JP2012243472A - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間保存後も可撓性を維持し、高い機械的強度を呈するグリーンシートを提供する。
【解決手段】電極活物質層と固体電解質層とを含む全固体電池の製造方法であって、少なくとも固体電解質とバインダーとを溶媒に分散させた固体電解質スラリーを、塗布及び乾燥して固体電解質シートを作製する工程、並びに、少なくとも電極活物質とバインダーとを溶媒に分散させた活物質スラリーを、塗布及び乾燥して電極活物質シートを作製する工程のうち少なくとも一方の工程を含み、前記固体電解質スラリー及び前記活物質スラリーの少なくとも一方が、前記溶媒として、第一の溶媒と、該第一の溶媒よりも沸点の高い第二の溶媒と、を含むことを特徴とする、全固体電池の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関する。
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。各種電池の中でも、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウム電池が注目されている。
リチウム電池は、一般的に、正極活物質を含む正極活物質層と、負極活物質を含む負極活物質と、これら電極活物質層の間に介在する電解質層とを有し、さらに、必要に応じて、正極活物質層の集電を行う正極集電体や負極活物質層の集電を行う負極集電体とを有する。
正極活物質層と負極活物質層との間に配置される電解質層として、可燃性の有機電解液を用いるリチウム電池は、液漏れの他、短絡や過充電などを想定した安全対策が欠かせない。特に、高出力、高容量の電池は、さらなる安全性の向上が求められる。そこで、電解質として、硫化物系固体電解質や酸化物系固体電解質等の固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池等、全固体電池の研究開発も進められている。
全固体電池は、例えば、いわゆるグリーンシート工法により作製することができる(例えば、特許文献1〜3等参照)。グリーンシートとは、焼成前の無機酸化物等のセラミックスの粉体に、バインダー、溶媒等を混合した混合スラリーを、塗布や印刷等により薄板状に成形した未焼成体を意味する。グリーンシートは、一般的には、混合スラリーを離型処理したPET等のキャリアフィルム上に塗布、乾燥して成形し、フィルムを剥離することにより得られるが、積層する相手材、例えば、積層する相手のグリーンシートや集電体等の表面にスラリーを直接塗布、乾燥することで成形することもできる。
具体的には、特許文献1には、第一の固体電解質の両側に正極及び負極を備え、該固体電解質と該正極及び該負極の少なくとも一方の間に第一の固体電解質と異なり、且つリチウムイオン伝導性を有する第二の固体電解質層を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池が記載されている。
また、特許文献2には、少なくとも熱処理後にリチウムイオン伝導性を呈する無機化合物粉末及び有機バインダーを含むグリーンシートを焼成してイオン伝導性固体電解質を製造する方法において、前記無機化合物粉末及び有機バインダーを混合してスラリーを作製するスラリー製造工程と、前記スラリーをキャリアフィルムへと塗布して塗膜を作製する塗膜工程と、塗膜を乾燥させる乾燥工程と、前記塗膜を前記キャリアフィルムから剥離してグリーンシートを作製する剥離工程と、前記グリーンシートを積層して積層体を作製する積層工程と、を含み、前記剥離工程直後の前記塗膜の含水率が0.1〜5%であることを特徴とするイオン伝導性固体電解質を製造する方法が記載されている。
また、特許文献3には、固体電解質の両側に正極と負極を備え、該正極と該負極の外側にそれぞれ集電体を備えるリチウム二次電池において、該集電体の少なくとも一つが粘弾性体を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池が記載されている。
特開2009−181872号公報 特開2010−108882号公報 特開2009−181874号公報
本発明者が鋭意検討した結果、グリーンシート工法において、固体電解質シートや電極活物質シートを作製するスラリーが、低沸点溶媒を含む場合、該スラリーを乾燥させたシートは、標準状態で保存すると、溶媒の揮発に伴い可撓性を失って強度が経時低下し、キャリアフィルムから剥離する際に破れやすいという知見を得た。すなわち、低沸点の溶媒を用いたスラリーをキャリアフィルムに塗布、乾燥して形成した固体電解質シートや電極活物質シートは、長期保存に不適であることを見出した。
また、グリーンシート工法において、各スラリーに添加される成分、特に、粉体成分をスラリー中に高分散させることが、シートの機械的強度や、該粉体成分により付与される特性の良好な発現等の観点から非常に重要である。
しかしながら、従来、スラリーの乾燥後に得られる固体電解質シートや電極活物質シートについて、標準状態での保存による強度の経時的低下は充分に検討されておらず、該経時的低下の抑制、特に該経時的低下の抑制とスラリーにおける各成分の分散性の両立は難しかった。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、長期間保存後も可撓性を維持し、高い機械的強度を呈するグリーンシートの提供を可能とする全固体電池の製造方法を提供することである。
本発明の全固体電池の製造方法は、電極活物質層と固体電解質層とを含む全固体電池の製造方法であって、
少なくとも固体電解質とバインダーとを溶媒に分散させた固体電解質スラリーを、塗布及び乾燥して固体電解質シートを作製する工程、並びに、少なくとも電極活物質とバインダーとを溶媒に分散させた活物質スラリーを、塗布及び乾燥して電極活物質シートを作製する工程のうち少なくとも一方の工程を含み、
前記固体電解質スラリー及び前記活物質スラリーの少なくとも一方が、前記溶媒として、第一の溶媒と、該第一の溶媒よりも沸点の高い第二の溶媒と、を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法により提供される固体電解質シート及び/又は電極活物質シートは、長期保存後も、可撓性が維持されるため、ハンドリング性に優れる。
前記第二の溶媒の沸点は、大気圧下、89℃以上であることが好ましい。第二の溶媒が、このような沸点を有することで、固体電解質シート及び/又は電極活物質シートの膜質の経時劣化をより確実に抑制することができる。
前記第一の溶媒の比誘電率は、24以上であることが好ましい。第一の溶媒がこのような比誘電率を有することで、固体電解質シート及び/又は電極活物質シートを構成する固体電解質や電極活物質等の粉体成分の分散性を向上させることができる。
前記第一の溶媒と前記第二の溶媒の混合比(体積比)は、第一及び第二の溶媒の合計体積を100とした時に、80:20〜40:60の範囲であることが好ましい。第一の溶媒と第二の溶媒の比率が上記範囲であることによって、固体電解質シート及び/又は電極活物質シートの経時的な膜質劣化の抑制と、粉体成分の分散性とのバランスに優れた固体電解質シート及び/又は電極活物質シートを得ることができる。
本発明によれば、長期間保存後も可撓性を維持し、高い機械的強度を呈する固体電解質グリーンシート及び/又は電極活物質グリーンシートを作製することが可能である。
全固体電池の一形態例を示す断面図である。 実施例1及び2と比較例1の結果を示す写真である。 実施例3〜5と比較例2の結果を示す写真である。
本発明の全固体電池の製造方法は、電極活物質層と固体電解質層とを含む全固体電池の製造方法であって、
少なくとも固体電解質とバインダーとを溶媒に分散させた固体電解質スラリーを、塗布及び乾燥して固体電解質シートを作製する工程、並びに、少なくとも電極活物質とバインダーとを溶媒に分散させた活物質スラリーを、塗布及び乾燥して電極活物質シートを作製する工程のうち少なくとも一方を含み、
前記固体電解質スラリー及び前記活物質スラリーの少なくとも一方が、前記溶媒として、第一の溶媒と、該第一の溶媒よりも沸点の高い第二の溶媒と、を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法により作製できる全固体電池の一形態例を図1に示す。図1は全固体電池の断面図である。
図1において、全固体電池8は、正極1と負極2との間に固体電解質層3が介在するように配置されている。
正極1は、正極活物質層4と、正極活物質層4の集電を行う正極集電体5と、から構成されている。負極2は、負極活物質層6と、負極活物質層6の集電を行う負極集電体7と、から構成されている。
全固体電池の製造方法として、いわゆるグリーンシート工法がある。グリーンシート工法では、まず、固体電解質シート、及び、電極活物質シートを、電池構造同様に重ね合わせた状態で熱圧着して積層体を形成する。固体電解質シート及び電極活物質シートは、各材料を分散させたスラリーを乾燥して成形され、脱脂処理や焼結処理を経て、それぞれ固体電解質層、電極活物質層となるものである。次に、上記積層体を加熱して固体電解質シートや電極活物質シート中に含まれるバインダーを加熱除去(脱脂)し、さらに、該積層体を焼結することで固体電解質シート及び電極活物質シートを緻密化する。
本発明の製造方法は、固体電解質層となる固体電解質シート、及び、電極活物質層となる電極活物質シートの少なくとも一方を、沸点の異なる2種以上の溶媒を含むスラリーを用いて形成する点に大きな特徴を有している。すなわち、本発明では、スラリーの溶媒として、第一の溶媒と、該第一の溶媒より沸点の高い第二の溶媒とを組み合わせて使用する。
第二の溶媒は、第一の溶媒と比較して揮発しにくいため、スラリーを塗布、乾燥して得られる固体電解質シートや電極活物質シートに、第二の溶媒を残留させることができる。その結果、残留した第二の溶媒によって、シート内のバインダーを適度に膨潤させることができる。シート中のバインダーの膨潤状態が維持されることで、長期保存後もシートの可撓性が維持されるため、本発明により提供される固体電解質シート及び/又は電極活物質シートは、安定した膜強度を呈する。例えば、本発明の製造方法により作製された固体電解質シートや電極活物質シートは、長期保存後、キャリアフィルムからシートを剥離する際にも、破れ等の破損が生じ難い。
以上のように、本発明によれば、膜強度の経時劣化が抑制された、長期保存が可能な固体電解質シート及び/又は電極活物質シートを作製することが可能である。
以下、本発明の全固体電池製造方法について詳細に説明する。
(固体電解質シート作製工程・電極活物質シート作製工程)
まず、少なくとも固体電解質とバインダーとを溶媒に分散させた固体電解質スラリーを、塗布及び乾燥して固体電解質シートを作製する工程(固体電解質シート作製工程)、並びに、少なくとも電極活物質とバインダーとを溶媒に分散させた活物質スラリーを、塗布及び乾燥して電極活物質シートを作製する工程(電極活物質シート作製工程)について説明する。
固体電解質シートは、固体電解質層となる部材であり、少なくとも固体電解質及びバインダーを溶媒に分散させた固体電解質スラリーを成形して形成することができる。また、電極活物質シートは、電極活物質層となる部材であり、少なくとも電極活物質とバインダーとを溶媒に分散させた活物質スラリーを成形して形成することができる。
本発明において、これらのシート作製工程において使用される固体電解質スラリー及び活物質スラリーの少なくとも一方は、溶媒として、第一の溶媒と、該第一の溶媒よりも沸点の高い第二の溶媒とを含む。
第一の溶媒は、例えば、各スラリーにおける構成成分の分散性や各スラリーの塗布性等を考慮して、適宜選択することができ、特に限定されるものではない。
本発明者は、固体電解質や電極活物質等の粉体成分のスラリー化について検討したところ、エタノールをスラリーの溶媒として用いることによって、粉体成分の分散性が著しく向上することを見出した。発明者は、さらに検討を進めた結果、溶媒として、エタノールのような極性溶媒を用いることによって、スラリーの構成成分の分散性、特に粉体成分の分散性が向上可能であることを見出した。このような観点から、第一の溶媒は、極性溶媒、具体的には比誘電率が24以上であることが好ましく、特に、比誘電率が30以上であることが好ましい。尚、溶媒の比誘電率は、文献から入手することができるほか、公知の方法で測定することができる。
また、第一の溶媒の沸点は、スラリーの塗布性が確保できれば特に限定されず、通常、70℃以上であることが好ましい。一方、スラリーの乾燥によるシートの成形性の観点からは、第一の溶媒の沸点は、100℃以下であることが好ましい。尚、本発明において各溶媒の沸点は大気圧下における値とする。
第一の溶媒として、具体的には、エタノール(比誘電率24)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(比誘電率38)、メタノール(比誘電率33)等が挙げられ、中でも、コスト、入手しやすさ、安全性等の観点から、エタノール(比誘電率24)が好適である。
第二の溶媒は、第一の溶媒よりも沸点が高ければ特に限定されない。このような沸点の高い溶媒を第一の溶媒と組みわせることで、第一の溶媒が揮発した後もシートの膜強度低下を抑制することができる。
上述したような本発明の効果(長期間にわたる固体電解質シート及び電極活物質シートの膜強度の維持)をより確実に得るためには、第二の溶媒の沸点は、89℃以上であることが好ましく、特に90℃以上であることが好ましい。第二の溶媒の沸点が上記範囲であることによって、スラリーの乾燥によるシートの成形後も、第二の溶媒がより確実にシート内に残留し、シートの可撓性を確保することができるからである。一方、スラリーの乾燥によるシートの成形性の観点からは、第二の溶媒の沸点は、120℃以下であることが好ましく、特に100℃以下であることが好ましい。
第二の溶媒は、主にシートの可撓性維持に寄与するものであり、スラリーの分散性については、特に考慮しなくてもよいが、好ましくは、比誘電率が15以上、特に18以上であることが好ましい。
第二の溶媒としては、例えば、酢酸イソプロピル(沸点89℃)、1−ブタノール(沸点117℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、ターピネオール(沸点約217℃)等が挙げられ、中でも、酢酸イソプロピル(沸点89℃)、1−ブタノール(沸点117℃)等が好適である。
各スラリーにおいて、第一の溶媒と第二の溶媒との混合比(体積比)は特に限定されないが第一及び第二の溶媒の合計体積を100としたときに、第一の溶媒:第二の溶媒=80:20〜40:60であることが好ましく、特に第一の溶媒:第二の溶媒=80:20〜50:50であることが好ましい。
尚、固体電解質スラリー、活物質スラリーは、上記第一の溶媒及び第二の溶媒以外の溶媒を含んでいてもよく、また、第一の溶媒及び第二の溶媒は、それぞれ1種でも2種以上であってもよい。
固体電解質スラリーは、上記第一の溶媒及び第二の溶媒を含む混合溶媒に、少なくとも固体電解質とバインダーとを分散させたものである。
固体電解質は、伝導イオン種(例えば、リチウムイオン)に応じて適宜選択すればよく、例えば、酸化物系固体電解質や硫化物系固体電解質の非晶質体(ガラス体)、結晶体、及びガラスセラミックス等が挙げられる。
例えば、酸化物系固体電解質としては、例えば、NASICON型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、LISICON型酸化物、ガーネット型酸化物等が挙げられる。以下、リチウム電池に使用可能な酸化物系固体電解質の具体例を挙げる。
NASICON型酸化物としては、例えば、以下に示す各材料及び各元素の組成比が異なる類似の材料が挙げられる。すなわち、Li(XはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Sb及びSeよりなる群から選択される少なくとも1種であり、YはTi、Zr、Ge、In、Ga、Sn及びAlよりなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.5<a<5.0、0≦b<2.98、0.5≦c<3.0、0.02<d≦3.0、2.0<b+d<4.0、3.0<e≦12.0の関係を満たす)で表される酸化物を挙げることができる。特に、上記式において、X=Al、Y=Tiである酸化物(Li−Al−Ti−P−O系NASICON型酸化物)、及び、X=Al、Y=Ge若しくはX=Ge、Y=Alである酸化物(Li−Al−Ge−P−O系NASICON型酸化物)が好ましく、具体的には、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO[LAGPと称することがある]が挙げられる。
ペロブスカイト型酸化物としては、例えば、LiLa1−xTiO等で表される酸化物(Li−La−Ti−O系ペロブスカイト型酸化物)を挙げることができる。
LISICON型酸化物としては、例えば、以下に示す各材料及び各元素の組成比が異なる類似の材料が挙げられる。すなわち、LiXO−LiYO(XはSi、Ge、及びTiから選ばれる少なくとも1種であり、YはP、As及びVから選ばれる少なくとも1種である)、LiXO−LiAO(XはSi、Ge、及びTiから選ばれる少なくとも1種であり、AはMo及びSから選ばれる少なくとも1種である)、LiXO−LiZO(XはSi、Ge、及びTiから選ばれる少なくとも1種であり、ZはAl、Ga及びCrから選ばれる少なくとも1種である)、並びに、LiXO−LiBXO(XはSi、Ge、及びTiから選ばれる少なくとも1種であり、BはCa及びZnから選ばれる少なくとも1種である)、LiDO−LiYO(DはB、YはP、As及びVから選ばれる少なくとも1種である)等が挙げられる。特に、LiSiO−LiPO、LiBO−LiPO等が好ましい。
ガーネット型酸化物としては、例えば、Li3+x2−v12で表される酸化物及び各元素の組成比が異なる類似の材料を挙げることができる。ここで、A、G、MおよびBは金属カチオンである。Aは、Ca、Sr、Ba及びMg等のアルカリ土類金属カチオン、又は、Zn等の遷移金属カチオンであることが好ましい。また、Gは、La、Y、Pr、Nd、Sm、Lu、Eu等の遷移金属カチオンであることが好ましい。また、Mとしては、Zr、Nb、Ta、Bi、Te、Sb等の遷移金属カチオンを挙げることができ、中でもZrが好ましい。また、Bは、例えばInであることが好ましい。xは、0≦x≦5を満たすことが好ましく、4≦x≦5を満たすことがより好ましい。yは、0≦y≦3を満たすことが好ましく、0≦y≦2を満たすことがより好ましい。zは、0≦z≦3を満たすことが好ましく、1≦z≦3を満たすことがより好ましい。vは、0≦v≦2を満たすことが好ましく、0≦v≦1を満たすことがより好ましい。なお、Oは部分的に、または、完全に二価アニオン及び/又は三価のアニオン、例えばN3−と交換されていてもよい。ガーネット型酸化物としては、LiLaZr12が等のLi−La−Zr−O系酸化物が好ましい。
硫化物系固体電解質としては、特に限定されず、例えば、以下に示す各材料及び各元素の組成比が異なる類似の材料が挙げられる。すなわち、LiS−P、LiS−SiS、Li3.250.25Ge0.76、Li4−xGe1−x、Li11、LiS−SiS−LiPO等のガラス体及び結晶体が挙げられる。
酸化物系固体電解質は、硫化物系固体電解質と比較して硬いため、固体電解質として酸化物系固体電解質を用いる場合、固体電解質シートにおけるバインダーの使用量が、通常増加する。従って、酸化物系固体電解質を用いる場合、第二の溶媒によるバインダーの膨潤によって固体電解質シートに付与される膜強度(可撓性)の度合いが高くなる。そのため、酸化物系固体電解質を用いる場合、本発明の製造方法が奏する効果は、硫化物系固体電解質を用いる場合と比較して大きいものとなる。
固体電解質の粒径は特に限定されないが、平均粒径が、0.01〜10μmであることが好ましく、特に0.01〜0.5μmであることが好ましい。固体電解質の粒径は、例えば、マイクロトラック(日機装社製)等により測定することができる。
固体電解質スラリーにおける固体電解質の含有量は、例えば、40〜90wt%であることが好ましく、特に60〜90wt%であることが好ましい。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。中でも、薄膜製膜時のシート強度の観点から、PVBが好適である。
固体電解質スラリーにおけるバインダーの含有量は、例えば、5〜30wt%であることが好ましく、特に5〜10wt%であることが好ましい。
固体電解質スラリーは、固体電解質、バインダー及び溶媒以外のその他成分を含んでいてもよい。例えば、その他成分としては、例えば、分散剤、可塑剤等を挙げることができる。
分散剤は、固体電解質の固体電解質スラリーにおける分散性を向上させるものであり、用いる固体電解質によって選択すればよいが、例えば、カルボン酸系、アミン系、リン酸系等が挙げられ、具体的には、カルボン酸系として、G−700(共栄社化学製)、KD−9(CRODA製)等、アミン系として、KD−2(CRODA製)、SOLSPERS41000(ルーブリゾール製)等の高分子アミン系、リン酸系としてSOLSPERS20000(ルーブリゾール製)等を例示することができる。
可塑剤は、固体電解質シートに柔軟性や弾力性を付与するものであり、固体電解質シートの取り扱い性向上や隣接して積層される層(シート)との接着性向上に寄与する。例えば、フタル酸ジブチル、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、セルロースアセテート、フタル酸ジオクチル(DOP)等を挙げることができる。
固体電解質スラリーの調製方法は特に限定されないが、バインダーを分散させた溶媒に、固体電解質を分散させる方法が好ましい。
固体電解質シートは、固体電解質スラリーを成形して作製することができる。
具体的には、固体電解質スラリーを、ブレード法(例えばドクターブレード法)、カレンダー法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、オフセット法、ダイコート法、スプレー法等により、キャリアフィルム上に塗布、乾燥することで成形することができる。キャリアフィルムは、固体電解質シートから剥離される。キャリアフィルムを剥離するタイミングは適宜設定できる。キャリアフィルムとしては、例えば、離型処理したPETフィルム等の一般的なものを用いることができる。
或いは、固体電解質シートを積層する相手のグリーンシート、又は、その他の全固体電池の構成部材の表面に、固体電解質スラリーを直接塗布、乾燥して、固体電解質シートを成形することもできる。
固体電解質シートは、固体電解質層の厚さが1〜500μm、特に1〜100μmの範囲となるように、固体電解質スラリーを塗布することが好ましい。固体電解質層の厚さが薄いことによりリチウムイオン等の伝導イオンが移動しやすいので、電池の出力が高くなる。また、固体電解質層の厚さが薄いことにより、電池全体の厚さが薄くなるため、単位体積当たりの容量を大きくすることができる。固体電解質スラリーの乾燥は、特に限定されず、例えば、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥等が挙げられる。乾燥雰囲気は、特に限定されず、例えば、大気雰囲気下で行うことができる。また、自然乾燥の具体的な条件としては、例えば、標準状態が挙げられる。
活物質スラリーは、上記第一の溶媒及び第二の溶媒を含む混合溶媒に、少なくとも電極活物質(正極活物質又は負極活物質)及びバインダーを分散させたものである。
電極活物質は、伝導イオン種や、形成する電極活物質層の種類(正極活物質層又は負極活物質層)に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、リチウム二次電池の正極活物質としては、具体的には、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNiCo1−y−xMn)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、鉄オリビン(LiFePO)、コバルトオリビン(LiCoPO)、マンガンオリビン(LiMnPO)、チタン酸リチウム(LiTi12)、リン酸バナジウムリチウム(Li(PO)[LVPと称することがある。]等のリチウム遷移金属化合物、銅シュブレル(CuMo)、硫化鉄(FeS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)等のカルコゲン化合物などが挙げられる。
また、リチウム二次電池の負極活物質としては、伝導イオン種、典型的には金属イオンの放出又は放出・取り込みが可能なものであれば特に限定されず、例えば、チタン酸リチウム(LiTi12)、リン酸バナジウムリチウム(LVP)等のリチウム遷移金属酸化物、LaNiSn等の金属合金、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。
尚、正極活物質及び負極活物質として同じ化合物を用いることもできる。
電極活物質の粒径は特に限定されないが、平均粒径が、0.01〜10μmであることが好ましく、特に0.01〜0.5μmであることが好ましい。
活物質スラリーにおける電極活物質の含有量は、例えば、40〜90wt%であることが好ましく、特に60〜90wt%であることが好ましい。
活物質スラリーは、電極活物質、バインダー及び溶媒以外のその他成分を含んでいてもよい。例えば、その他成分としては、例えば、バインダー、導電助剤、分散剤、可塑剤、電極触媒等を挙げることができる。バインダー、分散剤、可塑剤としては、固体電解質スラリーと同様のものを用いることができる。
導電助剤は、電極活物質層の導電性向上を目的として用いることができる。具体的な材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、導電性炭素材料が挙げられる。導電性炭素材料としては特に限定されないが、反応場の面積や空間の観点から、高比表面積を有する炭素材料が好ましい。具体的には、導電性炭素材料は10m/g以上、特に100m/g以上、さらに600m/g以上の比表面積を有することが好ましい。高比表面積を有する導電性炭素材料の具体例として、カーボンブラック、活性炭、カーボン炭素繊維(例えばカーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー等)等を挙げることができる。ここで、導電性材料の比表面積は、たとえばBET法によって測定することができる。
活物質スラリーの調製方法は特に限定されないが、バインダーを用いる場合には、バインダーを分散させた溶媒に、電極活物質等の粉体成分を分散させる方法が好ましい。
電極活物質シートは、活物質スラリーを成形して作製することができる。
具体的には、上記固体電解質シートの作製において、固体電解質スラリーの代わりに活物質スラリーを用いることで、電極活物質シートを作製することができる。
電極活物質シートは、電極活物質層の厚さが10〜100μmの範囲となるように、活物質スラリーを塗布することが好ましい。
(その他工程)
<積層体形成工程>
上記のようにして得られる固体電解質シートや電極活物質シートは、通常、重ね合わせて熱圧着され、積層体が形成される。各シート間の熱圧着条件は、バインダーの軟化点以上に加熱して各シート間を圧着することができれば特に限定されないが、例えば、50〜120℃の加熱下、5〜100kNで加圧した状態を、30秒〜10分間保持することで、電極活物質シートと固体電解質シートとを熱圧着することができる。
尚、積層体は、固体電解質シートの一方の面のみに電極活物質シートを積層した2層構造を有していてもよいし、或いは、固体電解質シートを、2枚の電極活物質シート(すなわち、正極活物質シートと負極活物質シート)で挟み込んだ3層構造を有していてもよい。或いは、さらに、上記3層構造以上の多層構造を有していてもよい。
<脱脂工程>
次に、積層体を、加熱焼成して、固体電解質シートや電極活物質シート中に含まれるバインダーを熱分解させる(脱脂工程)。脱脂工程の加熱温度、雰囲気は、適宜設定すればよい。
<焼結工程>
固体電解質シート及び電極活物質シートは、通常、高温で加熱する焼結工程を経て、それぞれ、固体電解質層及び電極活物質層を形成する。固体電解質シートを高温で加熱することによって、固体電解質粉体間が密着した緻密な固体電解質層を形成することができる。固体電解質粉体同士が密着することで、固体電解質層における高いイオン伝導性が確保される。また、電極活物質シートを高温で加熱することによって、電極活物質、さらに固体電解質等のその他の粉体同士が密着した電極活物質層を形成することができる。電極活物質や固体電解質等の粉体同士が密着することで、電極反応が円滑に進行する電極活物質層が得られる。
焼結工程は、脱脂工程の後に設けることができる。脱脂工程後の積層体を構成する成分の酸化、特に電極活物質の酸化を防止するために、焼結工程は、通常、不活性雰囲気下で行う。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、ヘリウム雰囲気等が挙げられる。
焼結工程における加熱温度や、雰囲気等の諸条件は、適宜設定することができる。
脱脂工程後又は焼結工程後、得られた積層体が固体電解質層の一方の面のみに電極活物質層が設けられた構造を有する場合には、固体電解質層のもう一方の面に電極活物質層を積層することで、正極活物質層と負極活物質層との間に固体電解質層が介在する電池を形成することができる。
電極活物質層には、集電体を設けることができる。集電体の配置のタイミングは特に限定されず、脱脂工程前であっても脱脂工程後であってもよく、また、焼結工程前であっても焼結工程後であってもよい。
正極集電体としては、所望の電子伝導性を有していれば、その構造や形状、材料に特に限定はないが、材料としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銅等の金属材料、カーボンファイバー、カーボンペーパー等のカーボン材料、窒化チタン等の高電子伝導性セラミックス材料等が挙げられる。電池ケースが正極集電体としての機能を兼ね備えていてもよい。
負極集電体としては、所望の電子伝導性を有していれば、その構造や形状、材料に特に限定はないが、材料としては、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。電池ケースが負極集電体としての機能を有していてもよい。
(その他)
正極、負極、固体電解質層を収納する電池ケースとしては、コイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等の一般的な形状を有するものを用いることができる。
全固体電池が、正極、固体電解質層、負極の順番で配置されている積層体を、繰り返し何層も重ねる構造を取る場合には、安全性の観点から、正極および負極の間に、セパレータを有することが好ましい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;および樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
また、各電極の集電体には、それぞれ、外部との接続部となる端子を設けることができる。
[実施例1]
(固体電解質シートの作製)
固体電解質(LAGP)と、分散剤(カルボン酸系)と、バインダー(ブチラール系;PVB)と、可塑剤(DOP)とを、第一の溶媒(エタノール、沸点78℃)と第二の溶媒(酢酸イソプロピル、沸点89℃)の混合溶媒(エタノール:酢酸イソプロピル(体積比)=50:50)に分散させ、固体電解質スラリーを調製した。
上記固体電解質スラリーを、ブレード塗工により、離型PETフィルム上に塗工し、標準状態下、自然乾燥させて固体電解質シートを製膜した。
(固体電解質シートの保存安定性の評価)
上記にて作製した固体電解質シートについて、次のようにして、その保存安定性を評価した。すなわち、製膜直後、並びに、製膜1日後、2日後、3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後、及び3ヶ月後に、上記製膜した固体電解質シートを、上記PETフィルムから、ピンセットを用いて剥がし、シートが破れずに剥がせるかどうかを確認した。
結果を表1及び図2(A)に示す。尚、図2(A)は、実施例1の固体電解質シートを、製膜3ヵ月後、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
[実施例2]
実施例1において、第二の溶媒として、酢酸イソプロピルの代わりに1−ブタノール(沸点117℃)を用い、且つ、第一の溶媒と第二の溶媒の体積比を50:50としたこと以外は、同様にして、固体電解質シートを作製し、その保存安定性を評価した。
結果を表1及び図2(B)に示す。尚、図2(B)は、実施例2の固体電解質シートを、製膜3ヵ月後、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
[比較例1]
実施例1において、第二の溶媒を用いなかったこと以外は、同様にして、固体電解質シートを作製し、その保存安定性を評価した。
結果を表1並びに図2(C)及び(D)に示す。尚、図2(C)は、比較例1の固体電解質シートを、製膜3日後(C)及び製膜1週間後(D)、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
表1及び図2に示すように、エタノールとエタノールよりも高沸点の溶媒(第二の溶媒)とを併用した実施例1及び実施例2の固体電解質シートは、製膜直後から製膜3カ月後までの長期間にわたって、膜強度を維持し、高い保存安定性を示した(図2(A)、(B)参照)。
これに対して、エタノールのみを溶媒として用いた比較例1の固体電解質シートは、製膜直後から製膜3日後までは、キャリアフィルムから破れずに剥離できたものの(図2(C)参照)、1週間後には、キャリアフィルムから剥がす際に破れてしまった(図2(D)参照)。
実施例1及び2の固体電解質シートは、エタノールと上記第二の溶媒とを併用したスラリーを用いて製膜されたために、第二の溶媒によりバインダーの膨潤状態が維持され、固体電解質シートが安定した可撓性を示し、上記のような優れた保存安定性を示したと考えられる。一方、比較例1の固体電解質シートは、溶媒としてエタノールのみを含むスラリーを用いて製膜されたために、エタノールの揮発により固体電解質シートの可撓性が維持されず、膜強度が低下したため、上記のように破れてしまったと考えられる。尚、第二の溶媒のみを含むスラリーでは、粉体成分の分散性が悪く、製膜が不可能であった。
[実施例3]
(電極活物質シートの作製)
電極活物質(LVP)と、分散剤(カルボン酸系)と、バインダー(ブチラール系;PVB)と、可塑剤(DOP)とを、第一の溶媒(エタノール、沸点78℃)と第二の溶媒(酢酸イソプロピル、沸点89℃)の混合溶媒(エタノール:酢酸イソプロピル(体積比)=50:50)に分散させ、活物質スラリーを調製した。
上記活物質スラリーを、ブレード塗工により、離型PETフィルム上に塗工し、標準状態下、自然乾燥させて電極活物質シートを製膜した。
(電極活物質シートの保存安定性の評価)
上記にて作製した電極活物質シートについて、次のようにして、その保存安定性を評価した。すなわち、製膜直後、並びに、製膜1日後、2日後、3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後、及び3ヶ月後に、上記製膜した電極活物質シートを、上記PETフィルムから、ピンセットを用いて剥がし、シートが破れずに剥がせるかどうかを確認した。
結果を表2及び図3(A)に示す。尚、図3(A)は、実施例3の電極活物質シートを、製膜3ヵ月後、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
[実施例4]
実施例3において、第二の溶媒として、酢酸イソプロピルの代わりに1−ブタノール(沸点117℃)を用い、且つ、第一の溶媒と第二の溶媒の混合比を50:50としたこと以外は、同様にして、活物質シートを作製し、保存安定性を評価した。
結果を表2及び図3(B)に示す。尚、図3の(B)は、実施例4の活物質シートを、製膜3ヵ月後、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
[実施例5]
実施例4において、粉体成分として、上記電極活物質(LVP)に加えて、固体電解質(LAGP)と導電助剤(CNT)とを添加したこと以外は、同様にして、電極活物質シートを作製し、保存安定性を評価した。
結果を表2及び図3(C)に示す。尚、図3(C)は、実施例5の電極活物質シートを、製膜3ヵ月後、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
[比較例2]
実施例3において、第二の溶媒を用いなかったこと以外は、同様にして、電極活物質シートを作製し、保存安定性を評価した。
結果を表2並びに図3(D)に示す。尚、図3の(D)は、比較例2の電極活物質シートを、製膜1週間後、キャリアフィルムであるPETフィルムから剥離した際の写真である。
表2及び図3に示すように、エタノールとエタノールよりも高沸点の溶媒(第二の溶媒)とを併用した実施例3〜5の電極活物質シートは、製膜直後から製膜3カ月後までの長期間にわたって、膜強度を維持し、高い保存安定性を示した(図3(A)〜(C)参照)。
これに対して、エタノールのみを溶媒として用いた比較例2の電極活物質シートは、製膜直後から製膜3日後までは、キャリアフィルムから破れずに剥離できたものの、1週間後には、キャリアフィルムから剥がす際に破れてしまった(図3(D)参照)。
実施例3〜5の電極活物質シートは、エタノールと上記第二の溶媒とを併用して製膜されたために、第二の溶媒によりバインダーの膨潤状態が維持され、電極活物質シートが安定した可撓性を示し、上記のような優れた保存安定性を示したと考えられる。特に、実施例5の結果から、粉体成分の割合が増加しても、これら粉体成分の分散性を確保したまま、バインダーの膨潤による可撓性の維持効果が得られることがわかる。一方、比較例1の電極活物質シートは、溶媒としてエタノールのみを含むスラリーを用いて製膜されたために、エタノールの揮発により電極活物質シートの可撓性が維持されず、シート強度が低下したため、上記のように破れてしまったと考えられる。尚、第二の溶媒のみを含むスラリーでは、粉体成分の分散性が悪く、製膜が不可能であった。
1…正極
2…負極
3…固体電解質層
4…正極活物質層
5…正極集電体
6…負極活物質層
7…負極集電体
8…全固体電池

Claims (4)

  1. 電極活物質層と固体電解質層とを含む全固体電池の製造方法であって、
    少なくとも固体電解質とバインダーとを溶媒に分散させた固体電解質スラリーを、塗布及び乾燥して固体電解質シートを作製する工程、並びに、少なくとも電極活物質とバインダーとを溶媒に分散させた活物質スラリーを、塗布及び乾燥して電極活物質シートを作製する工程のうち少なくとも一方の工程を含み、
    前記固体電解質スラリー及び前記活物質スラリーの少なくとも一方が、前記溶媒として、第一の溶媒と、該第一の溶媒よりも沸点の高い第二の溶媒と、を含むことを特徴とする全固体電池の製造方法。
  2. 前記第二の溶媒の沸点が、大気圧下、89℃以上である、請求項1に記載の全固体電池の製造方法。
  3. 前記第一の溶媒の比誘電率が24以上である、請求項1又は2に記載の全固体電池の製造方法。
  4. 前記第一の溶媒と前記第二の溶媒の混合比(体積比)が、第一及び第二の溶媒の合計体積を100とした時に、80:20〜40:60の範囲である、請求項1乃至3のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
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