JP2015159189A - 太陽電池樹脂封止シート - Google Patents

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Abstract

【課題】PID耐久性及び透明性に優れ、なおかつ太陽電池部材の隙間埋め性(接着性)に優れる太陽電池樹脂封止シートを提供することを課題とする。【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、前記層(a)が、表面層として配され、前記層(b)の厚みが、5μm以上100μm以下である、太陽電池樹脂封止シート。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池樹脂封止シートに関する。
近年、世界的な温暖化現象により環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。例えば、太陽電池発電システムや風力発電システム等の環境に優しい再生可能なエネルギーシステムは、炭酸ガス等の温暖化ガスを排出しないため、クリーンなエネルギーシステムとして研究開発が盛んに行われている。なかでも安全性や扱いやすさの観点から、太陽電池発電システムが家庭用エネルギー源だけでなく、産業用エネルギー源となるシステムとして注目を浴びている。
資源に乏しい日本では、各家庭において、屋根に太陽電池発電システムを設置して電気を発電し、得られた電力を家庭用電力として消費したり、余剰の電力を売電したりすることが、近年、盛んになってきている。ドイツを中心としたヨーロッパでは、家庭用電力として使用するのみならず、広大な敷地に太陽電池を配して大規模発電をし、産業用電力としても使用されている。このような太陽電池は、投資の対象としても注目されている。
この様に注目されている太陽電池には、いろいろな発電方式がある。代表的な発電方法としては、単結晶シリコンセルもしくは多結晶シリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたもの、アモルファスシリコンを用いたもの、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が挙げられる。いずれの発電方法を用いても、かなりの長期間、屋外で風雨に曝されるため、発電部分を長期にわたって保護する目的で、ガラス板やバックシート等で貼り合せ、モジュール化している(太陽電池モジュール)。こうすることによって、外部より水分の流入を防止し、発電部分の保護、漏電防止等の対策を施している。このような太陽電池モジュールでは、長期間、発電部分を保護するとともに、発電面には発電に必要な光を透過することが要求される。そのため、発電面としては、透明ガラスや透明樹脂を使用し、非発電面としては、バックシートといわれるアルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリカ等のバリアーコート加工の積層シートを使用する。なお、モジュール化とは、発電部分を樹脂封止シートで挟んだ後、ガラスやバックシートでさらに外部を被覆して樹脂封止シートを高温にすることで樹脂封止シートを溶融し、全てを一体化封止(モジュール化)することである。
通常、樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも記す。)に、紫外線劣化対策のため耐光剤や紫外線吸収剤を、ガラスとの接着性向上のためカップリング剤を、架橋のため有機過酸化物等の添加剤を種々配合したものを、カレンダー成形やTダイキャストにより製膜して製造される。単結晶シリコンセルや多結晶シリコンセルを用いた太陽電池モジュールの製造では、通常、ガラス/樹脂封止シート/結晶系シリコンセル等の発電部分/樹脂封止シート/バックシートの順で重ね合わせ、ガラス面を下になるよう配置し、専用の太陽電池真空ラミネーターを用いて、樹脂の溶融温度以上(EVAの場合は、通常、150℃の温度条件)で予熱工程とプレス工程とを行う。このようにして、溶融させた樹脂封止シートと各部材を貼り合わせることで、太陽電池モジュールを製造することができる。この際、最初の予熱工程で樹脂封止シートの樹脂が溶融し、プレス工程で溶融した樹脂に接着する部材が接触して真空ラミネートされるのである。
特許文献1には、密度が0.870〜0.890g/cm3の範囲であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンを組成物中に20質量%以上40質量%以下含有し、α−オレフィンとエチレン変性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を含有し、該シラン共重合体の重合シラン量が2000ppm以上15000ppm以下である組成物から構成される層を備える単層又は多層の封止材シートを使用し、封止材シートと透明前面基板の外周との界面への水分の浸入を抑える技術が開示されている。
特許文献2には、電子線照射を施したエチレン共重合体からなる太陽電池素子封止材料が開示されている。エチレン共重合体の代表としてEVAやエチレン/不飽和カルボン酸エステル共重合体及びエチレン/不飽和カルボン酸共重合体から選ばれた樹脂を用いて、架橋ゲル化率65%以上の高い架橋度とし、接着性を向上させる太陽電池素子封止材料が開示されている。
特開2012−209335号公報 特開2001−119047号公報
近年の太陽光発電の普及に伴い、メガソーラなど発電システムの大規模化が進んでおり、伝送損失を下げるなどの目的で、システム電圧の高電圧化の動きがある。システム電圧が上昇することにより、太陽電池モジュールにおいては、フレームとセルの間の電位差が大きくなることとなる。すなわち、太陽電池モジュールのフレームは一般に接地されており、太陽電池アレイのシステム電圧が600V〜1000Vとなると、最も電圧が高くなるモジュールにおいては、フレームとセル間の電位差がそのままシステム電圧の600V〜1000Vとなり、高電圧が印加された状態で日中の発電を維持することとなる。また、ガラスは封止材に比較して電気抵抗が低く、フレームを介してガラスとセル間にも高電圧が発生することとなる。すなわち、日中発電している状況下において、直列接続されたモジュールはセルとモジュール間及びセルとガラス面との電位差が接地側から順次電位差が大きくなり、最も大きいところではほぼシステム電圧の高電圧の電位差が維持されることとなる。このような状態で用いられた太陽電池モジュールの中には、出力が大きく低下し、特性劣化が起こるPID(Potential Induced Degradationの略)現象が発生した例も報告されている。
しかし、PID現象の反応メカニズムは未だ明らかになっておらず、PID耐性が向上した場合には、ガラスや太陽電池セル等の太陽電池部材の隙間埋め性が悪化したり、透明性に劣る場合があった。例えば、特許文献1に記載の技術については、PID耐性には優れるが、透明性に劣る。また、特許文献2に記載の技術については、PID耐性に改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、PID耐久性及び透明性に優れ、なおかつ太陽電池部材の隙間埋め性(接着性)に優れる太陽電池樹脂封止シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の樹脂を用いた多層構造とし、かつ、所定の厚みを特定した太陽電池樹脂封止シートとすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、
前記層(a)が、表面層として配され、
前記層(b)の厚みが、5μm以上100μm以下である、
太陽電池樹脂封止シート。
〔2〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、
前記層(b)が、少なくとも一方の表面層として配され、
前記層(b)の厚みが、5μm以上40μm以下である、
太陽電池樹脂封止シート。
〔3〕
前記樹脂(B)が、ポリオレフィン系樹脂を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の太陽電池樹脂封止シート。
〔4〕
前記樹脂(B)の密度が、865kg/m3以上920kg/m3以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の太陽電池樹脂封止シート。
本発明によれば、PID耐久性及び透明性に優れ、なおかつ太陽電池部材との隙間埋め性(接着性)に優れる太陽電池樹脂封止シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔第1の実施形態の太陽電池樹脂封止シート〕
第1の実施形態の太陽電池樹脂封止シート(以下、単に「樹脂封止シート」ともいう。)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、前記層(a)が、表面層として配され、前記層(b)の厚みが、5μm以上100μm以下である。
〔層(a)〕
層(a)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)、必要に応じて有機過酸化物、架橋助剤、及び後述する各種添加剤を含む。
(樹脂(A))
以下、樹脂(A)に含まれる各樹脂について説明する。エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の酢酸ビニル含有量は、好ましくは20wt%以上40wt%以下であり、より好ましくは23wt%以上37wt%以下であり、好ましくは25wt%以上35wt%以下である。酢酸ビニル含有量が20wt%以上であることにより、太陽電池樹脂封止シートの透明性及び柔軟性がより向上する傾向にある。また、柔軟性が向上するため、封止時において太陽電池セルの破損も抑制することができる。また、酢酸ビニル含有量が40wt%以下であることにより、太陽電池樹脂封止シートのPID耐性がより向上する傾向にある。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体に含まれる脂肪族不飽和カルボン酸の含有量は、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体全体に対して、好ましくは3〜35質量%であり、より好ましくは10〜33質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。脂肪族不飽和カルボン酸の含有量が上記範囲内であることにより、太陽電池樹脂封止シートの透明性、接着性、及び柔軟性がより向上する傾向にある。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA」とも記す。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」とも記す。)等が挙げられる。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン及び脂肪族不飽和カルボン酸以外のその他の成分を含む3成分以上の多元共重合体であってもよい。3成分以上の多元共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレンと、脂肪族不飽和カルボン酸と、脂肪族不飽和カルボン酸エステルとを含む、3元以上の共重合体等が挙げられる。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体に含まれる脂肪族不飽和カルボン酸エステルの含有量は、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体全体に対して、好ましくは3〜35質量%であり、より好ましくは10〜33質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。脂肪族不飽和カルボン酸エステルの含有量が上記範囲内であることにより、太陽電池樹脂封止シートの光学特性、接着性、及び柔軟性がより向上する傾向にある。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを構成する、アルコール成分としては、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールが挙げられる。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレン及び脂肪族不飽和カルボン酸エステル以外のその他の成分を含む3成分以上の多元共重合体であってもよい。3成分以上の多元共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレンと、脂肪族不飽和カルボン酸と、脂肪族不飽和カルボン酸エステルとを含む、3元以上の共重合体等が挙げられる。
上述した中でも樹脂(A)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含むことが好ましい。樹脂(A)がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含むことにより、太陽電池樹脂封止シートの透明性、接着性、及びPID耐性がより向上する傾向にある。
また、樹脂(A)に含まれる共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体等であってもよい。このなかでも、樹脂(A)は、高圧法を用いて得られるランダム共重合体が好ましい。このような樹脂(A)を用いることにより、太陽電池樹脂封止シートの光学特性がより向上する傾向にある。
樹脂(A)のメルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)は、好ましくは0.3〜40g/10分であり、より好ましくは0.5〜35g/10分であり、さらに好ましくは0.8〜30g/10分である。樹脂(A)のメルトフローレートが上記範囲内であることにより、太陽電池樹脂封止シートの加工性がより向上する傾向にある。MFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、「樹脂(A)のメルトフローレート」とは、樹脂(A)が2以上の樹脂を含む場合にはその混合物のメルトフローレートをいう。
樹脂(A)を用いて成形された150μm厚みの樹脂シートにおいて、JIS K4125に準拠した、40℃、90%湿度における水蒸気透過速度は、好ましくは10〜40g/m2/dayであり、より好ましくは13〜35g/m2/dayであり、さらに好ましくは15〜30g/m2/dayである。なお、水蒸気の透過速度は実施例に記載の方法により測定できる。なお、「樹脂(A)の水蒸気透過速度」とは、樹脂(A)が2以上の樹脂を含む場合にはその混合物の水蒸気透過速度をいう。
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の重合方法としては、特に限定されないが、例えば、高圧法、溶融法等の公知の方法が挙げられる。また、重合の際に使用する触媒としては、特に限定されないが、例えば、マルチサイト触媒、シングルサイト触媒を用いることができる。また、樹脂(A)の重合方法としては、ランダム共重合であっても、ブロック共重合等であってもよい。
〔層(b)〕
層(b)は、バリア性を有する樹脂(B)、必要に応じて有機過酸化物、架橋助剤、及び後述する各種添加剤を含む。
(樹脂(B))
樹脂(B)はバリア性を有する樹脂である。ここで「バリア性を有する樹脂」とは、その樹脂を用いて成形された150μm厚みの樹脂シートにおいて、JIS K4125に準拠した、40℃、90%湿度における水蒸気の透過速度が、好ましくは10g/m2/day以下であり、より好ましくは5g/m2/day以下であり、さらに好ましくは3g/m2/day以下であり、よりさらに好ましくは2g/m2/day以下である樹脂をいう。なお、水蒸気の透過速度は実施例に記載の方法により測定できる。なお、「樹脂(B)の水蒸気の透過速度」とは、樹脂(B)が2以上の樹脂を含む場合にはその混合物の水蒸気の透過速度をいう。
樹脂(B)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(樹脂(A)とは異なる樹脂であり、酢酸ビニル含有量は好ましくは20wt%未満である)、アイオノマー、ポリスチレン、水素添加ブロック共重合体等が挙げられる。このなかでも、特にポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂を含むことにより、PID耐性がより向上する傾向にある。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン(ただし、エチレンは除く)共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(ただし、プロピレンは除く)共重合体、ポリブテン、ブテン−α−オレフィン(ただし、ブテンは除く)共重合体等が挙げられる。このなかでも、エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体とは、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、の共重合により得られる共重合体をいう。炭素原子数3〜20のα−オレフィンの含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合全体に対して、好ましくは2〜40質量%であり、好ましくは5〜35質量%であり、好ましくは7〜30質量%である。炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、特に限定されないが、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよく、このなかでも、シングルサイト系触媒により重合されたものが好ましい。さらに、エチレン−α−オレフィン共重合体として、結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御した共重合体を使用することもできる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、好ましくは0.860〜0.950g/cm3であり、より好ましくは0.863〜0.930g/cm3であり、さらに好ましくは0.863〜0.910g/cm3である。0.950g/cm3以下であることにより、クッション性及び透明性がより向上する傾向にある。なお、密度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
ポリエチレン(エチレン単独重合体)としては、特に限定されないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE);中密度ポリエチレン;高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(通常、VLDPE、ULDPEと呼ばれているもの)等の低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。これらの中でも、いわゆる高圧法で重合されることにより得られる低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン(エチレン単独重合体)の密度は、好ましくは0.910〜0.950g/cm3であり、より好ましくは0.913〜0.940g/cm3であり、さらに好ましくは0.915〜0.930g/cm3である。エチレン単独重合体の密度が上記範囲内であることにより、透明性及びクッション性がより向上する傾向にある。ここでいう密度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
なお、高密度の樹脂と併用する際における、低密度ポリエチレンの含有量は、樹脂(B)の総量に対して、好ましくは30〜95質量%であり、より好ましくは40〜90質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。低密度ポリエチレンの含有量が上記範囲内であることにより、高密度の樹脂を混合して使用したとしても透明性がより向上する傾向にある。
プロピレン−α−オレフィン(ただし、プロピレンは除く)共重合体としては、特に限定されないが、例えば、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体が挙げられる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにプロピレン−α−オレフィン共重合体としては、結晶/非晶構造(モルフォロジー)をナノオーダーで制御した共重合体を使用することもできる。
樹脂(B)がプロピレン−エチレン共重合体及び/又はプロピレン−α−オレフィン(ただし、プロピレンは除く)共重合体を含む場合において、プロピレン−エチレン共重合体及び/又はプロピレン−α−オレフィン(ただし、プロピレンは除く)共重合体中における、エチレン及びα−オレフィンの総含有量は、好ましくは6〜30質量%であり、より好ましくは8〜27質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%である。
ブテン−α−オレフィン(ただし、ブテンは除く)共重合体としては、特に限定されないが、例えば、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン共重合体が挙げられる。
ブテン−α−オレフィン共重合体は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ブテン−α−オレフィン共重合体としては、結晶/非晶構造(モルフォロジー)をナノオーダーで制御した共重合体を使用することもできる。
水素添加ブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えば、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体を水素添加したものが好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。このなかでも、特にスチレンが好ましい。ビニル芳香族炭化水素は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共役ジエンとは、少なくとも1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。共役ジエンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂(B)の密度は、好ましくは865kg/m3以上920kg/m3以下であり、より好ましくは867〜910g/cm3であり、さらに好ましくは870〜900g/cm3である。樹脂(B)の密度が上記範囲内であることにより、透明性及びクッション性がより向上する傾向にある。ここでいう密度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。なお、「樹脂(B)の密度」とは、樹脂(B)が2以上の樹脂を含む場合にはその混合物の密度をいう。
樹脂(B)のメルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)は、好ましくは0.5〜30g/10分であり、より好ましくは0.8〜30g/10分であり、さらに好ましくは1.0〜25g/10分である。樹脂(B)のメルトフローレートが上記範囲内であることにより、樹脂封止シートの加工性がより向上する傾向にある。MFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔層構成〕
第1の実施形態の太陽電池樹脂封止シートは、層(a)と層(b)とを有し、層(a)が、表面層として配される。このような層構成としては、層(a)/層(b)/層(a)の3層構造、層(a)/層(b)/層(a)/層(b)/層(a)、層(a)/層(b−1)/層(b−2)/層(b−1)/層(a)、層(a−1)/層(a−2)/層(b)/層(a−2)/層(a−1)の5層構造などが挙げられる。層(a)が表面層として配されることにより、太陽電池部材の隙間埋め性(接着性)がより向上する。なお、層(a)、層(a−1)、及び層(a−2)は、樹脂(A)を含む層を示し、層(b)、層(b−1)、および層(b−2)は、樹脂(B)を含む層を示す。
なお、「表面層」とは、太陽電池樹脂封止シートが太陽電池モジュールの部材として使用される際、太陽電池モジュールの受光側に用いられる場合には、表面保護材(一般的にはガラスが使用されている)及び太陽電池セルの受光面側と接触し接着する面であり、太陽電池モジュールの裏面側に用いられる場合には、裏面保護材(一般的にはバックシートと称されている)及び太陽電池セルの裏面側と接触し接着する面のことである。
第1の実施形態の太陽電池樹脂封止シートにおける層(b)の厚みは、5μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上70μm以下であり、より好ましくは20μm以上40μm以下である。層(b)の厚みが5μm以上あることにより、PID耐性がより向上する。層(b)の厚みが100μm以下であることにより、層(b)は、比較的屈折率が高い層(a)に挟まれているため、層(a)と層(b)の界面における光の散乱が抑制され、これにより透明性がより向上する。
〔第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シート〕
第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、前記層(b)が、少なくとも一方の表面層として配され、前記層(b)の厚みが、5μm以上40μm以下である。
層(a)及び層(b)としては、第1の実施形態で述べた構成と同様とすることができる。
〔層構成〕
第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートは、層(a)と層(b)とを有し、層(b)が、少なくとも一方の表面層として配される。このような層構成としては、層(b)/層(a)の2層構造、層(b)/層(a)/層(b)、層(b)/層(a−1)/層(a−2)の3層構造、などが挙げられる。層(b)が少なくとも一方の表面層として配されることにより、PID耐久性がより向上する。なお、層(a)、層(a−1)、および層(a−2)は、樹脂(A)を含む層を示し、層(b)、層(b−1)、および層(b−2)は、樹脂(B)を含む層を示す。
第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートにおける層(b)の厚みは、5μm以上40μm以下であり、好ましくは10μm以上40μm以下であり、より好ましくは15μm以上40μm以下である。層(b)の厚みが5μm以上あることにより、PID耐性がより向上する。また、層(b)の厚みが40μm以下であることにより、太陽電池樹脂封止シートの透明性がより向上する。
〔架橋〕
第1及び第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートの使用方法としては、特に限定されないが、例えば、層(a)及び/又は層(b)(樹脂(A)及び樹脂(B))を軟化させて、被封止物に密着させて、被封止物を封止する方法が挙げられる。被封止物に密着させる前、及び、被封止物に密着させた後の少なくともいずれかにおいて、第1及び第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートの層(a)及び/又は層(b)に含まれる樹脂(A)及び/又は樹脂(B)が、架橋状態であることが好ましい。樹脂(A)及び/又は樹脂(B)が架橋状態であることにより、耐クリープ性がより向上する傾向にある。
樹脂(A)及び/又は樹脂(B)の架橋方法としては、特に限定されないが、例えば、層(a)及び/又は層(b)に有機過酸化物を配合し、加熱して有機過酸化物を分解させることにより発生したラジカル種によって架橋させる方法;層(a)及び/又は層(b)にα線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射し、層(a)及び/又は層(b)を構成する樹脂(A)及び/又は樹脂(B)を架橋させる方法等の公知の方法が挙げられる。このなかでも、有機過酸化物を用いる方法、及び電子線を照射する方法が好ましい。
有機過酸化物を用いる方法においては、層(a)及び層(b)に有機過酸化物を配合することが好ましい。有機過酸化物の含有量は、層(a)又は層(b)100質量部に対して、好ましくは0.1〜2.0質量部であり、より好ましくは0.3〜1.0質量部である。有機過酸化物をこのように比較的少ない量で使用することにより、有機過酸化物の分解に起因する低分子量化合物の生成が抑えられ、発泡及び剥離を抑制できる傾向にある。
有機過酸化物は、樹脂混合物の融点、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。有機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシド、tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサン、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
このなかでも、有機過酸化物としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。このような有機過酸化物を用いることにより、発泡が効果的に抑制された太陽電池用封止膜を形成できる太陽電池樹脂封止シートが得られる傾向にある。有機過酸化物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物の10時間半減期温度は、好ましくは90〜120℃である。
また、有機過酸化物を用いる方法においては、層(a)及び層(b)は、架橋助剤を含んでいることが好ましい。架橋助剤を含むことにより、架橋密度を向上させ、太陽電池樹脂封止シートの接着性、耐熱性及び耐久性がより向上する傾向にある。架橋助剤は、層(a)及び層(b)100質量部に対して、好ましくは0.1〜3.0質量部であり、より好ましくは0.1〜2.5質量部である。架橋助剤の含有量が上記範囲内であることにより、架橋助剤の添加によるガスの発生を抑制でき、かつ、架橋密度をより向上できる傾向にある。
架橋助剤としては、特に限定されないが、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等の官能基としてラジカル重合性基を有する化合物が挙げられる。このなかでも、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
〔添加剤〕
層(a)及び/又は層(b)は、必要に応じて、カップリング剤、防曇剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋助剤、架橋調整剤等といったその他の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の添加方法としては、特に限定されないが、例えば、添加剤を含む溶液として溶融状態の樹脂(A)及び/又は樹脂(B)に添加する方法;層(a)及び/又は層(b)に直接添加する方法;製膜後に太陽電池樹脂封止シートの表面層に塗布する方法等、添加剤の効果が発揮できるような方法であれば、いずれの公知の方法でも用いることができる。
本実施形態の樹脂封止シートには、安定した接着性を確保する目的で、カップリング剤を添加してもよい。カップリング剤の含有量は、所望する接着性の程度や被接着物の材質等にもよるが、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.03〜4質量%であり、さらに好ましくは0.05〜3質量%である。カップリング剤は被封止物と接触する太陽電池樹脂封止シートの表面層に含まれることが好ましい。
カップリング剤の添加方法としては、特に限定されないが、例えば、押出機内で(A)及び/又は樹脂(B)に混合する方法;押出機ホッパー内で(A)及び/又は樹脂(B)に混合する方法;事前にマスターバッチ化して混合して方法等、カップリング剤の効果が発揮できるような方法であれば、いずれの公知の添加方法でも用いることができる。
また、カップリング剤は、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)と混合した場合、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)の透明性や分散具合、押出機への腐食性や押出安定性、太陽電池セルやガラス等への良好な接着性を樹脂(A)及び/又は樹脂(B)に付与する物質であることが好ましい。の観点から適宜選択すればよい。かかる観点から、好ましいカップリング剤としては、不飽和基やエポキシ基を有するものが挙げられ、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の有機シラン化合物;有機シラン過酸化物;有機チタネート化合物が挙げられる。このなかでも、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤が好ましく、シランカップリング剤がより好ましい。これらのカップリング剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋助剤としては、特に限定されないが、分子内に複数固のビニル基を有する化合物が好ましく、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート等が挙げられる。
層(a)及び/又は層(b)は、安定性を増大させるため、酸化防止剤、光安定剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
層(a)及び/又は層(b)は、高温下での安定性を付与するために、酸化防止剤を含むことが好ましい。酸化防止剤の添加量は、上記樹脂(A)又は樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部である。酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、高分子型フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、燐酸系酸化防止剤が挙げられる。
モノフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートが挙げられる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンが挙げられる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートが挙げられる。
燐酸系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
層(a)及び/又は層(b)は、後述する紫外線吸収剤以外に、耐候性を付与できる添加剤として光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、特に、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す傾向にある。光安定剤の添加量は、樹脂(A)又は樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜0.3質量部である。
光安定剤としては、本実施形態の樹脂封止シートに、一層優れた透明性を確保する観点から、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等が挙げられる。
さらに、層(a)及び/又は層(b)は、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)の光劣化を抑え耐候性を向上させるために、又は、層(a)及び/又は層(b)の下層や太陽電池モジュール内部に配置された発電部材等を保護するために、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、上記樹脂(A)及び/又は樹脂(B)100質量部に対して0.1〜0.5質量部であることが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾフェノン)メタンが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、少なくとも1種以上添加することが好ましい。なお、太陽電池モジュールの使用環境を考慮して、上述した酸化防止剤、光安定剤及び紫外線吸収剤は、低揮発性のものであることが好ましい。
本実施形態の樹脂封止シートが、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)を含む層以外の他の樹脂層を含む場合、上述した紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤は、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)を含む層だけではなく他の樹脂層にも添加してもよい。この場合、添加剤の添加量の総量は、他の樹脂層を構成する樹脂に対して、好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0〜5質量%である。
〔太陽電池樹脂封止シートの特性〕
第1及び第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートの光学特性について説明する。本実施形態の樹脂封止シートは、全光線透過率が高く、ヘイズ値が低い。具体的には、全光線透過率は80%以上であることが好ましく、ヘイズ値は20%以下であることが好ましい。
樹脂封止シートのヘイズは、好ましくは20%以下であり、より好ましくは0%以上15%以下である。ヘイズが20%以下であることにより、太陽電池の発電効率の低下をより抑制できる傾向にある。樹脂封止シートのヘイズは、JIS K7136に準拠して測定することができる。
樹脂封止シートの全光線透過率は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは83%以上であり、よりさらに好ましくは85%以上である。樹脂封止シートの全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定することができる。
なお、樹脂封止シートの上記ヘイズ及び全光線透過率は、二枚の太陽電池用ガラス板で樹脂封止シート二枚を挟み、これをラミネートすることにより得られた試料を測定することにより得られた値とする。
本実施形態の樹脂封止シート全体の厚みは、好ましくは50〜1500μmであり、より好ましくは100〜1000μmであり、さらに好ましくは150〜800μmである。本実施形態の樹脂封止シートの厚みが上記範囲であることにより、樹脂封止シートのPID耐久性、透明性及び太陽電池部材との接着性に優れ、物性バランスが一層向上する傾向にある。
〔樹脂封止シートの製造方法〕
〔シート成形〕
次に、本実施形態の樹脂封止シートの製造方法について述べる。本実施形態の樹脂封止シートの製造方法としては、層(a)及び層(b)を構成する樹脂組成物を、押出機でシート状に溶融押出する方法;カレンダー成形(カレンダリング)等により層(a)及び層(b)を構成する樹脂組成物をシート状に成形する方法;層(a)及び層(b)を構成する樹脂組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得る方法が挙げられる。尚、製膜時の加熱温度は、架橋剤を使用する場合には、架橋剤が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましく、架橋剤を使用しない場合には、得られるシートの熱収縮率の観点から、90〜170℃であることが好ましい。原料樹脂が有機過酸化物を含有していない場合は、シート成形温度を高くすることにより、シートの生産性を向上させることができる。
本実施形態の樹脂封止シートの製造方法は、原料樹脂を押出機で溶融してダイより共押出し急冷固化して、原反を得る工程を含むことが好ましい。樹脂封止シートは多層Tダイ法、多層サーキュラーダイ(環状ダイ)法を使用してもよいし、ラミネート方法によって多層構造としてもよい。これらの中でも、樹脂封止シートの厚み精度を高める観点から、多層Tダイ法が好ましい。
本実施形態の樹脂封止シートの製造方法は、上述のようにして得た原反を用い、樹脂封止シート表面にエンボス加工処理する工程をさらに有してもよい。例えば、両面エンボス処理を行う場合は、成形されたシートを、2本の加熱エンボスロール間を通過させる方法を採用できる。また、片面エンボス処理を行う場合は、2本のエンボスロールのうち、その片方のみを、加熱エンボスロールとし、それらの間を、成形されたシートを通過させる方法を採用できる。これにより、樹脂封止シートの少なくとも一方の表面にエンボス加工処理を施すことができる。
本実施形態の樹脂封止シートの製造方法は、後処理工程を含んでいてもよい。後処理工程としては、例えば、コロナ処理工程、プラズマ処理工程、他の樹脂封止シート等とのラミネーション工程等が挙げられる。
本実施形態の樹脂封止シートの製造方法は、層(a)及び/又は層(b)を架橋する工程を含んでもよい。樹脂封止シートの架橋方法としては、特に限定されないが、上述した有機過酸化物を用いる方法及び電子線を照射する方法が挙げられる。
有機過酸化物を用いる方法により架橋された層(a)及び/又は層(b)のゲル分率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60〜90質量%である。同じ有機過酸化物添加量であっても、加熱条件、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)の種類による架橋具合の違いや、架橋助剤等による架橋促進や酸化防止剤等による架橋抑制による架橋具合の違いを利用してゲル分率を適宜調節することができる。
電子線を照射する方法によって架橋された層(a)及び/又は層(b)のゲル分率の上限は、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは57質量%以下である。また、ゲル分率の下限は、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。同じ照射線量であっても、樹脂(A)及び/又は樹脂(B)の種類による架橋具合の違いや、架橋助剤等による架橋促進や酸化防止剤等による架橋抑制による架橋具合の違いを利用してゲル分率を適宜調節することができる。
電子線等の電離性放射線の加速電圧は、架橋処理を施す樹脂封止シートの厚さによって適宜選択すればよいが、例えば、樹脂封止シートが500μmの厚さの場合、全層に架橋処理を施すためには、300kV以上の加速電圧であることが好ましい。電子線等の電離性放射線の照射線量は、3〜500kGyであることが好ましい。電離性放射線の照射線量を上記範囲とすることにより、架橋度が均一である樹脂封止シートが得られ、また、樹脂封止シートのゲル分率が大きくなりすぎず、太陽電池セルが配置される箇所と、配置されない箇所との段差を埋めることができる。
ゲル分率は、架橋後の太陽電池樹脂封止シートを秤量し[A(g)]、これを120℃の有機溶媒中に24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量を測定し[B(g)]、下記式により算出することにより得ることができる。なお、有機溶媒としては、架橋前の太陽電池樹脂封止シートに含まれる樹脂を溶融するものを用いる。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100
〔封止方法〕
本実施形態の樹脂封止シートは、太陽電池に用いる樹脂封止シートであって、例えば、ガラス、発電部分及びバックシートから構成される太陽電池モジュールを作製する際、各構成部材の封止に用いられる。封止方法としては、例えば、樹脂封止シートの樹脂を軟化させて、各構成部材に密着させる方法が挙げられる。
ここでいう「軟化」とは、樹脂に熱等のエネルギーを与え、樹脂を軟化状態にすることを意味する。そのときのエネルギーは、簡便であるため、熱が好ましいが、これに限るものではない。また、樹脂への熱等のエネルギーの与え方は、直接電熱線等で加熱する方法、輻射熱等の間接的な加熱方法、樹脂の分子鎖を振動させて樹脂自身を分子運動させて発熱させる方法等、いかなる方法を用いてもよい。本実施形態に用いる封止方法としては、具体的には、軟化した樹脂を被封止材料に密着させて、樹脂を固化することによって固定する方法等が挙げられる。長期耐久性が必要な場合は安定して固定するため、樹脂と被封止材料との間に隙間がなく密着して固定することが好ましく、通常、真空ラミネート方法等の空気を排除した方法が用いられるが、これに限られるものではない。
以下、実施例、比較例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。また、本実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(評価方法)
<重合体の密度>
樹脂(B)の密度は、JIS K7112に準拠して測定した。
<重合体のMFR>
樹脂(A)及び樹脂(B)の重合体のMFRは、JIS K6924−1に準拠して測定した。
<重合体の水蒸気透過速度>
樹脂(A)及び樹脂(B)の重合体の水蒸気透過速度は、JIS K7129に準拠し、40℃、90%湿度における150μm厚みの樹脂シートを用いてMocon法により測定した。
<透明性(ヘイズ及び全光線透過率)評価>
太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス50mm×100mm角、厚さ3mm)/実施例及び比較例で作製した樹脂封止シート/実施例及び比較例で作製した樹脂封止シート/太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3mm)の順に重ね、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間余熱・脱気した後、5分間真空ラミネートしたものをサンプルとし、測定に使用した。ヘイズはJIS K7136に準拠し、全光線透過率はJIS K7361−1に準拠し、ヘーズメーター 「NDH2000」(日本電色工業社製)を用いて測定した。
<PID耐性評価>
PVL1016S型真空ラミネート装置(日清紡メカトロニクス社製)を用いて、太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス532mm×353mm角、厚さ3mm)、単結晶シリコンセル(E−TON Solar Tech.社製)、バックシート(東洋アルミニウム社製、トーヤルソーラー)を樹脂封止シートで、170℃で真空ラミネートして、6直太陽電池モジュールを作製した。この時、樹脂封止シートの表1記載のX層がシリコンセルに接するように積層した。このモジュールを用いて、IEC 1131−3に準じたポテンシャル・インデュースド・デグラデーション試験(PID試験)を実施した。試験条件は、温度:60℃、湿度:85%、印加電圧:−1000V、ガラス面処理:水張り、とした。PID試験前及びPID試験96時間後のPmaxの値を測定し、PID試験前のPmaxに対するPID試験96時間後のPmaxの値の比を算出した。
<隙間埋め性評価>
太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3mm)/実施例及び比較例で作製した樹脂封止シート(厚さ600μm)/発電部分/実施例及び比較例で作製した樹脂封止シート/太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3mm)の順に積層し、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて150℃にて真空ラミネートした。この時、樹脂封止シートの表1記載のX層が発電部分に接するように積層した。
発電部分は、単結晶シリコンセル(厚さ200μm)の両面にタブ線(厚さ300μm)を2本ずつ配線した構成とした。これにより発電部分は、厚さ200μmの単結晶シリコンセルの両面の一部分に300μmの凸部が存在する形状となり、発電部分全体は200〜800μmの厚さとなった。
上記のラミネート方法により作製されたサンプルを85℃、85%湿度の環境下に保管した。所定時間保管後にサンプルを目視にて観察した。目視結果に基づいて発電部分の隙間埋め性評価は以下の基準により行った。
◎:3000時間保管後に発電部分である単結晶シリコンセルとタブ線と樹脂封止シートとの接触部分がすべて良好であり、隙間がなかった。
○:1000時間保管後には発電部分である単結晶シリコンセルとタブ線と樹脂封止シートとの接触部分がすべて良好であり、隙間がなかったが、3000時間保管後には発電部分である単結晶シリコンセルとタブ線と樹脂封止シートとの接触部分に隙間が生じた。
×:1000時間保管後に発電部分である単結晶シリコンセルとタブ線と樹脂封止シートとの接触部分に隙間が生じた。
(原料)
(樹脂(A))
<エチレン−酢酸ビニル共重合体(A−1)>
樹脂(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A−1)(東ソー製、「ウルトラセン710」)を用いた。この共重合体の酢酸ビニル含有量は28質量%、MFRは28g/10分間であった。また、この樹脂の水蒸気透過速度は25g/m2/dayであった。
(樹脂(B))
<エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)>
樹脂(B)として、エチレン−1−オクテン共重合体(ダウケミカル製、「エンゲージ 8411」)を用いた。このエチレン−1−オクテン共重合体の密度は0.880g/cm3、MFRは18g/10分間であった。また、この樹脂の水蒸気透過速度は2.4g/m2/dayであった。
<エチレン−α−オレフィン共重合体(B−2)>
樹脂(B)として、線状低密度ポリエチレン樹脂(エチレン−1−ヘキセン共重合体;(株)プライムポリマー製、「エボリュー SP2040」)を用いた。この線状低密度ポリエチレンの密度は0.918g/cm3であった。また、この樹脂のコモノマー含有量は20質量%であった。また、この樹脂の水蒸気透過速度は1.5g/m2/dayであった。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体(B−3)>
樹脂(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー製、「ウルトラセン633」)を用いた。この共重合体の酢酸ビニル含有量は20質量%、MFRは20g/10分間であった。また、この樹脂の水蒸気透過速度は18g/m2/dayであった。
(実施例1〜4、比較例1〜5)
<樹脂封止シートの作製>
表1に示す配合組成で、三台の押出機を用いて二種類の樹脂組成物を溶融し、その押出機に接続されたTダイから樹脂をシート状に溶融押出し、冷却ロールを用いて急冷し、表面層:X層/中間層:Y層/表面層:Z層からなる厚み600μmの樹脂封止シートを作製した。樹脂封止シートの巻き取り速度は5m/分とした。なお、樹脂封止シートの全層厚みは600μmであった。各層に含まれる樹脂及び各層の厚み比は表1に示す。
<電子線照射処理>
得られた樹脂封止シートに対して、「EPS−800」(日新ハイボルテージ(株)製)を用いて加速電圧500kV、照射密度60kGyの条件で電子線照射した。
実施例及び比較例の実験結果を表1に示す。これらの結果から、実施例1〜4に示す通り、表面層が樹脂Aからなる層である第1の実施形態の太陽電池樹脂封止シートは、透明性、PID耐性、隙間埋め性がいずれも優れることが判った。また、実施例5及び6に示す通り、少なくとも1つの表面層が樹脂Bからなる層である第2の実施形態の太陽電池樹脂封止シートも、透明性、PID耐性、隙間埋め性がいずれも優れることが判った。
Figure 2015159189
本発明に係る太陽電池樹脂封止シートは、太陽電池の部材として好適に使用できる。

Claims (4)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、
    前記層(a)が、表面層として配され、
    前記層(b)の厚みが、5μm以上100μm以下である、
    太陽電池樹脂封止シート。
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)を含む層(a)と、バリア性を有する樹脂(B)を含む層(b)と、を有し、
    前記層(b)が、少なくとも一方の表面層として配され、
    前記層(b)の厚みが、5μm以上40μm以下である、
    太陽電池樹脂封止シート。
  3. 前記樹脂(B)が、ポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の太陽電池樹脂封止シート。
  4. 前記樹脂(B)の密度が、865kg/m3以上920kg/m3以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池樹脂封止シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2017134784A1 (ja) * 2016-02-03 2018-04-12 三菱電機株式会社 太陽電池モジュール及びその製造方法
CN108778991A (zh) * 2016-04-05 2018-11-09 东亚合成株式会社 太阳能电池用离子捕捉剂及含有其的太阳能电池用密封剂组合物以及太阳能电池模块

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