JP6878855B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
非水系電解質二次電池は、通常、正極、負極およびセパレータを電池容器内に配置し、有機溶媒による非水系電解液を充たして構成されている。また、正極は、正極活物質を含むペースト状組成物を、アルミニウム箔等の集電体上に塗布し、加圧成形することにより製造され、電極材料が層状に形成された構造(以下、「正極合材層」という。)を形成する。
図1は、本実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質1(以下、単に「正極活物質1」ともいう。)の一例を示す模式図である。図1(A)に示すように、正極活物質1は、リチウムニッケル複合酸化物粒子2(以下、単に「複合酸化物粒子2」ともいう。)からなり、複合酸化物粒子2は、その表面を含む表層部3と、それ以外の中心部4とを有する。表層部3は、後述するように、従来公知の複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部を改質して形成され、Mg元素を含む。表層部3は、複合酸化物粒子2内への水分の侵入を遮断することができ、正極活物質1のゲル化の抑制と、放電容量の維持及びサイクル特性の改善と、を両立することを可能とする。
[複合酸化物粒子量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)…(1)
本実施形態の非水系電解質二次電池の一例について、以下、構成要素ごとにそれぞれ詳しく説明する。非水系電解質二次電池は、一般のリチウムイオン二次電池と同様に、正極、負極、非水電解液等構成要素から構成され、上記した本発明の正極活物質を正極に用いたことを特徴とするものである。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本実施形態に係る非水系電解質二次電池は、下記実施形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本実施形態に係る非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
正極を形成する正極合材およびそれを構成する各材料について説明する。本発明の粉末状の正極活物質と、導電材、結着剤とを混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペースト(ペースト状組成物)を作製する。正極合材中のそれぞれの混合比も、リチウム二次電池の性能を決定する重要な要素となる。
負極には、金属リチウム、リチウム合金等、また、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体、リチウム・チタン酸化物(Li4Ti5O12)等の酸化物材料を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これら活物質および結着剤を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2等、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
以上説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明に係るリチウム二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させ電極体とし、この電極体に上記非水系電解液を含浸させる。正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、並びに負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続する。以上の構成のものを電池ケース(容器)に密閉して電池を完成させることができる。
(評価方法)
1.被覆液および正極活物質の物性
(1)被覆液(分散液)中の前駆体微粒子および正極活物質の粒径測定:
微粒子の粒径(D50)は、粒度分布計(日機装(株)製、ナノトラックWave)を用いて測定した。また、リチウムニッケル複合酸化物粉末および正極活性物質の粒径(D50)は、粒度分布計(日機装(株)製、マイクロトラックMT3300)を用いて測定した。
(2)被覆層前駆体の厚みおよび被覆面積の測定
被覆層前駆体を有する母材をクロスセクションポリッシャー(CP)で断面加工し、透過型電子顕微鏡(TEM:HITACHI社製HF−2200)による断面側から観察した画像から被覆層厚を直接求めた。被覆面積については、TEM観察の画像から画像処理により面積を算出した。なお、被覆面積の測定は、観察場所を変えて5視野で行った。
(3)被覆層の反応及び構成元素の拡散状態測定
断面加工した試料を用いてTEM―EDS(NORAN社製VANTAGE)により断面側から面または点分析を実施して被覆層の確認や複合酸化物粒子内部への拡散状態を調べた。
(4)正極活物質の組成
組成はICP分析にて求めた。
(5)正極活物質の耐水性評価
耐水性は、24℃の純水50mlに正極活物質1gを加えて撹拌し、10分経過後のpHを測定することにより評価した。
(6)ゲル化評価
ゲル化評価は、正極活物質9.5gと、バインダーとしてフッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5g、さらに水0.2gを自公転練り込み機によりスラリー状にした後、24℃で3日間静止保管し、目視観察によるゲル化状況を確認した。
(電池の製造)
正極活物質の評価には、図5に示す2032型コイン電池BA(以下、コイン型電池BAと称す)を使用した。図5に示すように、コイン型電池BAは、ケースCAと、このケースCA内に収容された電極ELとから構成されている。ケースCAは、中空かつ一端が開口された正極缶PCと、この正極缶PELの開口部に配置される負極缶NCとを有しており、負極缶NCを正極缶PCの開口部に配置すると、負極缶NCと正極缶PCとの間に電極ELを収容する空間が形成されるように構成されている。
まず、非水系電解質二次電池用正極活物質52.5g、アセチレンブラック15g、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5gを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、正極PCを作製した。作製した正極PCを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。この正極PCと、負極NE、セパレータSEおよび電解液とを用いて、上述したコイン型電池BAを、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。なお、負極NEには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。セパレータSEには膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。なお初期放電容量を測定する際の電解液には、1MのLiClO4を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)(1:1vol%)の混合液(富山薬品工業株式会社製)を用い、サイクル特性を評価する際の電解液には、1MのLiPF6を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)(3:7vol%)の混合液(宇部興産株式会社製)を用いた。
製造したコイン型電池BAの性能を示す初期放電容量、正極抵抗およびサイクル特性は、以下のように評価した。
初期放電容量は、コイン型電池BAを製作してから24時間程度放置後、0.05Cにてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。
界面抵抗 = [熱処理品の界面抵抗値/未被覆品の界面抵抗値]
容量維持率(%)=[100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量]×100
(母材の作製)
公知技術で得られた下記のリチウムニッケル複合酸化物粉末を母材として用いた。すなわち、Niを主成分とし、Co及びAlを含む酸化ニッケル粉末と水酸化リチウムを混合して焼成し、Li1.03Ni0.81Co0.15Al0.04O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物粉末50kgを得た。このリチウムニッケル複合酸化物粉末の平均粒径D50は10.8μmであり、比表面積は0.31m2/gであった。
溶媒として脱水2−プロパノール30mlとメチルセロソルブ30ml、2−エチルヘキサン酸20ml、酪酸ブチル20mlをセパラブルフラスコ入れ、Arガスを導入して置換を行った。この溶媒中に金属Mgを2.4g加えて、環流しながら溶解を行い、溶液(A)を得た。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)2.0gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製しておいた。溶液(A)を室温まで冷却した後、溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら60℃で1時間加熱後、溶液(D)を作製した。
さらに室温まで冷却した溶液(D)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、Mgを含む被覆液(E)を得た。
上記母材600gを、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度40℃、送風量0.3m3/時で撹拌しながら30分掛けて上記被覆液全量を噴霧して、表面に被覆層前駆体を有する母材を得た。得られた被覆層前駆体の厚さを表1に示す。被覆した母材のうち150gを取り出し、容積の30Lのマッフル炉を用い、10L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で300℃まで昇温した後、0.5時間保持して表層及び被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
実施例1で得た被覆した母材のうち150gを取り出し、実施例1と同条件にて、熱処理温度だけを400℃に変えて、表層部を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
実施例1で得た被覆した母材のうち150gを取り出し、実施例1と同条件にて熱処理温度だけを600℃に変えて、表層部を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
実施例1で得た被覆した母材のうち150gを取り出し、実施例1と同条件にて熱処理温度だけを700℃に変えて、表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(Mg−O被覆液の作製)
溶媒として脱水2−プロパノール60mlと2−エチルヘキサン酸20ml、酪酸ブチル20mlをセパラブルフラスコ入れ、Arガスを導入して置換を行った。この溶媒中に金属Mgを0.3g加えて、環流しながら溶解を行い、溶液(A)を得た。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)0.3gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製しておいた。溶液(A)を室温まで冷却した後、溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら60℃で1時間加熱後、溶液(D)を作製した。
さらに室温まで冷却した溶液(D)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、Mgを含む被覆液(E)を得た。
上記母材600gを、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度40℃、送風量0.3m3/時で撹拌しながら30分掛けて上記被覆液全量を噴霧して、表面に被覆層前駆体を有する母材を得た。得られた被覆層前駆体の厚さを表1に示す。被覆した母材のうち150gを取り出し、実施例1と同条件にて300℃で熱処理を行い、被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
実施例5で得た被覆した母材のうち150gを取り出し、熱処理温度だけを600℃に変えた以外は、実施例5と同条件にて、表層部を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
(Mg−O被覆液の作製)
溶媒として脱水2−プロパノール60mlと2−エチルヘキサン酸20ml、酪酸ブチル20mlをセパラブルフラスコ入れ、Arガスを導入して置換を行った。この溶媒中に金属Mgを0.7g加えて、環流しながら溶解を行い、溶液(A)を得た。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)0.7gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製しておいた。溶液(A)を室温まで冷却した後、溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら60℃で1時間加熱後、溶液(D)を作製した。
さらに室温まで冷却した溶液(D)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、Mgを含む被覆液(E)を得た。
上記母材600gを、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度40℃、送風量0.3m3/時で撹拌しながら30分掛けて上記被覆液全量を噴霧して、表面に被覆層前駆体を有する母材を得た。得られた被覆層前駆体の厚さを表1に示す。被覆した母材のうち150gを取り出し、実施例1と同条件にて300℃で熱処理を行い、被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
実施例7で得た被覆した母材のうち150gを取り出し、同条件にて熱処理温度だけを
600℃に変えて、表層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
(Mg−O被覆液の作製)
溶媒として脱水2−メチル−1−ブタノール60mlと2−エチルヘキサン酸10ml、酪酸ブチル10ml、メチルセロソルブ20mlをセパラブルフラスコ入れ、Arガスを導入して置換を行った。この溶媒中に金属Mgを2.4g加えて、環流しながら溶解を行い、溶液(A)を得た。別容器に2−プロパノール5mlにアセチルアセトン(関東化学製)2.0gを加えて攪拌し,溶液(B)を作製しておいた。溶液(A)を室温まで冷却した後、溶液(B)を投入し、攪拌混合後に溶液(C)を作製した。密栓した容器中に溶液(C)を入れ、攪拌しながら70℃で1時間加熱後、溶液(D)を作製した。
さらに室温まで冷却した溶液(D)に希釈用の2−プロパノール100mlを加えて、Mgを含む被覆液(E)を得た。
(被覆層の形成)
上記母材600gを、転動流動装置((株)パウレック製、MP−01)を用いて出口温度40℃、送風量0.3m3/時で撹拌しながら30分掛けて上記被覆液全量を噴霧して、表面に被覆層前駆体を有する母材を得た。得られた被覆層前駆体の厚さを表1に示す。被覆した母材のうち150gを取り出し、実施例1と同条件にて600℃で熱処理を行い、被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
実施例1で作製した母材30gを被覆処理せずに、正極活物質の評価を行った。結果を表1、2にまとめて示す。
実施例1で作製した母材30gを被覆処理せずに、容積の30Lのマッフル炉を用い、1L/分で空気を導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
メタノール100mlに金属Mg4.0gを加えて環流して溶解した溶液を冷却後、実施例1で作製した母材96gを投入して10分間浸漬した。攪拌と同時に乾燥が行われ、液が揮発して粉末が凝集し始めたら、別容器に移して乾燥を十分に行い、表面に被覆層前駆体を有する母材を得た。得られた被覆層前駆体の厚さを表1に示す。被覆厚にはバラツキが大きく、被覆層を観察すると粉末の堆積物であり、剥離も見られた。この粉末の堆積物は、付着物であり、層状の構造が観察されないため、厚みの測定はできなかった。
被覆した母材のうち30gを取り出し、容積の30Lのマッフル炉を用い、3L/分で空気を導入しながら3℃/分で300℃まで昇温した後、12時間保持して表層及び被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
比較例3で得た被覆した母材のうち30gを取り出し、容積の30Lのマッフル炉を用い、3L/分で空気を導入しながら3℃/分で400℃まで昇温した後、12時間保持して表層及び被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
比較例3で得た被覆した母材のうち30gを取り出し、容積の30Lのマッフル炉を用い、3L/分で空気を導入しながら3℃/分で700℃まで昇温した後、12時間保持して表層及び被覆層を有する正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表1、2にまとめて示す。
2……リチウムニッケル複合酸化物粒子
3……表層部
4……中心部
5……被覆層
6……母材
7……被覆層前駆体
BA……コイン型電池
CA……ケース
PC……正極
NC……負極
GA……ガスケット
EL……電極
PE……正極
NE……負極
SE……セパレータ
Claims (4)
- 表面に配置される表層部とそれ以外の中心部とを有し、組成がLi t Ni 1−x−y Co x M 1 y M 2 z O 2+α (式中、M 1 は、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、M 2 は、Mg元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15、0<z≦0.03、0≦α≦0.1を示す。)で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子からなり、前記M 2 は、前記表層部に含まれ、前記表層部は、その粒子表面から中心へ向かう方向において、前記M 2 の濃度が低くなるような濃度勾配を有する非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
Mgを含む金属アルコキシドのモノマー又はそのオリゴマーと、有機溶媒と、を含む混合液を得た後、前記混合液にキレート剤を添加して被覆液を得ることと、
リチウムニッケル複合酸化物粒子に、前記被覆液を混合し又は噴霧して、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に3nm以上100nm以下の被覆層前駆体を形成することと、
前記被覆層前駆体を形成した複合酸化物粒子を300℃以上700℃以下の酸素雰囲気中で熱処理することと、
を含むことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記被覆層前駆体は、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子からなる母材の表面に非連続的に多孔質かつ島状に形成され、透過型電子顕微鏡の断面観察より測定される被覆面積が前記母材の表面積の80%以上95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記表層部が、組成がLitNi1−x−yCoxMyO2(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.01≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15)で表される前記リチウムニッケル複合酸化物粒子からなる母材の表面上に、Mgを含む前記被覆層前駆体を形成した後、熱処理により前記被覆層前駆体と前記母材の粒子界面とを反応して形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理は、[複合酸化物粒子量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)によって求められる値が33g/分以上、1333g/分以下の範囲内となるように制御した雰囲気中で行う、ことを特徴する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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