JP6272000B2 - 定着装置 - Google Patents

定着装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6272000B2
JP6272000B2 JP2013261512A JP2013261512A JP6272000B2 JP 6272000 B2 JP6272000 B2 JP 6272000B2 JP 2013261512 A JP2013261512 A JP 2013261512A JP 2013261512 A JP2013261512 A JP 2013261512A JP 6272000 B2 JP6272000 B2 JP 6272000B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive layer
fixing
film
magnetic
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013261512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015118253A (ja
Inventor
征児 尾畑
征児 尾畑
康治 内山
康治 内山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2013261512A priority Critical patent/JP6272000B2/ja
Priority to US14/571,169 priority patent/US9454117B2/en
Publication of JP2015118253A publication Critical patent/JP2015118253A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6272000B2 publication Critical patent/JP6272000B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/206Structural details or chemical composition of the pressure elements and layers thereof
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2053Structural details of heat elements, e.g. structure of roller or belt, eddy current, induction heating
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2053Structural details of heat elements, e.g. structure of roller or belt, eddy current, induction heating
    • G03G15/2057Structural details of heat elements, e.g. structure of roller or belt, eddy current, induction heating relating to the chemical composition of the heat element and layers thereof
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G2215/00Apparatus for electrophotographic processes
    • G03G2215/20Details of the fixing device or porcess
    • G03G2215/2003Structural features of the fixing device
    • G03G2215/2016Heating belt
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G2215/00Apparatus for electrophotographic processes
    • G03G2215/20Details of the fixing device or porcess
    • G03G2215/2003Structural features of the fixing device
    • G03G2215/2016Heating belt
    • G03G2215/2035Heating belt the fixing nip having a stationary belt support member opposing a pressure member

Description

本発明は電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置に関するものである。
近年、筒状のフィルム(ベルトとも言う)を定着用回転体として用いた定着装置が増えてきている。これらの装置は、フィルムを用いることによって熱容量が抑えられており、また、装置の消費電力も抑えられている。フィルムを用いた装置として、フィルムの内面にセラミックヒータを接触させたものや、熱源としてハロゲンヒータを用いたもの等がある。
フィルムは撓むので、フィルムを用いた装置において定着ニップ部を形成するためには、フィルム内面に接触しフィルムをフィルム内部からバックアップするバックアップ部材が必要となる。また、定着ニップ部を形成するために必要な荷重を掛けた際のバックアップ部材の撓みを抑えるため、梁となる金属製の補強部材(ステー)でバックアップ部材を補強する必要がある。セラミックヒータを用いた装置の場合、ヒータや樹脂製のヒータホルダがバックアップ部材の役割を果たす。ハロゲンヒータを用いた装置の場合も、補強部材とフィルムの間に樹脂製の成型部品或いはシート状のバックアップ部材を設けている。
ところで、小サイズの記録材に連続プリントする際の単位時間当たりの出力枚数の低下を抑えるための手法の一つとして、記録材搬送方向における定着ニップ部の幅を長くする方法がある。ニップ幅を長くすると、その分、トナー画像の定着時の制御目標温度(定着温度)を下げることができ、定着器の記録材が通過しない非通紙部の昇温を抑えることができる。非通紙部の昇温を緩和できるので単位時間当たりの出力枚数の低下を抑えることができるのである。フィルムを用いた定着装置でニップ幅を長くするには、バックアップ部材の記録材搬送方向の幅を大きくする必要がある。バックアップ部材の幅が大きくなると、バックアップ部材のより広いエリアを補強部材によって補強する必要がある。
補強部材として、重量を抑え且つ断面二次モーメントを確保するために、金属板を断面がU字形状となるように曲げ加工したものを採用した装置が多い。セラミックヒータを用いた装置の場合、ヒータの温度をモニタするセンサや、異常時にヒータへの電力供給を遮断するためのスイッチ構造を有する保護素子(温度ヒューズやサーモスイッチ)をヒータの裏面に配置する必要がある。これらの素子をヒータの裏面に配置するためヒータホルダには貫通穴が設けられている。また、これらの素子の配線をフィルムの筒の外に出すため、補強部材はU字の脚の部分をヒータホルダに押し付け、配線を通す空間を確保する構成となっている。しかしながら、補強部材のU字の脚部分をバックアップ部材に接触させ補強する構成の場合、両者の接触領域が狭いためバックアップ部材の広い領域を補強するのは難しい。
一方、補強部材のU字の底部である平面部をバックアップ部材に接触させ補強する構成を採用できる場合、バックアップ部材の広い領域を補強できるのでニップ幅を広くするのに適している。しかしながら、上述のように、セラミックヒータを用いた装置の場合、ヒータの裏面に配置する素子及び素子の配線の為の空間が必要となり、補強部材の平面部をバックアップ部材に押し当てる構成を採用するのは難しい。
そこで、ハロゲンヒータのような熱源でフィルムを輻射加熱する方式を用いれば、バックアップ部材に保護素子等を配置するための貫通穴を設ける必要もないので、補強部材の平面部をバックアップ部材に押し当てる構成を採用できる(特許文献1)。また、フィルムを輻射光で加熱する方式は、フィルムの周方向における広い領域を加熱できるので、フィルムを定着可能な温度までウォームアップする時間を短縮できるというメリットもある。
特開2004−94146公報
しかしながら、フィルムを輻射光により加熱する方式で、上述したような補強部材の平面部をバックアップ部材に押し当てる構成を採用すると、この補強部材が輻射光を遮ることになり、輻射光が当たるフィルムのエリアが限られてくる。輻射光が当たるエリアが狭くなってしまうと、定着に必要なフィルム温度を確保するのが難しくなる。フィルムの直径を大きくすれば加熱エリアを増やすことはできるが、この対策ではフィルムの熱容量を大きくしてしまう。
そこで、本発明の目的は、定着ニップ部の幅を大きくしても、フィルムの周方向に関してフィルムの広い領域を加熱できる定着装置を提供することにある。
上述の課題を解決するための本発明は、筒状の定着フィルムと、前記定着フィルムの内面に接触し前記定着フィルムをバックアップするバックアップ部材と、前記定着フィルムの外面に接触しており、前記定着フィルムを介して前記バックアップ部材と共に定着ニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記バックアップ部材の前記定着フィルムと接触する面とは反対側の面に設けられており、前記バックアップ部材を補強する金属板と、を有し、前記金属板と前記ニップ部形成部材の間には前記定着ニップ部を形成するための圧力が掛っており、前記定着ニップ部で未定着画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着画像を加熱定着する定着装置において、前記定着フィルムは導電層を有し、前記定着装置は更に、螺旋軸が前記定着フィルムの母線方向と略平行である螺旋形状部を有し、前記導電層を電磁誘導発熱させる交番磁界を形成するためのコイルと、前記螺旋形状部の中に配置され、前記交番磁界の磁力線を誘導するためのコアと、を有し、前記交番磁界により前記定着フィルムの周方向における前記導電層全域に前記周方向に電流が流れて前記定着フィルムが発熱し、前記金属板は、前記定着フィルムの母線方向一端から見た時の断面がU字形状となっており、U字の底部が平面部となっていて、前記平面部が前記バックアップ部材に押し当てられており、前記定着装置を前記母線方向一端から見た時の装置断面において、前記U字形状の前記底部及び二つの脚部で囲われた領域に、前記コアが入り込むように前記コアが配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、定着ニップ部の幅を大きくしても、フィルムの周方向に関してフィルムの広い領域を加熱できる定着装置を提供できる。
画像形成装置の断面図。 定着装置の斜視図。 定着装置及びフィルムの断面図。 定着装置の分解図。 定着装置内のレイアウトを説明するための図。 定着装置の発熱メカニズムの説明図。 有限長ソレノイドを配置した構造体の模式図。 単位長さ当たりのコア・コイル・円筒体を含む空間の磁気等価回路図。 磁性コアとギャップの模式図。 回路の効率に関する説明図。 回路の効率に関する説明図。 変換効率の測定実験に用いる実験装置の図。 導電性回転体外部磁束の比率と変換効率の関係図。 導電層を有するフィルムと磁性コアと温度検知部材の斜視図。 導電層を有するフィルムと磁性コアと温度検知部材の断面図。
(実施例1)
図1は電子写真記録技術を用いたレーザプリンタ(画像形成装置)100の断面図である。プリント信号が発生すると、画像情報に応じて変調されたレーザ光を半導体レーザ22が出射する。レーザ光はポリゴンミラー23で偏向され、反射鏡24を介してスキャナユニット21から出射する。このレーザ光で帯電ローラ16によって所定の極性に帯電された感光体19を走査する。これにより感光体19には静電潜像が形成される。この静電潜像に対して現像器17からトナーが供給され、感光体19上に画像情報に応じたトナー画像が形成される。一方、給紙カセット11に積載された記録材Pはピックアップローラ12によって一枚ずつ給紙され、ローラ13によってレジストローラ14に向けて搬送される。さらに記録材Pは、感光体19上のトナー画像が感光体19と転写ローラ20で形成される転写位置に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ14から転写位置へ搬送される。記録材Pが転写位置を通過する過程で感光体19上のトナー画像は記録材Pに転写される。その後、記録材Pは定着器200で加熱されてトナー画像が記録材Pに加熱定着される。定着済みのトナー画像を担持する記録材Pは、ローラ26、27によってプリンタ上部のトレイに排出される。なお、18は感光体19を清掃するクリーナ、30は定着器200等を駆動するモータである。上述した、感光体19、帯電ローラ16、スキャナユニット21、現像器17、転写ローラ20が、記録材Pに未定着画像を形成する画像形成部を構成している。15は、帯電ローラ16、現像器17、感光体19、クリーナ18を収容するカートリッジであり、このカートリッジは画像形成装置本体に対して着脱可能となっている。
次に、定着装置(定着器)200について図2〜図5(a)を用いて説明する。定着装置200は電磁誘導加熱方式を採用している。定着装置の斜視図を図2に、図2中のA−A断面図を図3(a)に示す。図3(b)は定着フィルム1の断面図である。また図4は定着装置を部品単位に分解した斜視図である。図5(a)は、磁性コア2とステー4の関係を説明するための図である。図中、1は筒状の定着フィルム(定着ベルト)、7は加圧ローラ(ニップ部形成部材)、4は、梁としてのステー(補強部材)、9はガイド部材(バックアップ部材)、2は磁性コア、3は磁性コア2に螺旋状に巻き回された励磁コイルである。定着装置200は、定着ニップ部Nで未定着画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着画像を加熱定着する。以下、定着装置について詳しく説明する。
フィルム1は、導電層1a、ゴム層1b、離型層1cを有する。導電層1aは非磁性材料で形成されており、具体的には、銀、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、銅、等の材質、またはこれらの合金で形成されている。導電層1aは厚みの範囲20μm〜75μmで形成するのが好ましい。導電層1aの周りにはシリコーンゴム等の材質のゴム層1b、及びフッ素樹脂等の材質の離型層1cを設けている。本例のフィルム1は、直径30mmであり、導電層1aは、厚み50μmのアルミニウムで形成されている。また、ゴム層1bは厚み300μmのシリコーンゴム、離型層1cは厚み30μmのPFA(tetrafluoroethylene−perfluoroalkyl vinyl ether copolymer)チューブである。ゴム層1bは省略してもよい。
定着フィルム1の内面に接触し、定着フィルム1を内部からバックアップするバックアップ部材9は、フィルムのガイド機能も有する。本例ではバックアップ部材をガイド部材と称する。ガイド部材9は、PPS(Polyphenylene−sulfide)やLCP(Liquid Crystal Polymer)等の耐熱性樹脂で形成されている。ガイド部材9の定着フィルムと接触する面には、厚さ0.2〜1.0mmの非磁性金属、或いはPFAやポリイミド等の樹脂で形成した摺動層(摺動部材)を設けてもよい。本例では、ガイド部材をPPSで構成し、定着フィルムとの接触面には、アルミニウムの板材にPFAをコーティングした摺動部材6を取り付けている。
加圧ローラ7は、定着フィルム1外面に接触しており、定着フィルムを介してバックアップ部材9と共に定着ニップ部Nを形成するニップ部形成部材の役割を有する。加圧ローラ7は、φ19mmのアルミニウム製芯金の周りに、シリコーンゴム等のゴム層とPFAの離型層を各々3mm、30μmの厚みで形成している。加圧ローラ7は定着装置のフレーム10に軸受を介し回転自在に支持されるとともに、画像形成装置本体に設けられたモータで図中B方向に回転駆動されている。
バックアップ部材9の定着フィルム1と接触する面とは反対側の面9cに接触するように設けられており、バックアップ部材9を補強する金属板であるステー4は非磁性材料で形成されている。また、100〜500N程度の大きな荷重Eを受けるので強度の高い材質にする必要がある。具体的に、ステー4は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、等の非磁性の金属、またはこれらの合金で形成された金属板で構成されている。また、ステー4は、断面二次モーメントを確保するため厚み1〜3mmの金属板を断面がU字形状となるように曲げ加工したものである。本例では、厚み1.5mmのオーステナイト系ステンレスの金属板を断面がU字形状となるように曲げ加工してある。また、ステー4は、U字形状の底部4cが平面部となっており、この平面部をガイド部材9の面9cに押し当てている。図5(a)のように、ステー4の底面部4cとガイド部材9の面9cの接触幅PRは、定着ニップ部Nの幅より大きい。
ステー4の両端部には、フィルム1の母線方向への寄り移動を規制するフランジ(規制部材)5が取り付けられている。フィルム1は、フランジ5の規制面5aで寄り移動を規制される。フランジ5は、定着装置のフレーム10に設けられた開口部に対してスライドさせて装着されている。定着ニップ部Nを形成するための荷重(圧力)Eは、二つのフランジ5、ステー4、ガイド部材9、摺動部材6、フィルム1、加圧ローラ7、フレーム10の順に掛っている。
ステー4の内側(U字の凹部)には、螺旋軸が定着フィルム1の母線方向と略平行である螺旋形状部を有し、導電層1aを電磁誘導発熱させる交番磁界を形成するための励磁コイル3が設けられている。また、螺旋形状部の中には交番磁界の磁力線を誘導するためのコア2が設けられている。コイル3に高周波電流を流して発生する交番磁界によって導電層1aにフィルムの周方向に流れる誘導電流が発生し、定着フィルム周方向における導電層全域が発熱する。
コイル3は、細い線材を撚り合わせたリッツ線等により形成され、コア2に対し、所定間隔で10〜100回巻き回されている。本例のコイルの巻き数は16である。
磁性コア2は、例えば焼成フェライト、フェライト樹脂、非晶質合金(アモルファス合金)、やパーマロイ等の高透磁率の酸化物や合金材質で構成される強磁性体である。また、好ましくは、フィルム1の内部に収納可能な範囲で極力断面積を大きくとることがよい。形状は円柱形状に限定されず、角柱形状なども選択できる。本例ではφ14mmの円柱形状の焼成フェライトを用いている。なお、コア2とコイル3の間は絶縁部材で電気的に絶縁してある。
コイル3を巻いたコア2は、カバー8a及び8bに収容されている。カバー8a及び8bに収容さえたコイル及びコア(以下コイルユニット8Uとも称する)は、ステー4の凹部に挿入され、ステー4に保持されている。カバー8bのステー4のU字の脚部4aに対向する位置には、複数のリブ8b1が設けられており、更にステー4のU字の底部4cに対向する位置にはリブ8b2が設けられている。これらのリブ8b1及び8b2がステー4の内面に接触することにより、コイルユニット8Uはステー4の凹部における位置を定められている。また、コイルユニット8Uは、ステー4の内部(凹部)に設置されているだけであり、これらの部材に荷重Eは掛っていない。
図2に示すように、ステー4に保持された状態のコイルユニット8Uの端部は、フィルム1の寄り移動を規制するフランジ5の規制面5aよりも、フィルム母線方向に関し外側まで突出している。また、コイルユニット内のコア2及びコイル3も、規制面5aよりも外側まで突出している。
フィルム1の内面にはフィルムの温度を検知するサーミスタ(温度検知素子)240が弾性的に接している。サーミスタ240を保持する保持部材240aには穴が設けられており、カバー8bに設けられたボス8b3に保持部材240aに設けた穴を嵌合させることにより、サーミスタ240をカバー8bに保持させている。コイル3へ供給する電力は、温度検知素子240の検知温度に応じて制御される。
前述したように、定着ニップ部の幅(記録材搬送方向の長さ)Nを大きくするには、バックアップ部材9の幅(記録材搬送方向の長さ)も大きくしなければならない。また、大きな幅を有するバックアップ部材に荷重Eが掛ってもバックアップ部材の撓みを抑えるには、ステー4の底面部4cの幅(記録材搬送方向の長さ)も大きくする必要がある。したがって、フィルム1の周長Laのうち、ステー4の底面部4cよりも加圧ローラ側の領域Ln(図5(a)参照)は、定着ニップ部Nを形成するのに必要な領域として割かれてしまう。そのため、フィルムを筒の内部からハロゲンヒータで輻射加熱する方式の定着装置の場合、フィルムの加熱領域が狭くなり、フィルムのウォームアップに不利になってしまう。フィルムの周長を長くすれば加熱領域を広げられるが、この対策は、フィルムの熱容量を大きくしてしまいフィルムを用いるメリットが低減してしまうし、装置の大型化も抑制できない。
そこで本実施例では、フィルムに導電層1aを設け、更に、フィルムの内部に、螺旋軸がフィルム1の母線方向と略平行であるコイル3とコア2を有するコイルユニット8Uを設けている。そして、コイルに高周波電流を流すことによりコアの両端部から出る磁束の多くが導電層1aの外を通り、導電層1aに、その周方向に誘導電流が流れるように構成している。これにより、フィルムの周方向に関しフィルム全体が発熱するので、定着ニップ部Nの幅が大きくなっても、ウォームアップに要する時間を短縮できる。
次に、本実施例の定着装置に搭載する部品のレイアウトに関して詳しく説明する。上述したように、本例の定着装置は、コイルに高周波の交番電流を流すことにより交番磁界(磁束)を発生させ、この磁束を打ち消す磁束が生じるようにフィルムの導電層1aに誘導電流を発生させる誘導加熱方式の定着装置である。但し、導電層1aの周方向に誘導電流が流れるように(即ち、導電層の周方向全体に電流が流れるように)、コア2内部を通りコア2の端部から出る磁束の多くが、導電層1aの外(筒の外)を通過する磁束を形成している。
このような、交番磁界を形成するためには、フィルム(導電層)の径に対するコア2の径の割合を大きくする必要がある。即ち、図3(a)に示した定着装置の断面において、フィルムの筒の内部に占めるコアの面積の割合が決まってくる。また、トナー画像の定着に必要な温度を下げるには、定着ニップ部Nの幅を大きくする必要があり、所望の定着ニップ部幅を形成するのに必要な加圧力(荷重E)、及びステー4の底面部4cの幅も決まってくる。
更に、荷重Eに耐えるためのステーの断面二次モーメントも決まるが、所望の断面二次モーメントを確保するためのステーの形状は種々考えられる。そこで、フィルムの大径化を抑えつつ、所定の断面積のコアを収容でき、且つ所定幅の定着ニップ部を形成できる装置構成を検討した。図5(a)は、本実施例の定着装置の断面図、図5(b)は比較例の定着装置の断面図である。図5(a)に示すステー4と図5(b)に示すステー4Xの材質及び断面二次モーメントは同じであり、また、図5(a)のステー4とガイド部材9の接触幅と、図5(b)のステー4Xとガイド部材9Xの接触幅は共にPRで同じである。
図5(a)と図5(b)を比較すれば理解できるように、定着ニップ部に対して垂直な方向のフィルムの径は、フィルム1がTであるのに対して、フィルム1XはT1(T1>T)の関係となっている。また、フィルムの周長も、図5(a)が図5(b)よりも小さい。これらの違いは、ステーの断面形状の違いから生じている。図5(a)の装置は、断面U字形状のステー4の内部(凹部)の領域Uにコア2が入り込んでいるため、径Tが小さくなっているのに対して、図5(b)の装置のコア2は断面U字形状のステー4Xの内部に入っていない。このため、両者は定着ニップ部に対して垂直な方向のフィルムの径が異なり、装置の大きさに違いが生じている。
このように、本実施例の装置は、装置をフィルムの母線方向一端から見た時の装置断面において、U字形状のステーの底部4c及び二つの脚部4aで囲われた領域Uに、コアが入り込むようにコアが配置されている。この構成により、装置の大型化を抑えている。
次に、装置の大型化を抑える上で、より好ましいレイアウトに関して図5(a)〜図5(c)に基づき説明する。表1に、ステーの形状を変えた3つの装置の比較結果を示す。これらの比較は、ステーの強度が一定で、ステーの底面部の長さPRも一定という前提である。各パラメータは、ステー4の曲げ部の高さ4H、ステー4の厚さ4T、コアの全断面積2aのうち領域Uに入り込んでいる面積2bの割合(2b/2a)、領域Uのうちコア面積2bの占める割合(2b/U)である。
検討の結果、装置3のように、所定の断面二次モーメントを確保するためには、ステー4の高さ4Hが小さくなるとステー4の厚み4Tを大きくしなければならない。この結果、面積比(2b/2a)及び面積比(2b/U)がいずれも小さくなり、高さTが大きくなってしまう。また、厚み2.3mmを超える金属板材は流通量が少なくコストが高い。したがって、装置を小型化するには、装置1及び装置2のように、面積比2b/2aが20%以上となるような構成にするのが好ましい。更に、面積比2b/Uが20%以上となるような構成にするのが好ましい。また、定着フィルム1の周方向の長さLaに対して、ステーの平面部を広げた仮想平面よりも定着ニップ部側のフィルムの長さLnが20%以上とするのが好ましい。
次に、フィルムの周方向全体に誘導電流を流すのに好ましい構成を説明する。
(1)本実施例の定着装置の発熱メカニズム
図6(a)を用いて本実施例の定着装置の発熱メカニズムについて説明する。コイルに交番電流を流して生じた磁力線は、磁性コア2の内部を導電層1aの母線方向(S極からN極に向かう方向)に通過し、磁性コア2の一端(N極)から導電層の外側に出て磁性コア2の他端(S)に戻る。導電層1aには、コイルにより発生した磁束を打ち消す磁束を発生させるように誘導起電力が生じ、導電層の周方向に電流が誘導される。この誘導電流によるジュール熱で導電層が発熱する。導電層1aに生じる誘導起電力Vの大きさは、下記の式(1)のように、導電層1aの内部を通過する単位時間当たりの磁束の変化量(Δφ/Δt)及びコイルの巻き数Nに比例する。
(2)導電層の外側を通る磁束の割合と電力の変換効率との関係
ところで、図6(a)の磁性コア2はループを形成しておらず端部を有する形状である。図6(b)のような磁性コア2が導電層1aの外でループを形成している定着装置における磁力線は、磁性コアに誘導されて導電層の内側から外側に出て内側に戻る。しかしながら、本実施例のように磁性コア2が端部を有する構成の場合、磁性コア2の端部から出た磁力線を誘導するものはない。そのため、磁性コア2の一端を出た磁力線が磁性コアの他端に戻る経路(N極からS極)は、導電層の外側を通る外側ルートと、導電層の内側を通る内側ルートがある。以後、導電層の外側を通って磁性コア2のN極からS極に向かうルートを外側ルート、導電層の内側を通って磁性コア2のN極からS極に向かうルートを内側ルートと呼ぶ。
この磁性コア2の一端から出た磁力線のうち外側ルートを通る磁力線の割合は、コイルに投入した電力のうち導電層の発熱で消費される電力(電力の変換効率)と相関があり、重要なパラメータである。外側ルートを通る磁力線の割合が増加する程、コイルに投入した電力のうち導電層の発熱で消費される電力の割合(電力の変換効率)は高くなる。この理由は、トランスにおいて漏れ磁束が十分少なく、トランスの1次巻線と2次巻線の中を通過する磁束の数が等しいと電力の変換効率は高くなることと原理は同じである。つまり、磁性コアの内部を通過する磁束と、外側ルートを通過する磁束の数が近い程、電力の変換効率は高くなり、コイルに流した高周波電流を導電層の周回電流として効率よく電磁誘導できることになる。
図6(a)におけるコアの内部をS極からN極に向かう磁力線と、内側ルートを通る磁力線は向きは反対であるから、これらの磁力線は打ち消しあうことになる。その結果、導電層1aの内側全体をS極からN極に向かって通過する磁力線の数(磁束)が減り単位時間当たりの磁束の変化量が小さくなる。単位時間当たりの磁束の変化量が減少すると、導電層1aに生じる誘導起電力が小さくなり、導電層の発熱量が小さくなる。
したがって、電力の変換効率を高めるためには、外側ルートを通る磁力線の割合を管理することが重要になる。
(3)導電層の外側を通る磁束の割合を示す指標
そこで、外側ルートを通る磁力線の割合を、磁力線の通り易さを示すパーミアンスという指標を用いて表す。まず、一般的な磁気回路の考え方について説明する。磁力線が通る磁路の回路を電気回路に対して磁気回路という。磁気回路において磁束を計算する際、電気回路の電流の計算に準じて行うことができる。磁気回路は、電気回路に関するオームの法則が適用可能である。電気回路の電流に対応する磁束をΦと、起電力に対応する起磁力をVと、電気抵抗に対応する磁気抵抗をRと、すると、次の式(2)を満たす。
Φ=V/R・・・(2)
しかし、ここでは原理をより理解しやすく説明するために磁気抵抗Rの逆数であるパーミアンスPを用いて説明する。パーミアンスPを用いると、上式(2)は次の式(3)のように表せる。
Φ=V×P・・・(3)
更に、このパーミアンスPは、磁路の長さをBと、磁路の断面積をSと、磁路の透磁率をμと、すると下記の式(4)のように表せる。
P=μ×S/B・・・(4)
パーミアンスPは、断面積S及び透磁率μに比例し、磁路の長さBに反比例する。
図7(a)は、導電層1aの内側に、半径a1[m]、長さB[m]、比透磁率μ1の磁性コア2に、コイル3を螺旋軸が導電層1aの母線方向と略平行になるようにN[回]巻いたものを表した図である。ここで、導電層1aは、長さB[m]、内径a2[m]、外径a3[m]、比透磁率μ2の導体である。導電層の内側及び外側の真空の透磁率をμ[H/m]とする。コイル3に電流I[A]を流したときに、磁性コア2の単位長さ当たりに発生する磁束8をφc(x)とする。図7(b)は、磁性コア2の長手方向に垂直な断面図である。図中の矢印は、コイル3に電流Iを流したときに、磁性コア2の内部、導電層1aの内側、導電層1aの外側を通る磁性コア2の長手方向に平行な磁束を表している。磁性コア2の内部を通る磁束をφc(=φc(x))、導電層1aの内側(導電層1aと磁性コア2の間の領域)を通る磁束をφa_in、導電層そのものを通る磁束をφs、導電層の外側を通る磁束をφa_outとする。
図8(a)に、図6(a)に示した単位長さ当たりのコア2、コイル3、導電層1aを含む空間の磁気等価回路を示す。磁性コア2を通る磁束φcにより生じる起磁力をVm、磁性コア2のパーミアンスをPc、導電層1aの内側のパーミアンスをPa_in、フィルムの導電層1aそのものの内部のパーミアンスをPs、導電層の外側のパーミアンスをPa_outとする。
ここで、PcがPa_in及びPsに比べて十分に大きい時、磁性コア2の内部を通過して磁性コア2の一端から出た磁束は、φa_in、φs、φa_outの何れかを通過して磁性コア2の他端に戻ると考えられる。よって、以下の関係式(5)が成り立つ。
φc=φa_in+φs+φa_out・・・(5)
また、φc、φa_in、φs、φa_outはそれぞれ以下の式(6)〜(9)で表される。
φc=Pc×Vm ・・・(6)
φs=Ps×Vm ・・・(7)
φa_in=Pa_in×Vm ・・・(8)
φa_out=Pa_out・Vm ・・・(9)
よって、式(5)に式(6)〜(9)を代入するとPa_outは次の式(10)に示すように表される。
Pc×Vm=Pa_in×Vm+Ps×Vm+Pa_out×Vm
=(Pa_in+Ps+Pa_out)×Vm
∴Pa_out=Pc−Pa_in−Ps ・・・(10)
図7(b)より、磁性コア2の断面積をSc、導電層1aの内側の断面積をSa_in、導電層1a自身の断面積をSs、とすると、パーミアンスは以下のように、「透磁率×断面積」で表すことができ、単位は[H・m]である。
Pc=μ1・Sc=μ1・π(a1) ・・・(11)
Pa_in=μ0・Sa_in=μ0・π・((a2)−(a1)) ・・・(12)
Ps=μ2・Ss=μ2・π・((a3)−(a2)) ・・・(13)
これらの(11)〜(13)を式(10)に代入すると、Pa_outは式(14)で表せる。
Pa_out=Pc−Pa_in−Ps
=μ1・Sc−μ0・Sa_in−μ2・Ss
=π・μ1・(a1)
−π・μ0・((a2)−(a1)
−π・μ2・((a3)−(a2)) ・・・(14)
上記の式(14)を使用することによって導電層1aの外側を通る磁力線の割合であるPa_out/Pcを計算することができる。
尚、パーミアンスPの代わりに磁気抵抗Rを用いても良い。磁気抵抗Rを用いて議論する場合、磁気抵抗Rは単純にパーミアンスPの逆数であるので、単位長さ当たりの磁気抵抗Rは「1/(透磁率×断面積)」で表すことができて、単位は[1/(H・m)]である。
以下、具体的なパラメータを使用して、パーミアンス及び磁気抵抗を計算した結果を表2に示す。
磁性コア2は、フェライト(比透磁率1800)で形成され、直径14[mm]であって、断面積は1.5×10−4[m]である。定着ニップ部を形成するために定着フィルムを内部からバックアップするバックアップ部材(フィルムガイド)は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)(比透磁率1.0)で形成され、断面積は1.0×10−4[m]である。導電層1aは、アルミニウム(比透磁率1.0)で形成され、直径24[mm]、厚み20[μm]で断面積1.5×10−6[m]である。
尚、導電層1aと磁性コア2の間の領域の断面積は、直径24[mm]の導電層の内側の中空部の断面積から磁性コアの断面積とフィルムガイドの断面積を差し引いて計算している。表1からPc、Pa_in、Psは、次のような値になる。
Pc=3.5×10−7[H・m]
Pa_in=1.3×10−10+2.5×10−10[H・m]
Ps=1.9×10−12 [H・m]
これらの値を用いて、次の式(15)からPa_out/Pc計算することができる。
Pa_out/Pc=(Pc−Pa_in−Ps)/Pc=0.999(99.9%)・・・(15)
尚、磁性コア2を長手方向で複数に分割し、分割した各磁性コア同士の間に空隙(ギャップ)を設ける場合もある。この場合、この空隙が空気又は比透磁率が1.0とみなせるものや磁性コアの比透磁率よりもずっと小さいもので満たされている場合、磁性コア2全体の磁気抵抗Rは大きくなり磁力線を誘導する機能が劣化することになる。
このような分割された磁性コア2のパーミアンスの計算方法は複雑になる。以下に、磁性コアを複数分割し、空隙またはシート状非磁性体を挟んで等間隔に並べた場合の磁性コア全体のパーミアンスの計算方法について説明する。この場合、長手全体の磁気抵抗を導出し、それを全体長さで割って単位長さ当たりの磁気抵抗を求め、その逆数を取って単位長さ当たりのパーミアンスを求める必要がある。
まず、磁性コアの長手方向の構成図を図9に示す。磁性コアc1〜c10は、断面積Sc、透磁率μc、分割された磁性コア1個当たりの幅Lcとし、ギャップg1〜g9は、断面積Sg、透磁率μg、1ギャップ当たりの幅Lgとする。この磁性コアの長手方向における全体の磁気抵抗Rm_allは、以下の式(16)で与えられる。
Rm_all=(Rm_c1+Rm_c2+・・・・・+Rm_c10)+(Rm_g1+Rm_g2+・・・・・+Rm_g9)・・・(16)
本構成の場合は、磁性コアの形状と材質、ギャップ幅は一様であるので、Rm_cの足し合わせた合計をΣRm_c、Rm_gの足し合わせた合計をΣRm_gとすると、次の式(17)〜(19)のように表せる。
Rm_all=(ΣRm_c)+(ΣRm_g)・・・(17)
Rm_c=Lc/(μc・Sc)・・・(18)
Rm_g=Lg/(μg・Sg)・・・(19)
式(17)に式(18)及び式(19)を代入して、長手全体の磁気抵抗Rm_allは次の式(20)のように表せる。
Rm_all=(ΣRm_c)+(ΣRm_g)
=(Lc/(μc・Sc))×10+(Lg/(μg・Sg))×9・・・(20)
ここで、単位長さ当たりの磁気抵抗Rmは、Lcの足し合わせた合計をΣLc、Lgの足し合わせた合計をΣLgとすると次の式(21)となる。
Rm=Rm_all/(ΣLc+ΣLg)
=Rm_all/(L×10+Lg×9)・・・(21)
よって、単位長さあたりのパーミアンスPmは、以下の式(22)ように求められる。
Pm=1/Rm=(ΣLc+ΣLg)/Rm_all
=(ΣLc+ΣLg)/[{ΣLc/(μc+Sc)}+{ΣLg/(μg+Sg)}]・・・(22)
ギャップLgを大きくすることは、磁性コア2の磁気抵抗の増加(パーミアンスの低下)につながる。本実施例の定着装置を構成する上で、発熱原理上、磁性コア2の磁気抵抗が小さく(パーミアンスが大きく)なるように設計することが望ましいため、ギャップを設けることはあまり望ましくない。しかし、磁性コア2の破損防止のために磁性コア2を複数に分割してギャップを設ける場合がある。
以上のように、外側ルートを通る磁力線の割合は、パーミアンスもしくは磁気抵抗を使って表すことができる。
(4)定着装置に必要な電力の変換効率
次に、本実施例の定着装置で必要な電力の変換効率について述べる。例えば、電力の変換効率が80%である場合、残り20%の電力は導電層以外のコイルやコア等で熱エネルギーに変換されて消費される。電力の変換効率が低い場合は、磁性コアやコイル等の発熱すべきでないものが発熱し、それらを冷却するための対策を講じる必要性がある場合がある。
ところで、本実施例において、導電層を発熱させる時は、励磁コイルに高周波の交流電流を流し、交番磁界を形成する。その交番磁界は導電層に電流を誘導する。物理モデルとしては、トランスの磁気結合と良く似ている。そのため、電力の変換効率を考える際には、トランスの磁気結合の等価回路を用いることができる。その交番磁界によって励磁コイルと導電層が磁気結合して、励磁コイルに投入した電力が導電に伝達される。ここで述べる「電力の変換効率」は、磁界発生手段である励磁コイルに投入する電力と、導電層により消費される電力の比率である。本実施例の場合、励磁コイル3に対して投入した電力と、導電層1aで消費される電力の比率である。この電力の変換効率は以下の式(23)で表すことができる。
電力の変換効率=導電層で消費される電力/励磁コイルに供給した電力・・・(23)
励磁コイルに供給して導電層以外で消費される電力は、励磁コイルの抵抗による損失、磁性コア材料の磁気特性による損失などがある。
図10に回路の効率に関する説明図を示す。図10(a)において、1aは導電層、2は磁性コア、3は励磁コイルである。図10(b)は等価回路を示す。
R1は励磁コイルおよび磁性コアの損失分、L1は磁性コアに周回した励磁コイルのインダクタンス、Mは巻き線と導電層との相互インダクタンス、L2は導電層のインダクタンス、R2は導電層の抵抗である。導電層を装着していない時の等価回路を図11(a)に示す。インピーダンスアナライザやLCRメータといった装置により、励磁コイルの両端からの直列等価抵抗はR、等価インダクタンスLを測定すると、励磁コイル両端から見たインピーダンスZは式(24)のように表せる。
=R+jωL ・・・・・(24)
この回路に流れる電流は、Rにより損失する。即ちR1はコイル及び磁性コアによる損失を表している。
導電層を装着した時の等価回路を図11(b)に示す。この導電層の装着時の直列等価抵抗Rx及びLxを測定しておけば、図11(c)のように等価変換することで、関係式(25)を得ることが出来る。
・・・(25)
・・・(26)
・・・(27)
Mは励磁コイルと導電層の相互インダクタンスを表す。
図11(c)に示すように、R1に流れる電流をI1、R2に流れる電流をI2とおくと式(28)が成り立つ。
・・・(28)
式(28)から式(29)を導出できる。
・・・・・(29)
効率(電力の変換効率)は、抵抗R2の消費電力/(抵抗R1の消費電力+抵抗R2の消費電力)で表されるから式(30)のように表せる。
導電層の装着前の直列等価抵抗Rと、装着後の直列等価抵抗Rxを測定すると、励磁コイルに供給した電力のうち、どれだけの電力が導電層で消費されるかを示す電力の変換効率を求めることが出来る。尚、本実施例においては、電力の変換効率の測定には、AgilentTechnologies社製のインピーダンスアナライザ4294Aを用いた。まず、定着フィルムの無い状態において巻線両端からの直列等価抵抗Rを測定し、次に定着フィルムに磁性コアを挿入した状態において巻線両端からの直列等価抵抗Rxを測定した。R=103mΩ、Rx=2.2Ωとなり、この時電力の変換効率は式(30)により、95.3%と求めることが出来る。以後この電力の変換効率を用いて、定着装置の性能を評価する。
ここで、装置で必要な電力の変換効率を求める。導電層1aの外側ルートを通る磁束の割合を振って電力の変換効率を評価する。図12は、電力の変換効率の測定実験に用いる実験装置を表した図である。金属シート1Sは、幅230mm、長さ600mm、厚み20μmのアルミニウム製のシートである。この金属シート1Sを磁性コア2とコイル3とを囲むように円筒状に丸めて、太線1ST部分において導通することによって導電層とする。磁性コア2は、比透磁率が1800、飽和磁束密度が500mTのフェライトであり、断面積26mm、長さ230mmの円柱形状をしている。磁性コア2を不図示の固定手段でアルミニウムシート1Sの円筒のほぼ中央に配置する。磁性コア2にはコイル3が巻数25回で螺旋状に巻かれている。金属シート1Sの端部を矢印1SZ方向に引くと、導電層の直径1SDを18〜191mmの範囲で調整することができる。
図13は、導電層の外側ルートを通過する磁束の比率[%]を横軸にとり、21kHzの周波数における電力の変換効率を縦軸にとったグラフである。
図13のグラフ中のプロットP1以降に電力の変換効率が急上昇して70%を超えており、矢印で示すレンジR1では電力の変換効率が70%以上を維持している。P3付近において電力の変換効率は再度急上昇し、レンジR2において80%以上となっている。P4以降のレンジR3においては電力の変換効率が94%以上と高い値で安定している。この、電力の変換効率が急上昇し始めたことは導電層に効率的に周回電流が流れ始めたためである。
下記の表3は、図13のP1〜P4に該当する構成を、実際に定着装置として設計し、評価した結果である。
(定着装置P1)
本構成は、磁性コアの断面積が26.5mm(5.75mm×4.5mm)で、導電層の直径が143.2mmであり、外側ルートを通る磁束の割合は64%である。この装置のインピーダンスアナライザによって求めた電力の変換効率は54.4%であった。電力の変換効率は定着装置に投入した電力のうち、導電層の発熱に寄与した分を示すパラメータである。従って、最大1000W出力可能な定着装置として設計しても約450Wが損失となり、その損失はコイル及び磁性コアの発熱となる。
本構成の場合、立ち上げ時、数秒間1000Wを投入しただけでもコイル温度は200℃を超える場合がある。コイルの絶縁体の耐熱温度が200℃後半であること、フェライトの磁性コアのキュリー点は通常200℃〜250℃程度であることを考えると、損失45%では励磁コイル等の部材を耐熱温度以下に保つことは難しくなる。また、磁性コアの温度がキュリー点を超えるとコイルのインダクタンスが急激に低下し、負荷変動となる。
定着装置に供給した電力の約45%が導電層の発熱に使用されないので、導電層に900W(1000Wの90%を想定)の電力を供給するためには約1636Wの電力供給する必要がある。これは100V入力時、16.36Aを消費する電源という事になる。商用交流のアタッチメントプラグから投入できる許容電流をオーバーする可能性がある。よって、電力の変換効率54.4%の定着装置P1は、定着装置に供給する電力が不足する可能性がある。
(定着装置P2)
本構成は、磁性コアの断面積はP1と同じで、導電層の直径が127.3mmであり、外側ルートを通る磁束の割合は71.2%である。この装置のインピーダンスアナライザによって求めた電力の変換効率は70.8%である。定着装置のスペックによっては、コイル及びコアの昇温が課題になる場合がある。本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置にすると、導電層の回転速度は330mm/secとなり、導電層の温度を180℃に維持する必要がある。導電層の温度を180℃に維持しようとすると、磁性コアの温度は20秒間で240℃を超える場合がある。磁性コアとして用いるフェライトのキュリー温度は通常200℃〜250℃程度であるから、フェライトがキュリー温度を超えて磁性コアの透磁率は急激に減少し、磁性コアで磁力線を適切に誘導することができなくなる場合がある。その結果、周回電流を誘導して導電層を発熱させることが難しくなる場合がある。
従って、外側ルートを通過する磁束の割合がレンジR1の定着装置を、前述した高スペックの装置にすると、フェライトコアの温度を下げるために冷却手段を設けることが望ましい。冷却手段としては、空冷ファン、水冷、放熱板、放熱フィン、ヒートパイプ、または、ベルチェ素子などを用いることができる。もちろん、本構成においてそこまでの高スペックを要求しない場合は、冷却手段は不要である。
(定着装置P3)
本構成は、磁性コアの断面積はP1と同じであり、導電層の直径が63.7mmの場合である。この装置のインピーダンスアナライザによって求められる電力の変換効率は83.9%である。磁性コア及びコイル等に定常的に熱量が発生するものの、冷却手段が必要なレベルではない。本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置にすると導電層の回転速度は330mm/secとなり導電層の表面温度を180℃に維持する場合があるものの、磁性コア(フェライト)の温度は220℃以上に上昇することはない。従って、本構成において、定着装置を前述した高スペックする場合は、キュリー温度が220℃以上のフェライトを用いることが望ましい。
よって、外側ルートを通る磁束の割合がレンジR2の構成の定着装置は、高スペックで使用する場合、フェライト等の耐熱設計を最適化することが望ましい。一方、定着装置として高スペックを要求しない場合は、このような耐熱設計は不要である。
(定着装置P4)
本構成は、磁性コアの断面積がP1と同じであり、円筒体の直径が47.7mmの場合である。この装置でインピーダンスアナライザによって求められる電力の変換効率は94.7%である。本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置(導電層の回転速度は330mm/sec)で導電層の表面温度を180℃に維持する場合であっても、励磁コイルやコイル等は、180℃以上に達することはない。従って、磁性コアやコイル等を冷却する冷却手段及び特別な耐熱設計は不要である。
よって、外側ルートを通過する磁束の割合が94.7%以上であるレンジR3は、電力の変換効率が94.7%以上となり電力の変換効率が十分高い。よって、更なる高スペックの定着装置として用いても、冷却手段は不要である。
また、電力の変換効率が高い値で安定しているレンジR3においては、導電層と磁性コアの位置関係の変動によって導電層の内側を通過する単位時間当たりの磁束の量が若干変動しても、電力の変換効率が変動量は小さく導電層の発熱量が安定する。可撓性を有するフィルムのように、導電層と磁性コアとの距離が変動しやすい定着装置において、この電力の変換効率が高い値で安定している領域R3を用いることは、大きなメリットがある。
よって、本実施例の定着装置は少なくとも必要な電力の変換効率を満たすために外側ルートを通過する磁束の割合が72%以上である必要があることがわかる(表3の数値は71.2%以上であるが測定誤差等を考慮して72%とする)。
(5)装置が満たすべきパーミアンス又は磁気抵抗の関係式
導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が72%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの28%以下であることと等価である。従って、本実施例の特徴的な構成の一つは、磁性コアのパーミアンスをPc、導電層の内側のパーミアンスをPa、導電層のパーミアンスPsとした時に、次の式(31)を満足することである。
0.28×Pc≧Ps+Pa・・・(31)
また、パーミアンスの関係式を磁気抵抗に置き換えて表現すると下記の式(32)になる。
・・・(32)
ただし、RsとRaの合成磁気抵抗Rsaは以下の式(33)ように計算する。
・・・(33)
Rc:磁性コアの磁気抵抗
Rs:導電層の磁気抵抗
Ra:導電層と磁性コアとの間の領域の磁気抵抗
Rsa:RsとRaの合成磁気抵抗
上記のパーミアンスもしくは磁気抵抗の関係式を、定着装置の記録材の最大搬送領域全域で、円筒形回転体の母線方向に直交する方向の断面において満足することが望ましい。
同様に、本実施例のレンジR2の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が92%以上である(表3の数値は91.7%以上であるが測定誤差等を考慮して92%とする)。導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が92%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの8%以下であることと等価である。パーミアンスの関係式は以下の式(34)になる。
0.08×Pc≧Ps+Pa ・・・(34)
上記のパーミアンスの関係式を磁気抵抗の関係式に変換すると以下の式(35)ようになる。
・・・(35)
更に、本実施例のレンジR3の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が95%以上である(表3から正確には71.2%以上であるが測定誤差等を考慮して94.7%とする)。パーミアンスの関係式は以下の(36)ようになる。導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が95%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの5%以下であることと等価である。パーミアンスの関係式は以下の式(36)になる。
0.05×Pc≧Ps+Pa・・・(36)
上記のパーミアンスの関係式(36)を磁気抵抗の関係式に変換すると以下の式(37)になる。
・・・(37)
ところで、定着装置の最大の画像領域内の部材等が長手方向で均一な断面構成を有している定着装置についてパーミアンス及び磁気抵抗の関係式を示した。ここでは、長手方向で定着装置を構成する部材が不均一な断面構成を有する定着装置について説明する。図14は、導電層の内側(磁性コアと導電層の間の領域)に温度検知部材240を有している。定着装置は導電層を有するフィルム1と、磁性コア2と、バックアップ部材(フィルムガイド)9と、を備える。
磁性コア2の長手方向をX軸方向とすると、最大画像形成領域はX軸上の0〜Lpの範囲である。例えば、記録材の最大搬送領域をLTRサイズ215.9mmとする画像形成装置の場合、Lp=215.9mmとすれば良い。温度検知部材240は、比透磁率1の非磁性体によって構成されており、X軸に垂直方向の断面積は5mm×5mmであり、X軸に平行方向の長さは10mmである。X軸上のL1(102.95mm)からL2(112.95mm)の位置にて配置されている。ここで、X座標上0〜L1を領域1、温度検知部材240が存在するL1〜L2を領域2、L2〜LPを領域3と、呼ぶ。領域1における断面構造を図15(A)に、領域2における断面構造を図15(B)に示す。図15(B)に示すように、温度検知部材240はフィルム1に内包されているため、磁気抵抗計算の対象となる。厳密に磁気抵抗計算を行うためには、領域1と、領域2と、領域3と、に対し、別々に「単位長さ当たりの磁気抵抗」を求め、各領域の長さに応じて積分計算を行い、それらを足し合わせて合成磁気抵抗を求める。まず、領域1または3における各部品の単位長さ当たりの磁気抵抗を、下記の表4に示す。
領域1における磁性コアの単位長さ当たりの磁気抵抗r1は下記のようになる。
1=2.9×10[1/(H・m)]
ここで、導電層と磁性コアとの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗rは、フィルムガイドrの単位長さ当たりの磁気抵抗と導電層の内側の磁気抵抗rairの単位長さ当たりの磁気抵抗との合成磁気抵抗である。従って、下記の式(38)を用いて計算できる。
・・・(38)
計算の結果、領域1における磁気抵抗r1、及び、領域1における磁気抵抗r1は下記のようになる。
1=2.7×10[1/(H・m)]
1=5.3×1011[1/(H・m)]
また、領域3は領域1と同じであるから下記のようになる。
3=2.9×10[1/(H・m)]
3=2.7×10[1/(H・m)]
3=5.3×1011[1/(H・m)]
次に、領域2における各部品の単位長さ当たりの磁気抵抗を下記の表5に示す。
領域2の磁性コアの単位長さ当たりの磁気抵抗r2は下記のようになる。
2=2.9×10[1/(H・m)]
導電層と磁性コアの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗rは、フィルムガイドrの単位長さ当たりの磁気抵抗と、サーミスタrの単位長さ当たりの磁気抵抗と、導電層の内側の空気rairの単位長さ当たりの磁気抵抗と、の合成磁気抵抗である。従って下記の式(39)で計算できる。
・・・(39)
計算の結果、領域2のおける単位長さ当たりの磁気抵抗r2及び単位長さ当たりの磁気抵抗r2は下記のようになる。
2=2.7×10[1/(H・m)]
2=5.3×1011[1/(H・m)]
領域3の計算方法は領域1と同じであるので省略する。
尚、導電層と磁性コアの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗rにおいて、r1=r2=r3となっている理由について説明する。領域2における磁気抵抗計算は、サーミスタ240の断面積が増加し、導電層の内側の空気の断面積が減少している。しかし両方とも比透磁率は1であるため、結局サーミスタ240の有無によらず磁気抵抗は同一となる。すなわち、導電層と磁性コアの間の領域に非磁性体のみが配置されている場合には、磁気抵抗の計算は空気と同じ扱いをしても、計算上の精度としては十分である。なぜなら、非磁性体の場合、比透磁率は殆ど1に近い値になるからである。これとは逆に、磁性体(ニッケル、鉄、珪素鋼等)の場合は、磁性体ある領域をその他の領域と分けて計算した方が良い。
導電層の母線方向の合成磁気抵抗としての磁気抵抗R[A/Wb(1/H)]の積分は、各領域の磁気抵抗r1,r2,r3[1/(H・m)]に対して下記の式(40)ように計算できる。
・・・(40)
従って、記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間におけるコアの磁気抵抗Rc[H]は下記の式(41)ように計算できる。
・・・(41)
また、記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間における導電層と磁性コアとの間の領域の合成磁気抵抗Ra[H]は、下記の式(42)ように計算できる。
・・・(42)
記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間における導電層の合成磁気抵抗Rs[H]は次の式(43)のようになる。
・・・(43)
上記の計算を、それぞれの領域において行ったものを以下表6に示す。
上記表5から、Rc、Ra、Rsは下記のようになる。
Rc=6.2×10[1/H]
Ra=5.8×1011[1/H]
Rs=1.1×1014[1/H]
RsとRaの合成磁気抵抗Rsaは以下の式(44)計算できる。
・・・(44)
上の計算から、Rsa=5.8×1011[1/H]となるので、下記の式(45)を満たしている。
・・・(45)
このように、導電層の母線方向で不均一な横断面形状を有している定着装置の場合は、導電層の母線方向で複数の領域に分けて、その領域毎に磁気抵抗を計算し、最後にそれらを合成したパーミアンス又は磁気抵抗を計算すればよい。ただし、対象となる部材が非磁性体である場合は、透磁率がほぼ空気の透磁率と等しいため、空気とみなして計算して良い。次に、上記計算に計上すべき部品について説明する。導電層と磁性コアとの間の領域にあり、少なくとも一部が記録材の最大搬送領域(0〜Lp)のに入っている部品に関しては、パーミアンス又は磁気抵抗を計算することが望ましい。逆に、導電層の外側に配置された部材は、パーミアンス又は磁気抵抗を計算する必要はない。なぜなら、前述したようにファラデーの法則において誘導起電力は回路を垂直に貫く磁束の時間変化に比例するものであり、導電層の外側の磁束とは無関係だからである。また、導電層の母線方向における記録材の最大搬送領域外に配置した部材は、導電層の発熱には影響しないため、計算する必要はない。
以上説明したように、有端形状のコアを用いて、回転体の周方向に流れる誘導電流を多くできる(発熱効率を高くできる)定着装置の条件は、少なくとも式(31)を満たすのが好ましい。
1 定着フィルム
2 磁性コア
3 励磁コイル
4 ステー
5 フィルムフランジ
6 摺動板
7 加圧ローラ
8 コイルカバー
9 ガイド部材(バックアップ部材)

Claims (6)

  1. 筒状の定着フィルムと、
    前記定着フィルムの内面に接触し前記定着フィルムをバックアップするバックアップ部材と、
    前記定着フィルムの外面に接触しており、前記定着フィルムを介して前記バックアップ部材と共に定着ニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記バックアップ部材の前記定着フィルムと接触する面とは反対側の面に設けられており、前記バックアップ部材を補強する金属板と、
    を有し、前記金属板と前記ニップ部形成部材の間には前記定着ニップ部を形成するための圧力が掛っており、前記定着ニップ部で未定着画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着画像を加熱定着する定着装置において、
    前記定着フィルムは導電層を有し、
    前記定着装置は更に、螺旋軸が前記定着フィルムの母線方向と略平行である螺旋形状部を有し、前記導電層を電磁誘導発熱させる交番磁界を形成するためのコイルと、前記螺旋形状部の中に配置され、前記交番磁界の磁力線を誘導するためのコアと、を有し、
    前記交番磁界により前記定着フィルムの周方向における前記導電層全域に前記周方向に電流が流れて前記定着フィルムが発熱し、
    前記金属板は、前記定着フィルムの母線方向一端から見た時の断面がU字形状となっており、U字の底部が平面部となっていて、前記平面部が前記バックアップ部材に押し当てられており、
    前記定着装置を前記母線方向一端から見た時の装置断面において、前記U字形状の前記底部及び二つの脚部で囲われた領域に、前記コアが入り込むように前記コアが配置されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記U字形状の前記底部及び二つの脚部で囲われた領域に、前記コアの面積の20%以上が入り込むように前記コアが配置されていることを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  3. 前記領域に占める前記コアの面積の割合が20%以上となるように前記コアが配置されていることを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  4. 前記定着フィルムの前記周方向の長さに対して、前記平面部を広げた仮想平面よりも前記定着ニップ部側の前記定着フィルムの長さが20%以上であることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記導電層は、銀、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、銅、またはこれらの合金で形成されていることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記金属板は、オーステナイト系ステンレス、アルミニウム、またはこれらの合金で形成されていることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の定着装置。
JP2013261512A 2013-12-18 2013-12-18 定着装置 Active JP6272000B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013261512A JP6272000B2 (ja) 2013-12-18 2013-12-18 定着装置
US14/571,169 US9454117B2 (en) 2013-12-18 2014-12-15 Fixing device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013261512A JP6272000B2 (ja) 2013-12-18 2013-12-18 定着装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015118253A JP2015118253A (ja) 2015-06-25
JP6272000B2 true JP6272000B2 (ja) 2018-01-31

Family

ID=53368295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013261512A Active JP6272000B2 (ja) 2013-12-18 2013-12-18 定着装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9454117B2 (ja)
JP (1) JP6272000B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6366265B2 (ja) * 2013-12-18 2018-08-01 キヤノン株式会社 定着装置
JP6218589B2 (ja) * 2013-12-18 2017-10-25 キヤノン株式会社 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置
JP6529356B2 (ja) * 2015-06-18 2019-06-12 キヤノン株式会社 定着装置
US20170060058A1 (en) * 2015-08-31 2017-03-02 K.K. Endo Seisakusho Fixing device using stainless steel material
US10838332B2 (en) * 2016-07-21 2020-11-17 Canon Kabushiki Kaisha Image heating device

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0850422A (ja) * 1994-08-08 1996-02-20 Canon Inc 励磁コイル、加熱装置、及び画像形成装置
JPH09325629A (ja) * 1996-05-31 1997-12-16 Canon Inc 加熱装置および画像形成装置
US6021303A (en) * 1998-05-15 2000-02-01 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Image heating device and image forming device using the same
JP4058999B2 (ja) * 2002-05-15 2008-03-12 富士ゼロックス株式会社 定着装置
JP2004094146A (ja) 2002-09-04 2004-03-25 Canon Inc 定着装置
JP4408339B2 (ja) * 2003-01-10 2010-02-03 株式会社リコー 定着ローラ、定着装置及び画像形成装置
KR100538246B1 (ko) * 2004-01-05 2005-12-21 삼성전자주식회사 화상형성장치의 정착장치
US7406288B2 (en) * 2004-12-13 2008-07-29 Canon Kabushiki Kaisha Image heating apparatus including pads and belts forming a pressurized nip
JP2007079224A (ja) 2005-09-15 2007-03-29 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置および定着方法
JP5691370B2 (ja) * 2010-10-13 2015-04-01 富士ゼロックス株式会社 定着装置および画像形成装置
JP5699676B2 (ja) * 2011-02-23 2015-04-15 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
JP6136221B2 (ja) * 2011-12-27 2017-05-31 株式会社リコー 定着装置、及び、画像形成装置
JP6108837B2 (ja) * 2012-01-24 2017-04-05 キヤノン株式会社 画像加熱装置
JP2013195862A (ja) 2012-03-22 2013-09-30 Ricoh Co Ltd 定着装置、及び、画像形成装置
JP5972120B2 (ja) * 2012-09-06 2016-08-17 キヤノン株式会社 画像加熱装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015118253A (ja) 2015-06-25
US9454117B2 (en) 2016-09-27
US20150168881A1 (en) 2015-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9323186B2 (en) Image forming apparatus
JP6366264B2 (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP6272000B2 (ja) 定着装置
US9405249B2 (en) Heat-fixing device
JP2014026267A (ja) 定着装置
JP6218589B2 (ja) 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置
US9176441B2 (en) Image heating apparatus
JP6504782B2 (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP6261324B2 (ja) 像加熱装置
JP6270458B2 (ja) 定着装置
JP6272001B2 (ja) 定着装置
US9983525B2 (en) Fixing device
JP6381336B2 (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP2017049525A (ja) 定着装置、及びその定着装置を有する画像形成装置
JP6463021B2 (ja) 定着装置
JP2017072779A (ja) 定着装置
JP6391339B2 (ja) 定着装置
JP2015118254A (ja) 像加熱装置
JP2015118259A (ja) 定着装置
JP2017062383A (ja) 画像加熱装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171228

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6272000

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151