JP2015129708A - 高分子材料解析方法 - Google Patents

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【課題】簡便に、高分子材料中に含まれる無機化合物や高分子材料中で反応により生成した無機化合物の構造解析や同定が可能な高分子材料解析方法を提供する。【解決手段】高分子材料に高輝度X線を照射して、X線散乱測定又はX線回折測定と、X線吸収量測定とを同一の光学配置でサンプルの交換を経ることなく実施し、該高分子化合物に環境変化を与えながら、該高分子材料中に含まれる無機化合物及び/又は該高分子材料中で反応により生成した無機化合物を解析する高分子材料解析方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、無機化合物を含む高分子材料の解析方法に関する。
高速液体クロマトグラフィー法(High Performance Liquid Chromatography: HPLC法)や、X線吸収量法としてのX線吸収微細構造法(X−ray Absorption Fine Structure: XAFS法)などを用いてゴム中の反応を調べる手法が提案されている。また、X線散乱法(SAXS法等)により高分子材料中の凝集体の構造を調べたり、X線回折法(WAXD法等)により高分子材料中の無機化合物の構造サイズを調べる手法も知られている。
しかし、HPLC法では、反応している高分子材料の反応を止めた後に測定を行う、いわゆるex−situ測定しかできないため、反応を止める過程でも何らかの反応が起こってしまう可能性がある。また、その移動相に高分子材料を溶解させた際に、検出目的物質が分解してしまう可能性があり、検出ができなくなる可能性もある。
こうした問題を解決するためXAFS法を用いて、加熱反応過程中の無機化合物の同定が行われているが、化合物中の無機化合物の凝集構造状態や構造サイズも高分子材料中の加熱反応には重要な役割を果たしている。そのため、X線散乱法やX線回折法を用いて、更に高分子材料中の無機化合物の凝集状態や構造サイズを調べることも考えられる。
しかしながら、このような手法は、それぞれの測定を別途測定するものであるため、多大な時間・費用を要する。更に、それぞれの測定用にサンプルを用意する必要もあり、サンプル作成における誤差に起因する再現性の低下、サンプル作成にかかる時間・費用の発生という問題もある。
本発明は、前記課題を解決し、簡便に、高分子材料中に含まれる無機化合物や高分子材料中で反応により生成した無機化合物の構造解析や同定が可能な高分子材料解析方法を提供することを目的とする。
本発明は、高分子材料に高輝度X線を照射して、X線散乱測定又はX線回折測定と、X線吸収量測定とを同一の光学配置でサンプルの交換を経ることなく実施し、該高分子化合物に環境変化を与えながら、該高分子材料中に含まれる無機化合物及び/又は該高分子材料中で反応により生成した無機化合物を解析する高分子材料解析方法に関する。
前記高分子材料解析方法では、前記無機化合物の構造を解析すること、前記無機化合物の定性解析及び定量解析を行うこと、前記無機化合物の大きさと量を同時に解析することが好ましい。
前記高輝度X線を走査しながら、前記X線散乱測定又は前記X線回折測定と、前記X線吸収量測定とを連続測定することが好ましい。
前記X線散乱測定又は前記X線回折測定と、前記X線吸収量測定とを連続して複数サイクル繰り返すことが好ましい。
前記高分子材料は、ジエン系ゴム及び無機化合物を含む複合材料であることが好ましい。
前記X線散乱測定が小角X線散乱測定(SAXS)、前記X線回折測定が広角X線回折測定(WAXD)、前記X線吸収量測定が吸収端近傍X線吸収微細構造測定(XAFS)であることが好ましい。
前記高輝度X線は、光子数が10photons/s以上、輝度が1010photons/s/mrad/mm/0.1%bw以上であることが好ましい。
本発明によれば、高分子材料に高輝度X線を照射して、X線散乱測定又はX線回折測定と、X線吸収量測定とを同一光学配置でサンプルの交換を経ることなく実施し、該高分子化合物に環境変化を与えながら、該高分子材料中に含まれる無機化合物及び/又は該高分子材料中で反応により生成した無機化合物を解析する高分子材料解析方法であるので、簡便に、高分子材料中の無機化合物由来の構造解析や無機化合物の同定が可能である。
本発明の高分子材料解析方法は、高分子材料に高輝度X線を照射して、X線散乱測定又はX線回折測定と、X線吸収量測定とを同一の光学配置でサンプルの交換を経ることなく実施し、該高分子化合物に環境変化を与えながら、該高分子材料中に含まれる無機化合物及び/又は該高分子材料中で反応により生成した無機化合物を解析する方法である。
本発明では、高輝度X線を用いて、SAXS法等のX線散乱測定、WAXD法等のX線回折測定を実施することで、高分子材料中に含まれる無機化合物や材料の加熱反応過程中に生成した無機化合物の凝集構造状態や、無機化合物由来の構造(当該構造の大きさ(サイズ)や含有量)を調べられる。また、XAFS法等のX線吸収量測定を実施することで、このような無機化合物の同定も可能になる。更に、高輝度X線を用いているので、ハッチの開閉やサンプルの交換を経ることなく、同一の光学配置に載置された同一の高分子材料(同一のサンプル)を、環境変化を加えながら(加熱しながら・延伸しながら等)、連続的に、X線散乱測定、X線吸収量測定に供することが可能となる。そのため、測定時間や費用を低減でき、また、各測定で別途サンプルを用意する必要がないため、別サンプルに起因する再現性の低下、サンプル作製の時間や費用の低減も可能となる。従って、本発明によれば、非常に簡便に、高分子材料中の無機化合物由来の構造解析や同定が可能となる。
本発明に供する高分子材料としては特に限定されず、従来公知のものを使用でき、例えば、1種類以上のジエン系ゴム、無機化合物などを含む材料が挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などが挙げられる。
無機化合物としては特に限定されず、酸化亜鉛等の亜鉛含有化合物;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、アタパルジャイト、酸化アルミニウムマグネシウム、二酸化ケイ素、チタン白、チタン黒等の充填剤;等が挙げられる。
上記高分子材料は、ゴム工業分野で汎用されている他の配合剤(シランカップリング剤、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、ワックス、加硫剤、加硫促進剤、架橋剤など)を含むものでもよい。このような高分子材料は、公知の混練方法などを用いて製造できる。該高分子材料としては、タイヤ用ゴム材料として使用されるもの等が挙げられる。
XAFS(X−ray Absorption Fine Structure:吸収端近傍X線吸収微細構造)法等のX線吸収量測定には、X線エネルギーで走査するため光源には連続X線発生装置が必要であり、詳細な化学状態を解析するには高いS/N比及びS/B比のX線吸収スペクトルを測定する必要がある。また、SAXS(Small−Angle X−ray Scattering:小角X線散乱)法等のX線散乱測定、WAXD(Wide−Angle X−ray Diffraction:広角X線回折)法等のX線回折測定と、XAFS法等のX線吸収量測定とを連続測定するためには、1サイクルに必要な測定時間を短くすることが必要であり、そのためには、高輝度X線が必要である。シンクロトロンや直線加速器から放射されるX線は、少なくとも1010(photons/s/mrad/mm/0.1%bw)以上の輝度を有し、且つ連続X線源であるため、XAFS測定等には最適である。尚、bwはシンクロトロンから放射されるX線のband widthを示す。
上記高輝度X線の輝度(photons/s/mrad/mm/0.1%bw)は、好ましくは1010以上、より好ましくは1011以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。
また、上記高輝度X線の光子数(photons/s)は、好ましくは10以上、より好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。
上記高輝度X線を用いて走査するエネルギー範囲は、解析する無機化合物の元素の吸収端に対応させて適宜設定すれば良い。例えば、亜鉛化合物を解析する場合は、9000〜11000eVを採用できる。
X線散乱(SAXS法等)を測定する際のX線エネルギーは、配合される化合物による異常分散効果の影響を受けない範囲に限定され、具体的には、以下の(式1)中の異常分散項の実部f’(E)が−2以下の範囲が好適である。この範囲外のX線エネルギーでX線散乱を測定すると、配合されている亜鉛等の化合物による異常分散効果のため、正確な散乱パターンを得ることができない。
X線回折(WAXD法等)を測定する際のX線エネルギー範囲は、解析する無機化合物の元素の吸収端に対応させて適宜設定すれば良い。例えば、亜鉛化合物を解析する場合は、9000eV以下10500eV以上を採用できる。
X線吸収量測定(XAFS法等)を行う際に、X線で走査するエネルギー範囲は配合されている無機化合物のうち、同定を行いたい無機化合物のK殻の吸収端を含むことが望ましく、具体的には、以下の(式1)中の異常分散項の実部f’(E)が−2以上の範囲が好適である。この範囲外であると、無機化合物のK殻の吸収端を走査することができず、上記高分子材料中の化合物を同定することができない。
Figure 2015129708
XAFSの測定方法には次の3つの方法が代表的に用いられている。本発明の実施例では、透過法を用いて実施したが、これに限定されるものではなく、様々な検出方法を用いてもよく、組み合わせて同時計測してもよい。
(透過法)
試料を透過してきたX線強度を検出する方法である。透過光強度測定には、フォトダイオードアレイ検出器などが用いられる。
(蛍光法)
試料にX線を照射した際に発生する蛍光X線を検出する方法である。検出器は、Lytle検出器、半導体検出器などがある。前記透過法の場合、試料中の含有量が少ない元素のX線吸収測定を行うと、シグナルが小さい上に含有量の多い元素のX線吸収によりバックグラウンドが高くなるためS/B比の悪いスペクトルとなる。それに対し蛍光法(特にエネルギー分散型検出器などを用いた場合)では、目的とする元素からの蛍光X線のみを測定することが可能であるため、含有量が多い元素の影響が少ない。そのため、含有量が少ない元素のX線吸収スペクトル測定を行う場合に有効的である。また、蛍光X線は透過力が強い(物質との相互作用が小さい)ため、試料内部で発生した蛍光X線を検出することが可能となる。そのため、本手法は透過法に次いでバルク情報を得る方法として最適である。
(電子収量法)
試料にX線を照射した際に流れる電流を検出する方法である。そのため試料が導電物質である必要がある。高分子材料は絶縁物であるため、今まで高分子材料のX線吸収測定は、蒸着やスピンコートなどによって試料をごく薄く基板に乗せた物を用いることがほとんどだったが、本発明では、ゴム材料をミクロトームで100μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは500nm以下に加工(カット)することでS/B比及びS/N比の高い測定を実現できる。
X線散乱測定(SAXS)、X線回折測定(WAXD)において、高分子材料中の亜鉛化合物等の無機化合物の凝集状態や構造を評価する方法は特に限定されない。ここで、高輝度X線を用いて、下記(式2)で表される散乱ベクトルqが10nm−1以下であること、回折ベクトルqが1〜40nm−1であることが望ましい。
Figure 2015129708
SAXS測定で散乱するX線、WAXD測定で回折するX線は、X線検出装置によって検出され、該X線検出装置からのX線検出データを用いて画像処理装置などによって画像が生成される。
X線検出装置としては、例えば、2次元検出器(X線フィルム、原子核乾板、X線撮像管、X線蛍光増倍管、X線イメージインテンシファイア、X線用イメージングプレート、X線用CCD、X線用非晶質体など)、ラインセンサー1次元検出器を使用できる。分析対象となる高分子材料の種類や状態などにより、適宜X線検出装置を選択すればよい。
画像処理装置としては、X線検出装置によるX線検出データに基づき、通常のX線散乱画像を生成できるものを適宜使用できる。
XAFS法等のX線吸収量測定、SAXS等のX線散乱測定、WAXD法等のX線回折測定は、材料を加熱しながら、延伸しながら等、材料に環境変化を加えながら行われる。
高分子材料のX線散乱測定(SAXS)で得られた散乱強度曲線、X線回折測定(WAXD)で得られた回折強度曲線の解析について具体的に説明する。
X線散乱測定により、高分子材料中の亜鉛化合物等の無機化合物の凝集状態を評価する方法としては、X線散乱測定により得られた散乱強度曲線I(q)に対し、下記(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgを用いて評価する方法が好ましい。
Figure 2015129708
X線回折測定により、高分子材料中の亜鉛化合物等の無機化合物の構造サイズを評価する方法としては、X線回折測定により得られた回折強度曲線I(q)に対し、1つ以上のローレンツ関数と呼ばれる(式4)又はガウス関数と呼ばれる(式5)でピークフィッティングして得られるqを用いて(式6)から評価する方法が好ましい。
Figure 2015129708
本発明は、前記のようなX線散乱測定又はX線回折測定と、X線吸収量測定とを連続して実施する方法、より具体的には、SAXS・XAFS・SAXS測定やWAXD・XAFS・WAXD測定等の1サイクルとし、複数サイクル繰り返し実施する方法が好ましい。詳細には、未加硫サンプルをセットし、加熱セルを所定の昇温速度で昇温した後、所定温度で加熱し続ける過程において、SAXS測定又はWAXD測定と、XAFS測定とを繰り返し実施する方法が挙げられる。
前記のとおり、XAFS法等でX線吸収量測定をすることで、高分子材料に含まれる無機化合物や反応により生成した無機化合物の同定できるとともに、SAXS等のX線散乱測定やWAXD等のX線回折測定をすることで、高分子材料に含まれる無機化合物や反応により生成した無機化合物の構造体サイズや凝集体サイズを測定でき、無機化合物由来の構造解析が可能となる。よって、本発明の方法によれば、高分子材料中の無機化合物由来の構造と同定を非常に簡便に実施でき、無機化合物の構造解析、定性解析、定量解析を実施したり、その大きさや含有量も解析できる。更に、同一サンプルを用いる手法であるので、サンプル間の誤差の防止も可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
(使用試薬)
イソプレンゴム(IR):ニッポールIR 2200,日本ゼオン(株)製
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(サンプルの作製)
表1、2に示す配合処方にしたがい、バンバリー混練機及びロール混練機にて混練し、未加硫サンプルを作製した。
得られた未加硫サンプルについて、以下のように、SAXS測定、WAXD測定、XAFS測定により、サンプル中の亜鉛化合物の構造サイズやその量の解析、同定を実施した。
<評価方法1>
50℃に設定した加熱セルの中に未加硫のサンプルを入れてこれを固定し、測定位置にセットした。そして、加熱セルを30℃/minで170℃まで昇温した後、170℃(一定)で1時間加熱し続けた。なお、XAFS測定、SAXS測定は、昇温開始直後より開始し、加熱終了後まで続けられた。その測定は、SAXS・XAFS・SAXS測定を1サイクルとし、1サイクルは1分で行われ、この加熱過程中、連続して、繰り返し64サイクル実施された。
<評価方法2>
50℃に設定した加熱セルの中に未加硫のサンプルを入れてこれを固定し、測定位置にセットした。そして、加熱セルを30℃/minで170℃まで昇温した後、170℃(一定)で1時間加熱し続けた。なお、XAFS測定、WAXD測定は、昇温開始直後より開始し、加熱終了後まで続けられた。その測定は、WAXD・XAFS・WAXD測定を1サイクルとし、1サイクルは1分で行われ、この加熱過程中、連続して、繰り返し64サイクル実施された。
<使用装置>
XAFS、SAXS、WAXD:財団法人高輝度光科学研究センター所有の大型放射光施設SPring−8 BL08B2に付属の測定装置
加熱セル:リンカム社製CSS−450
(測定条件)
X線の輝度:1016photons/s/mrad/mm/0.1%bw以上
X線の光子数:10photons/s
<反応分析>
評価方法1、2において、高輝度X線のエネルギーを9000〜10500eVの範囲で走査し、亜鉛原子のK殻吸収端及び広域の振動成分スペクトルを測定した。これをXANES(X−ray Absorption Near Edge Structure:X線吸収端近傍構造)と呼ばれる領域である、9600〜9700eVと、EXAFS(Extended X−ray Absorption Fine Structure:広域X線吸収微細構造)と呼ばれる、9700〜10500eVの範囲とに分離した。そして、XANESは亜鉛化合物の標準試料スペクトルを用いることで、EXAFSは、得られる振動成分をフーリエ変換することで得られる亜鉛を含む結合の結合間距離を用いることで、サンプル中に含まれる亜鉛化合物の物質量比を導出した。
<亜鉛化合物の凝集体分析>
評価方法1において、高輝度X線のエネルギーがXAFS測定前後の9000eV及び10500eVの際にSAXS測定は実施された。適切なバックグラウンド処理を行った後、上記(式3)を用いてフィッティングを行い、Rgを導出することで、亜鉛化合物の凝集体サイズを導出した。
<亜鉛化合物の構造サイズ分析>
評価方法2において、高輝度X線のエネルギーがXAFS測定前後の9000eV及び10500eVの際にWAXD測定は実施された。適切なバックグラウンド処理を行った後、上記(式4)、(式5)を用いてカーブフィッティングを行い、(式6)からdを導出することで、亜鉛化合物の構造体サイズを導出した。
Figure 2015129708
Figure 2015129708
表1−2に示されているとおり、SAXS・XAFSの同時測定、WAXD・XAFSの同時測定の実施例によれば、SAXS測定又はWAXD測定のみやXAFS測定のみの比較例では不可能な、亜鉛化合物の構造サイズとその量、更には、亜鉛化合物の同定が可能になることが明らかとなった。
なお、本実験結果では、亜鉛化合物の事例を挙げたが、これに限定されるものでなく、その他の無機化合物でも利用可能であった。

Claims (9)

  1. 高分子材料に高輝度X線を照射して、X線散乱測定又はX線回折測定と、X線吸収量測定とを同一の光学配置でサンプルの交換を経ることなく実施し、該高分子化合物に環境変化を与えながら、該高分子材料中に含まれる無機化合物及び/又は該高分子材料中で反応により生成した無機化合物を解析する高分子材料解析方法。
  2. 前記無機化合物の構造を解析する請求項1記載の高分子材料解析方法。
  3. 前記無機化合物の定性解析及び定量解析を行う請求項1又は2記載の高分子材料解析方法。
  4. 前記無機化合物の大きさと量を同時に解析する請求項1〜3のいずれかに記載の高分子材料解析方法。
  5. 前記高輝度X線を走査しながら、前記X線散乱測定又は前記X線回折測定と、前記X線吸収量測定とを連続測定する請求項1〜4のいずれかに記載の高分子材料解析方法。
  6. 前記X線散乱測定又は前記X線回折測定と、前記X線吸収量測定とを連続して複数サイクル繰り返す請求項1〜5のいずれかに記載の高分子材料解析方法。
  7. 前記高分子材料がジエン系ゴム及び無機化合物を含む複合材料である請求項1〜6のいずれかに記載の高分子材料解析方法。
  8. 前記X線散乱測定が小角X線散乱測定(SAXS)、前記X線回折測定が広角X線回折測定(WAXD)、前記X線吸収量測定が吸収端近傍X線吸収微細構造測定(XAFS)である請求項1〜7のいずれかに記載の高分子材料解析方法。
  9. 前記高輝度X線は、光子数が10photons/s以上、輝度が1010photons/s/mrad/mm/0.1%bw以上である請求項1〜8のいずれかに記載の高分子材料解析方法。
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