JP2015183139A - エネルギー線重合性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒素原子や硫黄原子及びリン原子を含有せず、環境に優しい炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなり、波長が375〜420nmの光を含むエネルギー線に対して活性であり、かつ得られた硬化物の着色が少ないエネルギー線重合性組成物の提供。【解決手段】一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物。(nは1又は2の整数;RはC1〜12のアルキル基;XはH又はC1〜8のアルキル基)【選択図】なし

Description

本発明は、多官能アクリレート化合物、ラジカル重合開始剤及びアルコキシアントラセン化合物を含むエネルギー線重合性組成物に関する。
現在、エネルギー線硬化樹脂がコーティング、インキ、電子材料などの分野で広く用いられている。エネルギー線硬化樹脂は、エネルギー線重合性組成物に例えば紫外線や電子線などのエネルギー線を照射することにより重合、硬化させることによって得られる。このエネルギー線で硬化させる技術は、例えば木工用塗料、金属などのコーティング材、スクリーン印刷やオフセット印刷用インキ、電子基板に用いられるドライフィルムレジスト、また、ホログラム材料、封止剤、オーバーコート材、光造形用樹脂、接着剤などさまざまな用途に用いられている。
そして、このエネルギー線重合性組成物は、主に重合性化合物とエネルギー照射により重合性化合物の重合を開始させる重合開始剤より構成されている。重合方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合があり、これらの中でもラジカル重合が古くから最も広く用いられている。このラジカル重合では、ラジカル重合開始剤を用い、エネルギー線として主に紫外線を照射することにより、ラジカル重合開始剤によりラジカルを発生させ、重合性化合物の重合を開始させている。
ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型のラジカル重合開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり重合性化合物の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となり重合性化合物の重合が始まる。
水素引き抜き型ラジカル重合開始剤は、重合を開始させるために水素供与体が必要であり、ラジカル発生効率が悪く感度が低い等の問題がある。一方、分子内開裂型ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生効率は良好で感度が高いため広く用いられている。
よく用いられている分子内開裂型ラジカル重合開始剤として、アルキルフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系ラジカル重合開始剤が知られている。これらはカルボニル基に隣接した炭素−炭素二重結合がα開裂して、ラジカル種を生成するタイプのものである。アルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤等がある。具体的な化合物としては、例えば、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、イルガキュアはビーエーエスエフ社の登録商標)等があり、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名ダロキュア1173、ダロキュアはビーエーエスエフ社の登録商標)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名イルガキュア184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名イルガキュア2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名イルガキュア127)等があり、さらに、アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907)あるいは2−ベンジルメチル2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369)等が知られている。さらに、アシルホスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名ルシリンTPO、ルシリンはビーエーエスエフ社の登録商標)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名イルガキュア819)、オキシムエステル系ラジカル重合開始剤としては、(2E)−2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン(商品名イルガキュアOXE−01)等が挙げられる(特許文献1)。
上記のラジカル重合開始剤の中で早くから開発されたラジカル重合開始剤としてベンジルメチルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン系のラジカル重合開始剤があるが、これらのラジカル重合開始剤は、その吸収波長の関係でエネルギー線の照射源として高圧水銀ランプが主に用いられてきた。その後、より長波長の光を含むメタルハライドランプやガリウムドープドランプが用いられるようになり、それらの照射波長にあったアミノアルキルフェノン系やアシルホスフィンオキサイド系、さらにはオキシムエステル系のラジカル重合開始剤が開発されてきた。
一方、エネルギー線としてUV光を用いた重合反応において、近年、照射源としてLED(発光ダイオード)が用いられるようになってきている。LEDの特徴としては、水銀ランプと異なり、発熱が少なく、かつ長寿命なことから、近年LEDを用いたUV硬化技術の開発が加速している。このLEDの代表的なものとしては、紫外LED、青色LEDが知られている。特に、紫外LEDがUV硬化用照射源として、インクジェット用または半導体関連のレジスト用に開発が先行している。この紫外LEDの中心波長は395nmのものが一般的であり、中心波長が385nmのLEDや中心波長が375nmのLEDも開発されている。これらの波長に適合するラジカル重合開始剤としては、先に挙げた重合開始剤の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名ルシリンTPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名イルガキュア819)等が挙げられ、その中でも特にイルガキュア819が395nmの光に対して好感度であることが知られている(特許文献2)。
しかしながら、これらのラジカル重合開始剤は分子構造中の構成元素として、リン原子を含んでいることから、これらの原子を含む化合物は、生体に対する活性が高く、安全性に懸念が抱かれることが多い。
近年、より安全性の高いラジカル重合開始剤が求められるようになり、リン原子を含まない重合開始剤である、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名ダロキュア1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名イルガキュア184)、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651)等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系やベンジルメチルケタール系、さらには、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907)等のアミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤が見直されるようになった。しかしながら、これらのラジカル重合開始剤は高圧水銀ランプに対しては活性があるが、より長波長の範囲の光、すなわち波長が375nmから420nmまでの光を含むエネルギー線、例えば中心波長が395nmのLED光やガリウムドープドランプの発する光を含むエネルギー線等に対しては活性が低いという問題があった。
そこで、このような欠点を補うため、ヒドロキシアルキルフェノン系やアミノアルキルフェノン系のラジカル重合開始剤を波長が375nmから420nmまでの光を含むエネルギー線に感応可能となるようにし得るラジカル重合増感剤が求められている。
このようなラジカル重合増感剤として、9,10−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]アントラセン化合物が報告されている(特許文献4)。しかしながら、9,10−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]アントラセン化合物は、ラジカル重合性化合物であるアクリレートモノマーに対する溶解度が小さく、ラジカル重合増感剤としての活性も十分ではなく、いまだ十分満足できる性能を有するものではなかった。また、チオキサントン系化合物はイルガキュア907に対して効果的なラジカル重合増感剤であることが知られている。しかしながら、ダロキュア1173をラジカル重合開始剤とした場合、395nmのUV−LED照射下では、チオキサントン系化合物をラジカル重合増感剤として用いて得られる硬化物は着色が著しいことが判明した。
特開昭63−150303号公報 特開2000−016910号公報 特開2011−042743号公報 特開2007−099637号公報
本発明者らは、かかる状況に鑑み、これらの欠点を排除した技術を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は、窒素原子や硫黄原子さらにはリン原子を含有せず、環境に優しい炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなり、波長が375nmから420nmまでの光を含むエネルギー線に対して活性であり、かつ得られた硬化物の着色が少ないエネルギー線重合性組成物を提供することである。
上記目的を達成するために、第1発明では、一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物を提供する。
(一般式(1)において、nは1又は2の整数を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。)
第2発明では、一般式(2)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物を提供する。
(一般式(2)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。)
第3発明では、一般式(3)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物を提供する。
(一般式(3)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。)
第4発明では、第1乃至第3発明のいずれか一つに記載のエネルギー線重合性組成物を、波長が375nmから420nmの光を含むエネルギー線を照射することにより重合させる光重合方法を提供する。
第5発明では、前記の波長が375nmから420nmの光を含むエネルギー線の照射源が、中心波長が395nmの紫外LEDであることを特徴とする第4発明に記載の光重合方法を提供する。
第6発明では、第4発明又は第5発明に記載の光重合方法で得られる光重合物を提供する。
本発明のアルコキシアントラセン化合物は、波長が375nmから420nmの光を含むエネルギー線に感応し、ラジカル重合開始剤を活性化するラジカル重合増感剤として有用であり、かつ当該化合物は、窒素原子、硫黄原子及びリン原子を含有せず、かつ炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなる環境に優しい安全性の高い化合物であり、本発明のアルコキシアントラセン化合物をラジカル重合増感剤として含むエネルギー線重合性組成物を重合してなる重合物の着色が少ないという効果を有する。
実施例5および比較例1によって得られた光重合物の透過率測定結果である。ラジカル重合増感剤として本発明のアルコキシアントラセンを用いた場合と従来技術であるイソプロピルチオキサントンを用いた場合の光重合物の透過度を比較したチャートである。
以下、本発明を詳細に記述する。
(化合物)
本発明は、下記一般式(1)で示されるアルコキシアントラセン化合物である。
一般式(1)において、nは1又は2の整数を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。
一般式(1)において、n=2の場合は、下記一般式(2)で表わされる9,10−ジアルコキシアントラセン化合物となる。
一般式(2)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。
さらに、一般式(1)において、n=1の場合は、下記一般式(3)で表わされる9−アルコキシアントラセン化合物となる。
一般式(3)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。
一般式(1)乃至一般式(3)において、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基又はドデシル基等が挙げられる。
Xで示されるアルキル基としては、直鎖であっても分枝鎖であっても良く、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
一般式(1)乃至一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば次の化合物が挙げられる。n=2であり、Xが水素原子である化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
n=1であり、Xが水素原子である化合物としては、9−メトキシアントラセン、9−エトキシアントラセン、9−プロポキシアントラセン、9−ブトキシアントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、9−(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
n=2であり、Xがアルキル基である場合の具体例としては、2−メチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
n=1であり、Xがアルキル基である場合の具体例としては、2−メチル−9−メトキシアントラセン、2−メチル−9−エトキシアントラセン、2−メチル−9−プロポキシアントラセン、2−メチル−9−ブトキシアントラセン、2−メチル−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−メトキシアントラセン、2−エチル−9−エトキシアントラセン、2−エチル−9−プロポキシアントラセン、2−エチル−9−ブトキシアントラセン、2−エチル−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
一般式(1)で示されるアルコキシアントラセン化合物において、Xで示される置換基がハロゲン原子の場合もラジカル重合増感剤として使用することができる。その場合のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。
n=2であり、Xがハロゲン原子である場合の具体例として、2−クロロ−9,10−ジメトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ジエトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ジブトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ジメトキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ジエトキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ジブトキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
n=1であり、Xがハロゲン原子である場合の具体例としては、2−クロロ−9−メトキシアントラセン、2−クロロ−9−エトキシアントラセン、2−クロロ−9−プロポキシアントラセン、2−クロロ−9−ブトキシアントラセン、2−クロロ−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−メトキシアントラセン、2−ブロモ−9−エトキシアントラセン、2−ブロモ−9−プロポキシアントラセン、2−ブロモ−9−ブトキシアントラセン、2−ブロモ−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(i−ペンチルオキシオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−ブロモ−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
これら例示した化合物の中でも、製造の容易さと性能の高さから、特に、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセンが好ましい。
(エネルギー線重合性組成物)
本発明の一般式(1)で示されるアルコキシアントラセン化合物はラジカル重合反応においてラジカル重合増感剤として作用する。当該ラジカル重合増感剤とラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物とを混合することにより、エネルギー線重合性組成物とすることができる。当該エネルギー線重合性組成物は、中心波長が395nmの紫外LED光を照射することにより、容易に光重合させることができる。
本発明で用いるラジカル重合開始剤としては、中心波長が395nmの紫外LED光に対する吸光係数が小さいベンジルメチルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系等のラジカル重合開始剤等が挙げられる。具体的な化合物としては、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」ビーエーエスエフ社製)が挙げられる。α−ヒドロキシアルキルフェノン系のラジカル重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」ビーエーエスエフ社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」ビーエーエスエフ社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」ビーエーエスエフ社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン(商品名「イルガキュア127」ビーエーエスエフ社製)等が挙げられる。α−アミノアルキルフェノン系のラジカル重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」ビーエーエスエフ社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名「イルガキュア369」ビーエーエスエフ社製)等が挙げられる。アセトフェノン系のラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソプロポキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソブトキシ−2−フェニルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系のラジカル重合開始剤としては、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、アントラキノン系の2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、アミノアルキルフェノン系等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤に対する本発明のラジカル重合増感剤の添加量は、0.01重量倍以上、10重量倍未満、より好ましくは0.05重量倍以上、1.0重量倍未満である。0.01重量倍未満であれば、増感剤の効果が乏しく、また、10重量倍以上加えても性能はそれ以上には上がらないので添加する意味がない。
本発明のラジカル重合増感剤の作用機構は明らかでないが、紫外領域の光を吸収してアルコキシアントラセン化合物が励起され、当該励起種がラジカル重合開始剤にエネルギーを与え、ラジカル重合開始剤の開裂によりラジカル種の発生を促進するためと考えられる。
本発明で用いるラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、p−ヒドロキシスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等又はこれらのオリゴマー等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物の中でも、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましく、特に、二官能アクリレート、三官能アクリレートなどの多官能アクリレートが好ましい。
アクリル酸エステルとしては、次の具体例が挙げられる。まず、二官能アクリレートとしては、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
二官能以上の多官能アクリレートとしては、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。また、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等も使用可能である。
同様に、メタアクリレート化合物としては、二官能メタアクリレートとして、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレート、グリセリンジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、1,3−ブチレンジオールジメタアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタアクリレート等が挙げられる。二官能以上の多官能メタアクリレートとしては、トリメチロールプロパントリメタアクリレート等が挙げられる。
これらのラジカル重合性化合物は、単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のラジカル重合開始剤及びラジカル重合増感剤の合計した添加量は、ラジカル重合性化合物に対して0.01重量%以上3.0重量%未満、好ましくは0.05重量%以上1.0重量%未満である。ラジカル重合開始剤及びラジカル重合増感剤の合計した添加量が0.01重量%未満だと、光重合速度が遅くなる恐れがあり、一方、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合増感剤の合計した添加量が3.0重量%以上だと、光重合物の物性が悪化する恐れがあるため好ましくない。
(重合方法)
本発明のエネルギー線重合性組成物の重合はフィルム状で行うこともできるし、塊状に重合させることもできる。フィルム状に重合させる場合は、当該エネルギー線重合性組成物を液状にし、例えばポリエステルフィルムまたはタックフィルムなどの基材上に、例えばバーコーターなどを用いてエネルギー線重合性組成物を塗布し、波長が375nmから420nmの光を含むエネルギー線を照射して硬化させることにより行う。
(塗布)
フィルム状に重合させる場合に用いられる基材としてはフィルム、紙、アルミ箔、金属等が主に用いられるが特に限定されない。基材としてのフィルムに用いられる素材としてはポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)等が用いられる。当該基材フィルムの膜厚は通常100μm未満の膜厚のものを使用する。エネルギー線重合性組成物を塗布して得られる塗膜の膜厚を調整するために使用するバーコーターは特に指定しないが、膜厚が1μm以上100μm未満に調整できるバーコーターを使用する。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
(雰囲気)
また、フィルム状に重合させるときは、酸素存在下では酸素阻害のためフィルム表面のべたつきがなかなか取れず、ラジカル重合開始剤の大量添加が必要となる。よって酸素非存在下で重合させることが望ましい。そのような重合方法としては、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気で行うことが挙げられる。また、タックフィルムまたはポリエチレンフィルム等で塗布した組成物を覆った後に、ラジカル重合させる方法も有効である。
(照射源)
このようにして調製したエネルギー線重合性組成物からなる塗膜に、波長が375nmから420nmまでの範囲の光を含むエネルギー線を1〜2000mW/cm程度の強さで光照射することにより、光重合物を得ることができる。用いる照射源としては395nmの光を中心波長とする紫外LED、385nm光を中心波長とする紫外LED及び375nmの光を中心波長とする紫外LEDが好ましいが、波長が375nmから420nmの間に発光スペクトルをもつランプであれば使用可能であり、フュージョン社製のD−バルブ、V−バルブ等の無電極ランプや、キセノンランプ、ブラックライト、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びガリウムドープドランプ等も使用可能である。また、太陽光によっても硬化させることもできる。
(タック・フリー・テスト)
本発明のエネルギー線重合性組成物が光重合したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)を用いた。すなわち、エネルギー線重合性組成物に光を照射すると、重合により硬化して組成物のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間(タックフリータイム)を測定することにより、光硬化時間を測定した。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。特記しない限り、すべての部および百分率は重量部、重量%である。
(実施例1)9,10−ジブトキシアントラセンをラジカル重合増感剤とするエネルギー線重合性組成物の光硬化速度評価実験(ラジカル重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア1173)を使用した例)
ラジカル重合性化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部、ラジカル重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.7重量部、及び9,10−ジブトキシアントラセンをラジカル重合増感剤として、ラジカル重合開始剤に対し、所定重量部添加してエネルギー線重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、膜厚100μm、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製したエネルギー線重合性組成物を膜厚が15μmとなるようにバーコーターを使用して塗布した。塗布後、この塗布膜をタックフィルムで覆い、ついで空気雰囲気下、紫外LED(PhoseonTechnology社製RX−Firefly、中心波長395nm、照射強度1.0W/cm)を用いて一定時間光照射し光重合により硬化させた。硬化に要した時間をタックフリータイムとした。9,10−ジブトキシアントラセン添加量とタックフリータイムの結果を表1にまとめた。
(実施例2)9,10−ジブトキシアントラセンをラジカル重合増感剤とするエネルギー線重合性組成物の光硬化速度評価実験(ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)を使用した例)
ラジカル重合性化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部、ラジカル重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.0重量部を使用する以外は実施例1と同様の方法により、エネルギー線重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100μm、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12μmとなるようにバーコーターを使用して塗布した。塗布後、この塗布膜をタックフィルムで覆い、ついで空気雰囲気下、紫外LED(PhoseonTechnology社製RX−Firefly、中心波長395nm、照射強度1.0W/cm)を用いて一定時間光照射し硬化させた。硬化に要した時間をタックフリータイムとした。9,10−ジブトキシアントラセンの添加量とタックフリータイムの結果を表2にまとめた。
(実施例3)9,10−ジブトキシアントラセンをラジカル重合増感剤とするエネルギー線重合性組成物の光硬化速度評価実験(ラジカル重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907)を使用した例)
ラジカル重合性化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部、ラジカル重合開始剤として、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン0.1重量部を使用する以外は実施例1と同様の方法により、エネルギー線重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100μm、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が20μmとなるようにバーコーターを使用して塗布した。塗布後、この塗布膜をタックフィルムで覆い、ついで空気雰囲気下、紫外LED(PhoseonTechnology社製RX−Firefly、中心波長395nm、照射強度1.0W/cm)を一定時間光照射し硬化させた。硬化に要した時間をタックフリータイムとした。9,10−ジブトキシアントラセンの添加量とタックフリータイムの結果を表3にまとめた。
(実施例4)9−エトキシアントラセンをラジカル重合増感剤とするエネルギー線重合性組成物の光硬化速度評価実験(ラジカル硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア1173)を使用した例)
9,10−ジブトキシアントラセンを9−エトキシアントラセンに代えたこと以外は、実施例1と全く同様にしてエネルギー線重合性組成物を調製し、塗布後同様の条件で紫外LED光を照射した。タックフリータイムを求めた。9−エトキシアントラセンの添加量とタックフリータイムの結果を表4にまとめた。
(実施例5)光重合物の透過率測定
実施例1と同様にしてエネルギー線重合性組成物を調製し、紫外LED(PhoseonTechnology社製RX−Firefly、中心波長395nm、照射強度1.0W/cm)を用いて1分照射した。得られた光重合物のUVスペクトルの透過率を測定した。その結果を図1に示す。
(比較例1)光重合物の透過率測定
ラジカル重合増感剤として、9,10−ジブトキシアントラセンの代わりにイソプロピルチオキサントンを用いること以外は実施例1と同様にしてエネルギー線重合性組成物を調製し、紫外LED(PhoseonTechnology社製RX−Firefly、中心波長395nm、照射強度1.0W/cm)を用いて1分照射した。得られた硬化物のUVスペクトルの透過率を測定した。その結果を図1に示す。
実施例の結果から次のことが明らかである。すなわち、実施例1から4及びその結果を示した表1から4より、本発明のアルコキシアントラセン化合物を添加することによりタックフリータイムが短くなることから、本発明のアルコキシアントラセン化合物がラジカル重合増感剤として有効であることがわかる。また、実施例5および比較例1とその結果を示した図1より、本発明のアルコキシアントラセン化合物をラジカル重合増感剤として含有するエネルギー線重合性組成物を光重合した重合物は、従来用いられているイソプロピルチオキサントンをラジカル重合増感剤として用いたものに比べ、350nmから400nmの波長範囲での透過度が高く、着色が少ないことがわかる。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物。

    (一般式(1)において、nは1又は2の整数を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。)
  2. 一般式(2)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物。

    (一般式(2)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。)
  3. 一般式(3)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有するラジカル重合増感剤、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物として多官能アクリレート化合物を含有するエネルギー線重合性組成物。

    (一般式(3)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基のうちのいずれかを示す。)
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエネルギー線重合性組成物を、波長が375nmから420nmの光を含むエネルギー線を照射することにより重合させる光重合方法。
  5. 波長が375nmから420nmの光を含むエネルギー線の照射源が、中心波長が395nmの紫外LEDであることを特徴とする請求項4に記載の光重合方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の光重合方法により得られる光重合物。
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