JP5111880B2 - 面露光による光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は面露光方式によって光学的立体造形物を製造するために用いる光硬化性樹脂組成物および当該光硬化性樹脂組成物を用いて面露光方式によって立体造形物を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、面露光による光造形時(硬化時)の収縮が小さく、反りの発生が少なく、それによって良好な操作性で、造形精度、寸法精度、外観および力学的特性に優れる、反りのない光学的立体造形物を円滑に生産性良く製造することのできる面露光による光学的立体造形用の樹脂組成物および当該樹脂組成物を用いて面露光方式によって立体造形物を製造する方法に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて液状の光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が、金型などを作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから、広く採用されるようになっている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
また、近年、スポット状の紫外線レーザー光を用いる上記した従来法に代えて、光源として高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプやその他のレーザー光以外の光を発射するランプやLEDを用い、光源と光硬化性樹脂組成物よりなる造形面との間に、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な微小液晶シャッターを多数面状に配置した液晶描画マスク、または複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したいわゆるDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)よりなる面状描画マスクを配置し、当該面状描画マスクを介して光硬化性樹脂よりなる造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化樹脂層を順次積層させて立体造形物を製造する、面露光による立体造形技術が提案されている。面状描画マスクを用いる光学的立体造形技術は、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に光を面状で一度に照射して、面状の光硬化した断面形状パターンを形成することができるため、スポット状の紫外線レーザーを用いる点描方式に比べて光造形速度を大幅に向上させることが可能である。
しかしながら、面状描画マスクを介して造形面に光を面状で照射する面露光による光学的立体造形技術による場合は、X,Y,Zの立体座標のうち、2軸(例えばX軸とY軸)方向に面状で樹脂の硬化固定が同時に行われ、硬化時の樹脂の収縮を抑制する緩和現象が残りの1軸(Z軸)のみに限定されるため、スポット状のレーザー光を用いて光造形を行う場合に比べて、光硬化時の収縮による「反り」が大きくなる傾向がある。光硬化時の反りが大きくなると、反り上がった造形途中の成形物に造形面上を移動する造形装置がぶつかって造形操作が中断されるなどのトラブルが発生する恐れがあり、造形操作の中断が生じない場合には得られる立体造形物に反り、歪み、変形などが発生し、目的どおりの寸法精度および外観を有し、反り、歪み、変形などのない高品質の立体造形物が得られにくくなる。かかる点から、面状描画マスクを介して造形面に光を面状で照射して立体造形物を製造する面露光方式による光学的立体造形では、光硬化時の収縮が小さく、しかも面露光によって反りが発生せず、寸法精度、造形精度および外観に優れる立体造形物を製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物の開発が求められている。
さらに、面状描画マスクを用いる面露光による光学的立体造形に用いられる光硬化性樹脂組成物においても、スポット状のレーザー光を用いる光学的立体造形に用いられる光硬化性樹脂組成物と同様に、低粘度で造形時の取り扱い性が良好であること、保存安定性に優れていること、活性エネルギー線による硬化感度が高いこと、光硬化して得られる立体造形物の力学的特性に優れることが求められている。
光学的立体造形用樹脂組成物としては、これまでスポット状のレーザー光を用いる光造形用樹脂組成物の開発が主として行われ、面露光による光造形用の樹脂組成物の開発はそれほど進んでいない。
スポット状のレーザー光を用いる光造形用樹脂組成物としては、従来、アクリレート系光硬化性樹脂組成物やエポキシ系光硬化性樹脂組成物などが用いられている。これらの中で、エポキシ系光硬化性樹脂組成物は寸法精度に優れる造形物を製造できることから、近年、広く用いられているが、エポキシ化合物の光重合に用いられる光重合開始剤(代表的にはトリアリーススルホニウム塩化合物など)の光吸収波長域は一般に半導体励起固体レーザー光の波長である355nm以下である。一方、面露光において光源として主に用いられている高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプなどから発射される光の波長域は一般に350〜400nm(多くは360〜400nm)であり、そのためエポキシ系光硬化性樹脂組成物を面露光方式の光学的立体造形に用いた場合には、樹脂が硬化しにくく、立体造形物を製造することは困難である。かかる点から、エポキシ系光硬化性樹脂組成物を面露光による光学的立体造形に用いるに当たっては、増感剤の併用が試みられているが、十分な反応性は確保できていない。
また、アクリレート系光硬化性樹脂組成物の重合に用いる光ラジカル重合開始剤としては、紫外線域から可視光域に至る各種化合物が知られている。それらの光ラジカル重合開始剤を用いた従来のウレタンアクリレート系光硬化性樹脂組成物や、従来の非ウレタン系アクリレート系光硬化性樹脂組成物は、十分な硬化性を示すが、反応が速すぎるために、制御が困難で、光造形を行った場合に、反りの発生が大きく、造形操作の中断や、得られる立体造形物の寸法精度や外観の不良を生じ易い。そのため、従来のウレタンアクリレート系光硬化性樹脂組成物や非ウレタン系アクリレート系光硬化性樹脂組成物は、スポット状のレーザー光を用いる光造形に比べて反りの発生の大きな面露光方式による光学的立体造形への使用は難しい。
例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジアクリレートを含有する光学的立体造形用樹脂組成物が知られており(特許文献1を参照)、この光学的立体造形用樹脂組成物を用いてスポット状のレーザー光を使用して光造形を行った場合には、機械的特性に優れ、体積収縮率の低い立体造形物が得られる。しかしながら、本発明者らがこの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて面露光方式によって光学的立体造形物を製造したところ、反りが大きく、外観、寸法精度、造形精度に優れる立体造形物を得ることができなかった。
特開平7−228644号公報 ポール・エフ・ヤコブ(Paul F. Jacobs)著、「Rapid Prototyping & Manufacturing, Fundamentals of Stereo-Lithography」,"Society of Manufacturing Engineers",1992年,p28−39
本発明の目的は、面状描画マスクを介して造形面に光を面状で照射する面露光方式によって立体造形物を製造する光造形技術に用いたときに、収縮率が小さく、しかも反りの発生が少なくて、それによって光造形操作時の装置の停止などを生ずることなく、寸法精度、造形精度および外観に優れる、反り、変形、歪みのない立体造形物を生産性良く製造することのできる、面露光による光学的立体造形用の光硬化性樹脂組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、上記した特性と併せて、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れ、しかも力学的特性、耐熱性などに優れる立体造形物を製造することのできる、面露光による光学的立体造形用の光硬化性樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、上記した面露光による光学的立体造形用の光硬化性樹脂組成物を用いて、面露光方式によって立体造形物を円滑に製造することのできる光学的立体造形方法を提供することである。
上記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。そして、上記した特許文献1に記載された発明の光学的立体造形用樹脂組成物で用いられているビスフェノールA系ジアクリレート化合物(すなわちビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の両端にα位が水素原子であるアクリル酸が結合した化合物)の代わりに、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物の両端にα位にメチル基を有するメタクリル酸が結合した特定のビスフェノール系ジメタクリレート化合物を用いて光硬化性樹脂組成物を調製し、当該光硬化性樹脂組成物を用いて面露光方式によって立体造形物を製造したところ、当該光硬化性樹脂組成物は、硬化時の収縮が小さいだけでなく、反りが小さく、それによって光造形操作時に装置の停止などを生ずることなく、外観、寸法精度、造形精度に優れる、反り、歪み、変形のない立体造形物を円滑に製造できることを見出した。
また、本発明者らは、前記した特定のビスフェノール系ジメタクリレート化合物を含有する光硬化性樹脂組成物は、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れること、しかも当該光硬化性樹脂組成物を用いて面露光方式によって製造した立体造形物は力学的特性に優れることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記した特定のビスフェノール系ジメタクリレート化合物を含有する光硬化性樹脂組成物中に、所定の割合でトリシクロデカンジメタノールジメタクリレートを更に含有させると、低収縮性、低反り性、低粘度、保存安定性などの特性に加えて、面露光方式による光学的立体造形で得られる立体造形物の力学的特性および耐熱性が向上することを見出した。
また、本発明者らは、前記した光硬化性樹脂組成物に含有させる光ラジカル重合開始剤の少なくとも一部として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を用いると、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、その他の非レーザー光を発射する光源を用いて面状描画マスクを介して面露光を行う際に、低収縮性、低反り性、低粘度、保存安定性などの特性を良好に維持しながら、良好な硬化性などを維持しながら、寸法精度、造形精度、外観などに優れる立体造形物を円滑に製造できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を含有する、面露光による光学的立体造形用樹脂組成物であって、ラジカル重合性有機化合物として、下記の一般式(I);
Figure 0005111880

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはメチル基、mおよびnはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す。)
で表されるジメタクリレート化合物(I)を少なくとも含有することを特徴とする、面露光による光学的立体造形用樹脂組成物である。
そして、本発明は、
(2) 前記したジメタクリレート化合物(I)の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて30〜100質量%である前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物である。
さらに、本発明は、
(3) ラジカル重合性有機化合物として、下記の化学式(II);
Figure 0005111880

で表されるジメタクリレート化合物(II)を、ジメタクリレート化合物(I)100質量部に対して100質量部以下の割合で更に含有する前記(1)または(2)の光学的立体造形用樹脂組成物である。
また、本発明は、
(4) 光ラジカル重合開始剤の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて0.1〜10質量%である前記(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(5) 光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を少なくとも含有し、波長350〜400nmの光の照射下に光学的立体造形物を製造するための光学的立体造形用樹脂組成物である前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
さらに、本発明は、
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物から形成した造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成した後、当該光硬化した樹脂層の上に前記光学的立体造形用樹脂組成物からなる1層分の未硬化樹脂層よりなる造形面を形成し、当該造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する次の1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を立体造形物が得られるまで繰り返すことを特徴とする光学的立体造形物の製造方法;および、
(7) 波長が350〜400nmの光を、面状描画マスクを介して光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に照射する前記(6)の光学的立体造形物の製造方法;
である。
ビスフェノール骨格を有するジメタクリレート化合物(I)を含有する発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、面露光によって立体造形物を製造する際の収縮(硬化収縮)が小さく、しかも反りが小さい。そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて面露光方式によって立体造形物を製造することにより、光造形操作時に装置の停止などを生ずることなく、寸法精度、造形精度および外観に優れる、反り、変形、歪みのない立体造形物を円滑に製造することができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れており、さらに本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて面露光方式によって光造形して得られる立体造形物は、力学的特性に優れている。
さらに、ジメタクリレート化合物(I)と共に、ジメタクリレート化合物(II)(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)を含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、低粘度、保存安定性、面露光による光造形における低収縮性、低反り性という上記した優れた特性に加えて、力学的特性及び耐熱性に一層優れる立体造形物を与える。
また、光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を少なくとも含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、紫外光LEDやその他の安価な非レーザーランプを光源として用いて、面露光により上記した優れた特性を備える立体造形物を円滑に製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、面露光による光学的立体造形に用いる、ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物であって、ラジカル重合性有機化合物として、下記の一般式(I);
Figure 0005111880

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはメチル基、mおよびnはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す。)
で表される、ビスフェノール骨格を有するジメタクリレート化合物(I)を少なくとも含有することを特徴とする。
ここで、本明細書における「面露光による光学的立体造形」とは、光学的立体造形用樹脂組成物から形成した造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成した後、当該光硬化した樹脂層の上に光学的立体造形用樹脂組成物からなる1層分の未硬化層よりなる造形面を形成し、当該未硬化の造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する次の1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を、目的とする立体造形物が得られるまで繰り返えして行う光造形技術をいう。
上記の一般式(I)で表されるジメタクリレート化合物(I)において、R1は水素原子またはメチル基であり、メチル基であることが材料入手性などの点から好ましい。また、上記の一般式(I)で表されるジメタクリレート化合物(I)において、R2は水素原子またはメチル基であり、水素原子であることが材料入手性などの点から好ましい。さらに、mおよびnはそれぞれ独立して1〜20の整数であり、mおよびnはいずれも2〜15、特に2〜12の整数であることが得られる立体造形物の物性の点から好ましい。また、mとnの合計が2〜30であることが好ましく、4〜30であることがより好ましく、特に4〜24であることが更に好ましい。
ジメタクリレート化合物(I)としては、ビスフェノールに対するアルキレンオキサイド基[−CH2CH(R2)−O−]の結合数m,nに応じて、種々の分子量のものが市販されており、例えば、新中村化学工業株式会社製のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート「NKエステルBPE−100」(R2=H、m+n=2.6)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート「NKエステルBPE−200」(R2=H、m+n=約4)、「NKエステルBPE−500」(R2=H、m+n=約10)、「NKエステルBPE−900」(R2=H、m+n=約17)、「NKエステルBPE−1300」(R2=H、m+n=約30)などを挙げることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の全質量に基づいて、ジメタクリレート化合物(I)を30〜100質量%の割合で含有することが好ましく、50〜100質量%の割合で含有することがより好ましく、70〜100質量%の割合で含有することが更に好ましい。
光学的立体造形におけるジメタクリレート化合物(I)の含有量が少ないと、反りが発生し、光造形操作の中断などが生じ易くなり、しかも最終的に得られる立体造形物の反りによる変形や歪みなどが大きくなって、外観の不良、寸法精度および造形精度の低下を生じ易くなる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物として、上記したジメタクリレート化合物(I)と共に、他の(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート化合物以外のビニル系化合物などの他のラジカル重合性有機化合物を含有してもよい。特に、ジメタクリレート化合物(I)と共に、下記の化学式(II);
Figure 0005111880

で表されるジメタクリレート化合物(II)(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)を含有すると、ジメタクリレート化合物(I)による反りの低減と併せて、立体造形物の力学的特性および耐熱性の向上が得られる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、ジメタクリレート化合物(I)100質量部に対するジメタクリレート化合物(II)の含有量は、100質量部以下(0〜100質量部)であり、5〜100質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましく、15〜100質量部であることが更に好ましい。
ジメタクリレート化合物(II)の含有量が、ジメタクリレート化合物(I)の含有量よりも多くなると、反りの低減効果が得られにくくなる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、反りの低減、力学的特性などの点から、組成物中に含まれるラジカル重合性有機化合物の全質量に対して、ジメタクリレート化合物(I)とジメタクリレート化合物(II)の合計含有量が、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが更に好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、本発明の目的の妨げにならない範囲で、ジメタクリレート化合物(I)およびジメタクリレート化合物(II)以外の他のラジカル重合性有機化合物を、必要に応じて少割合(通常はラジカル重合性有機化合物の全質量に対して70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下の割合)で含有していてもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が含有し得る当該他のラジカル重合性有機化合物としては、例えば、ジメタクリレート化合物(I)およびジメタクリレート化合物(II)以外の(メタ)アクリレート系化合物、ジ(メタ)アクリレート系化合物、トリ(メタ)アクリレート系化合物、または4官能以上のポリ(メタ)アクリレート系化合物、イミド(メタ)アクリレート系化合物、(メタ)アクリルアミド系化合物、ビニル系化合物などを挙げることができる。
より具体的には、他の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートやその他のジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、ビニル系化合物としては、スチレン、ベンゼン環に置換基を有するスチレン、ジビニルベンゼン、ベンゼン環に置換基を有するジビニルベンゼン、N−ビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物で用いる光ラジカル重合開始剤としては、面露光による光学的立体造形に用いられる光源からの光を吸収して、光学的立体造形用樹脂組成物中に含まれるラジカル重合性有機化合物の重合を開始し得る光ラジカル重合開始剤であればいずれも使用できる。
一般的には、面露光による光学的立体造形は、波長が355nm以下のレーザー光を用いずに、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などの光源から発射される波長が350〜400nmの紫外線を用いて行われる。そのため、本発明では、光ラジカル重合開始剤の少なくとも一部として、波長350〜400nmの紫外線を吸収してジメタクリレート化合物(I)、ジメタクリレート化合物(II)および場合により含まれる他のラジカル重合性化合物をラジカル重合する光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
本発明では、波長が350〜400nmの紫外線を吸収する光ラジカル重合開始剤のいずれもが使用できるが、そのうちでも、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を光ラジカル重合開始剤の少なくとも一部として用いることが、硬化速度、立体造形物の力学的特性などの点から好ましい。
本発明において光ラジカル重合開始剤の少なくとも一部として好ましく用いられるアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤としては、下記の一般式(IIIa)で表されるモノアシルフォスフィンオキサイド(IIIa)および下記の一般式(IIIb)で表されるジアシルフォスフィンオキサイド(IIIb)を挙げることができる。
Figure 0005111880

[式中、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、1個以上の置換基(例えば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、1個または2個以上の炭素数1〜12のアルコキシ基および/またはハロゲン原子により置換された炭素数1〜8のアルキル基など)で置換された炭素数5〜8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基などを示す。]
モノアシルフォスフィンオキサイド(IIIa)およびジアシルフォスフィンオキサイド(IIIb)としては、上記の一般式(IIIa)または一般式(IIIb)において、R3およびR5がフェニル基、炭素数1〜4のアルキル基、アルキル置換フェニル基または炭素数1〜4のアルコキシ基置換フェニル基で、R4、R6、R7およびR8が炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基置換フェニル基または枝分かれしていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であるものが、入手性などの点から好ましく用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物で用い得るモノアシルフォスフィンオキサイド(IIIa)およびジアシルフォスフィンオキサイド(IIIb)の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイドなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
これらは、波長350〜400nmの紫外線の吸収率が高く、入手が容易であるため、本発明の面露光方式による光学的立体造形おいてより好適に用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤のみを含有していてもよいし、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合と共に他の光ラジカル重合開始剤を含有していてもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が含有し得る他の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
その場合に、他のラジカル重合開始剤として用い得るベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができ;フェニルケトン系化合物の具体例としては1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができ;アセトフェノン系化合物の具体例としてはジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができ;ベンゾイン系化合物の具体例としてはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができ;ベンゾフェノン系化合物の具体例としてはベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができ;チオキサントン系化合物の具体例としてはチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
そのうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を単独で含有するか、またはアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と共に、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」など)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(同社製「イルガキュア184」など)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「ダロキュア1173」)を含有することが好ましい。
特に、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤(そのうちでも2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」など)を併用すると、前記した波長350〜400nmの紫外線による光学的立体造形用樹脂組成物の硬化が円滑に行われると共に、面露光による光学的立体造形の際の光硬化深度の調整が容易になって、寸法精度に優れ、しかも反りが一層低減した立体造形物を得ることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて、光ラジカル重合開始剤を0.1〜10質量%(2種類以上の光ラジカル重合開始剤を含有する場合はその合計含有量)の割合で含有することが好ましく、0.2〜7質量%の割合で含有することがより好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が、光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤のみを含有する場合は、ラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を前記した0.1〜10質量%、特に0.2〜7質量%の割合で含有していることが好ましい。また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物がアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と共に他の光ラジカル重合開始剤(例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなど)を含有する場合は、ラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合を0.1〜7質量%、特に0.2〜5質量%、および他の光ラジカル重合開始剤を0.1〜7質量%、特に0.2〜5質量%の割合で含有することが好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、顔料や染料等の着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤(架橋ポリマー粒子、シリカ、ガラス粉、セラミックス粉、金属粉等)、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物の調製法は特に制限されず、例えば、ジメタクリレート化合物(I)および必要に応じて他のラジカル重合性有機化合物を所定の割合で混合した後に光ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加剤などの他の成分を均一に混合する方法、ジメタクリレート化合物(I)、ジメタクリレート化合物(II)および必要に応じて他のラジカル重合性有機化合物を混合した後に光ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加剤などの他の成分を均一に混合する方法などによって調製することができる。
上記した本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、面露光によって光学的立体造形を行って立体造形物を製造する。本発明の面露光による光学的立体造形方法においては、従来既知の面露光による光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。
本発明で好ましく採用され得る面露光による光学的立体造形法の代表例としては、光源からの光を、面状描画マスクを介して、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物から形成された造形面に所定の面状の形状パターンで照射して、所定の面状の形状パターンを有する光硬化した硬化層を形成し、次いでこの硬化層の上に未硬化の1層分の光学的立体造形用樹脂組成物を供給して造形面を形成し、当該造形面に面状描画マスクを介して光を所定の面状の形状パターンで照射して、前記の硬化層の上にそれと連続(積層・接着)した所定の形状パターンを有する硬化層を新たに形成するという光造形操作(光積層操作)を、目的とする立体造形物が得られるまで繰り返す方法を挙げることができる。
本発明の面露光による光学的立体造形で用い得る光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、水銀灯、紫外線蛍光灯などを挙げることができる。
光源の形状、大きさ、数は特に制限されず、面状描画マスクの形状や寸法、形成しようとする光硬化断面形状パターンの形状や寸法などに応じて適宜選択することができ、光源は、例えば、点状、球状、棒状、面状であってもよいし、また点状や球状の光源を面状描画マスクの背部側に直接状に一列または複数列で配置してもよい。
また、光源は、面状描画マスクと共に連続移動可能に設けてもよいし、または造形精度の向上、造形速度の向上、装置の軽量化、保守性の向上などの目的で、光源を固定位置に動かないように設ける共に光源からの光を光ファイバー、ライトガイドやその他の光伝達手段を通して面状描画マスクの背部に導き、光ファイバーやライトガイドやその他の光伝達手段を面状描画マスクと共に連続移動可能に設けてもよい。
また、造形速度の向上のために複数の光源を用いて集光し光エネルギーを高くさせる方式を採ってもよい。特に光ファイバーやライトガイドなどを使用する場合は複数光源を集光させ易いというメリットがある。
本発明では、造形精度の向上、造形速度の向上、装置の軽量化、保守性の向上、装置コストのダウンなどの目的で、光源の種類、形状、数、面状描画マスクの形状や寸法などに応じて、光源からの光を面状描画マスクに良好に導くための手段(例えば集光レンズ、フレネルレンズなど)、また面状描画マスクによって形成されたマスク画像(面状描画マスクを通った光画像)を光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面の所定位置に高造形精度で照射させるための手段(例えば投影レンズ、プロジェクタレンズなど)を配置することが好ましい。
本発明の面露光による光学的立体造形では、面状描画マスクとして、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターを面状に配置した面状描画マスク、または微小ドットエリアでの遮光と造形面に向けての光の反射が可能を複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)が好ましく用いられる。
これらの面状描画マスクは、微小ドットエリアでの遮光と透光が可能な複数の液晶などの微小光シャッター、または微小ドットエリアでの遮光と造形面に向けての光の反射が可能な複数の微小光シャッター(デジタルマイクロミラー)を面状(X−Y方向)に並列配置した正方形状または長方形状の面状描画マスクであることが好ましい。
面状描画マスクに配置する微小光シャッター(画素子)の数は特に制限されず、従来から知られているものなどを使用することができる。液晶シャッター(液晶表示素子)としては、例えば、QVGA(画素数=320ドット×240ドット)、VGA(画素数=640×480ドット)、SVGA(画素数=800×600ドット)、UXGA(画素数=1024×768ドット)、QSXGA(画素数=2560×2648ドット)などを用いることができ、これらの液晶シャッターは従来から広く販売されている。
また、デジタルマイクロミラーシャッターとしては、例えば、テキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)のDMD(画素数=1024×768ドット)などを使用することができる。
本発明では、面露光方式による光学的立体造形であればいずれも採用でき、例えば、1層分の光硬化した樹脂層を形成する際に面状描画マスクによるマスク画像を各硬化樹脂層における形状パターンに応じて一定の静止した状態にして面状描画マスクを介して造形面に光を照射して、造形面に所定の形状パターンを有する1層分毎の光硬化した樹脂層を形成する操作を所望の形状の立体造形物が得られるまで繰り返して立体造形物を製造してもよいし、または面状描画マスクを造形面上で造形面に対して平行に連続的に移動させると共に面状描画マスクのマスク画像を動画的に連続的に変化させながら当該面状描画マスクを介して造形面に光を照射して所定の形状パターンを有する1層分毎の光硬化した樹脂層を形成する操作を所望の形状の立体造形物が得られるまで繰り返して立体造形物を製造してもよい。
光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に面状描画マスクを介して光を照射する際の光エネルギーの強度は、光学的立体造形用樹脂組成物の組成、製造を目的とする立体造形物の種類などに応じて異なり得るが、一般的には、生産性、得られる立体造形物の力学的特性などの点から、1層分の光硬化した樹脂層を形成するための造形面での単位面積当たりの積算光エネルギー量が1〜100mJ/cm2、特に2〜80mJ/cm2であることが好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、面露光による光学的立体造形分野に幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を制作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型などを挙げることできる。特に、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、精密な部品などの形状確認モデルや機能試験モデルの作製に威力を発揮する。より具体的には、例えば、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの用途に有効に用いることができる。
以下に本発明を実施例などによって具体的に説明するが、本発明は例に何ら限定されるものではない。
また、以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度、硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)、光硬化による収縮率(体積収縮率)、並びに光造形して得られた光造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)]、表面硬度、反りおよび熱変形温度の測定または算出は、次のようにして行なった。
(1)光学的立体造形用樹脂組成物の粘度:
光造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光造形用樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東京計器製)を使用して測定した。
(2)光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)及び作業硬化エネルギー(E10):
非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、超高圧水銀ランプ(波長域340〜380nmの紫外光、エネルギー強度2mW/cm2)からの光を照射して1層分の光硬化膜を形成させた。この操作を、硬化膜の形成時の光照射時間を1〜5秒の間で、例えば、1秒、2秒、3秒、4秒よび5秒と5段階に変化させることによって造形面への照射エネルギー量を変え、各照射エネルギー量により生成した光硬化膜を光硬化性樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、各硬化膜の厚さを定圧ノギスで測定し、光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度を求めると共にX軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー[E10(mJ/cm2)]とした。
(3)収縮率:
光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)と、光硬化して得られた光硬化物の比重(d1)から、下記の数式により収縮率を求めた。

収縮率(%)={(d1−d0)/d1}×100

その際に、光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)は温度25℃で比重ビンを使用して測定した。また、光硬化して得られた光硬化物(造形物)の比重(d1)は温度25℃で、JIS Z8807に従って、液中で秤量する方法を採用し、ミラージュ貿易株式会社の「電子比重計SD−120L」を使用して測定した。
(4)光造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
(5)光造形物の降伏強度:
上記(3)の引張り特性の試験において、光造形物が弾性から塑性に移る点における強度を降伏強度とした。
(6)光造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(7)造形後の表面硬度:
以下の実施例および比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を洗浄した後、それに波長365nmの紫外線を3〜5mW/cm2の照射強度で照射し、照射後の光造形物の表面硬度を、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠して、デュロメーター法により測定した。
(8)反り:
以下の実施例および比較例で作製した反り測定用の板状光造形物(縦×横×厚さ=100mm×100mm×5mm)を、洗浄して室温で乾燥した後、平坦な定盤の上に置き、当該板状光造形物の一方の端部(辺)を定盤に密着固定し、固定された端部と反対側のもう一方の端部の下面と定盤の表面との間の隔たり(空隙の寸法)を測定して、反り量(mm)とした。なお、板状光造形物の一方の端部の定盤への密着固定は、縦×横×厚さ=100mm×10mm×30mmの短冊状の重り(重さ約200g)を、板状光造形物の当該一方の端部の上に当該端部に沿って載せて行った。
(9)光造形物の熱変形温度:
(i) 以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を使用し、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えて、JIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
(ii) 以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を使用し、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に0.45MPaの荷重を加えて、JIS K−7207(B法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
また、以下の実施例または比較例で用いたラジカル重合性有機化合物[ジメタクリレート化合物(I)、ジメタクリレート化合物(II)、その他のラジカル重合性有機化合物]および光ラジカル重合開始剤の種類および略号は、次のとおりである。
ジメタクリレート化合物(I)
(1)BPE−200:
下記の一般式(Ia)において、m+n=約4である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−200」)
(2)BPE−500:
下記の一般式(Ia)において、m+n=約10である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−500」)
(3)BPE−900:
下記の一般式(Ia)において、m+n=約17である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−900」)
(4)BPE−1300:
下記の一般式(Ia)において、m+n=約30である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−1300N」)
Figure 0005111880
ジメタクリレート化合物(II)
上記の化学式(II)で表されるトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル DCP」)
その他のラジカル重合性有機化合物
下記の一般式(IV)において、p+q=約4である、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−BPE−4」)
Figure 0005111880
光ラジカル重合開始剤
(1)ダロキュアTPO:
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「DAROCURR TPO])
(2)イルガキュア651:
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)
《実施例1〜4》
(1) 下記の表1に示す種類のジメタクリレート化合物(I)(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、ジメタクリレート化合物(II)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)、並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表1に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 光源として超高圧水銀ランプ(120W、岩崎電気株式会社製)を備え、面状描画マスクとしてエプソン社製のTFT方式VGA(640×480画素)の液晶を備える光造形装置(シーメット株式会社製「LE3000」)を使用し、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、造形面(光硬化性樹脂組成物の表面)への投影サイズ=35mm(装置の進行方向)×47mm(進行方向と直角の方向)(方形)、造形面での光エネルギー強度2mW/cm2の条件下に、光源、集光レンズ、面状描画マスクおよび投影レンズを一体にして約7mm/秒の速度で造形面に対して平行に進行方向に連続移動させ、その際に液晶よりなる面状描画マスクのマスク画像を形成しようとする断面形状パターンに応じて面状描画マスクの画像パターンを動画的に連続的に変えながら、積層厚み0.1mmで光照射して光造形を行なって、引張り特性測定のためのJIS K−7113に準拠したダンベル形状の立体造形物、曲げ特性測定のためのJIS K−7171に準拠したバー形状の立体造形物および反り測定用の板状光造形物(縦×横×厚さ=100mm×100mm×5mm)をそれぞれ作製した。この光造形操作において、光硬化層各部での照射時間は5秒、該各部での光照射量は8〜15mJであった。得られた試験片を用いて、JIS K−7113およびJIS K−7171に準拠して、その引張り特性、曲げ特性、表面硬度および熱変形温度を上記した方法で測定すると共に、反り量を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《比較例1》
(1) 実施例4において、BPE−200の85質量部の代わりに、上記の一般式(IV)で表されるエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−BPE−4」)85質量部を用いた以外は、実施例1〜4と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜4の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
Figure 0005111880
上記の表1の結果にみるように、実施例1〜4の光学的立体造形用樹脂組成物から得られた光硬化物(光造形物)は、反りが小さく、しかも引張試験において降伏点を示し、高い靭性を有している。
《実施例5〜8》
(1) 下記の表2に示す種類のジメタクリレート化合物(I)(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、ジメタクリレート化合物(II)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表2に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜4の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
なお、以下の表2の結果にみるように、実施例5〜8の光学的立体造形用樹脂組成物から得られた光硬化物(光造形物)は反りが小さいものであった。しかも、実施例5、7および8の光学的立体造形用樹脂組成物から得られた光硬化物(光造形物)は、引張試験において降伏点を示し、高い靭性を有していた。
《比較例2》
(1) 実施例1において、BPE−200の100質量部の代わりに、上記の一般式(IV)で表されるエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA−BPE−4)100質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜4の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
Figure 0005111880
《実施例9〜10》
(1) 下記の表3に示す種類のジメタクリレート化合物(I)(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、ジメタクリレート化合物(II)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表3に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表3に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜4の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
Figure 0005111880
《実施例11〜12》
(1) 下記の表4に示す種類のジメタクリレート化合物(I)(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、ジメタクリレート化合物(II)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表4に示す割合で混合して完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物をそれぞれ調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表4に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜4の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
Figure 0005111880
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、面露光によって立体造形物を製造する際の収縮(硬化収縮)が小さく、しかも反りが小さいため、面露光による立体造形物の製造時に、光造形操作時に装置の停止などを生ずることなく、寸法精度、造形精度および外観に優れる、反りのない立体造形物を円滑に製造することができ、しかも粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れている。さらに、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物から得られる立体造形物は、力学的特性に優れている。
そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を、光造形時に装置の停止などのトラブルを生ずることなく、生産性良く製造することができる。

Claims (7)

  1. ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を含有する、面露光による光学的立体造形用樹脂組成物であって、
    ラジカル重合性有機化合物として、下記の一般式(I);
    Figure 0005111880

    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはメチル基、mおよびnはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す。)
    で表されるジメタクリレート化合物(I)を少なくとも含有し;且つ、
    光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを含有する;
    ことを特徴とする、面露光による光学的立体造形用樹脂組成物。
  2. 前記したジメタクリレート化合物(I)の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて30〜100質量%である請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  3. ラジカル重合性有機化合物として、下記の化学式(II);
    Figure 0005111880

    で表されるジメタクリレート化合物(II)を、ジメタクリレート化合物(I)100質量部に対して100質量部以下の割合で更に含有する請求項1または2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  4. 光ラジカル重合開始剤の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて0.1〜10質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  5. 波長350〜400nmの光の照射下に光学的立体造形物を製造するための光学的立体造形用樹脂組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物から形成した造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成した後、当該光硬化した樹脂層の上に前記光学的立体造形用樹脂組成物からなる1層分の未硬化樹脂層よりなる造形面を形成し、当該造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する次の1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を立体造形物が得られるまで繰り返すことを特徴とする光学的立体造形物の製造方法。
  7. 波長が350〜400nmの光を、面状描画マスクを介して光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に照射する請求項6に記載の光学的立体造形物の製造方法。
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