JP2015230916A - 半導体製造工程用テープの基材フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体製造工程用テープの基材フィルムの提供。【解決手段】A)特定の2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、及びB)特定の3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルム、並びに中層とその両側の外層とからなる、半導体製造工程用テープの基材フィルムであって、前記中層はA)特定の2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、及びB)特定の3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体製造工程用テープの基材フィルムに関し、より詳細には、とりわけ半導体ウエハなどを素子小片に切断分離(ダイシング)する際、該半導体ウエハを固定するために用いるテープの基材フィルムに関する。
シリコン、ガリウム、砒素などの半導体ウエハは大径の状態で製造された後、パターンが形成され、素子小片にダイシングされるが、この際、半導体ウエハを固定するために、主に、ウエハを固定する粘着剤層と基材フィルムから構成される半導体製造工程用テープが使用される。
ダイシングされた素子小片は、その後、ピックアップ工程を容易に行うために半導体製造工程用テープを縦横方向に均一に拡張(エキスパンド)して、素子小片の間隔を均一に広げる工程に付されることになるが、半導体製造工程用テープは、これらの工程において、高温にさらされる可能性がある。また、突き刺し強度が不足するとダイシング後にエキスパンドしてフィルムを下から突き上げて素子小片をピックアップする際に、フィルムが破れやすいという問題がある。
上記のこと等から、半導体製造工程用テープに用いる基材フィルムは、耐熱性を有すること、良好な柔軟性を有し且つ縦横方向に均一に拡張する性能(エキスパンド性)、及び高い突き刺し強度(良好な突き刺し特性)を有すること等が要求される。
また、ダイシング工程は、一般に、回転しながら移動する丸刃によってウエハの切断を行うものであるが、その際、半導体製造工程の省力化と半導体品質の向上を目的として、半導体ウエハを保持する半導体製造工程用テープの基材内部まで切り込みを行うフルカットと呼ばれる切断方式が、現在の主流となってきている。しかし、該切断方式は、テープの内部まで切り込みを行う結果として、該テープが溶融・延伸されて糸状となった切削屑が発生し、該屑が素子小片に付着して半導体素子の信頼性を低下させたり、ピックアップ工程の際に認識エラーを引き起こすという新たな問題も生じているため、ダイシング工程において切削屑が発生しないこと(ダイシング特性)も求められている。
そこで、従来より、多くのダイシングフィルムが提案されており、例えば、特許文献1には、フルカットダイジング方法においても切削屑の半導体ウエハ表面への残留を防止しうるウエハ固定用粘着テープとして、樹脂層B(基材フィルム)が主に、エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする、3元共重合体であるウエハ固定用粘着テープ並びに前記3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を樹脂層B(基材フィルム)の主成分とするウエハ固定用粘着テープが記載されている。
また、引用文献2には、レーザー光による捺印加工部における硬化樹脂表面のレーザーアッシュを剥離することなく、捺印加工の視認性悪化を生じることのない半導体デバイス加工用粘着テープの基材として、エチレン及びアクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を用いた半導体デバイス加工用粘着テープが記載されている。
さらに、引用文献3には、A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びにB)エチレン、(メ
タ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を含む半導体製造工程用テープの基材フィルムが記載されている。
特開平09−008111号公報(特許第3845129号) 特開2008−235716号公報 特開2012−89732号公報
しかし、特許文献1に記載された、エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を主成分とするウエハ固定用粘着テープの基材フィルムは、確かに、糸状屑のような切削屑が残留せず、良好なダイシング特性を有するものであったが、エキスパンド性、即ち、縦横方向に均一に拡張する性能が不十分であった。
また、前記3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を主成分とするウエハ固定用粘着テープの基材フィルムは、良好な柔軟性、例えば90度に曲げても割れない程度の柔軟性を有するものであったが、成形性が不十分で、基材フィルムの成形時にアイオノマー樹脂の吐出が安定しなかったり、タック性があるために成形してロール状に巻き取った際にフィルム同士が付着し解反性が損なわれる不具合が観察され、また、3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂は耐熱性がないため、半導体製造工程下の環境下で撓んでしまうおそれがあった。
また、2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂は柔軟性に乏しいことから、引用文献2に記載された半導体デバイス加工用粘着テープは柔軟性に欠け、突き刺し強度も不十分であった。
さらに、引用文献3に開示された基材フィルムは、特定の2元共重合のアイオノマー樹脂に、特定の構成成分から構成される3元共重合体を特定の割合で添加することにより、柔軟性が改善し、その結果として、ダイシング特性、エキスパンド性、柔軟性、耐熱性及び成形性の諸特性を満足させる性能を有するものである。しかし、引用文献3には、基材フィルムの突き刺し特性を発現させるための具体的な手段及び効果は示唆されていない。
したがって、これまでに種々のダイシングフィルムが開示されているものの、耐熱性、エキスパンド性、突き刺し特性及びダイシング特性の諸特性について全てを満足させる性能を有する半導体製造工程用テープの基材フィルムについては報告されていない。
そこで、本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、耐熱性、エキスパンド性、突き刺し特性及びダイシング特性の諸特性について全てを満足させる性能を有する半導体製造工程用テープの基材フィルムを提供することである。
本発明者等は、例えば、引用文献2(本発明とはその用途・目的において異なる)に記載されるような、エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂からなる基材フィルムが、柔軟性には乏しいものの、ダイシング特性、エキスパンド性、耐熱性及び成形性に優れることを見出した。
そして、本発明者は、前記2元共重合体のアイオノマー樹脂の優れた性能を維持したまま、柔軟性を付与し得る基材フィルムの構成につき鋭意検討した結果、前記2元共重合体
のアイオノマー樹脂と、特定の構成成分から構成される3元共重合体のアイオノマー樹脂とを特定の割合で配合することにより、柔軟性が改善するとともに突き刺し特性が発現し、結果として、該2成分を含む基材フィルムが、ダイシング特性、エキスパンド性、柔軟性、耐熱性及び突き刺し特性に優れる基材フィルムとなることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、本発明者らは、中層とその両側の外層とからなる積層フィルムにおいて、その中層として前記2元共重合体のアイオノマー樹脂と、特定の構成成分から構成される3元共重合体のアイオノマー樹脂とを特定の割合で配合したものを用い、また両外層としてエチレン系共重合体を含む樹脂層を用いると、耐熱性がさらに向上した基材フィルムとなることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びに
B)エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂
を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(2)前記成分A)及び成分B)に使用される金属イオンが亜鉛イオンである、前記(1)に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(3)照射線量10ないし300KGyで電子線が照射された、前記(1)又は(2)に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(4)中層とその両側の外層とからなる、半導体製造工程用テープの基材フィルムであって、
前記中層は
A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びに
B)エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂
を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(5)前記成分A)及び成分B)に使用される金属イオンが亜鉛イオンである、前記(4)に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(6)前記両外層はエチレン系共重合体を含む樹脂層である、前記(4)又は(5)に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(7)前記エチレン系共重合体がエチレン−メタクリル酸共重合体である、前記(6)に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(8)前記エチレン−メタクリル酸共重合体の酸含有量が12質量%以下である、前記(7)に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、
(9)前記外層:前記中層:前記外層の層厚の比率が1:4:1〜1:16:1である、前記(4)ないし(8)の何れか1つに記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム、(10)照射線量10ないし300KGyで電子線が照射された、前記(4)ないし(9)の何れか1つに記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム
に関するものである。
本発明の基材フィルムは、上記2元共重合体のアイオノマー樹脂と、特定の構成成分から構成される3元共重合体のアイオノマー樹脂とを特定の割合で配合することにより、ダイシング特性、エキスパンド性、柔軟性、耐熱性及び突き刺し特性に優れている。
また、本発明の基材フィルムは、上記2元共重合体のアイオノマー樹脂と、特定の構成成分から構成される3元共重合体のアイオノマー樹脂とを特定の割合で配合してなる中層とその両側の外層とからなる積層構造を採用することにより、単層構造の基材フィルムに比べて、耐熱性を向上させることができる。
そのため、本発明の基材フィルムは、半導体製造工程に使用する粘着テープの基材フィルムとして、有利に使用することができる。
また、特定の照射線量で電子線を照射することにより、耐熱性を向上させることもできる。
本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムは、
A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びに
B)エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂
を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルムである。
成分A)のアイオノマー樹脂に使用可能な金属イオンとしては、カリウムイオン(K+
)、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)、マグネシウムイオン(Mg++)、亜鉛イオン(Zn++)等が挙げられるが、この中で、亜鉛イオン(Zn++)は、架橋構造を安定化させ、それにより、ダイシング屑を出難くするという点で好ましい。尚、2元共重合体のカルボキシル基における陽イオンによる中和度は、好ましくは40〜75mol%である。
成分A)の2元共重合体における、好ましいエチレン成分の含有量は、2元共重合体の質量に基づき、60〜98質量%の範囲である。
また、成分A)のアイオノマー樹脂の粘度(MFR)は、測定法としてJIS K 7210を用いた場合、5.5kg/10分以下であるのが好ましく、例えば、0.5ないし5.5kg/10分の範囲であるのが好ましい。
また、成分A)における2元共重合体の酸含有量は、測定方法としてFT−IR法を用いた場合に、3ないし12質量%となる量が好ましい。
成分B)のアイオノマー樹脂に使用可能な金属イオンとしては、カリウムイオン(K+
)、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)、マグネシウムイオン(Mg++)、亜鉛イオン(Zn++)等が挙げられるが、この中で、亜鉛イオン(Zn++)は、架橋構造を安定化させ、それにより、ダイシング屑を出難くするという点で好ましい。尚、3元共重合体のカルボキシル基における陽イオンによる中和度は、好ましくは40〜75mol%である。
成分B)の3元共重合体における、好ましいエチレン成分の含有量は、3元共重合体の質量に基づき、60〜98質量%の範囲であり、好ましい(メタ)アクリル酸成分の含有量は、3元共重合体の質量に基づき、1〜20質量%の範囲であり、好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の含有量は、3元共重合体の質量に基づき、1〜20質量%の範囲である。
また、成分B)の3元共重合体の粘度(MFR)は、測定法としてJIS K 7210を用いた場合、例えば、5kg/10分ないし15kg/10分の範囲が挙げられ、8ないし12kg/10分の範囲であるのが好ましい。
さらに、成分B)の3元共重合体の酸含有量は、測定方法としてFT−IR法を用いた場合に、3ないし14質量%となる量が好ましい。
成分B)の3元共重合体に使用し得る(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、
炭素原子数が3以上8以下であるアルキルエステルが好ましく用いられ、具体的には、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸1,2−ジメチルブチル等が挙げられる。
前記成分A)と成分B)との質量比は50:50ないし5:95である。
成分B)の質量比が、50未満であると、成形された基材フィルムのエキスパンド性が乏しいものとなり、一方、95を超えると耐熱性と成形された基材フィルムの硬さが劣るため好ましくない。
また、本発明の基材フィルムは、上記成分A)と上記成分B)とを特定の割合で配合してなる中層とその両側の外層とからなる積層構造を採用することもできる。
すなわち、本発明の半導体製造工程用テープの基材フィルムはまた、
中層とその両側の外層とからなる、半導体製造工程用テープの基材フィルムであって、
前記中層は
A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びに
B)エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂
を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルムである。
本発明における、中層とその両側の外層とからなる、半導体製造工程用テープの基材フィルムにおいて、上記成分A)及びB)は段落[0020]乃至[0023]に記載した事項と同様である。
本発明の基材フィルムにおいて、中層の両側の外層に使用し得るエチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられ、その中でもエチレン−メタクリル酸共重合体が好ましい。また、エチレン系共重合体は単独でも二種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、エチレン−メタクリル酸共重合体の酸含有量は、測定方法としてFT−IR法を用いた場合に、12質量%以下であることが好ましい。エチレン−メタクリル酸共重合体の酸含有量が12質量%を超えると、基材フィルムの耐熱性が十分に向上しない可能性がある。
本発明の基材フィルムが、中層とその両側の外層とからなる三層の積層構造で構成される場合、外層:中層:外層の層厚の比率は1:4:1〜1:16:1であり、好ましくは1:8:1〜1:16:1である。あまりに外層が薄いと耐熱性が向上しない可能性があり、一方、外層が厚いと柔軟性を失う可能性があるからである。
また、本発明の基材フィルムは、帯電防止機能を付与するために、更に、ポリエーテル系高分子型帯電防止剤を添加することができる。
ポリエーテル系高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体などであり、例えば、日本ゼオン(株)のゼオスパンや、三洋化成(株)のペレスタットなどが挙げられる。
ポリエーテル系高分子型帯電防止剤を使用する場合の配合量は、使用するポリエーテル系高分子型帯電防止剤の種類により異なるが、成分A)及び成分B)の総量に基づき、1ないし20質量%となる量とするのがよい。
ポリエーテル系高分子型帯電防止剤の配合量が1質量%未満であると所望の帯電防止効果を確保することができず、また20質量%を超えて添加しても、それ以上の帯電防止効果が得られず、かえってコスト高となる。
基材フィルムの成形は、フィルム形成に用いる慣用の方法を採用することができ、例えば、成分A)、B)及び必要により他の成分を加え、押出機を使用して押出加工することにより、基材フィルムを製造することができる。また、基材フィルムが中層とその両側の外層とからなる場合、その成形は、中層と両外層とを、カレンダー法、押出法、インフレーション法等の手段によって別々に成形し、それらを熱ラミネートもしくは適宜接着剤による接着等の手段で積層する等によっても製造することができる。
製造する基材フィルムの厚さとしては、通常30〜300μmの範囲を採用することができ、好ましくは50〜200μmの範囲である。
また、本発明の基材フィルムは、粘着剤層が形成される面とは反対側の面の平均表面粗さ(Ra)が0.5ないし2μmとなるように基材フィルムを形成するのが好ましい。
上記のような平均表面粗さを有することにより、ダイシング後のエキスパンド工程における基材フィルムの拡張を容易にすることができる。
本発明の基材フィルムはまた、上記で成形したフィルムに電子線を照射することにより、更に耐熱性を向上させることもできる。
電子線の照射条件としては、加速電圧150〜300mV、電子流450〜500mAにおいて、照射線量10ないし300KGyとするのが好ましい。
照射量が10KGy未満であると、照射効果が得られず、照射量が300KGyを超えると、基材フィルムの柔軟性が低下すると共に、基材フィルム自体が劣化してしまい好ましくない。
尚、半導体製造工程用テープは、本発明の基材フィルムの上面に粘着剤層を形成することにより製造することができる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、従来公知の粘着剤の中から適宜選択して用いることができる。例えば天然ゴムや合成ゴム等を用いたゴム系粘着剤、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他のモノマーとの共重合体等を用いたアクリル系粘着剤、その他ポリウレタン系粘着剤やポリエステル系粘着剤やポリカーボネート系粘着剤などの適宜な粘着剤を用いることができ、紫外線等のエネルギー線で硬化処理するようにしたものなどであってもよい。
粘着剤層の形成は、既知の形成方法、例えば、粘着剤を塗布又は印刷することにより達成することができる。
粘着剤層の厚さは8〜35μmとすることが好ましく、より好ましくは10〜25μm程度である。
上記のようにして製造された半導体製造工程用テープの基材フィルムは、半導体製造工程用テープに使用した際、優れたダイシング特性、エキスパンド性、柔軟性、耐熱性及び突き刺し特性を奏するものであり、また、汎用の樹脂を使用し、容易に製造できるものであるため、経済性にも優れている。
以上のことから、本発明の基材フィルムは、半導体製造工程に使用する粘着テープの基材フィルムとしての使用において非常に有利なものといえる。
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
<実施例1〜6及び比較例1〜6>
下記の表1に示した配合からなる、外層としてエチレン−メタクリル酸メチル共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体、中層としてアイオノマー1、アイオノマー2及びエチレン系3元共重合体を用い、押出機を使用して、厚み100μmの半導体製造工程用テープの基材フィルムを得た。なお、実施例1、比較例1及び2については、外層を設けない単層の基材フィルムを得た。
各半導体製造工程用テープの基材フィルムについて、耐熱性、エキスパンド性、突き刺し特性及びダイシング特性を評価した。その結果を表1に示す。
なお、各特性は次のように試験し、評価した。
[耐熱性]
幅15mm×標線10mm×5g荷重で、120℃のオーブンに15分間吊るした後、サンプルの状態を観察し、以下の基準で評価した。
○:サンプルの伸びが2倍以下。
△:サンプルは伸びたが、錘は落下しなかった。
×:サンプルは伸びきって、錘が落下した。
[エキスパンド性]
25%延伸時における縦と横との荷重を測定し、以下の基準で評価した。
○:縦と横との荷重比(TD/MD)が80%以上。
×:縦と横との荷重比(TD/MD)が80%未満。
[突き刺し特性]
内径36mmの紙管上部にフィルムをかぶせて固定し、上方より外径31mmのピストンを40mm/分の速度で15mm下降させた時点の圧縮荷重を測定し、以下の基準で評価した。
○:15kgf以上。
△:10以上15kgf未満。
×:10%kgf未満。
[ダイシング特性]
ダイシングブレードを使用し、回転数45000rpm、カットスピード100m/秒でサンプルを裁断したときの切削屑の有無を観察し、以下の基準で評価した。
○:切削屑なし。
×:切削屑あり。
Figure 2015230916
表1の結果より、本発明の基材フィルムは、耐熱性、エキスパンド性、突き刺し特性及びダイシング特性の諸特性について全てを満足させる良好な結果を示した(実施例1〜6)。特に、本発明の基材フィルムは、三層の積層構造とすることにより、単層構造に比べて耐熱性が向上した(実施例1と実施例2〜6)
これに対し、比較例1〜6の基材フィルムは、耐熱性、エキスパンド性、突き刺し特性及びダイシング特性の諸特性について全てを満足させるものではなかった。
詳細には、アイオノマー1のみからなるフィルム(比較例1)や、中層がアイオノマー1のみからなるフィルム(比較例4)は、エキスパンド性が不十分であった。また、アイオノマー1とアイオノマー2との質量比が50:50〜5:95の範囲を超えるフィルムも、エキスパンド性が不十分であった(比較例3)。
アイオノマー2のみからなるフィルム(比較例2)や中層がアイオノマー2からなるフィルム(比較例5)は、耐熱性と突き刺し特性が不十分であった。
アイオノマー2の代わりにエチレン系3元共重合体を用いたフィルムは、エキスパンド性と突き刺し特性が不十分であった(比較例6)。

Claims (10)

  1. A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びに
    B)エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂
    を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  2. 前記成分A)及び成分B)に使用される金属イオンが亜鉛イオンである、請求項1に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  3. 照射線量10ないし300KGyで電子線が照射された、請求項1又は2に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  4. 中層とその両側の外層とからなる、半導体製造工程用テープの基材フィルムであって、
    前記中層は
    A)エチレン及び(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、並びに
    B)エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂
    を含み、そして前記成分A)と成分B)との質量比が50:50ないし5:95である、半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  5. 前記成分A)及び成分B)に使用される金属イオンが亜鉛イオンである、請求項4に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  6. 前記両外層はエチレン系共重合体を含む樹脂層である、請求項4又は5に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  7. 前記エチレン系共重合体がエチレン−メタクリル酸共重合体である、請求項6に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  8. 前記エチレン−メタクリル酸共重合体の酸含有量が12質量%以下である、請求項7に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  9. 前記外層:前記中層:前記外層の層厚の比率が1:4:1〜1:16:1である、請求項4ないし8の何れか1項に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
  10. 照射線量10ないし300KGyで電子線が照射された、請求項4ないし9の何れか1項に記載の半導体製造工程用テープの基材フィルム。
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