JP2006302880A - リチウムイオン二次電池およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムイオン二次電池の活物質粒子は、少なくともそのコア部を構成する第1リチウムニッケル複合酸化物:LixNi1-y-zCoyMezO2(ただし、0.85≦x≦1.25、0<y≦0.5、0≦z≦0.5、0<y+z≦0.75、元素MeはAl、Mn、Ti、MgおよびCaよりなる群から選択される少なくとも1種)を含む。活物質粒子の表層部は、NaCl型結晶構造を有するニッケル酸化物もしくは第2リチウムニッケル複合酸化物を含み、更に、第1リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造を構成しない元素Mを含む。元素Mは、Al、Mn、Mg、B、Zr、W、Nb、Ta、In、MoおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種である。
【選択図】図1
Description
内部短絡が起こった場合、短絡部ではジュール熱が発生する。その熱により、正極活物質の熱分解反応や、活物質と電解液との反応が誘起される。これらの反応は発熱を伴う。よって、これらの反応を抑制できない場合には、電池の異常発熱に至る。
本発明の一態様においては、上記一般式は0<z≦0.5を満たし、元素Meの濃度は、活物質粒子の内部に比べ、表層部の付近で高くなっている。
元素Mの量は、リチウムニッケル複合酸化物に対して、2mol%以下であることが好ましい。
活物質粒子は、第1リチウムニッケル複合酸化物を含む。第1リチウムニッケル複合酸化物の形態は特に限定されない。第1リチウムニッケル複合酸化物は、例えば、一次粒子の状態で活物質粒子を構成する場合と、二次粒子の状態で活物質粒子を構成する場合がある。活物質粒子の平均粒径は、特に限定されないが、例えば1〜30μmが好ましい。
なお、Li、Ni、Coおよび元素Me以外の元素が、工業原料に通常に含まれる範囲の量で不純物として混入する場合もある。ただし、不純物が本発明の効果に大きく影響することはない。
なお、δは0≦δ≦0.1を満たすことが好ましい。以下、NiOおよび陽イオン欠損型のNi1-δOよりなる群から選択される少なくとも1種のニッケル酸化物を、Ni1-δO(0≦δ)とも称する。
活物質粒子10は、少なくともそのコア部を構成する第1リチウムニッケル複合酸化物11と、第1リチウムニッケル複合酸化物11の表面に存在する表層部12とを有する。元素Mの酸化物13は、第1リチウムニッケル複合酸化物11の表面に付着している。主に元素Mの酸化物13の内側に、NaCl型結晶構造を有するニッケル酸化物もしくは第2リチウムニッケル複合酸化物14が形成されている。すなわち、元素Mの酸化物13は、主に表層部12の外側を構成し、ニッケル酸化物もしくは第2リチウムニッケル複合酸化物14は、主に表層部12の内側を構成している。
(i)第1ステップ
まず、一般式LixNi1-y-zCoyMezO2(x≦1.02)で表される第1リチウムニッケル複合酸化物に、Al、Mn、Mg、B、Zr、W、Nb、Ta、In、MoおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mを担持させる。第1リチウムニッケル複合酸化物の平均粒径は、特に限定されないが、例えば1〜30μmが好ましい。
次に、元素Mを担持した第1リチウムニッケル複合酸化物を、温度が60℃以下で、湿度が20%より高い環境下に、好ましくは2〜48時間ほど放置する。例えば25℃程度の温度で、55%程度の湿度を有する環境下に、24時間ほど、元素Mを担持した第1リチウムニッケル複合酸化物を放置する。この間に、雰囲気中の水分によって、第1リチウムニッケル複合酸化物の表面に、NiOOHが生成する。その際、水分は、第1リチウムニッケル複合酸化物の表面の副反応活性点に優先的に化学吸着する。よって、副反応活性点を優先的にNiOOHに変換することができる。
表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物は、乾燥空気中で予備焼成した後、酸素雰囲気中で焼成する。このような焼成により、NiOOHはNi1-δO(0≦δ)に変換される。焼成条件は、NiOOHがNi1-δO(0≦δ)に還元される条件であればよく、特に限定されない。生成したNi1-δO(0≦δ)は、元素Mとともに、活物質粒子の表層部を構成する。なお、元素Mは、通常、焼成によって酸化物に変換される。Ni1-δO(0≦δ)は、第1リチウムニッケル複合酸化物のニッケルの一部が変換したものである。よって、Ni1-δO(0≦δ)は、表層部の内側に分布し、元素Mの酸化物は外側に分布することになる。
表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物の焼成は、副反応活性点のNi1-δO(0≦δ)への変換を確実にする観点から、以下の3段階で行うことが好ましい。
まず、表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物を、300〜450℃で、2〜24時間(好ましくは6時間)ほど、乾燥空気雰囲気で焼成する。このとき、乾燥空気雰囲気の湿度は2〜19%が好ましく、圧力は101〜50KPaが好ましい。
続いて、650〜750℃で、2〜24時間(好ましくは6時間)ほど、酸素雰囲気下で焼成する。このとき、酸素雰囲気の圧力は101〜50KPaが好ましい。その後、さらに、300〜500℃、好ましくは400℃ほどの温度で、酸素雰囲気下でアニーリングを行う。このとき、酸素雰囲気の圧力は101〜50KPaが好ましい。なお、酸素雰囲気は、酸素以外の成分、例えば湿気を含んでもよい。ただし、酸素分圧は20%以上(酸素雰囲気の圧力をP、酸素分圧をPoとするとき、0.2≦Po/P≦1)とすることが望ましい。
活物質粒子を用いて、正極を形成する。正極の作製方法は、特に限定されない。一般的には、活物質粒子と結着剤とを含む正極合剤を、帯状の正極芯材(正極集電体)に担持させて正極が作製される。正極合剤には、他に、導電材などの添加剤を任意成分として含ませることができる。正極合剤を液状成分に分散させてペーストを調製し、ペーストを芯材に塗工し、乾燥させることにより、正極合剤を芯材に担持させることができる。
(i)第1ステップ
一般式LixNi1-y-zCoyMezO2(1.03≦x)で表される第1リチウムニッケル複合酸化物を用いること以外は、副反応活性点をNi1-δO(0≦δ)に変換する場合と同様の操作を行い、第1リチウムニッケル複合酸化物に元素Mを担持させる。
副反応活性点をNi1-δO(0≦δ)に変換する場合と同様の操作を行い、第1リチウムニッケル複合酸化物の副反応活性点をNiOOHに変換する。
表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物を焼成する。この焼成により、NiOOHは、第1リチウムニッケル複合酸化物中の余剰のLiと反応する。その際、NaCl型結晶構造を有するドメインを含む第2リチウムニッケル複合酸化物が生成する。
表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物を、400〜750℃で、2〜24時間(好ましくは6時間)ほど、酸素雰囲気下で焼成する。このとき、酸素雰囲気の圧力は101〜50KPaが好ましい。なお、酸素雰囲気は、酸素以外の成分、例えば湿気を含んでもよい。ただし、酸素分圧は20%以上(酸素雰囲気の圧力をP、酸素分圧をPoとするとき、0.2≦Po/P≦1)とすることが望ましい。
副反応活性点をNi1-δO(0≦δ)に変換する場合と同様の操作を行い、正極を作製する。
非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネ−ト(EC)、プロピレンカ−ボネ−ト(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類;1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類;ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることが好ましい。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒;または環状カーボネートと鎖状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルとの混合溶媒が好ましい。
セパレータには、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有し、絶縁性である微多孔性薄膜が好ましく用いられる。微多孔性薄膜は、一定温度以上で孔を閉塞し、電池抵抗を上昇させる機能を有することが好ましい。微多孔性薄膜の材質は、耐有機溶剤性に優れ、疎水性を有するポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)が好ましく用いられる。ガラス繊維などから作製されたシート、不織布、織布などもセパレータとして用いられる。セパレータの孔径は、例えば0.01〜1μmである。セパレータの厚みは、一般的には10〜300μmである。セパレータの空孔率は、一般的には30〜80%である。
《実施例電池A1》
(i)第1リチウムニッケル複合酸化物の合成
Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が80:15:5になるように硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを混合した。得られた混合物3.2kgを、10Lの水に溶解させて、原料溶液を得た。原料溶液に、水酸化ナトリウムを400g加えて、沈殿を生成させた。沈殿を十分に水洗し、乾燥させ、共沈水酸化物を得た。
〈a〉第1ステップ
エタノール10L中にペンタエトキシタンタルを溶解させた。得られた溶液に、合成された第1リチウムニッケル複合酸化物2kgを分散させた。エタノール中のペンタエトキシタンタルの溶解量は、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して0.5mol%とした。第1リチウムニッケル複合酸化物とエタノール溶液との混合液を、60℃で3時間攪拌した。その後、混合液をろ過し、その残渣を100℃で2時間乾燥させた。その結果、元素Mとしてタンタル(Ta)を表面に担持した第1リチウムニッケル複合酸化物が得られた。
タンタルを表面に担持した第1リチウムニッケル複合酸化物(乾燥後の粉末)を、温度25℃、湿度55%の環境下に、24時間放置した。その間に、雰囲気中の水分が第1リチウムニッケル複合酸化物の表面の副反応活性点に作用し、第1リチウムニッケル複合酸化物の表面にNiOOHが生成した。NiOOHが生成していることは、XRD測定およびESCA測定で確認した。
表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物を、まず、300℃で6時間、乾燥空気雰囲気(湿度19%、圧力101KPa)下で予備焼成した。続いて、650℃で6時間、酸素100%雰囲気(圧力101KPa)下で本焼成し、最後に、400℃で、酸素100%雰囲気(圧力101KPa)下で、4時間のアニーリングを行った。この焼成により、第1リチウムニッケル複合酸化物の表面のNiOOHは、NaCl型結晶構造を有するNi1-δO(0≦δ)に変換された。よって、TaおよびNi1-δO(0≦δ)を含む表層部を有する活物質粒子が得られた。NaCl型結晶構造を有するNi1-δO(0≦δ)の存在は、XRD測定またはXENES測定により確認した。以下の実施例においても、同様に、活物質粒子中のNi1-δO(0≦δ)の存在は、XRD測定またはXENES測定により確認した。
得られた活物質粒子1kgを、呉羽化学(株)製のPVDF#1320(PVDFを12重量%含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液)0.5kg、アセチレンブラック40g、および適量のNMPとともに、双腕式練合機で攪拌し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、総厚が160μmとなるように圧延した。その後、得られた極板を、円筒型18650の電池ケースに挿入可能な幅に裁断し、正極を得た。
人造黒鉛3kgを、日本ゼオン(株)製のBM−400B(40重量%の変性スチレン−ブタジエンゴムを含む分散液)200g、カルボキシメチルセルロース(CMC)50g、および適量の水とともに、双腕式練合機で攪拌し、負極合剤ペーストを調製した。このペーストを厚さ12μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、総厚が160μmとなるように圧延した。その後、得られた極板を、上記電池ケースに挿入可能な幅に裁断し、負極を得た。
図2を参照しながら説明する。まず、正極21と負極22とを、これらの間に介在するセパレータ23とともに捲回し、極板群を構成した。セパレータ23には、ポリエチレンとポリプロピレンとからなる複合フィルム(セルガード(株)製の2300、厚さ25μm)を用いた。
エタノール10L中に溶解させるペンタエトキシタンタルの量を、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2.0mol%に変更したこと以外、電池A1と同様にして、
電池A2を作製した。
活物質粒子の合成の第1ステップにおいて、ペンタエトキシタンタルのエタノール溶液の代わりに、イソプロパノール10L中にアルミニウム(Al:元素M)トリイソプロポキシドを溶解させた溶液を用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池A3を作製した。なお、アルミニウムトリイソプロポキシドの溶解量は、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して0.5mol%とした。
イソプロパノール10L中に溶解させるアルミニウムトリイソプロポキシドの量を、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2.0mol%に変更したこと以外、電池A3と同様にして、電池A4を作製した。
活物質粒子の合成の第1ステップにおいて、ペンタエトキシタンタルのエタノール溶液の代わりに、ブタノール10L中にジルコニウム(Zr:元素M)テトラ−n−ブトキシドを溶解させた溶液を用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池A5を作製した。なお、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドの溶解量は、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、0.5mol%とした。
ブタノール10L中に溶解させるジルコニウムテトラ−n−ブトキシドの量を、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2.0mol%に変更したこと以外、電池A5と同様にして、電池A6を作製した。
活物質粒子の合成の第1ステップにおいて、ペンタエトキシタンタルのエタノール溶液の代わりに、エタノール10L中に酢酸マグネシウム(Mg:元素M)を溶解させた溶液を用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池A7を作製した。なお、酢酸マグネシウムの溶解量は、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、0.5mol%とした。
エタノール10L中に溶解させる酢酸マグネシウムの量を、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2.0mol%に変更したこと以外、電池A7と同様にして、電池A8を作製した。
活物質粒子の合成の第1ステップにおいて、ペンタエトキシタンタルのエタノール溶液の代わりに、エタノール10L中に硝酸インジウム(In:元素M)を溶解させた溶液を用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池A9を作製した。なお、硝酸インジウムの溶解量は、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、0.5mol%とした。
エタノール10L中に溶解させる硝酸インジウムの量を、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2.0mol%に変更したこと以外、電池A9と同様にして、電池A10を作製した。
活物質粒子の合成の第1ステップにおいて、ペンタエトキシタンタルのエタノール溶液の代わりに、pH13の水酸化ナトリウム水溶液10L中に第1リチウムニッケル複合酸化物2kgを分散させた。一方、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して0.5mol%の量の硫酸すず(Sn:元素M)を、100gの蒸留水に溶解させた。第1リチウムニッケル複合酸化物と水酸化ナトリウム水溶液との混合液に、硫酸すずの水溶液を10分間かけて滴下した。その後、100℃で3時間攪拌したこと以外、電池A1と同様にして、電池A11を作製した。
蒸留水100gに溶解させる硫酸すずの量を、第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2.0mol%に変更したこと以外、電池A11と同様にして、電池A12を作製した。
硫酸すずを硫酸マンガン(Mn:元素M)に変更したこと以外、電池A11と同様にして、電池A13を作製した。
硫酸すずを硫酸マンガンに変更したこと以外、電池A12と同様にして、電池A14を作製した。
硫酸すずを硼酸(B:元素M)に変更したこと以外、電池A11と同様にして、電池A15を作製した。
硫酸すずを硼酸に変更したこと以外、電池A12と同様にして、電池A16を作製した。
硫酸すずをタングステン(W:元素M)酸ナトリウムに変更したこと以外、電池A11と同様にして、電池A17を作製した。
硫酸すずをタングステン酸ナトリウムに変更したこと以外、電池A12と同様にして、電池A18を作製した。
硫酸すずを五塩化二オブ(Nb:元素M)に変更したこと以外、電池A11と同様にして、電池A19を作製した。
硫酸すずを五塩化二オブに変更したこと以外、電池A12と同様にして、電池A20を作製した。
硫酸すずをヘプタモリブデン(Mo:元素M)酸アンモニウムに変更したこと以外、電池A11と同様にして、電池A21を作製した。
硫酸すずをヘプタモリブデン酸アンモニウムに変更したこと以外、電池A12と同様にして、電池A22を作製した。
第1リチウムニッケル複合酸化物に対する、ペンタエトキシタンタル、アルミニウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、酢酸マグネシウム、硝酸インジウム、硫酸すず、硫酸マンガン、硼酸、タングステン酸ナトリウム、五塩化二オブ、および、ヘプタモリブデン酸アンモニウムの量を、それぞれ2.5mol%としたこと以外、電池1A、3A、5A、7A、9A、11A、13A、15A、17A、19A、および、21Aと同様にして、電池A23〜A33を作製した。
活物質粒子の合成の第2ステップにおいて、元素Mを担持した第1リチウムニッケル複合酸化物(乾燥後の粉末)を放置する環境を、温度60℃、湿度55%の環境に変更したこと以外、電池1A、3A、5A、7A、9A、11A、13A、15A、17A、19A、および、21Aと同様にして、それぞれ電池A34〜A44を作製した。
活物質粒子の合成の第2ステップにおいて、元素Mを担持した第1リチウムニッケル複合酸化物(乾燥後の粉末)を放置する環境を、温度25℃、湿度20%の環境に変更したこと以外、電池1A、3A、5A、7A、9A、11A、13A、15A、17A、19A、および、21Aと同様にして、それぞれ電池a1〜a11を作製した。
なお、各活物質粒子をXRD測定で分析したところ、Ni1-δO(0≦δ)の生成は確認されなかった。
活物質粒子の合成の第3ステップにおいて、表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物の予備焼成の雰囲気を、乾燥空気雰囲気から酸素100%雰囲気(圧力101KPa)に変更したこと以外、電池1A、3A、5A、7A、9A、11A、13A、15A、17A、19A、および、21Aと同様にして、電池a12〜a22を作製した。
なお、各活物質粒子をXRD測定で分析したところ、Ni1-δOの生成は確認されなかった。予備焼成を酸化力の高い雰囲気で行うと、還元生成物であるNi1-δO(0≦δ)は生成しなくなるものと考えられる。
活物質粒子の合成の第3ステップにおいて、表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物の本焼成およびその後のアニールの雰囲気を、酸素100%雰囲気から乾燥空気雰囲気(湿度19%、圧力101KPa)に変更したこと以外、電池1A、3A、5A、7A、9A、11A、13A、15A、17A、19A、および、21Aと同様にして、電池a23〜a33を作製した。
なお、各活物質粒子をXRD測定で分析したところ、Ni1-δO(0≦δ)の生成は確認されなかった。本焼成を乾燥空気雰囲気で行うと、Ni1-δO(0≦δ)は生成せず、活物質自体が異相に変化するものと考えられる。
活物質粒子の合成において、第1ステップを行わず、第1リチウムニッケル複合酸化物を、そのまま第2ステップで、温度25℃、湿度55%の環境下で、24時間放置したこと以外、電池A1と同様にして、電池a34を作製した。
なお、活物質粒子を分析したところ、NiOの生成が確認された。
NiO粉末を0.5mol%添加した第1リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池a35を作製した。
第1リチウムニッケル複合酸化物を、窒素と水素とのモル比95:5の混合気体雰囲気下で、400℃で、6時間熱処理して、第1リチウムニッケル複合酸化物の表面に、低価数のNiおよびCoを含む還元層を形成した。こうして得られた還元層を有する第1リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池a36を作製した。
元素MおよびNi1-δO(0≦δ)を含有しない第1リチウムニッケル複合酸化物を、そのまま正極活物質に用いたこと以外、電池A1と同様にして、電池a37を作製した。
実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37を、以下の方法で評価した。結果を表1Aおよび1Bに記す。
各電池について2度の慣らし充放電を行い、その後、40℃環境下で2日間保存した。その後、各電池について、以下の2パターンの充放電を行った。ただし、電池の設計容量は2000mAhである。
第1パターン
(1)定電流充電(20℃):1400mA(終止電圧4.2V)
(2)定電圧充電(20℃):4.2V(終止電流100mA)
(3)定電流放電(0℃):400mA(終止電圧3V)
(1)定電流充電(20℃):1400mA(終止電圧4.2V)
(2)定電圧充電(20℃):4.2V(終止電流100mA)
(3)定電流放電(0℃):4000mA(終止電圧3V)
第1および第2パターンで得られた放電容量を表1Aおよび1Bに示す。
内部短絡発生時における安全性を評価するために、60℃環境下で電池の圧壊試験を行った。まず、放電特性を評価後の電池について、20℃環境下で、以下の充電を行った。ただし、電池の設計容量は2000mAhである。
(1)定電流充電:1400mA(終止電圧4.25V)
(2)定電圧充電:4.25V(終止電流100mA)
60℃環境下で、充電後の電池の側面から、10mm径の鉄製丸棒を、5mm/秒の速度で押しつけ、電池を圧壊させた。電池の圧壊箇所における90秒後の到達温度を表1Aおよび1Bに示す。
表層部が元素MとNi1-δO(0≦δ≦0.1)を含み、元素Mの量が第1リチウムニッケル複合酸化物に対して0.5mol%もしくは2mol%である活物質粒子を用いた実施例電池A1〜A22は、圧壊試験において、発熱が極めて小さくなった。これらの電池の0℃での2CmA(4000mAh)放電による放電容量は、第1リチウムニッケル複合酸化物をそのまま用いた比較例電池a37のそれと同等であった。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が90:7:3となるように用い、組成がLiNi0.9Co0.07Al0.03O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37と同様にして、それぞれ実施例電池B1〜B44および比較例電池b1〜b37を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表2Aおよび2Bに示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が25:25:50となるように用い、組成がLiNi0.25Co0.25Al0.50O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37と同様にして、それぞれ実施例電池C1〜C44および比較例電池c1〜c37を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表3Aおよび3Bに示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が25:50:25となるように用い、組成がLiNi0.25Co0.50Al0.25O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37と同様にして、それぞれ実施例電池D1〜D44および比較例電池d1〜d37を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表4Aおよび4Bに示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸アルミニウムを用いず、硫酸ニッケルと硫酸コバルトとを、Ni原子とCo原子とのモル比が90:10となるように用い、組成がLiNi0.90Co0.10O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37と同様にして、それぞれ実施例電池E1〜E44および比較例電池e1〜e37を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表5Aおよび5Bに示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸アルミニウムを用いず、硫酸ニッケルと硫酸コバルトとを、Ni原子とCo原子とのモル比が50:50となるように用い、組成がLiNi0.50Co0.50O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37と同様にして、それぞれ実施例電池F1〜F44および比較例電池f1〜f37を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表6Aおよび6Bに示す。
Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が80:15:3になるように、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを混合した。得られた混合物3.2kgを、10Lの水に溶解させて、原料溶液を得た。原料溶液に、水酸化ナトリウムを400g加えて、沈殿を生成させた。沈殿を十分に水洗し、乾燥させ、共沈水酸化物を得た。
実施例7と同様に調製したNi−Co−Al共沈水酸化物3kgに、水酸化リチウム853g、および、硫酸マグネシウム378gを混合した。得られた混合物を、酸素分圧が0.5気圧である雰囲気中で、750℃の合成温度で10時間焼成して、元素MeとしてAlおよびMgを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(組成:LiNi0.8Co0.15Al0.03Mg0.02O2)を得た。
実施例7と同様に調製したNi−Co−Al共沈水酸化物3kgに、水酸化リチウム853g、および、水酸化カルシウム378gを混合した。得られた混合物を、酸素分圧が0.5気圧である雰囲気中で、750℃の合成温度で10時間焼成して、元素MeとしてAlおよびCaを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(組成:LiNi0.8Co0.15Al0.03Ca0.02O2)を得た。
実施例7と同様に調製したNi−Co−Al共沈水酸化物3kgに、水酸化リチウム853g、および、硫酸チタン378gを混合した。得られた混合物を、酸素分圧が0.5気圧である雰囲気中で、750℃の合成温度で10時間焼成して、元素MeとしてAlおよびTiを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(組成:LiNi0.8Co0.15Al0.03Ti0.02O2)を得た。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が20:50:30となるように用い、組成がLiNi0.20Co0.50Al0.30O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜44および比較例電池a1〜37と同様にして、それぞれ比較例電池k1〜k81を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表11Aおよび11Bに示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の代わりに、LiNiO2を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池A1〜A44および比較例電池a1〜a37と同様にして、それぞれ比較例電池l1〜l81を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表12Aおよび12Bに示す。
なお、LiNi1-y-zCoyMezO2において、Zが0.5よりも大きい場合には、均一な固溶体が得られなかった。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成および活物質粒子の合成を以下の要領で行ったこと以外は、実施例電池A1〜A44ならびに比較例電池a1〜a11、a34、a36およびa37と同様にして、それぞれ実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表13に示す。
Ni−Co−Al共沈水酸化物3kgと混合する水酸化リチウム量を800gに増量したこと以外、実施例1と同様にして、過剰のリチウムを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.05O2)を得た。
〈実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m12の場合〉
第3ステップを以下の要領で行ったこと以外は、実施例1の実施例電池A1〜A44ならびに比較例電池a1〜a11およびa34と同様にして、活物質粒子を合成した。第3ステップでは、表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物を、650℃で6時間、酸素100%雰囲気(圧力101KPa)下で焼成した。この焼成により、第1リチウムニッケル複合酸化物の表面のNiOOHは、余剰Liと反応し、NaCl型結晶構造を有するドメインを含む第2リチウムニッケル複合酸化物に変換された。その結果、元素Mおよび第2リチウムニッケル複合酸化物を含む表層部を有する活物質粒子が得られた。
過剰のリチウムを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.05O2)を用いたこと以外、実施例1の比較例電池a36と同様にして、活物質粒子を合成した。
過剰のリチウムを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.05O2)を用いたこと以外、実施例1の比較例電池a37と同様にして、活物質粒子を合成した。すなわち、Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.05O2をそのまま正極活物質に用いた。
表層部が元素Mと第2リチウムニッケル複合酸化物を有し、元素Mの量が第1リチウムニッケル複合酸化物に対して0.5mol%もしくは2mol%である実施例電池M1〜M22は、圧壊試験において、発熱が極めて小さくなった。これらの電池は、0℃での2CmA放電による放電容量も、第1リチウムニッケル複合酸化物をそのまま用いた比較例電池m14と同等であった。
以上の結果は、表層部が元素MおよびNi1-δO(0≦δ≦0.1)を含む場合と同様であった。
第1リチウム複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が90:7:3となるように用い、組成がLi1.03Ni0.9Co0.07Al0.03O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ実施例電池N1〜N44および比較例電池n1〜n14を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表14に示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が25:25:50となるように用い、組成がLi1.03Ni0.25Co0.25Al0.50O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ実施例電池O1〜O44および比較例電池o1〜o14を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表15に示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が25:50:25となるように用い、組成がLi1.03Ni0.25Co0.50Al0.25O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ実施例電池P1〜P44および比較例電池p1〜p14を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表16に示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸アルミニウムを用いず、硫酸ニッケルと硫酸コバルトとを、Ni原子とCo原子とのモル比が90:10となるように用い、組成がLi1.03Ni0.90Co0.10O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ実施例電池Q1〜Q44および比較例電池q1〜q14を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表17に示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の合成において、硫酸アルミニウムを用いず、硫酸ニッケルと硫酸コバルトとを、Ni原子とCo原子とのモル比が50:50となるように用い、組成がLi1.03Ni0.50Co0.50O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ実施例電池R1〜R44および比較例電池r1〜r14を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表18に示す。
Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が80:15:3になるように、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを混合した。得られた混合物3.2kgを、10Lの水に溶解させて、原料溶液を得た。原料溶液に、水酸化ナトリウムを400g加えて、沈殿を生成させた。沈殿を十分に水洗し、乾燥させ、共沈水酸化物を得た。
実施例17と同様に調製したNi−Co−Al共沈水酸化物3kgに、水酸化リチウム870g、および、硫酸マグネシウム378gを混合した。得られた混合物を、酸素分圧が0.5気圧である雰囲気中で、750℃の合成温度で10時間焼成して、過剰のリチウムを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(組成:Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.03Mg0.02O2)を得た。
実施例17と同様に調製したNi−Co−Al共沈水酸化物3kgに、水酸化リチウム870g、および、水酸化カルシウム378gを混合した。得られた混合物を、酸素分圧が0.5気圧である雰囲気中で、750℃の合成温度で10時間焼成して、過剰のリチウムを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(組成:Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.03Ca0.02O2)を得た。
実施例17と同様に調製したNi−Co−Al共沈水酸化物3kgに、水酸化リチウム870g、および、硫酸チタン378gを混合した。得られた混合物を、酸素分圧が0.5気圧である雰囲気中で、750℃の合成温度で10時間焼成して、過剰のリチウムを含む第1リチウムニッケル複合酸化物(組成:Li1.03Ni0.8Co0.15Al0.03Ti0.02O2)を得た。
リチウム複合酸化物の合成において、硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸アルミニウムとを、Ni原子とCo原子とAl原子とのモル比が20:50:30となるように用い、組成がLi1.03Ni0.20Co0.50Al0.30O2の第1リチウムニッケル複合酸化物を得た。この第1リチウムニッケル複合酸化物を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ比較例電池w1〜w58を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表23に示す。
第1リチウムニッケル複合酸化物の代わりに、Li1.03NiO2を活物質粒子の原料に用いたこと以外、実施例電池M1〜M44および比較例電池m1〜m14と同様にして、それぞれ比較例電池x1〜x58を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表24に示す。
11 リチウム複合酸化物
12 表層部
13 元素Mの酸化物
14 NaCl型結晶構造を有するニッケル酸化物または第2リチウムニッケル複合酸化物
22 負極
23 セパレータ
24 正極リード
25 負極リード
26 上部絶縁板
27 下部絶縁板
28 電池ケース
29 封口板
30 正極端子
Claims (6)
- 充放電可能な正極、充放電可能な負極、および非水電解液を有し、
前記正極は、活物質粒子を含み、
前記活物質粒子は、少なくともそのコア部を構成する第1リチウムニッケル複合酸化物を含み、
前記第1リチウムニッケル複合酸化物は、LixNi1-y-zCoyMezO2(ただし、0.85≦x≦1.25、0<y≦0.5、0≦z≦0.5、0<y+z≦0.75、元素MeはAl、Mn、Ti、MgおよびCaよりなる群から選択される少なくとも1種)で表され、
前記活物質粒子の表層部は、
(i)NaCl型結晶構造を有するニッケル酸化物およびNaCl型結晶構造を有するドメインを含む第2リチウムニッケル複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記活物質粒子の表層部は、更に、
(ii)前記第1リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造に組み込まれていない元素Mを含み、前記元素Mは、Al、Mn、Mg、B、Zr、W、Nb、Ta、In、MoおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種である、リチウムイオン二次電池。 - 前記NaCl型結晶構造を有するニッケル酸化物は、NiOおよび陽イオン欠損型のNi1-δOよりなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記NaCl型結晶構造を有するドメインは、前記第1リチウムニッケル複合酸化物のLiサイトのLiを、Ni、CoまたはMeで置換した構造を有する、請求項1記載のリチウムイオン二次電池。 - 元素Mは、前記表層部の内側に比べ、外側に多く分布し、前記ニッケル酸化物は、前記表層部の外側に比べ、内側に多く分布する、請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 0<z≦0.5であり、元素Meの濃度が、前記活物質粒子の内部に比べ、前記表層部の付近で高くなっている、請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 元素Mの量が、前記第1リチウムニッケル複合酸化物に対して、2mol%以下である、請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 充放電可能な正極を得る工程と、
充放電可能な負極を得る工程と、
前記正極と前記負極と非水電解液を有する電池を組み立てる工程とを具備し、
前記正極を得る工程が、
(i)LixNi1-y-zCoyMezO2(ただし、0.85≦x≦1.25、0<y≦0.5、0≦z≦0.5、0<y+z≦0.75、元素MeはAl、Mn、Ti、MgおよびCaよりなる群から選択される少なくとも1種)で表される第1リチウムニッケル複合酸化物に、Al、Mn、Mg、B、Zr、W、Nb、Ta、In、MoおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mを担持させる工程と、
(ii)前記元素Mを担持した第1リチウムニッケル複合酸化物を、温度が60℃以下で、湿度が20%より高い環境下に放置することにより、雰囲気中の水分によって前記第1リチウムニッケル複合酸化物の表面にNiOOHを生成させる工程と、
(iii)前記表面にNiOOHを生成させた第1リチウムニッケル複合酸化物を、乾燥空気雰囲気中で予備焼成し、次いで酸素雰囲気中で本焼成することにより、前記NiOOHを、NaCl型結晶構造を有するNiO、NaCl型結晶構造を有する陽イオン欠損型のNi1-δOおよびNaCl型結晶構造を有するドメインを含む第2リチウムニッケル複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種に変換して、活物質粒子を得る工程と、
(iv)前記活物質粒子を含む正極を形成する工程とを有する、リチウムイオン二次電池の製造法。
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