JP2016172823A - 炭素材料含有複合体、分散液及びそれらの製造方法並びにその複合体を含む樹脂組成物 - Google Patents

炭素材料含有複合体、分散液及びそれらの製造方法並びにその複合体を含む樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースを含み、かつナノ炭素材料が均一に分散した新規な複合体、その水性分散液、及びこれらの製造方法、並びに前記複合体を含む樹脂組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物が結合した修飾セルロースと、ナノ炭素材料とを水性溶媒中で混合して得られる、複合体の水性分散液。更に、前記分散液から水性溶媒を除去して得られる、ナノ炭素材料が均一に分散された粉体状セルロース複合体。

{環Zはアレーン環;R及びRは置換基;Xは基−[(ORm1−Y](Rはアルキレン基;Yはヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基;m1は0以上の整数)又は基−[(CHm2−COOR](RはH又はアルキル基;m2は0以上の整数);nは1以上の整数;pは0以上の整数;kは0〜4の整数}
【選択図】なし

Description

本発明は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とセルロースとが結合した修飾セルロース及びナノ炭素材料の複合体、この複合体を含む分散液及びそれらの製造方法、並びに前記複合体を含む樹脂組成物に関する。
プラスチックやゴムなどの高分子材料は、その特性(例えば、機械的特性、熱的特性、電気的特性など)を向上させるため、様々な炭素材料、なかでも、カーボンナノチューブなどのナノ炭素材料を配合することが検討されている。しかし、ナノ炭素材料は凝集体を形成しやすく、ナノサイズの状態で均一に分散することが困難なため、ナノ炭素材料の有用な特性を十分に活かせない傾向にあった。そのため、十分な効果を得るには、ナノ炭素材料を多量に配合せざるを得なかった。
前記のような観点から、ナノ炭素材料を水性溶媒中で分散した分散液として、特開2012−56788号公報(特許文献1)には、多糖類(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩など)と、パーフルオロアルキル基を有する水溶性化合物(アニオン性のフッ素系界面活性剤など)と、カーボンナノチューブとからなる水分散液が開示されている。しかし、水分散液であるため、汎用の樹脂とは均一に混和できず、界面活性剤がブリードアウトすると共に、複合体の強度を低下させるおそれがある。
特開2004−339499号公報(特許文献2)には、フルオレン骨格を有する化合物又はその誘導体と添加剤とを組み合わせると、添加剤の分散性を向上できることが開示されている。実施例では、フルオレン骨格を有する化合物の誘導体として、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するモノマーを重合成分としたポリエステル樹脂と、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの添加剤とを組み合わせた組成物を調製している。これらの実施例には、テトラヒドロフランなどの有機溶媒を使用した例が記載されているが、ナノ炭素材料を均一に分散するには、有機溶媒に可溶な樹脂に制限され、用途が制約されるとともに、作業性も低い。また、溶媒を使用せずに押出機などで混練する例も記載されているが、均一に分散するまで混練すると、せん断力によってナノ炭素材料が破壊され、十分な特性が得られないおそれがある。
一方、セルロースナノファイバーによる樹脂の特性向上を目的として、「成形加工’14」(非特許文献1)には、セルロースナノファイバーをビスフェノキシエタノールフルオレンなどの化合物で修飾したフルオレン修飾セルロースナノファイバーが開示されている。この文献では、フルオレン修飾セルロースナノファイバーと、ポリ乳酸との複合体の特性について報告されている。しかし、セルロースナノファイバーによる性能向上にも限界はあり、さらなる特性の向上が求められていた。
特開2012−56788号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、実施例、段落[0013])
「成形加工’14」、一般社団法人 プラスチック成形加工学会、平成26年5月27日発行、第377〜378頁、フルオレンを用いたセルロースナノファイバーの調製及び修飾
従って、本発明の目的は、セルロースを含み、かつナノ炭素材料が均一に分散した新規な複合体、その水性分散液、及びこれらの製造方法、並びに前記複合体を含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、樹脂に対してナノ炭素材料を均一に分散させ、補強性、導電性、熱伝導性、電磁波遮蔽性、接着性などの優れた特性を付与するのに適した複合体、その水性分散液、及びこれらの製造方法、並びに前記複合体を含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、樹脂との混和性に優れた複合体、その水性分散液、及びこれらの製造方法、並びに前記複合体を含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セルロースに9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が結合した修飾セルロースと、ナノ炭素材料とを水性溶媒中で混合すると、ナノ炭素材料が修飾セルロースに付着してセルロース複合体が生成して、均一に分散した分散液となること、さらに、前記分散液から水性溶媒を除去すると、ナノ炭素材料が均一に分散されたセルロース複合体が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のセルロース複合体は、セルロースと下記式(1)で表される化合物とが結合した修飾セルロースと、ナノ炭素材料とを含むセルロース複合体である。
(式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xは基−[(ORm1−Y](式中、Rはアルキレン基、Yはヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基、m1は0以上の整数を示す。)又は基−[(CHm2−COOR](式中、Rは水素原子又はアルキル基、m2は0以上の整数を示す。)、nは1以上の整数、pは0以上の整数、kは0〜4の整数を示す。)
前記式(1)において、環Zは単環式アレーン環(例えば、ベンゼン環)、多環式アレーン環(例えば、ナフタレン環)又は環集合アレーン環(例えば、ビフェニル環)であってもよく、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)であってもよく、Rはアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)又はアルコキシ基であってもよく、RはC2−6アルキレン基(例えば、C2−4アルキレン基)であってもよく、m1は0〜5の整数(例えば、0又は1)であってもよく、RはC1−6アルキル基であってもよく、m2は0〜4の整数であってもよく、nが1〜3の整数(例えば、1又は2)であってもよく、pが0〜3(例えば、0〜2)の整数であってもよく、kが0〜3の整数(例えば、0又は1)であってもよく、Xは基−[(ORm1−Y]であってもよく、Yはヒドロキシル基であってもよい。
前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレン及び9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレンから選択された少なくとも1種であってもよい。
また、セルロースに結合した前記式(1)で表される化合物の割合は、修飾セルロースの総量に対して0.01〜25重量%程度であってもよい。前記修飾セルロースはナノファイバー形状を有していてもよく、平均繊維径は5〜500nm程度であってもよい。
ナノ炭素材料は、カーボンナノチューブ(例えば、単層又は多層のカーボンナノチューブ)、ナノホーン、グラフェン、ナノグラファイト、フラーレン、カーボンナノコイル及びカーボンブラックから選択された少なくとも1種であってもよい。修飾セルロースとナノ炭素材料との割合は、前者/後者(重量比)=99.99/0.01〜60/40程度であってもよい。
本発明には、前記セルロース複合体の分散液(水性分散液)も含まれる。また、本発明は、修飾セルロースとナノ炭素材料とを水性溶媒中で分散処理し、分散液を調製する前記分散液の製造方法も含む。なお、前記分散液から水性溶媒を除去して、セルロース複合体を調製する前記セルロース複合体の製造方法もまた含む。
さらに、本発明は、前記セルロース複合体と樹脂とを含む樹脂組成物も包含する。
なお、本明細書中、「セルロース複合体」とは、修飾セルロースにナノ炭素材料が均一に分散した状態で付着した(若しくは吸着した、又は保持された)混合物を意味し、前記複合体中において、ナノ炭素材料の凝集が低減されている。
本発明では、セルロース複合体及び水性溶媒に分散した分散液において、セルロースに9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が結合した修飾セルロースと、ナノ炭素材料とが複合化しているため、ナノ炭素材料が均一に分散している。また、修飾セルロースがセルロース主鎖とフルオレン骨格とを有しているためか、セルロース複合体は様々な樹脂に対する分散性(又は混和性)に優れている。そのため、セルロース複合体と樹脂とを含む樹脂組成物において、炭素材料がナノメーターオーダーのサイズであっても、樹脂中に均一に分散できる。従って、セルロース複合体は、樹脂に対するナノ炭素材料の分散性を向上してその特性を有効に発現でき、補強性、導電性、熱伝導性、電磁波遮蔽性などの特性付与に適している。
図1は実施例1で得られた分散液から調製した試料の透過型電子顕微鏡(TEM)画像(10000倍)である。 図2は比較例1で得られた分散液から調製した試料の透過型電子顕微鏡(TEM)画像(10000倍)である。
本発明のセルロース複合体は、セルロース(又はセルロース繊維)と9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(単に、フルオレン化合物ともいう)とが結合した修飾セルロースと、ナノ炭素材料とを含むセルロース複合体であってもよい。
[修飾セルロース]
(フルオレン化合物)
9,9−ビスアリールフルオレン骨格(単にフルオレン骨格ともいう)を有する化合物は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基などの反応性基を有するフルオレン化合物であってもよく、代表的には、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xは基−[(ORm1−Y](式中、Rはアルキレン基、Yはヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基、m1は0以上の整数を示す。)又は基−[(CHm2−COOR](式中、Rは水素原子又はアルキル基、m2は0以上の整数を示す。)、nは1以上の整数、pは0以上の整数、kは0〜4の整数を示す。)
前記式(1)において、環Zで表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、ナフタレン環などのC10−16縮合二環式アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環(例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(例えば、1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環など)、テルアレーン環(例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環など)などが例示できる。好ましい集合環アレーン環としては、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
フルオレンの9−位に結合する2つの環Zは、同一又は異なっていてもよく、通常、同一であることが多い。環Zのうち、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環(なかでも、ベンゼン環、ナフタレン環、特にベンゼン環)などが好ましい。
なお、フルオレンの9−位に結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、フルオレンの9−位に結合する環Zに対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
前記式(1)において、置換基Rとしては、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)などが挙げられる。
これらの置換基Rのうち、アルキル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基(特に、メチル基などのC1−3アルキル基))、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、C1−2アルコキシ−カルボニル基)、シアノ基、ハロゲン原子が好ましい。
基Rの置換数kは0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に0である。なお、フルオレン環を構成する2つのベンゼン環における置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、基Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。kが2以上である場合、同一ベンゼン環内における基Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。また、基Rの置換位置は、特に制限されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び7−位など)であってもよい。
前記式(1)において、置換基Rとしては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(例えば、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基など]、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオなど)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロヘキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの基Rのうち、代表的には、ハロゲン原子、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい基Rとしては、アルキル基(メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基)、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)、特に、アルキル基(特に、メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)が挙げられる。なお、基Rがアリール基であるとき、基Rは、環Zとともに前記環集合アレーン環を形成してもよい。基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
基Rの置換数pは、環Zの種類に応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)の整数、さらに好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)であってもよい。特に、pが1である場合、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、基Rがメチル基であってもよい。
前記式(1)において、基Xとしては、基−[(ORm1−Y](式中、Rはアルキレン基、Yはヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基、m1は0以上の整数を示す。);基−[(CHm2−COOR](式中、Rは水素原子又はアルキル基、m2は0以上の整数を示す。)などが挙げられる。
基−[(ORm1−Y]において、基Rには、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの直鎖状C2−6アルキレン基(好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基)が例示でき、分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C3−6アルキレン基(好ましくは分岐鎖状C3−4アルキレン基、特にプロピレン基)などが挙げられる。これらのうち、基Rは、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基など)、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−3アルキレン基であってもよい。
オキシアルキレン基(OR)の繰り返し数(平均付加モル数)を示すm1は、0又は1以上の整数(例えば0〜15、好ましくは0〜10程度)の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば1〜8)、好ましくは0〜5(例えば1〜5)、さらに好ましくは0〜4(例えば1〜4)、特に0〜3(例えば1〜3)程度であってもよく、通常、0〜2(例えば0又は1)であってもよい。なお、m1が2以上である場合、アルキレン基Rの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、アルキレン基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
基−[(CH)m2−COOR]において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基が例示できる。好ましいアルキル基は、C1−4アルキル基、特にC1−2アルキル基である。メチレン基の繰り返し数(平均付加モル数)を示すm2は0又は1以上の整数、例えば、0〜6(例えば1〜6)、好ましくは0〜4(例えば1〜4)、さらに好ましくは0〜2(例えば1〜2)程度であってもよい。m2は、通常、0又は1〜2であってもよい。
これらのうち、基Xは、基−[(OR)m1−Y](式中、Rはアルキレン基、Yはヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基、m1は0以上の整数である)が好ましく、Yがヒドロキシル基である基−[(OR)m1−OH](式中、Rはエチレン基などのC2−6アルキレン基(例えばC2−4アルキレン基、特にC2−3アルキレン基)、m1は0〜5の整数(例えば0又は1)である)が特に好ましい。
前記式(1)において、環Zに置換した基Xの個数を示すnは、0以上(例えば1以上)であり、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2(特に1)であってもよい。なお、置換数nは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
基Xは、環Zの適当な位置に置換でき、例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位及び/又は4−位)に置換している場合が多く、環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位のいずれかに置換している場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係(特にnが1である場合、2,6−位の関係)で基Xが置換している場合が多い。また、nが2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Zにおいて、基Xの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基Xの置換位置は、2−,3−,2’−,3’−,4’−位のいずれであってもよく、通常、2−,3’−,4’−位、好ましくは2−,4’−位(特に、2−位)に置換していてもよい。
これらのうち、好ましいフルオレン化合物としては、基Xが、基−[(OR)m1−Y](式中、Yがヒドロキシル基を示す)である場合、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン;9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシC6−12アリール)フルオレン;9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン;9,9−ビス(4−フェニル−3−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレン;9,9−ビス[3−メチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレン;9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレンなどが挙げられる。
基Xが、基−[(OR)m1−Y](式中、Yがグリシジルオキシ基を示す)である場合の好ましいフルオレン化合物としては、9,9−ビス(グリシジルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−グリシジルオキシ−1−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(2−グリシジルオキシエトキシ)−1−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(2−グリシジルオキシエトキシ)−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリシジルオキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリシジルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(アリール−グリシジルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリシジルオキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(アリール−グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリシジルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(ジ(グリシジルオキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(グリシジルオキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリシジルオキシ)C6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(ジ(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(2−グリシジルオキシエトキシ))フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリシジルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。
基Xが、基−[(CH)m2−COOR]である場合の好ましいフルオレン化合物としては、例えば、9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−カルボキシ−1−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−カルボキシ−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス(カルボキシアルキル−アリール)フルオレン化合物、例えば、9,9−ビス(4−(カルボキシメチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−カルボキシエチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(カルボキシメチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(カルボキシメチル)−1−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(カルボキシメチル)−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−6アルキルC6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。
これらのフルオレン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、「(ポリ)アルコキシ」は、アルコキシ基及びポリアルコキシ基の双方を含む意味に用いる。
(セルロース)
セルロース(又はセルロース繊維)としては、リグニン、ヘミセルロースなどの非セルロース成分の含有量が少ないパルプ、例えば、植物由来のセルロース原料{例えば、木材[例えば、針葉樹(マツ、モミ、トウヒ、ツガ、スギなど)、広葉樹(ブナ、カバ、ポプラ、カエデなど)など]、草本類[麻類(麻、亜麻、マニラ麻、ラミーなど)、ワラ、バガス、ミツマタなど]、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、竹、サトウキビなど}、動物由来のセルロース原料(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース原料(ナタデココに含まれるセルロースなど)などから製造されたパルプなどが例示できる。これらのセルロースは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのセルロースのうち、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、種子毛繊維由来のパルプ(例えば、コットンリンターパルプ)などが好ましい。なお、パルプは、パルプ材を機械的に処理した機械パルプであってもよいが、非セルロース成分の含有量が少ないことからパルプ材を化学的に処理した化学パルプが好ましい。また、セルロースは、前記例示のパルプ(例えば、化学パルプ)などを微細化(ミクロフィブリル化)したセルロース繊維、特に、セルロースナノファイバーが好ましい。
セルロース(又はセルロース繊維)と非セルロース成分との総量に対するセルロースの割合(含有量)は、例えば、70重量%以上(例えば、75〜100重量%)、好ましくは80重量%以上(例えば、85〜100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、95〜100重量%)程度であってもよい。
セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維径は、マイクロメーターサイズ(例えば、1〜20μm)であってもよいが、樹脂に対する分散性及び補強性の観点から、ナノメーターサイズ、例えば、2〜1000nm(例えば、4〜700nm)、好ましくは5〜500nm(例えば、7〜250nm)、さらに好ましくは10〜100nm(例えば、20〜50nm)程度であってもよい。
セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維長は、例えば、0.01〜500μm(例えば、0.05〜400μm)程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜300μm(例えば、0.1〜200μm)、好ましくは0.2〜100μm(例えば、0.3〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜30μm(例えば、0.5〜10μm)程度であってもよい。
さらに、セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、例えば、5以上(例えば、5〜10000程度)、好ましくは10以上(例えば、10〜5000程度)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜3000程度)、特に50以上(例えば、50〜2000程度)であってもよく、100以上(例えば、100〜1000程度)、さらには200以上(例えば、200〜800程度)であってもよい。アスペクト比が小さすぎると、樹脂に対する補強効果が低下し、アスペクト比が大きすぎても、繊維が分解(又は損傷)しやすくなるおそれがある。
セルロース(又はセルロース繊維)は、結晶性の高いセルロース(又はセルロース繊維
)であってもよく、セルロースの結晶化度は、例えば、40〜100%(例えば、50〜100%)、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜90%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上であってもよい。本発明では、結晶性セルロースを好適に使用してもよい。なお、セルロースの結晶構造としては、例えば、I型、II型、III型、IV型などが例示でき、低線膨張特性及び弾性率などが高いI型結晶構造が好ましい。
(修飾セルロース及びその製造方法)
修飾セルロースは、セルロース(又はセルロース繊維)と前記フルオレン化合物とが結合したセルロース誘導体であってもよい。フルオレン化合物は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基などの反応性基を有するフルオレン化合物であってもよいが、セルロース(又はセルロース繊維)との反応性などの点から、前記式(1)で表されるフルオレン化合物が好ましい。
修飾セルロース(又は変性セルロース、セルロース誘導体)の化学修飾(又は結合)の形態は、特に限定されず、通常、セルロース(又はセルロース繊維)のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基と前記式(1)で表されるフルオレン化合物のヒドロキシル基とのエーテル結合及び/又はエステル結合、セルロース(又はセルロース繊維)のヒドロキシル基と前記式(1)で表されるフルオレン化合物のカルボキシル基とのエステル結合、セルロース(又はセルロース繊維)のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基と前記式(1)で表されるフルオレン化合物のグリシジル基とのエーテル結合及び/又はエステル結合であってもよい。なお、セルロースのカルボキシル基はパルプなどの製造過程で形成される場合がある。
修飾セルロースは、所定の触媒の存在下、原料セルロース(例えば、セルロースナノファイバー)と前記式(1)で表されるフルオレン化合物とを反応させて得られる。
原料セルロースの割合は、フルオレン化合物の反応性基に応じて選択できるが、例えば、フルオレン化合物100重量部に対して、0.1〜500重量部(例えば1〜300重量部)程度の範囲から選択でき、例えば5〜200重量部(特に10〜150重量部)程度であってもよい。
触媒もフルオレン化合物の反応性基に応じて選択でき、反応性基がヒドロキシル基の場合、酸触媒を利用してもよい。酸触媒としては、ブレンステッド酸、例えば、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、固体酸[例えば、ヘテロポリ酸(タングステン系ヘテロポリ酸、モリブデン系ヘテロポリ酸など)、陽イオン交換樹脂(スルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、スルホン酸基を有する含フッ素陽イオン交換樹脂、カルボン酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂など)]などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
反応性基がグリシジル基の場合、塩基触媒を利用してもよい。塩基触媒は、無機塩基及び有機塩基のいずれであってもよく、無機塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩などが例示できる。有機塩基としては、三級アミン類、例えば、トリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、アルカノールアミン(トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなど)、複素環式アミン(モルホリンなど)、ヘキサメチレンテトラミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などが挙げられる。これらの塩基触媒も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
反応性基がカルボキシル基の場合、エステル化触媒を利用できる。エステル化触媒としては、前記酸触媒の他、金属アルコキシド(アルミニウムエトキシド、チタニウムアルコキシドなど)、有機スズ化合物、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛など)などが挙げられる。これらのエステル化触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
触媒の使用量は、触媒の種類に応じて選択できるが、原料セルロース100重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部程度の範囲から適当に選択でき、通常、0.01〜20重量部(例えば0.1〜18重量部)、好ましくは0.5〜18重量部(例えば1〜17重量部)、さらに好ましくは3〜15重量部(特に5〜15重量部)程度であってもよい。
反応は有機溶媒の非存在下で行ってもよいが、通常、有機溶媒の存在下で行われる。この有機溶媒は原料セルロースに含浸していてもよいが、原料セルロースを有機溶媒に分散させた分散系で反応させる場合が多い。原料セルロースを有機溶媒に分散させた分散系で、原料セルロース(特にナノファイバー)と前記フルオレン化合物とを反応させると、均一に反応させることができる。このような方法で得られた修飾セルロースは、取り扱い性及び分散性が高い。
原料セルロースがセルロース繊維である場合、セルロース繊維(特に、ミクロフィブリル化した繊維、平均繊維径がナノメーターサイズのナノ繊維)を乾燥すると、繊維が絡み合って再分散できなくなる場合がある。そのため、通常、セルロース繊維は水含浸又は水分散液として市販されている場合が多い。このような水分散液では、水分散液の水を有機溶媒に置換する慣用の溶媒置換法、例えば、セルロース繊維の水分散液に水溶性溶媒を添加混合し、セルロース繊維を分離(又は溶媒を除去)した後、さらに有機溶媒を添加混合する操作を繰り返す方法などにより、セルロース繊維が有機溶媒に分散した分散液を調製できる。なお、沸点が水よりも高い水溶性有機溶媒を用いる場合、水を蒸留(共沸蒸留を含む)により除去することにより溶媒置換できる。
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−4アルカンジオール)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、カルビトール類(エチルカルビトールなど)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
なお、水溶性有機溶媒を用いて溶媒置換したセルロース含有分散液において、水溶性有機溶媒は、上記と同様にして、非水溶性有機溶媒に溶媒置換することもできる。非水溶性有機溶媒としては、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、ニトリル類(ベンゾニトリルなど)、セロソルブアセテート類、カルビトールアセテート類、炭化水素類(ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど)などが例示できる。これらの非水溶性有機溶媒も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性溶媒、特に非プロトン性極性溶媒(例えば、エーテル類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類など)が好ましい。
有機溶媒(例えば、非プロトン性極性溶媒)の溶解度パラメーター(SP値、(cal/cm))は8〜15(例えば、8.5〜15)程度であってもよく、通常、9〜14.5(例えば、10〜14.5)程度であってもよい。
分散液中の原料セルロース(特にセルロース繊維)の固形分濃度は、例えば、0.01〜30重量%(例えば、0.1〜20重量%)、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜12重量%(例えば、5〜10重量%)程度であってもよい。固形分濃度が低すぎると、反応効率が低下する虞がある。
反応は、減圧下で行ってもよいが、通常、加圧下又は常圧下で行う場合が多い。反応温度は、溶媒の沸点などにより適宜選択でき、例えば、50〜200℃(例えば、70〜170℃)、好ましくは80〜150℃(例えば、100〜130℃)程度であってもよい。なお、反応は溶媒の還流下で行ってもよい。また、反応時間は、特に限定されず、例えば、10分〜48時間(例えば、30分〜24時間)程度である。さらに、反応は、空気中又は不活性ガス(窒素、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下、攪拌しながら行うことができる。
なお、反応は、反応系を撹拌しながら行ってもよく、セルロースに機械的剪断力を作用させながら行い、セルロースを微細化した修飾セルロースを得てもよい。さらに、反応終了後に解繊して修飾セルロースを微細化してもよい。なお、微細化工程では、修飾セルロースをナノファイバーに微細化してもよい。
反応により生成した修飾セルロースは、慣用の方法(例えば、遠心分離、濾過、濃縮、抽出など)により分離精製してもよい。例えば、少なくとも前記フルオレン化合物を溶解可能な溶媒を反応混合物に添加し、上記遠心分離、濾過、抽出などの分離法(慣用の方法)で未反応フルオレン化合物を除去し、分離精製してもよい。なお、上記分離操作は複数回(例えば、2〜5回程度)行うことができる。さらに、分離精製した修飾セルロースを加熱下又は減圧下或いは常圧下で乾燥することにより、粉末状の形態を有する修飾セルロースを得ることができる。
なお、未反応フルオレン化合物を上記分離方法などにより繰り返し除去して精製した修飾セルロースを、ラマン分析などの方法により分析すると、セルロースに由来するピークとフルオレン化合物に由来するピークとが存在し、セルロースにフルオレン化合物が結合していることが確認できる。
(修飾セルロースの特性)
修飾セルロースは、通常、粉末状の形態を有しており、取り扱い性に優れる。また、前記フルオレン化合物の修飾割合(結合量)が、比較的少なくても、修飾セルロースは粉末状の形態を有していてもよい。
フルオレン化合物の基Xが基−[(ORm1−Y](式中、Yがヒドロキシル基を示す)である場合、セルロースに結合したフルオレン化合物の割合は、修飾セルロースの総量に対して、0.01〜20重量%程度の範囲から選択でき、例えば、0.05〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%(例えば、0.3〜7重量%)、さらに好ましくは0.5〜5重量%(例えば、0.7〜3重量%)程度であってもよい(以下、修飾率という)。また、フルオレン化合物の基Xが基−[(ORm1−Y](式中、Yがグリシジルオキシ基を示す)又は基−[(CHm2−COOR]である場合、修飾率は、0.01〜25重量%程度(例えば、0.1〜20重量%)、好ましくは0.5〜18重量%(例えば、1〜15重量%)、さらに好ましくは2〜17重量%(例えば、3〜10重量%)程度の割合(以下、修飾率という)でセルロースに結合していてもよい。
修飾率が大きすぎると、水性溶媒に対する分散性、低線膨張係数などの特性が低下するおそれがあり、逆に小さすぎると、粉体状の形態を形成できなくなり、取り扱い性が低下しやすく、また、ナノ炭素材料を均一分散した状態で含有(又は付着、保持)し難く、さらに、セルロース複合体と樹脂との分散性(又は混和性)が低下するおそれがある。なお、修飾率が大きくなると、ナノ炭素材料の付着量も多くなるようである。修飾率は、後述する実施例に記載の方法などにより測定できる。
修飾セルロースは、平均繊維径がマイクロメーターサイズ(例えば、1〜20μm)であってもよいが、樹脂に対する分散性及び補強性の観点から、ナノメーターサイズであってもよく、すなわち、ナノファイバー形状を有していてもよい。なお、修飾セルロースの平均繊維径、平均繊維長及び平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、上記(セルロース)の項目に記載の原料セルロースの範囲を参照できる。
修飾セルロースの平均繊維径は、例えば、2〜1000nm(例えば、4〜700nm)、好ましくは5〜500nm(例えば、7〜250nm)、さらに好ましくは10〜100nm(例えば、20〜50nm)程度であってもよい。
修飾セルロースの平均繊維長は、例えば、0.01〜500μm(例えば、0.05〜400μm)程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜300μm(例えば、0.1〜200μm)、好ましくは0.2〜100μm(例えば、0.3〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜30μm(例えば、0.5〜10μm)程度であってもよい。
修飾セルロースの平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、例えば、5以上(例えば、5〜10000程度)、好ましくは10以上(例えば、10〜5000程度)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜3000程度)、特に50以上(例えば、50〜2000程度)であってもよく、100以上(例えば、100〜1000程度)、さらには200以上(例えば、200〜800程度)であってもよい。また、アスペクト比が小さすぎると、樹脂に対する補強効果が低下し、アスペクト比が大きすぎると、均一な分散が困難となり、繊維が分解(又は損傷)し易くなるおそれがある。
なお、本発明では、修飾セルロースの平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出してもよい。
修飾セルロースは、前記フルオレン化合物の修飾により疎水性が向上するためか、水分含有量が少ない。すなわち、水分含有量は、温度25℃、湿度60%の条件下、1昼夜放置したとき、0〜7重量%(例えば、0〜5重量%)、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.3〜3重量%程度であってもよい。なお、水分含有量は、近赤外線分析計などを用いて測定できる。
修飾セルロースナノファイバーの嵩密度(見掛密度)は、温度25℃、湿度60%の条件下において、JIS K7365−1999に準拠して測定したとき、例えば、0.01〜0.7g/ml、好ましくは0.05〜0.5g/ml、さらに好ましくは0.1〜0.3g/ml程度であってもよい。なお、嵩密度Pは、所定重量Wの修飾セルロースをメスシリンダーに入れて体積Vを測定し、式P=W/Vで算出できる。
修飾セルロースは、流動性が高く、安息角が、温度25℃、湿度60%の条件下において、JIS R9301−2−2に準拠して測定したとき、例えば20〜45°、好ましくは25〜40°、さらに好ましくは30〜35°程度であってもよい。流動性が大きすぎると、取り扱い性が低下し、逆に小さすぎると、分散性が低下するおそれがある。
修飾セルロースは、粘稠な液体を形成することなく、ナノファイバーの形態を維持している。そのため、比較的分子量(又は重合度)が大きく、粘度平均重合度は、例えば、100〜10000、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜2000程度であってもよい。
粘度平均重合度は、TAPPI T230に記載の粘度法により測定できる。すなわち、セルロースナノファイバー(又は修飾セルロースナノファイバー)0.04gを精秤し、水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液10mLとを加え、5分間程攪拌して修飾セルロースを溶解する。得られた溶液をウベローデ型粘度管に入れ、25℃下で流下速度を測定する。水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液10mLとの混合液をブランクとして測定する。これらの測定値に基づいて算出した固有粘度[η]を用い、木質科学実験マニュアルに記載の下記式に従って粘度平均重合度を算出できる。
粘度平均重合度=175×[η]
また、本発明のセルロース複合体において、修飾セルロースの特性(例えば、低線膨張特性、強度、耐熱性など)を有効に発現させる場合、結晶性の高い修飾セルロースが好ましい。前記のように、修飾セルロースはセルロースの結晶性を維持できるため、修飾セルロースの結晶化度は前記セルロースの数値をそのまま参照できる。例えば、修飾セルロースの結晶化度は、40〜95%(例えば、50〜85%)、好ましくは60〜95%(例えば、65〜85%)、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜90%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上(例えば、75〜90%程度)であってもよい。結晶化度が小さすぎると、線膨張特性や強度などの特性を低下させるおそれがある。セルロースの結晶構造としては、例えば、I型、II型、III型、IV型などが例示でき、低線膨張特性及び弾性率などが高いI型結晶構造が好ましい。なお、結晶化度は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
[ナノ炭素材料]
ナノ炭素材料としては、例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど)、ダイヤモンド(例えば、ナノダイヤモンドなど)、グラフェン、ナノグラファイト(例えば、グラフェンシートが10〜20層程度積層したナノグラファイトなど)、フラーレン(例えば、バックミンスターフラーレンC60、マルチフラーレンなど)、カーボンナノチューブ、ナノホーン、カーボンナノコイルなどが挙げられる。
これらのナノ炭素材料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。分散性の観点から、カーボンナノチューブ、ナノホーン、グラフェン、ナノグラファイト、フラーレン、カーボンナノコイル、カーボンブラックが好ましい。なかでも、カーボンナノチューブは樹脂中に分散すると、優れた導電性を付与できるため、特に好ましい。これらのナノ炭素材料は、複数のベンゼン環が縮合した網目構造(又は平面構造)を有しており、この網目構造が修飾セルロースの9,9−ビスアリールフルオレン骨格に配向して付着(又は吸着)するためか、修飾セルロースに均一に分散した状態でナノ炭素材料を付着(又は保持)できる。
なお、カーボンナノチューブ(又はナノスケールカーボンチューブ)は、ナノサイズの直径を有するカーボンチューブであればよく、カーボンチューブ内空間部には金属(例えば、鉄など)などが内包されていてもよい。代表的なカーボンナノチューブ(又はナノスケールカーボンチューブ)としては、例えば、特許文献2に記載のカーボンナノチューブ、すなわち、(i)単層又は多層カーボンナノチューブ、(ii)アモルファスナノスケールカーボンチューブ、(iii)ナノフレークカーボンチューブ、(iv)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブから選択された少なくとも1種のカーボンナノチューブ(a)と、炭化鉄又は鉄とからなり、このカーボンナノチューブ(a)のチューブ内空間部に充填されている炭化鉄又は鉄(b)とで構成された鉄−炭素複合体などが例示できる。これらのカーボンナノチューブのうち、補強性などの観点から、(i)単層又は多層カーボンナノチューブが好ましい。
本発明のセルロース複合体(又はセルロース複合体と樹脂とを含む樹脂組成物)中では、これらのナノ炭素材料が均一に分散しているため、添加量が少量であっても、ナノ炭素材料が有する様々な特性(例えば、補強性(機械的特性)、導電性、熱伝導性、電磁波遮蔽性など)を効果的に向上(又は付与)できる。
[セルロース複合体]
セルロース複合体は、前記修飾セルロースと前記ナノ炭素材料とを含み、修飾セルロースにナノ炭素材料が均一に分散した状態で付着(又は吸着)している。その機構としては、修飾セルロース中の9,9−ビスアリールフルオレン骨格と、ナノ炭素材料中の前記網目構造(又は平面構造)との間に、疎水性相互作用及び/又はπ−π相互作用を生じ、ナノ炭素材料が9,9−ビスアリールフルオレン骨格に配向して配位するためと推測される。詳しくは、例えば、カーボンナノチューブなどのナノ炭素材料は、通常、会合(又は凝集)し、バンドル構造を形成している。しかし、修飾セルロースと混合することにより、9,9−ビスアリールフルオレン骨格と前記網目構造(又は平面構造)との間の疎水性相互作用及び/又はπ−π相互作用によって、カーボンナノチューブのバンドル構造がほぐされて孤立分散するためか、均一に分散できると考えられる。
セルロース複合体において、修飾セルロースとナノ炭素材料との割合は、用途に応じて適宜選択でき、通常、前者/後者(重量比)=99.99/0.01〜60/40程度の範囲から選択でき、例えば99.95/0.05〜65/35、好ましくは99.9/0.1〜70/30、さらに好ましくは99/1〜80/20程度であってもよい。また、分散性の観点から、前者/後者(重量比)=99.99/0.01〜70/30程度の範囲から選択でき、例えば99.5/0.5〜75/25、好ましくは99/1〜80/20(97/3〜83/17)、さらに好ましくは95/5〜85/15(例えば、93/7〜87/13)程度であってもよい。修飾セルロースの重量割合が少なすぎると、ナノ炭素材料を均一に分散できないおそれがあり、多すぎると、ナノ炭素材料による特性向上効果が低下するおそれがある。修飾セルロースの修飾率が高いと、より多くのナノ炭素材料を均一に分散できる。
なお、修飾セルロースの重量割合が多いセルロース複合体は、樹脂と混合して使用してもよく、例えば、セルロース材料(機械的特性、導電性などが向上したセルロース材料(セルロースフィルム、セルロース膜など))、接着剤(例えば、導電性接着剤など)などとして使用してもよく、特に、修飾セルロースがナノファイバー形状を有すると、フィラーとしての補強性などを向上できるため、好ましい。
また、ナノ炭素材料の重量割合が多いセルロース複合体では、ナノ炭素材料のフィラー機能や導電機能を有効に利用できる。
(セルロース複合体及びその分散液の製造方法)
セルロース複合体は、修飾セルロース及びナノ炭素材料(セルロース複合体)の水性分散液を調製(分散工程という)し、得られた分散液から、水性溶媒を除去(除去工程という)して製造できる。
分散工程では、前記修飾セルロースとナノ炭素材料とを水性溶媒中で分散処理する。
水性溶媒としては、水及び水溶性溶媒が含まれ、水溶性溶媒としては、上記(修飾セルロースの製造方法)の項に記載の水溶性有機溶媒などが挙げられ、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのC1−4アルカノールなど)、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−4アルカンジオール)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、カルビトール類(エチルカルビトールなど)などのプロトン性溶媒;エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなど)などの非プロトン性溶媒などが挙げられる。これらの水性溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて混合溶媒として使用することもできる。
前記水性溶媒のうち、比誘電率が高く、分散性を向上しやすい点から、水及び/又は前記水溶性溶媒における非プロトン性溶媒、特に水及び/又は非プロトン性極性溶媒(例えば、アミド類、スルホキシド類、カーボネート類)が好ましい。このような溶媒を分散溶媒とすると、ナノ炭素材料と修飾セルロースとの間の相互作用が強くなるためか、分散性が向上する。詳しくは、ナノ炭素材料の網目構造(又は平面構造)と修飾セルロースに結合したフルオレン骨格部分との相互作用が促進(又は強化)されるためか、バンドル構造などの凝集構造を容易に分散できる。さらに、ナノ炭素材料の周囲は、修飾セルロースの親水部分が覆うためか、分散したナノ炭素材料同士が接触して再凝集するのを抑制できると推測される。このような観点から、水性溶媒は、特に、少なくとも水を含んでいてもよい。水性溶媒中の水の割合は、水性溶媒全体に対して、0〜100重量%(例えば、1〜100重量%)程度の範囲から選択でき、例えば10〜98重量%(例えば、20〜95重量%)、好ましくは30〜95重量%(例えば、50〜95重量%)、さらに好ましくは60〜95重量%(例えば、70〜95重量%)程度であってもよい。
なお、本発明の効果を害さない範囲であれば、分散溶媒は、他の溶媒、例えば、上記(修飾セルロースの製造方法)の項に記載の非水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。また、本発明の効果を害さない限り、分散液は、慣用の添加剤(例えば、界面活性剤などの分散剤など)を含んでいてもよい。なお、本発明では、分散剤(例えば、界面活性剤など)などを含まなくても、前述のように、ナノ炭素材料を均一に分散できる。
分散工程において、修飾セルロースとナノ炭素材料との割合は、前記セルロース複合体の項に記載の割合と同様である。
また、水性溶媒中における修飾セルロース及び炭素材料の総量の濃度は、0.001〜1重量%程度の範囲から選択でき、例えば、0.005〜0.08重量%、好ましくは0.007〜0.05重量%、さらに好ましくは0.01〜0.03重量%程度であってもよい。
分散処理は、慣用の混合機又は分散機を使用して分散でき、例えば、ミキサー、ペイントシェーカー、ホモジナイザーなどが挙げられ、特に、超音波ホモジナイザー又は超音波分散機が好ましい。
得られる分散液は、修飾セルロースとナノ炭素材料とを水性溶媒中で分散するためか、室温(例えば、25℃)における安定性が高く、例えば、8時間〜15日、好ましくは16時間〜7日、さらに好ましくは1〜3日程度放置しても、沈殿は確認されず、安定して分散していてもよい。
除去工程での溶媒の除去方法は、特に制限されず、加熱及び/又は減圧によって水性溶媒を除去(又は乾燥)する方法、ろ過する方法、遠心分離する方法などが挙げられ、必要により乾燥してもよい。このようにして得られるセルロース複合体では、ナノ炭素材料が均一に分散され、粉体状の形態を有し、取扱い性に優れている。粉体状セルロース複合体は、プレス、ペレット化などの方法により成型加工してもよい。このように、セルロース複合体は分散液又は粉体状であってもよく、このような形態のセルロース複合体は、樹脂と混合して樹脂組成物を形成してもよい。
(セルロース複合体を含む樹脂組成物)
セルロース複合体は、樹脂と混合して樹脂組成物を調製してもよい。
樹脂としては、汎用の樹脂が挙げられ、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、ビニルアルコール系樹脂)、フッ素樹脂、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート、ポリアリレート、液晶ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなど)、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、熱可塑性エラストマー、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロースなどのセルロースエステル系樹脂、エチルセルロースなどのセルロースエーテル系樹脂など)などの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ樹脂(例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂など)、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド系樹脂(例えば、ビスマレイミド系樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂など)、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂が好ましい。
なお、樹脂組成物は、本発明の効果を害しない範囲で、慣用の添加剤(例えば、フィラー、導電剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化安定剤など)、分散剤(界面活性剤など)、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤など)を含んでいてもよい。また、これらの添加剤は、前記セルロース複合体又はその分散液が含んでいてもよい。
樹脂組成物の形成方法は特に制限されず、慣用の方法で形成でき、セルロース複合体(又はその分散液)と、樹脂(又はその分散液(エマルジョンなど)、若しくはその溶液)とを混合機(又は攪拌機、分散機)などで混合(又は混練)する方法であってもよい。例えば、粉体状のセルロース複合体と、ペレット状の樹脂とを押出機などで混練する方法、セルロース複合体の分散液と、ペレット状の樹脂とを押出機などで混練する方法、セルロース複合体の分散液と、樹脂のエマルジョン又は溶液(水溶液など)とを撹拌機などで混合する方法などが挙げられる。
このような樹脂組成物において、セルロース複合体は、フルオレン化合物に修飾されているため、多種の樹脂とも親和性が高く、また、修飾セルロース部分とセルロース系樹脂との親和性も高い。そのため、セルロース複合体を様々な樹脂中に均一に分散できる。従って、ナノ炭素材料も均一に分散できる。また、セルロース複合体は、粉体状で取扱い性にも優れ、混練などで容易に樹脂中へ分散できる。通常、ナノ炭素材料と樹脂とを混練すると、均一に分散するまでに、せん断力によってナノ炭素材料が破壊され、混合物において、有効に特性を発現できない。しかし、本発明のセルロース複合体は、複合体中でナノ炭素材料がすでに均一に分散しているため、小さなせん断力でも効果的に分散でき、ナノ炭素材料の特性を十分に発現できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(修飾セルロースナノファイバーの測定又は評価)
セルロースに結合したフルオレン化合物の割合(修飾率)
フルオレン化合物の修飾率の定量はFT−Raman分析により行った。酢酸セルロース((株)ダイセル製)と既定量の9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、BPEFという)とをテトラヒドロフラン(THF)に溶解して成膜し、ラマン顕微鏡(堀場JOBIN YVON社製、「XploRA」)を使用してラマン分析を行った。芳香族環(1604cm−1)とセルロースの環内CH(1375cm−1)との吸収バンドの強度比(I1604/I1375)と、BPEFの濃度に基づき、検量線を作成した。すべてのサンプルは3回測定し、その結果を平均した。
セルロース繊維の形状観察
修飾セルロースの形状はFE−SEM(日本電子(株)製、「JSM−6700F」、測定条件:20mA、60秒)を用いて観察した。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出した。
結晶化度
修飾セルロースナノファイバーの結晶化度は、参考文献:Textile Res. J. 29:786-794(1959)に基づき、XRD分析法(Segal法)により評価し、下式により算出した。
結晶化度(%)=[(I200-IAM)/I200]×100%
(式中、I200はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、IAMはアモルファス部(002面と110面間の最低部、回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。)
収率
洗浄後の修飾セルロースナノファイバーをジオキサンで置換した後、105℃の条件下、5時間で乾燥して秤量(W2)し、下式によりセルロース繊維の収率を算出した。
セルロース繊維の収率(重量%)=W2/W1×100
(式中、W1は修飾前の原料セルロース重量、W2は得られた修飾セルロースナノファイバーの重量を示す。)
熱分解温度
TG−DTA測定装置(「Rigaku Thermo Plus TG8120」、(株)リガク製)を使用して、窒素雰囲気、昇温速度10℃/分で測定した。
溶媒分散性
修飾セルロースを溶媒中に分散し、0.2重量%の分散液を調製した後、室温で放置し、沈降時間に基づいて分散性を評価した。沈降時間が5時間以上の場合、分散性が良い(○)、2時間以下の場合、分散性が悪い(×)と評価した。
(修飾セルロースの調製)
微結晶セルロース(旭化成(株)製 セオラスST-100)15gをN,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)500gに分散して遠心分離した後、沈降した固形分をさらにDMAc500gに分散して再び遠心分離することによりセルロースとN,N-ジメチルアセトアミドとの混合物(セルロース含量約10重量%のセルロース含有溶媒分散系)を得た。次いで、1000mlの三口フラスコに、セルロース含有溶媒分散系150g(固形分15g)、ジメチルスルホキシド250g、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BPEFという)350g及び35%塩酸5.5gを加え、撹拌機を用いて170℃で30分間撹拌した。得られた混合液を遠心分離機(日立工機(株)製、「CR22GIII」、回転速度:8000rpm(4530g))で25分間処理した後、固形分を回収し、更に、N,N-ジメチルアセトアミド1200mlに分散した後、再度遠心分離を行った。このような操作を3回繰り返すことにより、ジメチルスルホキシド、過剰のBPEF及び他の溶解成分を除去し、修飾セルロースとN,N-ジメチルアセトアミドとの混合物を得た。得られた混合物を乾燥することにより、粉体状の形態を有する修飾セルロースを得た。
修飾セルロースの収率は89%であり、高い収率で得られた。また、ラマンスペクトルの結果からBPEF修飾率を求めたところ、BPEF修飾率は0.7重量%であった。さらに、X線回折吸収スペクトルから結晶化度を求めたところ、結晶化度は76%であり、セルロース原料とほぼ同等であった。
SEM写真から、修飾セルロースの繊維径(又は直径)は、10〜500nm程度であり、平均繊維径は30nmであった。また、修飾セルロースの5%重量減少温度(熱分解温度)は320℃であり、高い耐熱性を有していることがわかった。さらに、ジオキサン、アセトン及びテトラヒドロフランへの分散性をそれぞれ、評価した結果、沈降時間は24時間以上で、評価は○であった。
実施例1
修飾セルロースを蒸留水に分散して2重量%の水分散液を得た。この水分散液5gをN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)10mlで希釈した液を3つ用意し、それぞれにマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNTともいう)(ナノシル社製、NC7000)0.0095g、0.0151g、0.0195gを加えて超音波ホモジナイザーで分散した(振動子10mmφ、250mA×2min)ところ、NC7000を0.0095g用いた系では均一で透明性のある分散液となった。他の系ではNC7000の凝集が生じた。0.0095g用いた分散液1mlを10mlの蒸留水で希釈して室温で24時間放置してみたが沈降は起こらず、分散系は安定なことが分かった。また、同希釈液を観察用メッシュにとって乾燥させ、透過型電子顕微鏡で観察したところ、NC7000のバンドル構造は消失し、修飾セルロースの大きな塊も消失して均一な混合物を形成していることが分かった(図1)。
比較例1
修飾セルロースの水分散液に代えて、未修飾の微結晶セルロース分散液(セオラスST−100の水分散液、濃度2重量%)5gを使用し、NC7000(0.0097g)を用いた以外は実施例1と同様にしてMWCNT分散液を調製したところ、分散液となった。この分散液1mlを10mlの蒸留水で希釈したところ、すぐに凝集が生じ、安定な分散系ではないことがわかった。また、同希釈液を観察用メッシュにとって乾燥させ、透過型電子顕微鏡で観察したところ、NC7000のバンドル構造は残っており、修飾セルロースの大きな塊も多数残存していることが分かった(図2)。
比較例2
DMAc10mlにNC7000 0.0102gだけを実施例1と同様に超音波ホモジナイザーで分散したところ、一旦分散はするもののすぐに凝集が生じた。
実施例2
実施例1の処方に従い、修飾セルロースの水分散液(濃度2重量%)80gをDMAc160mlで希釈した。これにNC7000(0.161g)を加えて超音波ホモジナイザーで分散した(振動子25mmφ、250mA×2min)。得られた分散液をアセトン200mlで希釈して凝集物を遠心沈降させた。沈降物をアセトン400mlに再分散して再度遠心沈降させた。この操作をもう一度行った後、ヘキサンに置換して遠心沈降操作を行い、沈降物を60℃で乾燥させた。乾燥物は容易に粉状となった(収量1.6g)。
得られた粉をプレス成形機を用いて常温プレス成形(25℃、30MPa)し、円盤状の成形体を作製した。次いでロレスタ((株)三菱アナリテック製)を用いて成形板の表面抵抗を表面抵抗値を5点測定したところ、表面抵抗値の平均値は2.61Ω/□であり、とても低い表面抵抗値(=高い導電性)を示した。
実施例1、比較例1および2から分かるように、修飾セルロースはカーボンナノチューブの分散効果があり、この分散液から作製した複合体はカーボンナノチューブが均一に分散しているため高い導電性を有する。
本発明の複合体は、修飾セルロース中にナノ炭素材料が均一分散した構造を有するため、ナノ炭素材料の特性(例えば、補強性、導電性、熱伝導性、電磁波遮蔽性など)を有しかつ低環境負荷型の材料となる。セルロース複合体をフィルム状、膜状などに成型すると、前記特性を有するセルロース材料(例えば、導電性接着剤など)として利用できる。
また、セルロース複合体(又は分散液)をフィラーとして樹脂(又は分散液)と混合して樹脂組成物を形成できるため、前記特性を有するフィルム(例えば、導電性フィルム、熱伝導性シート、電磁波遮蔽シートなど)、塗料(導電性塗料、熱伝導性塗料、帯電防止塗料)などに利用できる。

Claims (14)

  1. セルロースと下記式(1)で表される化合物とが結合した修飾セルロースと、ナノ炭素材料とを含むセルロース複合体。
    (式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xは基−[(ORm1−Y](式中、Rはアルキレン基、Yはヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基、m1は0以上の整数を示す。)又は基−[(CHm2−COOR](式中、Rは水素原子又はアルキル基、m2は0以上の整数を示す。)、nは1以上の整数、pは0以上の整数、kは0〜4の整数を示す。)
  2. セルロースに結合した前記式(1)で表される化合物の割合が、修飾セルロースの総量に対して0.01〜25重量%である請求項1記載のセルロース複合体。
  3. 修飾セルロースがナノファイバー形状を有する請求項1又は2記載のセルロース複合体。
  4. 修飾セルロースの平均繊維径が5〜500nmである請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース複合体。
  5. 前記式(1)において、環Zが単環式アレーン環、縮合多環式アレーン環又は環集合アレーン環であり、Rがシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基、Rがアルキル基又はアルコキシ基、RがC2−6アルキレン基、m1が0〜5の整数、RがC1−6アルキル基、m2が0〜4の整数、nが1〜3の整数、pが0〜3の整数、kが0〜3の整数である請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース複合体。
  6. 前記式(1)において、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環であり、Xが基−[(ORm1−Y]、Yがヒドロキシル基、RがC1−4アルキル基、RがC1−4アルキル基、RがC2−4アルキレン基、m1が0又は1、nが1又は2、pが0〜2の整数、kが0又は1である請求項1〜5のいずれかに記載のセルロース複合体。
  7. 前記式(1)で表される化合物が、9,9−ビス(ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレン及び9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−12アリール)フルオレンから選択された少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のセルロース複合体。
  8. ナノ炭素材料が、カーボンナノチューブ、ナノホーン、グラフェン、ナノグラファイト、フラーレン、カーボンナノコイル及びカーボンブラックから選択された少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載のセルロース複合体。
  9. ナノ炭素材料が単層又は多層のカーボンナノチューブである請求項1〜8のいずれかに記載のセルロース複合体。
  10. 修飾セルロースとナノ炭素材料との割合が、前者/後者(重量比)=99.99/0.01〜60/40である請求項1〜9のいずれかに記載のセルロース複合体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のセルロース複合体の水性分散液。
  12. 修飾セルロースとナノ炭素材料とを水性溶媒中で分散処理し、分散液を調製する請求項11記載の分散液の製造方法。
  13. 請求項11記載の分散液から水性溶媒を除去して、セルロース複合体を調製する請求項1〜10のいずれかに記載のセルロース複合体の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載のセルロース複合体と樹脂とを含む樹脂組成物。


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