JP4058999B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像記録装置において用いられ、記録媒体上に担持された未定着トナー像を加熱溶融し、記録媒体に定着させる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粉状のトナーを用いる画像形成装置においてトナー像を定着する工程は、トナー像を記録媒体上に静電的に転写した後、定着装置によってトナー像を記録媒体に溶融圧着する方法が広く採用されている。
【0003】
上記定着装置は、表面が加熱される定着部材と、定着部材に圧接された加圧部材とで構成されており、定着部材と加圧部材との間に未定着トナー像を担持した記録媒体を挟み込んで加熱加圧し、トナー像を記録媒体に融着させて定着画像を形成する。定着部材としては、円筒状芯金の表面に弾性層及び離型層を形成した定着ロールや、耐熱性を有する無端状のフィルム部材であって内側に圧接部材が設けられているもの、又は複数の支持ロールに掛け回された無端状の定着ベルト等が用いられる。これらの定着部材の内側にはハロゲンランプ等の発熱体が配置されており、この発熱体の輻射熱又は接触熱によって、定着部材の周面がトナー像を加熱溶融するのに適切な温度に加熱される。
【0004】
しかし、ハロゲンランプ等の発熱体を用いる場合、発熱体に電力を投入後、該発熱体の熱が定着部材の芯金や各層に伝達し、定着部材の表面が所定の温度に達するまでに時間を要する。このため、装置が起動する時や待機状態から復帰する時、定着部材のウォーミングアップに時間を要するとともに消費電力が大きくなってしまう。
【0005】
このような事情から、定着部材を加熱する手段として、定着部材に導電性層を設け、電磁誘導加熱によって該導電性層を発熱させるものが知られている。
電磁誘導による加熱を行なう装置には、変動磁界を発生する励磁コイルを導電性層と対向するように配置し、コイルの対向領域の周辺部で導電性層に渦電流を発生させるものと、無端状となった定着部材の内側に、周面に沿って螺旋状に巻き回された励磁コイルを配置し、導電性層に無端状定着部材の周方向に渦電流を発生させるものとが提案されている。これらはいずれも誘導された渦電流によって導電性層がジュール発熱するものであり、電磁誘導加熱によれば、極めて短い時間で定着部材を直接に加熱することができる。このため、ハロゲンランプ等の発熱体を用いる場合に比べ、効率良く装置のウォーミングアップを行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無端状となった定着部材の周方向に渦電流を誘導する装置では次のような問題点がある。
このような装置では、励磁コイルの中央部、すなわち無端状周面の幅方向における中央部では磁束の密度が一様となるが、両端部では磁束が分散して密度が小さくなる。導電性層の発熱量は磁束の密度に比例するため、導電性層の中央部は所定の温度にほぼ一様に加熱されるが、両端部では発熱にムラが生じて温度が低下してしまう。そして、定着部材の幅方向に温度差が生じ、記録媒体上の未定着トナー像が良好に加熱されずに、定着画像に光沢ムラや色ムラを生じるおそれがある。定着部材の中央部のみを通紙領域として記録媒体を送り込むことによって、未定着トナー像を効率良く加熱することができるが、非通紙領域である定着部材の両端部も電磁誘導加熱によって発熱させるため、電力損失が生じてしまう。
【0007】
一方、定着部材の軸方向における温度差を補正する手段が、特開平8−179647号公報、特開昭59−33788号公報に提案されている。
特開平8−179647号公報に記載の定着装置では、導電性材料からなる円筒状の加熱ローラの内部に螺旋状に巻き回されたコイルが配置されており、該コイルの両端部の巻き径が中心部の巻き径より大きく設定されている。これにより、加熱ローラの両端部で渦電流が多く発生し、加熱ローラの軸方向の温度がほぼ均一となる。また、特開昭59−33788号公報に記載の定着装置では、加熱ローラ内の両端部でコイルを密に巻き回し、中央部で粗く巻き回して、加熱ローラの軸線方向の発熱量を均一化している。しかし、このような装置でも両端部の非通紙領域の加熱量が大きく、電力の損失は少なくない。また、上記のようなコイルは複雑であるため、製作に時間を要するとともに生産コストが高くなってしまう。
【0008】
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁誘導によって加熱された定着部材を、未定着トナー像が担持された記録媒体に圧接する定着装置において、定着部材の通紙領域を均一に加熱するとともに、非通紙領域の加熱を低減して消費電力を低減し、効率の良い定着を行なうことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 無端状の周面を有し、該周面が周回するように支持された定着部材と、 前記定着部材の周面を加熱する加熱装置と、 前記定着部材の外周面に当接され、該定着部材の周面の幅方向にほぼ均等な力で押圧される加圧部材とを有し、 前記定着部材と前記加圧部材との間を通過する記録媒体上の未定着トナー像を、加熱及び加圧して該記録媒体に定着する定着装置であって、 前記定着部材は、周面に沿って導電性層を有し、該導電性層は前記定着部材の前記記録媒体が通過する領域より縁部側に、該導電性層の周方向の連続性を遮断するようにスリットが設けられており、 前記スリットは、前記定着部材の幅方向に軸線を有し、該定着部材の周方向に間隔をおいて複数が設けられたものであり、 前記加熱装置は、前記定着部材の内側に配置され、該定着部材の幅方向に軸線を有する螺旋状に巻き回された励磁コイルを有し、交番磁界を発生して前記導電性層の周方向に渦電流を誘導するものであることを特徴とする定着装置を提供する。
【0010】
上記加熱装置が有する励磁コイルは、定着部材の幅方向に螺旋状に巻き回されており、交流電流を印加することによって、励磁コイルの中心軸線方向に交番磁界が発生する。この交番磁界によって定着部材が有する導電性層の周方向に渦電流が誘導されるが、定着部材の記録媒体が通過する領域より縁部側、すなわち非通紙領域には、導電性層の周方向の連続性を遮断するようにスリットが設けられている。そして、このスリットによって導電性層の周方向に形成される渦電流の流路が遮断され、導電性層の非通紙領域が発熱するのが抑制される。このため、簡単な加工によって、定着部材の非通紙領域の温度が上昇するのを防止し、定着部材を加熱する消費電力を効果的に低減することができる。一方、通紙領域は導電性層の表皮抵抗に比例して所定の温度までほぼ均一に発熱し、記録媒体上の未定着トナー像は良好に加熱される。
【0011】
さらに、上記定着装置では、導電性層の周方向に誘導される渦電流と直交するように、定着部材の幅方向にスリットが設けられている。このため、該スリットによって導電性層の周方向に生じる渦電流の流路を有効に遮断し、導電性層の非通紙領域が発熱するのを抑制することができる。また、このスリットは、定着部材の周方向に間隔をおいて複数が設けられているため、渦電流の流路を複数の箇所で遮断し、導電性層の非通紙領域が発熱するのを効果的に抑制することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、 請求項1に記載の定着装置において、前記定着部材は、導電性材料からなるロール状部材であるものとする。
【0013】
上記定着装置では、ロール状部材の内側に励磁コイルが配置されており、ロール状部材の周方向に渦電流が誘導される。そして、ロール状部材の非通紙領域では、ロール状部材に設けられているスリットによって、渦電流の流路が遮断される。これにより、非通紙領域の発熱が抑制され、通紙領域はほぼ均一に加熱される。この定着部材はその剛性によって加圧部材と圧接することができ、記録媒体に強く押し付けてトナー像を効率良く溶融圧着することができる。
なお、上記ロール状部材は、周面上に合成樹脂等による表面層、表面離型層、弾性層等を設けることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、 請求項2に記載の定着装置において、前記スリットは、前記定着部材の幅方向における縁部より中央部側に設けられており、該定着部材の縁部が周方向に連続しているものとする。
【0015】
上記定着装置では、定着部材の縁部がスリットによって切り欠かれずに周方向に連続しているため、ロール状部材の剛性の低下が抑えられ、定着部材に作用する加圧部材等による負荷がロール状部材の支持部に伝達され、過大な変形を生じることなく定着部材が支持される。また、励磁コイルによる変動磁界の影響を強く受ける部分では、スリットによって定着部材の非通紙領域が発熱するのを抑えることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、 軸線周りに回転するように支持された加熱ロールと、 前記加熱ロールの周面を加熱する加熱装置と、 前記加熱ロールと平行に支持された、少なくとも一つの支持ロールと、 前記加熱ロールと前記支持ロールとに張架された無端状の定着ベルトと、 前記定着ベルトを介して、前記加熱ロールの周面の軸方向にほぼ均等な力で押圧される加圧部材とを有し、 前記定着ベルトと前記加圧部材との間を通過する記録媒体上の未定着トナー像を、加熱及び加圧して該記録媒体に定着する定着装置であって、 前記加熱ロールは、導電性材料からなり、周面の前記記録媒体が通過する領域より縁部側に、周方向の連続性を遮断するようにスリットが設けられており、 前記スリットは、前記定着部材の幅方向に軸線を有し、該定着部材の周方向に間隔をおいて複数が設けられたものであり、 前記加熱装置は、前記加熱ロールの内側に配置され、該加熱ロールの軸方向に螺旋状に巻き回された励磁コイルを有し、交番磁界を発生して前記加熱ロールの周方向に渦電流を誘導するものであることを特徴とする定着装置を提供する。
【0017】
上記加熱装置によって、加熱ロールの周方向に渦電流が誘導されて加熱ロールの通紙領域が発熱し、該加熱ロールと接触する定着ベルトが所定の温度に加熱される。加熱ロールの非通紙領域では、該加熱ロールに設けられているスリットによって渦電流の流路が遮断され、発熱が抑制される。このため、定着ベルトの非通紙領域は加熱されず、消費電力を低減することができるとともに、通紙領域と圧接部材との間に未定着トナー像を担持した記録媒体を挟みこんで、良好に定着を行なうことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項1、請求項2又は請求項3に係る発明の一実施形態である定着装置を備える画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、一様帯電後に像光を照射することにより表面に静電電位の差による潜像が形成される感光体ドラム1を備えており、この周囲に、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる帯電装置2と、感光体ドラム1に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置3と、感光体ドラム上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置4と、感光体ドラム1と対向し、記録紙を挟んで感光体ドラムとの間に転写バイアス電界を生成する転写ロール5と、トナー像の転写後に感光体ドラム1に残留するトナーを除去するクリーニング装置6とが設けられている。そして、感光体ドラム1と転写ロール5との対向部の上流側から記録紙を供給するようになっており、下流側には記録紙上に転写された未定着トナー像を加熱溶融し記録紙に圧着する定着装置7が設けられている。
【0019】
上記感光体ドラム1は、金属製ドラムの表面に有機感光材料、アモルファスセレン系感光材料、アモルファスシリコン系感光材料等からなる感光体層を形成したものを用いることができる。
【0020】
上記帯電装置2は、ステンレススチール、アルミニウム等の導電性を有する金属のロールに高抵抗材料のコーティングを施したものであり、感光体ドラム1に当接され、従動回転するようになっている。そして、所定の電圧が印加されることにより、該ロールと感光体ドラム1との接触部近傍における微小間隙内で継続的な放電を生じ、感光体ドラム1の表面をほぼ一様に帯電するものである。
【0021】
上記露光装置3は、画像信号に基づいて点滅するレーザー光を発生し、これをポリゴンミラーによって感光体ドラム1の主走査方向にスキャンするものであり、これにより感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
【0022】
上記現像装置4はブラックのトナーを収容しており、感光体ドラム1と近接・対向し、感光体ドラム上の潜像に対応してトナーを転移し、可視像を形成するものである。
【0023】
上記転写ロール5は、導電性もしくは半導電性のロール状部材からなり、感光体ドラム1との間に転写用バイアス電圧を印加することによって、感光体ドラム上のトナー像を記録紙に転写する。
【0024】
上記クリーニング装置6は、感光体ドラム1の表面にブレードを圧接し、感光体ドラム上に残留するトナーを掻き取るように除去するものである。また、ブレードに代えて、ロール状部材によってトナーを掻き取ったり、ブラシによってトナーを掃き出すものであってもよい。
【0025】
上記定着装置7は、図2に示すように、中心軸回りに回転が可能に支持された定着ロール11と、該定着ロール11の軸線と平行に圧接される加圧ロール12と、定着ロール11の内部に配置され、該定着ロール11の周面を加熱する電磁誘導加熱装置13とで構成されている。
【0026】
次に、定着ロール11及び電磁誘導加熱装置13について、図3及び図4に基づいて詳細に説明する。なお、図3は定着ロール11の概略斜視図、図4は定着ロール11及び電磁誘導加熱装置13の軸線方向の断面図である。
上記定着ロール11は、導電性を有する金属製の円筒状芯金11aと、該円筒状芯金11aの上に積層された表面離型層11bとで構成されており、フランジ14によって本体フレーム15に支持されている。
【0027】
また、円筒状芯金11aの通紙領域より両端部側の領域、すなわち非通紙領域には、該円筒状芯金11aの縁部11dより中央部側に、円筒状芯金11aの軸方向に軸線を有するスリット11cが、周方向にほぼ等間隔をおいて複数設けられている。本実施例では、幅0.5mmのスリットが周方向の4ヶ所に形成されている。これにより、非通紙領域では縁部11dを除いて周方向に周面が連続しておらず、縁部11dのみが周方向に連続している。縁部11dが周方向に連続していることによって、スリット11cを設けても円筒状芯金11aの両端部は容易には変形せず、フランジ14ときっちり嵌め合わされるものとなっている。したがって、該円筒状芯金11aへの負荷はフランジ14を介して本体フレーム15に伝達され、加圧ロール12とのニップ部で記録紙Pに強く圧接することができる。
なお、定着ロール11への負荷を考慮した上で、図7に示すように、円筒状芯金11aの側縁にまで連続するようなスリット16であってもよい。
【0028】
円筒状芯金11aは、例えば鉄、磁性ステンレス、ニッケルなどの磁性金属、またはこれら主体の合金を、厚さ200μm〜1mmで形成したものが用いられ、電磁誘導で十分な発熱が得られるような固有抵抗値となるように材質が選択される。本実施例では、円筒状芯金11aは、厚さ0.5mmの鋼によって形成されており、幅0.5mmのスリット11cが設けられている。表面離型層11bは、厚さ30μm程度の離型性の高いシート又はコート層であることが好ましく、例えばフッ素樹脂層を用いることができる。
【0029】
上記電磁誘導加熱装置13は、定着ロール11の内側で同軸上に支持された円筒状のコイル支持部材13aと、コイル支持部材13aに巻き回された螺旋状の励磁コイル13bと、励磁コイル13bに交流電流を供給する励磁回路13cとで主要部が構成されている。励磁コイル13bは、本実施例では、互いに絶縁された銅線材を複数本束ねたリッツ線が用いられており、連続したリッツ線がコイル支持部材13aの周面に巻き回されている。このコイル支持部材13aは定着ロール11の内側で、回転する定着ロール11とは隔離され、本体フレーム15によって固定支持されている。コイル支持部材13aは、耐熱性のある非磁性材料を用いることが望ましく、ポリカーボネイト、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、耐熱ガラス又は液晶ポリマー等が用いられる。
【0030】
上記加圧ロール12は、金属製の円筒状芯金12aを芯材とし、該芯金12aの表面にスポンジやゴムなどの弾性層12bと、更にその表面にフッ素樹脂等からなる離型層12cとを備えている。該加圧ロール12は、定着ロール11に対して接離可能に移動する機構を備えている。
【0031】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
まず、感光体ドラム1の表面が帯電装置2でほぼ一様に帯電され、次いで露光装置3から像光が照射される。これにより、露光部は感光体ドラム1表面の帯電電位が減衰し、静電電位の差による潜像が形成される。そして、感光体ドラム1が現像装置4と対向する位置に回転移動し、現像装置4からトナーが選択的に転移されてトナー像が形成され、転写ロール5と対向する位置に搬送される。感光体ドラム1と転写ロール5との間には転写用バイアス電圧が印加されており、タイミングを合わせて送り込まれた記録紙Pに感光体ドラム上のトナー像が転写される。
【0032】
未定着のトナー像を担持した記録紙Pは定着装置7へ搬送され、定着装置7が有する定着ロール11と加圧ロール12との間で加熱加圧され、トナー像が記録紙Pに溶融圧着して定着画像が形成される。一方、トナー像転写後に感光体ドラム上に残留するトナーはクリーニング装置6により除去され、感光体ドラム1は再び帯電装置2との対向位置に移動する。
【0033】
上記定着ロール11及び加圧ロール12は、駆動モータ(図示しない)により回転駆動されており、電磁誘導加熱装置13によって定着ロール11の周面が所定の温度まで加熱される。
上記励磁回路13cから励磁コイル13bに交流電流が供給されると、図5に示すように、励磁コイル13bの軸線方向(矢印A方向)に磁界が生成消滅を繰り返す。そして、この磁界の変化を妨げる磁界を生じるように円筒状芯金11aの周方向(矢印B方向)に渦電流が発生し、該円筒状芯金11aの表皮抵抗に比例してジュール発熱する。これにより、定着ロール11周面の通紙領域が所定の温度まで加熱される。
【0034】
一方、非通紙領域である定着ロール11の両端部では、円筒状芯金11aの軸方向に設けられている複数のスリット11cによって、円筒状芯金11aの矢印B方向に発生する渦電流の流路が遮断され、励磁コイル13bに交流電流が供給されても、円筒状芯金11aの周方向に連続した渦電流が発生しない。このため、円筒状芯金11aの発熱が抑制され、定着ロール11の非通紙領域の温度上昇が抑制される。したがって、定着に寄与しない非通紙領域の加熱に多くの電力を用いることがなく、励磁コイル13bへの供給電力を低減することができる。
【0035】
図6は、本実施例の定着装置が有する定着ロール及び従来の定着ロールの発熱特性を示す図である。従来の定着装置では、定着ロールの端部では励磁コイルの磁束の密度に応じて渦電流が誘導され、励磁コイルの端部で磁束が疎になるため、定着ロールの温度は端部に向かって徐々に低下していく。一方、本実施例の定着ロールの端部では、スリットによって渦電流が遮断され、発熱が抑制される。このため、通紙領域の両端部で温度が急低下し、非通紙領域を加熱する電力を低減することができる。
【0036】
図8(a)は、請求項1に係る発明の他の実施形態である定着装置を示す概略構成図である。
この定着装置は、導電性層を有する無端状の定着フィルム31と、定着フィルム31が圧接される加圧ロール32と、非磁性体からなる定着フィルム31の内周面に沿って配置された走行ガイド33と、走行ガイド33に支持され、定着フィルム31の内面に当接されて定着フィルム31を加圧ロール32に押圧する加圧パッド34と、走行ガイド33の内側に配置された電磁誘導加熱装置35とで主要部が構成されている。
【0037】
上記定着フィルム31は、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性樹脂からなる基層31a上に、銅又はアルミニウム等の導電性層31bが設けられたものである。この定着フィルム31の側縁における非通紙領域には、図8(b)に示すように、基層31a上で導電性層31bがスリット状に欠落した部分が設けられている。この導電性層31bの欠落部分31cは、定着フィルム31の無端状周面における幅方向に長辺を有するスリット状となっており、この範囲で導電性層31bの周方向の連続性が遮断されている。
なお、このようなスリット状の欠落部分31cは、耐熱性樹脂からなる基層上にメッキ、蒸着等の方法によって導電性層を形成するときに、マスクを設けておくことによって、容易に形成することができる。
【0038】
上記加圧ロール32は、金属製の円筒状芯金32aを芯材とし、該芯金32aの表面にスポンジやゴムなどの弾性層32bと、さらにその上に表面離型層32cとが積層されている。本実施例では、直径が20mmの中実の鉄ロールを用い、表面に厚さ4mmのシリコンスポンジ層を形成し、表面離型層32cとして厚さ50μmのPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)で被覆したものが用いられている。また、加圧ロール32は、駆動モータ(図示しない)によって回転駆動され、これにともなって定着フィルム31が従動回転する。
【0039】
上記走行ガイド33は、耐熱性を有するとともに非導電性・非磁性の材料で形成され、例えばポリカーボネイト、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、耐熱ガラス又は液晶ポリマー等が用いられる。
【0040】
上記加圧パッド34は、シリコーンゴム等の耐熱性を有する弾性材料で形成されており、定着フィルム31の内面に押圧される面は、加圧ロール32の周面に沿った湾曲面となっている。これにより、定着フィルム31を所定の範囲で加圧ロール32の周面に圧接することができるようになっている。
【0041】
上記電磁誘導加熱装置35は、図2及び図4に示す定着装置と同様に、円筒状のコイル支持部材35aにリッツ線を巻き回した励磁コイル35bを備えており、円筒状となった走行ガイド33の内側に固定支持されている。
【0042】
上記のような定着装置では、励磁コイル35aに交流電流が印加されると、励磁コイル35aの中心軸線方向に磁束が生じ、励磁コイル35aの外側を囲むように配置される定着フィルム31の周方向に渦電流が誘導される。そして、定着フィルム31の非通紙領域ではスリットによって渦電流が遮断され、発熱が抑制される。
【0043】
図9は、請求項4に係る発明の一実施形態である定着装置を示す概略構成図である。
この定着装置は、中心軸回りに回転が可能に支持された加熱ロール21と、加熱ロール21と平行に支持された支持ロール22と、加熱ロール21と支持ロール22とに張架された無端状の定着ベルト23と、定着ベルト23を介して加熱ロール21に、この軸線と平行に圧接される加圧ロール24と、加熱ロール21の内部に配置され、該加熱ロール21の周面を加熱する電磁誘導加熱装置25とで構成されている。
【0044】
上記加熱ロール21は、導電性を有する金属製の円筒状部材で構成されており、非通紙領域と対応する範囲には、図2に示す定着ロール11と同様に、スリット(図示しない)が設けられている。また、加圧ロール24及び電磁誘導加熱装置25は、図2に示す定着装置と同様のものが用いられており、定着ベルト23は、耐熱性樹脂等からなる基層と、耐熱性及び離型性を有する表面離型層とで構成されている。
【0045】
この定着装置では、電磁誘導加熱装置25によって加熱ロール21の通紙領域が発熱し、該加熱ロール21と接触する定着ベルト23が所定の温度に加熱される。そして、定着ベルト23と加圧ロール24との間で記録紙P上の未定着トナー像が加熱され、記録紙Pに圧着されて定着画像が形成される。一方、加熱ロール21の非通紙領域では、スリットによって渦電流の流路が遮断されて発熱が抑制される。従って、定着ベルト23の両端部の温度上昇を抑え、消費電力を低減することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る定着装置は、加熱装置の励磁コイルに交流電流を印加すると、螺旋状に巻き回された励磁コイルの軸線方向に交番磁界が発生し、定着部材が有する導電性層の周方向に渦電流が誘導される。そして、定着部材の非通紙領域では、導電性層の周方向の連続性を遮断するようにスリットが設けられており、このスリットによって渦電流の流路が遮断され、導電性層の非通紙領域が発熱するのが抑制される。このため、定着部材の非通紙領域の温度が上昇するのを防止し、通紙領域を効率良く加熱して消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1、請求項2又は請求項3に係る発明の一実施形態である定着装置を備える画像形成装置の概略構成図である。
【図2】 図1に示す画像形成装置が有する定着装置の概略断面図である。
【図3】 図2に示す定着装置が有する定着ロールの概略斜視図である。
【図4】 図2に示す定着装置が有する定着ロール及び電磁誘導加熱装置の軸線方向の断面図である。
【図5】 図2に示す定着装置の定着ロールに発生する渦電流の状態を示す概略図である。
【図6】 図2に示す定着装置が有する定着ロール及び従来の定着ロールの発熱特性を示す図である。
【図7】 図2に示す定着装置で用いることのできる他の定着ロールの斜視図である。
【図8】 請求項1に係る発明の一実施形態である定着装置を示す概略構成図である。
【図9】 請求項4に係る発明の一実施形態である定着装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写ロール
6 クリーニング装置
7 定着装置
11 定着ロール
12、24、32 加圧ロール
13、25、35 電磁誘導加熱装置
14 フランジ
15 本体フレーム
16、11c スリット
21 加熱ロール
22 支持ロール
23 定着ベルト
31 定着フィルム
33 走行ガイド
34 加圧パッド
Claims (4)
- 無端状の周面を有し、該周面が周回するように支持された定着部材と、
前記定着部材の周面を加熱する加熱装置と、
前記定着部材の外周面に当接され、該定着部材の周面の幅方向にほぼ均等な力で押圧される加圧部材とを有し、
前記定着部材と前記加圧部材との間を通過する記録媒体上の未定着トナー像を、加熱及び加圧して該記録媒体に定着する定着装置であって、
前記定着部材は、周面に沿って導電性層を有し、該導電性層は前記定着部材の前記記録媒体が通過する領域より縁部側に、該導電性層の周方向の連続性を遮断するようにスリットが設けられており、
前記スリットは、前記定着部材の幅方向に軸線を有し、該定着部材の周方向に間隔をおいて複数が設けられたものであり、
前記加熱装置は、前記定着部材の内側に配置され、該定着部材の幅方向に軸線を有する螺旋状に巻き回された励磁コイルを有し、交番磁界を発生して前記導電性層の周方向に渦電流を誘導するものであることを特徴とする定着装置。 - 前記定着部材は、導電性材料からなるロール状部材であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記スリットは、前記定着部材の幅方向における縁部より中央部側に設けられており、該定着部材の縁部が周方向に連続していることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 軸線周りに回転するように支持された加熱ロールと、
前記加熱ロールの周面を加熱する加熱装置と、
前記加熱ロールと平行に支持された、少なくとも一つの支持ロールと、
前記加熱ロールと前記支持ロールとに張架された無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトを介して、前記加熱ロールの周面の軸方向にほぼ均等な力で押圧される加圧部材とを有し、
前記定着ベルトと前記加圧部材との間を通過する記録媒体上の未定着トナー像を、加熱及び加圧して該記録媒体に定着する定着装置であって、
前記加熱ロールは、導電性材料からなり、周面の前記記録媒体が通過する領域より縁部側に、周方向の連続性を遮断するようにスリットが設けられており、
前記スリットは、前記定着部材の幅方向に軸線を有し、該定着部材の周方向に間隔をおいて複数が設けられたものであり、
前記加熱装置は、前記加熱ロールの内側に配置され、該加熱ロールの軸方向に螺旋状に巻き回された励磁コイルを有し、交番磁界を発生して前記加熱ロールの周方向に渦電流を誘導するものであることを特徴とする定着装置。
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