JP2017107827A - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び非水系電解質二次電池 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び非水系電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のリチウムニッケル複合酸化物粒子が有する初期電池性能が同程度に維持され、かつ、ペースト状組成物のゲル化が抑制される。優れる非水系電解質二次電池用正極活物質を提供する。【解決手段】 表面に配置される表層部とそれ以外の中心部とを有し、組成がLitNi1−x−yCoxM1yM2zO2+α(式中、M1は、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、M2は、Al及びNbのうち少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15、0<z≦0.03、0≦α≦0.1を示す。)で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子からなり、M2は、前記表層部に含まれる、非水系電解質二次電池用正極活物質等を提供することによる。【選択図】図1

Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び非水系電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型コンピューターの高性能化及び急激な普及に伴って、これらに用いる二次電池に対して、小型、軽量化、高容量の要望が高まってきている。リチウム二次電池に代表される非水系電解質二次電池は、ニッケルカドミウム電池又はニッケル水素電池に比べて電池電圧が高く、高エネルギー密度であり、上記の分野で急速に普及している。また、非水系電解質二次電池は、最近の環境問題を背景に、電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用電源としても期待されている。特に、ハイブリッド自動車は、エネルギー貯蔵用の電池として高い出力密度を必要とし、これに用いられる非水系電解質二次電池は、高放電特性と高サイクル安定性が要求されている。
非水系電解質二次電池の正極活物質には、α−NaFeO構造を有するコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、スピネル型構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn)などに代表されるようなリチウム遷移金属複合酸化物の粉体が主に用いられている。特に最近では、高容量を必要とするEV用途でニッケル酸リチウムに主としてコバルトとアルミニウムを添加した組成式LitNi1−x−yCoxMyO2(式中Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が注目されている。これら正極活物質の合成は、一般にリチウム化合物(LiCO、LiOH等)粉末と遷移金属化合物(MnO、NiO、Co等)粉末を混合し、乾燥、焼成して得られたリチウム遷移金属酸化物を、解砕して正極活物質とする方法が広く採用されている。
正極活物質の課題には幾つかあり、そのひとつとしてサイクル特性の改善が挙げられる。サイクル低下原因としては、充放電を繰り返すうちに正極活物質の表面は電解液との反応により一部分解され、正極活物質内の成分が溶け出して負極やセパレータ表面に付着し、充放電容量の低下を招く等、正極活物質の表面状態が電池のサイクル特性、放電特性に大きな影響を与えるといわれている。
そこで、特許文献1では、サイクル特性を改善するため、組成式LiNi(式中、Mは、Co、Alのうち少なくとも一種)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物に、Al、Mg、Sn、Ti、Zn、及びZrのうち少なくとも一つを含む有機金属化合物を添加して、機械的に解砕し、その後、400℃以上700℃以下の温度で熱処理を行って得られる正極活物質が提案されている。このように、複合酸化物の粒子表面に機械的な解砕により、有機金属化合物を付着させた後、高温処理して得られる正極活物質は、添加物(有機金属化合物)の効果により複合酸化物の粒子表面が安定化され、サイクル特性の改善がみられることが記載されている。
特許文献2では、粒子表面のみの結晶構造の安定化させ、サイクル特性を改善するためにNi(OH)とLiOHとAl(OH)とを配合し、700℃の温度で5時間熱処理した後に、組成式LixNiyMzO2(式中、Mは、Co、Alのうち少なくとも一種)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面から0.5μm以上の内部領域にアルミニウムが高濃度層を形成させ、サイクル特性の改善がみられることが記載されている。
一方、サイクル以外の課題として、正極活物質を含むペースト状組成物(ペースト状組成物にはスラリー状組成物及びインク状組成物が含まれる。)が長期間保存するとゲル状になって、集電体上に均一に塗膜できなくなることが挙げられる。
非水系電解質二次電池は、通常、正極、負極およびセパレータを電池容器内に配置し、有機溶媒による非水系電解液を充たして構成されている。また、正極は、正極活物質を含むペースト状組成物を、アルミニウム箔等の集電体上に塗布し、加圧成形することにより製造され、電極材料が層状に形成された構造(以下、「正極合材層」という。)を形成する。
上記ペースト状組成物は、正極活物質に、重量比で数〜数十%程度の炭素粉等の導電剤を混ぜ、さらに、VDF(ポリフッ化ビリニデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の結着材(バインダー)を混練して、製造される。このペースト状組成物を集電体箔上に厚み20〜100μmで塗布した後、ペースト状組成物が塗布された集電体箔を乾燥し、プレス(加圧成形)して、正極合材層を形成する。ここで、炭素粉等の導電剤は、集電体と正極活物質との間または活物質相互間の電気伝導を更に高めるため、正極活物質よりも電気伝導の高い材料としてよく使用される。
ところで、上記ペースト状組成物を調製する際に使用する溶媒には、水系溶媒(例えば、水)または水溶性の有機溶媒(例えば、N−メチルピロリドン)が採用されている(例えば、特許文献2)。そのため、溶媒の含有する水分により、正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面からリチウムイオンが溶媒中に溶出し、組成物自体が強アルカリ性を呈することがある。このようにアルカリ性を呈する組成物では、ペースト状組成物に含まれる結着剤の分解、或いは結着剤の凝集(ゲル化)や正極活物質の凝集が発生することがある。また、湿度の高い場所で作業することで、外気から水分が流入し、ペースト状組成物がゲル化しやすい状況にある。
このような結着剤などの分解や凝集は、ペースト状組成物の粘度の増加や接着力の低下を招き、さらには複合酸化物粉末の分散性が低下するため、集電体上に所望する厚みで均一な組成の正極合材層を形成することが困難となる場合がある。厚みや組成が不均一であると、充放電時における電池反応性が悪化し、さらには電池の内部抵抗の増加の原因ともなるため好ましくない。
そこで、特許文献3では、上記結着剤などの分解や凝集を抑制するため、LiNi1−y(0.98≦x≦1.06、0.05≦y≦0.30、AはCo、Alのうち少なくとも1種)で与えられ、5gを純水100g中に120分間撹拌混合した後、30秒間静置して得られる上澄みのpHが、25℃において12.7以下である非水電解質二次電池用正極活物質が提案されている。
また、特許文献4では、正極活物質表面に、金属有機化合物とミセル化した界面活性剤とが分散して付着したゲル被膜を形成するゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程で得られた上記ゲル被膜を焼成することにより、上記界面活性剤を分解除去し、正極活物質表面にリチウムイオンの移動可能な細孔が形成された多孔性金属酸化物被覆層を形成する焼成工程と、を有することを特徴とする多孔性金属酸化物被覆正極活物質の製造方法が提案されている。
特開2005−346956号 特開平8−138670号 特開2003−31222号公報 特開2009−200007号公報
しかし、引用文献1に記載される複合酸化物粒子は、粒子表面が高濃度の添加物で安定化したことによりLi挿入/離脱が低下し、更に解砕時の粒子表面へのダメージから初期の充放電特性が低下してしまう。また引用文献2に記載される複合酸化物粒子は、表層部を添加元素で高濃度するために添加量を過剰に加える必要があるため、Li挿入/離脱が抑制されて充放電容量が低下する。これらの安定化した表層は緻密な層状にはなっていないため、Li溶出のための保護層として機能せずにゲル化を改善するには至らない。
一方、引用文献3に記載される正極活物質は、pHを制御することにより、耐ゲル化性が改善することが記載されているが、その具体的な製造方法に関しては言及されていない。また、特許文献4に記載される正極活物質の製造方法によれば、多孔性金属酸化物被覆層により電解液等との反応による正極活物質の劣化を効果的に抑制してサイクル特性を向上させることができることが記載されているが、正極合材層の製造に用いられるペーストにおける上記問題点に関しては検討されていない。
すなわち、LiNiO系の正極活物質で問題となっている充放電時のサイクル特性の劣化については、その従来の抑制方法として、充放電時の電解液との反応を抑制するために、正極活物質表面に全体を覆う程の厚みのある酸化物被覆膜を設けて粒子表面のバリア性を上げるか、粒子表面を異種元素と反応を起こさせて構造を変えて安定化させるものであった。しかし酸化物被覆膜を形成することの弊害として、酸化物被覆膜が充放電時のLi挿入/離脱を低下させるため、初期充放電容量が悪化する現象が起こってしまう。同様に粒子表面で異種元素と反応を起こさせて構造を変えても、初期充放電容量が悪化する。
一方、もうひとつの問題であるゲル化については、その従来からの抑制方法として、水との接触で起こるリチウムイオンの溶出を防ぐために、正極活物質表面全体を緻密な膜で覆い、粒子表面を保護するものであった。しかし緻密な膜を形成することの弊害としてはサイクル特性の時と同様に、緻密な膜が充放電時のLi挿入/離脱を低下させるため、初期充放電容量の悪化が起こってしまう。また粒子表面を異種元素と反応を起こさせて構造を変えても、従来の添加方法では表面の反応が局所的で有るため、緻密に表面全体を覆う層状とはならずにリチウムイオンの溶出を防ぐまでには至らない。
そこで、本発明は、前記複合酸化物粒子が本来持つ充放電特性などの初期電池性能を阻害せず、ペースト状組成物のゲル化を長期的に抑制するとともに、高いサイクル特性を有する二次電池を得ることができる非水系電解質二次電池用正極活物質及びそれらの簡便な製造方法とを提供することにある。
本発明の第1の態様では、非水系電解質二次電池用正極活物質は、表面に配置される表層部とそれ以外の中心部とを有し、組成がLiNi1−x−yCo 2+α(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、Mは、Al及びNbのうち少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15、0<z≦0.03、0≦α≦0.1を示す。)で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子からなり、Mは、表層部に含まれる。
また、Mは、その粒子表面から中心へ向かう方向において、その濃度が低くなるような濃度勾配を有してもよい。また、前記Mの少なくとも一部は、前記複合酸化物粒子中のNi、Coの少なくとも一部と反応して生成物を形成してなってもよい。また、生成物の少なくとも一部は、組成式AB(Aは、NiおよびCoのうち少なくとも1種の金属元素であり、Bは、Mである。)で表されるスピネル型結晶相からなってもよい。
また、表層部の厚みが、10nm以上100nm以下であってもよい。また、正極活物質は、複合酸化物の粒子の表面の少なくとも一部を被覆した被覆層をさらに有し、被覆層は、Mを前記表層部よりも高濃度で含んでもよい。また、被覆層は、平均粒径1nm以上20nm以下の微粒子を含んでもよい。また、Al又はNbの含有量が、正極活物質全体に対して、0.02質量%以上3.0質量%以下の範囲にあってもよい。また、正極活物質は、X線回折のリートベルト解析により求められるa軸長さが2.8647以上2.8655以下、c軸長さが14.1801以上14.890以下であってもよい。また、被覆層の厚みが、0.1nm以上20nm以下であってもよい。また、正極活物質0.1gを24℃の純水50mlに加えた後、10分間撹拌したスラリーのpHが11.2以下であり、正極活物質9.5gと、バインダーとしてフッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5g、さらに水0.2gを加えて自公転練り込み機によりスラリー状にした後、24℃で3日間静止保管してもゲル化しなくてもよい。
また、表層部は、組成がLiNi1−x−yCo(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15)で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子からなる母材の表面上に、Al及びNbのうち少なくとも一種を含む被覆層前駆体を形成した後、熱処理により前記被覆層前駆体と前記母材の粒子界面とを反応して形成されてもよい。正極活物質は、電圧範囲3.0V−4.3V、レート0.5Cによる放電容量が、前記母材の初期放電容量に対して3%以内の範囲であってもよい。正極活物質は、充電電位4.1Vで充電して交流インピーダンス法により測定して、得たナイキストプロットから算出された界面抵抗値(Ω)が、前記母材の界面抵抗値に対して2倍以下の範囲であってもよい。
本発明の第2の態様では、上記の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、Al及びNbのうち少なくとも1種を含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を混合し混合液を得た後、混合液にキレート剤を添加して被覆液を得ることと、リチウムニッケル複合酸化物粒子に、被覆液を混合し又は噴霧して、リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に膜厚が3nm以上100nm以下の被覆層前駆体を形成することと、被覆層前駆体を形成した複合酸化物粒子を350℃以上700℃以下の酸素雰囲気中で熱処理することと、を含む。
被覆液は、Al及びNbのうち少なくとも1種を含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を混合して混合液を得た後、混合液にキレート剤を添加し、その後、水を添加して得られ、被覆液は、平均粒径D50が1nm以上20nm以下の微粒子を分散させてなることができる。被覆層前駆体は、前記母材の表面に非連続的に多孔質かつ島状に形成され、透過型電子顕微鏡の断面観察より測定される被覆面積が母材の表面積の80%以上95%以下であってもよい。熱処理は、被覆層前駆体を形成した複合酸化物粒子を、[混合物量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)によって求められる値が33g/分以上1333g/分以下の範囲内で制御した雰囲気で行ってもよい。
本発明の第3の態様では、非水系電解質二次電池は、上記の非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を備える。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物の表面にAl及びNbのうち少なくとも一種を過剰に含む表層部を有し、従来のリチウムニッケル複合酸化物粒子が有する初期電池性能が同程度に維持され、かつ、ペースト状組成物のゲル化が抑制される。また、外気の湿度の影響を受け難いため、二次電池作製時にドライルーム等の湿気を軽減した場所で作業しなくとも、ペースト状組成物のゲル化が抑制され、二次電池作製の作業工程中のハンドリング性が改善される。また、この非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池は、高いサイクル特性を有するために、電池寿命が長くなり実用性も向上する。
実施形態に係る正極活物質の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る正極活物質の製造方法の一例を示す模式図である。 実施形態に係る正極活物質の製造方法の一例を示すフローチャートである。 実施形態に係る正極活物質の製造方法の一例を示すフローチャートである。 電池評価に使用したコイン型電池の概略断面図である。 実施例3で得られた正極活物質をSEM及びTEMで観察した写真である。 実施例7で得られた正極活物質をSEM及びTEMで観察した写真である。 比較例1で得られた正極活物質をSEM及びTEMで観察した写真である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。以下、本実施形態について説明する。
1.非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法
図1は、本実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質1(以下、単に「正極活物質」ともいう。)の一例を示す模式図である。図1(A)に示すように、正極活物質1は、リチウムニッケル複合酸化物粒子2(以下、単に「複合酸化物粒子2」ともいう。)からなり、複合酸化物粒子2は、その表面を含む表層部3と、それ以外の中心部4とを有する。表層部3は、後述するように、従来公知の複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部を改質して形成され、Al及びNbのうち少なくとも1種の元素を含む。表層部3は、
複合酸化物粒子2内への水分の侵入を遮断することができ、正極活物質1のゲル化の抑制と、放電容量の維持及びサイクル特性の改善と、を両立することを可能とする。
また、複合酸化物粒子2は、図1(B)及び図1(C)に示すように、複合酸化物の粒子2の表面の少なくとも一部を被覆した被覆層5を有してもよい。被覆層5は、Al又はNbを表層部3よりも高濃度で含む。被覆層5は、例えば、平均粒径1nm以上20nmの微粒子を含む。これにより、充放電時のLiイオンの挿入/離脱を阻害することなく、複合酸化物粒子2内への水分の侵入を遮断することができる。また、被覆層5は、図1(B)に示すように、複合酸化物粒子2の表面の一部に形成されてもよい。また、図1(C)に示すように、複合酸化物粒子2の表面全体に均一に形成されてもよい。
複合酸化物粒子2は、この粒子全体の組成がLiNi1−x−yCo 2+α(式中Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、Mは、Nb及びAlのうち少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15、0<z≦0.03、0≦α≦0.1)で表される。上記組成の金属元素は、ICP発光分光分析により測定できる。また、酸素は層状化合物を構成する元素であり、金属元素の組成によってその組成が決まるものであるが、通常起こりうる酸素の欠損や過剰が生じることによる上記組成の範囲内の変動を含む。
上記複合酸化物粒子2の組成において、Liの組成比を示すtの下限は、1.01以上であり、好ましくは1.02以上である。複合酸化物粒子2中のLi量はMを除いた層状化合物(LiNi1−x−yCo 2+α)の化学量論組成より過剰に検出される。tの上限は、1.20以下であり、好ましくは1.08以下である。上記複合酸化物粒子2の組成において、Coの組成比を示すxの値は0≦x≦0.22であり、正極活物質1を用いた二次電池における高容量化とサイクル特性改善の観点から、好ましくは0.05≦x≦0.20である。
上記複合酸化物粒子2の組成において、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、正極活物質の熱安定性の観点から、少なくともAlを含むことが好ましく、Mの組成比を示すyの値は0≦y≦0.15であり、好ましくは0.01≦y≦0.10、より好ましくは0.02≦y≦0.06である。yは、後述するように、正極活物質1の原料である母材6中の添加金属Mの組成比と同様の値を示す。
上記複合酸化物粒子2の組成において、Mは、Nb及びAlのうち少なくとも1種の元素であり、Mの組成比を示すzは0を超え0.03以下、好ましくは、0.0001≦z≦0.025である。Mは、表層部3に含まれる。表層部3に含まれるMの少なくとも一部は、複合酸化物粒子2中のLi、Ni、Coの少なくとも一部と反応して生成物を形成してもよい。また、Mは、被覆層5に含まれてもよい。被覆層5に含まれるMの少なくとも一部は、複合酸化物粒子2中のNi、Coの少なくとも一部と反応して生成物を形成してもよい。Mは、後述する被覆層前駆体7に含まれるNb及びAlに由来する元素である。
正極活物質1全体に対する、Nb及びAlの含有量は、その下限が好ましくは0.02質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。また、Nb及びAlの含有量は、その上限が好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。これにより水分との接触を抑制することができるだけでなく、充放電中の電解液と粒子表面との反応が抑制されるため、容量維持率の低下、交流インピーダンス法による界面抵抗値の上昇抑制等、電池特性への効果も発揮される。正極活物質1中に含まれるAl、Nb量が0.02質量%未満である場合は、表層部3の厚み(面積)が少なくなり、表層部3が不均一に形成され、耐水性や電池特性が改善しないことがある。一方、正極活物質1中に含まれるAl、Nb量が3.0質量%を超える場合、後述するように、正極活物質1の製造過程において、被覆層前駆体7を非常に厚く形成しなければならず、作製に時間が掛かるため、生産性が低下したり、被覆層の密着性が低下したりする等の問題が生じる。Nb及びAlの含有量は、ICP発光分光分析により測定できる。
図2(A)〜(C)は、正極活物質1の製造方法の一例を示す模式図である。図2(A)は、正極活物質の母材6となるリチウムニッケル複合酸化物粒子を示す。母材6は、組成がLiNi1−x−yCo (式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15)で表され、Li量が化学量論組成より過剰に含まれている。
上記母材6の組成において、Li量は、1.01≦t≦1.20であり、好ましくは1.02≦t≦1.08である。母材6中のLi量が不足した場合、例えば、上記母材の組成式中のLi量がt≦1.00である場合、母材6中のLiの一部が、後述する被覆層前駆体7との反応に奪われて、正極活物質1の電池特性が低下してしまう場合がある。これを回避するため、予め母材6中のLi量を過剰にしておき、Li化合物相を形成しても電池特性が低下しないようにする。ただし、Li量が多すぎる場合、例えば、t>1.20となると、熱処理の際、リチウムの溶出及び揮発が活発となり、熱処理条件の制御が困難となる。
上記母材6の組成において、xの値は、正極活物質1を用いた二次電池における高容量化とサイクル特性改善の観点から、好ましくは0.05≦x≦0.20である。上記母材6の組成において、Mは、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、正極活物質の熱安定性の観点から、少なくともAlを含むことが好ましい。また、yの値は、好ましくは0.01≦y≦0.10、より好ましくは0.02≦y≦0.06である。なお、上述した複合酸化物粒子2の組成おけるMと、上記母材6の組成におけるMは同一の元素を示す。
図2(B)は、Al及びNbのうち少なくとも一種を含む被覆層前駆体7をその表面に有する母材6を示す。被覆層前駆体7を有する母材6を熱処理することにより、図2(C)に示すような正極活物質1が得られる。正極活物質1は、母材6中のLi成分と被覆層前駆体7に含まれる成分が400℃近傍(例えば、350℃以上)から反応し、Li化合物相を一旦、生成した後、より高温に晒されることで表層部4が形成する過程を経ると考えられる。例えば、被覆層前駆体7を600℃まで加熱した際、正極活物質1の表面にはSEMまたはSTEM観察により、平均粒径20nm以下の微粒子の生成が確認できる。正極活物質1粒子表面が被覆層前駆体7との反応により微細組織化され、表面に凹凸が生じる。これにより、正極活物質1の比表面積は、被覆前の母材6の表面積に比べて1.2倍以上1.8倍以下に増加する。比表面積が増加した場合、電池セルによる評価の際の電解液との接触が高まり、充放電時でのLi挿入離脱が活発化することが可能となり、放電容量は被覆処理前と同等並に維持することができる。さらに、後述するように反応の一部で母相中のNi,またはCo成分と反応相を有するために、サイクル特性等の電池特性ばかりで無く、耐水性が高い安定した表面状態に改質される。なお、平均粒径は、個数平均を示し、粒子断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または球面収差補正走査透過型電子顕微鏡(Cs−TEM)により直接観察して測定した。
これにより、表層部3は、その粒子表面から中心へ向かう放射方向において、Al及びNbのうち少なくとも一種の濃度が低くなるような濃度勾配を有する。
また、前述したように、複合酸化物粒子2の表面に被覆層5を有してもよい。被覆層5は、被覆層前駆体7に由来し、熱処理後も複合酸化物粒子2内部に拡散せず、その表面に残った層である。被覆層5の厚みは、例えば、0.1nm以上150nm以下であり、好ましくは、0.5nm以上80nmである。また、被覆層5が、微粒子の形成がなく薄膜状の形態を有する場合、この形態の厚さは、好ましくは0.1nm以上20nm以下である。
表層部3のAl又はNbの分布(濃度)は、重要であり、正極活物質1の最表面のAl又はNbの濃度が高すぎず、複合酸化物粒子2の最表面から内部に掛けてはAl又はNbの濃度が低すぎても、上記した効果は達成できない。複合酸化物粒子2の最表面におけるAl又はNbの濃度が高すぎる場合、被覆層前駆体7の母材6の表面(粒子界面)との反応による拡散が十分行われず、得られた正極活物質1の表面のみに抵抗の高いAl又はNbを含む酸化物が存在することを示す。このため、この正極活物質を二次電池に用いた場合、界面抵抗は高く維持され、初期放電容量は改善しない。また、最表面におけるAl又はNbの濃度が高すぎる場合、熱拡散が進んでいないために表層部3におけるAl又はNb濃度が低いことを示す。
例えば、表層部3におけるAl又はNbの分布(濃度)は、正極活物質1の製造過程の観察により確認できる。正極活物質1の製造過程において、断面TEM観察により、被覆層前駆体7(熱処理後の被覆層5)の膜厚が、熱処理後に、減少する又は被覆層前駆体5の消失する様子を観察することにより、間接的に確認できる。また、製造過程において、TEM―EDS面分析により、被覆層前駆体7(熱処理後の被覆層5)のAl又はNbの高濃度部分が、熱処理後、反応により減少する様子を観察することにより、間接的に確認できる。
なお、被覆層前駆体7の膜厚が数nmである場合、反応後の様子を断面TEM観察やTEM―EDS面分析により観察しても、感度の問題から、表層部4が形成される様子は把握することができないことがある。この場合には、TEM―EELSにより、表層部3における細部の反応を観察し、表層部3におけるAl及びNbの存在を確認することができる。なお、表層部は、Al又はNbが、その粒子表面から中心へ向かう方向において、その濃度が低くなるような濃度勾配を有する部位をいい、表層部の厚みは、例えば、10nm以上100nm以下とすることができる。
被覆層前駆体7は、後述するように、母材6を、Al、Nbからなる少なくとも1種の元素を含んだ金属アルコキシドを含む被覆液(例えば、図3参照)又はこの金属アルコキシドを加水分解して生じた水酸化物からなる微粒子を含む被覆液(例えば、図4参照)に、浸漬する又は母材6の表面に噴霧する、ことにより形成される。
被覆層前駆体7の厚み(層厚)は、3nm以上100nm以下とすることが好ましく、これにより熱処理後に表層を生成することができる。被覆層前駆体7の厚みを増加しすぎると、熱処理時の熱分解量が低下し、表層部3中に有機残渣が生じてサイクル特性が向上しない場合がある。また、熱処理温度や到達温度の保持時間を増加することにもなるため、コスト面でもデメリットが大きい。
なお、本実施形態の正極活物質1は、その表面にAl、Nbからなる少なくとも1種の元素を含んだ被覆層を有する従来の正極活物質(表層部3を形成しない)とは異なり、表層部3自体が充放電時のLiイオンの挿入脱離を妨げることは無い。よって、従来の被覆層を有する正極活物質のように被覆層前駆体7を3nm以下に極薄くしておく必要は無くなる。これにより技術的に難易度の高かった被覆層の薄膜化、均一化の工程が簡素化することができる。また、被覆層前駆体7の厚みを厚くできることにより、被覆層前駆体7中の空隙や粒子表面の未被覆部が少なくなり、得られる被覆層前駆体7は、より均一性が向上することになる。この場合の被覆層前駆体7の膜厚は20nm以上50nm以下が好ましく、熱処理によって生成する表層部3を粒子表面に均一に形成することができる。
被覆層前駆体7は、複合酸化物粒子2の表面に非連続的に形成されても、また、多孔質であっても、均一性が高くてもよく、いずれの場合でも熱処理による反応で表層部3が形成できればよい。ただし被覆層前駆体7は、透過型電子顕微鏡の断面観察より測定される被覆面積が、母材6の表面全体の面積に対して80%以上、80%以上95%以下であることがより好ましい。被覆面積が上記範囲であることにより、母材6表面と均等な反応が期待でき、満遍なく全面に表層部3が生成できる。
従来公知の酸化物膜をその表面に形成した正極活物質は、酸化物膜自体が導電性に乏しく、界面抵抗の増加を回避するために、酸化物膜自体を薄くしたり、酸化物膜中に導電性を付与したりする必要があった。この場合、酸化物膜の膜厚は、最適な被覆層の厚みは3nm程度、厚い場合でも10nm以下が要求される。被覆厚みを薄くかつ膜欠陥がないように被覆することは手間と時間を要するだけでなく、熱処理温度も容量低下を避けるべく、心材(母材)との反応を極力抑制するために300℃程度、高くても400℃以下に限定される。
本実施形態においては、製造過程で形成する被覆層前駆体7の膜厚の上限は100nm以下であり、従来に比べると大きい厚膜が許容される。これは高温熱処理による効果で被覆層前駆体7が粒子内に拡散して、最終的に形成される被覆層5の厚みが大幅に減少するためで、これにより界面抵抗の上昇は抑制され、初期放電容量の低下はなくなる。本実施形態の正極活物質1では表層部4を有することにより、これまで、被覆層(産物膜)を有する正極活物質の課題であった、ゲル化を抑制する耐水性の向上、表層生成後の初期放電容量の低下、繰り返し充放電時の劣化の改善が達成される。本実施形態では、被覆層前駆体7を形成した後に高温処理することが重要で、母材6と被覆層との反応で表層部3を生成した結果、本目的である長期保存時のゲル化の抑制や、表層部3生成前後の初期放電容量が変化無く維持でき、さらに充放電の繰り返しにおいても界面抵抗の増加を抑制しつつ安定したサイクル特性が得られるようになる。
表層部3の形成は、後述するように、例えば、粒子断面からTEMによる電子像やTEM−EDSによる面分析を用いて確認することができる。例えば、後述する被覆液(Nb含有)をリチウムニッケル複合酸化物粒子(母材6)表面に厚めにコートし、厚み30nmからなるNb前駆体層(被覆層前駆体7)を母材6表面に形成させた後、温度条件を変えて、熱処理を行い、この熱処理工程を観察または面分析した場合、300℃では、高濃度のNbを主とした、粒子界面(複合酸化物粒子表面)から厚さ30nm程度の被覆層5が検出される。さらに、温度を600℃〜700℃に変更した場合、観察されていた被覆層5は減少し、面分析でも高濃度のNbが分散される様子が確認できる。ここから、Nbを高濃度で含む被覆層5は大幅に減少し、表層部3が形成されることが理解できる。なお、Nb前駆体層(被覆層前駆体7)を熱処理した場合、600℃以上に加熱しても、完全な拡散が行われずに表面には局所的に高濃度なNb層(被覆層5)が偏在することがある。このNb層(被覆層5)が残存する場合においても、熱処理により、被覆層5が形成されることで耐水性は改善され、表層部3の生成により放電容量は回復することができる。
一方、Al被覆層の効果(例えば、界面抵抗の改善や放電容量の回復)は、Nb被覆層と比較してより顕著に認められる傾向がある。例えば、300℃の熱処理をした場合、Alは粒子内部に拡散され、被覆層5は減少することがある。このとき正極活物質1表面をSEM観察することにより、正極活物質1表面には、Al反応物である微細組織が観察される。これらのNb被覆層との拡散挙動の違いは各元素の拡散速度の違いによるものが大きく、AlはNbに比べて拡散が相当早いためにより低温側で効果を発揮するといえる。Alの拡散により、正極活物質1表面からAl濃度が低下することで界面抵抗は低下し、放電容量も未被覆並みにまで回復する。
被覆層前駆体7は、上述のように、熱処理により表層部3に変化する。熱処理の際、リチウム複合酸化粒子(母材6)由来の過剰Li、NiまたはCo等と、被覆層前駆体7由来の成分との反応により化合物が生成し、被覆層前駆体7/被覆層5の形態変化が生じる。例えば、リチウム複合酸化粒子(母材6)は、焼成時にLiが欠損しないように化学量論組成よりやや過剰気味にLiを加えておくため、その過剰Li分と被覆層前駆体7由来の成分(Mを含む)との反応が起こることがある。また、正極活物質1粒子表面に局所的なLiの欠損した箇所が生じた場合、露出したNiやCoと被覆層前駆体7由来の成分(Mを含む)との反応により化合物を生成することがある。特にNi、CoとのNi−Al化合物や、Co−Al化合物においては比較的低温側で生成しやすいため、一部の表層部3又は被覆層5の内部にはこうした化合物が生じる。このような化合物は、例えば、組成式AB(Aは、NiおよびCoのうち少なくとも1種の金属元素であり、Bは、Mである。)で表されるスピネル型結晶相を含む。スピネル型結晶相としては、例えば、NiAl、CoAlの生成相が挙げられる。
ただし熱処理温度が700℃を超える場合、母材6同士が焼結しはじめるだけでなく、Liの揮発が起こることがあるため、少なくとも熱処理温度は700℃以下にすることが好ましい。
さらに被覆層前駆体7と母材6表面との反応状態は、XRD測定してRietvelt解析による格子定数の変化からも確認できる。例えば、Nb−Oの被覆材をリチウムニッケル複合酸化物粒子表面に30nmからなる厚めのコートを行い、熱処理温度を変えてLiNi0.85Co0.15相に由来する結晶相についてRietvelt解析すると、300℃近傍から格子定数のa軸長さ、c軸長さの増加が確認される。この格子定数の増加は格子の広がりを示し、被覆層の構成元素であるNb原子がニッケルイオンの3aサイトに置換されたことが確認できる。この現象は熱処理温度を高めるほどa軸長さ、c軸長さの増加が確認される。例えば、正極活物質1は、X線回折のリートベルト解析により求められるa軸長さが2.8647以上2.8655以下、c軸長さが14.1801以上14.890以下である。c軸長さの上限は、好ましくは14.3以下であり、より好ましくは14.2以下である。
従来のリチウムニッケル複合酸化物粒子は、水に対する抵抗が低く、表面からリチウムイオンとして容易に溶出する。例えば、表層を有さないLiを過剰に含んだLi1.03Ni0.85Co0.12Al0.03粉末を0.1g、24℃の純水50mlに添加した場合、瞬時に多量のリチウムが溶出し始め、水溶液はアルカリ側に移行して、pHは13近傍に達する。一方、本実施形態の正極活物質1は、改質された表層の効果でリチウムの溶出は減少し、水溶液中のpHは11.2以下となる。pHが11.2以下に維持されることで、正極材製造に用いられる練合後のペースト組成物はアルカリ溶出が減少した結果、ペースト組成物の長期保存性は向上してゲル化がなくなる。
正極活物質1は、例えば、正極活物質9.5g、フッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5gと、ゲル化を促進するための水分0.2gを加えて混練してスラリーとし、24℃で3日間静止保管してもゲル化は見られず、流動性のあるスラリーを保つことができる。ゲル化の抑制により、正極集電体に塗布する際の不均一による充放電特性にバラツキが抑制されるとともに、ペーストの流動性の悪化による塗布膜の緻密性が低下する等の問題の発生も減少する。
正極活物質1は、目的とする正極活物質に要求される特性によって選択することができる。例えば、正極活物質1の平均粒径は、高電池容量や高充填性の観点から、好ましくは3μm以上25μm以下である、より好ましくは3μm以上15μm以下である。ここで、平均粒径は、メジアン径(D50)を示し、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定する。
正極活物質1は、練合したペースト組成物の長期保存性に優れるだけで無く、表層生成後の初期放電容量の変化が±3%に制御され、長期的なサイクル特性の向上が可能であることから、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた際に、185mAh/g以上、より最適な条件では190mAh/g以上の初期放電容量が安定して得られる。また、電圧範囲3.0V−4.3V、レート0.5C、カーボン負極、電解液にはLiClO/EC−DECを用いて電池セルを作製し、サイクル試験を100サイクル行った後の放電容量維持率は、初期容量に対して10%以内の低下であり、良好なサイクル特性を有する。
正極活物質1の製造方法について、図3〜図4を参照して説明する。ただし、以下の説明は一例であって、製造方法を限定するものではない。図3に示すように、本実施形態の正極活物質1の製造方法は、Al及びNbのうち少なくとも1種を含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を混合し混合液を得た後、前記混合液にキレート剤を添加して被覆液を得ることと(ステップS1)、リチウムニッケル複合酸化物粒子に、前記被覆液を混合し又は噴霧して、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に被覆層前駆体7を形成することと(ステップS2)、被覆層前駆体7を形成した複合酸化物粒子を400℃以上700℃以下の酸素雰囲気中で熱処理することと(ステップS3)、を含む。
また、図4に示すように、被覆液は、Al及びNbのうち少なくとも1種を含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を混合して混合液を得た後、混合液にキレート剤を添加し、その後、水を添加すること(ステップS1’)により得ることもできる。以下、各工程の詳細について説明する。
まず、被覆層前駆体7を形成するための被覆液を作製する(ステップ1)。被覆液は、Al及びNbのうち少なくとも一種を含んだ金属アルコキシドからなるモノマーまたはオリゴマーをアルコールなどの有機溶媒と混合した後、キレート剤を加えて得る。
Al及びNbのうち少なくとも一種を含んだ金属アルコキシドは、従来公知のものを用いることができ、例えば、−エトキシド、−メトキシド、−イソプロポキシド、−ブトキシドからなる各モノマーの金属アルコキシドを用いることができる。また、金属アルコキシドに含有される金属元素は、被覆層中においてもそのまま含有されて酸化物を形成するため、容易に酸化物を形成する水酸化物を含むものが好ましい。金属アルコキシドは、Alを含む金属アルコキシド、Nbを含む金属アルコキシド又はAl及びNbを含む金属アルコキシドのいずれも用いることができる。具体的には、例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、ニオブエキシドからなるモノマーを用いることができる。また、オリゴマーであっても使用するアルコール溶媒に溶解することができれば使用可能である。
溶媒は、例えば、アルコールを用いることができ、具体的には、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールから選択される1種類以上の低級アルコールを用いることができる。炭素数が5以上の高級アルコール類や炭化水素系の溶媒に用いて揮発乾燥させると、有害性や異臭の問題を生じるため好ましくない。前記低級アルコールの中でも、有機金属化合物、添加剤の溶解性やコストの観点から、エタノール及び/または2−プロパノールが好ましい。さらに、前記低級アルコールは、脱水したものを用いることが好ましい。脱水することにより、金属アルコキシドとの混合時の加水分解反応が抑制される。更にキレート剤添加後に加える水分との加水分解反応により、前記微粒子を形成させることができる。
溶媒は、金属アルコキシドと混合する際の溶液として用いるが、金属アルコキシドの濃度が好ましくは60質量%以下、より好ましくは0.1〜40質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%となるように配合する。金属アルコキシドの濃度が60質量%を超えると、キレート剤との反応が不均一となりやすく、分散液に適した濃度に希釈する溶媒を添加した際に白濁が生じることがある。0.1質量%未満になっても被覆液は作製できるが、アルコール使用量が増えることになる。
次に、金属アルコキシドと溶媒とを混合した溶液に、キレート剤を添加する。前記金属アルコキシドは、加水分解速度が速く、外気中の湿気により水酸化物を生成しやすい。そこで、加水分解反応速度を制御するため、アルコキシド金属化合物中の官能基(アルコキシ基)の一部をキレート剤で修飾(キレート化)することが必要となる。
アルコキシド金属化合物をキレート化することで、加水分解反応の制御が容易となる。これにより金属アルコキシドの官能基の一部を部分的に加水分解したオリゴマーにすることができ、加水分解基(水酸基)により粒子表面への吸着性が向上する。キレート剤としては、好ましくはアミノカルボン酸、又はその塩、もしくはジケトン類から選択される少なくとも1種を用いるが、その中でアセチルアセトンがより好ましい。他のキレート剤としては公知のアセト酢酸エチル、ニトリロトリ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、L−アスパラギン酸等、又はその塩でも代用可能であるが、熱分解性に優れているアセチルアセトンが特に好ましい。使用法は、例えばアルミニウムトリイソプロポキシドの3個の官能基のうち、その1個の官能基を交換する分と同モル数のアセチルアセトンを加えて修飾してやることで加水分解速度を遅くし、水に対する耐性が大幅に改善される。
また、キレート化の際は、全てのアルコキシ基を修飾してしまうと、低級アルコール中に溶解しなくなるばかりか、複合酸化物粒子表面に吸着または化学反応しなくなり、被覆層の形成が不十分となるため、部分的に官能基を修飾することが重要である。そのため、上述したように3個のアルコキシ基を有するアルミニウムイソプロポキシドのうち、1個を修飾することで、外気に対する安定性を向上させ、かつ粒子への吸着性を維持することが可能となる。
キレート化の際、十分に修飾反応させるためには、例えば、2―プロパノール等の低級アルコールにアルコキシドモノマーを溶解して60質量%以下の濃度の溶液を作製し、その中にアセチルアセトン等のキレート剤を徐々に添加した後、20〜70℃で0.5〜4時間加熱し、前記アルコキシドモノマーのキレート化液を得ることが好ましい。このような操作により、修飾反応が促進され、水への安定性は増す。こうして得た液を更にアルコールで希釈して被覆液が完成する。
更にキレート化した溶液を部分的加水分解させて分散液を得る場合には、水滴下後に一瞬やや白濁が生じることがあるが、直ぐに透明感のある液体に戻る。更に20〜80℃で0.5〜25時間保持して安定化することで、その後、希釈するために多量の溶媒を加えても白濁や沈殿物の生成を抑制することができ、例えば、1ヶ月放置してもその様子は変わらない程度の保存性有する分散液を得ることができる。この現象は恐らく、有機物を含む状態で部分的加水分解することで、見かけ上は透明な液体になったと考えられる。
ここで、液の透明性とは、液中に浮遊する目に見える粒子が確認できる度合いであり、粗粒があれば光の散乱により白濁を示し、微粒(ナノ粒子)であれば光が透過するために液は透明性を得る。ナノ粒子とは、中心粒子径が100nm以下の粒子である。なお、中心粒子径(例えばD50)は、ナノ粒子の粒度分布において、ある粒子径より大きい粒子の個数または質量が、全粒子の個数または質量の50%を占めるときの粒子径である。粒子径は、動的光散乱法/レーザードップラー法によって測定される。
また、図4に示すように、キレート剤を添加した後、さらに、水を添加して、金属アルコキシドを部分加水分解することで被覆液中に微粒子を生成させることができる(ステップS1’)。なお、上記ステップS1及びS1’は、どちらも水を添加し、加水分解するまでは同様の工程を経ることができるため、上記と同様の条件についての記載は省略する。
金属アルコキシドの部分加水分解により被覆液中に形成された微粒子は、扁平状または鱗片状の形状であることが好ましい。被覆液中の微粒子は、その形状を扁平状または鱗片状とすることで、この微粒子を複合酸化物の粒子表面に堆積させた際、複合酸化物の粒子表面の少なくとも一部で緻密な被覆層前駆体7を形成し、一方で、母材6の表面の少なくとも一部で微粒子間に微細な隙間を形成する。こうした微粒子を緻密に被覆層前駆体7として形成しておくことで、表層部3を得る熱処理工程においても低温かつ短時間で反応が進みやすくなり、良質な均一層として形成することが可能となる。これにより、正極活物質1の水分吸収を抑制しながら、正極活物質1と電解質との十分な接触を確保することができるだけでなく、二次電池の充放電時には、表層がリチウムイオンの移動を妨げることがないため、表面抵抗の増加による初期放電容量の低下が小さくできる。
被覆液中に微粒子は、アスペクト比が0.3以上0.8以下であることが好ましく、0.4以上0.8以下であることがより好ましい。アスペクト比は、粒子の最小径を最大径で除したもので、被覆液中の微粒子の真球からの変形度を示すものであり、その値が小さくなるほど変形度が大きい。すなわち、前記微粒子のアスペクト比を上記範囲とすることで、前記被覆層の緻密度を高めて、さらに正極活物質1の水分吸収を抑制しながら、正極活物質と電解質の接触も確保することができる。
被覆液中の微粒子は、正極活物質1の被覆層5を形成する酸化物微粒子の前駆体であり、この酸化物の微粒子の形状に大きく影響する。また、被覆液中の微粒子の形状は、被覆層5を形成する酸化物微粒子においても維持される。被覆液中の微粒子は、平均粒径D50が100nm以下、好ましくは1nm以上12nm以下であり、より好ましくは3nm以上10nm以下、さらに好ましくは、5nm以上10nm以下である。これにより、平均粒径が上記範囲であることにより、前記被覆層を薄くかつ均一に形成することが可能となる。また、被覆層5を形成する酸化物微粒子も同様の形状を有し、正極活物質1と電解質との十分な接触を確保することができる。市販品としても、アルコキシド基を有する有機金属化合物を加水分解し、微細な粒子を分散させた液があるが、粗粒を含むものが多く、これを被覆液として用いても、本実施形態の正極活物質1の表層部3や被覆層5を得ることは困難である。
なお、キレート剤の添加により、加水分解速度の早い有機金属アルコキシドの加水分解性を制御することが可能となり、複合酸化物粒子への吸着性を高く維持することができる。一方、キレート剤を加えない場合、外気中の水分または加水分解用に添加する水分との反応が著しくなり、全てのアルコキシドは直ちに水酸化物化が行われて粗粒化による沈降が発生する。なお、Nbアルコキシドは加水分解が早く、キレート化がし難いことから、部分加水分解した後の保存安定性に欠けるため、加水分解せずに金属アルコキシドのまま被覆原料とした方が好ましい。一方、Alはキレート化の効果が高く、少量のキレート剤を加えておくと、アルコキシドの有する官能基はキレート環により置換されて、水分に対する応答性が低下する。これにより一部がキレート化された官能基は部分的に加水分解が生じるため、沈降することなく、微粒を維持したまま母材6表面に吸着することが容易となる。このためキレート化したAlアルコキシドは金属アルコキシドのまま使用もでき、部分加水分解させた微粒子状としても使用することができる。
なお、溶媒は加水分解時に使用するアルコール分以外に、被覆液を希釈するために用いるものも含める。被覆液、または分散液自体の濃度は高く、この状態で母材6表面に堆積すると局部的に厚くなり、極度な不均一を招く。薄くかつ均一な被覆層を得やすくするために、さらに希釈剤を加えて濃度を下げることを行う。希釈剤には水分を用いることもできるが、被覆時の乾燥が遅く、母材6の劣化が生じる場合がある。これを回避するために、低級アルコールを添加することにより、乾燥速度を向上させることが可能である。最も好ましいのは希釈剤全てをアルコールにすることであるが、少なくとも水を希釈剤とする場合は、全液中の30%以上のアルコールを含む混合液となるようにすることが必要である。ここで用いる低級アルコールとしては、乾燥時の異臭等を考慮すると、エタノールあるいは2−プロパノールが好ましい。
なお、部分的加水分解反応においては、金属アルコキシド100質量%に対して、水を5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%を添加することが好ましく、水を加えた後、さらに加熱し部分的加水分解反応を終了させる。水の含有割合が50質量%を超えると加水分解が急激に進みすぎてゲル化を起こしやすく、5質量%以下では加水分解量が少ない。
分散液は、母材6粒子の表面に堆積させる前駆体微粒子を均一化するため、希釈して低濃度化する必要がある。上記部分的加水分解させたキレート化液は、液濃度が高いため、噴霧コート時に不均一な膜形成とならないようにアルコールまたは水とアルコールの混合溶媒で希釈して被覆液とする。母材6と混合する際の被覆液の量は、分散液を母材6の表面全体に吸着、かつ浸透させるだけの量は最低必要であり、粒子表面に堆積させる十分な量の前駆体微粒子を含有し、かつ微粒子付着量はICP分析で、母材6及び被覆層前駆体7全体に対して、0.02質量%以上3.0質量%以下の範囲となるように希釈することが好ましい。分散液の量が多くとも乾燥時間が長くなるだけであり、得られる正極活物質の粉体特性に支障はないが、乾燥時の効率を考慮して決定すればよい。0.02質量%未満になると、被覆層中に十分な量の微粒子を形成させることができないことがある。また、3.0質量%を越えると、複合酸化物粒子の表面全体に吸着させる量を混合した際に被覆層が厚くなりすぎて乾燥時に剥離が起きることがある。
また、被覆液中に含まれるAl、またはNb量は、ICP分析で0.02〜3.0質量%の範囲となるように調整される。添加量が少ないと、表層形成時に必要な被覆層を堆積することができない場合がある。
次に、図3及び4に示すように、母材6表面に被覆層前駆体7を形成する(ステップS2)。被覆方法としては、母材6表面に被覆液を均一に堆積(被覆)させる方法であればよい。例えば、転動流動装置のように噴霧することで心材粒子表面への前駆体微粒子の堆積と乾燥が同時に行われる方法がより好ましい。また、自転公転方式の混練ミキサーを用いて被覆液と母材6を混合した後、溶媒のみを揮発させて被覆処理することも可能である。
転動流動装置を用いて被覆する方法は、母材6表面に損傷を与えることなく、粒子を流動させた状態で噴霧することが可能である。転動流動装置による被覆の特徴は、均一かつ薄く堆積させることが可能な点である。転動流動装置は、例えば、装置内底部に溜まった母材6をロータで攪拌しながら元々生じていた凝集をほぐし、装置内底部から導入する加熱空気により母材6は単粒子状で流動させる仕組みである。この流動中に2流体ノズル等にて被覆液を噴霧し、導入した空気により加水分解を進ませながら乾燥することで、母材6の表面に被覆層を均一に堆積させることができる。
混練ミキサーは、自転公転により混合物に適度な剪断力を加えることで均一な混合が可能であり、短時間による処理で行える。混合時間は1〜5分とすることが好ましい。混練ミキサーによる短時間の混合は、粒子表面に与える損傷の抑制にも効果がある。一方、例えば、ビーズミル、ボールミル、ロッドミル、ホモジナイザー等のように母材6に直接大きな力が加わる装置を用いると、粒子自体が粉砕されたり、その粒子表面に大きな歪みが生じたりするため電池特性が低下することがある。
混練ミキサーによる処理後の混合物は、まず被覆液中の溶媒を蒸発させて乾燥する。この乾燥における過程で、心材粒子表面に被覆液が加水分解して吸着結合し、堆積が行われる。この際、混練ミキサーで得られた混合物の乾燥は、未だ液が多く残っているため、急激に一気に溶媒揮発させると乾燥と同時に粒子間の凝集が進みやすい。これを抑制するためには粒子間の粘着が発生しない程度にゆっくりと溶媒を蒸発させていくことが好ましい。また乾燥と平行して混合を繰り返すことも効果がある。蒸発速度は温度に強く依存するため、室温から徐々に高温下に晒すことが効果的である。
転動流動装置を使用した場合は、混合から乾燥まで行うことができるため、装置から取り出し後、直ちに次工程の熱処理に移行することができる。
一方、従来から行われていたアルコール溶媒中に心材粒子を浸し、攪拌しながら金属アルコキシドと水分を滴下する湿式被覆方法では、添加した水分が母材6からリチウムイオンが溶出させる問題があった。また、金属アルコキシド中の水酸基の結合により被膜を形成するまでに長時間が必要であり、数時間の被膜形成時間とその後の乾燥時間は、電池特性の低下を発生させるのみならず、生産性の低下によるコスト的な面でも課題となっていた。
上述の混合、乾燥工程においては、溶媒に含まれる水分で正極活物質中のリチウムイオンの溶出が起こることはない。この理由は不明であるが、コーティング液中に含まれる遊離したキレート剤が混合、乾燥工程中に正極活物質極表面にあるリチウムに作用することで、正極活物質自体もキレート化され、水に対して安定化していると推察される。
被覆層前駆体形成後の乾燥温度は50〜150℃とすることが好ましく、より好ましくは真空中がよい。一方、乾燥温度が200℃を超えると母材6が劣化しやすい。乾燥時間は、溶媒が蒸発して粒子間の粘着が発生しない程度になればよく、1〜24時間とすることが好ましい。1時間未満では、乾燥が不十分な場合があり、24時間を越えると生産性が低下する。
次に、400℃以上700℃以下の酸素雰囲気中で被覆層前駆体7を形成した母材6を熱処理して、被覆層前駆体7と母材6表面とで反応を起こさせる(ステップS3)。母材6表面に形成された被覆層前駆体7は、例えば、250℃以上300℃以下の温度範囲で該粒子表面に強固に結着するとともに、層内に存在する大部分の有機物が除去され、酸化物からなる被膜(被覆層5)が形成されることで膜質が向上する。これにより、母材6表面に形成される被覆層5はより緻密かつ強固となり、耐水性は向上してゲル化抑制にも一層の効果が上がる。この段階では母材6と被覆層5には顕著な反応は生じていない。一方、この段階で得られる被覆層は酸化物状となるため、界面抵抗が大幅に悪化することで初期放電容量は低下する傾向にある。
従来の製造方法では、上記の温度域(例えば、250℃以上300℃以下)で熱処理は終了し、ゲル化効果の高い膜として評価を行っていた。この際の放電容量の低下を緩和するために、被覆層を3nm程度に極力薄くして充放電時のLiの挿入脱離を妨げない工夫が必要であった。こうした薄くかつ均一性を上げることで初期充電容量と耐水性とのバランスを保ち、また薄いことで生じる膜中の欠陥(有機物分解による空隙の発生)を抑制するため、時間を掛けて希薄液で処理する等の手間を掛けていた。
本実施形態の製造方法ではさらに高温域である350℃以上700℃以下、好ましくは400℃以上700℃以下で熱処理する。このため、被覆層は粒子界面で反応を起こし、被覆層は表層となって放電容量の低下を回避しながらゲル化を抑制することができる。
さらに公知の技術では低温処理で行うことで被覆層中の有機物を残留させ、界面抵抗の悪化を抑制することも行われている。しかし、車載用の高出力を求める正極活物質に使用すると、残留する有機物の一部が電解液と反応を起こし溶解することで、サイクル特性に影響を与えることがある。
被覆層に含有される有機物の残留物は炭素として分析される、本発明では高温による処理で残留する有機物を分解するばかりで無く、熱処理時は酸素を豊富に含んだ雰囲気下で行うために炭素としての残留物は大幅に減少している。この炭素含有量は、酸素量以外に熱処理時の条件によっても行われ、熱処理に用いる炉に投入する混合物の量や、熱処理温度、昇温速度を制御することで達成できる。
前記混合物を熱処理する際の条件としては、下記式(1)で求められる値を好ましくは33(g/分)以上1333(g/分)以下、より好ましくは60(g/分)以上400(g/分)以下の範囲内とする。
[混合物量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)・・・・(1)
300℃以下の処理温度であれば、特に酸素ガス流量を抑えても効果は十分に得られるが、高温で行う場合、LiNiO系の正極活物質はLiの飛散や酸素欠損を起こすため、それを回避するために多めに酸素ガスを流すことが必要となる。
上記範囲内に熱処理条件を制御することにより、正極活物質中のLiの飛散や酸素欠損を起こすことがなくなる。なお、この数値の範囲内であれば、炉内容積、混合物の処理量、酸素ガス流量の比を任意に変えて同様な効果を得ることができる。
例えば、30Lの容積を持つ熱処理炉中にアルミナ容器に充填した500〜2000gの混合物を投入し、3〜20L/分(ガス圧0.1MPa)で純酸素ガスを導入しながら、3℃/minから20℃/min、好ましくは5℃/minから10℃/minで昇温し、400〜700℃で0.5〜5時間、好ましくは500℃から600℃で0.5〜2時間保持することで、本発明にある高性能な正極活物質を得ることができる。
熱処理温度は350℃以上700℃以下の範囲とする。本実施形態では複合酸化物粒子2表面に酸化物層を形成し、水を弾くような保護層を設けることを目的とはしてないため、従来のような低温による熱処理ではなく、350℃以上にすることで母材6/被覆層前駆体7界面間で反応を起こしてLi化合物層から表層を生成することを主としている。さらに本発明では微粒子の堆積物からなる被覆層を出発としているため、心材を作製する際のような高温(800℃から900℃)に晒すことはない。より高温側に晒されると、母材6表面から酸素やLiが欠乏しやすくなり、表面は劣化することがある。また被覆した粒子同士が焼成反応により固着が進み、凝集体を生成することも一因となっている。このため、電池特性が低下しないように700℃以下で処理する必要がある。本実施形態では非晶質からなる被覆層前駆体7を出発としているため母材6との反応も容易であり、比較的低温側での処理が可能となっている。これにより前述したような母材6へのダメージも極力少なく処理できる。
こうした比較的容易な工程で母材6表面に酸化物層を形成させ、比較的低温側からLi化合物層を経由し表層を生成できるのは、母材6中にLi過剰分あるためである。これが反応を促進させている一因となり、恐らく過剰リチウムは心材粒子表面にLiOH・nHOの状態で析出しており、その上に酸化物微粒子が積層されることで反応を容易にしていると考えている。
一方、被覆層5中に残渣する不要な有機溶媒などの成分を除去も、高温処理にすることでより低減することができる。熱処理温度が250℃未満であると、被覆層中に不要な有機溶媒が残渣し、電池セル後に充放電するとガス発生が問題となる。300℃以上となれば大部分の有機物は熱分解するが、ごく少量の残渣は存在する。これが長期的なサイクル劣化を引き起こしており、低減することが重要である。
初期放電容量においても温度依存性を調査すると、熱処理温度が300℃になると被覆層から有機物が除去されるために酸化物層として形成される。そのため界面抵抗は未被覆時を1とした場合、被覆品は2倍以上に増加するため、この結果、初期放電容量は低下傾向にある。また酸化物層は厚ければその傾向は更に強まり、被覆層で10nm以上になると界面抵抗は2〜3倍を超える。これが300℃以上になると母材6と被覆層前駆体7が反応を開始し、さらに高温になると被覆層前駆体7と母材6との構成元素は相互拡散され、粒子表面には表層として温度上昇とともに生成されていく。これと平行して界面抵抗は徐々に改善され、初期放電容量は回復傾向となる。この際の界面抵抗は2倍以下、好ましくは1.5倍を下回る。
表層3の生成は、例えば、粒子断面からTEMによる電子像やTEM−EDSによる面分析を用いて確認することができる。例えば、Nb−Oの被覆層前駆体7をリチウムニッケル複合酸化物粒子(母材6)表面に30nmとなるようにコートして、熱処理温度を変えて観察又は面分析すると、300℃では正極活物質1表面に被膜(被覆層5)が形成されている様子が観察され、また、面分析では、高濃度のNbを主とした粒子界面から30nmからなる被覆層5として検出される。さらに、700℃に達するまでに被覆層5は減少する。さらに、700℃では、観察されていた被膜(被覆層5)は局所的に消失し、面分析でも高濃度のNbは分散され、被覆層が大幅に減少する様子が確認できる。300℃で熱処理した場合、得られた正極活物質を用いた二次電池では、界面抵抗の増加や放電容量の低下が観察されるが、このような放電容量の低下は、熱処理温が600℃〜700℃程度に達することで界面抵抗や放電容量は回復する。一方、800℃になると被覆層はさらに減少するために表層効果は薄れ、初期充放電容量だけで無く、耐水性やサイクル特性への改善効果が徐々に低下する。上記の観察結果から、正極活物質表面の30nmからなる被膜に、これらの電池特性の低下の原因あることが推察される。また、本実施形態において、電池特性が改善されるのは、抵抗層であった被膜が350℃以上の熱処理により複合酸化物粒子2内部に適度に拡散され、表層部3及び被覆層5が生成したことが一因といえる。
表層部3の形成状態は構成元素の違いによっても異なる。例えばAl−Oを被覆層5とした場合、300℃近傍の熱処理時点から表層部3が生成されて被覆層前駆体7/被覆層5は徐々に消失する。これからAl−Oを被覆層5とした場合はより低温である600℃から700℃が最適な熱処理となる。これはNbに比べてAlの拡散速度が速いためで有り、被覆材の持つ価数、イオン半径が関係する。さらに、熱処理温度が700℃を超えると母材6自体が焼結し始めるだけでなく、表層部3は拡散の進行でほぼ消失してしまう。これにより表層部3の上記効果は薄れ、初期充放電容量だけでなく、耐水性やサイクル特性への改善効果が小さくなる。よって、被覆層前駆体7由来の構成元素(Al及びNbのうち少なくとも一種)が一定の濃度で表層部3に残存しないと上述の顕著な効果は得られない。
熱処理時間は、所定の温度まで昇温した後、0.2時間以上5時間以下とすることが好ましく、0.5時間以上5時間以下とすることがより好ましく、0.5時間以上2時間以下がさらに好ましい。これにより複合酸化物粒子表面への固着と不要な有機溶媒の除去を十分に行うことができる。熱処理時間が0.5時間未満であると、有機溶媒が残渣することがある。また、高温下で5時間を越えると母材6からの酸素欠損が起こりやすいため、初期放電容量が低下することがある。熱処理時の雰囲気は純酸素雰囲気が選択され、複合酸化物粒子表面が還元されないようにすることが好ましい。
本実施形態の製造方法は、ほぼ全ての正極活物質に対して適応することが可能であり、原材料として用いる母材として上述のリチウムニッケル複合酸化物粒子以外にも、例えば、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物などからなる粒子を用いることができる。また、得られる正極活物質の粒度分布は、被覆前後でほぼ同等に維持される。したがって、被覆前の複合酸化物粒子の平均粒径は、最終的に得ようとする正極活物質と同等とすればよく、3μm以上25μm以下とすることが好ましく、5μm以上20μm以下とすることがより好ましい。ここで、平均粒径はメジアン径(d50)であり、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定できる。熱処理する電気炉としては特にマッフル炉、管状炉を使用することが好ましく、炉内に純酸素を満たした状態で常にガス循環することで、熱処理中は有機物等の分解による酸素不足状態にはならず、母材6表層を健全な酸化状態にすることができる。
2.非水系電解質二次電池
本実施形態の非水系電解質二次電池の一例について、以下、構成要素ごとにそれぞれ詳しく説明する。非水系電解質二次電池は、一般のリチウムイオン二次電池と同様に、正極、負極、非水電解液等構成要素から構成され、上記した本発明の正極活物質を正極に用いたことを特徴とするものである。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本実施形態に係る非水系電解質二次電池は、下記実施形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本実施形態に係る非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
(正極)
正極を形成する正極合材およびそれを構成する各材料について説明する。本発明の粉末状の正極活物質と、導電材、結着剤とを混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペースト(ペースト状組成物)を作製する。正極合材中のそれぞれの混合比も、リチウム二次電池の性能を決定する重要な要素となる。
溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量%とした場合、一般のリチウム二次電池の正極と同様、それぞれ、正極活物質の含有量を60〜95質量%、導電材の含有量を1〜20質量%、結着剤の含有量を1〜20質量%とすることが望ましい。
得られた正極合材ペースト(ペースト状組成物)を、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべくロールプレス等により加圧することもある。このようにしてシート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等し、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、前記例示のものに限られることなく、他の方法に依ってもよい。
前記正極の作製にあたって、導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)やアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。また、バインダー(結着剤)としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォアミド、等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には電気二重層容量を増加させるために活性炭を添加することができる。
(負極)
負極には、金属リチウム、リチウム合金等、また、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体、リチウム・チタン酸化物(LiTi12)等の酸化物材料を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これら活物質および結着剤を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(セパレータ)
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
(非水系電解液)
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO等、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
(電池の形状、構成)
以上説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明に係るリチウム二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させ電極体とし、この電極体に上記非水系電解液を含浸させる。正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、並びに負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続する。以上の構成のものを電池ケース(容器)に密閉して電池を完成させることができる。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例における各評価は、下記方法によって実施した。
(評価方法)
1.被覆液および正極活物質の物性
(1)被覆液(分散液)中の前駆体微粒子および正極活物質の粒径測定:
微粒子の粒径(D50)は、粒度分布計(日機装(株)製、ナノトラックWave)を用いて測定した。また、リチウムニッケル複合酸化物粉末および正極活性物質の粒径(D50)は、粒度分布計(日機装(株)製、マイクロトラックMT3300)を用いて測定した。
(2)被覆層前駆体の厚みおよび被覆面積の測定
被覆層前駆体を有する母材をクロスセクションポリッシャー(CP)で断面加工し、透過型電子顕微鏡(TEM:HITACHI社製HF−2200)による断面側から観察した画像から被覆層厚を直接求めた。被覆面積については、TEM観察の画像から画像処理により面積を算出した。なお、被覆面積の測定は、観察場所を変えて5視野で行った。分散液中の前駆体微粒子および被覆層中の微粒子の形態もTEM観察して直接画像から縦/横(アスペクト比)を算出した。
(3)粒子表面の組織観察
熱処理した正極活物質の粒子表表面を走査型電子顕微鏡(SEM:JEOL社製JSM−7001F)にて粒子表面側から観察した。なお微細組織中の粒子径は、断面側からTEMまたはCs−TEMにより直接求めた。
(4)被覆層の反応及び構成元素の拡散状態測定
断面加工した試料を用いてTEM―EDS(NORAN社製VANTAGE)により断面側から面または点分析を実施して被覆層の確認や複合酸化物粒子内部への拡散状態を調べた。
またX線回折装置(XRD:PANalytical製X’PertPRO)により広域測定の簡易同定を行い、LiNi0.85Co0.15相に由来する結晶相について得た。更に広域測定結果を基に、外部標準法(同じ時期に測定したSi標準試料(NIST640c)を同条件で測定し、Rietvelt解析を行った際に得られたゼロシフト値、および半価幅パラメータを装置パラメータと決めて精密化する方法)により、簡易同定で確認した結晶相のRietvelt解析を行った。
(5)正極活物質の組成
組成はICP分析にて求めた。
(6)正極活物質の耐水性評価
耐水性は、24℃の純水50mlに正極活物質1gを加えて撹拌し、10分経過後のpHを測定することにより評価した。
(7)ゲル化評価
ゲル化評価は、被正極活物質9.5gと、バインダーとしてフッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5g、さらに水0.2gを自公転練り込み機によりスラリー状にした後、24℃で3日間静止保管し、目視観察によるゲル化状況を確認した。
2.電池の製造および電池特性の評価
(電池の製造)
正極活物質の評価には、図5に示す2032型コイン電池BA(以下、コイン型電池と称す)を使用した。図5に示すように、コイン型電池BAは、ケースCAと、このケースCA内に収容された電極ELとから構成されている。ケースCAは、中空かつ一端が開口された正極缶PCと、この正極缶PELの開口部に配置される負極缶NCとを有しており、負極缶NCを正極缶PCの開口部に配置すると、負極缶NCと正極缶PCとの間に電極ELを収容する空間が形成されるように構成されている。
電極ELは、正極PE、セパレータSEおよび負極NEとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極PEが正極缶PCの内面に接触し、負極NEが負極缶NCの内面に接触するようにケースCAに収容されている。なお、ケースCAはガスケットGAを備えており、このガスケットGAによって、正極缶PCと負極缶NCとの間が非接触の状態を維持するように相対的な移動が固定されている。また、ガスケットGAは、正極缶PCと負極缶NCとの隙間を密封してケースCA内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
前記コイン型電池1は、以下のようにして製作した。
まず、非水系電解質二次電池用正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、正極3aを作製した。作製した正極3aを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。この正極3aと、負極3b、セパレータ3cおよび電解液とを用いて、上述したコイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。なお、負極3bには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。セパレータ3cには膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。電解液には、1MのLiClOを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
(電池特性の評価)
製造したコイン型電池1の性能を示す初期放電容量、正極抵抗およびサイクル特性は、以下のように評価した。
初期放電容量は、コイン型電池1を製作してから24時間程度放置後、0.05Cにてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。
また、正極抵抗(界面抵抗)は、交流インピーダンス法により評価した。すなわち、コイン型電池1を充電電位4.1Vで充電して、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用して交流インピーダンス法により測定し、ナイキストプロットを得た。このナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、および、正極抵抗とその容量を示す特性曲線の和として表しているため、このナイキストプロットに基づき等価回路を用いてフィッティング計算を行い、正極抵抗の値(Ω)を算出した。算出した抵抗値は被覆前(未被覆品)を1として次式で表した。
界面抵抗 = [熱処理品の界面抵抗値/未被覆品の界面抵抗値]
サイクル特性評価は、コイン型電池1を製作してから24時間程度放置後、0.5Cにてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電し、これを1サイクルとして100回繰り返し行った。この際の評価方法として容量維持率を求めるが、1サイクル目で得られる放電容量を100%として次式で表される。
容量維持率(%)=[100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量]×100
(実施例1)
(母材の作製)
公知技術で得られた下記のリチウムニッケル複合酸化物粉末を母材として用いた。すなわち、Niを主成分とし、Co及びAlを含む酸化ニッケル粉末と水酸化リチウムを混合して焼成し、Li1.02Ni0.82Co0.15Al0.03で表されるリチウムニッケル複合酸化物粉末を得た。このリチウムニッケル複合酸化物粉末の平均粒径D50は11.3μmであり、比表面積は0.27m/gであった。
(Nb−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール20mlにペンタニオブエトキシド(和光純薬製)1.59gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)1.00gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製した。溶液(A)中に溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら24℃で1時間放置後、溶液(D)を作製した。
さらに溶液(D)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、ニオブを含む被覆液を得た。
(被覆層の形成)
上記母材600gを、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度30℃、送風量0.3m/時で撹拌しながら30分掛けて上記被覆液全量を噴霧して、表面に被覆層前駆体を有する母材を得た。得られた被覆層前駆体の厚さを表1に示す
(熱処理)
混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で400℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層及び被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(実施例2)
(Nb−O被覆液の作製)
実施例1と同条件で得た有機ニオブを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、実施例4と同条件で噴霧して被覆層を得た。この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(実施例3)
(Nb−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール100mlにペンタニオブエトキシド(和光純薬製)7.95gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。別容器に2−プロパノール30mlにアセチルアセトン(関東化学製)5.00gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製した。溶液(A)中に溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら24℃で1時間放置後、溶液(D)を作製した。さらに溶液(D)に希釈用の2−プロパノール500mlを加えて、有機ニオブを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層前駆体の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度30℃、送風量0.3m/時で撹拌しながら2.5時間分掛けて被覆液(E)全量を噴霧して、被覆層前駆体を得た。この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。また、図6(A)は、正極活物質の粒子表面側からSEM観察を行い、得られた表面組織を示す。図6(B)は、正極活物質の粒子断面側からTEM観察を行い、微細組織で観察された微粒の粒形状を示す。TEM観察から、被覆層に平均粒径10nm以上20nmの微粒子が観察された。
(実施例4)
(Al−O分散液の作製)
予め2−プロパノール20mlにトリアルミニウムイソプロポキシド(和光純薬製)1.20gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)0.50gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製した。溶液(A)中に溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら50℃で0.5時間加熱後、冷却して室温に戻し、溶液(D)を作製した。2−プロパノール5mlと純水0.40gの混合液を溶液(D)に投入後、攪拌しながら24℃で3時間保持後、室温に戻し、透明な黄色い分散液(F)を作製した。さらに溶液(F)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、加水分解した有機アルミニウムを含む被覆液(E)を得た。被覆液(E)の粒度を測定するとD50 =11nmであった。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度30℃、送風量0.3m3/時で撹拌しながら30分間掛けて被覆液(E)全量を噴霧して、被覆層を得た。この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(実施例5)
(Al−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール20mlにトリアルミニウムイソプロポキシド(高純度化学製)1.20gを加えて溶解攪拌し、溶液(A)を作製した。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)0.50gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製した。溶液(A)中に溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら24℃で1時間放置後、溶液(D)を作製した。さらに溶液(F)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、有機アルミニウムを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度30℃、送風量0.3m3/時で撹拌しながら0.5時間掛けて被覆液(E)全量を噴霧して、被覆層を得た。
この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で400℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(実施例6)
(Al−O被覆液の作製)
実施例5と同条件で得た有機アルミニウムを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、実施例6と同条件で噴霧して被覆層を得た。この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(実施例7)
(Al−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール100mlにトリアルミニウムイソプロポキシド(高純度化学製)6.00gを加えて溶解攪拌し、溶液(A)を作製した。別容器に2−プロパノール30mlにアセチルアセトン(関東化学製)2.50gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製した。溶液(A)中に溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら24℃で1時間放置後、溶液(D)を作製した。さらに溶液(F)に希釈用の2−プロパノール500mlを加えて、有機アルミニウムを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度30℃、送風量0.3m/時で撹拌しながら6時間掛けて被覆液(E)全量を噴霧して、被覆層を得た。この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1,2にまとめて示す。また、図7(A)は、正極活物質の粒子表面側からSEM観察を行い、得られた表面組織を示す。図7(B)は、正極活物質の粒子断面側からTEM観察を行い、微細組織で観察された微粒の粒形状を示す。TEM観察により、被覆層に平均粒径1nm以上2nm以下の微粒子が観察された。
(実施例8)
(Al−O被覆液の作製)
実施例7と同条件で得た有機アルミニウムを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材600gを取り分け、実施例7と同条件で噴霧して被覆層を得た。この混合物600gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で700℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例1)
実施例1で作製した母材600gを被覆処理せずに、正極活物質の評価を行った。結果を表1、2にまとめて示す。また、図8(A)は、正極活物質の粒子表面側からSEM観察を行い、得られた表面組織を示す。図8(B)は、正極活物質の粒子断面側からTEM観察を行い、微細組織で観察された微粒の粒形状を示す。TEM観察により、被覆層は観察されなかった。
(比較例2)
実施例1で作製した母材600gを被覆処理せずに、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例3)
(Ti−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール50mlにチタニウムブトキシド(関東化学製)1.66gを加えて密栓した容器中で攪拌し、被覆液(A)を作製した。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で300℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例4)
(Ti−O被覆液の作製)
比較例3と同条件で得た有機チタニウムを含む被覆液(A)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で400℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例5)
(Ti−O被覆液の作製)
比較例3と同条件で得た有機チタニウムを含む被覆液(A)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例6)
(Nb−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール50mlにペンタニオブエトキシド(関東化学製)1.59gを加えて密栓した容器中で攪拌し、被覆液(A)を作製した。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で300℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例7)
(Nb−O被覆液の作製)
比較例5と同条件で得た有機ニオブを含む被覆液(A)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例8)
(Al−O被覆液の作製)
予め2−プロパノール50mlにトリアルミニウムイソプロポキシド(関東化学製)1.20gを加えて密栓した容器中で攪拌し、被覆液(A)を作製した。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で300℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例9)
(Al−O被覆液の作製)
比較例7と同条件で得た有機アルミニウムを含む被覆液(A)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(比較例10)
(Al−O被覆液の作製)
比較例7と同条件で得た有機アルミニウムを含む被覆液(A)を得た。
(被覆層の形成)
実施例1で作製した母材20gを取り分け、被覆液(A)中に添加して6hr攪拌後、被覆層を得た。この混合物20gを、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で800℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
1……正極活物質
2……リチウムニッケル複合酸化物粒子
3……表層部
4……中心部
5……被覆層
6……母材
7……被覆層前駆体
CBA……コイン型電池
CA……ケース
PC……正極
NC……負極
GA……ガスケット
PE……正極
NE……負極
SE……セパレータ

Claims (19)

  1. 表面に配置される表層部とそれ以外の中心部とを有し、組成がLiNi1−x−yCo 2+α(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、Mは、Al及びNbのうち少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15、0<z≦0.03、0≦α≦0.1を示す。)で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子からなり、前記Mは、前記表層部に含まれる、
    ことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記Mは、その粒子表面から中心へ向かう方向において、その濃度が低くなるような濃度勾配を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記Mの少なくとも一部は、前記複合酸化物粒子中のNi、Coの少なくとも一部と反応して生成物を形成してなることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記生成物の少なくとも一部は、組成式AB(Aは、NiおよびCoのうち少なくとも1種の金属元素であり、Bは、Mである。)で表されるスピネル型結晶相からなることを特徴とする請求項3に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記表層部の厚みが、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質
  6. 前記正極活物質は、前記複合酸化物の粒子の表面の少なくとも一部を被覆した被覆層をさらに有し、前記被覆層は、前記Mを前記表層部よりも高濃度で含む、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  7. 前記被覆層は、平均粒径1nm以上20nm以下の微粒子を含むことを特徴とする請求項6に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  8. Al又はNbの含有量が、前記正極活物質全体に対して、0.02質量%以上3.0質量%以下の範囲にある、ことを特徴とした請求項1〜7のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  9. 前記正極活物質は、X線回折のリートベルト解析により求められるa軸長さが2.8647以上2.8655以下、c軸長さが14.1801以上14.890以下であること請求項1〜8のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  10. 前記被覆層の厚みが、0.1nm以上20nm以下であることを特徴とする請求項4〜9のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  11. 前記正極活物質0.1gを24℃の純水50mlに加えた後、10分間撹拌したスラリーのpHが11.2以下であり、前記正極活物質9.5gと、バインダーとしてフッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5g、さらに水0.2gを加えて自公転練り込み機によりスラリー状にした後、24℃で3日間静止保管してもゲル化しないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  12. 前記表層部は、組成がLiNi1−x−yCo(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15)で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子からなる母材の表面上に、Al及びNbのうち少なくとも一種を含む被覆層前駆体を形成した後、熱処理により前記被覆層前駆体と前記母材の粒子界面とを反応して形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  13. 電圧範囲3.0V−4.3V、レート0.5Cによる放電容量が、前記母材の初期放電容量に対して3%以内の範囲である、ことを特徴とする請求項12に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  14. 充電電位4.1Vで充電して交流インピーダンス法により測定して、得たナイキストプロットから算出された界面抵抗値(Ω)が、前記母材の界面抵抗値に対して2倍以下の範囲である、ことを特徴とする請求項12または13に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  15. Al及びNbのうち少なくとも1種を含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を混合し混合液を得た後、前記混合液にキレート剤を添加して被覆液を得ることと、
    リチウムニッケル複合酸化物粒子に、前記被覆液を混合し又は噴霧して、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に膜厚が3nm以上100nm以下の被覆層前駆体を形成することと、
    前記被覆層前駆体を形成した複合酸化物粒子を350℃以上700℃以下の酸素雰囲気中で熱処理することと、
    を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  16. 前記被覆液は、Al及びNbのうち少なくとも1種を含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を混合して混合液を得た後、前記混合液にキレート剤を添加し、その後、水を添加して得られ、前記被覆液は、平均粒径D50が1nm以上20nm以下の微粒子を分散させてなる、ことを特徴とする請求項15に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  17. 前記被覆層前駆体は、前記母材の表面に非連続的に多孔質かつ島状に形成され、透過型電子顕微鏡の断面観察より測定される被覆面積が前記母材の表面積の80%以上95%以下であることを特徴とする請求項15又は16に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  18. 前記熱処理は、前記被覆層前駆体を形成した複合酸化物粒子を、[混合物量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)によって求められる値が33g/分以上1333g/分以下の範囲内で制御した雰囲気で行う、ことを特徴する請求項15〜17のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする非水系電解質二次電池。
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