従来のフライカッティング動作では、フライカッターが工作物に対して位置付けられ、モーターが起動されてヘッド及び関連する切削要素(1つ又は複数)を回転させ、フライカッティングヘッドが工作物に対して動かされて、工作物に溝又は他の形状特徴を切り込む。ミリングの一種であるフライカッティングは、典型的には不連続な切削動作であり、これは、各切削要素が工作物と一定時間接触し、その後工作物と一定時間接触せず、その間にフライカッティングヘッドがこの切削要素を、これが再び工作物に接触するまで、円周の残りの部分を通じて回転することを意味する。フライカッティング動作は典型的には非連続的であるが、フライカッターによって工作物に形成される、得られる溝区分又は他の表面形状特徴は、所望により、連続的(例えば、個別であるが接続された切削部の連続によって形成される)であってもよく、又は非連続的(分離した切削部によって形成される)であってもよい。本発明は、最も多くの場合において、切削要素を使用するフライカッティングによる、工作物からの材料の除去に関して記載されるが、本発明はまた、切削要素でなく、むしろピーニング要素を備えた、改善されたフライカッティングヘッドを使用した、表面のピーニング又は他の方法による変形の実施も、その範囲内に含む。
上記のように、従来のフライカッティングを使用して工作物に切り込まれる形状特徴(1つ又は複数)は、ヘッドが回転する際に切削要素によってつくられる連続的な溝区分によって形成され、工作物の長さに沿って延びる溝であってもよい。この配列では、切削要素は、これが工作物から取り去られるまで、又はモーターが停止されるまで、工作物から材料を単純に切削し続けるため、どこで個別の切削要素がフライカッティングヘッドの回転軸に関連付けられるのかを知ることは重要ではない。同様の配列の別の実施例は、円柱形工作物(cylindrical workpiece)の表面にらせん状の溝を切り込むためにフライカッターが使用される場合であり、工作物中にねじ山(threads, or screw threads)を生成するとされるプロセスである。この状況でも同様に、切削要素は一度工作物に対して位置付けられると、これらが停止されるまで、この工作物を単純に切削し続けるため、フライカッティングヘッドの回転軸に対する任意の個別の切削要素の位置は重要ではない。換言すると、切削要素が工作物に最初に接触する点が、0°(フライカッターヘッドの回転軸に対して)であるとされる場合、切削要素が、任意の時点において、回転軸についての回転の、5°、165°、又は275°で位置するかは重要ではない。
本発明の特徴は、時間の関数としての、フライカッティングヘッドの位置の決定に関する。この情報は、工作物中において工作物に対する特定の位置の溝区分などの形状特徴、若しくは他の形状特徴、又はその両方を形成するようにフライカッティングヘッドが位置付けられる、フライカッティング動作のために有用である。位置の決定は絶対的であってもよく(フライカッティングヘッドの回転位置が、ある初期点、又は基準点に関連して既知であることを意味する)、又は相対的であってもよい(フライカッティングヘッドの回転位置が、前の位置に関連して既知である)。例えば、上記で提供された単純な角度位置の表現を使用して、本発明は、ユーザー又はシステムが第1の時点(t1)で切削要素が第1角度位置(a1)にあり、第2の時点(t2)で切削要素が第2角度位置(a2)にあったことなどを判断することを可能にする。角度位置が、例えば切削要素が工作物に最初に接触する位置(位置a1)、及び切削要素が工作物に溝又は他の形状特徴の既知の部分を切り込んだ位置(位置a2)として特定される場合、次に位置a1と位置a2との間で切削要素の位置及び向きの一方又は両方を変えるための作動装置を備えるフライカッティングヘッドは、そのようするために起動される。要するに、時間の関数としての切削要素の位置を知ることにより、操作者が任意の時点におけるこの切削要素の位置を特定することを可能にし、これは、システムが、既定のパターン、構造、溝、切削部、設計、すなわち一般的に形状特徴を工作物中に形成することを可能にする。これは、従来的なフライカッティングシステム又は方法では利用可能でない利点であると考えられる。
本発明は、まずフライカッティングヘッド、次にこのようなフライカッティングヘッドを含むフライカッティングシステムに関して記載される。最後に、特に工具の形成、又はこのような工具を使用して作製される物品に関して、本発明の様々な操作上の特徴及び結果が記載される。
その一実施形態が図1に示される、本発明のフライカッティングシステム及び方法において、フライカッティングヘッド100は、切削要素102を含み、これはシャンク又は工具ホルダー104に保持されるか、又は組み込まれ、これは次にカートリッジ106によってヘッド100に固着されてもよい。切削要素は例えばダイヤモンドであってもよく、これは工具ホルダー104によって保持される。あるいは、ダイヤモンドなどの切削要素はフライカッティングヘッド又はディスクに直接結合され、工作物に形状特徴を形成するために使用されてもよい。
例えば、フライカッティングヘッドは、通常基部又は基盤に固定されるハウジング110、ハウジングに固着される固定子(図示されない)を含むDCモーターなどのモーター、及びポート108を含み得る空気軸受け114によって支持される回転スピンドル112を含む。フライカッティングヘッドはまた、ヘッドの静止部分と回転部分との間で信号及び電力の一方又は両方を伝送するためのスリップリング又は他のアセンブリを含んでもよい。フライカッティングヘッドはまた、ハウジング110に対する回転スピンドルの位置(又は位置の変化)を測定する、回転エンコーダーなどのエンコーダーを含む。エンコーダーの一部は、典型的には静止的であり、ハウジング及び固定子の一方又は両方に対して固定された位置にある(及び典型的にはそれらの内部に収容される)。エンコーダーの第2部分は、典型的にはスピンドル112などの、フライカッティングヘッドの回転部分に固着され、これはエンコーダーの静止部分と相互作用するように構成されて、2つの部分の間の相対移動を示す信号を生成する。例えば、エンコーダーの回転部分は、一連の線又は他のしるしを有してもよく、エンコーダーの静止部分は、2つの部分の間の相対移動の程度を決定するために、これらの線の存在又は不在を光学的に検出することができる。エンコーダー(典型的には静止部分)は次に、フライカッティングヘッドの位置に関する情報を含む少なくとも1つの位置信号を伝送し、これはコントローラーによって受信され、命令信号を生成するために使用され得る。命令信号は、例えば、フライカッティングヘッド又は基盤に関連するモーターに伝送されてもよい。命令信号は、例えば、フライカッティングヘッドの速度、又はその工作物に対する位置を変えることができる。
本記載において、フライカッティングヘッドによって保持される単一の切削要素が参照されてよいが、複数の切削要素がフライカッティングヘッドによって保持されてもよく、切削要素は互いに同一であっても、異なっていてもよい。切削要素は、単結晶、又は多結晶ダイヤモンド、炭化物、鋼鉄、立方晶窒化ホウ素(CBN)、又は他の任意の好適な材料であってよい。好適なダイヤモンド切削先端部は、カナダ、ケベック(Quebec)の、K&Yダイヤモンド・カンパニー(K&Y Diamond Company)から入手可能である。ダイヤモンドなどの切削要素の形状、及び切削要素のためのシャンク又はホルダーの設計は、工作物に望ましい表面形状特徴又は効果をつくりだすために指定されてもよい。典型的には交換可能である切削要素は、1つを超える切削先端部又は他の形状特徴を含んでもよいが、これは米国特許出願第2003/0223830号(ブライアン(Bryan)ら)に記載され、その内容が本明細書に組み込まれる。ダイヤモンド切削要素は、サブミクロン規模でミリング(例えばイオンミリングによるものを含む)して、ほぼあらゆる所望の構造の形状特徴を形成する切削要素をつくることができる。フライカッティングヘッドの他の特徴が、所望により選択され得る。例えば、より大きな直径のフライカッティングヘッドを使用して、より大きな切削半径により、より小さな直径のフライカッティングヘッドによって切削される溝よりも平坦な底部を必然的に有する溝をつくることができる。
本発明によるフライカッティングシステムが図2に例示される。説明を簡易化するため、フライカッティングヘッド100、及び工作物200に関して座標系が指定されてもよい。座標系の指定は任意であり、発明の範囲を限定するためではなく、むしろ提供される図面との関連において本発明の理解を促進するために提供される。切削要素の先端部に関して座標系が示され、相互に垂直なX軸、Y軸、及びZ軸を含む。X軸は、ロール200に垂直であり、例示される実施形態では、ロール200の長手方向軸を通過する。Y軸は、図2に示されるように垂直に延び、例示される実施形態では、ロールの外側表面への接線と平行であるか、又は一致する。Z軸はロールの中央軸と水平、かつ平行に延びる。工作物は、例示される実施形態ではまた、回転軸Cを有し、工作物はこの軸に対していずれかの方向に回転されてよい。フライカッティングヘッド100は回転軸Aを有し、これは、図2のY軸と平行である。例示される工作物は円柱形ロールであり、工作物の具体的な形状は重要ではない本記載において工作物及びロールの指定は互換可能に使用され得るが、他の形状及び大きさの工作物が本発明との関連において使用されてもよい。工作物が、円柱形ではなく平面状(例えばプレート又はディスク)である場合、上記で指定された様々な軸の対応する適合が行われて、この関連における本発明の理解を促進することができる。
この実施形態では、円柱形工作物200が、スピンドル202上にしっかりと支持され、エンコーダー226が、固定点又は初期点に対するスピンドルの位置、又は位置の変化を検出するように、位置付けられ構成される。工作物は、ステンレススチールなどの、金属製のロール200であってもよく、外側層は、真鍮、アルミニウム、ニッケルリン、硬銅、又はポリマーなどの、より容易に細工される材料から作製される。単純化のために、工作物は、本記載において、多くの場合「ロール」と称されるが、工作物は、システムに好適に適合させて、平面状、凸状、凹状、若しくは複雑な形状、又は他の形状であり得る。したがって、本記載における用語「ロール」は、任意の好適な形状の工作物を例示することを意図する。工作物は、図3に示されるように、一端に試験バンド210を含んでもよく、フライカッティングヘッドが試験パターンを切り込んで、ヘッド及び工作物が、互いに対して適切に位置付けられ同期化されているかを判断するように、ここにプログラムされ得る。試験バンドに形成された形状特徴の特徴が次に評価されることができ、一度フライカッティングヘッド及び工作物の動作が最適化されると、実際の機械加工動作が、工作物の異なる部分で実行され得る。試験バンドは必要ではないが、システムの実際の性能を、システムの望ましい又は理論的な性能と一致させるために、どのような調節が行われるべきであり得るかを決定するために、有用であり得る。
フライカッティングシステムは、好ましくはコンピューター又はコントローラー218によって制御され、これは、1つ以上のアプリケーションを記憶するためのメモリー、情報の不揮発性記憶のための二次記憶装置、作動装置又は他の装置に出力され得る波形データファイルを生成するための関数発生器、情報又は命令を受信するための入力装置、メモリー若しくは二次記憶装置に記憶された、又は別のソースから受信されたアプリケーションを実行するための処理装置、情報の視覚的表示を出力するための表示装置、あるいはスピーカー又はプリンターなどの他の形態の情報を出力するための出力装置、あるいは先行の2つ以上の任意の組み合わせを含むか、又はこれに動作可能に接続されてもよい。コントローラーは、ケーブル220、又は好適なワイヤレス接続を使用してデータ又は信号を交換してもよい。1つの有用な制御システムは、入力及び出力回路、並びにPMACコントロール(カリフォルニア州チャツウォース(Chatsworth)のデルタ・タウ・データシステムズ(Delta Tau Data Systems)から入手可能)を含む。このPMACコントロールは、多軸PMAC2コントローラーと増幅器を組み合わせて、例えば、フライカッティングヘッド及びロールの運動制御を提供する。
本発明の制御システムは、本明細書に記載される結果を生じさせるための既知の方法で設計することができる、ソフトウェア及びファームウェアの一方又は両方を使用する。具体的に、ソフトウェアは好ましくは、操作者が、工作物上の、個別の溝区分又は他の表面形状特徴のミクロレベルの形状と、溝区分又は他の形状特徴のマクロレベルのパターン(ランダム、擬似ランダム、又は規則的な)との両方を表す波形データファイルをつくることを可能にする。これらのデータファイルは次に様々な制御システム構成要素に送信されて、その性能、及び好ましくは工作物に対する切削要素の同期化を制御する。
様々な構成要素の運動をプログラムし、調整するために、ソフトウェアが典型的には使用されて、データファイルをつくるために望ましいパラメーターを入力し、波生成ユニットが次にデータファイルを信号に変換し、これが駆動ユニット(1つ又は複数)、作動装置(1つ又は複数)、及び必要に応じて他の構成要素に伝送される。例えば、ロール速度は、毎分およそ0.001〜およそ1000回転に設定されてもよく、フライカッティングヘッド速度は、毎分およそ1000〜およそ100,000回転に設定されてもよい。毎分およそ5000、およそ10,000、およそ25,000回転、及びおよそ40,000回転のフライカッティングヘッド速度が試験され、かつ一般的には好まれるが、これは、より速い速度が、完成した工作物、例えば微細複製工具をつくるために必要とする時間を削減するためである。
工作物、例示される実施形態におけるロール200は、コントローラーによって制御されこれから命令信号を受信するモーターによって駆動されるスピンドルシステム上にしっかりと支持されてよい。スピンドルシステムは、空気又は静圧軸受けなどの1つ以上の軸受け222を含んでもよい。単純化のため、軸受け222は、図2のロールの一端にのみ図示されており、図4には図示されないが、これらは、工作物に対して任意の好適な位置で位置付けられ、支持されてもよい。ロールは、モーター224によっていずれかの方法に回転してよく、あるいは工作物が円柱形ではないか、又は異なるシステムを使用して位置付けられる場合、コントローラー218によって提供される命令に応じて位置付けられてよい。代表的なモーター式スピンドルシステムは、名称4R、又は名称10R(これは空気軸受けを含む)でミネソタ州ホプキンス(Hopkins)のプロフェッショナル・インストルメンツ(Professional Instruments)から、あるいはより大きな工作物に関してはコネチカット州ファーミントン(Farmington)のホイットノン・マニュファクチュアリング・カンパニー(Whitnon Manufacturing Company)のホイットノン・スピンドル部門からの油静圧スピンドル(oil hydrostatic spindle)システムが入手可能である。スピンドルシステムは、好ましくはまた、回転エンコーダー226を含み、これは、望ましい正確度の範囲内で工作物の位置を検出し、この情報をコントローラーに伝送して、コントローラーが工作物とフライカッティングヘッドとを以下に記載の方法で同期化することを可能にするように構成される。
図2に図示されるように、フライカッティングヘッドは、好ましくはフライカッティングテーブル230上に支持され、これは「xテーブル」と称されることがある。xテーブルは、X軸、Y軸、及びZ軸の少なくとも1つに沿って、好ましくはX軸及びZ軸の両方に沿って、より好ましくはX軸、Y軸、及びZ軸の3つ全てに沿って、連続して、又は好ましくは同時に動くように構成され、フライカッティングヘッド及び切削要素(1つ又は複数)を、工作物に対して位置付ける。当業者には既知であるように、xテーブルは、1つを超える次元又は方向に、本質的に同時に動くことができ、それによって切削先端部の位置を、コントローラーの制御下において三次元空間内で容易に位置付けることができる。
他の従来の機械加工技術が、本発明のシステム及びその構成要素との関連において有用であり得る。例えば、切削要素、フライカッティングヘッド、作動装置、又は他の構成要素の温度を制御するために、冷却流体が使用されてもよい。冷却流体の温度を、これを循環させる際に実質的に一定に維持するために、温度制御ユニットが用意されてもよい。温度制御ユニット、及び冷却流体のリザーバは、様々な構成要素を通じて、又はこれに流体を循環させるためのポンプを含むことができ、これらはまた、典型的には、流体を実質的に一定の温度に維持するために流体から熱を取り除くための冷却システムも含む。流体を循環させ、温度制御を提供する冷却及びポンプシステムは、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、冷却流体はまた、工作物が機械加工される間に、実質的に一定の表面温度を維持するために、工作物に付与されることもできる。冷却流体は、低粘度油などの油製品であり得る。
機械加工プロセスの他の態様も、当業者に既知である。例えば、ロールは乾式切削、又は油若しくは別の加工助剤を使用する切削であってもよく、高速作動装置は冷却を必要とする場合があり、清浄な乾燥した空気が任意の空気軸受け、例えばスピンドルを支持するものと共に使用されるべきであり、スピンドルは、油冷却ジャケットなどを使用して冷却されてもよい。この種類の機械加工システムは、典型的には、構成要素の調整された速度などの様々なパラメーター、並びに機械加工される金属の所定の体積のための比エネルギー、並びに工作物材料の熱安定性及び特性などの、工作物材料の特徴を考慮するように構成される。最後に、PCT国際公開特許第00/48037号に記載される種類のいくつかのダイヤモンド旋削構成要素及び技術、並びに米国特許公開第2004/0045419(A1)号(ブライアン(Bryan)ら、本発明の譲受人に譲渡)に記載される種類のフライカッティング構成要素及び技術(これら双方の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)も、本発明との関連において有用であり得る。
例えば、円柱形ロールの場合は、回転の長手方向軸について回転するために、ロールが上にしっかりと取り付けられたスピンドルに関連するエンコーダー226を使用して、時間の関数としての工作物200の位置が決定される。フライカッティングヘッドのため、及びスピンドル又は他の工作物支持システムのために使用されるエンコーダーは、フライカッティングシステムと共に使用されるいくつかの従来のエンコーダーにおけるように速度を測定する目的のみではなく、位置を測定するためにも使用され得る。次に、エンコーダーは、フライカッティングヘッド又はスピンドルの位置を示す位置信号をそれぞれ伝送することができる。これは、工作物の位置と、フライカッティングヘッドの切削要素(1つ又は複数)の位置との同期化を補助する。具体的に、エンコーダーは、ロールの回転位置、フライカッティングヘッドの、そのヘッドの回転軸に対する位置、Z軸などの別の軸に対するフライカッターヘッドの位置、及びロールに対してフライカッターを動かすxテーブルの位置を決定するために用意され得る。したがって、用語フライカッティングヘッドの「位置の決定」は、ヘッドの回転中における、その位置の決定に関して一般に使用されるが、これは更に、軸に沿ったその軸位置、又は軸周囲の回転位置に対するフライカッティングヘッドの位置の決定を含むことがある。一般に、フライカッティングヘッドは、任意の軸に対してある角度をなすか、又はこれについて回転してもよい(又はこれに対して傾いていてもよい)。
一実施形態では、この同期化はロールに関連する位置エンコーダー(例えば角度エンコーダー)、及びフライカッティングヘッドに関連する別の位置エンコーダーを用意することによって、行われてもよい。少なくとも2つの種類のエンコーダー(増分及び絶対)が現在利用可能である。増分エンコーダーはより安価である可能性があり、例えばロール又はフライカッティングヘッドの既知の位置の指標である、インデックス信号と共に使用される場合、絶対エンコーダーとして有効に機能し得る。ロール(又は上にロールが取り付けられたスピンドル)に関連するエンコーダー226は、微小な望ましい溝のピッチ、又はロールに機械加工される形状特徴の他の寸法に近似する、ロールのその回転軸に沿った位置を検出するのに十分な分解能を有するべきである。溝のピッチは、ある溝の中央から次の隣接する溝の中央までの距離、又は1つのピークから次の隣接するピークまでの距離であり、他の表面形状特徴に関しては、対応する寸法を通常は計算することができる。
本発明のいくつかの実施形態のフライカッティングヘッドとの関連において有用な1つのエンコーダーは、名称E5D−100−250−Iで、ワシントン州バンクーバー(Vancouver)のU.S.デジタル・コープ(U.S. Digital Corp.)から入手可能であり、ヘッドの角度位置を測定するために、フライカッティングヘッドの上に位置付けられる。本発明のいくつかの実施形態において、工作物又はロールとの関連において有用なエンコーダーは、名称レニショウ・シグナムRESM(Renishaw Signum RESM)、413mm直径、64,800ライン数で、イリノイ州ホフマンエステーツ(Hoffman Estates)のレニショウ(Renishaw)社から入手可能である。適用するために選択される特定のエンコーダー(1つ又は複数)は、望ましい分解能、フライカッティングヘッド又は他の構成要素の最高速度、及び最高信号速度によって決まる。
切削要素によって工作物に切り込まれる形状特徴は、簡易化のために、「溝区分」又は「溝」と称されることがあるが、必要であれば他の表面形状特徴が切削要素によって形成されてもよい。工作物表面に切り込まれる形状特徴の深さは、0〜150マイクロメートル、又は好ましくは0〜35マイクロメートル、又は更により好ましくは光学フィルムのための微細複製工具をつくるために、0〜15マイクロメートルの範囲であってよい。これらの範囲は、本発明の範囲を限定することを意図せず、これらは、このような工具を使用して製造されるポリマーシートにおいて、ある光学的効果をもたらすために有用な形状特徴の規模を表し得る。ロール工作物に関しては、任意の個別の形状特徴の長さは、ロールがその長手方向軸について回転する速度に影響されるが、これは高速で動くロールに長い形状特徴を切り込むことがより困難であるためである。切削要素が工作物と反対方向に動く場合、切削要素が工作物と同じ方向に動く場合よりも、より長い溝が一般的により容易に形成され得る。例えば、本発明のフライカッティングヘッドが、円柱形ロールの外辺部の周囲に切り込まれるねじ山に似た形状特徴をつくるために使用される場合、形状特徴はほぼあらゆる長さを有することができる。個別の形状特徴が所望される場合、これらの長さは、例えば約1マイクロメートル〜数ミリメートルであってもよいが、この範囲は本発明の範囲を制限することを意図しない。ねじ切りの場合、互いに隣接する溝の間のピッチ又は間隔は、約1〜約1000マイクロメートルに設定することができる。形状特徴は、例えば、左右対称、左右非対称、プリズム型、及びほぼ楕円形の形状特徴など、任意の種類の三次元形状であることができる。工作物の表面における材料が、取り除かれる代わりに、凹んだ、ないしは別の方法で変形された実施形態では、変形部は工具ホルダーによって保持される工具の特徴を変えることで、変化させることができる。
本発明に従って工作物に切り込まれる表面形状特徴は、マクロ規模及びミクロ規模の双方で制御されることができる。表面形状特徴、又は微細構造は、物品の表面上、物品の表面に押し込まれた、又は物品の表面から突出する、任意の種類、形状、及び寸法の構造を含み得る。例えば、本明細書に記載の作動装置及びシステムを使用して作製される微細構造は、1000マイクロメートルピッチ、100マイクロメートルピッチ、1マイクロメートルピッチ、又は更には200ナノメートル(nm)付近のサブ光波長ピッチを有することができる。あるいは、他の実施形態では、微細構造のピッチは、1000マイクロメートルよりも大きくてもよい。これらの寸法は、例示的な目的のためだけに提供されたものであり、本明細書に記載された作動装置及びシステムを用いて作製される形状特徴又は微細構造は、このシステムを用いて細工することのできる範囲内の任意の寸法を有することができる。
工作物がその長手方向軸について回転する円柱形ロールである場合、この軸と平行な溝、又は溝の連続を切り込むように構成されたフライカッティングヘッドは、生じる溝又は溝の連続が実際に平行であるように、再配向する必要がある場合がある。換言すれば、ロールが静止しているときに切削要素がロールに平行な溝を切り込むと、これは(他のパラメーターが一定に維持された場合)、ロールが切削中に回転可能である場合にロールに僅かに湾曲した溝を切り込む。この効果を相殺するための1つの方法は、その切削の最後における切削要素が、その切削の最初におけるよりも、ロールの回転方向により遠くなるように、カッティングヘッドに角度をつけることである。切削要素は、短い距離にわたってのみロールと接触しているため、結果は、ロールの回転にもかかわらず、ロール表面において、平行な切削部に近くなり得る。例えば、ロールが回転する際にこれに従うように、フライカッティングヘッドをロールの中心軸について回転できるようにすることなどにより、同じ又は同様の目的を達成するために、他の方法でシステムを構成することが可能であり得るが、これは実行に費用がかかることがある。
図2に図示される円柱形の工作物200のような工作物を機械加工するための1つの有用なシステム及び方法では、その回転軸AがY軸と平行に延びるようにフライカッティングヘッドが位置付けられ、それによってZ軸に平行に延びる溝又は形状特徴が工作物の表面に切り込まれる。しかしながら、工作物の長さに沿って全体の溝を切り込むのではなく、むしろ単一の溝区分が切り込まれ、工作物が、互いに隣接する溝の望ましい位置の間の望ましいピッチ又は距離と等しい距離(外側表面で)で回転される。次に、第2の溝区分が切り込まれ、工作物が、次の隣接する溝の望ましい位置の間のピッチに相当する第2の距離で回転される。このプロセスは、工作物の外辺部の周囲に溝区分が形成されるまで繰り返される。工作物が1回転、完全に回転されたとき、コントローラーは(工作物に関連するエンコーダーによって送信された位置信号を受信したため)、続く回転の工程において工作物に切り込まれる溝区分と、前の回転の工程で切り込まれた溝区分とを正確に位置合わせして、工作物の外側表面に同等の長手方向に延びる溝、又は他の所望の構造を形成することができる。しかしながら、長手方向に延びる溝は、工作物中、又は工作物上に形成され得る、いくつかの可能な形状特徴の1つにすぎない。以下でより詳細に記載される好ましい実施形態では、工作物の回転、フライカッティングヘッドの回転、及びフライカッティングヘッドのZ方向における変位は、調整されて比較的一定であり、これは、構成要素を始動、停止、若しくは再配置する、又はこの構成要素が安定な動作状態に達するのを待つ浪費時間を最少化する。
本発明による微細複製工具を形成するため、円柱形ロールなどの工作物はミリングされて、望ましい表面形状特徴を提供する。未加工のロールは、構造体又はパターンが切り込まれる外側層を有してもよい。この層は、ランダムな又は他のパターンを切り込まれた後に、今度は、パターンを保護する、フィルムの正確な形成若しくはその容易な剥離を可能にする、又は他の有用な機能を実行する、1つ以上の追加の層でコーティングされ得る。例えば、クロム又は同様の材料の薄い層が工具に付与されてもよいが、この種類の層は、工具の鋭い縁部を「丸くする」可能性があり、したがって望ましくない。任意の機械加工可能な材料を使用することができ、例えば、工作物はアルミニウム、ニッケル、銅、真鍮、鋼鉄、又はプラスチック(例えば、アクリル)から作製することができる。使用される特定の材料は、例えば、機械加工された工作物を使用して作製される様々なフィルムのような特定の望ましい用途によって決めることができる。
図3は、理想化された工作物200を例示し、ここで、工作物の第1の回転の間に、フライカッティングによって個別の溝区分301が形成され、この後、第2回転の間に溝区分302が形成され、この後、第3回転の間に溝区分303が形成され、同様に続く。第2の、及び続く回転の間に形成される溝区分は、第1回転の間に形成された溝区分と位置合わせされ、結果として第1端部と第2端部との間に延びる長手方向の溝に近い一連の形状特徴を生じる。溝区分、及び生じる溝を、工作物の長さ全体にわたって延ばすことが可能であるが、試験バンドの形成又は他の目的のために、ロールの各端部の領域を未加工のままに残すことが望ましいことがある。
一連の溝区分を、工作物にその外辺部の周囲で切り込むことは、従来のフライカッティング動作と比較した場合に、ある利点を有するものと考えられるが、一連の溝区分が重複する工作物の領域の視覚的外観は、望ましくない場合がある。これらの形状特徴の重複は、331(第2回転の間に形成される溝区分が、第1回転の間に形成される溝区分と重複する場所)、332(第3回転の間に形成される溝区分が、第2回転の間に形成される溝区分と重複する場所)などにおいて、ロールの長さに沿って図示される。これらの形状特徴の重複が工作物上において視覚的に知覚可能である場合、これらは、対応する視覚的に知覚可能な構造を、工作物上に形成されたフィルム又はシート上に生じる傾向にあり、これもまた望ましくない場合がある。形状特徴の重複が容易に視覚的に知覚されない場合であっても、工具で作製される物品の光学的性能を改善するために、これらを最少化するか、又は排除することが望ましい場合がある。この効果を最少化する方法が、以下でより詳細に記載される。
上記のように、フライカッティングヘッドの位置が、エンコーダーを使用して決定され、工作物が上に保持されるスピンドルの位置が、図2の226に図示されるエンコーダーを使用して同様に決定される。切削要素は典型的にはフライカッティングヘッドに対して固定された位置にあり、工作物は典型的にはスピンドルに対して固定された位置にあるため、フライカッティングヘッド及びスピンドルの位置を知ることは、操作者が切削要素及び工作物の位置を知ることを本質的に可能にする。図2に図示されるように、これらのエンコーダーからのデータはコントローラー218に送達され、これは今度は、例えば、フライカッティングヘッドの回転運動を生じさせるモーター、又はフライカッティングヘッドのZ軸運動を生じさせるモーター、又は工作物が上に保持されるスピンドルの回転運動を生じさせるモーター、又はこれらのうちの1つ超に命令信号を伝送することができる。フライカッティングヘッドと工作物の位置の間の関係が決定されると、2つの部品の間に実際の機械的連動装置は存在しないため、フライカッティングヘッドは、工作物と電子的に「連動している」ということができる。フライカッティングヘッドが、本発明により工作物に電子的に連動していると、コントローラーは切削要素の軌道のどの時点でこれが工作物に接触するか、及びこれが工作物上のどこに接触するかを決定することができる。最初に言及し、先に参照により組み込まれた同時係属米国特許出願に詳細に記載される本発明の更なる態様では、ユーザーはまた、切削要素が、位置又は向きを変えることができる作動装置と接続されている場合に、コントローラーによって切削要素のフライカッティングヘッドに対する位置又は向きを変えることができる。例えば、切削要素の位置を、これが所定の切削通路に従うように、一秒間に数千回変えることができる作動装置を起動することにより、ユーザーは、工作物に本質的に線状の底部を有する溝区分をつくるように、コントローラーをプログラミングしてもよい。
フライカッティングヘッドと工作物の両方の位置が制御されている場合、実際には一方が通常、一定又は既定の速度で回転するように設定されて他方がこれ(例えば、加速又は減速)に連動し、それによって、この2つは互いに対して正確な位置にある。フライカッティングヘッドは、毎分数千回転で動作するため、これはかなりの量のエネルギー、慣性、及び/又は運動量を有し、工作物の位置と一致させるためにヘッドを加速又は減速する試みは実践的ではないことがある。代わりに、フライカッティングヘッドは本質的に一定の速度で回転するようにプログラミングされてよく、切削要素及び工作物が互いに対して適当な位置にあるように、工作物又はロールが上に保持されるスピンドルは加速又は減速されてもよい。このシステムは、フライカッティングヘッドが「マスター」であり、工作物及びその対応するスピンドルがこれに対する「スレーブ」であるものとしてみなされてもよい。逆もまた可能であり(フライカッティングヘッドを工作物のスレーブとする)、これは、フライカッティングヘッドの回転、工作物の回転、及びフライカッティングヘッドのZ軸運動が全て、同期化された制御下にある、第3の実施形態である。所望の結果を生じさせるために、ヘッド及び工作物が互いに適切に連動しているかを決定するにあたり、工作物の試験ストリップ部分での、フライカッティングシステムの実験的試験が典型的には有用である。
Z軸と平行な溝又は形状特徴が工作物中、又は工作物上に形成される、本発明のいくつかの比較的単純な用途が先に記載されている。同じ手法を変化させたものは、例えばフライカッティング装置を、図4に図示されるように、図2のその位置に対して45°回転させることにより、若しくはヘッドを図2のその位置に対して90°回転させることによりZ軸に対してある角度をなすように、又は他の任意の向きで、溝又は形状特徴を形成する。工作物に対して任意の角度で位置付けられた直線状の溝を有する、又は非直線状の形状特徴、若しくは更に互いに交差する形状特徴を有する工具がつくられてもよい。ロール又は工作物表面上にプリズム又は他の微細構造を生じさせるように、異なる角度で切り込まれた一連の平行な溝を含む、他の角度の配列もまた可能である。
Y軸とZ軸の両方に対してある角度をなすように、工作物中に所定のパターンで溝又は形状特徴を形成することは、これらをZ軸と平行に形成することよりも、複雑である。これがより複雑なのは、フライカッティングヘッドが、上記の他の実施形態のいくつかにおけるように、次の溝を形成するために、工作物の各回転ごとにZ方向に一定の距離だけ単純に進められないためである。その代わりに、位置合わせされた溝区分が所望される場合に、工作物の連続的な回転に際して次の溝区分が前の溝区分と位置合わせされるように、工作物の各回転におけるフライカッティングヘッドのZ方向の移動が、分析的に又は実験的に決定されるべきである。例えば、ロールの外辺部の周囲に一連の45°の溝区分が形成される場合、それぞれは、前の区分に対してZ方向に僅かに進められ、そして、ロールの完全な回転の後に、第2回転中に形成された溝区分は、第1回転中に形成されたるものと平行となるが、必ずしもこれらと端から端まで位置合わせされるわけではない。この問題に対する1つの解決法は、ロールの完全な回転の後に、第2回転中に形成される溝区分が、第1回転中に形成された区分と端から端まで位置合わせされるために調節されるべき距離を計算することである。この間隔は次に、単一の回転中に形成される溝区分の数で割られ、得られた割合に一連の各溝区分の間のピッチを加え、これによって、工作物の完全な回転の後に、第2回転の間に形成される溝区分が、第1回転中に形成された溝区分に対して望ましい距離で、有効に前進する。同じプロセスを、連続する回転に使用することができる。
フライカッティングヘッドは、1つ以上の例示される軸に対してある角度をなしてもよく、更に又は代わりに、1つ以上の軸について回転してもよく、それによって切削要素は所定の位置及び向きで工作物に接触する。例えば、フライカッティングヘッドは、Y軸と位置合わせされるように、図2に関するX軸について90°回転されてもよく、次にこれは、切削要素がある様式で工作物に接触するように、Y軸について例えば45°の角度で回転されてもよい。
円柱形工作物の長手方向軸に対してある角度をなす溝を形成する能力は、工具の長手方向軸に対して平行又は垂直な本質的に直線状の溝を含む従来の円柱形工具と比べて、有利である。これは、溝がシートの辺に対して45°の角度をなすようなシートの使用を所望するユーザーが、通常は、長手方向又は横方向に延びる溝を有する、より大きなシートの断片から、このシートをある角度でダイカットする必要があるためである。これは、より大きなシートの断片の辺の周辺で、著しい無駄を生じ得る。本発明では、シートの辺に対して45°の角度(又は他の任意の選択される角度)で延びる溝を有するシートを、工具に直接形成することができ、使用するためにシートを切断する際に、シートの辺に沿った無駄は最小限である。
図6は、工作物の表面上の所定のパターンによる溝区分又は他の形状特徴の形成の、簡略化された図を例示している。この図では、溝区分がフライカッティングヘッドの回転軸からある半径にある切削要素によって切り込まれるので、切削要素が工作物に入り溝区分を形成し始める点においては、溝区分は比較的狭く浅く、切削要素が溝区分の中間点においては広く深く、切削要素が溝区分の端部で工作物から出る点において再び狭く浅い。切削要素が、フライカッティングヘッドに対する切削要素の位置を変えることができる作動装置に関連する場合、異なる特徴を有する他の形状特徴をつくることができる。
本発明のこの態様では、フライカッティングヘッドは、第1位置401において溝区分又は形状特徴を形成し、工作物が所定の程度(例えば、1.0°)で回転され、別の溝区分又は形状特徴402が形成され、工作物が同じだけ回転され、この動作は工作物が360°回転される(完全な回転)まで繰り返される。工作物の次の回転の間、工作物に沿って、ロールの遠端に向ってZ1の距離に位置する溝区分411が、前に工作物に切り込まれた形状特徴の間の点で形成される(例えば、溝区分401の回転位置に対して0.5°の回転位置)。次に工作物が回転され(例えば、再び1.0°で)、全体の回転にわたって工作物の周囲で、溝区分412が形成され、同様に続く。第3回転中に、工作物に切り込まれる形状特徴は、第1回転で切り込まれた形状特徴と位置合わせされ、第4回転中に切り込まれた形状特徴は、第2回転で切り込まれたものと位置合わせされ、同様に続く。これは、第1段のレンガの上に配置される第2段のレンガが、個別のレンガの長さの1/2だけずれていることと似ているため、「2レンガ(two-brick)」パターンと称されることがある。例えば、この実施形態では形状特徴が線431及び線432に沿って終わり、始まるため、全ての溝が単一の線に沿って終わり、始まっていたのであれば、結果は形状特徴の重複の視覚的な顕著さを低下させるものである。上記の方法でフライカッティングヘッドを使用して、工作物にパターンのある形状特徴を作製することは、時間の関数としての切削要素の位置を決定する能力の、1つの重要な利益である。
図6に図示される工作物は単純化の目的により、ロール周囲における、1°の前進の連続、それに続いて第1回転の終わりにおける0.5°の前進、それに続いて更なる1度の前進の連続で形成される溝区分として記載されているが、一定でない中間ステップの必要性を避ける別のプロセスが好ましい場合がある。このプロセスでは、完全な回転の後の望ましいオフセット又は前進(実施例では、0.5°)を、回転の間に形成される溝区分の数で割って、第1回転の間に形成された一連の各溝区分の間のピッチに加える増分前進を決定する。この実施例では、完全な回転の後の各溝区分のこの増分前進の結果として、合計で0.5°だけパターンを前進させる。このプロセスは、各回転の最後に非連続的な短いステップ又は長いステップを有する代わりに、フライカッティングヘッド及び工作物を一定の速度で移動させる。
図6に図示される溝区分又は形状特徴は、「らせん角度」αに従うロールに形成されてもよく、それによって前の溝区分に続く各溝区分は、前の区分に対してZ方向にオフセットされる。らせん角度は、ロールの完全な回転の後に、溝区分又は形状特徴が1つ溝区分の長さで前進するように選択されてもよい。図6は、らせん角度を含む2レンガパターンと称されることがあるものを例示する。回転中に形成される、前の溝区分に続く各溝区分又は形状特徴は、前の溝区分又は形状特徴に対してらせん角度アルファ(α)によってZ方向にオフセットされる。らせん角度は、工作物の1回の完全な回転の後、第2回転で形成される第1溝区分又は形状特徴が、第1回転で形成された溝区分又は形状特徴に対してZ方向に望ましい距離でずらされるように選択される。したがって、第2回転の間に形成される溝区分又は形状特徴の位置は、第1回転の間に形成された溝区分又は形状特徴の間の既知の位置で交互に配置され得る。溝区分又は形状特徴は典型的には非常に小さいので、明確にするために、図6では効果が誇張されている。実際の円柱形の工作物では、例えば、単一の回転の間に25,000〜100,000の溝区分が形成される場合があり、任意の2つの互いに隣接する溝区分の間でオフセットされるらせん角度の効果は、観察するのが難しい。その結果、331及び332、又は431及び432などの形状特徴の重複線は依然として顕著であり得る。本発明の別の態様は、以下に記載されるように、これらの形状特徴の重複の視覚的顕著さの最少化又は防止に関する。
本発明は、有利に、溝区分又は形状特徴を工作物に沿って交互に配置するか、ないしは別の方法で溝又は形状特徴を図5及び図6に図示されるものよりも反復的又は周期的でないように見せるために使用され得る。例えば、溝は図7に図示されるような、「4レンガ」パターンと称されることがあるものによって形成されてもよい。この配列では、ロールの第2回転の間に形成される溝区分又は形状特徴は、第1回転に対して単一の溝区分の長さの1/4だけオフセットされ、ロールの第3回転の間に形成される溝区分又は形状特徴は、第2回転に関して単一の溝区分の長さの1/4だけオフセットされ、同様に続く。換言すれば、Z軸方向における回転あたりの前進は、およそ(及び好ましくは正確に)1つの溝区分の長さの4分の1である。図7は、大きな直径のロールに形成される非常に小さな溝区分を表すため、らせん角度は殆ど知覚可能ではない。この4レンガパターンは結果として、溝区分又は形状特徴のパターンをより視覚的に不明瞭にする。
「2レンガ」及び「4レンガ」パターンが、具体的に記載され、例示されてきたが、例えば、「3レンガ」、「5レンガ」、及び「7レンガ」パターンなどの奇数レンガパターンを含む他のパターンが、同じ教示に基づいて使用され得る。これらは全て、「整数」レンガパターン(ここで、整数は1より大きい)として特徴付けられるが、非整数レンガパターンもまた可能である(例えば、2.25レンガ、4.5レンガ)。光学的効果の重要性に応じ、様々な最終用途のために異なるレンガパターンが望ましい場合がある。
上記の図では、溝区分は、他の溝とは別個の又は独立したものとして図示され得るが、ただし、図5におけるように、これらの各端部において、これらが前又は次の溝と重複し得る場合を除く。本発明の追加的な特徴は、所定のパターンによって、溝区分又は他の形状特徴を離間させる、又は隣接させる、又は重複させる能力である。工作物の溝区分が互いに離間している場合、溝の間に提供されるランド領域は、この工作物上に作製される、得られるフィルム、シート、又は他の物品において、ある光学的な又は他の利点を提供し得る。互いに隣接する溝区分の間に本質的にランド領域が存在しないという意味で、溝区分は他の溝区分と互いに隣接し得るが、溝区分は互いに隣接する溝区分の形状又は対称性を阻害する、又はこれに干渉することがない。溝区分はまた、続く形状特徴又は溝区分と重複してもよく、それによって、図5〜7に図示されるものなどの規則的な配列の形状特徴の代わりに、図8に図示されるように、光学的に知覚可能なより少ないパターンを有する形状特徴の配列が提供される。例えば、この図では、一連の溝区分が依然としてロールの外辺部の周囲に形成されるが、後の溝区分は前の溝区分と重複し、その結果、後者はもはや、図5〜7に図示される種類の完全な全体的溝区分には見えない。重複の位置及び程度により、工作物に切り込まれる形状特徴は、観察者には殆どランダムに見える場合があるが、実際には所定のパターンの一部分であり得る。この溝区分の重複形状特徴は、上記の様々な「レンガ」パターンと共に使用することができる。
本発明の別の態様では、工作物に形成される溝区分又は形状特徴の均一なパターンは、らせん角度によってオフセットされてもされなくても、これらの規則性又は周期性を決定するために測定され得る。本発明のこの態様は、らせん角度と平行な(又はらせん角度がない場合は、溝区分の長手方向軸と垂直な)想像線に沿った一連の溝区分の、溝又は形状特徴の深さを測定することを含む。例えば、図3の工具は、らせん角度のない溝区分を含み、これらの溝の深さが棒グラフにプロットされた場合、これは、図3aに示される単峰性(mono-modal)の溝深さ分布として表われる。やはりらせん角度をなさない、図5に図示される工具表面の区分の溝深さは、単峰性(mono-modal)(想像線が、各セグメントの端部から1/4の距離で溝区分を二分した場合)、又は双峰性(bi-modal)(想像線が、より広い1つの溝区分及びより狭い隣接する溝区分を二分した場合)のいずれかである。これは、図5a及び5bに図示される。それぞれは「2レンガ」パターンであるため、らせん角度と平行な線に沿って測定した図6に示されるパターンの溝深さ分布は、図5に示されるパターンのものと同じ結果を示す。
図5及び図6に関して記載される、単峰性(mono-modal)又は双峰性(bi-modal)の溝深さ分布とは対照的に、図7及び図8に示されるパターンの溝深さ分布はそれぞれ、多峰性(multi-modal)であり、これは、上記の方法によって測定された場合に、2つを超える溝深さが示されることを意味する。理論的な多峰性(multi-modal)の溝深さ分布が、図7aに例示される。モードの数は、いくつかの要因のうちでもとりわけ、互いに隣接する溝区分又は形状特徴の間の重複の度合い、及び溝深さが測定される線がどこに位置付けられるか、を含む要因に依存する。多峰性(multi-modal)の溝深さ分布パターンを示す工具は、観察者には、単峰性(mono-modal)又は双峰性(bi-modal)の溝深さ分布パターンよりも不規則に又はランダムに見えると考えられるが、これは本発明のもう1つの特徴である。これは、溝区分が交わる領域が、全て規則的に位置合わせされていないためであると考えられる。同様に、多峰性(multi-modal)の溝深さ分布を有する工具を使用して製造されるフィルム、シート、又は他の物品もまた、観察者又はこれらの物品のユーザーには、より不規則に、又はよりランダムに見えるものと考えられる。最後に、多峰性(multi-modal)の溝深さ分布は、図7及び図8に示されるように規則的(溝の規則的なパターンから生じる)であっても、ランダム(不規則)であってもよい。規則的な多峰性(multi-modal)の溝深さ分布を有する工具を使用して作製される工具及び物品は、本発明の追加的な態様である。
本発明の好ましい実施形態では、工作物の回転、フライカッティングヘッドの回転、及びフライカッティングヘッドのZ軸の運動は、工作物に形状特徴を切り込むプロセスの全体を通じて、比較的安定した状態で動作する。これは、フライカッティングヘッド若しくは工作物を停止、始動、若しくは再配置するか、又は一方若しくは両方が変更の後に安定した動作状態に戻るのを待つために費やされる時間を最少化するために好ましい。これはまた、フライカッティング動作の中断のために生じ得る誤差を最少化するのを助けることができる。この安定状態の動作形態を達成するための1つの方法は、一連の(例えば)溝区分が連続的かつ既定の基準でロールの一端からロールの他端までロール周囲に形成され得るように、コントローラーがフライカッティングヘッド及び工作物を比較的安定した速度で稼動させ、ロールの各回転において既定のZ軸の前進をもたらすようにプログラミングすることである。
上記の説明では、典型的には、Z軸に沿った単一の方向の移動について述べたが、必要であれば、切削が始まる工作物の端部から工作物の反対側の端部に向って、フライカッティングヘッドがZ軸に沿って前後に動いて、異なる連続的なZ軸位置で、工作物に溝を切り込むようにプログラムすることもできる。また、より不規則な溝パターンが望ましい場合、Z軸に沿った溝位置におけるランダムなずれが組み込まれてもよく(Z軸ノイズと称される)、工作物の角度位置におけるランダムなずれであってもよい。
図9及び図10は、上記の種類の工具を使用して作製された物品を例示する。特に、図9及び図10の物品は、光学的に有用なある特性を有する、微細構造化されたポリマーフィルム、又はフィルム表面であってもよい。図9に図示される物品は、4レンガパターン及び多峰性(multi-modal)の溝深さ分布を呈し、図10に図示される物品は、先に記載された種類の2レンガパターンを呈する。構造体自体は工作物に切り込まれた互いに隣接する溝区分から生じ、ここでそれらの区分は少なくともそれらの端部において重複する。
本発明の様々な態様が、形状特徴が先に工作物に形成されていないかのように記載されているが、本発明は、工作物に先に形成された形状特徴を、修正する、補う、又は補完するために使用されてもよい。形状特徴は、他のミリング、旋削若しくはフライカッティング操作、又は現在既知の、若しくは後に開発される他の任意の表面形成若しくは変形方法によって、形成され得る。例えば、工作物は場合により、それらの表面上に非常に小さい角錐を有するように形成されるが、これは、これらの角錐(立方体の角)と逆のものを有するポリマーシートの形成を促進することができ、これは入射光を反射することができる。これらの角錐は、フライカッティング装置の3回の連続的な通過によって形成されてもよく、これらのうちの任意の1つ以上が、本発明の態様を含んでもよい。本明細書に記載のフライカッティング動作の後に、追加の切削、ミリング又は他のプロセスを実行して、材料を取り除くか、若しくは変形させ、又は表面形状特徴を精緻化させることが有用である場合もある。
本発明は、円柱形工具の切削中に度々生じる更なる問題への、可能な解決法を提供する。従来の工具切削動作では、切削要素がZ軸と平行な円柱形の工作物に長い溝を切り込み、工作物又は工具が指標付けされ、切削要素が第1のものと平行な第2の長い溝を切り込み、同様に続く。工作物の単一の回転において、表面全体に溝が提供されて、最後の溝が第1の溝に隣接することができる。しかしながら、切削要素が第1の溝を形成したとき、図11に図示されるように、切削要素は比較的鋭かったが、切削要素が最後の溝を形成したとき、図12に図示されるように、切削要素は鈍いか、又は鋭い切削要素より少なくとも鋭くなかった。図11及び図12は、図2に図示される工作物を切り込む切削要素の図である。最初の鋭い溝又は他の形状特徴と、最後の鈍い溝又は他の形状特徴との間の対比は、工作物にバーチャルな継ぎ目をつくり得る。この効果は、先行技術に従って切削された工具の一部の部分切欠図又は切欠断面図である、図13に図示される。鋭い工具によって切り込まれた「鋭い」溝が、最後の「鈍い」溝と互いに隣接する点では、バーチャルな継ぎ目が生じ(図13の「VS」に図示される)、これは、この工作物に作製されるフィルム、シート又は他の物品の上、又は中に、対応するバーチャルな継ぎ目を生成する。鋭い溝と、鋭い溝より鋭くない又は鈍い溝との間の境界面は、継ぎ目が材料(例えば、金属工具又はポリマーシート)の2つの断片を組み合わせた物理的なつなぎではなく、線の各側における異なる形状特徴の存在によって生じる光学的なものであるため、「バーチャルな継ぎ目」と称される。工具上に作製される望ましい最終的な大きさのシートの断片が円柱形工具の周囲よりも小さい場合、バーチャルな継ぎ目を切り取ることは可能であるが、これは、恐らくはかなりの量の廃棄シートを生じる。必要とされる最終的なシートの断片の大きさが、工具の周囲よりも大きい場合、バーチャルな継ぎ目を有するシートの使用を避ける効果的な方法は存在しない恐れがある。
この問題は、本発明のいくつかの態様を用いて対処することができる。溝区分がロールの外辺部の周囲に形成され、フライカッティングヘッドの第2及び続く通過の間に形成される、前の溝区分に続く溝区分が前の溝区分と位置合わせされる場合、長手方向に延びる連続的な溝と同等物を有するロールが生成され得る。しかしながらこの方法は、ロールの一端における溝の部分が鋭く、このロールの他端における溝の部分がロールの一端における鋭い溝より鋭くない又は鈍い工具をつくる。より重要なことに、このような工具には、鋭い溝と鈍い溝が互いに隣り合うような点が存在せず、図14に図示されるように、バーチャルな継ぎ目が工具には存在しない。また、工具を使用して作製されるシート、フィルム、又は物品は、バーチャルな継ぎ目を含まず、これは本発明の利点である。図12と図11とを比較したときに示されるように、先端は丸くなるため、切削要素が使用中に磨耗を呈する度合いは、鋭い工具に関して漸進的に増す曲率半径によって特徴付けられ得る。丸い外側の切削要素隆起部又は縁部のみが、これらの図に示されているが、丸い内側切削要素谷部も磨耗し、曲率半径の増加を呈し得る。磨耗はまた、切削要素の平坦な部分若しくは小平面における傷、又は小平面の平坦な状態からのずれによって特徴付けられ得る。しかしながら、本発明の有用な特徴は、比較的に鋭い工具によって製造される比較的に鋭い溝と、比較的により鈍い工具によって製造される比較的に鈍い溝との間のバーチャルな継ぎ目を避けることであるため、「鋭い」工具と「鈍い」工具との間の、又は「鋭い」形状特徴又は溝と「鈍い」形状特徴又は溝との間の違いの正確な度合いは、本発明にとって重要ではない。従来的な工具切削システムは、この利点を効率的に生じることができないと考えられている。
本発明の追加的な利益、具体的にはフライカッティングヘッド(したがってそれに関連する切削要素)の位置を決定することができることの利益は、切削要素(1つ又は複数)の位置又は向きを、ランダムな又は所定の方法によって変えて、ある望ましい効果を生じさせることができることである。例えば、切削要素の位置は、コントローラーによって、切削要素が工作物中に形状特徴を形成する時間の間に変化するように制御されて、所定の形状、位置、又は両方を有する形状特徴を生じさせてもよい。これは本発明の一実施形態によって達成されるが、作動装置を使用して切削要素(単独で、又はカートリッジ若しくはキャリアと共に、のいずれかで)の位置及び向きの一方又は両方を変化させる。
作動装置は、切削要素の位置又は向きの変化を生じさせる任意の装置であってよく、高速工具サーボ(FTS)の構成要素であってもよい。高速工具サーボ(FTS)は典型的に、PZTスタックと称される固体圧電(「PZT」)素子を含み、これはPZTスタックに取り付けられた切削工具の位置を迅速に調節することができる。サブナノメートルの位置付け分解能を有するPZTスタックが入手可能であり、これらは非常に速く反応し、数百万又は更に数十億のサイクルの後にも、本質的に磨耗を呈さない。高速工具サーボの中に含まれるもののような作動装置は、作動装置が位置の不一致を調節することを可能にする位置センサーと共に閉ループ動作で、又は位置センサーを伴わずに開ループ動作で使用してもよい。作動装置は、コントローラーから信号を受信し、これによって切削要素が、工作物に溝区分又は溝などの形状特徴をつくる方法を制御する。作動装置は好ましくは、直接、又はカートリッジ若しくはキャリアによって間接的にのいずれかによって、フライカッティングヘッドに取り外し可能に接続される。作動装置は、切削要素をX軸のみに沿って延ばしてもよいが、任意の軸に沿って、又は(回転可能に)任意の軸について切削要素を動かす作動装置が用意されてもよい。
作動装置は、1つ以上のワイヤー、光ファイバー、又は他の信号伝送装置によって、1つを超える信号又は1つを超える種類の信号を受信してもよい。例えば、作動装置は、AC又はDC電力を受信して、工具ホルダーの位置又は向きを変えるために必要な原動力を生成してもよい。作動装置はまた、作動装置によって達成される位置及び向きの変化と比例し得る駆動信号を受信してもよい。作動装置は、ゼロ電圧信号などの基準信号を受信してもよく、これは工具ホルダーが最初の状態、位置、又は向きに戻ることを可能にするか、戻らせる。最後に、例えば、作動装置又は関連するハードウェアは、工具ホルダー又は切削要素の位置又は相対位置に関する情報を提供するフィードバック信号を伝送してもよく、それによって工具ホルダー又は切削要素の位置又は向きの次の変化が、適切に構成され得る。記載される種類の信号、又は他の信号は、専用のワイヤー若しくは光フィバーによって伝送することができ、又は適切な場合、これらは、単一のワイヤー若しくは光ファイバーに沿って多重送信してもよい。電力、並びに本明細書に記載される信号又は他のいずれかの必要な若しくは有用な信号の伝送はまた、スリップリング、又は静的構成要素から回転構成要素に信号を伝達するための、当該技術分野において既知の他の機構の使用を必要とすることがある。有用であり得る1つのスリップリングは、カリフォルニア州サウスエルモンティ(South El Monte)のファブリキャスト(Fabricast)社から、商品番号表示09014で入手可能である。電力及び信号の一方又は両方を伝送するための他の構成要素としては、水銀湿スリップリング(mercury wetted slip rings)、光ファイバー回転ジョイント(FORJ)、非接触磁気スリップリングが挙げられる。
切削要素の交換及び正確な位置付けを促進するために、本発明のいくつかの実施形態において、切削要素カートリッジ又はキャリアが有用であり得るが、このようなキャリアを用いずに、切削要素を直接作動装置に取り付けることが可能であり得る。切削要素は、接着剤、ろう付け、はんだ付け、若しくは他の方法で切削要素キャリアに、又は作動装置に直接固定されてもよい。
本発明により工具に作製される、又は本発明により作製されるポリマーフィルム及びシートなどの物品は、モニター若しくはテレビなどのディスプレイで、交通標識で使用される種類の反射若しくは逆反射シートとして、又は他の目的で、有用であり得る。本発明の別の実施形態では、工具(マスター工具)の構造は、製造工具を形成するためのキャスト及び硬化プロセスによって、他の媒体、例えば高分子材料のベルト又はウェブに転写することができる。この製造工具は次に、本明細書において記載される種類の、微細複製された物品を作製するために使用される。これは、マスター工具の表面と対応する表面を有する物品を生じる。電鋳法などの他の方法もまた、マスター工具を複写するために使用することができる。中間工具と称されることのあるこの複写は、次に微細複製された物品を製造するために使用することができる。
本発明の他の実施形態では、従来のフライカッティングヘッドのように、切削要素がフライカッティングヘッドから半径方向に突出する必要がない。代わりに、又は加えて、切削要素は、フライカッティングヘッドの回転軸と平行に、又はほぼ平行に延びることができる。切削要素は、作動装置によって上記の方法で制御され、「フェース・カッティング」又は「フェース・フライカッティング」と称される操作に使用されて、あるパターン又は形状特徴を工作物の表面に切り込むことができる。この実施形態では、切削要素は、従来のフライカッティングが通常そうであるように断続的に接触するのではなく、本質的に連続的に工作物と接触する。
上記の種類のシートなどの微細複製された構造体は、逆反射交通標識及び車両のナンバープレートのため、見る者に対する光の放射を制御するための、携帯コンピューターのディスプレイなどのディスプレイ、他の光学フィルム、研磨若しくは摩擦制御フィルム、接着剤フィルム、自己噛合輪郭を有する機械的締結具(例えば、米国特許第5,360,270号に開示される)、又は比較的小さい寸法、例えばおよそ1000マイクロメートル未満の寸法の微細複製された形状特徴を有する任意の成形若しくは押出し成形された部品のために使用されてきた。
本発明は、そのいくつかの実施形態に関して記載されてきたが、当業者は、本発明の修正が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。例えば、溝として記載される構造は、他の特性の形状特徴であってもよく、円柱形のものとして記載される工作物は代わりに他の形状を有してもよく、システムの様々な構成要素が異なる方法で組み立てられて、同一の結果を達成してもよい。したがって、本発明は、上記の開示によってではなく、以下の請求項及びその同等物によって制限される。