以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に取付けられた作業装置5とを含んで構成されている。油圧ショベル1は、作業装置5を用いて土砂の掘削作業等を行う。
ここで、下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、それぞれが油圧アクチュエータとしての左,右の走行油圧モータ2E,2F(図3参照)によって回転駆動される。
作業装置5は、例えばスイングポスト式の作業装置として構成されている。作業装置5は、スイングポスト5A、ブーム5B、アーム5C、および、作業具としてのバケット5Dを備えている。これに加え、作業装置5は、スイングポスト5A(延いては作業装置5全体)を左,右に揺動するスイングシリンダ(図示せず)、ブーム5Bを回動するブームシリンダ5E、アーム5Cを回動するアームシリンダ5F、および、バケット5Dを回動(作動)する作業具シリンダとしてのバケットシリンダ5Gを備えている。これらスイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5Gは、それぞれ圧油によって駆動(作動)する油圧アクチュエータとなるものである。
一方、上部旋回体4は、油圧アクチュエータとしての旋回油圧モータ3A(図3参照)、減速機構、旋回軸受等を含んで構成された旋回装置3を介して下部走行体2に取付けられている。上部旋回体4は、旋回装置3(の旋回油圧モータ3A)によって下部走行体2に対して旋回駆動する。ここで、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、外装カバー7、キャブ8、カウンタウエイト14を含んで構成されている。
旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体を形成するフレームとなるもので、該旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。旋回フレーム6には、その後部側に後述のカウンタウエイト14、エンジン15が設けられ、左前側には後述のキャブ8が設けられ、右前側には燃料タンク(図示せず)が設けられている。旋回フレーム6には、キャブ8の右側から後側および左,右の側面側にわたって外装カバー7が設けられている。外装カバー7は、旋回フレーム6、キャブ8およびカウンタウエイト14と共に、エンジン15、油圧ポンプ21、熱交換器(図示せず)等を収容する空間(エンジンルーム)を画成するものである。
キャブ8は、旋回フレーム6の左前側に搭載され、該キャブ8は、オペレータ(運転者)が搭乗する運転室8Aを内部に画成している。キャブ8の内部には、オペレータが着席(着座)する運転席9が設けられている。運転席9は、建屋としてのキャブ8により上方が覆われている。運転席9には、オペレータの着席を検出する着座検出スイッチ9A(図4参照)が設けられている。
着座検出スイッチ9Aは、例えば、検出スイッチ、圧力スイッチ、近接スイッチ、圧力センサ等のオペレータの着席に基づく荷重(の有無)を検出することができるスイッチ、センサ等により構成することができる。図4に示すように、着座検出スイッチ9Aは、後述の車体コントローラ48に接続されており、該車体コントローラ48は、着座検出スイッチ9Aの検出信号に基づいて、オペレータが運転席9に着席しているか否(離席している)かを判定することができる。
なお、オペレータの着席の検出は、着座検出スイッチ9Aに代えて、例えば、キャブ8の天井に設けた天井センサ(例えば、赤外線センサ、画像センサ、光学センサ、レーザ、カメラ)を用いることもできる。即ち、オペレータがいるか否かを検出できるセンサ(オペレータ検知器)であれば、着座スイッチ、着座センサ、人感センサ等を含む各種の検出器を用いることができる。
一方、運転席9の左,右両側には、作業装置5等を操作するための作業用の操作レバー10A,10Bが設けられている。操作レバー10A,10Bは、オペレータによって前,後方向におよび左,右方向に傾転操作される。この場合、左側の操作レバー10Aは、例えば、上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5のアーム5Cを回動させるものであり、右側の操作レバー10Bは、例えば、作業装置5のブーム5Bを俯仰動させたり、バケット5Dを回動させるものである。
運転席9の前方には、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル11A,11Bが設けられている。操作レバー・ペダル11A,11Bは、オペレータによって前,後方向に傾転操作され、車体を前進、後進、左,右方向に曲進させるものである。
運転席9の近傍、より具体的には、運転席9の右側で右操作レバー10Bの後側には、起動スイッチ12が設けられている。起動スイッチ12は、エンジン15を始動させるスイッチ(パワースイッチ)となるもので、例えば、プッシュ式スイッチにより構成され、オペレータによって操作される(押される)。図4に示すように、起動スイッチ12は、後述の車体コントローラ48に接続され、オペレータにより操作される(押される)と、その旨の信号(ON信号)を車体コントローラ48に出力する。オペレータは、運転席9に着席し、起動スイッチ12を操作する(押す)ことにより、後述のエンジン15の始動、停止等を行うことができる。
一方、運転席9の左側、より具体的には、左操作レバー10Aの下側で、キャブ8の乗降口と対応する位置には、後述するパイロット切換弁28等とともにロック装置を構成するロックレバー(ゲートロックレバー)13が設けられている。ロックレバー13は、キャブ8の乗降口を遮断する乗降規制位置(以下、ロック解除位置という)と、乗降口を開く乗降許可位置(以下、ロック位置という)との間で回動変位するものである。ここで、乗降口を遮断するロック解除位置は、ロックレバー13を下げた状態に対応し、乗降口を開くロック位置は、ロックレバー13を上げた状態に対応する。図1では、下げた状態(ロック解除位置)のロックレバー13を示している。
ロックレバー13は、オペレータの操作により、ロック位置(上げ位置)とロック解除位置(下げ位置)とに切換えられる。この場合、ロックレバー13をロック位置としたときには、油圧ショベル1の油圧アクチュエータ、即ち、各シリンダ5E,5F,5G、走行油圧モータ2E,2F、旋回油圧モータ3A等の各種の油圧アクチュエータの駆動が禁止される。これに対し、ロックレバー13をロック解除位置としたときには、油圧アクチュエータの駆動が許可される。
ここで、ロックレバー13には、ロックスイッチ13A(図4参照)が設けられている。ロックスイッチ13Aは、ロックレバー13の位置を検出するもの(検出器)である。図4に示すように、ロックスイッチ13Aは、後述の車体コントローラ48に接続されている。車体コントローラ48は、ロックスイッチ13Aの検出信号(ON・OFF信号)に基づいて、ロックレバー13がロック位置であるかロック解除位置であるかを判定することができる。この場合、ロックスイッチ13Aは、例えば、ロックレバー13がロック位置のときは通電OFF(開)となり、ロックレバー13がロック解除位置にあるときは通電ON(閉)となる、常開のスイッチ(ばねにより開位置に付勢されるスイッチ)として構成することができる。
さらに、図4に示すように、車体コントローラ48は、後述のパイロットカットリレー42(以下、PCリレー42)に接続されている。この場合、後述のバッテリ31とパイロット切換弁28は、PCリレー42を介して接続されている。これらPCリレー42、パイロット切換弁28、車体コントローラ48は、ロックレバー13、ロックスイッチ13Aと共に、ロック装置を構成している。
後述するように、ロックレバー13をロック位置にすると、図3に示す制御弁装置26(制御弁26A〜26F)を切換える(スプールを変位させる)ためのパイロット圧(切換信号)が遮断され、制御弁装置26が中立状態に維持される。これにより、油圧ポンプ21から吐出する圧油は、油圧アクチュエータに供給されることなく作動油タンク22に戻り、油圧アクチュエータの駆動が禁止される。
一方、ロックレバー13をロック解除位置にすると、作業用の操作レバー10A,10B、走行用の操作レバー・ペダル11A,11Bを介して、パイロット圧を制御弁装置26(制御弁26A〜26F)に供給できる状態となる。この場合は、オペレータによる操作レバー10A,10B、走行用の操作レバー・ペダル11A,11Bの操作に基づいて、制御弁装置26が切換わり(スプールが変位し)、油圧アクチュエータの駆動が許可される。このように、油圧ショベル1は、ロックレバー13をロック解除位置に切換えた状態で、油圧アクチュエータの駆動により作業を行うものである。
カウンタウエイト14は、作業装置5との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト14は、後述するエンジン15の後側に位置して旋回フレーム6の後端部に取付けられている。カウンタウエイト14の後面側は、円弧状をなして形成され、カウンタウエイト14を下部走行体2の車体幅内に収まる構成となっている。
エンジン15は、上部旋回体4(車体)に搭載されている。具体的には、エンジン15は、上部旋回体4を構成する旋回フレーム6の後側に、横置き状態で配置されている。エンジン15は、例えば小型のディーゼルエンジンを用いて構成され、後述の油圧ポンプ21の動力源(駆動源)となるものである。ここで、エンジン15は、電子制御式エンジンにより構成され、例えば、燃料の供給量が電子制御噴射弁(インジェクタ―)等の燃料噴射装置により可変に制御される。即ち、燃料噴射装置は、後述のエンジンコントロールユニット(ECU)43(図4参照)から出力される制御信号に基づいて、エンジン15のシリンダ(図示せず)内に噴射する燃料の噴射量(燃料噴射量)を可変に制御する。
エンジン15には、エンジン15の電装品(補機)、即ち、エンジン15の電気機器となるスタータモータ16(図3、図4参照)が設けられている。図4に示すように、スタータモータ16は、後述のスタータリレー33等を介してバッテリ31に接続されている。スタータモータ16は、エンジン15を始動するときに、エンジン15のクランク軸を回転するものである。即ち、スタータリレー33がON(閉)になると、バッテリ31からの電力の供給(給電)に基づいてスタータモータ16が回転し、エンジン15を始動することができる。エンジン15が始動すると、スタータリレー33がOFF(開)になり、スタータモータ16は停止する。
次に、油圧ショベル1の油圧回路の構成について、図3を参照しつつ説明する。なお、図3では、スイングシリンダに関する油圧回路は省略して示している。
油圧ポンプ21は、エンジン15の左側に取付けられている。油圧ポンプ21は、作動油タンク22と共に油圧源を構成する。即ち、油圧ポンプ21は、エンジン15によって駆動されることにより作動油タンク22から作動油を吸入し、吸入した作動油を、主管路23を通じて制御弁装置26に圧油として供給(吐出)する。油圧ポンプ21は、例えば可変容量型の斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプによって構成されている。なお、油圧ポンプ21は、必ずしも可変容量型の油圧ポンプに限らず、例えば固定容量型の油圧ポンプを用いて構成してもよい。
パイロット油圧ポンプ24は、パイロット油圧源となるもので、パイロット管路25にパイロット圧を供給する。パイロット管路25の途中には、パイロット切換弁28が設けられている。
制御弁装置26は、制御弁26A〜26Fの集合体として構成され、主管路23によって油圧ポンプ21の吐出側と接続されている。各制御弁26A〜26Fは、例えば油圧パイロット式のスプール弁等によって構成されている。制御弁装置26(制御弁26A〜26F)は、作業用の操作レバー10A,10B、走行用の操作レバー・ペダル11A,11Bの操作に基づくパイロット圧、即ち、後述の油圧パイロット弁27,27から油圧パイロット部に入力されるパイロット圧に応じて切換えられる。これにより、制御弁装置26は、油圧ポンプ21から吐出した圧油を、各シリンダ5E,5F,5G、走行油圧モータ2E,2F、旋回油圧モータ3A等の各種の油圧アクチュエータに選択的に給排(供給または排出)する。油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aは、油圧ポンプ21から制御弁装置26を介して供給される圧油によって駆動される。
ここで、制御弁装置26は、図3に示すように、旋回装置の旋回油圧モータ3Aを制御する旋回制御弁26Aと、作業装置5のアームシリンダ5F、ブームシリンダ5E、バケットシリンダ5Gを制御するアーム制御弁26B、ブーム制御弁26C、バケット制御弁26Dと、下部走行体2の走行油圧モータ2E,2Fを制御する左走行制御弁26E,右走行制御弁26Fとによって構成されている。
複数個の油圧パイロット弁27,27は、制御弁26A〜26Fの油圧パイロット部に接続されている。油圧パイロット弁27,27は、例えば4個の減圧弁27A〜27Dによって構成されている。ここで、例えば図3中で左側に位置する油圧パイロット弁27は、左側の操作レバー10Aに連結され、旋回制御弁26Aおよびアーム制御弁26Bに接続されている。
例えば、左側の操作レバー10Aを、前,後方向または左,右方向に傾転操作したときには、左側の油圧パイロット弁27から旋回制御弁26Aまたはアーム制御弁26Bにレバーの操作量に応じたパイロット圧が出力され、該当する制御弁26A,26Bが切換えられる。これにより、上部旋回体4の旋回、アーム5Cの俯仰動を行うことができる。
一方、右側に位置する油圧パイロット弁27は、右側の操作レバー10Bに連結され、ブーム制御弁26Cおよびバケット制御弁26Dに接続されている。右側の操作レバー10Bを傾転操作したときには、右側の油圧パイロット弁27によってブーム制御弁26Cまたはバケット制御弁26Dが切換えられ、これによってブーム5Bやバケット5Dを作動させることができる。
さらに、中央の油圧パイロット弁27は、左,右の操作レバー・ペダル11A,11Bに連結され、左走行制御弁26Eおよび右走行制御弁26Fに接続されている。操作レバー・ペダル11A,11Bを傾転操作したときには、中央の油圧パイロット弁27によって左走行制御弁26Eまたは右走行制御弁26Fが切換えられ、車両を走行させることができる。
ロックレバー13等と共にロック装置を構成するパイロット切換弁(パイロットカットソレノイドバルブ)28は、パイロット管路25の途中(パイロット油圧ポンプ24と油圧パイロット弁27との間)に開,閉可能に設けられている。パイロット切換弁28は、制御弁装置26(制御弁26A〜26F)に対するパイロット圧の供給の許可と禁止、即ち、パイロット圧油の導通(開)と遮断(閉)とを切換えるものである。
ここで、パイロット切換弁28は、ロックレバー13がロック解除位置となっているときに、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を許可する。一方、パイロット切換弁28は、ロックレバー13がロック位置となっているときに、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を禁止する。さらに、パイロット切換弁28は、後述するように、ロックレバー13がロック解除位置でも、携帯鍵51が無線認証装置52の認証可能範囲外にあるときは、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を禁止する。
図3に示すように、パイロット切換弁28は、例えば電磁パイロット式の3ポート2位置切換弁により構成されている。図3および図4に示すように、パイロット切換弁28は、後述のPCリレー42を介して車両のバッテリ31と通電される電磁パイロット部28Aと、戻しばね28Bとを有している。パイロット切換弁28は、PCリレー42のON(閉)/OFF(開)に応じて、供給位置(a)と遮断位置(b)との間で切換えられる。これにより、パイロット切換弁28は、パイロット圧を用いて油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aへの圧油の供給と遮断を間接的に行う構成となっている。
具体的には、PCリレー42がON(閉)のときは、電磁パイロット部24Aに通電が行われることにより、パイロット切換弁28が供給位置(a)に保持される。この場合は、各油圧パイロット弁27にパイロット油圧ポンプ24からパイロット圧が供給される。これにより、オペレータは、操作レバー10A,10B、操作レバー・ペダル11A,11Bを操作することにより、制御弁装置26(制御弁26A〜26F)を切換えて、所望の油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aを駆動させることができる。即ち、作業装置5の動作、上部旋回体4の旋回動作、下部走行体2の走行動作が可能となる。
一方、PCリレー42がOFF(開)のときは、電磁パイロット部24Aへの通電が停止され、パイロット切換弁28が戻しばね28Bによって遮断位置(b)に切換えられる。この場合は、各油圧パイロット弁27に供給されるパイロット圧が遮断され、制御弁装置26(制御弁26A〜26F)が中立位置に保持される。これにより、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aへの圧油の供給が遮断され、作業装置5の動作、上部旋回体4の旋回動作、下部走行体2の走行動作が不可となる。
次に、油圧ショベル1の電気回路の構成について、図4を参照しつつ説明する。
図4において、バッテリ31は、エンジン15を含む電気機器の電源(補機用電源、補機用バッテリ、電装品用電源、電装品用バッテリ)となるものである。より具体的には、バッテリ31は、エンジン15を駆動(運転)するための電気機器、例えば、エンジン15に設けられたスタータモータ16、燃料噴射装置(インジェクタ)、各種センサ、さらには、エンジンコントロールユニット43(以下、ECU43という)等の電源となるものである。これに加えて、バッテリ31は、油圧ショベル1に搭載された各種の電気機器、例えば、第1の電装品37、第2の電装品40、モニタ装置47、車体コントローラ48、認証用コントローラ55等の電源となるものである。
ここで、スタータモータ16は、バッテリ31に対し、スローブローヒューズ(S.B.F)32(以下、SBヒューズ32という)、スタータリレー33を介して接続され、スタータ回路を構成している。スタータリレー33は、バッテリ31に対し、SBヒューズ32、Cヒューズ34、Cリレー35、ヒューズボックス36内のCヒューズ36Aを介して接続され、Cリレー回路を構成している。
Cリレー35は、後述の車体コントローラ48によってON(閉)とOFF(開)が切換わる。この場合、Cリレー35がON(閉)になると、ECU43とスタータリレー33に電流が流れる。これにより、ECU43は、スタータリレー33をON(閉)にし、スタータモータ16とバッテリ31とが通電(接続)状態となる。この結果、スタータモータ16が回転し、エンジン15を始動することができる。なお、エンジン15が始動したら、スタータリレー33はOFF(開)となる。
第1の電装品(アクセサリ電装品、ACC電装品)37は、バッテリ31に対し、SBヒューズ32、アクセサリヒューズ38(以下、ACCヒューズ38という)、アクセサリリレー39(以下、ACCリレー39という)、ヒューズボックス36内のACCヒューズ36Bを介して接続され、アクセサリ回路(ACC回路)を構成している。第1の電装品37は、車体コントローラ48に接続されたACCリレー39がON(閉)のときに、バッテリ31と通電(接続)する電気機器に対応するものである。
第1の電装品37は、車体コントローラ48に接続されたACCリレー39がOFF(開)のときは、バッテリ31と非通電(非接続)となる。第1の電装品37としては、例えば、モニタ装置47の一部、コントローラの一部(例えば、車体コントローラ48および認証用コントローラ55以外のコントローラ)、空調装置(エアコン)、ワイパ、各種のソレノイドバルブ等が挙げられる。また、第1の電装品37は、エンジン15の駆動に必要な電気機器、例えば、エンジン15の燃料噴射装置(インジェクタ)等も含むものである。
一方、第2の電装品(バッテリ直結電装品、B電装品)40は、バッテリ31に対し、SBヒューズ32、ヒューズボックス36内のBヒューズ36Cを介して接続されている。第2の電装品40は、車体コントローラ48に接続されたCリレー35、ACCリレー39、PCリレー42のON(閉)/OFF(開)に関係なく、バッテリ31と(常時)接続した電気機器に対応するものである。第2の電装品40としては、例えば、モニタ装置47の一部、コントローラの一部(例えば、車体コントローラ48および認証用コントローラ55)、ホーン、ライト等が挙げられる。
パイロット切換弁28は、バッテリ31に対し、SBヒューズ32、パイロットカットヒューズ(PCヒューズ)41、PCリレー42、ヒューズボックス36内のPCヒューズ36Dを介して接続されている。ここで、PCリレー42は、車体コントローラ48と接続されている。車体コントローラ48は、ロックレバー13の位置に対応するロックスイッチ13Aの信号に応じて、PCリレー42のON(閉)/OFF(開)を切換える。
PCリレー42がON(閉)のときは、パイロット切換弁28とバッテリ31とが通電(接続)し、パイロット切換弁28が供給位置(a)となる。これにより、作業用の操作レバー10A,10B、走行用の操作レバー・ペダル11A,11Bを介してパイロット圧を制御弁装置26(制御弁26A〜26F)に供給できる状態となり、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ3A、走行油圧モータ2E,2F)の駆動が許可される。一方、PCリレー42がOFF(開)のときは、パイロット切換弁28とバッテリ31とが非通電(非接続)となり、パイロット切換弁28が遮断位置(b)となる。この場合は、制御弁装置26(制御弁26A〜26F)にパイロット圧を供給できない状態となり、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動が禁止される。
ECU43は、エンジン15の制御(回転数制御等)を行う制御装置であり、例えば、マイクロコンピュータ等により構成されている。ECU43は、エンジン15に設けられた各種センサおよび燃料噴射装置(インジェクタ)と接続されている。ECU43は、例えば、エンジン15のシリンダ内への燃料噴射量(燃料供給量)を可変に制御することにより、オペレータの運転操作や車両の作動状態等に応じた回転数でエンジン15を作動させる。この場合、ECU43は、例えば、オペレータが操作するエンジン回転数指示ダイヤルの指令、車体コントローラ48からの指令等に基づいて、燃料噴射装置の燃料噴射量の制御を行う。
ここで、ECU43は、バッテリ31に対し、SBヒューズ32、ヒューズボックス36内のECUヒューズ36E、メインリレー44を介して接続されている。また、ECU43は、スタータリレー33、オルタネータ46、ACCリレー39と接続されている。メインリレー44は、ECU43によってON(閉)/OFF(開)が切換えられる。即ち、ACCリレー39がON(閉)になると、ECU43にACCリレー39から電流が流れ、ECU43は、メインリレー44をON(閉)にする。これにより、ECU43がバッテリ31と通電(接続)状態となる。さらに、ECU43は、モニタ装置47、車体コントローラ48、認証用コントローラ55等と通信線45を介して相互に接続され、CAN(Control Area Network)を構成している。
オルタネータ46は、エンジン15によって駆動されることにより発電を行うものである。オルタネータ46は、バッテリ31の蓄電(充電)に加えて、第1の電装品37、第2の電装品40、ECU43、モニタ装置47、車体コントローラ48、認証用コントローラ55等に対する給電を行う。ここで、オルタネータ46は、B端子がSBヒューズ32を介してバッテリ31に接続され、P端子およびI端子がECU43に接続され、L端子がモニタ装置47に接続されている。
モニタ装置47は、例えば油圧ショベル1のキャブ8内に設けられ、油圧ショベル1を操縦するオペレータに対し、油圧ショベル1の運転状況等を報知するものである。より具体的には、モニタ装置47は、エンジン回転数、燃料残量、オイル残量等の各種状態量、エンジン15、油圧機器等を含む各種機器の不調情報、警告情報等、オペレータに報知すべき情報を表示するものである。モニタ装置47は、音響装置となるホーンと共に、オペレータに情報を報知する報知装置となるものである。
後述するように、モニタ装置47およびホーンは、電気機器(第1の電装品37)の状態が通電から非通電に切換わるとき、および、非通電から通電に切換わるときに、車体コントローラ48からの指令信号に基づいて、その旨(切換わり)をオペレータに報知する。即ち、モニタ装置47およびホーンは、ACCリレー39がONからOFFに切換わるとき、および、ACCリレー39がOFFからONに切換わるときに、その旨をオペレータに報知する。この場合、ACCリレー39がOFFからONに切換わるときは、例えば、警笛を1回鳴らし、かつ、モニタ装置47の表示部(インジケータ)を点灯する。一方、ACCリレー39がONからOFFに切換わるときは、例えば、警笛を2回鳴らし、かつ、モニタ装置47の表示部(インジケータ)を消灯させる。
車体コントローラ48は、モニタ装置47、ECU43、認証用コントローラ55を統合的に管理する制御装置(コントローラ、コントロールユニット)であり、例えば、マイクロコンピュータ等を含んで構成されている。ここで、車体コントローラ48は、後述の無線認証装置52が行う携帯鍵(携帯機)51との無線による認証とオペレータによる起動スイッチ12の操作とに基づいて、バッテリ31と電気機器との間の通電(接続)、非通電(非接続)を切換えるものである。
即ち、車体コントローラ48は、無線認証装置52による認証と起動スイッチ12の操作とに基づいて、バッテリ31と第1の電装品37との間の通電(接続)、非通電(非接続)、および、バッテリ31とスタータモータ16との間の通電(接続)、非通電(非接続)を切換えるものである。換言すれば、車体コントローラ48は、無線認証装置52による認証の結果(認証された状態であるか未認証の状態であるか)と起動スイッチ12の操作の有無とに基づいて、エンジン15の始動を行う(始動の許可または禁止する)ものである。
次に、無線による認証を行う携帯鍵51および無線認証装置52について説明する。
認証鍵(認証機)としての携帯鍵(Key Fob)51は、例えば油圧ショベル1の運転(操縦)を行うオペレータが所持(携帯)するものである。携帯鍵51は、無線認証装置52の認証用コントローラ55からLF送信アンテナ53を通じて送信されるリクエスト信号(認証要求信号)を受信すると、認証用コントローラ55に対して認証用のIDコード(認証信号、認証番号)を送信(発信、返信)するものである。
このために、携帯鍵51は、例えば、リクエスト信号を受信する受信器、IDコードを認証用コントローラ55(のRF受信アンテナ54)に送信する送信器、これらを制御するマイクロコンピュータ、これらに電力を供給する電池、IDコードが設定されたトランスポンダ等(いずれも図示せず)を備えている。なお、トランスポンダは、携帯鍵51の電池が切れたときに、車体に設けられたトランスポンダ用のアンテナ(図示せず)に近付けて、IDコードの照合(認証)を行うものである。
図5に示すように、携帯鍵51は、認証用コントローラ55に接続されたLF送信アンテナ53の送信範囲内(LF帯)に入ると、LF送信アンテナ53から送信されるリクエスト信号(認証要求信号)を受信器で受信する。携帯鍵51は、この受信に基づいて、携帯鍵51に設定された認証用のIDコードを、送信器を通じて送信(返信)する。
一方、車体側となる上部旋回体4(例えば、キャブ8内)には、無線認証装置52が設けられている。無線認証装置52は、携帯鍵51との間で無線による認証を行うものである。この場合、無線認証装置52は、認証可能範囲(認証範囲、認証領域)内にリクエスト信号(認証要求信号)を送信し、当該送信されたリクエスト信号に基づいて携帯鍵51から返信された認証用のIDコード(認証信号)を受信したときに認証を行う。ここで、無線認証装置52は、送信アンテナとしてのLF送信アンテナ53と、受信アンテナとしてのRF受信アンテナ54と、認証用コントローラ55とを含んで構成されている。
LF送信アンテナ53は、認証用コントローラ55に接続され、携帯鍵51に対し認証用のIDコード(認証信号)を送信する旨のリクエスト信号(認証要求信号)を、所定の制御周期(例えば、0.5秒周期)で常時送信(発信)するものである。RF受信アンテナ54は、認証用コントローラ55に接続され、携帯鍵51から送信(返信)されたIDコードを受信するものである。
図5に示すように、実施の形態では、LF送信アンテナ53の送信範囲(LF帯)は、RF受信アンテナ54の受信範囲(RF帯)よりも小さくなっている。LF送信アンテナ53の送信範囲(LF帯)は、例えば、運転席9を中心とする直径1m程度であり、RF受信アンテナ54の受信範囲(RF帯)は、例えば運転席9を中心とする直径10m程度である。後述するように、LF送信アンテナ53の送信範囲(および/またはRF受信アンテナ54の受信範囲)は、範囲設定スイッチ57により、例えば運転席9を中心とする直径1m〜10m程度の範囲で可変に設定することができる。
なお、LF送信アンテナ53の送信範囲(RF帯)、および、RF受信アンテナ54の受信範囲(RF帯)は、同じ大きさ(範囲)に設定してもよい。また、LF送信アンテナ53の送信範囲(LF帯)を、RF受信アンテナ54の受信範囲(RF帯)よりも大きく設定してもよい。いずれの場合も、LF送信アンテナ53の送信範囲(LF帯)とRF受信アンテナ54の受信範囲(RF帯)との重なった部分(重複する範囲)が、無線認証装置52の認証範囲(認証可能範囲、認証領域)に対応する。
認証用コントローラ55は、マイクロコンピュータにより構成され、車体コントローラ48と通信線45および該通信線45とは別の通信線となるアナログ信号線56を介して接続されている。認証用コントローラ55は、無線による携帯鍵51の認証を行う制御装置(コントローラ、コントロールユニット)となるものである。即ち、認証用コントローラ55は、LF送信アンテナ53を通じて認証可能範囲にリクエスト信号を所定の制御周期(例えば、0.5秒周期)で送信する。これに加えて、認証用コントローラ55は、RF受信アンテナ54を通じて受信した携帯鍵51からのIDコードが、正当なIDコードであるか否か、即ち、認証用コントローラ55に予め設定されたエンジン15の始動を許可されたIDコードと合致するか否かを認証(判定)する。認証用コントローラ55は、認証結果(判定結果)を所定の制御周期(例えば、0.5秒周期)で常時車体コントローラ48に出力する。
例えば、認証用コントローラ55は、RF受信アンテナ54を通じて携帯鍵51から正当なIDコードを受信したときは、正認証と判定する。この場合は、認証用コントローラ55は、LF送信アンテナ53の送信範囲(図5のLF帯)内に正当なIDコードを送信する携帯鍵51が存在する旨(正認証:携帯鍵51が認証可能範囲内にある旨)を、車体コントローラ48に(例えば、通信線45を介して)出力する。一方、認証用コントローラ55は、正当なIDコードを受信していないとき(正当でないIDコードを受信したときも含む)は、未認証と判定する。この場合は、認証用コントローラ55は、LF送信アンテナ53の送信範囲内に正当なIDコードを送信する携帯鍵51がない旨(未認証:携帯鍵51が認証可能範囲内にない旨)を、車体コントローラ48に(例えば、通信線45を介して)出力する。
車体コントローラ48は、認証用コントローラ55の認証結果と起動スイッチ12の操作の有無とに基づいて、ACCリレー39のON(閉)/OFF(開)、Cリレー35のON(閉)/OFF(開)を行うものである。このために、車体コントローラ48は、例えばマイクロコンピュータ等を含んで構成され、認証用コントローラ55、起動スイッチ12、着座検出スイッチ9A、ロックスイッチ13A、ACCリレー39、Cリレー35、PCリレー42等と接続されている。さらに、車体コントローラ48には、後述の範囲設定スイッチ57が接続されている。車体コントローラ48は、ROM,RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、後述の図6に示すACCリレー39をONにするときの処理プログラム、後述の図7に示すACCリレー39をOFFにするときの処理プログラム等が格納(記憶)されている。
車体コントローラ48は、認証用コントローラ55の認証結果(正認証であるか未認証であるか)、起動スイッチ12が操作されたか否か、着座検出スイッチ9Aによる運転者の着席、離席、ロックスイッチ13Aによるロックレバー13の位置(ロック位置であるかロック解除位置であるか)等に基づいて、ACCリレー39のON/OFF、Cリレー35のON/OFF、PCリレー42のON/OFFを切換える。
ここで、車体コントローラ48は、ACCリレー39をOFFにすると共にCリレー35をOFFにすると、エンジン15が停止しており電気機器(第1の電装品37およびスタータモータ16)が非通電(非接続)の状態、即ち、「エンジン停止・通電OFF」にすることができる。
車体コントローラ48は、ACCリレー39がONの状態で、Cリレー35をONにし、その後(エンジン15の駆動後)、Cリレー35をOFFにすると、エンジン15が駆動しており電気機器(第1の電装品37)が通電(接続)の状態、即ち、「エンジン駆動・通電ON」にすることができる。
一方、車体コントローラ48は、ACCリレー39およびCリレー35がOFFの状態から、ACCリレー39のみをONにすると、エンジン15が停止しており電気機器(第1の電装品37)が通電(接続)の状態、即ち、「エンジン停止・通電ON」にすることができる。
車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電OFF」の場合は、ロックレバー13がロック位置(上げ位置)にあり、かつ、携帯鍵51が無線認証装置52の認証可能範囲(LF帯、RF帯)内にあるときは、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン停止・通電ON」へ自動的に切換える。これにより、油圧ショベル1は、エンジン15の始動が可能な状態となる。即ち、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電OFF」であり、かつ、ロックレバー13がロック位置のときは、携帯鍵51が認証可能範囲内に入ると(無線認証装置52の認証結果が正認証になると)、ACCリレー39のみをONにし、起動スイッチ12によるエンジン15の始動を許可する。そして、この状態で、起動スイッチ12が操作される(押される)と、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン駆動・通電ON」に切換える。即ち、車体コントローラ48は、Cリレー35をONにし、ECU43にエンジン始動信号を伝え、エンジン15を始動する。
一方、車体コントローラ48は、「エンジン駆動・通電ON」の場合は、起動スイッチ12が操作されると、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換える。即ち、車体コントローラ48は、エンジン15の駆動中に、起動スイッチ12が操作されると、ACCリレー39をOFFにし、エンジン15を停止する。
なお、車体コントローラ48は、「エンジン駆動・通電ON」のときに、携帯鍵51が認証可能範囲内から外れても、「エンジン駆動・通電ON」を継続して維持し、起動スイッチ12が操作されたときに、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。これにより、例えば、作業中にオペレータが、掘削状況の確認等のために「エンジン駆動・通電ON」のまま携帯鍵51を所持して油圧ショベル1から離れただけでは、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換わらないようにできる。
さらに、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電ON」の場合は、ロックレバー13をロック位置(上げ位置)からロック解除位置(下げ位置)に切換えただけでは、ACCリレー39をONのままとし、「エンジン停止・通電ON」を維持する。これに対し、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電ON」の場合は、携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13がロック解除位置(下げ位置)にあり、かつ、起動スイッチ12が操作されると、ACCリレー39をOFFにすることにより、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。
この場合、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換えたときから携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13がロック位置(上げ位置)に切換えられ、かつ、起動スイッチ12が操作されると、ACCリレー39をONにすることにより、「エンジン停止・通電OFF」から再度「エンジン停止・通電ON」へ切換える。即ち、車体コントローラ48は、携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13がロック解除位置(下げ位置)にあり、かつ、起動スイッチ12が操作されることにより、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換わったときは、その切換えのときから携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13がロック位置(上げ位置)に切換えられ、かつ、起動スイッチ12が操作されると、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン停止・通電ON」へ切換える。
一方、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電ON」の場合は、携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、かつ、オペレータが運転席9から離席しているとき(トリガースイッチとなる着座検出スイッチ9AがOFFのとき)は、起動スイッチ12の操作がなくても、ロックレバー13がロック位置(上げ位置)の状態で第1の所定時間経過すると、ACCリレー39をOFFにすることにより、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ自動的に切換える。また、車体コントローラ48は、「エンジン停止・通電ON」の場合は、携帯鍵51が認証可能範囲から外れており、ロックレバー13がロック位置(上げ位置)であり、かつ、オペレータが運転席9から離席しているときは、起動スイッチ12の操作がなくても、第2の所定時間経過すると、ACCリレー39をOFFにすることにより、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ自動的に切換える。
なお、第1の所定時間および第2の所定時間は、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」への切換えが適切なタイミングで行われるように、実験、シミュレーション等により予め求めてく。例えば、第1の所定時間と第2の所定時間は、同じ長さの時間(経過時間)としてもよい。または、第1の所定時間よりも第2の所定時間を長くしてもよいし、第1の所定時間よりも第2の所定時間を短くしてもよい。
さらに、車体コントローラ48は、ACCリレー39がOFFからONになるとき、即ち、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン停止・通電ON」または「エンジン駆動・通電ON」に切換わるときに、モニタ装置47およびホーンを用いてオペレータにその切換わりを報知する。これに加えて、車体コントローラ48は、ACCリレー39がONからOFFになるとき、即ち、「エンジン停止・通電ON」または「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換わるときに、モニタ装置47およびホーンを用いてオペレータにその切換わりを報知する。車体コントローラ48は、通電の切換わりのときに、その切換わりを報知するための信号をモニタ装置47およびホーンに対して出力する。
この場合、ACCリレー39がOFFからONに切換わるときは、例えば、ホーンにより警笛を1回鳴らし、かつ、モニタ装置47の表示部(インジケータ)、具体的には、電気機器がON状態であることを示すインジケータ(表示器)を点灯する。一方、ACCリレー39がONからOFFに切換わるときは、例えば、ホーンにより警笛を2回鳴らし、かつ、モニタ装置47の表示部を消灯する。なお、車体コントローラ48により実行される図6および図7の処理については、後述する。
次に、無線認証装置52の認証結果とロックレバー13の位置とPCリレー42のON(閉)/OFF(開)との関係について説明する。
車体コントローラ48は、無線認証装置52の認証結果とロックスイッチ13AのON(閉)/OFF(開)とに基づいて、PCリレー42のON(閉)/OFF(開)を行う。具体的には、ロックレバー13の位置がロック位置、即ち、ロックスイッチ13AがOFF(開)のときは、無線認証装置52の認証結果に拘わらず(正認証でも未認証でも)、PCリレー42をOFF(開)にし、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を禁止する。即ち、車体コントローラ48は、ロックレバー13の位置がロック位置のときは、PCリレー42をOFF(開)にし、パイロット切換弁28を遮断位置(b)にする。
一方、オペレータの操作により、ロックレバー13がロック解除位置に切換えら、即ち、ロックスイッチ13AがON(閉)となり、さらに、携帯鍵51が無線認証装置52の認証可能範囲内にあるときは、車体コントローラ48は、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を許可する。即ち、車体コントローラ48は、ロックレバー13がロック解除位置であり、かつ、無線認証装置52の認証が正認証のときは、PCリレー42をON(閉)にし、パイロット切換弁28を供給位置(a)にする。
これに対し、ロックレバー13がロック解除位置に切換えられていても、携帯鍵51が無線認証装置52の認証可能範囲外のとき(認証可能範囲内にないとき)は、車体コントローラ48は、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を禁止する。即ち、車体コントローラ48は、ロックレバー13がロック解除位置であっても、無線認証装置52の認証が未認証のときは、PCリレー42をOFF(開)にし、パイロット切換弁28を遮断位置(b)にする。
さらに、車体コントローラ48には、無線認証装置52の認証範囲(LF送信アンテナ53および/またはRF受信アンテナ54の出力)を可変に設定する範囲設定スイッチ57が接続されている。認証範囲の設定は、例えば、範囲設定スイッチ57により、モニタ装置47に認証範囲設定画面を表示させ、この画面に表示される認証範囲(例えば運転席9を中心とする直径)を拡大・縮小(増減)することにより行うことができる。この場合、認証範囲の拡大・縮小は、例えば、LF送信アンテナ53の電波の強さ(出力)を変更することにより行うことができる。
ここで、無線認証装置52は、範囲設定スイッチ57を操作することにより、認証範囲(認証可能範囲)を、基本範囲と該基本範囲よりも広い拡張範囲とに設定することができる。運転操作を行う通常時の認証範囲は、基本範囲、例えば、運転席9を中心とする直径1m程度の範囲とすることができる。より具体的には、基本範囲は、例えば、上,下方向の範囲を、上部旋回体4の下端(下部走行体2の上端)または運転席9の座面よりも上側で、キャブ8の上端よりも下側の範囲とし、左,右方向の範囲を、下部走行体2の全幅の範囲とすることができる。
従って、認証範囲が基本範囲に設定されているときは、携帯鍵51を所持したオペレータがキャブ8から出る(運転席9から降車する)と、携帯鍵51が認証可能範囲外となる。この場合は、ロックレバー13がロック解除位置でも、PCリレー42がOFF(開)になり、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動を禁止することができる。これにより、携帯鍵51を所持したオペレータ以外の人が、仮にロックレバー13をロック解除位置に操作した場合でも、油圧ショベル1の操作を規制することができる。
これに対し、例えば、油圧ショベル1の修理工場内等、携帯鍵51を所持する人以外の油圧ショベル1の使用が禁止された環境では、範囲設定スイッチ57を操作することにより、認証可能範囲を拡張範囲に変更することができる。なお、この変更は、油圧ショベル1のメンテナンス等を行う特定の人(例えば、サービスマン)のみが行えるように、パスワードの入力、メンテナンス用コンピュータの接続等を必要とする構成とすることができる。認証可能範囲を拡張範囲に変更した場合は、携帯鍵51を所持したオペレータがキャブ8から出ても(運転席9から降車しても)、携帯鍵51が認証可能範囲内のままとなり、PCリレー42はON(閉)が維持される。
即ち、携帯鍵51を所持したオペレータがキャブ8から出ても、ロックレバー13がロック解除位置であれば、パイロット切換弁28は供給位置(a)が維持され、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動が許可される。この場合は、油圧アクチュエータ5E,5F,5G,2E,2F,3Aの駆動が許可された状態で、エンジンルーム内の点検、ラジエータルーム内の点検、作業装置5のバケット5Dの交換(フロントアタッチメントの交換)、吊り荷の玉掛け等を行うことができる。
実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
携帯鍵51を所持したオペレータは、「エンジン停止・通電OFF」の状態の油圧ショベル1に近付き、上部旋回体4のキャブ8に搭乗する。この場合に、ロックレバー13がロック位置にあると、車体コントローラ48は、携帯鍵51が認証可能範囲内に入ったときに、ACCリレー39のみONにする(Cリレー35はOFFを維持する)。これにより、第1の電装品37に対する通電が開始され、「エンジン停止・通電ON」の状態となる。
この状態で、キャブ8内のオペレータが、運転席9に着席し、ロックレバー13をロック位置にしたまま、起動スイッチ12を押すと、車体コントローラ48は、Cリレー35をONにし、スタータモータ16に対する通電を開始する。この結果、スタータモータ16が回転し、エンジン15が始動する。エンジン15の始動後、車体コントローラ48は、Cリレー35をOFFにする。これにより、油圧ショベル1は、「エンジン駆動・通電ON」の状態となる。
エンジン15が始動すると、エンジン15により油圧ポンプ21が駆動される。オペレータがロックレバー13をロック位置からロック解除位置に操作すると、車体コントローラ48は、PCリレー42をON(閉)にし、パイロット切換弁28を供給位置(a)にする。これにより、油圧ショベル1は、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ3A、走行油圧モータ2E,2F)の駆動が許可される。
この状態で、オペレータは、走行用の操作レバー・ペダル11A,11Bを操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。オペレータは、作業用の操作レバー10A,10Bを操作することにより、作業装置5を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。この場合、小型の油圧ショベル1は、上部旋回体4による旋回半径が小さいため、例えば市街地のように狭い作業現場でも、上部旋回体4を旋回駆動しながら側溝堀作業等を行うことができる。
一方、作業が終了し、オペレータが起動スイッチ12を押すと、車体コントローラ48は、ACCリレー39をOFFにする。これにより、第1の電装品37に対する通電が断たれると共に、エンジン15が停止する。これにより、油圧ショベル1は、「エンジン停止・通電OFF」の状態となる。
さらに、「エンジン停止・通電ON」の状態で、例えば、運転席9に着席しているオペレータが、ロックレバー13をロック位置からロック解除位置に操作し、起動スイッチ12を押すと、車体コントローラ48は、ACCリレー39をOFFにし、第1の電装品37に対する通電を断つ。これにより、油圧ショベル1は、「エンジン停止・通電OFF」の状態となる。
また、「エンジン停止・通電ON」の状態で、オペレータが油圧ショベル1から離れると、ロックレバー13がロック位置であれば、車体コントローラ48は、ACCリレー39をOFFにする。このとき、オペレータが携帯鍵51を所持せずに油圧ショベル1から離れた場合(油圧ショベル1に携帯鍵51を置いている場合)は、第1の所定時間が経過すると、車体コントローラ48は、ACCリレー39をOFFにする。一方、オペレータが携帯鍵51を所持して油圧ショベル1から離れた(認証可能範囲内から出た)場合は、第2の所定時間が経過すると、車体コントローラ48は、ACCリレー39をOFFにする。これにより、油圧ショベル1は、「エンジン停止・通電OFF」の状態となる。
次に、車体コントローラ48により行われる処理について、図6および図7の流れ図を用いて説明する。ここで、図6の処理は、ACCリレー39がOFFのときに車体コントローラ48により実行される。図7の処理は、ACCリレー39がONのときに車体コントローラ48により実行される。なお、図6の流れ図では、エンジン15を駆動(始動)する処理(Cリレー35をON/OFFする処理)を省略して示している。
まず、図6の処理を説明する。ACCリレー39がOFFになることにより、即ち、「エンジン停止・通電OFF」の状態になることにより、図6の処理動作がスタートすると、ステップ1では、フラグがONであるか否かを判定する。このフラグは、図6の処理動作がスタートする前に行われていた図7の処理動作において、携帯鍵51が認証可能範囲内にあるときにACCリレー39がOFFになったか否かを判定するためのものである。
フラグがONのときは、携帯鍵51が認証可能範囲内ある状態で、オペレータにより所定の操作が行われることにより、即ち、オペレータがロックレバー13を下げ位置(ロック解除位置)にし、かつ、起動スイッチ12を操作する(押す)ことにより、ACCリレー39がOFFになったと判定することができる。または、フラグがONのときは、携帯鍵51が認証可能範囲内ある状態で、オペレータが運転席9から離席し、かつ、ロックレバー13を上げ位置(ロック位置)にして所定時間(第1の所定時間)が経過することにより、ACCリレー39がOFFになったと判定することができる。ステップ1で、「NO」、即ち、フラグがOFFであると判定された場合は、ステップ2に進む。一方、ステップ1で、「YES」、即ち、フラグがONであると判定された場合は、ステップ5に進む。
ステップ2では、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内(認証可能範囲内)にあるか否かを判定する。この判定は、認証用コントローラ55から車体コントローラ48に対して所定の制御周期で常時出力される認証結果により判定することができる。即ち、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内にあると、LF送信アンテナ53から送信されるリクエスト信号に基づいて、携帯鍵51から認証用のIDコードが送信(返信、発信)される。
認証用コントローラ55は、RF受信アンテナ54を介して携帯鍵51から返信されたIDコードを受信すると、この受信したIDコードが正当なIDコードであるか否かを判定する。このとき、認証用コントローラ55は、正当なIDコードであれば認証可能範囲内に認証された携帯鍵51がある旨の認証結果、即ち、正認証である旨を車体コントローラ48に出力する。一方、正当なIDコードを受信しない場合は、認証用コントローラ55は、携帯鍵51が認証可能範囲内にない旨の認証結果、即ち、未認証である旨を車体コントローラ48に出力する。
ステップ2で、「NO」、即ち、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内にない(未認証)と判定された場合は、ステップ1の前に戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。一方、ステップ2で、「YES」、即ち、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内にある(正認証)と判定された場合は、ステップ3に進む。ステップ3では、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)か否かを判定する。この判定は、ロックスイッチ13Aの信号(ON・OFF)に基づいて判定することができる。ステップ3で、「NO」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)でない、換言すれば、下げ位置(ロック解除位置)であると判定された場合は、ステップ1の前に戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ3で、「YES」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)であると判定された場合は、ステップ4に進み、ACCリレー39をONにする。これにより、第1の電装品37に通電が開始される。このとき、Cリレー35はONにせず、エンジン15は起動しない。これにより、油圧ショベル1は、「エンジン停止・通電ON」の状態になる。
なお、ステップ4では、ACCリレー39をONにすることに加えて、ACCリレー39をONにした旨をオペレータに報知する。即ち、ステップ4では、ACCリレー39をONにすると共に、ホーンにより警笛を1回鳴らし、かつ、モニタ装置47の表示部、具体的には、電気機器(第1の電装品37)がON状態であることを示すインジケータ(表示器)を点灯させる。これにより、第1の電装品37に対する通電が開始されたこと(「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン停止・通電ON」に切換わったこと)を、オペレータに報知することができる。ステップ4で、ACCリレー39をONにしたら、図6の制御処理が終了する(図7の処理を開始する)。
一方、ステップ5では、フラグがONになってから携帯鍵51が連続して認証可能範囲内にあるか否かを判定する。この判定は、認証用コントローラ55から車体コントローラ48に所定の制御周期で出力される認証結果により判定することができる。具体的には、図7のステップ15でフラグがONになり、続くステップ16でACCリレー39がOFFになることにより図6の処理動作がスタートしたときから、正認証の出力が継続していれば、ステップ5では「YES」と判定する。これに対し、一度でも未認証が出力されると、ステップ5では「NO」と判定する。
ステップ5で、「YES」、即ち、フラグがONになってから携帯鍵51が連続して認証可能範囲内にあると判定された場合は、ステップ6に進む。ステップ6では、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)か否かを判定する。ステップ6は、ステップ3の処理と同様の処理である。ステップ6で、「NO」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)でない、換言すれば、下げ位置(ロック解除位置)であると判定された場合は、ステップ5の前に戻り、ステップ5以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ6で、「YES」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)であると判定された場合は、ステップ7に進み、起動スイッチ12が操作された(押された)か否かを判定する。この判定は、起動スイッチ12の信号(ON信号)に基づいて判定することができる。ステップ7で、「NO」、即ち、起動スイッチ12が操作されていない(ON信号が出力されていない)と判定された場合は、ステップ5の前に戻り、ステップ5以降の処理を繰り返す。一方、ステップ7で、「YES」、即ち、起動スイッチ12が操作された(ON信号が出力された)と判定された場合は、ステップ4に進む。ステップ4の処理は、前述の通りである。
一方、ステップ5で、「NO」、即ち、フラグがONになってから携帯鍵51が連続して認証可能範囲内にないと判定された場合は、ステップ8に進み、フラグをOFFにする。ステップ8でフラグをOFFにしたら、ステップ1の前に戻り、ステップ1以降(より具体的には、フラグがOFFであるため、ステップ2以降)の処理を繰り返す。
次に、図7の処理を説明する。ACCリレー39がONになることにより、図7の処理動作がスタートすると、ステップ11では、エンジン15が回転しているか否か、即ち、エンジン15が駆動中であるか停止中であるかを判定する。この判定は、例えば、オルタネータ46が発電しているか否かにより判定することができる。ステップ11で、「NO」、即ち、エンジン15が停止していると判定された場合は、ステップ12に進む。この場合は、「エンジン停止・通電ON」の状態である。一方、ステップ11で、「YES」、即ち、エンジン15が駆動していると判定された場合は、ステップ22に進む。この場合は、「エンジン駆動・通電ON」の状態である。
ステップ12では、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内(認証可能範囲内)にあるか否かを判定する。ステップ12で、「YES」、即ち、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内にあると判定された場合は、ステップ13に進む。ステップ13では、ロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)であるか否かを判定する。ステップ13で、「YES」、即ち、ロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)であると判定された場合は、ステップ14に進む。
ステップ14では、起動スイッチ12が操作された(押された)か否かを判定する。ステップ14で、「NO」、即ち、起動スイッチ12が操作されていない(ON信号が出力されていない)と判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、ステップ14で、「YES」、即ち、起動スイッチ12が操作された(ON信号が出力された)と判定された場合は、ステップ15に進み、フラグをONにする。
ステップ15でフラグをONにしたら、ステップ16に進み、ACCリレー39をOFFにする。これにより、第1の電装品37の通電が断たれ、油圧ショベル1は、「エンジン停止・通電OFF」の状態になる。
なお、ステップ16では、ACCリレー39をOFFにすることに加えて、ACCリレー39をOFFにした旨をオペレータに報知する。即ち、ステップ16では、ACCリレー39をOFFにすると共に、ホーンにより警笛を2回鳴らし、かつ、モニタ装置47の表示部、具体的には、電気機器(第1の電装品37)がON状態であることを示すインジケータ(表示器)を消灯させる。これにより、第1の電装品37に対する通電が断たれたこと(「エンジン停止・通電ON」に切換わったこと)を、オペレータに報知することができる。ステップ16で、ACCリレー39をOFFにしたら、図7の制御処理が終了する(図6の処理を開始する)。
一方、ステップ13で、「NO」、即ち、ロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)でないと判定された場合は、ステップ17に進む。ステップ17では、ロックレバー13が一定時間(即ち、第1の所定時間)継続して上げ位置(ロック位置)であるか否かを判定する。第1の所定時間は、「エンジン停止・通電ON」の状態でロックレバー13が上げ位置に操作されてから第1の電装品37の通電を断つまでの時間として適切な時間となるように設定することができる。また、第1の所定時間が経過したか否かは、例えば、経過時間計測フラグを用いて判定することができる。具体的には、ステップ13で初めてNOと判定されると経過時間計測フラグがONとなり、その後、ステップ17でYESと判定されないかぎり、フラグがOFFにならない構成とする。この場合、ステップ17では、フラグがONになってからの経過時間が第1の所定時間を超えたか否かを判定する。
ステップ17で、「NO」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)に操作されてから(フラグがONになってから)第1の所定時間経過していないと判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、ステップ17で、「YES」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)に操作されてから(フラグがONになってから)第1の所定時間経過したと判定された場合は、ステップ18に進む。
ステップ18では、オペレータが運転席9から離席しているか否か、即ち、着座検出スイッチ9AからOFF信号が出力されているか否かを判定する。ステップ18で、「NO」、即ち、着座検出スイッチ9AからOFF信号が出力されていない(着座検出スイッチ9AからON信号が出力されており、オペレータが運転席9に着席している)と判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、ステップ18で、「YES」、即ち、着座検出スイッチ9AからOFF信号が出力されている(着座検出スイッチ9AからON信号が出力されてなく、オペレータが運転席9から離席している)と判定された場合は、ステップ15に進む。ステップ15,16の処理は、前述の通りである。
一方、ステップ12で、「NO」、即ち、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内にないと判定された場合は、ステップ19に進む。ステップ19では、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)であるか否かを判定する。ステップ19で、「NO」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)でない、換言すれば、下げ位置(ロック解除位置)であると判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ19で、「YES」、即ち、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)であると判定された場合は、ステップ20に進む。ステップ20では、オペレータが運転席9から離席しているか否か、即ち、着座検出スイッチ9AからOFF信号が出力されているか否かを判定する。ステップ20で、「NO」、即ち、着座検出スイッチ9AからOFF信号が出力されていない(着座検出スイッチ9AからON信号が出力されており、オペレータが運転席9に着席している)と判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、ステップ20で、「YES」、即ち、着座検出スイッチ9AからOFF信号が出力されている(着座検出スイッチ9AからON信号が出力されてなく、オペレータが運転席9から離席している)と判定された場合は、ステップ21に進む。
ステップ21では、ステップ12でNOと判定されてから、即ち、携帯鍵51がLF送信アンテナ53の反応内から外れてから、所定時間(即ち、第2の所定時間)経過したか否かを判定する。第2の所定時間は、携帯鍵51が認証可能範囲内から外れてから第1の電装品37の通電を断つまでの時間として適切な時間となるように設定することができる。また、第2の所定時間経過したか否かは、例えば、(第2の)経過時間計測フラグを用いて判定することができる。具体的には、初めてステップ12でNOと判定されると(第2の)経過時間計測フラグがONとなり、その後、ステップ21でYESと判定されないかぎり、フラグがOFFにならない構成とする。この場合、ステップ21では、フラグがONになってからの経過時間が第2の所定時間を超えたか否かを判定する。
ステップ21で、「NO」、即ち、携帯鍵51が認証可能範囲内から外れてから(フラグがONになってから)所定時間経過していないと判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、ステップ21で、「YES」、即ち、携帯鍵51が認証可能範囲内から外れてから(フラグがONになってから)第2の所定時間経過したと判定された場合は、ステップ16に進む。ステップ16の処理は、前述の通りである。
一方、ステップ11で「YES」と判定され、ステップ22に進むと、ステップ22では、起動スイッチ12が操作された(押された)か否かを判定する。ステップ22で、「NO」、即ち、起動スイッチ12が操作されていない(ON信号が出力されていない)と判定された場合は、ステップ11の前に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、ステップ22で、「YES」、即ち、起動スイッチ12が操作された(ON信号が出力された)と判定された場合は、(図7のAを介して)ステップ16に進む。この場合は、ステップ16でACCリレー39がOFFになると、第1の電装品37の通電が断たれると共にエンジン15が停止することにより「エンジン停止・通電OFF」の状態になる。
かくして、実施の形態によれば、オペレータが携帯鍵51を所持することで、油圧ショベル1の操作性を向上することができる。
(1).即ち、実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図6のステップ2,3,4の処理により、ロック装置としてのロックレバー13が上げ位置(ロック位置)にあり、かつ、携帯鍵51が無線認証装置52の認証可能範囲内にあるときに、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン停止・通電ON」へ切換える。このため、携帯鍵51を所持したオペレータが、「エンジン停止・通電OFF」で、かつ、ロックレバー13が上げ位置である油圧ショベル1に近付くと、携帯鍵51が認証可能範囲内に入ったときに、自動的に「エンジン停止・通電ON」に切換わる。これにより、オペレータは、起動スイッチ12の操作等を必要とすることなく、「エンジン停止・通電ON」にすることができる。この結果、油圧ショベル1の操作性を向上することができる。
(2).実施の形態によれば、オペレータに情報を報知する報知装置、即ち、モニタ装置47およびホーンを備えている。そして、車体コントローラ48は、図6のステップ4および図7のステップ16の処理により、電気機器である第1の電装品37の状態が通電から非通電に切換わるとき、および、非通電から通電に切換わるときに、モニタ装置47およびホーンによりオペレータに切換わりを報知する。このため、オペレータは、「エンジン停止・通電ON」に切換わったこと、および、「エンジン停止・通電OFF」に切換わったことを認識できる。これにより、オペレータは、油圧ショベル1の状態(第1の電装品37の通電、非通電)を即座に判断することができる。
(3).実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図7のステップ11,12,13,14,16の処理により、「エンジン停止・通電ON」であり、携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)にあり、かつ、起動スイッチ12が操作されたときに、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。これにより、オペレータは、「エンジン停止・通電ON」のときに、ロックレバー13を下げ位置に切換え、かつ、起動スイッチ12を操作することにより、「エンジン停止・通電OFF」にすることができる。
(4).実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図7のステップ11,12,13,14,16の処理により、携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13が下げ位置(ロック解除位置)にあり、かつ、起動スイッチ12が操作されることにより、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換えたときは、図7のステップ15の処理により、フラグがONになる。この場合、図6のステップ1,5,6,7,4の処理により、その切換えのときから携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)にあり、かつ、起動スイッチ12が操作されたときに、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン停止・通電ON」へ切換える。このため、ロックレバー13を下げ位置に切換え、かつ、起動スイッチ12を操作することにより、「エンジン停止・通電OFF」に切換えたオペレータは、その切換えのときからその場に居続けた場合(携帯鍵51が認証可能範囲内にあり続けた場合)は、ロックレバー13を上げ位置に切換え、かつ、起動スイッチ12を操作することにより、「エンジン停止・通電ON」にすることができる。一方、オペレータがその切換えのときからその場を離れた場合(携帯鍵51が認証可能範囲から外れた場合)には、図6のステップ8でフラグがOFFになる。このため、オペレータは、再び携帯鍵51を認証可能範囲内に入れることで、「エンジン停止・通電ON」にすることができる。
(5).実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図7のステップ11,12,13,17,18,16の処理により、「エンジン停止・通電ON」であり、携帯鍵51が認証可能範囲内にあり、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)で第1の所定時間経過し、かつ、オペレータが運転席9から離席しているときに、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。このため、「エンジン停止・通電ON」の状態で携帯鍵51が認証可能範囲内に存在し続けても、ロックレバー13が上げ位置であり、かつ、オペレータが運転席9から離席しているときは、第1の所定時間が経過することにより、「エンジン停止・通電OFF」に自動的に切換わる。即ち、オペレータが「エンジン停止・通電ON」にしたままロックレバー13を上げ位置に切換えて油圧ショベル1から離れた場合、携帯鍵51を認証可能範囲内に置き忘れたとしても、第1の所定時間が経過すると、油圧ショベル1は自動的に「エンジン停止・通電OFF」に切換わる。この結果、バッテリ31上がりを抑制することができる。
(6).実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図7のステップ11,12,19,20,21,16の処理により、「エンジン停止・通電ON」であり、携帯鍵51が認証可能範囲から外れており、ロックレバー13が上げ位置(ロック位置)であり、オペレータが運転席9から離席しており、かつ、第2の所定時間経過したときに、「エンジン停止・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。このため、オペレータが「エンジン停止・通電ON」にしたままロックレバー13を上げ位置に切換えて油圧ショベル1から離れた場合、携帯鍵51が認証可能範囲から外れ、かつ、第2の所定時間が経過することで、油圧ショベル1は自動的に「エンジン停止・通電OFF」に切換わる。この結果、バッテリ31上がりを抑制することができる。
(7).実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図7のステップ11,22,16の処理により、「エンジン駆動・通電ON」であり、かつ、起動スイッチ12が操作されたときに、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。このため、「エンジン駆動・通電ON」のときは、オペレータは、単に起動スイッチ12を操作することで、「エンジン停止・通電OFF」にすることができる。
(8).実施の形態によれば、車体コントローラ48は、図7のステップ11,22の処理により、「エンジン駆動・通電ON」のときに、携帯鍵51が認証可能範囲から外れても、「エンジン駆動・通電ON」を継続して維持し、起動スイッチ12が操作されたときに、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」へ切換える。このため、例えば、作業中にオペレータが掘削状況の確認等のために、「エンジン駆動・通電ON」のまま携帯鍵51を所持して油圧ショベル1から離れても、携帯鍵51が認証可能範囲から外れただけでは、「エンジン駆動・通電ON」から「エンジン停止・通電OFF」に切換わらない。これにより、油圧ショベル1の運転席9に戻ったオペレータは、「エンジン停止・通電OFF」から「エンジン駆動・通電ON」にする操作を必要とすることなく、作業を迅速に再開することができる。この結果、作業性を向上することができる。
なお、上述した実施の形態では、ACCリレー39がONからOFF(電気機器の状態が通電から非通電)に切換わるとき、および、ACCリレー39がOFFからON(電気機器の状態が非通電から通電)に切換わるときに、その切換わりを報知する構成とした場合を例に挙げて説明した。換言すれば、ONからOFFの切換わりとOFFからONの切換わりとの両方を報知する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ONからOFFの切換わりのみを報知する構成、または、OFFからONの切換わりのみを報知する構成としてもよい。さらに、報知を行うか否かの設定、報知の仕方の設定等、報知に関する各種の設定は、キャブ内に設けた設定スイッチにより変更できるように構成してもよい。
上述した実施の形態では、オペレータに情報(切換わり)を報知する報知装置として、モニタ装置47およびホーンを用いる構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、報知装置として、例えば、音響装置(スピーカ、ホーン、ブザー等)、計器パネル、モニタ、インジケータ、ランプ等、オペレータに情報を報知することができる各種の報知装置(の一または複数)を用いることができる。
上述した実施の形態では、オペレータの着席、離席を、運転席9に設けた圧力スイッチ等の着座検出スイッチ9Aを用いて判定する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、オペレータの有無(着席、離席)を検出(検知)できる検知器であれば、例えば、天井センサ、赤外線センサ、画像センサ、カメラ、レーザ、スイッチ等の各種の検知器を用いることができる。
上述した実施の形態では、モニタ装置47の表示画面の下側に設けられたファンクションボタンを範囲設定スイッチ57として用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、運転席の右側(起動スイッチの近傍)等、運転席に着席したオペレータが着席したまま操作できる位置、あるいは、これとは逆に、運転席の下側等、運転室内(キャブ内)で、かつ、運転席に着席したオペレータが着席したまま操作できない位置、さらには、上部旋回体のうちキャブの外側となる位置等に設けてもよい。即ち、範囲設定スイッチは、操作性等に応じて車体のどの部位に設けてもよいものである。
上述した実施の形態では、ロックレバー13の操作に応じて切換えられる切換弁をパイロット管路25に設けられるパイロット切換弁28とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ロックレバーの操作に応じて切換えられる切換弁を主管路に設ける構成としてもよい。即ち、ロック装置の構成は、油圧アクチュエータの駆動を禁止するロック位置と油圧アクチュエータの駆動を許可するロック解除位置とに切換えることができるものであれば、各種のロック機構を採用することができる。
上述した実施の形態では、ロックレバー13がロック位置(上げ位置)のときに駆動を禁止する油圧アクチュエータを、作業と走行の全てに関する油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5G、旋回油圧モータ3A、走行油圧モータ2E,2F)とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、油圧ショベル(建設機械)の仕様等に応じて、駆動を禁止する油圧アクチュエータを取捨選択することができる。
上述した実施の形態では、ACCリレー39のON(閉)/OFF(開)に応じてバッテリ31との通電と非通電が切換わる電装品(電気機器)を第1の電装品37とし、Cリレー35のON(閉)/OFF(開)に応じて通電と非通電が切換わる電装品(電気機器)をエンジン15のスタータモータ16とし、ACCリレー39のON(閉)/OFF(開)に関係なく、バッテリ31と常時接続された電装品(電気機器)を第2の電装品40とした場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、スタータモータ16以外の電装品(電気機器)を、ACCリレーのON(閉)/OFF(開)に応じてバッテリとの通電と非通電が切換わる第1の電装品(電気機器)としてもよい。また、実施の形態での第1の電装品37に対応する各種機器、および、第2の電装品40に対応する各種機器は、一つの例示であり、油圧ショベル(建設機械)の仕様、オプションの電装品(電気機器)等に応じて、適宜変更可能である。即ち、第1の電装品とするか第2の電装品とするかは、油圧ショベル(建設機械)に搭載する電装品(電気機器)に応じて、取捨選択することができる。
上述した実施の形態では、油圧ポンプ21の駆動源(動力源)としてエンジン15を備えたエンジン式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、エンジンとアシスト発電モータ(発電電動機、発電機、電動機)とを備えたハイブリッド式の油圧ショベル(ハイブリッド式建設機械)としてもよい。この場合には、アシスト発電モータをエンジンのスタータモータとしてもよい。
上述した実施の形態では、小型の油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明による建設機械はこれに限るものではなく、例えば中型以上の油圧ショベルに適用してもよい。また、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル、ホイールローダ、フォークリフト、油圧クレーン等、各種の建設機械に広く適用することができるものである。