JP6348295B2 - 硫黄の化学状態を調べる方法 - Google Patents

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本発明は、硫黄が不均一に存在する高分子材料等、各種高分子材料における硫黄の化学状態を調べる方法に関する。
イオウ架橋ジエン系ゴムなど、硫黄を含有する高分子材料の劣化による化学状態の変化を評価するために、一般的にSwell(膨潤試験)などの物性試験や赤外分光法(FT−IR)などの方法が用いられている。
Swell試験は、イオウ架橋高分子材料をトルエンなどで膨潤させ、網目鎖密度を求める方法で、全体の変化を見ているため、イオウ架橋部分のみを評価できない。FT−IR法では、C=OやOHなどの官能基の検出は可能であるが、S−S結合の感度が低い。
更に特許文献1には、高分子材料に照射したX線の吸収量を測定し、高分子の劣化状態を解析する劣化解析方法として、酸素原子のK殻吸収端の全ピーク面積から、高分子材料に酸素やオゾンなどが結合した量を求める手法が提案されている。しかし、この手法でも、イオウ架橋部分のみを評価することは難しい。
特開2012−141278号公報
本発明は、前記課題を解決し、硫黄が不均一に存在する高分子材料等、各種高分子材料中の硫黄の化学状態について、精度の高い情報が得られる評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、硫黄含有高分子材料に、ビームサイズ垂直500μm×水平500μm以下のX線を照射し、X線のエネルギーを変えながらX線吸収量を測定することにより、硫黄の化学状態を調べる方法に関する。
前記硫黄含有高分子材料は、硫黄が不均一に存在するものであることが好ましい。
前記X線を用いて走査するエネルギー範囲を2300〜4000eV及び/又は100〜280eVとすることで、硫黄K殻吸収端付近及び/又は硫黄L殻吸収端付近の硫黄のX線吸収量を測定することが好ましい。
前記X線は、光子数が10photons/s以上、輝度が1010photons/s/mrad/mm/0.1%bw以上であることが好ましい。
本発明によれば、硫黄含有高分子材料に、ビームサイズ垂直500μm×水平500μm以下のX線を照射し、X線のエネルギーを変えながらX線吸収量を測定することにより、硫黄の化学状態を調べる方法であるので、当該材料中の硫黄の化学状態について、精度の高い情報を得ることが可能となる。
硫黄が均一に存在するサンプル全体にX線を照射する状態を示す概略図 硫黄が不均一に存在するサンプル全体にX線を照射する状態を示す概略図 硫黄が均一に存在するサンプル全体にビームサイズが大きいX線を照射する状態を示す概略図 硫黄が不均一に存在するサンプルの所定箇所にビームサイズが小さいX線を照射する状態を示す概略図 種々の硫黄濃度の部位におけるX線吸収スペクトル(規格化前) 種々の硫黄濃度の部位におけるX線吸収スペクトル(規格化後) 異なるビームサイズによるX線吸収スペクトル(規格化後) 種々のビームサイズのX線を照射して得られた硫黄K殻吸収端近傍の硫黄架橋ゴムの各XAFSスペクトル
本発明は、硫黄が不均一に存在する硫黄含有高分子材料等、各種硫黄含有高分子材料に、ビームサイズ垂直500μm×水平500μm以下のX線を照射し、X線のエネルギーを変えながらX線吸収量を測定することにより、硫黄の化学状態を調べる方法である。
硫黄加硫剤等の硫黄含有化合物を用いたゴム材料をはじめとする硫黄を含有する高分子複合材料の化学状態を調べる方法として、硫黄K吸収端におけるXAFS(X−ray Absorption Fine Structure)法等があり、通常XAFS法には、以下のような透過法、蛍光法、電子収量法などが汎用されている。
(透過法)
試料を透過してきたX線強度を検出する方法である。透過光強度測定には、フォトダイオードアレイ検出器などが用いられる。
(蛍光法)
試料にX線を照射した際に発生する蛍光X線を検出する方法である。検出器は、Lytle検出器、半導体検出器などがある。前記透過法の場合、試料中の含有量が少ない元素のX線吸収測定を行うと、シグナルが小さい上に含有量の多い元素のX線吸収によりバックグラウンドが高くなるためS/B比の悪いスペクトルとなる。それに対し蛍光法(特にエネルギー分散型検出器などを用いた場合)では、目的とする元素からの蛍光X線のみを測定することが可能であるため、含有量が多い元素の影響が少ない。そのため、含有量が少ない元素のX線吸収スペクトル測定を行う場合に有効的である。また、蛍光X線は透過力が強い(物質との相互作用が小さい)ため、試料内部で発生した蛍光X線を検出することが可能となる。そのため、本手法は透過法に次いでバルク情報を得る方法として最適である。
(電子収量法)
試料にX線を照射した際に流れる電流を検出する方法である。そのため試料が導電物質である必要がある。また、表面敏感(試料表面の数nm程度の情報)であるという特徴もある。試料にX線を照射すると元素から電子が脱出するが、電子は物質との相互作用が強いため、物質中での平均自由行程が短い。
このように、透過法は、XAFSの基本的な測定方法で、入射光強度と試料を透過したX線強度を検出してX線吸収量を測定する方法であるため、試料のバルク情報が得られ、対象化合物が一定以上の濃度(例えば、数wt%以上)でなければ測定が困難という特徴がある。電子収量法は、表面敏感な方法であり、試料表面の数十nm程度の情報が得られる。一方、蛍光法は、電子収量法に比べて表面からある程度深い部分からの情報が得られるという特徴と、対象化合物濃度が低くても測定できるという特徴がある。
XAFS法は、X線を照射し、狙った原子におけるX線吸収量を測定する方法で、化学状態(結合)の違いによって吸収できるX線エネルギーが異なるので、詳細な化学状態を調べる方法として有効な方法である。しかし、ゴム中の硫黄架橋は、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、ポリスルフィド結合で、硫黄の結合長さが異なり、スペクトルで検出されるピークエネルギーが近い。また、酸化亜鉛の配合によって、硫化亜鉛も生成される。このように、ゴム中の硫黄の化学状態は複雑であるため、硫黄や硫化亜鉛等の他成分が存在しない化合物のXAFSスペクトルと比較すると、ブロードなスペクトルになる。従って、他の成分を含む材料において、高精度な測定をすることは一般に難しい。
XAFS測定は、全てのX線が照射される箇所(ビームサイズ)の平均した吸収量が得られる。そのため、例えば、図1左図のように硫黄が均一に存在する試料の場合、試料を透過する光の強度が均一になる(つまりX線吸収量も均一になる)ため、正しい情報を得ることが可能である。しかし、ゴムをはじめとする高分子複合材料において、硫黄を十分に拡散させることは困難であるため、通常、硫黄は不均一な状態で存在する。従って、一般に、図2左図のように、照射場所によって試料を透過する光の強度が不均一になる(つまりX線吸収量も不均一になる)ため、スペクトルがブロードになる。そして、XAFSスペクトルがブロードになると、各化学状態に対応するピークの分離が難しく、精度の高い情報を得ることが難しい。
そこで、本発明は、試料に照射されるX線の箇所(ビームサイズ)を小さくすることで、均一な硫黄の化学状態を測定し、精度のよいスペクトルが得られる評価方法である。詳細には、図3のように、ビームサイズが大きいと、硫黄が不均一に存在することに起因して、照射場所によりX線吸収量が異なるものとなり、精度の良いスペクトルを得ることが難しい。これに対し、図4のように、ビームサイズを小さくすると、照射場所が違ってもX線吸収量が同程度になるため、精度の良いスペクトルを得ることができる。
より詳細に説明すると、先ず、透過法の場合、入射X線強度をI0、透過X線強度をIとすると、下記式(1)が成立し、これによれば、μt=μρtが成立することになる。
Figure 0006348295
そして、図1右図のように硫黄が均一に存在する状態の硫黄濃度を濃度1、図2右図のように硫黄が不均一に存在する状態の硫黄濃度が薄い箇所、濃い箇所の濃度をそれぞれ濃度2、濃度3とする場合、例えば、μ(線吸収係数)と試料厚みt(cm)を乗じたμt(=μρt)<3の関係を満たすことが好ましく、より好ましくはμt<2、更に好ましくは0.5<μt<2、特に好ましくは1<μt<2である。これにより、正確な測定が可能となる。通常のゴム中の硫黄配合量なら、μt<2になり、濃度1、濃度2の箇所はμt<2を満たす一方で、濃度3の箇所は硫黄が分散しておらず、塊で存在するイメージの箇所でμt>2となるため、正確な測定が困難になる。従って、μt=μρt<2になるように測定する元素量(ここでは、硫黄量)を決定すればよい。
前記式(1)は、測定する元素が充分均一になっていることを前提として成立するものであるが、ゴム試料などの場合、硫黄を充分に分散させることは難しく、通常、図2のように不均一になっていると考えられる。そのため、ビームサイズが大きいと、下記式(2)となり、後述の図8のビームサイズが垂直1mm×水平2mmのスペクトルのように2470eV付近のピークがつぶれたような形になるので、精度の高い結果が得られない。
Figure 0006348295
なお、蛍光法は、前記式(1)とは少し式が異なるが、通常、式(1)から適切な量を見積もることができる。
具体的には、先ず、濃度1、濃度2、濃度3の各箇所を測定すると、図5のようなX線吸収量(規格化前)が得られ、次いで、特開2012−141278号公報に記載の方法で規格化することで、図6のように、濃度1と濃度2の箇所でほぼ同形状のスペクトルが得られる。このように、硫黄濃度が不均一な試料でも、図4のようにビームサイズを小さくし、濃度2の箇所を照射することにより、濃度1で均一に存在する試料に大きなビームサイズで全体に照射する場合とX線吸収量が同程度になり、正確な測定が可能になる。
一方、濃度3は硫黄濃度が濃すぎることに起因して、X線吸収量と検出できるシグナルの直線性が失われ、正しく検出されないという現象が起こり、特に2470eV付近のピーク(S−S結合のピーク)は吸収が強すぎて、正しく検出されず、図6のように、スペクトルを規格化した時にピークが小さくなる。これは、S−S結合の割合が小さく検出されていることを意味するため、精度の悪いスペクトルになる。
以上により、硫黄濃度が不均一な試料に対し、図3、図4のように、互いに異なるビームサイズで照射すると、図7に示すとおり、ビームサイズが小さい図4のケースの方が、大きい図3のケースに比べ、精度の良いX線吸収スペクトルが得られる。従って、ビームサイズを小さく調整する本発明の方法によれば、硫黄が不均一に存在する高分子材料であっても、高精度のXAFSスペクトルが得ることが可能となる。
本発明の方法に供される硫黄含有高分子材料としては、硫黄を含む高分子材料であれば特に限定されず、例えば、従来公知の硫黄含有ゴム組成物を使用でき、例えば、硫黄加硫剤等の硫黄含有化合物、ゴム成分、他の配合材料を含むゴム組成物などが挙げられる。なお、硫黄含有高分子材料において、硫黄の存在状態は限定されず、不均一に存在するものにも好適に適用可能である。
硫黄含有化合物としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄加硫剤等が挙げられる。
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などのジエン系ゴムなどが挙げられる。また、ゴム成分は、水酸基、アミノ基などの変性基を1つ以上含むものでもよい。
更にゴム成分としては、前記ゴム成分と1種類以上の樹脂とが複合された複合材料も使用できる。上記樹脂としては特に限定されず、例えば、ゴム工業分野で汎用されているものが挙げられ、例えば、C5系脂肪族石油樹脂、シクロペンタジエン系石油樹脂などの石油樹脂が挙げられる。
硫黄含有高分子材料には、カーボンブラック、シリカなどの充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、オイル、硫黄以外の加硫剤、加硫促進剤等、従来公知のゴム分野の配合物を適宜配合してもよい。このようなゴム材料(ゴム組成物)は、公知の混練方法などを用いて製造される。このようなゴム材料としては、例えば、タイヤ用ゴム材料(タイヤ用ゴム組成物)などが挙げられる。
本発明は、硫黄が不均一に硫黄含有高分子材料等、各種硫黄含有高分子材料に、ビームサイズ垂直500μm×水平500μm以下のX線を照射し、X線のエネルギーを変えながらX線吸収量を測定することで、硫黄の化学状態を調べる方法であり、例えば、XAFS(X−ray Absorption Fine Structure:吸収端近傍X線吸収微細構造)測定の実施により、X線吸収量を測定できる。
XAFSは、一般的に、吸収端(吸収が立ち上がるエネルギー)から50eV位までのピークが出現する領域をXANES(X−ray Absorption Near Edge Structure)領域、それよりも高エネルギーの緩やかな振動成分が出現する領域をEXAFS(Extended X−ray Absorption Fine Structure)領域と呼ぶ。
XANES領域は、試料に狙った原子の吸収端近傍のX線を照射した際、内殻準位にいた電子が励起状態に遷移するため、狙った原子がどのような原子と結合しているか(化学状態)がわかる。一方、EXAFS領域は、内殻電子が原子核の束縛を離れ、光電子として飛び出す。その際、光電子は波として表わされるため、近くに他の原子がいる場合には、波が干渉して返ってくる。そのため、中心原子の周囲の原子数、原子種、原子間距離等の情報が得られる。一般にXANES領域では、各結合に対応するピークを分離することで、測定した物質において、どの結合がどの程度かを知ることができる。なお、本発明は、XANES領域、EXAFS領域共に有効である。
XAFS法は、X線エネルギーで走査するため光源には連続X線発生装置が必要であり、詳細な化学状態を解析するには高いS/N比及びS/B比のX線吸収スペクトルを測定する必要がある。そのため、シンクロトロンから放射されるX線は、少なくとも1010(photons/s/mrad/mm/0.1%bw)以上の輝度を有し、且つ連続X線源であるため、XAFS測定には最適である。尚、bwはシンクロトロンから放射されるX線のband widthを示す。
上記X線の輝度(photons/s/mrad/mm/0.1%bw)は、好ましくは1010以上、より好ましくは1011以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。
また、上記X線の光子数(photons/s)は、好ましくは10以上、より好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。
上記X線を用いて走査するエネルギー範囲としては、(1)2300〜4000eV、(2)100〜280eVの範囲が好適である。上記範囲を走査することで、それぞれ、硫黄K殻吸収端付近、硫黄L殻吸収端付近の硫黄のX線吸収量を測定でき、材料中の硫黄の化学状態の情報が得られる。(1)の範囲の場合、より好ましくは2350〜3500eVであり、(2)の範囲の場合、より好ましくは150〜260eVである。
本発明は、ビームサイズ垂直500μm×水平500μm以下のX線を照射するものであるが、ビームサイズを小さくして、垂直500μm×水平500μm以下に調整する方法としては、主に下記の2種類がある。
(1)集光ミラーなどで、測定位置のX線のビームを集光する方法
(2)スリットで余分な光をカットすることで、ビームサイズを小さくする方法
一般に、集光ミラー等で測定位置のX線のビームを集光することが多いが、ビームサイズが大きいケースもあるので、本発明では、スリットでビームサイズを小さくすることが望ましい。上記ビームサイズは、好ましくは垂直200μm×水平200μm以下、より好ましくは垂直50μm×水平50μm以下である。これにより、架橋の均一な箇所の化学状態を測定でき、精度を向上することが可能となる。なお、この方法は、透過法、蛍光法、電子収量法全てに有効である。
以上のとおり、本発明の方法を採用することにより、硫黄が不均一に存在する高分子複合材料であっても、材料中の硫黄化合物の化学状態に関する情報を精度良く得ることが可能となる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<実施例及び比較例>
(ゴム材料)
以下の配合内容に従い、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を充填率が58%になるように(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーに充填し、80rpmで140℃に到達するまで混練した(工程1)。工程1で得られた混練物に、硫黄及び加硫促進剤を以下の配合にて添加し、160℃で20分間加硫することでゴム材料を得た(工程2)。
(配合)
天然ゴム50質量部、ブタジエンゴム50質量部、カーボンブラック60質量部、オイル5質量部、老化防止剤2質量部、ワックス2.5質量部、酸化亜鉛3質量部、ステアリン酸2質量部、粉末硫黄1.2質量部、及び加硫促進剤1質量部。
なお、使用材料は以下のとおりである。
天然ゴム:TSR20
ブタジエンゴム:宇部興産(株)製BR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
ステアリン酸:日油(株)製の椿
粉末硫黄(5%オイル含有):鶴見化学工業(株)製の5%オイル処理粉末硫黄(オイル分5質量%含む可溶性硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
作製したゴム材料について、硫黄K殻吸収端近傍におけるXAFS測定を、以下の各種ビームサイズのX線を照射することで実施し、それぞれのXAFSスペクトルを得た。
(1)垂直15μm×水平15μm
(2)垂直100μm×水平100μm
(3)垂直1mm×水平2mm
<XAFS測定>
各試料について、XAFSを使用して、X線吸収スペクトルを得た。
(使用装置)
XAFS:SPring−8 BL27SUのBブランチのXAFS測定装置
(測定条件)
輝度:1×1016photons/s/mrad/mm/0.1%bw
光子数:5×1010photons/s
分光器:結晶分光器
検出器:SDD(シリコンドリフト検出器)
測定法:蛍光法
エネルギー範囲:2360〜3500eV
図8に示されているように、2471eV、2478eV、2480eVに硫黄の化学状態を示すピークが観測されているが、ビームサイズが大きいほど、ピークが小さくブロードになっていることが明らかとなった。これは、測定するエリアが大きく、架橋の不均一な部分を含んでしまったためである。以上より、ビームサイズを小さくすることで、精度良く測定できることが判明し、本発明の評価法の有効性が立証された。

Claims (3)

  1. 硫黄が不均一に存在する硫黄含有高分子材料に、ビームサイズ垂直500μm×水平500μm以下のX線を照射し、X線のエネルギーを変えながらX線吸収量を測定することにより、硫黄の化学状態を調べる方法。
  2. X線を用いて走査するエネルギー範囲を2300〜4000eV及び/又は100〜280eVとすることで、硫黄K殻吸収端付近及び/又は硫黄L殻吸収端付近の硫黄のX線吸収量を測定する請求項1記載の硫黄の化学状態を調べる方法。
  3. X線は、光子数が10photons/s以上、輝度が1010photons/s/mrad/mm/0.1%bw以上である請求項1又は2記載の硫黄の化学状態を調べる方法。
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