JP2015509151A - ポリトリメチレンテレフタレートを含む経編生地 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレートを含む経編生地 Download PDF

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Abstract

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート糸と弾性糸を70:30〜90:10の重量比で含むロックニット柄を有する経編生地に関する。その生地は、弾性ポリエチレンテレフタレート糸を含有する他の高性能着用布地と比較して柔らかな手触りと、塩素曝露および紫外線照射後のより良好な染色堅牢度とを有する。

Description

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート糸および弾性糸を含む経編生地(warp knit fabrics)に関する。
水着、スポーツウェア、または下着などの高性能衣類に使用するためにはその伸縮性生地は、快適な伸縮および圧縮と良好な手触りとを有すること、また高い耐久性を有することが必要である。伸縮性生地の多くは弾性糸、主にスパンデックス糸を含有し、これは望ましい手触りおよび耐久性を与えるためにナイロンまたはポリエチレンテレフタレートなどの他の硬質糸と共に経編みされる。
経編生地は、よく知られている材料である。それらは、好都合にはケテン(Ketten)、ラッシェル、またはトリコット編機で生産することができる。経編生地を調製するための工程および装置は、例えば米国特許第4,487,040号明細書、同第4,802,346号、および国際出願第03/023105号パンフレット中に開示されている。これらの特許文書のすべてが、参照により本明細書中に援用される。
韓国特許出願第2002−0001924号明細書は、28ゲージの2枚筬トリコット機上で、50〜70dポリトリメチレンテレフタレート(PTT)マルチフィラメント繊維を70〜95重量%および20〜70dスパンデックス繊維を5〜30重量%含有する経編生地の製造方法を開示している。得られる生地は、80〜170g/m2の基本重量を有する。
特願11−81096号公報は、PTT繊維および弾性繊維を含み、ラッシェルまたはトリコット編機によって製造される編生地を開示しており、その弾性繊維の含有量は5〜30重量%であり、弾性ドラフト(elastic draft)は1.5倍〜3.5倍であり、また弾性繊維対PTT繊維の繊度比は0.1〜15、好ましくは0.5〜9である。この中で開示されている一実施例では、28ゲージのトリコット編機を使用して、50d/36fのPTT繊維および40dのポリウレタン繊維を含有する編み柄の明記されていない柔らかな生地を製造した。前筬の編込み(run−in)は、160cm/480コース(すなわち1ラック)であり、また後筬の編込みは、80cm/480コースである。
上記で考察したように、特に高性能衣類産業では良好な手触りと、快適な伸縮性と、高い耐久性、例えば塩素および紫外線などの厳しい条件に連続的に曝した後のすぐれた染色堅牢度とを有する伸縮性生地を提供する取組みが続いている。本発明は、そのような取組みを成就する。
本発明の第一の態様は、
30〜75デニールの総繊度(total fineness)を有するポリトリメチレンテレフタレート(PTT)糸と、
20〜70デニールの総繊度および100%を超える破断時伸びを有する弾性糸と
を含むロックニット柄を有する経編生地を含み、
ロックニット柄を有するその経編生地は、
(a)70:30〜90:10の範囲にあるPTT糸と弾性糸の重量比、
(b)15〜35コース/cmのコース密度、および180g/m2以上の基本重量、および
(c)経方向において120%〜185%の伸び、および緯方向において80%〜150%の伸び
を備える。
本発明の第二の態様は、ロックニット柄を有する経編生地の製造方法を含み、その弾性糸は、式(1)、
TDe=BDe×[RIptt/RIe]×LK×SD (1)
により計算される2.6倍〜4.0倍の総ドラフトを有する。
式中、
TDe:弾性糸の総ドラフト、
BDe:弾性糸のビームドラフトであり、1.7倍、
RIptt:PTT糸の編込長であり、1400〜2000mm/ラックの範囲、
RIe:弾性糸の編込長であり、200〜1000mm/ラックの範囲、
LK:ロックニット柄の編込比であり、1.33、
SD:弾性糸のスプールドラフトであり、1.0倍。
PTT糸または弾性糸のいずれかのビームの概略図である。 弾性糸およびPTT糸用の2枚の筬を有するトリコット編機の一部の概略図である。 編成工程における針運動の概略図である。 普通の経編生地の柄の裏側を示す図である。経編生地は図4Bに示すロックニット柄で構成される。 経編生地のロックニット柄を形成するドットペーパー上でのPTT糸およびその近傍の弾性糸の経路の概略図である。 本発明の生機生地を得た後の一般的な仕上工程を示すフローチャートである。
本明細書中で言及するすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、別段の指示がない限り、あたかも完全に陳述されているかのようにそれらの全体があらゆる目的で参照により明示的に本明細書中に組み込まれる。
別段の定義がなされない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業界の普通の熟練者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合、それら定義を含む本明細書が支配することになる。
別段の指定がない限り、すべての百分率、部、比率などは、重量を基準とする。
本明細書中で使用される用語「から生ずる(“produced from”)」は、「を含む(“comprising”)」と同義である。本明細書中で使用される用語「含む(“comprises”、“comprising”)」、「含む(“includes”、“including”)」、「有する(“has”、“having”)」、「含有する(“contains”、“containing”)」、またはこれらの任意の語尾変化は、非排他的に含まれるものを包含することを意図している。例えば、構成要素の一覧を含む組成物、工程、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの構成要素のみに限定されず、はっきりとは挙げられていない、またはそのような組成物、工程、方法、物品、または装置に固有の他の構成要素も含むことができる。
移行句「からなる(“consisting of”)」は、指定されない任意の構成要素、ステップ、または成分を排除する。請求項中の場合、そのような語句は、通常それと関連した不純物を除いて列挙されるもの以外の材料を含めることに対してその請求項を閉ざすことになる。語句「からなる」が、導入部の直後ではなく請求項の本文の箇条中に現れる場合、それはその箇条中で述べられた構成要素のみを限定し、他の構成要素を全体としてはその請求項から排除しない。
移行句「実質上からなる(“consisting essentially of”)」は、文字通り検討されたものに加えて、追加の材料、ステップ、機能、成分、または構成要素がその特許請求された発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないという条件で、それら材料、ステップ、機能、成分、または構成要素を含めた組成物、方法、または装置の範囲を定めるために使用される。用語「実質上からなる」は、「含む」と「からなる」の中間の立場を占める。
用語「含む」には、用語「実質上からなる」および「からなる」によって取り囲まれた実施形態が含まれることを意図している。同様に、用語「実質上からなる」には、用語「からなる」によって取り囲まれた実施形態が含まれることを意図している。
量、濃度、あるいは他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値と下側の好ましい値の一覧のいずれかとして与えられる場合、それは、それら範囲が別々に開示されているかどかに関係なく、任意の上側の範囲限界または好ましい値と、任意の下側の範囲限界または好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものと理解されたい。例えば、「1〜5」の範囲が記述されている場合、その記述された範囲は、範囲「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2および4〜5」、「1〜3および5」などを含むものと解釈すべきである。数値の範囲が本明細書中に記述される場合、別段の指定がない限り、その範囲は、その端点と、その範囲内の全ての整数および端数とを含むことを意図している。
用語「約」が、値または範囲の端点を記述する際に使用される場合、その開示内容は、その参照された特定の値または端点を含むと理解されたい。
さらに、その反対であると明記されない限り、「または」は、包含的「または」を意味し、排他的「または」を意味しない。例えば、条件A「または」Bは、Aが真であり(あるいは存在し)かつBが偽である(あるいは存在しない)、Aが偽であり(あるいは存在せず)かつBが真である(あるいは存在する)、およびAとBの両方が真である(あるいは存在する)のうちのいずれか一つによって満たされる。
また、本発明の構成要素または成分の前に置かれる不定冠詞「或る(“a”および“an”)」は、その構成要素または成分の事例(すなわち出来事)の数に関して非制限的であることを意図している。したがって、「或る(“a”および“an”)」は、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、その構成要素または成分の単数の語形は、その数が明らかに単数であることを意味しない限り複数もまた含む。
本明細書中に見出される用語「ホモポリマー」は、1種類のモノマーの種の重合により誘導されるポリマーを指し、また「コポリマー」は、2種類以上のモノマー種の重合により誘導されるポリマーを指す。そのようなコポリマーには、ジポリマー、ターポリマー、またはより高次のコポリマーが挙げられる。
発明の概要中で述べた本発明の実施形態は、本発明中で述べる任意の他の実施形態を含み、それらは任意のやり方で組み合わせることができる。
本明細書中で使用される用語「デニール」(または「d」の形に省略される)は、繊維または糸の繊度(または線密度)の相対的尺度であることを理解されたい。デニールは、数字の上では、長さ9,000メートル当たりのグラムで表した材料の重量に等しい。用語「デシテックス」は、繊維の繊度の別の尺度であり、長さ10,000メートル当たりのグラムで表した材料の重量に等しい。
用語「繊維」は、長さ対直径の比が、約10を超える材料を意味する。繊維は、一般にその繊度に従って分類される。一般的には繊維は、約15デニールを超える、一般には30デニールを超える繊維繊度を有するものと定義される。一般的にはファインデニール繊維は、約15デニール未満の繊度を有する。
「モノフィラメント繊維」および「マルチフィラメント繊維」を含めて用語「フィラメント繊維」は、一定の長さの繊維の不連続ストランド(すなわち、あらかじめ定められた長さの断片に切断または別のやり方で分割されたストランド)である「ステープル繊維」と対立するものとして、無限(すなわち、あらかじめ定められていない)長さの天然または合成材料の1本または複数本の連続ストランドを含む繊維を意味する。用語「糸」は、製織または編組に使用される羊毛、ナイロン、またはポリエステルなどの天然または合成材料の加撚スレッドの連続ストランドを意味する。用語「繊維」および「糸」は、本明細書中では区別なく使用される。
本明細書中で使用される用語「弾性糸」とは、その材料が少なくとも2度、その元の長さ(すなわち100%伸び)まで繰返し伸縮することができ、かつ応力の解放時にそのほぼ元の長さまで即時かつ力強く回復することができるような、すぐれた伸縮性および回復を有する合成材料(すなわち、ポリマーまたはコポリマー)から作られる糸を指すものと理解されたい。
本明細書中で使用される用語「ドラフト」とは、スパンデックスなどの弾性糸のストランドに加えられるストレッチの量を指し、結果としてその弾性糸のストランドの繊度の減少を引き起こす。繊維のドラフトは、その繊維に加えられる伸び(伸長)に直接に関係がある。例えば、100%伸びは2倍ドラフトに対応し、また200%伸びは3倍ドラフトに対応するなど。
本明細書中で区別なく使用される「非弾性糸」または「硬質糸」とは、上記で定義した「弾性糸」ほどは相対的に弾性的でない繊維を意味する。本発明によれば「硬質糸」は、PTT、ナイロン、PET、レーヨン、アセテート、またはアクリルなどの連続マルチフィラメント糸であるが、PTTは他の列挙された糸よりも性質がかなり弾性的である。
本明細書中で使用される用語「経方向」とは、生地の長さ方向または縦方向を指し、また用語「緯方向」とは、生地の幅方向または横方向を指す。
本明細書中で使用される用語「弾性糸の総ドラフト」は、ロックニット柄の経編生地の性能と相関関係のある主要な各要因の合成物であることが理解されるはずである。弾性糸の総ドラフトの計算は、本明細書において下記でより詳細に述べる。
PTT糸
単一固有粘度(IV)を有するポリトリメチレンテレフタレート(PTT)糸を、多数本フィラメントを有する経編生地に使用することができる。これは、米国特許第6,949,201号明細書中に開示されている2種類のPTTを含有する(すなわち、異なる固有粘度を有する)複合繊維とは異なる。
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂は、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の縮合重合によって調製することができるポリエステルである。別法では、ポリトリメチレンテレフタレートはまた、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸ジメチル(DMT)から調製することもできる。PTTの製造に使用される1,3−プロパンジオールは、好ましくは再生可能な供給源(「生物由来の」1,3−プロパンジオール)から生化学的に得られる。
PTT樹脂を製造するための工程は当業者によく知られているので、本明細書中ではさらなる説明を省略する。
好ましくはこのPTT樹脂は、90モル%以上のトリメチレンテレフタレートの反復単位と、他のジオールおよび/または二酸から作られる10モル%以下の他のエステル単位とを含有するホモポリマーまたはコポリマーである。
コポリマーを使用する場合、共重合に有用な他の二酸には、イソフタル酸、スルホン酸イソフタル酸5−ナトリウム(5−sodium sulfonate isophthalate)、フタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸と、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、および1,12−ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
他のジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、およびポリエチレングリコールなどの芳香族ジオールと、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールが挙げられる。これらのジオールおよび/または二酸は、単独または2種類以上の化合物の混合物の形のいずれかで使用することができる。最も好ましいPTT樹脂はホモポリマーである。
固有粘度(IV)はポリマーの分子量の尺度であり、ASTM D4603−96に従って測定することができる。固有粘度は、一般にポリマー分子量の増加と共に増加するが、また高分子の種類、その形状またはコンホーメーション、およびその中で測定する溶媒にも左右される。
一実施形態では、本発明の経編生地においてそのポリトリメチレンテレフタレート糸は、約0.8〜1.2dl/g、好ましくは約0.9〜1.1dl/gの固有粘度(η)を有するPTT樹脂から得られる。
市販のポリトリメチレンテレフタレート樹脂には、制限なしにDuPontによるSORONA(登録商標)およびShell ChemicalsによるCORTERRA(登録商標)が挙げられる。ペレットの形態の市販のPTT樹脂は、容易に再溶融し紡糸してフィラメント糸にすることも、また当業者に知られている従来の装置を使用することにより直接に紡糸工程中で使用することもできる。
添加剤は、PTT樹脂ペレット中に含有されてもよく、また繊維紡糸工程の間に添加されてもよい。そのような添加剤には、つや消し剤、例えば酸化チタン、熱安定剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収材、抗かび剤、または様々な顔料を挙げることができる。
単一PTTフィラメントの断面形状は限定されず、円形であることもでき、また他の形状、例えばオクタローバル形、三角形(delta)、日輪形(sunburst)(太陽型としても知られる)、スカラップオーバル形、三葉形、テトラチャンネル形(クォートラチャンネル形としても知られる)、スカラップリボン形、リボン形、または星形(starburst)であることもできる。PTTフィラメントは、中実、中空、または多孔中空であることができるが、好ましくは中実である。
異なる繊度の種々様々なフィラメントを使用してPTT糸を形成することができる。好ましくは単一PTTフィラメントは、少なくとも約0.5dpf(1フィラメント当たりのデニール)および最大で約5dpfまで、またはそれ以上の繊度を有する。
好適なPTT糸は、一般には少なくとも10本以上のフィラメントを含み、また好ましくは最大で80本までのフィラメント、より好ましくは最大で100本までのフィラメントを含有する。10、12、24、36、48、68、または72本のフィラメントを含有する糸が一般的である。PTT糸は、一般には少なくとも30d、好ましくは少なくとも40dの総繊度、また最高で60dまで、好ましくは最高で75d以上までの総繊度を有する。
一実施形態では、経編生地中でPTT糸は、約10〜72本のフィラメントを含有するマルチフィラメントであり、約30〜75デニールの総繊度を有する。
経編生地を製造するために使用されるPTT糸は、完全延伸糸(FDY)、部分配向糸(POY)、スピンアニール糸(SAY)、伸加工糸(DTY)、またはエアテクスチャード糸(ATY)などの糸である。
経編生地中に使用されるポリトリメチレンテレフタレート糸の含有量は、約70重量%〜約90重量%、好ましくは約75重量%〜約85重量%である。ただし、この重量百分率は経編生地の総重量を基準にする。
弾性糸
経編生地中に使用される弾性糸は合成材料から生産され、100%以上、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上の破断時伸びを有する。
使用することができる弾性糸の例には、制限なしに、スパンデックス、エラスタン(elastane)、アニデックス(anidex)、エラストエステル(elastoester)、およびこれらの組合せが挙げられる。好ましくは弾性糸はスパンデックス糸である。
少なくとも85%のセグメント化ポリウレタンからなるスパンデックス糸を、湿式または乾式紡糸などの繊維紡糸工程を介してポリウレタンポリマー溶液から形成することができる。乾式紡糸ではポリマー溶液を計量し、紡糸口金のオリフィスを経てスピンチャンバに入れ、フィラメントを形成するか、または通常の技術により合体させてマルチフィラメント糸にすることができる。一般にポリウレタンポリマーは、重合反応に使用されるその同じ溶媒から乾式紡糸されてフィラメントになる。気体のチャンバ通過により溶媒を蒸発させてフィラメントを凝固する。
市販のスパンデックス糸には、例えばINVISTAによって製造されるLycra(登録商標)タイプT162B、T162C、T165C、T169B、およびT562と、AshahiによるROCIA(登録商標)と、HyosungによるCREORA(登録商標)と、Jiangsu Aoshen Group,Co.,Ltd.によるAOSHEN(登録商標)が挙げられる。
弾性糸はまた、粘着防止剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、抗菌剤、光沢剤、つや消し剤、難燃剤、滑剤、および染料などの通常の添加剤を含むことができる。例えば滑剤は、通常の仕上ロールによって、またはポリマー溶液からフィラメントと一緒に共紡糸することによって、または両方法によって弾性糸の表面に付着させることができる。スパンデックス糸の場合、次いでその乾式紡糸スパンデックス糸を巻き上げて糸供給パッケージを形成する。
弾性糸は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸であることができ、少なくとも約20d、少なくとも約30d、少なくとも約45d、または少なくとも約70dの繊度を有する。
一実施形態では、経編生地においてその弾性糸は、100%以上の破断時伸びと、約20〜70デニールの繊度を有するスパンデックス糸である。
経編生地中に使用される弾性糸の含有量は、約10重量%〜約30重量%または約15重量%〜約25重量%である。ただし、この重量百分率は経編生地の総重量を基準にする。
経編生地の製造
経編生地の場合、トリコット編機の適切なゲージは、特に水着、スポーツウェア、および下着を含めた衣類に使用される場合、その経編生地の使い方に応じて選択される。トリコット編機のゲージ数は、得られる生地の伸縮性および基本重量に影響を与える多くの要因の一つである。本発明では28ゲージトリコット編機よりも32ゲージの方が好ましい。
この経編生地を調製するために、2枚の完全糸通しされた筬を有するトリコット編機の略図を図2に示し、その最適化パラメータを下記に詳細に述べる。ある実施形態ではその方法は、32ゲージ、幅130インチ(330cm)のトリコット機を使用する。
図2は、一般的なトリコット機を示す。それらは稀に5枚以上の筬を有するが、大部分は2枚筬を使用する。硬質糸、例えばPTT糸は、前ワープ(front warp)31上に載せられ、また弾性糸、例えばスパンデックス糸は、後ワープ(back warp)32上に載せられる。経糸張力は、ワープテンションレール33によって制御される。ループ形成活動は、主偏心軸編成エレメント駆動部37によって動かされる編成エレメント34によって制御される。生地が編まれているとき、それは布巻取ローラー35によって巻き取られ、巻取ビーム38上に巻かれる。トリコット編機全体は、機械の土台36によって支持される。
図3A〜3Eは、ひげ針の編成作用を示す。ステッチサイクルの開始において、図3Aは、針が上方に移動し(矢印によって示すように)、以前に形成されたループがニードルステム41まで滑り落ちることを示す。次いで図3Bでは、糸42は、ヤーンガイド43の働きにより針を包み込む。針が上がり続けるにつれて(図3Cにおいて)、糸42は滑ってニードルステム41上に座る。次いで針は、図3Dにおいてその下降を始める。糸はひげ44の内側に滑り込み、プレッサバー45が前方へ移動してひげ44を閉じ、針が下方に移動するにつれてオールドループが閉じたひげから滑り落ち、プレッサバー45が引っ込む。図3Eでは、針は下降を続け、ひげ44の内側の糸がオールドループを通り抜け、そのオールドループが針から滑り落ちてループを完成する。
図4Aは、シングルトリコット柄として知られる2枚筬経編生地の最も単純な形態を示す。これは基本的な1面経編みであり、各筬は反対に動き、各コース後、1針スペースを右および左に二者択一的に移動して閉じ目を作る。黒で示した硬質糸10は前筬によって供給され、弾性糸20(白で示す)は後筬によって供給される。
図4Bは、ロックニット柄を示し、各筬は常に反対に動くが、アンダーラップの重なりは1針スペース全体にわたっており、したがってそのアンダーラップはシングルトリコット柄のものとは異なっている。前筬は2針スペースを移動させるが、後筬は1針スペースのみを反対方向に移動させる。生地の表面(または正面)は、細かい滑らかな肌理を有するほとんど垂直なウェールを示し、一方、生地の背面(または裏面)は、前筬によって作られるより長いアンダーラップのために比較的粗い。この生地の構造は、前筬によって運ばれるスレッド(すなわちPTT糸)が裏面で顕著なことであり、その場合、図4B中の黒い線で示す斜線が浮いている。すべての2枚筬経編生地において前筬の糸が生地の表面に最も顕著に現れる傾向があることが知られている。したがって前筬から供給されるPTT糸が、その経編生地の良好な手触りの主要な貢献者になる。
ロックニット柄の経編生地の筬ラッピング運動は、図5中のドットペーパー上で表現され、PTT糸10およびその隣接する弾性糸20の相対的経路は、
前筬(PTT糸):2〜3/1〜0//、後筬(弾性糸):1〜0/1〜2//、およびリピート
である。
生地の品質を制御する主な要因は、各経糸の「編込長」の割合、すなわち1ラック、すなわち480コースの間に各経糸から供給される糸の全長の割合である。ロックニット柄は、前筬の糸がアンダーラップにおいてより大きな長さを供給する必要があるので、ロックニット生地の製造では、前筬編込長対後筬編込長の比は、おおよそ4:3(または1.33)であることが知られている。しかしながらPTT糸と弾性糸の最適な編込比は、まだ正確な計算ではなく試行錯誤によって決定される事項である。ある実施形態では、PTT糸(RIppt)の編込長:弾性糸(RIe)の編込長の比が2.0を超える、好ましくはRIppt:RIeの比が2.2〜2.8である商業的に有用な経編生地の生産が見られる。
一実施形態では、ロックニット柄の商業的に有用な経編生地の生産方法は、弾性糸を2.6倍〜4.0倍の範囲の総ドラフトを有するように維持することによる弾性糸およびPTTを含み、それは、式(1)、
TDe=BDe×[RIptt/RIe]×LK×SD (1)
により計算され、
式中、
TDe:弾性糸の総ドラフト、
BDe:弾性糸のビームドラフトであり、1.7倍、
RIptt:PTT糸の編込長であり、1400〜2000mm/ラックの範囲、
RIe:弾性糸の編込長であり、200〜1000mm/ラックの範囲、
LK:ロックニット柄の編込比であり、1.33、
SD:弾性糸のスプールドラフトであり、1.0倍
によって計算される。
本発明は、弾性糸の総ドラフトが、2.6倍〜4.0倍、好ましくは2.8倍〜3.6倍、より好ましくは3.0倍〜3.4倍の範囲にある場合、従来技術を凌ぐ改善された結果が得られることを確認した。
弾性糸に加えられる張力が増すにつれてその応力ひずみ特性のために弾性糸は益々ドラフト(延伸)し、逆に弾性糸がドラフトされるほど益々糸中の張力は高くなる。本発明の方法の一実施形態では、弾性糸の張力は約1〜2gに維持される。この張力は、編針に弾性糸を確実にかつ連続的に送り込むのに十分な高さであり、かつ弾性糸のビームドラフトを約1.7倍に維持するのに十分な低さである。
ある実施形態ではRIppt:RIeの比は、2.0以上である。
ある実施形態ではRIppt:RIeの比は、2.2〜2.8である。
本発明の別の態様は、水着、スポーツウェア、および下着を含むことができる衣類のためのロックニット柄の経編生地の使用法を含む。
生機生地の仕上工程
編成後、経編生地は生機生地と呼ばれる。生機生地は、図6中で図式的に例示され、50として表される工程において完成される。
編成工程から得られる生機生地は、応力緩和51とも呼ばれる湿式法の精練(洗濯)により処理される。次いでこの応力緩和された生地をテンターフレームに掛け、ヒートセット装置中でヒートセットする。テンターフレームは、生地を針チェーンによってその縁部で保持し、生地を望ましい寸法および基本重量に戻すためにそれを長さおよび幅の両方向に広げる。
このヒートセット52は、後続の湿式処理の前に遂行され、したがってヒートセットは同業者中ではしばしば「プレセット」と呼ばれる。ヒートセット装置の出口において平坦な生地が針チェーンから解放される。次いで生地は、任意選択でオーバーフロージェット設備により経路A:漂白53か、または経路B:染色54を通って処理される。経路Aに関しては、捺染生地にするために生地を捺染工程にかけることができる。漂白53または染色54の後、生地が長さ(縦)方向において無張力下にあり、一方でプレセット温度未満の温度で乾燥されるような布オーバーフィード(引張りの反対)の条件下のテンターフレームオーブン中で生地を乾燥およびヒートセット55する。生地は、任意の潜在的な皺を平らにするために幅方向ではわずかに張力がかけられる。
引き伸ばしおよびヒートセットのパラメータは、所望の布基本重量および伸びを与えるように、比較的厳しい制限内で選択される。水着、スポーツウェア、または下着などの衣類に適した一般的な伸縮性生地の場合、経方向の望ましい伸びは、少なくとも100%であり、また基本重量は、下着については約100g/m2以上であり、水着またはスポーツウェアについては約150g/m2以上である。テンターフレームまたは他の乾燥装置中での乾燥生地のヒートセットはまた、リデニーリングとして知られており、より高いデニールの弾性糸をドラフトまたは延伸してより低いデニールにし、次いでそのより低いデニールで生地の弾性糸を安定化させるのに十分に高い温度で十分な時間加熱する。したがってヒートセットは、引き伸ばされた弾性糸中の回復張力が大部分取り除かれ、弾性糸が新しいより低いデニールで安定になるように、生地の弾性糸を分子レベルで恒久的に変化させることを意味する。したがってヒートセット操作は、生地の安定性を向上させ、かつ繰り返し洗濯した後の生地の収縮量を低減させる。
弾性糸(すなわちスパンデックス)のヒートセット温度は、一般には約175℃〜約200℃である。図6に示す工程50の場合、経編生地のヒートセット52は、一般に約180℃〜約190℃において約30秒以上行われる。
生地処理の間に、また湿式仕上げ(精練、漂白53、または染色54を含めた)からヒートセット装置への運搬の間にかかる任意の追加の張力を最少にするように、かつまた経編生地が、最終のヒートセットのステップ55の間にそのような湿式仕上および運搬の張力から緩和させ回復させることを可能にするように注意するべきである。
湿式仕上工程のステップの後、経編生地は、任意選択の仕上塗布(例えば、パディングによる軟化剤)と、後続の生地長オーバーフィード条件下のヒートセット装置中でのヒートセットとのために仕上/乾燥のステップに引き渡される。例えば、SURE SOFT(登録商標)またはSANDOPERM SEI(登録商標)などの軟化剤が一般的である。
この最終のヒートセットのステップは、生地の編目が張力なしに自由に動き再配列するように、長さ(縦)方向の制御された高い生地オーバーフィードで動作する。最終のヒートセットの後、平坦な、皺や歪みのない生地が現れる。これらの技術は、当業者によく知られている。生地の最終ヒートセットの温度および滞留時間は、そのスパンデックス糸をプレヒートセットするのに必要とされた値未満の値に設定される。一実施形態において本発明の方法では、最終ヒートセット温度は、160℃〜170℃で約30秒以上である。
上記手順および添加剤は、繊維製品製造および経編生地の業界の熟練者によく知られている。
経編生地の特徴付け
本発明の方法によって製造されるロックニット柄の経編生地は、一般に約180g/m2以上の基本重量を有する。好ましくは本明細書中で使用される経編生地の基本重量は、約180g/m2〜約250g/m2、または約190g/m2〜約230g/m2の範囲にあるはずである。
一実施形態では本発明の経編生地は、約180g/m2以上、または約180g/m2〜約250g/m2、または約190g/m2〜約230g/m2の基本重量を有する。
経編生地は、経方向で約120%〜約185%、または約130%〜約175%の伸びと、緯方向で約80%〜約150%、または約105%〜約130%の伸びを有する。
この経編生地は、これらに限定されないが、水着、スポーツウェア、または下着を含めた衣類などの様々な耐久性のあるまたは反復使用の生地の用途に有用である。
本発明の経編生地はまた、洗濯および乾燥後に経および緯の両方向で約7%以下、一般には5%以下、例えば約4%未満の収縮を有する。
本発明の別の態様は、ナイロン/スパンデックスまたはPET/スパンデックスで作られた既知の伸縮性生地と比べて、より柔らかな手触りと、より高い耐久性と、塩素および紫外線による劣化に対する抵抗性の点でより良好な染色堅牢度とを有するロックニット柄の経編生地を提供することである。
本発明の実施形態は、下記の実施例中でさらに明確にされる。本明細書中の材料、方法、および実施例は単に例示に過ぎず、特別に指定される場合を除いては限定的であることを意図しない。本明細書中で述べるものと類似のまたは同等な方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を本明細書中で述べる。
省略形「E」は「実施例」を表し、「CE」は「比較例」を表し、その後にその経編生地がどの実施例中で調製されるのかを示す数が続く。百分率は、別段の指示がない限り、重量を基準にする。
材料
50d/24f FDY(完全延伸糸)のポリトリメチレンテレフタレート繊維は、DuPont Sorona(登録商標)ポリマー(IV 0.96、セミダル、0.3%のTiO2を含有する)から作製した。破断時の伸びは60%であり、引張強さは3.1cN/dtexであり、紡糸油は1.7%であり、沸騰水収縮は6.9%である。
40dのスパンデックスモノフィラメント糸をINVESTA,Wichita,KSから得た。破断時の伸びは550%であり、引張強さは1g/デニールであり、3.5%の紡糸油を塗布されている。
実施例1〜16および比較例1〜2
経編生地の一般的な製造方法
図1にPTT糸またはスパンデックス糸のビーム(1)を示す。ビームは、21インチ(53.3cm)のビーム幅(5)および21インチ(53.3cm)の直径(4)を有する2個のフランジ(2)を有し、編機のシャフト(6)が6個のビームを貫いて挿入されて、ビームセットをなす。
1ビーム当たり688エンドのPTT糸が存在する。巻返しは、SH1200巻返し機上で行った。巻返し張力は約3〜4gになるように設定し、巻返し速度は500m/分であった。
同様に、6個のビームのもう一方のビームセットについては1ビーム当たり684エンドのスパンデックス糸が存在する。この巻返しは、Karl Mayer弾性糸巻返し機上で行った。スパンデックス巻返し張力は1〜2gに維持され、巻返し速度は360m/分であった。
この生機生地を、幅130インチのKarl Mayer 32Eトリコット編機上で編成した。PTT糸は前筬から供給され、スパンデックス糸は後筬から供給された。
経編生地の編み柄は、図4Bに示すロックニット柄であった。PTT糸の編込長は1400mm/ラック〜1650mm/ラックであり、スパンデックス糸の編込長は500mm/ラック〜650mm/ラックであった。編機は、2000コース/分の速度で動作した。布密度は、18コース/cm〜30コース/cmである。
各布試料の編成パラメータを表1に列挙する。一般にこの生機生地は、長さ約100〜120mおよび幅140〜150cm(または55〜59インチ)で生産された。
経編生地仕上げの一般的な手順
経編布試料を図6に示すようにその工程ごとに精練、プレヒートセット、染色、および乾燥した。
(a)精錬/応力緩和
生地を、精練装置(Nantong Jingwei textile machinery co.,Ltd.製LMH988)中で、0.5〜1g/Lの水硫化物、1〜2g/Lの非イオン性洗剤、pHを8〜10に調整するための1〜2g/LのNaOHを、任意選択の1〜2g/Lの過酸化水素(漂白が必要な場合)とともに使用して精練し、不純物、油などを除去した。この処理は、無張力で90℃において30分間行い、水または酢酸を含有する水で60℃において10分間洗い落とした。
(b)プレヒートセット
次いで、この生地をMONFORTSテンターフレーム上で185℃において50〜60秒間プレヒートセットし、幅方向で20〜30%拡張し、また長さ方向で10〜15%伸長した。
(c)漂白および染色
プレセット後の生地を、プログラム化された染色温度プロフィールを有する染色機(Fong’製Fong’s ECO 06)中に置いた。染浴を50℃に加熱することから始め、この浴温を10分間保ち、次いで2℃/分で80℃まで上昇させ、さらに浴温を1℃/分で115℃まで上昇させ、次いでこの浴温を30分間保って染色の完了を確実にした。その後、染浴を2.5℃/分の速度で60℃まで冷却し、さらに浴を周囲温度まで自然に冷却させた。
染料溶液は、1〜2%の分散染料、0.5%の「Merpol」LFH(Guangzhou Diecheng Traing Co., Ltdから購入した低発泡非イオン界面活性剤)、0.5%の「Versene」100(Guangzhou Diecheng Traing Co., Ltdから購入した金属イオン封鎖剤)、および溶液をpH5に維持するための0.5%のCH3COOHを含有した。染料溶液対乾燥生地の重量の染浴比は10:1である。2種類の分散染料を使用して、それぞれ青色および白色の布試料を得た。青色についてはその染料をClariantからForon(登録商標)RD−Eの商品名で購入した。漂白色については漂白剤をClariantからPeractive(登録商標)TAEDの商品名で購入した。
生地を、室温で10分間オーバーフローで洗い流した。染色後、その生地を、2.0g/LのSP−3030(Guangzhou Zhuangjie Chemical Co., Ltd.から購入したソーピング剤)、2.0g/LのNaOH、および2.0g/Lの水硫化ナトリウムを含有する溶液で80℃において30分間洗ってよごれを除いた。次いで、60℃において10分間、その生地に2.0g/LのCH3COOHを有する溶液を含ませ、続いて水で室温において10分間洗い流した。
(d)乾燥およびヒートセット
水洗の後、次にその生地を、MONFORTSテンターフレーム上で165℃において30秒間乾燥(すなわち、最終ヒートセット)して、完成生地を約50〜60mの長さで得た。
比較のトリコット経編生地1(CE1)を、40デニールのスパンデックス糸および40デニールのナイロン6糸から作製した。これは、20重量%のスパンデックス糸および80重量%のナイロン糸を含有し、200g/m2の基本重量を有し、Charming(Guangdong,China)によって製造された。
漂白色CE1および青色CE1を得るために、それをCE1生地に最適化された条件下で漂白し、酸性染料(HuntsmanからDRIONYL(登録商標)の商品名で購入した)を使用して染色した。
比較のトリコット経編生地2(CE2)を、40デニールのスパンデックス糸および40デニールのポリエチレンテレフタレート(PET)糸から作製した。これは、20重量%のスパンデックス糸および80重量%のPET糸を含有し、200g/m2の基本重量を有し、Huiyi(Guangdong,China)によって製造された。
漂白色CE2を得るために、それを上記ステップ(c)で述べた条件下で漂白した。これは実施例10と同一である。
試験法
(A)手触り:1片につき60cm×60cmの布試料が当業界の熟練した5人によって評価された。触れる、親指とその他の指の間で曲げる、なでつけるなどによって各布試料の手触りを評価し、その官能テスト全体を3つのカテゴリー、
1.良好
2.より良好
3.最良
によりランク付けした。
結果を平均し、整数に切り上げ、次いで記録した。
(B)生地の伸び
伸びを経および緯の両方向で測定した。3枚の布試料を使用して結果の一致を確かめた。布試料は、試料の長さが生地の緯または経方向に合うように50mm×150mmのサイズに細長く切った。
この分析は、BS 4952法に従って、Merlinのデータ収集ソフトウェアシステムを備えたInstron Model 5565上で行った。このMerlinシステムおよび機器ハードウェアは、両方ともInstron Corporation(Braintree,Mass.)から購入された。
生地を、Instron装置のつかみ具中に試料長が100mmに設定された状態でクランプし、最高3.6Kgまでの力の下で、500mm/分の伸び速度で試験した。ゼロ伸長と指定した力の間で2度繰り返した。第二サイクルで生じた力と伸長の関係のグラフから、3.6Kg荷重時の伸びを記録した。
(C)60%ストレッチ時の弾性率:弾性率はグラムの単位で記録した。その値は、生地の伸び試験(B)における第二サイクルで生じた力と伸長の関係のグラフから、60%伸びのところで取られた。
(D)布重量:編布試料を直径10cmのダイにより打ち抜いた。切り取った各編布試料をグラムの単位で秤量した。次いで「生地重量」をg/m2として計算した。
(E)耐塩素性試験:布試料を、スイミングプール中の環境の塩素濃度を代表する5ppmの活性塩素を含有する浴槽中に室温で1時間浸漬した。曝露後、試料を脱イオン水で洗い流し、一晩放置して乾燥させてから目視評価を行った。
青色の布試料の場合は塩素処理は多少の退色を引き起こし、また白色の布試料の場合は塩素処理は黄色さを引き起こした。布試料の変色(染色堅牢度)を、AATCC 162の方法によるGray Scale for Color Changeに従って目視で格付けした。
(F)紫外線耐候性試験:布試料を比較標準と一緒に置き、AATCC 16Eの方法の随意選択項目3について指定される条件に従って紫外線に曝露した。布試料を、AATCC 16Eの方法によるGray Scale for Color Changeを使用して紫外線に10時間または20時間曝露した後の変色を目視で格付けした。
(G)収縮:布試料を、38cm×38cmの正方形に切断し、その試験試料の縁部を経方向または緯方向のどちらかと平行にした。これら布試料は、AATCC 135の方法中のサンプリングおよび準備の第6節の随意選択項目1に従って準備した。布試料を、標準サイクルを用いて41℃において洗濯機で洗い、AATCC 135の方法に従ってきめの細かい生地に対する条件を使用して回転式乾燥機で乾燥した。これら布試料を3回洗浄し乾燥させ、次いでその収縮を記録し、百分率を計算した。
下記の表1は、布試料の編成パラメータおよび手触りの結果を述べる。
表1
Figure 2015509151
表1中に列挙したように実施例1〜16の経編生地は、2.6倍〜4.0倍の範囲にある弾性糸の総ドラフトおよび18〜30コース/cmのコース密度を有する。各実施例の手触りを3つのカテゴリー、良好、より良好、または最良にランク付けした。手触りから判断されるように、表1の結果は、弾性糸の総ドラフトが3.0倍〜3.4倍の範囲にあり、かつ布密度が20〜25コース/cmの間にある場合、ロックニット柄の経編物は最良な手触りを与えることができることを示唆する。
一実施形態では、本発明のロックニット柄の経編物は、3.0倍〜3.4倍の弾性糸の総ドラフトおよび20〜25コース/cmのコース密度を有する。
下記の表2は、本発明のロックニット柄の経編物の他の主要な性能の結果を要約する。
表2
Figure 2015509151
表2中に列挙したように実施例1〜16の経編生地は、経および緯の両方向で4%未満の収縮を有し、これは一般的な工業上の要求条件、すなわち5%よりも良好である。また、実施例1〜16の経編生地は、経方向で129%〜179%の伸び、また緯方向で87%〜141%の伸びを有する。生地に快適な伸縮および圧縮を持たせるためには、経方向の伸びが、好ましくは少なくとも130%かそれ以上であり、かつ緯方向の伸びが、好ましくは少なくとも105%かそれ以上である。
おおざっぱに言って緯方向の60%伸び時の弾性率が、布試料の手触りと相関関係があることが分かるということは興味深い。例えば、E2、E4、E6、E12、E13、およびE15は、緯方向で400gを超える60%伸び時の弾性率を有し、E6を除いくすべてが良好(評点1)な手触りを有すると格付けされた。E7、E8、E9、E10、およびE11は、緯方向で200〜290gの間の60%伸び時の弾性率を有するが、すべてが最良(評点3)な手触りを有すると格付けされた。
表3
Figure 2015509151
表3は、実施例10ならびに比較の弾性生地CE1およびCE2の手触りと、塩素曝露および紫外線照射(UV radiation)染色堅牢度とに関するデータを要約する。
予想外の利点は、本明細書中で述べた方法によって製造される経編生地が、同じロックニット柄、同じ基本重量、および同じスパンデックス糸の重量%を有するナイロン/スパンデックスまたはPET/スパンデックスなどのCE1およびCE2の生地と比べてより良好な手触りを有することである。
また、予想外のことにこの経編生地は、塩素曝露後の、また10時間および20時間の紫外線照射後のかなり良好な染色堅牢度を有する。
本発明を、特定の実施形態に関連して述べてきたが、多くの代替案、修正形態、および変形形態が当業熟練者には明瞭なことは歴然としている。したがって本発明は、別添の特許請求の範囲のその精神および広い範囲に含まれるそのようなすべての代替案、修正形態、および変形形態を包含することを意図している。

Claims (8)

  1. 30〜75デニールの総繊度を有するポリトリメチレンテレフタレート(PTT)糸と、
    20〜70デニールの総繊度および100%を超える破断時伸びを有する弾性糸と
    を含むロックニット柄を有する経編生地であって、
    (a)70:30〜90:10の前記PTT糸対前記弾性糸の重量比、
    (b)15〜35コース/cmのコース密度、および180g/m2以上の基本重量、および
    (c)経方向において120%〜185%の伸び、および緯方向において80%〜150%の伸び
    を備える、ロックニット柄を有する経編生地。
  2. 20〜30コース/cmのコース密度および約180〜250g/m2の基本重量を有する、請求項1に記載のロックニット柄の経編生地。
  3. 前記弾性糸が、式(1)、
    TDe=BDe×[RIptt/RIe]×LK×SD (1)
    により計算される2.6倍〜4.0倍の総ドラフトを有し、
    式中、
    TDe:弾性糸の総ドラフト、
    BDe:弾性糸のビームドラフトであり、1.7倍、
    RIptt:PTT糸の編込長であり、約1400〜2000mm/ラックの範囲、
    RIe:弾性糸の編込長であり、約200〜1000mm/ラックの範囲、
    LK:ロックニット柄の編込比であり、1.33、および
    SD:弾性糸のスプールドラフトであり、1.0倍、
    である、請求項1に記載のロックニット柄の経編生地の製造方法。
  4. 前記弾性糸の前記総ドラフトが、2.8倍〜3.6倍である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記弾性糸の前記総ドラフトが、3.0倍〜3.4倍である、請求項3に記載の方法。
  6. RIptt/RIeの前記比が、2.0を超える、請求項3に記載の方法。
  7. RIptt/RIeの前記比が、2.2〜2.8である、請求項3に記載の方法。
  8. 衣類用への請求項1に記載のロックニット柄の前記経編生地の使用。
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