JP2015180915A - 画像形成装置及び複写機 - Google Patents

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Abstract

【課題】給紙カセット100の上方に配設された再搬送路60内のジャムシートを容易に取り出すことができ、しかも、再搬送路底板61の係止を解除する係止解除手段のメンテナンス性の悪化を抑える。
【解決手段】再搬送路底板61を揺動させるのに伴って、再搬送路60の床を形成する第1位置と、再搬送路60の内部を露出させる第2位置との間で再搬送路底板61を移動させる揺動手段を設けた。また、再搬送路底板61を第1位置に係止したり係止を解除したりするための係止解除手段と、これに対する係止の解除操作を行うための解除操作部とを本体筺体50内に設けた。更に、前記解除操作部を、本体筺体50内の全域のうち、給紙カセット100引き出し後に本体筺体50内に生じた空間に差し入れた手によってアクセス可能な領域に設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成手段によって第1面に画像が形成された記録シートの第2面にも画像を形成するために、その記録シートを再搬送路に通して画像形成手段への給送路に向けて再搬送する画像形成装置やこれを備える複写機に関するものである。
従来、この種の画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。図28は、特許文献1に記載の画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。この画像形成装置は、画像形成部、筺体920、給紙カセット901、給送路903、定着装置910、排紙路912、シート反転装置913、再送搬送路914などを備えている。画像形成部は、図中時計回り方向に回転する感光体904の表面を帯電装置906によって一様に帯電せしめた後、帯電後の感光体表面に光書込装置909によって書込光Lを走査して静電潜像を形成する。そして、その静電潜像を現像装置905によって現像し、得られたトナー像を感光体904と転写装置908との間に通した記録シートSに転写する。
給紙カセット901は、筺体に対して出し入れ可能に構成され、前述した画像形成部に供給するための記録シートSを収容している。給紙カセット901内の記録シートSの先端部には、給紙ローラ902が当接しており、その回転に伴って記録シートSを給送路903に送り込む。送り込まれた記録シートSは、画像形成部の感光体904と転写装置908との間に通される際に、感光体904上のトナー像が転写された後、定着装置910を通過する際にトナー像が定着せしめられる。その後、記録シートSは、切替爪911の位置に到達した後に、切替爪911の姿勢に応じて、排紙路912を経由して機外に排出されるか、あるいは、反転装置913と再搬送路914とを経由して給送路903に再搬送される。後者の経路を辿る場合には、まず、片面だけにトナー像を担持した記録シートSが反転装置913内で上下面を反転させられた後、給紙カセット901の真上に設けられた再搬送路914を通って給送路903に送られる。そして、画像形成部を通過する際に、もう片方の面にもトナー像が転写された後、定着装置910でそのトナー像が定着せしめられる。このようにして、記録シートSの両面にトナー像が形成される。
かかる構成の画像形成装置においては、再搬送路914内で記録シートSのジャムが発生すると、ジャムシートを機外に取り出すのに手間を要してしまう。そこで、本発明者らは、次のような構成を設けた画像形成装置を開発中である。即ち、再搬送路914の真下に存在する給紙カセット901を、図29の矢印A方向にスライドさせて筺体内から取り出した後、再搬送路914の床の一部を形成する再搬送路底板914aを傾動させて、再搬送路914の内部を露出させる構成である。このような傾動を可能にするために、揺動支点を中心にして再搬送路底板914aを揺動させる揺動手段を設けている。そして、その揺動手段によって再搬送路底板914aを揺動させるのに伴って、再搬送路914の床を形成する第1位置(図中点線の位置)と、再搬送路914の内部を露出させる第2位置(図中実線の位置)との間で再搬送路底板914aを移動させる。操作者は、給紙カセットを筺体920内から引き出した後、係止解除機構を操作して再搬送路底板914を図中点線で示される第1位置から図中実線で示される第2位置まで傾動させることができる。
前述の係止解除機構は、図中左右方向にスライド移動可能なレバー部材915や、図示しないリンク機構を有している。そして、先端部を筺体920の外部に突き出しているレバー部材が操作者によって図中矢印B方向に押し込まれると、図示しないリンク機構が再搬送路底板914aの図中左端部を重力方向下方から支えている図示しない係止部材を待避させる。これにより、図中左端部の支えを失った再搬送路底板914aが、自重によって第1位置から第2位置まで傾動する。この傾動により、再搬送路914の内部を露出させることで、再搬送路914内からジャムシートを容易に取り出すことができるようになる。
しかしながら、かかる構成では、長尺のレバー部材915を設けることで係止解除機構の構成を複雑にすることから、係止解除機構のメンテナンス性を悪化させてしまうという問題があった。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置や複写機を提供することである。即ち、シート収容手段の上方に配設された再搬送路内のジャムシートを容易に取り出すことができ、しかも、再搬送路底板の係止を解除する係止解除手段のメンテナンス性の悪化を抑えることができる画像形成装置等である。
上記目的を達成するために、本発明は、記録シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段を内包する筺体と、前記筺体内に出し入れ可能に構成され、前記画像形成手段に供給するための記録シートを収容するシート収容手段と、前記シート収容手段から前記画像形成手段に向けて記録シートを給送するための給送路と、前記筺体内における前記シート収容手段の上方に配設され、前記画像形成手段によって第1面に画像が形成された記録シートの第2面にも画像を形成すべく、前記記録シートを前記給送路に向けて再搬送するための再搬送路とを備える画像形成装置において、前記再搬送路の床における少なくとも一部を形成する再搬送路底板を揺動させるのに伴って、前記床を形成する第1位置と、前記シート収容手段の取り出しによって前記筺体内に生じた空間に向けて前記再搬送路の内部を露出させる第2位置との間で前記再搬送路底板を移動させる揺動手段を設けるとともに、前記再搬送路底板を前記第1位置に係止したり係止を解除したりするための係止解除手段と、前記係止解除手段に対する係止の解除操作を行うための解除操作部とを前記筺体内に設け、且つ、前記解除操作部を、前記筺体内の全域のうち、前記空間に差し入れた手によってアクセス可能な領域に設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、シート収容手段の上方に配設された再搬送路内のジャムシートを容易に取り出すことができ、しかも、再搬送路底板の係止を解除する係止解除手段のメンテナンス性の悪化を抑えることができるという優れた効果がある。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおける感光体とその周囲の構成とを拡大して示す拡大構成図。 同プリンタの下部領域を部分的に拡大して示す部分拡大図。 同プリンタの本体筐体内から引き出されている最中の給紙カセットを部分的に示す部分拡大図。 同給紙カセットの取り外しによって内部に空間が生じた状態の本体筺体を部分的に示す斜視図。 同給紙カセットをその後方から部分的に示す斜視図。 同給紙カセットの前側を部分的に示す部分斜視図。 同給紙カセットの分離ローラユニットを示す分解斜視図。 同給紙カセットの前端部を部分的に示す部分斜視図。 同本体筐体内に装着された同給紙カセットの分離ローラユニットと、同本体筐体内に固定された給送ローラとを部分的に示す部分斜視図。 同給送ローラ及び同分離ローラユニットの縦断面を示す縦断面図。 腰の強い記録シートを分離ニップに挟み込んだ状態の同縦断面を示す縦断面図。 同プリンタにおける再搬送路の一部を構成する再搬送路上板及び再搬送路底板を示す側面図。 同再搬送路上板及び同再搬送路底板を示す横断面図。 同搬送路底板を示す斜視図。 同再搬送路底板に保持される第2下再送ローラと、再搬送路底板を第1位置で係止したり係止を解除したりする係止解除機構の一部構成とを示す斜視図。 同再搬送路底板の係止を解除する際の解除操作部やフック部材の動きを説明するための説明図。 同再搬送路底板の係止を解除する際の解除操作部に対する操作方法を説明するための説明図。 同解除操作部の操作面の角度を説明するための説明図。 同再搬送路底板及び同再搬送路上板を下方から示す斜視図。 図18に示されるフック部材とは逆側に存在するフック部材の動きを説明する説明図。 同プリンタにおける給紙カセット、再搬送路上板、再搬送路底板、及び連動持ち上げ手段を示す構成図。 同給紙カセットの上端エッジに完全に乗り上げた回動当接部材、及びその周囲の部材の姿勢や位置を説明するための説明図。 同給紙カセットを上方から示す斜視図。 カール矯正体が着脱される同給紙カセットを示す斜視図。 同給紙カセットの内側板と回動当接部材とを示す側面図。 同プリンタを搭載した複写機に用いられるスキャナを示す斜視図。 特許文献1に記載の画像形成装置の概略構成を示す概略構成図。 同画像形成装置の再搬送路底板の傾動動作を説明するための説明図。 同給紙カセットを取り出した状態の同プリンタを示す概略構成図。 再搬送路底板の傾動によって再搬送路を大きく露出させた状態の同プリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおける再搬送路及びその周囲構成を示す拡大構成図。 変形例に係るプリンタにおける給送ガイド板及び再搬送路を示す拡大斜視図。 同プリンタにおける再搬送路上板及び再搬送路底板を示す横断面図。 同再搬送路底板に保持される第2下再送ローラと、同再搬送路底板を第1位置で係止したり係止を解除したりする係止解除機構の一部構成とを示す斜視図。 同再搬送路底板の係止を解除する際の解除操作部に対する操作方法を説明するための説明図。 同再搬送路底板及び再搬送路上板を下方から示す斜視図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式で画像を形成する電子写真プリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。なお、本発明は、電子写真方式で画像を形成する画像形成装置に限らず、インクジェット方式や、特開2002−307737号公報等に記載のトナープロジェクション方式など、他の方式で画像を形成する画像形成装置にも適用が可能である。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、潜像担持体としての感光体1や、本体筐体50に対して着脱可能に構成されたシート収容手段としての給紙カセット100などを備えている。給紙カセット100の内部には、複数の記録シートSをシート束の状態で収容している。
給紙カセット100内の記録シートSは、後述する給送ローラ35の回転駆動によってカセット内から送り出されて、後述する分離ニップを経た後に給送路42内に至る。その後、第1搬送ローラ対41の搬送ニップに挟み込まれて、給送路42内を搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送される。給送路42の末端付近には、レジストローラ対49が配設されている。記録シートSは、このレジストローラ対49のレジストニップに先端を突き当てた状態で搬送が一時中止される。その突き当ての際、記録シートSのスキューが補正される。
レジストローラ対49は、記録シートSを後述する転写ニップで感光体1の表面のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始して、記録シートSを転写ニップに向けて送り出す。この際、第1搬送ローラ対41が同時に回転駆動を開始して、一時中止していた記録シートSの搬送を再開する。
本プリンタの本体筺体は、手差しトレイ43、手差し給送ローラ44、分離パッド45などからなる手差し給紙部を保持している。この手差し給紙部の手差しトレイ43に手差しされた記録シートは、手差し給送ローラ44の回転駆動によって手差しトレイ43内から送り出される。そして、手差し給送ローラ44と分離パッド45との当接による分離ニップを経た後に、給送路42におけるレジストローラ対49よりも上流側の領域に進入する。その後、給紙カセット100から送り出された記録シートSと同様にして、レジストローラ対49を経た後に、後述する転写ニップに送られる。
図2は、本プリンタにおける感光体1とその周囲の構成とを拡大して示す拡大構成図である。図中反時計回り方向に回転駆動せしめられるドラム状の感光体1の周囲には、回収スクリュウ3、クリーニングブレード2、帯電ローラ4、潜像書込装置7、現像装置8、転写ローラ10などが配設されている。導電性ゴムローラ部を具備する帯電ローラ4は、感光体1に接触しながら回転して帯電ニップを形成している。この帯電ローラ4には、図示しない電源から出力される帯電バイアスが印加されている。これにより、帯電ニップにおいて、感光体1の表面と帯電ローラ4の表面との間で放電が発生することで、感光体1の表面が一様に帯電せしめられる。
潜像書込装置7は、LEDアレイを具備しており、感光体1の一様帯電した表面に対してLED光による光走査を行う。感光体1の一様帯電した地肌部のうち、この光走査によって光照射を受けた領域は、電位を減衰させる。これにより、感光体1の表面に静電潜像が形成される。
静電潜像は、感光体1の回転駆動に伴って、現像装置8に対向する現像領域を通過する。現像装置8は、循環搬送部や現像部を有しており、循環搬送部には、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している。循環搬送部は、後述する現像ローラ8aに供給するための現像剤を搬送する第1スクリュウ8bや、第1スクリュウ8bの直下に位置する独立した空間で現像剤を搬送する第2スクリュウ8cを有している。更には、第2スクリュウ8cから第1スクリュウ8bへの現像剤の受け渡しを行うための傾斜スクリュウ8dも有している。現像ローラ8a、第1スクリュウ8b、及び第2スクリュウ8cは、互いに平行な姿勢で配設されている。これに対し、傾斜スクリュウ8dは、それらから傾いた姿勢で配設されている。
第1スクリュウ8bは、自らの回転駆動に伴って現像剤を同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。この際、自らに対向配設された現像ローラ8aに一部の現像剤を供給する。第1スクリュウ8bによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、第2スクリュウ8cの上に落とし込まれる。
第2スクリュウ8cは、現像ローラ8aから使用済みの現像剤を受け取りながら、受け取った現像剤を自らの回転駆動に伴って同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。第2スクリュウ8cによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、傾斜スクリュウ8dに受け渡される。そして、傾斜スクリュウ8dの回転駆動に伴って、同図の紙面に直交する方向における手前側から奥側に向けて搬送された後、同方向における奥側の端部付近で、第1スクリュウ8bに受け渡される。
現像ローラ8aは、筒状の非磁性部材からなる回転可能な現像スリーブと、現像スリーブに連れ回らないようにスリーブ内に固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュウ8bによって搬送されている現像剤の一部をマグネットローラの発する磁力によって現像スリーブの表面で汲み上げる。現像スリーブの表面に担持された現像剤は、現像スリーブの表面に連れ周りながら、スリーブとドクターグレードとの対向位置を通過する際に、その層厚が規制される。その後、感光体1に対向する現像領域で、感光体1の表面に摺擦しながら移動する。
現像スリーブには、トナーや感光体1の地肌部電位と同極性の現像バイアスが印加されている。この現像バイアスの絶対値は、潜像電位の絶対値よりも大きく、且つ、地肌部電位の絶対値よりも小さくなっている。このため、現像領域においては、感光体1の静電潜像と現像スリーブとの間にトナーをスリーブ側から潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。この一方で、感光体1の地肌部と現像スリーブとの間には、トナーを地肌部側からスリーブ側に静電移動させる地肌ポテンシャルが作用する。これにより、現像領域では、感光体1の静電潜像にトナーが選択的に付着して静電潜像が現像される。
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブの回転に伴って、スリーブと第2スクリュウ8cとの対向領域に進入する。この対向領域では、マグネットローラに具備される複数の磁極のうち、互いに極性の異なる2つの磁極によって反発磁界が形成されている。対向領域に進入した現像剤は、反発磁界の作用によって現像スリーブ表面から離脱して、第2スクリュウ8c上に回収される。
傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤は、現像ローラ8aから回収された現像剤を含有しており、その現像剤は現像領域で現像に寄与していることからトナー濃度を低下させている。現像装置8は、傾斜スクリュウ8bによって搬送される現像剤のトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度センサーを具備している。制御部51は、トナー濃度センサーによる検知結果に基づいて、必要に応じて、傾斜スクリュウ8bによって搬送される現像剤にトナーを補給するための補給動作信号を出力する。
現像装置8の上方には、トナーカートリッジ9が配設されている。このトナーカートリッジ9は、内部に収容しているトナーを、回転軸部材9aに固定されたアジテータ9bによって撹拌している。そして、トナー補給部材9cが制御部51から出力される補給動作信号に応じて回転駆動されることで、回転駆動量に応じた量のトナーを現像装置8の傾斜スクリュウ8bに補給する。
現像によって感光体1上に形成されたトナー像は、感光体1の回転に伴って、感光体1と、転写手段たる転写ローラ10とが当接する転写ニップに進入する。転写ローラ10には、感光体1の潜像電位とは逆極性の帯電バイアスが印加されており、これにより、転写ニップ内には転写電界が形成されている。
上述したように、レジストローラ対49は、記録シートSを転写ニップ内で感光体1上のトナー像に重ね合わせうるタイミングで転写ニップに向けて送り出す。転写ニップでトナー像に密着せしめられた記録シートSには、転写電界やニップ圧の作用により、感光体1上のトナー像が転写される。
転写ニップを通過した後の感光体1の表面には、記録シートSに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは感光体1に当接しているクリーニングブレード2によって感光体1の表面から掻き落とされた後、回収スクリュウ3により、ユニットケーシングの外に向けて送られる。ユニットケーシングから排出された転写残トナーは、図示しない搬送装置によって図示しない廃トナーボトルに送られる。
クリーニングブレード2によってクリーニングされた感光体1の表面は、図示しない除電手段によって除電された後、帯電ローラ4によって再び一様に帯電せしめられる。感光体1の表面に当接している帯電ローラ4には、トナー添加剤や、クリーニングブレード2で除去し切れなかったトナーなどの異物が付着する。この異物は、帯電ローラ4に当接しているクリーニングローラ5に転移した後、クリーニングローラ5に当接しているスクレーパー6によってクリーニングローラ5の表面から掻き落とされる。掻き落とされた異物は、上述した回収スクリュウ3の上に落下する。
図1において、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップを通過した記録シートSは、定着装置44に送られる。定着装置44は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ44aと、これに向けて押圧される加圧ローラ44bとの当接によって定着ニップを形成している。定着ニップに挟み込まれた記録シートSの表面には、加熱や加圧の作用によってトナー像が定着せしめられる。その後、定着装置44を通過した記録シートSは、排紙路45を経た後、排紙ローラ対46の排紙ニップに挟み込まれる。
本プリンタは、記録シートSの片面だけに画像を形成する片面モードと、記録シートSの良縁に画像を形成する両面モードとを切り替えて実行することができる。片面モードの場合や、両面モードであって既に記録シートSの両面に画像を形成している場合には、排紙ローラ対46が正転駆動を続けることで、排紙路45内の記録シートSを機外に排出する。排出された記録シートSは、本体筺体50の上面に設けられたスタック部にスタックされる。
一方、両面モードであって、且つ記録シートSの片面だけにしか画像を形成していない場合には、排紙ローラ対46の排紙ニップに記録シートSの端部が進入したタイミングで、排紙ローラ対46が逆転駆動される。このとき、排紙路45の末端付近に配設された切換爪47が作動して、排紙路45を塞ぐとともに、反転路48の入口を開く。排紙ローラ対46の逆転駆動によって逆戻りを開始した記録シートSは、反転路48内に送り込まれる。そして、反転路48内で上下を反転せしめられた後、給紙カセット100の真上に配設された再搬送路60を経由して給送路42に再搬送される。その後、レジストローラ対49のレジストニップを経由してから転写ニップでもう一方の面にもトナー像が転写された後、定着装置44と排紙路45と排紙ローラ対46とを経て機外に排出される。
図3は、本プリンタの下部領域を部分的に拡大して示す部分拡大図である。給紙カセット100は、可動底板101の上に複数の記録シートSからなるシート束を載置している。可動底板101は、底板バネ103によって給送ローラ35に向けて付勢されている。可動底板101の先端部には弾性部材からなる底板バッド102が固定されている。シート束の先端部は、この底板パッド102と給送ローラ35との間に挟み込まれた状態で、底板バネ103の力によって給送ローラ35に向けて押圧されている。
給送ローラ35が回転すると、シート束の一番上にある最上位の記録シートSが可動底板101から送り出される。そして、給送ローラ35と分離ローラ121との当接による分離ニップに進入する。このように、可動底板101、底板パッド102、底板バネ103などからなる押し当て手段によって記録シートSを給送ローラ35に向けて押し当てた状態で、給送ローラ35の駆動によってカセット内からの記録シートSの送り出しを行う。かかる構成では、給紙カセット100に対するピックアップローラの付設を省略して、低コスト化を図ることができる。つまり、本プリンタでは、ピックアップレス方式を採用していることで、低コスト化を実現している。
分離ローラ121に対しては、必要に応じてその表面を給送ローラ35とは逆方向に移動させるための回転駆動力を付与するのが一般的であるが、本プリンタにおいては、回転駆動力を付与しないようになっている。分離ローラ121は、給送ローラ35や分離ニップ内の記録シートSに従動することによってのみ回転するようになっている。
分離ローラ121の回転軸の一端側は、図示しないトルクリミッターによって回転自在に支持されている。分離ニップに記録シートSが進入していないときには、分離ローラ121が給送ローラ35に直接接触する。この状態で給送ローラ35が回転駆動すると、給送ローラ35から分離ローラ121に比較的強い駆動力が付与される。これにより、分離ローラ121の従動回転のトルクが所定の閾値を上回ることで、トルクリミッターが分離ローラ121の従動回転を許容する。つまり、分離ニップに記録シートSが進入していないときには、分離ローラ121が給送ローラ35に連れ回って従動回転する。
また、分離ニップに記録シートSが1枚だけ進入したときには、分離ローラ121と給送ローラとの間に記録シートSが1枚だけ介在する。この状態で給送ローラ35が回転駆動すると、給送ローラ35から記録シートSに対して強い搬送力が付与されて記録シートSがシート送り方向に移動する。同時に、給送ローラ35から記録シートSを介して分離ローラ121に比較的強い駆動力が付与される。これにより、分離ローラ121の従動回転のトルクが所定の閾値を上回ることで、トルクリミッターが分離ローラ121の従動回転を許容する。つまり、分離ニップに記録シートSが1枚だけ進入しているときにも、分離ローラ121が従動回転する。
一方、重送によって複数枚の記録シートSが重なり合った状態で分離ニップに進入したとする。この場合、分離ニップで給送ローラ35に直接接触する最上位の記録シートSに対しては、給送ローラ35によって比較的強い搬送力が付与されることから、最上位の記録シートSはシート送り方向に搬送される。また、最上位の記録シートSを除く残りの記録シートは、分離ニップで加圧されることで搬送抵抗を付与される。この搬送抵抗が、最上位の記録シートSと2番目の記録シートSとの摩擦抵抗を上回ることで、それらシート間でスリップが発生する。そして、このスリップにより、分離ローラ121の従動回転のトルクが所定の閾値以下になることで、トルクリミッターが分離ローラ121の従動回転を許容しなくなる。すると、2番目以降の記録シートSに対する搬送抵抗がより増加して、2番目以降の記録シートSの移動が停止する。このようにして、分離ローラ121は、複数の記録シートSに搬送抵抗を付与しながらそれら最上位の記録シートSから他の記録シートを分離する。
かかる構成では、分離ローラ121に対してモータによる回転駆動力を付与することなく分離ニップで記録シートSを分離することで、分離ローラ121に駆動を伝達するための駆動伝達手段を省略して低コスト化を図ることができる。
図4は、本体筐体内から引き出されている最中の給紙カセット100を部分的に示す部分拡大図である。図示のように、本プリンタにおいては、分離ローラ121を給紙カセット100に保持させて給紙カセット100とともに本体筺体50に対して着脱するようになっている。これにより、給紙カセット100をローラの回転軸線方向ではなく、同図の左右方向にスライドさせて本体筺体50に対して着脱することを可能にしている。分離ローラ121が給紙カセット100とともに移動することから、給紙カセット100を同図の左右方向に沿った矢印A方向にスライド移動させる際に分離ローラ121が邪魔にならないからである。
分離ニップに記録シートSが挟まった状態でジャムが発生した場合、作業者は給紙カセット100を図中矢印A方向にスライド移動させて本体筺体50から引き出す。すると、分離ローラ121が給紙カセット100とともに取り出されて分離ニップが無くなるが、ジャムシートは、第1搬送ローラ対41の搬送ニップに挟まれていることから、本体筺体50内に残る。
給紙カセット100を本体筺体50から引き出したことによって本体筺体50内に発生する空間は、カセット引き出し方向である図中矢印A方向に向けて大きく開口している。作業者は、この開口を通じて、ジャムシートをその面方向から容易に視認することができる。そして、その開口に挿入した両手により、ジャムシートのローラ回転軸線方向の両端部をそれぞれ把持しながら、ジャムシートを第1搬送ローラ対41による搬送ニップから引っ張り出すことができる。この際、ジャムシートの両端部にそれぞれ引っ張り力が付与されることで、ジャムシートの一端部だけが把持される場合に比べて、引っ張り力の集中が抑えられて、ジャムシートの破れが発生し難くなる。
よって、本プリンタにおいては、ジャム処理の際におけるジャムシートの破けを抑えることができる。なお、本プリンタにおける給紙カセットの本体筺体50からの引き出し方向(図中矢印A方向)は、図示のように、給紙カセット100をシート収容部105側から分離ローラユニット120側に移動させる方向である。
図5は、給紙カセット(100)の取り外しによって内部に空間が生じた状態の本体筺体50を部分的に示す斜視図である。図中矢印B方向は、図示しない給送ローラ(35)の回転軸線方向である。同図においては、本体筺体における同回転軸線方向の一端側だけを示している。
本体筺体50内の底部における同回転軸線方向の一端側には、図示しない給紙カセットの着脱方向に延在するレール53が設けられている。また、同図には示されていないが、同回転軸線方向の他端側にも、同様のレールが設けられている。給紙カセットは、それらレールの上に置かれた状態でレールの延在方向に沿ってスライド移動させられることで、本体筺体50に対して着脱される。また、レールの上に載ることで、本体筺体50内において高さ方向の位置決めがなされる。
同図に示される本体筺体50において、高さ方向に延在している部材は、本体筺体50の右側板である。同図には示されていないが、同回転軸線方向の他端側においても、同様に高さ方向に延在する左側板が設けられている。本体筺体50の右側板の内壁には、本体筺体50内において給紙カセットを着脱方向に位置決めするための位置決めストッパー51が設けられている。また、本体筺体50の図示しない左側板の内壁にも、同様の位置決めストッパーが設けられている。給紙カセットは、本体筺体50内において上述したレールに載せられて内部に押し込まれていく際に、自らに設けられた突き当て部を前述した位置決めストッパー(例えば51)に突き当てることで、着脱方向の位置決めがなされる。
給紙カセットの突き当て部を単に位置決めストッパーに突き当てているだけでは、本体筺体50に何らかの衝撃が加えられた場合に、給紙カセットが取り出し方向に押し出されてしまうおそれがある。そこで、本体筺体50の右側板の内壁には、係止部材52が同回転軸線方向(矢印B方向)に移動可能に設けられている。この係止部材52は、図示しないバネによって付勢されることで、図示のように、本体筺体50の右側板の内面よりも筺体内部に突出する位置で拘束されている。この係止部材52には、図示のようにテーパーが設けられている。同図には示されていないが、本体筺体50の左側板の内壁にも、同様の係止部材52が設けられている。
図6は、給紙カセット100をその後方から部分的に示す斜視図である。給紙カセット100の右側板の外面には、抜け止め突起106が突設されている。給紙カセット100の底壁外面に設けられた位置決め部107を、図5に示される本体筺体50の下部に設けられたレール53の上に載せることで、給紙カセット100の高さ方向の位置決めが行われる。給紙カセット100がレール53上で本体筺体50内部に向けて押し込まれていくのに伴って、給紙カセット100の抜け止め突起106が本体筺体50の係止部材52のテーパーに摺擦する。この摺擦に伴って、係止部材52は側板の外側に向けて押されていき、側板内面からの突出量を減らしていく。そして、給紙カセット100が位置決め用の突き当て部105を本体筺体50の位置決めストッパー51に突き当てる位置まで移動して位置決めされる直前に、給紙カセット100の抜け止め突起106が本体筺体50の係止部材52から離間する。すると、それまで側板内面からの突出量を減らしていた係止部材52がバネの付勢力により、図5に示される位置まで一気に突出する。そして、突出した部分を給紙カセット100の抜け止め突起106の背面に接触させることで、給紙カセット100の引き出し方向への移動を阻止して給紙カセット100を正規の位置に拘束する。これにより、本体筺体50に突発的な衝撃が加わっても、給紙カセット100を着脱方向において正規に位置に拘束し続けることができる。
なお、係止部材52には、同図では裏側になって見えなくなっている面にも急角度のテーパーが設けられている。衝撃程度の力では、給紙カセット100の抜け止め突起106によって係止部材52を押し下げることができない。しかし、作業者がある程度の力で給紙カセット100を引き抜く際には、給紙カセット100の抜け止め突起106が係止部材52の裏側のテーパーに強く摺擦しながら係止部材52を押し下げていく。これにより、作業者は給紙カセット100を本体筺体50内から引き抜くことができる。
以上のようにして、給紙カセット100の高さ方向の位置決めと着脱方向の位置決めとを行うことで、給紙カセット100に保持される分離ローラ(121)が本体筺体50内において正確に位置決めされる。
なお、給紙カセット100を高さ方向により正確に位置決めするために、次のような構成を採用してもよい。即ち、本体筺体50の2つの側板にそれぞれ設けた位置決めストッパー(例えば51)に、レール部と、そのレール部の表面から僅かに突出する微小突起とを形成し、給紙カセット100に設けた微小位置決め部をその微小突起の上に乗り上げさせる。それと同時に、位置決めストッパーの被突き当て部に給紙カセット100の突き当て部(例えば105)を突き当てる。
図7は、給紙カセット100の前側を部分的に示す部分斜視図である。なお、同図においては、便宜上、給紙カセット100の前カバー(引き出し用の把手が付いているカバー)の図示を省略している。図示のように、分離ローラ121は、他のいくつかの部品とともに分離ローラユニット120として構成されていて、給紙カセット100の被装着部に対して一体的に着脱されるようになっている。このように、分離ローラ121をユニット化することで、他機種との部品の共通化を図って低コスト化を実現している。具体的には、本プリンタとは仕様の異なる他機種のカセットにおいても、本プリンタの給紙カセット100と同様の構成を採用している。但し、本プリンタの給紙カセット100とは記録シートSの収容枚数が異なっていることから、カセットの厚みが異なっている。このような仕様の異なる給紙カセットではあるが、分離ローラユニット120については、全く同じ仕様のものを着脱するようになっている。このようにして部品の共通化を図っているのである。
図8は、分離ローラユニット120を示す分解斜視図である。分離ローラ121の回転軸部材121aには、トルクリミッター122が連結されている。このトルクリミッター122の役割は、既に説明した通りである。トルクリミッター122及び分離ローラ121は、揺動ホルダー123によって保持されている。トルクリミッター122における回転軸部材121aとの連結部とは反対側は、揺動ホルダー123の右側板に固定されている。また、分離ローラ121の回転軸部材aにおける前記連結部とは反端側は、揺動ホルダー123の左側板に回転自在に支持されている。
このようにしてトルクリミッター122及び分離ローラ121を保持する揺動ホルダー123は、上カバー126とベースカバー124とからなる収容部材に収容される。具体的には、揺動ホルダー123の右側板及び左側板には、それぞれ同軸線上に並ぶ揺動軸部123aが突設せしめられている。ベースカバー124内に収容された揺動ホルダー123は、それら揺動軸部をベースカバー124の軸穴124aや切り欠き124bに係合させる。これにより、揺動ホルダー123が揺動軸部123aを中心にして揺動するように、ベースカバー124に支持される。
上カバー126は、ベースカバー124に対して上方から嵌合する。この状態では、上カバー126に設けられた開口126aを通じて、カバー内部の分離ローラ121の周面が外に露出する(図7参照)。ベースカバー124には、付勢手段としてのコイルバネ125が固定されている。このコイルバネ125により、揺動ホルダー123が揺動軸部123aを中心にして、ベースカバー124側から上カバー126側に向かう方向に付勢されている。分離ローラユニット120を図7に示されるように給紙カセット100に装着していない状態では、上カバー126の裏面に分離ローラ121の周面が突き当たっている。
本プリンタにおいては、図1に示される本体筺体50の図中右端の面が前面になっている。また、図中左端の面が背面になっている。また、本体筺体50の同図の紙面に直交する方向における奥端の面が右側面になっている。また、同方向における手前端の面が左側面になっている。つまり、本プリンタでは、本体筺体50内に装着されている給紙カセット100をプリンタの前方に向けて引き出すようになっている。また、給紙カセット100をプリンタの後方に向けて押し込んで本体筐体50内に装着するようになっている。以下、着脱方向に沿ってプリンタの後側から前側に向かう方向を単に前方という。また、その正反対の方向を単に後方という。
図9に示されるように、分離ローラユニット120が給紙カセット100の被装着部に装着されると、給紙カセット100の可動底板101の先端に固定された底板バッド102が分離ローラ121の近傍に位置する。底板バッド102は、上述したように、給紙カセット100内に収容された記録シートを給送ローラ(35)に向けて押し当てるものである。
図10は、本体筐体内に装着された給紙カセット100の分離ローラユニット120と、本体筐体内に固定された給送ローラ35とを部分的に示す部分斜視図である。給紙カセット100が本体筐体のレール上でスライド移動せしめられながら本体筐体に装着される過程で、本体筐体内に固定された給送ローラ35と、給紙カセット100に保持される分離ローラ121とが当接する。具体的には、給送ローラ35に当接する前の分離ローラ121は、分離ローラユニット120の上カバー126の開口(図8の126a)を通じて、自らの周面の一部を上カバー126よりも外に突出させている。この状態で給紙カセット100とともに本体筐体内に押し込まれていく分離ローラ121は、やがて、本体筐体内に固定されている給送ローラ35の周面に突き当たる。給紙カセット100が更に本体筐体内に押し込まれていくと、分離ローラ121が給送ローラ35に押し返される。この押し返しの力により、揺動ホルダー123がコイルバネ125の付勢力に抗して、揺動軸部123aを中心にして上カバー126側からベースカバー124側に向けて公転し始める。これにより、分離ローラ121が揺動軸部123aを中心にして給送ローラ35側から分離ローラ121側に向けて徐々に公転していき、両ローラの当接部も給送ローラ35側から分離ローラ121側に向けて徐々に移動していく。給紙カセット100が正規の装着位置まで押し込まれると、分離ローラ121が上カバー126の裏面から完全に離間した状態になる。
記録シートSとして、厚紙などの腰の強いものが用いられた場合、分離ニップに挟み込まれた記録シートSがその腰の強さによる復元力によって分離ローラ121を給送ローラ35から離れる方向に押し返すおそれがある。すると、この力に起因する記録シートSの不送りが発生してしまう。具体的には、前述の力により、コイルバネ125(図8参照)によって給送ローラ35に向けて付勢されている揺動ホルダー123が揺動軸部123aを中心にして給送ローラ35から離れる方向に公転して、分離ローラ121を給送ローラ35から大きく離間させる。これにより、給送ローラ35の表面移動による搬送力が記録シートSに伝わらなくなって、記録シートSの不送りが発生する。以下、この不送りを「押し返しによる不送り」という。
図11は、給送ローラ35及び分離ローラユニット120を示す縦断面図である。分離ローラユニット120の上カバー126における開口(126a)の周辺には、ローラ軸線方向に並ぶ2つの凸部126b、凸部126cが設けられている。同図において、Lnという符号が付された一点鎖線は、分離ニップの延長線である。また、Lsという符号が付された一点鎖線は、凸部126bや凸部126cの表面の延長線である。凸部126bは、分離ローラ121の円柱状のローラ部121bにおける回転軸線方向の一端面(図中右側端面)に対して回転軸線方向に沿ったより一端側の位置で並びつつ、本体筺体内で分離ニップよりも給送ローラ35側に突出している。また、凸部126cは、ローラ部121bにおける回転軸線方向の他端面(図中左側端面)に対して回転軸線方向に沿ったより他端側の位置で並びつつ、本体筺体内で分離ニップよりも給送ローラ35側に突出している。
図12に示されるように、腰の強い記録シートSが分離ニップに挟み込まれると、記録シートSのローラ軸線方向における全域のうち、第1接触部126bに接触している箇所と、第2接触部126cに接触している箇所との間の領域が僅かに撓む。具体的には、それら接触部の表面よりも分離ローラ121側に位置している分離ニップに向けて撓む。同図に示される記録シートSは腰の強いシートなので、そのように撓むと、復元力によって撓みを解消しようとすることから、記録シートSによって分離ローラ121に対して給送ローラ35から離れる方向の力を付与してしまうことがなくなる。これにより、腰の強い記録シートSが分離ニップで分離ローラ121に前述の力を付与してしまうことに起因する「押し返しによる不送り」の発生を回避することができる。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図13は、再搬送路60の一部を構成する再搬送路上板62及び再搬送路底板61を示す側面図である。同図において、再搬送路60は、再搬送路上板62と、これの直下で再搬送路上板62に対して所定の隙間をあけて対向している再搬送路底板61との間に形成され、その内部の記録シートは図中右側から左側に向けて搬送される。再搬送路60の上壁を構成する再搬送路上板62は、動かないように図示しない本体筺体(50)に固定されている。筺体のフレームには、第1下再送ローラ63が回転自在に支持されている。同図ではフレームの奥側に隠れて表されていないが、この第1下再送ローラ63の上方には、第1上再送ローラが配設されており、第1下再送ローラ63に当接して再送ニップを形成している。この再送ニップに挟み込まれた記録シートが再搬送路60内で図中右側から左側に向けて搬送される。
再搬送路60の床を構成している再搬送路底板61は、図中右側の端部が第1下再送ローラ63の回転軸部材63aによって回動自在に支持されている。同図では、再搬送路底板61の図紙面に直交する方向における手前側の端部について第1下再送ローラ63の回転軸部材63aに回動自在に支持されている様子が示されている。再搬送路底板61の奥側の端部も同様に、第1下再送ローラ63の回転軸部材63aに回動自在に支持されている。
図14は、再搬送路上板62及び再搬送路底板61を示す横断面図である。また、図15は、搬送路底板61を示す斜視図である。これらの図において、再搬送路底板61の図中右側の端部は、第2下再送ローラ64を回転自在に保持している。そして、図15に示されるように、その第2下再送ローラ64の回転軸部材64aにおける軸線方向の両端部はそれぞれ、フック部材64aを揺動可能に支持している。また、図14に示されるように、再搬送路上板62の図中右側の端部は、第2上再送ローラ68を回転自在に支持している。この第2上再送ローラ68と、これの直下に存在する第2下再送ローラ64とが当接する再送ニップに挟み込まれた記録シートは、再搬送路60内を図中右側から左側に向けて搬送される。
図13に示されるように、第2下再送ローラ64の回転軸部材64aを軸にして揺動可能なフック部材65は、自由端側を鉛直方向上方に向けた姿勢で、そのフック部を再搬送路上板62の側面に突設せしめられた引っ掛け部62aに引っ掛けている。この引っ掛かりにより、第1下再送ローラ63の回転軸部材63aを軸にして揺動可能な再搬送床板61が再搬送路60の床を形成する第1位置に係止されている。
なお、同図では、第2下再送ローラ64の回転軸部材64aにおける図中手前側の端部に揺動可能に支持されるフック部材65を示しているが、不図示の図中奥側の端部に揺動可能に支持されるフック部材もそのフック部を図中奥側の引っ掛け部に引っ掛けている。また、後述する解除操作によってフック部材65の引っ掛け部62aに対する引っ掛かりが解かれると、再搬送路底板61の図中左側の端部の支えがなくなる。これにより、後述する図22のように再搬送路底板61が第1下再送ローラ63の回転軸部材を軸にして図中左側の端部を重力方向下方に移動させる方向に傾動して、再搬送路60の内部を露出させる。つまり、第1位置から第2位置に移動する。よって、第1下再送ローラ63の回転軸部材63aや、これに係合するように再搬送路底板61に固定された図示しない軸受けが、再搬送路底板61を揺動させるのに伴って、第1位置と第2位置との間で再搬送路底板61を移動させる揺動手段として機能している。
図16は、再搬送路底板に保持される第2下再送ローラ64と、再搬送路底板61を第1位置で係止したり係止を解除したりする係止解除機構の一部構成とを示す斜視図である。第2下再送ローラ64の回転軸部材64aの軸線方向における両端部にそれぞれ揺動可能に支持されるフック部材65の揺動軸側の端部には、樹脂からなるクッション凸部66が固定されている。このクッション凸部66の機能については後述する。
回転軸部材64aの近傍には、梁板67が回転軸部材64aと並行な姿勢をとるように配設されている。同図のアングルでは、梁板67が棒形状のものとして見えているが、実際には、後述する図21に示されるように、梁板67は薄板状の板金からなるものである。図16において、梁板67の軸線方向の一端は、図中左側のフック部材65の揺動軸側の端部に固定され、且つ、梁板67の軸線方向の他端は、図中右側のフック部材65の揺動軸側の端部に固定されている。このように、2つのフック部材65は、それぞれ揺動軸側の端部が梁板67によって連結されていることで、互いに同じ位相で一体となって揺動するようになっている。梁板67の長手方向の中央部には、操作者が手で押して操作するための樹脂からなる解除操作部69が固定されている。この解除操作部69の役割については後述する。
図14に示されるように、再搬送路底板61の下面には付勢手段としての圧縮スプリング79が固定されており、梁板67の図中右側の端部を鉛直方向下方に向けて付勢している。これにより、図15において、2つのフック部材65にはそれぞれ回転軸部材64aを軸にして図中時計回り方向に回転する力が付与される。但し、梁板67が図示しないストッパーに突き当たっていることで、フック部材65がその自由端側を鉛直方向上方に向けて延在する姿勢でその回転が阻止されている。
操作者は、再搬送路60内でジャムが発生した場合、まず、図4に示されるように、本体筺体50内の給紙カセット100を手前に引っ張りながら、図30に示されるように、本体筐体50の中から取り出す。そして、給紙カセット100を取り出したことによって本体筺体50の外からアクセスすることが可能になった筺体内空間Spの中に手を入れて、図17の太矢印Jで示されるように、解除操作部69を上方に向けて押し上げる。すると、図中の太矢印Kで示されるように、フック部材65が第2下再送ローラ64の回転軸部材64aを軸にして図中反時計回り方向に所定の角度だけ回転して、そのフック部を引っ掛け部62aから離脱させる。これにより、再搬送路底板61は、図中左側の端部の支えを失って、図31に示されるように、図中左側の端部を重力方向下方に向ける姿勢になる第2位置まで傾動して、再搬送路60の内部を大きく露出させる。この露出により、再搬送路60内から容易にジャムシートを取り出すことができる。なお、本プリンタでは、引っ掛け部62a、回転軸部材64a、これに係合するようにフック部材65に設けられた図示しない軸受け、フック部材65などが、再搬送路底板61を第1位置に係止したり係止を解除したりするための係止解除手段として機能している。
解除操作部69については、給紙カセット100を本体筐体50の中から取り出したことによって本体筐体50にできた開口(以下、カセット取り出し開口という)を通じて操作者の目に容易に視認される位置に設けることが望ましい。そして、そのためには、図32に示される給送ローラ35の図中右側方の位置に解除操作部69を設けることが望ましい。ところが、その位置に配設すると、解除操作部69が見えなくなってしまう。具体的には、操作者は、カセット取り出し開口を通じて図中白抜き矢印によって示されるアングルで本体筺体内を見ることになる。ところが、そのアングルからは、解除操作部69が、給送路42を構成するための給送ガイド板42aの約下半分の部分に隠れて見えなくなってしまうのである。なお、同図において、給送ガイド板42aの約下半分の部分は、給送ローラ35を避けるために、給送ローラ35よりも図中手前側の領域、及び奥側の領域に配設されている。
本プリンタでは、カセット取り出し開口を通じて解除操作部69を操作者に視認してもらうために、鉛直方向における再搬送路底板61と、本体筐体50内にセットした給紙カセット100との間のスペースに位置させるように解除操作部69を配設している。より詳しくは、図32に示されるように、第2下再送ローラ64の真下の位置である。そして、このような位置に配設した解除操作部69のカセット取り出し開口からの視認性をより高める狙いで、カセット取り出し開口を通じて視認可能な操作面69aを解除操作部69に設けている。
前述のような位置に配設された解除操作部69の操作面69aとして、ほぼ水平方向に延在する姿勢のものを採用しても、その解除操作部69の操作によってフック部材64aを引っ掛け部62aから離脱させて再搬送路底板61を傾動させることが可能である。しかしながら、この場合、操作者は、給紙カセット100の取り出しによって本体筺体50に生じたカセット取り出し開口を通じて本体筺体50内を覗き込んでも、水平方向に延在する操作面69aを視認することができなくなる。このため、操作面69aを手探りで見つけなくてはならなくなり、操作性が著しく悪化してしまう。また、操作面69aとして、ほぼ垂直方向に延在する姿勢のものを採用すると、操作面69aを手で押した場合には、フック部材64aに回転力を付与することができないことから、フック部材64aを引っ掛け部62aから離脱させることができなくなる。つまり、再搬送路底板61を傾動させることができなくなる。更に、解除操作部69の垂直方向のサイズが大きくなることから、その設置スペースに垂直方向の高さが必要になり、結果としてその分だけ装置を大型化してしまう。
そこで、本プリンタにおいては、図示のように、操作面69aとして、鉛直方向及び水平方向の両方からそれぞれ傾斜させた面を採用している。かかる構成においては、本体筺体50の開口から筺体内を覗き込んだ操作者に対して操作面69aを視認させて良好な操作性を確保しつつ、操作面69aに対する操作によってフック部材64aを引っ掛け部62aから離脱させることができる。なお、操作面69aの鉛直方向からの傾斜角度(図19のβ)としては、15°〜75°を採用することが望ましい。
図17において、解除操作部69の操作により、回転軸部材64aを軸にしてフック部材65を図中反時計回り方向に回転させて引っ掛け部62aから離脱させる方法としては、次の2通りの方法が考えられる。即ち、1つ目の方法は、図18において、梁板67の図中左右方向における全域のうち、回転軸部材64aよりも左側の領域を、図中矢印Qで示されるように、圧縮スプリング(図14の79)の付勢力に抗して手で押し下げる方法である。また、2つ目の方法は、回転軸部材64aよりも右側の領域を、図中矢印Rで示されるように、圧縮スプリングの付勢力に抗して手で押し上げる方法である。
一方、解除操作部69の操作面69aは、視認性を向上させるために、図19に示されるように比較的大きな面積で形成されている。この操作面69aに、給送路60を露出させるために必要な操作方法の手順を付しておくことで、操作者にその手順を理解してもらうことができる。前述した2つの方法のうち、1つ目の方法については、操作面69aそのものを操作してそれを実現することはできない。1つ目の方法を実現するためには、操作者の指先を引っ掛ける指掛かりが必要になるが、操作面69aを指掛かりとして機能させることができないからである。このため、操作面69aから立ち上がる指掛かりを設ける必要があるが、そうすると、操作方法の手順を付すための面積が小さくなることから、手順を説明するための文字列が小さなものになる。結果として、操作視認性を悪化させてしまう。これに対し、2つ目の方法については、操作面69aを押し上げることで実現可能なので、操作面69aに指掛かりを設ける必要がない。解除操作部69の操作面69aに当てた手で解除操作部69を押し上げることで、2つのフック部材65を図中反時計回り方向に回転させて、再搬送路底板61の係止を解除することができるのである。そこで、本プリンタにおいては、図19に示されるように、解除操作部69の設置位置や形状として、2つ目の方法で操作できるものを採用している。かかる構成では、操作面69aの全面に操作方法の手順を付すことができるので、手順を説明するための文字として、大きな文字を用いて、操作視認性を向上させることができる。本プリンタでは、「PUSH」という4文字を操作面69aのほぼ全域を使用して大きく付すことで、操作視認性を向上させている。
解除操作部69を押し上げてフック部材65を図中反時計回りに回転させるためには、操作面69aの少なくとも一部を、回転軸部材64aよりも図中(図18中)の右側に位置させる必要がある。そして、右側に位置させる領域については、できるだけ大きくすることが望ましい。大きくするほど、テコの原理を大きく作用させて、より弱い力で解除操作部69を押し上げることが可能になるからである。本プリンタでは、操作面69aの図中左右方向における全域のうち、半分以上の領域を、回転軸部材64aよりも図中の右側に位置させている。
解除操作部69の梁板67上の長手方向(=記録シートの搬送方向と直交する方向)における設置位置としては、どのような位置を採用することも可能である。但し、2つのフック部材65に対して均等に力を伝えるという観点からすると、図20に示されるように、梁板67の長手方向における中央部に設けることが望ましい。なお、これまで、2つのフック部材65のうち、図20で手前側に位置するフック部材65の揺動の様子について説明してきたが、奥側に位置するフック部材65を奥側から手前側に向けて眺めると、その動きは、図21に示されるようなものになる。
本プリンタにおいては、再搬送路底板61を図22に示されるように第2位置まで傾動させて再搬送路60内のジャムシートを取り除いた後、再搬送路底板61を手で第1位置に戻すことなく、給紙カセット100を本体筺体50内に押し入れることができる。そのために、本体筺体50内に押し込まれていく給紙カセット100の動きに連動して再搬送路底板61を第2位置から第1位置まで持ち上げる連動持ち上げ手段を設けている。この連動持ち上げ手段は、クッション凸部66、アーム70、公転連結部71、回動当接部材72、回動軸73などから構成されている。
長板状のアーム70は、重力方向下側の端部が第2下再送ローラ64の回転軸部材64aに摺動可能に保持されていることで、回転軸部材64aを中心にした公転が可能になっている。アーム70の重力方向上側の端部と、回動当接部材72の重力方向上側の端部とは、互いに公転連結部71によって連結されている。これにより、アーム70は、公転連結部71を中心にした公転も可能になっている。但し、回動当接部材72は、長手方向の中央付近が回転不能な回動軸73の周面上で回動可能に保持されており、公転連結部71を中心にした公転は回動軸73によって阻止される。回動軸73を中心にした回動については許容される。この回動角度に応じて、公転連結部71を中心にしたアーム70の公転角度や、再搬送路底板61の傾動角度が変化する。具体的には、回動当接部材72が図示の状態から回動軸73を中心にして図中反時計回り方向に回転していくにつれて、再搬送路底板61の図中左側の端部が回動当接部材72によってアーム70を介して上方に持ち上げられていく。これに伴って、アーム70は、公転連結部71を中心にして時計回り方向に公転して、鉛直方向真下に向く姿勢に近づいていく。
図22の矢印Tで示されるように、給紙カセット100が本体筺体50内に押し込まれていくと、やがて、給紙カセット100の先端の上端エッジ100aが、回動当接部材72のクッション当接部72aに当接する。そして、この状態で給紙カセット100が更に押し込まれていくと、上端エッジ100aが回動当接部材72に対して図中反時計回り方向への回転力を付与する。そして、回動当接部材72が図中反時計回り方向に回転して再搬送路底板61の図中左側の端部を持ち上げていく。
給紙カセット100が更に押し込まれていくと、回動当接部材72が更に半時計回り方向に回転して再搬送路底板61の図中左側の端部を更に持ち上げて、やがて、フック部材65の上端部が再搬送路上板62の引っ掛け部62aに当接する。フック部材65の上端部にはテーパー65aが形成されている。また、引っ掛け部62aにおけるフック部材65との当接箇所には逆テーパー62a−1が形成されている。フック部材65が自らのテーパー65aを引っ掛け部62aの逆テーパー62a−1に摺動させながら上方に向けて移動することで、フック部材65は引っ掛け部62aに引っ掛かることなく、引っ掛け部62aよりも下方の位置から上方の位置に向けて移動する。
給紙カセット100が更に押し込まれると、図23に示されるように、回動当接部材72のクッション当接部72aが給紙カセット100の側板の上に完全に乗り上げる。乗り上げた直後の状態では、フック部材65は自らのフック部を引っ掛け部62aに完全に引っ掛ける位置まで上昇していない。この状態で給紙カセット100が更に押し込まれると、図24に示されるように、フック部材65に固定されているクッション凸部66が給紙カセット100の上端エッジの上に乗り上げて、フック部材65の更に上昇させる。これにより、フック部材65のフック部が引っ掛け部62aに完全に引っ掛かって、再搬送路底板61が第1位置に係止される。
このように再搬送路底板61が第1位置に係止された状態では、再搬送路上板62の引っ掛け部62aの下面と、再搬送路底板61のストッパー部61aの上端面との間に、2mm〜3mmのギャップGが設けられる。クッション凸部66は、給紙カセット100の上端エッジ100aに乗っているときには、そのギャップGの値をほぼゼロにする位置まで再搬送路底板61の図中左側の端部を持ち上げる。これにより、フック部材65のフック部を引っ掛け部62aに確実に引っ掛けることができる。その後、給紙カセット100が更に押し込まれると、クッション凸部61aが上端エッジ100aの上から離脱してそれよりも僅かに低い給紙カセット側板に乗ることで、ギャップGの値が1mm〜3mmまで拡大する。
給紙カセット100の側板は、図25に示されるように、給紙カセット100の先端側(図中右側)に位置する外側板と、後端側に位置する内側板とで構成され、内側板は外側板よりも内側にずれた位置に存在している。図23における回動当接部材72のクッション当接部72aは、給紙カセット100の外側板の上に乗り上げるようになっており、通常は、外側板よりも内側に存在する内側板に接触することはない。
給紙カセット100の内側板の上端には、切り込み凹部100dが形成されている。この切り込み凹部100dは、給紙カセット100内に存在するサイドフェンス108をシート幅方向(図中矢印W方向)にスライド移動させる際に、操作者にサイドフェンス108を容易に摘んでもらうために設けられたものである。給紙カセット100が本体筺体50内に完全に押し込まれた状態では、図23に示される回動当接部材72が図25に示される給紙カセット100の内側板よりも外側に位置することから、基本的には内側板に接触することはない。ところが、給紙カセット100を本体筺体50内から引き出す際に、衝撃などの突発的な要因により、回動当接部材72の姿勢が一時的に歪んで、内側板の切り込み凹部100dに引っ掛かり、これによって給紙カセット100が引き出せなくなるおそれがある。
そこで、本プリンタでは、図26に示されるように、切り込み凹部100dにおけるカセット引き出し方向上流側の壁に、テーパー100eを設けている。このテーパー100eの表面上で回動当接部材72のクッション当接部72aを摺動させることで、回動当接部材72の切り込み凹部100dの引っ掛かりを阻止する。これにより、回動当接部材72の切り込み凹部100dへの引っ掛かりに起因する給紙カセット100の引き出し不能を回避することができる。
図27は、実施形態に係るプリンタを搭載した複写機に用いられるスキャナ200を示す斜視図である。このスキャナ200は、周知の光学技術により、コンタクトガラス201上に載置された原稿の画像を読み取って、その画像情報を実施形態に係るプリンタに送信する。
次に、実施形態に係るプリンタにおける一部の構成を他の構成に置き換えた変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
給紙カセット100から記録シートSを送り出すための給送ローラ35は、図10に示されるように、給紙カセット35のシート搬送方向と直交する方向(図中矢印B方向)における一部の領域だけにしか設けられていない。給紙カセット35内に収容される記録シートSは、その搬送方向と直交する方向(以下、搬送直交方向という)における中央部だけに給送ローラ35が押し当てられる。このような構成において、最大でA3サイズ紙を縦搬送することが可能な(搬送直交方向におけるシート最大サイズが297mm)比較的大きな機種では、図32に示される給送ガイド板42aを設けないと、ジャムが発生し易くなる。給紙カセットと第1搬送ローラ対41との間で記録シートSを給送ローラ35の周面に沿って良好に湾曲させることができず、第1搬送ローラ対41のローラ間ニップに記録シートSを送り込めないことによるジャムが発生してしまうのである。
しかしながら、本発明者らは実験により、最大搬送サイズがA4サイズ紙の縦搬送である(搬送直交方向におけるシート最大サイズが210mm)比較的小さな機種では、給送ガイド板42aの全体のうち、一部を省略できることが解った。具体的には、給送ガイド板42aの約下半分の部分を省略しても、ジャムを発生させることが殆どなかったのである。A4サイズ紙の縦搬送など、比較的小さな記録シートSを搬送する場合には、搬送直交方向におけるシートの腰の強さがある程度発揮される。このため、記録シートSの搬送直交方向における中央部にしか給送ローラ35を押し当てていなくても、記録シートSの搬送直交方向の全域を給送ローラ35の周面に沿って良好に湾曲させて、記録シートSを良好に前記ニップに送り込むことができるからである。
そこで、変形例に係るプリンタについては、最大搬送サイズがA4サイズ紙の縦搬送という比較的小さなものにしている。そして、図33に示されるように、給送ガイド板42aとして、実施形態に係る給送ガイド板42aの約下半分の部分を省略したものを設け、給送ローラ35の後側(図30における給送ローラの右側方)に解除操作部69を設けている。なお、同図において、点線で描かれているのが、実施形態に係る給送ローラ42aにおける約下半分の部分である。その約下半分の部分を省略したことで、図示しないカセット取り出し開口を通じて、解除操作部69を操作者に容易に視認してもらうことができる。
図34は、変形例に係るプリンタにおける再搬送路上板62及び再搬送路底板61を示す横断面図である。解除操作部69は、図示しないカセット取り出し開口を通じた図中白抜き矢印方向のアングルから、操作者によって容易に視認されることになる。
図35は、再搬送路底板61に保持される第2下再送ローラ64と、再搬送路底板61を第1位置で係止したり係止を解除したりする係止解除機構の一部構成とを示す斜視図である。解除操作部69は、梁板67に片持ち支持されている。その自由端は、梁板67よりもカセット取り出し開口の側に位置している。操作者は、カセット取り出し開口を通じて容易に視認できる解除操作部69の自由端部に手を掛ける。そして、図36に示されるように、その手で解除操作部69を図中矢印方向に押し下げる。かかる構成では、ある程度の重さのある再搬送路底板61を押し上げる構成に比べて、少ない力で再搬送路底板61を第2位置まで移動させて再搬送路60を露出させることができる。
操作者は右利きの人であることが多いことから、本プリンタでは、図37に示されるように、梁板67の長手方向における両端部のうち、カセット取り出し開口に向かい合っている操作者の右手に対向する側の端部に、解除操作部69を固定している。かかる構成により、右利きの操作者の操作性をより向上させることができる。なお、右手に対向する側の端部においてレイアウト上の制約があるなど、何らかの理由により、左手に対向する側の端部に解除操作部69を配設することも、もちろん可能である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、記録シート(例えば記録シートS)に画像を形成する画像形成手段(例えば感光体1やその周囲の電子写真プロセス機器)と、前記画像形成手段を内包する筺体(例えば本体筺体)と、前記筺体内に出し入れ可能に構成され、前記画像形成手段に供給するための記録シートを収容するシート収容手段(例えば給紙カセット100)と、前記シート収容手段から前記画像形成手段に向けて記録シートを給送するための給送路(例えば給送路42と、前記筺体内における前記シート収容手段の上方に配設され、前記画像形成手段によって第1面に画像が形成された記録シートの第2面にも画像を形成すべく、前記記録シートを前記給送路に向けて再搬送するための再搬送路(例えば再搬送路60)とを備える画像形成装置において、前記再搬送路の床における少なくとも一部を形成する再搬送路底板(例えば再搬送路底板61)を揺動させるのに伴って、前記床を形成する第1位置と、前記シート収容手段の取り出しによって前記筺体内に生じた空間に向けて前記再搬送路の内部を露出させる第2位置との間で前記再搬送路底板を移動させる揺動手段を設けるとともに、前記再搬送路底板を前記第1位置に係止したり係止を解除したりするための係止解除手段(例えば、引っ掛け部62a、回転軸部材64a、フック部材65などからなるもの)と、前記係止解除手段に対する係止の解除操作を行うための解除操作部(例えば解除操作部69)とを前記筺体内に設けたことを特徴とするものである。
かかる構成において、操作者は、再搬送路の下に存在するシート収容手段を筺体内から取り出した状態で、再搬送路底板を第1位置から第2位置に移動させて再搬送路の内部を筺体内空間に向けて露出させる。この露出により、再搬送路内のジャムシートを容易に取り出すことができる。
また、作業者は、再搬送路底板を傾動させるにあたり、シート収容手段の取り出しによってアクセス可能になった筺体内空間に手を入れて、再搬送路底板に保持される解除操作部を操作して、第1位置に係止されている再搬送路底板の係止を解除する。このように、筺体内にある解除操作部を操作して再搬送路底板の係止を解除する構成であることから、特許文献1に記載の画像形成装置とは異なり、筺体の外部から筺体内の再搬送路底板の付近に至るまでの領域に渡って延在する長尺のレバー部材を設ける必要がない。これにより、係止解除手段の構成の複雑化を抑えることで、メンテナンス性の悪化を抑えることができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記解除操作部を、前記筺体内の全域のうち、前記シート収容手段の取り出しによって前記筺体に生じた開口を通じて視認可能な領域に設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、筺体内の空間に差し入れた手によって解除操作部を確実に操作することができる。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBにおいて、前記筺体内に固定された固定部材(例えば引っ掛け部b62a)に引っ掛かることで前記再搬送路底板を前記第1位置に係止する揺動可能なフック部材(例えばフック部材65)と、前記フック部材を所定の揺動停止位置に向けて付勢する付勢手段(例えば圧縮スプリング79)とを前記係止解除手段に設けるとともに、前記解除操作部を、前記付勢手段による付勢力に抗して前記フック部材に対して前記揺動停止位置から離れる方向の力を付与するための操作部として構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、フック部材を揺動方向に沿って少しだけ回転移動させるという簡単な操作により、再搬送路底板の係止を解除することができる。
[態様D]
態様Dは、態様Cにおいて、前記解除操作部の押し上げに伴って前記フック部材を前記揺動停止位置から離れる方向に移動させる位置に、前記解除操作部を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、後述する態様Fに比べて、操作者の意図しない解除操作部の誤操作の発生を抑えることができる。
[態様E]
態様Dは、態様Dにおいて、前記解除操作部における作業者の手に触れる操作面(例えば操作面69a)を、鉛直方向及び水平方向からそれぞれ傾けた面にしたことを特徴とするものである。かかる構成では、実施形態に係るプリンタのように、筺体の開口から筺体内を覗き込んだ操作者に対して操作面を視認させて良好な操作性を確保しつつ、操作面に対して確実に操作をすることができる。
[態様F]
態様Fは、態様Cにおいて、前記解除操作部の押し下げに伴って前記フック部材を前記揺動停止位置から離れる方向に移動させる位置に、前記解除操作部を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、態様D、Eに比べて、解除操作部の操作性を向上させることができる。
[態様G]
態様Gは、態様C〜Fの何れかにおいて、前記係止解除手段と前記解除操作部とを、前記再搬送路底板に保持させたことを特徴とするものである。かかる構成では、実施形態に係るプリンタのように、解除操作部を筺体内のシート搬送方向と直交する方向の中央付近に設けても、係止を解いて第1位置から第2位置に傾動しようとする再搬送路底板を解除操作部に引っ掛けてしまうことがない。解除操作部が再搬送路底板と一体となって移動するからである。よって、解除操作部を前述の中央付近に設けて、解除操作部の利便性や視認性を向上させることができる。
[態様H]
態様Hは、態様Gにおいて、前記フック部材を前記固定部材の上端に引っ掛けるようにしたことを特徴とするものである。かかる構成では、再搬送路底板の自重によってフック部材を固定部材の上端に押し付けることで、再搬送路底板を第1位置に確実に係止することができる。
[態様I]
態様Iは、態様G又はHにおいて、前記再搬送路底板を前記第2位置に位置させて前記再搬送路の内部を前記空間に向けて露出させている状態で、前記シート収容手段を前記筺体内に押し込んでいく過程で、前記シート収容手段の動きに連動して前記再搬送路底板を前記第2位置から前記第1位置まで持ち上げる連動持ち上げ手段(例えばクッション凸部66、アーム70、公転連結部71、回動当接部材72、回動軸73などからなるもの)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、再搬送路内のジャム処理を行った後の操作者の作業を簡略化してメンテナンス性を向上させることができる。
[態様J]
態様Jは、画像を形成する画像形成装置と、原稿の画像を読み取る画像読取装置とを備える複写機において、前記画像形成装置として、請求項A〜Eの何れかの画像形成装置を用いたことを特徴とするものである。
1:感光体(画像形成手段の一部)
2:クリーニングブレード(画像形成手段の一部)
3:回収スクリュウ(画像形成手段の一部)
4:帯電ローラ(画像形成手段の一部)
7:潜像書込装置(画像形成手段の一部)
8:現像装置(画像形成手段の一部)
9:トナーカートリッジ(画像形成手段の一部)
10:転写ローラ(画像形成手段の一部)
35:給送ローラ
42:給紙路
50:本体筺体(筺体)
60:再搬送路
61:再搬送路底板
62a:引っ掛け部(係止解除手段の一部)
64a:回転軸部材(係止解除手段の一部)
65:フック部材(係止解除手段の一部)
66:クッション凸部(連動持ち上げ手段の一部)
69:解除操作部
69a:操作面
70:アーム(連動持ち上げ手段の一部)
71:公転連結部(連動持ち上げ手段の一部)
72:回動当接部材(連動持ち上げ手段の一部)
73:回動軸(連動持ち上げ手段の一部)
79:圧縮スプリング(付勢手段)
100:給紙カセット(シート収容手段)
S:記録シート
特開2012−168413号公報

Claims (10)

  1. 記録シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段を内包する筺体と、前記筺体内に出し入れ可能に構成され、前記画像形成手段に供給するための記録シートを収容するシート収容手段と、前記シート収容手段から前記画像形成手段に向けて記録シートを給送するための給送路と、前記筺体内における前記シート収容手段の上方に配設され、前記画像形成手段によって第1面に画像が形成された記録シートの第2面にも画像を形成すべく、前記記録シートを前記給送路に向けて再搬送するための再搬送路とを備える画像形成装置において、
    前記再搬送路の床における少なくとも一部を形成する再搬送路底板を揺動させるのに伴って、前記床を形成する第1位置と、前記シート収容手段の取り出しによって前記筺体内に生じた空間に向けて前記再搬送路の内部を露出させる第2位置との間で前記再搬送路底板を移動させる揺動手段を設けるとともに、
    前記再搬送路底板を前記第1位置に係止したり係止を解除したりするための係止解除手段と、前記係止解除手段に対する係止の解除操作を行うための解除操作部とを前記筺体内に設けたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    前記解除操作部を、前記筺体内の全域のうち、前記シート収容手段の取り出しによって前記筺体に生じた開口を通じて視認可能な領域に設けたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2の画像形成装置において、
    前記筺体内に固定された固定部材に引っ掛かることで前記再搬送路底板を前記第1位置に係止する揺動可能なフック部材と、前記フック部材を所定の揺動停止位置に向けて付勢する付勢手段とを前記係止解除手段に設けるとともに、
    前記解除操作部を、前記付勢手段による付勢力に抗して前記フック部材に対して前記揺動停止位置から離れる方向の力を付与するための操作部として構成したことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3の画像形成装置において、
    前記解除操作部の押し上げに伴って前記フック部材を前記揺動停止位置から離れる方向に移動させる位置に、前記解除操作部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4の画像形成装置において、
    前記解除操作部における作業者の手に触れる操作面を、鉛直方向及び水平方向からそれぞれ傾けた面にしたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項3の画像形成装置において、
    前記解除操作部の押し下げに伴って前記フック部材を前記揺動停止位置から離れる方向に移動させる位置に、前記解除操作部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項3乃至6の何れかの画像形成装置において、
    前記係止解除手段と前記解除操作部とを、前記再搬送路底板に保持させたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、
    前記フック部材を前記固定部材の上端に引っ掛けるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項7又は8の画像形成装置において、
    前記再搬送路底板を前記第2位置に位置させて前記再搬送路の内部を前記空間に向けて露出させている状態で、前記シート収容手段を前記筺体内に押し込んでいく過程で、前記シート収容手段の動きに連動して前記再搬送路底板を前記第2位置から前記第1位置まで持ち上げる連動持ち上げ手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  10. 画像を形成する画像形成装置と、原稿の画像を読み取る画像読取装置とを備える複写機において、
    前記画像形成装置として、請求項1乃至9の何れかの画像形成装置を用いたことを特徴とする複写機。
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