JP2004076257A - 建設機械の警報装置 - Google Patents

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Noriyuki Sakai
坂井 紀幸
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Abstract

【課題】吹鳴機器を、兼用することで、警報システム全体の無駄を省き、コストダウンを図る。
【解決手段】任意の時期にオペレータによって吹鳴可能とされたホーン(第1の警報回路W1の吹鳴機器)6に、建設機械の走行が開始されたときに吹鳴可能とされた第2の警報回路W2の吹鳴機器の機能を兼用させる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械の盗難防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧ショベルやクレーン等の建設機械においてオペレータが機械の周辺に対して行う警報は、図7に示されるように、操作レバー(図示略)に設置したホーンスイッチ2によってリレー4を切り換え、このリレー4の切り換えによって電力をホーン(第1の警報回路における吹鳴機器)6に供給し、該ホーン6を吹鳴させることにより行われる。
【0003】
一方、一般に建設機械は、同一の(固定された)場所において作業を行うため、走行操作に入るときには、周辺の人に対して所定の警報が行われるように設計されている。この走行開始時の警報は、図8に示されるように、走行パイロットライン(図示略)に圧力スイッチ10を挿入し、走行操作に入ったときに該圧力スイッチ10がオンとなることを利用して、制御手段Cが自動的に所定時間だけ走行アラーム(第2の警報回路における吹鳴機器)12に対して電力を供給することによって行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した第1の警報回路における吹鳴機器(ホーン)は、運転者が任意のときに吹鳴させるものであり、吹鳴のトリガが運転者によって発生される。一方、運転状態が所定の条件を満足したときに自動的に吹鳴される第2の警報回路における吹鳴機器(走行アラーム)は、運転者の意思によらず、当該所定の条件が成立したときに自動的に吹鳴される。そのため、両者は、特に疑いもなく互いに並列的に設けられており、設置コストがそのまま積算されていたというのが実情である。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、警報の性格やその吹鳴のためのトリガは異なっていても、機械の周辺の人に対して警報を行うという目的は共通していることに着目し、両警報を同一の吹鳴機器を兼用させることによって無駄を省き、より低コストで同一の機能を果させることをその課題としている。また、併せて、必要ならば吹鳴機器を兼用したことを利用して、機械始動前の警報を自動的に行うように設計可能とすることをその課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、任意の時期にオペレータによって吹鳴可能とされた第1の警報回路と、運転状態が所定の条件を満足したときに自動的に吹鳴可能とされた第2の警報回路とを備えた建設機械の警報装置において、前記第1の警報回路と第2の警報回路とを、同一の吹鳴機器で兼用したことにより、上記課題を解決したものである。
【0007】
本発明では、従来、運転者の意思によって吹鳴される警報であるか、所定の条件が成立したときに自動的に吹鳴される警報であるかによって、各警報回路のそれぞれに個別に備えられていた吹鳴機器を統合し、いずれの場合にも同一の吹鳴機器を吹鳴させるようにすることによって無駄を省き、その分コストダウンを実現した。
【0008】
なお、本発明に依れば、従来運転者の操作するホーンスイッチのオン−オフのみに依存して吹鳴されていた第1の警報回路の吹鳴機器を、制御手段によってもコントロールする(吹鳴させる)ことが結果として可能となる。従って、これを利用して、必要ならば、例えばキースイッチがオンとされたときに従来オペレータが手動で操作していた機械の始動開始を知らせる警報などを自動的に発するように設計することも可能となる。
【0009】
更には、走行操作が現になされていると検出されたときに、自動的に前記吹鳴機器を吹鳴させたり、或いは、該走行操作がなされたときに行われる吹鳴を、オペレータの意思により選択的に停止可能とさせたりするように設計を合体させることも可能となる(後述)。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1に、本発明が適用された建設機械の警報装置の概略構成を示す。
【0012】
この警報装置では、ホーン6をオペレータの意思によって吹鳴させる第1の警報回路W1の構成については、従来の図7で示した警報回路が基本的にほぼそのまま採用されている。
【0013】
即ち、操作レバー(図示略)に設置したホーンスイッチ2によってリレー4を切り換え、このリレー4の切り換えによって電力をホーン(第1の警報回路の吹鳴機器)6に供給し得るようになっている。これにより、オペレータの操作により、従来と同様に任意の時期にホーン6を吹鳴させることができる。
【0014】
図1から明らかなように、本実施形態においては、従来備えられていた(第2の警報回路における警報機器である)走行アラーム12(図8参照)は備えられていない。走行アラーム12の機能はホーン6によって兼用される。
【0015】
この兼用を具体的に実現するために、制御装置Ctから制御信号Scが端子P1から出力線40を介して出力され、これがホーンスイッチ2とリレー4との間の合流点P2に合流するように設計されている。ここで制御信号Scは、これがオンとされたときに端子P1、即ち合流点P2をグランドに接地するタイプの信号である。
【0016】
また、制御装置Ctには、従来と同様に走行パイロットラインに挿入された圧力スイッチ10の圧力信号S2が端子P4から入力されている。
【0017】
制御装置Ctを中心として、圧力スイッチ10、出力線40、リレー4、及びホーン6により、(走行操作を警報するための)第2の警報回路W2が構成される。即ち、ここでは、ホーン6のほか、リレー4も第2の警報回路W2に兼用されていることになる。
【0018】
なお、オペレータの意思によって走行開始時の自動警報を中止するためのサイレントスイッチ(消音のための切り替えスイッチ)42のサイレント信号S1が端子P3から制御装置Ctに併せて入力されている。
【0019】
ところで、建設機械の場合、オペレータは、安全確保のために、機械の始動前にホーンを吹鳴させてからエンジンを始動するように指導されている。この指導に従う場合、従来の建設機械では、オペレータはまず、a)キースイッチ(図示略)を電源オンの位置にまで操作し、次いで、b)ホーンスイッチ2をオンとしてホーン6を吹鳴させ、その後に、c)キースイッチを更にスタートポジションまで回動させてエンジン(図示略)を始動させる、という3つの作業を行う必要があった。
【0020】
しかしながら、これらの作業は、キースイッチの回動を途中で止めて別の操作を介在させるというものであり、煩雑なことからオペレータによっては警報なしでエンジンを始動させてしまうことがあった。
【0021】
この実施形態に依れば、従来運転者の操作するホーンスイッチ2のオン−オフのみに依存して吹鳴されていた(第1の警報回路W1の)吹鳴機器6を、制御装置Ctによってもコントロールする(吹鳴させる)ことが結果として可能となる。従って、これを利用して、キースイッチがオンとされたときに従来オペレータが手動で操作していた機械の始動開始を知らせる警報を自動的に発するようにできる。
【0022】
この制御装置Ctは、このキースイッチ(図示略)がオンとされた後に自動的に警報を発生させるための第1の制御手段の機能と、走行操作がなされた際に自動的に警報を発生させるための第2の制御手段の機能の双方を同時に実現する。
【0023】
次に、図2〜図5を用いて本警報装置の作用を説明する。
【0024】
図2は、建設機械のキースイッチがオンとされたときに自動的にホーン6を吹鳴させる際の各要素(制御装置Ctの電源、制御信号Sc、及びホーン6)の動作を、時間軸に沿って示したチャートである。また、図3はこの動作を実現するための概略フローチャートを示している。
【0025】
一方、図4は建設機械が走行操作に入ったときに自動的にホーン6を吹鳴させる際の各要素(制御装置Ctの電源、サイレントスイッチ42のサイレント信号S1、圧力スイッチ10の圧力信号S2、制御信号Sc、及びホーン6)の動作を、時間軸に沿って示したチャートである。また、図5はこの動作を実現するための概略フローチャートを示している。
【0026】
先ず、図2、図3を参照しながら、建設機械のキースイッチがオンとされたときに自動的にホーン6を吹鳴させる作用から説明する。
【0027】
この作用は、建設機械のキースイッチがオンとされたときに開始される(時刻t1、ステップ102)。キースイッチがオンとされると、そこからタイマが作動し(カウントアップが開始され)、スタンバイ時間Tsが経過するのを待つ(ステップ104)。これは、制御装置Ctその他の電気系等が立ち上がるまでの過渡的な状態が経過するのを待つという趣旨である。
【0028】
ステップ104でスタンバイ時間Tsが経過したと判断されると、ステップ106に進んで制御信号Scがオンとされ、この制御信号Scのオンにより、ホーン6が吹鳴される。この吹鳴は制御信号Scがオンとされてから第1の所定時間T1が経過したと判断されるまで継続される(ステップ108)。やがて第1の所定時間T1が経過したと判断されると制御信号Scがオフとされ、吹鳴が停止される(時刻t3、ステップ110)。
【0029】
次に、図4、図5を参照しながら、建設機械が走行状態に入ったときに自動的にホーン6を吹鳴させる作用について説明する。
【0030】
先ず、サイレントスイッチ42のサイレント信号S1がオンとされているときに、圧力スイッチ10の圧力信号S2がオンとされたか否かが判断される(時刻t11、ステップ202、204)。この条件が成立すると、ステップ206において制御信号Scがオンとされ、ホーン6が吹鳴される(時刻t11)。この吹鳴は、制御信号Scがオンとされてから第2の所定時間T2が経過したと判断されるまで継続される(ステップ208)。やがて第2の所定時間T2が経過したと判断されると制御信号Scがオフとされ、吹鳴が停止される(時刻t12、ステップ210)。これは、走行中ずっとホーン6が吹鳴し続けると、騒音の問題が発生するためである。
【0031】
なお、ステップ208において未だ第2の所定時間T2が経過していないと判断されたときには、ステップ212、214に進んで、それぞれサイレント信号S1、圧力信号S2のオン−オフが再度確認される。この確認の結果、いずれか一方でも「NO」と判定されたときには、と第2の所定時間T2が未だ経過していない状態であっても、ステップ210に進んで制御信号Scがオフとされ吹鳴が停止されるようになっている。
【0032】
これは、ホーン6が吹鳴するのがふさわしくないと考えてオペレータが意識的に吹鳴を止めようとしたか、あるいは、走行が中止されたかのいずれかであると考えられることから、これ以上ホーン6が吹鳴し続けるのは適切でないか、或いはその必要がないと判断されるためである。
【0033】
この制御フローに依れば、図4の時刻t13〜t14間において例示されるように、たとえサイレント信号S1がオフのときに圧力信号S2がオンとされ、その結果制御信号Scがオンとされることによりホーン6が吹鳴し始めたとしても、その後に圧力信号S2がオフとされると直ちにホーン6の吹鳴は停止することになる。また、時刻t16〜t17間において例示されるように、サイレント信号S1がオンとされているときは、圧力信号S2がオン−オフしても制御信号Scの出力に影響が及ぶことはなく、その結果ホーン6が吹鳴することはない。
【0034】
以上、図2、図3に示される建設機械の始動直後になされる警報及び図4、図5に示される建設機械の走行時になされる警報についてそれぞれ個別に説明してきたが、実際には、この2つの作用は適宜に組み合わされた状態で実行される。
【0035】
組合せの態様(設計思想)はいくつか考えられるが、その一例を図6に示す。この例では、2つの警報の作動を次のa)〜g)で示すような態様で組み合わせるようにしている。
【0036】
a)キースイッチがオンとされてから制御信号Scを出力するまでのスタンバイ時間としてTsをとる。
【0037】
b)その後T1間だけ制御信号Scが出力され、該T1時間だけホーン6が吹鳴される。
【0038】
c)時間T1が経過しないうちに圧力信号S2がオンとされた場合は、サイレント信号S1がオンであるならば、時間T1が経過した段階でホーン6は停止される。即ち、サイレント信号のオン−オフにかかわらず、エンジン始動の際の警報はT1間は継続される。一方、サイレント信号S1がオンの場合は、たとえ走行が開始されたときでもやはり時間T1が経過した時点で吹鳴は停止する。
【0039】
d)時間T1が経過しないうちに圧力信号S2がオンとなり、且つサイレント信号S1がオフとされていた場合には、ホーン6は、(圧力信号S2がオンとされてからではなく)吹鳴が開始されてから時間T2が経過した段階で停止する。即ち、たとえ時間T1が経過する直前に建設機械が走行を開始したような場合であっても、ホーン6が(T1+T2)時間の長きに亘って吹鳴し続けたりすることがないようにする。
【0040】
e)一方、一度オンとなった圧力信号S2が、時間T1の経過以前にオフとされた場合であっても、時間T1が経過するまではホーン6は吹鳴を継続する。
【0041】
f)時間T1が経過した以降で且つT2経過以前に圧力信号S2がオフとされた場合には、その時点で直ちにホーン6は吹鳴を停止する。
【0042】
g)時間T1が経過した後、即ちキースイッチがオンとされたときの警報が鳴り終わった以降の制御については、基本的に図4及び図5を用いて既に説明した作用と同様の作用がなされるようにする。
【0043】
図6は、以上の作用がなされるように、図3の制御フローと図5の制御フローとを制御フラグFを用いて連結したものである。したがって図3あるいは図5に登場するステップと同様のステップに、図中において同一のステップ番号を付すに止め、重複説明を省略する。なお、符号300台で示したステップが上記作用を得るために追加したステップである。
【0044】
なお、本発明は、基本的には任意の時期にオペレータによって吹鳴可能とされた第1の警報回路における吹鳴機器と、運転状態が所定の条件を満足したときに自動的に吹鳴可能とされた第2の警報回路における吹鳴機器とを、同一の吹鳴機器で兼用したことをその特徴とするものであり、「所定の条件」は特に限定されない。例えば、走行開始時の警報システムは備えるが、キースイッチがオンとされたときに所定時間だけ自動的に吹鳴させる構成までは不要、というときは、後者の警報は必ずしも採用する必要はない。
【0045】
また、キースイッチがオンとされたときの警報の仕方、走行操作が開始されたときの警報の仕方、およびこれとサイレントスイッチのオン−オフ状況を考慮した優先順位の選定等についても、上記図6で示した構成に限定されるものではない。
【0046】
例えば、サイレントスイッチのオン−オフ信号の状況をより大きく考慮し、サイレントスイッチがオフとされているときには、オペレータによって発生される吹鳴以外は、一切の自動的な吹鳴を禁止するような設計とすることも勿論可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、任意の時期にオペレータによって吹鳴可能とされた第1の警報回路と、所定の条件を満足したときに自動的に吹鳴可能とされた第2の警報回路との間で、同一の吹鳴機器を兼用するようにしたため、より低コストで同一の機能を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建設機械の警報装置の実施形態の例を示す要部構成図
【図2】上記実施形態に係る装置において実行される、キースイッチがオンとされたときに発せられる警報の態様を示すタイムチャート
【図3】図2の警報態様を実現するための同フローチャート
【図4】上記実施形態に係る装置において実行される、走行操作が開始されたときに発せられる警報の態様を示すタイムチャート
【図5】図4の警報態様を実現するための同フローチャート
【図6】図3及び図5の合成例を示すフローチャート
【図7】従来の建設機械の警報装置の第1の警報回路の例を示す構成図
【図8】同じく第2の警報回路の例を示す構成図
【符号の説明】
2…ホーンスイッチ
4…リレー
6…ホーン(吹鳴機器)
10…圧力スイッチ
42…サイレントスイッチ
W1…第1の警報回路
W2…第2の警報回路
Ct…制御装置
Sc…制御信号
S1…サイレント信号
S2…圧力信号
T1…第1の所定時間
T2…第2の所定時間

Claims (4)

  1. 任意の時期にオペレータによって吹鳴可能とされた第1の警報回路と、運転状態が所定の条件を満足したときに自動的に吹鳴可能とされた第2の警報回路とを備えた建設機械の警報装置において、
    前記第1の警報回路における吹鳴機器と第2の警報回路における吹鳴機器を、同一の吹鳴機器で兼用した
    ことを特徴とする建設機械の警報装置。
  2. 請求項1において、
    当該建設機械のキースイッチがオンとされたことを検出する検出手段を備えると共に、
    該検出手段によってキースイッチがオンとされたと検出されたときに、第1の所定時間だけ自動的に前記吹鳴機器を吹鳴させる第1の制御手段を備えた
    ことを特徴とする建設機械の警報装置。
  3. 請求項1または2において、更に
    前記建設機械の走行操作が現になされているか否かを検出する検出手段を備えると共に、
    該検出手段によって走行操作が現になされていると検出されたときに、該検出が現になされている時間または第2の所定時間のうち、いずれか短い方の時間だけ、自動的に前記吹鳴機器を吹鳴させる第2の制御手段を備えた
    ことを特徴とする建設機械の警報装置。
  4. 請求項3において、
    前記走行操作がなされたときに行われる前記第2の制御手段の機能を、オペレータの意思により選択的に停止可能とした
    ことを特徴とする建設機械の警報装置。
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