JP6357071B2 - 修飾セルロース及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、9,9−位にアリール基を有するフルオレン化合物で修飾され、樹脂の複合材料として有用な修飾セルロース及びその製造方法、並びにこの修飾セルロースを含む樹脂組成物に関する。
植物由来の繊維であるセルロースは、環境負荷が小さく、かつ持続型資源であるとともに、高弾性率、高強度、低線膨張係数などの優れた特性を有する。そのため、幅広い用途、例えば、紙、フィルムやシートなどの材料、樹脂の複合材料(例えば、樹脂の補強剤)などとして利用されている。特に、微細化したセルロース繊維(ナノファイバーなど)は、樹脂の複合材料として有用であり、セルロース原料(例えば、木材、パルプなど)からセルロース繊維を製造する試みがなされている。
セルロース繊維(例えば、ナノファイバー)を製造する方法には、一般的に、セルロース(例えば、パルプなど)を叩解処理する方法、ホモジナイズ処理する方法などの機械的解繊方法が利用されている。しかし、これらの解繊方法はセルロース繊維にダメージを与え、弾性率や低線膨張特性の低下を招くおそれがある。
一方、機械的解繊方法を必要としないセルロース繊維の製造方法も開示されている。例えば、特開2011−225847号公報(特許文献1)には、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(単にフルオレン化合物という場合がある)が、セルロースの繊維集合体間に浸透し、集合体間の強固な結合を弱める(弛緩する)ことを利用して、セルロース含有成分(リグニンやヘミセルロースなどの非結晶成分を含むセルロース含有成分)と9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(フルオレン化合物)とを混合し、リグニンやヘミセルロースなどの非結晶成分を選択的に可溶化又は抽出し、損傷の少ない結晶性セルロース(又はセルロースファイバー)を製造することが記載されている。この文献の実施例では、米松と9,9−ビス[4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)とをオートクレーブ内で高温で加熱混合し、溶媒(ジオキサンと水との混合液)でBPEFを除去した後、濾残物を水に再分散してペイントシェカーで分散処理し、水分散液の形態でセルロースファイバーを得ている。また、前記実施例で得られたセルロースファイバーとエポキシ樹脂又はポリ乳酸とを1,4−ジオキサンに溶解させ、均一な混合液を調製している。しかし、セルロースファイバーの水分散液と樹脂とを混和して均一な混合液を得るためには多量の有機溶媒(水溶性又は水混和性溶媒)が必要であり、取り扱い性や生産性が低くなる。また、非結晶成分を可溶化又は抽出して除去し、乾燥したセルロースファイバーをそのまま樹脂に添加しても、セルロースファイバーが凝集しているため、均一に分散できない。そのため、非結晶成分を可溶化又は抽出して得られたセルロースファイバーを、ペイントシェーカーなどの分散機により分散処理する必要がある。
また、この文献には、セルロース含有成分とフルオレン化合物との混合は酸触媒の存在下で行ってもよいこと、得られたセルロースは、少なくともファイバー状のセルロースを含んでいる場合が多く、そのセルロースの一部が、粉粒状などの形態で含まれていてもよいこと、フルオレン化合物はセルロースに含まれるヒドロキシ基を修飾するなどによりセルロースファイバーに含まれていてもよいことが記載されている。しかし、これらの事項について、実施例を含め、具体的な記載はない。
また、特開2011−208084号公報(特許文献2)には、酸触媒の存在下、セルロースやリグノセルロースなどの多糖を含有する成分とフルオレン化合物とを混合し、前記多糖を含有する成分を液化する方法が記載されている。この文献の実施例では、硫酸の存在下、BPEFと微結晶セルロース又は米松とを混合し、液状組成物を得ており、得られた液化組成物には、セルロースの分解生成物(例えば、グルコース、グルコースの分解物)と前記フルオレン化合物とが結合した化合物が含まれることが記載されている。しかし、この化合物は、低分子量であるため、樹脂を有効に補強できない。また、液化組成物は粘稠であり、取り扱い性が十分でない。
特開2011−225847号公報(特許請求の範囲、段落[0027][0072][0090][0098]、実施例) 特開2011−208084号公報(特許請求の範囲、段落[0087]、実施例)
従って、本発明の目的は、取り扱い性に優れ、有機媒体(樹脂など)に対する分散性が高く、樹脂の複合材料として有用な修飾セルロース及びその製造方法並びにこの修飾セルロースを含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、繊維状セルロースの形態を保持した修飾セルロースの製造方法及びこの製造方法で得られた修飾セルロース並びにこの修飾セルロースを含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、結晶性が高く、樹脂の複合材料として有用な修飾セルロース及びその製造方法並びにこの修飾セルロースを含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セルロース(又はセルロース繊維)と、反応性基としてカルボキシル基又はエポキシ基を有する9,9−ビスフルオレン骨格を有する化合物(フルオレン化合物)とを反応させると、繊維状の形態を維持しつつセルロースとフルオレン化合物とが結合し、修飾セルロースが得られること、この修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)は、前記フルオレン化合物の結合割合(修飾量)が少量であっても、粉体状の形態で得ることができ、しかも樹脂に対する分散性が高いことを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の修飾セルロースは、セルロースと、カルボキシル基(又はその反応性誘導体)及びエポキシ基から選択された少なくとも一種の反応性基と9,9−位にアリール基とを有するフルオレン化合物(以下、単にフルオレン化合物という場合がある)とが結合している。代表的なフルオレン化合物は下記式(1)で表すことができる。
[式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2-1)又は(2-2)
(Rは水素原子又はアルキル基、Rはアルキレン基、m1は0又は1以上の整数、m2は0又は1以上の整数を示す)
で表される基を示し、nは1〜3の整数、R及びRは置換基を示し、pは0又は1以上の整数、kは0〜4の整数を示す]
式(1)において、環Zは単環式アレーン環(例えば、ベンゼン環)、多環式アレーン環(例えば、ナフタレン環)又は環集合アレーン環(例えば、ビフェニル環)であってもよく、Rは水素原子又はC1−4アルキル基(例えば、C1−2アルキル基)、RはC2−6アルキレン基(例えば、C2−4アルキレン基)、RはC1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基)、C1−4アルコキシ基、Rはシアノ基、ハロゲン原子、C1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基)、カルボキシル基又はC1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、C1−2アルコキシ−カルボニル基)であってもよい。m1は0又は1〜4の整数(例えば、0又は1〜2の整数)、m2は0又は1〜5の整数(例えば、0又は1)、nは1又は2(例えば、1)、pは0〜3の整数(例えば、0〜3の整数、特に0〜2の整数)、kは0〜3の整数(例えば、0又は1)であってもよい。さらに、Xは式(2-2)で表される基であってもよい。なお、Xが式(2-2)で表される基であるフルオレン化合物は、単量体に限らず、多量体(二量体、三量体などを含む)であってもよく、多量体を含んでいてもよい。
前記フルオレン化合物は、9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)C6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどの単量体、及び多量体(二量体、三量体など)であってもよい。なお、「(ポリ)C2−4アルコキシ」とは、C2−4アルコキシの繰り返し数m2が1以上の整数であることを意味する。
なお、セルロースに対して、フルオレン化合物はエーテル結合及び/又はエステル結合していてもよい。フルオレン化合物は、修飾セルロースの総量に対して、0.01〜25重量%の割合でセルロースに結合していてもよい。
修飾セルロースは粉体状の形態を有していてもよい。また、修飾セルロースは、ナノファイバー、例えば、平均繊維径5〜500nm程度のナノファイバーであってもよい。さらに、修飾セルロースの結晶化度は、60%以上(例えば、75〜90%程度)であってもよい。
このような修飾セルロースは、樹脂の補強材として有用である。そのため、本発明は、修飾セルロースを含む樹脂組成物も包含する。
前記修飾セルロースは、セルロースと、前記フルオレン化合物とを、触媒の存在下で反応させることにより調製できる。この方法において、セルロースと、カルボキシル基(又はその反応性誘導体基)を有するフルオレン化合物(例えば、前記(2-1)で表される基を有するフルオレン化合物)との反応は、エステル化触媒の存在下で行うことができ、セルロースと、エポキシ基又はグリシジル基を有するフルオレン化合物(例えば、前記(2-2)で表される基を有するフルオレン化合物)との反応は、塩基触媒の存在下で行うことができる。触媒の割合は、セルロース100重量部に対して0.01〜20重量部程度であってもよい。
セルロース繊維とフルオレン化合物との反応は、セルロース繊維が有機溶媒に分散した形態(分散系)で行うことができる。反応は、有機溶媒としての非プロトン性極性溶媒の存在下で行うことができる。
前記セルロースは、結晶性セルロース、例えば、I型結晶構造を有するセルロースであってもよい。また、セルロースは、木材パルプ及びコットンリンターパルプから選択された少なくとも1種のパルプに由来するナノセルロースファイバーであってもよい。
本発明の修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)は、セルロースに結合したフルオレン化合物が種々の樹脂に対して高い親和性又は混和性を有しており、有機媒体(樹脂など)に対して高い分散性を示し、高い補強性を有する。しかも、粉体状の形態を有するため、取り扱い性に優れる。すなわち、分散液の形態でなく、粉体状の形態で樹脂と直接混合(又は混練)して樹脂に修飾セルロースを均一に分散させることができ、樹脂の適用可能な範囲を拡大できるとともに、樹脂組成物(樹脂と修飾セルロースとの複合材)の生産性も向上する。また、セルロースの分解を抑制しつつ、結晶性も維持できるため、高分子量かつ結晶性の高い修飾セルロースを得ることができる。このような修飾セルロースは、高強度、高弾性率、低線膨張特性などの優れた特性を有し、かつ有機媒体(樹脂、有機溶媒など)に簡便に分散できるため、樹脂の複合材料(例えば、補強材)として有用である。
図1は、実施例1で得られた修飾セルロース微細繊維のラマンスペクトルを示すグラフである。 図2は、実施例1で得られた修飾セルロース微細繊維の粉末X線回析スペクトルを示すグラフである。 図3は、実施例1で得られた修飾セルロース微細繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図4は、実施例2で得られた修飾セルロース微細繊維のラマンスペクトルを示すグラフである。 図5は、実施例2で得られた修飾セルロース微細繊維の粉末X線回析スペクトルを示すグラフである。 図6は、実施例2で得られた修飾セルロース微細繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図7は、実施例3で得られた修飾セルロース微細繊維のラマンスペクトルを示すグラフである。 図8は、実施例3で得られた修飾セルロース微細繊維の粉末X線回析スペクトルを示すグラフである。 図9は、実施例3で得られた修飾セルロース微細繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図10は、実施例4で得られた複合体のシートの偏光顕微鏡写真である。 図11は、実施例4で得られた複合体のシートの外観を示す写真である。 図12は、実施例5で得られた複合体のシートの偏光顕微鏡写真である。 図13は、比較例2で得られた複合体のシートの偏光顕微鏡写真である。
本発明の修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)は、セルロース(又はセルロース繊維)と、カルボキシル基(又はその反応性誘導体)及び/又はグリシジル基と9,9−位にアリール基とを有するフルオレン化合物(フルオレン化合物)とが結合している。修飾セルロースは、通常、粉体状の形態を有している。
[セルロース]
セルロースとしては、リグニン、ヘミセルロースなどの非セルロース成分の含有量が少ないパルプ、例えば、植物由来のセルロース原料{例えば、木材[例えば、針葉樹(マツ、モミ、トウヒ、ツガ、スギなど)、広葉樹(ブナ、カバ、ポプラ、カエデなど)など]、草本類[麻類(麻、亜麻、マニラ麻、ラミーなど)、ワラ、バガス、ミツマタなど]、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、竹、サトウキビなど}、動物由来のセルロース原料(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース原料(ナタデココに含まれるセルロースなど)などから製造されたパルプなどが例示できる。これらのセルロースは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのセルロースのうち、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、種子毛繊維のパルプ(例えば、コットンリンターパルプ)由来のセルロースなどが好ましい。なお、パルプは、パルプ材を機械的に処理した機械パルプであってもよいが、非セルロース成分の含有量が少ないことからパルプ材を化学的に処理した化学パルプが好ましい。また、セルロースは、前記例示のパルプ(例えば、化学パルプ)などを微細化(ミクロフィブリル化)したセルロース繊維、特に、セルロースナノファイバーが好ましい。
セルロース(又はセルロース繊維)と非セルロース成分との総量に対するセルロースの割合(含有量)は、例えば、70重量%以上(例えば、75〜100重量%)、好ましくは80重量%以上(例えば、85〜100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、95〜100重量%)程度であってもよい。
セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維径は、マイクロメーターサイズ(例えば、1〜20μm)であってもよいが、樹脂の補強性の観点から、ナノメーターサイズ、例えば、2〜1000nm(例えば、4〜700nm)、好ましくは5〜500nm(例えば、7〜250nm)、さらに好ましくは10〜100nm(例えば、20〜50nm)程度であってもよい。
セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維長は、例えば、0.01〜500μm(例えば、0.05〜400μm)程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜300μm(例えば、0.1〜200μm)、好ましくは0.2〜100μm(例えば、0.3〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜30μm(例えば、0.5〜10μm)程度であってもよい。
さらに、セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、例えば、5以上(例えば、5〜10000程度)、好ましくは10以上(例えば、10〜5000程度)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜3000程度)、特に50以上(例えば、50〜2000程度)であってもよく、100以上(例えば、100〜1000程度)、さらには200以上(例えば、200〜800程度)であってもよい。アスペクト比が小さすぎると、樹脂の補強効果が低下し、アスペクト比が大きすぎても、繊維が分解(又は損傷)しやすくなる虞がある。
セルロース(又はセルロース繊維)は、結晶性の高いセルロース(又はセルロース繊維)であってもよく、セルロースの結晶化度は、例えば、40〜100%(例えば、50〜100%)、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜90%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上であってもよい。本発明の製造方法では、セルロースの結晶性を維持できることから、結晶化度の高いセルロースを使用すれば、高結晶性の修飾セルロースを得ることができる。そのため、結晶性セルロースを好適に使用してもよい。なお、セルロースの結晶構造としては、例えば、I型、II型、III型、IV型などが例示でき、低線膨張特性及び弾性率などが高いI型結晶構造が好ましい。
(フルオレン骨格を有する化合物)
フルオレン化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有し、カルボキシル基又はその反応性誘導体及びエポキシ基から選択された少なくとも一種の反応性基を有している。前記カルボキシル基の反応性誘導体としては、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、酸ハライド基(酸クロライド基、酸ブロマイド基などのハロホルミル基)などが例示できる。エポキシ基は、オキシラン環を含む限り、グリシジル基であってもよい。
このようなフルオレン化合物は、例えば、9,9−ビスアリール−2,7−ジカルボキシフルオレン又はその反応性誘導体、9,9−ビスアリール−2,7−ジ(グリシジルエステル)フルオレンなどであってもよい。
代表的なフルオレン化合物は、下記式(1)で表される。
[式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2-1)又は(2-2)で表される基を示し、nは1〜3の整数、R及びRは置換基を示し、pは0又は1以上の整数、kは0〜4の整数を示す]
(Rは水素原子又はアルキル基、Rはアルキレン基、m1は0又は1以上の整数、m2は0又は1以上の整数を示す)
前記式(1)において、環Zで表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10−16アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよい。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合アレーン環としては、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
前記式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基が例示できる。好ましいアルキル基は、C1−4アルキル基、特にC1−2アルキル基である。m1は0又は1以上の整数(例えば、1〜6,好ましくは1〜4,さらに好ましくは1〜2程度)であってもよい。m1は、通常、0又は1〜2であってもよい。
アルキレン基Rには、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基(好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基)が例示でき、分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C3−6アルキレン基(好ましくは分岐鎖状C3−4アルキレン基、特にプロピレン基)などが挙げられる。
オキシアルキレン基(OR)の数m2は、0又は1以上の整数(例えば、0〜15、好ましくは0〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば、1〜8)、好ましくは0〜5(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)、特に0〜3(例えば、1〜3)程度であってもよく、通常、0〜2(例えば、0又は1)であってもよい。なお、m2が2以上である場合、アルキレン基Rの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、置換基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Xの置換数nは、環Zの種類に応じて、同一又は異なって1以上の整数であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に1であってもよい。なお、置換数nは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
なお、基Xは、環Zの適当な位置に置換でき、例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位及び/又は4−位)に置換している場合が多く、環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位である場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係(特にnが1である場合、2,6−位の関係)で基Xが置換している場合が多い。また、nが2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Zにおいて、基Xの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基Xの置換位置は、2−,3−,2’−,3’−,4’−位のいずれであってもよく、通常、2−,3’−,4’−位、好ましくは2−,4’−位(特に、2−位)に置換していてもよい。
前記式(1)において、置換基Rとしては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(トリル)基、ジメチルフェニル(キシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの置換基Rのうち、代表的には、ハロゲン原子、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい置換基Rとしては、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)、特に、アルキル基(特に、メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)が好ましい。なお、置換基Rがアリール基であるとき、置換基Rは、環Zとともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。置換基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
置換基Rの係数pは、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、0〜4の整数、好ましくは0〜3(例えば、0〜2)の整数、特に0又は1であってもよい。特に、pが1である場合、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、置換基Rがメチル基であってもよい。
置換基Rとして、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。
これらの置換基Rのうち、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基(特に、メチル基などのC1−3アルキル基)、カルボキシル基又はC1−2アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましい。置換数kは0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0である。なお、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、置換基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよく、フルオレン環の2つのベンゼン環に置換する置換基Rの種類は同一又は異なっていてもよい。また、置換基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び/又は7−位など)であってもよい。
式(2-1)で表される基Xを有する具体的なフルオレン化合物としては、n=1、p=k=0、m1=0である9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−カルボキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−カルボキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=k=0、m1=1〜3である9,9−ビス(カルボキシアルキル−アリール)フルオレン化合物、例えば、9,9−ビス(4−(カルボキシメチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−カルボキシエチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(カルボキシメチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(カルボキシメチル)ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(カルボキシメチル)ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−6アルキルC6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。これらのフルオレン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
式(2-2)で表される基Xを有する具体的なフルオレン化合物としては、n=1、p=k=0、m2=0である9,9−ビス(グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−グリジシルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリジシルオキシフェニ)フルオレン、9,9−ビス(5−グリジシルオキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−グリジシルオキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−グリジシルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(2−グリジシルオキシエトキシ)ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(2−グリジシルオキシエトキシ)ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=1、k=0、m2=0である9,9−ビス(アルキル−グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−グリジシルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=1、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=0、k=0、m2=0である9,9−ビス(アリール−グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−グリジシルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=0、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(アリール−グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=2、p=0、k=0、m2=0である9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(グリジシルオキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)C6−10アリール)フルオレン;n=2、p=0、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(2−グリジシルオキシエトキシ))フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。これらのフルオレン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、前記式(2-2)で表される基を有するフルオレン化合物は、単量体であってもよく、多量体(例えば、二量体、三量体など)であってもよい。グリシジル基を有するフルオレン化合物は、通常、少なくとも単量体を含む場合が多く、例えば、単量体、二量体及び三量体の混合物などであってもよい。
好ましいフルオレン化合物は、9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレンなどから選択された少なくとも一種の単量体を含む。
なお、前記式(2-2)で表される基を有するフルオレン化合物は、多量体を含め、下記式で表すことができる。
(式中、Aは下記の二価基
を示し、qは0又は1以上の整数を示し、環Z、R,m2,R,p、R及びkは前記に同じ)
前記フルオレン化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法で調製でき、例えば、前記式(2-1)で表される基Xを有するフルオレン化合物は、9−フルオレノン類と、式(2-1)で表される基Xと環Zとを有するアレーン化合物との反応により調製でき、前記式(2-2)で表される基Xを有するフルオレン化合物は、環Zに基[HO−(RO)−]が置換したフルオレン類とエピクロルヒドリンとの反応により調製できる。
(修飾セルロース)
修飾セルロース(又は変性セルロース、セルロース誘導体)の化学修飾(又は結合)の形態は、特に限定されず、エステル結合及び/又はエーテル結合であってもよく、通常、セルロース(又はセルロース繊維)のヒドロキシ基と、前記フルオレン化合物のカルボキシル基とのエステル結合、セルロース(又はセルロース繊維)のヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基とグリシジル基とのエーテル結合及び/又はエステル結合であってもよい。通常、なお、セルロースのカルボキシル基はパルプなどの製造過程で形成される場合がある。
また、修飾セルロースは、通常、粉末状の形態を有しており、取り扱い性に優れる。また、前記フルオレン化合物の修飾割合(結合量)が、比較的少なくても、修飾セルロースは粉末状の形態を有していてもよい。セルロースに対してフルオレン化合物は、修飾セルロースの総量に対して、0.01〜25重量%程度(例えば、0.1〜20重量%)、好ましくは0.5〜18重量%(例えば、1〜15重量%)、さらに好ましくは2〜17重量%(例えば、3〜10重量%)程度の割合(以下、修飾率という)でセルロースに結合していてもよい。修飾率が大きすぎると、低線膨張係数などの特性が低下する虞があり、逆に小さすぎると、粉体状の形態を形成できなくなり、取り扱い性及び樹脂に対する分散性(又は混和性)が低下する虞がある。
修飾セルロースと非セルロース成分との総量に対する修飾セルロースの割合(含有量)は前記セルロースと同様の割合(例えば、80重量%以上)であってもよい。修飾セルロースの含有量が小さすぎると、樹脂の補強性が低下する虞がある。
修飾セルロース(粉体状の修飾セルロースなど)の平均粒子径は、例えば、3nm〜100μm(例えば、3nm〜30μm)程度の範囲から選択でき、通常、5nm〜10μm(例えば、7nm〜7μm)、好ましくは10nm〜5μm(例えば、20nm〜3μm)、さらに好ましくは30nm〜2μm(例えば、50nm〜1μm)程度であってもよい。平均粒子径が大きすぎると、樹脂に対する分散性が低下し、逆に小さすぎると取り扱い性が低下する虞がある。なお、平均粒子径は、レーザー回折法などを利用して測定できる。
修飾セルロースの製造工程ではセルロースの分解を抑制できるため、修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)の平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比の値は、前記セルロースの各特性に対応しており、前記セルロースの平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比の数値をそのまま参照できる。例えば、修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)の平均繊維径は、マイクロメーターサイズ(例えば、1〜10μm)であってもよいが、ナノメーターサイズの修飾セルロース(セルロースナノファイバー)が好ましい。なお、修飾セルロースの平均繊維径は、前記セルロースと同様の範囲(例えば、5〜500nm)であってもよい。また、修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)は、前記セルロースと同様の範囲の平均繊維長(例えば、0.1〜200μm)及びアスペクト比(例えば、20〜3000)であってもよい。アスペクト比が所定の範囲内にあると、樹脂の補強効果を向上できる。
なお、前記セルロース及び修飾セルロースの平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出してもよい。
また、修飾セルロースは、前記フルオレン化合物の修飾により疎水性が向上するためか、水分含有量が少ない。すなわち、水分含有量は、温度25℃、湿度60%の条件下、1昼夜放置したとき、0〜7重量%(例えば、0〜5重量%)、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.3〜3重量%程度であってもよい。なお、水分含有量は、近赤外線分析計などを用いて測定できる。
さらに、修飾セルロースの嵩密度(見掛密度)は、温度25℃、湿度60%の条件下において、JIS 7365−1999に準拠して測定したとき、例えば、0.01〜0.7g/ml、好ましくは0.05〜0.5g/ml、さらに好ましくは0.1〜0.3g/ml程度であってもよい。なお、嵩密度Pは、所定重量Wの修飾セルロースをメスシリンダーに入れて体積Vを測定し、式P=W/Vで算出できる。
修飾セルロースは、粉体状の形態を有するため、(粉体)流動性が高い。すなわち、修飾セルロースの安息角は、温度25℃、湿度60%の条件下において、JIS R9301−2−2に準拠して測定したとき、例えば、20〜45°、好ましくは25〜40°、さらに好ましくは30〜35°程度であってもよい。流動性が大きすぎると、取り扱い性が低下し、逆に小さすぎると、樹脂に対する分散性が低下する虞がある。
また、修飾セルロースは、粘稠な液体を形成することなく、セルロース繊維の形態を維持し、前記フルオレン骨格を有する化合物が結合している。そのため、比較的分子量(又は重合度)が大きく、樹脂の補強効果が高い。修飾セルロースでのセルロースの粘度平均重合度は、例えば、100〜10000、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜2000程度であってもよい。
粘度平均重合度は、TAPPI T230に記載の粘度法により測定できる。すなわち、修飾セルロース0.04gを精秤し、水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液10mLとを加え、5分間程攪拌して修飾セルロースを溶解する。得られた溶液をウベローデ型粘度管に入れ、25℃下で流下速度を測定する。水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液10mLとの混合液をブランクとして測定する。これらの測定値に基づいて算出した固有粘度[η]を用い、木質科学実験マニュアルに記載の下記式に従って粘度平均重合度を算出できる。
粘度平均重合度=175×[η]
また、修飾セルロースの特性(例えば、低線膨張特性、強度、耐熱性など)を樹脂に有効に発現させるためには、結晶性の高い修飾セルロースが好ましい。前記のように、本発明の修飾セルロースはセルロースの結晶性を維持できるため、修飾セルロースの結晶化度は前記セルロースの数値をそのまま参照できる。例えば、修飾セルロースの結晶化度は、40〜95%(例えば、50〜90%)、好ましくは60〜95%(例えば、65〜90%)、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜85%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上(例えば、75〜90%程度)であってもよい。結晶化度が小さすぎると、低線膨張特性や強度などの特性を低下させる虞がある。なお、結晶化度は、実施例に記載の方法で測定できる。
(製造方法)
本発明の製造方法では、所定の触媒の存在下、前記セルロースと前記フルオレン化合物とを反応させてもよい。セルロース又はセルロース繊維の割合は、フルオレン化合物100重量部に対して、0.1〜500重量部(例えば、10〜300重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、20〜200重量部(例えば、50〜150重量部)程度であってもよい。
本発明では、カルボキシル基又はその反応性誘導体基を有するフルオレン化合物(例えば、前記式(2-1)で表される基を有するフルオレン化合物)は、エステル化触媒の存在下、セルロースと反応させて前記修飾セルロースを生成させるか、又はエポキシ基又はグリシジル基を有するフルオレン化合物(例えば、式(2-2)で表される基を有するフルオレン化合物)は、塩基触媒の存在下、セルロースと反応させ、前記修飾セルロースを生成させる。
前記エステル化触媒としては、酸触媒(ブレンステッド酸、例えば、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸)、固体酸[例えば、ヘテロポリ酸(タングステン系ヘテロポリ酸、モリブテン系ヘテロポリ酸など)、陽イオン交換樹脂(スルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、スルホン酸基を有する含フッ素陽イオン交換樹脂、カルボン酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂など)]、金属アルコキシド(アルミニウムエトキシド、チタニウムアルコキシドなど)、有機スズ化合物、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛など)などが例示できる。これらのエステル化触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記塩基触媒は、無機塩基及び有機塩基のいずれであってもよく、無機塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩などが例示できる。有機塩基としては、例えば、三級アミン類、例えば、トリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、アルカノールアミン(トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなど)、複素環式アミン(モルホリンなど)、ヘキサメチレンテトラミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などが例示できる。これらの塩基触媒も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
触媒の使用量は、セルロース100重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部程度の範囲から適当に選択でき、通常、0.01〜20重量部(例えば、0.1〜18重量部)、好ましくは0.5〜18重量部(例えば、1〜17重量部)、さらに好ましくは3〜15重量部(例えば、5〜15重量部)程度であってもよい。
反応は有機溶媒の非存在下で行ってもよいが、通常、有機溶媒の存在下で行われる。この有機溶媒はセルロースに含浸していてもよいが、セルロース繊維を有機溶媒に分散させた分散系で反応させる場合が多い。セルロース繊維を有機溶媒に分散させた分散系で、セルロース繊維(特に、ナノファイバー)と前記フルオレン化合物とを反応させると、均一に反応させることができる。このような方法で得られた修飾セルロースは、取り扱い性及び樹脂に対する分散性が高く、樹脂の補強効果に優れている。
なお、セルロース繊維(特に、ミクロフィブリル化した繊維、平均繊維径がナノメータサイズのナノ繊維)を乾燥すると、繊維が絡み合って再分散できなくなる場合がある。そのため、通常、セルロース繊維は水含浸又は水分散液として市販されている場合が多い。このような水分散液では、水分散液の水を有機溶媒に置換する慣用の溶媒置換法、例えば、セルロース繊維の水分散液に水溶性溶媒を添加混合し、セルロース繊維を分離し(又は溶媒を除去し)た後、さらに有機溶媒を添加混合する操作を繰り返す方法などにより、セルロース繊維が有機溶媒に分散した分散液を調製できる。なお、沸点が水よりも高い水溶性有機溶剤を用いる場合、水を蒸留(共沸蒸留を含む)により除去することにより溶媒置換できる。
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−4アルカンジオール)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、カルビトール類(エチルカルビトールなど)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
なお、水溶性有機溶媒を用いて溶媒置換したセルロース含有分散液において、水溶性有機溶媒は、上記と同様にして、非水溶性有機溶媒に溶媒置換することもできる。非水溶性有機溶媒としては、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、セロソルブアセテート類、カルビトールアセテート類、炭化水素類(ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど)などが例示できる。これらの非水溶性有機溶媒も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性溶媒、特に非プロトン性極性溶媒(例えば、エーテル類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類など)が好ましい。
有機溶媒(例えば、非プロトン性極性溶媒)の溶解度パラメーター(SP値、(cal/cm))は8〜15(例えば、8.5〜15)程度であってもよく、通常、9〜14.5(例えば、10〜14.5)程度であってもよい。
分散液中のセルロース繊維の固形分濃度は、例えば、0.01〜30重量%(例えば、0.1〜20重量%)、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜12重量%(例えば、5〜10重量%)程度であってもよい。固形分濃度が低すぎると、反応効率が低下する虞がある。
反応は、減圧下で行ってもよいが、通常、加圧下又は常圧で行う場合が多い。反応温度は、溶媒の沸点などにより適宜選択でき、例えば、50〜200℃(例えば、70〜170℃)、好ましくは80〜150℃(例えば、100〜130℃)程度であってもよい。なお、反応は溶媒の還流下で行ってもよい。また、反応時間は、特に限定されず、例えば、10分〜48時間(例えば、30分〜24時間)程度である。さらに、反応は、空気中又は不活性ガス(窒素、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下、攪拌しながら行うことができる。
なお、反応は、反応系を撹拌しながら行ってもよく、セルロースに機械的剪断力を作用させながら行い、セルロースを微細化した修飾セルロースを得てもよい。さらに、反応終了後に解繊して修飾セルロースを微細化してもよい。なお、微細化工程では、修飾セルロースをナノファイバーに微細化してもよい。
反応により生成した修飾セルロースは、慣用の方法(例えば、遠心分離、濾過、濃縮、抽出など)により分離精製してもよい。例えば、少なくとも前記フルオレン化合物を溶解可能な溶媒を反応混合物に添加し、上記遠心分離、濾過、抽出などの分離法(慣用の方法)で未反応フルオレン化合物を除去し、分離精製してもよい。なお、上記分離操作は複数回(例えば、2〜5回程度)行うことができる。さらに、分離精製した修飾セルロースを加熱下又は減圧下或いは常圧下で乾燥することにより、粉末状の形態を有する修飾セルロースを得ることができる。
なお、未反応フルオレン化合物を上記分離方法などにより繰り返し除去して精製した修飾セルロースを、ラマン分析などの方法により分析すると、セルロースに由来するピークとフルオレン化合物に由来するピークとが存在し、セルロースにフルオレン化合物が結合していることが確認できる。
このようにして得られた修飾セルロースは、未修飾のセルロースに比べて、有機溶媒に対する分散安定性が高い。そのため、修飾セルロースが有機溶媒に分散した分散液は、コーティング剤、塗料などへ容易に添加でき、塗膜の特性を向上できる。
[樹脂組成物]
本発明の修飾セルロース(又は修飾セルロース繊維)は、樹脂との親和性又は混和性に優れているため樹脂の複合材料(例えば、補強材)として利用できる。
樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、非晶質ポリオレフィンなど)、ビニル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニルなど)、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル樹脂[ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなど)など]、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなど)、ポリフェニレンエーテル樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリスルホン樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリフェニレンスルフィド樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂(ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミドなど)、ポリエーテルケトン樹脂(ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど)、熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂など)、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロースエーテルなどの水溶性樹脂、アクリル系樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョンなどの水分散性樹脂などであってもよい。
環境負荷低減などの観点からは、バイオマス由来の脂肪族ポリエステル系樹脂、例えば、ポリ乳酸などを使用してもよい。なお、ポリ乳酸は、耐熱性が低いなどの制約があるが、本発明の修飾セルロースは、ポリ乳酸との混和性もよく、耐熱性などの欠点を補うことができる。
修飾セルロースの割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜50重量(例えば、0.5〜40重量部)、好ましくは1〜30重量部(例えば、3〜20重量部)、さらに好ましくは5〜15重量部(例えば、7〜12重量部)程度であってもよい。修飾セルロースの割合が小さすぎると、樹脂に対する補強性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、混和性や成形性が低下する虞がある。
樹脂組成物は、慣用の方法、例えば、溶融混練法などで調製できる。本発明の修飾セルロースは、分散液の形態で使用しなくても(乾燥状態であっても)樹脂と混和できるため、機械的に溶融混練(又は混合)する方法を好適に使用できる。なお、溶融混練において、修飾セルロースは溶融することなく繊維状の形態で溶融した樹脂と混合される。
溶融混練は、慣用の方法、例えば、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー、押出機(一軸又は二軸押出機など)などにより行うことができる。溶融混練の温度は、樹脂の溶融特性に応じて適宜選択でき、通常、分解開始温度よりも低く、溶融開始温度よりも高い温度が選択される。例えば、100〜300℃、好ましくは130〜260℃(例えば、150〜250℃)、さらに好ましくは170〜230℃程度であってもよい。
なお、樹脂組成物は、樹脂と修飾セルロースとを所定の割合で直接的に溶融混練してもよく、修飾セルロースを含むマスターバッチと樹脂とを溶融混練して修飾セルロースの含有量を調整してもよい。
マスターバッチは、樹脂と修飾セルロースとを高い修飾セルロース濃度で溶融混練して調製してもよく、溶媒を用いて調製してもよい。溶媒は、樹脂の種類に応じて選択でき、樹脂を可溶な溶媒であってもよい。このような溶媒は、前記例示の水溶性有機溶媒、非水溶性有機溶媒であってもよく、水溶性樹脂又は水分散性樹脂を用いる場合には、溶媒は水であってもよい。有機溶媒を用いてマスターバッチを調製する場合、樹脂と、この樹脂を可溶な溶媒と、修飾セルロースとを含む混合液を調製し、必要により分散混合機(超音波分散機、ディスパーなど)により分散混合し、溶媒を除去してもよい。なお、樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液と、修飾セルロースとを混合してもよい。より具体的には、溶媒中(特に有機溶媒中)に分散した修飾セルロースの分散液と、樹脂と、樹脂を可溶な溶媒との均一な混合物から溶媒を除去することによりマスターバッチを調製してもよい。なお、マスターバッチは、ペレット状、粉粒状などであってもよい。
マスターバッチにおいて、修飾セルロースの割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、1〜70重量部(例えば、5〜65重量部)、好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部(例えば、30〜45重量部)程度であってもよい。
また、前記樹脂組成物は、慣用の成形法(例えば、圧縮成形、射出成形、押出成形など)により成形できる。特に、射出成形、押出成形法を利用すると、成形品の生産性を向上できる。
なお、前記樹脂組成物は、種々の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、耐衝撃改良剤、流動性改良剤、補強材(充填剤など)、核剤、着色剤、滑剤、可塑剤、離型剤、色相改良剤、分散剤、抗菌剤、防腐剤などを含有していてもよい。また、樹脂が熱硬化性樹脂である場合、樹脂組成物は、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物(複合材料)は、修飾セルロースで補強でき、高強度、高弾性率、高耐熱性、低線膨張特性などの特性を有する。さらに、ナノメーターサイズの修飾セルロース(例えば、セルロースナノファイバー)を用いると、可視光の波長領域の光散乱性が低く、前記樹脂組成物は、透明性にも優れている。例えば、ナノメーターサイズの修飾セルロースを10重量%の割合で含み、厚み30μmのフィルムとしたとき、全光線透過率は、例えば、30%以上(例えば、40〜99%)、好ましくは50%以上(例えば、60〜98%)、さらに好ましくは60%以上(例えば、70〜95%)程度であってもよく、60〜90%(例えば、70〜85%)程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例で調製した修飾セルロースナノファイバーの修飾率、形状、及び結晶化度は、以下のようにして測定又は評価した。
(セルロースに結合したフルオレン化合物の割合(修飾率))
フルオレン化合物の修飾率の定量はFT−Raman分析により行った。酢酸セルロース((株)ダイセル製)と既定量のフルオレン化合物とをテトラヒドロフラン(THF)に溶解して成膜し、ラマン顕微鏡(堀場JOBIN YVON社製、「XploRA」)を使用してラマン分析を行った。芳香族環(1604cm−1)とセルロースの環内CH(1375cm−1)との吸収バンドの強度比(I1604/1375)と、フルオレン化合物の濃度に基づき、検量線を作成した。すべてのサンプルは3回測定し、その結果を平均した。なお、フルオレン化合物として、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)を用いた。
(セルロース繊維の形状観察)
修飾セルロースの形状はFE−SEM(日本電子(株)製、「JSM−6700F」、測定条件:20mA、60秒)を用いて観察した。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出した。
(結晶化度)
実施例で得られた修飾セルロースナノファイバーの結晶化度は、参考文献:Textile Res. J. 29:786-794(1959)に基づき、XRD分析法(Segal法)により評価し、下式により算出した。
結晶化度(%)=[(I200-IAM)/I200]×100%
200はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、IAMはアモルファス部(002面と110面間の最低部、回折角2θ=18.5°)の回折強度である。
また、修飾セルロースナノファイバーの収率、溶媒分散性、樹脂中の分散性、加重たわみ温度、引っ張り特性は、以下のようにして測定又は評価した。
(収率)
洗浄後の修飾セルロースナノファイバーをジオキサンで置換した後、105℃の条件下、5時間で乾燥して秤量(W2)し、下式によりセルロース繊維の収率を算出した。
セルロース繊維の収率(重量%)=W2/W1×100
なお、W1は、溶媒分散系セルロースの固形分の重量、W2は実施例で得られた修飾セルロースナノファイバーの重量を示す。
(溶媒分散性)
既定量のセルロース繊維をジオキサンに分散して0.2重量%のセルロース繊維分散液を調製した後、室温で放置し、沈降時間に基づいて分散性を評価した。なお、沈降時間が5時間以上の場合、分散性が良い(○)、沈降時間が2時間以下の場合は、分散性が悪い(×)と評価した。
(樹脂中のセルロース繊維の分散性)
実施例及び比較例で得られた複合体を熱プレスした後、急冷し、30μmのシートを調製し、偏光顕微鏡によりセルロース繊維の分散性を評価した。なお、評価は、大きな凝集塊があるものを分散性が悪い(×)とし、大きな凝集塊が見られないものを分散性が良い(○)とした。
(荷重たわみ温度)
実施例及び比較例で得られた複合体を厚み1mmのシート状に熱プレス成形した後、110℃で30分間アニール処理したシートを5mm×30mmの短冊状にカットして測定用サンプルに用いた。なお、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、「Q−800」)を用い、荷重たわみ温度を測定した。
(引張特性)
引張特性の測定用のサンプルは、荷重たわみ温度測定で用いた測定用サンプルと同様に熱プレス及びアニール処理して厚み0.6mmのシートを調製し、ダンベルカッターによりIEC540規格のサイズにカットして使用した。また、引張特性[引っ張り強度及び弾性率]は、引張試験機(ミネベア(株)製、「LTS−1kNB」)を用い、チャック間距離30mm、引張速度5mm/分の条件で測定した。
[実施例1]
(1)溶媒置換による微細セルロース含有溶媒分散系の調製
微細セルロース繊維の水分散液(ダイセルファインケム(株)製、「セリッシュ KY110N」、セルロース:水(重量比)=15/85)100g(固形分15g)をN,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)500gに分散して遠心分離した後、沈降した固形分をさらにDMAc500gに分散して再び遠心分離することにより、溶媒置換し、微細セルロースとN,N-ジメチルアセトアミドとの混合物(セルロース含量約10重量%)を得た。
(2)セルロースとフルオレン化合物との反応
1000mlの三口フラスコに、微細セルロース含有溶媒分散系150g(固形分15g)、N,N−ジメチルアセトアミド350g、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)15g、ジアザビシクロウンデセン(DBU)10gを加え、120℃で3時間攪拌した。得られた混合液を遠心分離機(日立工機(株)製、「CR22GIII」、回転速度:8000rpm(4530g))で25分間処理した後、固形分を回収し、この固形分をさらにN,N-ジメチルアセトアミド1200mlに分散した後、再度遠心分離を行った。このような操作を3回繰り返すことにより、ジメチルスルホキシド、過剰のBPFG及び他の溶解成分を除去し、修飾セルロースとN,N-ジメチルアセトアミドとの混合物を得た。得られた混合物を乾燥することにより、粉体状の形態を有する修飾セルロース微細繊維を得た。
得られた修飾セルロース微細繊維のラマンスペクトルを図1に、粉末X線回折吸収スペクトルを図2に、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。得られた修飾セルロース微細繊維の収率は103%、BPFG修飾率は8.9重量%、結晶化度は73%であり、繊維径は10〜500nm、平均繊維径は30nmであった。ジオキサン、アセトン及びテトラヒドロフランへの分散性を評価したところ、沈降時間はいずれも24時間以上であった。
[実施例2]
BPFGに代えて、9,9−ビス(4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEFG)を用いる以外、実施例1と同様にフルオレン修飾セルロース微細繊維を調製した。
得られた修飾セルロース微細繊維のラマンスペクトルを図4に、粉末X線回折吸収スペクトルを図5に、SEM写真を図6に示す。修飾セルロース微細繊維の収率は109重量%、修飾率は16重量%、結晶化度は71%であり、繊維径は10〜500nm、平均繊維径は30nmであった。
[実施例3]
実施例1で調製した微細セルロース含有溶媒分散系に代えて、微結晶セルロース(セオラスST−100、旭化成(株)製)を用いる以外、実施例3と同様にしてフルオレン修飾セルロース微細繊維を調製した。
得られた修飾セルロース微細繊維のラマンスペクトルを図7に、粉末X線回折吸収スペクトルを図8に、SEM写真を図9に示す。修飾セルロース微細繊維の収率は102重量%、修飾率は8.7重量%、結晶化度は70%、繊維径10〜500nm、平均繊維径は20nmであった。ジオキサン、アセトン及びテトラヒドロフランへの分散性を調べたところ、沈降時間は24時間以上であった。
[比較例1]
実施例1で溶媒置換に用いた微細セルロースの水分散液を、溶媒置換することなく、そのままジオキサンに分散して沈降時間を評価したところ、25分であった。
結果を表1に示す。
表から明らかなように、実施例では、結晶性及び修飾率が高く、粉末状の形態を有する修飾セルロースナノファイバーを得ることができる。
[実施例4]
(1)修飾セルロース繊維とポリ乳酸とのマスターバッチの調製
セルロース繊維/ポリ乳酸(以下、PLA)[(重量比)=30/70のマスターバッチ]を下記手順により調製した。
(a)PLA7gをジオキサン93gに溶解して7重量%のPLA溶液を調製した。
(b)実施例1で調製した修飾セルロース微細繊維(以下、修飾繊維1という)のジオキサン分散液250g(修飾セルロース固形分3g)を調製した。
(c)上記(a)で調製した樹脂溶液と(b)の分散液とをホモジナイザーで混合した。
(d)上記(c)で調製し混合液をメタノールに加え、析出した固体を遠心分離により回収した。
(e)上記(d)で調製した固形物を更に95℃の送風乾燥機で5時間乾燥した。
(2)樹脂組成物の調製
ラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて修飾繊維を30重量%含有するPLAのマスターバッチをPLAと混練することにより、修飾繊維1を10重量%含有するPLA/修飾繊維複合体(以下、複合体1という)を調製した。得られた複合体1を成形して得られたシートの偏光顕微鏡写真を図10に示し、黒色部を背景として撮影した前記シートの外観写真(透明性)を図11に示す。さらに、引張強度、弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
[実施例5]
実施例3で調製した修飾セルロース微細繊維(以下、修飾繊維2という)を用い、実施例4と同様にして、修飾繊維2を10重量%含有するPLA/修飾繊維2複合体(以下、複合体2という)を調製した。得られた複合体2の偏光顕微鏡写真(図12)でセルロース微細繊維の分散性を評価し、引張試験および荷重たわみ温度を測定した。
[比較例2]
未修飾の微結晶セルロースを用い、実施例4と同様にして、微結晶セルロースを10重量%含有するPLA/微結晶セルロース複合体(以下、複合体4という)を調製した。得られた複合体4の偏光顕微鏡写真(図13)でセルロース微細繊維の分散性を評価するとともに、引張試験および荷重たわみ温度を測定した。
得られた結果を表2に示す。
図及び表から明らかなように、比較例に比べて、実施例では、修飾セルロースナノファイバーが樹脂に均一に分散され、樹脂に対する分散性が高い。そのため、図11に示されるように、実施例の複合体(樹脂組成物)は透明性に優れている。さらに、実施例では、比較例に比べ、引っ張り強度、弾性率及び荷重たわみ温度(耐熱変形性)を向上できる。
[比較例3]
特許文献1の実施例1に従って、米松とBPEFとを加熱混合した。すなわち、100メッシュに破砕した5gおよびBPEF50gを100mlのオートクレーブに入れ、220℃の油浴中で60分加熱した。そして、加熱後の混合物に、1,4−ジオキサンと水との混合溶媒(前者/後者(重量比)=90/10)100mlを加え、均一に分散するまで攪拌し、濾過、洗浄により残留BPEFを除去した。
洗浄後の濾物を蒸留水に再分散し、ペイントシェーカーで30分間処理し、繊維分散液を得た。なお、繊維分散液を遠心分離した後、乾燥(60℃の真空乾燥機で3時間乾燥)した繊維の収量は1.9g(収率38%)であった。
特許文献1の実施例1と同様にして、得られた繊維分散液を用いてガラス基板上にキャストし、室温で乾燥させたところ、透明かつ均一な膜が得られた。膜のSEM写真からナノオーダーに解繊されたセルロース繊維(平均径100nm、平均繊維長1.5μm)が得られたことがわかった。
[比較例4]
特許文献2の実施例1に従って、硫酸の存在下、微結晶セルロースとBPEFとを加熱混合した。すなわち、三口フラスコ(容量100mL)に、BPEF20g、微結晶セルロースA10g、及び濃度6Nの硫酸0.7gを加え、200℃のオイルバスを用いて加熱下で1時間撹拌し、液状の反応混合物(液化組成物)を得た。得られた液状反応混合物を、1,4−ジオキサンと水(9/1、v/v)の混合溶媒に分散させてから濾紙を用いて減圧下でろ過した。得られた残渣を105℃で3時間乾燥してから、微結晶セルロースの残渣率をセルロースの仕込量に基づいて計算した結果、残渣率は25重量%であり、75重量%もの微結晶セルロースが液化していた。また、液状反応混合物の粘度は約500mPa・sであった。
特許文献2の実施例1と同様にして、液化組成物の組成に、1,4−ジオキサンを加え、ろ過、洗浄して得られた濾液を一定な濃度(0.5重量%)に調整し、GC−MASSにより分析したところ、セルロースの分解生成物である5−ホルミルオキシメチル−2−テトラヒドロフランカルボン酸、5−ホルミルオキシメチル−2−フランカルボン酸の生成が確認でき、セルロースがグルコースの分解物にまで分解されていた。
本発明の修飾セルロースは、取り扱い性及び樹脂に対する分散性に優れるため、幅広い用途、樹脂の補強材、添加剤、フィルムやシートの材料などとして利用できる。また、樹脂組成物(複合材料)は、低線膨張特性、高強度、高弾性率などの優れた特性に加え、高い熱変形性を備えるため、例えば、種々の樹脂成形品、液晶ディスプレイ基板や太陽電池基板、自動車用パネルなどの種々の材料として有用である。
さらに、修飾セルロースは、光学用樹脂(又はアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアシレート系樹脂などの透明性樹脂)に添加して配向させても透明性が高く、光学フィルム又は光学シート、例えば、偏光フィルム(及び偏光板保護フィルム)、位相差フィルム(例えば、逆波長分散特性を有する位相差フィルム)、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)などとして利用することもできる。

Claims (15)

  1. セルロースとフルオレン化合物とが結合した修飾セルロースであって、前記フルオレン化合物が下記式(1)で表される修飾セルロース。
    [式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2-2)
    (R はアルキレン基、m2は0又は1以上の整数を示す)で表される基を示し、nは1〜3の整数、R 及びR は置換基を示し、pは0又は1以上の整数、kは0〜4の整数を示す]
  2. 粉体状の形態を有する請求項1記載の修飾セルロース。
  3. セルロースに対して、フルオレン化合物がエーテル結合及び/又はエステル結合しており、フルオレン化合物が、修飾セルロースの総量に対して、0.01〜25重量%の割合でセルロースに結合している請求項1又は2に記載の修飾セルロース。
  4. 平均繊維径が5〜500nmのナノファイバーである請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロース。
  5. 結晶化度が60%以上である請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロース。
  6. 式(1)において、環Zが単環式アレーン環、多環式アレーン環又は環集合アレーン環であり、R がC2−6アルキレン基、RがC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、Rがシアノ基、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、カルボキシル基又はC1−4アルコキシ−カルボニル基、m2が0又は1〜5の整数、nが1又は2、pが0〜2の整数、kが0〜2の整数である請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロース。
  7. 式(1)において、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環であり、R がC2−4アルキレン基、RがC1−3アルキル基、RがC1−3アルキル基、カルボキシル基又はC1−2アルコキシ−カルボニル基、m2が0又は1、nが1又は2、pが0〜2の整数、kが0又は1である請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロース。
  8. 式(1)で表されるフルオレン化合物が、9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)C6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンから選択された少なくとも一種の単量体を含む請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロース。
  9. 樹脂の補強材である請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロース。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロースを含む樹脂組成物。
  11. 基触媒の存在下、セルロースと、請求項1に記載の式(1)で表されるフルオレン化合物とを反応させ、請求項1〜のいずれかに記載の修飾セルロースを製造する方法。
  12. セルロース繊維が有機溶媒に分散した形態で、セルロース繊維と請求項1に記載の式(1)で表されるフルオレン化合物とを反応させる請求項1記載の製造方法。
  13. 有機溶媒が、非プロトン性極性溶媒である請求項12記載の製造方法。
  14. セルロースが、木材パルプ及びコットンリンターパルプから選択された少なくとも1種のパルプに由来するナノセルロースファイバーを含む請求項1〜1のいずれかに記載の製造方法。
  15. セルロースが、I型結晶構造を有する結晶セルロースを含む請求項1〜1のいずれかに記載の製造方法。
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