JP2015118234A - 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置 - Google Patents

定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電流が流れることによって発熱する筒状の回転体の破損を回転中に検知できるようにする。【解決手段】通電によって発熱する筒状の回転体1と、前記回転体と共にニップ部Nを形成する加圧部材8と、を有し、前記ニップ部で画像Tを担持する記録材Pを搬送しながら加熱し画像を記録材に定着する定着装置において、前記回転体の温度を検知する温度検知部材9,10,11を有し、前記温度検知部材の検知温度の回転体1回転周期の変動量が所定量より大きい場合に、前記回転体の通電を停止することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像形成装置に搭載する定着装置(定着器)、及びその定着装置を備える画像形成装置に関する。
電子写真式の複写やプリンタでは、画像データに対応したトナー画像を記録紙やOHPシート等の記録材に転写した後、記録材に転写されたトナー画像を定着装置で加熱および加圧して記録材に定着している。
上記の定着装置として、電流が流れることによって発熱する抵抗発熱層を備える筒状の発熱定着ベルト(以下、円筒状回転体と記す)を用いる構成の装置が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1には、カーボンナノ材料と、フィラメント状金属粒子を、ポリイミドなどの耐熱性樹脂に分散して成形された抵抗発熱層を有する円筒状回転体に、加圧ロールを圧接させることによってニップ部を形成する定着装置が開示されている。特許文献2には、導電性フィラーと、高イオン導電体粉末を、ポリイミドなどの耐熱性樹脂に分散して成形された抵抗発熱層を有する円筒状回転体に、加圧ロールを圧接させることによってニップ部を形成する定着装置が開示されている。
特許文献1、特許文献2に開示された定着装置では、円筒状回転体の熱容量が小さいために、ウォーミングアップ時間が短くなり、また、低電力量で所定の定着温度に維持することができる。その結果、トナー画像を記録材に、高速かつ低電力量で熱定着することが可能になる。
上記の円筒状回転体において、円筒状回転体に流れる電流の向きを遮るように破損が発生した場合、破損端部で発熱が集中し、局所的に温度が上昇することが知られている(特許文献2の段落番号[0005]、特許文献3の段落番号[0021]参照)。円筒状回転体の局所的な温度上昇は、画像ムラ、ホットオフセット等の画像弊害を引き起こす可能性がある。画像弊害の発生を未然に防止するためには、円筒状回転体の破損はできるだけ早く検出し、装置交換等の対処を警告した方がよい。
円筒状回転体の破損の検知手段として、温度検知素子を用い、円筒状回転体の異常昇温を検出する方法が、従来から知られている(特許文献4)。しかしながら、円筒状回転体が高速で回転していると、温度検知素子の応答が追いつかず、異常昇温部位を直接検知できないことがある。
特開2011−145656号公報 特開2011−248098号公報 特許第4650166号明細書 特開2010−134035号公報
通電によって発熱する円筒状回転体を有する定着装置では、円筒状回転体に流れる電流の向きを遮るように破損が発生した場合、その破損を円筒状回転体の回転中に検出することが求められている。
本発明の目的は、通電によって発熱する筒状の回転体の破損を回転中に検出できるようにした定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る定着装置の構成は、通電によって発熱する筒状の回転体と、前記回転体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を搬送しながら加熱し画像を記録材に定着する定着装置において、前記回転体の温度を検知する温度検知部材を有し、前記温度検知部材の検知温度の回転体1回転周期の変動量が所定量より大きい場合に、前記回転体の通電を停止することを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明に係る定着装置の他の構成は、通電によって発熱する筒状の回転体と、前記回転体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を搬送しながら加熱し画像を記録材に定着する定着装置において、前記回転体の温度を検知する温度検知部材を有し、前記温度検知部材の検知温度の回転体1回転周期の変動量が所定量より大きい場合に、異常を報知することを特徴とする。
本発明によれば、通電によって発熱する筒状の回転体の破損を回転中に検出できるようにした定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置の提供を実現できる。
実施例1に係る定着装置のフィルム破損検知方法と画像形成装置動作を示すフローチャート 画像形成装置の断面図 実施例1に係る定着装置の断面図 実施例1に係る定着装置の正面図 実施例1に係る定着装置におけるフィルムの温度推移図 フィルム破損がある場合の異常昇温現象を説明する図 フィルム破損の長さ違いによるフィルム表面温度説明図 実施例1に係る定着装置のプリンタ制御部のブロック図 実施例2に係る定着装置の断面図 実施例2に係る定着装置の正面図 実施例1に係る定着装置のフィルムの発熱層と磁性コアと励磁コイルの斜視図 発熱層の発熱原理の説明図 実施例2に係る定着装置におけるフィルムの温度推移図 フィルム破損がある場合の異常昇温現象を説明する図 表1の実験結果のグラフ 実施例2に係る定着装置における検温素子の配置位置を説明する図 実施例1の別形態の定着装置においてフィルム破損がある場合の異常昇温現象を説明する図 実施例2に係る定着装置における発熱層と磁性コアと励磁コイルと磁力線の模式図、及び閉磁路を形成した場合の磁性コアの図 有限長ソレノイドを配置した構造体の模式図 単位長さ当たりの磁性コア・励磁コイル・フィルムを含む空間の磁気等価回路図 磁性コアとギャップの等価回路 コイルとフィルムの等価回路 回路の効率に関する説明図 電力の変換効率の測定実験に用いる実験装置の図 円筒形回転体外部磁束の比率と変換効率を測定した結果 フィルムと磁性コアとニップ部形成部材の構造体においてフィルムの導電層の内側に温度検知部材を配置した図 図26に示す構造体の断面図
[実施例1]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の好適な実施形態は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は以下の実施例により限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において他の公知の構成に置き換えることは可能である。
(1)画像形成装置100
図2を参照して、本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置を説明する。図2は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(本実施例ではモノクロプリンタ)100の一例の概略構成を表わす断面図である。
画像形成装置100において、記録材Pにトナー画像を形成する画像形成部100Aは、像担持体としての感光体ドラム101と、帯電部材102と、レーザスキャナ103と、現像器104と、を有する。更に画像形成部100Aは、感光体ドラムをクリーニングするクリーナ111と、転写部材108と、を有する。以上の画像形成部100Aの動作は周知であるので詳細な説明は割愛する。
画像形成装置本体100B内のカセット105に収納された記録材Pはローラ106の回転によって1枚ずつ繰り出される。その記録材Pはローラ107の回転によって感光体ドラム101と転写部材108とで形成された転写ニップ部108Tに搬送される。転写ニップ部108Tでトナー画像が転写された記録材Pは搬送ガイド109を介して定着装置(定着部)110に送られ、トナー画像は定着装置で記録材に加熱定着される。定着装置110を出た記録材Pはローラ112の回転によってトレイ113に排出される。
(2)定着装置110
図3、図4を参照して、本実施例の定着装置110を説明する。図3は本実施例に係る通電発熱方式の定着装置110の一例の概略構成を表わす断面図である。図4は図3に示す定着装置110の記録材搬送側からの概略構成を表わす正面図である。
加圧部材としての加圧ローラ8は、芯金8aと、芯金の長手方向の軸部間の外周に形成された耐熱性の弾性材層8bと、弾性材層の外周に形成された離型層(表層)8cと、を有する。ここで、長手方向とは、記録材の搬送方向aと直交する方向をいう。弾性材層8bの材質としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の耐熱性のよい材質が好ましい。芯金8aの長手方向の両側の軸部は装置の不図示のフレームに軸受けを介して回転自在に支持されている。
筒状の回転体としての円筒状のフィルム1の内部には、ニップ部形成部材6と、補強部材としてのステイ5が挿通されている。ニップ部形成部材6は、PPS等の耐熱性樹脂材料により形成され、フィルム1を介して加圧ローラ8と対向している。ニップ部形成部材6上に配置されたステイ5は、ステイの長手方向の左端部と右端部が上述したフレームに支持されている。
ステイ5の左端部と右端部においてフレームに設けられたバネ受け部材18a,18b(図4参照)との間には加圧バネ17a,17bが縮設され、この加圧バネでニップ部形成部材6を加圧ローラ8の母線方向と直交する方向に押圧している。本実施例では、総圧約100N〜250Nの押圧力をニップ部形成部材6に与えている。加圧バネ17a,17bの押圧力により、加圧ローラ8の弾性材層8bを潰して弾性変形させ、フィルム1表面と加圧ローラ表面とで所定幅のニップ部N(図3(a)参照)を形成している。
加圧ローラ8はモータMによって矢印方向(図3(a)参照)へ回転される。フィルム1は、フィルムの内面がニップ部形成部材6と接触しながら加圧ローラ8の回転に追従して矢印方向(図3(a)参照)へ回転する。
ニップ部形成部材6の長手方向の左端側にはフランジ部材12aが装着され、右端側にはフランジ部材12bが装着されている(図4参照)。フランジ部材12aは、フィルム1の回転時において、フィルムが長手方向左側に移動した際に当該フィルムの左端部を受けてニップ部形成部材6の長手方向への移動を規制する役目をする。フランジ部材12bは、フィルム1の回転時において、フィルムが長手方向右側に移動した際に当該フィルムの右端部を受けてニップ部形成部材6の長手方向への移動を規制する役目をする。
フィルム1に対するフランジ部材12aの位置は規制部材13aによって規制され、フランジ部材12bの位置は規制部材13bによって規制されている。各規制部材13a,13bはフレームに支持されている。
フランジ部材12a,12bの材質としては、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、フッ素樹脂、LCP樹脂、これらの混合樹脂等の耐熱性の良い材料が好ましい。フッ素樹脂としては、PFA、PTFE、FEPなどが用いられる。LCPは液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer)である。
また、フランジ部材12a,12bは、フィルム1の後述する発熱層1aに給電するための電極部材としての機能を兼ねている。フランジ部材12a,12bのフィルム1と接する面にはAg等の導電材(不図示)が塗布され、交番電流をフィルムに導通させる役割も担っている。
フィルム1は直径が約10〜50mmである。このフィルム1は、図1(b)に示すように、厚みが30〜200μmの、基層となる発熱層1aと、発熱層の外面に形成した弾性層1bと、弾性層の外面に形成した離型層1cと、を有する複合構造の部材である。
発熱層1aは、ポリイミドからなるマトリックス樹脂中に不図示のカーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子とが実質的に均一に分散されて存在している。この発熱層1aの両端部に電極部材としてのフランジ部材12a,12bを接触させ、これらのフランジ部材を通して交流電源Aから交番電流を印加することによって、フィルム1の回転方向と垂直な方向に通電し、発熱層が発熱する。この発熱層1aの熱が弾性層1b、離型層1cに伝達されて、フィルム1全体が加熱される。
フィルム1の温度検知は、図3(a)、図4に示すように、記録材Pが定着装置110に搬送されてくる側でフィルム1と対向する位置に配設された、温度検知部材としての非接触型サーミスタの検温素子9,10,11によって行われる。検温素子9はフィルム1の長手方向中央に、検温素子10はフィルム1の長手方向左端側に、検温素子11はフィルム1の長手方向右端側に、それぞれ、配設されている。これらの3つの検温素子9,10、11は、それぞれ、フィルム1の回転軸線X(図6参照)の方向において異なる位置の温度を検知する。
本実施例の定着装置110の加熱定着処理動作を説明する。本実施例の定着装置110は、プリント指令に応じて加圧ローラ8をモータM(図3(a)参照)により矢印方向に回転する。フィルム1は、フィルム内面がニップ部形成部材6と接触しながら加圧ローラ8の回転に追従して矢印方向に回転する。また、プリント指令に応じて通電制御部304(図8参照)を立ち上げる。これにより、交流電源Aからフランジ部材12bを通じてフィルム1の発熱層1aに交番電流が印加され、フィルムの発熱層1aが発熱してフィルムは急速に昇温する。
フィルム1の表面温度をモニターする検温素子9,10,11の検知温度は定着温度制御部303(図8参照)に出力される。定着温度制御部303は、フィルム1の長手方向中央の検温素子9によって検知された温度をエンジン制御部302(図8参照)に出力する。エンジン制御部302は、定着温度制御部303からの検温素子9の検知温度を基に通電制御部304を制御する。これより、フィルム1は通電されてフィルムの表面温度が所定の温調目標温度(目標温度)に維持・調整される。
未定着トナー画像Tを担持する記録材Pはニップ部Nで挟持搬送されながらトナー画像にフィルム1の熱とニップ圧が印加され、これによりトナー画像は記録材上に加熱定着される。
(3)フィルム破損によるフィルム1回転周期(回転体1回転周期)の温度変化
図5に、定着装置110を立ち上げ、記録材P上の未定着トナー画像Tが定着可能となる温調目標温度まで昇温する過程におけるフィルム1の温度推移を示す。図5に示す温度推移は、加圧ローラ8の回転に追従してフィルム1が回転する状態における温度推移である。図5において、一点鎖線は、フィルム破損が発生していない場合の温度推移を表わしている。実線は、フィルム1に流れる電流の向きを遮るようにフィルム破損が発生した場合のフィルム破損端B、及びフィルム破損端C(図6(c)、(d)参照)での温度推移を表している。
図5から明らかなように、フィルム破損が無い場合(一点鎖線)は急激な変動がないのに対して、フィルム破損が発生している場合(実線)はフィルム1の1回転周期に応じてフィルム表面温度の変動が大きい。
図6(c)、(d)は、フィルム破損が有る場合に、フィルム1回転周期でフィルムの表面温度が変動する現象を説明するための図である。図6(c)、(d)において、矢印は電流の向きと電流密度を表している。ここで、フィルム1回転周期とは、フィルム1が1回転する期間をいう。
前述したとおり、フランジ部材12a,12bを介して交番電流が印加されることにより、図6(a)、(b)のように、フィルム1には、フィルムの回転方向と垂直な方向に、交番電流が流れる。しかし、図6(c)、(d)のように、フィルム破損が生じた場合、フィルム破損端Bや、フィルム破損端Cでは、フィルム1の回転方向と垂直な方向に流れる電流が迂回し、これらのフィルム破損端に電流が集中する。
図6(c)のように、フィルム1の回転方向に対して左から右に電流が流れる場合、フィルム破損端Bや、フィルム破損端Cを迂回した電流は、元の経路に戻るわけではなく、抵抗として低い右側の電極部材即ち不図示のフランジ部材12bに近い経路を通る。そのため、フィルム1のフィルム破損端B,C付近からフランジ部材12bまでの領域では、電流密度が高く(密の状態)なる。一方、フィルム1のフィルム破損端B,C付近から左側の電極部材即ち不図示のフランジ部材12aまでの領域は、電流密度が低く(疎の状態)なる。図6(d)のように、フィルム1の回転方向に対して右から左に電流が流れる場合は、フィルム1の回転方向に対する電流密度は、図6(c)と同様の状態となる。
したがって、図6(c)、(d)のフィルム1のフィルム1回転周期の時間平均をすると、フィルム破損が生じている箇所のフィルム長手全域で、局所的に発熱する部分と、電流が迂回したために電流密度が低くなり低温になる部分が生じる。その結果、前述したようにフィルム1回転周期でフィルム1の長手全域でフィルム表面温度が変動する。
(4)フィルム1回転周期の温度推移に基づくスリーブ破損検知方法
次に、本実施例のフィルム1回転周期の温度推移に基づく、フィルム破損検知方法について説明する。図7は、フィルム破損の大きさによるフィルム1の表面温度の違いを、フィルム2回転分の時間で示した模式図である。図7では、フィルム回転方向のフィルム破損間の距離(図6(c)に示すフィルム1の回転方向におけるフィルム破損端Bとフィルム破損端Cとの間の距離を指す)を、破損長さとした。
図7から明らかなように、破損長さが長い場合は、短い場合と比較して、フィルム破損がない場合の温度(以下、基準温度と記す)T0に対して低温となっている時間(図中のtl)が長くなる。これは、フィルム1の長手方向で考えれば、図6(c)、(d)で示したフィルム両端からフィルムの回転方向と垂直な方向に流れる電流のうち、破損長さが長くなる程、迂回する電流が増えるためである。これは、フィルム1の周回方向で考えれば、電流密度が低い領域が増えるためである。
また、破損長さが長い場合は、フィルム1の温度変化量(図中のTpp)が大きくなる。これは、迂回電流の増加に伴い、フィルム破損端B、フィルム破損端Cでの電流密度が増えるためである。
上述の特性を利用し、本実施例の定着装置110では、フィルム1回転周期の温度変化量(図7中のTpp)が所定量(所定値)より大きい場合、画像弊害を引き起こす可能性があると判断する。そして、フィルム1への通電を停止したり、ユーザへ装置交換を促す報知(装置の異常を報知)をしたりする。或いは、フィルム1回転周期の基準温度T0よりも低温となる時間(図7中のt1)が所定時間(所定値)より長い場合、画像弊害を引き起こす可能性があると判断する。そしてフィルム1への通電を停止したり、ユーザへ装置交換を促す報知(装置の異常を報知)したりする。
図8は、プリンタ制御部300のブロック図である。プリンタ制御部300において、プリンタコントローラ301は、ホストコンピュータ311との間で通信と画像データの受信、及びその画像データをプリンタが印字可能な情報に展開する。また、プリンタコントローラ301は、制御部としてのエンジン制御部302との間で信号の送受信、及びシリアル通信を行う。
エンジン制御部302は、プリンタコントローラ301との間で信号の送受信を行い、さらに、シリアル通信を介して定着温度制御部303、通電制御部304の制御を行う。
定着温度制御部303は、検温素子9によって検知された温度を基にフィルム1の温度制御を行うと共に、フィルムの異常温度の検出等を行う。通電制御部304は、交流電源Aの入力電圧を調整してフィルム1に印加する電力の制御を行う。
このようなプリンタ制御部300を有するプリンタシステムにおいて、ホストコンピュータ311はプリンタコントローラ301に画像データを転送し、逆にプリンタコントローラ301からの装置の耐久寿命情報や、警告情報を取り込む。ここで、プリンタシステムは、画像形成装置100と、この画像形成装置と通信可能なホストコンピュータ311と、を有する。
図1は、本実施例の定着装置110のフィルム破損検知方法、およびフィルム破損を検知した場合の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。図1に示すStep1−1〜Step1−8の一連の処理は、フィルム破損検知シーケンスとしてROMやRAMなどの不図示のメモリに記憶され、温調目標温度に到達する前の定着装置110の立上げ時にエンジン制御部302によって実行される。
Step1−1
プリンタコントローラ301がプリント指令を取り込み次第、エンジン制御部302は、モータMを駆動すると共に、温調目標温度となるように定着装置110の立上げ動作を開始する。
Step1−2
定着温度制御部303は、定着装置110の立上げ動作が開始されたと同時に、フィルム1の長手方向中央、長手方向左端部、及び長手方向右端部の検温素子9,10,11で、フィルム1回転周期の温度の変化量(温度の変動量)のモニターを開始する。
加圧ローラ8を回転駆動するモータMの速度変動や、加圧ローラ8又はフィルム1の偏芯による速度変動によって、フィルム1回転周期は、理想の時間からのずれが生じる可能性がある。或いはフィルム1周内での加圧ローラ8とフィルム1との摩擦力の変動、フィルムの回転速度の変動などによって、フィルム1回転周期は、理想の時間からのずれが生じる可能性がある。このような場合は、フィルム1回転周期はフィルム1回転周期の理想時間からのずれ分を考慮した時間とし、厳密にフィルム1回転周期とする必要はない。
Step1−3
エンジン制御部302は、フィルム1回転周期の変動量が所定値以下か否かを判断する。フィルム1回転周期の変動量は、検温素子9,10,11が検知した温度推移を基に定着温度制御部303が演算する。
検温素子9,10,11のいずれかで、上述したフィルム1回転周期の変動量(図7中のTpp)が所定値より大きい場合に、Step1−6に進む。フィルム1回転周期の変動量(図7中のTpp)が所定値以下の場合に、Step1−4に進む。或いは、検温素子9,10,11のいずれかで、フィルム1回転周期の基準温度T0よりも低温となる時間(図7中のt1(変動量))が所定時間(所定値)より長い場合にStep1−6に進む。フィルム1回転周期の基準温度T0よりも低温となる時間(図7中のt1(変動量))が所定時間(所定値)以下の場合にStep1−4に進む。ここで、時間t1はフィルム1回転周期の基準温度T0に対して低温が持続する時間である。
Step1−4
フィルム1回転周期の変動量が所定値以下である場合、フィルム1の長手方向中央の検温素子9の検知温度が、温調目標温度に到達したか否かを定着温度制御部303が判断する。温調目標温度に到達しない場合は、Step1−3に戻る。
Step1−5
フィルム1回転周期の変動量が所定値以下で、かつ、検温素子9の検知温度が温調目標温度に到達した場合は、定着装置110としてプリント可能な状況であると判断し、画像形成装置100の不図示の制御部にPrint Readyを報知する。
Step1−6
Step1−3において、フィルム1回転周期の変動量が所定値より大きい場合、画像弊害を引き起こす可能性がある、フィルム破損が発生していると定着温度制御部303が判断し、その旨をエンジン制御部302へ報知する。
Step1−7
フィルム破損が発生していると判断された場合は、エンジン制御部302が、即座に通電制御部304からのフィルム1への電力供給を停止する。
Step1−8
プリンタコントローラ301は、ホストコンピュータ311を介してユーザへ定着装置110の異常を報知する。或いは、画像形成装置本体100Aに設けられたオペレーションパネルを介してユーザへ定着装置110の異常を報知する。
以上説明したように、本実施例の定着装置110は、フィルム1の長手方向に検温素子9,10,11を複数有し、これらの検温素子のそれぞれの検知温度を基にフィルム1回転周期の温度の変動量をモニターする。そしてそのフィルム1回転周期の温度の変動量が所定値より大きい場合に、フィルム破損有りと判断する。フィルム破損有りと判断した場合、画像ムラ、ホットオフセット等の画像弊害を引き起こす前に、フィルム1への電力供給の停止、或いはユーザに装置の異常を報知するため、画像形成装置100の性能を引き出すことが可能となる。
[実施例2]
定着装置110の他の例を説明する。本実施例に示す定着装置110は、記録材Pが担持する未定着トナー画像Tを電磁誘導発熱する円筒状のフィルム(スリーブ)21の熱で記録材に加熱定着する電磁誘導加熱方式の装置である。
(1)定着装置110
図9は本実施例に係る電磁誘導加熱方式の定着装置110の一例の概略構成を表わす断面図である。図10は図9に示す定着装置110の記録材搬送側からの概略構成を表わす正面図である。
本実施例の定着装置110は、筒状の回転体としての円筒状のフィルム21と、ニップ部形成部材24と、加圧部材(対向部材)としての加圧ローラ25と、を有する。更に定着装置110は、フィルム21の内部に、磁性芯材としての磁性コア22と、磁界発生手段としての励磁コイル23と、を有する。
ニップ部形成部材24は耐熱性樹脂等で作製されている。このニップ部形成部材24は、フィルム21の内部に挿通され、フィルム内面と接触する加圧ローラ25側の平面24a(図9参照)で加圧ローラ25と共にニップ部Nを形成する。
フィルム21は、直径10mm〜50mmの円筒形状である。フィルム21の層構成は、基層となる導電性部材でできた発熱層21aと、この発熱層の外面に形成した弾性層21bと、この弾性層の外面に形成した離型層21cからなる複合構造である。発熱層21aの材料は、体積抵抗率の低い金属などが好適である。本実施例では、発熱層21aの材料として、厚さ20μm〜100μmのSUSを用いた。本実施例の定着装置110は、後述するように、フィルム21を周回するように磁路を形成する構成であるため、発熱層21aとして磁路とならない薄い磁性金属や、非磁性金属を用いることができる。
発熱層21aの外面には、弾性層21bとして、硬度が20度(JIS−A、1kg加重)のシリコーンゴムを0.1mm〜0.3mmの厚さで成形した。そしてこの弾性層21bの外面に、離型層(表層)21cとして、10μm〜50μmの厚さのフッ素樹脂チューブを被覆した。
図11は本実施例に係る定着装置110におけるフィルム21の発熱層21aと、磁性コア22と、励磁コイル23の位置関係を表わす斜視図である。
図11に示されるように、円柱形状に形成された磁性コア22は、不図示の固定手段でフィルム21の短手方向(記録材Pの搬送方向aと平行な方向)の断面形状のほぼ中央に配置されている。この磁性コア22は、励磁コイル23にて生成した交流磁界による磁力線(磁束)をフィルム21内部(内面側)に誘導し、磁力線の通路(磁路)を形成する部材として機能する。
磁性コア22の材料は、ヒステリシス損が小さく、比透磁率の高い材料で形成することが望ましい。磁性コア22の材料として、例えば焼成フェライト、フェライト樹脂、アモルファス合金やパーマロイ等の高透磁率の酸化物や、合金材料で構成する強磁性体が好ましい。また、磁性コア22の直径は、フィルム21の内部に収納可能な範囲で、極力断面積を大きくとることが望ましく、直径5mm〜40mmとした。磁性コア22の形状は円柱形状に限られず、多角柱形状などでも選択できる。
本実施例では、磁性コア22はフィルム21内部のみに配置して開磁路を形成する構成としたが、本実施例の変形例として、フィルムの外部にもフィルムを周回するように磁性コアを配設して閉磁路を形成する構成としてもよい。
励磁コイル23は、フィルム21内部の磁性コア22に対し、耐熱性のポリアミドイミドで被覆した直径1〜2mmの銅線材の単一導線を巻数約10〜30巻でフィルムの回転軸線Xに交差する方向に巻線を施して形成されたものである。励磁コイル23の螺旋軸線23Xはフィルム21の回転軸線Xの方向とほぼ平行である。ここで、螺旋軸線23Xとは励磁コイル23の導線巻き回し中心をいう。本実施例では巻き数18回で励磁コイル23を構成している。
このように、フィルム21内部にて、フィルムの回転軸線Xの方向と交差する方向に単一導線を磁性コア22に対し巻き回して励磁コイル23を形成している。このため、励磁コイル23に給電接点部23a,23bを介して高周波電流(交流電流)を流すと、フィルム21の回転軸線Xの方向と平行な方向に磁界(磁場)は発生する。つまり、フィルム21の内部に配置され、螺旋軸線23Xがフィルム21の回転軸線Xの方向である励磁コイル23の中に、フィルムの回転軸線の方向に磁場を誘導するための磁性コア22が配置される。
加圧ローラ25は、芯金25aと、この芯金の長手方向両側の軸部間の外面に形成した弾性層25bと、この弾性層の外面に形成した離型層25cと、を有する外径30mmの部材である。
図10に示されるように、ニップ部形成部材24の長手方向の左端部側にはフランジ部材26aが装着され、右端部側にはフランジ部材26bが装着されている。フランジ部材26aは、フィルム21の回転時において、フィルムが長手方向左側に移動した際に当該フィルムの左端部を受けてニップ部形成部材24の長手方向への移動を規制する役目をする。フランジ部材26bは、フィルム21の回転時において、フィルムが長手方向右側に移動した際に当該フィルムの右端部を受けてニップ部形成部材24の長手方向への移動を規制する役目をする。
フィルム21に対するフランジ部材26aの位置は規制部材27aによって規制され、フランジ部材26bの位置は規制部材27bによって規制されている。各規制部材27a,27bは装置の不図示のフレームに支持されている。
本実施例の定着装置110は、ニップ部形成部材24の長手方向の左端部と右端部を上述したフレームに支持させると共に、このフレームに加圧ローラ25の芯金25aの軸部を軸受け(不図示)を介して回転可能に支持させている。そして、ニップ部形成部材24の左端部と右端部においてフレームのバネ受け部材18a,18bとの間に縮設させた加圧バネ17a,17bでニップ部形成部材を加圧ローラ25の母線方向と直交する方向に押圧している。
本実施例では、総圧約98N〜196N(約10kgf〜約20kgf)の押圧力をニップ部形成部材24に与えている。この押圧力によりニップ部形成部材24の平面24aをフィルム21を介して加圧ローラ25表面に加圧する。これにより、加圧ローラ25の弾性層25bが潰れて弾性変形し、フィルム21表面と加圧ローラ表面とで所定幅のニップ部Nが形成される。
本実施例の定着装置110の定着加熱処理動作を説明する。本実施例の定着装置110は、プリント指令に応じて加圧ローラ25をモータMにより矢印方向に回転する(図9参照)。フィルム21は、フィルム内面がニップ部形成部材24の平面24aと接触しながら加圧ローラ25の回転に追従して矢印方向に回転する。また、プリント指令に応じて通電制御部304が温調制御部としての高周波コンバータ306を立ち上げ、高周波コンバータは励磁コイル23に給電接点部23a,23bを介して高周波電流を供給する。これにより、フィルム21の発熱層21aが電磁誘導発熱してフィルムは急速に昇温する。
フィルム21の表面温度をモニターする検温素子9,10,11の出力信号は定着温度制御部303に出力される。定着温度制御部303は、フィルム21の長手方向中央の検温素子9によって検知された温度をエンジン制御部302(図8参照)に出力する。エンジン制御部302は、定着温度制御部303からの検温素子9の検知温度を基に通電制御部304を制御する。通電制御部304は高周波コンバータ306を制御し、これによりフィルム21の表面温度は所定の温調目標温度(目標温度)に維持・調整される
未定着トナー画像Tを担持する記録材Pはニップ部Nで挟持搬送されながらトナー画像にフィルム21の熱とニップ圧が印加され、これによりトナー画像は記録材上に加熱定着される。
図12を参照して、フィルム21の発熱原理を説明する。図12の(a)は発熱層21aの短手方向の断面においてフィルム21に流れる電流とフィルムに生成される磁場を表わした模式図である。図12の(b)は発熱層21aの長手方向においてフィルム21に流れる電流を表わした模式図である。
図12では、フィルム21の中心から、磁性コア22、励磁コイル23、発熱層21aを同心円状に配置した例を示す(図12(a)参照)。図中奥行き方向に向かう矢印磁力線をBin(○の中に×印)で、そして図中手前方向に向かう矢印磁力線をBout(○の中に●印)で模擬している。
励磁コイル23の中に矢印Iの向きに電流が増加している瞬間は、磁路の中に図中奥行き方向に向かう矢印(○の中に×印)のように磁力線を形成する。すなわち、発熱層21aの内側である磁性コア22の中を奥行き方向に向かう磁力線Binは8本であり、発熱層21aの外側を手前方向に帰ってくる磁力線Boutも8本である。実際に交番磁界を形成した時には、このように形成する磁力線を打ち消すように、発熱層21aの周方向全域に誘導起電力がかかり、矢印Jのようにフィルム21を周回する電流が流れる(以後、この電流を周回電流と呼ぶ)。
誘導起電力は、フィルム21の発熱層21aの周回方向にかかっているので、周回電流Jは発熱層21a内部を一様に流れる。そして磁性コア22より生じる磁力線は、高周波電流により生成消滅と方向反転を繰り返すため、周回電流Jは高周波電流と同期して生成消滅と方向反転を繰り返し流れる。発熱層21aに電流が流れると、発熱層の材料(金属)がもつ電気抵抗により発熱層にジュール熱が生じる。
ジュール発熱は、一般的に「鉄損」と呼ばれ、発熱量Peは次の(1)式で表される。
Pe: 発熱量
t: フィルム厚み
f: 周波数
Bm: 最大磁束密度
ρ: 抵抗率
ke: 比例定数
磁性コア22より生じる磁力線は、フィルム21の回転軸線Xの方向(図11参照)と平行に生じるため、周回電流Jは、フィルムの回転軸線の方向と直交する周回方向に流れる。
上記のようにして発生する周回電流Jは、磁性コア22の内包する磁束と、発熱層21aの抵抗値に依存し、発熱層自身の磁束密度とは関係しない。そのため、磁路とならない薄い磁性金属製の発熱層21a、或いは非磁性金属製の発熱層21aでも高い効率で発熱することが可能である。また、発熱層21aの抵抗値が極端に変わらない範囲においては、発熱層の材料の厚みにも依存しない。更に、発熱層21aとして金属材料以外の導電性樹脂等を用いた場合でも、発熱層を発熱させることは可能である。
つまり、本実施例のフィルム21は、励磁コイル23に高周波電流を流すことで発熱層21aの周回方向に誘導電流を生じさせ、この誘導電流により発熱層が発熱する。
本実施例の定着装置110の上記説明以外の装置構成は実施例1と同じであるのでその詳細な説明は省略する。
(2)フィルム破損によるフィルム1回転周期の温度変化
図13に、定着装置110を立ち上げ、記録材P上の未定着トナー画像Tが定着可能となる温調目標温度まで昇温する過程におけるフィルム21の温度推移を示す。図13に示す温度推移は、実施例1と同様、加圧ローラ25の回転に追従してフィルム21が回転する状態における温度推移である。図14は、フィルム21に流れる電流を遮るようにフィルム破損が発生した場合に、フィルムの1回転周期でフィルムの表面温度が変動する現象を説明するための図である。図14において矢印は電流の向きと電流密度を表している。Xはフィルム21の回転軸線である。
図13、図14を用いて、本実施例の定着装置110におけるフィルム21のフィルム破損によるフィルム1回転周期の温度変化について説明する。
本実施例の定着装置110は、フィルム21に流れる電流の向きは、図14に示されるように、実施例1のそれとは異なり、フィルムの回転方向と平行である(実際には、交番電流がかかるので、矢印と逆方向に流れる電流もある)。そのため、図14のように、フィルム21の回転軸線Xの方向にフィルム破損が生じた場合のフィルム破損端Dにフィルムの回転方向に流れる周回電流が集中し、そのフィルム破損端で局所的に発熱する。また、フィルム21の温度分布も、実施例1の形態と異なる。
実施例1の定着装置110では、フィルム1にフィルム破損が発生した場合のフィルム破損端Bや、フィルム破損端C付近のフィルム長手全域で温度変化が生じる。これに対し、本実施例の定着装置110では、実施例1のフィルム1とはフイルム21に流れる電流の方向の違いにより、フィルム21のフィルム破損部から長手方向に十分離れた領域では、フィルム温度はフィルム破損の影響を受けない。
図13に示す一点鎖線は、図14中の領域Fのように、フィルム21の長手方向において、フィルム破損が発生している領域(図14に示す領域E)から十分離れた領域の温度推移である。一方、図13に示す実線は、フィルム21を流れる電流を遮る方向にフィルム破損が発生している場合の、図14中のフィルム破損端Dの温度推移を表している。また、図13に示す破線は、図14中の領域Eのように、フィルム破損が発生している領域の温度推移である。
図13から明らかなように、フィルム破損端(領域D、実線)は、フィルム21の1回転周期に応じてフィルム表面温度の変動が大きい。フィルム破損が発生している領域(領域E、破線)は、図14に示すフィルム破損端Dを迂回する周回電流の影響を受けて、フィルム破損が発生している領域から十分離れた領域(領域F、一点破線)よりもフィルム表面温度が下がる。また、フィルム破損が発生している領域では通電することができないため、フィルム1回転周期に応じてフィルム表面温度が下側に変動する。
実験例として、フィルム1回転周期の温度変動量を測定した結果を示す。直径30mm、長さ240mmのフィルムを用い、温調目標温度160℃、投入最大電力1000W、フィルム回転速度210mm/secという条件下で実験を行った。
表1は、温調目標温度に到達するまでのフィルム破損長さ(図14参照)、及びフィルム破損端Dからの距離L(図14参照)の違いでの、フィルム1回転周期の温度の変動量の結果を表している。ここで、フィルム1回転周期の温度の変動量とは、フィルム破損端Dから十分離れた位置での、基準温度としてのフィルム温度のフィルム1回転周期の平均温度と、表1の各位置でのフィルム温度のフィルム1回転周期の最大温度との差分である。ここで、フィルム破損端Dから十分離れた位置とは、フィルム端部端Dから120mm離れたフィルム中央の検温素子9の位置である。つまり、表1は、通常の定着装置の立上げ時に、フィルム21が発熱する温度以外で昇温している温度変化を表している。
図15は、表1の結果をグラフ化した図である。フィルム破損長さが大きくなるほど、また、フィルム破損端Dからの長手方向距離Lが近くなるほど、フィルム1回転周期の温度変動が大きいという結果が得られた。本実施例の定着装置110では、フィルム破損が発生していない場合、フィルム表面の温度ムラによる画像均一性への影響を避けるため、フィルム21の長手方向の温度ムラは8℃以内に維持できるような構成となっている。したがって、フィルム21のフィルム破損端Dからの長手方向距離Lが40mm以内であれば、フィルム破損長さ4mmのフィルム破損を検出できることになる。
図16は、以上の結果を踏まえ、フィルム21の長手方向に沿って配置した、本実施例の3つの検温素子9,10,11の長手位置を説明する図である。
本実施例の定着装置110において、検温素子10,11は、フィルム21の長手方向の中央位置に配置した検温素子9に対してそれぞれ80mmだけ離れた等間隔位置に配置されている。その結果、フィルム破損端Dと直接対向する位置に検温素子を配置しなくても、3つの検温素子9,10,11のいずれかで、フィルム21の任意の位置で発生したフィルム破損をフィルム1回転周期の温度の変動量から検出できる。
本実施例のフィルム21において、シリコーンゴムからなる弾性層21bと、その弾性層の外面に形成したフッ素樹脂チューブからなる離型層21cの耐熱温度はいずれも230℃である。定着装置110の温調目標温度は160℃、フィルム破損長さ4mmの場合のフィルム破損端Dでのフィルム表面の最高温度はフィルム破損がない場合に対して+50℃であり、耐熱温度以下で素早くフィルム破損を検出することができる。
(3)フィルム1回転周期の温度推移に基づくフィルム破損検知方法
本実施例の定着装置110におけるフィルム破損検知方法、及びフィルム破損を検知した場合の画像形成装置の動作は、実施例1の定着装置110と同様、フィルム破損検知シーケンスとしてメモリに記憶され、エンジン制御部302によって実行される。本実施例のフィルム破損検知シーケンスも、実施例1と同様、温調目標温度に到達する前の定着装置110の立上げ時に実行される。本実施例のフィルム破損検知シーケンスは、図1のStep1−3で、フィルム1回転周期の温度の変動量として、フィルム1回転周期の最大温度と基準温度(平均温度)との差分を用いた点を除いて、実施例1と同じである。
以上説明したように、本実施例の定着装置110は、回転方向と平行な方向に流れる電流(周回電流)によって発熱するフィルム21を有する。本実施例の定着装置においても、フィルム21の長手方向に検温素子9,10,11を複数有し、これらの検温素子のそれぞれの検知温度を基にフィルム1回転周期の温度の変動量をモニターする。そしてそのフィルム1回転周期の温度の変動量が所定値より大きい場合に、フィルム破損有りと判断する。フィルム破損有りと判断した場合、画像ムラ、ホットオフセット等の画像弊害を引き起こす前に、フィルム1への電力供給の停止、或いはユーザに装置の異常を報知するため、画像形成装置100の性能を引き出すことが可能となる。
[本実施例の定着装置110の発熱メカニズム]
(1)定着装置110の発熱メカニズム
図18の(a)を用いて本実施例の定着装置110の発熱メカニズムについて説明する。
励磁コイル23に交流電流を流して生じた磁力線が筒状の導電層の内側の磁性コア22の内部を発熱層(以下、導電層と記す)21aの母線方向(SからNに向かう方向)に通過し、磁性コアの一端(N)から導電層の外側に出て磁性コアの他端(S)に戻る。その結果、導電層21aの内側を導電層の母線方向に貫く磁束の増減を妨げる方向の磁力線を発生させる誘導起電力が導電層に生じて導電層の周方向に電流が誘導される。この誘導電流によるジュール熱で導電層が発熱する。この導電層21aに生じる誘導起電力Vの大きさは、下記の式(500)から導電層の内部を通過する単位時間当たりの磁束の変化量(Δφ/Δt)及びコイルの巻き数に比例する。
(2)導電層の外側を通る磁束の割合と電力の変換効率との関係
ところで、図18(a)の磁性コア22はループを形成しておらず端部を有する形状である。図18(b)のような磁性コア22が導電層21aの外でループを形成している定着装置における磁力線は、磁性コアに誘導されて導電層の内側から外側に出て内側に戻る。
しかしながら、本実施例のように磁性コア22が端部を有する構成の場合、磁性コアの端部から出た磁力線を誘導するものはない。このため、磁性コア22の一端を出た磁力線が磁性コアの他端に戻る経路(NからS)は、導電層21aの外側を通る外側ルートと、導電層の内側を通る内側ルートと、のいずれも通る可能性がある。以後、導電層21aの外側を通って磁性コア22のNからSに向かうルートを外側ルート、導電層21aの内側を通って磁性コア22のNからSに向かうルートを内側ルートと呼ぶ。
この磁性コア22の一端から出た磁力線のうち外側ルートを通る磁力線の割合は、コイル23に投入した電力のうち導電層21aの発熱で消費される電力(電力の変換効率)と相関があり、重要なパラメータである。外側ルートを通る磁力線の割合が増加する程、コイル23に投入した電力のうち導電層21aの発熱で消費される電力の割合(電力の変換効率)は高くなる。
この理由は、トランスにおいて漏れ磁束が十分少なく、トランスの1次巻線と2次巻線の中を通過する磁束の数が等しいと電力の変換効率は高くなることと原理は同じである。つまり、本実施例においては、磁性コア22の内部を通過する磁束と、外側ルートをに通過する磁束の数が近い程、電力の変換効率は高くなり、コイル23に流した高周波電流を導電層の周回電流として効率よく電磁誘導できることになる。
これは、図18(a)における励磁コア22の内部をSからNに向かう磁力線と、内側ルートを通る磁力線は向きが反対であるから、磁性コアを含めた導電層21aの内側全体で見ると、これらの磁力線は打ち消しあうことになる。その結果、導電層21aの内側全体をSからNに向かって通過する磁力線の数(磁束)が減り単位時間当たりの磁束の変化量が小さくなる。単位時間当たりの磁束の変化量が減少すると、導電層21aに生じる誘導起電力が小さくなり、導電層の発熱量が小さくなる。
以上述べたことから、実施例2の定着装置110は必要な電力の変換効率を得るために外側ルートを通る磁力線の割合を管理することが重要になる。
(3)導電層の外側を通る磁束の割合を示す指標
そこで、定着装置110における外側ルートを通る磁力線の割合を磁力線の通り易さをパーミアンスという指標を用いて表す。まず、一般的な磁気回路の考え方について説明する。磁力線が通る磁路の回路を電気回路に対して磁気回路という。磁気回路において磁束を計算する際、電気回路の電流の計算に準じて行うことができる。磁気回路は、電気回路に関するオームの法則が適用可能である。電気回路の電流に対応する磁束をΦと、起電力に対応する起磁力をVと、電気抵抗に対応する磁気抵抗をRと、すると、次の式(501)を満たす。
Φ=V/R・・・(501)
しかし、ここでは原理をより理解しやすく説明するために磁気抵抗Rの逆数であるパーミアンスPを用いて説明する。パーミアンスPを用いると、上式(501)は次の式(502)ように表せる。
Φ=V×P・・・(502)
更に、このパーミアンスPは、磁路の長さをBと、磁路の断面積をSと、磁路の透磁率をμと、すると下記の式(503)のように表せる。
P=μ×S/B・・・(503)
で表される。パーミアンスPは、断面積S及び透磁率μに比例し、磁路の長さBに反比例する。
図19の(a)は、導電層1aの内側に、半径a1[m]、長さB[m]、比透磁率μ1の磁性コア22に、コイル23を螺旋軸が導電層21aの母線方向と略平行になるようにN[回]巻いたものを表した図である。ここで、導電層21aは、長さB[m]、内径a2[m]、外径a3[m]、比透磁率μ2の導体である。導電層の内側及び外側の真空の透磁率をμ[H/m]とする。コイル23に電流I[A]を流したときに、磁性コア22の単位長さ当たりに発生する磁束8をφc(x)とする。
図19の(b)は、磁性コア22の長手方向に垂直な断面図である。図中の矢印は、コイル23に電流Iを流したときに、磁性コア22の内部、導電層21aの内側、導電層21aの外側を通る磁性コア22の長手方向に平行な磁束を表している。磁性コア22の内部を通る磁束をφc(=φc(x))、導電層21aの内側(導電層21aと磁性コア22の間の領域)を通る磁束をφa_in、導電層21aそのものを通る磁束をφs、導電層21aの外側を通る磁束をφa_outとする。
図20の(a)に、図18の(a)に示した単位長さ当たりのコア22、コイル23、導電層21aを含む空間の磁気等価回路を示す。磁性コア22を通る磁束φcにより生じる起磁力をVm、磁性コア22のパーミアンスをPcとする。また、導電層21aの内側のパーミアンスをPa_in、フィルムの導電層21aそのものの内部のパーミアンスをPs、導電層21aの外側のパーミアンスをPa_outとする。
ここで、PcがPa_in及びPsに比べて十分に大きい時、磁性コア22の内部を通過して磁性コアの一端から出た磁束は、φa_in、φs、φa_outの何れかを通過して磁性コア2の他端に戻ると考えられる。よって、以下の関係式(504)が成り立つ。
φc=φa_in+φs+φa_out・・・(504)
また、φc、φa_in、φs、φa_outはそれぞれ以下の式(505)〜(508)で表される。
φc=Pc×Vm ・・・(505)
φs=Ps×Vm ・・・(506)
φa_in=Pa_in×Vm ・・・(507)
φa_out=Pa_out・Vm ・・・(508)
よって、式(504)に(505)〜(508)を代入するとPa_outは次の式(509)示すように表される。
Pc×Vm=Pa_in×Vm+Ps×Vm+Pa_out×Vm
=(Pa_in+Ps+Pa_out)×Vm
∴Pa_out=Pc−Pa_in−Ps ・・・(509)
図19の(b)より、磁性コア22の断面積をSc、導電層21aの内側の断面積をSa_in、導電層21a自身の断面積をSs、とすると、Pcは以下のように、「透磁率×断面積」で表すことができ、単位は[H・m]である。
Pc=μ1・Sc=μ1・π(a1) ・・・(510)
Pa_in=μ0・Sa_in=μ0・π・((a2)−(a1)) ・・・(511)
Ps=μ2・Ss=μ2・π・((a3)−(a2)) ・・・(512)
これらの(510)〜(512)を式(509)に代入すると、Pa_outは
式(513)で表せる。
Pa_out=Pc−Pa_in−Ps
=μ1・Sc−μ0・Sa_in−μ2・Ss
=π・μ1・(a1)
−π・μ0・((a2)−(a1)
−π・μ2・((a3)−(a2)) ・・・(513)
上記の式(513)を使用することによって導電層21aの外側を通る磁力線の割合であるPa_out/Pcを計算することができる。
尚、パーミアンスPの代わりに磁気抵抗Rを用いても良い。磁気抵抗Rを用いて議論する場合、磁気抵抗Rは単純にパーミアンスPの逆数であるので、単位長さ当たりの磁気抵抗Rは「1/(透磁率×断面積)」で表すことができて、単位は「1/(H・m)」である。
以下、実施例2の定着装置110のパラメータを使用して具体的な計算した結果を表2に示す。
磁性コア22は、フェライト(比透磁率1800)で形成され、直径14[mm]であって、断面積は1.5×10−4[m]である。ニップ部形成部材24は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)(比透磁率1.0)で形成され、断面積は1.0×10−4[m]である。導電層21aは、アルミニウム(比透磁率1.0)で形成され、直径24[mm]、厚み20[μm]で断面積1.5×10−6[m]である。
尚、導電層21aと磁性コア22の間の領域の断面積は、直径24[mm]の導電層の内側の中空部の断面積から磁性コアの断面積とニップ部形成部材24の断面積を差し引いて計算している。弾性層21b及び離型層21cは、導電層21aより外側に設けられており、発熱に寄与しない。従って、パーミアンスを計算する磁気回路モデルにおいては導電層の外側の空気層であるとみなすことができるので計算に入れる必要はない。
表2からPc、Pa_in、Psは、次のような値になる。
Pc=3.5×10−7[H・m]
Pa_in=1.3×10−10+2.5×10−10[H・m]
Ps=1.9×10−12[H・m]
これらの値を用いて、次の式(514)からPa_out/Pc計算することができる。
Pa_out/Pc=(Pc−Pa_in−Ps)/Pc=0.999(99.9%)・・・(514)
尚、磁性コア22を長手方向で複数に分割し、分割した各磁性コア同士の間に空隙(ギャップ)を設ける場合もある。この場合、この空隙が空気又は比透磁率が1.0とみなせるものや磁性コア22の比透磁率よりもずっと小さいもので満たされている場合、磁性コア全体の磁気抵抗Rは大きくなり磁力線を誘導する機能が劣化することになる。
このような分割された磁性コア22のパーミアンスの計算方法は複雑になる。以下に、磁性コアを複数分割し、空隙またはシート状非磁性体を挟んで等間隔に並べた場合の磁性コア全体のパーミアンスの計算方法について説明する。この場合長手全体の磁気抵抗を導出し、それを全体長さで割って単位長さ当たりの磁気抵抗を求め、その逆数を取って単位長さ当たりのパーミアンスを求める必要がある。
まず、磁性コアの長手方向の構成図を図21に示す。磁性コアc1〜c10は、断面積Sc、透磁率μc、分割された磁性コア1個当たりの幅Lcとし、ギャップg1〜g9は、断面積Sg、透磁率μg、1ギャップ当たりの幅Lgとする。この磁性コアの長手方向における全体の磁気抵抗Rm_allは、以下の式(515)で与えられる。
Rm_all=(Rm_c1+Rm_c2+・・・・・+Rm_c10)+
(Rm_g1+Rm_g2+・・・・・+Rm_g9)・・・(515)
本構成の場合は、磁性コアの形状と材質、ギャップ幅は一様であるので、Rm_cの足し合わせた合計をΣRm_c、Rm_gの足し合わせた合計をΣRm_gとすると、次の
式(516)〜(518)のように表せる。
Rm_all=(ΣRm_c)+(ΣRm_g)・・・(516)
Rm_c=Lc/(μc・Sc)・・・(517)
Rm_g=Lg/(μg・Sg)・・・(518)
式(516)に式(517)及び式(518)を代入して、長手全体の磁気抵抗
Rm_allは次の式(519)のように表せる。
Rm_all=(ΣRm_c)+(ΣRm_g)
=(Lc/(μc・Sc))×10+(Lg/(μg・Sg))×9
・・・(519)
ここで、単位長さ当たりの磁気抵抗Rmは、Lcの足し合わせた合計をΣLc、Lgの足し合わせた合計をΣLgとすると次の式(520)となる。
Rm=Rm_all/(ΣLc+ΣLg)
=Rm_all/(L×10+Lg×9)・・・(520)
以上から、単位長さあたりのパーミアンスPmは、以下の式(521)ように求められる。
Pm=1/Rm=(ΣLc+ΣLg)/Rm_all
=(ΣLc+ΣLg)/[{ΣLc/(μc+Sc)}+{ΣLg/(μg+S
g)}]
・・・(521)
ギャップLgを大きくすることは、磁性コア22の磁気抵抗の増加(パーミアンスの低下)につながる。実施例2の定着装置を構成する上で、発熱原理上、磁性コア22の磁気抵抗が小さく(パーミアンスが大きく)なるように設計することが望ましいため、ギャップを設けることはあまり望ましくない。しかし、磁性コア22の破損防止のために磁性コア2を複数に分割してギャップを設ける場合がある。
以上述べたことから、外側ルートを通る磁力線の割合をパーミアンスもしくは磁気抵抗を使って表すことができることを示した。
(3)定着装置に必要な電力の変換効率
次に、実施例2の定着装置で必要な電力の変換効率について述べる。例えば、電力の変換効率が80%である場合、残り20%の電力は導電層以外のコイルやコア等で熱エネルギーに変換されて消費される。電力の変換効率が低い場合は、磁性コアやコイル等の発熱すべきでないものが発熱し、それらを冷却するための対策を講じる必要性がある場合がある。
ところで、実施例2において、導電層21aを発熱させる時は、励磁コイル22に高周波の交流電流を流し、交番磁界を形成する。その交番磁界は導電層21aに電流を誘導する。物理モデルとしては、トランスの磁気結合と良く似ている。そのため、電力の変換効率を考える際には、トランスの磁気結合の等価回路を用いることができる。その交番磁界によって励磁コイル22と導電層21aが磁気結合して、励磁コイルに投入した電力が導電に伝達される。
ここで述べる「電力の変換効率」は、磁界発生手段である励磁コイル22に投入する電力と、導電層21aにより消費される電力の比率である。本実施例の場合、図1に示す励磁コイル3に対して高周波コンバータ306に投入した電力と、導電層21aで消費される電力の比率である。この電力の変換効率は以下の式(522)で表すことができる。
電力の変換効率=導電層で消費される電力/励磁コイルに供給した電力
・・・(522)
励磁コイル22に供給して導電層21a以外で消費される電力は、励磁コイルの抵抗による損失、磁性コア材料の磁気特性による損失などがある。
図22に回路の効率に関する説明図を示す。図22の(a)において、21aは導電層、22は磁性コア、23は励磁コイルである。図22の(b)は等価回路を示す。
R1は励磁コイルおよび磁性コアの損失分、L1は磁性コアに周回した励磁コイルのインダクタンス、Mは巻き線と導電層との相互インダクタンス、L2は導電層のインダクタンス、R2は導電層の抵抗である。導電層を装着していない時の等価回路を図23の(a)に示す。インピーダンスアナライザやLCRメータといった装置により、励磁コイルの両端からの直列等価抵抗はR、等価インダクタンスLを測定すると、励磁コイル両端から見たインピーダンスZは式(523)のように表せる。
=R+jωL ・・・・・(523)
この回路に流れる電流は、Rにより損失する。即ちR1はコイル及び磁性コアによる損失を表している。
導電層を装着した時の等価回路を図23の(b)に示す。この導電層の装着時の直列等価抵抗Rx及びLxを測定しておけば、図23の(c)のように等価変換することで、関係式(524)を得ることが出来る。
・・・(524)
・・・(525)
・・・(526)
Mは励磁コイルと導電層の相互インダクタンスを表す。
図23の(c)に示すように、R1に流れる電流をI1、R2に流れる電流をI2とおくと式(527)が成り立つ。
・・・(527)
式(527)から式(528)を導出できる。
・・・・・(528)
効率(電力の変換効率)は、抵抗R2の消費電力/(抵抗R1の消費電力+抵抗R2の消費電力)で表されるから式(529)のように表せる。
・・・・・(529)
導電層の装着前の直列等価抵抗Rと、装着後の直列等価抵抗Rxを測定すると、励磁コイルに供給した電力のうち、どれだけの電力が導電層で消費されるかを示す電力の変換効率を求めることが出来る。
尚、実施例2においては、電力の変換効率の測定には、AgilentTechnologies社製のインピーダンスアナライザ4294Aを用いた。まず、定着フィルムの無い状態において巻線両端からの直列等価抵抗Rを測定し、次に定着フィルムに磁性コアを挿入した状態において巻線両端からの直列等価抵抗Rxを測定した。
=103mΩ、Rx=2.2Ωとなり、この時電力の変換効率は式(529)により、95.3%と求めることが出来る。以後この電力の変換効率を用いて、定着装置の性能を評価する。
ここで、装置で必要な電力の変換効率を求める。導電層21aの外側ルートを通る磁束の割合を振って電力の変換効率を評価する。図24は、電力の変換効率の測定実験に用いる実験装置を表した図である。
金属シート1Sは、幅230mm、長さ600mm、厚み20μmのアルミニウム製のシートである。この金属シート1Sを磁性コア22とコイル23とを囲むように円筒状に丸めて、太線1ST部分において導通することによって導電層とする。磁性コア22は、比透磁率が1800、飽和磁束密度が500mTのフェライトであり、断面積26mm、長さ230mmの円柱形状をしている。磁性コア22を不図示の固定手段でアルミニウムシート1Sの円筒のほぼ中央に配置する。磁性コア22にはコイル23が巻数25回で螺旋状に巻かれている。金属シート1Sの端部を矢印1SZ方向に引くと、導電層の直径1SDを18〜191mmの範囲で調整することができる。
図25は、導電層の外側ルートを通過する磁束の比率[%]を横軸にとり、21kHzの周波数における電力の変換効率を縦軸にとったグラフである。
図25のグラフ中のプロットP1以降に電力の変換効率が急上昇して70%を超えており、矢印で示すレンジR1では電力の変換効率が70%以上を維持している。P3付近において電力の変換効率は再度急上昇し、レンジR2において80%以上となっている。P4以降のレンジR3においては電力の変換効率が94%以上と高い値で安定している。この、電力の変換効率が急上昇し始めたことは導電層に効率的に周回電流が流れ始めたためである。
下記の表3は、図25のP1〜P4に該当する構成を、実際に定着装置として設計し、評価した結果である。
(定着装置P1)
本構成は、磁性コアの断面積が26.5mm(5.75mm×4.5mm)で、導電層の直径が143.2mmであり、外側ルートを通る磁束の割合は64%である。この装置のインピーダンスアナライザによって求めた電力の変換効率は54.4%であった。電力の変換効率は定着装置に投入した電力のうち、導電層の発熱に寄与した分を示すパラメータである。従って、最大1000W出力可能な定着装置として設計しても約450Wが損失となり、その損失はコイル及び磁性コアの発熱となる。
本構成の場合、立ち上げ時、数秒間1000Wを投入しただけでもコイル温度は200℃を超える場合がある。コイルの絶縁体の耐熱温度が200℃後半であること、フェライトの磁性コアのキュリー点は通常200℃〜250℃程度であることを考えると、損失45%では励磁コイル等の部材を耐熱温度以下に保つことは難しくなる。また、磁性コアの温度がキュリー点を超えるとコイルのインダクタンスが急激に低下し、負荷変動となる。
定着装置に供給した電力の約45%が導電層の発熱に使用されないので、導電層に900W(1000Wの90%を想定)の電力を供給するためには約1636Wの電力供給する必要がある。これは100V入力時、16.36Aを消費する電源という事になる。商用交流のアタッチメントプラグから投入できる許容電流をオーバーする可能性がある。よって、電力の変換効率54.4%の定着装置P1は、定着装置に供給する電力が不足する可能性がある。
(定着装置P2)
本構成は、磁性コアの断面積はP1と同じで、導電層の直径が127.3mmであり、外側ルートを通る磁束の割合は71.2%である。この装置のインピーダンスアナライザによって求めた電力の変換効率は70.8%である。定着装置のスペックによっては、コイル及びコアの昇温が課題になる場合がある。
本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置にすると、導電層の回転速度は330mm/secとなり、導電層の温度を180℃に維持する必要がある。導電層の温度を180℃に維持しようとすると、磁性コアの温度は20秒間で240℃を超える場合がある。磁性コアとして用いるフェライトのキュリー温度は通常200℃〜250℃程度であるから、フェライトがキュリー温度を超えて磁性コアの透磁率は急激に減少し、磁性コアで磁力線を適切に誘導することができなくなる場合がある。その結果、周回電流を誘導して導電層を発熱させることが難しくなる場合がある。
従って、外側ルートを通過する磁束の割合がレンジR1の定着装置を、前述した高スペックの装置にすると、フェライトコアの温度を下げるために冷却手段を設けることが望ましい。冷却手段としては、空冷ファン、水冷、放熱板、放熱フィン、ヒートパイプ、または、ベルチェ素子などを用いることができる。もちろん、本構成においてそこまでの高スペックを要求しない場合は、冷却手段は不要である。
(定着装置P3)
本構成は、磁性コアの断面積はP1と同じであり、導電層の直径が63.7mmの場合である。この装置のインピーダンスアナライザによって求められる電力の変換効率は83.9%である。磁性コア及びコイル等に定常的に熱量が発生するものの、冷却手段が必要なレベルではない。
本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置にすると導電層の回転速度は330mm/secとなり導電層の表面温度を180℃に維持する場合があるものの、磁性コア(フェライト)の温度は220℃以上に上昇することはない。従って、本構成において、定着装置を前述した高スペックする場合は、キュリー温度が220℃以上のフェライトを用いることが望ましい。
以上述べたことから、外側ルートを通る磁束の割合がレンジR2の構成の定着装置は、高スペックで使用する場合は、フェライト等の耐熱設計を最適化することが望ましい。一方、定着装置として高スペックを要求しない場合は、このような耐熱設計は不要である。
(定着装置P4)
本構成は、磁性コアの断面積がP1と同じであり、円筒体の直径が47.7mmの場合である。この装置でインピーダンスアナライザによって求められる電力の変換効率は94.7%である。本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置(導電層の回転速度は330mm/sec)で導電層の表面温度を180℃に維持する場合であっても、励磁コイルやコイル等は、180℃以上に達することはない。従って、磁性コアやコイル等を冷却する冷却手段及び特別な耐熱設計は不要である。
以上述べたことから、外側ルートを通過する磁束の割合が94.7%以上であるレンジR3は、電力の変換効率が94.7%以上となり電力の変換効率が十分高い。よって、更なる高スペックの定着装置として用いても、冷却手段は不要である。
また、電力の変換効率が高い値で安定しているレンジR3においては、導電層と磁性コアの位置関係の変動によって導電層の内側を通過する単位時間当たりの磁束の量が若干変動しても、電力の変換効率が変動量は小さく導電層の発熱量が安定する。可撓性を有するフィルムのように、導電層と磁性コアとの距離が変動しやすい定着装置において、この電力の変換効率が高い値で安定している領域R3を用いることは、大きなメリットがある。
以上述べたことから、本実施例の定着装置は少なくとも必要な電力の変換効率を満たすために外側ルートを通過する磁束の割合が72%以上である必要があることがわかる。尚、表3によると実施例2のレンジR1の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合71.2%であるが、測定誤差等を考慮して72%とする。
(4)装置が満たすべきパーミアンス又は磁気抵抗の関係式
導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が72%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの28%以下であることと等価である。従って、本実施例の特徴的な構成の一つは、磁性コアのパーミアンスをPc、導電層の内側のパーミアンスをPa、導電層のパーミアンスPsとした時に、次の式(529)を満足することである。
0.28×Pc≧Ps+Pa・・・(529)
また、パーミアンスの関係式を磁気抵抗に置き換えて表現すると下記の式(530)になる。
・・・(530)
ただし、RsとRaの合成磁気抵抗Rsaは以下の式(531)ように計算する。
・・・(531)
Rc:磁性コアの磁気抵抗
Rs:導電層の磁気抵抗
Ra:導電層と磁性コアとの間の領域の磁気抵抗
Rsa:RsとRaの合成磁気抵抗
上記のパーミアンスもしくは磁気抵抗の関係式を、定着装置の記録材の最大搬送領域全域で、円筒形回転体の母線方向に直交する方向の断面において満足することが望ましい。同様に、実施例2のレンジR2の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が92%以上である。
尚、表2によると、実施例2のレンジR2の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合91.7%であるが、測定誤差等を考慮して92%とした。導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が92%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの8%以下であることと等価である。よって、パーミアンスの関係式は以下の式(532)になる。
0.08×Pc≧Ps+Pa・・・(532)
上記のパーミアンスの関係式を磁気抵抗の関係式に変換すると以下の式(533)ようになる。
・・・(533)
更に、実施例2のレンジR3の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が95%以上である。
尚、表2によると実施例2のレンジR3の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が94.7%以上であるが測定誤差等を考慮して95%とした。導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が95%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの5%以下であることと等価である。よって、パーミアンスの関係式は以下の式(534)になる。
0.05×Pc≧Ps+Pa・・・(534)
上記のパーミアンスの関係式(534)を磁気抵抗の関係式に変換すると以下の式
(535)になる。
・・・(535)
ところで、定着装置の最大の画像領域内の部材等が長手方向で均一な断面構成を有している定着装置についてパーミアンス及び磁気抵抗の関係式を示した。ここでは、長手方向で定着装置を構成する部材が不均一な断面構成を有する定着装置について説明する。図26は、導電層の内側(磁性コアと導電層の間の領域)に温度検知部材240を有している。その他の構成は実施例2と同様で、定着装置は導電層を有するフィルム21と、磁性コア22と、ニップ部形成部材24と、を備える。
磁性コア22の長手方向をX軸方向とすると、最大画像形成領域はX軸上の0〜Lpの範囲である。例えば、記録材の最大搬送領域をLTRサイズ215.9mmとする画像形成装置の場合、Lp=215.9mmとすれば良い。温度検知部材9は、比透磁率1の非磁性体によって構成されており、X軸に垂直方向の断面積は5mm×5mmであり、X軸に平行方向の長さは10mmである。X軸上のL1(102.95mm)からL2(112.95mm)の位置にて配置されている。
ここで、X座標上0〜L1を領域1、温度検知部材240が存在するL1〜L2を領域2、L2〜LPを領域3と、呼ぶ。領域1における断面構造を図27の(A)に、領域2における断面構造を図27の(B)に示す。図27の(B)に示すように、温度検知部材9はフィルム21に内包されているため、磁気抵抗計算の対象となる。厳密に磁気抵抗計算を行うためには、領域1と、領域2と、領域3と、に対し、別々に「単位長さ当たりの磁気抵抗」を求め、各領域の長さに応じて積分計算を行い、それらを足し合わせて合成磁気抵抗を求める。まず、領域1または3における各部品の単位長さ当たりの磁気抵抗を、下記の表4に示す。
領域1における磁性コアの単位長さ当たりの磁気抵抗r1は下記のようになる。
1=2.9×10[1/(H・m)]
ここで、導電層と磁性コアとの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗rは、フィルムガイドrの単位長さ当たりの磁気抵抗と導電層の内側の磁気抵抗rairの単位長さ当たりの磁気抵抗との合成磁気抵抗である。従って、下記の式(536)を用いて計算できる。
・・・(536)

計算の結果、領域1における磁気抵抗r1、及び、領域1における磁気抵抗r1は下記のようになる。
1=2.7×10[1/(H・m)]
1=5.3×1011[1/(H・m)]
また、領域3は領域1と同じであるから下記のようになる。
3=2.9×10[1/(H・m)]
3=2.7×10[1/(H・m)]
3=5.3×1011[1/(H・m)]
次に、領域2における各部品の単位長さ当たりの磁気抵抗を下記の表5に示す。
領域2の磁性コアの単位長さ当たりの磁気抵抗r2は下記のようになる。
2=2.9×10[1/(H・m)]
導電層と磁性コアの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗rは、ニップ部形成部材rの単位長さ当たりの磁気抵抗と、サーミスタrの単位長さ当たりの磁気抵抗と、導電層の内側の空気rairの単位長さ当たりの磁気抵抗と、の合成磁気抵抗である。従って下記の式(537)で計算できる。
・・・(537)
計算の結果、領域2のおける単位長さ当たりの磁気抵抗r2及び単位長さ当たりの磁気抵抗r2は下記のようになる。
2=2.7×10[1/(H・m)]
2=5.3×1011[1/(H・m)]
領域3の計算方法は領域1と同じであるので省略する。
尚、導電層と磁性コアの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗rにおいて、r1=r2=r3となっている理由について説明する。
領域2における磁気抵抗計算は、サーミスタ9の断面積が増加し、導電層の内側の空気の断面積が減少している。しかし両方とも比透磁率は1であるため、結局サーミスタ9の有無によらず磁気抵抗は同一となる。すなわち、導電層と磁性コアの間の領域に非磁性体のみが配置されている場合には、磁気抵抗の計算は空気と同じ扱いをしても、計算上の精度としては十分である。なぜなら、非磁性体の場合、比透磁率は殆ど1に近い値になるからである。これとは逆に、磁性体(ニッケル、鉄、珪素鋼等)の場合は、磁性体ある領域をその他の領域と分けて計算した方が良い。
導電層の母線方向の合成磁気抵抗としての磁気抵抗R[A/Wb(1/H)]の積分は、各領域の磁気抵抗r1,r2,r3[1/(H・m)]に対して下記の式(538)ように計算できる。
・・・(538)
従って、記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間におけるコアの磁気抵抗Rc[H]は下記の式(539)ように計算できる。
・・・・・・(539)
また、記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間における導電層と磁性コアとの間の領域の合成磁気抵抗Ra[H]は、下記の式(540)ように計算できる。
・・・(540)
記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間における導電層の合成磁気抵抗Rs[H]は次の式(541)のようになる。
・・・(541)
上記の計算を、それぞれの領域において行ったものを以下の表6に示す。
上記表6から、Rc、Ra,Rsは下記のようになる。
Rc=6.2×10[1/H]
Ra=5.8×1011[1/H]
Rs=1.1×1014[1/H]
RsとRaの合成磁気抵抗Rsaは以下の式(542)で計算できる。
・・・(542)
以上の計算から、Rsa=5.8×1011[1/H]となるので、下記の式
(543)を満たしている。
・・・(543)
このように、導電層の母線方向で不均一な横断面形状を有している定着装置の場合は、導電層の母線方向で複数の領域に分けて、その領域毎に磁気抵抗を計算し、最後にそれらを合成したパーミアンス又は磁気抵抗を計算すればよい。ただし、対象となる部材が非磁性体である場合は、透磁率がほぼ空気の透磁率と等しいため、空気とみなして計算して良い。
次に、上記計算に計上すべき部品について説明する。導電層と磁性コアとの間の領域にあり、少なくとも一部が記録材の最大搬送領域(0〜Lp)のに入っている部品に関しては、パーミアンス又は磁気抵抗を計算することが望ましい。逆に、導電層の外側に配置された部材は、パーミアンス又は磁気抵抗を計算する必要はない。なぜなら、前述したようにファラデーの法則において誘導起電力は回路を垂直に貫く磁束の時間変化に比例するものであり、導電層の外側の磁束とは無関係だからである。また、導電層の母線方向における記録材の最大搬送領域外に配置した部材は、導電層の発熱には影響しないため、計算する必要はない。
[他の実施例]
実施例1の定着装置110において、フィルム1回転周期の温度の変動量として、実施例2で説明したフィルム1回転周期の最大温度と基準温度(平均温度)との差分を用いてもよい。或いは、フィルム1回転周期の最低温度と最高温度の差分を用いてもよい。
実施例2の定着装置110において、フィルム1回転周期の温度の変動量として、実施例1で説明したTpp、或いはt1を用いてもよい。
また、実施例2の定着装置110において、装置の都合上、フィルム21の長手方向の中央と端部で例えば同じ検温素子が使用できないことが予想される。この場合は、検温素子間の対応関係を不図示のメモリなどに記憶するなどして、テーブルや関係式をもとにフィルム破損を検出すればよい。或いは、何らかの部材を介してフィルム21の温度を検知するように構成した場合、検温素子による測定温度帯が異なる。このように検温素子による測定温度帯が異なる場合も、検温素子間の対応関係を不図示のメモリなどに記憶するなどして、テーブルや関係式をもとにフィルム破損を検出すればよい。また、例示した4mm未満のフィルム破損を検出する場合は、検温素子の数を増すことで可能となる。
実施例1、及び実施例2の定着装置110において、フィルム1,21の長手方向の異なる位置に検温素子を2つ以上有し、これらの検温素子の検知温度の結果を比較してフィルム1回転周期の温度の変動量を求めてもよい。
実施例1、及び実施例2の定着装置110において、検温素子9,10,11は非接触タイプのサーミスタに限られず接触タイプのサーミスタを用いてもよい。非接触タイプのサーミスタや、接触タイプのサーミスタはフィルム1,21の内側にあってもよい。
また、フィルム1,21の周速度が高速な場合であって、検温素子9,10,11の応答性の観点から、フィルム1回転周期の温度の変動量が正確に検出できないことが予想される。この場合は、通常の画像形成時の回転速度よりも遅い速度でフィルム1,21を回転し、上述したStep1−1〜Step1−8の処理を行えばよい。
一般的に、フィルム破損は、ジャム等で定着装置内に残留した記録材を想定外の方法で取り除いた場合などに発生する可能性がある。したがって、画像形成装置100から定着装置110を出し入れした場合や、画像形成装置の電源ON直後の、装置動作確認時に、前述したStep1−1〜Step1−8の処理を短時間に行う。このように実際のプリント動作に至る前にフィルム破損を検出すれば、装置を使用する上でより望ましい。
実施例1の定着装置110において、フィルム破損が生じた場合にフィルム1の長手全域で表面温度に変動が生じる場合、温度制御用の検温素子9も温度変動を検知してしまう。そのため、図5に示したように、定着装置110が温調目標温度に到達した後に、フィルム1回転周期の温度の変動が大きくなる場合がある。このような場合は、定着装置110の立上げ時と、温調目標温度到達後とで、フィルム破損の有無を判断するフィルム1回転周期の所定値を変更するなどしてもよい。
実施例1、及び実施例2では、温調目標温度に到達する前の定着装置110の立上げ時におけるフィルム破損検知シーケンスを説明した。フィルム破損検知シーケンスを実行するタイミングはこれに限られず記録材Pが定着装置110を通過している時、或いは通紙中における記録材Pが定着装置110を通過していない時でも構わない。ここで、記録材Pが定着装置110を通過している時とは、記録材Pをニップ部Nで搬送しつつトナー画像Tを加熱定着しているときをいう。通紙中における記録材Pが定着装置110を通過していない時とは、連続してニップ部に導入される先行の記録材と後続の記録材との記録材間をいう。
実施例1、及び実施例2の定着装置110では、筒状の回転体としてフィルム1,21を用いた例を説明したが、フィルムに代えて発熱層1a,21aあるいは弾性層1b,21bの厚みがより厚い、いわゆる定着ローラを用いてもよい。
実施例1の定着装置110では、フィルム1の両端部にフランジ部材12a,12bを接触させ、このフランジ部材を通して、フィルムの回転軸線Xの方向に交番電流を流すことで、フィルムが発熱する例を説明した。この定着装置110の変形例として、フィルム1の両端部に接触させたフランジ部材12a,12bを通して、フィルムの回転軸線Xの方向に直流電流を印加する定着装置もある。図17は、フィルム1に直流電流を印加する定着装置において、フィルム破損がある場合に、フィルム1回転周期で温度変動する現象を説明するための図である。図17ではフランジ部材12a,12bの図示を省略した。
実施例1の定着装置110では、図6(c)、(d)のフィルム1のフィルム1回転周期の時間平均をすると、フィルム破損が生じている箇所のフィルムの長手全域で電流密度の疎密状態が発生し、フィルムの長手全域でフィルム1回転周期の温度変動が生じた。
これに対し、フィルム1に直流電流を印加する定着装置では、図17(a)のように、フィルム1に一方向にしか電流は流れない。したがって、図17(b)のように、フィルム破損が発生すると、電流がフィルム破損端B、及びフィルム破損端Cを迂回した後の領域でのみ電流密度の疎密状態が発生する。したがって、実施例1の定着装置110と同様に、フィルム破損が発生した箇所からフィルム1の長手方向に十分離れた位置では、フィルム温度が破損の影響を受けない。
このような場合は、実施例2のように、フィルム21の長手方向に配置した検温素子9,10,11のそれぞれの検知温度を基にフィルム1回転周期の温度の変動量をモニターする。そしてそのフィルム1回転周期の温度の変動量が所定値より大きい場合に、フィルム破損有りと判断するようにすればよい。
1,21:フィルム、8,25:加圧ローラ、9,10,11:検温素子、12a,12b:フランジ部材、22:磁性コア、23:励磁コイル、100A:画像形成部、110:定着部、N:ニップ部、P:記録材、Tpp,t1:フィルム1回転周期の温度の変動量、X:フィルムの回転軸線

Claims (10)

  1. 通電によって発熱する筒状の回転体と、前記回転体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を搬送しながら加熱し画像を記録材に定着する定着装置において、
    前記回転体の温度を検知する温度検知部材を有し、前記温度検知部材の検知温度の回転体1回転周期の変動量が所定量より大きい場合に、前記回転体の通電を停止することを特徴とする定着装置。
  2. 通電によって発熱する筒状の回転体と、前記回転体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を搬送しながら加熱し画像を記録材に定着する定着装置において、
    前記回転体の温度を検知する温度検知部材を有し、前記温度検知部材の検知温度の回転体1回転周期の変動量が所定量より大きい場合に、異常を報知することを特徴とする定着装置。
  3. 前記変動量とは、前記回転体が1回転する期間の最大温度と基準温度の差分であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記変動量とは、前記回転体が1回転する期間の最大温度と最低温度の差分であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  5. 前記変動量とは、前記回転体が1回転する期間の基準温度に対して低温が持続する時間であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  6. 前記温度検知部材を少なくとも2つ以上有し、前記2つ以上の温度検知部材の検知温度の結果を比較して前記変動量を求めることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の定着装置。
  7. 前記温度検知部材を複数有し、前記複数の温度検知部材は、それぞれ、前記回転体の回転軸線の方向において異なる位置の温度を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の定着装置。
  8. 前記回転体の両端部に電極部材を接触させ、前記電極部材を通して、前記回転体の回転軸線の方向に電流を流すことで、前記回転体が発熱することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の定着装置。
  9. 前記回転体の内部に挿通された磁性芯材と、前記磁性芯材に対し、前記回転体の回転軸線に交差する方向に、巻線を施すことによって形成される励磁コイルと、を有し、前記励磁コイルに交流電流を流すことで、前記回転体の周回方向に誘導電流を生じさせ、前記誘導電流により前記回転体が発熱することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の定着装置。
  10. 記録材に画像を形成する画像形成部と、記録材に形成された画像を記録材に定着する定着部と、を有する画像形成装置において、
    前記定着部として請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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