JP5235056B2 - 面露光による光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
耐熱性に比較的優れる立体造形物を形成し得る光学的立体造形用樹脂組成物としては、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのような、シクロヘキサン環を分子中に有するジ(メタ)アクリレートを含有する光学的立体造形用樹脂組成物が知られている。しかしながら、この光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られる立体造形物の耐熱温度は高くて60℃程度であり、未だ耐熱性が不十分である。
さらに、本発明の目的は、耐熱性に優れる光学的立体造形物を、短い光造形時間で円滑に生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れ、硬化時の収縮率が小さくて、寸法精度、造形精度および外観に優れ、更には力学的特性にも優れる立体造形物を生産性良く製造することのできる光硬化性樹脂組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、上記した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、立体造形物を円滑に製造することのできる光学的立体造形方法を提供することである。
さらに、本発明者らは、当該光硬化性樹脂組成物は、硬化時の収縮が小さく、目的とする立体造形物を高い寸法精度および造形精度で製造できること、また粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、しかも貯蔵時の経時安定性に優れることを見出した。
(1) ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を含有する、面露光による光学的立体造形用樹脂組成物であって、ラジカル重合性有機化合物として下記の化学式(I);
で表されるジメタクリレート化合物(I)を少なくとも含有し、且つ光ラジカル重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を少なくとも含有することを特徴とする、面露光による光学的立体造形用樹脂組成物である。
(2) 前記したジメタクリレート化合物(I)の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて30〜100質量%である前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(3) ラジカル重合性有機化合物として、下記の一般式(II);
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはメチル基、mおよびnはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す。)
で表されるジメタクリレート化合物(II)を、ジメタクリレート化合物(I)100質量部に対して100質量部未満の量で更に含有する前記(1)または(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
(4) 光ラジカル重合開始剤の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて0.1〜10質量%である前記(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
(5) 光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と共に、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを含有する前記(1)〜4のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(6) 波長350〜400nmの光の照射下に光学的立体造形物を製造するための光学的立体造形用樹脂組成物である前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物から形成した造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成した後、当該光硬化した樹脂層の上に前記光学的立体造形用樹脂組成物からなる1層分の未硬化樹脂層よりなる造形面を形成し、当該造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する次の1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を立体造形物が得られるまで繰り返すことを特徴とする光学的立体造形物の製造方法;および、
(8) 波長が350〜400nmの光を、面状描画マスクを介して光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に照射する前記(7)の光学的立体造形物の製造方法;
である。
さらに、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、硬化時の収縮が小さく、目的とする立体造形物を高い寸法精度および造形精度で製造することができ、しかも粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、更に貯蔵時の経時安定性に優れている。
また、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と共に分子中にビスフェノール骨格を有するジメタクリレート(II)を所定の割合で含有する本発明の面露光による光学的立体造形用樹脂組成物を用いて面露光方式によって立体造形物を製造すると、耐熱性、力学的特性に優れ、しかも靭性が高くて耐衝撃性などの特性に一層に優れ、さらには反りの発生の少ない立体造形物を得ることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、面露光方式による光学的立体造形によって立体造形物を製造するのに用いる、ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物である。
そして、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物として、下記の化学式(I);
で表される、ジメタクリレート化合物(I)(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)を少なくとも含有することを特徴とする。
ここで、本明細書における「面露光による光学的立体造形」とは、光学的立体造形用樹脂組成物から形成した造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成した後、当該光硬化した樹脂層の上に光学的立体造形用樹脂組成物からなる1層分の未硬化層よりなる造形面を形成し、当該未硬化の造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する次の1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を、目的とする立体造形物が得られるまで繰り返えして行う光造形技術をいう。
光学的立体造形におけるジメタクリレート化合物(I)の含有量が少ないと、光造形して得られる立体造形物の熱変形温度(HDT)が低くなって耐熱性が不十分になり、しかも機械的強度が低くなる。
ジメタクリレート化合物(I)としては、ビスフェノールに対するアルキレンオキサイド基[−CH2CH(R2)−O−]の結合数m,nに応じて、種々の分子量のものが市販されており、例えば、新中村化学工業株式会社製のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート「NKエステルBPE−100」(R2=H、m+n=2.6)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート「NKエステルBPE−200」(R2=H、m+n=約4)、「NKエステルBPE−500」(R2=H、m+n=約10)、「NKエステルBPE−900」(R2=H、m+n=約17)、「NKエステルBPE−1300」(R2=H、m+n=約30)などを挙げることができる。
ジメタクリレート化合物(II)の含有量がジメタクリレート化合物(I)の含有量と同じかまたはそれ以上になると、得られる立体造形物の耐熱性が低下する。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、組成物中に含まれるラジカル重合性有機化合物の全質量に対して、ジメタクリレート化合物(I)とジメタクリレート化合物(II)の合計含有量が、50〜100質量%、特に70〜100質量%であることが、耐熱性、造形性、低反り性などの点から好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が含有し得る当該他のラジカル重合性有機化合物としては、例えば、ジメタクリレート化合物(I)およびジメタクリレート化合物(II)以外の(メタ)アクリレート系化合物、ジ(メタ)アクリレート系化合物、トリ(メタ)アクリレート系化合物、または4官能以上のポリ(メタ)アクリレート系化合物、イミド(メタ)アクリレート系化合物、(メタ)アクリルアミド系化合物、ビニル系化合物などを挙げることができる。
また、ビニル系化合物としては、スチレン、ベンゼン環に置換基を有するスチレン、ジビニルベンゼン、ベンゼン環に置換基を有するジビニルベンゼン、N−ビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
[式中、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、1個以上の置換基(例えば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、1個または2個以上の炭素数1〜12のアルコキシ基および/またはハロゲン原子により置換された炭素数1〜8のアルキル基など)で置換された炭素数5〜8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基などを示す。]
モノアシルフォスフィンオキサイド(IIIa)およびジアシルフォスフィンオキサイド(IIIb)としては、上記の一般式(IIIa)または一般式(IIIb)において、R3およびR5がフェニル基、炭素数1〜4のアルキル基、アルキル置換フェニル基または炭素数1〜4のアルコキシ基置換フェニル基で、R4、R6、R7およびR8が炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基置換フェニル基または枝分かれしていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であるものが、入手性などの点から好ましく用いられる。
これらは、波長350〜400nmの紫外線の吸収率が高く、入手が容易であるため、本発明の面露光方式による光学的立体造形おいてより好適に用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が含有し得る他の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
その場合に、他のラジカル重合開始剤として用い得るベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができ;フェニルケトン系化合物の具体例としては1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができ;アセトフェノン系化合物の具体例としてはジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができ;ベンゾイン系化合物の具体例としてはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができ;ベンゾフェノン系化合物の具体例としてはベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができ;チオキサントン系化合物の具体例としてはチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
特に、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤(そのうちでも2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」など)を併用すると、前記した波長350〜400nmの紫外線による光学的立体造形用樹脂組成物の硬化が円滑に行われると共に、面露光による光学的立体造形の際の光硬化深度の調整が容易になって、寸法精度の高い、耐熱性に優れる立体造形物を得ることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が、光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤のみを含有する場合は、ラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を前記した0.1〜10質量%、特に0.2〜7質量%の割合で含有していることが好ましい。また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物がアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と共に他の光ラジカル重合開始剤(例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなど)を含有する場合は、ラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合を0.1〜7質量%、特に0.2〜5質量%、および他の光ラジカル重合開始剤を0.1〜7質量%、特に0.2〜5質量%の割合で含有することが好ましい。
本発明で好ましく採用され得る面露光による光学的立体造形法の代表例としては、光源からの光を、面状描画マスクを介して、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物から形成された造形面に所定の面状の形状パターンで照射して、所定の面状の形状パターンを有する光硬化した硬化層を形成し、次いでこの硬化層の上に未硬化の1層分の光学的立体造形用樹脂組成物を供給して造形面を形成し、当該造形面に面状描画マスクを介して光を所定の面状の形状パターンで照射して、前記の硬化層の上にそれと連続(積層・接着)した所定の形状パターンを有する硬化層を新たに形成するという光造形操作(光積層操作)を、目的とする立体造形物が得られるまで繰り返す方法を挙げることができる。
光源の形状、大きさ、数は特に制限されず、面状描画マスクの形状や寸法、形成しようとする光硬化断面形状パターンの形状や寸法などに応じて適宜選択することができ、光源は、例えば、点状、球状、棒状、面状であってもよいし、また点状や球状の光源を面状描画マスクの背部側に直接状に一列または複数列で配置してもよい。
また、造形速度の向上のために複数の光源を用いて集光し光エネルギーを高くさせる方式を採ってもよい。特に光ファイバーやライトガイドなどを使用する場合は複数光源を集光させ易いというメリットがある。
これらの面状描画マスクは、微小ドットエリアでの遮光と透光が可能な複数の液晶などの微小光シャッター、または微小ドットエリアでの遮光と造形面に向けての光の反射が可能な複数の微小光シャッター(デジタルマイクロミラー)を面状(X−Y方向)に並列配置した正方形状または長方形状の面状描画マスクであることが好ましい。
面状描画マスクに配置する微小光シャッター(画素子)の数は特に制限されず、従来から知られているものなどを使用することができる。液晶シャッター(液晶表示素子)としては、例えば、QVGA(画素数=320ドット×240ドット)、VGA(画素数=640×480ドット)、SVGA(画素数=800×600ドット)、UXGA(画素数=1024×768ドット)、QSXGA(画素数=2560×2648ドット)などを用いることができ、これらの液晶シャッターは従来から広く販売されている。
また、デジタルマイクロミラーシャッターとしては、例えば、テキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)のDMD(画素数=1024×768ドット)などを使用することができる。
本発明では、ジメタクリレート化合物(I)およびアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、面露光方式によって立体造形物を製造するため、耐熱性に優れる立体造形物を短い光造形時間で生産性良く製造することができる。それに対して、スポット状のレーザー光を用いる点描方式を採用した場合には、ジメタクリレート化合物(I)およびアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物は、光による硬化が速やかに進行せず、耐熱性に優れる立体造形物を短い光造形時間で生産性良く製造することができない。
また、以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度、硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)、光硬化による収縮率(体積収縮率)、並びに光造形して得られた光造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)]、表面硬度、反りおよび熱変形温度の測定または算出は、次のようにして行なった。
光造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光造形用樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東京計器製)を使用して測定した。
非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、超高圧水銀ランプ(波長域340〜380nmの紫外光、エネルギー強度2mW/cm2)からの光を照射して1層分の光硬化膜を形成させた。この操作を、硬化膜の形成時の光照射時間を1〜5秒の間で、例えば、1秒、2秒、3秒、4秒よび5秒と5段階に変化させることによって造形面への照射エネルギー量を変え、各照射エネルギー量により生成した光硬化膜を光硬化性樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、各硬化膜の厚さを定圧ノギスで測定し、光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度を求めると共にX軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー[E10(mJ/cm2)]とした。
光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)と、光硬化して得られた光硬化物の比重(d1)から、下記の数式により収縮率を求めた。
収縮率(%)={(d1−d0)/d1}×100
その際に、光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)は温度25℃で比重ビンを使用して測定した。また、光硬化して得られた光硬化物(造形物)の比重(d1)は温度25℃で、JIS Z8807に従って、液中で秤量する方法を採用し、ミラージュ貿易株式会社の「電子比重計SD−120L」を使用して測定した。
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
以下の実施例および比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を洗浄した後、それに波長365nmの紫外線を3〜5mW/cm2の照射強度で照射し、照射後の光造形物の表面硬度を、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠して、デュロメーター法により測定した。
以下の実施例および比較例で作製した反り測定用の板状光造形物(縦×横×厚さ=100mm×100mm×5mm)を、洗浄して室温で乾燥した後、平坦な定盤の上に置き、当該板状光造形物の一方の端部(辺)を定盤に密着固定し、固定された端部と反対側のもう一方の端部の下面と定盤の表面との間の隔たり(空隙の寸法)を測定して、反り量(mm)とした。なお、板状光造形物の一方の端部の定盤への密着固定は、縦×横×厚さ=100mm×10mm×30mmの短冊状の重り(重さ約200g)を、板状光造形物の当該一方の端部の上に当該端部に沿って載せて行った。
(i) 以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を使用し、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えて、JIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
(ii) 以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を使用し、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に0.45MPaの荷重を加えて、JIS K−7207(B法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
上記の化学式(I)で表されるトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル DCP」)
(1)BPE−500:
下記の一般式(IIa)において、m+n=約10である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−500」)
(2)BPE−900:
下記の一般式(IIa)において、m+n=約17である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−900」)
(3)BPE−1300:
下記の一般式(IIa)において、m+n=約30である、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル BPE−1300N」)
(1) 下記の一般式(IV)において、p+q=約4である、エトキシ化シクロヘキサンジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル CHD−4E」)
(2) 下記の一般式(V)において、r=4である、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル 4G」)
(3) 下記の一般式(V)において、r=9である、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル 9G」)
(4) 下記の一般式(V)において、r=14である、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル 14G」)
(5) 下記の一般式(V)において、r=23である、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル 23G」)
(7) ネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル NPG」)
(8) 1,6−シクロヘキサンジオールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル HD−N」)
(9) 1,10−デカンジオールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル DON−N」)
(10) ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート(平均分子量=約650)(新中村化学工業株式会社製「NKエステル PTMG−65」)
(1)ダロキュアTPO:
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「DAROCURR TPO])
(2)イルガキュア651:
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)
(1) ジメタクリレート化合物(I)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)、下記の表1に示す種類のジメタクリレート化合物(II)(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表1に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 光源として超高圧水銀ランプ(120W、岩崎電気株式会社製)を備え、面状描画マスクとしてエプソン社製のTFT方式VGA(640×480画素)の液晶を備える光造形装置(シーメット株式会社製「LE3000」)を使用し、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、造形面(光硬化性樹脂組成物の表面)への投影サイズ=35mm(装置の進行方向)×47mm(進行方向と直角の方向)(方形)、造形面での光エネルギー強度2mW/cm2の条件下に、光源、集光レンズ、面状描画マスクおよび投影レンズを一体にして約7mm/秒の速度で造形面に対して平行に進行方向に連続移動させ、その際に液晶よりなる面状描画マスクのマスク画像を形成しようとする断面形状パターンに応じて面状描画マスクの画像パターンを動画的に連続的に変えながら、積層厚み0.1mmで光照射して光造形を行なって、引張り特性測定のためのJIS K−7113に準拠したダンベル形状の立体造形物、曲げ特性測定のためのJIS K−7171に準拠したバー形状の立体造形物および反り測定用の板状光造形物(縦×横×厚さ=100mm×100mm×5mm)をそれぞれ作製した。この光造形操作において、光硬化層各部での照射時間は5秒、該各部での光照射量は8〜15mJであった。得られた試験片を用いて、JIS K−7113およびJIS K−7171に準拠して、その引張り特性、曲げ特性、表面硬度および熱変形温度を上記した方法で測定すると共に、反り量を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 実施例2において、ジメタクリレート化合物(I)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)85質量部の代わりに、上記の一般式(IV)で表されるエトキシ化シクロヘキサンジメタクリレート(NKエステル CHD−4E)85質量部を用いた以外は、実施例1〜3と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜3の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ジメタクリレート化合物(I)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)、下記の表2に示す種類のジメタクリレート化合物(II)(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表2に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜3の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(1) ジメタクリレート化合物(I)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)、下記の表3に示す種類のポリエチレングリコールジメタクリレート、並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表3に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表3に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜3の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(1) ジメタクリレート化合物(I)[トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP)、下記の表4に示す他のラジカル重合性有機化合物、並びに光ラジカル重合開始剤[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)]を、下記の表4に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌混合して(撹拌混合時間約6時間)、無色透明な光学的立体造形用樹脂組成物をそれぞれ調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表4に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜3の(3)と同様にして、面露光による光学的立体造形を行って各種試験用の試験片を製造し、その各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を生産性良く製造することができる。
Claims (6)
- 光ラジカル重合開始剤の含有量が、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて0.1〜10質量%である請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- 光ラジカル重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤と共に、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを含有する請求項1または2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- 波長350〜400nmの光の照射下に光学的立体造形物を製造するための光学的立体造形用樹脂組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物から形成した造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成した後、当該光硬化した樹脂層の上に前記光学的立体造形用樹脂組成物からなる1層分の未硬化樹脂層よりなる造形面を形成し、当該造形面に面状描画マスクを介して光を面状に照射して所定の形状パターンを有する次の1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を立体造形物が得られるまで繰り返すことを特徴とする光学的立体造形物の製造方法。
- 波長が350〜400nmの光を、面状描画マスクを介して光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に照射する請求項5に記載の光学的立体造形物の製造方法。
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