以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図12は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に設けられた旋回輪3と、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載され下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に俯仰動可能に取付けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置5とを含んで構成されている。
旋回フレーム6は、上部旋回体4のベースとなるもので、強固な支持構造体を構成している。この旋回フレーム6は、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。また、旋回フレーム6の後端部には、作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト7が設けられている。
エンジン8は、カウンタウエイト7よりも前側に位置して旋回フレーム6の後側に設けられている。エンジン8は、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態となって旋回フレーム6上に搭載されている。このエンジン8は、例えばディーゼルエンジン(内燃機関)を用いて構成された動力源で、作業装置5の油圧アクチュエータ等に圧油を供給する油圧ポンプ(図示せず)を回転駆動する駆動源を構成している。
また、エンジン8には、エンジン8の回転数を検知するエンジン起動検知センサ8Aが設けられている(図4参照)。このエンジン起動検知センサ8Aは、後述のコントローラ25に接続され、エンジン8の回転数信号をコントローラ25に出力している。
スタータモータ9は、エンジン8に設けられている(図4参照)。このスタータモータ9は、エンジン8を起動するときに、エンジン8のクランク軸(図示せず)を回転させるものである。具体的には、スタータモータ9は、リレー10の接点10Aを介して後述のバッテリ21に接続されている。スタータモータ9は、後述のキースイッチ17がスタート位置に操作されることにより駆動する。
具体的には、キースイッチ17がスタート位置に操作されることにより、リレー10のコイル10Bが励磁されて接点10AがON(閉成)に切替り、バッテリ21からスタータモータ9に電力が供給される。これにより、スタータモータ9は、エンジン8のクランク軸を回転させてエンジン8を始動させることができる。スタータモータ9は、エンジン8が起動した後にリレー10の接点10AがOFF(開成)になり停止する。
キャブ11は、旋回フレーム6の左前側に設けられている。キャブ11内には、オペレータ(操作者)が着座する運転席12が設けられている。キャブ11は、運転席12の周囲を取囲むボックス状に形成されている。キャブ11の左側面には、開閉可能なドア11Aが設けられ、オペレータは、ドア11Aを開いてキャブ11内に乗降する構成となっている。そして、運転席12の周囲には、後述の操作レバー装置13、ゲートロックレバー15、および入力装置16等が配設されている。
操作レバー装置13は、運転席12の前側に配置された走行用操作レバー・ペダル13Aと、運転席12の左,右両側に配置された左,右の作業用操作レバー13Bとを含んで構成されている。操作レバー装置13は、下部走行体2および作業装置5を作動させるための操作信号を出力するものである。具体的には、走行用操作レバー・ペダル13Aは、下部走行体2の駆動輪(図示せず)を駆動するための走行油圧モータ(図示せず)の動作を制御するときに操作される。一方、左,右の作業用操作レバー13Bは、上部旋回体4を旋回させるときに駆動する旋回油圧モータ(図示せず)および作業装置5の各油圧シリンダの動作を制御するときに操作される。
ホーンスイッチ14は、作業用操作レバー13Bを構成するレバー13B1の先端に設けられている。このホーンスイッチ14は、エンジン8の始動前か始動後かに拘わらず油圧ショベル1の周囲に向けて後述の警報装置20から警報音を発するときに押下されるもので、本発明の警報操作装置を構成している。
また、ホーンスイッチ14は、エンジン8を始動するときに、油圧ショベル1の周囲に作動の開始を報知して注意を促すために操作される。図4に示すように、ホーンスイッチ14は、後述の警報装置20とバッテリ21との間に設けられている。この場合、ホーンスイッチ14を押下することにより、バッテリ21から警報装置20に向けて電力が供給されて警報装置20から警報音が発せられる。また、ホーンスイッチ14は、後述のコントローラ25に接続され、操作信号(ON信号)をコントローラ25に向けて出力している。なお、ホーンスイッチ14は、左,右の作業用操作レバー13Bの一方にのみ設けられていてもよく、また走行用操作レバー・ペダル13Aに設けられていてもよい。
ゲートロックレバー15は、左側の作業用操作レバー13Bの下側に位置してキャブ11のドア11A側(出入口側)に設けられている。このゲートロックレバー15は、オペレータがキャブ11内に乗降するときに、キャブ11の出入口を開放するロック位置(上げ位置)とキャブ11の出入口を遮断するロック解除位置(下げ位置)とに操作されるものである。ゲートロックレバー15は、後述のコントローラ25に接続され、ロック位置またはロック解除位置の検出信号をコントローラ25に向けて出力している。
ゲートロックレバー15がロック位置にあるときには、操作レバー装置13の操作が無効になり、ロック解除位置にあるときには操作レバー装置13の操作が有効になる。即ち、ゲートロックレバー15がロック位置にあるときには、油圧ショベル1の作動が禁止され、ロック解除位置にあるときには、油圧ショベル1の作動が許可される。
また、エンジン8を始動するときには、ゲートロックレバー15がロック位置になければ後述のキースイッチ17のスタート位置への操作が有効にならないようになっている。即ち、ゲートロックレバー15がロック位置にあるときには、例えば後述の切替スイッチ24が閉成状態に切替えられるのを許容することによりエンジン8の始動が許可され、ゲートロックレバー15がロック解除位置にあるときには、切替スイッチ24が開成状態に維持されることによりエンジン8の始動が無効となっている。このように、操作レバー装置13の操作が有効となっている状態(ロック解除位置)では、エンジン8の始動ができないようにして、エンジン8の始動後にオペレータの意図しない作動が起きないようになっている。
入力装置16は、キャブ11内に位置して運転席12の右側に設けられている。この入力装置16は、エンジン8を始動させるために操作されるキースイッチ17、ダイヤルの回転位置に応じてエンジン8の目標回転数を所定の範囲内で設定するエンジン制御ダイヤル18等を備えている。
キースイッチ17は、油圧ショベル1の電源投入およびエンジン8の始動または停止をするために、エンジンキー(図示せず)を用いて操作されるもので、本発明のエンジン始動装置を構成している。キースイッチ17は、例えば電源とエンジン8のOFF位置、電源のON位置、およびエンジン8のスタート位置の3ヶ所に切替え操作可能となっている。また、キースイッチ17は、後述のコントローラ25に接続され、キースイッチ17の操作位置の検出信号をコントローラ25に向けて出力している。
図4に示すように、キースイッチ17は、後述のリレー10のコイル10Bおよび切替スイッチ24を介してバッテリ21に接続されている。この場合、切替スイッチ24が閉成状態(ON状態)でキースイッチ17をスタート位置に操作することにより、リレー10のコイル10Bが励磁して接点10Aが閉成状態に切替わる。これにより、バッテリ21からスタータモータ9に電力が供給されてエンジン8を始動させることができる。
モニタとしての表示器19は、キャブ11内に位置して運転席12の前方に設けられている。この表示器19は、例えば液晶モニタにより構成され、画面19Aに油圧ショベル1の運転状況を表示するものである。表示器19は、後述のコントローラ25に接続され、コントローラ25からの指令に応じた画面が切替え表示される。図12に示すように、エンジン8の起動後に表示される基本画面には、燃料の残量、エンジン冷却水の水温、稼動時間、車内温度等の車体に関する各種の情報が表示されている。
また、図8に示すように、表示器19は、キースイッチ17をON位置に操作したときに、エンジン8の始動をさせる場合にはホーンスイッチ14の操作を行って後述の警報装置20から警報音を鳴らさなければならない旨(起動準備中である旨)を画面19Aに表示させる。また、図9、図11に示すように、表示器19は、警報音発生後にはキースイッチ17をON位置からスタート位置に操作することにより、エンジン8の始動が可能である旨(起動待機中である旨)を画面19Aに表示させる。
さらに、図10に示すように、表示器19は、後述するコントローラ25の警報操作判定部27によりホーンスイッチ14が操作されたと判定されたにも拘わらず、後述の警報音発生判定部28により後述の警報装置20から警報音が発生されていないと判定された場合に、警報装置20が故障している旨(ホーン故障中である旨)を画面19Aに表示させる。
ホーンとしての警報装置20は、上部旋回体4に設けられ、油圧ショベル1の周囲に向けて警報音を発生させるものである。この警報装置20は、本発明の警報音発生装置を構成するもので、ホーンスイッチ14を介して後述のバッテリ21に接続されている(図4参照)。この場合、ホーンスイッチ14の押下(ON操作)によりホーンスイッチ14が閉成して、バッテリ21から警報装置20に向けて電力が供給される。これにより、警報装置20は、警報音を発生して油圧ショベル1の周囲で作業している作業者に注意を促す。
また、図4に示すように、警報装置20は、グランド側で後述のコントローラ25に接続されている。即ち、コントローラ25は、ホーンスイッチ14が押下された場合に、警報装置20のグランド側の電流を検出することにより警報装置20から警報音が発生しているか否かを検出している。
バッテリ21は、エンジン8のスタータモータ9を含む電気機器の電源となるものである。具体的には、バッテリ21は、スタータモータ9、表示器19、警報装置20、後述のコントローラ25等の電源となるものである。このバッテリ21は、例えば電荷を蓄える蓄電装置として一般的な鉛蓄電池が用いられている。
ここで、バッテリ21から電力の供給を受けることにより作動する警報装置20の警報発生回路22と、エンジン8(スタータモータ9)のエンジン始動回路23とについて図4を参照して説明する。
警報発生回路22は、警報装置20が警報音を発生させるための電気回路を示している。具体的には、警報発生回路22は、バッテリ21と警報装置20との接続、ホーンスイッチ14とコントローラ25との接続、および警報装置20とコントローラ25との接続を含んで構成されている。
バッテリ21と警報装置20との間には、通常は開成状態を維持し、ON操作により閉成状態となるホーンスイッチ14が設けられている。これにより、ホーンスイッチ14が押下(ON操作)されて閉成されたときに、バッテリ21から警報装置20に向けて電力が供給されて警報装置20から警報音が発せられる。また、ホーンスイッチ14は、コントローラ25に接続され、コントローラ25は、ホーンスイッチ14が押下された制御信号を検知している。さらに、警報装置20のグランド側には、コントローラ25が接続され、コントローラ25は、警報装置20に電力が供給されて警報音が発生しているか否かを検知している。
エンジン始動回路23は、エンジン8を始動させるための電気回路を示している。具体的には、エンジン始動回路23は、バッテリ21とスタータモータ9との接続、バッテリ21とキースイッチ17との接続、キースイッチ17とコントローラ25との接続、および切替スイッチ24とコントローラ25との接続を含んで構成されている。
バッテリ21とスタータモータ9との間には、リレー10の接点10Aが設けられている。また、バッテリ21とキースイッチ17との間には、切替スイッチ24と、リレー10のコイル10Bとが設けられている。この場合、切替スイッチ24は、通常は開成状態となっており、コントローラ25の制御により開成状態から閉成状態に切替えられる。
切替スイッチ24は、警報装置20が警報音を発生したことをコントローラ25が検知した場合に、コントローラ25からの制御信号に基づき開成状態から閉成状態に切替えられる。切替スイッチ24が閉成状態のときに、キースイッチ17をスタート位置に操作すると、バッテリ21からリレー10のコイル10Bに電力が供給され、リレー10の接点10Aが閉成状態となる。これにより、バッテリ21からスタータモータ9に電力が供給されて、スタータモータ9が駆動することによりエンジン8を起動(始動)させることができる。即ち、切替スイッチ24が開成状態にあるときには、キースイッチ17をスタート位置に操作しても、リレーの接点10Aが閉成状態とならないので、エンジン8は始動しない構成となっている。
次に、エンジン8の始動を制御するコントローラ25について説明する。
コントローラ25は、油圧ショベル1に搭載され、エンジン8、エンジン起動検知センサ8A、ホーンスイッチ14、ゲートロックレバー15、キースイッチ17、表示器19、警報装置20、切替スイッチ24等に接続されている。このコントローラ25は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、メモリ26(記憶部)を有している。
このメモリ26には、図6に示す油圧ショベル1の作動制御および図7に示すエンジン始動制御の処理プログラム等が格納されている。また、メモリ26には、後述の設定器34で設定される警報音が発生している時間の閾値である第1設定時間T1と、キースイッチ17のスタート位置が有効となっている時間の閾値である第2設定時間T2と、警報装置20に不具合が発生している場合にエンジン8を非常手段として始動させるときの時間の閾値である第3設定時間T3とが格納(記憶)される。
コントローラ25は、エンジン8、表示器19等に対する制御指令を生成し、各種の制御機能(手段)を実行する。具体的には、コントローラ25は、エンジン起動検知センサ8Aからの制御信号に基づくエンジン8の回転数制御、表示器19の画面切換制御等を行う。
また、コントローラ25は、エンジン8の始動を許可するための切替スイッチ24の開閉制御(ON、OFF制御)を行う。このために、コントローラ25は、ホーンスイッチ14が操作されたか否かを検出する警報操作判定部27、警報装置20から警報音が発生されているか否かを判定する警報音発生判定部28、警報装置20から警報音が発生している時間を計測する警報音発生時間計測部29、エンジン8の始動が有効となる時間を計測するエンジン始動有効時間計測部30、キースイッチ17の操作を有効または無効にするエンジン始動制御部31、ホーンスイッチ14の特定操作を検出する特定操作検出部32、ホーンスイッチ14の特定操作に基づきエンジン8の始動が有効となる時間を計測する緊急時有効時間計測部33を含んで構成されている。コントローラ25によるエンジン始動制御については、後で詳しく説明する。
設定器34は、油圧ショベル1に搭載され、警報音が発生している時間(警報音発生時間t1)の閾値である第1設定時間T1と、第1設定時間T1継続後にキースイッチ17のスタート位置への操作を有効にする時間(エンジン始動有効時間t2)の閾値である第2設定時間T2と、警報装置20の不具合が発生しているときにホーンスイッチ14の特定操作を行うことで、キースイッチ17のスタート位置への操作を有効にする時間(緊急時有効時間t3)の閾値である第3設定時間T3とを設定するものである。この設定器34は、例えば入力装置16に設けられ、オペレータが任意に第1設定時間T1、第2設定時間T2、および第3設定時間T3を設定することができるものとなっている。
第1設定時間T1は、ホーンスイッチ14が押下されて、警報装置20から警報音が発生したときから計測される警報音発生時間t1の閾値である。即ち、第1設定時間T1は、油圧ショベル1の周囲にいる作業者に作業の開始を報知するために鳴動させる警報音の長さで、例えば0.5〜2.0秒(好ましくは、1.0〜1.5秒)に設定される。換言すると、第1設定時間T1は、エンジン8の始動前にオペレータがホーンスイッチ14を押下し続けなければならない時間である。そして、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、警報音発生判定部28により警報音が第1設定時間T1以上継続したと判定された場合に切替スイッチ24を開成状態から閉成状態に切替える。
第2設定時間T2は、警報装置20が警報音を発生したときから計測されるエンジン始動有効時間t2の閾値として、例えば7〜20秒(好ましくは、10〜15秒)に設定される。この場合、キースイッチ17のスタート位置への操作は、コントローラ25の警報音発生時間計測部29により計測された警報音発生時間t1が第1設定時間T1以上継続した後、第2設定時間T2以内で有効となる。即ち、第2設定時間T2−第1設定時間T1(T2−T1)がキースイッチ17のスタート位置が有効となる時間となっている。
この場合、キースイッチ17のスタート位置への操作が有効となるのは、警報装置20が警報音を発生したときを基準として設定(計測)している。これにより、警報装置20の警報音の長さに拘わらず、エンジン8の始動が有効となる時間を警報音の発生から第2設定時間T2に固定させることができる。そして、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、エンジン始動有効時間t2が第2設定時間T2経過したと判定された場合に切替スイッチ24を閉成状態から開成状態に切替える。
第3設定時間T3は、ホーンスイッチ14を押下しても警報装置20に不具合が発生していることにより警報音が発生しない場合に、エンジン8を非常手段として始動させるときのキースイッチ17が有効となる時間の閾値となっている。この第3設定時間T3は、ホーンスイッチ14の特定操作(例えば、10回押下)後に計測される緊急時有効時間t3の閾値として、例えば7〜20秒(好ましくは、10〜15秒)に設定される。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に油圧ショベル1の作動制御について、コントローラ25が行う制御処理を図6を参照して説明する。
ステップ1では、油圧ショベル1の制御処理の初期設定が行われる。即ち、コントローラ25は、バッテリ21に接続されることにより、制御処理をスタートさせて種々のデータの初期設定を行う。次のステップ2では、エンジン起動中か否かを判定する。即ち、コントローラ25は、エンジン8のエンジン起動検知センサ8Aからの制御信号により、エンジン8が起動中か否かを判定する。
そして、ステップ2で「YES」、即ちエンジン起動中であると判定された場合には、ステップ3に進み、油圧ショベル1の走行制御および掘削制御等の各種制御が行われ、ステップ2に戻る。一方、ステップ2で「NO」、即ちエンジン起動中ではないと判定された場合には、ステップ4に進み、図7に示すエンジン始動制御が行われ、ステップ2に戻る。
次に、コントローラ25が行うエンジン始動制御について図7を参照して説明する。なお、このエンジン始動制御は、ゲートロックレバー15がロック位置(上げ位置)にあることを前提として説明する。また、本実施の形態では、ホーンスイッチ14が押下されても、警報装置20の不具合(故障等)により警報装置20から警報音が発生しない場合にはエンジン8の始動が許可されないようになっている。そこで、まず警報装置20が正常に警報音を発生する場合について説明する。
まず、ステップ11では、キースイッチ17がON操作されたか否かを判定する。即ち、運転席12に着座したオペレータが、エンジンキー(図示せず)を用いて入力装置16のキースイッチ17をOFF位置からON位置に操作することにより、油圧ショベル1に電源が投入されたか否かを判定する。
そして、ステップ11で「YES」、即ちキースイッチ17がON操作されたと判定された場合には、ステップ12に進む。一方、ステップ11で「NO」、即ちキースイッチ17がON操作されていない(OFF位置にある)と判定された場合には、キースイッチ17がON操作されるまで監視する。
ステップ12では、表示器19の画面19Aにエンジン8の起動準備中の表示をさせる。この場合、例えば図8に示すように、表示器19の画面19Aには、「ホーンを鳴らして下さい」等の文字を表示させて、エンジン8の始動をさせる場合にはホーンスイッチ14の押下(操作)を行わなければならないことを報知する。なお、上記文字と共にホーンスイッチ14および警報装置20等の画像を表示させてもよい。
次のステップ13では、表示器19の画面19Aにホーン故障の表示がなされているか否かを判定する。この場合、ステップ12で「起動準備中」の表示がなされているので、「NO」となり、ステップ14に進む。
ステップ14では、ホーンスイッチ14が押下されたか否かを判定する。即ち、コントローラ25の警報操作判定部27は、ホーンスイッチ14からの制御信号により、オペレータがホーンスイッチ14をON操作したか否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」、即ちホーンスイッチ14が押下されたと判定された場合には、ステップ15に進む。一方、ステップ14で「NO」、即ちホーンスイッチ14が押下されていないと判定された場合には、ステップ28を介してステップ13に戻る。ステップ28は、後述する警報装置20から警報音が発生しない場合の制御処理で説明する。
ステップ15では、ホーン鳴動か否かを判定する。この場合、コントローラ25の警報音発生判定部28は、バッテリ21から警報装置20に流れる電流(制御信号)を検出することにより、警報装置20から警報音が発生しているか否かを判定する。そして、ステップ15で「YES」、即ちホーン鳴動と判定された場合には、ステップ16に進む。一方、ホーン鳴動でないと判定された場合には、ステップ27に進む。ステップ27は、後述する警報装置20から警報音が発生しない場合の制御処理で説明する。
ステップ16では、警報音発生時間t1とエンジン始動有効時間t2とのカウントを開始する。即ち、コントローラ25の警報音発生時間計測部29は、警報装置20から警報音が発生し始めたときから警報音が停止するまでの警報音発生時間t1を計測する。また、コントローラ25のエンジン始動有効時間計測部30は、警報装置20から警報音が発生し始めたときからのエンジン始動有効時間t2を計測する。
次のステップ17では、第1設定時間継続判定(T1≦t1)を行う。即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、警報音発生時間計測部29により計測されている警報音発生時間t1が第1設定時間T1を経過したか否かを判定する。一例を挙げると、第1設定時間T1が1秒に設定されているときには、ホーンスイッチ14を1秒以上押下して警報装置20から警報音が1秒以上発生されたか否かを判定する。
そして、ステップ17で「YES」、即ち警報音発生時間t1が第1設定時間T1を経過したと判定された場合には、ステップ18に進む。一方、ステップ17で「NO」、即ち警報音発生時間t1が第1設定時間T1を経過していないと判定された場合には、ステップ13に進む。
ステップ18では、表示器19の画面19Aにエンジン8の起動待機中の表示をさせる。即ち、コントローラ25は、表示器19の画面19Aに表示されていた「起動準備中」の表示画面を「起動待機中」に切替える制御信号を表示器19に向けて出力する。この場合、例えば図9に示すように、表示器19の画面19Aには、「エンジン始動可能です」等の文字を表示させて、キースイッチ17をスタート位置に操作することにより、エンジン8の始動が可能であることを報知する。なお、上記文字と共にキースイッチ17等の画像を表示させてもよい。また、エンジン始動が可能である状態があと何秒残っているか、即ち第2設定時間T2−エンジン始動有効時間t2(T2−t2)を表示してもよい。
次のステップ19では、切替スイッチ24をON(閉成状態)に切替える。即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、切替スイッチ24に向けて開成状態(OFF状態)から閉成状態(ON状態)に切替えるための制御信号を出力する。これにより、キースイッチ17のスタート位置への操作により、リレー10のコイル10Bを励磁させることが可能な状態となる。
次のステップ20では、緊急時有効時間t3のカウントを開始する。この緊急時有効時間t3は、警報装置20に不具合が発生している場合(ステップ15で「NO」)に、ホーンスイッチ14の特定操作(ステップ29)を行うことでエンジン8の始動が有効となる時間を計測するものである。従って、警報装置20から警報音が正常に発生している場合(ステップ15で「YES」の場合)には、緊急時有効時間t3はカウントされない。
コントローラ25は、ホーンスイッチ14の特定操作が行われたときに立つフラグ等を確認することで、緊急時有効時間t3のカウントを行うか否かを決定することができる。今回のフローでは、警報装置20が正常に警報音を発生させている(ステップ15で「YES」)ので、フラグは立っておらず、従って緊急時有効時間t3のカウントはなされずに、次のステップ21に進む。
ステップ21では、第2設定時間経過判定(T2≦t2)または第3設定時間経過判定(T3≦t3)を行う。この場合、ステップ16でエンジン始動有効時間t2がカウント(計測)されている場合には、第2設定時間経過判定(T2≦t2)を行う。一方、ステップ20で緊急時有効時間t3がカウント(計測)されている場合には、第3設定時間経過判定(T3≦t3)を行う。今回のフローは、ステップ16を介しているので、第2設定時間経過判定(T2≦t2)を行う。
即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、エンジン始動有効時間計測部30により計測されているエンジン始動有効時間t2が第2設定時間T2を経過したか否かを判定する。一例を挙げると、第2設定時間T2が10秒に設定されているときには、警報装置20から警報音が発生したときから10秒経過したか否かを判定する。
そして、ステップ21で「YES」、即ちエンジン始動有効時間t2が第2設定時間T2を経過したと判定された場合には、ステップ25に進む。一方、ステップ21で「NO」、即ちエンジン始動有効時間t2が第2設定時間T2を経過していないと判定された場合には、ステップ22に進む。
ステップ22では、キースイッチ17がスタート位置に操作されたか否かを判定する。即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、キースイッチ17から出力された制御信号により第2設定時間T2以内にキースイッチ17がスタート位置に操作されたか否かを判定する。そして、ステップ22で「YES」、即ちキースイッチ17がスタート位置に操作されたと判定された場合には、ステップ23に進む。一方、ステップ22で「NO」、即ちキースイッチ17がスタート位置に操作されていないと判定された場合には、ステップ21に戻り、エンジン始動有効時間t2の経過を監視する。
ステップ23では、エンジン8を起動(始動)する。即ち、図4に示すように、キースイッチ17をスタート位置に操作すると、リレー10のコイル10Bが励磁することにより接点10Aが開成状態から閉成状態に切替えられる。これにより、バッテリ21からスタータモータ9に向けて電力が供給され、スタータモータ9の駆動によりエンジン8を起動(始動)させることができる。
次のステップ24では、表示器19の画面19Aに基本画面の表示をさせる。即ち、コントローラ25は、表示器19の画面19Aに表示されていた「起動待機中」の表示画面を基本画面に切替える制御信号を表示器19に向けて出力する。この場合、例えば図12に示すように、表示器19の画面19Aには、燃料の残量、オイルの温度、および室内(キャブ11内)温度等が表示されている。
ステップ25では、切替スイッチ24をOFF(開成状態)に切替える。即ち、コントローラ25は、エンジン始動有効時間t2が第2設定時間T2を経過するよりも前にエンジン8が始動した場合(ステップ23)またはエンジン始動有効時間t2が第2設定時間T2を経過した場合(ステップ21で「YES」)に、切替スイッチ24を閉成状態から開成状態に切替える。これにより、バッテリ21とリレー10のコイル10Bとの間が切断されるので、それ以降はキースイッチ17をスタート位置に操作してもスタータモータ9の駆動が行われない構成となっている(図4参照)。
次のステップ26では、警報音発生時間t1、エンジン始動有効時間t2、および緊急時有効時間t3をリセットする。即ち、コントローラ25は、警報音発生時間計測部29で計測される警報音発生時間t1、エンジン始動有効時間計測部30で計測されるエンジン始動有効時間t2、および緊急時有効時間計測部33で計測される緊急時有効時間t3をリセットして初期値に戻し、リターンする。
次に、ホーンスイッチ14を押下しても警報装置20から警報音が発生しない場合(即ち、警報装置20に不具合が生じている場合)およびその場合に緊急的にエンジン8を始動させる制御処理について説明する。
ステップ11からステップ13を介したステップ14では、ホーンスイッチ14が押下されか否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」、即ちホーンスイッチ14が押下されたと判定された場合には、ステップ15に進み、ホーン鳴動か否かを判定する。そして、ステップ15で「NO」、即ち警報装置20から警報音が発生していないと判定された場合には、ステップ27に進む。警報装置20の不具合は、例えばバッテリ21と警報装置20との間に断線が生じている場合、警報装置20の内部機器に故障が発生している場合等が考えられる。
ステップ27では、表示器19の画面19Aにホーン故障の表示をさせる。即ち、コントローラ25は、表示器19の画面19Aに表示されていた「起動準備中」の表示画面を「ホーン故障」に切替える制御信号を表示器19に向けて出力する。この場合、例えば図10に示すように、表示器19の画面19Aには、「ホーンは故障中です」等の文字を表示させて、警報装置20から警報音が発生していないことを報知する。なお、上記文字と共に警報装置20等の画像を表示させてもよい。
次のステップ28では、警報音発生時間t1、エンジン始動有効時間t2、および緊急時有効時間t3をリセットして、ステップ13に進む。なお、ステップ15までの間に警報音発生時間t1、エンジン始動有効時間t2、および緊急時有効時間t3はカウントされていないので、通常はリセットされた状態(初期値)となっているが、コントローラ25の誤作動等により以前の警報音発生時間t1、エンジン始動有効時間t2、および緊急時有効時間t3のカウント値が残存している場合を考慮してリセットしている。
ステップ13では、表示器19の画面19Aにホーン故障の表示がなされているか否かを判定する。この場合、ステップ27で「ホーン故障」の表示に切替えられているので、「YES」となり、ステップ29に進む。
ステップ29では、ホーンスイッチ14が10回押下(特定操作)されたか否かを判定する。この場合、コントローラ25の特定操作検出部32は、ホーンスイッチ14に特定操作がなされたか否かを判定する。また、特定操作検出部32は、ホーンスイッチ14が10回押下されたことを検出した場合には、特定操作検出のフラグを立てる。この特定操作は、表示器19の画面19Aにホーン故障表示がなされてから所定の時間以内(例えば、10〜20秒以内)に行わなければならないようにしてもよい。
そして、ステップ29で「NO」、即ちホーンスイッチ14が10回押下されていない(即ち、1〜9回押下)と判定された場合には、ステップ30に進み、ホーンスイッチ14の押下回数をカウントして、ステップ14に進む。一方、ステップ29で「YES」、即ちホーンスイッチ14が10回押下されたと判定された場合には、ステップ18に進む。
ステップ18では、表示器19の画面19Aにエンジン8の起動待機中の表示をさせる。即ち、コントローラ25は、表示器19の画面19Aに表示されていた「ホーン故障表示」の表示画面を「起動待機中」に切替える制御信号を表示器19に向けて出力する。この場合、例えば図11に示すように、表示器19の画面19Aには、「緊急エンジン始動可能です」等の文字を表示させて、オペレータにキースイッチ17をスタート位置に操作することにより、エンジン8の始動が可能であることを報知する。なお、上記文字と共にキースイッチ17等の画像を表示させてもよい。また、緊急エンジン始動を何秒以内に行わなければならないかを表示してもよい。そして、次のステップ19で切替スイッチ24をOFFからON(閉成状態)に切替え、ステップ20に進む。
ステップ20では、緊急時有効時間t3のカウントを開始する。今回のフローでは、警報装置20に不具合が発生しており(ステップ15で「NO」)、ホーンスイッチ14を10回操作している(ステップ29で「YES」)ので、緊急時有効時間t3のカウントを開始する。この場合、コントローラ25の緊急時有効時間計測部33は、ステップ29で立ったフラグを確認することにより、緊急時有効時間t3のカウントを開始することができる。
次のステップ21では、第3設定時間経過判定(T3≦t3)を行う。即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、緊急時有効時間計測部33により計測されている緊急時有効時間t3が第3設定時間T3を経過したか否かを判定する。一例を挙げると、第3設定時間T3が10秒に設定されているときには、ホーンスイッチ14が10回押下されて、切替スイッチ24が開成状態から閉成状態に切替えられてから10秒経過したか否かを判定する。
そして、ステップ21で「YES」、即ち緊急時有効時間t3が第3設定時間T3を経過したと判定された場合には、ステップ25およびステップ26を介して、リターンする。一方、ステップ21で「NO」、即ち緊急時有効時間t3が第3設定時間T3を経過していないと判定された場合には、ステップ22に進み、キースイッチ17をスタート位置に操作することでステップ23に進み、エンジン8を始動させることができる。その後、ステップ24、ステップ25、およびステップ26を介してリターンする。
かくして、本実施の形態によれば、車体に搭載され動力源となるエンジン8と、エンジン8を始動させるために操作されるキースイッチ17と、車体の周囲に向けて警報音を発する警報装置20と、警報装置20から警報音を発するときに操作されるホーンスイッチ14と、キースイッチ17の操作に基づきエンジン8の始動を制御するコントローラ25とが備えられた建設機械において、コントローラ25は、ホーンスイッチ14が操作されたか否を判定する警報操作判定部27と、警報装置20から警報音が発生されているか否かを判定する警報音発生判定部28と、警報操作判定部27によりホーンスイッチ14が操作されたと判定された場合、警報音発生判定部28により警報装置20から警報音が発生されたと判定されたときにはキースイッチ17の操作を有効にし、一方、警報音発生判定部28により警報装置20から警報音が発生されていないと判定されたときにはキースイッチ17の操作を無効にするエンジン始動制御部31とを有することを特徴としている。
即ち、エンジン始動時にはホーンスイッチ14を操作して警報装置20から警報音が発生した後でなければ、キースイッチ17のスタート位置への操作を有効としないようになっている。換言すると、ホーンスイッチ14を操作しても警報装置20から警報音が発生しなければ、キースイッチ17のスタート位置への操作を無効としている。これにより、油圧ショベル1の周囲に確実に作動の開始を報知させることができる。
また、コントローラ25は、警報装置20から警報音が発生されている時間を計測する警報音発生時間計測部29を有し、エンジン始動制御部31は、警報音発生時間計測部29により計測された時間が予め設定された第1設定時間T1継続した後、予め設定された第2設定時間T2以内でキースイッチ17の操作を有効にすることを特徴としている。
この場合、第2設定時間T2は、警報音発生時間計測部29が警報音の発生の計測を始めたときからの計測時間(エンジン始動有効時間t2)に対して設定されていることを特徴としている。即ち、キースイッチ17のスタート位置への操作は、警報音が第1設定時間T1を継続した後で、警報音の発生の開始から第2設定時間T2以内に有効としている。これにより、警報音の発生時間の長短に拘わらず、キースイッチ17のスタート位置への操作が有効になる期間の終わりを固定的にすることができる。
また、コントローラ25は、ホーンスイッチ14の特定操作を検出する特定操作検出部32を有し、エンジン始動制御部31は、特定操作検出部32がホーンスイッチ14の特定操作を検出したときにキースイッチ17の操作を有効にすることを特徴としている。
即ち、警報装置20に不具合が発生している場合には、ホーンスイッチ14の特定操作により、キースイッチ17のスタート位置への操作を有効にしている。これにより、警報装置20が故障していたとしても、緊急に油圧ショベル1を作動させたい場合にエンジン8の始動を行うことができる。
また、情報を表示する表示器19がさらに備えられ、表示器19は、エンジン8の始動をさせる場合にはホーンスイッチ14の操作を行わなければならない旨を画面19Aに表示することを特徴としている。これにより、エンジン8の始動をさせるときには、キースイッチ17のスタート位置への操作を行う前に、ホーンスイッチ14を操作して周囲に作業の開始を報知しなければならないことをオペレータに促すことができる。
また、情報を表示する表示器19がさらに備えられ、表示器19は、キースイッチ17の操作によりエンジン8の始動が可能である旨を画面19Aに表示することを特徴としている。これにより、オペレータは、キースイッチ17のスタート位置への操作が有効になっていることを認識することができる。
また、情報を表示する表示器19がさらに備えられ、表示器19は、警報操作判定部27によりホーンスイッチ14が操作されたと判定されたにも拘わらず、警報音発生判定部28により警報装置20から警報音が発生されていないと判定された場合に、警報装置20が故障している旨を画面19Aに表示することを特徴としている。これにより、オペレータは、作業を開始するときの警報音が発生していないことにより、周囲に注意喚起が行われていないことおよび警報装置20に不具合が発生していることを認識することができる。
次に、図13は、本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、第2設定時間T4が警報音の発生が停止したときからの計測時間(エンジン始動有効時間t4)に対して設定されたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
コントローラ25のエンジン始動有効時間計測部30は、警報音発生時間計測部29が警報音の発生している時間の計測を停止したとき、即ちホーンスイッチ14の押下操作を止めたときからエンジン始動有効時間t4を計測する。従って、第2設定時間T4は、警報音発生時間計測部29が警報音の発生している時間の計測を停止したときからの時間に対応して、例えば7〜20秒(好ましくは、10〜15秒)に設定されている。
図13は、コントローラ25が行うエンジン始動制御について示したものである。なお、図13に示すエンジン始動制御では、警報装置20に不具合が発生しているときに緊急でエンジン8の始動を行う場合については省略しているが、第2の実施の形態においてもホーンスイッチ14の特定操作によりエンジン8の始動を可能としてもよい。また、本実施の形態においても、ゲートロックレバー15がロック位置(上げ位置)にあることを前提として説明する。
ステップ11からステップ15は、上述した図7のステップ11からステップ15と同様に制御される。そして、ステップ15で「YES」、即ちホーン鳴動と判定された場合には、ステップ31に進む。一方、ステップ15で「NO」、即ちホーン鳴動でないと判定された場合には、ステップ27およびステップ28を介してステップ14に戻る。
ステップ31では、警報音発生時間t1のカウントを開始する。即ち、コントローラ25の警報音発生時間計測部29は、警報音が発生している継続時間を計測する。なお、第2の実施の形態では、エンジン始動有効時間計測部30は、エンジン始動有効時間t4のカウントを開始しない。
次のステップ17では、第1設定時間継続判定(T1≦t1)を行う。即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、警報音発生時間計測部29により計測されている警報音発生時間t1が第1設定時間T1を経過したか否かを判定する。一例を挙げると、第1設定時間T1が1秒に設定されているときには、ホーンスイッチ14を1秒以上押下して警報装置20から警報音が1秒以上発生されたか否かを判定する。
そして、ステップ17で「YES」、即ち警報音発生時間t1が第1設定時間T1を経過したと判定された場合には、ステップ18に進み、表示器19の画面19Aに図9に示す「起動待機中」の表示を行って、ステップ32に進む。一方、ステップ17で「NO」、即ち警報音発生時間t1が第1設定時間T1を経過していないと判定された場合には、ステップ14に戻る。
ステップ32では、ホーン鳴動か否かを判定する。即ち、ホーンスイッチ14の押下操作が止められたか否かを判定する。この場合、コントローラ25の警報音発生判定部28は、バッテリ21から警報装置20に流れる電流(制御信号)を検出することにより、警報装置20から警報音が発生しているか否かを判定することができる。そして、ステップ32で「YES」、即ちホーン鳴動と判定された場合には、ホーン鳴動の停止(ホーンスイッチ14の押下操作の停止)を監視する。一方、ホーン鳴動でないと判定された場合には、ステップ19に進み、切替スイッチ24をON(閉成状態)に切替え、ステップ33に進む。
ステップ33では、エンジン始動有効時間t4のカウントを開始する。即ち、コントローラ25のエンジン始動有効時間計測部30は、警報装置20から発生している警報音が停止して、切替スイッチ24が閉成状態に切替えられたときからエンジン始動有効時間t4を計測し、ステップ34に進む。
ステップ34では、第2設定時間経過判定(T4≦t4)を行う。即ち、コントローラ25のエンジン始動制御部31は、エンジン始動有効時間計測部30により計測されているエンジン始動有効時間t4が第2設定時間T4を経過したか否かを判定する。一例を挙げると、第2設定時間T4が10秒に設定されているときには、警報装置20から発生している警報音が停止したときから10秒経過したか否かを判定する。
そして、ステップ34で「YES」、即ちエンジン始動有効時間t4が第2設定時間T4を経過したと判定された場合には、ステップ25およびステップ26を介してリターンする。一方、ステップ34で「NO」、即ちエンジン始動有効時間t4が第2設定時間T4を経過していないと判定された場合には、ステップ22からステップ26を介してリターンする。
かくして、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、コントローラ25は、警報装置20から警報音が発生されている時間を計測する警報音発生時間計測部29を有し、エンジン始動制御部31は、警報音発生時間計測部29により計測された時間が予め設定された第1設定時間T1継続した後、予め設定された第2設定時間T4以内でキースイッチ17の操作を有効にすることを特徴としている。この場合、第2設定時間T4は、警報音発生時間計測部29が警報音の発生の計測を停止したときからの計測時間(エンジン始動有効時間t4)に対して設定されていることを特徴としている。
即ち、第2設定時間T4のカウント開始をホーン鳴動が停止して(ホーンスイッチ14の押下操作を止めて)切替スイッチ24が閉成状態に切替えられてからを基準としている。そして、エンジン始動有効時間t4は、ホーン鳴動が停止して切替スイッチ24が閉成状態に切替えられてから計測している。
これにより、警報装置20から発生される警報音の長さに拘わらず、警報音が停止してからキースイッチ17のスタート位置への操作を有効とする時間を一定にすることができる。従って、ホーンスイッチ14が第1設定時間T1を越えてさらに長く押下操作されていた場合でも、ホーンスイッチ14の押下操作を止めたときから第2設定時間T4以内で余裕をもってエンジン8の始動を行うことができる。
また、第2の実施の形態では、ステップ19での切替スイッチ24のON(閉成状態)となってからエンジン始動有効時間t4のカウントを開始しているので、第1の実施の形態の警報装置20の不具合時に対応して設定された第3設定時間T3を第2設定時間T4に統一させることができる。これにより、別個に第3設定時間T3を設定する必要がなくなると共に、緊急時有効時間t3のカウントを行う必要がなくなる(緊急時有効時間t3をエンジン始動有効時間t4とすることができる)ので、コントローラ25の制御処理の簡素化を図ることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、コントローラ25の警報音発生判定部28は、警報装置20のグランド側の電流を検出することにより、警報装置20から警報音が発生しているか否かを判定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、警報装置20に音センサおよび振動センサ等の検出器を設け、警報音発生判定部28は、この検出器からの制御信号を検出することにより警報装置20から警報音が発生しているか否かを判定してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、エンジン8の始動時にはゲートロックレバー15がロック位置(上げ位置)にあることを前提として説明した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図7に示すステップ19の切替スイッチ24のONよりも以前にゲートロックレバー15がロック位置にあればよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、設定器34を油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば設定器を油圧ショベル1に搭載されない外部端末としてもよい。この場合、設定器をコントローラ25に接続して、第1設定時間T1、第2設定時間T2、および第3設定時間T3を予めメモリ26に記憶(格納)させることができる。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、警報装置20がホーンスイッチ14を介してバッテリ21に直結されている場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばコントローラ25がホーンスイッチ14の押下操作(ON操作)を検出した場合に、コントローラ25から警報装置に向けて制御信号を出力して警報音を発生させてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、警報装置20に不具合が発生しているときにエンジン8を始動させるときのホーンスイッチ14の特定操作をホーンスイッチ14が10回押下されるものとして説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば特定操作は、ホーンスイッチ14を10回以下(例えば、5〜9回)の押下としてもよく、10回以上の押下としてもよい。また、特定操作は、ホーンスイッチ14の長押し(例えば10秒以上)としてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した実施の形態では、エンジンキー(図示せず)を用いてキースイッチ17を操作する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばキースイッチ17を押しボタン式のスイッチ等としてもよい。
また、上述した実施の形態では、下部走行体2と下部走行体2上に旋回可能に支持された上部旋回体4とにより車体を構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は下部走行体2と上部旋回体4とからなる車体に限らず、例えばホイールローダ、ロードローラ等のように、旋回体を有しないで自走可能な1個の車体としてもよい。
また、上述した実施の形態では、キャブ仕様の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばキャノピ仕様の油圧ショベルに適用してもよい。さらに、本発明は、移動式クレーン等の他の建設機械にも適用することができる。