JP2016111290A - 半導体素子、半導体装置および半導体素子の製造方法 - Google Patents

半導体素子、半導体装置および半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性の高い半導体素子、半導体装置およびその半導体素子の製造方法を提供する。【解決手段】第1の主面1Aを有する半導体基板1と、第1の主面1A上に形成されている電極2と、電極2の表面上に形成されているはんだ流出防止層3と、はんだ流出防止層3の表面上において開口部5Aを有し、電極2の少なくとも端部を覆うように形成されている保護膜5と、開口部5Aにおいてはんだ流出防止層3上に形成されているフロントメタル膜6とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体素子、半導体装置および半導体素子の製造方法に関し、特にはんだにより接合される電極構造を有する半導体素子、半導体装置および半導体素子の製造方法に関する。
従来の半導体素子上には、リードフレームと接合されるための電極構造が形成されており、当該電極とリードフレームとは一般にはんだにより接合される。
上記電極構造としては、半導体層上に形成されており、かつ端部がポリイミド等の保護膜により保護されているアルミニウム(Al)電極上に、無電解めっき液を用いてニッケル(Ni)膜、および金(Au)膜の積層膜が形成された構造が広く知られている。この場合、Al電極上に開口部を有する保護膜上にも上記積層膜が成長されるが、Ni膜を形成した後Au膜を形成する際に、電極構造に係る各材料(Al、Ni、ポリイミド等)の間での熱膨張係数の差異により、Al電極上に設けられたNi膜と保護膜との界面に隙間が形成されるという問題があった。
具体的には、Ni膜のめっき成膜後であってAu膜のめっき成膜前に実施される水洗工程において、水洗に用いる水の温度(たとえば23℃)がNiめっき浴の温度(たとえば80℃以上85℃以下)よりも低いために上記電極構造に係る各材料が冷却される。この結果、これらの材料間での熱膨張係数の差異から上記隙間が形成されると考えられる。この場合、一旦隙間が形成されてしまうと上記界面は粗さを有しているため、Niめっき浴とほぼ同じ温度の金めっき浴に浸漬させたとしても、凹凸部が引っかかり元のように密着した状態には戻らない。また、Auめっき完了後にウエハが室温に戻ったときにも同様の現象が生じて、Niめっき中のようにポリイミドと密着した状態ではなくなる。
特開平10−125682号公報には、上記問題に対して、Ni膜のめっき成膜後であってAu膜のめっき成膜前に実施される水洗工程に用いる水の温度をNiめっき浴の温度と同等程度とすることでNi膜と保護膜との界面に隙間が生じることを抑制する、半導体素子の電極形成方法が記載されている。
また、半導体素子の裏面から表面の周縁に延びる補強材を半導体素子に装着させて、めっきにより積層膜を形成することにより、半導体素子に温度変動が加えられても半導体素子の変形を抑制することができ、Ni膜と保護膜との界面に隙間が生じることを抑制することができる半導体素子の電極形成方法が記載されている。
特開平10−125682号公報
しかしながら、水洗工程に用いる水温をNiめっき浴の温度と同等程度とした場合であっても、上記電極構造を有する半導体素子は、めっき浴から大気中に取り出されて水洗される際の温度変動によっても、Ni膜と保護膜との界面に隙間が生じ得る。これは、当該
半導体素子においては、Ni膜と保護膜とは分子間力により密着している状態にあるため、小さな力が加えられただけでも密着状態が乱されてしまうためである。
また、一旦Ni膜と保護膜との界面に剥離が生じて隙間が形成されると、当該半導体素子をNiメッキ液と同じ温度のAuメッキ液に浸漬しても、該剥離面は粗さを有しているためNi膜と保護膜との間で引っ掛かりが生じて元の密着状態を回復することはできない。
また、上記半導体素子の変形を抑制するための補強材により半導体素子を拘束した場合であっても、上記電極構造、すなわちめっき膜や保護膜等については拘束できない。そのため、これらの変位を十分に抑制することができず、電極構造を構成する材料の熱膨張係数の差異によってNi膜や保護膜が収縮してNi膜と保護膜との界面に隙間が生じることを十分に抑制することは困難である。
この場合、上記電極構造においてその後に成膜する材料(たとえばAuめっきやはんだ)がAl電極上に形成された上記隙間に侵入するため、Ni膜が自身の膜応力によりAl電極から剥離したり、実使用時の温度履歴によりAl電極にクラックが進展し、素子破壊が引き起こされるという問題があった。そのため、上述のような従来の電極形成方法を採用した場合にも高い信頼性を有する半導体素子を提供することは困難であった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、アルミニウム(Al)電極上に、ニッケル(Ni)膜と保護膜との界面が形成されている電極構造を有しながらも、信頼性の高い半導体素子、半導体装置およびその半導体素子の製造方法を提供することにある。
本発明に係る半導体素子は、第1の主面を有する半導体基板と、前記第1の主面上に形成されている電極と、前記電極の表面上に形成されているはんだ流出防止層と、前記はんだ流出防止層の表面上において開口部を有し、前記電極の少なくとも端部を覆うように形成されている保護膜と、前記開口部において前記はんだ流出防止層上に形成されているフロントメタル膜とを備える。
本発明に依れば、信頼性の高い半導体素子および半導体装置を提供することができる。
実施の形態1に係る半導体装置を説明するための断面図である。 図1に示す領域IIの部分拡大図である。 図2に示す領域IIIの部分拡大図である。 実施の形態1に係る半導体素子の製造方法のフローチャートである。 実施の形態1に係る半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。 実施の形態1に係る半導体装置の変形例を説明するための断面図である。 図6に示す領域VIIの部分拡大図である。 実施の形態2に係る半導体素子を説明するための断面図である。 図8に示す領域IXの部分拡大図である。 実施の形態2に係る半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、実施の形態1に係る半導体素子10について説明する。図1は半導体装置100における半導体素子10のはんだ接合部を説明するための断面図である。図2は図1の部分拡大図であり、図3は図2の部分拡大図である。実施の形態1に係る半導体素子10および半導体装置100について説明する。半導体素子10は、半導体基板1(第1の層)上に任意のデバイス構造が形成された半導体素子である(デバイス構造については図示していない)。半導体素子10において、半導体基板1の第1の主面1A上には電極2、はんだ流出防止層3、キャップ層4、保護膜5、フロントメタル膜6、および酸化防止膜7を含む電極構造が形成されている。半導体装置100は、半導体素子10を備えている。半導体装置100において半導体素子10は、外部と熱的に接続されている熱拡散板20と、外部と電気的に接続されているリードフレーム30との間に挟まれるように配置されている。半導体装置100は、半導体素子10の電極2がリードフレーム30とはんだ40等を介して接合されているとともに、第2の主面1Bがはんだ40を介して熱拡散板20と接合されている。
半導体基板1はリードフレーム30と対向する第1の主面1Aと、第1の主面1Aと反対側に位置して熱拡散板20と対向する第2の主面1Bとを有している。第1の主面1Aには電極2が形成されており、電極2はリードフレーム30とはんだ40等を介して接合されている。第2の主面1Bははんだ40を介して熱拡散板20と接合されている。半導体基板1を構成する材料は、任意の半導体材料とすることができ、たとえば炭化珪素(SiC)である。
半導体基板1の第2の主面1Bには、熱拡散板20とはんだ接合するためのメタル膜(図示しない)が形成されている。第2の主面1Bは、たとえば第1の主面1A上に保護膜5が形成された後に、半導体基板1の第1の主面1Aに反対側に位置する面が研削、研磨、エッチング等され、表出された面である。上記メタル膜は、第2の主面1B上に形成されている。第1の主面1Aと第2の主面1Bとの間の半導体基板1の厚みは、たとえば0.3mmである。また、上記メタル膜は、たとえばオーミックコンタクト層としてのニッケルシリサイド(NiSi)膜と、該NiSi膜上に形成されたチタン(Ti)/Ni/金(Au)の積層膜とからなる。NiSi膜は、たとえばまずNi膜がスパッタ法により形成され、その後アニール処理が施されることでNiSi膜となり半導体基板1とオーミックコンタクトする。該Ni膜の膜厚は、たとえば0.1μm以上2.0μm以下である。Ti/Ni/Auの積層膜は、たとえばスパッタ法により形成される。なお、上記メタル膜は、めっき法により形成されてもよい。また、上記メタル膜は、後述する第1の主面1A上に形成されるフロントメタル膜6などと同時に形成されてもよい。
電極2は、半導体基板1の第1の主面1A上において部分的に形成されており、第1の主面1A上において端部を有している。電極2を構成する材料は、任意の導電材料とすることができ、たとえば純アルミニウム(Al)である。他に、電極2を構成する材料は、珪素(Si)や銅(Cu)を含むAl合金、Cuやニッケル(Ni)を主成分とする合金であってもよい。電極2の膜厚は、たとえば2.0μm以上6.0μm以下であり、第1の主面1A上において一定である。
はんだ流出防止層3は、電極2の表面上において部分的に形成されており、当該表面上において側縁部を有している。はんだ流出防止層3の当該側縁部は、はんだ流出防止層3の中心(電極2の中央部、あるいは後述する保護膜5の開口部5Aの中心、以下単に中心という)から離れていくにしたがって膜厚が徐々に減少するように形成されている。言い換えると、はんだ流出防止層3の当該側縁部において、電極2と接する面と反対側に位置する面(上面)は、第1の主面1Aに対して鋭角を成すように傾斜している傾斜面である。はんだ流出防止層3において当該側縁部よりも内側に位置する内周部は、膜厚が一定に設けられている。
はんだ流出防止層3を構成する材料は、電極2とはんだとの接触を防止することができる限りにおいて、任意の導電材料とすることができる。はんだ流出防止層3は、たとえばTi膜3aとNi膜3bの積層膜として構成されている。この場合、Ti膜3aが電極2の表面と接するように形成されており、Ni膜3bがTi膜3a上に形成されている。この場合、Ti膜3aおよびNi膜3bは、いずれも側縁部において、中心から離れていくにしたがって膜厚が徐々に減少するように形成されている。はんだ流出防止層3の内周部におけるTi膜3aの膜厚は、たとえば0.002μm以上0.5μm以下であり、Ni膜3bの膜厚はたとえば0.1μm以上5μm以下である。Ti膜3aは、電極2とはんだ流出防止層3との高い密着性を実現するための中間膜である。はんだ流出防止層3の上層膜であるNi膜3bは、フロントメタル膜6とリードフレーム30とがはんだ40により接合される際における電極2の保護材料として機能するとともに、はんだとの接合材料として機能する限りにおいて、Ni以外の材料で構成されていてもよい。また、はんだ流出防止層3の上層膜であるNi膜3bは、フロントメタル膜6の膜厚が十分厚ければ、はんだとの接合材料として機能を必ずしも必要としない。
はんだ流出防止層3は、当該側縁部および当該側縁部の近傍に位置する内周部の一部が後述するキャップ層4と接触している。また、はんだ流出防止層3は、上記キャップ層4と接触している部分以外が後述する保護膜5の開口部5A内においてフロントメタル膜6と接触している。はんだ流出防止層3は上記キャップ層4と接触している。言い換えると、はんだ流出防止層3において、フロントメタル膜6と接合する部分の端部a(図3参照)とはんだ流出防止層3の最外周部b(図3参照)とが、第1の主面1Aに対して垂直な方向において重ならないように形成されている。
キャップ層4は、少なくともはんだ流出防止層3の上記側縁部上に形成されている。キャップ層4は、たとえばはんだ流出防止層3の上記側縁部における上記傾斜面上に形成されているとともに、はんだ流出防止層3の上記内周部における第1の主面1Aに平行な面上の一部に形成されている。異なる観点から言えば、キャップ層4は、はんだ流出防止層3の内周部上において開口部を有している。第1の主面1Aに沿った方向におけるキャップ層4の外周部は、はんだ流出防止層3の側縁部と重なるように形成されている。キャップ層4の内周端部は、はんだ流出防止層3の内周部上に設けられており、保護膜5の開口部5Aに連なる領域に形成されている。
キャップ層4は、当該外周部上において、はんだ流出防止層3の中心から離れていくにしたがって膜厚が徐々に減少するように形成されている。キャップ層4において、はんだ流出防止層3と接する面と反対側に位置する面(上面)は、後述する保護膜5の端面における第2接触面50Bと接している。キャップ層4の内周端部は、後述するフロントメタル膜6と接触している。
保護膜5は、電極2の端部(第1の主面1Aと交差する電極2の端面および当該端面から一定距離だけ電極2の中央部側に位置する部分)、およびはんだ流出防止層3の側縁部およびキャップ層4の上記外周部を覆うように形成されている。保護膜5は、たとえば電極2の中央部上であって、はんだ流出防止層3の内周部上において開口部5Aを有している。
保護膜5の開口部5Aの端部を成す側壁5Eは、電極2、はんだ流出防止層3、およびキャップ層4上に形成されており、フロントメタル膜6に面している。側壁5Eは、たとえば保護膜5の開口部5Aの中心に近づくにつれて第1の主面1Aに対する高さが低くなるようなテーパー状に設けられている。
保護膜5は、その開口部5Aに連なる領域(言い換えると、側壁5Eに連なる領域)において、側壁5Eと電極2との間に形成されており、保護膜5とフロントメタル膜6との界面と保護膜5と電極2との界面との間にあって、これらを接続している接続面50を有している。言い換えると、接続面50は、保護膜5とフロントメタル膜6との界面を形成する側壁5Eと連なるように形成されている。実施の形態1における接続面50は、キャップ層4(あるいは後述するキャップ層4がサイドエッチングされた領域におけるフロントメタル膜6)と接続されており、たとえば第1接触面50Aと第2接触面50Bとを有している。
第1接触面50Aは、ほぼ第1の主面1Aに沿った方向に延びるように形成されている。具体的には、第1接触面50Aは、キャップ層4において第1の主面1Aに沿った方向に延びる面と接続されており、側壁5Eに連なって形成されている。保護膜5において第1接触面50Aと側壁5Eとの成す角度は、直角あるいは鈍角であってもよいが、好ましくは鋭角である。第1接触面50Aの幅(第1の主面1Aに沿った方向であって保護膜5の開口部5Aの周方向に垂直な方向における幅)は、たとえば1μm以上あればよく、保護膜5を形成する際の写真製版時に用いられるマスクの位置合わせ精度に応じてたとえば10μm程度とすればよい。なお、この幅を200μm等に広げると、保護膜5の端面においてフロントメタル膜6から電極2へ至る部分の距離を長くすることができるために電極2へのはんだ流出を確実に防止する観点からは有効性が増すが、保護膜5の開口部の面積は小さくなるために半導体素子10から電極2を介した半導体素子10の外部への伝熱性が低下する。この傾向は、第1接触面50Aの幅が広く、かつ保護膜5の開口部の面積が小さい場合に顕著に表れる。そのため、第1接触面50Aの幅は、デバイス特性を維持するという観点からデバイス設計により最適な値に設定する必要があり、たとえば50μm以下に設定される。第1接触面50Aの幅を50μmとすれば、保護膜5の開口部が3mm平方と比較的小さい場合であっても、電極2の熱伝導率が面積に比例すると仮定したときの伝熱性の低下率は3%程度に留めることができる。
第2接触面50Bは、第1の主面1Aに対して交差する方向に延びるように形成されている。具体的には、第2接触面50Bは、キャップ層4において第1の主面1Aに対して交差する方向に延びる面と接続されており、第1接触面50Aに連なって形成されている。第1の主面1Aに対する第2接触面50Bの傾斜角は、直角あるいは鈍角であってもよいが、好ましくは鋭角である。
保護膜5は、一般的な半導体素子において保護膜として用いられている任意の保護膜により構成されていればよく、たとえばポリイミド膜として構成されていてもよいし、無機膜の積層構造として構成されていてもよい。また、感光性を有している材料で構成されていてもよいし、有していない材料で構成されていてもよい。保護膜5の膜厚は、はんだ流出防止層3上に位置する領域においてたとえば6μmである。また、はんだ流出防止層3が形成されていない電極2上に位置する領域における保護膜5の膜厚は、たとえば7μmであるが、はんだ流出防止層3上に位置する領域と同じ厚みでもよいし、薄くてもよい。
フロントメタル膜6は、保護膜5の開口部5A内に形成されており、当該開口部5A内において少なくともはんだ流出防止層3およびキャップ層4と接触している。
保護膜5とフロントメタル膜6との界面は側壁5E上に形成されている。当該界面において保護膜5とフロントメタル膜6とは接触していてもよいし、剥離していてもよい(隙間を有していてもよい)。つまり、本明細書において、保護膜5およびフロントメタル膜6の2つの固相の界面は、2つの固相が接触している面だけでなく、2つの固相が液相や気相を介して接続されている面も含むものとする。フロントメタル膜6を構成する材料はたとえばNiであり、フロントメタル膜6はたとえばめっき法により成膜されている。フロントメタル膜6の膜厚は、電極2上に形成されている保護膜5の膜厚よりも薄く、たとえば3μm以上5μm以下である。
フロントメタル膜6の表面上には、酸化防止膜7が形成されている。酸化防止膜7を構成する材料は、たとえばAuである。酸化防止膜7の膜厚は、たとえば10nm以上100nm以下である。
次に、図4および図5を参照して、実施の形態1に係る半導体素子の製造方法について説明する。図5は、実施の形態1に係る半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
はじめに、半導体基板1を準備する(工程(S10))。半導体基板1は、第1の主面1Aを有し、第1の主面1A上に電極2が形成されている。たとえば、スパッタリング法を用いて半導体基板1の第1の主面1Aの全面に電極2を構成する材料(たとえばAlを含む金属材料)を成膜する。次に、写真製版によりレジストマスク(図示しない)を形成し、該レジストマスクから露出している領域に成膜されている金属材料(電極2)をエッチングする。これにより、半導体基板1の第1の主面1A上に電極2が形成される。電極2のエッチングはたとえば混酸(リン酸、酢酸、硝酸)を用いたウエットエッチングにより実施される。レジストマスクは、エッチング終了後、有機溶剤などにより除去する。
次に、はんだ流出防止層3とキャップ層4とを積層するように形成する(工程(S20))。はんだ流出防止層3およびキャップ層4は、たとえばステンレス(SUS)製ステンシルマスクを用いた蒸着法により電極2の表面上に連続して形成される。はんだ流出防止層3はたとえばTi(0.1μm)/Ni(0.5μm)、キャップ層4はたとえばTi(0.1μm)である。
次に、保護膜5を形成する(工程(S30))。たとえば、まず保護膜5の構成材料(たとえばポリイミド)をスピンコート法により半導体基板1の第1の主面1A上に塗布した後、加熱処理によりポリイミドを乾燥させる。加熱処理は、たとえば加熱温度120℃、加熱時間3分の条件で行われる。次に、レジストマスクを用いた写真製版加工により、電極2、はんだ流出防止層3およびキャップ層4上に位置するポリイミドを部分的にドライエッチングすることで、ポリイミドに開口部を形成する。レジストマスクは、エッチング終了後、有機溶剤などにより除去する。次に、加熱処理によりポリイミドを硬化させる。加熱硬化処理は、たとえば加熱温度350℃、加熱時間1時間程度の条件で行われる。これにより、電極2、はんだ流出防止層3およびキャップ層4上に開口部5Aを有し、かつ電極2、はんだ流出防止層3およびキャップ層4の端部を覆う保護膜5が形成される。保護膜5の膜厚はたとえば3μm以上10μm以下である。
次に、保護膜5の開口部5A内のはんだ流出防止層3上にフロントメタル膜6を形成する(工程(S40))。まず、保護膜5の開口部5A内に表出したキャップ層4を除去する。キャップ層4の除去は、キャップ層4を選択的にエッチングすることができる限りにおいて、任意の方法により実施され得るが、たとえば希フッ酸(HF)などによりウエットエッチングされる。キャップ層4をウエットエッチングした後、半導体基板1の第1の主面1A側を乾燥させることなく連続してフロントメタル膜6を形成する。フロントメタル膜6は、たとえば無電解めっき法により形成される。さらに、フロントメタル膜6上に酸化防止膜7を連続して形成する。
このようにして、実施の形態1に係る半導体素子が製造される。半導体素子10における半導体基板1の第2の主面1Bと熱拡散板20とをはんだ40を介して接合し、酸化防止膜7とリードフレーム30とをはんだ40を介して接合することにより、実施の形態1に係る半導体装置100を得ることができる。つまり、実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法は、実施の形態1に係る半導体素子の製造方法に、半導体素子10と熱拡散板20およびリードフレーム30とをはんだ40により接合する工程(S40)をさらに備えている。
次に、実施の形態1に係る半導体素子10、半導体装置100および半導体素子の製造方法に係る作用効果について説明する。
実施の形態1に係る半導体素子10は、第1の主面1Aを有する半導体基板1と、第1の主面1A上に形成されている電極2と、電極2の表面上に形成されているはんだ流出防止層3と、はんだ流出防止層3の表面上において開口部5Aを有し、電極2の少なくとも端部を覆うように形成されている保護膜5と、開口部5Aにおいてはんだ流出防止層3上に形成されているフロントメタル膜6とを備える。
このようにすれば、保護膜5とフロントメタル膜6との界面は、はんだ流出防止層3の表面上に接続されており、はんだ流出防止層3と保護膜5との接続面を経て保護膜5と電極2との界面に接続されている。つまり、保護膜5とフロントメタル膜6との界面は保護膜5と電極2との界面に直接接続されていない。そのため、保護膜5とフロントメタル膜6との界面に隙間が生じている場合であっても、はんだ流出防止層3が当該界面に流入したはんだの保護膜5と電極2との界面への侵入を阻むことができる。その結果、半導体素子10は、従来の半導体素子と比べて高い信頼性を有している。
さらに、半導体素子10において、フロントメタル膜6ははんだ流出防止層3上に形成されており、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが第1の主面1Aに垂直な方向において積層している。そのため、半導体素子10は、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが第1の主面1Aに平行な面内において異なる領域に形成されている場合、すなわちはんだ流出防止層3が第1の主面1Aに平行な面内においてフロントメタル膜6の外周囲を囲むように形成されている平面構造の半導体素子と比べて、高い信頼性を有している。
はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが第1の主面1Aに沿った方向に連なるように形成されている場合、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とはたとえば同一金属膜として形成される。このとき、半導体素子の高耐熱化や高寿命化を図る観点からフロントメタル膜6の膜厚を厚くするのが好ましいが、当該金属膜の膜厚を厚くするとはんだ流出防止層3の膜厚も厚くなる。その結果、はんだ流出防止層3の外縁部と保護膜5との界面にボイドが生じやすくなったり、あるいは保護膜5の膜質が劣化しやすいという問題がある。
これに対し、半導体素子10は、フロントメタル膜6とはんだ流出防止層3とが積層構造を成すため、フロントメタル膜6の膜厚を厚くして高寿命化を図りながらも、はんだ流出防止層3の膜厚をフロントメタル膜6よりも薄くして上記ボイドの形成や保護膜の膜質劣化を抑制することができる。その結果、半導体素子10は、上述のような平面構造の半導体素子と比べて高い信頼性を有している。
また、半導体素子10において、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが積層することにより形成されるNi膜は、第1の主面1Aに垂直な断面において鋭角な凹み形状を有している。そのため、半導体素子10に熱応力が生じた場合にも、当該凹み形状部(たとえば図9における点aを含む部分)に応力を集中させることができる。このようにすれば、大きな熱応力が生じた場合にも、当該凹み形状部からフロントメタル膜6内に延びるよう亀裂を発生させることができ、電極2内に亀裂が発生して電極2からデバイス構造部が破壊されることを防止することができる。電極2内に亀裂が生じた場合には半導体素子10の破壊(たとえば半導体素子10がMOS−FETの場合にはゲート破壊)が引き起こされるが、フロントメタル膜6内に亀裂が生じても、半導体素子10の破壊には至らない。つまり、半導体素子10は、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが積層構造を有していることにより、高い信頼性を有している。
なお、上述のような平面構造を有する半導体素子では、仮にはんだ流出防止層3とフロントメタル膜6との境界部で応力を集中させることができたとしても、上述したような理由からこれらの膜厚を厚くすることが困難であるため、はんだ流出防止層3およびフロントメタル膜6により十分に応力を緩和することができず、電極2にも亀裂が生じやすい。
また、実施の形態1に係る半導体素子10は、開口部5Aに連なる領域において、はんだ流出防止層3上に形成されているキャップ層4をさらに備える。開口部5Aに連なる領域において、保護膜5とはんだ流出防止層3とはキャップ層4(またはフロントメタル膜6)を介して接続されている。
このようにすれば、はんだ流出防止層3と保護膜5とは、はんだ流出防止層3と保護膜5とがキャップ層4を介して接続されるように構成されており、はんだ流出防止層3とキャップ層4との界面およびキャップ層4と保護膜5との界面(接触面60)には隙間が形成されていない。そのため、保護膜5とフロントメタル膜6との界面に隙間が生じている場合であっても、はんだ流出防止層3、キャップ層4、および保護膜5とがそれぞれ隙間無く接続されているため、たとえば当該界面に流入したはんだが保護膜5と電極2との界面に到達することを防止することができる。
その結果、電極2まではんだが濡れ広がることにより生じる異常(たとえば実使用時の温度履歴で電極2にクラックが進展したり、電極2が破壊されるなどの異常)の発生を防止することができ、半導体素子10は高い信頼性を有している。
なお、フロントメタル膜6をたとえば無電解めっき法により形成する場合であっても、はんだ流出防止層3、キャップ層4、および保護膜5とがそれぞれ隙間無く接続されているため、たとえばAuめっき液が当該界面に侵入して保護膜5と電極2との界面に到達することを防止することができる。その結果、電極2までめっき液が侵入することにより生じる異常についても発生を抑制することができる。
また、はんだ流出防止層3は、保護膜5の開口部5Aに連なる領域において、当該開口部5Aから離れていくにしたがって膜厚が徐々に減少している。
このように構成すれば、はんだ流出防止層3との保護膜5と間の密着性を改善することができ、はんだ流出防止層3と保護膜5との界面に隙間(ボイド)が生じることを抑制することができ、はんだが当該界面を流通して電極2に達することをより確実に防止することができる。
また、電極2を構成する材料はAlを含み、はんだ流出防止層3において、電極2と接する部分を構成する材料はTiを含み、キャップ層4において、保護膜5と接する部分を構成する材料はTiを含む。
このようにすれば、はんだ流出防止層3におけるTi膜3aにより、はんだ流出防止層3と電極2との密着性を高めることができる。
はんだ流出防止層3においてTi膜3a以外の部分は、主な構成材料がNiであるNi膜3bを含む。言い換えると、Ti膜3aとキャップ層4とは、それぞれNi膜3bを挟むようにNi膜3bと接続されている。このようにすれば、Ni膜3bは、フロントメタル膜6と同様にはんだとの接合材料として機能するとともに、電極2の保護材料として機能することができる。
また、はんだ流出防止層3において、フロントメタル膜6と接合する部分の端部a(図3参照)とはんだ流出防止層3の最外周部b(図3参照)とが、第1の主面1Aに対して垂直な方向において重ならないように形成されている。
このようにすれば、半導体素子10や半導体装置100が加熱された場合にも、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが接合する部分の端部aに熱応力が集中しないため、フロントメタル膜6とはんだ流出防止層3とが剥離することを防止することができる。そのため、フロントメタル膜6の膜質を均一化することができ、はんだ接合時にはんだとフロントメタル膜6との合金層を均一に形成することができる。その結果、信頼性の高い半導体素子10および半導体装置100を得ることができる。
また、実施の形態1に係る半導体素子の製造方法は、第1の主面1Aを有し、第1の主面1A上に電極2が形成されている半導体基板1を準備する工程(S10)と、電極2の表面上にはんだ流出防止層3を形成する工程(S20)と、はんだ流出防止層3の表面上において開口部5Aを有し、電極2の少なくとも端部を覆うように保護膜5を形成する工程(S30)と、開口部5A内のはんだ流出防止層3上にフロントメタル膜6を形成する工程とを備える。このようにすれば、半導体素子10を容易に得ることができる。
また、はんだ流出防止層3を形成する工程(S20)では、はんだ流出防止層3上にはんだ流出防止層3と積層するキャップ層4をさらに形成し、フロントメタル膜6を形成する工程(S40)では、開口部5A内のキャップ層4を除去するとともに開口部5A内のはんだ流出防止層3上にフロントメタル膜6を形成する。
このようすれば、フロントメタル膜6を形成する工程(S40)においてめっき前処理としてはんだ流出防止層3に対し活性化処理(たとえば脱脂、エッチング、ダブルジンケートなど)を行わなくてもフロントメタル膜6をはんだ流出防止層3と密着性良く形成することができる。
なお、実施の形態1に係る半導体素子10では、開口部5Aに連なる領域において保護膜5とはんだ流出防止層3との間にはキャップ層4が形成されているが、これに限られるものではない。半導体素子10は、キャップ層4が形成されておらず、開口部5Aに連なる領域においてはんだ流出防止層3と保護膜5とが直接接続されていてもよい。このようにしても、保護膜5とフロントメタル膜6との界面は、はんだ流出防止層3の表面上に接続されており、はんだ流出防止層3と保護膜5との接続面を経て保護膜5と電極2との界面に接続されている。つまり、保護膜5とフロントメタル膜6との界面は保護膜5と電極2との界面に直接接続されていない。そのため、保護膜5とフロントメタル膜6との界面に隙間が生じている場合であっても、はんだ流出防止層3が当該界面に流入したはんだの保護膜5と電極2との界面への侵入を阻むことができる。その結果、半導体素子10は、従来の半導体素子と比べて高い信頼性を有している。なお、この場合には、フロントメタル膜6を形成する工程(S40)において、前処理としてはんだ流出防止層3に対し活性化処理(たとえば脱脂、エッチングなど)を行うのが好ましい。
なお、実施の形態1に係る半導体素子10では、キャップ層4ははんだ流出防止層3において第1の主面1Aに対して交差する方向に延びる端面上にも形成されているが、これに限られるものではない。図6および図7を参照して、はんだ流出防止層3の端面がたとえば第1の主面1Aに対して略垂直に伸びるように形成されている場合には、キャップ層4は少なくともはんだ流出防止層3において上記端面に連なり第1の主面1Aに沿った方向に延びる上面と保護膜5との界面上に形成されていればよい。具体的には、はんだ流出防止層3の加工が一般的な写真製版とウエットエッチングによって実施される場合に、図4および図5に示すようなはんだ流出防止層3が形成される。このとき、キャップ層4は、保護膜5とフロントメタル膜6との界面と保護膜5と電極2との界面との間を接続する接続面50において、第1の主面1Aに沿った方向に延びる第1接触面50A上にのみ形成されていてもよい。このような半導体素子10であっても、はんだ流出防止層3、キャップ層4、および保護膜5とがそれぞれ隙間無く接続されているため、実施の形態1に係る半導体素子10と同様の効果を奏することができる。
実施の形態1に係る半導体素子10では、キャップ層4を構成する材料をTiとしたが、これに限られるものではない。キャップ層4を構成する材料は、たとえばAlであってもよい。この場合、キャップ層4の膜厚はたとえば0.2μmである。このようにしても、主な構成材料がNiであるはんだ流出防止層3に対しジンケート処理を行うことなく、はんだ流出防止層3上に主な構成材料がNiであるフロントメタル膜6をめっき法により形成することができる。また、はんだ流出防止層3はTi膜3aとNi膜3bの積層膜として構成されているが、Ti膜3aに代えて、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)などからなる膜で構成されていてもよい。また、Ni膜3bに代えて、パラジウム(Pd)でからなる膜で構成されていてもよい。
また、実施の形態1に係る半導体素子10において、はんだ流出防止層3はマスク蒸着法を用いて形成されるが、これに限られるものではない。はんだ流出防止層3は、たとえばリフトオフ法により形成されてもよい。この場合、はんだ流出防止層3およびキャップ層4は、いずれも電極2となるAl膜を成膜後、該Al膜を電極2にパターニングする前に形成されるのが好ましい。
(実施の形態2)
次に、図8および図9を参照して、実施の形態2に係る半導体素子11および半導体装置について説明する。図8は半導体装置100における半導体素子11のはんだ接合部を説明するための断面図である。図9は図8の部分拡大図である。実施の形態2に係る半導体素子11および半導体装置は、基本的には実施の形態1に係る半導体素子10および半導体装置100と同様の構成を備えるが、以下の点で相違する。
保護膜5が第1保護膜51と第1保護膜51と積層する第2保護膜52とを含む。第1保護膜51は電極2の表面上において第1開口部5Bを有し、電極2の少なくとも端部を覆うように形成されている。はんだ流出防止層3は第1開口部5B内において電極2上に形成されている。
第2保護膜52は第1開口部5B内においてはんだ流出防止層3の一部と重なる第2開口部(開口部5A)を有し、はんだ流出防止層3の少なくとも端部を覆うように形成されている。第2保護膜52の第2開口部5Aは、半導体素子11を平面視したときに、第1保護膜51の第1開口部5B内に含まれるように形成されている。言い換えると、第2保護膜52の第2開口部5Aの底部(第1の主面1Aに垂直な方向において半導体基板1側に位置する第2保護膜52の端部)における開口面積は、第1保護膜51の第1開口部5Bの上部(第1の主面1Aに垂直な方向において酸化防止膜7側に位置する第1保護膜51の端部)の開口面積よりも小さい。異なる観点から言えば、第2保護膜52は、第1保護膜51に対し、はんだ流出防止層3上に迫り出すように形成されており、キャップ層4は、はんだ流出防止層3と第2保護膜52との間を接続するように形成されている。
実施の形態2に係るはんだ流出防止層3を構成する材料はたとえばNiである。キャップ層4を構成する材料はたとえばAuである。はんだ流出防止層3およびキャップ層4は、第1の主面1Aに沿った方向においてその膜厚が一定となるように形成されている。はんだ流出防止層3の膜厚は、たとえば1μm以上3μm以下である。また、キャップ層4の膜厚は、たとえば20nm以上100nm以下である。
第2保護膜52の第2開口部5Aの端部を成す側壁5Eは、電極2、はんだ流出防止層3、およびキャップ層4上に形成されており、フロントメタル膜6に面している。
実施の形態2において、接続面50は、キャップ層4と接触している第3接触面50Cと、はんだ流出防止層3およびキャップ層4と接触している第4接触面50Dとを有している。第3接触面50Cは、第1の主面1Aに沿った方向に延びるように形成されている。第4接触面50Dは、第1の主面1Aに対して交差する方向に延びるように形成されている。保護膜5において側壁5Eと第3接触面50Cとの成す角度は、直角あるいは鈍角であってもよいが好ましくは鋭角である。保護膜5において第3接触面50Cと第4接触面50Dとの成す角度は、直角あるいは鋭角であってもよいが好ましくは鈍角である。言い換えると、第1の主面1Aに対する第4接触面50Dの傾斜角は、直角あるいは鈍角であってもよいが好ましくは鋭角である。
このとき、第1の主面1Aに垂直な方向において半導体基板1側に位置する第2保護膜52の端部は、保護膜5の開口部の周方向に垂直な方向に沿って延びる第1の主面1Aに垂直な面における、第3接触面50Cとキャップ層4とが接している部分の長さと、第4接触面50Dとはんだ流出防止層3とが接している部分の長さの和が、片側5μm以上1mm以下の距離を有するように(前進するように)形成されているのが好ましい。当該距離が大きいほど、仮に保護膜5とはんだ流出防止層3との界面において隙間が生じて当該隙間にはんだが侵入した場合にも、当該界面を通って電極2にはんだが達するまでの時間を遅らせることができる。なお、当該距離の下限値は、たとえば第2開口部5A内に表出しているキャップ層4をエッチングする際の、サイドエッチング量よりも長くなるように設けられる。
第3接触面50Cの幅(第1の主面1Aに沿った方向であって保護膜5の開口部の周方向に垂直な方向における幅)は1μm以上あれば良く、マスクの写真製版位置合わせ精度を考慮して、10μmとした。なお、この幅を200μm等に広げると、フロントメタル膜6から電極2へ至るはんだ流出経路が長くなるために電極2へのはんだ流出を防止する観点からは有効性が増すが、デバイス特性を維持するという観点からはチップ上への伝熱性が低下するため、デバイス設計により最適な値に設定する必要があり50μm以下に設定される。
側壁5Eと第3接触面50Cとが連なる領域における第1保護膜51と第2保護膜52との膜厚の合計はたとえば6μmである。一方、はんだ流出防止層3やキャップ層4が形成されていない領域(たとえば半導体基板1上に保護膜5が直接形成されている領域)における第1保護膜51と第2保護膜52との膜厚の合計はたとえば7μmである。第2保護膜52の表面は、はんだ流出防止層3の膜厚分を吸収してなだらかな表面となっている。
次に、図10を参照して、実施の形態2に係る半導体素子および半導体装置の製造方法について説明する。図10は、実施の形態2に係る半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。実施の形態2に係る半導体素子および半導体装置の製造方法は、基本的には実施の形態1に係る半導体素子および半導体装置の製造方法と同様の構成を備えるが、はんだ流出防止層3とキャップ層4とを積層するように形成する工程(S20)に先立って第1保護膜51を形成する工程(S31)を、当該工程(S20)後に第2保護膜52を形成する工程(S32)をさらに備える点で異なる。
まず、半導体基板1を準備する(工程(S10))。本工程(S10)は、実施の形態1に係る半導体素子の製造方法と同様に実施され得る。これにより、第1の主面1A上に電極2が部分的に形成された半導体基板1が準備される。
次に、第1保護膜51を形成する(工程(S31))。たとえば、まず第1保護膜51の構成材料(たとえばポリイミド)をスピンコート法により半導体基板1の第1の主面1A上に塗布した後、加熱処理によりポリイミドを乾燥させる。加熱処理は、たとえば加熱温度120℃、加熱時間3分の条件で行われる。次に、レジストマスクを用いた写真製版加工により、電極2上に位置するポリイミドの一部を部分的にドライエッチングすることで、ポリイミドに開口部を形成する。ここで、第1の主面1Aに沿った方向において、第1保護膜51の該開口部の端部は、電極2の外周端部から所定の距離だけその内側に位置するように形成される。レジストマスクは、エッチング終了後、有機溶剤などにより除去する。次に、加熱処理によりポリイミドを硬化させる。加熱硬化処理は、たとえば加熱温度350℃、加熱時間1時間程度の条件で行われる。これにより、図10(a)に示すように、電極2上に開口部を有し、かつ電極2の端部を覆う第1保護膜51が形成される。なお、本工程(S31)における第1保護膜51のパターニングは、加熱硬化処理後の当該第1保護膜51の第1開口部5Bの端部が半導体素子10における最終的な第4接触面50Dとなるように実施される。
次に、はんだ流出防止層3とキャップ層4とを積層するように形成する(工程(S20))。はんだ流出防止層3およびキャップ層4は、たとえば無電解めっき法により電極2の表面上に連続して形成される。
次に、第2保護膜52を形成する(工程(S32))。本工程(S32)において、第2保護膜52は、先の工程(S31)における第1保護膜51と同様の方法で形成され得る。具体的には、
まず第2保護膜52の構成材料(たとえばポリイミド)をスピンコート法により半導体基板1の第1の主面1A上に塗布した後、加熱処理によりポリイミドを乾燥させる。加熱処理は、たとえば加熱温度120℃、加熱時間3分の条件で行われる。次に、レジストマスクを用いた写真製版加工により、電極2上であって第1保護膜51の第1開口部5B内に位置するポリイミドの一部を部分的にドライエッチングすることで、ポリイミドに開口部を形成する。ここで、第1の主面1Aに沿った方向において、第2保護膜52の該開口部の端部は、第1保護膜51の第1開口部5Bの端部から所定の距離だけその内側に位置するように形成される。当該距離はたとえば10μm以上1mm以下である。レジストマスクは、エッチング終了後、有機溶剤などにより除去する。次に、加熱処理によりポリイミドを硬化させる。加熱硬化処理は、たとえば加熱温度350℃、加熱時間1時間程度の条件で行われる。これにより、図10(a)に示すように、電極2上に開口部を有し、かつ電極2の端部を覆う第2保護膜52が形成される。言い換えると、第1保護膜51および第2保護膜52の積層体として構成された保護膜5が形成される。なお、本工程(S31)における第2保護膜52のパターニングは、加熱硬化処理後の当該第2保護膜52の第2開口部5Aの端部が半導体素子10における最終的な側壁5Eとなるように実施される。
次に、第2保護膜52の第2開口部5A内のはんだ流出防止層3上にフロントメタル膜6を形成する(工程(S40))。まず、第2保護膜52の第2開口部5A内に表出したキャップ層4を除去する。キャップ層4の除去は、キャップ層4を選択的にエッチングすることができる限りにおいて、任意の方法により実施され得るが、たとえばヨウ素系エンチャントを用いてウエットエッチングされる。キャップ層4をウエットエッチングした後、半導体基板1の第1の主面1A側を乾燥させることなく連続してフロントメタル膜6を形成する。フロントメタル膜6は、たとえば無電解めっき法により形成される。さらに、フロントメタル膜6上に酸化防止膜7を連続して形成する。フロントメタル膜6の膜厚は、たとえば2μm以上4μm以下であり、酸化防止膜7の膜厚は、たとえば20nm以上100nm以下である。このようにして、実施の形態2に係る半導体素子11を得ることができる。
なお、本工程(S40)におけるキャップ層4のウエットエッチングは、該ウエットエッチングにより形成されるキャップ層4の内周端部と第2保護膜52の第2開口部5Aの端部との距離がたとえば5μm以下となるように行われる。異なる観点から言えば、はんだ流出防止層3の面出し加工は、キャップ層4のサイドエッチング量が5μm以下となるように行われる。このようにすれば、第1の主面1Aに沿った方向における、第1保護膜51の第1開口部5Bの端部と第2保護膜52の第2開口部5Aの端部との距離をたとえば5μm以上1mm以下と長くとることができ、第2保護膜52とはんだ流出防止層3とがキャップ層4を介して接続されている領域を広くとることができる。この結果、第2保護膜52とフロントメタル膜6との界面(側壁5Eを有する面)にはんだ等が流出可能な隙間が生じている場合にも、当該はんだが電極2に達するまでに要する進行距離を長くすることができるため、はんだが電極2に達するまでに要する時間を長くすることができる。なお、半導体素子11の電気的特性や熱的特性の観点からは、キャップ層4の内周端部と第2保護膜52の第2開口部5Aの端部との距離は短い方が好ましい。そのため、当該距離は、信頼性の観点と電気的特性や熱的特性とにより設定されればよい。
さらに、半導体素子11における半導体基板1の第2の主面1Bと熱拡散板20とをはんだ40を介して接合し、酸化防止膜7とリードフレーム30とをはんだ40を介して接合することにより、実施の形態2に係る半導体装置を得ることができる。つまり、実施の形態2に係る半導体装置の製造方法は、実施の形態2に係る半導体素子の製造方法と、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の、半導体素子10と熱拡散板20およびリードフレーム30とをはんだ40により接合する工程(S40)とを備えている。
このようにして得られた実施の形態2に係る半導体素子11では、第2保護膜52とフロントメタル膜6との界面は、はんだ流出防止層3の表面上に接続されており、はんだ流出防止層3と第2保護膜52との接続面およびはんだ流出防止層3と第1保護膜51との接続面を経て第1保護膜51と電極2との界面に接続されている。つまり、第2保護膜52とフロントメタル膜6との界面は第1保護膜51と電極2との界面に直接接続されていない。そのため、第2保護膜52とフロントメタル膜6との界面に隙間が生じている場合であっても、はんだ流出防止層3が当該界面に流入したはんだの保護膜5と電極2との界面への侵入を遅らせることができる。その結果、半導体素子10は、従来の半導体素子と比べて高い信頼性を有している。
また、はんだ流出防止層3とキャップ層4とが無電解めっき法により連続して形成されているためこれらの密着性が高く、また、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが酸化膜等を介することなく形成されているためこれらの密着性が高い。さらにキャップ層4上には酸化膜の形成が抑制されているためキャップ層4と第2保護膜52との密着性も高い。そのため、仮に第2保護膜52とフロントメタル膜6との界面に隙間が生じている場合にも、はんだなどが当該隙間から電極2側に流出することを防止することができるため、たとえばNi腐食の進行を防止することができる。その結果、実施の形態2に係る半導体素子11および半導体装置は、電極2にクラックなどが生じたり、またフロントメタル膜6がはんだ流出防止層3から剥離する等の異常の発生が抑制されている。
つまり、実施の形態2に係る半導体素子および半導体装置は、実施の形態1に係る半導体素子10および半導体装置100と同様に高い信頼性を有している。また、実施の形態2に係る半導体素子の製造方法および半導体装置の製造方法によれば、実施の形態1に係る半導体素子10および半導体装置100の製造方法と同様に、信頼性の高い半導体素子11および半導体装置を提供することができる。
なお、はんだ流出防止層3において、フロントメタル膜6と接合する部分の端部a(図9)と電極2と接合する部分の最外周部b(図9参照)とが、第1の主面1Aに対して垂直な方向において重ならないように形成されているのが好ましい。
このようにすれば、半導体素子11や半導体装置が加熱された場合にも、はんだ流出防止層3とフロントメタル膜6とが接合する部分の端部aに熱応力が集中しないため、フロントメタル膜6とはんだ流出防止層3とが剥離することを防止することができる。そのため、フロントメタル膜6の膜質を均一化することができ、はんだ接合時にはんだとフロントメタル膜6との合金層を均一に形成することができる。その結果、信頼性の高い半導体素子11および半導体装置を得ることができる。
なお、実施の形態2に係る半導体素子11において、第1保護膜51および第2保護膜52を構成する材料は同一であったがこれに限られるものではない。
また、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体素子の製造方法では、フロントメタル膜6を形成する工程(S40)におけるフロントメタル膜6の形成前処理は必須ではない。具体的には、従来、Al電極上に無電解めっき法によりNi膜等を形成する際に必要であったAl電極に対する活性化処理(たとえば脱脂、エッチング、ダブルジンケートなど)が必須ではない。これは、フロントメタル膜6が第2保護膜52の第2開口部5A内においてキャップ層4を除去することによって表出されたはんだ流出防止層3上に形成され、かつ、その表出面を乾かすことなく当該表出面上にフロントメタル膜6を形成するため、はんだ流出防止層3の該表出面に対する活性化処理工程を実施しなくてもはんだ流出防止層3とフロントメタル膜6との密着性を確保することができるためである。つまり、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体素子の製造方法によれば、電極2に対する活性化処理を行うことなく、信頼性の高い半導体素子10および半導体装置を得ることができる。
一方、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体素子の製造方法では、フロントメタル膜6を形成する工程(S40)において、フロントメタル膜6の形成前処理をさらに実施してもよい。
なお、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体装置において、各構成部材の膜厚は上述した膜厚値に限定されるものではない。例えば、保護膜52の膜厚が3μmで、フロントメタル膜6(Niめっき膜)の膜厚が6μmである場合、フロントメタル膜6は保護膜52を乗り越え、きのこの笠状になる。このような構成としても、フロントメタル膜6と保護膜52の間に隙間が生じる場合があるが、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体装置と同様の効果が期待できる。
また、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体装置は、半導体素子10,11のフロントメタル膜6とリードフレーム30とがはんだ40により接合されているとともに、半導体基板1と熱拡散板20とがはんだ40により接合されているが、これに限られるものではない。たとえば、はんだ40に代えてナノ銀(Ag)ペーストを用いてこれらを接合してもよい。このような実施の形態1または実施の形態2に係る半導体装置においては、ナノ銀ペーストが電極2に達することが抑制されている。
また、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体素子10,11では、電極2上にはんだ流出防止層3、主な構成材料がNiであるフロントメタル膜6、および主な構成材料がAuである酸化防止膜7が積層した電極構造を有しているが、これに限られるものではない。たとえば、はんだ流出防止層3上に形成されるフロントメタル膜6および酸化防止膜7の積層構造が、Ni/パラジウム(Pd)/Au、Ni/Pd、Ni/Ag、Ni/Pd/Ag、Ni/Pd/Ag/Auなどであってもよい。このようにしても、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体素子10,11と同様の効果を奏することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
本発明は、電極の表面上に保護膜による開口部が形成されており、かつ当該表面上にめっき法により積層電極構造が形成されている半導体素子に特に有利に適用される。
1 半導体基板、1A 第1の主面、1B 第2の主面、2 電極、3 はんだ流出防止層、3a Ti膜、3b Ni膜、4 キャップ層、5 保護膜、5E 側壁、6 フロントメタル膜、7 酸化防止膜、10,11 半導体素子、20 熱拡散板、30 リードフレーム、40 はんだ、50 接続面、50A 第1接触面、50B 第2接触面、50C 第3接触面、50D 第4接触面、51 第1保護膜、52 第2保護膜、100 半導体装置。

Claims (10)

  1. 第1の主面を有する半導体基板と、
    前記第1の主面上に形成されている電極と、
    前記電極の表面上に形成されているはんだ流出防止層と、
    前記はんだ流出防止層の表面上において開口部を有し、前記電極の少なくとも端部を覆うように形成されている保護膜と、
    前記開口部において前記はんだ流出防止層上に形成されているフロントメタル膜とを備える、半導体素子。
  2. 前記開口部に連なる領域において、前記保護膜と前記はんだ流出防止層との間に形成されているキャップ層をさらに備える、請求項1に記載の半導体素子。
  3. 前記はんだ流出防止層は、前記開口部に連なる領域において、前記開口部から離れていくにしたがって膜厚が徐々に減少している、請求項2に記載の半導体素子。
  4. 前記電極を構成する材料はアルミニウムを含み、
    前記はんだ流出防止層において、前記電極と接する部分を構成する材料はチタンを含み、
    前記キャップ層において、前記保護膜と接する部分を構成する材料はチタンを含む、請求項3に記載の半導体素子。
  5. 前記保護膜は、前記電極の少なくとも端部を覆うように形成されている第1保護膜と、前記第1保護膜と積層する第2保護膜とを含み、
    前記第1保護膜は前記電極の表面上において第1開口部を有し、前記電極の少なくとも端部を覆うように形成されており、
    前記はんだ流出防止層は前記第1開口部内において前記電極上に形成されており、
    前記第2保護膜は、前記第1開口部内において前記はんだ流出防止層の一部を露出させる前記開口部を有し、前記はんだ流出防止層の少なくとも端部を覆うように形成されており、
    前記キャップ層は前記はんだ流出防止層と前記第2保護膜との間に形成されている、請求項2に記載の半導体素子。
  6. 前記はんだ流出防止層を構成する材料はニッケルを含み、
    前記キャップ層を構成する材料は金を含み、
    前記はんだ流出防止層および前記キャップ層は、無電解めっき法により成膜されている、請求項5に記載の半導体素子。
  7. 前記はんだ流出防止層において、前記フロントメタル膜と接合する部分の端部と前記電極と接合する部分の端部とが、前記第1の主面に対して垂直な方向において重ならないように形成されている、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体素子。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体素子と、
    前記半導体素子の前記フロントメタル膜とはんだ接合により接続されている外部端子とを備える、半導体装置。
  9. 第1の主面を有し、前記第1の主面上に電極が形成されている半導体基板を準備する工程と、
    前記電極の表面上にはんだ流出防止層を形成する工程と、
    前記はんだ流出防止層の表面上において開口部を有し、前記電極の少なくとも端部を覆うように保護膜を形成する工程と、
    前記開口部内の前記はんだ流出防止層上にフロントメタル膜を形成する工程とを備える、半導体素子の製造方法。
  10. 前記はんだ流出防止層を形成する工程では、前記はんだ流出防止層上に前記はんだ流出防止層と積層するキャップ層をさらに形成し、
    前記フロントメタル膜を形成する工程では、前記開口部内の前記キャップ層を除去するとともに前記開口部内の前記はんだ流出防止層上に前記フロントメタル膜を形成する、請求項9に記載の半導体素子の製造方法。
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