JP5999380B2 - 光硬化性樹脂組成物、容器、立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、容器、立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物、容器、立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて液状の光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が広く採用されるようになっている。この造形方法によれば、金型等を作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得る。
このような立体造形物の製造方法に用いる光硬化性樹脂組成物として、光重合性モノマー及び光重合開始剤に加え、さらに光エネルギー吸収剤を含む光学的立体造形用樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
前記特許文献1では、前記樹脂組成物として、光エネルギー吸収剤を含むことにより、寸法精度に優れた立体造形物が得られることが記載されている。
特開平8−224790号公報
しかしながら、前記樹脂組成物に含まれる光エネルギー吸収剤は、淡黄色に着色している。このため、立体造形物が黄色味を帯びてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、寸法精度に優れ、かつ着色を抑制した立体造形物用の光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の光硬化性樹脂組成物は、
面露光方式による光学的立体造形に用いる光硬化性樹脂組成物であって、
下記A〜Cを含むことを特徴とする。

A:光重合開始剤
B:光重合性モノマー
C:ラジカル捕捉剤
本発明の光硬化性樹脂組成物は、寸法精度に優れ、かつ着色を抑制した立体造形物用の光硬化性樹脂組成物を提供することが可能である。
図1は、立体造形物製造装置の構成の一例を示す断面図である。 図2は、立体造形物製造装置の構成のその他の例を示す断面図である。
[光硬化性樹脂組成物]
本発明の光硬化性樹脂組成物について説明する。前述のとおり、本発明の光硬化性樹脂組成物は、面露光方式による光学的立体造形に用いる光硬化性樹脂組成物であって、前記A〜Cを含む。
前述のとおり、本発明の光硬化性樹脂組成物は、まず、前記C(ラジカル捕捉剤)を含む。これにより、前記Cが、発生したラジカルを補足するため、過剰な重合反応を抑制し、寸法精度の優れた立体造形物を製造する事が可能となる。また、前記Cの色合いは、白色〜微淡黄色であるため、淡黄色に着色された光エネルギー吸収剤よりも前記製造された立体造形物の着色を抑制することができる。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記A(光重合開始剤)及びD(第3級有機ホスフィン化合物)を併用することで、ラジカル反応を促進することができる。これにより、高速造形(低光量造形)が可能となる。一般に、面露光方式による光学的立体造形には、波長380nm以上の紫外域から近紫外域では光エネルギーが低く、光硬化樹脂の重合反応促進性(硬化性)に劣るので、波長380nm以下の光が通常用いられる。しかしながら、波長380nm以下の光は、取扱いが困難である。すなわち、波長380nm以下の短波長は、高エネルギーであり、光が当たってしまう材料の変質を引き起こしてしまう場合がある。このため、前記光学的立体造形物の製造において、外部との遮光が必要となる。また、波長380nm以下の光では、深部重合が困難である。これは、前記波長が短くなると、光硬化樹脂の深さ方向へ光が進入出来なくなり、造形可能な厚みが薄くなり、かつ積層造形に時間を要するためである。さらに、着色材料が、光重合樹脂に混入されていると、前記光の反射率及び吸収率が飛躍的に上昇するため、より短波長光の深さ方向への侵入が困難となる。これに対し、前記A〜Dを全て含む本発明の光硬化性樹脂組成物は、例えば、波長380nm以上の比較的低エネルギーの近紫外光であっても、光重合反応は深部でも進行し、十分な硬化性が得られ、さらに、微細部分の造形精度に優れる。但し、本発明の光硬化性樹脂組成物において、前記Dは、任意の構成要素である。
[物質A]
前記Aにおいて、従来公知のものが、特に制限されず、光重合開始剤に使用される。
前記光重合開始剤は、具体的には、例えば、アシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
(アシルホスフィンオキサイド化合物)
アシルホスフィンオキサイド化合物は、式(A)で表される化合物である。

(R20P=O (A)

式(A)において、
3つのR20は、それぞれ、有機基であり、3つのR20は同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つのR20は、アシル基である。
式(A)において、少なくとも1つのR20が、アシル基以外の基であることが好ましい。前記アシル基以外の基は、フェニル基等のアリール基(芳香族基)であることが好ましい。
また、式(A)において、少なくとも1つのR20が、アロイル基(芳香族カルボニル基)であることが好ましい。前記アロイル基は、式(A1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005999380
式(A1)において、
21、R22及びR23は、それぞれ、直鎖もしくは分岐アルキル基であり、同一でも異なってもよい。
*は、結合手を表す。
式(A1)で表されるアロイル基は、式(A)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていてもよい。
式(A1)において、R21、R22及びR23は、全てメチル基であることが好ましい。
前記Aは、式(A−1)で表される化合物及び式(A−2)で表される化合物の少なくとも一方を含むことがより好ましい。
Figure 0005999380
前記Aは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品は、例えば、BASF社製の「IRGACURE(登録商標)819」及び「Lucirin(登録商標)TPO」等があげられる。前記Aは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記Aの配合量(A割合)は、特に限定されず、例えば、0.1重量%〜6重量%である。前記A割合が、前記範囲内であれば、前記光硬化性樹脂組成物は、適度に硬化される。また、前記A割合が、6重量%以下であれば、前記Aによる立体造形物の着色は、低減される。前記A割合は、0.5重量%〜5重量%であることが好ましい。また、前記A割合は、1重量%〜4重量%であることがより好ましい。
[物質B]
前記Bにおいて、従来公知のものが、特に制限されず、光重合性モノマーに使用される。前記光重合性モノマーは、具体的には、例えば、分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基等の官能基を少なくとも一つ含む化合物等があげられる。
前記Bは、式(B1)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 0005999380
式(B1)において、
、R、R及びRは、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基又はCF基であり、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい。
また、2つのXは、それぞれ、エチレン基又はプロピレン基であり、2つのXは同一でも異なっていてもよい。
また、m及びnは、それぞれ、1〜10であり、m及びnは同一でも異なっていてもよい。
式(B1)で表される化合物は、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品は、例えば、日立化成(株)製の「FA−320M(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=2)」、「FA−321M(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=10)」、「FA−3218M(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=18)」、「FA−321A(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=10)」及び「FA−324A(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=4)」;SARTOMER社製の「SR348(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=2)」、「SR540(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=4)」、「SR480(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=10)」、「SR349(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=3)」、「SR601(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=4)」及び「SR602(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=10)」;新中村化学工業(株)製の「ABE−300(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=3)」、「A−BPE−10(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=10)」、「A−BPE−20(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=17)」、「A−BPE−4(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=4)」、「BPE−80N(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=2.3)」、「BPE−100(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=2.6)」、「BPE−200(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=4)」、「BPE−500(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=10)」及び「BPE−900(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=17)」;第一工業製薬(株)製の「BPE−4(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=4)」、「BPE−10(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=10)」、「BPE−20(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=20)」、「BPP−4(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:プロピレン基、m+n=4)」及び「BPEM−10(R、R、R及びR:メチル基、X:エチレン基、m+n=10)」;東亞合成(株)製の「M−211B(R及びR:メチル基、R及びR:水素原子、X:エチレン基、m+n=4)」;等があげられる。式(B1)で表される化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
式(B1)において、R、R、R及びRが、それぞれ、メチル基であり、Xが、エチレン基であり、m及びnの和(m+n)が、2、4、10又は18であることが好ましい。
式(B1)において、m+nが、2、4、10又は18である化合物全量に対し、式(B1)において、m+nが、2又は4である化合物の占める割合が、30重量%以上であることが好ましい。m+nが2又は4である化合物が占める割合を30重量%以上とすることで、立体造形物の表面硬度が、向上する。また、式(B1)において、m+nが、2、4、10又は18である化合物全量に対し、式(B1)において、m+nが、2である化合物が占める割合が30重量%以上であることが特に好ましい。m+nが2である化合物が占める割合を30重量%以上とすることで、立体造形物の表面硬度が、さらに向上する。
式(B1)において、m+nが、2、4、10又は18である化合物全量に対し、式(B1)において、m+nが、2又は4である化合物の占める割合が、30重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。m+nが2又は4である化合物が占める割合を70重量%以下とすることで、前記光硬化性樹脂組成物の粘度が適度なものとなり、立体造形物の製造が容易となる。具体的には、例えば、後述する図1及び図2に示す立体造形物製造装置の工作台21を所定ピッチだけ上昇、又は下降させた際の前記光硬化性樹脂組成物の工作台21の移動方向への追従性が向上し、工作台21の移動方向における立体造形物の寸法精度が向上する。前記光硬化性樹脂組成物の粘度は、25℃での測定値が、約700mPa・s以下が好ましく、より好ましくは、200mPa・s〜700mPa・sであり、さらに好ましくは、230mPa・s〜370mPa・sである。前記測定値が、約700mPa・s以下であれば、前記光硬化性樹脂組成物の取り扱いが容易となる。また、造形時におけるステージ移動時の液追従性が良くなり、液面が平滑になる。
前記Bは、下記式B2及び下記式B3で表される化合物の少なくとも一方を含むことがより好ましい。これにより、前記光硬化性樹脂組成物の物性(例えば、余剰硬化オーバーハング、細部造形、硬化性、造形性等)は、バランスが取れたものとなる。
Figure 0005999380
前記式(B2)において、
、R、R及びRは、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基又はCF基で
あり、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい。
Figure 0005999380
前記式(B3)において、
2つのRは、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基又はCF基であり、2つのRは同一でも異なっていてもよい。
また、R10は、水素原子又はCOCR11=CH基(R11は、水素原子、メチル基、エチル基又はCF基)である。
また、3つのXは、それぞれ、エチレン基又はプロピレン基であり、3つのXは同一でも異なっていてもよい。
また、s、t及びuは、それぞれ、1〜10であり、s、t及びuは同一でも異なっていてもよい。
前記B2で表される化合物は、紫外線によって発生したラジカルをクエンチすることにより、紫外線の影響を防止する材料である。前記B2で表される化合物は、後述の前記C(ラジカル捕捉剤)としても用いることができる。前記B2で表される化合物を用いれば、前記光硬化性樹脂組成物の硬化性、及び、立体造形物の着色防止効果がより向上する。また、前記B3で表される化合物は、反応点を多く持つ。このため、前記B3で表される化合物を用いれば、前記光硬化性樹脂組成物の光硬化反応の高速化、及び、立体造形物の硬度の向上も期待できる。
前記B2で表される化合物は、特に限定するものではないが、式(B2−1)で表される化合物及び式(B2−2)で表される化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
Figure 0005999380
前記B2で表される化合物は、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、日立化成(株)製の「FA−711MM(式(B2−1)で表される化合物)」及び「FA−712HM(式(B2−2)で表される化合物)」等があげられる。前記B2で表される化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記B2で表される化合物の配合量は、特に限定されないが、例えば、0重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜7重量%である。前記配合量は、20重量%以下であれば、前記立体造形物の成形性がより向上する。
前記B3で表される化合物は、特に限定するものではないが、式(B3−1)で表される化合物を含むことが好ましい。式(B3−1)において、R10は、式(B3)で説明したとおりである。
Figure 0005999380
前記B3で表される化合物は、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、東亞合成(株)製の「M−313(式(B3−1)で表される化合物)」、「M−315(式(B3−1)で表される化合物)」及び「M−215(式(B3−1)において、R10が水素原子である化合物)」;日立化成(株)製の「FA−731A(式(B3−1)において、R10が、COCH=CH基である化合物)」;新中村化学工業(株)製の「A−9300(式(B3−1)において、R10が、COCH=CH基である化合物)」;第一工業製薬(株)製の「TEICA(式(B3−1)において、R10が、COCH=CH基である化合物)」;等があげられる。前記B3で表される化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記B3で表される化合物の配合量は、特に限定されないが、例えば、0重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜7重量%である。前記配合量が20重量%以下であれば、前記光造形物の硬化性が変質しにくくなり、良好な硬化性を維持できる。
尚、前述の通り、本発明の前記光硬化性樹脂組成物として、前記B2で表される化合物を、後述の前記C(ラジカル捕捉剤)として用いても良い。
[物質C]
前記Cにおいて、ラジカル捕捉剤とは、生成したラジカルを捕捉し、連鎖反応を断つものであれば、特に制限されず、従来公知のものを使用できる。前記ラジカル捕捉剤として、具体的には、例えば、ヒンダードアミン化合物が挙げられる。
前記ラジカル捕捉剤は、特に制限されないが、塩基性の低いものが好ましい。具体的には、例えば、前記ラジカル捕捉剤の塩基性解離定数pKbが、4.8以上であることが好ましい。前記ラジカル捕捉剤は、例えば、BASF社製の「TINUVIN(登録商標) 111 FDL(pKb値:7.5(平均分子量が3100〜4000)、4.8(平均分子量が2000以上)」、「Tinuvin(登録商標) 123(pKb値:9.6)」、「TINUVIN(登録商標) 144(pKb値:5.5)」、「TINUVIN(登録商標) 152(pKb値:7.0〜9.4)」、「TINUVIN(登録商標) 292(pKb値:5.1)」、「TINUVIN(登録商標) 5100(pKb値:5.1)」等が挙げられる。
(ヒンダードアミン化合物)
前記ヒンダードアミン化合物とは、下記構造式(1)を分子中に少なくとも一つ有する化合物をいう。ヒンダードアミン化合物中、前記構造式(1)を一つ有しても良く、複数有してもよいが、複数有することがラジカル捕捉剤としてより機能を発揮する上で好ましい。
Figure 0005999380
式(1)中、R1〜R5は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R1〜R5は、互いに同一であってもよく、異なっていても良い。
前記Cにおいて、前記ヒンダードアミン化合物の融点は、特に制限されないが、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上である。前記融点が60℃以上であれば、前記ヒンダードアミン化合物が、高温環境下においても外部に揮発若しくは溶出することがないので、効率良く生成したラジカルを補足する事が出来る。
前記ヒンダードアミン化合物としては、具体的には、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル]、1〔2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、ポリ〔(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β´,β´−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール等が挙げられる。
前記Cは、自家調製してもよいし、市販品を用いても良い。前記市販品としては、例えば、三共ライフテック(株)製の「サノールLS−765(ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート)」、「サノールLS−770(ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)、BASF社製の「TINUVIN(登録商標) 111 FDL」、「Tinuvin(登録商標) 123」、「TINUVIN(登録商標) 144」、「TINUVIN(登録商標) 152」、「TINUVIN(登録商標) 292」、「TINUVIN(登録商標) 5100」、「CHIMASSORB(登録商標) 944LD」、ADEKA(株)製の「LA−77Y若しくはLA−77G(ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)」、ADEKA(株)製の「アデカスタブLA−52(テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート)」、「アデカスタブLA−57(テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート)」、「アデカスタブLA−62」、「アデカスタブLA−63」、「アデカスタブLA−67」、「アデカスタブLA−68」、日立化成(株)社製の「FA−711MM」、「FA−711HM」等が挙げられる。
前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記Cの配合量(C割合)は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%〜10重量%であり、好ましくは、1.0重量%〜5.0重量%である。前記C割合が、5.0重量%以下であれば、光重合反応の阻害が抑制され、良好な硬化性が得られるため好ましい。
[物質D]
本発明の光硬化性樹脂組成物において、さらに、D:第3級有機ホスフィン化合物を含む事が好ましい。これにより、余剰硬化なく硬化性を促進できる。前記Dとは、式(D)で表される化合物である。
Figure 0005999380
式(D)において、
31、R32及びR33は、それぞれ、有機基であり、R31、R32及びR33は同一でも異なっていてもよい。
式(D)において、前記有機基は、アリール基(芳香族基)であることが好ましい。これにより、より余剰硬化なく硬化性促進ができる。前記アリール基は、フェニル基であることが好ましい。これにより、さらに余剰硬化なく硬化性促進ができる。前記フェニル基は、1又は複数の炭化水素基で置換されていても置換されていなくてもよい。前記炭化水素基は、直鎖もしくは分岐アルキル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(D)において、R31、R32及びR33が、それぞれ、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基又はp−トリル基であることがより好ましい。
前記Dは、式(D1)で表される化合物を含むことがさらに好ましい。前記Dは、式(D−1)で表される化合物、式(D−2)で表される化合物、式(D−3)で表される化合物及び式(D−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことがさらに好ましい。前記Dは、式(D−1)で表される化合物を含むことが特に好ましい。式(D−1)で表される化合物を含ませることで、反り部における余剰硬化オーバーハング等の造形精度をさらに向上させることが可能となる。
Figure 0005999380
式(D1)において、
Rは、水素原子、C2p+1(pは、1〜4の整数)又はC2q+1O(qは、1〜4の整数)である。
Figure 0005999380
前記Dは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、北興化学工業(株)製の「TOTP(登録商標)(式(D−1)で表される化合物、トリオルトトリルホスフィン)」、「TMTP(登録商標)(式(D−2)で表される化合物、トリメタトリルホスフィン)」、「TPTP(登録商標)(式(D−3)で表される化合物、トリパラトリルホスフィン)」、「ホクコー TPP(登録商標)(式(D−4)で表される化合物、トリフェニルホスフィン)」が挙げられる。さらに、前記式(D−1)で表される化合物は、「TPAP(登録商標)(トリスパラメトキシフェニルホスフィン)」、「DPCP(登録商標)(ジフェニルシクロヘキシルホスフィン)」、「TCHP(登録商標)(トリシクロヘキシルホスフィン)」、「ホクコー TBP(登録商標)(トリ−n−ブチルホスフィン)」、「TTBuP(登録商標)(トリターシャリーブチルホスフィン)」、「TOCP(登録商標)(トリ−n−オクチルホスフィン)」、「DPPST(登録商標)(パラスチリルジフェニルホスフィン)」、「Amphos([4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert−ブチルホスフィン)」、及び「DPPC(登録商標)(ジフェニルホスフィナスクロライド)」等があげられる。前記Cは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記Dの配合量は、特に限定されないが、例えば、0.005重量%〜0.5重量%であり、好ましくは、0.01重量%〜0.1重量%であり、より好ましくは、0.02重量%〜0.07重量%である。
[添加剤]
前記光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤等があげられる。
[光硬化性樹脂組成物の製造方法]
前記光硬化性樹脂組成物は、例えば、前記A〜Dと、必要に応じて他の添加剤とを、従来公知の方法で均一に混合することにより調製できる。
[容器]
つぎに、本発明の容器について説明する。本発明の容器は、面露光方式による光学的立体造形に用いる容器であって、前記容器は、光硬化性樹脂組成物を含み、前記光硬化性樹脂組成物が、本発明の光硬化性樹脂組成物であることを特徴とする。本発明の容器は、例えば、カートリッジ、ボトル等があげられる。本発明の容器は、光硬化性樹脂組成物が充填されるものであることから、遮光性を有していることが好ましい。
[立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法]
つぎに、立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法について例をあげて説明する。
本例の立体造形物製造装置は、面露光方式による光学的立体造形に用いる立体造形物製造装置であって、上部開口、又は上面もしくは下面が光透過性を有し、内部に光硬化性樹脂組成物が充填された液槽と、前記液槽内を上下に移動可能な工作台と、前記液槽の上部又は下部において、前記光硬化性樹脂組成物の表面に光を照射する照射手段とを含む立体造形物製造装置であって、前記光硬化性樹脂組成物が、本発明の光硬化性樹脂組成物であることを特徴とする。
本例の立体造形物の製造方法は、面露光方式による光学的立体造形に用いる立体造形物の製造方法であって、本発明の光硬化性樹脂組成物に光を照射して立体造形物を製造することを特徴とする。
前述の立体造形物の製造方法は、例えば、前述の立体造形物製造装置を用いて実施可能である。
図1に、前述の立体造形物製造装置の構成の一例を示す。図1に示すとおり、この立体造形物製造装置は、内部に本発明の光硬化性樹脂組成物12が充填される液槽11と、液槽11に本発明の光硬化性樹脂組成物12を供給するカートリッジ30と、液槽11内を上下に移動可能な工作台21と、液槽11の下部において、光硬化性樹脂組成物12の表面に光14を照射する照射手段15とを主要な構成要素として含む。本発明の光硬化性樹脂組成物12は、一端がカートリッジ30に連結したチューブ31を介して、カートリッジ30から液槽11へと供給される。
液槽11の底面には、石英ガラス等の透光板からなる透光窓13が設けられている。照射手段15は、透光窓13に向けて光14を照射するためのレンズを内蔵している。照射手段15は、光ファイバー16及び光シャッター18を介して、光源20に接続している。照射手段15は、移動手段17により水平面内のX−Y方向(図1において、X方向は、左右方向、Y方向は、紙面に垂直な方向)に移動可能とされている。工作台21は、エレベータ22により上下方向に移動可能とされている。移動手段17及びエレベータ22は、コンピュータ23により制御される。
図1に示す立体造形物製造装置を用いた立体造形物の製造は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、工作台21を透光窓13よりもわずかに上方に位置させ、光14を目的とする立体造形物の水平断面に沿って走査させる。光14の光量は、特に制限されないが、例えば、0.1mW・s/mm〜0.9mW・s/mmである。この走査は、コンピュータ23により制御された移動手段17により行われる。
目的とする立体造形物の一つの水平断面(底面又は上面に相当する部分)の全てに光14を照射した後、工作台21を所定ピッチだけ上昇させ、硬化樹脂層24と透光窓13との間に未硬化の光硬化性樹脂組成物12を流入させる。その後、前述と同様にして、光14を照射する。この操作を繰り返すことにより、立体造形物が多層積層体として得られる。本発明の光硬化性樹脂組成物12により製造された立体造形物は、造形精度に優れる。本例の立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法は、光硬化性樹脂組成物12の使用量が少なくて済み、その組成の自由度も高いが、立体造形物が透光窓13に貼り付くため、小型の立体造形物の製造に向いている。本発明の光硬化性樹脂組成物12は、反り部における余剰硬化オーバーハング等の造形精度に優れるため、このような小型の立体造形物の製造にも好適に利用可能である。
図2に、前述の立体造形物製造装置の構成のその他の例を示す。図2において、図1と同一部分には、同一符号を付している。図1に示す立体造形物製造装置が液槽11の底面側から光14を照射するものであるのに対し、図2に示す立体造形物製造装置は、本発明の光硬化性樹脂組成物12の液面12aの上方から光14を照射するものである。図2に示す立体造形物製造装置を用いた立体造形物の製造は、例えば、工作台21又はその上の硬化樹脂層24と液面12aとの間に所定の厚さとなるように光硬化性樹脂組成物12を介在させた後、光14を照射して目的とする立体造形物の一水平断面の硬化物を形成した後、工作台21を所定ピッチだけ下降させるようにしたものであり、その他の操作は図1に示す立体造形物製造装置を用いたのと同様である。本例の立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法によれば、多量の光硬化性樹脂組成物12を要し、その組成の自由度も低いものの、大型の立体造形物を製造可能である。
図1及び図2に示した立体造形物製造装置及びそれらを用いた立体造形物の製造方法について説明したが、本例の立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法は、これらの例に限定されない。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
[実施例1及び比較例1〜2]
光硬化性樹脂組成(表1)の各成分を、均一に混合することで、実施例1及び比較例1〜2の光硬化性樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物について、(a)余剰硬化オーバーハング評価、(b)着色評価を、下記方法により実施した。
[(a)余剰硬化オーバーハング評価]
図1に示す立体造形物製造装置の液槽11に、実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物12を充填し、前述の方法にて立体造形物(チェスの駒)を製造した。このようにして得た立体造形物(チェスの駒)の深さ1mmの凹部における余剰硬化を、下記評価基準に従って評価した。なお、立体造形物(チェスの駒)製造時の光量は、0.2mW・s/mmとした。
余剰硬化オーバーハング評価 評価基準
A:凹部の深さが1mmであった
B:凹部の深さが0.5mm以上1mm未満であった
C:凹部の深さが0.5mm未満であった
(b)着色性評価
前記製造した立体造形物を製造直後から24時間放置まで、着色性評価を目視評価により行った。
着色性評価 評価基準
○:変色も濁りも見られない。
△:わずかに変色しており、濁りも見られる。
×:変色しており、濁りも見られる。
実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物の組成及び評価・測定結果を、表1に示す。
Figure 0005999380
表1に示すとおり、前記A〜Cを全て含む実施例1の光硬化性樹脂組成物では、余剰硬化オーバーハング評価及び着色性評価の結果が良好であり、寸法精度及び外観に優れていた。これに対し、前記Cを含まない比較例1及び2では、余剰硬化オーバーハング評価では、「B」以上であるが、着色性の点で劣り、いずれも評価が「×」となった。
以上のように、本発明の光硬化性樹脂組成物は、造形精度に優れたものである。本発明の光硬化性樹脂組成物の用途は、特に限定されず、各種の面露光方式による光学的立体造形に広く適用可能である。
11 液槽
12 光硬化性樹脂組成物
12a 液面
13 透光窓
14 光
15 露光手段
16 光ファイバー
17 移動手段
18 光シャッター
20 光源
21 工作台
22 エレベータ
23 コンピュータ
24 硬化樹脂層
30 カートリッジ
31 チューブ

Claims (7)

  1. 面露光方式による光学的立体造形に用いる光硬化性樹脂組成物であって、
    下記A〜を含み、
    前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記Aの配合量が、0.1重量%〜6重量%であり、
    前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記Cの配合量が、0.1重量%〜10重量%であり、
    前記光硬化性樹脂組成物全量に対する前記Dの配合量が、0.005重量%〜0.5重量%であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。

    A:式(A−1)で表される化合物及び式(A−2)で表される化合物の少なくとも一方を含む光重合開始剤
    B:式(B1)で表される化合物を含む光重合性モノマー
    C:式(B2−1)で表される化合物及び式(B2−2)で表される化合物の少なくとも一方を含むラジカル捕捉剤
    D:式(D1)で表される化合物を含む第3級有機ホスフィン化合物

    Figure 0005999380

    Figure 0005999380
    式(B1)において、
    、R 、R 及びR は、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基又はCF 基であり、R 、R 、R 及びR は同一でも異なっていてもよく、
    2つのX は、それぞれ、エチレン基又はプロピレン基であり、2つのX は同一でも異なっていてもよく、
    m及びnは、それぞれ、1〜10であり、m及びnは同一でも異なっていてもよい。

    Figure 0005999380

    Figure 0005999380
    式(D1)において、
    Rは、水素原子、C 2p+1 (pは、1〜4の整数)又はC 2q+1 O(qは、1〜4の整数)である。
  2. 前記Cの塩基性解離定数pKbが、4.8以上である請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記の融点が60℃以上である請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. (B1)で表される化合物が、(B1−1)で表される化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
    Figure 0005999380
    (B1−1)において
    m及びnの和(m+n)、2、10又は18である。
  5. 面露光方式による光学的立体造形に用いる容器であって、
    前記容器は、光硬化性樹脂組成物を含み、
    前記光硬化性樹脂組成物が、請求項1〜のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物であることを特徴とする容器。
  6. 面露光方式による光学的立体造形に用いる立体造形物製造装置であって、
    上部開口、又は上面もしくは下面が光透過性を有し、内部に光硬化性樹脂組成物が充填された液槽と、
    前記液槽内を上下に移動可能な工作台と、
    前記液槽の上部又は下部において、前記光硬化性樹脂組成物の表面に光を照射する照射手段とを含む立体造形物製造装置であって、
    前記光硬化性樹脂組成物が、請求項1〜のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物であることを特徴とする立体造形物製造装置。
  7. 面露光方式による光学的立体造形に用いる立体造形物の製造方法であって、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物に光を照射して立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法。
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