JP2014141542A - 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性、耐熱黄変性、及び生産性にも優れる、樹脂封止シート、及び当該樹脂封止シートで封止された太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、
分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下と、
を含み、
電離性放射線により処理されている、
樹脂封止シート。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、
分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下と、
を含み、
電離性放射線により処理されている、
樹脂封止シート。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂封止シート及び太陽電池モジュールに関する。
近年の地球環境に対する意識の高まりから、風力や水力、地熱等の自然エネルギーを利用した発電システムが注目されている。中でも太陽光を利用した発電システム(太陽電池)は、光起電力効果によって光エネルギーを電力に直接変換できるため、クリーン且つ効率的なエネルギーシステムとして盛んに研究開発が行われており、産業用及び家庭用発電システムとして注目されている。
太陽電池セル(以下、「発電部分」ともいう。)の代表例としては、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)やアモルファスシリコン、化合物半導体(薄膜系セル)を用いたセル等が挙げられる。このようなセルを有する太陽電池は、長時間、屋外で風雨に曝されて使用されることが多い。そのため、発電部分にガラス板やバックシート等を貼り合わせることによりモジュール化し、外部からの水分の侵入を防止し、発電部分の保護、漏電防止等を図っている。
具体的には、発電部分を所定の樹脂封止シートで挟み込み、さらに樹脂封止シートの外部を被覆して熱処理を施して、樹脂封止シートの樹脂を溶融させモジュール化する。外部を被覆する部材として、発電部分を保護する部材には、光入射側には発電に必要な光量を確保するために、透明ガラスや透明樹脂を使用し、一方で反対側を保護する部材にはバックシートと呼ばれるアルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びこれらをシリカ等でバリアーコート加工した積層シートが使用されている。
上述した樹脂封止シートは、(1)ガラス、発電素子、及びバックシートとの良好な接着性、(2)高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電素子の流動防止性(耐クリープ性)、及び(3)太陽光の入射を阻害しない透明性が要求される。
上記特性を満たすため、従来の樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」ともいう。)に、耐紫外線劣化のための紫外線吸収剤、ガラスとの接着性向上のためのシランカップリング剤、及び架橋のための有機過酸化物等の添加剤が配合され、カレンダー成形やTダイキャストにより製膜される。
さらに、長期に亘って太陽光に曝されることにより樹脂が劣化し、樹脂の劣化に起因して光学特性が低下することを防止するため、耐光剤等の各種添加剤も配合されている。これにより、長期に亘り太陽光の入射を阻害しない透明性を維持している。
上述したような、従来の樹脂封止シートにより太陽電池をモジュール化する方法は、ガラス/樹脂封止シート/結晶系シリコンセル等の発電素子/樹脂封止シート/バックシートの順で重ね合わせ、ガラス面を下にして専用の太陽電池真空ラミネーターを用いて、樹脂の溶融温度以上(EVAの場合は通常150℃の温度条件)で予熱する工程と、樹脂封止シートを溶融して貼り合わせるプレス工程を有している。予熱工程では樹脂封止シートの樹脂が溶融し、プレス工程では溶融した樹脂と樹脂に接している部材とが密着して真空ラミネートされる。
また、上記予熱工程、プレス工程においては、樹脂封止シートに含有されている架橋剤(例えば、有機過酸化物)が熱分解し、EVA等の樹脂の架橋が促進されると同時に、樹脂封止シートに含有されているカップリング剤が接触している部材と共有結合する。これにより、樹脂封止シートの耐クリープ性及びガラス、発電素子、バックシートとの接着性が発揮される。
上述したような、太陽電池をモジュール化するために用いる樹脂封止シートとしては、特許文献1には、架橋剤及びシランカップリング剤を配合したエチレン酢酸ビニル共重合体からなるシートであって、一定のゲル分率まで放射線架橋させた、太陽電池封止用シートが開示されている。
また、特許文献2には、有機過酸化物及び耐光剤を配合したエチレン酢酸ビニル共重合体からなるシートであって、耐光性を向上させた、樹脂封止シートが開示されている。
さらに、特許文献3には、シランカップリング剤及び電離性放射線架橋型樹脂からなり、一定のゲル分率まで放射線架橋させた、樹脂封止シートが開示されている。
しかしながら、特許文献1においては、耐光剤については開示がなされておらず、樹脂封止シートの耐光性を改善する必要がある。
また、特許文献2では添加剤を配合し耐光性を改善しているものの、特許文献1、特許文献2に記載されている樹脂封止シートのように、有機過酸化物を樹脂に添加し、分散させる場合には、樹脂封止シートを製膜する際に、有機過酸化物が分解しないように低温度で押出しを行う必要がある。そのため、このような樹脂封止シートを太陽電池モジュール等の封止材として用いた場合には生産性に劣るという問題がある。
さらに、特許文献3に記載されている樹脂封止シートのように、電離性放射線を使用して添加剤を含有する樹脂を架橋した場合、添加剤が低分子量であると電離性放射線は目的とする樹脂の架橋反応のみならず、樹脂の副反応や、樹脂と添加剤との種々の反応、添加剤の分解を起こす。その結果、得られた樹脂封止シートが高温条件下で黄変したり、生産性が悪くなったりするといった問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、耐光性、耐熱黄変性、及び生産性にも優れる、樹脂封止シート、及び当該樹脂封止シートで封止された太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂と、所定のヒンダードアミン系光安定剤とを含有する樹脂封止シートであれば、太陽電池モジュール等の封止材として用いた場合、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
〔1〕
熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、
分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下と、
を含み、
電離性放射線により処理されている、
樹脂封止シート。
〔2〕
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びグリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される、少なくとも1種を含む、前項〔1〕に記載の樹脂封止シート。
〔3〕
前記ヒンダードアミン系光安定剤が、2量体以上の繰り返し構造を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂封止シート。
〔4〕
カップリング剤0.01質量部以上5質量部以下をさらに含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂封止シート。
〔5〕
前記ヒンダードアミン系光安定剤が、N−アシルヒンダードアミン系化合物を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれかに1項に記載の樹脂封止シート。
〔6〕
架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤、からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の樹脂封止シート。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の樹脂封止シートで封止された、太陽電池モジュール。
熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、
分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下と、
を含み、
電離性放射線により処理されている、
樹脂封止シート。
〔2〕
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びグリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される、少なくとも1種を含む、前項〔1〕に記載の樹脂封止シート。
〔3〕
前記ヒンダードアミン系光安定剤が、2量体以上の繰り返し構造を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂封止シート。
〔4〕
カップリング剤0.01質量部以上5質量部以下をさらに含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂封止シート。
〔5〕
前記ヒンダードアミン系光安定剤が、N−アシルヒンダードアミン系化合物を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれかに1項に記載の樹脂封止シート。
〔6〕
架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤、からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の樹脂封止シート。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の樹脂封止シートで封止された、太陽電池モジュール。
本発明によれば、耐光性、耐熱黄変性、及び生産性に優れる、樹脂封止シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔樹脂封止シート〕
本実施形態に係る樹脂封止シートは、熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下とを含み、電離性放射線により処理されている。本実施形態の樹脂封止シートは、当該熱可塑性樹脂成分に熱等のエネルギーを直接与える方法や、樹脂成分に固有の振動を与え樹脂自身を発熱させる方法により軟化させることができる。また、その軟化状態の樹脂封止シートを他の物質(被接着物)に密着させることで封止することができる。これにより、隙間埋め性に優れ、かつ太陽電池モジュールの生産性にも優れる。樹脂を軟化させる具体的な方法には、樹脂成分への直接加熱、輻射熱等の間接加熱、超音波等の振動発熱等、公知の方法を使用することができる。ヒンダードアミン系光安定剤は、熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するように働く。これにより、樹脂封止シートは、耐光性、耐熱黄変性、耐熱性、生産性(製膜性)にも優れるものとなる。
本実施形態に係る樹脂封止シートは、熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下とを含み、電離性放射線により処理されている。本実施形態の樹脂封止シートは、当該熱可塑性樹脂成分に熱等のエネルギーを直接与える方法や、樹脂成分に固有の振動を与え樹脂自身を発熱させる方法により軟化させることができる。また、その軟化状態の樹脂封止シートを他の物質(被接着物)に密着させることで封止することができる。これにより、隙間埋め性に優れ、かつ太陽電池モジュールの生産性にも優れる。樹脂を軟化させる具体的な方法には、樹脂成分への直接加熱、輻射熱等の間接加熱、超音波等の振動発熱等、公知の方法を使用することができる。ヒンダードアミン系光安定剤は、熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するように働く。これにより、樹脂封止シートは、耐光性、耐熱黄変性、耐熱性、生産性(製膜性)にも優れるものとなる。
〔熱可塑性樹脂〕
本実施形態の樹脂封止シートは、熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びグリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される、少なくとも1種を含むことが好ましい。このような熱可塑性樹脂であることにより、透明性、柔軟性、被接着物への接着性、及び取り扱い性により優れる傾向にある。
本実施形態の樹脂封止シートは、熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びグリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される、少なくとも1種を含むことが好ましい。このような熱可塑性樹脂であることにより、透明性、柔軟性、被接着物への接着性、及び取り扱い性により優れる傾向にある。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂が好ましい。ここで「ポリエチレン系樹脂」とは、エチレンの単独重合体又はエチレンと、他の1種又は2種以上のモノマーとの共重合体をいう。また、「ポリブテン系樹脂」とは、ブテンの単独重合体又はブテンと、他の1種又は2種以上のモノマーとの共重合体をいう。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂が好ましい。ここで「ポリエチレン系樹脂」とは、エチレンの単独重合体又はエチレンと、他の1種又は2種以上のモノマーとの共重合体をいう。また、「ポリブテン系樹脂」とは、ブテンの単独重合体又はブテンと、他の1種又は2種以上のモノマーとの共重合体をいう。
上記ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記ポリエチレンとしては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(VLDPE、ULDPE)等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジー)をナノオーダーで制御したポリエチレン系共重合体を使用することもできる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、特に限定されないが、好ましくはエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体であり、より好ましくはエチレンと、炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体である。
上記α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。α−オレフィンは、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。また、エチレン−α−オレフィン共重合体を構成する全モノマー中のα−オレフィンの割合(仕込みモノマー基準)は6質量%以上30質量%以下が好ましい。さらに、上記エチレン−α−オレフィン共重合体は軟質の共重合体であることが好ましく、X線法による結晶化度が30%以下であることが好ましい。結晶化度が上記範囲であることにより、より軟化しやすい傾向にある。このようなエチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、プロピレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種のコモノマーとの共重合体が好ましい。このような共重合体であれば、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
上記ポリエチレン系樹脂は、特に限定されないが、例えば、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができ、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂の密度は、耐衝撃性の観点から、好ましくは0.860g/cm3以上0.920g/cm3以下であり、より好ましくは0.870g/cm3以上0.915g/cm3以下であり、さらに好ましくは0.870g/cm3以上0.910g/cm3である。密度が0.920g/cm3以下であることにより、耐衝撃性、透明性が良好となる傾向にある。高密度のポリエチレン系樹脂を用いる場合には、低密度のポリエチレン系樹脂を、例えば、30質量%程度の割合で添加することで透明性を改善することもできる。また、密度が0.860g/cm3以上であることにより、弾性が向上する傾向にある。
上記ポリエチレン系樹脂の、JIS−K−7210に準じて測定される190℃、2.16kgにおけるメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)は、好ましくは0.5g/10min以上45g/10min以下であり、より好ましくは0.8g/10min以上40g/10min以下であり、さらに好ましくは1.0g/10min以上35g/10min以下である。MFRが上記範囲であることにより、樹脂封止シートの加工性により優れる傾向にある。また、ビカット軟化点が30〜120℃であることが好ましく、35〜115℃であることがより好ましく、40〜110℃であることがさらに好ましい。ビカット軟化点が上記範囲であることにより、樹脂封止シートの熱安定性により優れる傾向にある。ここで、「ビカット軟化点」とは、JIS K 7206−1982に従って測定される値をいう。
また、ポリブテン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が特に優れる。そのため、樹脂封止シートの硬さやコシの強さを調整することを目的として、上記ポリプロピレン系樹脂とポリブテン系樹脂とを併用することが好ましい。上記ポリブテン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、結晶性であり、ブテンと、エチレン、プロピレン及び炭素数5〜8のオレフィン系化合物から選ばれる少なくとも1種からなる共重合体が挙げられる。このなかでも、ポリブテン系樹脂を構成する全モノマー中のブテンの含有割合が70モル%以上である高分子量のポリブテン系樹脂が好ましい。
ポリブテン系樹脂は、190℃、2.16kgにおけるMFRが0.5〜45g/10minであることが好ましく、0.8〜40g/10minであることがより好ましく、1.0〜35g/10minであることがさらに好ましい。MFRが上記範囲であることにより、樹脂封止シートの加工性により優れる傾向にある。また、ビカット軟化点が40〜100℃であることが好ましく、40〜95℃であることがより好ましく、45〜90℃であることがさらに好ましい。ビカット軟化点が上記範囲であることにより、樹脂封止シートの熱安定性により優れる傾向にある。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体)
「エチレン−酢酸ビニル共重合体」とは、エチレンモノマーと酢酸ビニルとを含む共重合体をいう。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の酢酸ビニルの割合が、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上33質量%以下である。このような共重合体を含むことにより、光学特性、接着性、柔軟性により優れる傾向にある。
「エチレン−酢酸ビニル共重合体」とは、エチレンモノマーと酢酸ビニルとを含む共重合体をいう。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の酢酸ビニルの割合が、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上33質量%以下である。このような共重合体を含むことにより、光学特性、接着性、柔軟性により優れる傾向にある。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体の、190℃、2.16kgにおけるMFRの値は、好ましくは15g/10min以上45g/10min以下であり、より好ましくは20g/10min以上40g/10min以下であり、さらに好ましくは20g/10min以上35g/10min以下である。MFRが上記範囲であることにより、樹脂封止シートの加工性、生産性がより優れる傾向にある。
エチレン−酢酸ビニル共重合体、後述するエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体は、高圧法、溶融法等の公知の方法により合成することができる。重合反応の触媒としては、特に限定されないが、例えば、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等を用いることができる。また、上記共重合体において、各モノマーの配列は特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体等とすることができる。このなかでも、光学特性の観点から、上記共重合体としては、高圧法を用いてランダム結合により重合した共重合体が好ましい。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体、後述するエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体は、3成分以上のモノマーを共重合してなる多元共重合体であってもよい。このような多元共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、脂肪族不飽和カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも3種類のモノマーを共重合してなる共重合体が挙げられる。
(エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体)
「エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体」とは、エチレンモノマーと、少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸モノマーとを含む共重合体をいう。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA」ともいう。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」ともいう。)等が挙げられる。
「エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体」とは、エチレンモノマーと、少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸モノマーとを含む共重合体をいう。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA」ともいう。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」ともいう。)等が挙げられる。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の脂肪族不飽和カルボン酸の割合が、好ましくは3質量%以上35質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。このような共重合体を含むことにより、光学特性、接着性、柔軟性により優れる傾向にある。
また、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体の190℃、2.16kgにおけるMFRは、好ましくは15g/10min以上45g/10min以下であり、より好ましくは20g/10min以上40g/10min以下であり、さらに好ましくは20g/10min以上35g/10min以下である。MFRが上記範囲であることにより、樹脂封止シートの加工性、生産性がより優れる傾向にある。
(エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体)
「エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体」とは、エチレンモノマーと少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸エステルモノマーとを含む共重合体をいう。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜8のアルコールと、アクリル酸及びメタクリル酸とのエステルが好適に使用される。
「エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体」とは、エチレンモノマーと少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸エステルモノマーとを含む共重合体をいう。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜8のアルコールと、アクリル酸及びメタクリル酸とのエステルが好適に使用される。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の脂肪族不飽和カルボン酸エステルの割合が、好ましくは3質量%以上35質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以上15質量%以下である。このような共重合体を含むことにより、光学特性、接着性、柔軟性により優れる傾向にある。
また、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の190℃、2.16kgにおけるMFRは、好ましくは0.3g/10min以上40g/10min以下であり、より好ましくは0.5g/10min以上30g/10min以下であり、さらに好ましくは0.8g/10min以上25g/10min以下である。MFRが上記範囲であることにより、樹脂封止シートの加工性、生産性がより優れる傾向にある。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物)
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物が挙げられる。また、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物としては、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物等が挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物が挙げられる。また、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物としては、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物等が挙げられる。
上記各ケン化物中の水酸基の割合は、熱可塑性樹脂中において、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上7質量%以下である。水酸基の割合が0.1質量%以上であることにより、樹脂封止シートの接着性が良好となる傾向にある。また、水酸基の割合が15質量%以下であることにより、相溶性が良好となる傾向にあり、最終的に得られる樹脂封止シートが白濁化するリスクを低減することができる。
水酸基の割合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物の元のオレフィン系重合体樹脂と、この樹脂のVA%(NMR測定による酢酸ビニル共重合比)と、そのケン化度と、樹脂中における配合割合とから算出することができる。
ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体中の酢酸ビニルの含有割合は、共重合体全体に対して、好ましくは10質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上30質量%以下である。酢酸ビニルの含有割合が上記範囲であることにより、光学特性、接着性、及び柔軟性により優れる傾向にある。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物のケン化度は、好ましくは10%以上70%以下であり、より好ましくは15%以上65%以下であり、さらに好ましくは20%以上60%以下である。ケン化度が上記範囲であることにより、透明性及び接着性により優れる傾向にある。
ケン化方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のペレット又は粉末をメタノール等の低級アルコール中でアルカリ触媒を用いてケン化する方法、トルエン、キシレン、ヘキサンのような溶媒を用いて予め共重合体を溶解した後、少量のアルコールとアルカリ触媒を用いてケン化する方法等が挙げられる。また、ケン化した共重合体に水酸基以外の官能基を含有するモノマーをグラフト重合してもよい。
各ケン化物は、側鎖に水酸基を有しているため、ケン化前の共重合体と比較して接着性が向上している。また、水酸基の量(ケン化度)を調整することにより、透明性や接着性を制御することができる。
(グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体)
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体としては、特に限定されないが、例えば、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとエチレンとを含むコポリマー及びグリシジルメタクリレートとエチレンとを含むターポリマー等が挙げられる。このようなポリマーとしては、具体的には、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。上記共重合体を含むことにより、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体としては、特に限定されないが、例えば、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとエチレンとを含むコポリマー及びグリシジルメタクリレートとエチレンとを含むターポリマー等が挙げられる。このようなポリマーとしては、具体的には、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。上記共重合体を含むことにより、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
本実施形態の樹脂封止シートは、電離性放射線により処理されていることにより、少なくとも部分的に架橋状態となっている。これにより、耐クリープ性がより高くなる。より具体的には、本実施形態の樹脂封止シートは、熱可塑性樹脂を軟化させて被接着物に密着させる前、又は被接着物に密着させた後の少なくともいずれかにおいて、架橋状態であることが好ましい。架橋状態であることにより、熱キュア工程をより短縮することができ、太陽電池モジュールの生産性により優れる傾向にある。本実施形態の樹脂封止シートは、さらに他の架橋処理を施されていてもよい。他の架橋方法は、特に限定されず、樹脂封止シートに有機過酸化物を配合し、加熱して有機過酸化物を分解させることにより発生したラジカル種によって架橋させる方法等の公知の方法を用いることができる。
樹脂封止シートにα線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射し、シートを構成する樹脂を架橋することにより、隙間埋め性により優れる傾向にある。また、電離性放射線処理される封止シートは高温で製膜できるため、生産性速度をより向上することが可能となり、太陽電池モジュール等の生産性にもより優れる傾向にある。なお、「架橋状態」とは、130mm長(MD方向)×20mm巾(TD方向)の矩形型に切り出した樹脂封止シートの一方の先端を金属製クリップで固定し、長さ方向が100mmになるようにセットして、「熱可塑性樹脂の融点+30℃」の雰囲気下で15分間吊下げたときに樹脂封止シートが溶け落ちないことをいう。
電離性放射線により処理された樹脂封止シートは膜厚方向に架橋度の分布を有する。一方で、有機過酸化物等のそれ以外の方法により処理されているものは、膜厚方向に均一な架橋度の分布を有する。また、有機過酸化物で架橋された樹脂封止シートは、架橋後に有機過酸化物の残渣を有するが、電離性放射線により処理された樹脂封止シートはそのような残渣を含まないという違いがある。
電離性放射線を照射して架橋させる場合、本実施形態に用いる熱可塑性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びエチレン単独重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。このような極性基を有する熱可塑性樹脂であることにより、より架橋されやすい傾向にある。
〔紫外線吸収剤〕
本実施形態に係る樹脂封止シートは紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、樹脂封止シート及びバックシートに用いられる樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。このような紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。この中でもベンゾフェノン系化合物が好ましい。紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂封止シートは紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、樹脂封止シート及びバックシートに用いられる樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。このような紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。この中でもベンゾフェノン系化合物が好ましい。紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の含有割合は、好ましくは、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下であり、より好ましくは、0.02質量部以上0.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上0.3質量部以下である。含有割合が上記範囲であることにより、耐光性、耐黄変性により優れる傾向にある。
ベンゾフェノン系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン等が挙げられる。
サリシレート系化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、及びp−オクチルフェニルサリシレートなどが挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、及びエチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、及び6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノールなどが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、2−(4,6-ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5− ヒドロキシフェニルなどが挙げられる。
紫外線吸収剤を、熱可塑性樹脂に添加する方法としては、特に限定されず、液体の状態で溶融樹脂に添加する方法、直接対象樹脂層に練り込み添加する方法、シーティング後に塗布する等の方法等が挙げられる。
〔ヒンダードアミン系光安定剤〕
本実施形態に係る樹脂封止シートはヒンダードアミン系光安定剤(以下、単に「光安定剤」ともいう。)を含む。ヒンダードアミン系光安定剤は、熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。
本実施形態に係る樹脂封止シートはヒンダードアミン系光安定剤(以下、単に「光安定剤」ともいう。)を含む。ヒンダードアミン系光安定剤は、熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。
光安定剤の分子量は、1,000以上であり、2,000以上が好ましく、2,500以上がより好ましい。また、光安定剤の分子量は、4,500以下が好ましく、4,000以下がより好ましい。分子量が上記範囲であることにより、分解温度が分子量1,000未満のものよりも高くなる。そのため、電離性放射線を照射し樹脂を架橋させる場合において、光安定剤は電離性放射線照射により分解及び変性されにくくなり、生産性により優れ、耐熱黄変性をより向上させることができる。また、光安定剤は、2量体以上の繰り返し構造を有するものが好ましい。このような繰り返し構造を有することで光安定剤の一部が分解されたとしても光安定剤としての機能を保持することが可能となり、耐光性をより向上させることができる傾向にある。
さらに、光安定剤は、N−アシルヒンダードアミン系化合物であることが好ましい。N−アシルヒンダードアミン系化合物であることにより、電離性放射線照射にてアミノ基が分解及び変性されにくくなることに加え、フェノール系酸化防止剤の酸化によるキノン構造の形成を抑制することができ、耐熱黄変性をより向上させることができる傾向にある。
光安定剤の含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下である。含有割合が上記範囲であることにより、耐光性により優れる。
上記ヒンダードアミン系光安定化剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]:分子量2,000〜3,100、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物:分子量3,100〜4,000、N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン:分子量2,286と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物との混合物、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(以下、「N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−N’−[4−[ブチル(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]−1,6−ヘキサンジアミン」ともいう。):分子量2,600〜3,400、ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]:分子量1440〜1760等が挙げられる。この中でも、耐光性及び耐熱黄変性の観点から、好ましくは、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−N’−[4−[ブチル(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]−1,6−ヘキサンジアミンである。このなかでも、より好ましくはN−アシル型ヒンダードアミン系光安定剤である、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光安定剤を、樹脂封止シートに添加する方法としては、特に限定されず、液体の状態で溶融樹脂に添加する方法、直接対象樹脂層に練り込み添加する方法、シーティング後に塗布する方法等を用いることができる。
(カップリング剤)
また、本実施形態の樹脂封止シートはカップリング剤をさらに含有することもできる。カップリング剤を含有することにより、架橋のための電離性放射線を照射した際に、樹脂の主鎖にカップリグ剤が効率よく導入され、樹脂封止シートを太陽電池の封止材として用いた際に、樹脂封止シートとガラスとの接着力が向上するという効果を奏する。
また、本実施形態の樹脂封止シートはカップリング剤をさらに含有することもできる。カップリング剤を含有することにより、架橋のための電離性放射線を照射した際に、樹脂の主鎖にカップリグ剤が効率よく導入され、樹脂封止シートを太陽電池の封止材として用いた際に、樹脂封止シートとガラスとの接着力が向上するという効果を奏する。
本実施形態の樹脂封止シートは、接着性の向上のためカップリング剤を含むことができる。カップリング剤の含有割合及び種類は、樹脂封止シートの熱黄変性の改良効果や、電離性放射線照射によるカップリング剤の樹脂ポリマーへの反応のし易さによって、適宜選択できる。カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤、アミノ基やエポキシ基を含有するカップリング剤、チタンカップリング剤等が好ましい。
カップリング剤の含有割合としては、好ましくは、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは、0.05質量部以上4質量部以下であり、さらに好ましくは、0.05質量部以上3質量部以下である。含有割合が上記範囲であることにより、接着性により優れる傾向にある。
なお、これらのカップリング剤の添加方法は、特に限定されず、樹脂封止シートを押出機を用いて成膜する際、当該押出機内の樹脂に注入混合する方法、押出機ホッパー内に混合して導入する方法、マスターバッチ化して混合して添加する方法等の、公知の添加方法で添加することができる。
また、カップリング剤の種類は、樹脂封止シートの透明性や分散具合の観点、押出機への腐食や押出安定性の観点等を考慮して、適宜選択すればよい。カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、及びアミノ基からなる群より選択される1種を有する化合物等が挙げられる。この中でも、電子線を照射した際にビニル基の部位にラジカルが発生し、主鎖にカップリング剤が容易に反応し易くなり、接着性が向上する傾向にあるため、ビニル基を有する化合物が好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、具体的には、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の不飽和基やエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、特に限定されないが、具体的には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルスルフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
〔その他の添加剤〕
また、本実施形態の樹脂封止シートは、架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含むことが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期にわたって、耐候性、耐光性、耐黄変性、耐クラック性、接着性及び透明性により優れる傾向にある。以下、架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤について説明する。
また、本実施形態の樹脂封止シートは、架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含むことが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期にわたって、耐候性、耐光性、耐黄変性、耐クラック性、接着性及び透明性により優れる傾向にある。以下、架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤について説明する。
(架橋剤)
架橋剤としては、特に限定されないが、分解温度(半減期が1時間である温度)が90〜180℃の有機酸化物が好ましく、100〜150℃の有機過酸化物がより好ましい。このような架橋剤であることにより、太陽電池モジュールの生産性がより向上する傾向にある。
架橋剤としては、特に限定されないが、分解温度(半減期が1時間である温度)が90〜180℃の有機酸化物が好ましく、100〜150℃の有機過酸化物がより好ましい。このような架橋剤であることにより、太陽電池モジュールの生産性がより向上する傾向にある。
このような有機過酸化物としては、特に限定されないが、具体的には、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(119℃)、第3ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルイソプロピルカーボネート(121℃)、第3ブチルパーオキシアセテート(123℃)、第3ブチルパーオキシベンゾエート(125℃)、第3ブチルクミルパーオキサイド(142℃)、ジクミルパーオキサイド(135℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン(140℃)、ジ第3ブチルパーオキサイド(149℃)、1,3−ビス(2−第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(137℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(118℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(第3ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(112℃)、1,1−ビス(第3ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(112℃)、1,1−ビス(第3アミルパーオキシ)シクロヘキサン(112℃)、2,2−ビス(第3ブチルパーオキシ)ブタン(112℃)、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、第3ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、第3ブチルパーオキシイソブチレート(102℃)、n−ブチル−4,4−ビス(第3ブチルパーオキシ)バレレート(129℃)、エチル−3,3−ビス(第3ブチルパーオキシ)ブチレート(135℃)、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる(括弧内の温度は1時間半減期温度)。有機過酸化物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物の含有割合は熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜3質量部であり、さらに好ましくは0.5〜2である。含有割合が上記範囲であることにより、太陽電池モジュールの生産性がより向上する傾向にある。
架橋剤として上記のような有機過酸化物の代わりに、光増感剤を使用することもできる。このような光増感剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、5−ニトロアセナフテン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、パラニトロジフェニル、パラニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザー1,9−ベンザンスロン等を挙げることができる。光増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光増感剤の含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜3質量部である。含有割合が上記範囲であることにより、太陽電池モジュールの生産性がより向上する傾向にある。
(架橋助剤)
架橋助剤としては、特に限定されないが、例えば、分子内に複数のビニル基を有する化合物が好ましく、具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート等が挙げられる。
架橋助剤としては、特に限定されないが、例えば、分子内に複数のビニル基を有する化合物が好ましく、具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート等が挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、熱可塑性樹脂中の熱酸化過程で生成する活性種を補足又は分解し、熱酸化を防止するものである。このような酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、高分子型フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、燐酸系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤は、熱可塑性樹脂中の熱酸化過程で生成する活性種を補足又は分解し、熱酸化を防止するものである。このような酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、高分子型フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、燐酸系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の含有割合は、好ましくは熱可塑性樹脂100質量部に対して0.05質量部以上2質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上1質量部以下である。含有割合が上記範囲であることにより、高温下での安定性により優れる傾向にある。
モノフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートが挙げられる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンが挙げられる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートが挙げられる。
燐酸系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/又はジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
(その他)
本実施形態の樹脂封止シートには、上記の添加剤に加えて、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、防曇剤、可塑剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋調整剤等を添加してもよい。
本実施形態の樹脂封止シートには、上記の添加剤に加えて、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、防曇剤、可塑剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋調整剤等を添加してもよい。
これらの添加剤の含有割合は、樹脂封止シートの着色を目的として添加する顔料を除いて、好ましくは熱可塑性樹脂100質量部に対して5質量%以下であり、より好ましくは100質量部に対して1質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下である。樹脂封止シートの着色用の顔料の含有割合は、好ましくは100質量部に対して1質量%以上20質量%以下である。
〔樹脂封止シートの特性〕
上記架橋された樹脂封止シートを得る方法として、電離性放射線の加速電圧や照射線量を適宜調整する方法が挙げられる。また、同じ照射線量であっても、熱可塑性樹脂の種類により架橋具合が違い、転移化剤による架橋促進や架橋抑制によっても架橋具合が違う。この違いを利用して架橋状態が違う樹脂封止シートを得ることができる。
上記架橋された樹脂封止シートを得る方法として、電離性放射線の加速電圧や照射線量を適宜調整する方法が挙げられる。また、同じ照射線量であっても、熱可塑性樹脂の種類により架橋具合が違い、転移化剤による架橋促進や架橋抑制によっても架橋具合が違う。この違いを利用して架橋状態が違う樹脂封止シートを得ることができる。
上記架橋された樹脂封止シートを得る方法として、熱可塑性樹脂の種類による架橋具合の違いや添加剤による架橋促進や架橋抑制による架橋具合の違いを利用する方法について以下詳細に説明する。例えば、エチレンモノマーと、酢酸ビニル、脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸エステル等の極性基とを有する樹脂を表面層に配し、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(VLDPE、ULDPE)樹脂を内層に配した場合は、全層透過するに十分な加速電圧であっても表面層の架橋度は高く、内層は低い架橋度にすることができる。さらに加速電圧を調整することによって、内層の線状低密度密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(VLDPE、ULDPE)樹脂層を架橋しない未架橋層として構築しつつ、電子線照射による架橋加工処理をすることができるのである。また、内層としてポリプロピレン系樹脂を配した場合は、ポリプロピレン系樹脂は電子線等によって架橋しないため、未架橋層を構築することができる。
(樹脂封止シート厚み)
本実施形態の樹脂封止シートの厚みは、好ましくは50μm以上1,500μm以下であり、より好ましくは100μm以上1,000μm以下であり、さらに好ましくは150μm以上800μm以下である。厚みが上記範囲内であることにより、樹脂封止シートのクッション性がより向上し、作業性がより良好となり、また太陽電池のモジュールの生産性がより向上し、被封止物への密着性がより向上する。
本実施形態の樹脂封止シートの厚みは、好ましくは50μm以上1,500μm以下であり、より好ましくは100μm以上1,000μm以下であり、さらに好ましくは150μm以上800μm以下である。厚みが上記範囲内であることにより、樹脂封止シートのクッション性がより向上し、作業性がより良好となり、また太陽電池のモジュールの生産性がより向上し、被封止物への密着性がより向上する。
〔樹脂封止シートの製造方法〕
樹脂封止シートの製造方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
樹脂封止シートの製造方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
(樹脂封止シートの製膜)
まず、熱可塑性樹脂とヒンダードアミン光安定剤と、必要に応じてその他の添加剤を含む樹脂組成物を押出機で溶融し、ダイより溶融樹脂組成物を押出し、急冷固化して原反を得る。押出機としては、Tダイ、環状ダイ等が用いられるが、厚み制御の容易さからTダイが好ましい。
まず、熱可塑性樹脂とヒンダードアミン光安定剤と、必要に応じてその他の添加剤を含む樹脂組成物を押出機で溶融し、ダイより溶融樹脂組成物を押出し、急冷固化して原反を得る。押出機としては、Tダイ、環状ダイ等が用いられるが、厚み制御の容易さからTダイが好ましい。
また、多層の樹脂封止シートを製造する方法としては、多層用のダイを用いて、各層に目的とする樹脂組成物を共押出する方法、樹脂組成物が押出機から単層のダイに入る前に多層化するためのフィードブロックを配して、複数の押出機から押出された樹脂組成物をフィードブロック内で多層化して、その後に単層ダイでシート化する方法等がある。
原反の表面には、最終的に目的とする樹脂封止シートの形態に応じてエンボス加工処理を施してもよい。例えば、両面にエンボス加工処理を行う場合には、2本のエンボスロール間に、片面エンボス加工処理を行う場合には、片方のみをエンボスロールにしたロール間に、原反を通過させることによりエンボス加工処理を施すことができる。
さらに、後処理として、例えば寸法安定化のためのヒートセット、コロナ処理、プラズマ処理、他種樹脂封止シート等とのラミネーションを行ってもよい。
(樹脂封止シートの架橋)
原反に対して、熱可塑性樹脂に対する架橋処理、すなわち電離性放射線照射処理を行う。これにより、上述した熱可塑性樹脂が架橋し、キュア工程が不要となるため、例えば太陽電池の素子を保護し、太陽電池を作製する際、工程の簡易化を計ることができる。
原反に対して、熱可塑性樹脂に対する架橋処理、すなわち電離性放射線照射処理を行う。これにより、上述した熱可塑性樹脂が架橋し、キュア工程が不要となるため、例えば太陽電池の素子を保護し、太陽電池を作製する際、工程の簡易化を計ることができる。
架橋処理は必要に応じてエンボス加工処理の前工程又は後工程として行うことができ、また、上記エンボス加工処理の後処理の前工程又は後工程として行うこともできる。
電離性放射線としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等を用いることができる。このような電離性放射線を樹脂封止シートに照射して架橋させることで架橋処理を行なうことができる。電子線等の電離性放射線の加速電圧は、樹脂封止シートの厚さにより適宜選択でき、200kV以上1,000kV以下が好ましい。より具体的には、500μmの厚さの場合、樹脂封止シート全体を架橋するときには、加速電圧は300kV以上であることが好ましい。
電離性放射線の照射線量は使用される樹脂によって異なるが、照射線量が3kGy以上であることにより、樹脂封止シート全体を構成する熱可塑性樹脂を均一に架橋させることができる。また、樹脂封止シートの架橋度が大きくなりすぎず、太陽電池セルのあるところとないところの段差を埋める性能が向上する観点から、好ましくは3kGy以上200kGy以下であり、より好ましくは3kGy以上150kGy以下である。電離性放射線の加速電圧や照射線量は、所望の架橋度や架橋分布を達成するため、適宜変化させてもよい。電離性放射線の加速電圧や照射線量によって発生する架橋度はNMR(核磁気共鳴)法によって測定することができる。
〔樹脂封止シートの用途〕
本実施形態の樹脂封止シートは、耐候性や耐光性に優れ、かつ熱黄変性による着色も少なく、紫外線、日光、熱による発電効率の低下が少なく、また、被封止物との接着性も良好である。そのため、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための封止材(太陽電池用樹脂封止シート)として特に有用であり、本実施形態における樹脂封止シートを用いることにより、太陽電池の耐久性を向上させ、発電効率を高く維持することができる。
本実施形態の樹脂封止シートは、耐候性や耐光性に優れ、かつ熱黄変性による着色も少なく、紫外線、日光、熱による発電効率の低下が少なく、また、被封止物との接着性も良好である。そのため、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための封止材(太陽電池用樹脂封止シート)として特に有用であり、本実施形態における樹脂封止シートを用いることにより、太陽電池の耐久性を向上させ、発電効率を高く維持することができる。
本実施形態の太陽電池モジュールは、上記樹脂封止シートで封止されたものである。太陽電池の封止材として用いた場合の太陽電池モジュールは、例えば、本実施形態の樹脂封止シートを2枚用い、透明基板(透明保護材)/樹脂封止シート/発電素子/樹脂封止シート/バックシート(裏面保護材)の順に積層した構成とすることができ、これらの材料を重ねて真空ラミネートすることにより作製できる。
また、本実施形態の樹脂封止シートは、太陽電池用の封止シートとして使用できる他、LEDの封緘、合わせガラスや防犯ガラスの中間膜等、プラスチックとガラス、プラスチック同士、ガラス同士の接着等にも使用することができる。
以下、実施例、比較例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。なお、各実施例及び各比較例において使用した材料は以下の通りである。
〔熱可塑性樹脂〕
(エチレン−酢酸ビニル共重合体)
A−1:旭化成ケミカルズ製 EM7830(商品名):酢酸ビニル含量28%、JIS−K−7210に準じて測定される190℃、2.16kgにおけるMFR(コードD)30g/10分、融点71℃
A−2:東ソー製 ウルトラセン751(商品名):酢酸ビニル含量28%、MFR(コードD)5.7、融点72℃
(ポリオレフィン系樹脂)
A−3:ダウ・ケミカル製 アフィニティーKC8852(商品名):MFR(コードD)3、融点68℃
(その他)
A−4:住友化学製 ボンドファースト7B(商品名)、物質名:エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸グリシジル共重合物:MFR(コードD)7、融点95℃
(エチレン−酢酸ビニル共重合体)
A−1:旭化成ケミカルズ製 EM7830(商品名):酢酸ビニル含量28%、JIS−K−7210に準じて測定される190℃、2.16kgにおけるMFR(コードD)30g/10分、融点71℃
A−2:東ソー製 ウルトラセン751(商品名):酢酸ビニル含量28%、MFR(コードD)5.7、融点72℃
(ポリオレフィン系樹脂)
A−3:ダウ・ケミカル製 アフィニティーKC8852(商品名):MFR(コードD)3、融点68℃
(その他)
A−4:住友化学製 ボンドファースト7B(商品名)、物質名:エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸グリシジル共重合物:MFR(コードD)7、融点95℃
〔紫外線吸収剤〕
B−1:アデカ製 アデカスタブ1413(商品名)、物質名:2−ヒドロキシ−4−n−オクトシキベンゾフェノン
B−1:アデカ製 アデカスタブ1413(商品名)、物質名:2−ヒドロキシ−4−n−オクトシキベンゾフェノン
〔光安定剤〕
(ヒンダードアミン系光安定剤)
C−1:BASF製 TINUVIN622SF(商品名)、物質名:コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、分子量:3,100〜4,000
C−2:BASF製 CHIMASSORB944LD(商品名)、物質名:ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、分子量:2,000〜3,100
C−3:BASF製 CHIMASSORB2020FLD(商品名)、物質名:N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−N’−[4−[ブチル(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]−1,6−ヘキサンジアミン、分子量:2600〜3400
C−4:日本サイテックインダストリー製 サイアソーブUV−3346(商品名)、物質名:ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、分子量:1,440〜1,760
(その他の光安定剤)
C−5:アデカ製 アデカスタブLA−77Y(商品名)、物質名:ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)バセケート、分子量:480
(ヒンダードアミン系光安定剤)
C−1:BASF製 TINUVIN622SF(商品名)、物質名:コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、分子量:3,100〜4,000
C−2:BASF製 CHIMASSORB944LD(商品名)、物質名:ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、分子量:2,000〜3,100
C−3:BASF製 CHIMASSORB2020FLD(商品名)、物質名:N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−N’−[4−[ブチル(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]−1,6−ヘキサンジアミン、分子量:2600〜3400
C−4:日本サイテックインダストリー製 サイアソーブUV−3346(商品名)、物質名:ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、分子量:1,440〜1,760
(その他の光安定剤)
C−5:アデカ製 アデカスタブLA−77Y(商品名)、物質名:ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)バセケート、分子量:480
〔酸化防止剤〕
D−1:アデカ製 アデカスタブAO−50(商品名)、物質名:3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクタデシルエステル
D−1:アデカ製 アデカスタブAO−50(商品名)、物質名:3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクタデシルエステル
〔有機過酸化物〕
E−1:アルケマ吉富製 ペルタックス101(商品名)、物質名:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
E−1:アルケマ吉富製 ペルタックス101(商品名)、物質名:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
〔シランカップリング剤〕
F−1:信越化学工業社製 KBM−503(商品名)、物質名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
F−1:信越化学工業社製 KBM−503(商品名)、物質名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
〔実施例1〜11、比較例1〜4〕
以下のようにして、実施例1〜11及び比較例1〜4の太陽電池用樹脂封止シートを作製した。得られた実施例1〜11、比較例1〜4の太陽電池用樹脂封止シートに対して、書き方法により生産性評価、耐熱黄変性評価及び耐光性評価を行った。その結果を表1に示す。
以下のようにして、実施例1〜11及び比較例1〜4の太陽電池用樹脂封止シートを作製した。得られた実施例1〜11、比較例1〜4の太陽電池用樹脂封止シートに対して、書き方法により生産性評価、耐熱黄変性評価及び耐光性評価を行った。その結果を表1に示す。
〔太陽電池用樹脂封止シートの作製〕
表1に示す配合組成の樹脂組成物を調製した。Tダイ装着ムサシノキカイ製押出機(単軸、型式:MK−65、L/D:29)を用いて、上記樹脂組成物温度を調整しながら、押出成形をすることにより、厚み600μmの太陽電池用樹脂封止シートを得た。
表1に示す配合組成の樹脂組成物を調製した。Tダイ装着ムサシノキカイ製押出機(単軸、型式:MK−65、L/D:29)を用いて、上記樹脂組成物温度を調整しながら、押出成形をすることにより、厚み600μmの太陽電池用樹脂封止シートを得た。
(電子線照射処理)
得られた太陽電池用樹脂封止シートに対して、「EPS−800」(日新ハイボルテージ(株)製)を用いて加速電圧500kV、照射密度70kGyの条件で電子線照射し、実施例1〜11及び比較例1〜2,4の太陽電池用樹脂封止シートを得た。なお、比較例3は電子線を照射しないで用いた。
得られた太陽電池用樹脂封止シートに対して、「EPS−800」(日新ハイボルテージ(株)製)を用いて加速電圧500kV、照射密度70kGyの条件で電子線照射し、実施例1〜11及び比較例1〜2,4の太陽電池用樹脂封止シートを得た。なお、比較例3は電子線を照射しないで用いた。
〔生産性評価〕
生産性評価は樹脂封止シートを生産する際の吐出量に対し、以下の基準で評価した。なお、ここで「生産可能な最大吐出量」とは、有機過酸化物等の添加剤が分解せずに生産可能な温度で吐出した場合の押出機出口での最大流量をいう。ここで「生産可能な温度」とは、「(1)膜中に100μmを超える未溶融物やゲルなどの異物が5個/m2以下であること。」かつ「(2)押出機出口におけるゲル分率が3%未満であること」を満たす条件で製膜できる温度をいう。「ゲル分率」とは、沸騰p−キシレン中に熱処理した樹脂封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合を下記式で計算することにより算出できる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100。
○:生産可能な最大吐出量が100kg/h以上であったもの。樹脂封止シートの生産性が高いと評価した。
×:生産可能な最大吐出量が100kg/h未満であったもの。樹脂封止シートの生産性が低いと判断した。
生産性評価は樹脂封止シートを生産する際の吐出量に対し、以下の基準で評価した。なお、ここで「生産可能な最大吐出量」とは、有機過酸化物等の添加剤が分解せずに生産可能な温度で吐出した場合の押出機出口での最大流量をいう。ここで「生産可能な温度」とは、「(1)膜中に100μmを超える未溶融物やゲルなどの異物が5個/m2以下であること。」かつ「(2)押出機出口におけるゲル分率が3%未満であること」を満たす条件で製膜できる温度をいう。「ゲル分率」とは、沸騰p−キシレン中に熱処理した樹脂封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合を下記式で計算することにより算出できる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100。
○:生産可能な最大吐出量が100kg/h以上であったもの。樹脂封止シートの生産性が高いと評価した。
×:生産可能な最大吐出量が100kg/h未満であったもの。樹脂封止シートの生産性が低いと判断した。
〔耐熱黄変性評価〕
太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3.2mm)/実施例及び比較例の太陽電池用樹脂封止シート/バックシート(裏面保護材として東洋アルミニウム社製、トーヤルソーラーを使用)の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、5分間真空ラミネートして評価用サンプルを作製した。
太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3.2mm)/実施例及び比較例の太陽電池用樹脂封止シート/バックシート(裏面保護材として東洋アルミニウム社製、トーヤルソーラーを使用)の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、5分間真空ラミネートして評価用サンプルを作製した。
耐熱黄変性試験は、120℃に設定した恒温恒湿槽に1,000時間、評価用サンプルを保持することで行なった。評価用サンプルの試験前後の色彩値(b値)を、JIS Z 8722の色の測定方法に準拠し、コニカミノルタ社製、分光測色計CM−700bを用いて測定し、以下の基準で評価した。なお、この方法では主に高温恒湿下での樹脂封止シートの黄変を評価したことになる。
(評価基準)
○:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0未満であったもの。良好な耐熱黄色性を有すると評価した。
△:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0以上4.0未満であったもの。比較的良好な耐熱黄色性を有すると評価した。
×:試験後のb値の増加が試験前に比べて4.0以上であったもの。樹脂封止シートの黄変が激しいと評価した。
(評価基準)
○:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0未満であったもの。良好な耐熱黄色性を有すると評価した。
△:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0以上4.0未満であったもの。比較的良好な耐熱黄色性を有すると評価した。
×:試験後のb値の増加が試験前に比べて4.0以上であったもの。樹脂封止シートの黄変が激しいと評価した。
〔耐光性評価〕
太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3.2mm)/実施例及び比較例の太陽電池用樹脂封止シート/バックシート(裏面保護材として東洋アルミニウム社製、トーヤルソーラーを使用)の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、5分間真空ラミネートして評価用サンプルを作製した。
太陽電池用ガラス板(AGC社製、白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3.2mm)/実施例及び比較例の太陽電池用樹脂封止シート/バックシート(裏面保護材として東洋アルミニウム社製、トーヤルソーラーを使用)の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、5分間真空ラミネートして評価用サンプルを作製した。
耐光性試験は、オーク製作所社製小型UV照射装置ハンディーUV−300を使用して、UV照射条件として、45mW/cm2でUV照射を100時間することで行なった。評価用サンプルの耐光性試験前後の色彩値(b値)を、JIS Z 8722の色の測定方法に準拠し、コニカミノルタ社製、分光測色計CM−700bを用いて測定し、以下の基準で評価した。なお、この方法では主にガラス板と樹脂封止シートを通過した紫外線による樹脂封止シートとバックシートの黄変を評価したことになる。
(評価基準)
A:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0未満であったもの。最も良好な耐光性を有すると評価した。
B:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0以上4.0未満であったもの。比較的良好な耐光性を有すると評価した。
C:試験後のb値の増加が試験前に比べて4.0以上10.0未満であったもの。最低限度の耐光性を有すると評価した。
×:試験後のb値の増加が試験前に比べて10.0以上であったもの。黄変が激しいと評価した。
(評価基準)
A:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0未満であったもの。最も良好な耐光性を有すると評価した。
B:試験後のb値の増加が試験前に比べて2.0以上4.0未満であったもの。比較的良好な耐光性を有すると評価した。
C:試験後のb値の増加が試験前に比べて4.0以上10.0未満であったもの。最低限度の耐光性を有すると評価した。
×:試験後のb値の増加が試験前に比べて10.0以上であったもの。黄変が激しいと評価した。
表1及の結果から分かるように、実施例1〜9の樹脂封止シートは、電子線照射処理をした後にも、耐光性及び耐熱黄変性のバランスに優れ、また架橋を施すための長時間のキュア工程を必要とせず、且つ太陽電池モジュールを製造する際の隙間埋め性に優れたものであった。
本発明に係る太陽電池用樹脂封止シートは、太陽電池の部材として好適に使用できる。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂100質量部と、紫外線吸収剤と、
分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤0.01質量部以上5質量部以下と、
を含み、
電離性放射線により処理されている、
樹脂封止シート。 - 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びグリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される、少なくとも1種を含む、請求項1に記載の樹脂封止シート。
- 前記ヒンダードアミン系光安定剤が、2量体以上の繰り返し構造を有する、請求項1又は2に記載の樹脂封止シート。
- カップリング剤0.01質量部以上5質量部以下をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂封止シート。
- 前記ヒンダードアミン系光安定剤が、N−アシルヒンダードアミン系化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに1項に記載の樹脂封止シート。
- 架橋剤、架橋助剤、及び酸化防止剤、からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂封止シート。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂封止シートで封止された、太陽電池モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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