質粒子群12Aを含む第1膜を、正極集電体11上に形成する。次に、第2膜形成工程において、第1膜上に、第2活物質粒子群12Bを含む第2膜を形成する。さらに、熱処理工程において、第1膜と第2膜との積層体を熱処理して正極集電体11上に正極活物質層12を形成する。第1活物質層L1は、固体電解質14の前駆体溶液が含浸しにくいので、正極活物質層12の一方の面12aに対する前駆体溶液の回り込みを低減することができる。そのため、正極集電体11上に最初から正極活物質層12を形成していても電気的な接続を維持することができる。
以上のような方法の電極複合体の製造方法によれば、リチウム電池としたときに高出力および大容量化が可能であり、かつ、信頼性に優れた電極複合体が製造できる。
以上のような方法のリチウム電池の製造方法によれば、高出力および大容量化が可能であり、かつ、信頼性に優れたリチウム電池が製造できる。
<第2実施形態>
以下、本発明における第2実施形態の電極複合体101について、図9を用いて説明する。第2実施形態の電極複合体においては、正極活物質層の構成が第1実施形態と異なる。そのため、電極複合体全体の説明は省略し、正極活物質層についてのみ説明する。
図9は、第2実施形態における電極複合体101を模式的に示す断面図である。図9は、第1実施形態における図2に対応している。図9において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。なお、固体電解質14は図示していない。
図2に示すように、第1実施形態の正極活物質層12においては、少なくとも第1活物質層L1は、第1活物質粒子群12Aのみで形成されている。これに対して、図9に示すように、第2実施形態の正極活物質層112においては、第1活物質層L11および第2活物質層L12は、いずれも第1活物質粒子群12Aのみで形成されている。
以下、本発明における第2実施形態の電極複合体101の製造方法について説明する。第2実施形態に係る電極複合体101の製造方法においては、正極活物質層112の形成工程が第1実施形態と異なる。そのため、電極複合体101の製造方法全体の説明は省略し、正極活物質層112の形成工程についてのみ説明する。
第1実施形態に係る正極活物質層12の形成工程S1では、第2活物質粒子群12Bを用いて第2膜を形成する。これに対し、第2実施形態に係る正極活物質層112の形成工程では、第1活物質粒子群12Aおよび粒子状の造孔材を用いて第2膜を形成する。
第2実施形態に係る電極複合体101の製造方法によれば、正極活物質層112の形成材料として粒径が異なる2種類の粒子を用意する必要がない。つまり、造孔材の量をコントロールすることにより、互いに空隙率の異なる2層構造を有する正極活物質層を容易に製造することができる。
[第3変形例]
第2実施形態において、第1活物質粒子群12Aと粒子状の造孔材とが異なる割合で混合した混合物を2種類用意して、第1膜および第2膜を形成してもよい。具体的には、造孔材の割合が少ない方の混合物を用いて第1膜を形成し、造孔材の割合が多い方の混合物を用いて第2膜を形成する。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
以下、本発明における第3実施形態の電極複合体102について、図10を用いて説明する。第3実施形態の電極複合体102においては、正極活物質層212の構成が第1実施形態と異なる。そのため、電極複合体102全体の説明は省略し、正極活物質層212についてのみ説明する。
図10は、第3実施形態における電極複合体102を模式的に示す断面図である。図10は、第1実施形態における図2に対応している。図10において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。なお、固体電解質14は図示していない。
図2に示すように、第1実施形態の正極活物質層12においては、少なくとも第1活物質層L1は、第1活物質粒子群12Aのみで形成されている。これに対して、図10に示すように、第3実施形態の正極活物質層212においては、第1活物質層L21および第2活物質層L22は、いずれも第1活物質粒子群12Aおよび第2活物質粒子群12Bを含んでいる。このとき、第1活物質層L21は、第1活物質粒子群12Aを主体として形成され、第2活物質層L22は、第2活物質粒子群12Bを主体として形成されている。
以下、本発明における第3実施形態の電極複合体102の製造方法について図11を用いて説明する。第3実施形態に係る電極複合体102の製造方法においては、正極活物質層212の形成工程が第1実施形態と異なる。そのため、電極複合体102の製造方法全体の説明は省略し、正極活物質層212の形成工程についてのみ説明する。図11は、第3実施形態における正極活物質層212の形成工程を示すフローチャートである。
図3に示すように、第1実施形態に係る正極活物質層12の形成工程は、第1膜形成工程S11と、第2膜形成工程S12と、熱処理工程S13と、を含む。これに対し、図11に示すように、第3実施形態に係る正極活物質層212の形成工程は、混合工程S110と、タッピング工程S120と、焼結工程S130と、を含む。
混合工程S110では、第1活物質粒子群12Aと、第2活物質粒子群12Bとを混合して、混合物を得る。混合工程S110における混合は、湿式でもよいし、乾式でもよい。
タッピング工程S120では、混合物を所定の容器に入れ、タッピング処理する。タッピング処理することにより、第1活物質粒子群12Aおよび第2活物質粒子群12Bを偏在させる。具体的には、混合物をタッピング処理することにより、平均粒径の小さい第1活物質粒子群12Aを所定の容器の下方に多く偏在させ、平均粒径の大きな第2活物質粒子群12Bを所定の容器の上方に多く偏在させる。
焼結工程S130では、タッピング処理後の混合物を焼結して、正極活物質層212を形成する。焼結工程S130における焼結温度は、第1実施形態における熱処理工程S13の熱処理温度と同様である。
第3実施形態に係る電極複合体102の製造方法によれば、造孔材を用いずに、空隙率の異なる2層構造を有する正極活物質層を容易に製造することができる。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1、3…基体、2…第1活物質粒子群を含むグリーンシート(第1膜)、4…第2活物質粒子群を含むグリーンシート(第2膜)、5…積層体、10…正極、11…正極集電体、12、112、212…正極活物質層、12A…第1活物質粒子群、12B…第2活物質粒子群、14…固体電解質、14A…第1電解質、14B…第2電解質、20…固体電解質層、30…負極、31…負極集電体、32…負極活物質層、100、101、102…電極複合体、1000…リチウム電池、L1、L11、L21…第1活物質層、L2、L12、L22…第2活物質層

Claims (14)

  1. 集電体と、
    前記集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、
    前記正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備えた電極複合体であって、
    前記正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体。
  2. 前記第1活物質層の空隙率が0%以上10%未満であり、
    前記第2活物質層の空隙率が10%以上60%未満である
    請求項1に記載の電極複合体。
  3. 前記第1活物質層の厚みは、前記第2活物質層の厚みの1/20以上1/5以下である
    請求項1または2に記載の電極複合体。
  4. 前記第1活物質層を構成する前記粒子状の正極活物質の平均粒径が100nm以上5μm未満であり、前記第2活物質層を構成する前記粒子状の正極活物質の平均粒径が5μm以上100μm以下である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極複合体。
  5. 前記第1活物質層および前記第2活物質層は、いずれも第1活物質粒子群のみで形成されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極複合体。
  6. 前記第1活物質層および前記第2活物質層は、いずれも第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を含み、
    前記第1活物質層は、前記第1活物質粒子群を主体として形成され、
    前記第2活物質層は、前記第2活物質粒子群を主体として形成されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極複合体。
  7. 前記第1活物質層は、第1活物質粒子群のみで形成されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極複合体。
  8. 前記固体電解質は、前記第2活物質層には厚さ方向の全体にわたって含浸され、前記第1活物質層には厚さ方向の一部にのみ含浸されている
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の電極複合体。
  9. 粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層であって、
    互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された、正極活物質層。
  10. 集電体と、
    前記集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、
    前記正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備え、
    前記正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体の製造方法であって、
    第1活物質粒子群を含む第1膜を形成する工程と、
    前記第1膜上に、前記第1活物質粒子群よりも大きい平均粒径を有する第2活物質粒子群を含む第2膜を形成する工程と、
    前記第1膜と前記第2膜の積層体を熱処理して前記正極活物質層を形成する工程と、
    前記正極活物質層の前記第2活物質層側から前記固体電解質の前駆体溶液を含浸させる工程と、
    前記前駆体溶液を加熱して前記固体電解質を形成する工程と、
    前記正極活物質層の前記第1活物質層側に前記集電体を形成する工程と、
    を含む、電極複合体の製造方法。
  11. 集電体と、
    前記集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、
    前記正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備え、
    前記正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体の製造方法であって、
    第1活物質粒子群を含む第1膜を形成する工程と、
    前記第1膜上に、前記第1活物質粒子群と造孔材を含む液体を塗布して第2膜を形成する工程と、
    前記第1膜と前記第2膜の積層体を熱処理して前記正極活物質層を形成する工程と、
    前記正極活物質層の前記第2活物質層側から固体電解質の前駆体溶液を含浸させる工程と、
    前記前駆体溶液を加熱して前記固体電解質を形成する工程と、
    前記正極活物質層の前記第1活物質層側に前記集電体を形成する工程と、
    を含む、電極複合体の製造方法。
  12. 集電体と、
    前記集電体上に形成され粒子状の正極活物質を含む多孔質の正極活物質層と、
    前記正極活物質層の空隙に含浸された固体電解質と、を備え、
    前記正極活物質層は、互いに異なる空隙率を有する第1活物質層と第2活物質層とが積層された構成を有する、電極複合体の製造方法であって、
    第1活物質粒子群と、前記第1活物質粒子群よりも大きい平均粒径を有する第2活物質粒子群とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物をタッピング処理する工程と、
    タッピング処理後の前記混合物を熱処理して前記正極活物質層を形成する工程と、
    前記正極活物質層の前記第2活物質層側から固体電解質の前駆体溶液を含浸させる工程と、
    前記前駆体溶液を加熱して前記固体電解質を形成する工程と、
    前記正極活物質層の前記第1活物質層側に前記集電体を形成する工程と、
    を含む、電極複合体の製造方法。
  13. 前記第1活物質粒子群は、粒径100nm以上5μm未満の範囲に分布のピークを有し、
    前記第2活物質粒子群は、粒径5μm以上100μm未満の範囲に分布のピークを有する
    請求項10〜12のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  14. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極複合体と、負極と、を有するリチウム電池。
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