JP2011116014A - 太陽電池封止シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性に優れるだけでなく、シートへのエンボス形状の転写性に優れた、太陽電池封止シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】表面の少なくとも一部にエンボス加工が施された太陽電池封止シートの製造方法であって、樹脂又は樹脂組成物をTダイ(104)で溶融押出して溶融シートとし、前記溶融シートを、表面が平滑であるキャスティングロール(106)を用いて冷却することで、15m/分以上の製膜速度で平滑シートを得る製膜工程と、前記平滑シートを加熱することで軟質化させ、前記軟質化された平滑シートをエンボスロール(116)に接触させることよって、前記平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施すエンボス工程と、前記エンボス加工が施された平滑シートを冷却する冷却工程と、を含む太陽電池封止シートの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池封止シートの製造方法に関し、より詳しくは表面の少なくとも一部にエンボス加工が施された太陽電池封止シートの製造方法に関する。
太陽電池発電によるエネルギーは炭酸ガス等の温暖化の原因となるガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が行われており、産業用エネルギーとしても注目されている。太陽電池は、長期間、屋外で風雨に曝されて使用されることが多く、発電部分をガラス板やバックシート等を貼り合わせてモジュール化し、外部からの水分の浸入を防止し、発電部分の保護や漏電防止等を図っている。発電部分を保護する部材には、発電に必要は光透過性を確保するために、光入射側に透明ガラスや透明樹脂を使用している。反対側の部材には、バックシートといわれる、アルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やそのシリカ等のバリアーコート加工の積層シートを使用している。そして、発電素子を太陽電池封止シートで挟み込み、全体を一体化封止(モジュール化)している。
上述した太陽電池封止シートは、以下の(1)〜(3)が特性として要求される。すなわち、(1)ガラス、発電素子、バックシートとの良好な接着性、(2)高温状態での太陽電池封止シートの溶融に起因する発電素子の流動防止性(耐クリープ性)、(3)太陽光の入射を阻害しない透明性、である。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという場合もある。)に、紫外線劣化対策として紫外線吸収剤、ガラスとの接着性向上のためのカップリング剤、架橋のための有機過酸化物、等を配合して、カレンダー成形やTダイキャストにより製膜したものが、太陽電池封止シートとして用いられている。また、上記特性を発揮しうる封止シートとして、その表面にエンボス加工が施された太陽電池封止シートが検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1には、エチレン系共重合体及び有機過酸化物の含有成形材料から形成され、その両面にエンボス模様が施されている太陽電池モジュール用充填接着材シートが開示されている。その製造方法として、成形材料を有機過酸化物が実質的に分解しない温度でTダイ押出機から溶融ウェブとして押出し、エンボス加工された剥離紙と共に、エンボス模様を刻設した冷却ロールと圧着ゴムロールとの間を通して圧着し、冷却固化させる方法が開示されている。特許文献2には、エチレン−酢酸ビニル共重合体シートからなり、その表面にエンボスロールによってエンボス加工が施された太陽電池モジュール用封止材が開示されている。
特公平1−52428号公報 特開2002−134768号公報
しかしながら、エンボス加工が施された太陽電池封止シートの製造技術については、未だ改善の余地がある。例えば、特許文献1に開示されているように、Tダイから押出された溶融シートを、エンボス模様を刻設した冷却ロールと圧着ゴムロールとの間を通して圧着し、冷却固化させる方法等が多く採用されている。この方法によれば、冷却ロールがエンボスロールとしても機能するため、溶融シートをキャスティングすると同時にエンボス加工を施すことができるが、生産ラインにおける太陽電池封止シートの製膜速度を高速にすることができず、生産性が良好であるとはいえない。また、かかる方法では太陽電池封止シートを大量生産することができたとしても、シートへのエンボス形状の転写性(転写精度)が低く、微細なエンボス加工を均一に施すことが困難であるという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、生産性に優れるだけでなく、シートへのエンボス形状の転写性に優れた、太陽電池封止シートの製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂又は樹脂組成物をTダイで溶融押出して溶融シートとし、前記溶融シートを、搬送速度15m/分以上で、対向配置されたキャスティングロールとバックアップロールとの隙間に導入して押圧し、冷却することで、平滑シートを得る製膜工程と、前記平滑シートを加熱することで軟質化させ、前記軟質化された平滑シートをエンボスロールに接触させることよって、前記平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施すエンボス工程と、前記エンボス加工が施された平滑シートを冷却する冷却工程と、を含む、太陽電池封止シートの製造方法とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
表面の少なくとも一部にエンボス加工が施された太陽電池封止シートの製造方法であって、
樹脂又は樹脂組成物をTダイで溶融押出して溶融シートとし、前記溶融シートを、表面が平滑であるキャスティングロールを用いて冷却することで、15m/分以上の製膜速度で平滑シートを得る製膜工程と、
前記平滑シートを加熱することで軟質化させ、前記軟質化された平滑シートをエンボスロールに接触させることよって、前記平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施すエンボス工程と、
前記エンボス加工が施された平滑シートを冷却する冷却工程と、
を含む、太陽電池封止シートの製造方法。
〔2〕
前記製膜工程の後に、前記平滑シートをアニールするアニーリング工程をさらに含む、〔1〕に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
〔3〕
前記エンボス工程において前記平滑シートを軟質化させるための加熱を、前記製膜工程において発生した熱を少なくとも用いて行う、〔1〕に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
〔4〕
前記エンボス工程において前記平滑シートを軟質化させるための加熱を、前記アニーリング工程で用いる熱源から発生した熱を少なくとも用いて行う、〔2〕又は〔3〕に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
〔5〕
前記製膜工程において、前記キャスティングロールの近傍にバキュームチャンバーを配置することで、前記キャスティングロールの表面に前記溶融シートを密着させる、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
〔6〕
前記アニーリング工程で用いられる熱源が、加熱ロール、赤外線ヒーター、及び熱風からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、〔2〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
〔7〕
前記製膜工程と前記アニーリング工程との間に、前記平滑シートの少なくとも一方の端部をカットするトリミング工程をさらに含む、〔2〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
〔8〕
前記太陽電池封止シートの表面のエンボス形状の深さが、30μm〜400μmである、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
本発明によれば、生産性に優れるだけでなく、シートへのエンボス形状の転写性に優れた、太陽電池封止シートの製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係る太陽電池封止シートの製造方法の第1の実施形態の概略説明図である。 本実施の形態の製造方法において施すエンボス形状の一例を示す概略図である。 図2のA−A’線に沿う断面図である。 本実施の形態の製造方法において施すエンボス形状の別の一例を示す概略図である。 図4のB−B’線に沿う断面図である。 本実施の形態に係る太陽電池封止シートの製造方法の第2の実施形態の概略説明図である。 比較例1〜3の製造方法の概略説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施の形態に係る太陽電池封止シートの製造方法の第1の実施形態の概略説明図である。本実施の形態に係る太陽電池封止シートの製造方法は、表面の少なくとも一部にエンボス加工が施された太陽電池封止シートの製造方法であって、
樹脂又は樹脂組成物をTダイ104で溶融押出して溶融シートとし、前記溶融シートを、表面が平滑であるキャスティングロール106を用いて冷却することで、15m/分以上の製膜速度で平滑シートを得る製膜工程と、
前記平滑シートを加熱することで軟質化させ、前記軟質化された平滑シートをエンボスロール116に接触させることよって、前記平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施すエンボス工程と、
前記エンボス加工が施された平滑シートを冷却する冷却工程と、
を含む。
上記した製膜工程、エンボス工程、及び冷却工程を経ることで、表面にエンボス加工が施された太陽電池封止シートを、生産性よく得ることができる。また、微細なエンボス形状を太陽電池封止シートに付与できるため、耐ブロッキング性に優れる。以下、各工程について詳述する。
(製膜工程)
樹脂又は樹脂組成物を、第1の押出機102a、第2の押出機102b、及び第3の押出機102cに、それぞれ樹脂や添加剤等を投入し、Tダイ104で溶融押出しすることで溶融シートとすることができる。樹脂又は樹脂組成物の成分については特に限定されず、製造する太陽電池封止シートの成分に基づいて配合することができる。また、押出機の数も限定されず、製造する太陽電池封止シートの層構造等を考慮して適宜に選択することができる。例えば、表層/内層/表層の3層構造の太陽電池封止シートを製造する場合、3台の押出機102a,102b,103cをTダイ104に接続して溶融押出しすることで、3層構造の平滑シートを得ることができる。太陽電池封止シートの具体的な材料や層構造については後述する。
Tダイ104の種類については、特に限定されず、公知のものを用いることができ、単層Tダイ、多層Tダイのいずれでもよい。例えば、多層構造の太陽電池封止シートを製造する場合には、層厚み精度の観点から、マルチマニホールドダイ、1点合流多層ダイ等を用いることが好ましい。
溶融シートをキャスティングロール106により冷却し、平滑シートを得る。キャスティングロール106は、その表面が平滑であればよく、例えば、鏡面ロール、メッキロール、深さが浅い梨地ロール等を用いることができる。本実施の形態において、キャスティングロール106は、エンボス加工を行うことを目的としないロールである。例えば、上記深さが浅い梨地ロールは、エンボス形状を賦形することを目的とするロールではなく、溶融シートとの当接する表面積を軽減することでキャスティングロール106に溶融した樹脂(あるいは樹脂組成物)が付着することを効果的に抑制できる。
エンボス加工が施された太陽電池封止シートの従来の製造方法では、エンボス形状に対応する凹凸形状が表面に形成されたキャスティングロールを後述するエンボスロールとして用いることで、溶融シートの冷却とエンボス加工を同時に行うことが主流である。しかし、なぜか、得られる長尺のエンボスシートの膜厚が均一でなく、付与したエンボス形状の転写精度が低いため、シート表面のエンボス形状が潰れてしまったり、転写するエンボス形状が制限されたりするという問題があった。膜厚が不均一な太陽電池封止シートで発電素子をラミネートすると発電セルがクリープしてしまう場合がある。また、エンボス形状の転写が不十分な太陽電池封止シートは十分な耐ブロッキング性が得られないという問題がある。さらに、キャスティングの際にエンボス形状を転写する必要があるため、キャスティングロールの周速度を低速にする必要があり、これが製膜速度を低速にする必要があるため、生産性が低いという問題もある。さらに、を用いる必要があるため、経済性が低いという問題もある。
上記したような問題について、本発明者らが鋭意検討した結果、意外にも、溶融シートを冷却すると同時にエンボス加工を行うことが原因の1つであることを突き止めた。その理由としては定かではないが、キャスティングロールの表面に形成された凹凸形状のために、溶融シートをキャスティングロールの表面に十分に密着させることができないからではないかと考えられる。本実施の形態の製造方法では、表面が平滑なキャスティングロールを用いて平滑シートを製膜し、その後エンボス加工を施すことで、エンボス形状の転写精度が高い太陽電池封止シートを、高速の製膜速度で得ることができる。また、本実施の形態では、エンボス加工の際に必ずしも剥離紙を用いる必要がないため、経済性をさらに向上させることもできる。
キャスティングロール106を用いて溶融シートを冷却する冷却条件は、特に限定されず、Tダイ104から溶融押出しされた溶融シートの表面温度よりも低い温度に冷却することができればよく、キャスティングロール106での冷却条件を調整することで、溶融シートの流れ方向における残留応力を制御することができる。シート内部に残存する応力等による歪みを抑制する観点から、徐々に冷却する(徐冷)ことが好ましい。
図示はしないが、複数のキャスティングロールを用いて、溶融シートを段階的に冷却してもよい、例えば、第1のキャスティングロールに溶融シートを接触させることで一次冷却し、第1のキャスティングロールの後続に配置された第2のキャスティングロールに溶融シートを接触させることで二次冷却するようにしてもよい。
本実施の形態では、製膜速度15m/分以上で太陽電池封止シートを製造することができる。ここで、製膜速度とは、Tダイから溶融シートを押出して巻き取るところまでの速度をいう。従来法では、このような高速で製膜した場合、シートに対するエンボス形状の賦形が不十分(転写性が低い)であったり、残存応力が残ってしまうので収縮率が高くなったりするという問題や、エンボスの形状がきれいに転写されない問題があった。本実施の形態では、このような高速の製膜速度であっても、エンボス形状の転写精度が高く、微細かつ複雑なエンボス形状であっても転写することができる。製膜速度の下限値は、15m/分以上であればよく、生産性の観点から、好ましくは15m/分以上、より好ましくは18m/分以上である。また、製膜速度の上限値は、残存応力の除去とエンボス形状付与の観点から、好ましくは30m/分以下、より好ましくは25m/分以下である。
本実施の形態では、キャスティングロール106の表面に溶融シートを密着させる密着補助手段を設けることが好ましい。密着補助手段としては、特に限定されず、溶融シートの成形温度や大きさ、樹脂又は樹脂組成物の種類等を考慮して選択でき、例えば、バキュームチャンバー、エアーチャンバー、エアーナイフ、バックアップロール等が挙げられる。これらの中でも、バキュームチャンバーを用いることがより好ましい。バキュームチャンバー108で減圧することにより、キャスティングロール106の表面に溶融シートを吸引密着させることができ、溶融シートのネックイン(ダイ幅等に対してシート幅が狭くなる現象)を抑制することができる。バキュームチャンバー108の構造や配置は特に限定されないが、例えば、キャスティングロール106の表面の近傍にバキュームチャンバー108を配置する構成が挙げられる。
製膜工程では、キャスティングロール106以外の他の冷却手段を併用してもよい。他の冷却手段としては、例えば、空冷、水冷等が挙げられる。
(トリミング工程)
製膜工程の後に、平滑シートの少なくとも一方の端部をカットするトリミング工程を行うことが好ましい。トリミングの方法は、特に限定されず、例えば、表面の少なくとも一方の端部の周方向に沿って配置された切断刃を備えたトリムロール110を用いることにより、平滑シートの少なくとも一方をカットする方法等が挙げられる。トリミング工程を行うことで、平滑シートの端部を処理することができる。製膜工程で得られた平滑シートの端部の厚さが厚くなる場合(いわゆる、シートの耳が厚くなる場合)があるが、耳厚となった端部をトリミングすることで平滑シートの厚さをより均一にすることができる。
トリミング工程は、製膜工程の後に行うことが好ましく、製膜工程と後述するアニーリング工程との間に行うことがより好ましい。トリミングすることによって膜厚がより均一な平滑シートとすることができるため、後述するアニーリング工程で用いるアニールロール112に均一にセットすることができる。その結果、平滑シートの歪みをムラなく取り除くことができる。
(アニーリング工程)
製膜工程の後に、平滑シートをアニールするアニーリング工程を行うことが好ましい。アニーリング工程とは、平滑シートに残留する応力(内部応力)を除去するための工程をいう。アニーリング工程を行うことにより、平滑シートの成形歪みや反りを取り除くことができ、後述するエンボス工程における寸法精度を高めることができる。特に、太陽電池封止シートの内部に歪みが存在する場合、この歪みが太陽光や薬品等の外的要因と複合してひび割れの原因となるため、このような歪みを取り除くことは、太陽電池封止シートの耐候性や長期安定性の観点からも好ましい。アニーリング工程は、後述するエンボス加工前に行ってもよいし(図1参照)、エンボス加工後に行ってもよい(後述する図6参照)。第1の実施の形態では、エンボス加工前にアニーリング工程を行う。エンボス加工前にアニーリング工程を行うことで、アニーリングによりエンボス形状を変形させることなく、シートの残存応力を取り除くことができるため、より好ましい。アニーリングは、例えば、平滑シートを10連のアニールロール112により搬送しながら、並設する加熱部114によって熱処理することにより行うことができる。アニールする方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うこともできる。
アニーリング条件は、平滑シートの成形歪みを取り除くことができる条件であればよく、適宜に選択できる。アニーリング温度は、例えば、50〜80℃であることが好ましく、55〜75℃であることがより好ましい。アニーリング時間は、例えば、3〜20分間であることが好ましく、4〜20分間であることがより好ましい。アニーリング時間は、例えば、アニールロール112の本数や平滑シートの製膜速度を調節することにより制御できる。
アニーリング工程における加熱方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、接触加熱でもよいし、非接触過熱でもよい。アニーリング工程の熱源としては、温度分布の均一性の観点から、加熱ロール、赤外線ヒーター、及び熱風からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。加熱ロールを用いる場合は、アニールロール112を高温にすることで接触加熱できるため、シート表面の温度を一気に上昇させることができ、シートの延伸を防止して収縮率を抑制しつつ歪みを取り除くことができる。赤外線ヒーターを用いる場合は、近赤外線や遠赤外線を用いることができる。例えば、加熱部114として赤外線ヒーターを用いて、アニールロール112のレーンに沿って赤外線ヒーターを配置することで放射加熱することができる。熱風を用いる場合は、例えば、加熱部114として、熱風を供給するドライヤーや熱風循環式の加熱装置等を用いることができ、シート表面の温度を一気に上昇させることができ、シートの延伸を防止して収縮率を抑制しつつ歪みを取り除くことができる。本実施の形態では、これらの熱源を併用することが好ましく、赤外線ヒーターと熱風を併用することがより好ましい。赤外線ヒーターと熱風とを併用することにより、赤外線加熱により平滑シートの温度上昇に関係なく加熱することができ、かつ熱風を供給することで表面の過加熱を防止できるため、平滑シートの歪みを一層ムラなく取り除くことができる。
(エンボス工程)
続いて、軟質化した平滑シートをエンボスロール116に圧接させることによって、平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施す、エンボス工程を行う。エンボス工程では、エンボス形状に対応する凹凸形状が表面に形成されたエンボスロール116を用いる。軟質化した平滑シートを、対向配置されたエンボスロール116とバックアップロール118との隙間に導入して、エンボスロール116に圧接させることにより、エンボス形状を賦形することができる。これにより、エンボスロールの表面に形成された凹凸形状が平滑シートの表面に転写され、エンボス加工が施されたシート(以下、単に「エンボスシート」という場合がある。)を得ることができる。ここで「軟質化」とは、エンボスロール116を圧接して平滑シートへ賦形できる状態のことをいい、通常、樹脂(あるいは樹脂組成物)の融点よりも10℃程度高い温度で加熱されることで軟質化される。
平滑シートを加熱して軟質化する際の加熱温度としては、特に制限はないが、用いる樹脂(あるいは樹脂組成物)の融点近傍であることが深いエンボスを入れる際には好ましい。また、浅いエンボスを入れる場合は、融点よりも3℃程度低いことが好ましい。また、収縮率を抑えるためには残存応力を小さくするために、軟化させるときに機械流れ方向にシートを引き伸ばさないことが重要であり、加熱温度を融点+20℃以下とすることで、シートが機械流れ方向に引き伸ばされることを防止できる。従って、軟質化する際の加熱温度としては、好ましくは融点−5℃〜融点+20℃、より好ましくは融点−3℃〜融点+20℃である。
平滑シートにエンボス加工において平滑シートを軟質化させる際に、アニーリング工程で用いる熱源から発生した熱を少なくとも用いることが好ましい。アニーリング工程で発生した熱量を再利用することで、別途熱源を設ける必要がなく、装置構成を簡略化でき、かつ生産経済性に優れる。具体的には、アニーリング工程の直後にエンボス工程を行うことが挙げられる。より具体的には、最下流のアニールロール112の直後にエンボスロール116を配置することが挙げられる。アニーリングされた直後の平滑シートは軟質化した状態であるので、この軟質化された平滑シートを直接エンボスロール116に搬送することで、アニーリング工程で発生した熱量を利用してエンボス加工を行うことができる。
平滑シートを加熱して軟質化させる前又は後に、軟質化した平滑シートが延伸しないようにテンションコントロールしてもよい。テンションコントロールを行うことにより、軟質化した平滑シートの引き伸ばしが抑制され、より低い収縮率を達成できる傾向にある。テンションコントールの際のテンションとしては、シート幅1mに対して0.1〜80N、より好ましくは0.1〜70N、さらに好ましくは0.1〜60Nである。
テンションコントロールの方法としては、例えば、図示はしないが、平滑シートを加熱して軟質化させる前後でそれぞれピンチする方法が挙げられる。具体例としては、平滑シートを加熱する工程の前に少なくとも1つのピンチロールを配置し、平滑シートを加熱する工程の後に少なくとも1つ以上のバックアップロールとエンボスロールを配置して、それぞれでピンチして拘束する方法等が挙げられる。
本実施の形態の製造方法によれば、微細なエンボス形状であっても高い精度で転写することができる。エンボス形状については、特に限定されず、例えば、四角錘形状(ピラミッド形状)、四角錘台形状、縞模様、布目模様、梨地模様、皮紋様、ダイヤ格子、シボ模様等が挙げられる。エンボス形状を施した表面におけるエンボスの凸部の合計面積の比率は、太陽電池封止シートの封止能力や耐ブロッキング性の観点から、5〜50%であることが好ましい。
本実施の形態の製造方法により形成できるエンボス形状の深さは、特に限定されないが、深さが30〜400μmであるエンボス形状であっても高い精度で賦形できるため好ましい。特に、エンボス形状の深さの下限値は、より好ましくは30μm以上であり、さらに好ましくは40μm以上であり、よりさらに好ましくは80μm以上であり、より一層好ましくは90μm以上である。上限値は、より好ましくは350μm以下であり、さらに好ましくは310μm以下であり、よりさらに好ましくは200μm以下であり、より一層好ましくは100μm以下である。ここで、エンボス形状の深さとは、太陽電池封止シートのエンボス加工された表面を断面視した際の、エンボス凸部からエンボス凹部までの深さをいう。
本実施の形態の製造方法によれば、高い精度でエンボス形状を転写できる。その好ましい転写率は70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。本実施の形態の製造方法によれば、製膜速度を高速でありながら、高い転写精度でエンボス形状を付与できるため、微細なエンボス形状を有する太陽電池封止シートを効率よく製造することができる。ここで、転写率は、以下の式により求めることができる。
転写率(%)=(得られたシートに形成エンボス形状の深さ/エンボスロールの表面のエンボス形状の深さ)×100
図2は、本実施の形態の製造方法において施すエンボス形状の一例を示す概略図である。図3は、図2のA−A’線に沿う断面図である。図2,3に示すエンボス形状は、四角錘形状(いわゆる、ピラミッド形状)であり、そのエンボス形状の深さはD1である(図3参照)。太陽電池封止シートの表面が四角錘形状のエンボス形状である場合、四角錘形状の頂点で被封止物(例えば、発電セル等)と当接して封止する。
図4は、本実施の形態の製造方法において施すエンボス形状の別の一例を示す概略図である。図5は、図4のB−B’線に沿う断面図である。図4,5に示すエンボス形状は、四角錘台形状(いわゆる、台形カップ形状)であり、そのエンボス形状の深さはD2である(図5参照)。太陽電池封止シートの表面が四角錘台形状のエンボス形状である場合、四角錘台形状の頂面で被封止物と当接して封止する。
(冷却工程)
エンボスロール116から搬送された直後のエンボスシートは、予熱を有しており軟質であるため、冷却ロール120を用いて冷却固化させる。エンボスシートの冷却方法としては、特に限定されず、冷却ロール120に接触させる方法、空冷、風冷等が挙げられる。例えば、冷却水を循環させた冷却ロール120にエンボスシートを接触させることで冷却できる。これらの冷却方法は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施の形態では、エンボスシートに再び歪みが生じることを抑制する観点から、徐々に冷却(徐冷)することが好ましい。
冷却温度は、特に限定されず、例えば、10〜30℃とすることができるが、必ずしもこの温度に限定されるものではなく、エンボスシートを冷却することができればよい。例えば、冷却ロール120の内面等に設けた流路に冷却水を通水させることで、冷却することができる。
エンボス工程を経たエンボスシートは、ガイドロール122を経て、巻き取りロール124に搬送されて巻き取られる。これにより長尺のエンボスシートロールを得ることができる。この長尺のエンボスシートを所望の大きさに切断することで太陽電池封止シートを得ることができる。なお、ガイドロール122以外にも、エンボスシートの生産ラインの構成等を考慮して、適宜に複数のガイドロールを配置してもよい。
〔第2の実施形態〕
図6は、本実施の形態に係る太陽電池封止シートの製造方法の第2の実施形態の概略説明図である。第2の実施形態の製造方法はアニーリング工程をエンボス工程の後に行う。
(製膜工程)
樹脂又は樹脂組成物を、第1の押出機202a、第2の押出機202b、及び第3の押出機202cに、それぞれ樹脂や添加剤等を投入し、Tダイ204で溶融押出しすることで溶融シートとする。そして、溶融シートをキャスティングロール206により冷却し、平滑シートを得る。溶融シートを、対向配置されたキャスティングロール206とバックアップロール208の隙間に導入することで、溶融シートをキャスティングロール206に圧接させて冷却することができる。製膜工程においてバックアップロール208を用いる場合、キャスティングロール206に密着させることができれば、その材質や大きさ等は特に限定されないが、弾性を有する材質であることが好ましく、例えば、シリコーン樹脂製のバックアップロールを用いることができる。
製膜工程において、キャスティングロール206の表面に溶融シートをより密着させる観点から、バックアップロール208だけでなく、上記した密着補助装置(バキュームチャンバー等)を併用することが好ましい。
(エンボス加工)
続いて、平滑シートをエンボスロール216に圧接させることで、平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施すエンボス工程を行う。平滑シートを、対向配置されたエンボスロール216とバックアップロール218との隙間に導入して、エンボスロールに圧接させることにより、エンボス形状が付与された平滑シート(エンボスシート)を得ることができる。
平滑シートにエンボス加工を施すために平滑シートを軟質化させるために、前記製膜工程において発生した熱を少なくとも用いて行うことが好ましい。製膜工程で発生した熱を再利用することで、別途熱源を設ける必要がないため装置構成を簡略化でき、かつ生産経済性に優れる。具体的には、製膜工程の直後にエンボス工程を行うことが挙げられる。より具体的には、キャスティングロール206の直後にエンボスロール216を配置することが挙げられる。キャスティングロール206から搬送された直後の平滑シートは、表面がある程度固化した状態ではあるが、その内部までは完全には固化していない状態ある。この平滑シートは適度に軟質化した状態であるので、そのままエンボス加工を行うことができる。また、この軟質化した平滑シートの表面は、ある程度の定形性を有しており、エンボスロール216の表面に、軟質化した平滑シートの樹脂(あるいは樹脂組成物)が付着することを防止でき、高い精度でエンボス形状を転写できる。
(アニーリング工程)
エンボス工程の後に、エンボスシートをアニールするアニーリング工程を行うことが好ましい。アニーリング工程は、エンボス加工後に行ってもよいし、エンボス加工後に行ってもよく、第2の実施の形態では、エンボス加工後にアニーリング工程を行う。アニーリング工程は、10連のアニールロール212にエンボスシートを搬送しながら、併設する加熱部214によって平滑シートを熱処理することができる。エンボス工程後にアニーリング工程を行う場合、アニールロール212に当接する表面積が少ないため、アニールロール212の表面に樹脂又は樹脂組成物が付着することを低減できる。第2の実施の形態では、エンボス形状を極力変形させたり潰したりしないことが求められるため、アニール工程でのテンションを6kg/シート1m幅以下とすることが好ましい。
(トリミング工程)
エンボス工程の後に、トリムロール210を用いることにより、エンボスシートの少なくとも一方の端部をカットするトリミング工程を行うことが好ましい。
(アニーリング工程)
続いて、エンボスシートをアニールするアニーリング工程を行うことが好ましい。アニーリングは、エンボスシートを10連のアニールロール212により搬送しながら、並設する加熱部214によって熱処理することにより行うことができる。
(冷却工程)
アニールロール212からガイドロール222を経て搬送された直後のエンボスシートは、予熱を有しており軟質であるため、冷却ロール220を用いて冷却固化させる。
冷却工程を経たエンボスシートは、ガイドロール224を経て、巻き取りロール226に搬送されて巻き取られる。これにより長尺のエンボスシートロールを得ることができる。この長尺のエンボスシートを所望の大きさに切断することで太陽電池封止シートを得ることができる。
〔太陽電池封止シート〕
本実施の形態の製造方法により得られる太陽電池封止シート(以下、単にシートという場合がある。)は、従来法により得られる太陽電池封止シートと比較して、耐ブロッキング性に優れる。また、本実施の形態の太陽電池封止シートは架橋処理されていることが好ましい。架橋することにより、被封止物(太陽電池セル等)を封止する際に、耐クリープ性や隙間埋め性がより良好となる。太陽電池封止シートの架橋方法としては、公知の方法を制限なく使用でき、例えば、電離性放射線(電子線、γ線、紫外線等)の照射や有機過酸化物による架橋処理による架橋処理等が挙げられる。これらの架橋処理(例えば、電離性放射線照射処理、有機過酸化物を用いる場合には熱処理)は、それぞれの場合に応じてエンボス加工処理の前工程又は後工程として行うか、適宜に選択できる。
太陽電池封止シートが「架橋されている」とは、樹脂又は樹脂組成物を構成する高分子を物理的、又は化学的に架橋した結果、ゲル分率が好ましくは1質量%以上となった状態をいう。例えば、成分が同じ太陽電池封止シート2枚を用いて太陽電池セル等の被封止物を封止する場合、太陽電池封止シートのゲル分率は、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは2〜85質量%、さらに好ましくは2〜65質量%である。例えば、成分が異なる太陽電池封止シートを用いる場合は、一方の太陽電池封止シートが未架橋であり、他方の太陽電池封止シートのゲル分率が90質量%以下であってもよい。
ゲル分率が1質量%以上であると、耐熱性が向上する傾向にあり、65質量%以下であると、被封止物に対する封止性(隙間埋め性)が良好となる傾向にある。なお、太陽電池封止シートが後述する単層構造又は多層構造のいずれの構造を有する場合であっても、上記ゲル分率は、太陽電池封止シート全体の平均のゲル分率(全層ゲル分率)の値を意味する。太陽電池封止シートのゲル分率を上記範囲に調整する手段としては、シートに適度に架橋処理を施すことが挙げられる。
太陽電池封止シートのゲル分率は、沸騰p−キシレン中で太陽電池封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合から下記式により求めることができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
電離性放射線による架橋の場合は、照射強度(加速電圧)と照射密度によって厚さ減少率を調整することができる。照射強度(加速電圧)はシートの厚さ方向にどれだけ深く電子を届かせるかを示すものであり、照射密度は単位面積当たりどれだけ多くの電子を照射するかを示すものである。有機過酸化物による架橋の場合は、有機過酸化物の含有量によって厚さ減少率を調整することができる。また、樹脂の種類による架橋度合いの違いや、転移化剤等による架橋促進又は架橋抑制の効果を利用してもよい。
電離性放射線の照射により架橋させる場合は、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を太陽電池封止シートに照射し、架橋させる方法が挙げられる。電子線等の電離性放射線の加速電圧は、太陽電池封止シートの厚さにより選択でき、例えば、500μmの厚さの場合、太陽電池封止シート全体を架橋するときには、加速電圧として300kV以上が必要である。
電子線等の電離性放射線の加速電圧は、架橋処理を施す樹脂層に応じて適宜調節が可能であり、電離性放射線の照射線量は使用される樹脂によって異なるが、一般的に3kGy以上とすることで、太陽電池封止シート全体を均一に架橋することができる傾向にある。
有機過酸化物により架橋させる場合は、架橋剤として有機過酸化物を樹脂(あるいは樹脂組成物)中に配合し、又は含浸させて熱架橋を行う。この場合100〜130℃における半減期が1時間以内の有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、良好な相溶性が得られ、かつ上記半減期を有するものとして、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。これらの有機過酸化物を用いた太陽電池封止シートは、架橋時間を比較的短くすることができ、かつ、キュア工程を、従来汎用されている100〜130℃における半減期が1時間以上の有機過酸化物を用いた場合と比較して半分程度に短縮することができる。
有機過酸化物の含有量は、太陽電池封止シートを構成する樹脂(あるいは樹脂組成物)に対して、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
有機過酸化物が配合された太陽電池封止シートは、ラミネーション時にシートが軟化し、隙間埋めが行われた後に有機過酸化物の分解及び架橋が促進されるため、樹脂のゲル分率が大きくなっても隙間埋め性が阻害されないという利点を有している。
上述したように「架橋」には電離性放射線の照射を行う方法、及び有機過酸化物を利用する方法が挙げられるが、電離性放射線の照射によって架橋させる方法が特に好ましい。電離性放射線の照射による架橋処理は、有機過酸化物の熱分解によるガスが発生しないため、真空ポンプの腐食ダメージ及びオイルの汚れを低減できる傾向にある。また、有機過酸化物を用いた架橋方法は、ラミネーション工程において有機過酸化物を分解させ、太陽電池封止シートの架橋を促進させるための長時間のキュア工程が必要であるため、太陽電池モジュールの生産を高速化しにくいが、電離性放射線の照射による架橋方法の場合は長時間のキュア工程を必要とせず、太陽電池モジュールの生産性を向上させることができる点においても優れている。
太陽電池封止シートを構成する樹脂(あるいは樹脂組成物)としては、特に限定されないが、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取り扱い性を確保する観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンモノマーと酢酸ビニルとの共重合により得られる共重合体を示す。また、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。さらに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。
上記共重合は、高圧法、溶融法等の公知の方法により行うことができ、重合反応の触媒としてマルチサイト触媒やシングルサイト触媒等を用いることができる。また、上記共重合体において、各モノマーの結合形状は特に限定されず、ランダム結合、ブロック結合等の結合形状を有するポリマーを使用することができる。なお、光学特性の観点から、上記共重合体としては、高圧法を用いてランダム結合により重合した共重合体が好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、光学特性、接着性、柔軟性の観点から、共重合体を構成する全モノマー中の酢酸ビニルの割合が、10〜40質量%であることが好ましく、13〜35質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましい。また、太陽電池封止シートの加工性の観点より、JIS−K−7210に準じて測定されるメルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)の値が0.3g/10分〜30g/10分であることが好ましく、0.5g/10分〜30g/10分であることがより好ましく、0.8g/10分〜25g/10分であることがさらに好ましい。
上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA」とも略記される。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」とも略記される。)等が挙げられる。また、上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜8のアルコールとのエステルが好適に使用される。
これらの共重合体は、3成分以上のモノマーを共重合してなる多元共重合体であってもよい。上記多元共重合体としては、例えば、エチレン、脂肪族不飽和カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも3種類のモノマーを共重合してなる共重合体が挙げられる。
上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の脂肪族不飽和カルボン酸の割合が、3〜35質量%であることが好ましい。MFR(190℃、2.16kg)は、0.3g/10分〜30g/10分であることが好ましく、0.5g/10分〜30g/10分であることがより好ましく、0.8g/10分〜25g/10分であることがさらに好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分又は完全ケン化物が挙げられる。エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物としては、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の部分又は完全ケン化物等が挙げられる。
上記各ケン化物中の水酸基の割合は、太陽電池封止シートを構成する樹脂(あるいは樹脂組成物)中において、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜7質量%である。水酸基の割合が0.1質量%以上であると接着性が良好となる傾向にあり、15質量%以下であると相溶性が良好となる傾向にあり、最終的に得られる太陽電池封止シートが白濁化するリスクを低減できる。
水酸基の割合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物の元のオレフィン系重合体樹脂と、この樹脂のVA%(NMR測定による酢酸ビニル共重合比)と、そのケン化度と、樹脂中における配合割合とから算出することができる。
ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体中の酢酸ビニルの含有量は、良好な光学特性、接着性、及び柔軟性を得る観点から、共重合体全体に対して、10〜40質量%であることが好ましく、13〜35質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物のケン化度は、良好な透明性及び接着性を得る観点から、10〜70%であることが好ましく、15〜65%であることがより好ましく、20〜60%であることがさらに好ましい。
ケン化方法としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のペレット或いは粉末をメタノール等の低級アルコール中でアルカリ触媒を用いてケン化する方法、トルエン、キシレン、ヘキサンのような溶媒を用いて予め共重合体を溶解した後、少量のアルコールとアルカリ触媒を用いてケン化する方法等が挙げられる。また、ケン化した共重合体に水酸基以外の官能基を含有するモノマーをグラフト重合してもよい。
上記各ケン化物は、側鎖に水酸基を有しているため、ケン化前の共重合体と比較して接着性が向上している。また、水酸基の量(ケン化度)を調整することにより、透明性や接着性を制御することができる。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体とは、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマーを示し、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。上記化合物は、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂が好ましい。ここでポリエチレン系樹脂とは、エチレンの単独重合体又はエチレンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。また、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンの単独重合体又はプロピレンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。
上記ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と称される。)等が挙げられる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体であることが好ましく、エチレンと、炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体であることがより好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を併用することができる。また、共重合体を構成する全モノマー中のα−オレフィンの割合(仕込みモノマー基準)は、6〜30質量%であることが好ましい。さらに、上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、軟質の共重合体であることが好ましく、X線法による結晶化度が30%以下であることが好ましい。
また、上記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、プロピレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
上記ポリエチレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができ、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。また上記ポリエチレン系樹脂は、クッション性の観点から、密度が0.860〜0.920g/cm3であることが好ましく、0.870〜0.915g/cm3であることがより好ましく、0.870〜0.910g/cm3であることさらに好ましい。密度が0.920g/cm3以下であると、クッション性が良好となる傾向にある。なお、密度が0.920g/cm3を超えると透明性が悪化するおそれがある。高密度のポリエチレン系樹脂を用いる場合には、低密度のポリエチレン系樹脂を、例えば、30質量%程度の割合で添加することで透明性を改善することもできる。
上記ポリエチレン系樹脂は、太陽電池封止シートの加工性の観点から、MFR(190℃、2.16kg)が0.5g/10分〜30g/10分であることが好ましく、0.8g/10分〜30g/10分であることがより好ましく、1.0g/10分〜25g/10分であることがさらに好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したポリエチレン系共重合体を使用することもできる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα−オレフィンとの3元共重合体等が挙げられる。
上記プロピレン−α−オレフィン共重合体とは、プロピレンとα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体を示す。上記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体が好ましく、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種からなる共重合体がより好ましい。ここで炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を併用することができる。また、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成する全モノマー中のエチレン及び/又はα−オレフィンの含有割合(仕込みモノマー基準)は、6〜30質量%であることが好ましい。さらに、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、軟質の共重合体であることが好ましく、X線法による結晶化度が30%以下であることが好ましい。
上記プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレンと、エチレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種類のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
上記ポリプロピレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができ、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。上記ポリプロピレン系樹脂は、クッション性の観点から、密度が0.860〜0.920g/cm3であることが好ましく、0.870〜0.915g/cm3であることがより好ましく、0.870〜0.910g/cm3であることがさらに好ましい。密度が0.920g/cm3以下であると、クッション性及び透明性が良好となる傾向にある。
上記ポリプロピレン系樹脂は、太陽電池封止シートの加工性の観点から、MFR(230℃、2.16kg)が0.3g/10分〜15.0g/10分であることが好ましく、0.5g/10分〜12g/10分であることがより好ましく、0.8g/10分〜10g/10分であることがさらに好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したポリプロピレン系共重合体を使用することもできる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンと、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの共重合体、又は、プロピレンと、エチレンと、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの3元共重合体等が好適に使用できる。これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体等のいずれの形態でもよく、好ましくはプロピレンとエチレンとのランダム共重合体、又は、プロピレンとエチレンとブテンとのランダム共重合体である。
上記ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒のような触媒で重合された樹脂だけでなく、メタロセン系触媒等で重合された樹脂でよく、例えば、シンジオタクチックポリプロピレンや、アイソタクティックポリプロピレン等も使用できる。また、ポリプロピレン系樹脂を構成する全モノマー中のプロピレンの割合(仕込みモノマー基準)は、60〜80質量%であることが好ましい。さらに、熱収縮性が優れるという観点から、ポリプロピレン系樹脂を構成する全モノマー中のプロピレン含有割合(仕込みモノマー基準)が60〜80質量%であり、エチレン含有割合(仕込みモノマー基準)が10〜30質量%であり、ブテン含有割合(仕込みモノマー基準)が5〜20質量%である3元共重合体が好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂の総量に対して50質量%以下の高濃度のゴム成分を均一微分散させてなる樹脂を用いることもできる。
太陽電池封止シートを構成する樹脂(あるいは樹脂組成物)が上記ポリプロピレン系樹脂を含有することで、硬さ、耐熱性等の特性が一層向上する傾向にある。
ポリブテン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が特に優れるため、太陽電池封止シートの硬さや腰の調整を目的として、上記ポリプロピレン系樹脂と併用することが好ましい。上記ポリブテン系樹脂としては、結晶性であり、ブテンと、エチレン、プロピレン及び炭素数5〜8のオレフィン系化合物から選ばれる少なくとも1種からなる共重合体であり、かつ、ポリブテン系樹脂を構成する全モノマー中のブテンの含有量が70モル%以上である高分子量のポリブテン系樹脂が好適に使用できる。
上記ポリブテン系樹脂は、MFR(190℃、2.16kg)が0.1g/10分〜10g/10分であることが好ましい。また、ビカット軟化点が40〜100℃であることが好ましい。ここで、ビカット軟化点はJIS K7206−1982に従って測定される値である。
本実施の形態の太陽電池封止シートは、単層構造、多層構造のいずれの構造を有していてもよい。以下、各構造について説明する。これらの構造は、例えば、上記した製膜工程において用いるTダイに接続する押出機の数や構造等を調製することで、適宜に選択できる。
〔単層構造〕
太陽電池封止シートが単層構造を有する場合、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる層であることが好ましい。
太陽電池封止シートを構成する樹脂層に、接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物が含有されている場合は、そのケン化度及び含有量は適宜調整でき、これにより被封止物との接着性を制御できる。接着性と光学特性の観点から、樹脂層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物の含有量は、3〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましい。
単層構造の太陽電池封止シートを製造する場合、例えば、上記したTダイに1台の押出機を接続することで得ることができる(図1及び図6参照)。
〔多層構造〕
本実施の形態における太陽電池封止シートは、表面層と、前記表面層に積層された内層とを含む少なくとも2層以上の多層構造を有していてもよい。ここで、太陽電池封止シートの両表面を形成する2層を「表面層」といい、それ以外を「内層」という。
多層構造の太陽電池封止シートを製造する場合、上記したTダイに複数の押出機を接続することで得ることができる(図1及び図6参照)。
多層構造を有する場合には、接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物を含有する樹脂層が被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)として形成されていることが好ましい。また、表面層としては、上述したケン化物のみからなる層でもよいが、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、ケン化物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との混合樹脂からなる層であることが好ましい。
被封止物と接触する表面層の層比率は、良好な接着性を確保する観点から、太陽電池封止シートの全厚に対し、少なくとも5%以上の厚さを有していることが好ましい。厚さが5%以上であると、上述した単層構造の場合と同等の接着性が得られる傾向にある。
内層を構成する樹脂としては、特に限定されず、上述した表面層に含まれる樹脂に加えて、他のいかなる樹脂を用いてもよい。内層には、他の機能を付与することを目的として、樹脂材料、混合物、添加物等を適宜選定できる。例えば、新たにクッション性を付与する目的として、内層として熱可塑性樹脂を含有する層を設けてもよい。
内層として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素系エチレンポリマー系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、生分解性を有したものや植物由来原料系のもの等も含まれる。上記の中でも、結晶性ポリプロピレン系樹脂との相溶性がよく、透明性が良好な水素添加ブロック共重合体樹脂、プロピレン系共重合樹脂、エチレン系共重合体樹脂が好ましく、水素添加ブロック共重合体樹脂及びプロピレン系共重合樹脂がより好ましい。
水素添加ブロック共重合体樹脂としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
プロピレン系共重合体樹脂としては、プロピレンとエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。そのエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量は6〜30質量%が好ましい。この炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
プロピレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用できる。
エチレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したエチレン系共重合体を使用できる。
内層の材料としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、ポリエチレン系樹脂の密度は、適度なクッション性を得る観点から、0.860〜0.920g/cm3であることが好ましく、0.870〜0.915g/cm3であることがより好ましく、0.870〜0.910g/cm3であることがさらに好ましい。密度が0.920g/cm3以上の樹脂層を被封止物と接触しない層(内層)として形成した場合、透明性が悪化する傾向にある。
また、太陽電池封止シートは、中央層の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造を有していてもよい。このような太陽電池封止シートとしては、例えば、2層の表面層(以下、「スキン層」と記載する場合がある。)と3層の内層からなる太陽電池封止シートであって、2層の表面層が同一成分からなり、表面層に隣接する2層の内層(以下、「ベース層」と記載する場合がある。)が同一成分からなる太陽電池封止シートが挙げられる。
上記構造を有する太陽電池封止シートにおいて、表面層の膜厚は、太陽電池封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましく、上記ベース層の膜厚は、太陽電池封止シート全体の膜圧に対して50〜90%であることが好ましく、ベース層に挟まれた内層(以下、「コア層」と記載する場合がある。)の膜厚は、太陽電池封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましい。
次に、太陽電池封止シート加工性の観点について検討する。太陽電池封止シートを構成する樹脂のMFR(190℃、2.16kg)は、良好な加工性を確保する観点から、0.5〜30g/10分であることが好ましく、0.8〜30g/10分であることがより好ましく、1.0〜25g/10分であることがさらに好ましい。太陽電池封止シートが2層以上の多層構造の場合、内層(ベース層やコア層)を構成する樹脂のMFRは、太陽電池封止シート加工性の観点から、表面層のMFRより低いことが好ましい。
本実施の形態における太陽電池封止シートには、特性を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、カップリング剤、防曇剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋調整剤等を添加してもよい。
太陽電池封止シートには、安定した接着性を確保する目的でカップリング剤を添加してもよい。上記カップリング剤の添加量及び種類は、所望の接着性の度合いや被接着物の種類によって適宜選択できる。上記カップリング剤の添加量としては、カップリング剤を添加する樹脂層の全質量基準で、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜4質量%であることがより好ましく、0.05〜3質量%であることがさらに好ましい。上記カップリング剤の種類としては、樹脂層に、太陽電池セルやガラスへの良好な接着性を付与する物質が好ましく、例えば、有機シラン化合物、有機シラン過酸化物、有機チタネート化合物等が挙げられる。また、これらのカップリング剤は、押出機内にて樹脂に注入混合する、押出機ホッパー内に混合して導入する、マスターバッチ化して混合して添加する等の公知の添加方法で添加することができる。ただし、押出機を経由する場合、押出機内の熱や圧力等によりカップリング剤の機能が阻害されることがあるため、カップリング剤の種類によっては添加量を適宜調整する必要がある。また、カップリング剤の種類は、太陽電池封止シートの透明性や分散具合の観点、押出機への腐食や押出安定性の観点等を考慮して、適宜選択すればよい。好ましいカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラングリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の不飽和基やエポキシ基を有するものが挙げられる。
また、太陽電池封止シートには、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等を添加することができる。特に長期に渡って透明性や接着性を維持する必要がある場合、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等を添加することが好ましい。これらの添加剤を樹脂に添加する場合、その添加量は、添加する樹脂の総量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系、アミン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系等の酸化防止剤が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等は太陽電池封止シートを構成する樹脂(あるいは樹脂組成物)中に、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%を添加する。エチレン系樹脂に添加する場合、シラノール基を有する樹脂をマスターバッチ化して混合することで、さらに接着性を付与することもできる。添加方法としては、特に限定されず、液体の状態で溶融樹脂に添加する、直接対象樹脂層に練り込み添加する、シーティング後に塗布する等の方法が挙げられる。
本実施の形態の製造方法により得られる太陽電池封止シートは、厚さが50〜1500μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましく、150〜800μmであることがさらに好ましい。厚さが50μm未満であると、構造的にクッション性が乏しい場合や、作業性の観点で、耐久性や強度に問題が生ずる傾向にある。一方、厚さが1500μmを超えると、生産性の低下や密着性の低下を招来するという問題が生じる傾向にある。
〔太陽電池封止シートの用途〕
本実施の形態における太陽電池封止シートは、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための太陽電池用の封止材として有用であり、太陽電池を構成するガラス板や、アクリルやポリカーボネート等の樹脂板に対しても安定的に強固な接着性を発揮する。本実施の形態における太陽電池封止シートを用いることにより、太陽電池用ガラス自身や各種配線や発電素子等、凹凸を有している各種部材を確実に隙間なく封止できる。
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例において特に断りがない場合の単位は質量基準である。
なお、各実施例及び各比較例において使用した材料は以下の通りである。
<樹脂>
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
ARUKEMA社製、アルケマ2805
(2)エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体(EVA−GMA共重合体)
住友化学社製 ボンドファースト7B
(3)線状超低密度ポリエチレン(VLDPE)
ダウケミカル社製 EG8100
ダウケミカル社製 EG8200
ダウケミカル社製 1140G
<透光性絶縁基板>
AGC社製、太陽電池用ガラス 白板ガラスエンボス付き、厚さ3.2mm
<裏面絶縁基板(バックシート)>
三菱アルミパッケージング社製バックシート
ポリフッ化ビニル(商品名:テドラー)/PET/ポリフッ化ビニルの3層構造を有するバックシート
<太陽電池セル>
E−TON社製、結晶性シリコンセル、厚さ200μm
<電子線照射>
電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製、EPS−300又はEPS−800)を用いて、表1〜3に示す加速電圧及び照射密度にて電子線照射を行った。
<シート製膜時のシート温度>
レーザー温度計(OPTEX THERMO−HUNTER(MODEL PT−7LD))を用いて、シート製膜時のシート表面の温度を測定した。
<エンボス加工時のシート温度>
日油技研工業社製、サーモラベル5Eシリーズを用いて、エンボス加工時のシート表面の温度を測定した。
<リサイクル率>
トリミング工程においてシートからカットした樹脂を回収し、それを再び押出機に充填した。その充填した量に基づいてリサイクル率を算出した。
〔実施例1〜10〕
図1に示す概略図に基づいて太陽電池封止シートを製造した(A法)。押出機102aは1軸の押出機(60mmΦ)であり、表1に示すスキン層(s)の成分をここから添加した。押出機102bは、1軸の押出機(60mmΦ)であり、表1に示すベース層(b)の成分をここから添加した。押出機102cは、2軸押出機(65mmΦ)であり、表1に示すコア層(c)の成分をここから添加した。そして、フィードブロック式で、Tダイ(単層ダイ、幅800mm、スリット0.8mm、出口温度120℃)から、スキン層/ベース層/コア層/ベース層/スキン層の3種・5層構造の溶融シートを押出した。溶融シートは、バキュームチャンバー108を用いてキャスティングロールに吸引密着させて平滑シートを得た。キャスティングロール106の表面はフッ素樹脂で表面コーディングされており、非粘着表面処理を施したものを使用した。
続いて、平滑シートはトリムロール110に搬送され、シートの両端部をトリミングした。そして、10連のアニールロール112に搬送し、加熱部114(IRヒーター、シート温度が60〜70℃になるように4本のIRヒーターを用いた。)と、熱風加熱により、アニーリングを行った。ここで、熱風加熱は、10番目のアニールロール112(最下流のアニールロール)を通過する平滑シートに60℃の熱風を吹き付けることにより行った。なお、各実施例におけるIRヒーター及び熱風加熱の使用の有無については、表1に示す。
そして、軟質化している状態のエンボスロール116とバックアップロール118の間を通過させることで、表1に示すエンボス形状を賦形し、エンボスシートを得た。エンボスロール116の表面温度は30℃に設定した。バックアップロール118は、シリコーン樹脂製のバックアップロールを使用した。このエンボスシートがエンボスロール116を通過後に、表1に示す条件で電子線照射を行い、エンボスシートを架橋させた。
さらに、エンボスシートを冷却ロール120(循環水による冷却)に導入して冷却固化させた後、ガイドロール122を経て、巻き取りロール124に巻き取ることで長尺のエンボスシートを得た。なお、表中のリサイクル率の算出について説明する。例えば、実施例1の場合、リサイクルを行ったコア層(c)に用いたリサイクル樹脂の割合は60質量%であった。実施例では、コア層(c)は全体の40%を占めるため、全層に占めるコア層のリサイクル樹脂の割合は、24%となった。
〔実施例11〜21〕
図6に示す概略図に基づいて太陽電池封止シートを製造した(B法)。押出機202aは1軸の押出機(60mmΦ)であり、表2に示すスキン層(s)の成分をここから添加した。押出機202bは、1軸の押出機(60mmΦ)であり、表2に示すベース層(b)の成分をここから添加した。押出機202cは、2軸押出機(65mmΦ)であり、表2に示すコア層(c)の成分をここから添加した。そして、フィードブロック式で、Tダイ204(単層ダイ、幅800mm、スリット0.8mm、出口温度120℃)から、スキン層(s)/ベース層(b)/コア層(c)/ベース層(b)/スキン層(s)の3種・5層構造の溶融シートを押出した。溶融シートは、キャスティングロール206とバックアップロール208との間に導入して平滑シートを得た。キャスティングロール206の表面はフッ素樹脂で表面コーディングされており、非粘着表面処理を施したものを使用した。
続いて、平滑シートはエンボスロール216とバックアップロール218の間を通過させることで、表2に示すエンボス形状を賦形し、エンボスシートを得た。エンボスロール216の表面温度は30℃に設定した。バックアップロール218は、シリコーン樹脂製のバックアップロールを使用した。このエンボスシートがエンボスロール216を通過後に、表2に示す条件で電子線照射を行い、エンボスシートを架橋させた。
そして、エンボスシートは、トリムロール210に搬送され、シートの両端部をトリミングした。さらに、10連のアニールロール212に搬送し、加熱部214(IRヒーター、シート温度が60〜70℃になるように4本のIRヒーターを用いた。)と、熱風加熱により、アニーリングを行った。ここで、熱風加熱は、10番目のアニールロール112(最下流のアニールロール)を通過する平滑シートに60℃の熱風を吹き付けることにより行った。なお、各実施例におけるIRヒーター及び熱風加熱の使用の有無については、表2に示す。
さらに、エンボスシートを冷却ロール220(循環水による冷却)に導入して冷却固化させた後、ガイドロール222を経て、巻き取りロール226に巻き取ることで長尺のエンボスシートを得た。
〔比較例1〜3〕
図7に示す概略図に基づいて太陽電池封止シートを製造した。図7は、比較例1〜3の製造方法の概略説明図である。まず、押出機302aは1軸の押出機(60mmΦ)であり、表1に示すスキン層(s)の成分をここから添加した。押出機302bは、1軸の押出機(60mmΦ)であり、表1に示すベース層(b)の成分をここから添加した。押出機302cは、2軸押出機(65mmΦ)であり、表1に示すコア層(c)の成分をここから添加した。そして、フィードブロック式で、Tダイ304(単層ダイ、幅800mm、スリット0.8mm、出口温度120℃)から、スキン層(s)/ベース層(b)/コア層(c)/ベース層(b)/スキン層(s)の3種・5層構造の溶融シートを押出した。溶融シートは、エンボス形状に対応する凹凸形状が表面に形成されたキャスティングロール(エンボス形状つきキャスティングロール)306と、シリコーン樹脂製のバックアップロール308の間を通過させることで、エンボス形状を賦形して、エンボスシートを得た。このエンボスシートがエンボス形状付きキャスティングロール306を通過した後に、表3に示す条件で電子線照射を行い、エンボスシートを架橋させた。
そして、エンボスシートはトリムロール310に搬送され、シートの両端部をトリミングした。そして、10連のアニールロール312に搬送してアニーリングを行った。アニールロール312は加熱ロールであり、その表面温度は65℃に設定した。その後、軟質化したエンボスシートを、ガイドロール314を経て、冷却ロール316により冷却固化させた。そして、ガイドロール318を経て、巻き取りロール320に巻き取ることで長尺のエンボスシートを得た。
各実施例及び各比較例で得られたエンボスシートについて、以下の物性を評価した。
(ブロッキング性)
40℃に設定した恒温槽に、1枚のエンボスシートの非エンボス面と、もう1枚のエンボスシートのエンボス面を重ね合わせ、12cm2あたり500gの加重を加え、7日間放置した後のシート間の接着状況を観察した。一方のエンボスシートを持ち上げたときに、他方のエンボスシートが剥がれた場合を「良好」と判定し、一方のエンボスシートを持ち上げたときに、他方のエンボスシートが剥がれず、両手で引っ張らないと剥がすことができない場合を「不良」と判定した。
(70℃の収縮率測定)
得られたエンボスシートの表面に10cm四方の正方形をマジックで書き、70℃の温水に5分間浸漬した後、その正方形の機械流れ方向(MD方向)に平行な辺の長さを測定し、その収縮率(浸漬後の辺の長さ/浸漬前の辺の長さ(10cm);単位%)を求めた。
(太陽電池セル(ラミネート)の外観)
ラミネート機(NPC社製、LM50x50)を用いて、150℃予熱5分+150℃プレス10分の条件にて、ガラス(厚さ3.2mm)/封止シート/結晶シリコンセル(厚さ200μm)/封止シート/バックシート(厚さ250μm)の順に積層してラミネートし、試験片を得た。この試験片の外観を目視にて観察した。外観に異常が確認できなかった場合を「良好」と判定し、セル周辺に隙間が確認された場合を「不良」と判定した。
(エンボス形状の転写率)
得られたエンボスシートの転写率を下記式に基づいて算出した。
転写率(%)=(得られたエンボスシートのエンボス形状の深さ/エンボスロールのエンボス形状の深さ)×100
各実施例及び各比較例の製造条件、及び得られたエンボスシートの物性の評価結果を、表1〜3に示す。
Figure 2011116014
Figure 2011116014
Figure 2011116014
各実施例で得られた太陽電池封止シートは、エンボス形状の賦形状態が良好であり、その転写率はいずれも80%以上であり、高い転写精度であることが確認された。さらに、耐ブロッキング性に優れ、70℃収縮率が低く、かつ太陽電池セルとしてラミネートした際の外観が良好であることが確認された。さらに、各実施例における製膜速度は15m/分以上であり、生産効率に優れていることも確認された。
本発明に係る太陽電池封止シートの製造方法は、太陽電池を構成する発電素子等の各種部材を封止する封止材の製造方法として産業上の利用可能性を有する。
102a,102b,102c,202a,202b,202c,302a,302b,302c 押出機
104,204,304 Tダイ
106,206 キャスティングロール
108 バキュームチャンバー
110,210,310 トリムロール
112,212,312 アニールロール
114,214 加熱部
116,216 エンボスロール
118,208,218,308 バックアップロール
120,220,316 冷却ロール
122,222,224,314,318 ガイドロール
124,226,320 巻き取りロール
306 エンボス形状付きキャスティングロール

Claims (8)

  1. 表面の少なくとも一部にエンボス加工が施された太陽電池封止シートの製造方法であって、
    樹脂又は樹脂組成物をTダイで溶融押出して溶融シートとし、前記溶融シートを、表面が平滑であるキャスティングロールを用いて冷却することで、15m/分以上の製膜速度で平滑シートを得る製膜工程と、
    前記平滑シートを加熱することで軟質化させ、前記軟質化された平滑シートをエンボスロールに接触させることよって、前記平滑シートの表面の少なくとも一部にエンボス加工を施すエンボス工程と、
    前記エンボス加工が施された平滑シートを冷却する冷却工程と、
    を含む、太陽電池封止シートの製造方法。
  2. 前記製膜工程の後に、前記平滑シートをアニールするアニーリング工程をさらに含む、請求項1に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
  3. 前記エンボス工程において前記平滑シートを軟質化させるための加熱を、前記製膜工程において発生した熱を少なくとも用いて行う、請求項1に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
  4. 前記エンボス工程において前記平滑シートを軟質化させるための加熱を、前記アニーリング工程で用いる熱源から発生した熱を少なくとも用いて行う、請求項2又は3に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
  5. 前記製膜工程において、前記キャスティングロールの近傍にバキュームチャンバーを配置することで、前記キャスティングロールの表面に前記溶融シートを密着させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
  6. 前記アニーリング工程で用いられる熱源が、加熱ロール、赤外線ヒーター、及び熱風からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
  7. 前記製膜工程と前記アニーリング工程との間に、前記平滑シートの少なくとも一方の端部をカットするトリミング工程をさらに含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
  8. 前記太陽電池封止シートの表面のエンボス形状の深さが、30μm〜400μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池封止シートの製造方法。
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