JP2011077358A - 樹脂封止シート、これを用いた太陽電池モジュール及び複合材 - Google Patents

樹脂封止シート、これを用いた太陽電池モジュール及び複合材 Download PDF

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Abstract

【課題】接着性を付与するための長時間の熱キュア工程を必要とせず、さらに、モジュールを廃棄する際にガラスやセル等を剥離分別することの可能な、リサイクル性を有する樹脂封止シートを提供すること。
【解決手段】軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、前記樹脂層が、接着性樹脂(シランカップリング剤を除く)と有機過酸化物とを含有する樹脂封止シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂封止シート、これを用いた太陽電池モジュール及び複合材に関する。
近年、世界的な温暖化現象により、環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。
太陽電池発電によるエネルギーは炭酸ガス等の温暖化の原因となるガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が行われており、産業用エネルギーとして注目されている。
太陽電池の代表例としては、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が挙げられる。
太陽電池は、長期間、屋外で風雨に曝されて使用されることが多く、発電部分をガラス板やバックシート等を貼り合わせてモジュール化し、外部からの水分の侵入を防止することにより、発電部分の保護、漏電防止等を図っていた。
発電部分を保護する部材としては、発電に必要な光透過を確保するために光入射側には透明ガラスや透明樹脂を使用している。反対側の部材には、バックシートと言われるアルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やそのシリカ等のバリアーコート加工の積層シートが使用されている。
そして発電素子を樹脂封止シートで挟み込み、ガラスやバックシートでさらに外部を被覆して熱処理を施すことにより樹脂封止シートを溶融し、全体を一体化封止(モジュール化)している。
上述した樹脂封止シートは、次の(1)〜(3)が特性として要求される。すなわち、(1)ガラス、発電素子、バックシートとの良好な接着性、(2)高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電素子の流動防止性(耐クリープ性)、(3)太陽光の入射を阻害しない透明性、である。
このような観点から、樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に、紫外線劣化対策として紫外線吸収剤、ガラスとの接着性向上のためのカップリング剤、架橋のための有機過酸化物等の添加剤を配合し、カレンダー成形やTダイキャストにより製膜されている。
さらに長期に亘って太陽光に曝されることに鑑み、樹脂の劣化による光学特性の低下の防止を図るため耐光剤等の各種添加剤が配合されている。これにより、長期に亘り太陽光の入射を阻害しない透明性を維持している。
上述したような樹脂封止シートにより太陽電池をモジュール化する形態として、ガラス/樹脂封止シート/結晶系シリコンセル等の発電素子/樹脂封止シート/バックシートの順で重ね合わせ、ガラス面を下にして専用の太陽電池真空ラミネーターを用いて、樹脂の溶融温度以上(EVAの場合は150℃の温度条件)で余熱する工程とプレス工程を経て、樹脂封止シートを溶融して貼り合わせる方法がある。
当該方法においては、先ず、余熱工程で樹脂封止シートの樹脂が溶融し、プレス工程で溶融した樹脂に接している部材と密着して真空ラミネートされる。
このラミネート工程においては、(i)樹脂封止シートに含有されている架橋剤、例えば有機過酸化物が熱分解し、EVAの架橋が促進された後、(ii)樹脂封止シートに含有しているカップリング剤が接触している部材と共有結合する。これにより、互いの接着性がより向上し、高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電部分の流動が防止(耐クリープ性)され、ガラス、発電素子、バックシートとの優れた接着性が実現されるのである。
具体的な従来例として、特許文献1には、電子線照射を施したエチレン共重合体からなる太陽電池素子封止材料が開示されている。この封止材料は、有機高分子樹脂封止シートにより構成されており、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体等の樹脂に、シランカップリング剤、酸化防止剤、架橋助剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合し、押出成形にてシーティングした後、電子線照射を施して樹脂封止シートを得、これを発電素子やバックシートと150℃程度で真空ラミネートすることによりモジュールを得ている。
特開2001−119047号公報
しかしながら、従来の封止材料は、シランカップリング剤による接着性を付与するために長時間の熱キュア工程を行う必要があり、太陽電池モジュール等の封止材として用いた場合に生産性に劣るという問題がある。
また、シランカップリング剤は反応性の接着性付与剤であるため、モジュール化後にガラスや発電部分であるセル等を剥離することが困難であり、実質的にセル等のリサイクルは困難である。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、接着性を付与するための長時間の熱キュア工程を必要とせず、さらに、モジュールを廃棄する際にガラスやセル等を剥離分別することの可能な、リサイクル性を有する樹脂封止シートを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、樹脂封止シートを構成する樹脂層に、接着性樹脂と有機過酸化物を含有させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、
前記樹脂層が、接着性樹脂(シランカップリング剤を除く)と有機過酸化物とを含有する樹脂封止シート。
[2]
前記接着性樹脂は、水酸基を持つオレフィン系共重合体、酸性官能基で末端もしくはグラフト変性された変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂を含む、上記[1]記載の樹脂封止シート。
[3]
前記接着性樹脂は、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体である、上記[2]記載の樹脂封止シート。
[4]
前記有機過酸化物は130℃における半減期が1時間以下の有機過酸化物を含む、上記[1]〜[3]のいずれか記載の樹脂封止シート。
[5]
上記[1]〜[4]のいずれか記載の樹脂封止シートを太陽電池の部材保護用の封止材として用いた太陽電池モジュール。
[6]
二枚のガラス板及び/又は樹脂板の間に、上記[1]〜[4]のいずれか記載の樹脂封止シートが挟持された複合材。
本発明によれば、接着性を付与するための長時間の熱キュア工程を必要とせず、さらに、モジュールを廃棄する際にガラスやセル等を剥離分別することの可能な、リサイクル性を有する樹脂封止シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施の形態における樹脂封止シートは、樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、前記樹脂層が、接着性樹脂(シランカップリング剤を除く)と、有機過酸化物とを含有する樹脂封止シートである。
ここで、シランカップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラングリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の不飽和基やエポキシ基を有するものが挙げられる。
本実施の形態における樹脂封止シートは、単層構造、多層構造のいずれであってもよいが、少なくとも上記樹脂層が被封止物に接触する側に設けられているものとする。
本実施の形態における樹脂封止シートを構成する樹脂層に含まれる接着性樹脂としては、特に限定されないが、良好な接着性や光学特性を得る観点から、水酸基を持つオレフィン系共重合体、酸性官能基で末端もしくはグラフト変性された変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましく、中でも、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体がより好ましい。グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体は、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
水酸基を持つオレフィン系共重合体を構成するオレフィンとしては、エチレンが好適である。水酸基は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の酢酸基をケン化して水酸基に置換することにより得られる。水酸基を持つオレフィン系共重合体としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の部分あるいは完全ケン化物が挙げられる。
水酸基を持つオレフィン系共重合体中の水酸基の割合は、樹脂層中において、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜7質量%がより好ましい。水酸基の割合は、前記水酸基をもつオレフィン系重合体の、元のオレフィン系重合体樹脂と、この樹脂のVA%(NMR測定による酢酸ビニル共重合比)と、そのケン化度と、樹脂層中における配合割合とから算出できる。水酸基をもつオレフィン系共重合体中の水酸基の割合を樹脂層中において0.1質量%以上とすることにより良好な接着性が確保できる傾向にあり、10質量%以下とすることによりEVAとの良好な相溶性が確保でき、最終的に得られる樹脂封止シートの白濁化を防止できる傾向にある。
水酸基を持つオレフィン系共重合体の融点は、良好な接着性及び被封止物に対する封止性(隙間埋め性)を確保する観点から、好ましくは70〜115℃、より好ましくは73〜115℃、さらに好ましくは75〜115℃である。
ここで、オレフィン系共重合体の融点は、示差走査熱量計を使用し、樹脂約5mgを0℃から200℃まで20℃/分の速度で昇温させ、200℃で5分間溶融保持した後に−50℃以下まで20℃/分の速度で降温させ、次いで0℃から200℃まで20℃/分で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークをいう。
水酸基を持つオレフィン系共重合体のビカット軟化温度は、良好な接着性及び被封止物に対する封止性(隙間埋め性)を確保する観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは47℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。
ここで、ビカット軟化温度はJIS K7206−1982に従って測定される値である。
水酸基を持つオレフィン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物である場合、ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルの含有量は、良好な光学特性、接着性、及び柔軟性を得る観点から、共重合体全体に対して、10〜40質量%が好ましく、13〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のケン化度は、良好な透明性及び接着性を得る観点から、10〜70%が好ましく、15〜65%がより好ましく、20〜60%が更に好ましい。
次に、ケン化方法について説明する。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のペレットあるいは粉末をメタノール等の低級アルコール中でアルカリ触媒を用いてケン化する方法、トルエン、キシレン、ヘキサンのような溶媒を用いて予めエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解した後、少量のアルコールとアルカリ触媒を用いてケン化する方法等が挙げられる。その他、ケン化した共重合体に水酸基以外の官能基を含有するモノマーをグラフト重合する方法も挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、側鎖に水酸基を有しているため、エチレン−酢酸ビニル共重合体に比較して接着性が向上しており、ガラス、アクリルやポリカーボネート樹脂等のプラスチック、金属、繊維等の接着剤として有用である。また、水酸基の量(ケン化度)を調整することにより、透明性や接着性を制御できる。
酸性官能基で末端もしくはグラフト変性された変性ポリオレフィンとは、例えば、ポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂を、無水マレイン酸、ニトロ基、水酸基、カルボキシ基等の極性基を有する化合物等で末端もしくはグラフト変性したものが挙げられる。中でも、極性基の安定性の観点より、無水マレイン酸で末端もしくはグラフト変性されたマレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。
ここで、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂としては、後述するポリオレフィン樹脂で挙げられているものと同様のものを用いることができる。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体とは、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマーを示し、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。上記化合物は、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
樹脂層を構成する樹脂としては、上述した接着性樹脂のみから構成されていてもよいが、透明性、柔軟性、及び被接着物との接着性の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましい。
上述したエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、エチレンモノマーと、酢酸ビニル、脂肪族不飽和カルボン酸、及び脂肪族不飽和カルボン酸エステル等よりなる群から選択される少なくとも1種類との共重合体である。
共重合体の重合は、高圧法、溶融法等、公知の方法を適用でき、さらにマルチサイト触媒やシングルサイト触媒を用いてもよい。また、重合時における接合形状は、ランダム結合、ブロック結合等のいずれでもよいが、良好な光学特性を得る観点からは、高圧法を用いてランダム結合により重合したエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体が好ましい。
樹脂層を構成する樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の場合、良好な光学特性、接着性、柔軟性を得る観点から、共重合体全体に対する酢酸ビニルの割合は、10〜40質量%が好ましく、13〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の具体例を下記に挙げる。例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAAと記す。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、EMAAと記す。)、エチレン−アクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールの成分より選ばれる。)共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールの成分より選ばれる。)共重合体等が挙げられる。
樹脂層を構成する樹脂としては、上記2成分系のほか、3成分以上の多元共重合体(例えば、エチレンと脂肪族不飽和カルボン酸及び同エステルより適宜選ばれる3元以上の共重合体等)であってもよい。
共重合体中の各種カルボン酸又はカルボン酸エステル基の含有量は、通常3〜35質量%であるものが用いられる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンと他の単量体とのポリエチレン系樹脂、プロピレンの単独重合体又はプロピレンと他の単量体とのポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
エチレンの単独重合体としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と称される。)等が挙げられる。
上記ポリエチレン系樹脂としては、エチレン−α−オレフィン系共重合を含む。エチレン−α−オレフィン系共重合体は、一般的に、シングルサイト系触媒、又はマルチサイト系触媒と呼ばれる触媒を用いて重合できる。特にシングルサイト系触媒により重合したものが好ましい。また、エチレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー、及びオクテンコモノマーから選ばれるいずれか1つのコモノマーが、共重合体材料として好ましい。
ポリエチレン系樹脂の密度は、良好なクッション性を得る観点からは、0.860〜0.920g/cm3の範囲が好ましく、0.870〜0.915g/cm3がより好ましく、0.870〜0.910g/cm3がさらに好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンとブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの3元共重合体等が挙げられる。
これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体等のいずれでもよく、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとのランダム3元共重合体が好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂は、樹脂封止シートの硬さや腰を高めたり、耐熱性を上げたりする等の機能を発揮する。また、ポリプロピレン系共重合体中のプロピレンの含有量は60〜90質量%が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は50質量%程度までの高濃度のゴム成分を均一微分散したものであってもよい。また、ポリプロピレン系共重合体が3元共重合体であり、プロピレン含有量が60〜80質量%、エチレン含有量が10〜30質量%、ブテン含有量が5〜20質量%のものは熱収縮性が向上する傾向にあるため好ましい。
ポリプロピレン系樹脂のJIS−K−7210に準じて測定されるメルトフローレートの値(230℃、2.16kgf)は、0.3〜15.0g/10minが好ましく、0.5〜12g/10minがより好ましく、0.8〜10g/10minがさらに好ましい。
更に、ポリブテン系樹脂は、樹脂封止シートの硬さや腰の調整の他、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が優れているため、ポリプロピレン系樹脂と併用できる。ポリブテン系樹脂としては、ブテン−1含量70モル%以上の、結晶性で、他の単量体(エチレン、プロピレンの他、炭素数5〜8のオレフィン系)の1種又は2種以上との共重合体を含む高分子量のものが用いられる。ポリブテン系樹脂のMFR(190℃、2.16kg)は、通常0.1〜10g/10minのものを用いる。好ましいポリブテン系樹脂としては、ビカット軟化点が40〜100℃の共重合体が挙げられる。ビカット軟化点とは、JIS K7206−1982に従って測定される値である。
本実施の形態における樹脂封止シートは、上記接着性樹脂と共に有機過酸化物を含有している。有機過酸化物としては、100〜130℃における半減期が1時間以下の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が好ましい。
これらの有機過酸化物を用いた樹脂封止シートは、架橋時間を比較的短くでき、且つ、キュア工程を、従来汎用されている100〜130℃における半減期が1時間を超える有機過酸化物を用いた場合と比較して半分程度に短縮できるという利点を有する。
有機過酸化物の含有量は、樹脂層を構成する樹脂に対して0.2〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。有機過酸化物の含有量が0.2質量%未満であると、樹脂の架橋が不十分となり耐熱性に劣る傾向にあり、10質量%を超えると、有機過酸化物の分解物由来のガスが多量に発生し、外観不良となるおそれがある。
有機過酸化物が配合された樹脂封止シートは、ラミネーション時にシートが軟化し、隙間埋めが行われた後に有機過酸化物の分解及び架橋が促進されるため、樹脂のゲル分率が大きくなっても隙間埋め性が阻害されないという利点を有している。
[単層構造]
本実施の形態における樹脂封止シートが単層構造の場合、樹脂層を構成する樹脂としては、上述した接着性樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物よりなる単層構造としてもよいが、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、接着性樹脂と、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を混合した層であることが好ましい。また、後述する電離性放射線を照射して架橋させる場合には、ポリオレフィン樹脂のみの場合よりも極性基を有する樹脂の方が架橋されやすいため、好ましい。
樹脂封止シートを構成する樹脂層に、接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が含有されている構成とする場合は、ケン化度及び含有量は適宜調整でき、これにより被封止物との接着性を制御できる。接着性と光学特性の観点から、ケン化物の含有量は、3〜100質量%が好ましく、3〜60質量%がより好ましく、3〜55質量%がさらに好ましく、5〜50質量%がさらにより好ましい。
[多層構造]
本実施の形態の樹脂封止シートは、少なくとも2層以上の多層構造よりなり、少なくとも1層が、前記接着性樹脂及び有機過酸化物と、必要に応じて電離性放射線架橋型樹脂とを含有する樹脂層であってもよい。
本実施の形態における樹脂封止シートは、2層以上の多層構成とすることができる。多層である場合、上述した接着性樹脂及び有機過酸化物を含有する樹脂層が、被封止物と接触する層(表層)として形成されていることが好ましい。
被封止物と接触する表層の層比率は、良好な接着性を確保する観点から、樹脂封止シートの全厚に対し、少なくとも5%以上の厚さを有していることが好ましい。厚さが5%以上であると、上述した単層の場合と同等の接着性が得られる。
電離性放射線架橋型樹脂としては、後述する電離性放射線により架橋される樹脂であれば特に限定されないが、透明性、柔軟性、及び被接着物との接着性が良好であることが好ましく、かかる観点から、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましい。
ここで、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン樹脂としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
樹脂層中の、接着性樹脂の含有量としては、好ましくは3〜100質量%であり、3〜60質量%がより好ましく、3〜55質量%がさらに好ましく、5〜50質量%がさらにより好ましい。樹脂層中の、電離性放射線架橋型樹脂の含有量としては、好ましくは0〜97質量%であり、40〜97質量%がより好ましく、45〜97質量%がさらに好ましく、50〜95質量%がさらにより好ましい。
表層以外のその他の層には、他の機能を付与することを目的として、樹脂材料、混合物、添加物を選定できる。例えば、新たにクッション性を付与する目的により熱可塑性樹脂を含有する層を設けてもよい。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系、スチレン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ウレタン系、塩素系エチレンポリマー系、ポリアミド系等が挙げられ、生分解性を有したものや植物由来原料系のもの等も含まれる。特に、結晶性ポリプロピレン系樹脂との相溶性がよく、透明性が良好な水素添加ブロック共重合体樹脂、プロピレン系共重合樹脂、エチレン系共重合体樹脂が好ましく、水素添加ブロック共重合体樹脂及びプロピレン系共重合樹脂がより好ましい。
水素添加ブロック共重合体樹脂としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
プロピレン系共重合体樹脂としては、プロピレンとエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。そのエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量は6〜30質量%が好ましい。この炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
プロピレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用できる。エチレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したエチレン系共重合体を使用できる。
被封止物と接触しない層の材料としては、ポリエチレン系樹脂を用いる場合、密度は、適度なクッション性を得る観点より、0.860〜0.920g/cm3が好ましく、0.870〜0.915g/cm3がより好ましく、0.870〜0.910g/cm3がさらに好ましい。密度が0.920g/cm3以上の樹脂層を、被封止物と接触しない層として形成した場合、透明性が悪化する傾向にある。
次に、樹脂封止シート加工性の観点について検討する。良好な加工性を確保する観点から、樹脂封止シートの樹脂層やその他の層を構成する樹脂のMFR(190℃、2.16kg)は、0.5〜30g/10minのものが好ましく、0.8〜30g/10minのものがより好ましく、1.0〜25g/10minのものがさらに好ましい。
2層以上の多層構造の場合、表層に隣接する中層や下層を構成する樹脂のMFRは、樹脂封止シート加工の観点より表層のMFRより低いことが好ましい。
本実施の形態における樹脂封止シートには、特性を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、防曇剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋調整剤等を添加してもよい。
添加方法は、液体の状態で溶融樹脂に添加してもよく、直接、樹脂層に練り込み添加してもよく、シーティング後に塗布してもよく、特に限定されるものではない。特に、長期に亘る透明性や接着性を維持させるため、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を、接着性樹脂を含有する層や、その他の樹脂層に添加することが望ましい。
添加剤の含有量は、樹脂層を構成する樹脂に対して0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系、アミン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系等が挙げられる。
本実施の形態における樹脂封止シートが、太陽電池の樹脂封止シートとして使用される場合は、高温下における耐熱性が要求されるため、上記樹脂層やその他の層は、架橋されていることが好ましい。
架橋方法としては、電離性放射線の照射や、パーオキサイド等の有機過酸化物の利用する方法等、従来公知の方法が挙げられる。
電離性放射線の照射により架橋させる場合は、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を樹脂封止シートに照射し、架橋させる方法が挙げられる。電子線等の電離性放射線の加速電圧は、樹脂封止シートの厚さにより選択すればよく、例えば、500μmの厚さの場合、全層を構成する樹脂を架橋するときには、加速電圧として300kV以上が必要である。
電子線等の電離性放射線の加速電圧は、架橋処理を施す樹脂層に応じて適宜調節が可能であり、電離性放射線の照射線量は使用される樹脂によって異なるが、一般的に3kGy未満の場合、均一な架橋樹脂封止シートが得られない傾向にある。一方、電離性放射線の照射量が500kGyを越えると、樹脂封止シートのゲル分率が大きくなりすぎ、太陽電池セルに用いる場合に、凹凸段差や隙間の埋め込み性が確保できないおそれがある。電離性放射線の加速電圧や照射線量は所望のゲル分率を得るため適宜調節することが好ましい。架橋は、ゲル分率を測定することにより評価できる。
本実施の形態における樹脂封止シートの樹脂層のゲル分率は、2〜65質量%が好ましく、3〜65質量%がより好ましく、3〜60質量%がさらに好ましい。
上記ゲル分率を達成するためには、電離性放射線の照射量の他、樹脂種類による架橋度合いの違いや、転移化剤等による架橋促進や、架橋抑制の効果を利用してもよい。
例えば、オレフィン系共重合体のケン化物、エチレンモノマーと酢酸ビニル、脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸エステル等の極性基を有する樹脂を表層とし、線状低密度密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と呼ばれているもの)樹脂を中層とした場合は、全層透過させるために十分な加速電圧であっても表層のゲル分率は高く、中層のゲル分率は低くできる。
更に、加速電圧を調整することによって、中層の線状低密度密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と呼ばれているもの)樹脂層を架橋しない未架橋層として構築しつつ、電子線照射による架橋加工処理をすることができる。また、中層としてポリプロピレン系樹脂を配した場合は、ポリプロピレン系樹脂は電子線等によって架橋しないため、未架橋層を構築できる。
架橋剤としては、有機過酸化物が挙げられ、これを樹脂中に配合し、あるいは含浸させて熱架橋を行う。この場合、100〜130℃における半減期が1時間以下の有機過酸化物を用いることが好ましい。
[樹脂封止シートの製造方法]
樹脂封止シートの製造方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、樹脂を押出機で溶融し、ダイより溶融樹脂を押出し、急冷固化して原反を得る。押出機としては、Tダイ、環状ダイ等が用いられる。樹脂封止シートが多層構造である場合には、環状ダイが好ましい。
原反の表面には、最終的に目的とする樹脂封止シートの形態に応じてエンボス加工処理を施してもよい。例えば、両面にエンボス加工処理を行う場合には、2本の加熱エンボスロール間に、片面エンボス加工処理を行う場合には、片方のみ加熱されたエンボスロール間に、前記原反を通過させることによりエンボス加工処理を施すことができる。
樹脂封止シートが多層構造の場合、多層Tダイ法、多層サーキュラーダイ法が好適であり、その他公知のラミネート方法によって多層構造を形成してもよい。
続いて、最終的に目的とする樹脂封止シートに応じて任意の後処理を行う。後処理としては、例えば、寸法安定化を図るヒートセット、コロナ処理、プラズマ処理や、他の樹脂封止シート等とのラミネーション等が挙げられる。
樹脂封止シートを構成する樹脂層に対する架橋処理、すなわち電離性放射線照射処理や有機過酸化物の利用等による熱処理は、それぞれの場合に応じてエンボス加工処理の前工程又は後工程として行うか選定する。
次に、樹脂封止シートの光学特性について説明する。光学特性の指標としてはヘイズ値が用いられる。ヘイズ値は所定の光学測定機械により測定される。ヘイズ値が10.0%以下であると樹脂封止シートにより封止された被封止物を外観上確認でき、太陽電池の発電素子を封止した場合にも実用上十分な発電効率が得られるため好ましい。このような観点から、ヘイズ値は9.5%以下が好ましく、9.0%以下がより好ましい。
本実施の形態における樹脂封止シートは、太陽電池の発電素子の封止材として使用した場合に、実用上十分な発電効率を確保するために、全光線透過率は85%以上であることが好ましく、87%以上がより好ましく、88%以上がさらに好ましい。
本実施の形態における樹脂封止シートは、厚さが50〜1500μmであることが好ましく、100〜1000μmがより好ましく、150〜800μmがさらに好ましい。厚さが50μm未満であると、構造的にクッション性が乏しい場合や作業性の観点で、耐久性や強度に問題が生ずる。一方、厚さが1500μmを超えると、生産性の低下や密着性の低下を招来するという問題が生じる。
本実施の形態における樹脂封止シートは、樹脂層の軟化状態を利用して封止するものである。樹脂の軟化状態は、直接熱エネルギーを与えたり、樹脂に固有の振動を与えて樹脂自身を発熱させたりすることにより作り出すことができる。なお、樹脂にエネルギーを与える方法としては、直接熱を与える方法の他、輻射熱等の間接熱や超音波等の振動発熱等の公知の方法も適用できる。
本実施の形態における樹脂封止シートは、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための封止材として有効である。すなわち透明性や耐クリープ特性に優れ、かつ被封止物との接着性が良好であり、用途に応じて接着性の制御を行うことができる。また、太陽電池を構成するガラス板や、アクリルやポリカーボネート等の樹脂板に対しても安定的に強固な接着性を発揮する。本実施の形態における樹脂封止シートを用いることにより、太陽電池用ガラス自身や各種配線や発電素子等、凹凸を有している各種部材を確実に隙間なく封止できる。
本実施の形態のおける樹脂封止シートは、太陽電池用の封止シートとして使用できる他、LEDの封緘、合わせガラスや防犯ガラスの中間膜等、プラスチックとガラス、プラスチック同士、ガラス同士の接着等にも使用することができる。ここで、樹脂封止シートを合わせガラスの中間膜として用いる場合には、例えば、2枚のガラス板及び/又は樹脂板の間に樹脂封止シートを挟持することで、複合材を得ることができる。
また、本実施の形態における樹脂封止シートを構成する樹脂層においては、シランカップリング剤を用いていないため、樹脂劣化や樹脂の分解の軽減が図られ、剥離や着色が抑制できる傾向にある。
さらに、本実施の形態における樹脂封止シートは、被封止物との接着性や樹脂封止シートの架橋条件を制御することにより、廃棄の際にはガラスや素子等の部材と剥離分別することが容易になり優れたリサイクル性を発揮できる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例1〜5及び比較例1〜4においては、所定の内層を2枚の表面層で挟み込み多層構造を有する樹脂封止シートを作製した。
実施例及び比較例における各物性の測定方法及び評価方法は以下の通りである。
<ゲル分率(ガラス貼り合せ後)>
ゲル分率については、沸騰p−キシレン中で、樹脂封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合を下記式により求めた。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
なお、ガラス貼り合せ時の熱履歴を考慮し、測定サンプルを予めLM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、10分間真空ラミネートして熱履歴を与えた。
<エチレン系重合体のVA>
JIS−K−7129に準拠して測定した。
<MFR>
JIS―K−7210に準拠して測定した。
<融点(mp)>
ティーエイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、樹脂約8〜12mgを0℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温させ、200℃で5分間溶融保持した後に−50℃以下まで急冷し、次いで0℃から200℃まで10℃/分で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度を融点とした。
<耐ガラス剥離強度>
太陽電池用ガラス板(AGC社製白板ガラス10cmX5cm角、厚さ3mm)/樹脂封止シート/バックシート(東洋アルミニウム社製、トーヤルソーラー)の順に重ね、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、10分間および20分間真空ラミネートして剥離強度測定用サンプルを作成した。そのラミネートサンプルを東洋ボールドイン社製の「テンシロンUMT−II−500型」を用いて、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、ガラスと封止シート間の剥離強度を測定した。なお、引張速度は200mm/分、剥離角度は180度とし、強度が定常状態の達したときの値を剥離強度の値とした。
<耐熱性>
太陽電池用ガラス板(AGC社製白板ガラス5cmX10cm角:厚さ3mm)/樹脂封止シート/発電部分(単結晶シリコンセル(厚さ250μm)/樹脂封止シート/太陽電池用ガラス板の順に重ね、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて150℃にて5分間脱気後、10分間真空ラミネートし、積層サンプルを作成した。次にサンプルの一方のガラス板を85℃に設定した恒温槽の壁面に固定し、24時間放置し、他方のガラス板とのズレを測定した。
〇:ガラス板のズレがほぼなし。
×:ガラス板のズレが3mm以上。
<リサイクル性>
耐熱性評価にて作製した積層サンプルを150℃にて5分間加熱し、ガラスと樹脂封止シート手で剥離し、リサイクル性の評価を行った。
〇:ガラス板と樹脂封止シートが剥がれる
×:ガラス板と樹脂封止シートが剥がれない
実施例及び比較例において用いた各材料は以下の通りである。
<樹脂>
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
東ソー社製 ウルトラセン751(VA=28質量%、MFR=5.7、融点72℃)
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVAケン化物)
東ソー社製 メルセン6410(VA=28質量%、MFR=5.7、ケン化度10%、融点92℃)
(3)エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体(EVA−GMA共重合体)
住友化学製 ボンドファースト7B(VA=5質量%、グリシジルメタクリレート=12質量%、MFR=7、融点=92℃)
<有機過酸化物>
アルケマ吉富社製 ルペロックス101
アルケマ吉富社製 ルペロックスTBEC
<シランカップリング剤>
信越化学社製 KBM503
以下、実施例1〜5及び比較例1〜4の樹脂封止シートの製造方法について示す。
<実施例1〜5>
表1に示す材料及び組成比(単位は質量部)で樹脂封止シートを製造した。
2台の押出機(表面層押出機、内層押出機)を使用して樹脂を溶融し、その押出機に接続された環状ダイから樹脂をチューブ状に溶融押出し、溶融押出にて形成されたチューブを水冷リングを用いて急冷することにより実施例1〜5の樹脂封止シートを得た。
有機過酸化物を導入するにあたっては導入する樹脂にあらかじめ5質量%程度の濃度のマスターバッチを作成し、配合したい量に希釈して使用した。
得られた実施例1〜5の樹脂封止シートに対して、ゲル分率、耐ガラス剥離強度、耐熱性、リサイクル性を評価した。評価結果を表1に示す。
<比較例1〜4>
表1に示す材料及び組成比で、実施例と同様の方法により樹脂封止シートを製造した。有機過酸化物及び/又はシランカップリング剤を導入するにあたっては、導入する樹脂にあらかじめ5質量%程度の濃度のマスターバッチを作成し、配合したい量に希釈して使用した。
得られた比較例1〜4の樹脂封止シートに対して、ゲル分率、耐ガラス剥離強度、耐熱性、リサイクル性を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2011077358
表1の結果から分かるように、本実施の形態の樹脂封止シート(実施例1〜5)は、接着性樹脂が配合されているため、10分、30分間ラミネートした場合の接着強度がともに高く、生産性に優れ、且つ耐熱性、リサイクル性にも優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、
    前記樹脂層が、接着性樹脂(シランカップリング剤を除く)と有機過酸化物とを含有する樹脂封止シート。
  2. 前記接着性樹脂は、水酸基を持つオレフィン系共重合体、酸性官能基で末端もしくはグラフト変性された変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂を含む、請求項1記載の樹脂封止シート。
  3. 前記接着性樹脂は、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体である、請求項2記載の樹脂封止シート。
  4. 前記有機過酸化物は130℃における半減期が1時間以下の有機過酸化物を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂封止シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂封止シートを太陽電池の部材保護用の封止材として用いた太陽電池モジュール。
  6. 二枚のガラス板及び/又は樹脂板の間に、請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂封止シートが挟持された複合材。
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