JP2017130409A - ドープ及びコートされた複合型リチウムイオン電池用正極活物質及びこれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献5には実施例として、20質量%水酸化ナトリウム溶液により反応層内の反応溶液を、液温25℃基準でpH13.0に保持しながら、反応溶液に硫酸Niと硫酸Coの混合水溶液、アルミン酸ナトリウム水溶液、25質量%アンモニア水を添加し、オーバーフローにより回収する方法が開示されている。特許文献6には実施例として、硫酸ニッケル六水和物、硫酸コバルト七水和物、及び硫酸アルミニウムを所望の比となるよう混合し水溶液を調製し、この水溶液をアンモニア水および苛性ナトリウム水溶液と同時に、50℃に保温された水をはった吐出口付攪拌反応槽中に滴下し、ここで、pHを11.5に保持し、滞留時間が11時間となるよう制御した反応晶析法により、1次粒子が凝集した球状水酸化ニッケルを製造する方法が開示されている。しかしながらこれらの例で製造された正極活物質をラミネート電池に用いた場合の電池性能については具体的に検討されていない。
する指標として、正極活物質に含まれるアルミニウム原子のうち特定の画分を定量することが有効であることを見出した。この「特定の画分」とは、正極活物質に含まれるアルミニウム原子のうちで特別に高い負荷の下で抽出される画分であって、具体的には正極活物質に含まれるアルミニウム原子のうちで、高温下で溶融状態にある水酸化ナトリウムに溶出する画分である。
方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析することにより、500℃の水酸化ナトリウムに溶出したアルミニウム元素の重量を測定する。
(発明1)以下の一般式(1)で表される組成を有するリチウム金属複合酸化物からなり、
LiaNibCocAldO2 ・・・(1)
(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)
上記リチウム金属複合化合物はさらに、
上記式(1)で表される組成において微量の元素M1x(M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びNi、Co、Alを除く周期律表第3族〜17族の元素から選択される少なくとも1種の元素である。)をb+c+d=1(b、c、dは上記(1)で使用したものである)に対してx=0.001〜0.02となる範囲で含み、
元素M2(M2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド系元素、アクチノイド系元素、及び周期律表第3族〜17族の元素から選択される少なくとも1種の元素である。)を含有する化合物で被覆されており、
以下の方法(ア)により測定される高温水酸化ナトリウムに溶出するアルミニウム量(重量)が該リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム重量の10%以下である、
〔方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析することにより、500℃の水酸化ナトリウムに溶出したアルミニウム元素の重量を測定する。〕
リチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(発明2)LiOH残渣が0.2重量%以下であり、Li2CO3残渣が0.2重量%以下である、発明1の正極活物質。
(発明3)発明1又は2の正極活物質を用いたリチウムイオン電池用正極。
(発明4)発明3のリチウムイオン電池用正極を備えるリチウムイオン電池。
(発明5)ラミネート電池である、発明4のリチウムイオン電池。
本発明の正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物は以下の一般式(1)で表される組成を有する。
LiaNibCocAldO2 ・・・(1)
(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)
更に、上記リチウム金属複合酸化物は微量の元素M1x(M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びNi、Co、Alを除く周期律表第3族〜17族の元素、から選択される少なくとも1種の元素である。)をb+c+d=1(b、c、dは上記(1)で使用したものである)を基準としてx=0.001〜0.02となる範囲で含む。好ましいM1は、アルカリ土類金属、周期律表第4族〜第8族の元素、第12族の元素、Alを除く第13族の元素、第15族の元素、第17族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素である。より好ましいM1は、Mg,Ca,Ba,Ti,Zr,V,Nb,Mo,W,Mn,Fe,Zn,B,Si,Fから選ばれる少なくとも1種の元素である。
(I)Li化合物、Al化合物、Co化合物、Ni化合物、元素M1を含有する化合物を、別々に調整、混合し、得られた混合物を酸素存在下で焼成する。
(II)Ni、Coの両方を含む複合水酸化物を共沈法により製造し、その後、この複合水酸化物にLi化合物、Al化合物、元素M1を含有する化合物を混合する。得られた混合物を酸素存在下で焼成する。
(III) Ni、Co、元素M1の全てを含む複合水酸化物を共沈法により製造し、その後、この複合水酸化物にLi化合物、Al化合物を混合する。得られた混合物を酸素存在下で焼成する。
(IV)Ni、Co、Al、元素M1の全てを含む複合水酸化物を共沈法により製造し、その後、この複合水酸化物にLi化合物を混合する。得られた混合物を酸素存在下で焼成する。
上記方法(I)〜(IV)の中で方法(IV)が好ましい。以下、方法(IV)を用いた正極活物質の製造方法について詳述する。
4Co(OH)2+4LiOH+O2 → 4LiCoO2+6H2O
Al(OH)3+LiOH → LiAlO2+2H2O
4Ni(OH)2+4LiOH+O2 → 4LiNiO2+6H2O
焼成は、酸素の存在下、450?900℃の温度域で行う。焼成は複数回行うこともできる。いずれの回の焼成でも最高温度で2時間〜0時間保持して反応を完了させる。焼成する際に用いる焼成炉に制限はないが、管状炉、マッフル炉、RK(ロータリーキルン)、RHK(ローラーハースキルン)などが好ましい。特に好ましい焼成炉はRHKである。焼成後、好ましくは、焼成後に得られたリチウム金属複合酸化物を、適宜、各種ミルや乳鉢などを用いて粉砕し、粒子の凝集をほぐす工程を設ける。この工程によって電極作成の際の弊害となる50μm以上の粗粒が除去される。
上述の工程を経て得られたリチウム金属複合酸化物は、さらに元素M2を含む化合物によって被覆される。元素M2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド系元素、アクチノイド系元素、及び周期律表第3族〜17族の元素から選択される少なくとも1種の元素であり、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、期律表第4族〜17族の元素から、選択される1つ以上の元素であり、より好ましくはNa,Mg,Ca,Ba,Ti,Zr,V,Nb,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,B,Al,C,Si,N,P,O,S,F,Clから選択される1つ以上の元素であり、特に好ましくはNa,Mg,Ca,Ba,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Mn,Fe,Co,Cu,Zn,Al,C,Si,N,P,O,S,Fから選択される1つ以上の元素である。
本発明の正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物は、更に、以下の方法(ア)により測定した高温水酸化ナトリウムに溶出するアルミニウム量(重量)が、該正極活物質に含まれる全アルミニウム重量の10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下であるという特徴を有する。
方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析し、上澄み液に含まれるアルミニウム元素の重量を測定する。
本発明で用いる正極活物質から余剰のリチウムが除去されていることが好ましい。上記正極活物質から余剰のリチウムを除去する方法としては、正極活物質を水性溶媒で洗浄する方法が一般的である。洗浄に用いられる水性溶媒としては、純水、酸性水、アルカリ性水、金属化合物の水溶液などが用いられる。このうち純水、酸性水またはアルカリ性水が好ましい。洗浄の結果、正極活物質から水で抽出されるLiOH残渣が0.2重量%以下で、かつLi2CO3残渣が0.2重量%以下となることが好ましい。
本発明の正極活物質はラミネート電池の正極材として好適である。ラミネート電池は通常の方法により製造することができる。すなわち本発明の正極活物質をバインダー、導電助剤と混合して正極活物質等を含むスラリーを製造し、このスラリーを正極基材に塗布、乾燥して正極を製造する。負極は負極基材にカーボン類からなる負極活物質を含む負極剤を塗布、乾燥して得られる。正極、負極、セパレータを含む積層体を外装フィルムでラミネートすると共に電解質を充填して、正極、負極、セパレータ、電解質が内包されたラミネート電池が完成する。
(原料の溶解)硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの各々の濃度が247.6g/L、46.4g/L及び0.31g/Lとなるように、硫酸ニッケル6水和物、硫酸コバルト7水和物、硫酸マンガン5水和物の各々を加温した純水に溶解し、上記金属塩の混合溶液(以下「金属塩溶液」という)を得た。一方で、水酸化ナトリウム及びアルミン酸ナトリウムを、それぞれの濃度が166.8g/Lおよび8.2g/Lとなるように、加温した純水に溶解し、水酸化ナトリウム-アルミン酸ナトリウムの混合水溶液を調製した(以下「アルカリ液」という)。
(沈殿)傾斜した多段の板からなるフィルターを備える容量190Lの反応器に、金属塩溶液、アルカリ液、錯化剤である25重量%アンモニア水の各々を連続供給し、金属水酸化物の共沈反応を進行させた。この際、水酸化ナトリウムの過剰量、アンモニア量は各々2.7g/Lおよび12g/Lとなるように調整した。同時に反応器のフィルターにスラリーを通過させることにより、当該スラリーに含まれる母液の一部を系外へ排出した。その結果、金属水酸化物の共沈物が生成、沈殿し、固体濃度が400g/Lに調整されたスラリーが得られた。
(濾過・洗浄)金属塩溶液とアルカリ混合液の供給開始から十分な時間が経過し、定常状態となった後、反応容器内部に設置されたスラリー抜き出し用パイプからスラリーを連続的に抜き出した。抜き出された金属水酸化物スラリーを濾過、水洗した。
(乾燥)得られた金属水酸化物を真空乾燥した。こうして微量のマンガンを含むニッケル−コバルト−アルミニウム複合水酸化物が得られた。
(粉体混合)上記マンガン含有ニッケル−コバルト−アルミニウム複合水酸化物3.952kgと水酸化リチウム1.048kgとをせん断力をかけながら粉体混合した。
(焼成)この混合物4kgを酸素流通下2段階で焼成した。1段目焼成では、室温から730℃まで3時間かけて昇温し、730℃で4時間保持した。その後、4時間かけて室温まで冷却した。2段目焼成では、室温から770℃まで3時間かけて昇温し、770℃で10時間保持した。その後4時間かけて室温まで冷却した。こうしてマンガン含有リチウム金属複合酸化物が得られた。
(Coによる被覆)得られた焼成物の100gを取り、この上に18.3重量%(1.0モル/L)硝酸コバルト水溶液67.8gを静かに滴下しながら攪拌し、ホットプレート上で蒸発乾固させた。その後、酸素気流中700℃で5時間焼成し、コバルトで被覆されたマンガン含有リチウム金属複合酸化物が得られた。
(解砕)コバルトで被覆されたマンガン含有リチウム金属複合酸化物をホソカワミクロン製ジェットミル(AFG−100)にて解砕した。
(水洗)解砕物100gを水100gに分散させた。分散液を3分間攪拌し、吸引濾過、減圧乾燥し、更に酸素中500℃で5時間乾燥した。
得られたコバルト被覆マンガン含有リチウム金属複合酸化物に含まれるアルミニウムの水酸化ナトリウム溶出量を以下の方法で測定した。得られたコバルト被覆マンガン含有リチウム金属複合酸化物12.5g、水酸化ナトリウム20.0gをニッケル製のるつぼに取り、るつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置した。水酸化ナトリウムが十分溶融してから5分経過後、るつぼをマッフル炉から取り出し、るつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌した。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析した。また得られたコバルト被覆マンガン含有リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム量(重量)をICP分析により求めた。その結果、得られたコバルト被覆マンガン含有リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム元素(重量)の5.5%に相当するアルミニウム元素が溶出していることがわかった。このように、本発明の正極活物質が得られた。
得られた正極活物質2gを取り、25℃の純水100mlに加え3分間マグネチックスターラーで攪拌した後、吸引濾過を行う。得られた濾液を自動滴定装置を用い0.1規定の塩酸にて滴定し、水酸化リチウム量及び炭酸リチウム量を定量した。結果を表1に示す。
得られた正極活物質100重量部、導電助剤としてのアセチレンブラック1重量部及びグラファイトカーボン5重量部、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン4重量部を、分散媒としてのN−メチルピロリドンと共に混合して正極合剤を得た。この正極合剤を集電体であるアルミニウム箔に50μm厚で塗布、乾燥して、正極を製造した。
人造黒鉛(MAG−D)98重量部、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量部、スチレンブタジエン共重合物(SBR)1重量部を、分散媒としての水と共に混合して負極合剤を得た。この負極合剤を集電体である銅箔に塗布、乾燥し負極を製造した。LiPF6を1モル/Lの濃度で溶解したエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニルカーボネート(VC)を、重量比(EC:EMC:VC)が50:50:1となるように混合して電解液を製造した。上述の正極、負極、電解液を積層、封入してラミネート電池を製造した。
・初期放電容量:3.0から4.2Vの間で、0.1Cレートでの充電を行った後、4.2Vから3.0の間での0.1C放電を行った際の容量を初期放電容量とした。
・サイクル試験:充電1.0C、放電0.5Cで50サイクル繰り返した後の50サイクル目の1サイクル目に対する容量を百分率で表したものをサイクル維持率とした。
・DSC発熱量:前述の初期電気特性の評価で用いた方法に準じた方法で正極活物質を充電した後、電池を解体して正極を取り出し、その示差走査熱量分析を行った。示差走査熱量の測定には日立ハイテクサイエンス社製 DSC−7020 示差走査熱量計を用いた。
Claims (5)
- 以下の一般式(1)で表される組成を有するリチウム金属複合酸化物からなり、
LiaNibCocAldO2 ・・・(1)
(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)
上記リチウム金属複合化合物はさらに、
上記式(1)で表される組成において微量の元素M1x(M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びNi、Co、Alを除く周期律表第3族〜17族の元素から選択される少なくとも1種の元素である。)をb+c+d=1(b、c、dは上記(1)で使用したものである)に対してx=0.001〜0.02となる範囲で含み、
元素M2(M2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド系元素、アクチノイド系元素、及び周期律表第3族〜17族の元素から選択される少なくとも1種の元素である。)を含有する化合物で被覆されており、
以下の方法(ア)により測定される高温水酸化ナトリウムに溶出するアルミニウム量(重量)が該リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム重量の10%以下である、
〔方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析することにより、500℃の水酸化ナトリウムに溶出したアルミニウム元素の重量を測定する。〕
リチウムイオン二次電池用の正極活物質。 - LiOH残渣が0.2重量%以下であり、Li2CO3残渣が0.2重量%以下である、請求項1に記載の正極活物質。
- 請求項1又は2に記載の正極活物質を用いたリチウムイオン電池用正極。
- 請求項3に記載のリチウムイオン電池用正極を備えるリチウムイオン電池。
- ラミネート電池である、請求項4に記載のリチウムイオン電池。
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