JP2018069539A - 太陽電池モジュール用のガラス基板保護フィルム、及び、それを用いてなる薄膜型の太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用のガラス基板保護フィルム、及び、それを用いてなる薄膜型の太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールとしての一体化後においてセルガラス基板に対する優れた密着耐久性を発揮するガラス基板保護フィルムを提供すること。
【解決手段】基材層11と、密着強化層12と、を備えてなり、総厚さが150μm以下の多層フィルムであって、基材層11は、ポリエステル系樹脂又はフッ素系樹脂をベース樹脂とし、密着強化層12は、多層フィルムの最表面に配置されていて、グリシジル変性樹脂をベース樹脂とし、該密着強化層の全樹脂成分中に0.2質量%以上1.0質量%以下の割合で、メルカプト基を有するシランカップリング剤が含有されていて、密着強化層12の樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)が8.0×10Pa以上であるガラス基板保護フィルム1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用のガラス基板保護フィルム、及び、それを用いてなる薄膜型の太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールには様々な層構成のものがある。近年、安価で高い光電変換効率を達成することができる構成として、CIS系薄膜型太陽電池モジュール等、セルガラス基板の表面に薄膜型の太陽電池素子を形成してなる各種の薄膜型の太陽電池モジュールの開発が進み注目されている(特許文献1参照)。
ここで、薄膜型の太陽電池モジュールの一般的な層構成(図1参照)においては、薄膜型の太陽電池素子が表面に形成されているセルガラス基板に、通常、耐衝撃性の強化と万一のガラス破損時におけるガラス破片の飛散防止を目的としたガラス基板保護フィルムが積層されている。
ここで、ガラス基板保護フィルムは、セルガラス基板に密着することによってその破損を抑止し、万一破損した場合のガラス破片の飛散を防止する効果を奏しうるものであれば、必ずしも、それ自体に所謂封止材層と同等の衝撃吸収性までは必須とはされない。薄膜型の太陽電池モジュールにおいては、モジュール全体の薄型化が強く求められているため、これを構成するガラス基板保護フィルムは、上記の必要性能を担保できる範囲において、より薄いものであることが望まれる。又、経済性の観点からも、必要以上の厚さは好ましくない。これらが考慮される結果、薄膜型の太陽電池モジュールにおいて、ガラス基板保護フィルムに許容される厚さの上限は一般に150μ程度とされている。
このようなガラス基板保護フィルムは、通常、薄膜型の太陽電池モジュールにおいて、裏面側(太陽電池素子の非受光面側)の最表面に配置される(図1参照)。よって、ガラス基板保護フィルムには、上記の厚さに関する制約の一方で、高温高湿環境下における長期の使用に耐えうる耐候性も求められる。
ガラス基板保護フィルムに、必要な耐候性を備えさせるために、その基材樹脂としては、通常、PET等のポリエステル系の樹脂やPTFE等のフッ素系樹脂が用いられる。しかし、これらの樹脂はセルガラス基板との密着性に乏しい。よって、従来、ガラス基板保護フィルムには、セルガラス基板との間の十分な密着性を担保するために、基材樹脂の表面に更に低密度ポリエチレン等からなる密着強化層が設けられることが一般的であった。
尚、ガラス基板保護フィルムは、セルガラス基板の太陽電池素子の非形成面上に載置された後、太陽電池モジュールを構成する封止材や透明前面基板等その他の部材とともに、熱ラミネーション処理によって一体化される工程を経て、薄膜型の太陽電池モジュールを構成する。
特開2011−151261号公報
上記の薄膜型の太陽電池モジュールの製造工程においては、熱ラミネーション処理に先行して行われるセルガラス基板へのガラス基板保護フィルムの載置の段階で、セルガラス基板とガラス基板保護フィルムとの間に微細な気泡等の空隙が僅かでも存在しないように完全に密着させることが望ましい。
しかしながら、上記のような可撓性を有する薄い樹脂フィルムからなるガラス基板保護フィルムをセルガラス基板に載置する作業を行う際に、セルガラス基板とガラス基板保護フィルムとの間に残存する微細な気泡を、熱ラミネーション処理の前の段階において完全に除去することは極めて困難であった。セルガラス基板とガラス基板保護フィルムとの間に残存するこれらの微細な気泡の存在は、ガラス基板保護フィルムの飛散防止性能を阻害し、又、セルガラス基板に対する密着耐久性を低下させる要因となる。
セルガラス基板の材料樹脂として、例えば、一般的に太陽電池用の封止材等に使われているEVAや密着性向上成分としてのシラン成分を含有するポリエチレン樹脂を、このガラス基板保護フィルムとして用いることも考えられる。これらの樹脂により、保護フィルム全体としてある程度の密着性を有し、且つ、必要な衝撃保護性能をも備えるフィルムを得ることは可能ではある。しかし、上記の微細な気泡の除去については依然困難であり、この点において、より優れたセルガラス基板の開発が求められていた。
本発明は、太陽電池モジュールとしての一体化後にセルガラス基板とガラス基板保護フィルムとの間に残存する微細な気泡の除去が容易であって、セルガラス基板に対する優れた密着性と高度の密着耐久性を発揮しうるガラス基板保護フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ガラス基板保護フィルムの密着強化層を、従来のポリエチレン系樹脂に代えて、グリシジル変性樹脂をベース樹脂とし、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含有する樹脂組成物によって形成し、尚且つ、同層の粘性項を最適化することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 基材層と、最表面に配置される密着強化層と、を備えてなり、総厚さが150μm以下の多層フィルムであって、前記基材層は、ポリエステル系樹脂又はフッ素系樹脂をベース樹脂とし、前記密着強化層は、グリシジル変性樹脂をベース樹脂とし、該密着強化層の全樹脂成分中に0.2質量%以上1.0質量%以下の割合で、メルカプト基を有するシランカップリング剤が含有されていて、該密着強化層の樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)が8.0×10Pa以上であるガラス基板保護フィルム。
(2) 前記基材層の樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)が1.0×10Pa以上5.0×10Pa未満である(1)に記載のガラス基板保護フィルム。
(3) 前記グリシジル変性樹脂が、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体又はエチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体である(1)又は(2)に記載のガラス基板保護フィルム。
(4) 前記密着強化層の厚さが20μm以上であって、前記基材層の厚さが、前記密着強化層の厚さの1.2倍以上である(1)から(3)のいずれかに記載のガラス基板保護フィルム。
(5) 一方の表面に薄膜型の太陽電池素子が形成されているセルガラス基板における他方の表面に(1)から(4)のいずれかに記載のガラス基板保護フィルムにおける前記密着強化層が直接積層された構造を含んでなる薄膜型の太陽電池モジュール。
(6) 前記セルガラス基板における前記太陽電池素子の非積層面側の表面に、ZnO、Zn(O)S、CdS及びInからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含んでなる薄膜層が形成されている(5)に記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、太陽電池モジュールとしての一体化後にセルガラス基板とガラス基板保護フィルムとの間に残存する微細な気泡の除去が容易であって、セルガラス基板に対する優れた密着性と密着耐久性を発揮しうるガラス基板保護フィルムを提供することができる。
本発明のガラス基板保護フィルムを用いてなる薄膜型の太陽電池モジュールの層構成の一例を模式的に示す図面である。 本発明のガラス基板保護フィルムの層構成を模式的に示す図面である。 本発明のガラス基板保護フィルムの密着強化層の粘性項(E’’)の温度毎の推移を示すグラフである。
以下、本発明のガラス基板保護フィルム、及び、それを用いてなる薄膜型の太陽電池モジュールについて、順次その詳細を説明する。但し、本発明は以下に記載される実施形態に限定されるものではない。
<ガラス基板保護フィルム>
本発明のガラス基板保護フィルム1は、薄膜型の太陽電池モジュール10を構成するセルガラス基板2の外部からの衝撃等による破損を抑止し、万一破損した場合のガラス破片の飛散を防止するための保護フィルムとして好ましく用いることができる。ガラス基板保護フィルム1の用途はこれに限られるものではないが、以下、ガラス基板保護フィルム1について、薄膜型の太陽電池モジュール10に用いられる場合の実施形態を、その好ましい実施形態の具体例として説明する。
尚、本発明のガラス基板保護フィルム1を好ましく用いることができる薄膜型の太陽電池モジュール10の一般的な層構成は図1に示す通りである。この薄膜型の太陽電池モジュール10は、一方の表面に薄膜型の太陽電池素子3が形成されているセルガラス基板2の他方の面にガラス基板保護フィルム1が積層されていて、このセルガラス基板2の薄膜型の太陽電池素子3の形成面側に、封止材4と、透明前面基板5とが、順次積層されている。このような層構成からなる薄膜型の太陽電池モジュール10において、ガラス基板保護フィルム1は、多くの場合、図1に示す通り、太陽電池モジュールの裏面側(太陽電池素子3の非受光面側)の最外層に露出する状態で用いられる。
図2に示す通り、ガラス基板保護フィルム1は、基材層11と密着強化層12と備えてなる多層フィルムである。基材層11は、ガラス基板保護フィルム1の耐候性を担保する層である。一方、密着強化層12は、ガラス基板保護フィルム1のセルガラス基板2との間における密着性と密着耐久性とを必要な程度にまで向上させる層である。基材層11と密着強化層12との一体化については、公知のドライラミネート法や押出しラミネート法によることができる。
多層フィルムであるガラス基板保護フィルム1の総厚さは、50μm以上150μm以下であることが好ましく、より好ましくは60μm以上90μm以下である。総厚さが50μm未満であると、セルガラス基板2の保護機能を十分に発揮しえない場合がある。一方、総厚さが150μmを超えると、モジュール全体の薄型化の要請に逆行する点において好ましくなく、又、経済性においても不利である。
[基材層]
基材層11は、多層フィルムであるガラス基板保護フィルム1のコア層であり、ガラス基板保護フィルム1に求められる耐候性や衝撃緩和性能等の特性は専らこの層によって担保される。又、この基材層11は、太陽電池モジュール10の最外層側において、水蒸気バリア層や絶縁層としての機能も発揮しうる層であることが好ましい。但し、基材層11は、必ずしも、単独の樹脂層として、これらの機能の全てを賄うことが必須ではない。例えば、ガラス基板保護フィルム1の更に外側に別途のバリア層を補助的に配置することによって、これらの機能を補助して太陽電池モジュール全体としての必要なバリア性や絶縁性を担保する構成とすることもできる。
基材層11としては、ポリエステル系の樹脂、又はフッ素系の樹脂、或いは、これらの各樹脂をベース樹脂として基材層11を構成する樹脂成分中50質量%以上含有してなる混合樹脂を好ましく用いることができる。基材層11を、これらの樹脂によって形成することで、ガラス基板保護フィルム1に好ましい耐候性や衝撃緩和性能を付与することができる。尚、本明細書において「ベース樹脂」とは、当該ベース樹脂を含有してなる樹脂組成物において、当該樹脂組成物の樹脂成分中で含有量比の最も大きい樹脂のことを言うものとする。
基材層11の材料として用いることができるポリエステル系の樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)を挙げることができる。ポリエチレンテレフタレート(PET)は、透明ポリエチレンテレフタレート(PET)の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)に酸化チタン等の白色顔料を含有させた白色PETや変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等の表面に更にコーティング又はラミネートにより耐侯性樹脂を積層した樹脂シート、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートも含まれる。なかでも、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、東洋紡社製シャインビーム(耐加水分解性ポリエステルフィルム)等を挙げることができる。
同じく、フッ素系樹脂等の樹脂フィルムとしては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニル・エステル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等を挙げることができる。
基材層11の厚さは、上記の通り、ガラス基板保護フィルム1の総厚さと、密着強化層12の厚さとの関係において、好ましい厚さ範囲の下限と上限が相対的に規定される。この好ましい厚さ範囲内において、基材層11は、30μm以上90μm以下の厚さであることが好ましく、35μm以上55μm以下であることがより好ましい。基材層11の厚さが30μm以上であることで、ガラス基板保護フィルム1の耐候性を担保することができる。又、基材層11の厚さが90μm以下であることで、ガラス基板保護フィルム1の総厚さを上記の好ましい範囲に保持することができ、又、材料費を抑えてガラス基板保護フィルム1の経済性を高めることができる。但し、上述した通り、別途の耐候層等をガラス基板保護フィルムの外層側に更に積層する場合には、これらの追加的な耐候層と相まって、薄膜型の太陽電池モジュールとしての必要な耐候性を担保することも可能であり、この場合、基材層11の単独層としての厚さは上記の下限厚さである30μmよりも更に薄いものとすることもできる。
又、基材層11の厚さは、密着強化層12の厚さとの対比において、密着強化層12の厚さの1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましい。密着強化層12には必要十分な密着性を担保するための最低限の厚さとして、20μm程度の厚さが求められる。例えば、密着強化層12の厚さが、30μmである場合、基材層11の厚さは、その1.2倍以上、則ち、36μm以上であることが好ましい。ガラス基板保護フィルム1の各層の厚さ比をこのように最適化することにより、ガラス基板保護フィルム1の総厚さを150μm以内に維持しながら、セルガラス基板2に対する十分な密着性と、セルガラス基板2への衝撃を緩和する性能のいずれをもバランスよく高めることができる。
尚、基材層11には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記材料の他に、顔料等のその他の添加物を適宜含有するものとすることもできる。又、ガラス基板保護フィルム1の表面に傷防止のための凹凸形状を付与する表面処理やハードコート処理がなされていてもよい。
尚、基材層11は、樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)が1.0×10Pa以上5.0×10Pa未満であることが好ましい。後述する通り、ガラス基板保護フィルム1の最表面に配置される密着強化層12については、粘性項(E’’)が8.0×10Pa以上であることが好ましいものとされているが、基材層11については、太陽電池モジュールを保護する観点から、密着強化層12よりも相対的に大きな粘性項(E’’)を有する樹脂層であることが好ましい。基材層11の粘性項(E’’)が、上記範囲であることにより、太陽電池モジュールを、曝露環境下で、例えば砂やその他の飛来物等による衝撃からも、十分に保護することができる。
[密着強化層]
密着強化層12は、ガラス基板保護フィルム1の最表面に配置されるスキン層であり、セルガラス基板2とガラス基板保護フィルム1との間の密着性及び密着耐久性を高める効果を発揮する樹脂層である。
(ベース樹脂)
密着強化層12は、グリシジル変性樹脂をベース樹脂としてなる樹脂層である。グリシジル変性樹脂の例としては、エチレン、プロピレン等のオレフィンと、グリシジル変性されたモノマーを構成成分として含む共重合体樹脂を挙げることができる。グリシジル変性されたモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記の共重合体樹脂の中でも、モノマーとしてグリシジルメタクリレートを構成成分として含有する、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、又はエチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体を、密着耐久性の向上を特段の目的として配置される密着強化層12の材料樹脂として、特に好ましく用いることができる。密着強化層12は、このようなグリシジル変性樹脂をベース樹脂として少なくとも密着強化層12を構成する樹脂成分中60質量%以上、好ましくは90質量%以上含んでなる層である。
密着強化層12を形成するグリシジル変性樹脂は、融点が90℃以上145℃以下であることが好ましく、94℃以上125℃以下であることがより好ましい。密着強化層12を形成するグリシジル変性樹脂の融点が、90℃以上であることにより、太陽電池モジュール10の製造工程におけるセルガラス基板2へのガラス基板保護フィルム1のセッティングの段階で、セルガラス基板2と、この上に載置されたガラス基板保護フィルム1との間に、微細な気泡等が残存していたとしても、熱ラミネート処理の進行中において、これらの気泡等を、消失又は十分に減少させることができる。これは、密着強化層の融点が90℃未満である場合には、通常150℃程度で行われる熱ラミネーション処理の過程で、上記の気泡等が残存したままの状態で、ガラス基板保護フィルム1のセルガラス基板2への密着が完了してしまうのに対し、同融点を90℃以上とすることにより、ガラス基板保護フィルム1が緩やかに軟化する過程で、上記の密着が完了する前に、上述の気泡等が消失又は十分に減少することによるものと考えられる。又、グリシジル変性樹脂の融点が、145℃以下であることにより、ガラス基板保護フィルム1のセルガラス基板2に対する初期密着性を十分に好ましい範囲に保持することもできる。これにより、本発明のガラス基板保護フィルム1は、セルガラス基板2に対する密着耐久性を顕著に向上させたものとすることができる。
尚、本明細書において、基材層11や密着強化層12等の各層を形成する材料樹脂の融点とは、示差走査熱量測定(DSC)により測定して得ることができる各樹脂の融点のことをいうが、DSC曲線の谷のピークが複数存在する場合は、そのうちのピーク面積が最も大きいピークが示す融点のことを、当該樹脂の融点と言うものとする。
密着強化層12を形成するグリシジル変性樹脂は、密度が0.860g/cm以上0.970g/cm以下であることが好ましく、0.880g/cm以上0.930g/cm以下であることがより好ましい。特にグリシジル変性樹脂として、酸変性ポリエチレンを用いる場合には、密度が0.885g/cm以上0.920g/cm以下の樹脂を好ましく用いることができる。密着強化層12を上記密度範囲内のグリシジル変性樹脂で形成することにより、セルガラス基板2との初期密着性向上の効果と、熱ラミネーション処理の過程での上記の不要な気泡等の消失又は十分に減少による密着耐久性向上の効果とを、よりバランスよく発現させることができる。
又、密着強化層12を形成するグリシジル変性樹脂のMFRは、2.0g/10分以上15.0g/10分以下の範囲であることが好ましい。MFRがこの範囲内にあることで、密度範囲が上記の好ましい範囲にある場合と同様に、密着性と密着耐久性向上の効果とをバランスよく発現させることができる。尚、本明細書におけるメルトマスフローレート(MFR)とは、特に別途の断りのない限り、上記の通り、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)の値のことを言うものとする。
上述の通り、密着強化層12はグリシジル変性樹脂をベース樹脂とする樹脂層であるが、この層には、このベース樹脂以外に、密着強化層の物性を改質する改質剤としてその他の樹脂を含有させることができる。密度0.840g/cm以上0.870g/cm以下の低密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂を主たる成分とする改質剤を、好ましい改質剤の具体例として挙げることができる。例えば、密度.0.870g/cm、MFR8.0g/10分の低密度ポリエチレンを、密着強化層12に15質量%以上30質量%以下の割合で含有させることにより、セルガラス基板2との初期密着性向上の効果と、熱ラミネーション処理の過程での上記の不要な気泡等の消失又は十分に減少による密着耐久性向上の効果とを、よりバランスよく発現させることができる。上記の改質剤の添加による好ましい効果は、これらの改質剤の添加によって、密着強化層12を被着体へ密着させる際の加熱時の熱挙動が変化し、密着に寄与する官能基がより被着体との界面側に移動しやすくなることによるものと考えられる。尚、本明細書において「改質剤の主たる成分」とは、例えば、密着強化層の物性を改質する改質剤における上記のオレフィン系樹脂のように、当該改質剤中における全成分のうち、目的とする効果発現との相関が特に大きいと考えられる一又は複数の成分のことを言うものとする。
(密着性向上成分)
密着強化層12には、密着性向上成分として、メルカプト基を有するシランカップリング(以下、「メルカプト系シランカップリング剤」ともいう。)が含有されている。このメルカプト系シランカップリング剤の含有量は、密着強化層12の全樹脂成分中における含有量で、0.2質量%以上1.0質量%以下であり、好ましくは、0.3質量%以上0.6質量%以下である。
メルカプト系シランカップリング剤とは、一般式[R1−Si(OR2)](R1はメルカプトアルキル基を、R2はアルキル基をそれぞれ表わす)で表されるものであり、例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトメチルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトエチルトリメトキシシラン等があげられる。尚、メルカプト系のシランカップリング剤は特に限定されず、公知のシランカップリング剤を好適に用いることができる。例えば、「KBM802」(信越シリコーン株式会社製)があり、市場から容易に入手できる。
密着強化層12のベース樹脂がグリシジル変性樹脂であり、メルカプト系シランカップリング剤が上記含有量で含まれているときには、過酷な湿熱環境下におけるガラス等に対する密着耐久性が極めて好ましい範囲へと向上する。メルカプト系シランカップリング剤の含有量がこの範囲未満であると太陽電池モジュールを構成する部材への密着性、特に上記の密着耐久性が好ましい範囲にまで向上しない。又、この範囲を超えると、製膜性が低下したり、又、シランカップリング剤が経時により凝集固化し樹脂フィルムの表面で粉化する、所謂ブリードアウトが発生する場合があり好ましくない。
密着強化層12の厚さは、上記の通り、ガラス基板保護フィルム1の総厚さと、密着強化層12の厚さとの関係において、好ましい範囲が相対的に規定される。この規定範囲内において、密着強化層12単独の厚さとしては、20μm以上60μm以下であることが好ましく、30μm以上35μm以下であることがより好ましい。密着強化層12の厚さが20μm以上であることで、ガラス基板保護フィルム1の初期密着性と、密着耐久性を担保することができる。又、密着強化層12の厚さが60μm以下であることで、ガラス基板保護フィルム1の総厚さを上記の好ましい範囲に保持することができ、又、密着強化層12が過剰に流動することに起因して太陽電池モジュールとしての一体化のためのラミネート加工時において、ラミネータが汚染することを防止することができる。又、材料費を抑えてガラス基板保護フィルム1の経済性を高めることもできる。
グリシジル変性樹脂をベース樹脂としてなるガラス基板保護フィルム1の密着強化層12は、樹脂温度25℃における、密着強化層の粘性項(E’’)が大きくできることもその特徴の一つである。ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする密着強化層の樹脂温度25℃における粘性項(E’’)が1.0×10Pa程度であるのに対して、ガラス基板保護フィルム1の密着強化層12の樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)は、8.0×10Pa以上とすることができる。このように低温領域(室温程度)における粘性項(E’’)を大きくすることにより、熱ラミネーション処理の進行中にガラス基板保護フィルム1が緩やかに軟化する過程で、ガラス基板保護フィルム1のセルガラス基板2への密着が完了する前に、上述のように気泡等を、より確実に、消失又は十分に減少させることができる。
密着強化層12の上記の樹脂温度25℃における粘性項(E’’)については、密着強化層12を形成する樹脂の融点や密度等を上述の範囲に調整することによって最適化が可能である。
ここで、密着強化層12を従来のようにポリエチレン系樹脂で形成した場合には、上記の粘性を高めるためには、当該ポリエチレン樹脂の融点や密度を相応に高める必要があり、結果として十分な密着性を担保することが困難となる。これに対して、密着強化層12をグリシジル変性樹脂をベース樹脂とすることにより、上記のように粘性項(E’’)を特定値以上にするために、必要な程度にまで当該樹脂の融点や密度を高くしたとしても、十分な密着力を容易に担保することができる。
尚、本明細書における「粘性項(E’’)」とは、レオゲル・E−4000(UBM社製)を用いて、荷重100g、サンプルサイズ巾5mm、長さ20mm、周波数10HZで測定した値のことを言うものとする。尚、本明細書において取り上げている各樹脂基材の「粘性項(E’’)」とは、いずれも、ガラス基板保護フィルムを構成する各樹脂基材自体の「粘性項(E’’)」であって、それらの各樹脂基材をガラス基板保護フィルムとして積層一体化する前段階における単体のフィルム状態で測定した値である。
尚、グリシジル変性樹脂をベース樹脂としてなるガラス基板保護フィルム1の密着強化層12は、その表面の動摩擦係数がポリエチレン樹脂からなる従来の密着強化層よりも小さいものであることが好ましい。具体的には、密着強化層12の表面の、樹脂温度90℃における、青板ガラス板上での動摩擦係数は、0.50以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましく、0.35以下であることが最も好ましい。上記の動摩擦係数が、0.50以下、好ましくは0.40以下であることにより、ガラス基板保護フィルム1は、熱ラミネーション処理の進行中に、軟化したガラス基板保護フィルム1がセルガラス基板2の表面で適度に滑動し、これにより、熱ラミネーション処理前の段階においてセルガラス基板2とガラス基板保護フィルム1との間に残存している上述の気泡等を、より確実に、消失又は十分に減少させることができる。
密着強化層12の上記の樹脂温度90℃における動摩擦係数については、密着強化層12を形成する樹脂の融点等を上述の範囲に調整することによる他、同層の表面形状や表面粗さ等を物理的な加工によって調整することによっても樹脂温度90℃における動摩擦係数の最適化が可能である。尚、例えば、上述した密着性向上成分としてのメルカプト系のシランカップリング剤や或いは他の各種フィラーの樹脂層中への添加については、このような各種のフィラーの樹脂層内部での有無が、摩擦係数に実質的な影響を及ぼすことはないので、必要に応じて必要な添加量でこれらを添加することができる
ここで、密着強化層12を従来のようにポリエチレン系樹脂で形成した場合には、上記の動摩擦係数を低く抑えるためには、当該ポリエチレン樹脂の融点を相応に高める必要があり、結果として十分な密着性を担保することが困難となる。これに対して、密着強化層12をグリシジル変性樹脂をベース樹脂とすることにより、上記のように動摩擦係数を特定値以下にするために、必要な程度にまで当該樹脂の融点を高くしたとしても、十分な密着力を容易に担保することができる。
尚、本明細書における「動摩擦係数」とは、加重変動型摩擦摩耗試験システム(「HHS2000」(新東科学(株)製))を用いて、ボール圧子で荷重200g、5mm/secで測定した値のことを言うものとする。
[その他の層]
ガラス基板保護フィルム1には、上記各層の他、太陽電池モジュール10としての一体化時に最外層に配置されることが想定される最外層に更に、耐候性を向上させる別途の耐候層を積層したものであってもよい。この場合、例えば、耐候性を担保するという目的においては、基材層11を、上記の好ましい厚さ範囲よりも更に薄くすることも可能である。
[ガラス基板保護フィルムの製造方法]
ガラス基板保護フィルム1は、基材層11を形成する工程、密着強化層12を形成する工程、及びこれらの各層を密着積層して一体化する工程を経ることによって、製造することができる。
基材層11、密着強化層12の各層を形成する方法としては、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の公知の成膜化法等によることができる。又、これらの層の一体化については上述の通り公知のドライラミネーション法によることができる。ラミネート接着剤は特に限定されず、ウレタン系、エポキシ系等の主剤と硬化剤とからなる2液硬化型のドライラミネート接着剤等が適宜使用可能である。
<薄膜型の太陽電池モジュール>
ガラス基板保護フィルム1を好ましく用いることができる薄膜型の太陽電池モジュールの代表的な例として、CIS系薄膜型太陽電池モジュール及びCZTS系薄膜型太陽電池モジュールを挙げることができる。CIS系薄膜型太陽電池モジュールとは、光吸収層の材料として、シリコンの代わりに、Cu、In、Ga、Al、Se、S等からなるカルコパイライト系と呼ばれるI−III−VI族化合物等のCIS系薄膜型太陽電池素子を用いた薄膜多結晶太陽電池モジュールである。CZTS系薄膜型太陽電池モジュールとは、光吸収層の材料として、Cu、Zn、Sn、S又はSeを含むカルコゲナイド系のI2−(II−IV)−VI4族化合物半導体の太陽電池素子を用いてなる太陽電池モジュールである。
これらの薄膜型太陽電池モジュールにおいては、薄膜型の太陽電池素子3が積層されているセルガラス基板2の太陽電池素子の非積層面にZnO、Zn(O)S、CdS及びIn等、バッファー層由来の金属や金属酸化物等を含んでなる層が不可避的に形成されてしまう場合がある。ガラス基板保護フィルム1は、ガラス密着性に優れるのみならず、これらの金属酸化物等に対する密着性についても極めて優れたものである。そのためガラス基板保護フィルム1は、CIS系又はCZTS系等の薄膜型太陽電池モジュールの製造において、極めて好ましく用いることができる。
以下の通り、実施例、比較例の各ガラス基板保護フィルムを作成し、本発明の効果を検証した。
<ガラス基板保護フィルムの作成>
下記の組成からなる基材層及び密着強化層を形成する各樹脂フィルムを、ウレタン系の接着剤によるドライラミネート法により一体化して、各実施例及び比較例のガラス基板保護フィルムを作成した。
[基材層]
基材層を構成する樹脂フィルムとして、全ての実施例及び比較例のガラス基板保護フィルムにおいて、PETフィルム(東レ社製、「X10S」、厚さ50μm)を用いた。
[密着強化層]
密着強化層を構成する樹脂組成物として、各実施例及び比較例毎にそれぞれ以下に示すベース樹脂1〜5に、密着性向上成分として、それぞれ所定量のメルカプト系のシランカップリング剤を添加(比較例3、4は未添加)してなる樹脂組成物をそれぞれ用いた。各実施例及び比較例に用いたベース樹脂の種類と、樹脂組成物中のメルカプト系シランカップリング剤の含有量(質量%)は表1に記載の通りになるようにした。そして、これらの各樹脂組成物を溶融成形してなる厚さ30μmの「密着強化樹脂フィルム」を各実施例及び比較例のガラス基板保護フィルムの密着強化層とした。
(ベース樹脂)
ベース樹脂1:密度0.940g/cm、融点103℃、190℃でのMFRが3.0g/10分であるグリシジル変性樹脂(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体樹脂)(住友化学社製「ボンドファースト BF−E」)。
ベース樹脂2:密度0.950g/cm、融点95℃、190℃でのMFRが7.0g/10分であるグリシジル変性樹脂(エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体樹脂)(住友化学社製「ボンドファースト BF−7B」)
ベース樹脂3:密度0.880g/cm、融点60℃、190℃でのMFRが13.0g/10分であるシラン変性ポリエチレン樹脂(三菱化学社製「リンクロンSS732」)。
ベース樹脂4:密度0.900g/cm、融点103℃、190℃でのMFRが6.0g/10分である無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(三菱化学社製「モデイックM545」)。
ベース樹脂5:密度0.902g/cm、融点90℃、190℃でのMFRが1.0g/10分であるシラン変性ポリエチレン樹脂(三菱化学社製「リンクロンMF900」)
(密着性向上成分)
メルカプト系のシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM802」)
<評価例1:密着強化層及び基材層の粘性項(E’’)の測定>
実施例と比較例の各ガラス基板保護フィルムを構成する上記の各「密着強化樹脂フィルム」、及び基材層を構成するPETフィルムについて、樹脂温度−50℃〜120℃における、粘性項をそれぞれ下記方法により測定した。
[粘性項(E’’)の測定]
粘性項(E’’)は、実施例と比較例の各フィルムを、巾5mm、長さ20mmの測定用サンプルとし、レオゲル・E−4000(UBM社製)を用いて、荷重100g、周波数10HZで測定した。表1には、全てのフィルムの樹脂温度25℃における粘性項を(E’’)として示した。尚、図3は、この測定によって得た実施例2の密着強化樹脂フィルム、及び、基材層として用いた上記のPETフィルムの樹脂温度−50℃〜120℃の間における粘性項(E’’)の推移をグラフ化したものである。
尚、基材層として用いた上記のPETフィルムの樹脂温度25℃における粘性項(E’’)は、4.36×10Paであった。
<評価例2:ラミネート時における層間残存気泡の残存量評価>
[残存気泡観察用サンプルの作成]
青板ガラス(900mm×1000mm×1.8mm)上にPVD法により厚さ0.5μmでZnO層を形成した試験用セルガラス基板を作成した。そして、この試験用セルガラス基板の上記ZnO層上に、880mm×980mmにカットした上記の実施例及び比較例の各ガラス基板保護フィルムをそれぞれ載置し、下記熱ラミネート条件(a)〜(d)で、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例の各残存気泡観察用サンプルを得た。尚、ガラス板への上記の各ガラス基板保護フィルムの載置は、2名の作業者がフィルム両端を保持しながら手作業でガラス板に載置することによって行った。この際、加熱前の初期状態のフィルムとガラス板の界面において、1〜3箇所に、高さ1cm程度、2〜4cm径程度の気泡(ガラス基板保護フィルムが、ガラス板に密着せずに乖離している部分)が、形成されるように、両作業者がフィルムにかけるテンションを調整しながら載置した。
(熱ラミネート条件) (a)真空引き:4.0分
(b)加圧(0kPa〜100kPa):1.5分
(c)圧力保持(100kPa):9.0分
(d)温度155℃
[層間残存気泡観察試験]
実施例、比較例の各残存気泡観察用サンプルについて、目視で、ガラス基板保護フィルムとセルガラス基板の間に残存する気泡の有無を観察した。評価基準として、上記層間に、気泡が無く、シワが目視で観察できなかったものを「○」、気泡かシワのいずれかが観察されたものを「×」とした。評価結果を「残存気泡」として表1に示す。
<評価例3:初期密着性評価>
[密着性評価用サンプルの作成]
青板ガラス(75mm×50mm×0.035mm)上にPVD法により厚さ0.5μmでZnO層を形成した試験用セルガラス基板を作成した。そして、この試験用セルガラス基板の上記ZnO層上に、15mm幅にカットした上記の実施例及び比較例の各ガラス基板保護フィルムをそれぞれ密着させ、下記熱ラミネート条件(a)〜(d)で、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例の密着性評価用サンプルを得た。
(熱ラミネート条件) (a)真空引き:4.0分
(b)加圧(0kPa〜100kPa):1.5分
(c)圧力保持(100kPa):9.0分
(d)温度155℃
[密着性試験]
上記各密着性評価用サンプルについて、下記の試験条件における密着強度を測定して、各ガラス基板保護フィルムの密着性を評価した。密着強度の測定は、各密着性評価用サンプルにおいて、ガラス基板保護フィルムを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)する試験によって行った。評価基準として、上記試験により得た層間の剥離強度について、以下の評価基準により評価した。測定結果と評価結果を「初期密着性」として表1に示す。
(評価基準)
A:25N/15mm以上
B:20N/15mm以上25N/15mm未満
C:20N/15mm未満
<評価例4:高度耐久性評価>
[高度耐久性試験]
実施例、比較例の上記密着性評価用サンプルを、75℃の水中に完全に水没させた状態で、100時間保管後、上記密着性試験と同一の試験を行った。評価基準として、上記試験により得た層間の剥離強度について、以下の評価基準により評価した。測定結果と評価結果を「高度耐久性」として表1に示す。
(評価基準)
A:20N/15mm以上
B:16N/15mm以上20N/15mm未満
C:16N/15mm未満
Figure 2018069539
表1から、樹脂フィルムのガラス密着性を高めることができる樹脂成分として従来汎用的に用いられてきたシラン変性ポリエチレン系樹脂をガラス基板保護フィルムの密着強化層のベース樹脂とした場合(比較例1)には、初期密着性も高度耐久性も好ましいものとすることが可能ではあるが、太陽電池モジュールの製造時において問題となっていた層間気泡の残存は回避できていないことが分かる。尚、融点90℃のシラン変性ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした比較例3の結果から分かる通り、単に、樹脂の融点を高めただけでは、上記問題を回避できないことも確認されている。
又、表1から、シラン変性ポリエチレン系樹脂同様に、樹脂フィルムのガラス密着性を高め得るものとして知られている酸変性ポリエチレン樹脂を用いた場合(比較例2)には、上記の層間気泡の残存を低減させることはできるが、一方で、高度耐久性については、依然不十分であることが分かる。これは、密着強化層のベース樹脂たるグリシジル変性樹脂の側鎖に存在するエポキシ基と、ガラス密着性を向上させる成分として添加されているメルカプト系のシランカップリング剤のチオール基とが、強固に化学結合することにより、ガラス基板保護フィルムとガラス基板との結合をより強固なものとしているためであると考えられる。
以上より、本発明のガラス基板保護フィルムは、とりわけ薄膜型の太陽電池モジュールの製造において問題となっていた層間気泡の残存を、製造時において、十分に回避することができるものであること。そして、太陽電池モジュールとしての一体化後におけるセルガラスとの密着性、及び、高温多湿の気候地域での使用等、極めて過酷な使用環境下における高度耐久性について、極めて優れたものであることが分かる。
1 ガラス基板保護フィルム
11 基材層
12 密着強化層
2 セルガラス基板
3 太陽電池素子
4 封止材
5 透明前面基板
10 太陽電池モジュール

Claims (6)

  1. 基材層と、最表面に配置される密着強化層と、を備えてなり、総厚さが150μm以下の多層フィルムであって、
    前記基材層は、ポリエステル系樹脂又はフッ素系樹脂をベース樹脂とし、
    前記密着強化層は、グリシジル変性樹脂をベース樹脂とし、該密着強化層の全樹脂成分中に0.2質量%以上1.0質量%以下の割合で、メルカプト基を有するシランカップリング剤が含有されていて、
    該密着強化層の樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)が8.0×10Pa以上であるガラス基板保護フィルム。
  2. 前記基材層の樹脂温度25℃における、粘性項(E’’)が1.0×10Pa以上5.0×10Pa未満である請求項1に記載のガラス基板保護フィルム。
  3. 前記グリシジル変性樹脂が、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体又はエチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体である請求項1又は2に記載のガラス基板保護フィルム。
  4. 前記密着強化層の厚さが20μm以上であって、前記基材層の厚さが、前記密着強化層の厚さの1.2倍以上である請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板保護フィルム。
  5. 一方の表面に薄膜型の太陽電池素子が形成されているセルガラス基板における他方の表面に請求項1から4のいずれかに記載のガラス基板保護フィルムにおける前記密着強化層が直接積層された構造を含んでなる薄膜型の太陽電池モジュール。
  6. 前記セルガラス基板における前記太陽電池素子の非積層面側の表面に、ZnO、Zn(O)S、CdS及びInからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含んでなる薄膜層が形成されている請求項5に記載の太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109830549A (zh) * 2018-12-13 2019-05-31 广东工业大学 一种硫化铟/石墨烯复合薄膜及其制备方法和应用

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