以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図6を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置5とにより大略構成されている。油圧ショベル1は、作業装置5を用いて土砂の掘削作業等を行う。
ここで、下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、それぞれが油圧アクチュエータとしての左,右の走行油圧モータ(図示せず)によって回転駆動される。
作業装置5は、例えばスイングポスト式の作業装置として構成されている。作業装置5は、スイングポスト5A、ブーム5B、アーム5C、および、作業具としてのバケット5Dを備えている。これに加え、作業装置5は、スイングポスト5A(延いては作業装置5全体)を左,右に揺動するスイングシリンダ(図示せず)、ブーム5Bを回動するブームシリンダ5E、アーム5Cを回動するアームシリンダ5F、および、バケット5Dを回動(作動)する作業具シリンダとしてのバケットシリンダ5Gを備えている。これらスイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5Gは、それぞれ圧油によって駆動(作動)する油圧アクチュエータとなるものである。
一方、上部旋回体4は、油圧アクチュエータとしての旋回油圧モータ、減速機構、旋回軸受等を含んで構成された旋回装置3を介して下部走行体2に取付けられている。上部旋回体4は、旋回装置3(の旋回油圧モータ)によって下部走行体2に対して旋回駆動する。ここで、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、外装カバー7、キャブ8、カウンタウエイト15を含んで構成されている。
旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体を形成するフレームとなるもので、該旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。旋回フレーム6には、その後部側に後述のカウンタウエイト15、エンジン16が設けられ、左前側には後述のキャブ8が設けられ、右前側には燃料タンク(図示せず)が設けられている。旋回フレーム6には、キャブ8の右側から後側および左,右の側面側にわたって外装カバー7が設けられている。外装カバー7は、旋回フレーム6、キャブ8およびカウンタウエイト15と共に、エンジン16、油圧ポンプ19、熱交換器(図示せず)等を収容する空間(エンジンルーム)を画成するものである。
キャブ8は、旋回フレーム6の左前側に搭載され、該キャブ8は、オペレータ(運転者)が搭乗する運転室を内部に画成している。キャブ8の内部には、オペレータが着席(着座)する運転席9が設けられている。運転席9の左,右両側には、作業装置5等を操作するための作業用の操作レバー10が設けられている。また、運転席9の前方には、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル11が設けられている。
運転席9の近傍、より具体的には、運転席9の右側で右操作レバー10の後側には、パワースイッチ12が設けられている。パワースイッチ12は、例えば、プッシュ式スイッチにより構成され、オペレータによって操作される(押される)。図3に示すように、パワースイッチ12は、後述の車体コントローラ38に接続され、オペレータにより操作される(押される)と、その旨の信号(ON信号)を車体コントローラ38に出力する。オペレータは、運転席9に着席し、パワースイッチ12を操作する(押す)ことにより、後述のエンジン16の始動、停止等を行うことができる。なお、後述するように、エンジン16がオーバーヒートしているときは、パワースイッチ12が操作されても(押されても)、エンジン16は停止しない。
これに対し、パワースイッチ12の近傍、より具体的には、運転席9の右側でパワースイッチ12の後側には、付加スイッチとしての非常エンジン停止スイッチ13が設けられている。非常エンジン停止スイッチ13は、パワースイッチ12とは別に設けられている。非常エンジン停止スイッチ13は、例えば、プッシュ式スイッチにより構成され、オペレータによって操作される(押される)。図3に示すように、非常エンジン停止スイッチ13は、後述の車体コントローラ38に接続され、オペレータにより操作される(押される)と、その旨の信号(ON信号)を車体コントローラ38に出力する。後述するように、オペレータは、エンジン16がオーバーヒートしているときでも、非常エンジン停止スイッチ13を操作(押す)ことにより、または、非常エンジン停止スイッチ13とパワースイッチ12との両方を操作(押す)ことにより、エンジン16を停止することができる。
一方、左側の作業操作レバー10の下側で、キャブ8の乗降口と対応する位置には、ロックレバーとしてのゲートロックレバー14が設けられている。ゲートロックレバー14は、キャブ8の乗降口を遮断する乗降規制位置(以下、ロック解除位置という)と、乗降口を開く乗降許可位置(以下、ロック位置という)との間で回動変位するものである。ここで、乗降口を遮断するロック解除位置は、ゲートロックレバー14を下げた状態に対応し、乗降口を開くロック位置は、ゲートロックレバー14を上げた状態に対応する。図1では、下げた状態(ロック解除位置)のゲートロックレバー14を示している。
ゲートロックレバー14は、オペレータの操作により、ロック位置(上げ位置)とロック解除位置(下げ位置)とに切換えられる。この場合、ゲートロックレバー14をロック位置としたときには、油圧ショベル1の油圧アクチュエータ、即ち、各シリンダ5E,5F,5G、走行油圧モータ、旋回油圧モータ等の各種の油圧アクチュエータの駆動が禁止される。これに対し、ゲートロックレバー14をロック解除位置としたときには、油圧アクチュエータの駆動が許可される。
ここで、ゲートロックレバー14には、ゲートロックスイッチ14A(図3参照)が設けられている。ゲートロックスイッチ14Aは、ゲートロックレバー14の位置を検出するものである。図3に示すように、ゲートロックスイッチ14Aは、後述の車体コントローラ38に接続されている。車体コントローラ38は、ゲートロックスイッチ14Aの検出信号(ON・OFF信号)に基づいて、ゲートロックレバー14がロック位置であるかロック解除位置であるかを判定することができる。さらに、図3に示すように、車体コントローラ38は、後述のパイロットカットリレー32に接続されている。この場合、後述のバッテリ20とパイロットカットソレノイドバルブ30は、パイロットカットリレー32を介して接続されている。
ゲートロックレバー14をロック位置にすると、図示しないコントロールバルブ(制御弁装置)を切換える(スプールを変位させる)ためのパイロット圧(切換信号)が遮断され、例えば、コントロールバルブが中立状態に維持される。より具体的には、車体コントローラ38は、ゲートロックスイッチ14Aによりゲートロックレバー14がロック位置であると判定すると、パイロットカットリレー32をOFF(開)にし、パイロットカットソレノイドバルブ30を遮断(閉)状態とする。これにより、油圧ポンプ19から吐出する圧油は、油圧アクチュエータに供給されることなく作動油タンク(図示せず)に戻り、油圧アクチュエータの駆動が禁止される。
一方、ゲートロックレバー14をロック解除位置にすると、作業用の操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11を介してパイロット圧をコントロールバルブに供給できる状態となる。より具体的には、車体コントローラ38は、ゲートロックスイッチ14Aによりゲートロックレバー14がロック解除位置であると判定すると、パイロットカットリレー32をON(閉)にし、バッテリ20からの電力の供給(給電)に基づいてパイロットカットソレノイドバルブ30を導通(開)状態とする。この場合は、オペレータによる操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11の操作に基づいて、コントロールバルブが切換わり(スプールが変位し)、油圧アクチュエータの駆動が許可される。このように、油圧ショベル1は、ゲートロックレバー14をロック解除位置に切換えた状態で、油圧アクチュエータの駆動により作業を行うものである。
カウンタウエイト15は、作業装置5との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト15は、後述するエンジン16の後側に位置して旋回フレーム6の後端部に取付けられている。カウンタウエイト15の後面側は、円弧状をなして形成され、カウンタウエイト15を下部走行体2の車体幅内に収まる構成となっている。
エンジン16は、旋回フレーム6の後側に横置き状態で配置されている。エンジン16は、例えば小型のディーゼルエンジンを用いて構成され、後述の油圧ポンプ19の動力源(駆動源)となるものである。ここで、エンジン16は、電子制御式エンジンにより構成され、例えば、燃料の供給量が電子制御噴射弁(インジェクタ―)等の燃料噴射装置により可変に制御される。即ち、燃料噴射装置は、後述のエンジンコントロールユニット(ECU)33(図3参照)から出力される制御信号に基づいて、エンジン16のシリンダ(図示せず)内に噴射する燃料の噴射量(燃料噴射量)を可変に制御する。
エンジン16には、エンジン16の電装品(補機)、即ち、エンジン16の電気機器となるスタータモータ17(図3参照)が設けられている。図3に示すように、スタータモータ17は、後述のスタータリレー22等を介してバッテリ20に接続されている。スタータモータ17は、エンジン16を始動するときに、エンジン16のクランク軸を回転するものである。即ち、スタータリレー22がON(閉)になると、バッテリ20からの電力の供給(給電)に基づいてスタータモータ17が回転し、エンジン16を始動することができる。エンジン16が始動すると、スタータリレー22がOFF(開)になり、スタータモータ17は停止する。
さらに、エンジン16には、該エンジン16の温度を検出するエンジン温度検出手段としてのオーバーヒートスイッチ18(図3参照)が設けられている。オーバーヒートスイッチ18は、例えば、温度センサ、温度スイッチ等により構成され、エンジン16の温度、または、エンジン16の温度に対応するエンジン冷却水の温度を検出するものである。図3に示すように、オーバーヒートスイッチ18は、後述のモニタ装置37、通信線35を介して車体コントローラ38に接続されている。オーバーヒートスイッチ18は、例えば、エンジン16を冷却するエンジン冷却水の温度が所定の温度よりも高くなると、エンジン16がオーバーヒートの状態である旨の信号(ON信号)を車体コントローラ38に出力する。車体コントローラ38は、オーバーヒートスイッチ18の信号に基づいて、エンジン16がオーバーヒートの状態か否かを判定することができる。
なお、エンジン16がオーバーヒートの状態か否か、換言すれば、エンジン16の温度(ないしエンジン冷却水の温度)が所定の温度よりも高いか否かは、オーバーヒートスイッチ18に限らず、各種の温度センサ、温度スイッチの検出信号から判定することができる。即ち、エンジン16の温度または該温度に対応する状態量(例えば、エンジン冷却水の温度)を検出できるセンサ(エンジン温度検知手段)であれば、各種のセンサ、スイッチを用いることができる。また、所定の温度は、エンジン16がオーバーヒートの状態か否かを適切に判定することができるように、エンジン16の仕様等に応じて予め設定しておく。
図1に示すように、油圧ポンプ19は、エンジン16の左側に取付けられている。油圧ポンプ19は、作動油タンク(図示せず)と共に油圧源を構成する。即ち、油圧ポンプ19は、エンジン16によって駆動されることにより作動油タンクから作動油を吸入し、吸入した作動油を圧油として図示しないコントロールバルブに向けて供給(吐出)する。油圧ポンプ19は、例えば可変容量型の斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプによって構成されている。なお、油圧ポンプ19は、必ずしも可変容量型の油圧ポンプに限らず、例えば固定容量型の油圧ポンプを用いて構成してもよい。
一方、コントロールバルブは、作業用の操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11の操作に基づいて、油圧ポンプ19から吐出した圧油を各シリンダ5E,5F,5G、走行油圧モータ、旋回油圧モータ等の各種の油圧アクチュエータに選択的に給排(供給または排出)する。油圧アクチュエータは、油圧ポンプ19からコントロールバルブを介して供給される圧油によって駆動される。
次に、油圧ショベル1の電気回路の構成について、図3を参照しつつ説明する。
図3において、バッテリ20は、エンジン16を含む電気機器の電源となるものである。より具体的には、バッテリ20は、エンジン16を駆動(運転)するための電気機器、例えば、エンジン16に設けられたスタータモータ17、燃料噴射装置(インジェクタ)、各種センサ、さらには、エンジンコントロールユニット33(以下、ECU33という)等の電源となるものである。これに加えて、バッテリ20は、油圧ショベル1に搭載された各種の電気機器、例えば、第1の電装品26、第2の電装品29、モニタ装置37、車体コントローラ38、キーレスコントローラ43等の電源となるものである。
ここで、スタータモータ17は、バッテリ20に対し、スローブローヒューズ(S.B.F)21(以下、SBヒューズ21という)、スタータリレー22を介して接続され、スタータ回路を構成している。スタータリレー22は、バッテリ20に対し、SBヒューズ21、Cヒューズ23、Cリレー24、ヒューズボックス25内のCヒューズ25Aを介して接続され、Cリレー回路を構成している。
Cリレー24は、後述の車体コントローラ38によってON(閉)とOFF(開)が切換わる。この場合、Cリレー24がON(閉)になると、スタータリレー22もON(閉)となり、スタータモータ17がバッテリ20と通電する。これにより、スタータモータ17が回転し、エンジン16を始動することができる。
第1の電装品(アクセサリ電装品、ACC電装品)26は、バッテリ20に対し、SBヒューズ21、アクセサリヒューズ27(以下、ACCヒューズ27という)、アクセサリリレー28(以下、ACCリレー28という)、ヒューズボックス25内のACCヒューズ25Bを介して接続され、アクセサリ回路(ACC回路)を構成している。第1の電装品26は、後述する無線認証起動装置39の状態(ステータス)に応じて、換言すれば、車体コントローラ38に接続されたACCリレー28がON(閉)のときに、バッテリ20と通電(接続)する電気機器に対応するものである。第1の電装品26は、車体コントローラ38に接続されたACCリレー28がOFF(開)のときは、バッテリ20と非通電(非接続)となる。第1の電装品26としては、例えば、モニタ装置37の一部、コントローラの一部(例えば、ECU33、車体コントローラ38およびキーレスコントローラ43以外のコントローラ)、空調装置(エアコン)、ワイパ、各種のソレノイドバルブ等が挙げられる。また、第1の電装品26は、エンジン16の駆動に必要な電気機器、例えば、エンジン16の燃料噴射装置(インジェクタ)等も含むものである。
一方、第2の電装品(バッテリ直結電装品、B電装品)29は、バッテリ20に対し、SBヒューズ21、ヒューズボックス25内のBヒューズ25Cを介して接続されている。第2の電装品29は、後述する無線認証起動装置39の状態(ステータス)と関係なく、換言すれば、車体コントローラ38に接続されたCリレー24、ACCリレー28、後述のパイロットカットリレー32のON(閉)/OFF(開)に関係なく、バッテリ20と(常時)接続した電気機器に対応するものである。第2の電装品29としては、例えば、モニタ装置37の一部、コントローラの一部(ECU33、車体コントローラ38およびキーレスコントローラ43を含む)、ホーン、ライト等が挙げられる。
パイロットカットソレノイドバルブ30は、例えば、図示しないパイロットポンプとコントロールバルブとの間に設けられ、該コントロールバルブに対するパイロット圧の供給の許可と禁止、即ち、パイロット圧油の導通(開)と遮断(閉)とを切換えるものである。パイロットカットソレノイドバルブ30は、バッテリ20に対し、SBヒューズ21、パイロットカットヒューズ31、パイロットカットリレー32、ヒューズボックス25内のPCヒューズ25Dを介して接続されている。ここで、パイロットカットリレー32は、車体コントローラ38と接続され、該車体コントローラ38は、ゲートロックレバー14の位置に対応するゲートロックスイッチ14Aの信号に応じて、パイロットカットリレー32のON(閉)/OFF(開)を切換える。
パイロットカットリレー32がON(閉)のときは、パイロットカットソレノイドバルブ30とバッテリ20とが通電(接続)し、パイロットカットソレノイドバルブ30が導通(開)状態となる。これにより、作業用の操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11を介してパイロット圧をコントロールバルブに供給できる状態となり、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動が許可される。一方、パイロットカットリレー32がOFF(開)のときは、パイロットカットソレノイドバルブ30とバッテリ20とが非通電(非接続)となり、パイロットカットソレノイドバルブ30が遮断(閉)状態となる。この場合は、コントロールバルブにパイロット圧を供給できない状態となり、油圧アクチュエータの駆動が禁止される。
ECU33は、エンジン16の制御(回転数制御等)を行う制御装置であり、例えば、マイクロコンピュータ等により構成されている。ECU33は、エンジン16に設けられた各種センサおよび燃料噴射装置(インジェクタ)と接続されている。ECU33は、例えば、エンジン16のシリンダ内への燃料噴射量(燃料供給量)を可変に制御することにより、オペレータの運転操作や車両の作動状態等に応じた回転数でエンジン16を作動させる。この場合、ECU33は、例えば、オペレータが操作するエンジン回転数指示ダイヤルの指令、車体コントローラ38からの指令等に基づいて、燃料噴射装置の燃料噴射量の制御を行う。
ここで、ECU33は、バッテリ20に対し、SBヒューズ21、ヒューズボックス25内のECUヒューズ25E、メインリレー34を介して接続されている。メインリレー34は、バッテリ20との通電に基づいてON(閉)となる。このため、ECU33は、Cリレー24、ACCリレー28、パイロットカットリレー32のON(閉)/OFF(開)に関係なく、バッテリ20と常時接続している。また、ECU33は、スタータリレー22、オルタネータ36、ACCリレー28と接続されている。さらに、ECU33は、モニタ装置37、車体コントローラ38、キーレスコントローラ43等と通信線35を介して相互に接続され、CAN(Control Area Network)を構成している。
オルタネータ36は、エンジン16によって駆動されることにより発電を行うものである。オルタネータ36は、バッテリ20の蓄電(充電)に加えて、第1の電装品26、第2の電装品29、ECU33、モニタ装置37、車体コントローラ38、キーレスコントローラ43等に対する給電を行う。ここで、オルタネータ36は、B端子がSBヒューズ21を介してバッテリ20に接続され、P端子およびI端子がECU33に接続され、L端子がモニタ装置37に接続されている。
モニタ装置37は、例えば油圧ショベル1のキャブ8内に設けられ、油圧ショベル1を操縦するオペレータに対し、油圧ショベル1の運転状況等を報知するものである。より具体的には、モニタ装置37は、エンジン回転数、燃料残量、オイル残量等の各種状態量、エンジン16、油圧機器等を含む各種機器の不調情報、警告情報等、オペレータに報知すべき情報を表示するものである。
車体コントローラ38は、モニタ装置37、ECU33、キーレスコントローラ43を統合的に管理する制御装置(コントローラ、コントロールユニット)であり、例えば、マイクロコンピュータ等を含んで構成されている。車体コントローラ38は、キーレスコントローラ43と共に、無線認証起動装置39を構成する。
次に、エンジン16の起動、停止を行う無線認証起動装置39について説明する。
無線認証起動装置39は、オペレータが所持する携帯鍵(携帯機)40の認証とオペレータによるパワースイッチ12、非常エンジン停止スイッチ13の操作とに基づいて、バッテリ20と電気機器との間の通電(接続)、非通電(非接続)を切換えるものである。より具体的には、無線認証起動装置39は、無線による携帯鍵40の認証とパワースイッチ12、非常エンジン停止スイッチ13の操作とに基づいて、バッテリ20と第1の電装品26との間の通電(接続)、非通電(非接続)、および、バッテリ20とスタータモータ17との間の通電(接続)、非通電(非接続)を切換えるものである。ここで、無線認証起動装置39は、携帯鍵40、LF送信アンテナ41、RF受信アンテナ42、キーレスコントローラ43、車体コントローラ38、ACCリレー28、Cリレー24等を含んで構成されている。
認証鍵(認証機)としての携帯鍵(Key Fob)40は、例えば油圧ショベル1の運転(操縦)を行うオペレータが所持(携帯)するものである。携帯鍵40は、キーレスコントローラ43からLF送信アンテナ41を通じて送信される信号(リクエスト信号)を受信すると、キーレスコントローラ43に対して認証用のIDコードを送信(発信)するものである。このために、携帯鍵40は、例えば、リクエスト信号を受信する受信器、認証用のIDコードをキーレスコントローラ43(のRF受信アンテナ42)に送信する送信器、これらを制御するマイクロコンピュータ、これらに電力を供給する電池、認証用のIDコードが設定されたトランスポンダ等(いずれも図示せず)を備えている。なお、トランスポンダは、携帯鍵40の電池が切れたときに、車体に設けられたトランスポンダ用のアンテナ(図示せず)に近付けて、IDの照合(認証)を行うものである。
図4に示すように、携帯鍵40は、キーレスコントローラ43に接続されたLF送信アンテナ41の送信範囲内(LF帯)に入ると、LF送信アンテナ41から送信されるリクエスト信号を受信器で受信する。携帯鍵40は、この受信に基づいて、携帯鍵40に設定された認証用IDコードを、送信器を通じて送信する。
一方、車体側となる上部旋回体4(例えば、キャブ8内)には、送信アンテナとしてのLF送信アンテナ41と、受信アンテナとしてのRF受信アンテナ42と、キーレスコントローラ43が設けられている。LF送信アンテナ41は、キーレスコントローラ43に接続され、携帯鍵40に対しIDコードを送信する旨のリクエスト信号を、所定の制御周期で常時送信(発信)するものである。RF受信アンテナ42は、キーレスコントローラ43に接続され、携帯鍵40から送信されたIDコードを受信するものである。図4に示すように、LF送信アンテナ41の送信範囲(LF帯)は、RF受信アンテナ42の受信範囲(RF帯)よりも小さくなっている。LF送信アンテナ41の送信範囲(LF帯)は、例えば1m程度であり、RF受信アンテナ42の受信範囲(RF帯)は、例えば10m程度である。
キーレスコントローラ43は、マイクロコンピュータにより構成され、車体コントローラ38と通信線35および該通信線35とは別の通信線となるアナログ信号線44を介して接続されている。キーレスコントローラ43は、無線による携帯鍵40の認証を行う制御装置(コントローラ、コントロールユニット)となるものである。即ち、キーレスコントローラ43は、RF受信アンテナ42を通じて受信した携帯鍵40からのIDコードが、正当なIDコードであるか否か、即ち、キーレスコントローラ43に予め設定されたエンジン16の始動を許可されたIDコードである否かを認証(判定)する。キーレスコントローラ43は、認証結果(判定結果)を所定の制御周期で常時車体コントローラ38に出力する。
この場合、キーレスコントローラ43は、例えば、LF送信アンテナ41の送信範囲(図4のLF帯)内に正当なIDコードを送信する携帯鍵40が存在する旨(携帯鍵40が認証可能範囲内にある旨)、または、LF送信アンテナ41の送信範囲内に正当なIDコードを送信する携帯鍵40がない旨(携帯鍵40が認証可能範囲内にない旨)を、車体コントローラ38に(例えば、通信線35を介して)出力する。
車体コントローラ38は、キーレスコントローラ43の認証結果とパワースイッチ12、非常エンジン停止スイッチ13の操作の有無とに基づいて、ACCリレー28のON(閉)/OFF(開)、Cリレー24のON(閉)/OFF(開)を行うものである。このために、車体コントローラ38は、例えばマイクロコンピュータ等を含んで構成され、キーレスコントローラ43、パワースイッチ12、非常エンジン停止スイッチ13、ゲートロックスイッチ14A、ACCリレー28、Cリレー24等に接続されている。さらに、車体コントローラ38は、モニタ装置37と通信線35を介して、オーバーヒートスイッチ18と接続されている。車体コントローラ38は、ROM,RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、後述の図5に示すエンジン16を始動するときの処理プログラム、後述の図6に示すエンジン16を停止するときの処理プログラム等が格納(記憶)されている。
車体コントローラ38は、キーレスコントローラ43の認証結果(携帯鍵40が認証可能範囲内にあるか否か)、パワースイッチ12が操作されたか否か、非常エンジン停止スイッチ13が操作されたか否か、ゲートロックスイッチ14Aによるゲートロックレバー14の位置(ロック位置であるかロック解除位置であるか)、オーバーヒートスイッチ18によるエンジン16の温度(エンジン16の温度が所定の温度よりも高いか否か)等に基づいて、ACCリレー28のON/OFFとCリレー24のON/OFFを切換える。
ここで、車体コントローラ38は、ACCリレー28をOFFにすると共にCリレー24をOFFにすると、エンジン16が停止しており電気機器(第1の電装品26およびスタータモータ17)が非通電(非接続)の状態、即ち、「エンジン停止・通電OFF」にすることができる。
車体コントローラ38は、「エンジン停止・通電OFF」の状態から、ACCリレー28をONにすると共にCリレー24をONにし、その後(エンジン16の駆動後)、Cリレー24をOFFにすると、エンジン16が駆動しており電気機器(第1の電装品26)が通電(接続)の状態、即ち、「エンジン駆動・通電ON」にすることができる。
さらに、車体コントローラ38は、「エンジン停止・通電OFF」の状態から、ACCリレー28のみをONにすると、エンジン16が停止しており電気機器(第1の電装品26)が通電(接続)の状態、即ち、「エンジン停止・通電ON」にすることができる。
ここで、車体コントローラ38は、「エンジン停止・通電OFF」の場合は、携帯鍵40が認証可能範囲(LF帯)内にあり、ゲートロックレバー14がロック位置(上げ位置)にあり、かつ、パワースイッチ12が操作されたときに、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン駆動・通電ON」へ切換える。また、車体コントローラ38は、「エンジン駆動・通電ON」の場合は、パワースイッチ12が操作されると、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換える。ただし、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いオーバーヒートのときは、車体コントローラ38は、パワースイッチ12が操作されても、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換えない。
即ち、車体コントローラ38は、「エンジン駆動・通電ON」であり、かつ、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いときに、パワースイッチ12のみが操作されると、「エンジン駆動・通電ON」を維持する。一方、車体コントローラ38は、「エンジン駆動・通電ON」であり、かつ、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いときに、非常エンジン停止スイッチ13が操作されると、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方が操作されると、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換える。
これにより、エンジン16がオーバーヒートしたときの不注意によるエンジン16の停止や第三者の不用意なエンジン16の停止を抑制することができる。一方、油圧ショベル1の周囲に可燃物がある等によりエンジン16の運転の継続が困難なときは、非常エンジン停止スイッチ13の操作、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方の操作により、エンジン16を停止することができる。このため、安全性を確保することもできる。なお、車体コントローラ38により実行される図5および図6の処理については、後述する。
実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
油圧ショベル1のオペレータは、携帯鍵40を所持して上部旋回体4のキャブ8に搭乗する。キャブ8内のオペレータは、運転席9に着席し、ゲートロックレバー14をロック位置にした状態で、パワースイッチ12を押すと、車体コントローラ38によりACCリレー28がONになり、かつ、Cリレー24もONになる。これにより、第1の電装品26とスタータモータ17に対する通電が開始される。この結果、スタータモータ17が回転し、エンジン16が始動する。エンジン16の始動後、車体コントローラ38は、Cリレー24をOFFにする。
エンジン16が始動すると、エンジン16により油圧ポンプ19が駆動される。オペレータがゲートロックレバー14をロック位置からロック解除位置に操作すると、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動が許可される。
例えば、オペレータが走行用の操作レバー・ペダル11を操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。また、オペレータが作業用の操作レバー10を操作することにより、作業装置5を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。この場合、小型の油圧ショベル1は、上部旋回体4による旋回半径が小さいため、例えば市街地のように狭い作業現場でも、上部旋回体4を旋回駆動しながら側溝堀作業等を行うことができる。
作業が終了し、オペレータがパワースイッチ12を押すと、車体コントローラ38によりACCリレー28がOFFになる。これにより、第1の電装品26に対する通電が断たれると共に、エンジン16が停止する。この場合、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いときは、オペレータがパワースイッチ12を押しても、ACCリレー28がONのまま維持される(エンジン16は停止しない)。一方、エンジン16の停止が必須のときは、オペレータが非常エンジン停止スイッチ13を押すことにより、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方を押すことにより、エンジン16を停止することができる。
一方、油圧ショベル1のエンジン16が停止した状態で、オペレータが運転席9に着席し、ゲートロックレバー14をロック解錠位置にし、パワースイッチ12を押すと、車体コントローラ38によりACCリレー28のみONになる(Cリレー24はOFFが維持される)。これにより、エンジン16を始動(駆動)させずに、第1の電装品26に通電することができる。この状態で、例えば、オペレータがパワースイッチ12を押すと、車体コントローラ38によりACCリレー28がOFFになり、第1の電装品26に対する通電が断たれる。
次に、車体コントローラ38により行われる処理について、図5および図6の流れ図を用いて説明する。なお、図5の処理は、エンジン16を始動するときに車体コントローラ38により実行される。図6の処理は、エンジン16を停止するときに車体コントローラ38により実行される。
まず、図5の処理を説明する。ACCリレー28がOFFになることにより、即ち、「エンジン停止・通電OFF」の状態になることにより、図5の処理動作がスタートすると、ステップ1では、携帯鍵40がLF送信アンテナ41の反応内(認証可能範囲内)にあるか否かを判定する。この判定は、キーレスコントローラ43から車体コントローラ38に所定の制御周期で常時出力される認証結果により判定することができる。即ち、携帯鍵40がLF送信アンテナ41の反応内にあると、携帯鍵40からキーレスコントローラ43に対して認証用のIDコードが送信(発信)される。キーレスコントローラ43は、携帯鍵40から受信したIDコードが正当なIDコードであるか否かを判定し、正当なIDコードであれば認証可能範囲内に認証された携帯鍵40がある旨の認証結果を車体コントローラ38に出力する。一方、認証用のIDコードを受信しない場合や受信したIDコードが正当なものではない場合は、キーレスコントローラ43は、携帯鍵40が認証可能範囲内にない旨の認証結果を車体コントローラ38に出力する。
ステップ1で、「YES」、即ち、携帯鍵40がLF送信アンテナ41の反応内にあると判定された場合は、ステップ2に進む。一方、ステップ1で、「NO」、即ち、携帯鍵40がLF送信アンテナ41の反応内にないと判定された場合は、ステップ1の前に戻り、ステップ1の処理を繰り返す。
ステップ2では、ゲートロックレバー14が上げ位置(ロック位置)か否かを判定する。この判定は、ゲートロックスイッチ14Aの信号(ON・OFF信号)に基づいて判定することができる。ステップ2で、「YES」、即ち、ゲートロックレバー14が上げ位置(ロック位置)であると判定された場合は、ステップ3に進む。一方、ステップ2で、「NO」、即ち、ゲートロックレバー14が上げ位置(ロック位置)でないと判定された場合は、ステップ1の前に戻り、ステップ1の処理を繰り返す。
ステップ3では、パワースイッチ12が操作された(押された)か否かを判定する。この判定は、パワースイッチ12の信号(ON信号)に基づいて判定することができる。ステップ3で、「NO」、即ち、パワースイッチ12が操作されていない(ON信号が出力されていない)と判定された場合は、ステップ1の前に戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ3で、「YES」、即ち、パワースイッチ12が操作された(ON信号が出力された)と判定された場合は、ステップ4に進み、ACCリレー28およびCリレー24の両方をONにする。これにより、第1の電装品26とスタータモータ17に対する通電が開始され、スタータモータ17が回転する。そして、続くステップ5で、ブザーまたはアラームを所定時間鳴らす。即ち、エンジン16を始動(起動)している旨の報知音(ブザー、アラーム)を、例えばキャブ8内の音響装置から出力する。
続くステップ6では、Cリレー24をONしてからの経過時間tが所定時間(例えば40秒)以下であるか否かを判定する。ステップ6で、「YES」、即ち、経過時間tが所定時間以下であると判定された場合は、ステップ7に進み、オルタネータ36が発電を開始したか否かを判定する。即ち、エンジン16が始動すると、オルタネータ36により発電が行われる。ステップ7では、オルタネータ36が発電を開始したか否かにより、エンジン16が始動したか否かを判定する。オルタネータ36が発電しているか否かは、例えば、オルタネータ36のL端子の出力があるか否かにより判定することができる。
ステップ7で、「NO」、即ち、オルタネータ36が発電していない(エンジン16が始動していない)と判定した場合は、ステップ6の前に戻り、ステップ6以降の処理を繰り返す。一方、ステップ7で、「YES」、即ち、オルタネータ36が発電している(エンジン16が始動した)と判定した場合、または、ステップ6で、「NO」、即ち、Cリレー24をONしてからの経過時間tが所定時間(例えば40秒)を超えたと判定された場合は、ステップ8に進み、Cリレー24をOFFにし、図5の制御処理が終了する(図6の処理を開始する)。この場合、エンジン16が始動していれば、「エンジン駆動・通電ON」の状態となる。
次に、図6の処理を説明する。ACCリレー28がONになることにより、即ち、「エンジン駆動・通電ON」の状態になることにより、図6の処理動作がスタートすると、ステップ11では、パワースイッチ12が操作された(押された)か否かを判定する。ステップ11で、「NO」、即ち、パワースイッチ12が操作されていない(ON信号が出力されていない)と判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11の処理を繰り返す。一方、ステップ11で、「YES」、即ち、パワースイッチ12が操作された(ON信号が出力された)と判定された場合は、ステップ12に進む。
ステップ12では、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いか否かを判定する。具体的には、オーバーヒートスイッチ18がONである(ON信号が出力されている)か否かを判定する。オーバーヒートスイッチ18は、例えば、エンジン16を冷却するエンジン冷却水の温度が所定の温度よりも高いとON信号を出力する。所定の温度は、エンジン16がオーバーヒートの状態か否かを適切に判定することができるように、エンジン16の仕様等に応じて予め設定しておく。なお、オーバーヒートスイッチ18に代えて、例えば、エンジン16の温度またはエンジン冷却水の温度を検出する温度センサをモニタ装置37または車体コントローラ38に接続して設ける構成としてもよい。この場合には、車体コントローラ38は、温度センサが検出する温度に基づいて、エンジン16の温度(エンジン冷却水の温度)が所定の温度よりも高いか否かを判定する。
ステップ12で、「NO」、即ち、エンジン16の温度が所定の温度以下である(オーバーヒートスイッチ18がOFFである)と判定された場合は、ステップ13に進み、ACCリレー28をOFFにする。このとき、それを報知するための報知音(例えば、ブザー、アラーム)を、例えばキャブ8内の音響装置(図示せず)から出力する。この場合は、第1の電装品26の通電が断たれると共にエンジン16が停止することにより「エンジン停止・通電OFF」の状態になり、図6の制御処理が終了する(図5の処理が開始される)。
一方、ステップ12で、「YES」、即ち、エンジン16の温度が所定の温度よりも高い(オーバーヒートスイッチ18がONである)と判定された場合は、ステップ14に進む。この場合は、ステップ11で「YES」、即ち、パワースイッチ12が操作されたと判定されているにも拘わらず、エンジン16を停止せずに、エンジン16の運転を継続(維持)する。そして、ステップ14では、非常エンジン停止スイッチ13が操作された(押された)か否かを判定する。
なお、ステップ14では、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方が同時に操作された(押された)か否かを判定する構成としてもよい。いずれを採用するかは、油圧ショベル1の仕様、非常エンジン停止スイッチ13の位置等に応じて設定することができる。例えば、非常エンジン停止スイッチ13を、パワースイッチ12と離れた位置、例えば、運転席9の下側等に設ける場合には、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方を同時に操作することが困難になる可能性がある。このような場合には、ステップ14では、非常エンジン停止スイッチ13が操作されたか否かを判定する構成とすることができる。
いずれにしても、ステップ14で、「NO」、即ち、非常エンジン停止スイッチ13が操作されていない(ON信号が出力されていない)と判定された場合、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方が同時に操作されていない(両方からON信号が出力されていない)と判定された場合は、ステップ12の前に戻り、ステップ12,14の処理を繰り返す。
一方、ステップ14で、「YES」、即ち、非常エンジン停止スイッチ13が操作された(ON信号が出力された)と判定された場合、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方が同時に操作された(両方からON信号が出力された)と判定された場合は、ステップ13に進む。この場合は、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いが、ACCリレー28をOFFにする。これにより、第1の電装品26の通電が断たれると共にエンジン16が停止することにより「エンジン停止・通電OFF」の状態になり、図6の制御処理が終了する(図5の処理が開始される)。
かくして、実施の形態によれば、無線認証起動装置39の車体コントローラ38は、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いとき(オーバーヒートスイッチ18がONのとき)に、パワースイッチ12のみが操作された場合は、ステップ11,12の処理により、「エンジン駆動・通電ON」が維持される。即ち、エンジン16の温度が所定の温度よりも高いときは、パワースイッチ12が操作されても、それだけではエンジン16が停止しない。
エンジン16の温度が所定の温度よりも高いときに、エンジン16を停止するためには、ステップ14で「YES」と判定される必要がある。即ち、非常エンジン停止スイッチ13が操作されたこと、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方が同時に操作されたことが必要になる。これにより、エンジン16がオーバーヒートしたときの不注意によるエンジン16の停止や第三者の不用意なエンジン16の停止を抑制することができる。
この結果、オーバーヒートしたときのエンジン16の停止に伴うエンジン16の不調や耐久性の低下を抑制することができ、油圧ショベル1の信頼性を向上することができる。一方、例えば油圧ショベル1の周囲に可燃物がある等により、エンジン16の停止が必須のとき(エンジン16の運転の継続が困難なとき)は、非常エンジン停止スイッチ13の操作、または、パワースイッチ12と非常エンジン停止スイッチ13との両方の同時の操作により、エンジン16を停止することができる。このため、安全性を確保することもできる。
なお、上述した実施の形態では、図2に示すように、非常エンジン停止スイッチ13をパワースイッチ12の近傍に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、付加スイッチとしての非常エンジン停止スイッチを、運転席9の下側等、パワースイッチ12の近傍以外(パワースイッチ12から離れた位置)に設ける構成としてもよい。この場合に、例えば、非常エンジン停止スイッチとパワースイッチとを同時に操作することが困難な場合は、エンジンの温度が所定の温度よりも高いときのエンジンを停止する条件を、非常エンジン停止スイッチのみの操作とすることができる。いずれにしても、エンジンの温度が所定の温度よりも高いときのエンジンを停止する条件として、付加スイッチの操作を条件とするか、パワースイッチと付加スイッチとの両方の同時の操作を条件とするかは、付加スイッチを設ける位置、建設機械の仕様等に応じて決定することができる。
上述した実施の形態では、図6に示すように、パワースイッチ12が操作されたか否かの判定の後に、オーバーヒートスイッチ18がONであるか否かを判定する構成とした場合を例に挙げて説明した。即ち、ステップ11で「YES」と判定された後に、ステップ12でオーバーヒートスイッチ18がONであるか否かを判定する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図7に示す変形例のように、パワースイッチ12が操作されたか否かの判定の前に、オーバーヒートスイッチ18がONであるか否かを判定する構成としてもよい。即ち、ステップ11の処理の前にステップ12の処理を行う構成としてもよい。この場合には、エンジン16の温度が所定の温度よりも高くなりオーバーヒートスイッチ18がONになる(図7のステップ12で「YES」と判定される)と、非常エンジン停止スイッチ13のみの操作でACCリレー28をOFFにしてエンジン16を停止する(「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換える)ことができる。
上述した実施の形態では、ゲートロックレバー14がロック位置(上げ位置)のときに駆動を禁止する油圧アクチュエータを、作業と走行の全てに関する油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、油圧ショベル(建設機械)の仕様等に応じて、駆動を禁止する油圧アクチュエータを取捨選択することができる。
上述した実施の形態では、キーレスコントローラ43により携帯鍵40が認証可能範囲内にあるか否かの判定(認証)を行い、この判定結果(認証結果)を用いて車体コントローラ38によりCリレー24およびACCリレー28のON(閉)/OFF(開)を行う構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、車体コントローラにLF送信アンテナ、RF送信アンテナを接続すると共に車体コントローラで携帯鍵の認証を行う等、キーレスコントローラの機能を車体コントローラに持たせてもよい(キーレスコントローラを省略してもよい)。
上述した実施の形態では、ACCリレー28のON(閉)/OFF(開)に応じてバッテリ20との通電と非通電が切換わる電装品(電気機器)を第1の電装品26とし、Cリレー24のON(閉)/OFF(開)に応じて通電と非通電が切換わる電装品(電気機器)をエンジン16のスタータモータ17とし、ACCリレー28のON(閉)/OFF(開)に関係なく、バッテリ20と常時接続された電装品(電気機器)を第2の電装品29とした場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、スタータモータ17以外の電装品(電気機器)を、ACCリレーのON(閉)/OFF(開)に応じてバッテリとの通電と非通電が切換わる第1の電装品(電気機器)としてもよい。また、実施の形態での第1の電装品26に対応する各種機器、および、第2の電装品29に対応する各種機器は、一つの例示であり、油圧ショベル(建設機械)の仕様、オプションの電装品(電気機器)等に応じて、適宜変更可能である。即ち、第1の電装品とするか第2の電装品とするかは、油圧ショベル(建設機械)に搭載する電装品(電気機器)に応じて、取捨選択することができる。
上述した実施の形態では、油圧ポンプ19の駆動源としてエンジン16を備えたエンジン式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、エンジンとアシスト発電モータ(発電電動機、発電機、電動機)とを備えたハイブリッド式の油圧ショベル(ハイブリッド式建設機械)としてもよい。この場合には、アシスト発電モータをエンジンのスタータモータとしてもよい。
上述した実施の形態では、小型の油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明による建設機械はこれに限るものではなく、例えば中型以上の油圧ショベルに適用してもよい。また、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル、ホイールローダ、フォークリフト、油圧クレーン等、各種の建設機械に広く適用することができるものである。