JP2019085584A - 混練組成物及びその製造方法並びに複合体 - Google Patents

混練組成物及びその製造方法並びに複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い含有量であっても、簡便かつ容易に、セルロースナノ繊維を樹脂に分散可能な混練組成物及びその製造方法並びに複合材料を提供する。【解決手段】混練組成物は、熱可塑性樹脂溶液と、セルロース原料とを少なくとも含む組成物を溶媒を除去しつつ混練(又は溶融混練)し、セルロース原料を微細化(又はナノ化)するとともに、微細化したセルロースナノ繊維を高含有量で樹脂に分散することで得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノ繊維の含有量が高く、熱可塑性樹脂に分散(又は均一に分散)した混練組成物及びその製造方法並びに前記混練組成物と樹脂とを含む複合体(又は複合材料)に関する。
植物由来の繊維であるセルロースは、環境負荷が小さく、かつ持続型資源であるとともに、高弾性率、高強度、低線膨張係数などの優れた特性を有する。特に、微細化したセルロースナノ繊維(セルロースナノファイバー)は、樹脂の補強剤として有用であり、樹脂にセルロースナノ繊維が分散した樹脂組成物(複合材料)が知られている。
特開2014−234472号公報(特許文献1)には、セルロースナノファイバーが均一に分散した微多孔延伸フィルムが記載されている。このフィルムの製造方法として、粉末粒径のセルロースの水酸基を二塩基酸無水物(無水コハク酸)で半エステル化したセルロースを可塑剤(パラフィン)に分散させ、得られたセルロース粉末分散混合物をポリオレフィン(ポリエチレン)と溶融混練し、生成したポリオレフィン樹脂組成物を延伸して微多孔延伸フィルムを形成し、このフィルムから可塑剤を抽出する方法が記載されている。この文献の実施例では、ポリエチレンとパラフィン(可塑剤)との割合(重量比)が前者:後者=30:70であり、組成物中のセルロースナノファイバーの割合は0.5重量%であることが記載されている。しかし、樹脂がポリオレフィンに限定されるとともに、セルロースも変性セルロースに限定される。また、半エステル化したセルロースを可塑剤に均一分散させるため、セルロースナノファイバーを高い含有量で含む樹脂組成物(混練組成物)を調製するのが困難である。また、フィルム形成後、抽出による可塑剤の除去も必要であり、成形体の形状が限定されるだけでなく、成形品の生産性が低い。
また、セルロースナノ繊維が高含有量で樹脂に分散した樹脂組成物(マスターバッチ)も知られており、このマスターバッチを樹脂と混合(又は混練)した複合材料も開示されている。
特開2013−14741号公報(特許文献2)には、天然セルロース繊維に、N−オキシル化合物(酸化剤)を作用させ、C6位のメチロール基の一部をカルボキシル基に酸化したセルロースナノファイバー及び/又はこのセルロースナノファイバーの誘導体と、樹脂粒子とを含む樹脂改質用添加剤(マスターバッチ)が記載されている。この文献の実施例では、イオン交換水の存在下、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル)、次亜塩素酸ナトリウム及び臭化ナトリウムにより、パルプ繊維の酸化処理を行い、得られた酸化パルプ繊維をイオン交換水中、ミキサーにより微細化処理し、セルロースナノファイバーの分散液を得ている。さらに、このセルロースナノファイバー分散液を、別途調製したポリエチレンなどの樹脂粒子濃度25重量%の水エマルジョンと混合攪拌し、憤霧乾燥により、セルロースナノファイバーの含有量が50質量%の樹脂改質用添加剤(マスターバッチ)を得ている。また、この文献には、前記酸化処理により、ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱め、微細な繊維径を容易に達成できることや、水中においては電気的な反発力が生じることにより、ナノファイバーの分散安定性が増大することが記載されている。しかし、前記酸化処理工程において、重合度が低下し(又はセルロースの分子鎖が切断され)、セルロースの機械的強度が低下する虞がある。しかも、アルデヒド基の一部が酸化されずに残存する場合もあり、このアルデヒド基に起因して、加熱により着色する虞もある。また、セルロース及び樹脂を水分散液の形態で混合するため、適用可能な樹脂が限定される。さらに、前記酸化処理工程、分散液調製工程に加え、分散液の多量の水を噴霧乾燥により除去する工程も要し、簡便に樹脂組成物を調製できない。
また、「成形加工’14」、一般社団法人 プラスチック成形加工学会発行、第377〜378頁(非特許文献1)には、アルゴン雰囲気下、セルロース、フルオレン化合物[ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPFG)]、非プロトン性極性溶媒、及び触媒を反応させ、未反応フルオレンと触媒とを除き、修飾セルロースを得たこと、この修飾セルロースの2%ジオキサン分散液をポリ乳酸のジオキサン溶液と混合し、ホモジナイザーで微細化し、メタノールで析出して、30重量%のセルロースナノファイバーとポリ乳酸との複合体(マスターバッチ)を得たこと、さらに、得られたマスターバッチとポリ乳酸とを溶融混練し、10重量%のセルロースナノファイバーを含有するポリ乳酸コンポジットを調製したことが記載されている。この文献には、前記ポリ乳酸コンポジットで形成されたシート(フィルム)の外観が記載されているが、セルロースの含有量が10重量%にもかかわらず、シート(フィルム)は、外観上、若干白濁している。そのため、繊維径がマイクロサイズのセルロース繊維が混在している可能性がある。また、触媒の存在下、フルオレン化合物が結合(又は修飾)した修飾セルロースを予め調製する必要がある。さらに、多量の有機溶媒を要するため、生産性が低下する。
なお、特開2014−162880号公報(特許文献3)には、セルロースと、樹脂と、樹脂親和性セグメントA及びセルロース親和性セグメントBを有する分散剤とを混合し、樹脂複合組成物を得る工程を含む樹脂複合組成物の製造方法が記載されている。また、この文献の実施例の実験項には、パルプ、ポリエチレン(PE)、分散剤及び水(繊維率9%)の低温混練により、パルプをナノ繊維化し、さらに、得られた繊維率10%の組成物を樹脂と溶融混練し、樹脂組成物を得たことが記載されている。しかし、パルプが多く残存し、ナノ解繊が不十分であったと記載されている。
特開2014−234472号公報(特許請求の範囲、実施例、[0007]) 特開2013−14741号公報(特許請求の範囲、実施例、[0014][0017][0024]) 特開2014−162880号公報(特許請求の範囲、実施例)
「成形加工’14」、一般社団法人 プラスチック成形加工学会発行、第377〜378頁
従って、本発明の目的は、高い含有量であっても、セルロース繊維がナノメータサイズで樹脂に分散(均一分散)した混練組成物、及びこのような混練組成物を簡便かつ容易に調製できる製造方法並びに前記混練組成物と樹脂とを含む複合体(又は複合材料)を提供することにある。
本発明の他の目的は、樹脂の適用幅が広く、セルロースナノ繊維が樹脂に分散(均一分散)した混練組成物及びその製造方法並びに前記混練組成物と樹脂とを含む複合体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、セルロース(又はセルロースナノ繊維)を酸化処理しなくても、セルロースナノ繊維が樹脂に分散した混練組成物及びその製造方法並びに前記混練組成物と樹脂とを含む複合体を提供することにある。
本発明の別の目的は、修飾剤を結合したセルロースナノ繊維を予め調製しなくても、セルロースナノ繊維が樹脂に分散した混練組成物及びその製造方法並びに前記混練組成物と樹脂とを含む複合体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、樹脂溶液の存在下、加熱して溶媒を除去しながらセルロース(セルロース原料)を混練すると、意外なことに、セルロースをミクロフィブリル化でき、かつ高含有量のセルロースナノ繊維を樹脂に均一に分散できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の混練組成物は、溶媒に可溶な熱可塑性樹脂にセルロースナノ繊維が分散した混練組成物において、前記セルロースナノ繊維の割合が、前記樹脂とセルロースナノ繊維との総量に対して、20重量%以上(例えば、40重量%以上)である。本発明では、セルロースナノ繊維を高い含有量で含有していても、セルロースナノ繊維の凝集を抑制でき、通常、セルロースナノ繊維は熱可塑性樹脂マトリックス中に均一に分散されている。
前記溶媒は、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から選択された少なくとも1種であってもよい。また、前記熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂、変性オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも1種であってもよい。さらに、前記熱可塑性樹脂は、縮合系熱可塑性樹脂であってもよい。
セルロースナノ繊維は、9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物が結合した修飾セルロースナノ繊維であってもよい。前記セルロースナノ繊維に結合した9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物の割合は、修飾セルロースナノ繊維の総量に対して、0.1〜20重量%程度であってもよい。さらに、本発明では、セルロース繊維を修飾又は酸化しなくても、熱可塑性樹脂の微細な形態で分散できる。そのため、セルロースナノ繊維は、修飾剤が結合していない未修飾セルロースナノ繊維であってもよく、酸化処理されていないセルロースナノ繊維であってもよい。
なお、混練組成物は、繊維径がマイクロメータサイズのセルロース繊維を実質的に含んでおらず、前記セルロースナノ繊維の平均繊維径は5〜500nm程度であってもよい。また、セルロースナノ繊維の平均繊維長は10μm以上であってもよい。さらに、セルロースナノ繊維の含有量は、樹脂とセルロースナノ繊維との総量に対して、40〜60重量%程度であってもよい。
本発明の混練組成物は、樹脂の補強剤として利用してもよい。そのため、本発明は、前記混練組成物と樹脂とを含む複合体も包含する。
本発明の方法では、前記溶媒に熱可塑性樹脂を溶解した樹脂溶液と、セルロース(又はセルロース原料)とを少なくとも含む組成物を、溶媒を除去しつつ混練して、前記混練組成物を製造する。本発明では、溶液状の樹脂とセルロース(又は樹脂と溶媒とセルロース)とを混練することで、混練初期には、樹脂溶液中にセルロース(又はセルロース原料)を分散させ、その後、溶媒が除去される過程で系中の粘度が上昇し、せん断力を有効に作用できるためか、セルロース(セルロース原料)のミクロフィブリル化(又はナノ化)を促進できるとともに、高含有量であっても、セルロースナノ繊維の凝集を抑制でき、均一に分散した混練組成物を得ることができる。
この方法においては、溶媒の沸点以下の温度から加熱して溶媒を除去しつつ組成物を混練するとともに、熱可塑性樹脂を溶融しつつ前記組成物を混練してもよい。すなわち、溶媒の沸点以下の温度から、少なくとも熱可塑性樹脂が溶融可能な温度まで、昇温しつつ混練することもできる。なお、混練に供する前記組成物において、触媒を添加することなく、9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物の存在下、樹脂溶液とセルロースとを含む組成物を混練してもよい。
本発明では、熱可塑性樹脂が微細化したセルロースナノ繊維間に浸透して介在するためか、高含有量であっても、混練組成物においてセルロースナノ繊維が樹脂に均一に分散している。また、溶媒に可溶な樹脂であれば使用できるため、樹脂の適用幅を拡げることができる。また、混練という簡単な操作で前記混練組成物を簡便かつ容易に得ることができる。また、修飾剤(例えば、9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物)の存在下で混練すると、修飾剤とセルロース(又はセルロースナノ繊維)とが反応しやすいためか、触媒の存在下で予め修飾剤が結合した修飾セルロースを調製しなくても、修飾剤が結合した修飾セルロースナノ繊維を含む混練組成物を形成でき、しかも、繊維間に作用する水素結合を緩和できるためか、繊維径を小さくできる。さらに、この方法を利用すると、セルロースの酸化処理を行わなくても分散可能なため、酸化処理によるセルロースの重合度の低下を抑制でき、かつセルロースナノ繊維がアルデヒド基を形成する虞もないため、着色を防止することもできる。このようなセルロースナノ繊維の含有量が大きな混練組成物は、マスターバッチ(又は樹脂の補強剤)として利用でき、種々の樹脂に適用できるため、樹脂の特性(強度など)を向上した複合体(複合材料)を形成できる。特に、前記修飾セルロースナノ繊維を含む複合体は樹脂に対する分散性が高いためか、強度や線膨張特性などを有効に向上できる。
図1は、実施例1で得られたマスターバッチ1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図2は、実施例1及び2、参考例1で得られたマスターバッチ及びパルプ原料のフーリエ変換赤外分光(FT-IR)スペクトルを示す図である。 図3は、実施例2で得られたマスターバッチ2の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図4は、比較例1で得られたマスターバッチ3の偏光顕微鏡写真である。 図5は、パルプ原料の偏光顕微鏡写真である。 図6は、比較例2で得られたマスターバッチ4の偏光顕微鏡写真である。 図7は、参考例1で得られたマスターバッチ5の偏光顕微鏡写真である。 図8は、参考例1で得られたマスターバッチ5の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
本発明の混練組成物は、溶媒に可溶な熱可塑性樹脂にセルロースナノ繊維が分散(均一に分散)した混練(又は溶融混練)組成物である。
[熱可塑性樹脂]
混練組成物を構成する熱可塑性樹脂は、溶媒に可溶な樹脂であればよく、溶媒としては、樹脂の種類に応じて選択でき、水、有機溶媒[例えば、炭化水素類(ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン類、シクロヘキサノンなどのシクロアルカンケトン類)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、カルビトール類(エチルカルビトールなど)、セロソルブアセテート類、カルビトールアセテート類、カーボネート類(ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)など]が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
これらの溶媒のうち、比較的低沸点の溶媒、例えば、炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素など)、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)などが好ましい。溶媒の沸点としては、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜110℃、さらに好ましくは60〜105℃程度であってもよい。このような低沸点の溶媒を使用すると、溶媒の蒸発(又は気化)に伴って樹脂の粘度が増大するため、せん断力を作用させることで、セルロースのナノ化(又は微細化)を促進できる。また、セルロースの分散性の観点から、極性溶媒、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類などがさらに好ましく、加水分解などを抑制し、繊維への浸透性を高めるという観点から、エーテル類、ケトン類、エステル類などが特に好ましい。
このような溶媒に可溶な熱可塑性樹脂は、水溶性樹脂、非水溶性樹脂であってもよい。
水溶性樹脂としては、例えば、ビニルアルコール系樹脂[ポリビニルアルコール(ケン化度60〜100%程度のポリビニルアルコールなど)、ポリアルキレングリコール系樹脂(ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体など)、ビニルピロリドン系樹脂(ポリビニルピロリドンなど)などが例示できる。
非水溶性樹脂としては、付加重合系熱可塑性樹脂(例えば、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、変性オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその誘導体、熱可塑性ポリウレタン系樹脂など)、縮合系熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂など)などが例示できる。
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(MS樹脂など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など;スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのブロック共重合体など;ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体をグラフト重合したグラフト重合体、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、このABS樹脂のブタジエンゴムBに代えて、エチレンプロピレンゴムE、アクリルゴムA、塩素化ポリエチレンC、酢酸ビニル重合体などのゴム成分を用いたグラフト共重合体(AES樹脂,AAS樹脂,ACS樹脂などのAXS樹脂)、アクリロニトリルに代えて(メタ)アクリル系単量体(メタクリル酸メチルなど)を用いたグラフト共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(MBS樹脂)など)などが挙げられる。なお、樹脂溶液とは、前記溶媒に可溶な熱可塑性樹脂を含むポリマーアロイ(例えば、スチレンとブタジエンとの共重合体など)と溶媒との混合液を含む。
オレフィン系樹脂としては、α−C2−6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体など)が挙げられる。
変性オレフィン系樹脂としては、例えば、変性ポリエチレン(例えば、塩素化ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレンなど)、変性ポリプロピレン(例えば、塩素化ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1−18アルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル系単量体と他の共重合性単量体(スチレン系単量体など)との共重合体などが挙げられる。
ハロゲン含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニルなど)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系樹脂などが例示できる。
ビニルエステル系樹脂としては、例えば、カルボン酸ビニルエステルの単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニルなど)などが例示できる。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステル型ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル型ポリウレタン系樹脂などが例示できる。
ポリエステル系樹脂としては、脂肪族ポリエステル、脂環族ポリエステル、芳香族ポリエステルなどが例示できる。脂肪族ポリエステルは、例えば、アルキレングリコールとアルカンジカルボン酸とで構成された第1のエステル形成成分、オキシカルボン酸及びラクトンから選択された少なくとも一種の第2のエステル形成成分で形成でき、このような脂肪族ポリエステルとしては、前記第1のエステル形成成分と前記第2のエステル形成成分との共重合体であってもよい。例えば、ポリC2−6アルキレン−オギザレート、ポリC2−6アルキレン−サクシネート、ポリC2−6アルキレン−アジペートなどのポリ(C2−6アルキレングリコール−C2−10アルカン−ジカルボン酸エステル)、ポリオキシカルボン酸系樹脂{例えば、オキシカルボン酸及びそのラクトンの単独又は共重合体[例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどのポリオキシC2−10カルボン酸、これらの共重合体(例えば、グリコール酸−乳酸共重合体など)など]など}、これらのコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合体など)などが挙げられる。芳香族ポリエステル(又は共重合ポリエステル)は、例えば、C2−6アルキレン−C6−12アリレート単位を主成分(例えば、50モル%以上)として含むコポリエステル(例えば、共重合成分が、オキシアルキレン単位を有するポリオキシC2−4アルキレンジオールやC6−12の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸などのコポリエステル)などが挙げられる。共重合成分の含有量は、例えば、5〜50モル%、好ましくは10〜35モル%程度であってもよい。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66など)、コポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12など);脂環式ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
ポリエーテル系樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂などが含まれる。
ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネートなどが挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリールスルホン樹脂、これらのポリスルホン系樹脂とスチレン系樹脂とのアロイなどが挙げられる。
熱可塑性ポリイミド系樹脂としては、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマーなど)も含まれる。これらの熱可塑性樹脂は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、前記好ましい溶媒に可溶で、融点がセルロースの分解温度未満の樹脂、例えば、スチレン系樹脂、変性オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル系樹脂)、ポリエステル系樹脂(ポリオキシカルボン酸系樹脂、ポリラクトン系樹脂)などが好ましい。なお、スチレン系樹脂、変性オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリエステル樹脂は、極性溶媒に可溶な場合が多いため、極性溶媒(例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類など)を使用して樹脂溶液を調製してもよい。また、本発明の方法では、エマルジョンの形態でなくても適用できることから、縮合系樹脂(例えば、ポリオキシカルボン酸系樹脂などのポリエステル系樹脂など)を好適に使用できる。なお、反応性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基など)を有する樹脂や反応性基を生成する樹脂(例えば、加水分解によりカルボキシル基やヒドロキシル基を生成するポリエステル樹脂など)であると、混練過程で、樹脂とセルロースナノ繊維とが化学的に結合(エステル結合、エーテル結合、アミド結合など)し、樹脂の補強性を有効に向上できる。従って、沸点の低い極性溶媒(例えば、エーテル類など)に可溶で、反応性基を有する樹脂は、セルロースナノ繊維の繊維径が小さく、かつナノ繊維による補強効果が高い混練組成物を得られる場合が多い。
なお、前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどと異なり、室温(例えば、20〜30℃程度)で、溶媒に可溶な樹脂が好ましい。
このように、本発明の混練組成物は、溶媒に可溶な樹脂であれば適用できるため、樹脂の適用幅を拡げることができる。
[セルロースナノ繊維]
セルロースナノ繊維(又はセルロースナノファイバー)は、セルロース(セルロース原料)をナノオーダーまで微細化(又はミクロフィブリル化)したセルロース繊維である。前記セルロースとしては、リグニン、ヘミセルロースなどの非セルロース成分の含有量が少ないパルプ、例えば、植物由来のセルロース原料{例えば、木材[例えば、針葉樹(マツ、モミ、トウヒ、ツガ、スギなど)、広葉樹(ブナ、カバ、ポプラ、カエデなど)など]、草本類[麻類(麻、亜麻、マニラ麻、ラミーなど)、ワラ、バガス、ミツマタなど]、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、竹、サトウキビなど}、動物由来のセルロース原料(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース原料(ナタデココに含まれるセルロースなど)などから製造されたパルプなどが例示できる。これらのセルロースは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのセルロースのうち、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、種子毛繊維由来のパルプ(例えば、コットンリンターパルプ)由来のセルロースなどが好ましい。なお、パルプは、パルプ材を機械的に処理した機械パルプであってもよいが、非セルロース成分の含有量が少ないことからパルプ材を化学的に処理した化学パルプが好ましい。
また、前記セルロースナノ繊維は、酸化処理(例えば、C6位のメチロール基をカルボキシル基に酸化する処理)を施したナノ繊維(酸化セルロースナノ繊維)であってもよいが、本発明では、酸化セルロースナノ繊維でなくても樹脂に分散(又は均一に分散)可能なため、前記酸化処理をしていないセルロースナノ繊維が好ましい。この酸化処理をしていないセルロースナノ繊維で形成された混練組成物は、酸化処理によるセルロース分子鎖の切断(又は重合度の低下)の虞がなく、かつ加熱による着色の虞もない。そのため、セルロースの特性(例えば、引張強度、弾性率、低繊膨張率など)を維持できる場合が多い。なお、酸化処理過程を経ていなくても、パルプなどの製造過程で形成されたカルボキシル基などがセルロースナノ繊維に含まれていることがあるが、実施的に酸化されていないセルロースナノ繊維であればよい。
セルロースナノ繊維の平均繊維径は、例えば、1〜1000nm未満(例えば、3〜800nm)、好ましくは5〜500nm(例えば、10〜400nm)、さらに好ましくは50〜300nm(例えば、70〜250nm)程度であってもよい。平均繊維径が大きすぎると、混練組成物の強度などの特性が低下する虞がある。なお、セルロースナノ繊維の最大繊維径は、例えば、3〜1000nm未満(例えば、5〜900nm)、好ましくは10〜700nm(例えば、50〜500nm)、さらに好ましくは70〜400nm(例えば、100〜300nm)程度であってもよい。なお、セルロース繊維は、繊維径がマイクロメータサイズのセルロース繊維を実質的に含んでいない場合が多い。
また、本発明では、セルロースに樹脂溶液を浸透又は含浸させた状態で混練し、セルロース繊維に直接的に剪断力が作用するのを抑制できるためか、セルロース原料の長手方向の切断を抑制でき、繊維長が比較的長い繊維を得ることができる。すなわち、セルロース繊維の平均繊維長は、例えば、0.01〜500μm(例えば、0.1〜400μm)程度の範囲から選択でき、通常、1μm以上(例えば、5〜300μm)、好ましくは10μm以上(例えば、20〜200μm)、さらに好ましくは30μm以上(例えば、50〜150μm)であってもよい。
さらに、セルロース(又はセルロース繊維)の平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、例えば、5以上(例えば、5〜10000程度)、好ましくは10以上(例えば、10〜5000程度)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜3000程度)、特に50以上(例えば、50〜2000程度)であってもよく、100以上(例えば、100〜1000程度)、さらには200以上(例えば、200〜800程度)であってもよい。アスペクト比が小さすぎると、樹脂の補強性が低下する虞がある。
なお、セルロース(又はセルロース繊維)は、結晶性の高いセルロース(又はセルロース繊維)であってもよく、セルロースの結晶化度は、例えば、40〜100%(例えば、50〜100%)、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜90%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上であってもよい。また、セルロースの結晶構造としては、例えば、I型、II型、III型、IV型などが例示でき、低線膨張特性及び弾性率などが高いI型結晶構造が好ましい。
また、本発明の方法では、樹脂溶液中での混練により、セルロースナノ繊維への樹脂溶液の浸透性を高めつつセルロース原料にせん断力を有効に作用できるためか、修飾剤が結合していないセルロースであっても、ナノオーダーの平均繊維径を有し、樹脂に均一分散した混練組成物を形成できる。混練組成物は、通常、繊維径がマイクロメータサイズのセルロース繊維を実質的に含んでいない場合が多い。
一方、樹脂に対する親和性(又は分散性)向上の観点から、セルロースナノ繊維は、修飾剤が結合した修飾セルロースナノ繊維であってもよい。修飾剤は、セルロースナノ繊維のヒドロキシ基及び/又はパルプの製造工程で形成されたカルボキシル基に結合可能な修飾であれば使用でき、特に、9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物などが挙げられる。
前記9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物(フルオレン化合物という場合がある)は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有し、カルボキシル基又はその反応性誘導体、エポキシ基及びヒドロキシル基から選択された少なくとも一種の反応性基を有している。前記カルボキシル基の反応性誘導体としては、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、酸ハライド基(酸クロライド基、酸ブロマイド基などのハロホルミル基)などが例示できる。エポキシ基は、オキシラン環を含む限り、グリシジル基であってもよい。
代表的なフルオレン化合物としては、下記式(1)で表される。
[式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2-1)、(2-2)又は(2-3)で表される基を示し、nは1〜3の整数、R及びRは置換基を示し、pは0又は1以上の整数、kは0〜4の整数を示す]。
(Rは水素原子又はアルキル基、Rはアルキレン基、m1及びm2はそれぞれ0又は1以上の整数を示す)。
前記式(1)において、環Zで表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10−16アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよい。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合アレーン環としては、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
前記式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基が例示できる。好ましいアルキル基は、C1−4アルキル基、特にC1−2アルキル基である。m1は0又は1以上の整数(例えば、1〜6,好ましくは1〜4,さらに好ましくは1〜2程度)であってもよい。m1は、通常、0又は1〜2であってもよい。
アルキレン基Rには、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基(好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基)が例示でき、分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C3−6アルキレン基(好ましくは分岐鎖状C3−4アルキレン基、特にプロピレン基)などが挙げられる。
オキシアルキレン基(OR)の数m2は、0又は1以上の整数(例えば、0〜15、好ましくは0〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば、1〜8)、好ましくは0〜5(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)、特に0〜3(例えば、1〜3)程度であってもよく、通常、0〜2(例えば、0又は1)であってもよい。なお、m2が2以上である場合、アルキレン基Rの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、置換基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Xの置換数nは、環Zの種類に応じて、同一又は異なって1以上の整数であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に1であってもよい。なお、置換数nは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
なお、基Xは、環Zの適当な位置に置換でき、例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位及び/又は4−位)に置換している場合が多く、環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位である場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係(特にnが1である場合、2,6−位の関係)で基Xが置換している場合が多い。また、nが2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Zにおいて、基Xの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基Xの置換位置は、2−,3−,2’−,3’−,4’−位のいずれであってもよく、通常、2−,3’−,4’−位、好ましくは2−,4’−位(特に、2−位)に置換していてもよい。
前記式(1)において、置換基Rとしては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(トリル)基、ジメチルフェニル(キシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの置換基Rのうち、代表的には、ハロゲン原子、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい置換基Rとしては、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)、特に、アルキル基(特に、メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)が好ましい。なお、置換基Rがアリール基であるとき、置換基Rは、環Zとともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。置換基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
置換基Rの係数pは、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、0〜4の整数、好ましくは0〜3(例えば、0〜2)の整数、特に0又は1であってもよい。特に、pが1である場合、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、置換基Rがメチル基であってもよい。
置換基Rとして、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。
これらの置換基Rのうち、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基(特に、メチル基などのC1−3アルキル基)、カルボキシル基又はC1−2アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましい。置換数kは0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0である。なお、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、置換基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよく、フルオレン環の2つのベンゼン環に置換する置換基Rの種類は同一又は異なっていてもよい。また、置換基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び/又は7−位など)であってもよい。
式(2-1)で表される基Xを有する具体的なフルオレン化合物としては、n=1、p=k=0、m1=0である9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−カルボキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−カルボキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=k=0、m1=1〜3である9,9−ビス(カルボキシアルキル−アリール)フルオレン化合物、例えば、9,9−ビス(4−(カルボキシメチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−カルボキシエチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(カルボキシメチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(カルボキシメチル)ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(カルボキシメチル)ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−6アルキルC6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。これらのフルオレン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
式(2-2)で表される基Xを有する具体的なフルオレン化合物としては、n=1、p=k=0、m2=0である9,9−ビス(グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−グリジシルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリジシルオキシフェニ)フルオレン、9,9−ビス(5−グリジシルオキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−グリジシルオキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−グリジシルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(2−グリジシルオキシエトキシ)ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(2−グリジシルオキシエトキシ)ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=1、k=0、m2=0である9,9−ビス(アルキル−グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−グリジシルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=1、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=0、k=0、m2=0である9,9−ビス(アリール−グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−グリジシルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=0、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(アリール−グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=2、p=0、k=0、m2=0である9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(グリジシルオキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)C6−10アリール)フルオレン;n=2、p=0、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(2−グリジシルオキシエトキシ))フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。これらのフルオレン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、前記式(2-2)で表される基を有するフルオレン化合物は、単量体であってもよく、多量体(例えば、二量体、三量体など)であってもよい。グリシジル基を有するフルオレン化合物は、通常、少なくとも単量体を含む場合が多く、例えば、単量体、二量体及び三量体の混合物などであってもよい。
また、式(2-3)で表される基Xを有する具体的なフルオレン化合物としては、前記式(2-3)で表される基Xを有するフルオレン化合物に対応する化合物(グリジシルオキシ基をヒドロキシル基に代えた化合物)などが挙げられる。
これらのフルオレン化合物のうち、好ましいフルオレン化合物としては、例えば、9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)C6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどの前記式(2-2)で表される基Xを有するフルオレン化合物の単量体、及び多量体(二量体、三量体など);9,9−ビス(ヒドロキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−ヒドロキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(C6−10アリール−ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシC6−10アリール)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどの前記式(2-3)で表される基Xを有するフルオレン化合物などが挙げられる。なお、「(ポリ)C2−4アルコキシ」とは、C2−4アルコキシ基の繰り返し数m2が1以上の整数であることを意味する。
このようなフルオレン化合物が結合したセルロースナノ繊維(修飾セルロースナノ繊維)は、樹脂に対し、優れた分散性(又は親和性)を発現できる。従って、フルオレン化合物が結合したセルロースナノ繊維を混練組成物に含むと、混練組成物の機械的強度などの特性を向上できる。さらに、セルロースのミクロフィブリル化過程で、繊維間に作用する水素結合を緩和できるためか、セルロースナノ繊維の平均繊維径を小さくすることもできる。また、セルロースナノ繊維は、フルオレン化合物の結合割合が少量であっても、前記分散性(又は親和性)向上効果や繊維径低減効果を有効に発現できる。すなわち、セルロースナノ繊維に結合した修飾剤の割合(修飾率という場合がある)は、修飾セルロースナノ繊維の総量(セルロースナノ繊維と修飾剤との総量)に対して、0.1〜20重量%程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%(例えば、1〜7重量%)、さらに好ましくは1.5〜5重量%(例えば、2〜4重量%)程度であってもよい。修飾率が大きすぎると、セルロースナノ繊維の特性(高強度、高弾性率、低線膨張率などの特性)が低下する虞があり、逆に小さすぎると、樹脂に対する分散性(又は混和性)が低下するとともに、セルロースナノ繊維の繊維径が大きくなる虞がある。
なお、フルオレン化合物の修飾(又は化学修飾)の形態は、通常、セルロースナノ繊維のヒドロキシ基及び/又はパルプなどの製造過程でセルロースに形成されたカルボキシ基と、前記フルオレン化合物のヒドロキシ基とが結合(エーテル結合及び/又はエステル結合)している場合が多い。
本発明の混練組成物は、セルロースナノ繊維の割合(含有量)が大きく、マスターバッチとして有用である。セルロースナノ繊維(又は修飾セルロースナノ繊維)の割合は、前記樹脂とセルロースナノ繊維との総量に対して、例えば、20重量%以上(例えば、25〜90重量%)、好ましくは30重量%以上(例えば、35〜70重量%)、さらに好ましくは40重量%以上(例えば、40〜60重量%)、特に45重量%以上(例えば、45〜55重量%)であってもよい。セルロースナノ繊維の割合が小さすぎると、機械的特性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、成形性が低下する虞がある。
[製造方法]
本発明の混練組成物は、前記熱可塑性樹脂の樹脂溶液と、セルロース原料(又は樹脂と溶媒とセルロース原料)とを混練下、溶媒を除去することにより得ることができる。この方法では、樹脂溶液がセルロースナノ繊維に浸透した状態で、加熱により溶媒を除去し、樹脂を高粘度状態で混練できるため、せん断力を有効に作用できる。そのためか、混練に伴って効率よくセルロース原料を解繊しつつ、ナノオーダーレベルまでミクロフィブリル化でき、セルロースナノ繊維を樹脂に均一分散できる。また、セルロースナノ繊維の濃度が高くても、セルロースナノ繊維が凝集することなく(又はセルロースナノ繊維の再凝集を抑制し)、繊維径が小さなセルロースナノ繊維を樹脂に短時間で均一分散できる。しかも、セルロースナノ繊維の分散液の調製、エマルジョンの調製などが不要であり、混練という一段階の操作で前記混練組成物を調製できる。
セルロース原料は、セルロースナノ繊維の項で例示のセルロース(又はセルロース原料)を使用できる。このセルロース原料の平均繊維径は、種類に応じて選択でき、例えば、1μm〜1mm、好ましくは5〜500μm(例えば、10〜300μm)、さらに好ましくは20〜100μm(例えば、30〜50μm)程度であってもよい。また、セルロース原料の平均繊維長は、例えば、0.1〜100mm、好ましくは0.5〜50mm(例えば、0.5〜30mm)、さらに好ましくは1〜10mm(例えば、1〜5mm)程度であってもよい。
熱可塑性樹脂溶液の濃度は、前記溶媒に対する樹脂の溶解性などに応じて適宜選択でき、例えば、1〜70重量%(例えば、3〜60重量%)、好ましくは5〜50重量%(例えば、10〜40重量%)、さらに好ましくは15〜30重量%(例えば、15〜25重量%)程度であってもよい。溶液濃度が低すぎても、高すぎても、セルロース原料の解繊(又はナノ化)が十分でなくなる虞がある。
また、セルロース原料と樹脂との割合は、前述した混練組成物中の樹脂とセルロースナノ繊維との総量に対するセルロースナノ繊維の割合(含有量)に対応しており、セルロース原料の割合は、セルロースナノ繊維の割合に換算した割合で使用できる。
混練は、樹脂溶液とセルロース原料(又は樹脂と溶媒とセルロース原料)とを混練し、系中の溶媒を除去又は溶媒量を制御できれば、特に限定されず、慣用の方法、例えば、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー、押出機(一軸又は二軸押出機など)などにより行うことができ、二軸押出機などを好適に使用してもよい。
混練工程は、空気中又は不活性ガス(窒素、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下、開放系で行ってもよく、通常、密閉した混練系で行う場合が多い。溶媒を除去する際には、混練機に設置した脱気装置などを利用して、加熱により溶媒を気化(又は蒸発)させてもよい。なお、せん断力を大きくするために、混練過程で溶媒を完全に除去するのが好ましいが、セルロース原料をナノレベルに解繊可能な範囲で溶媒を残存させてもよい。溶媒の除去割合は、除去前の溶媒に対して、例えば、10重量%以上(例えば、20〜80重量%)、好ましくは30重量%以上(例えば、40〜95重量%)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、70〜99重量%)、特に80重量%以上(例えば、90〜99.9重量%)程度であってもよい。なお、混練後、残存した溶媒は、必要であれば、慣用の方法(例えば、濃縮など)により除去してもよい。また、必要に応じて、減圧し、溶媒を除去してもよい。
また、最終的に熱可塑性樹脂を溶融しつつ前記組成物を混練(溶融混練)してもよい。溶融混練する場合、樹脂の融点(又は軟化点)以上(通常、溶媒の沸点以上)の温度、例えば、100〜270℃(例えば、130〜250℃)、好ましくは150〜220℃、さらに好ましくは170〜200℃程度の温度で前記組成物を溶融混練してもよい。
好ましい態様としては、溶媒の沸点以下の温度又は溶媒の沸点付近の温度(例えば、40〜100℃、好ましくは50〜80℃程度)で一定時間混練し、樹脂溶液中にセルロース(又はセルロース繊維)を分散し、さらに樹脂の融点(又は軟化点)以上の温度(又は融点以上セルロースの分解温度以下の温度)まで加熱し、樹脂の粘度及びせん断力を大きくし、所定時間混練する方法などが挙げられる。この方法では、繊維径が小さなセルロースナノ繊維を樹脂に短時間で均一分散できる。混練時間は、特に限定されないが、本発明の方法では、短時間で混練組成物を得られることが多いため、混練時間は、例えば、1分〜5時間(例えば、3分〜3時間)、好ましくは5分〜1時間、さらに好ましくは8〜30分程度であってもよい。
また、修飾剤がセルロースに結合した修飾セルロースナノ繊維を含む混練組成物を製造する場合、予め、触媒(例えば、酸)の存在下、セルロースに前記修飾剤を結合(又は修飾)させた後(修飾セルロース調製工程を経た後)、この修飾セルロースを樹脂溶液と混練してもよいが、本発明の方法では、修飾剤の存在下で混練することにより、セルロースナノ繊維と修飾剤とを有効に結合させることができ、しかも、触媒(例えば、塩酸などの酸触媒など)を添加する必要もないため、簡便かつ容易に修飾セルロースナノ繊維を含む混練組成物(又はマスターバッチ)を調製できる。
修飾剤の割合は、前記修飾率に応じて選択でき、例えば、セルロースナノ繊維100重量部に対して、1〜50重量部(例えば、3〜45重量部)、好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部(15〜25重量部)程度であってもよい。修飾剤の割合が少なすぎると、セルロースの解繊性が低下する虞がある。
なお、混練工程において、各成分は、複数回に分けて混練系に添加してもよい。例えば、樹脂溶液とセルロース原料とを少なくとも含む組成物を混練し、さらに固体状樹脂及び/又は修飾剤などを加えてもよい。
混練後、慣用の乾燥方法(例えば、熱風乾燥、減圧乾燥など)により、混練組成物を得てもよい。
[複合体]
本発明の複合体(複合材料)は、前記混練組成物(マスターバッチ)と他の樹脂(第2の樹脂)と含んでおり、混練(又は混合)により得ることができる。他の樹脂(第2の樹脂)としては、マスターバッチを構成する混練組成物の熱可塑性樹脂と親和性(又は相溶性)のある樹脂であればよく、マスターバッチを構成する樹脂と同一又は異なっていてもよい。
複合材料の第2の樹脂は、混練組成物の熱可塑性樹脂と同一又は異なっていてもよい。なお、第2の樹脂は、前記溶媒に可溶でなくてもよく、第2の樹脂の種類に応じてマスターバッチを選択することにより、様々な樹脂で形成された複合体(複合材料)を形成可能である。第2の樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、付加重合系樹脂[例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリα−C2−10オレフィンなど)、非晶質ポリオレフィン系樹脂(低密度ポリエチレンなどの非晶質ポリオレフィンや、シクロペンタジエン系樹脂やノルボルネン系樹脂などの環状オレフィンなど)、超高分子量ポリオレフィン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレンなど)、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂など)、芳香族ビニル系樹脂[ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など]、アクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレンなど)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなど)など]、縮合重合系樹脂{例えば、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2−10アルキレンアリレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、これらのコポリエステル、ポリアリレート系樹脂(ビスフェノールAなどのビスフェノール類とフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との重縮合物など)、液晶ポリエステル、ポリオキシカルボン酸系樹脂(ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体など)など]、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレンホモ又はコポリマーなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXDなど)、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリ(チオ)エーテル系樹脂[例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィド、ポリビフェニレンスルフィドなど)など]、ポリケトン系樹脂(ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトンなど)、ポリイミド系樹脂(例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなど)、ポリベンズイミダゾールなど}などが挙げられる。なお、第2の樹脂はエンジニアリングプラスチック又はスーバーエンジニアリングプラスチックであってもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂など)、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂などが挙げられる。第2の樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
複合体において、セルロースナノ繊維の割合(含有量)は、樹脂(マスターバッチを構成する樹脂と第2の樹脂)とセルロースナノ繊維との総量に対して、例えば、0.1〜50重量%(例えば、0.5〜40重量%)、好ましくは1〜30重量%(例えば、3〜20重量%)、さらに好ましくは5〜15重量%程度であってもよい。
また、前記複合体は、セルロースナノ繊維の分散性に優れるため、分散剤などの添加剤を含まなくてもよく、必要により、種々の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、耐衝撃改良剤、流動性改良剤、補強材(充填剤など)、着色剤、滑剤、離型剤、色相改良剤、分散剤、抗菌剤、防腐剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の複合体は、セルロースナノ繊維が均一分散した混練組成物(マスターバッチ)で形成されているため、繊維が凝集することなく、繊維径の小さなセルロースナノ繊維が分散した組成物であり、高強度、高弾性率、低線膨張特性などの優れた特性を有する。そのため、複合材料に有用である。
また、前記複合体(複合材料)は、マスターバッチと前記他の樹脂とを前記慣用の方法により、混練して得ることができる。
前記複合体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などにより成形してもよい。複合体の成形品は、二次元的構造(フィルム、シート、板など)に限らず、三次元的構造(例えば、管、棒、チューブ、レザー、中空品など)などであってもよい。また、成形品は、ハウジング、ケーシングなどであってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(セルロース繊維の観察)
セルロース繊維の観察は、セルロースに吸着した余剰な樹脂および化合物を溶媒に除去した後、走査型電子顕微鏡FE-SEM(日本電子(株)製、JIM-6700F)にて観察した。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出した。
(セルロースに結合したフルオレン化合物の修飾率)
フルオレン化合物の修飾率(以下フルオレン修飾率)は、ラマン顕微鏡(HORIBA JOBIN YVON社製、XploRA)を使用してラマン分析を行い、芳香族環(1604cm-1)とセルロースの環内CH(1375cm-1)との吸収バンドの強度比(I1604/I1375)により算出した。なお、算出にあたっては、フルオレン化合物を所定量含有するジアセチルセルロース((株)ダイセル製)フィルムを、溶液キャスト法により作成し、これらの強度比(I1604/I1375)から作成した検量線を用いた。すべてのサンプルは3回測定し、その結果から算出される値の平均値をフルオレン修飾率とした。
(引張試験)
実施例3及び4、比較例3で得られた複合体を厚み0.5mmのシート状に熱プレス成形した後、110℃で30分間アニール処理してシートを調製した。その後、IEC540規格サイズにカットし、試験に供した。なお、引張試験は、ミネベア(株)製、「LTS-1kNB」を用い、チャック間距離3mm、引張速度5mm/分の条件で測定した。
(線膨張係数)
引張試験用サンプルと同じ0.5mmのシートを5mm×30mmの短冊状にカットしたサンプルを試験に供した。なお、測定は動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、「Q-800」)を用い、上記サンプルへ静荷重0.001Nをかけた状態で、室温から170℃まで昇温速度2℃/分にて昇温し、温度−変位曲線により、70℃から100℃における線膨張係数[ppm/℃]を算出した。
(実施例1)
3mm角程度のチップ状に裁断したGP Cellulose社製フラッフパルプ(Grade4800)3.2gと、ポリ乳酸(Hisun製REVODE110、以下PLAと称する)のジオキサン溶液(PLA分率20重量%)6.8gとをラボニーダーにより10分間ブレンドし、パルプ/ジオキサン/PLA=3.2/5.44/1.36(g/g/g)の組成物を調製した。さらに、この組成物10gに9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン(以下、BPFG)0.6g、PLA 2.24gを加え、二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)で混練することにより、白色のPLA/CNF(ポリ乳酸/セルロースナノファイバー)マスターバッチ1(混練組成物)を得た。この際、初期2分間を80℃、300回転の条件で混練し、その後、昇温し、180℃、90回転の条件で8分間混練した。なお、混練過程で系中の溶媒は完全に除去された。得られたPLA/CNFマスターバッチ1中のCNFの解繊度の観察結果を図1に、解繊繊維の平均繊維径、繊維表面に修飾されたフルオレン(BPFG)修飾率及びPLA修飾の有無を表1に示す。なお、PLA修飾の有無については、フーリエ変換赤外分光度計FT-IR(Nicolet社製、「MAGNA-IR 760」)を用いて、赤外分光スペクトルを測定し、PLAのカルボニル基の吸収ピーク(1750cm-1)の有無により判断した(図2に示す)。
(実施例2)
二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)による混練過程で、BPFGを添加することなく、実施例1と同様の方法にて白色のPLA/CNFマスターバッチ2を得た。得られたPLA/CNFマスターバッチ2中のCNFの解繊度の観察結果を図3に、解繊繊維の平均繊維径、繊維表面に修飾されたフルオレン(BPFG)修飾分率、PLA修飾の有無を表1に示す。なお、PLAの修飾の有無については、実施例1と同様に測定した(図2に示す)。また、実施例1で得られたマスターバッチ1は、実施例2で得られたマスターバッチ2と比べ、カルボニル基の吸収ピークの強度が強く、実施例1の方がより多くのPLAが修飾されていることが分かった。
(比較例1)
二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)による混練過程で、室温下、300回転の条件で10分間混練したこと以外は実施例1と同様の方法にて、マスターバッチ3を得た。また、得られたPLA/CNFマスターバッチ3中のパルプ解繊度を簡易的に評価するため、ジオキサンで10倍希釈し、偏光顕微鏡(40倍)により観察を行ったところ、未解繊のパルプが多く見られた(図4に示す)。なお、パルプ原料の偏光顕微鏡観察結果を図5に示す。
(比較例2)
二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)による混練過程で、室温下、300回転の条件で60分間混練したこと以外は実施例1と同様の方法にて、マスターバッチ4を得た。また、比較例1と同様にパルプ解繊度を簡易的に評価したところ、未解繊のパルプが多く見られた(図6に示す)。
(参考例1)
二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)による混練過程で、室温下、300回転の条件で120分間混練したこと以外は実施例1と同様の方法にて、PLA/CNFマスターバッチ5を得た。また、比較例1と同様にパプル解繊度を簡易的に評価したところ、未解繊のパルプが確認された(図7に示す)。得られたPLA/CNFマスターバッチ5のCNFの解繊度の観察結果を図8に示し、解繊繊維の平均繊維径、繊維表面に修飾されたフルオレン修飾分率、PLA修飾の有無を表1に示す。なお、PLAの修飾の有無については、実施例1と同様に測定した(図2に示す)。
これらの結果から、実施例1及び2は、樹脂との混練過程において、パルプ(セルロース原料)をナノレベルまで解繊できることがわかった。また、実施例1は、参考例1と比較し、フルオレン修飾率が高く、PLAも修飾されており、10分という短時間でナノレベルまで解繊できることが確認された。また、フルオレン化合物(BPFG)を添加していない実施例2においても、同様にPLAの修飾に加え、短時間の混練でナノレベルまで解繊できることがわかった。なお、BPFGを添加した実施例1の方が、解繊繊維の平均繊維径が小さく、PLA修飾量が多いことが確認された。
(実施例3)
110℃で一晩乾燥したPLA/CNFマスターバッチ1(CNF分率:46.5重量%、実施例1調製分)2.58gとPLA9.42gを二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)にて190℃、90回転の条件で5分間混練を行うことで、CNFを10重量%含有するPLA複合材料を調製した。得られた複合材料の引張測定結果、および線膨張係数の測定結果を表2に示す。
(実施例4)
110℃で一晩乾燥したPLA/CNFマスターバッチ2(CNF分率:50重量%、実施例2調製分)2.40gとPLA9.60gを二軸押出機(「ラボプラストミル」、(株)東洋精機製)にて190℃、90回転の条件で5分間混練を行うことで、CNFを10重量%含有するPLA複合材料を調製した。得られた複合材料の引張測定結果、および線膨張係数の測定結果を表2に示す。
(比較例3)
110℃で一晩乾燥したPLA12gを実施例3と同様の条件にて混練した。得られたPLAの引張測定結果、および線膨張係数測定結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、PLA/CNFマスターバッチ1および2を用いて調製した複合材料は、引張強度、弾性率が高く、線膨張係数を低減することができる。また、修飾剤を用いたPLA/CNFマスターバッチ1を用いた実施例3では、特に優れた物性を発現可能であることが分かった。
本発明の混練組成物(又はマスターバッチ)は、幅広い用途、樹脂の補強材、添加剤、フィルムやシートの材料などとして利用できる。また、複合体(複合材料)は、低線膨張特性、高強度、高弾性率などの優れた特性を備えるため、例えば、種々の樹脂成形品[例えば、電気・電子部品の梱包材料、建築資材(壁材など)、土木資材、農業資材、包装資材(容器、緩衝材など)、生活資材(日用品など)など]、液晶ディスプレイ基板や太陽電池基板などの種々の材料;光学シート、光学フィルム(例えば、偏光フィルム(及び偏光板保護フィルム)、位相差フィルム(例えば、逆波長分散特性を有する位相差フィルム)、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)など)などの他;高い強度を有するため、宇宙関連品[人工衛星(人工衛星本体、パラボラアンテナ、太陽電池用フレームなど)、スペースシャトル(機体、翼、遠隔操作棒、荷物室ドアなど)など]、航空機部品(機体、主翼、尾翼、方向舵など)、自動車部品(ボディ、フード、ドア、ドライブシャフトなど)、スポーツ用品(ゴルフシャフト、テニスラケットフレームなど)、レジャー用品(釣り竿など)などにも利用できる。また、各種分野の成形部材(例えば、ケージング、ハウジングなどの成形体)に利用できる。

Claims (7)

  1. 溶媒に可溶な熱可塑性樹脂にセルロースナノ繊維が分散し、前記セルロースナノ繊維の割合が、前記熱可塑性樹脂とセルロースナノ繊維との総量に対して20重量%以上である混練組成物の製造方法であって;前記溶媒が、水、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、ニトリル類、セロソルブ類、カルビトール類、セロソルブアセテート類、カルビトールアセテート類、カーボネート類から選択される少なくとも1種を含み;
    前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種の縮合系熱可塑性樹脂を含み;
    前記溶媒に前記熱可塑性樹脂が溶解した樹脂溶液と、平均繊維径5〜500μm、平均繊維長0.5〜50mmを有し、かつ修飾剤が結合していないセルロース原料を含むセルロースとを少なくとも含む組成物を溶媒を除去しつつ混練し、さらに、熱可塑性樹脂を溶融しつつ前記組成物を混練する、製造方法。
  2. 溶媒の沸点以下の温度から加熱して溶媒を除去しつつ組成物を混練し、さらに、熱可塑性樹脂を溶融しつつ前記組成物を混練する請求項1記載の方法。
  3. セルロースに9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物を結合するための触媒を添加することなく、9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有する化合物の存在下、樹脂溶液とセルロースとを含む組成物を混練する請求項1又は2記載の方法。
  4. 繊維径がマイクロメータサイズのセルロース繊維を含んでおらず、平均繊維径が5〜500nm、平均繊維長が10μm以上であるセルロースナノ繊維を、樹脂とセルロースナノ繊維との総量に対して、40〜60重量%の割合で含む混練組成物を製造する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 溶媒が、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から選択された少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂を含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 混練組成物において、熱可塑性樹脂と、セルロースナノ繊維とが化学的に結合している請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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