以下、本発明に係る作業機械の実施の形態を、油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図10は本発明の実施の形態を示している。図1において、作業機械の代表例である油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に設けられた旋回輪3と、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載され下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に俯仰動可能に取付けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置5とを含んで構成されている。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。この左,右の駆動輪2Bは、油圧アクチュエータとしての左,右の走行油圧モータ2E(左側のみ図示)によって回転駆動される。
旋回輪3は、下部走行体2上に設けられ、減速機(図示せず)を備えた油圧アクチュエータとしての旋回油圧モータ3Aが噛合している。この旋回油圧モータ3Aは、上部旋回体4を下部走行体2に対して旋回させるものである。
作業装置5は、上部旋回体4の旋回フレーム6の前側に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、これらを駆動する油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)からなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより構成されている。
旋回フレーム6は、上部旋回体4のベースとなるもので、強固な支持構造体を構成している。この旋回フレーム6は、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。また、旋回フレーム6の後端部には、作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト7が設けられている。
キャブ8は、旋回フレーム6の左前側に設けられている。キャブ8内には、オペレータ(操作者)が着座する運転席9が設けられている。キャブ8は、運転席9の周囲を取囲むボックス状に形成されている。キャブ8の左側面には、開閉可能なドア8Aが設けられ、オペレータは、ドア8Aを開いてキャブ8に乗降する構成となっている。運転席9の周囲には、後述の操作レバー装置14、ロックレバー16、入力装置29等が配設されている。
エンジン10は、カウンタウエイト7よりも前側に位置して旋回フレーム6の後側に設けられている。エンジン10は、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態となって旋回フレーム6上に搭載されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジン(内燃機関)を用いて構成され、油圧ポンプ12を回転駆動する駆動源を構成している。エンジン10の出力側には、アシスト発電モータ11と油圧ポンプ12が機械的に接続されている(図5参照)。
アシスト発電モータ11は、電動機を構成し、エンジン10と油圧ポンプ12とに機械的に接続されている。このアシスト発電モータ11は、例えば永久磁石式の同期電動機によって構成されている。アシスト発電モータ11は、エンジン10によって回転駆動されることにより発電を行い、または電力が供給されることによりエンジン10の駆動を補助(アシスト)するものである。即ち、アシスト発電モータ11は、エンジン10によって回転駆動されることにより発電を行う作用(発電機作用)と、電動機としてエンジン10の駆動を補助する作用(電動機作用)とを有するものである。
油圧ポンプ12は、アシスト発電モータ11を介してエンジン10に取付けられ、エンジン10により回転駆動される。この油圧ポンプ12は、作動油タンク13とともに油圧源を構成するものである。油圧ポンプ12は、例えば可変容量型の斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプ等によって構成され、作動油タンク13から作動油を吸込みつつ、この作動油を高圧な圧油として吐出する。油圧ポンプ12から吐出された圧油は、後述の方向制御弁22を介して油圧アクチュエータ19に供給される。
操作レバー装置14は、運転席9の前側に配置された走行用操作レバー・ペダル14Aと、運転席9の左,右両側に配置された左,右の作業用操作レバー14Bとを含んで構成されている。走行用操作レバー・ペダル14Aは、走行油圧モータ2Eの動作を制御するときに操作される。作業用操作レバー14Bは、旋回油圧モータ3Aおよび作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fの動作を制御するときに操作される。
操作信号検出器15は、操作レバー装置14の近傍に設けられている(図5参照)。操作信号検出器15は、操作レバー装置14に対する操作が行われたか否かを検出し、操作レバー装置14が操作されたときには、後述するコントローラ27に検出信号を出力する。コントローラ27は、操作信号検出器15からの信号に基づいて、操作レバー装置14に対する操作が行われたか否かを判定する。
ロックレバー16は、運転席9の左側で、キャブ8のドア8A側に設けられている。ロックレバー16は、オペレータの操作により、ロック位置(上げ位置)とロック解除位置(下げ位置)とに切換えられる。この場合、ロックレバー16をロック位置としたときには、後述する方向制御弁22へのパイロット圧の供給が禁止され、ロックレバー16をロック解除位置としたときには、方向制御弁22へのパイロット圧の供給が許可される。
ロック状態検出器としてのロックスイッチ17は、ロックレバー16の近傍に設けられている(図5参照)。ロックスイッチ17は、例えばロックレバー16の操作に連動する機械的なスイッチにより構成されている。ロックスイッチ17は、ロックレバー16がロック位置となったことを検出し、コントローラ27に検出信号を出力する。コントローラ27は、ロックスイッチ17からの信号に基づいて、ロックレバー16がロック位置であるかロック解除位置であるかを判定する。
ここで、油圧ショベル1には、油圧アクチュエータの動作を制御する油圧システムと、エンジン10等の動作を制御する電気制御システムとが搭載されている。以下、油圧ショベル1の油圧システムについて図5を参照して説明する。
油圧ポンプ12は、作動油タンク13と共に油圧源を構成し、パイロットポンプ18は、作動油タンク13と共にパイロット油圧源を構成している。油圧ポンプ12とパイロットポンプ18は、エンジン10によって駆動される。
油圧アクチュエータ19は、油圧ポンプ12および作動油タンク13からなる油圧源に、主管路20,21を介して接続されている。この場合、油圧アクチュエータ19は、走行油圧モータ2E、旋回油圧モータ3A、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fを含んで構成されている。主管路20,21の途中には、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式の方向制御弁22が設けられている。この場合、方向制御弁22は、油圧アクチュエータ19を構成する走行油圧モータ2E、旋回油圧モータ3A、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fに対し、それぞれ個別に設けられるものである。
ここで、方向制御弁22は油圧パイロット部22A,22Bを有し、各油圧パイロット部22A,22Bにパイロット圧が供給されないときには、方向制御弁22は中立位置(a)を保持し、油圧ポンプ12から吐出した圧油を作動油タンク13に排出する。油圧パイロット部22Aまたは22Bにパイロット圧が供給されたときには、方向制御弁22は切換位置(b)または(c)に切換えられる。これにより、油圧ポンプ12からの圧油が主管路20,21を介して油圧アクチュエータ19に供給され、油圧アクチュエータ19が作動する。
パイロットポンプ18と方向制御弁22の各油圧パイロット部22A,22Bとの間はパイロット管路23を介して接続され、パイロット管路23の途中には、操作レバー装置14が設けられている。従って、操作レバー装置14(走行用操作レバー・ペダル14Aおよび作業用操作レバー14B)に対する操作に応じて、操作信号としてのパイロット圧が、方向制御弁22の油圧パイロット部22A,22Bに選択的に供給される。
パイロット管路23の途中には、パイロットポンプ18と操作レバー装置14との間に位置して遮断弁24が設けられている。遮断弁24は、電磁パイロット部24Aを有する3ポート2位置の電磁弁からなり、パイロット管路23を遮断する遮断位置(d)と連通させる連通位置(e)とに切換えられる。
遮断弁24は、ロックレバー16がロック位置にあるときには遮断位置(d)を保持する。この場合には、操作レバー装置14に対する操作に拘らず、方向制御弁22の各油圧パイロット部22A,22Bに対するパイロット圧の供給が禁止され、油圧アクチュエータ19は非作動状態となる。一方、ロックレバー16がロック解除位置に切換えられたときには、コントローラ27からの信号が電磁パイロット部24Aに供給されることにより、遮断弁24は連通位置(e)に切換えられる。この場合には、操作レバー装置14に対する操作に応じて、方向制御弁22の各油圧パイロット部22A,22Bにパイロット圧が供給され、油圧アクチュエータ19は作動状態となる。
主管路20(21)の途中には、油圧ポンプ12と方向制御弁22との間に位置してメインリリーフ弁25が設けられ、パイロット管路23の途中には、パイロットポンプ18と遮断弁24との間に位置してパイロットリリーフ弁26が設けられている。メインリリーフ弁25は、油圧ポンプ12からの吐出圧が設定圧を超えたときに開弁し、過剰圧を作動油タンク13側にリリーフさせる。一方、パイロットリリーフ弁26は、パイロットポンプ18からの吐出圧が設定圧を超えたときに開弁し、パイロット管路23内のパイロット圧を一定に維持し、操作レバー装置14で減圧された操作圧が操作信号として油圧パイロット部22A,22Bに供給される。
次に、エンジン10、遮断弁24、後述の表示装置34等の動作を制御するコントローラ27について説明する。
コントローラ27は、油圧ショベル1に搭載され、エンジン10、操作信号検出器15、ロックスイッチ17、遮断弁24、後述の入力装置29、表示装置34等に接続されている。このコントローラ27は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、エンジン10、遮断弁24、表示装置34等に対する制御指令を生成し、各種の制御機能(手段)を実行する。具体的には、コントローラ27は、エンジン10の回転数制御、遮断弁24の駆動制御、表示装置34の画面切替制御等を行う。
また、コントローラ27は、操作レバー装置14が一定時間継続して操作されないときに、エンジン10の回転数をアイドリング回転数に切換えるオートアイドリング制御と、ロックレバー16が一定時間継続してロック位置を保持したときに、エンジン10を自動的に停止させるアイドリングストップ制御とを行う。ここで、コントローラ27は、記憶部(メモリ)28を有し、この記憶部28には、アイドリングストップ制御に関する初期設定が格納されている。この場合、アイドリングストップ機能に関する初期設定とは、例えばアイドリングストップ機能を有効にするか無効にするかの設定と、アイドリングストップ機能を有効としたときに、ロックレバー16がロック位置となってからエンジン10を停止させるまでの時間(アイドリングストップ設定時間)T(I/S)の設定を指す。
入力装置29は、キャブ8内に位置して、運転席9の右側に設けられている。この入力装置29は、図4に示すように、キースイッチ30、エンジン制御ダイヤル31、オートアイドリング設定スイッチ32、選択/確定スイッチ33等を備え、運転席9に着座したオペレータによって操作される。
キースイッチ30は、エンジン10を始動するためにエンジンキー(図示せず)を用いて操作される。
エンジン回転数設定器としてのエンジン制御ダイヤル31は、ダイヤルの回転位置に応じてエンジン10の目標回転数を所定の範囲内(例えば800rpm〜1800rpm)で設定するものである。オートアイドリング設定スイッチ32は、後述するオートアイドリング機能を有効にするか無効にするかを設定するものである。
選択/確定スイッチ33は、回転操作および押圧操作が可能なダイヤル式のスイッチからなり、例えば後述する表示装置34の切換え、空調装置(エアコン)の設定、ラジオの設定、作業モードの設定、後述するアイドリングストップ機能に関する初期設定等を行うために操作される。
表示装置34は、キャブ8内に位置して運転席9の前方に設けられている。この表示装置34は、例えば液晶モニタにより構成され、オペレータに対して油圧ショベル1の運転状況を表示するものである。表示装置34は、コントローラ27に接続され、コントローラ27からの指令に応じた画面が表示される。例えば、表示装置34には、燃料の残量、エンジン冷却水の水温、稼動時間、車内温度等のように車体に関する各種の情報が表示される。
また、表示装置34は、エンジン制御ダイヤル31の操作に応じてエンジン10の目標回転数を表示し、オートアイドリング設定スイッチ32の操作に応じてオートアイドリング機能の有効/無効を表示し、選択/確定スイッチ33を用いて空調装置、ラジオ、作業モードを設定したときには、それぞれの設定内容を表示する。
さらに、表示装置34は、選択/確定スイッチ33を用いてアイドリングストップ機能に関する初期設定を行ったときには、その初期設定の内容(アイドリングストップ機能を有効にするか無効にするかの設定と、アイドリングストップ設定時間T(I/S))を表示する。従って、オペレータは、選択/確定スイッチ33と表示装置34とを用いて、アイドリングストップ機能に関する初期設定を行うことができる。
バッテリ35は、エンジン10を含む電気機器の電源となるものである。具体的には、バッテリ35は、エンジン10を駆動(運転)するための電気機器、コントローラ27、表示装置34等の電源となるものである。このバッテリ35は、例えば電荷を蓄える蓄電装置として一般的な鉛蓄電池が用いられている。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ8に搭乗して運転席9に着座し、キースイッチ30をSTART位置に操作する。これにより、アシスト発電モータ11が回転駆動すると共に、エンジン10に燃料が供給され、エンジン10が始動する。そして、エンジン10の回転数が所定の回転数(例えば、アイドル回転数)以上に達したら、オペレータは、ロックレバー16をロック位置からロック解除位置に切り換える。
これにより、コントローラ27は、ロックスイッチ17からの信号に基づいてロックレバー16がロック解除位置に切換えられたと判定し、遮断弁24の電磁パイロット部24Aに信号を出力する。従って、パイロット管路23の途中に設けられた遮断弁24が、遮断位置(d)から連通位置(e)に切換えられ、操作レバー装置14の操作に応じたパイロット圧が、方向制御弁22の油圧パイロット部22Aまたは22Bに供給可能となる。
この結果、油圧ショベル1は、操作レバー装置14に対する操作に応じて、油圧ポンプ12からの圧油が方向制御弁22を介して油圧アクチュエータ19に供給され、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4による旋回動作、作業装置5による掘削動作等を行う。この場合、オペレータが、入力装置29のエンジン制御ダイヤル31を操作することにより、エンジン回転数を適宜に設定することができる。
ここで、エンジン10の作動時に、操作レバー装置14に対する操作、またはエンジン制御ダイヤル31によるエンジン回転数を設定する操作が、一定時間(オートアイドリング設定時間)T(A/I)以上継続して行われないときには、コントローラ27はオートアイドリング制御を実行する。
このオートアイドリング制御は、エンジン回転数設定器としてのエンジン制御ダイヤル31によって設定されたエンジン回転数を、自動的に所定のアイドリング回転数(A/I回転数)に変更する制御である。この場合、A/I回転数は、エンジン制御ダイヤル31によって設定し得るエンジン回転数の最小値と最大値との中間の値(例えば1200rpm)で設定される。オートアイドリング制御は、エンジン制御ダイヤル31によって設定されたエンジン回転数がA/I回転数以上であるときには、エンジン回転数をA/I回転数に変更する。一方、設定されたエンジン回転数がA/I回転数よりも低いときには、エンジン回転数は変更されない。
このように、操作レバー装置14またはエンジン制御ダイヤル31に対する操作が一定時間(オートアイドリング設定時間)T(A/I)以上継続して行われず、操作信号検出器15またはエンジン制御ダイヤル31からの信号がコントローラ27に入力されない場合には、オートアイドリング制御を実行する。これにより、無駄な燃料消費量を抑えると共に、排気ガス、騒音等を低減して作業現場の環境を良くすることができる。
オートアイドリング制御は、入力装置29に設けられたオートアイドリング設定スイッチ32を操作することにより、有効または無効に設定することができる。即ち、オートアイドリング設定スイッチ32が「有効」に設定されたときには、上述したオートアイドリング制御を実行することができる。一方、オートアイドリング設定スイッチ32が「無効」に設定されたときには、オートアイドリング機能が無効となる。このときには、操作レバー装置14またはエンジン制御ダイヤル31に対する操作が一定時間継続して行われない場合でも、エンジン制御ダイヤル31によって設定されたエンジン回転数が保持される。
さらに、エンジン10の作動時に、ロックレバー16がロック位置にある状態、即ち操作レバー装置14の操作に応じた方向制御弁22へのパイロット圧(操作信号)の出力が禁止されている状態が一定時間(アイドリングストップ設定時間)T(I/S)以上継続したときには、コントローラ27は、アイドリングストップ制御を実行する。
このアイドリングストップ制御は、ロックレバー16がロック位置に切換えられた状態を油圧ショベル1の非作業状態とみなし、この非作業状態が一定時間継続したときにエンジン10を自動停止する制御である。これにより、無駄な燃料消費量を抑えると共に、排気ガス、騒音等を低減して作業現場の環境を良くすることができる。
この場合、アイドリングストップ制御は、入力装置29のオートアイドリング設定スイッチ32を操作することにより、有効または無効に設定することができる。即ち、本実施の形態では、単一のオートアイドリング設定スイッチ32を操作することにより、オートアイドリング制御の有効/無効と、アイドリングストップ制御の有効/無効とを一緒に設定することができる構成となっている。
ここで、コントローラ27の記憶部28には、アイドリングストップ機能に関する初期設定が格納されている。この初期設定とは、オートアイドリング設定スイッチ32が操作されたときにアイドリングストップ機能を有効にするか無効にするかの設定と、アイドリングストップ設定時間T(I/S)である。この初期設定は、入力装置29の選択/確定スイッチ33と表示装置34を操作することにより行われ、記憶部28に格納される。
この場合、記憶部28に格納された初期設定が、アイドリングストップ機能を無効にする設定であった場合には、オートアイドリング設定スイッチ32によってオートアイドリング制御が有効に設定されたとしても、アイドリングストップ制御が実行されることはない。一方、記憶部28に格納された初期設定が、アイドリングストップ機能を有効にする設定であった場合には、オートアイドリング設定スイッチ32によってオートアイドリング制御が有効に設定されたときに、アイドリングストップ制御も有効に設定される構成となっている。
このように、本実施の形態では、入力装置29のオートアイドリング設定スイッチ32によりオートアイドリング機能を有効に設定したときには、コントローラ27はオートアイドリング制御を実行する。このとき、コントローラ27の記憶部28に格納されたアイドリングストップ機能に関する初期設定が、アイドリングストップ機能を有効としている場合には、コントローラ27は、オートアイドリング制御と共にアイドリングストップ制御を実行する。
次に、オートアイドリング設定スイッチ32の操作に応じて、コントローラ27がオートアイドリング制御、アイドリングストップ制御を選択するときの制御処理について、図6を参照して説明する。
ステップ1において、オートアイドリング機能に関する初期設定を読込んでステップ2に進む。ここで、オートアイドリングに関する初期設定とは、例えば操作信号検出器15またはエンジン制御ダイヤル31からの信号がコントローラ27に入力されなくなった時点からエンジン回転数がアイドリング回転数に変更されるまでの時間(オートアイドリング設定時間)T(A/I)等の設定を指す。
ステップ2では、オートアイドリング設定スイッチ32によりオートアイドリング機能がON状態(有効)となったか否かを判定し、「NO」と判定された場合には、ステップ3においてオートアイドリング制御をOFF状態(無効)として制御処理を終了する。一方、ステップ2で「YES」と判定された場合には、ステップ4でアイドリングストップ機能に関する初期設定を読込んだ後、ステップ5に進む。
ステップ5では、記憶部28に格納されたアイドリングストップ機能に関する初期設定に基づいて、アイドリングストップ機能がON状態(有効)に設定されているか否かを判定する。ステップ5で「NO」と判定された場合には、アイドリングストップ機能がOFF状態(無効)に設定されているので、ステップ6に進んでオートアイドリング制御を実行する。一方、ステップ5で「YES」と判定された場合には、アイドリングストップ機能がON状態(有効)に設定されているので、ステップ7に進んでアイドリングストップ制御を実行する。
このように、本実施の形態では、コントローラ27が実行する上述の制御処理が、オートアイドリング設定スイッチ32の操作に応じてアイドリングストップ機能を有効にするか無効にするかを切換える切換機能を構成している。
次に、コントローラ27がオートアイドリング制御を実行する場合の制御処理について、図7を参照して説明する。
オートアイドリング制御がスタートすると、ステップ11においてオートアイドリングに関するタイマのカウントをリセットし、ステップ12に進む。ステップ12では、エンジン制御ダイヤル31によって設定されたエンジン回転数が、A/I回転数以上であるか否かを判定する。ステップ12で「NO」と判定された場合には、エンジン回転数を変更しないためステップ11に戻り、「YES」と判定された場合はステップ13に進み、オートアイドリング機能に関するタイマのカウントを開始する。
続くステップ14では、操作信号検出器15からの信号に基づき、操作レバー装置14に対する操作が行われたか否かを判定する。ステップ14で「YES」と判定された場合には、操作レバー装置14が操作された場合であるからステップ11に戻る。一方、ステップ14で「NO」と判定された場合にはステップ15に進む。ステップ15では、エンジン制御ダイヤル31からの信号に基づき、エンジン回転数の変更操作が行われたか否かを判定する。ステップ15で「YES」と判定された場合には、エンジン制御ダイヤル31が操作された場合であるからステップ11に戻り、「NO」と判定された場合にはステップ16に進む。
ステップ16では、オートアイドリング設定スイッチ32がON状態(有効)を保持しているか否かを判定する。ステップ16で「NO」と判定された場合には、オートアイドリング設定スイッチ32がOFF状態(無効)に切換えられているから、後述のステップ23に進んでオートアイドリング機能に関するタイマのカウンタをリセットし、制御処理を終了する。一方、ステップ16で「YES」と判定された場合には、ステップ17に進む。
ステップ17では、タイマでカウントされた時間(タイマカウント)が、初期設定で設定されたオートアイドリング設定時間T(A/I)以上に達したか否かを判定する。ステップ17で「NO」と判定された場合には、ステップ18でタイマカウントをアップし、ステップ14に戻る。一方、ステップ17で「YES」と判定された場合には、操作信号検出器15またはエンジン制御ダイヤル31からの信号が入力されない時間が、オートアイドリング設定時間T(A/I)以上となった場合であるから、ステップ19に進む。
ステップ19では、エンジン回転数をオートアイドリング回転数(A/I回転数)に変更する。ここで、A/I回転数変更後も、操作レバー装置14に対する操作やエンジン回転数変更操作等により、エンジン回転数を再変更することが可能である。その制御処理をステップ20以降で説明する。
続くステップ20では、操作信号検出器15からの信号に基づき、操作レバー装置14に対する操作が行われたか否かを判定する。ステップ20で「YES」と判定された場合にはステップ11に戻り、ステップ20で「NO」と判定された場合にはステップ21に進む。ステップ21では、エンジン制御ダイヤル31からの信号に基づき、エンジン回転数の変更操作が行われたか否かを判定する。ステップ21で「YES」と判定された場合にはステップ11に戻り、ステップ21で「NO」と判定された場合にはステップ22に進む。
ステップ22では、オートアイドリング設定スイッチ32がON状態(有効)を保持しているか否かを判定する。ステップ22で「YES」と判定された場合には、ステップ20に戻る。一方、ステップ22で「NO」と判定された場合には、ステップ23に進んでオートアイドリングに関するタイマのカウンタをリセットし、制御処理を終了する。
本実施の形態では、コントローラ27の記憶部28に格納されたアイドリングストップ機能に関する初期設定で、アイドリングストップ機能が有効に設定され、かつ、入力装置29のオートアイドリング設定スイッチ32によってオートアイドリング機能が有効に設定されたときには、さらにエンジン10に対するアイドリングストップ制御が行われる。
このアイドリングストップ制御は、ロックレバー16がロック位置にある状態がアイドリングストップ設定時間T(I/S)以上継続したときに、エンジン10の回転数を徐々にスローダウン回転数に変更(スローダウン制御)した後、エンジン10を自動的に停止させるものである。この場合、アイドリングストップ設定時間T(I/S)は、ロックレバー16がロック位置となってからエンジン10の回転数をスローダウン回転数に変更するまでの第1のアイドリングストップ設定時間T(I/S)1と、エンジン10の回転数がスローダウン回転数に変更されてからエンジン10を自動停止させるまでの第2のアイドリングストップ設定時間T(I/S)2とからなり、第1のアイドリングストップ設定時間T(I/S)1は、例えば15秒に設定され、第2のアイドリングストップ設定時間T(I/S)2は、例えば30秒に設定されている。
ここで、スローダウン回転数とは、入力装置29のエンジン制御ダイヤル31によって設定し得る最小回転数(例えば、800rpm)に設定されている。エンジン10を自動的に停止させる前にスローダウン回転数まで徐々に低下させることにより、エンジン10が自動停止するときのショックを抑えることができる上に、オペレータに対してアイドリングストップ機能が作用していることを予め報知することができる。
なお、アイドリングストップ制御の途中において、ロックレバー16をロック位置からロック解除位置に切換える操作、エンジン制御ダイヤル31によってエンジン10の回転数を設定する操作、オートアイドリング設定スイッチ32を無効とする操作のいずれかの操作を行うことにより、アイドリングストップ制御を停止させることができる。
次に、コントローラ27がアイドリングストップ制御を実行する場合の制御処理について、図8を参照して説明する。
アイドリングストップ制御がスタートすると、ステップ31において、オートアイドリング設定スイッチ32がON状態(有効)であるか否かを判定する。ステップ31で「NO」と判定された場合には、オートアイドリング設定スイッチ32がOFF状態(無効)に切換えられているから制御処理を終了する。一方、ステップ31で「YES」と判定された場合にはステップ32に進み、ロックスイッチ17からの信号に基づいてロックレバー16がロック位置にあるかロック解除位置にあるかを検出する。
続くステップ33では、ロックレバー16がロック位置にあるか否かを検出する。ステップ33で「NO」と判定された場合には、ロックレバー16がロック解除位置にあるのでステップ34に進み、上述したオートアイドリング制御のみを実行する。一方、ステップ33で「YES」と判定された場合には、ロックレバー16がロック位置にあるのでステップ35に進み、エンジン10を自動的に停止させる制御(エンジン自動停止制御)を実行する。
次に、コントローラ27がエンジン自動停止制御を実行する場合の制御処理について、図9を参照して説明する。
エンジン自動停止制御がスタートすると、ステップ41においてスローダウン制御に関するタイマのカウントをリセットし、ステップ42に進む。ステップ42では、スローダウン制御に関するタイマのカウントを開始し、ステップ43に進む。
ステップ43では、エンジン制御ダイヤル31からの信号に基づき、エンジン回転数の変更操作が行われたか否かを判定する。ステップ43で「YES」と判定された場合には、エンジン制御ダイヤル31が操作された場合であるからステップ41に戻り、「NO」と判定された場合にはステップ44に進む。ステップ44では、ロックスイッチ17からの信号に基づき、ロックレバー16がロック位置にあるか否かを判定する。ステップ44で「NO」と判定された場合には、ロックレバー16がロック解除位置に操作された場合(作業状態)であるからステップ45に進み、スローダウン制御に関するタイマのカウントをリセットした後、制御処理を終了する。一方、ステップ44で「YES」と判定された場合にはステップ46に進む。
ステップ46では、オートアイドリング設定スイッチ32がON状態(有効)を保持しているか否かを判定する。ステップ46で「NO」と判定された場合には、オートアイドリング設定スイッチ32がOFF状態(無効)に切換えられているからステップ45に進み、ステップ46で「YES」と判定された場合には、ステップ47に進む。
ステップ47では、タイマでカウントされた時間(タイマカウント)が、第1のアイドリングストップ設定時間T(I/S)1以上に達したか否かを判定する。ステップ47で「NO」と判定された場合には、ステップ48でタイマカウントをアップし、ステップ43に戻る。一方、ステップ47で「YES」と判定された場合には、タイマカウントが第1のアイドリングストップ設定時間T(I/S)1以上となった場合であるから、ステップ49に進む。ステップ49では、エンジン10の回転数を徐々にスローダウン回転数(例えば、800rpm)に変更する。
続くステップ50では、エンジン自動停止制御に関するタイマのカウントをリセットし、ステップ51に進む。ステップ51では、エンジン自動停止制御に関するタイマのカウントを開始し、ステップ52に進む。
ステップ52では、エンジン制御ダイヤル31からの信号に基づき、エンジン回転数の変更操作が行われたか否かを判定する。ステップ52で「YES」と判定された場合には、エンジン制御ダイヤル31が操作された場合であるからステップ41に戻り、「NO」と判定された場合にはステップ53に進む。ステップ53では、ロックスイッチ17からの信号に基づき、ロックレバー16がロック位置にあるか否かを判定する。ステップ53で「NO」と判定された場合には、ロックレバー16がロック解除位置にあるのでステップ54に進み、エンジン自動停止に関するタイマのカウントをリセットした後、制御処理を終了する。一方、ステップ53で「YES」と判定された場合にはステップ55に進む。
ステップ55では、オートアイドリング設定スイッチ32がON状態(有効)を保持しているか否かを判定する。ステップ55で「NO」と判定された場合には、オートアイドリング設定スイッチ32がOFF状態(無効)に切換えられているからステップ54に進み、ステップ55で「YES」と判定された場合には、ステップ56に進む。
ステップ56では、タイマでカウントされた時間(タイマカウント)が、第2のアイドリングストップ設定時間T(I/S)2以上に達したか否かを判定する。ステップ56で「NO」と判定された場合には、ステップ57でタイマカウントをアップし、ステップ52に戻る。一方、ステップ56で「YES」と判定された場合には、タイマカウントが第2のアイドリングストップ設定時間T(I/S)2以上となった場合であるから、ステップ58に進む。そして、ステップ58でエンジン10を自動停止させた後、制御処理を終了する。
かくして、本実施の形態による油圧ショベル1は、オートアイドリング機能を有効にするか無効にするかを切換えるオートアイドリング設定スイッチ32が設けられ、コントローラ27は、図6に示す制御処理により、オートアイドリング設定スイッチ32の操作に応じてアイドリングストップ機能の有効/無効を切換えることができる。
従って、オートアイドリング設定スイッチ32によってオートアイドリング機能の有効/無効を設定するときに、同時にアイドリングストップ機能の有効/無効を設定することができる。この結果、アイドリングストップ機能の有効/無効を切換えるための専用のスイッチを不要にでき、単一のオートアイドリング設定スイッチを用いて、オートアイドリング機能の有効/無効と、アイドリングストップ機能の有効/無効を設定することができる。
また、アイドリングストップ機能を停止させるときには、ロックレバー16をロック位置からロック解除位置へと切換える煩雑な操作を行うことなく、オートアイドリング設定スイッチ32を無効にするだけでアイドリングストップ機能を停止させることができる。従って、オペレータは、扱い慣れたオートアイドリング設定スイッチ32を操作するだけで、安全かつ容易にアイドリングストップ機能の有効/無効を設定することができる。
また、コントローラ27には、アイドリングストップ機能の有効/無効の設定と、アイドリングストップ設定時間T(I/S)を初期設定として格納する記憶部28が設けられている。このため、オートアイドリング設定スイッチ32によりオートアイドリング機能が有効に設定されたときには、コントローラ27は、記憶部28に格納された前記初期設定に基づいてアイドリングストップ制御を実行することができる。
なお、本実施の形態では、油圧パイロット式の方向制御弁22を用いて油圧アクチュエータ19に供給される圧油を制御する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す変形例のように、電磁パイロット式の方向制御弁36を用いる構成としてもよい。この場合には、方向制御弁36の電磁パイロット部36A,36Bと電気式の操作レバー装置37との間を電気的に接続し、操作レバー装置37とバッテリ35との間にはスイッチ38を設ける。これにより、ロックレバー16がロック位置にあるときには、コントローラ27からの信号によってスイッチ38をOFF状態とすることにより、油圧アクチュエータ19を非作動状態に保持することができる。
また、本実施の形態では、作業機械として、自走可能なクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、自走可能なホイール式油圧ショベル、移動式クレーン、さらには、走行しない基体上に旋回可能に旋回体が搭載された設置式のショベル、クレーン等に適用してもよい。また、作業機械として、例えばホイールローダ、フォークリフト、ダンプトラック等のように、旋回体を備えない各種の作業車両等にも広く適用することができるものである。
さらに、上述した実施の形態では、エンジン10とアシスト発電モータ11とからなる駆動源を有するハイブリッド式の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、エンジンのみによって駆動源が構成された作業機械にも広く適用することができるものである。