JP2020109748A - 全固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電池容量であり、かつ、耐久性が向上した全固体電池を提供する。【解決手段】全固体電池100は、正極集電体11、ならびに、正極集電体11上に形成され、正極活物質1および固体電解質2を含む正極合剤層12を備える正極層20と、負極集電体13、ならびに、負極集電体13上に形成され、負極活物質3および固体電解質2を含む負極合剤層14を備える負極層30と、正極合剤層12と負極合剤層14との間に配置され、固体電解質2を含む固体電解質層40と、を備え、正極合剤層12における正極活物質1の活物質体積比が、正極合剤層12の厚み方向において、正極合剤層12の固体電解質層40界面側から正極集電体11界面側に近くなるほど大きくなり、正極合剤層12の空隙率が、正極合剤層12の厚み方向において、正極合剤層12の固体電解質層40界面側から正極集電体11界面側に近くなるほど小さくなる。【選択図】図1

Description

本開示は、正極層、負極層、固体電解質層、およびそれを用いた全固体電池に関する。
近年、パソコンおよび携帯電話などの電子機器の軽量化およびコードレス化などにより、繰り返し使用可能な二次電池の開発が求められている。二次電池として、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、鉛畜電池およびリチウムイオン電池などがある。これらの中でも、リチウムイオン電池は、軽量、高電圧および高エネルギー密度といった特徴があることから、注目を集めている。
リチウムイオン電池は、正極層、負極層およびこれらの間に配置された電解質によって構成されており、電解質には、例えば六フッ化リン酸リチウムなどの支持塩を有機溶剤に溶解させた電解液、または固体電解質が用いられる。現在、広く普及しているリチウムイオン電池は、有機溶剤を含む電解液が用いられているため可燃性である。そのため、リチウムイオン電池の安全性を確保するための材料、構造およびシステムが必要である。これに対し、電解質として不燃性である固体電解質を用いることで、上記、材料、構造およびシステムを簡素化できることが期待され、エネルギー密度の増加、製造コストの低減および生産性の向上を図ることができると考えられる。以下、固体電解質を用いたリチウムイオン電池を、「全固体電池」と呼ぶこととする。
固体電解質は、大きくは有機固体電解質と無機固体電解質とに分けることができる。有機固体電解質は、25℃において、イオン伝導度が10−6S/cm程度であり、電解液のイオン伝導度が10−3S/cm程度であることと比べて極めて低い。そのため、有機固体電解質を用いた全固体電池を25℃の環境で動作させることは困難である。無機固体電解質としては、酸化物系固体電解質と硫化物系固体電解質とがある。これらのイオン伝導度は10−4〜10−3S/cm程度であり、比較的イオン伝導度が高い。酸化物系固体電解質は、粒界抵抗が大きい。そこで、粒界抵抗を下げる手段として、粉体の焼結および薄膜化が検討されているが、焼結した場合は高温での処理により、正極あるいは負極の構成元素と固体電解質との構成元素が相互拡散するため、十分な特性を得ることが難しい。そのため、酸化物系固体電解質を用いた全固体電池は、薄膜での検討が主流である。一方で、硫化物系固体電解質は、酸化物系固体電解質と比べて粒界抵抗が小さいため、粉体の圧縮成型のみで、良好な特性が得られることから、近年盛んに研究が進められている。
そのような中、全固体電池は、例えば、車載用電池として、さらなる高電池容量化が要求されており、高電池容量化の手段としては、電極活物質層における活物質の高濃度化が挙げられるが、充放電に伴う膨張および収縮によるクラックの発生が顕著となり全固体電池の耐久性が低下するという問題がある。
これに対して、特許文献1には、図5に示されるように、正極合剤層212の厚み方向において、電極活物質層である正極合剤層212における活物質濃度が、正極合剤層212の固体電解質層240界面側から正極集電体211界面側に近くなるほど大きくなり、かつ、正極合剤層212における空隙率が、固体電解質層240界面側から正極集電体211界面側に近くなるほど大きくなる全固体電池300が開示されている。
特開2012−104270号公報
しかしながら、前記従来の全固体電池の構成では、全固体電池の高い耐久性と高い電池容量との両立が困難である。そこで、本開示では、高電池容量であり、かつ、耐久性が向上した全固体電池を提供する。
上記課題を解決するために、本開示における全固体電池は、正極集電体、ならびに、前記正極集電体上に形成され、少なくとも正極活物質および固体電解質を含む正極合剤層を備える正極層と、負極集電体、ならびに、前記負極集電体上に形成され、少なくとも負極活物質および固体電解質を含む負極合剤層を備える負極層と、前記正極合剤層と前記負極合剤層との間に配置され、少なくともイオン伝導性を有する固体電解質を含む固体電解質層と、を備え、前記正極合剤層における前記正極活物質の体積および前記固体電解質の体積の合計に対する前記正極活物質の体積の比である活物質体積比が、前記正極合剤層の厚み方向において、前記正極合剤層の前記固体電解質層界面側から前記正極集電体界面側に近くなるほど大きくなり、前記正極合剤層の空隙率が、前記正極合剤層の厚み方向において、前記正極合剤層の前記固体電解質層界面側から前記正極集電体界面側に近くなるほど小さくなる。
本開示によれば、高電池容量であり、かつ、耐久性が向上した全固体電池を提供することができる。
図1は、本実施の形態における全固体電池の一例を示す概略断面図である。 図2は、本実施の形態における第2正極合剤層において活物質体積比が0.5以上である場合の正極合剤層のロールプレス工程の概略図である。 図3は、本実施の形態における第2正極合剤層において活物質体積比が0.5未満である場合の正極合剤層のロールプレス工程の概略図である。 図4は、本実施の形態の変形例における全固体電池の一例を示す概略断面図である。 図5は、従来技術の全固体電池の一例を示す概略断面図である。
(本開示に至った知見)
従来の特許文献1の技術においては、特に、全固体電池の高電池容量化のために、正極合剤層などの電極活物質層における活物質濃度(活物質体積/[活物質体積+固体電解質体積])を、0.7より大きい組成とする場合は、活物質間を繋ぐことで電極活物質層の形状を保持すると共に、イオン伝導経路を確保する機能を発現させる固体電解質の割合が、非常に少なくなる。さらに、電極活物質層が、活物質をより多く含む集電体界面側に近くなるほど空隙率が大きくなる構造のため、空隙が、電極活物質層の形状を保持する機能、および、イオン伝導経路を確保する機能を更に阻害し、耐久性および電池容量が低下する問題がある。
本開示は、このような知見に基づいてなされたものであり、高電池容量であり、かつ、耐久性が向上した全固体電池を提供する。
本開示の一態様における全固体電池は、正極集電体、ならびに、前記正極集電体上に形成され、少なくとも正極活物質および固体電解質を含む正極合剤層を備える正極層と、負極集電体、ならびに、前記負極集電体上に形成され、少なくとも負極活物質および固体電解質を含む負極合剤層を備える負極層と、前記正極合剤層と前記負極合剤層との間に配置され、少なくともイオン伝導性を有する固体電解質を含む固体電解質層と、を備え、前記正極合剤層における前記正極活物質の体積および前記固体電解質の体積の合計に対する前記正極活物質の体積の比であるの活物質体積比が、前記正極合剤層の厚み方向において、前記正極合剤層の前記固体電解質層界面側から前記正極集電体界面側に近くなるほど大きくなり、前記正極合剤層の空隙率が、前記正極合剤層の厚み方向において、前記正極合剤層の前記固体電解質層界面側から前記正極集電体界面側に近くなるほど小さくなる。
なお、本開示において、「正極合剤層の厚み方向において、正極合剤層の固体電解質層界面側から正極集電体界面側に近くなるほど大きくなり」とは、上記活物質体積比が、正極合剤層の固体電解質層界面側から正極集電体界面側に向かって増加することを意味し、より詳細には、正極合剤層中の異なる2つの部分の局所的な活物質体積比を比較した場合に、正極合剤層における、正極集電体により近い部分の局所的な活物質体積比が、固体電解質層により近い部分の局所的な活物質体積比よりも大きいことを意味する。この場合の活物質体積比の増加には、傾斜状増加、線状増加等の連続的増加、および、階段状増加等の間歇的増加が含まれる。
また、「正極合剤層の固体電解質層界面側から正極集電体界面側に近くなるほど小さくなる」とは、正極合剤層の空隙率が、正極合剤層の固体電解質層界面側から正極集電体界面側に向かって減少することを意味し、より詳細には、正極合剤層中の異なる2つの部分の局所的な空隙率を比較した場合に、正極合剤層における、正極集電体により近い部分の局所的な空隙率が、固体電解質層により近い部分の局所的な空隙率よりも小さいことを意味する。この場合の空隙率の減少には、傾斜状減少、線状減少等の連続的減少、および、階段状減少等の間歇的減少が含まれる。
本開示によれば、正極合剤層における活物質体積比が、正極合剤層と正極集電体との界面側に近くなるほど大きくなり、正極合剤層の空隙率が、正極合剤層と正極集電体との界面側に近くなるほど小さくなる。これにより、正極活物質の活物質体積比が大きい高電池容量向け組成を有する正極合剤層においても、特に活物質体積比の大きい、正極合剤層の正極集電体に近い部分では、正極合剤層内にて正極活物質同士が近接するため正極活物質の膨張および収縮に対して相互に拘束力が働くことで正極合剤層内でのクラック等のダメージが抑制される効果が得られる。また、正極活物質の膨張および収縮の影響が顕在化しやすい、正極合剤層の固体電解質層に近い部分では、空隙率が比較的高くなるため、正極活物質の膨張および収縮の影響を空隙により吸収することができる。
さらに、固体電解質は、正極活物質間を繋ぐことで電極としての形状を保持すると共に、イオン伝導経路を確保する機能を発現させるが、固体電解質の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成となる正極合剤層においても、特に固体電解質の体積比が小さい、正極合剤層の正極集電体に近い部分では、空隙率が小さいため、正極合剤層の形状が保持できる構造的な強度を空隙の影響により失うことがなく、かつ、イオン伝導経路を確保できる。また、正極合剤層の固体電解質層に近い部分では、比較的固体電解質の体積比が大きいため、固体電解質層へのイオン伝導経路が確保されやすくなる。
よって、高電池容量向け組成を有する正極合剤層を備える場合であっても、全固体電池の耐久性を向上させることができ、高電池容量であり、かつ、耐久性が向上した全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記正極合剤層、前記負極合剤層、および前記固体電解質層よりなる群から選ばれた少なくとも一層に含まれる、溶剤の濃度が50ppm以下であり、かつ、バインダーの濃度が100ppm以下であってもよい。
これにより、正極合剤層、負極合剤層、および固体電解質層よりなる群から選ばれた少なくとも一層は、溶剤およびバインダーをほとんど含まないことから、溶剤の影響による固体電解質の劣化を抑制できると共に、電池特性に寄与しないバインダーを含まないことで、電池容量が向上する。よって、より高電池容量であり、かつ、耐久性が向上した全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記正極合剤層において、前記正極集電体に近い部分の前記活物質体積比が、0.7より大きくてもよい。
これにより、正極集電体に近い部分の正極活物質の活物質体積比が高くなるため、正極合剤層内のリチウムイオン量を増加でき、より高電池容量の全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記正極合剤層において、前記固体電解質層に近い部分の前記活物質体積比が、0.5以上であってもよい。
これにより、固体電解質層に近い部分の正極活物質の活物質体積比が高くなるため、正極合剤層内のリチウムイオン量を増加でき、より高電池容量の全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記正極合剤層は、前記正極集電体側に配置された第1正極合剤層と、前記固体電解質層側に配置された第2正極合剤層と、を有し、前記第1正極合剤層における前記物質体積比が、前記第2正極合剤層における前記活物質体積比よりも大きく、前記第1正極合剤層の空隙率が、前記第2正極合剤層の空隙率よりも小さくてもよい。
これにより、正極合剤層が複数の層を有するため、層ごとに活物質体積比および空隙率を設定できることから、簡便に全固体電池を製造することができる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記第1正極合剤層における前記活物質体積比が、0.7より大きくてもよい。
これにより、正極集電体に近い第1正極合剤層における正極活物質の活物質体積比が高くなるため、正極合剤層内のリチウムイオン量を増加でき、より高電池容量の全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記第1正極合剤層における空隙率が、0.05%以上8%以下であってもよい。
これにより、第1正極合剤層の空隙率が小さい範囲となるため、空隙による正極合剤層内の電気抵抗が低下し、より高電池容量の全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記第2正極合剤層における前記活物質体積比が、0.5以上であってもよい。
これにより、固体電解質層に近い第2正極合剤層における正極活物質の活物質体積比が高くなるため、正極合剤層内のリチウムイオン量を増加でき、より高電池容量の全固体電池となる。また、第2正極合剤層内において、流動性が低く硬度の高い正極活物質が多数を占めることになるため、ロールプレスなどで正極合剤層をプレスする場合には、第2正極合剤層の形状が保持されることで、正極合剤層全体にプレスの力が伝わり、押し固められることから、より固体電解質と正極活物質とが密着し、イオン伝導経路が確保されるため、電池特性が向上した全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記第2正極合剤層の空隙率が、5%以上35%以下であってもよい。
これにより、第1正極合剤層の空隙率が適切な範囲となるため、空隙による正極合剤層内の電気抵抗の増加を抑制しつつ、正極活物質の膨張および収縮の影響を空隙により吸収することができるため、高電池容量と耐久性の向上を両立した全固体電池となる。
また、例えば、前記全固体電池は、前記正極層が、前記正極集電体と前記正極合剤層との間に配置され、少なくとも導電剤を含む正極接合層をさらに備えてもよい。
これにより、正極接合層を介して、正極集電体と正極合剤層とが接合させることになる。正極合剤層は、正極活物質よりも硬度の低い正極接合層へ食込み、正極接合層と正極合剤層の接着力が高くなる。また、正極接合層に、少量のバインダーが含まれる場合には、バインダーの接着力により、正極接合層と正極集電体との接着力が高くなる。よって、正極接合層を介して、正極集電体と正極合剤層とが接合させることにより、電子伝導度を損なうことなく正極集電体と正極合剤層との接着力を高くなり、さらに耐久性の向上した全固体電池となる。
以下、本開示の実施の形態に係る全固体電池について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものであり、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは一例であり、本開示を限定するものではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうちの、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、本開示を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡素化される場合がある。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、本明細書において「平面視」とは、全固体電池の積層方向に沿って全固体電池を見た場合を意味し、本明細書における「厚み」とは、全固体電池および各層の積層方向の長さである。
また、本明細書において、全固体電池の構成における「上」および「下」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上」および「下」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
また、本明細書において、断面図は、全固体電池の中心部を積層方向に切断した場合の断面を示す図である。
(実施の形態)
[A.全固体電池]
図1は、本実施の形態における全固体電池の一例を示す概略断面図である。全固体電池100は、図1における全固体電池100は、正極集電体11、ならびに、正極集電体11上に形成され、少なくとも正極活物質1および固体電解質2を含む正極合剤層12を備える正極層20と、負極集電体13、ならびに、負極集電体13上に形成され、少なくとも負極活物質3および固体電解質2を含む負極合剤層14を備える負極層30と、正極合剤層12と負極合剤層14との間に配置され、少なくともイオン伝導性を有する固体電解質2を含む固体電解質層40と、を備える。さらに、正極層20は、正極集電体11と正極合剤層12との間に配置され、少なくとも導電剤を含む正極接合層5を備える。
なお、正極層20は、正極接合層5を備えず、正極合剤層12と正極集電体11とが、接した状態で形成されていてもよい。
また、全固体電池100は、正極合剤層12における正極活物質1の体積および固体電解質2の体積の合計に対する正極活物質1の体積の比である活物質体積比が、正極合剤層12の厚み方向において、正極合剤層12の固体電解質層40界面側から正極集電体11界面側に近くなるほど大きくなり、正極合剤層12の空隙率が、正極合剤層12の厚み方向において、正極合剤層12の固体電解質層40界面側から正極集電体11界面側に近くなるほど小さくなる。活物質体積比は、正極活物質1の体積および固体電解質2の体積の合計に対する正極活物質1の体積の比であり、活物質体積比=正極活物質体積/(正極活物質体積+固体電解質体積)で計算される値である。
図1においては、正極合剤層12は、第1正極合剤層12aおよび第2正極合剤層12bを有し、正極合剤層12において、第1正極合剤層12aは、正極合剤層12の中で正極集電体11により近い側に配置されており、第2正極合剤層12bは、正極合剤層12の中で固体電解質層40により近い側に配置されている。第1正極合剤層12aおよび第2正極合剤層12bは、いずれも正極活物質1および固体電解質2を含有しており、第1正極合剤層12aの活物質体積比(正極活物質体積/[正極活物質体積+固体電解質体積])をa1、第1正極合剤層12aの空隙率(正極合剤層12における空隙4の比率)をb1とし、第2正極合剤層12bの活物質体積比をa2とし、第2正極合剤層12bの空隙率をb2としたとき、a1>a2、かつ、b1<b2という関係を満たす。すなわち、第1正極合剤層12a中の正極活物質1の体積比で表される活物質体積比は、第2正極合剤層12b中の正極活物質1の体積比で表される活物質体積比よりも大きく、かつ、第1正極合剤層12aの空隙率は、第2正極合剤層12bの空隙率よりも小さい。
本実施の形態によれば、固体電解質2は、正極活物質1間を繋ぐことで正極合剤層12の形状を保持し、イオン伝導経路を確保する機能を発現するが、固体電解質2の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成となる正極合剤層12においても、正極合剤層12は、特に固体電解質2の体積比が小さい正極集電体11側に近い部分で空隙率が小さいため、正極合剤層12の形状を保持できる構造的な強度を空隙の影響により失うことなく、かつ、正極合剤層12内のイオン伝導経路を確保できる。
また、正極活物質1の体積比の非常に大きい組成の正極合剤層12を有する高電池容量向けの全固体電池の場合、正極合剤層12内にて正極活物質1同士が近接するため正極活物質1の膨張および収縮に対して相互に拘束力が働くことで、正極合剤層12内部では、クラック等によるダメージが抑制される効果が得られる。正極活物質1の膨張および収縮の影響は、固体電解質層40との界面で顕在化することになるが、本実施の形態によれば、正極合剤層12の厚み方向において、正極合剤層12の正極集電体11界面側から固体電解質層40界面側へ近くなるほど前記正極合剤層内の空隙率が大きいため、正極合剤層12と固体電解質層40との界面で顕在化する正極活物質1の膨張および収縮の影響を、空隙が存在することにより吸収することができ、全固体電池100の耐久性を向上させることが可能となる。
また、全固体電池100は、正極合剤層12、負極合剤層14、および固体電解質層40よりなる群から選ばれた少なくとも一層に含まれる溶剤の濃度が50ppm以下であり、かつ、正極合剤層12、負極合剤層14、および固体電解質層40よりなる群から選ばれた少なくとも一層に含まれるバインダーの濃度が100ppm以下であってもよい。
以下、本実施の形態に係る全固体電池100について、構成ごとに説明する。
[B.正極層]
まず、本実施の形態における正極層20について説明する。本実施の形態における正極層20は、正極集電体11ならびに正極集電体11上に形成され、正極活物質1および固体電解質2を含有する正極合剤層12を備える。
さらに、正極層20は、正極集電体11と正極合剤層12との間に配置され、少なくとも導電剤を含む正極接合層5を備える。
[B−1.正極合剤層]
本実施の形態における正極合剤層12は、少なくとも正極活物質1および固体電解質2を含有する層であり、必要に応じて、導電助剤をさらに含有していてもよい。
[B−1−2.正極活物質]
本実施の形態における正極活物質1は、負極層30よりも高い電位で結晶構造内にリチウム(Li)などの金属イオンが挿入または離脱され、リチウムなどの金属イオンの挿入または離脱に伴って酸化または還元が行われる物質である。正極活物質1の種類は、全固体電池100の種類に応じて適宜選択されればよいが、例えば、酸化物活物質、硫化物活物質等が挙げられる。
本実施の形態における正極活物質1は、例えば、酸化物活物質(リチウム含有遷移金属酸化物)が用いられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiCoPO、LiNiPO、LiFePO、LiMnPO、これらの化合物の遷移金属を1または2の異種元素で置換することによって得られる化合物などが挙げられる。上記化合物の遷移金属を1または2の異種元素で置換することによって得られる化合物としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.5Mn1.5など、公知の材料が用いられる。正極活物質は、1種で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極活物質の形状としては、例えば、粒子状および薄膜状などが挙げられる。正極活物質が粒子状である場合、正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、50nm以上50μm以下の範囲が好ましく、1μm以上15μm以下の範囲内であることがより好ましい。正極活物質の平均粒径を50nm以上とすることで、取扱性が良くなりやすく、一方、平均粒径を50μm以下とすることで、平坦な正極層が得られやすいことから、当該範囲が好ましい。なお、本明細書における「平均粒径」は、レーザ解析および散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積基準の平均径である。
正極活物質の表面は、コート層で被覆されていてもよい。コート層を設ける理由は、正極活物質(例えば酸化物活物質)と固体電解質(例えば、硫化物系固体電解質)との反応を抑制することができるからである。コート層の材料としては、例えば、LiNbO3、Li3PO4、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物が挙げられる。コート層の平均厚さは、例えば、1nm以上10nm以下の範囲内であることが好ましい。
[B−1−2.固体電解質]
以下、本実施の形態における固体電解質について説明する。
図1に示されるように、本実施の形態における正極合剤層12は、正極活物質1と固体電解質2を含有する。固体電解質2は、伝導イオン種(例えば、リチウムイオン)に応じて適宜選択すればよく、例えば、大きくは硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質とに分けることが出来る。
本実施の形態における硫化物系固体電解質の種類は、特に限定しないが、例えば、硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−PおよびLiS−Pなどが挙げられ、特に、リチウムイオン伝導性が優れているためLi、PおよびSを含むことが好ましい。硫化物系固体電解質は、1種で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、硫化物系固体電解質は、結晶質であってもよく、非晶質であってもよく、ガラスセラミックスであってもよい。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成を用いてなる硫化物系固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
本実施の形態においては、硫化物系固体電解質の一形態は、LiSおよびPを含む硫化物ガラスセラミックスであり、LiSおよびPの割合は、モル換算でLiS:P=70:30〜80:20の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、LiS:P=75:25〜80:20の範囲内である。この範囲内の割合が好ましい理由としては、電池特性に影響するリチウム濃度を保ちながら、イオン伝導性の高い結晶構造とするためである。
本実施の形態における硫化物系固体電解質の形状としては、例えば、真球状および楕円球状などの粒子形状ならびに薄膜形状などが挙げられる。硫化物系固体電解質材料が粒子形状である場合、硫化物系固体電解質の平均粒径(D50)は、特に限定されるものではないが、正極層内の密度向上を図りやすくなるため、10μm以下であることが好ましい。
本実施の形態における酸化物系固体電解質について説明する。酸化物系固体電解質の種類は特に限定しないが、LiPON、LiPO、LiSiO、LiSiO、Li0.5La0.5TiO、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、La0.51Li0.34TiO0.74、Li1.5Al0.5Ge1.5(POなどが挙げられる。酸化物系固体電解質は、1種を使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、正極合剤層12、負極合剤層14および固体電解質層40の各層に含まれる固体電解質の種類および粒径は、各層において異なるものを使い分けてもよい。
[B−1−3.バインダー]
以下、本実施の形態におけるバインダーについて説明する。
バインダーは、正極合剤層12内の正極活物質1同士、正極活物質1と固体電解質2との間、固体電解質2同士、正極合剤層12と正極集電体11との間、および、正極合剤層12と固体電解質層40との間の結着の役割を担うが、電池特性に直接寄与するものではないため、正極合剤層12に含まれるバインダーの濃度は100ppm以下であることが望ましい。バインダーの濃度は100ppm以下にすることにより、正極合剤層12内により多くの正極活物質1を含有させることが可能となり高電池容量化に繋がる。また、バインダーがイオン伝導経路および電子伝導経路を妨げることによる全固体電池100の内部電気抵抗の上昇を防止でき、全固体電池100の充放電特性が向上する。
なお、本明細書において、濃度とは、特に断りのない限り、重量基準濃度である。
具体的にバインダーとは、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムおよびウレタンゴム等の合成ゴム、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコールならびに塩素化ポリエチレン(CPE)等が挙げられる。
[B−1−4.導電助剤]
以下、本実施の形態における導電助剤について説明する。
本実施の形態に係る全固体電池100には、正極合剤層12に導電助剤が含まれていてもよい。
導電助剤を添加することで、正極合剤層12内の電子伝導度を増加させることができるため、正極合剤層12中の電子伝導経路を確保することができ、全固体電池100の内部抵抗を下げることができる。これにより、電子伝導経路を通じて伝導できる電流量が増大するため、全固体電池100の充放電特性が向上する。
本実施の形態における導電助剤としては、正極合剤層12の電子伝導度を向上させるものであれば特に限定しないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー等が挙げられる。導電助剤は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[B−2.正極集電体]
正極集電体11には、例えば、アルミニウム、金、白金、亜鉛、銅、SUS、ニッケル、スズ、チタン、または、これらの2種以上の合金などからなる箔状体、板状体、網目状体などが用いられる。
また、正極集電体11の厚さおよび形状などについては、全固体電池の用途に応じて適宜選択してよい。
また、含まれるバインダーの濃度が100ppm以下である正極合剤層12と正極集電体11との接着については、後述する製造工程において、正極合剤層12形成後にプレスされることで、正極合剤層12が正極集電体11に食込み接着力を得る。ここで、製造工程の詳細は後述するが、更に正極合剤層12と正極集電体11との接着力を高めるために、図1および図2の(a)に示されるように、正極合剤層12を形成する側の正極集電体11上に、導電性を持ち、かつ、正極活物質1よりも硬度の低い、カーボンなどの導電性炭素材料の導電剤を主成分とする正極接合層5を形成することが望ましい。これにより、図2の(b)に示されるように、正極合剤層12をロール7でプレスした際に、正極合剤層12が正極接合層5へ食込むことが促進され、正極接合層5と正極合剤層12の接着力が高くなる。また、正極接合層5には、少量のバインダーが含まれるため、バインダーの接着力により、正極接合層5と正極集電体11との接着力が高くなる。よって、正極接合層5を介して、正極集電体11と正極合剤層12とが接合させることにより、電子伝導度を損なうことなく正極集電体11と正極合剤層12との接着力を高くすることができる。
[B−3.正極接合層]
正極接合層5は、導電剤が主成分であり、バインダーも含まれる。正極接合層5の役割は、正極集電体11と正極合剤層12とを正極接合層5を介して接合することである。
導電剤は、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー等の導電性炭素材料が挙げられる。導電剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
バインダーとしては、上述のバインダーを用いればよいことから、ここでの説明は省略する。
[C.負極層]
本実施の形態における、負極層30について、図1を用いて説明する。
本実施の形態における負極層30は、例えば、金属箔からなる負極集電体13と、負極集電体13上に形成された負極合剤層14と、を備える。
[C−1.負極合剤層]
負極合剤層14は、最低限、負極活物質3と固体電解質2を含んで構成される膜である。
負極合剤層14は、負極合剤層14に含まれるバインダーの濃度は100ppm以下であることが望ましい。また、負極合剤層14には、導電助剤が含まれていてもよい。バインダーおよび導電助剤の詳細については、正極合剤層と同様である。
[C−1−1.負極活物質]
以下、本実施の形態における負極活物質3について説明する。
負極活物質は、正極合剤層12よりも低い電位で結晶構造内にリチウムなどの金属イオンが挿入または離脱され、リチウムなどの金属イオンの挿入または離脱に伴って酸化または還元が行われる物質である。
本実施の形態における負極活物質3としては、例えば、リチウム、インジウム、スズ、ケイ素といったリチウムとの易合金化金属、ハードカーボン、黒鉛などの炭素材料、あるいは、LiTi12、SiOなどの酸化物活物質等の、公知の材料が用いられる。また、負極活物質3としては、上述した負極活物質を適宜混合した複合体等も用いてもよい。
負極合剤層14に含まれる負極活物質と固体電解質との割合は、重量換算で負極活物質/固体電解質=重量比とした場合に、重量比が0.67以上19以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1以上5.67以下の範囲内である。この重量比の範囲内が好ましい理由としては、負極合剤層14内でのイオン伝導経路と電子伝導経路の両方を確保するためである。
[C−1−2.固体電解質]
固体電解質については、[B.正極層]の項で上述した固体電解質を用いればよいため、ここでの説明を省略する。
[C−1−3.バインダー]
バインダーについても、[B.正極層]の項で上述したバインダーを用いればよいため、ここでの説明を省略する。
[C−1−4.導電助剤]
導電助剤についても、[B.正極層]の項で上述した導電助剤を用いればよいため、ここでの説明を省略する。
[C−2.負極集電体]
負極集電体13には、例えば、SUS、金、白金、亜鉛、銅、ニッケル、チタン、スズ、または、これらの2種以上の合金などからなる箔状体、板状体、網目状体などが用いられる。
また、負極集電体13の厚さおよび形状などについては、全固体電池の用途に応じて適宜選択してもよい。
[D.固体電解質層]
本実施の形態における、固体電解質層40について、図1を用いて説明する。
本実施の形態における固体電解質層40は、少なくとも、イオン伝導性を有する固体電解質2を含む。バインダーは、電池特性に直接寄与するものではないため、固体電解質層40に含まれるバインダーの濃度は、100ppm以下であることが望ましい。これにより、バインダーがイオン伝導経路を妨げることによる全固体電池100の内部電気抵抗の上昇を防止でき、全固体電池100の充放電特性が向上する。
[D−1.固体電解質]
固体電解質については、[B.正極層]の項で上述した固体電解質を用いればよいため、ここでの説明を省略する。
[D−2.バインダー]
バインダーについては、[B.正極層]の項で上述したバインダーを用いればよいため、ここでの説明を省略する。
[E.その他の構成]
本実施の形態に係る全固体電池100には、図示しないが、正極集電体11の正極合剤層12とは反対側の表面に端子(金属製正極リード)を溶接して取り付けられてもよく、負極集電体13の負極合剤層14とは反対側の表面に端子(金属製負極リード)を溶接して取り付けられてもよい。こうして端子が取り付けられて得られた全固体電池、または複数個の上記全固体電池が接続して得られた電池群は、電池用ケースに収納され、正極リードおよび負極リードが電池用ケースの外部に導出され、電池用ケースを封止されるように構成された全固体電池としてもよい。
以上が、本実施の形態における全固体電池100の説明である。
[F.製造方法]
[F−1.全固体電池の製造方法]
本実施の形態に係る全固体電池100の製造方法は、例えば、正極合剤層12を有する正極層20、負極合剤層14を有する負極層30、および固体電解質層40を準備する成膜工程と、準備した正極層20、負極層30、および固体電解質層40を、正極合剤層12と負極合剤層14との間に固体電解質層40が配置されるように合わせ、または、積層し、積層構造体を得る積層工程と、得られた積層構造体に積層方向上下からプレスを行うプレス工程と、を有する。
[F−2.正極層の成膜工程]
本実施の形態における正極層20の成膜工程は、正極集電体11上に正極合剤層12を形成する工程である。正極層20の成膜工程は、例えば、正極集電体11上に粉体状態の(スラリー化していない)固体電解質2、正極活物質1および必要に応じて導電助剤を混合した正極合剤を均一に積層する粉体積層工程と、粉体積層工程により得られた積層体をプレスする粉体プレス工程と、を含む。
一方、正極層20の他の製造方法として、正極活物質1、固体電解質2、ならびに必要に応じてバインダーおよび導電助剤を有機溶剤に分散させてスラリーを作製し、得られたスラリーを正極集電体11の表面に塗布する塗布工程と、得られた塗膜を加熱乾燥させて有機溶剤を除去する乾燥および焼成工程と、正極集電体11上に形成された乾燥塗膜をプレスする塗膜プレス工程と、を含む成膜工程により作製してもよい。バインダーは、電池特性に直接寄与するものではないため、正極合剤にバインダーを含有しないことが望ましい。もしくは、正極合剤に含まれるバインダーの濃度は、100ppm以下であることが望ましい。
また、有機溶剤によりスラリー化する場合、正極合剤層12に残留した有機溶剤の影響により固体電解質のイオン伝導度低下が生じたり、有機溶剤を除去するために巨大な乾燥設備が必要となり、乾燥設備の初期投資コストおよびエネルギー消費によるランニングコストが非常に大きくなったりするため、上述のスラリー化していない粉体状態の材料を用いて、有機溶剤を用いないで成膜する方法、もしくは、正極合剤層12に含まれる溶剤の濃度が50ppm以下となるように微少量の溶剤を用いて成膜する方法が望ましい。
また、局所的な活物質体積比が、正極合剤層の固体電解質層界面側から正極集電体界面側に向けて間歇的に増加する組成分布を有する正極合剤層の形成方法としては、例えば、正極活物質1および固体電解質2の体積比が異なる比率で含まれる正極合剤をプレス成形することで複数の正極合剤層を形成し、得られた複数の正極合剤層を貼り合わせて一体化させる方法、正極活物質1および固体電解質2の体積比が異なる比率で含まれる正極合剤層形成用インクを重ね塗りする方法、正極活物質1および固体電解質2の体積比が異なる比率で含まれる正極合剤をCVD蒸着、PVD蒸着などによって重ねて形成する方法等を挙げることができる。このとき、正極合剤層形成用インクとしては、正極合剤を溶媒に分散させてスラリー状にしたものを用いてもよいが、上述のように有機溶剤の影響による電池特性の低下および乾燥設備によるコスト増加を避けるため、有機溶剤を用いないで成膜する方法、もしくは正極合剤層12に含まれる溶剤の濃度が50ppm以下となるように微少量の溶剤を含む正極合剤で成膜する方法が望ましい。
また、局所的な活物質体積比が、正極合剤層の固体電解質層界面側から正極集電体界面側に向けて連続的に増加する組成分布を有する正極合剤層の形成方法としては、例えば、正極活物質1および固体電解質2の体積比が連続的な勾配を有するように、スパッタ法、インクジェット法などによって正極合剤層を形成する方法、正極集電体(例えば、アルミニウム箔等)に正極活物質1および固体電解質2が均一に混合された正極合剤を塗布し、磁力をかけて正極活物質1を動かすことにより、正極合剤を塗布した界面において正極活物質1が多い組成となるように形成する方法等を挙げることができる。このとき、正極合剤を溶媒に分散させてスラリー状にしたものを用いる場合は、上述のように有機溶剤の影響による電池特性の低下および乾燥設備によるコスト増加を避けるため、有機溶剤を用いないで成膜する方法、もしくは正極合剤層に含まれる溶剤の濃度が50ppm以下となるように微少量の溶剤を含む正極合剤で成膜する方法が望ましい。
ここで有機溶剤の測定方法は特に限定されず、例えば、ガスクロマトグラフィー、質量変化法等を挙げることができる。
また、正極層20が正極接合層5を備える場合には、正極合剤層12を形成する前に、正極集電体11上に、導電剤とバインダーとを含むペーストを塗布し、乾燥させることにより、正極接合層5を形成する。そして、正極集電体11に形成された正極接合層5上に、上述の方法により正極合剤層12を形成する。
正極合剤層12を形成した後、正極合剤層12の密度を向上させるため、また、正極合剤層12と正極集電体11との接着性を高めるために、正極合剤層12を積層方向上下からプレスしてもよい。
本実施の形態における正極合剤層12は、1層からなる単層構造であってもよく、図1に示されるように2層以上の層からなる多層構造であってもよい。また、正極合剤層12の厚さは、例えば、1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上200μm以下の範囲内であることがより好ましい。正極合剤層12の厚さを1μm以上にすることで、十分な電気容量が得られやすく、正極合剤層12の厚さを300μm以下にすることで、電気抵抗が増加しにくく、電池の出力特性が低下しにくくなる。なお、正極合剤層12の厚さは、正極合剤層12が複数の層からなる場合は、各正極合剤層の総厚みとする。
本実施の形態における正極合剤層12が2層構造の場合、例えば、図1に示されるように、正極集電体11により近い側に配置された第1正極合剤層12a、および、固体電解質層40により近い側に配置された第2正極合剤層12bからなる正極合剤層12が用いられる。
正極合剤層12の厚みに対する第1正極合剤層12aの厚みの比率(第1正極合剤層12aの厚み/正極合剤層12の厚み)は、例えば、0.3以上0.9以下の範囲内である。正極合剤層12の厚みに対する第1正極合剤層12aの厚みの比率を0.3以上とすることで、正極活物質1の含まれる比率が大きい第1正極合剤層12aの厚みが確保されるため、十分な容量を得ることができる。正極合剤層12の厚みに対する第1正極合剤層12aの厚みの比率を0.9以下(すなわち正極合剤層12の厚みに対する第2正極合剤層12bの厚みの比率を0.1以上)とすることで、固体電解質2の含まれる比率が比較的大きい第2正極合剤層12bの厚みが確保されるため、固体電解質2による十分なイオン伝導パスを確保することができる。
正極合剤層12の中で正極集電体11側の第1正極合剤層12aにおいて、第1正極合剤層12aにおける正極活物質1の含有量としては、第1正極合剤層12aに含まれる正極活物質1の合計の体積が、第1正極合剤層12aに含まれる固体電解質2の合計の体積よりも大きいことが好ましく、つまり、活物質体積比(正極活物質体積/[正極活物質体積+固体電解質体積])が0.5より大きいことが好ましく、0.7より大きいことがより好ましい。第1正極合剤層12aに含まれる正極活物質1の合計の体積が、第1正極合剤層12aに含まれる固体電解質2の合計の体積よりも大きいことが好ましい理由としては、正極合剤層12内でのリチウムイオン量を増加でき、高電池容量の全固体電池を実現できるからである。
また、正極合剤層12の中で固体電解質層40側の第2正極合剤層12bにおいても、第2正極合剤層12bに含まれる正極活物質1の合計の体積が、第2正極合剤層12bに含まれる固体電解質2の合計の体積以上であることが好ましく、つまり、活物質体積比(正極活物質体積/[正極活物質体積+固体電解質体積])が0.5以上であることが好ましく、0.5より大きいことがより好ましい。また、第2正極合剤層12bにおいて、固体電解質2によるイオン伝導経路を確保するため、活物質体積比は、0.85以下であることが好ましい。
特に、固体電解質2は、正極活物質1間を繋ぐことで正極合剤層12の形状を保持し、イオン伝導経路を確保する機能を発現するが、正極合剤層12に含まれる、電池特性に直接寄与しないバインダーの濃度が100ppm以下であり、かつ、活物質体積比が0.7より大きいような、固体電解質の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成を有する正極合剤層12においては、正極合剤層12を形成した後、正極合剤層12をプレスすることが望ましい。これにより、正極活物質1よりも柔らかい固体電解質2が正極活物質1に押し付けられること、および、固体電解質2の焼結を促進させることで、正極合剤層12を押し固めることが可能となり、正極合剤層12の形状保持が可能となる。
粉体プレス工程および塗膜プレス工程については、例えば、生産性を考慮すると連続処理が可能なロールプレスが望ましい。
図2および図3は、正極集電体上に形成された正極合剤層をロールプレスする工程を示す模式図である。図2には、第1正極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bを有する正極合剤層12が示されており、図3には、第1正極合剤層12cおよび第2正極合剤層12dを有する正極合剤層22が示されている。また、図2は、第2正極合剤層12bにおいて、活物質体積比が0.5以上である場合を示し、図3は、第2正極合剤層12dにおいて、活物質体積比が0.5未満である場合を示す。
図2の(a)には、正極集電体11上に正極接合層5を介して正極合剤層12が積層された状態の断面が示されており、図2の(b)には、図2の(a)の積層体のロールプレス中の断面が示されている。また、図3の(a)には、正極集電体11上に、正極合剤層22が積層された積層体のロールプレス開始時の状態の断面が示されており、図3の(b)には、図3の(a)の積層体のロールプレス中の断面が示されている。
ロール7により直接プレスされる第2正極合剤層12bにおいて、活物質体積比が0.5以上である場合、図2の(b)に示されるように、第2正極合剤層12b内において、流動性が低く硬度の高い正極活物質1が多数を占めることで、ロールプレスにより加えた力が、拡散することなく、正極合剤層12の中で正極集電体11により近い側に配置された第1正極合剤層12aまで十分に伝えられる。よって、正極合剤層12全体が均一にプレスされて押し固められることから、バインダーの濃度が100ppm以下であり、固体電解質2の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成を有する正極合剤層12においても、正極合剤層12の形状を保持することか可能となる。つまり、図2の(a)および(b)に示されるように、正極合剤層12にロールプレスしても形状の変化がほとんど無い。また、ロールプレスにより加えた力が、拡散することなく、正極合剤層12の中で正極集電体11により近い側に配置された第1正極合剤層12aまで十分に伝えられることで、第1正極合剤層12a内において、流動性をもつ固体電解質2を正極活物質1間の隙間に十分に押し広げることが可能となり、最小限の固体電解質2にて正極活物質1同士を十分に密着させ、イオン伝導経路を確保することができると共に、第1正極合剤層12aの空隙率を低減することが可能となる。
これに対し、ロールプレスの際に、固体電解質層40側のロール7により直接プレスされる第2正極合剤層12dにおいて、活物質体積比が0.5未満である場合、図3の(a)および(b)に示されるように、流動性の高い固体電解質2が多数を占めることで、固体電解質2の流動により、第2正極合剤層12dが面方向外側に広がる。これにより、ロールプレスにより加えた力が、拡散し、正極合剤層22の中で正極集電体11により近い側に配置された第1正極合剤層12cまで十分に伝わらない。よって、第1正極合剤層12c内での固体電解質2を正極活物質1間の隙間に十分に押し広げることが困難になると共に、第1正極合剤層12c内の固体電解質2を押し固めることができなくなった結果、正極合剤層12の形状を保持することが困難となる。
また、ロールプレスの際に、熱を加えることで、更なる固体電解質2の流動性向上および焼結促進の効果が得られるため、より望ましい。
また、正極合剤層12の空隙率は、正極合剤層12の固体電解質層界面側から集電体界面側に近くなるほど小さくなっていればよいが、例えば、正極合剤層12内のいずれの場所においても、0.05%以上35%以下の範囲内であることが好ましく、0.1%以上15%以下の範囲内であることがより好ましい。
ここで、空隙率について、本実施の形態における正極合剤層12が第1正極合剤層12aおよび第2正極合剤層12bからなる2層構造の場合について説明する。
一般的に、正極合剤層の空隙率が小さすぎる場合、正極活物質の膨張および収縮による機械的な変位を、空隙が十分に吸収しきれず、正極合剤層12に反り、歪み、クラック等が生じる可能性があり、正極合剤層12の空隙率が大きすぎる場合、正極合剤層12の電気抵抗が増加する可能性がある。
しかし、正極合剤層12に含まれる、電池特性に直接寄与しないバインダーの濃度が100ppm以下であり、かつ、活物質体積比が0.7より大きいような、固体電解質の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成を有する、正極集電体11側の第1正極合剤層12aにおいては、正極活物質1間を繋ぐ機能が空隙により損なわれやすく、第1正極合剤層12aの形状を保持することが困難となりやすいため、空隙率を小さくすることが望ましい。ここで、バインダーの濃度が100ppm以下であり、かつ、活物質体積比が0.7より大きいような、固体電解質の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成を有する、正極集電体11側の第1正極合剤層12aにおいては、正極活物質1同士が近接するため正極活物質1の膨張および収縮に対して相互に拘束力が働くことで、第1正極合剤層12a内でのクラック等によるダメージが抑制される効果が得られる。そのため、第1正極合剤層12aの活物質体積比が0.7より大きい場合には、第1正極合剤層12aの活物質体積比が0.7以下の場合と比較して、正極活物質1の膨張および収縮による変位を吸収するための空隙は少なくてもよいため、空隙率を小さく設定してもよい。
一方で、正極活物質1の膨張および収縮の影響は、活物質体積比が比較的小さい正極合剤層12の固体電解質層40側の界面で顕在化することになるため、正極合剤層12における固体電解質層40側の第2正極合剤層12bでは、正極活物質1の膨張および収縮による機械的な変位を吸収するために十分な空隙を有する必要がある。
そこで、本実施の形態によれば、正極活物質1を多く含み、固体電解質2の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成を有する、正極集電体11側の第1正極合剤層12aにおいては空隙率を小さくし、第1正極合剤層12aよりも固体電解質層40側に第1正極合剤層12aよりも空隙率の大きな第2正極合剤層12bを設けることが望ましい。これにより、正極活物質1を多く含み、固体電解質2の体積比が非常に小さい高電池容量向け組成を有する正極合剤層12においても、正極合剤層12の形状が保持できる構造的な強度を空隙の影響により失うことなく、かつ、十分なイオン伝導経路を確保できると共に、正極合剤層12と固体電解質層40との界面で顕在化する正極活物質1の膨張および収縮の影響を第2正極合剤層12bの空隙により吸収することができる。よって、正極合剤層12に正極活物質1が多量に含まれるために高電池容量となる全固体電池100の耐久性を向上させることが可能となる。第1正極合剤層12aの空隙率は、例えば、0.05%以上8%以下の範囲内であることが好ましく、0.1%以上5%以下であることがより好ましい。第2正極合剤層12bの空隙率は、第1正極合剤層12aよりも空隙率が大きい範囲内で、例えば、5%以上35%以下の範囲内であることが好ましく、8%以上15%以下の範囲内であることがより好ましい。
なお、正極合剤層12の空隙率とは、正極合剤層12の見かけ上の体積に対して、正極合剤層12の中で空隙が占める体積の割合であり、正極合剤層12の重量および正極合剤層12に含まれる各材料の密度から算出される各材料の体積の合計と、実際の見かけ上の正極合剤層12の体積とから算出することにより求めることができる。つまり、空隙率は、
空隙率(%)=(見かけ上の体積−各材料の体積の合計)×100/見かけ上の体積
により算出される。
また、正極合剤層12の空隙率は、正極合剤層12を形成する際に調整することができ、具体的には、正極合剤層12を構成する材料をプレス成形する際のプレス圧力およびプレス温度、正極合剤層12を構成する材料の分散度合等により調整することができる。
[F−3.負極層の成膜工程]
本実施の形態における負極層30の成膜工程は、使用する活物質を負極活物質3に変更する点以外は、基本的に正極層20の成膜工程と同じであることから、ここでの説明を省略する。
[F−4.固体電解質層の成膜工程]
本実施の形態における固体電解質層40の成膜工程は、使用する材料を活物質や導電助剤を用いず固体電解質に変更する点、ならびに、正極層20上、負極層30上、および、別の基材上の少なくともいずれかに形成する点以外は、基本的に正極層20の成膜工程と同じであることから、ここでの説明を省略する。
[F−5.積層工程およびプレス工程]
積層工程では、成膜工程により得られた正極層20、負極層30、および固体電解質層40を、正極合剤層12と負極合剤層14との間に固体電解質層40が配置されるように積層し、積層構造体を得る。プレス工程では、積層工程で得られた積層構造体に、正極集電体11および負極集電体13の積層方向外側からプレスを行い、全固体電池100を得る。
プレス工程の目的は、正極合剤層12、負極合剤層14および固体電解質層40の密度(充填率)を増加させることである。密度(充填率)を増加させることで、正極合剤層12、負極合剤層14および固体電解質層40において、リチウムイオン伝導性および電子伝導性を向上させることができ、良好な電池特性が得られる。
(変形例)
以下に、実施の形態の変形例について、図4を用いて説明する。なお、以下の変形例の説明において、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略または簡略化する。
図4は、実施の形態の変形例における全固体電池200の概略断面図である。図4には、正極層120において、正極合剤層112が1層である場合が示されている。正極合剤層112が1層の場合、正極合剤層112において正極集電体11に近い部分の活物質体積比は、例えば、0.7以上であることが好ましい。また、正極合剤層112において正極集電体11に近い部分の空隙率は、例えば、0.05%以上8%以下の範囲内であることが好ましく、0.1%以上5%以下であることがより好ましい。ここで、「正極合剤層112において正極集電体11に近い部分」とは、積層方向において、正極合剤層112と正極接合層5(正極接合層5が設けられていない場合は正極集電体11)との界面からの距離が、正極合剤層112の厚みの1/10以内の領域(図4においてAで示される領域)を指すものとする。
また、正極合剤層112のうち固体電解質層40に近い部分の活物質体積比は、正極合剤層112において正極集電体11に近い部分よりも活物質体積比が小さい範囲で、例えば、0.5以上であることが好ましい。また、正極合剤層112のうち固体電解質層40に近い部分の空隙率は、正極合剤層112において正極集電体11に近い部分よりも空隙率が大きい範囲内で、例えば、5%以上35%以下の範囲内であることが好ましく、8%以上15%以下の範囲内であることがより好ましい。ここで、「正極合剤層112において固体電解質層40に近い部分」とは、積層方向において、正極合剤層112と固体電解質層40との界面からの距離が正極合剤層12の厚みの1/10以内の領域(図4においてBで示される領域)を指すものとする。
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る全固体電池について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、第1正極合剤層と第2正極合剤層の2層を有する正極合剤層を備える全固体電池であったが、これに限られず、3層以上の異なる組成の正極合剤層を備える正極合剤層としてもよい。また、本開示の効果を妨げない範囲で、局所的には、正極合剤層の活物質体積比が、正極合剤層の固体電解質層界面側から集電体界面側に向かって増加していない部分がってもよく、正極合剤層の空隙率が、正極合剤層の固体電解質層界面側から集電体界面側に向かって減少していない部分があってもよい。
本開示による正極層、負極層、固体電解質層、およびそれを用いた全固体電池は、携帯電子機器などの電源や、車載電池など様々な電池への応用が期待される。
1 正極活物質
2 固体電解質
3 負極活物質
4 空隙
5 正極接合層
7 ロール
11 正極集電体
12、112 正極合剤層
12a 第1正極合剤層
12b 第2正極合剤層
13 負極集電体
14 負極合剤層
20、120 正極層
30 負極層
40 固体電解質層
100、200 全固体電池

Claims (10)

  1. 正極集電体、ならびに、前記正極集電体上に形成され、少なくとも正極活物質および固体電解質を含む正極合剤層を備える正極層と、
    負極集電体、ならびに、前記負極集電体上に形成され、少なくとも負極活物質および固体電解質を含む負極合剤層を備える負極層と、
    前記正極合剤層と前記負極合剤層との間に配置され、少なくともイオン伝導性を有する固体電解質を含む固体電解質層と、
    を備え、
    前記正極合剤層における前記正極活物質の体積および前記固体電解質の体積の合計に対する前記正極活物質の体積の比である活物質体積比が、前記正極合剤層の厚み方向において、前記正極合剤層の前記固体電解質層界面側から前記正極集電体界面側に近くなるほど大きくなり、
    前記正極合剤層の空隙率が、前記正極合剤層の厚み方向において、前記正極合剤層の前記固体電解質層界面側から前記正極集電体界面側に近くなるほど小さくなる、
    全固体電池。
  2. 前記正極合剤層、前記負極合剤層、および前記固体電解質層よりなる群から選ばれた少なくとも一層に含まれる、溶剤の濃度が50ppm以下であり、かつ、バインダーの濃度が100ppm以下である、
    請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記正極合剤層において、前記正極集電体に近い部分の前記活物質体積比が、0.7より大きい、
    請求項1または2に記載の全固体電池。
  4. 前記正極合剤層において、前記固体電解質層に近い部分の前記活物質体積比が、0.5以上である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体電池。
  5. 前記正極合剤層は、前記正極集電体側に配置された第1正極合剤層と、前記固体電解質層側に配置された第2正極合剤層と、を有し、
    前記第1正極合剤層における前記活物質体積比が、前記第2正極合剤層における前記活物質体積比よりも大きく、
    前記第1正極合剤層の空隙率が、前記第2正極合剤層の空隙率よりも小さい、
    請求項1または2に記載の全固体電池。
  6. 前記第1正極合剤層における前記活物質体積比が、0.7より大きい、
    請求項5に記載の全固体電池。
  7. 前記第1正極合剤層における空隙率が、0.05%以上8%以下である、
    請求項5または6に記載の全固体電池。
  8. 前記第2正極合剤層における前記活物質体積比が、0.5以上である、
    請求項5〜7のいずれか1項に記載の全固体電池。
  9. 前記第2正極合剤層の空隙率が、5%以上35%以下である、
    請求項5〜8のいずれか1項に記載の全固体電池。
  10. 前記正極層は、前記正極集電体と前記正極合剤層との間に配置され、少なくとも導電剤を含む正極接合層をさらに備える、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の全固体電池。
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