以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置5とを含んで構成されている。油圧ショベル1は、作業装置5を用いて土砂の掘削作業を行う。ここで、下部走行体2と上部旋回体4は、油圧ショベル1の車体を構成している。小型の油圧ショベル1は、建物の内部の解体作業、街路地等の狭い場所での掘削作業に用いられるため、例えば機械重量が0.8〜8トン程度までに抑えられている。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、それぞれが油圧アクチュエータとしての左,右の走行油圧モータ(図示せず)によって回転駆動される。
作業装置5は、例えばスイングポスト式の作業装置として構成されている。作業装置5は、スイングポスト5A、ブーム5B、アーム5C、および、作業具としてのバケット5Dを備えている。これに加え、作業装置5は、スイングポスト5A(延いては作業装置5全体)を左,右に揺動するスイングシリンダ(図示せず)、ブーム5Bを回動するブームシリンダ5E、アーム5Cを回動するアームシリンダ5F、および、バケット5Dを回動する作業具シリンダとしてのバケットシリンダ5Gを備えている。これらスイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5Gは、それぞれ圧油によって駆動される油圧アクチュエータを構成している。
一方、上部旋回体4は、油圧アクチュエータとしての旋回油圧モータ、減速機構、旋回軸受を含んで構成された旋回装置3を介して下部走行体2に取付けられている。上部旋回体4は、旋回装置3によって下部走行体2に対して旋回駆動する。ここで、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、外装カバー7、キャブ8、カウンタウエイト14を含んで構成されている。
旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体を形成するフレームとなるもので、該旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。旋回フレーム6には、その後部側に後述のカウンタウエイト14、エンジン15が設けられ、左前側には後述のキャブ8が設けられ、右前側には燃料タンクと作動油タンク(いずれも図示せず)が設けられている。旋回フレーム6には、キャブ8の右側から後側および左,右の側面側にわたって外装カバー7が設けられている。外装カバー7は、旋回フレーム6、キャブ8およびカウンタウエイト14と共に、エンジン15、油圧ポンプ17、熱交換器(図示せず)等を収容する機械室を画成するものである。
キャブ8は、旋回フレーム6の左前側に搭載され、該キャブ8の内部は、オペレータ(運転者)が搭乗する運転室を成している。キャブ8の内部には、オペレータが着席する運転席9が設けられている。運転席9の左,右両側には、作業装置5を操作するための作業用の操作レバー10が設けられている。運転席9の前方には、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル11が設けられている。
運転席9の近傍、より具体的には、運転席9の右側で右操作レバー10の後側には、エンジン15を始動する始動スイッチとしてのキースイッチ12が設けられている。キースイッチ12は、板状ないし棒状のキー(図示せず)と、該キーが差し込まれるキーシリンダ12Aとを含んで構成されている。オペレータは、キーのキー溝とキーシリンダ12Aのキーシリンダ溝とが合致した場合に、キーを回転させることができる。この場合、キーは、例えば、油圧ショベル1の電気機器が非通電でエンジン15が停止した「OFF」の位置と、電気機器に通電が行われる「ON」の位置と、エンジン15を始動する「START」の位置とのいずれかの位置に回転させることができる。
図3に示すように、キーシリンダ12Aは、後述の車体コントローラ39に接続されている。キーシリンダ12Aは、キーによって操作されると、その旨の信号(例えば、ON信号、START信号)を車体コントローラ39に出力する。オペレータは、運転席9に着席し、キーをキーシリンダ12Aに差し込み、キーを回転させることにより、エンジン15の始動、停止等を行うことができる。
一方、運転席9の左側、より具体的には、左側の作業操作レバー10の下側で、キャブ8の乗降口(運転席9の乗降口)と対応する位置には、ロックレバーとしてのゲートロックレバー13が設けられている。ゲートロックレバー13は、後述するゲートロックスイッチ13Aとともにロック装置を構成している。ゲートロックレバー13は、キャブ8の乗降口を閉鎖する(閉じる)乗降規制位置(以下、ロック解除位置という)と、乗降口を開放する(開く)乗降許可位置(以下、ロック位置という)との間で回動変位するものである。ここで、乗降口を閉鎖するロック解除位置は、ゲートロックレバー13を下げた状態に対応し、乗降口を開放するロック位置は、ゲートロックレバー13を上げた状態に対応する。図1では、下げた状態(ロック解除位置)のゲートロックレバー13を示している。
ゲートロックレバー13は、オペレータの操作により、ロック位置(上げ位置)とロック解除位置(下げ位置)とに切換えられる。この場合、ゲートロックレバー13をロック位置としたときには、油圧ショベル1の油圧アクチュエータ、即ち、各シリンダ5E,5F,5G、走行油圧モータ、旋回油圧モータ等の各種の油圧アクチュエータの駆動が禁止される。これに対し、ゲートロックレバー13をロック解除位置としたときには、油圧アクチュエータの駆動が許可される。
ここで、ゲートロックレバー13には、ゲートロックスイッチ13A(図3参照)が設けられている。ゲートロックスイッチ13Aは、ゲートロックレバー13の位置を検出する検出スイッチである。図3に示すように、ゲートロックスイッチ13Aは、後述の車体コントローラ39に接続されている。車体コントローラ39は、ゲートロックスイッチ13Aの検出信号(ON・OFF信号)に基づいて、ゲートロックレバー13がロック位置であるかロック解除位置であるかを判定することができる。この場合、ゲートロックスイッチ13Aは、例えば、ゲートロックレバー13がロック位置のときは非通電(OFF)状態となり、ロック解除位置にあるときは通電(ON)状態となる、常開のスイッチとして構成することができる。
さらに、図3に示すように、車体コントローラ39は、後述のパイロットカットリレー(PCリレー)33に接続されている。この場合、後述のバッテリ21とパイロット圧切換弁31は、パイロットカットリレー33を介して接続されている。
ゲートロックレバー13をロック位置にすると、図示しないコントロールバルブ(制御弁装置)を切換える(スプールを変位させる)ためのパイロット圧(切換信号)が遮断され、例えば、コントロールバルブが中立状態に維持される。より具体的には、車体コントローラ39は、ゲートロックスイッチ13Aによりゲートロックレバー13がロック位置であると判定すると、パイロットカットリレー33をOFF(開)にし、パイロット圧切換弁31を遮断状態(OFF)とする。これにより、油圧ポンプ17から吐出される圧油は、油圧アクチュエータに供給されることなく作動油タンクに戻り、油圧アクチュエータの駆動が禁止される。
一方、ゲートロックレバー13をロック解除位置にすると、作業用の操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11を介してパイロット圧をコントロールバルブに供給できる状態となる。より具体的には、車体コントローラ39は、ゲートロックスイッチ13Aによりゲートロックレバー13がロック解除位置であると判定すると、パイロットカットリレー33をON(閉)にし、バッテリ21からの電力の供給(給電)に基づいてパイロット圧切換弁31を導通状態(ON)とする。この場合は、オペレータによる操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11の操作に基づいて、コントロールバルブが切換わり、油圧アクチュエータの駆動が許可される。このように、油圧ショベル1は、ゲートロックレバー13をロック解除位置に切換えた状態で、油圧アクチュエータの駆動により作業を行うものである。
カウンタウエイト14は、作業装置5との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト14は、後述するエンジン15の後側に位置して旋回フレーム6の後端部に取付けられている。カウンタウエイト14の後面側は、円弧状をなして形成されている。カウンタウエイト14は、下部走行体2の車体幅内に収まる構成となっている。従って、油圧ショベル1は、後方小旋回型のミニショベルを構成している。
エンジン15は、上部旋回体4に設けられている。具体的には、エンジン15は、上部旋回体4を構成する旋回フレーム6の後側に、横置き状態で配置されている。エンジン15は、例えば小型のディーゼルエンジンを用いて構成され、後述の油圧ポンプ17の動力源となるものである。ここで、エンジン15は、電子制御式エンジンにより構成され、例えば、燃料の供給量が電子制御噴射弁(インジェクタ―)を含む燃料噴射装置により可変に制御される。即ち、燃料噴射装置は、後述のECUと呼ばれるエンジンコントロールユニット34(図3参照)から出力される制御信号に基づいて、エンジン15のシリンダ内に噴射する燃料の噴射量を可変に制御する。
図3に示すように、エンジン15には、スタータモータ16が設けられている。スタータモータ16は、エンジン15の電装品(補機)、即ち、エンジン15の電気機器となるものである。スタータモータ16は、後述のスタータリレー23等を介してバッテリ21に接続されている。スタータモータ16は、エンジン15を始動するときに、エンジン15のクランク軸を回転するものである。即ち、スタータリレー23がON(閉)になると、バッテリ21からの給電に基づいてスタータモータ16が回転し、エンジン15を始動することができる。エンジン15が始動すると、スタータリレー23がOFF(開)になり、スタータモータ16は停止する。
油圧ポンプ17は、エンジン15の左側に取付けられている。油圧ポンプ17は、作動油タンクと共に油圧源を構成している。即ち、油圧ポンプ17は、エンジン15によって駆動されることにより作動油タンクから作動油を吸入し、吸入した作動油を圧油として図示しないコントロールバルブに向けて供給する。油圧ポンプ17は、例えば可変容量型の斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプによって構成されている。なお、油圧ポンプ17は、必ずしも可変容量型の油圧ポンプに限らず、例えば固定容量型の油圧ポンプを用いて構成してもよい。
一方、コントロールバルブ(図示せず)は、作業用の操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11の操作に基づいて供給されるパイロット圧に応じて切換えられる。これにより、コントロールバルブは、油圧ポンプ17から吐出された圧油を、各シリンダ5E,5F,5G、走行油圧モータ、旋回油圧モータを含む各種の油圧アクチュエータに選択的に供給または排出する。油圧アクチュエータは、油圧ポンプ17からコントロールバルブを介して供給される圧油によって駆動される。
次に、油圧ショベル1の電気回路の構成について、図3を参照しつつ説明する。
図3において、バッテリ21は、エンジン15を含む各種電気機器の電源となるものである。より具体的には、バッテリ21は、エンジン15を駆動するための電気機器、例えば、エンジン15に設けられたスタータモータ16、燃料噴射装置(インジェクタ)、各種センサ、さらには、エンジンコントロールユニット34(以下、ECU34という)等の電源となるものである。これに加えて、バッテリ21は、油圧ショベル1に搭載された各種の電気機器、例えば、第1の電装品27、第2の電装品30、モニタ装置38、車体コントローラ39、認証装置42等の電源となるものである。
ここで、スタータモータ16は、バッテリ21に対し、S.B.Fと呼ばれるスローブローヒューズ22(以下、SBヒューズ22という)、および、スタータリレー23を介して接続され、スタータ回路を構成している。スタータリレー23は、バッテリ21に対し、SBヒューズ22、Cヒューズ24、Cリレー25、ヒューズボックス26内のCヒューズ26Aを介して接続され、Cリレー回路を構成している。
Cリレー25は、後述の車体コントローラ39によってON(閉)とOFF(開)が切換わる。この場合、Cリレー25がONになると、ECU34とスタータリレー23に電流が流れる。これにより、ECU34は、スタータリレー23をONにし、スタータモータ16とバッテリ21とが通電状態となる。この結果、スタータモータ16が回転し、エンジン15を始動することができる。なお、エンジン15が始動したら、スタータリレー23はOFFとなる。
第1の電装品27は、バッテリ21に対し、SBヒューズ22、アクセサリヒューズ28(以下、ACCヒューズ28という)、アクセサリリレー29(以下、ACCリレー29という)、および、ヒューズボックス26内のACCヒューズ26Bを介して接続され、アクセサリ回路(ACC回路)を構成している。第1の電装品27は、車体コントローラ39に接続されたACCリレー29がONのときに、バッテリ21と通電する電気機器に対応するものである。
第1の電装品27は、車体コントローラ39に接続されたACCリレー29がOFFのときは、バッテリ21と非通電となる。ここで、第1の電装品27は、アクセサリ電装品(ACC電装品)とも呼ばれている。この第1の電装品27としては、例えば、モニタ装置38の一部、コントローラの一部(例えば、車体コントローラ39および認証用コントローラ42B以外のコントローラ)、空調装置、ワイパ、各種のソレノイドバルブ等が挙げられる。また、第1の電装品27は、エンジン15の駆動に必要な電気機器、例えば、エンジン15の燃料噴射装置等も含むものである。
一方、第2の電装品30は、バッテリ21に対し、SBヒューズ22、および、ヒューズボックス26内のBヒューズ26Cを介して接続されている。第2の電装品30は、車体コントローラ39に接続されたCリレー25、ACCリレー29、後述のパイロットカットリレー33のON/OFFに関係なく、バッテリ21と常時接続されている電気機器に対応するものである。ここで、第2の電装品30は、バッテリ直結電装品またはB電装品とも呼ばれている。この第2の電装品30としては、例えば、モニタ装置38の一部、車体コントローラ39、認証用コントローラ42B、ホーン、ライト等が挙げられる。
パイロット圧切換弁31は、パイロットカットソレノイドバルブとも呼ばれている。パイロット圧切換弁31は、例えば、図示しないパイロットポンプとコントロールバルブとの間に設けられている。パイロット圧切換弁31は、コントロールバルブに対するパイロット圧の供給の許可と禁止、即ち、パイロット圧油の導通と遮断とを切換えるものである。パイロット圧切換弁31は、バッテリ21に対し、SBヒューズ22、パイロットカットヒューズ32、パイロットカットリレー33、および、ヒューズボックス26内のPCヒューズ26Dを介して接続されている。ここで、パイロットカットリレー33は、車体コントローラ39と接続されている。車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13の位置に対応するゲートロックスイッチ13Aの信号に応じて、パイロットカットリレー33のON/OFFを切換える。
パイロットカットリレー33がONのときは、パイロット圧切換弁31とバッテリ21とが通電し、パイロット圧切換弁31が導通状態となる。これにより、作業用の操作レバー10、走行用の操作レバー・ペダル11を介してパイロット圧をコントロールバルブに供給できる状態となり、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動が許可される。一方、パイロットカットリレー33がOFFのときは、パイロット圧切換弁31とバッテリ21とが非通電となり、パイロット圧切換弁31が遮断状態となる。この場合は、コントロールバルブにパイロット圧を供給できない状態となり、油圧アクチュエータの駆動が禁止される。
ECU34は、エンジン15の回転数制御等を行う制御装置であり、このECU34は、例えば、マイクロコンピュータ等により構成されている。ECU34は、エンジン15に設けられた各種センサおよび燃料噴射装置と接続されている。ECU34は、例えば、エンジン15のシリンダ内への燃料噴射量(燃料供給量)を可変に制御することにより、オペレータの運転操作、車両の作動状態等に応じた回転数でエンジン15を作動させる。この場合、ECU34は、例えば、オペレータが操作するエンジン回転数指示ダイヤルの指令、車体コントローラ39からの指令に基づいて、燃料噴射装置の燃料噴射量の制御を行う。
ここで、ECU34は、バッテリ21に対し、SBヒューズ22、ヒューズボックス26内のECUヒューズ26E、メインリレー35を介して接続されている。また、ECU34は、スタータリレー23、オルタネータ37、ACCリレー29と接続されている。メインリレー35は、ECU34によってON/OFFが切換えられる。即ち、ACCリレー29がONになると、ECU34にACCリレー29から電流が流れ、ECU34は、メインリレー35をONにする。これにより、ECU34は、バッテリ21と通電状態となる。さらに、ECU34は、モニタ装置38、車体コントローラ39、認証用コントローラ42B等と通信線36を介して相互に接続され、CAN(Control Area Network)を構成している。
オルタネータ37は、エンジン15によって駆動されることにより発電を行うジェネレータ(ダイナモ)である。オルタネータ37は、バッテリ21の蓄電(充電)に加えて、第1の電装品27、第2の電装品30、ECU34、モニタ装置38、車体コントローラ39、認証用コントローラ42B等に対する給電を行う。ここで、オルタネータ37は、B端子がSBヒューズ22を介してバッテリ21に接続され、P端子およびI端子がECU34に接続され、L端子がモニタ装置38に接続されている。
モニタ装置38は、車載モニタであり、例えば油圧ショベル1のキャブ8内に設けられている。モニタ装置38は、油圧ショベル1を操縦するオペレータに対し、油圧ショベル1の運転状況等を報知するものである。より具体的には、モニタ装置38は、オペレータに報知すべき情報を表示するものである。即ち、モニタ装置38は、例えば、エンジン回転数、燃料残量、アワメータ(エンジン稼働時間)、オイル残量等の各種状態量、エンジン15、油圧機器を含む各種機器の不調情報、警告情報等の情報を表示するものである。モニタ装置38は、例えば、表示画面、表示灯、警告ランプ、選択スイッチ、音響装置となるホーンを含んで構成されている。モニタ装置38は、オペレータに情報を報知する報知装置となるものである。
車体コントローラ39は、モニタ装置38、ECU34、認証用コントローラ42Bを統合的に管理する制御装置ないしコントロールユニットである。車体コントローラ39は、例えば、マイクロコンピュータ等を含んで構成されている。ここで、車体コントローラ39は、オペレータのキースイッチ12の操作とゲートロックレバー13の切換え位置とに基づいて、バッテリ21と電気機器との間の通電(ON)、非通電(OFF)を切換えるものである。換言すれば、車体コントローラ39は、キースイッチ12の操作とゲートロックレバー13の切換え位置とに基づいて、エンジン15の始動を許可または禁止するものである。
次に、携帯情報端末41および認証装置42について説明する。
携帯情報端末41は、油圧ショベル1の運転(操縦)を行うオペレータが所持(携帯)するものである。携帯情報端末41は、少なくとも音声通話を行うことができる音声通話機能付きの情報端末、例えば、スマートフォン、タブレット端末、タブレットPC、携帯電話等の多機能型携帯情報端末である。即ち、携帯情報端末41は、移動体無線通信回線、無線LAN通信等を用いた音声通話を行うための無線通信機能を備えている。
これに加えて、携帯情報端末41は、認証装置42との接続を行うための無線通信機能および/または有線通信機能を有している。この場合、携帯情報端末41は、例えば、Bluetooth(登録商標)等のデジタル情報の近距離無線通信、および/または、USB接続等の有線通信により認証装置42と接続することができる。ここで、図3では、携帯情報端末41と認証装置42とを近距離無線通信で接続する構成としている。後述するように、認証装置42(の認証用コントローラ42B)は、車体コントローラ39と通信線43を介して接続されている。これにより、携帯情報端末41は、認証装置42(の認証用コントローラ42B)および通信線43を介して車体コントローラ39と接続される。
携帯情報端末41は、車体コントローラ39と接続することにより、例えば、キャブ8内のモニタ装置38では表示されない車体の詳細なデータ(例えば、エンジン回転数、燃費、アワメータ以外の稼働情報)の表示、車体周囲に取付けられた監視カメラからの画像の表示、車体の設定変更およびその入力等に利用することができる。このために、携帯情報端末41には、これらを行うためのアプリケーションソフトを予め導入(インストール)しておく。
一方、キャブ8内の運転席9の近傍(前方)には、オペレータがキャブ8内に持ち込んだ携帯情報端末41を載置するための携帯情報端末載置台(図示せず)を設けることができる。この場合、携帯情報端末載置台には、例えば、携帯情報端末41と認証装置42(の認証用コントローラ42B)とを有線接続(例えば、USB接続)するための接続口(例えば、USBポート)やコネクター(USBコネクタ)等を設けることができる。
認証装置42は、車体側となる上部旋回体4(例えば、キャブ8内)に設けられている。認証装置42は、通信線43を介して車体コントローラ39と接続されている。認証装置42は、特定の携帯情報端末41について認証を行い、かつ、当該携帯情報端末41が通話中であるか否かを判定する端末用の認証装置(端末認証装置)である。このために、認証装置42は、携帯情報端末41と無線通信を行うためのアンテナ42Aと、該アンテナ42Aに接続された認証用コントローラ42Bとを含んで構成されている。認証用コントローラ42Bは、携帯情報端末41との無線認証により、オペレータが所持する携帯情報端末41を特定する。即ち、認証用コントローラ42Bは、携帯情報端末41の認証を行う端末認証要素部と、携帯情報端末41を特定する端末特定要素部とを有している。
例えば、認証用コントローラ42Bには、油圧ショベル1の運転を許可されたオペレータの携帯情報端末41(のIDコード等の識別子)を予め登録しておく。そして、認証用コントローラ42Bは、アンテナ42Aを介して携帯情報端末41と認証のための送受信を行い、キャブ8内の携帯情報端末41から送信された信号(IDコード等の識別子)が登録された携帯情報端末41のものであるか否かを特定(判定)する(端末特定要素部)。
認証用コントローラ42Bは、携帯情報端末41から送信された信号が登録された携帯情報端末41の信号であると判定した場合は、携帯情報端末41と接続し(通信可能な状態を維持し)、携帯情報端末41の通話状態の信号(情報)を取得する。即ち、携帯情報端末41と認証装置42とが接続されているときに、オペレータが携帯情報端末41を用いて通話(音声通話)を行うと、携帯情報端末41から通話中である旨(通話が開始された旨)の信号が認証用コントローラ42Bに出力される。また、オペレータが通話が終了すると、携帯情報端末41から通話が終了した旨の信号が認証用コントローラ42Bに出力される。
認証用コントローラ42Bは、この信号に基づいて携帯情報端末41が通話中であるか否かを判定し、その判定結果(例えば、通話中である旨、通話が終了した旨)を車体コントローラ39に出力する。即ち、認証用コントローラ42Bは、端末認証要素部と端末特定要素部とに加えて、携帯情報端末41の通話中の判定を行う通話判定要素部と、該通話判定要素の判定結果を車体コントローラ39に出力する通話判定結果出力要素部とを有している。これにより、認証装置42および車体コントローラ39は、携帯情報端末41が通話中であるか否かを判断することができる。なお、認証装置42は、携帯情報端末41が通話中である旨の信号と通話中でない旨の信号とのいずれかを所定の制御周期で常に車体コントローラ39に出力する構成としてもよい。
一方、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13の位置と携帯情報端末41が通話中であるか否かとに基づいて、パイロットカットリレー33のON/OFFを行う。この場合、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置に切換えられた場合に、認証装置42によって携帯情報端末41が通話中であると判断された場合は、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動を禁止する構成としている。即ち、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置(下げ位置)で、かつ、携帯情報端末41が通話中のときに油圧アクチュエータの駆動を禁止する通話中の禁止要素部を備えている。
具体的には、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13の位置がロック位置(上げ位置)、即ち、ゲートロックスイッチ13AがOFFのときは、携帯情報端末41が通話中であるか否かに拘わらず、パイロットカットリレー33をOFFにし、油圧アクチュエータの駆動を禁止する。即ち、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13の位置がロック位置のときは、パイロットカットリレー33をOFFにし、パイロット圧切換弁31を遮断位置にする。
一方、オペレータの操作により、ゲートロックレバー13がロック解除位置に切換えられることによりゲートロックスイッチ13AがONとなり、さらに、携帯情報端末41が通話中でないときは、車体コントローラ39は、油圧アクチュエータの駆動を許可する。即ち、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置であり、かつ、携帯情報端末41が通話中でないときは、パイロットカットリレー33をONにし、パイロット圧切換弁31を供給位置にする。
これに対し、ゲートロックレバー13がロック解除位置に切換えられていても、携帯情報端末41が通話中のときは、車体コントローラ39は、油圧アクチュエータの駆動を禁止する。即ち、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置であっても、携帯情報端末41が通話中のときは、パイロットカットリレー33をOFFにし、パイロット圧切換弁31を遮断位置にする(通話中の禁止要素部)。
なお、ゲートロックレバー13がロック解除位置であっても、携帯情報端末41が通話中であることにより、油圧アクチュエータの駆動を禁止した場合は、通話が終了したときに、禁止を解除(即ち、油圧アクチュエータの駆動を許可)することができる。これに対して、通話が終了しても、油圧アクチュエータの駆動の禁止を継続するようにしてもよい。即ち、通話の終了後に、ゲートロックレバー13をロック解除位置から一度ロック位置に切換え、さらに、ロック解除位置に切換えたときに、禁止を解除するようにしてもよい。
また、図2に示すように、キャブ8内には、禁止取消スイッチとなるキャンセルスイッチ44がモニタ装置38の入力スイッチとして設けられている。図3に示すように、キャンセルスイッチ44は、車体コントローラ39に接続されている。キャンセルスイッチ44は、ゲートロックレバー13がロック解除位置のときに、携帯情報端末41が通話中になっても、油圧アクチュエータの駆動を許可できるようにするためのものである。
即ち、キャンセルスイッチ44がONのときは、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置で、かつ、携帯情報端末41が通話中のときでも、油圧アクチュエータの駆動を許可する。即ち、車体コントローラ39は、キャンセルスイッチ44がONのときは携帯情報端末41が通話中のときでも油圧アクチュエータの駆動を許可する通話中の禁止解除要素部を有している。
この場合には、オペレータは、油圧ショベル1による作業を行っているときに、油圧ショベル1から離れた位置(例えば、作業現場の本部)にいる現場監督等からの指示を携帯情報端末41の通話機能で受けることができる。また、油圧ショベル1による作業を行っているときに、油圧ショベル1の周囲の作業者と携帯情報端末41の通話機能で情報交換をすることができる。
なお、作業装置5を掘削として用いるだけでなくクレーン(MLクレーン)としても用いることができるクレーンモードを備えた油圧ショベル1の場合は、オペレータがクレーンモードを選択すると、携帯情報端末41が通話中のときも、油圧アクチュエータの駆動を許可するようにできる。即ち、掘削モードとクレーンモードとを選択するモード選択スイッチによりクレーンモード(吊荷作業モード)が選択された場合は、ゲートロックレバー13がロック解除位置のときに、携帯情報端末41が通話中になっても、油圧アクチュエータの駆動を禁止せずに、油圧アクチュエータの駆動を許可する。このように、モード選択スイッチやキャンセルスイッチ44は、携帯情報端末41が通話中のときに油圧アクチュエータの駆動を禁止するか許可するかを選択する選択スイッチとなるものである。
また、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置であり、かつ、携帯情報端末41の通話時間が所定時間を超えると、エンジン15を停止、または、エンジン15の回転数を下げる(例えば、アイドル回転数に低下させる)。即ち、車体コントローラ39は、通話時間に応じてエンジン15の駆動を制限する(通話中の)原動機駆動の制限要素部を有している。この場合には、油圧ショベル1で作業が行われないにも拘わらず、エンジン15の駆動(運転)が継続されることにより、不必要に燃料が消費されることを抑制できる。これにより、燃料消費量の低減(削減)を図ることができる。
実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
機械重量が0.8〜8トン程度の小型の油圧ショベル1は、トラックの荷台に積載された状態で作業現場まで搬送される。油圧ショベル1が作業現場に搬送されると、油圧ショベル1のオペレータは、例えば、携帯情報端末41を所持して上部旋回体4のキャブ8に搭乗する。キャブ8内のオペレータは、運転席9に着席し、ゲートロックレバー13をロック位置にした状態で、キースイッチ12を「OFF」から「ON」を超えて「START」の位置まで回転させると、車体コントローラ39は、ACCリレー29をONにし、かつ、Cリレー25もONにする。このCリレー25がONになることにより、スタータリレー23がONとなる。これにより、第1の電装品27とスタータモータ16に対する通電が開始される。この結果、スタータモータ16が回転し、エンジン15が始動する。エンジン15の始動後、車体コントローラ39は、Cリレー25をOFFにする。また、キースイッチ12は、オペレータが手を離すことにより、「START」の位置から「ON」の位置まで戻る。
エンジン15が始動すると、エンジン15により油圧ポンプ17が駆動される。オペレータがゲートロックレバー13をロック位置からロック解除位置に操作すると、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動が許可される。
例えば、オペレータが走行用の操作レバー・ペダル11を操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。オペレータが作業用の操作レバー10を操作することにより、作業装置5を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。この場合、小型の油圧ショベル1は、上部旋回体4による旋回半径が小さいため、例えば市街地のように狭い作業現場でも、上部旋回体4を旋回駆動しながら側溝掘り作業等を行うことができる。即ち、小型の油圧ショベル1は、作業装置5を用いて建物内部の解体作業、狭い街路地等での側溝掘り作業や土砂の掘削作業を行うことができる。
ここで、オペレータがゲートロックレバー13をロック解除位置のまま携帯情報端末41により通話を行う場合がある。この場合は、携帯情報端末41が通話中になると、車体コントローラ39は、ゲートロックレバー13がロック解除位置であっても、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動を禁止する。一方、車体コントローラ39は、携帯情報端末41による通話が終了し、さらに、必要に応じてゲートロックレバー13がロック解除位置から一度ロック位置に切換えられて再度ロック解除位置に切換えられると、油圧アクチュエータの駆動を許可する。
一方、作業が終了し、オペレータがキースイッチ12を「ON」の位置から「OFF」の位置まで回転させると、車体コントローラ39によりACCリレー29がOFFになる。これにより、第1の電装品27に対する通電が断たれると共に、エンジン15が停止する。
次に、車体コントローラ39により行われる処理について、図4の流れ図を用いて説明する。なお、図4の制御処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
例えば、キースイッチ12のキーがONの位置に操作される(ACCリレー29がONになる)ことにより、図4の処理動作がスタートすると、ステップ1では、ゲートロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)か否かを判定する。この判定は、ゲートロックスイッチ13Aの信号(ON・OFF)に基づいて判定することができる。ステップ1で「NO」、即ち、ゲートロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)でない、換言すれば、上げ位置(ロック位置)であると判定された場合は、ステップ2に進む。ステップ2では、パイロットカットリレー33をOFFにし、パイロット圧切換弁31を遮断位置にする。これにより、油圧アクチュエータの駆動が禁止される。ステップ2でパイロット圧切換弁31を遮断位置にしたら、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ1で「YES」、即ち、ゲートロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)であると判定された場合は、ステップ3に進む。ステップ3では、キャンセルスイッチ44がONであるか否かを判定する。即ち、キャンセルスイッチ44がONのときは、ゲートロックレバー13がロック解除位置であれば、携帯情報端末41が通話中のときも、油圧アクチュエータの駆動を許可する。
そこで、ステップ3で「YES」、即ち、キャンセルスイッチ44がONであると判定された場合は、ステップ4を介することなくステップ5に進む。一方、ステップ3で「NO」、即ち、キャンセルスイッチ44がOFFであると判定された場合は、ステップ4に進む。ステップ4では、携帯情報端末41が通話中であるか否かを判定する。この判定は、携帯情報端末41による通話が開始されたときと終了したときに、認証装置42から車体コントローラ39に出力される携帯情報端末41の通話開始の信号または通話終了信号に基づいて判定することができる。
ステップ4で「NO」、即ち、携帯情報端末41が通話中でない場合、より具体的には、認証装置42から携帯情報端末41の通話開始の信号を受けていない、または、携帯情報端末41の通話終了の信号を受けた場合は、ステップ5に進む。ステップ5では、パイロットカットリレー33をONにし、パイロット圧切換弁31を供給位置にする。これにより、油圧アクチュエータの駆動が許可される。ステップ5でパイロット圧切換弁31を供給位置にしたら、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ4で「YES」、即ち、携帯情報端末41が通話中である場合、より具体的には、認証装置42から携帯情報端末41の通話開始の信号を受けており、かつ、携帯情報端末41の通話終了の信号を受けていない場合は、ステップ6に進む。ステップ6では、通話時間が予め設定した所定時間を超えたか否かを判定する。即ち、ステップ4で「YES」と判定されてから連続して「YES」と判定される制御周期が予め設定した所定回数(所定経過時間)を超えたか否かを判定する。ステップ6で「YES」、即ち、通話時間が所定時間を超えたと判定された場合は、ステップ7に進み、エンジン15を停止、または、エンジン15の回転数を下げる(例えば、アイドル回転数に低下させる)。
ステップ6の「所定時間」は、油圧ショベル1で作業が行われないにも拘わらず、エンジン15の駆動(運転)が継続されることにより、不必要に燃料が消費されることを抑えることができるように、実験、シミュレーション等により適切な時間に設定する。即ち、「所定時間」が短いと、短時間で通話を終了して作業を再開する場合にも、エンジン15の回転数を上げる操作やエンジン15を始動する操作が必要になり、手間が増える。一方、「所定時間」が長いと、油圧ショベル1で作業が行われないにも拘わらず、エンジン15で燃料が消費される。
そこで、「所定時間」は、例えば15秒、30秒または1分等、通話時間と操作の手間と燃料消費量との観点から、エンジン15を停止、または、エンジン15の回転数を下げる時間として適切な時間となるように設定する。また、第1の所定時間(例えば、10秒、15秒または30秒)を超えると、エンジン15の回転数を下げ、さらに、第2の所定時間(例えば、15秒、30秒または1分)を超えると、エンジン15を停止させる構成としてもよい。所定時間、第1の所定時間、第2の所定時間は、例えば、10秒以上3分以内の時間として、必要な性能を得ることができるように、適宜設定することができる。
ステップ7でエンジン15を停止、または、エンジン15の回転数を下げたら、ステップ2に進む。また、ステップ6で「NO」と判定された場合も、ステップ2に進む。これにより、ゲートロックレバー13がロック解除位置であり、かつ、携帯情報端末41が通話中であるときに、油圧アクチュエータの駆動を禁止することができる。さらに、携帯情報端末41の通話時間が所定時間を超えると、エンジン15を停止し、または、エンジン15の回転数を低下させることができる。なお、ステップ4とステップ5との間に、「通話が終了した後ゲートロックレバー13が一度ロック位置に切換えられたか否か」を判定する処理を設けることができる。この場合には、「YES」、即ち、通話が終了した後ゲートロックレバー13が一度ロック位置に切換えられたと判定された場合は、ステップ5に進み、「NO」、即ち、通話が終了した後ゲートロックレバー13が一度ロック位置に切換えられていないと判定された場合は、ステップ2に進むようにすることができる。
なお、図4のステップ1は、ゲートロックレバー位置の判定要素部の具体例を示している。ステップ2は、油圧アクチュエータ駆動の禁止要素部の具体例を示している。ステップ3は、キャンセルスイッチ判定要素部(禁止取消スイッチの判定要素部)、換言すれば、禁止解除要素部の具体例を示している。ステップ4は、端末通話判定要素部の具体例を示している。ステップ5は、油圧アクチュエータ駆動の許可要素部の具体例を示している。ステップ6は、通話時間判定要素部の具体例を示している。ステップ7は、原動機運転制限要素部の具体例を示している。さらに、ステップ1,4,2は、禁止要素部の具体例を示しており、ステップ6,7は、原動機駆動の制限要素部の具体例を示している。車体コントローラ39は、これらの要素部を有している。
かくして、実施の形態では、車体コントローラ39は、ステップ1,4,2の処理(禁止要素部)により、認証装置42によって携帯情報端末41が通話中であると判断された場合は、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ、走行油圧モータ)の駆動を禁止する。これにより、ゲートロックレバー13がロック解除位置である下げ位置であっても携帯情報端末41が通話中のときに油圧アクチュエータの駆動を制限することができる。この結果、オペレータが油圧アクチュエータを駆動しつつ通話に気を取られてしまうことを抑制できる。
実施の形態では、車体コントローラ39は、ステップ6,7の処理(原動機駆動の制限要素部)により、携帯情報端末41の通話時間が所定時間を超えると、エンジン15を停止し、または、エンジン15の回転数を低下する。これにより、燃費の向上(燃料消費量の低減)を図ることができる。
なお、上述した実施の形態では、エンジン15を始動する始動スイッチをキースイッチ12とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、携帯情報端末41を油圧ショベル1のエンジン15を始動するための携帯鍵装置とし、キースイッチ12をプッシュ式スイッチとなるパワースイッチとし、認証装置42を携帯情報端末41との間で無線による認証を行う無線認証装置としてもよい。この場合は、車体コントローラは、パワースイッチの操作と無線認証装置(認証装置42)による認証とに基づいて、エンジンの始動を許可または禁止する構成とすることができる。
上述した実施の形態では、ゲートロックレバー13の位置をゲートロックスイッチ13Aにより検出し、この検出結果に基づいて車体コントローラ39がパイロットカットリレー33をON・OFFすることにより、パイロット圧切換弁31を切換える構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ゲートロックレバーの操作に応じて切換えられる切換弁を主管路に設ける構成としてもよい。即ち、ゲートロックレバーの操作に応じて油圧アクチュエータの駆動を禁止または許可する機構は、油圧アクチュエータの駆動を禁止するロック位置と油圧アクチュエータの駆動を許可するロック解除位置とに切換えることができるものであれば、各種のロック機構を採用することができる。
上述した実施の形態では、ゲートロックレバー13がロック位置(上げ位置)のときに駆動を禁止する油圧アクチュエータを、作業と走行の全てに関する油圧アクチュエータとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、油圧ショベル(建設機械)の仕様等に応じて、駆動を禁止する油圧アクチュエータを取捨選択することができる。
上述した実施の形態では、ACCリレー29のON/OFFに応じてバッテリ21との通電と非通電が切換わる電装品を第1の電装品27とし、Cリレー25のON/OFFに応じて通電と非通電が切換わる電装品をエンジン15のスタータモータ16とし、ACCリレー29のON/OFFに関係なく、バッテリ21と常時接続された電装品を第2の電装品30とした場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、スタータモータ16以外の電装品を、ACCリレーのON/OFFに応じてバッテリとの通電と非通電が切換わる第1の電装品としてもよい。また、実施の形態での第1の電装品27に対応する各種機器、および、第2の電装品30に対応する各種機器は、一つの例示であり、油圧ショベルの仕様、オプションの電装品等に応じて、適宜変更可能である。即ち、第1の電装品とするか第2の電装品とするかは、油圧ショベルに搭載する電装品に応じて、取捨選択することができる。
上述した実施の形態では、油圧ポンプ17の駆動源となる原動機としてエンジン15を備えたエンジン式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、原動機としてエンジンとアシスト発電モータ(発電電動機、発電機、電動機)とを備えたハイブリッド式の油圧ショベル(ハイブリッド式建設機械)としてもよい。この場合には、アシスト発電モータをエンジンのスタータモータとしてもよい。さらに、原動機は、電動モータとしてもよい。
上述した実施の形態では、小型の油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明による建設機械はこれに限るものではなく、例えば中型以上の油圧ショベルに適用してもよい。また、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルはもとより、各種の建設機械、例えば、ホイールローダ、フォークリフト、油圧クレーン等にも広く適用することができるものである。