JP2004253305A - 表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を用いた正極活物質、正極材料、リチウム二次電池、及び前記表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 - Google Patents

表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を用いた正極活物質、正極材料、リチウム二次電池、及び前記表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム二次電池の高温保存等により発生するインピーダンス上昇を抑制する。
【解決手段】リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物であって、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することによって製造されることを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池の正極活物質として用いる、所定元素の化合物で表面を修飾したリチウムニッケル複合酸化物に関する。さらには、前記リチウムニッケル複合酸化物の製造方法、前記リチウムニッケル複合酸化物を用いたリチウム二次電池用正極材料、正極及びリチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池(本明細書においては、単に電池という場合がある。)は、携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)、携帯用のパーソナルコンピュータ、携帯電話等の電気機器の電源として採用されつつある。
【0003】
近年、これら携帯情報端末間や携帯電話間で動画のような大容量のデータを有線又は無線により高速通信する技術が確立されたこともあり、これら電気機器の消費電力は大きくなる傾向にある。このため、電源として用いるリチウム二次電池の電池容量もより高くすることが望まれている。
これらリチウム二次電池に用いる正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物が有望視されている。これらリチウム遷移金属複合酸化物の中でも、遷移金属としてニッケルを用いるリチウムニッケル複合酸化物は、単位重量あたりの電池容量が大きいため、有用な正極活物質として注目されている。実際に、リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いるリチウム二次電池は、充電電圧を4V以上とすることにより高容量を確保することができるようになる。
【0004】
ところが、リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いた電池は、高温環境下で使用又は保存した場合に電池性能が低下する場合があり、リチウムニッケル複合酸化物の熱安定性をより高くしたいという課題がある。
このような課題を解決するために、LiMO(Mは、Ni又はNi及びその他1種以上の遷移金属元素)にV(バナジウム)化合物を含有させる技術がある(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−260660号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、リチウムニッケル複合酸化物の熱安定性をより高くしたいという課題がある。
本発明者は、リチウムニッケル複合酸化物の熱安定性を高めるために、リチウムニッケル複合酸化物の表面を様々な元素の化合物で修飾することを検討している。これは、所定元素の化合物で表面修飾を行ってリチウムニッケル複合酸化物の表面での反応を抑制することにより、リチウムニッケル複合酸化物の熱安定性を高めるのが狙いである。
【0007】
そして、本発明者の検討によれば、バナジウム化合物を用いてもリチウムニッケル複合酸化物の熱安定性が必ずしも高くならないことが判明した。その原因を追求した結果、これは、大気中でのバナジウム酸化物(V)の融点が690℃と低いためであることが判明した。
リチウムニッケル複合酸化物は電池中で電解液と接する。このため、リチウムニッケル複合酸化物の表面修飾を行う場合は、表面に存在する修飾物質(本明細書においては、表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在する物質を表面修飾物質という場合がある。)が電解液中に溶解しないように、表面修飾物質とリチウムニッケル複合酸化物との結合力(接着力)と強める必要がある。このため、本発明者は、リチウムニッケル複合酸化物の表面に表面修飾物質の原料である修飾材料を存在させた後に焼成を行い、上記修飾材料の酸化物又は複合酸化物を得てこれを表面修飾物質とすることにより、リチウムニッケル複合酸化物と表面修飾物質との結合力を強めている。
【0008】
ところが、バナジウム化合物を修飾材料として用い、上記結合力を高めるために焼成の温度をより高くする(例えば、700〜800℃)と、焼成により生成される表面修飾物質(特にバナジウムの酸化物であるV)がリチウムニッケル複合酸化物表面で溶解してリチウムニッケル複合酸化物内部へ浸透したり、リチウムニッケル複合酸化物表面から流れ落ちたりして、リチウムニッケル複合酸化物表面の修飾が十分に行われないのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の目的は、表面修飾物質の状態でリチウムニッケル複合酸化物表面で安定に存在するような修飾材料を用いることにより、高い熱安定性を有するリチウムニッケル複合酸化物を得ることにある。
上記目的に鑑み、本発明者等は、リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いるリチウム二次電池において、リチウムニッケル複合酸化物の利点である高い容量を維持しつつ、高温での安定性を改良すべく鋭意検討を行った。
【0010】
その結果、周期表4B〜6B族の元素のうち、大気中での酸化物の融点が、修飾材料とリチウムニッケル複合酸化物との焼成を行う温度付近又はそれ以上の温度となる元素の化合物を修飾材料として用いれば、焼成により得られる上記元素の酸化物又は複合酸化物(表面修飾物質)がリチウムニッケル複合酸化物表面に安定的に存在し、熱安定性の高いリチウムニッケル複合酸化物を得ることができることを見出した。そして、このようなリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池は、高温保存および高温サイクル運転においてもインピーダンス上昇の抑制されることを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の第一の要旨は、リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物であって、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することによって製造されることを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物に存する。
【0012】
そして、本発明の第二の要旨は、リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物であって、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の酸化物又は複合酸化物が存在することを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物に存する。
【0013】
また、本発明の第三の要旨は、リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法であって、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族に属する元素であって、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法に存する。
【0014】
さらに、本発明は他の要旨は、前記表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を含有することを特徴とするリチウム二次電池用正極材料、及び前記表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とすることを特徴とするリチウム二次電池に存する。
尚、本発明においては、リチウムニッケル複合酸化物を「焼成する前」においてリチウムニッケル複合酸化物表面に存在している、周期表4B〜6B族の元素で前記元素の酸化物の融点が750℃以上である元素の化合物を「修飾材料」と呼ぶ。一方、焼成後のリチウムニッケル複合酸化物表面に存在する前記所定の元素の酸化物又は複合酸化物等を「表面修飾物質」と呼ぶ。修飾材料と表面修飾物質とは同じ材料である場合(焼成により物質自体は変化しないが、物質とリチウムニッケル複合酸化物との接着力が強くなる場合)、異なる物質である場合(焼成により修飾材料が反応して表面修飾物質となりリチウムニッケル複合酸化物との接着力が強くなる場合)とがある。
【0015】
【発明の実施の形態】
[1]表面修飾リチウムニッケル複合酸化物及びその製法
本発明に用いるリチウム二次電池の正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することによって製造されることを特徴とする。
(A)本発明の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を用いる意義
本発明者は、リチウムニッケル複合酸化物を用いたリチウム二次電池の高温安定性の悪化、特に、高温保存により発生するリチウム二次電池のインピーダンス上昇は、リチウムニッケル複合酸化物の表面における反応性が原因であると考えた。すなわち、他のリチウム遷移金属複合酸化物と比較して、リチウムニッケル複合酸化物は塩基性が高くなる分、その反応性が高くなるため、高温になると電解液に含有される溶媒がリチウムニッケル複合酸化物表面で酸化分解して被膜を形成し、この被膜がインピーダンス上昇を発生させる要因であると推測したのである。
【0016】
本発明者は、上記推測の下、リチウムニッケル複合酸化物の表面を何らかの材料で被覆して、又は何らかの材料と反応させて表面の活性を押さえ込めば、リチウムニッケル複合酸化物を用いるリチウム二次電池を高温で保存した場合又は高温中で充放電を繰り返し行った場合においても、そのインピーダンス上昇を抑制することができると考えた。但し、前記被覆材料あるいは反応材料は、リチウムニッケル複合酸化物を用いたリチウム二次電池の通常の状態でのインピーダンス、電池容量、レート特性、及び低温特性等の電池特性を損なうことなく、高温保存時の安定性を抑制できるような材料でなければならない。本発明者等は、そのような材料について鋭意検討を行った結果、リチウムニッケル複合酸化物中に存在するNiと安定な化合物を形成する周期表4B〜6B族元素の化合物を修飾材料として用いることが好適であることを見出したのである。
【0017】
一方で、本発明においては、表面修飾物質が電池中で電解液に溶出しないように、表面修飾物質とリチウムニッケル複合酸化物との結合力(接着力)を高める必要がある。このため、リチウムニッケル複合酸化物表面に修飾材料である上記周期表4B〜6B族元素の化合物を存在させた後にこれを焼成して、修飾材料の酸化物(周期表4B〜6B族元素の酸化物を形成)又は複合酸化物(周期表4B〜6B族元素を含む2以上の元素と酸素との酸化物)を得てこれを表面修飾物質とすることにより、表面修飾物質とリチウムニッケル複合酸化物との結合力(接着力)を高める。
【0018】
しかしながら、このような焼成処理を行うと、修飾材料として好適な周期表4B〜6B族元素の化合物のうち、バナジウム化合物は用いることが困難となる。これは、上記結合力(接着力)を高めるために、700℃以上の温度で焼成を行うと、バナジウム化合物を焼成していられる融点が低いV(融点:690℃)が溶解してリチウムニッケル複合酸化物表面から流れ落ちたり、リチウムニッケル複合酸化物内部へと浸透して、リチウムニッケル複合酸化物表面上の酸化バナジウム量を十分に確保することができないからである。一方で、周期表4B
〜6B族元素の酸化物である、TiO(融点:1843℃)、ZrO(融点
:2715℃)、HfO(融点:2758℃)、Nb(融点:1485℃)、Ta(融点:1872℃)、Cr(融点:2300℃)、MoO(融点:795℃)、WO(融点:1413℃)は、それぞれ融点が十分に高く、上記Vのような問題は起きない。
【0019】
このため、本発明においては、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が焼成温度付近又はそれ以上の温度である元素の化合物を修飾材料として用いる。ここで、焼成時の温度は、用いる修飾材料の種類によって異なるものの、比較的高温であるため、酸化物の融点が750℃以上のものを用いれば、表面修飾物質をリチウムニッケル複合酸化物表面に確実に存在させることができるようになる。
【0020】
尚、本発明における「表面修飾リチウムニッケル複合酸化物」とは、リチウムニッケル複合酸化物の表面に所定の化合物を存在させた後これを焼成することによって、前記リチウムニッケル複合酸化物の表面を単に被覆した場合のみならず、存在させた前記所定の化合物を、焼成によりリチウムニッケル複合酸化物表面で反応させてリチウムニッケル複合酸化物表面を修飾した場合をも含むものとする。
【0021】
上述の通り、本発明の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、バナジウム以外の周期表4B〜6B族元素(Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びW)の化合物を存在させた後にこれを焼成することによって製造される。以下この製造方法等について詳述する。
(B)リチウムニッケル複合酸化物
本発明において用いるリチウムニッケル複合酸化物は、少なくともリチウム及びニッケルを含有する酸化物である。リチウムニッケル複合酸化物としては、例えば、α−NaFeO構造等の層状構造を有する、LiNiOのようなリチウムニッケル複合酸化物が好ましい。具体的な組成としては、例えば、LiNiO、LiNi等を挙げることができる。この場合、リチウムニッケル複合酸化物は、Niが占めるサイトの一部をNi以外の元素で置換したものであってもよい。Niサイトの一部を他の元素で置換することによって、結晶構造の安定性を向上させることができ、繰り返し充放電する際のNi元素の一部がLiサイトに移動して発生する容量低下が抑制されるため、サイクル特性も向上する。さらに、Niサイトの一部をNi以外の元素で置換することによって、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量測定)の発熱開始温度が高温側にシフトするため、電池の温度が上昇した場合のリチウムニッケル複合酸化物の熱暴走反応も抑制され、結果として高温保存時の安全性の向上につながる。
【0022】
Niが占めるサイトの一部をNi以外の元素で置換する際の、該元素(以下、置換元素と表記する)としては、例えば、Al、Ti、V、Mn、Co、Li、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等が挙げられる。無論、Niサイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。好ましくはAl、Ti、Co、Li、Mg、Ga、Mnが挙げられ、更に好ましくはAl、Ti、Co、Mnが挙げられる。Ni元素の一部をAl、Ti、Co、Mnで置換することにより、サイクル特性、安全性の改善効果が大きくなる。
【0023】
置換元素によりNiサイトを置換する場合、その割合は通常Ni元素の2.5モル%以上、好ましくは5モル%以上であり、通常Ni元素の50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。置換割合が少なすぎるとサイクル特性等の改善効果が充分ではない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。
【0024】
尚、上記の組成において、少量の酸素欠損等の不定比性を持っていてもよい。また、酸素サイトの一部が硫黄やハロゲン元素で置換されていてもよい。
本発明においては、リチウムニッケル複合酸化物は、下記一般式(1)で表される、無置換又はNiサイトがCo及び所定の元素で置換される化合物であることが好ましい。
【0025】
LiαNiCo2− ββ (1)
一般式(1)中、αは、電池内での充放電の状況により変化する数であり、αは、通常0以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.95以上であり、一方、通常1.1以下、好ましくは1.08以下である。この範囲とすれば、高容量を維持しつつ、繰り返し充放電特性(本明細書においては、サイクル特性という場合がある。)が良好となる。特にαを0.95以上とすれば、容量とサイクル特性のバランスがより良好に保たれる。
【0026】
Xは、0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上であり、一方、1以下、好ましくは0.9以下である。この範囲とすれば、容量を高く保もちつつ、サイクル特性も良好となる。容量の点からは、Xは1に近いことが好ましいがサイクル特性を考慮すると特に良好なのはXを0.7以上0.9以下とすることである。
【0027】
Yは、0以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、一方、0.9以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下である。この範囲とすればサイクル特性を良好に保ちつつ、リチウム二次電池としての安全性も確保されるようになる。
Zは、0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上であり、一方、0.8以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.05以下である。この範囲とすれば、電池容量を落とさずに、リチウム二次電池としての安全性を確保することができるようになる。
【0028】
尚、上記のX、Y、Zは、0.9≦X+Y+Z≦1.1の関係を満たすが、通常1.0である。
βは、0以上、好ましくは0.01以上であり、一方、0.5以下、好ましくは0.1以下である。この範囲とすれば、フッ素がリチウムニッケル複合酸化物の結晶に取り込まれるようになるので、リチウム二次電池としての安全性を高くすることができる。
【0029】
Mは、Li,Mg,Ca,Sr,Cu,Zn,Al,Ga,Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,及びFeからなる群から選ばれる少なくとも1つである。Mを上記元素の少なくとも1つとすることにより、リチウム二次電池としての安全性を高くすることができるようになる。好ましくは、MをLi、Mg、Al、Ga、Ti、Nb、Cr、Mo、Mn、及びFeからなる群から選ばれる少なくとも1つとすることである。これら元素は、Niとイオン半径が近く、Niと置換されやすいという利点があるのみならず、工業的にも入手しやすいという利点がある。さらに好ましくは、MをMn、Mg、Al、Gaの少なくともいずれか1つとすることである。これら元素は工業的に特に入手しやすいからである。特に好ましいのは、MをAl、Mnとすることである。Al、Mnはコストが安価である利点がある。
【0030】
本発明で用いるリチウムニッケル複合酸化物の比表面積は、通常0.01m/g以上、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.3m/g以上であり、また通常10m/g以下、好ましくは1m/g以下、より好ましくは0.7m/g以下である。比表面積がこの範囲とすれば、高温保存時のガス発生を有効に抑制しつつ、リチウムイオンがインターカレーション、デインターカレーションするサイトが少なくなることによる、大電流での充放電特性が悪化することもなくなる。比表面積の測定はBET法に従う。
【0031】
リチウムニッケル複合酸化物の性状は、常温常湿(25℃/50%RH)において通常粉体であり、小粒径の一次粒子が凝集して二次粒子を形成した状態となっているのが一般的である。そしてこの二次粒子の平均2次粒径は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.5μm以上であり、通常300μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、最も好ましくは20μm以下である。平均2次粒径を上記範囲とすれば、電池のサイクル劣化を抑制しつつ、リチウム二次電池としての高い安全性を保つことができる。また、電池の内部抵抗値を小さくすることができるため、電池出力も大きくすることができる。
(C)酸化物の融点が750℃以上となる周期表4B〜6B族元素、及び前記元素の化合物(修飾材料)
酸化物の融点が750℃以上となる周期表4B〜6B族元素としては、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びWが挙げられる。従って、本発明においては、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びWのいずれかの元素の化合物を修飾材料として用いればよい。これら化合物の中でも、修飾材料として、Nb化合物、Ta化合物、及びTi化合物の少なくともいずれかを用いることが好ましく、Nb化合物及び/又はTi化合物を用いることが特に好ましい。これは、Nb化合物、Ta化合物、及びTi化合物は、Niと安定な化合物を形成しやすく、Nb化合物及びTi化合物は、特にNiと安定な化合物を形成しやすいからである。
【0032】
Nb化合物は、特に制限はされないものの、好ましいのは、酸化ニオブ、フッ化ニオブ、塩化ニオブ、三塩化酸化ニオブ、臭化ニオブ、沃化ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウムおよびシュウ酸水素ニオブからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることである。これらNb化合物は、常温常湿(25℃/50%RH)で固体である。
【0033】
これら修飾材料として用いるNb化合物の中で、より好ましいのは、リチウムニッケル複合酸化物の一般的な分解温度である800℃よりも融点または分解温度が低いフッ化ニオブ、塩化ニオブ、臭化ニオブ及び沃化ニオブである。また、高温保存時の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の安定性を高くする観点からは酸化ニオブを用いることも好ましい。
【0034】
上記Nb化合物の中でも、高温保存時の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の安定性を高くすることができる点において最も好ましいのは、酸化ニオブである。
Ti化合物は、特に制限はされないものの、酸化チタン、フッ化チタン、塩化チタン、臭化チタン、沃化チタン、二塩化酸化チタン、硫化チタン、硫酸チタン、酸化硫酸チタン、セレン化チタン、硝酸チタン、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、ビス(シクロペンタジエニル)チタン、テトラベンジルチタン、及びシュウ酸チタンアンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。これらTi化合物は、常温常湿(25℃/50%RH)で固体である。
【0035】
これらTi化合物の中で、より好ましいのは、リチウムニッケル複合酸化物の一般的な分解温度800℃よりも融点又は分解温度が低い、塩化チタン、臭化チタン、沃化チタン、二塩化酸化チタン、硫酸チタン、酸化硫酸チタン、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、テトラベンジルチタン、及びシュウ酸チタンアンモニウムである。また、高温保存時の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の安定性を高く観点からは、酸化チタンを用いることも好ましい。
【0036】
上記Ti化合物の中でも、高温保存時の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の安定性を高くすることができる点において最も好ましいのは、酸化チタンである。
周期表4B〜6B族元素の化合物は、常温常湿で粉末状であるが、その二次
粒子の粒径は、通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。リチウムニッケル複合酸化物の表面修飾を均一に行う観点からは、上記化合物の二次粒子径は、小さければ小さい程好ましいが、通常は0.01μm以上となる。
(D)リチウムニッケル複合酸化物の表面に修飾材料を存在させる方法
本発明の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法においては、リチウムニッケル複合酸化物の表面に修飾材料(周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物)を存在させる。
【0037】
この時、リチウムニッケル複合酸化物に対する修飾材料の割合を、通常0.001wt%以上、好ましくは0.01wt%以上、より好ましくは0.05wt%以上、特に好ましくは0.1wt%以上とする。この範囲とすれば、高温環境下における、電解液とリチウムニッケル複合酸化物との反応を有効に抑制できる。一方、リチウムニッケル複合酸化物に対する修飾材料の割合は、通常20wt%以下、好ましくは10wt%以下、より好ましくは5wt%以下、特に好ましくは3wt%以下、最も好ましくは1wt%以下である。上記範囲とすれば、リチウムニッケル複合酸化物の表面を修飾しすぎることによる電池容量の低下及び抵抗増加による出力の低下を抑制することができるようになる。
【0038】
また、本発明においては、リチウムニッケル複合酸化物の粒子表面に修飾材料を均一に存在させることが好ましい。このため、リチウムニッケル複合酸化物の二次粒子径よりも前記修飾材料の一次粒子径又は二次粒子径が小さいことが好ましい。修飾材料の一次粒子径又は二次粒子径がリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子径に対して大きくなると、修飾材料がリチウムニッケル複合酸化物表面に部分的にしか付着せず、均一な修飾はできないおそれがある。このような観点から、リチウムニッケル複合酸化物の平均二次粒子径を1とした場合に、これに対する修飾材料の平均一次粒子径又は平均二次粒子径の比は、通常0.5以下、好ましくは0.1以下である。修飾材料の平均一次粒子径又は平均二次粒子径は、リチウムニッケル複合酸化物の平均二次粒子径に対して小さければ小さい程好ましいが、現実的には、上記粒径比は、通常0.001以上となる。
【0039】
リチウムニッケル複合酸化物の粒子表面に修飾材料を存在させる方法としては、例えば、湿式法、乾式法、又は気相法を用いることができるが、工業的な生産性を考慮すると湿式法を用いることがより好ましい。
(D−1)湿式法
湿式法とは、修飾材料を溶媒に溶解又は分散しこれにリチウムニッケル複合酸化物を投入して、修飾材料とリチウムニッケル複合酸化物とを溶媒中で接触させることにより、前記リチウムニッケル複合酸化物の表面に修飾材料を存在させる方法である。湿式法は、修飾材料を多量に用いることなく、リチウムニッケル複合酸化物表面を均一に処理でき、生産効率が高い利点がある。
【0040】
修飾材料である、周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物を溶媒に溶解又は分散させる場合の溶媒としては、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、水、シュウ酸水溶液等を挙げることができる。上記溶媒は複数を併用してもよい。ここで、周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物の溶液又は分散液としては、例えば、酸化ニオブを溶媒に溶解又は分散させた酸化ニオブゾルや、酸化チタンを溶媒に分散させた酸化チタンゾルを挙げることができる。これらのゾルは工業的にも入手しやす上、湿式法でリチウムニッケル複合酸化物表面の処理を行うことができるので、均一な表面修飾が可能となる。
【0041】
修飾材料を溶媒に分散させる装置としては、熱をかけながら混練・撹拌できる装置であればよく、さらに、これを減圧で蒸発乾固できるような機能が付加された分散装置であればなお好ましい。このような装置としては、実験室的にはロータリーエバポレーターを挙げることができる。また、修飾材料を溶媒に分散させる際に分散剤を用いると、均一なスラリーが得られ、修飾材料をリチウムニッケル複合酸化物表面に均一に付着させることが容易となる。分散剤としては、例えば界面活性剤を挙げることができる。
【0042】
リチウムニッケル複合酸化物表面に修飾材料を存在させる装置としては、例えば、リチウムニッケル複合酸化物の粒子を動かしながら、修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物が含有される溶液又は分散液を接触させることができる装置を挙げることができる。工業的には、リチウムニッケル複合酸化物粉体を流動させながら、周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物を含有する溶液又は分散溶液(スラリー)を、スプレー等を用いて噴霧して付着させる装置、例えば、パンコーティング機、スプレードライヤー等を挙げることができる。
(D−2)乾式法
乾式法とは、固体状の修飾材料とリチウムニッケル複合酸化物粒子(固体)とを溶媒を介さずに接触させて、これら固体状の修飾材料とリチウムニッケル複合酸化物粒子とを混合することにより、リチウムニッケル複合酸化物の粒子表面に修飾材料を存在させる方法である。
(D−3)気相法
気相法とは、気体状の修飾材料を固体状のリチウムニッケル複合酸化物粒子と接触させることにより、修飾材料をリチウムニッケル複合酸化物粒子表面に存在させる方法をいう。気相法は、修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物をリチウムニッケル複合酸化物の表面に均一に存在させやすい利点がある。
【0043】
気相法を用いる場合、修飾材料を加熱等することにより気体状にして、これをリチウムニッケル複合酸化物と接触させ、リチウムニッケル複合酸化物の表面に修飾材料を存在させることが好ましい。
具体的な方法としては、リチウムニッケル複合酸化物粒子を炉の中に入れて、これに気体状の修飾材料(周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物:例えば、加熱すると気化するフッ化ニオブ、塩化ニオブ、三塩化酸化ニオブ、臭化ニオブ、沃化ニオブ、フッ化チタン、塩化チタン、臭化チタン及び沃化チタン)蒸気を吹き込む方法や、固体状のリチウムニッケル複合酸化物及び修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物を共に炉内に設置し、炉を加熱し周期表4B〜6B族元素の化合物を気化させて、リチウムニッケル複合酸化物表面に付着せるような方法を挙げることができる。
(E)焼成
本発明の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法においては、修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物をリチウムニッケル複合酸化物表面に存在させた後、これを焼成する。焼成を行うことにより、修飾材料の酸化物又は修飾材料の複合酸化物をリチウムニッケル複合酸化物表面に安定的に存在させることができるようになる。ここで、修飾材料の複合酸化物とは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びW(周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となる元素)のうちの少なくとも1つと、さらに他の元素と、酸素との酸化物をいう。
【0044】
焼成を行う温度は特に制限されない。例えば、前述の気相法を用いて修飾材料をリチウムニッケル複合酸化物表面に存在させる場合には、焼成温度は、修飾材料が気化するような温度以上であればよい。
一方、焼成温度は、リチウムニッケル複合酸化物の分解温度以下であることが好ましい。焼成温度が前記分解温度以上である場合には、リチウムニッケル複合酸化物自体が分解してしまうため、修飾材料をリチウムニッケル複合酸化物表面に強固に付着させることが困難となる場合がある。このような観点から、修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物としてNb化合物又はTi化合物を用いることが好ましい。
【0045】
ここで、リチウムニッケル複合酸化物の分解温度は、その組成によって異なる。つまり、例えば、Niサイトの一部をCo又はAlで置換する場合には、置換量が多いほどリチウムニッケル複合酸化物の分解温度は高くなる。また、リチウムニッケル複合酸化物がLi[Li0.2Ni0.4Mn0.4]Oの組成である場合は、リチウムニッケル複合酸化物の合成を900℃で行うため、周期表4B〜6B族元素の化合物との焼成は、900℃以下で行うことが好ましい。後述の実施例でも用いた組成(LiNi0.82Co0.15Al0.03)においては、780℃付近が分解温度(少なくとも電池性能が低下し始める温度)であると考えられるため、780℃以下で周期表4B〜6B族元素の化合物との焼成を行っている。
【0046】
また、例えば、修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物として酸化ニオブを用いる場合、酸化ニオブ自体の融点は非常に高い(1485℃)が、これを溶媒に分散し、酸化ニオブゾルとすると分解温度が800℃以下となるため、湿式法を用いて酸化ニオブゾルでリチウムニッケル複合酸化物の表面を処理すれば、リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.82Co0.15Al0.03)にとって最適温度領域である500〜780℃で焼成を行ってもリチウムニッケル複合酸化物の表面を酸化ニオブ又はニオブの複合酸化物で均一にかつ強固に修飾できるようになる。但し、500℃以下でも時間をかければある程度反応は進むと考えられる。
【0047】
以上から、焼成温度は用いる修飾材料の種類、性状、及びリチウムニッケル複合酸化物の組成等に依存するため、焼成温度領域を一義的に定めることは困難であるが、一般的には400℃以上、好ましくは500℃以上、より好ましくは656℃以上であり、一方、一般的には850℃以下、好ましくは780℃以下、より好ましくは750℃以下である。この温度範囲とすれば、リチウムニッケル複合酸化物の分解温度以下の温度領域が確保されつつ、表面修飾物質がリチウムニッケル複合酸化物表面に強固に修飾されるようになる。
【0048】
修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物とリチウムニッケル複合酸化物との焼成を行う際の雰囲気は、大気中で行えばよいが、好ましいのは、酸素雰囲気中で焼成することである。酸素雰囲気中で焼成を行えば、融点の高い酸化物や複合酸化物が形成されやすくなる。
【0049】
一方、焼成雰囲気中に大量の炭酸ガスや水分が混入する場合には、焼成の際にリチウムニッケル複合酸化物自体が変質してしまう場合があるため、焼成雰囲気中の炭酸ガスや水分は極力少なくすることが好ましい。
修飾材料とリチウムニッケル複合酸化物との焼成を行う際の焼成時間は、焼成温度に依存する。つまり、焼成の際、修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物とリチウムニッケル複合酸化物とが十分に反応を行うか否かは、反応速度の問題であるため、焼成温度が高い場合には、焼成時間は少なくて済むし、一方焼成温度が低い場合には、焼成時間を長く取る必要が出てくる。
【0050】
また、修飾材料とリチウムニッケル複合酸化物との焼成を行う際の焼成時間は、焼成温度および焼成を行うスケールに依存する。つまり、100gスケールのような実験室レベルでは500℃で2時間程度で済むし、1kgスケールのような場合には500℃で6時間程度必要になる。尚、工業的に生産を行う場合には、焼成を行う炉の温度と修飾材料及びリチウムニッケル複合酸化物の温度とがほぼ同一になるまでにある程度の時間が必要になるため、焼成時間を決める場合には、焼成を行うスケールにも十分注意しなければならない。
【0051】
さらに修飾材料である周期表4B〜6B族元素のうち酸化物の融点が750℃以上となるような元素の化合物とリチウムニッケル複合酸化物との焼成を行う際の焼成時間は、用いる周期表4B〜6B族元素の化合物にも依存する。例えば、周期表4B〜6B族元素の化合物として高融点の酸化ニオブを用いる場合、酸化ニオブゾルにすることにより分解温度を下げることができるようになるので、酸化ニオブゾルを用い湿式法でリチウムニッケル複合酸化物の表面を処理するようにすれば、焼成時間を、通常1分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上とでき、一方、通常72時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは6時間以下とすることができるようになる。
【0052】
尚、焼成時間は、生産性を考慮するとその時間が短いに越したことはないが、リチウムニッケル複合酸化物と周期表4B〜6B族元素の化合物との反応が完結するか否かは、混合状態によっても変わる面もある。従って、焼成時間の上限は、表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の生産性や焼成温度から決まり、例えば焼成温度を700℃とする場合は、焼成時間を24時間とすれば十分であると考えられる。
【0053】
以上(B)〜(E)に示す材料及び製法を経て、本発明の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を得ることができる。
(F)表面修飾リチウムニッケル複合酸化物
本発明の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物においては、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素(Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びW)の酸化物又は複合酸化物が存在する。
【0054】
リチウムニッケル複合酸化物表面には、上記酸化物や複合酸化物以外の物質も存在し得るものの、所定量の酸化物や複合酸化物が存在すれば本発明の効果は十分に発揮される。そして、本発明の効果を十分に発揮されるために、リチウムニッケル複合酸化物に対する修飾材料の割合(wt%)を上記(D)で説明した通りの範囲とすることが好ましい。
【0055】
修飾材料がTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びWの少なくとも1つの元素の酸化物である場合、表面修飾物質は、これら酸化物がそのままか、又はこれら酸化物が更に他の元素と結合した複合酸化物となる。一方、修飾材料がTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びWの少なくとも1つの元素の酸化物以外の化合物である場合、表面修飾物質は、上記元素の酸化物、又は上記元素が更に他の元素及び酸素と結合した複合酸化物となる。
【0056】
また、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びWから選ばれる少なくとも1つの元素の複合酸化物としては、上記元素及び酸素に加え、Ni及び/又はLiを含有する複合酸化物を挙げることができる。Ni及び/又はLiを含有するのは、焼成工程において修飾材料とNi及びLiを有するリチウムニッケル複合酸化物とが反応する可能性が高いからである。化合物の安定性の観点から好ましい複合酸化物は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、及びWから選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素と、Liとの複合酸化物である。このような複合酸化物としては、具体的には、LiNbO、LiTaO、LiTaO、LiTiO、LiTiO、LiNbO等を挙げることができる。
[2]正極活物質、正極材料、及びリチウム二次電池
上記のようにして製造された表面修飾リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質として用いられる。リチウム二次電池は、通常、正極活物質を含有する正極、負極、及び電解質を有する電池要素と、前記電池要素を収納するケースとを有する。
【0057】
正極は、通常、集電体の上に正極材料層を形成してなり、前記正極材料層は正極材料から構成される。この正極材料には、Liを吸蔵・放出し得る正極活物質及び後述のバインダーや導電材等が含有される。本発明においては、正極活物質として表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を用いる。リチウムニッケル複合酸化物は、単位重量あたりの電流容量が大きくなる利点がある一方で、熱安定性に劣り、高温保存時にリチウム二次電池のインピーダンスが上昇してしまうという問題がある。本発明においては、リチウムニッケル複合酸化物表面を所定の周期表4B〜6B族元素の化合物で修飾することにより、上記インピーダンス上昇を抑制することができるようになる。
【0058】
正極活物質としては、表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を単独で用いても良いが、他のリチウム遷移金属複合酸化物と併用しても良い。このようなリチウム遷移金属複合酸化物として、リチウムコバルト複合酸化物を挙げることができる。
リチウムコバルト複合酸化物は、少なくともリチウム及びコバルトを含有する酸化物である。リチウムコバルト複合酸化物は、放電曲線が平坦であるためレート特性に優れる有用な正極材料である。リチウムコバルト複合酸化物としては、例えば、層状構造を有するLiCoO等を挙げることができる。また、リチウムコバルト複合酸化物は、Coが占めるサイトの一部をCo以外の元素で置換したものであってもよい。Coサイトを他元素で置換することにより、電池のサイクル特性・レート特性が向上する場合がある。Coが占めるサイトの一部をCo以外の元素で置換する際の、置換元素としては、Ti、Al、Ti、V、Mn、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Sb、Ge等が挙げられ、好ましくはTi、Al、Li、Ni、Mg、Ga、Sb、Ge更に好ましくはTi、Al、Mgである。なお、Coサイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。
【0059】
置換元素によりCoサイトを置換する場合、その割合は通常Co元素の0.03モル%以上、好ましくは0.05モル%以上であり、通常Co元素の30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。置換割合が少なすぎると結晶構造の安定性向上が充分ではない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。
【0060】
リチウムコバルト複合酸化物は、通常、充電前の基本的な組成としてLiCoOで表されるが、前記したようにCoサイトの一部を他の元素で置換してもよい。また、上記組成式において、少量の酸素欠損、不定性があっても良く、酸素サイトの一部が硫黄やハロゲン元素で置換されていてもよい。さらには、上記組成式において、リチウム量を過剰又は不足にしたりすることができる。
【0061】
リチウムコバルト複合酸化物の比表面積は、通常0.01m/g以上、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.4m/g以上であり、また通常10m/g以下、好ましくは5.0m/g以下、より好ましくは2.0m/g以下である。比表面積が小さすぎるとレート特性の低下、容量の低下を招き、大きすぎると電解液等と好ましくない反応を引き起こし、サイクル特性を低下させることがある。比表面積の測定はBET法に従う。
【0062】
リチウムコバルト複合酸化物の性状は、常温常湿(25℃/50%RH)において通常粉体であり、小粒径の一次粒子が凝集して二次粒子を形成した状態となっているのが一般的である。そしてこの平均二次粒径は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.5μm以上であり、通常300μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、最も好ましくは20μm以下である。平均二次粒径が小さすぎると電池のサイクル劣化が大きくなったり、安全性に問題が生じたりする場合があり、大きすぎると電池の内部抵抗が大きくなり、出力が出にくくなる場合がある。
【0063】
表面修飾リチウムニッケル複合酸化物とリチウムコバルト複合酸化物とを併用する場合、両者の重量比は特に制限されないが、表面修飾リチウムニッケル複合酸化物とリチウムコバルト複合酸化物との総重量に対する表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の割合は、通常1重量%以上、好ましくは40重量%以上、一方、通常99重量%以下、好ましくは90重量%以下である。上記範囲とすることで本発明の効果が顕著に発揮される。
【0064】
リチウムコバルト複合酸化物以外にリチウムニッケル複合酸化物と併用できる正極活物質としては、遷移金属酸化物、上記リチウムコバルト複合酸化物以外の各種のリチウム遷移金属複合酸化物、遷移金属硫化物等各種の無機化合物が挙げることができる。ここで遷移金属としてはFe、Mn等が用いられる。具体的には、MnO、V 、V13、TiO 等の遷移金属酸化物粉末、リチウムマンガン複合酸化物などのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、TiS 、FeS、MoS などの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。これらの化合物はその特性を向上させるために部分的に元素置換したものであっても良い。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N−フルオロピリジニウム塩等の有機化合物も併用することができる。当然これらの無機化合物、有機化合物を混合して併用しても良い。これら正極の活物質の粒径は、通常1〜30μm、好ましくは1〜10μmとする。粒径が大きすぎても小さすぎても、レート特性、サイクル特性等の電池特性が低下する傾向にある。
【0065】
本発明のリチウム二次電池に使用される負極は、通常、集電体の上に負極材料層を形成してなり、前記負極材料層中に、Liを吸蔵・放出し得る負極活物質を通常含有する。
負極活物質としては、炭素系活物質を挙げることができる。炭素系活物質としては、例えば、黒鉛及び、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチの炭化物、あるいはこれらピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、及び結晶セルロース等の炭化物等並びにこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等を用いることができる。また、これら炭素系活物質は、金属やその塩、酸化物との混合体、被覆体の形であっても利用できる。上記炭素系活物質の他、負極活物質としては、けい素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケルなどの酸化物、あるいは硫酸塩さらには金属リチウムやLi−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cdなどのリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、けい素、錫などの金属なども使用できる。これら負極活物質の粒径は、通常1〜50μm、好ましくは5〜30μmである。あまりに大きすぎても小さすぎても初期効率、レート特性、サイクル特性等の電池特性が低下する傾向にある。無論、上記した中から選ばれる2種以上の負極活物質を併用してもよい。
【0066】
正極材料層及び負極材料層には、上記の正極活物質、負極活物質の他にバインダーを含有しても良い。活物質100重量部に対するバインダーの場合は、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは1重量部以上、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、更に好ましくは15重量部以下である。バインダーの量が少なすぎると強固な正極が形成させにくい。バインダーの量が多すぎると、エネルギー密度やサイクル特性が低下する場合がある。
【0067】
バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどの環を有するポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど各種の樹脂が使用できる。また、上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。また、シリケートやガラスのような無機化合物を使用することもできる。本発明においては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を使用することが好ましい。
【0068】
バインダーの重量平均分子量は、通常1000以上、好ましくは10000以上、さらに好ましくは20000以上であり、通常5000000以下、好ましくは1000000以下、さらに好ましくは300000以下である。低すぎると塗膜の強度が低下し好ましくない。高すぎると粘度が高くなり活物質層の形成が困難になる。
【0069】
また正極材料層及び負極材料層には、必要に応じて導電材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有しても良い。導電材料としては、上記活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限は無いが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属ファイバー、箔などが挙げられる。補強材としては各種の無機、有機の球状、繊維状フィラーなどが使用できる。
【0070】
正極及び負極に使用される集電体の材料としては、通常、アルミニウム、銅、ニッケル、錫、ステンレス鋼等の金属、これら金属の合金等を用いることができる。この場合、正極の集電体としては、通常アルミニウムが用いられ、負極の集電体としては、通常銅が用いられる。集電体の形状は特に制限されず、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは通常1〜50μm、好ましくは1〜30μmである。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。
【0071】
正極及び負極の厚さは、それぞれ通常1μm以上、好ましくは10μm以上であり、通常は500μm以下、好ましくは200μm以下である。あまりに厚くても薄くても容量やレート特性等の電池性能が低下する傾向にある。
正極及び負極の製造方法には、特に制限はなく、例えば、活物質及び必要に応じて用いられるバインダーや導電材等からなるリチウム二次電池用正極材料を溶媒に含有させたスラリーを集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。また、例えば、溶媒を用いずに、活物質及び必要に応じて用いられるバインダーや導電材等のリチウム二次電池用正極材料を混練後、集電体に圧着することにより製造することもできる。
【0072】
本発明のリチウム二次電池に用いられる電解質は、通常、溶質、非水系溶媒を含有する(本明細書においては、溶質及び非水系溶媒を合わせて電解液、又は非水電解液と呼ぶ場合がある。)。
溶質としては、従来公知のリチウム塩のいずれもが使用できる。例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C 、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiSbF 、LiSCN等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種以上のものを用いることができる。これらのうちでは、本発明の効果が顕著となる点から、LiClO、LiPF が特に好ましい。これら溶質の非水電解液に対する含有量は、通常0.5〜2.5mol/lである。
【0073】
非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のフラン類、ジメトキシエタン等のエーテル類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、アセトニトリル等のニトリル類等の1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。これらのうちでは、環状カーボネート類、非環状カーボネート類及びラクトン類から選ばれた1種又は2種以上の混合溶液が好ましい。
【0074】
高温保存時の電解質の安定性を確保する観点から、本発明においては、非水系溶媒に20℃/1気圧での沸点が150℃以上の高沸点溶媒を含有させることがより好ましい。上記高沸点溶媒とは、通常、沸点が150℃〜300℃の範囲にある溶媒をいうが、好ましくは、沸点が180℃〜270℃、より好ましくは、沸点が200℃〜250℃の範囲にある溶媒である。上記範囲の沸点を有する溶媒を使用することで、電池の高温保存時の熱安定性をより確実に向上させることができる。このような溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(沸点243℃)、プロピレンカーボネート(沸点240℃)及びγ−ブチロラクトン(沸点204℃)等を挙げることができる。これら高沸点溶媒を単独で使用してもよく、複数を併用してもよいし、さらには、低沸点溶媒(本発明においては、沸点が150℃以下のものをいう。)と併用して用いても良い。尚、「20℃/1気圧での沸点がX℃以上」とは、圧力1気圧の下で20℃からX℃まで加熱しても蒸気圧が1気圧を越えないことを意味する。
【0075】
尚、非水電解液は、上記溶質、非水系溶媒の他に、安全性や電池特性(例えばサイクル特性)を確保するための添加剤をさらに含有してもよい。
上記電解質は、リチウムイオンによるイオン伝導度の向上のために、正極、負極、及び正極・負極間に配置されることがあるスペーサにそれぞれ含浸させることが好ましい。
【0076】
スペーサは、通常、正極・負極間の短絡を防止するために用いられる。スペーサは、通常多孔性膜からなる。スペーサとして使用する材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類や、これらの水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたポリオレフィン類、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド等の樹脂の多孔性膜が挙げられる。電解質に対する化学的安定性の点、印加される電圧に対する安定性の点から、好ましくは、ポリオレフィン又は、フッ素置換されたポリオレフィンであり、具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン、これらの水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものを挙げることができる。これらの中でも特に好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリフッ化ビニリデンであり、最も好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンである。無論これらの共重合体や混合物を使用することもできる。
【0077】
本発明のリチウム二次電池は、通常、電池要素をケースに収納してなる。電池要素は、通常、活物質を主成分とする正極及び負極と、電解質とから構成される単位電池要素を基本として形成され、該単位電池要素を長尺に形成してこれを捲き回したり、平板状に形成した該単位電池要素を複数積層したりすることにより形成される。つまり、電池要素の形態としては、例えば、平板状の単位電池要素を複数枚積層した平板積層型、長尺に形成した単位電池要素を平板状となるように捲回した平板状捲回型、さらには、長尺に形成した単位電池要素を円筒状に捲回した円筒捲回型を挙げることができる。本発明においては、生産性及び小型化が可能である点から、電池要素の形態は、平板状捲回型又は平板積層型であることが好ましい。
【0078】
本発明のリチウム二次電池において、電池要素を収納するケースは、SUS(ステンレス)製等の金属ケースや、形状可変性を有するケースを挙げることができる。金属ケースは、剛性が高いため、リチウム二次電池の安全性を十分確保することができるようになる利点がある一方で、重量が重いため携帯用の電気機器の電池には不向きであるという不利な点がある。一方、ラミネートフィルム等からなる形状可変性を有するケースは、ケースの厚みが薄いため、軽量化が可能となる利点がある一方で、剛性が低いため、リチウム二次電池の対衝撃性が劣る不利な点がある。つまり、リチウム二次電池が用いられる用途によって、上記ケースの種類を選べばよいこととなる。
【0079】
前述の通り、携帯するような電気機器の電源としてリチウム二次電池を用いる場合には、形状可変性を有するケースを用いることが好ましい。形状可変性ケースの材料としては、アルミニウム、ニッケルメッキした鉄、銅等の金属、合成樹脂等を用いることができる。好ましくは、ガスバリア層と樹脂層とを設けてなるラミネートフィルム、特に、ガスバリア層の両面に樹脂層が設けられたラミネートフィルムである。このようなラミネートフィルムは、高いガスバリア性を有すると共に、高い形状可変性と、薄さを有する。その結果、外装材の薄膜化・軽量化が可能となり、電池全体としての容量を向上させることができる。
【0080】
ラミネートフィルムに使用するガスバリア層の材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、モリブデン、金等の金属やステンレスやハステロイ等の合金、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を使用することができる。好ましくは、軽量で加工性に優れるアルミニウムである。
樹脂層に使用する樹脂としては、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー類、熱硬化性樹脂、プラスチックアロイ等各種の合成樹脂を使うことができる。これらの樹脂にはフィラー等の充填材が混合されているものも含んでいる。
【0081】
形状可変性ケースの厚さは、通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下、最も好ましくは0.15mm以下とする。薄いほど電池がより小型・軽量化できるが、あまりに薄いと、高温保存時のガス発生によりケースが破裂する危険性が大きくなるだけでなく、十分な剛性の付与ができなくなったり密閉性が低下する可能性もある。
【0082】
電池要素がケースに収納されてなるリチウム二次電池全体の厚さは、通常5mm以下、好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは4mm以下である。このような薄型のリチウム二次電池に対して本発明の効果は特に大きい。ただし、あまりに薄い電池は、容量が小さすぎたり、製造が困難だったりするので、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上である。
【0083】
尚、電池の機器への装着等の利便を図るため、形状可変性ケースに電池要素を封入し好ましい形状に成形後、必要に応じてこれら複数のリチウム二次電池をさらに剛性を持つ外装ケースに収納することも可能である。
本発明のリチウム二次電池が電源として使用される電気機器としては、例えば、携帯用パーソナルコンピュータ(本明細書においては、パーソナルコンピュータを単にパソコンという場合がある。)、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)等を挙げることができる。また、本発明のリチウム二次電池は、電気自動車用の電源として用いることもできる。
【0084】
以下、平板積層型の電池要素を形状可変性ケースによって密閉収納されたリチウム二次電池を例として、本発明のリチウム二次電池の具体的形状について説明する。ただし、これらはあくまでも1つの例であり、これらの態様に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0085】
【実施例】
(イ)正極剤の製造
[正極剤1の製造]
二次粒子径が10μm(一次粒径:1μm)のリチウムニッケル複合酸化物:LiNi0.82Co0.15Al0.03を用いた。このリチウムニッケル複合酸化物と、酸化ニオブが溶媒中に分散された酸化ニオブゾル(多木化学(株)社製)とを反応させて、Nb化合物表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を製造した。
【0086】
具体的には、酸化ニオブゾルを300mlビーカーに秤量し、アセトンを50ml程度入れて、撹拌して分散させた後に、リチウムニッケル複合酸化物を入れて撹拌しながら、アセトンを蒸発させた。最後に、120℃オーブン中で加熱して完全に乾固させた。乾燥後の酸化ニオブゾルとリチウムニッケル複合酸化物との混合物は、凝集しているため、これを薬さじで軽く崩して粉体状とした。得られた混合粉をアルミナ製焼成皿に入れて、酸素気流中で500℃×6時間焼成することによりNb表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を得た。
【0087】
尚、酸化ニオブゾルは、酸化ニオブをNb換算で10wt%含有するものであったため、酸化ニオブゾルを300mlビーカーに秤量する際に酸化ニオブゾルの量を制御して、リチウムニッケル複合酸化物に対して、酸化ニオブゾルの量を1wt%、10wt%とそれぞれなるようにした。すなわち、リチウムニッケル複合酸化物に対する酸化ニオブ処理量が0.1wt%、1wt%である二種類の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を製造した。
【0088】
このようにして得られた、酸化ニオブ処理量が異なる正極剤を表−1のように呼ぶ。
【0089】
【表1】
Figure 2004253305
【0090】
[正極剤2の製造]
正極剤1の製造において、酸化ニオブゾルを酸化チタンゾル(多木化学(株)社製:タイノックM−6)としたこと以外は、正極材1の製造と同様にして正極材2を製造した。
尚、上記酸化チタンゾルは、6wt%のTiOを含むものゆえ、酸化チタンゾルを300mlビーカーに秤量する際に酸化チタンゾルの量を制御して、リチウムニッケル複合酸化物に対して、酸化チタンゾルの量を1.0wt%、10wt%となるようにした。すなわち、リチウムニッケル複合酸化物に対する酸化チタン処理量が0.06wt%、0.6wt%である二種類の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を製造した。
【0091】
このようにして得られた、酸化チタン処理量が異なる正極剤を表−2のように呼ぶ。
【0092】
【表2】
Figure 2004253305
【0093】
(ロ)正極、負極、電解液の製造
[正極の製造]
上記のようにして得られた正極剤1a、1b、1c及び2a、2bを用いて、正極を製造した。その方法を以下に示す。
まず、以下の組成をプラネタリーミキサータイプの混練機により2時間混練し正極塗料を製造した。
【0094】
【表3】
正極剤(※) 85重量部
アセチレンブラック 10重量部
ポリフッ化ビリニデン 5重量部
N−メチル−2−ピロリドン 80重量部
※・・・正極剤とあるのは、正極剤1a、1b、1c、2a、2bをそれぞれ示す。
【0095】
次に上記の正極塗料を15μm厚のアルミニウム集電体基材上に、エクストルージョン型のダイコーティングによって塗布、乾燥し、活物質がバインダーによって集電体上に結着された正極材料層を製造した。ついで、ロールプレス(カレンダー)をもちいて圧密することによって電極シートを製造した。この後、電極シートから電極を切り出し、正極とした。
[負極の製造]
最初に以下の組成を、プラネタリーミキサータイプの混練機により2時間混練し負極塗料とした。
【0096】
【表4】
グラファイト(粒径15μm) 90部
ポリフッ化ビニリデン 10部
N−メチル−2−ピロリドン 100部
次に上記の負極塗料を20μm厚の銅集電体基材上にエクストルージョン型のダイコーティングによって塗布、乾燥し、活物質がバインダーによって集電体上に結着された負極材料層を製造した。ついで、ロールプレス(カレンダー)を用い圧密することによって電極シートを作製した。この後、電極シートから電極を切り出し、負極とした。
[正極・負極材料層の比]
上記の正極1、正極2、及び負極の製造においては、(正極の充電容量)/(負極の充電容量)=0.93となるように、正極材料層及び負極材料層の膜厚を調整した。ここで、負極の充電容量は、対極Liを用い1.5V〜3mVまで充電したときの負極単位体積あたりの容量(mAh/g)を基準とした。
[電解液の製造]
1M濃度のLiPFをリチウム塩として溶解したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合液(体積比EC:DMC:EMC=30:35:35)を電解液とした。
(ハ)リチウム二次電池の製造
上記のようにして準備した正極と負極とを高分子多孔質フィルム製セパレーターを介して積層し、さらに正極及び負極それぞれの電極端子部に電流を取り出すリード線を接続して、電池積層体を製造した。
【0097】
こうして得られた電池積層体を、アルミニウム膜の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムを対向成形した袋状ケースに収容後、電解液を注入し、電解液を正極、負極、及びセパレーターに含浸させた。
2枚のポリエチレン製テープで電極端子部を挟み(端子部の短絡防止のため)、減圧シールで封口後、リード線を取り出した辺を除くシール部を電池外装材側面に沿うように折曲した。折曲されたシール部は外装材被包部側面に市販のエポキシ系接着剤で接着した。以上のようにして、リチウム二次電池を製造した。
(ニ)リチウム二次電池の評価
[電池容量測定]
各リチウム二次電池の正極活物質である、LiNi0.82Co0.15Al0.03の単位重量当たりの容量が185mAh/gであったので、正極活物質1g当たりの1C’を185mAとし、各リチウム二次電池の放電容量を以下のように測定して、各リチウム二次電池の「本来の」1Cの値を求めた。すなわち、25℃のもと、0.5C’×(正極活物質重量)の定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。その後、0.2C’×(正極活物質重量)の定電流にて2.7Vまで放電を行った際の容量を測定し、これをリチウム二次電池の放電容量αとした。そして、このようにして得られた放電容量α(mAh)から各々のリチウム二次電池の1C(mA)を決めた。
【0098】
各リチウム二次電池の電池容量は、25℃のもと、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。その後、0.2CmAで2.7Vまで定電流放電を行った際の容量を測定し、これを各々のリチウム二次電池の電池容量とした。
[レート特性測定]
各リチウム二次電池を、25℃のもと、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。
【0099】
その後、6C放電レートで2.7Vまで定電流放電を行い、得られた放電容量と、上記[電池容量測定]で得られた0.2C放電レート容量との割合をレート特性とした。
[インピーダンス測定]
solartron instruments社製のSI 1287 Electrochemical Interfaceと同社製SI 1260 Impedance/Gain−Phase Analyzer とを組み合わせた装置を用いて 、25℃のもと、4.2Vまで充電した各リチウム二次電池のインピーダンスを25℃、周波数100KHz〜0.01Hzの領域で測定した。
[サイクル特性測定]
各リチウム二次電池を25℃のもと、2Cで4.2Vまで定電流充電した後4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行って充電をした後、2Cで2.7Vまで定電流放電を行って放電を行った。この充放電を1サイクルとして400サイクルの充放電を行った。
【0100】
サイクル容量維持率は、各リチウム二次電池における、1サイクル目の2C放電の容量に対する400サイクル後の2C放電における容量を計算することにより求めた。
[低温特性測定]
25℃のもと、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。その後、25℃および−30℃で2.7Vまで1CmA放電を行った。その際の25℃での放電容量に対する−30℃での放電容量の割合((−30℃での放電容量/25℃での放電容量)×100)を低温特性とした。
[高温保存試験]
各リチウム二次電池を、25℃のもと、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。そしてこの充電状態におけるインピーダンスを測定した後、電池を60℃の恒温槽中に入れ、24時間放置した後に恒温槽より取り出した。そして、インピーダンス変化、残存容量測定、再充電後の電池容量測定、再充電後のレート特性測定を以下に記す方法で行った。
・インピーダンス変化
高温保存試験前の各リチウム二次電池のインピーダンスを上記[インピーダンス測定]に示した方法で行った。更に、高温保存試験後、恒温槽より取り出した状態におけるリチウム二次電池のインピーダンスを再度測定した。さらに、一旦前記リチウム二次電池を0.2CmAにて2.7Vまで放電した後、再度、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行って充電状態とし、この状態でリチウム二次電池のインピーダンスを測定した。
【0101】
高温保存試験前後のそれぞれインピーダンス値の比、すなわち、(試験後のインピーダンス)/(試験前のインピーダンス)をインピーダンス変化とした。また、高温保存試験前のインピーダンス値と高温保存試験後の再充電後のインピーダンス値との比、すなわち、(試験後再充電後のインピーダンス)/(試験前のインピーダンス)を再充電後のインピーダンス変化とした。
【0102】
尚、上記インピーダンス変化については、インピーダンス変化が1よりも若干小さい値に近ければ近いほど、インピーダンス変化が小さいことになる。また、上記再充電後のインピーダンス変化については、再充電後にインピーダンス変化が1に近ければ近いほど、インピーダンス変化が小さいことになる。その理由を以下に示す。
【0103】
すなわち、4.2V充電でリチウム二次電池を高温保存すると、自己放電による電圧低下が発生する。この電圧低下は、電解質がポリマーを含有するか又電解液のみから構成されるかといった電解質の種類の違いや、高温保存条件(保存時間、保存温度)に影響される。この自己放電による電圧低下は、液系リチウム二次電池を60℃×24hrs保存した場合は、通常0.5V程度である。
【0104】
一方、リチウム二次電池の充電電圧に対するインピーダンス値の変化は次の通りである。すなわち、充電電圧が2.7Vから徐々に高くなるにつれインピーダンス値は徐々に低下していき、充電電圧が4V付近でインピーダンス値は最低値をとる。その後更に4.2Vまで充電電圧が上がるにつれ再度インピーダンスが上昇する。
【0105】
従って、高温保存試験におけるリチウム二次電池のインピーダンス変化が全くない場合には、高温保存後は、自己放電に伴う電圧低下によりインピーダンス値の低下が発生するため、高温保存直後のインピーダンス値は、高温保存試験前のインピーダンス値よりも若干小さい値となる。このため、上記インピーダンス変化については、インピーダンス変化が1よりも若干小さい値に近ければ近いほど、インピーダンス変化が小さいことを意味するのである。
【0106】
これに対し、リチウム二次電池を再度充電すれば、インピーダンス値は充電電圧が4.2Vの時の値に復帰する。よって、高温保存試験におけるリチウム二次電池のインピーダンス変化が全くない場合には、再充電後のインピーダンス変化は1になるはずである。このため、再充電後のインピーダンス値は、1に近ければ近いほど、インピーダンス変化が小さいことになるのである。
・残存容量測定
高温保存試験後に恒温槽より取り出した各リチウム二次電池を、0.2CmAで2.7Vまで放電し、その放電容量を残存容量とした。そして、高温保存試験前の電池容量に対する残存容量((残存容量/高温保存試験前の電池容量)×100)を残存容量率とした。
・再充電後の電池容量測定(容量回復率の測定)
上記残存容量測定後、再度、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。その後、0.2CmAで2.7Vまで定電流放電を行った際の容量を測定して、これを再充電後の電池容量とした。そして、高温保存試験前の電池容量に対する、前記再充電後の電池容量を容量回復率とした。
・再充電後の低温特性
容量回復率を測定した後、25℃のもと、0.5CmA定電流にて4.2Vまで充電した後、4.2Vにて電流値が25mAに減衰するまで定電圧充電を行った。その後、25℃および−30℃で2.7Vまで1CmA放電を行った。その際の25℃での放電容量に対する−30℃での放電容量の割合((−30℃での放電容量/25℃での放電容量)×100)を再充電後の低温特性とした。
(ヘ)実施例1,2、比較例1
上記「(ハ)リチウム二次電池の製造」で製造した5種類のリチウム二次電池を、以下表−3のように実施例1、2、比較例1に分けた。
【0107】
【表5】
Figure 2004253305
【0108】
実施例1、2及び比較例1の各リチウム二次電池について、電池容量、レート特性、サイクル特性、及び低温出力特性を、それぞれ上記[電池容量測定]、[レート特性測定]、[サイクル特性測定]、及び[低温特性測定]に従って測定した。測定結果を表−4に示す。さらに、実施例1、2及び比較例1の各リチウム二次電池について、上記[高温保存試験]に従って、インピーダンス変化、再充電後のインピーダンス変化、残存容量率、容量回復率、及び再充電後の低温特性をそれぞれ測定した。測定結果を表−5に示す。
【0109】
【表6】
Figure 2004253305
表−5から、未処理のリチウムニッケル複合酸化物(比較例1)と比較して、酸化ニオブゾルまたは酸化チタンゾルでリチウムニッケル複合酸化物表面を修飾することにより、インピーダンス変化、再充電のインピーダンス変化、及び高温保存試験後の再充電後の低温特性が改善されることがわかる。特に、酸化ニオブゾルまたは酸化チタンゾルの仕込量が増加するにつれ、インピーダンス変化及び再充電後のインピーダンス変化が良好になっていくことがわかる。また、残存容量率や容量回復率は、酸化ニオブ又は酸化チタンでの表面修飾によってもほとんど変化しないか、むしろ改善されていることわかる。
【0110】
一方、表−4から、低温特性は、酸化ニオブゾルまたは酸化チタンゾルの仕込量が増えるにつれ、若干低下していくものの、その低下量は実使用を考慮すればほとんど影響のないものである。
また、表−4から、電池容量、レート特性、サイクル特性は、酸化ニオブ、酸化チタンでの表面修飾でもほとんど影響を受けないことが分かる。
【0111】
以上から、本発明において、酸化ニオブ又は酸化チタンでリチウムニッケル複合酸化物の表面を修飾すれば、電池容量、レート特性、サイクル特性等の電池の基礎特性をほとんど損なうことなく、高温保存時の安定性、特にインピーダンス変化を飛躍的に改善することができることがわかる。
また、表−4、5から、高温環境下で使用されることが多く、高温保存時等のインピーダンス変化を小さくすることをより重視するようなリチウム二次電池においては、低温特性を若干低下させつつも酸化ニオブゾルまたは酸化チタンゾルの仕込み量を多くして、高温保存時の安定性の改善を行えばよいこともわかる。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することによって製造される表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を用いることにより、熱安定性の高いリチウムニッケル複合酸化物を得ることができる。
【0113】
特に、上記表面修飾リチウムニッケル複合酸化物をリチウム二次電池の正極活物質として用いることにより、電池容量、レート特性、サイクル特性、低温特性等のリチウム二次電池の基本的な特性を損なうことなく、高温保存時の安定性に優れる、正極材料及びリチウム二次電池を得ることができる。
さらに上記高性能なリチウム二次電池が提供される表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法を得ることもできる。

Claims (6)

  1. リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物であって、
    リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することによって製造されることを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物。
  2. リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物であって、
    リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族の元素のうち、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の酸化物又は複合酸化物が存在することを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物。
  3. 前記所定の元素がNb又はTiである請求項1又は2に記載の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極材料。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の表面修飾リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池。
  6. リチウム二次電池の正極活物質として用いる表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法であって、
    リチウムニッケル複合酸化物の表面に、周期表4B〜6B族に属する元素であって、前記元素の酸化物の融点が750℃以上である所定の元素の化合物を存在させた後に、前記リチウムニッケル複合酸化物を焼成することを特徴とする表面修飾リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
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