JP2014015544A - エチレン−酢酸ビニル共重合体シート、並びにこれを用いた合わせガラス用中間膜、合わせガラス、太陽電池用封止膜及び太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体シートであって、当該組成物が、更に、(メタ)アクリル酸グリシジル由来のモノマーの繰り返し単位と1種又は2種以上の他のモノマーの繰り返し単位とを有し、前記モノマーの繰り返し単位がランダム又は規則的な繰り返し単位である共重合体を含むことを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、並びにこれを用いた合わせガラス及び太陽電池。
【選択図】なし
Description
当該組成物が、更に、(メタ)アクリル酸グリシジル由来のモノマーの繰り返し単位と1種又は2種以上の他のモノマーの繰り返し単位とを有し、前記モノマーの繰り返し単位がランダム又は規則的な繰り返し単位である共重合体を含むことを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体シートによって達成される。これは上記共重合体の(メタ)アクリル酸グリシジル由来のモノマーの繰り返し単位のエポキシ基によって、酢酸成分の捕捉、及び水素結合、架橋反応による接着力の向上等の効果が生じるものと考えられる。この共重合体は、金属酸化物等の受酸剤粒子と異なり、透明性に影響し難い。また、ポリマーであることによりEVA組成物からのブリードアウト(添加剤の浸み出し)が防止され、上記効果が十分に発揮されるものと考えられる。
(2)前記共重合体における1種又は2種以上の他のモノマーが、(メタ)アクリル系モノマー又はスチレン系モノマーである。
(3)前記(メタ)アクリル系モノマーが、下記式(I):
(4)前記組成物中の前記共重合体の含有量が、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0.3〜4.0質量部である。
(5)前記組成物が、更に架橋剤を含む。
(6)前記エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを、温度120℃、相対湿度100%の環境下に240時間放置したとき、当該シート中の酢酸発生量が600ppm以下である。酢酸発生量が十分に抑制されたEVAシートであるといえる。
(7)温度63℃、相対湿度53%の環境下で(JIS C 8917に準拠)、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体シートに対して、1000W/m2の放射照度で200時間紫外線を照射後、JIS K 7105に準拠して測定した当該シートの黄色度(YI)が、2.0以下である。十分に黄変が抑制されたEVAシートであるといえる。
(8)合わせガラス用中間膜又は太陽電池用封止膜である。本発明のEVAシートは、長期間使用した場合でも、湿熱環境下における酢酸発生量が抑制され、且つ透明性や接着力の低下が抑制されているので、これらの用途に最適である。
本発明のEVAシートの組成物に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)における酢酸ビニルの含有量は、EVA100質量部に対して20〜35質量部、さらに22〜30質量部、特に24〜28質量部とするのが好ましい。EVAの酢酸ビニル単位の含有量が低い程、得られる封止膜が硬くなる傾向がある。酢酸ビニルの含有量が低すぎると、高温で架橋硬化させる場合に、得られる封止膜の透明性が充分でない恐れがある。また、酢酸ビニル含有量が高過ぎると封止膜の硬さが不十分となる場合があり、酢酸発生量が多くなる恐れもある。
本発明のEVAシートの組成物においては、更に架橋剤を含有させ、EVAの架橋構造を形成させることが好ましい。架橋剤は、有機過酸化物又は光重合開始剤を用いることが好ましい。なかでも、接着力、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
本発明のEVAシートの組成物は、必要に応じて、さらに架橋助剤を含んでいてもよい。架橋助剤は、EVAのゲル分率を向上させ、シートの接着性及び耐久性を向上させることができるものである。
本発明のEVAシートの組成物は、更に、接着向上剤を含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、更に優れた接着力を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体シートとすることができる。前記シランカップリング剤としては、前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
本発明のEVAシートの組成物は、シートの種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
上述した本発明のEVAシートを形成するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、上記の各材料をスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合した組成物を通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法により製造することができる。また、前記組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。なお、製膜時の加熱温度は、特に架橋剤として有機過酸化物を使用する場合、有機過酸化物が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、50〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。EVAシートの厚さは、特に制限されず、用途によって適宜設定することができる。一般に、50μm〜2mmの範囲である。
きる。上記条件でEVAシート中の酢酸発生量が600ppm以下であることが好ましい。この酢酸発生量であれば、湿熱環境下における酢酸発生量が十分に抑制されたEVAシートであるといえる。
本発明のEVAシートは、被接着体を強固に接着させる用途であれば、どのような用途に用いても良い。特に、湿熱環境下における酢酸の発生が抑制され、且つ透明性や接着性の低下が抑制されているので、合わせガラス用中間膜又は太陽電池用封止膜として好ましく使用することができる。
表1に示す各材料を各配合量でロールミルに供給し、70〜100℃で、混練してEVAシートの組成物を調製した。前記太陽電池用封止膜の組成物を、70〜100℃で、カレンダ成形し、放冷後、EVAシート(厚さ;0.5mm)を作製した。
(1)酢酸発生量
ガラス板(FLガラス:厚さ3mm)、上記で作製した各EVAシート、及びAl蒸着したポリフッ化ビニル樹脂フィルム(厚さ200μm)をこの順で積層し、真空ラミネーターにて100℃で仮圧着した後、オーブンに入れ、温度150℃、30分間加熱しEVAシートを架橋硬化させ、モジュールサンプルとした。
次いで、上記モジュールサンプルを温度121℃、湿度100RHの環境下で240時間放置した(飽和加圧蒸気試験)。
その後、モジュールからEVAシートを取り出し、その1.0gを、室温(25℃)のアセトン(2.0ml)に24時間以上浸漬し、アセトン抽出液に含まれる酢酸量(ppm)を、ガスクロマトグラフを用いて定量した。
2枚の白ガラス板(50mm×50mm×厚さ3mm)の間に、上記で作製した各EVAシートを挟持し、真空ラミネーターで真空脱気し、100℃、10分間仮圧着した後、さらにオーブンに入れ、温度150℃、30分間加熱しEVAシートを架橋硬化させた。
得られたサンプルについて、カラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて、JISK 7105に準拠して黄色度(YI)を測定した。
また、紫外線照射による黄変性を調べるため、温度63℃、相対湿度53%の環境下で(JIS C 8917に準拠)、1000W/m2の放射照度で200時間紫外線を照射後、同様に黄色度(YI)を測定した。照射前後の黄色度の差を黄変度(ΔYI)とした。
(2)と同様に、架橋硬化EVAシートサンプルを作製し、ヘイズメータ(スガ試験機社製)を用いて、JIS K 7136に準拠してヘイズ値(%)を測定した。
湿熱環境下におけるヘイズ値の変化を調べるため、架橋後のサンプルを温度85℃、湿度85%RHの環境下で3000時間放置後に、同様にヘイズ値を測定した。
(2)と同様に架橋硬化EVAシートサンプルを作製し、分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用いて400〜1000nmのスペクトル測定を実施し、その平均値を光線透過率(%)とした。
湿熱環境下における光線透過率の変化を調べるため、架橋後のサンプルを温度85℃、湿度85%RHの環境下で3000時間放置後に、同様に光線透過率を測定した。
ガラス接着力は180°ピール試験(JIS K 6584、1994年)により評価した。180°ピール試験は、具体的には、下記手順に従った(図3参照)。
評価結果を表1に示す。
12 合わせガラス用中間膜
21 表面側透明保護部材
22 裏面側保護部材
23A 表面側封止膜
23B 裏面側封止膜
24 太陽電池用セル
31 ガラス基板
33 EVAシート
Claims (12)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体シートであって、
当該組成物が、更に、(メタ)アクリル酸グリシジル由来のモノマーの繰り返し単位と1種又は2種以上の他のモノマーの繰り返し単位とを有し、前記モノマーの繰り返し単位がランダム又は規則的な繰り返し単位である共重合体を含むことを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。 - 前記共重合体の重量平均分子量が、重量平均分子量5000以上である請求項1に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 前記共重合体の重量平均分子量が、10000〜100000である請求項1又は2に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 前記共重合体における1種又は2種以上の他のモノマーが、(メタ)アクリル系モノマー又はスチレン系モノマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 前記組成物中の前記共重合体の含有量が、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0.3〜4.0質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 前記組成物が、更に架橋剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを、温度120℃、相対湿度100%の環境下に240時間放置したとき、当該シート中の酢酸発生量が600ppm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 温度63℃、相対湿度53%の環境下で(JIS C 8917に準拠)、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体シートに対して、1000W/m2の放射照度で200時間紫外線を照射後、JIS K 7105に準拠して測定した当該シートの黄色度(YI)が、 2.0以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 合わせガラス用中間膜又は太陽電池用封止膜である請求項1〜9のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シート。
- 2枚の透明基板の間に請求項に請求項1〜9のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シートが挟持され、これらが接着一体化されてなることを特徴とする合わせガラス。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体シートにより太陽電池素子を封止してなることを特徴とする太陽電池。
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