JP2020100705A - エネルギー線硬化性立体造形用組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]光重合開始剤(a)、エネルギー線吸収剤(b)、及び重合性単量体(c)を含有する、エネルギー線硬化性立体造形用組成物。
ただし、λnmが400〜445nmの範囲のいずれかの値であり、当該λnmにおける吸光係数をAS、450nmにおける吸光係数をANとしたとき、エネルギー線吸収剤(b)のAS/ANが10.0以上である。
[2]前記λnmが405nmである、[1]に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
[3]前記光重合開始剤(a)のAS/ANが0.5以上である、[1]又は[2]に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
[4]前記エネルギー線吸収剤(b)が、アントラセン系化合物とトリアジン系化合物とからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかに記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
[5]前記光重合開始剤(a)が、(ビス)アシルホスフィンオキシド類及びその塩、オキシムエステル系化合物、並びにアクリジン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
[6]前記重合性単量体(c)が、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系の多官能性重合性単量体(c1)を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
[7]さらに、フェノール系化合物(d)を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物の硬化物。
[9][8]に記載の硬化物からなる歯科材料。
[10][8]に記載の硬化物からなる歯科用スプリント。
[11]光重合開始剤(a)、エネルギー線吸収剤(b)、及び重合性単量体(c)を含有するエネルギー線硬化性立体造形用組成物において、エネルギー線吸収剤(b)を選定する方法であって、該エネルギー線硬化性立体造形用組成物を用いて立体造形を行う際に用いる立体造形装置の光源波長λnmにおける吸光係数をAS、450nmにおける吸光係数をANとしたとき、AS/ANが10.0以上であるエネルギー線吸収剤(b)を選定する方法。
[12]λnmが400〜445nmの範囲のいずれかの値である、[11]に記載のエネルギー線吸収剤(b)を選定する方法。
[13][1]〜[7]のいずれかに記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物を用いる、立体造形物の製造方法。
[14]光源波長が400〜445nmの範囲のいずれかの値である立体造形装置により、該エネルギー線硬化性立体造形用組成物を硬化させる工程を含む、[13]の立体造形物の製造方法。
本発明に用いられる光重合開始剤(a)は、前記吸光係数AS、ANについてAS/ANが0.5以上であることが好ましい。なお、吸光係数AS、ANの定義はエネルギー線吸収剤(b)の場合と同様である。光重合開始剤(a)のAS/ANが前記範囲にあることで、λnmにおいて一定以上の強度の吸光を有し、立体造形に足る開始反応を与えるだけの開始能を有しながらも可視光領域の吸光を抑制することができる。前記AS/ANは1.0以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。また、前記AS/ANとして特に上限はないが、通常、5.0以下である。
で表されるアクリジニル基を1つ有する化合物、下記一般式[II]
で表されるアクリジニル基を2つ有する化合物等が挙げられる。
本発明のエネルギー線硬化性立体造形用組成物に用いられるエネルギー線吸収剤(b)は、前述したように特定のAS/ANの範囲を満たすことが重要である。より具体的には、立体造形を行う際に用いる装置の前記光源波長に対して吸光係数の高い化合物であればよく、特に立体造形を行う際に用いる立体造形装置の光源波長が405nmの場合に前記特定のAS/ANの範囲を満たす化合物が好ましい。具体的には、アントラセン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
で表されるモノアルコキシアントラセン類、モノアシルオキシアントラセン類、下記一般式[IV]
で表されるジアルコキシアントラセン類、ジアシルアントラセン類等が挙げられる。このうち、ジアルコキシアントラセン類、ジアシルアントラセン類が好ましい。
本発明のエネルギー線硬化性立体造形用組成物に用いられる重合性単量体(c)には、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。該ラジカル重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリレート系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;α−シアノアクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等の各エステル類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;モノ−N−ビニル誘導体;スチレン誘導体等が挙げられる。重合性単量体(c)としては、硬化性の観点から(メタ)アクリレート系重合性単量体、(メタ)アクリルアミド系重合性単量体が好ましい。
本発明のエネルギー線硬化性立体造形用組成物は、変色抑制効果の観点から、さらに、フェノール系化合物(d)を含むことが好ましい。フェノール系化合物(d)は、一般工業界で使用されているフェノール誘導体の中から選択でき、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキノン、ジブチルヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンが挙げられる。この中でも、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンが好ましい。
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、AS/AN=2.0
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、AS/AN=3.5
9,10−ジブトキシアントラセン(東京化成株式会社製)、AS/AN=20
9−エトキシアントラセン(東京化成株式会社製)、AS/AN=18
2−クロロ−9,10−ジブトキシアントラセン(東京化成株式会社製)、AS/AN=23
[その他のエネルギー線吸収剤(b)’]
Tinuvin 326:2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール(BASFジャパン株式会社製)、AS/AN=8.0
なお、実施例及び比較例で用いたエネルギー線吸収剤のASは立体造形装置の光源波長を405nmとした場合(λ=405nm)である。
UDMA:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
(c1−1):ポリエステル骨格ウレタンアクリレート
(c1−2):ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレート
7PG:ヘプタプロピレングリコールジメタクリレート(日油株式会社製、「ブレンマー(登録商標)」PDP−400N)
ACMO:N−アクリロイルモルホリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
POB−A:m−フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学株式会社製)
(c1−1)及び(c1−2)は、以下の合成例1及び2の製造方法に従って得られる。
(1)撹拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5Lの四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート250g、及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.15gを添加して、撹拌下に70℃に加熱した。
(2)一方、ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオール(登録商標) P−5010」;アジピン酸と3−メチルペンタンジオールからなる重合体、重量平均分子量Mw5000)2500gを側管付きの滴下漏斗に添加し、この滴下漏斗の液を、上記(1)のフラスコ中に滴下した。なお、上記(1)のフラスコ中の溶液を撹拌しつつ、フラスコの内温を65〜75℃に保持しながら4時間かけて等速で滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間撹拌して反応させた。
(3)次いで、別の滴下漏斗に添加した2−ヒドロキシエチルアクリレート150gとヒドロキノンモノメチルエーテル0.4gとを均一に溶解させた液をフラスコの内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速で滴下した後、フラスコ内の溶液の温度を70〜80℃に保持しながら4時間反応させることにより、ポリエステル骨格ウレタンアクリレート(c1−1)を得た。GPCを用いて測定したポリエステル骨格ウレタンアクリレート(c1−1)の重量平均分子量Mwは5500であった。
(1)撹拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5Lの四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート250g、及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.15gを添加して、撹拌下に70℃に加熱した。
(2)一方、ポリカーボネートポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオール(登録商標) C−1090」;1,6−ヘキサンジオール/3−メチルペンタンジオール=9/1(質量比)からなる重合体、重量平均分子量Mw1000)500gを側管付きの滴下漏斗に添加し、この滴下漏斗の液を、上記(1)のフラスコ中に滴下した。なお、上記(1)のフラスコ中の溶液を撹拌しつつ、フラスコの内温を65〜75℃に保持しながら4時間かけて等速で滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間撹拌して反応させた。
(3)次いで、別の滴下漏斗に添加した2−ヒドロキシエチルアクリレート150gとヒドロキノンモノメチルエーテル0.4gとを均一に溶解させた液をフラスコの内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速で滴下した後、フラスコ内の溶液の温度を70〜80℃に保持しながら4時間反応させることにより、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレート(c1−2)を得た。GPCを用いて測定したポリカーボネート骨格ウレタンアクリレート(c1−2の重量平均分子量Mwは1500であった。
BHT:3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
表1に示す分量で各成分を常温(20℃±15℃、JIS(日本工業規格) Z 8703:1983)下で混合して、実施例1〜8及び比較例1〜3に係るエネルギー線硬化性立体造形用組成物としてのインクを調製した。
各実施例及び比較例のインクについて、立体造形装置(DWS社製 DigitalWax(登録商標) 028J+,レーザー光源波長:405nm)を用いて、1辺10.000mmの立方体の造形物を製造した。脱落、造形途切れ、容器の破壊等がなく、造形可能か目視により観察した。造形可能であった場合を「〇」、造形不可であった場合を「×」とした。
各実施例及び比較例のインクについて、上記と同様の光造形機を用いて、図1に示すような1辺10.000mm、円柱形の空隙の直径が2.000mmの立方体の造形物を製造した。得られた造形物を、エタノールで洗浄し、未重合の単量体を除去した後、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ、IP−65)を用いて造形面に対し垂直方向の直径の寸法(単位:mm)を測定し、下記の式により、造形誤差を算出し、平均値を得た(n=5)。該造形誤差が5.0%以下である場合、造形精度に優れ、歯科用スプリントを作製した場合に適合性に優れたものとなりやすい。
各実施例及び比較例のインクについて、上記と同様の光造形機を用いて、直径15.0mm×厚さ1.0mmのディスク状の造形物を製造した。得られた造形物を、エタノールで洗浄し、未重合の単量体を除去した後、歯科技工用LED重合装置アルファライトV(株式会社モリタ東京製作所製)で5分さらに二次重合し、硬化物を得た。得られた硬化物をシリコンカーバイド紙1000番で研磨し、続いて歯科用ラッピングフィルム(3M社製)で研磨した後、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、SPECTROPHOTOMETER CM−3610A、JIS Z 8722:2009、条件cに準拠、D65光源)を用いて、黄色度b*値、及び黄変度Δb*値を測定し、平均値を得た(n=5)。黄変度Δb*値は以下の式で定義される。
Δb*=b*(7d)−b*(0d)
(式中、b*(7d)は、造形・二次重合後7日後に測定されるJIS Z 8781−4:2013のL*a*b*表色系における黄色度b*を表し、b*(0d)は、造形・二次重合直後に測定されるL*a*b*表色系における黄色度b*を表す。)該黄色度が10.0以下である場合、歯科用スプリントを作製した場合に目視で無色と認識されやすい。また、該黄変度が5.0以下である場合、歯科用スプリントを作製した場合に目視で黄変がないと認識されやすい。
Claims (14)
- 光重合開始剤(a)、エネルギー線吸収剤(b)、及び重合性単量体(c)を含有する、エネルギー線硬化性立体造形用組成物。
ただし、λnmが400〜445nmの範囲のいずれかの値であり、当該λnmにおける吸光係数をAS、450nmにおける吸光係数をANとしたとき、エネルギー線吸収剤(b)のAS/ANが10.0以上である。 - 前記λnmが405nmである、請求項1に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
- 前記光重合開始剤(a)のAS/ANが0.5以上である、請求項1又は2に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
- 前記エネルギー線吸収剤(b)が、アントラセン系化合物とトリアジン系化合物とからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
- 前記光重合開始剤(a)が、(ビス)アシルホスフィンオキシド類及びその塩、オキシムエステル系化合物、並びにアクリジン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
- 前記重合性単量体(c)が、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系の多官能性重合性単量体(c1)を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
- さらに、フェノール系化合物(d)を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物の硬化物。
- 請求項8に記載の硬化物からなる歯科材料。
- 請求項8に記載の硬化物からなる歯科用スプリント。
- 光重合開始剤(a)、エネルギー線吸収剤(b)、及び重合性単量体(c)を含有するエネルギー線硬化性立体造形用組成物において、エネルギー線吸収剤(b)を選定する方法であって、
該エネルギー線硬化性立体造形用組成物を用いて立体造形を行う際に用いる立体造形装置の光源波長λnmにおける吸光係数をAS、450nmにおける吸光係数をANとしたとき、AS/ANが10.0以上であるエネルギー線吸収剤(b)を選定する方法。 - λnmが400〜445nmの範囲のいずれかの値である、請求項11に記載のエネルギー線吸収剤(b)を選定する方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性立体造形用組成物を用いる、立体造形物の造形方法。
- 光源波長が400〜445nmの範囲のいずれかの値である立体造形装置により、該エネルギー線硬化性立体造形用組成物を硬化させる工程を含む、請求項13に記載の立体造形物の製造方法。
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