JP4035248B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機・プリンタ等の画像形成装置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス等の適宜の作像プロセス手段により転写方式あるいは直接方式で記録材上に形成担持させた未定着のトナー画像(樹脂・磁性体・着色料等からなる加熱溶融性の顕画剤(トナー)の像)を記録材に溶融定着する定着装置としては熱ローラ方式の装置が汎用されている。
【0003】
熱ローラ方式の定着装置は互いに圧接・回転している定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの圧接ニップ部(定着ニップ部)で未定着トナー画像を担持させた記録材を挟持搬送しながら熱と圧力を加えることで未定着トナー画像を溶融定着せしめるもので、熱ローラである定着ローラを加熱する手段として、定着ローラに熱源としてハロゲンランプを内蔵させ、該ハロゲンランプで定着ローラを内部から加熱して、定着ローラ表面の温度を定着に適当な温度に温調するものが一般的であった。
【0004】
熱ローラである定着ローラを加熱する他の手段として、励磁コイルによる磁束(磁界)で定着ローラ内面に設けた導電層に渦電流を発生させてジュール熱により導電層を発熱させ、その発熱により定着ローラを加熱するようにした電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されている。
【0005】
この電磁誘導加熱方式の定着装置は熱発生源をトナー像のごく近くに置くことができるので、ハロゲンランプを用いた定着装置に比して、装置起動時に定着ローラ表面の温度が定着に適当な温度になるまでに要する時間が短くできるという特徴がある。また熱発生源からトナー画像への熱伝達経路が短く単純であるため熱効率が高いという特徴もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の様な励磁コイルによる磁束で定着ローラ内面に設けた導電層に渦電流を発生させてジュール熱により導電層を発熱させ、その発熱により定着ローラを加熱するようにした電磁誘導加熱方式の定着装置において、効率よく導電層を発熱させるためには励磁コイルを定着ローラ内面に沿わせて配設しなければならず励磁コイルの形状が複雑にならざるを得ず、励磁コイルの量産性が悪くなり高コストになってしまうといった欠点があった。
【0007】
また、励磁コイル一つという構成で定着ローラの長手方向両端部からの熱の逃げを補って定着ローラ長手方向の表面温度を均一化する事は難しく、例えば図5の破線グラフBに示す様に定着ローラ表面温度が長手方向中央部では定着目標温度Tcであるのに対し、両端部では定着目標温度Tcに対して45℃温度が下がってしまい不均一な温度分布になってしまう。定着ローラ表面温度を長手方向に渡って均一化するためには励磁コイルを長手方向に複数個に分割してそれぞれ独立に制御するなどといった構成が必要で、定着装置が複雑で効果なものになってしまうといった欠点があった。
【0008】
そこで本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置について、被加熱体を効率よく発熱させること、かつ被加熱体表面温度を長手方向に渡って均一化すること、しかも簡素な構成により量産性を向上させて低コスト化等を可能にすることを目的とする。またこれにより定着装置の高性能化を可能にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする定着装置である。
【0011】
磁束を生ずる励磁コイルと、磁束により生ずる誘導電流により発熱する発熱体と、を有し、発熱体の電磁誘導発熱により記録材上に形成されたトナー画像を溶融定着する定着装置において、励磁コイルは直方体形状の棒材にコイル線材を平面的に巻きつけて棒材を抜いて形成され、発熱体の曲面形状に沿わせて予め変形させたものであり、磁性体コアに設けられている突起部に棒材抜き孔部を嵌め合わせると共にコイルの長手方向両端部の発熱体側とは反対側にコイルの曲面に沿う様に設けられている磁性体コアにコイルの両端を沿わせてから、コイルと磁性体コアの外側から被せて熱収縮させる熱収縮チューブを有することを特徴とする定着装置。
【0016】
直方体形状の棒材にコイル線材を巻きつけて、励磁コイルを成型してから棒材を外して形成されたコイルを曲げてから、磁性体コアに設けられた突起部にコイルの棒材抜き孔部を取り付けることでコイルの位置決めを行うことができる。
一方、棒材抜き孔部の両側にあるコイルの両端部の位置が不安定になることを防止するために、磁性体コアを加熱体側とは反対側に励磁コイルの曲面に沿うように設けることにより、端部のコイルをガイドすることができるだけなく、発熱体の端部の温度だれを防止することができる。
コイルと磁性体コアの外側から被せて熱収縮させる熱収縮チューブを有することにより、コイル全体の磁性体コアとの間隔を短くでき、発熱体にコイルと磁性体コアを取り付けても発熱体の温度ムラを防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〈参考例〉(図1〜図5)
図1は本参考例における定着装置の要部の横断面模型図である。
【0020】
1は被加熱体としての電磁誘導発熱性の定着ローラ、2は加圧ローラ、3は磁束発生手段としての励磁コイル−磁性体コアユニット、4は高周波コンバーター(励磁回路)、5は温度センサー、6は制御回路、7は記録材搬送ガイド、8は分離爪、Pは記録材(用紙)、tはこの記録材上の未定着トナー像である。
【0021】
定着ローラ1と加圧ローラ2は上下に並行に配列してそれぞれ両端側を不図示の軸受部材に回転自在に支持させてあり、加圧ローラ2をバネなどを用いた不図示の加圧機構によって定着ローラ1の回転軸方向に付勢して定着ローラ1の下面部に所定の加圧力で圧接させて圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成させている。定着ローラ1は不図示の駆動機構により矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ2は圧接ニップ部Nでの定着ローラ1との圧接摩擦力で定着ローラ1の回転に従動して回転する。
【0022】
a)定着ローラ1
被加熱体としての電磁誘導発熱性の定着ローラ1は、本例では、外径32mm、厚さ0.5mmの鉄製の芯金シリンダ(発熱体)11を主体とするものである。電磁誘導発熱性の芯金シリンダ11はその他の材料として例えば磁性ステンレスのような磁性材料(磁性金属)といった、比較的透磁率μが高く、適当な抵抗率ρを持つ物を用いてもよい。
【0023】
芯金シリンダ11の外周面には定着ローラ表面の離型性を高めるために、例えばPTFEやPFA等のフッ素系樹脂の厚さ10〜50μmの離型層12を設けてもよい。
【0024】
また芯金シリンダ11と離型層12の間に所望の機能層、例えば、記録材と定着ローラ表面との密着性を高めるために耐熱性・弾性を有するゴム材や樹脂材の厚さ数100μmの弾性層などを設けてもよい。
【0025】
b)加圧ローラ2
加圧ローラ2は、外径20mmの鉄製の芯金21の外周に、厚さ5mmのSiゴムの層22を設けたものである。さらに定着ローラ1と同様に表面の離型性を高めるために例えばPTFEやPFA等のフッ素系樹脂の厚さ10〜50μmの離型層23を設けてもよく、総外径は約30mmのローラである。
【0026】
加圧ローラ2は定着ローラ1に対して約30Kg重で加圧されており、その場合圧接ニップ部Nのニップ幅は約4mmになる。都合によっては荷重を変化させてニップ幅を変えてもよい。
【0027】
c)励磁コイル−磁性体コアユニット3
図2は励磁コイル−磁性体コアユニットの一部切欠きの外観斜視図、図3は分解斜視図、図4は励磁コイルの作製要領図である。
【0028】
▲1▼.磁束発生手段としての励磁コイル−磁性体コアユニット3は、励磁コイル31、磁性体コア32・33・34、アルミニウム製の保持ホルダー35、絶縁性の熱収縮性チューブ外被36等からなり、定着ローラ1内に挿入して配設してある。
【0029】
励磁コイル31は次の要領で作製したものである。即ち、図4の(a)のようなコイル線材巻き込み用の横長直方体形状の芯棒材100を芯にしてその長手方向に沿う外回りに図4の(b)のようにコイル線材を平面的にうず巻き状に巻き付けて横長の角丸四角形状の平板状うず巻き型の励磁コイル31にし、プレス加工等を施して成形してから芯棒材100を外す。図4の(c)は芯棒材100を外した状態の平板状うず巻き型の励磁コイル31であり、定着ローラ1の長手方向寸法に略対応した長さ寸法を有する。31a・31bは励磁コイル31のコイル線材の一端部と他端部に設けた給電用電気端子である。31cは励磁コイル31の中央分の横長の芯棒材抜き孔部である。
【0030】
励磁コイル31のコイル線材は、外径0.15〜0.50mmの絶縁被覆した導線を20〜150本リッツにしたものを用いている。より具体的に本例では、外径0.2mm、84本、総外径3mmのリッツ線をコイル線材として用いている。励磁コイル31が昇温した場合を考えて絶縁被覆には耐熱性の物を使用した。
【0031】
定着ローラ1の電磁誘導発熱を増加させるためには励磁コイル31に印加する交流電流の電流振幅を大きくすると良く、励磁コイル31のコイル線材の巻き数を減らしてやることが可能となるが、同時に励磁コイル31の電気抵抗による発熱も増加するので、本実施例では励磁コイル31のコイル線材の巻き数は8巻きとした。
【0032】
▲2▼.磁性体コア32・33・34において、磁性体コア32は中央部磁性体コアであり、励磁コイル31の長手方向中央部に対応する。磁性体コア33・34は端部磁性体コアであり、励磁コイル31の長手方向両端部に対応する。磁性体コア32・33・34は高透磁率かつ低損失のものを用いると良く、磁気回路の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。
【0033】
中央部磁性体コア32は長手方向長さを図4でコイル線材を巻き付けた直方体形状の芯棒材100の長手方向長さと略等しくした、横断面略半円状の中実の横長部材で、半円弧面は定着ローラ内曲面に沿った形状に加工したものである。32aはこの中央部磁性体コア32の半円弧面部の円周方向の略中央部に磁性体コア長手に沿って具備させた横長突起部である。この横長突起部32aは前記した励磁コイル31のコイル線材巻き込み用の横長直方体形状芯棒材100と略同じ形状としてある。32bは磁性体コア32の背面平面部の幅方向略中央部に長手に沿って具備させた横長凹溝部である。 端部磁性体コア33・34はそれぞれ定着ローラ内曲面に沿った半円弧面形状に加工したアーチ型部材であり、中央部磁性体コア32の長手方向両端部側に中央部磁性体コア32を延長した形でならべて配設される。
【0034】
▲3▼.アルミニウム製の保持ホルダー35は定着ローラ1の長手方向寸法よりも長い長さ寸法を有し、中央部磁性体コア32の背面平面部の幅寸法に略対応した幅寸法を有し、比較的肉厚で剛性の有る横長板状部材である。
【0035】
35aは保持ホルダー35の内面側の幅方向略中央部に長手に沿って具備させた横長突起部であり、中央部磁性体コア32の背面平面部の横長凹溝部32bと対応嵌合する関係にある。
【0036】
▲4▼.そして、図3の分解斜視図に示すように、中央部磁性体コア32の半円弧面部に対して平板状うず巻き型の励磁コイル31をその中心部の横長の芯棒材抜き孔部31cを中央部磁性体コア32の半円弧面部の横長突起部32aに対応させて嵌合係合させて合体させ、中央部磁性体コア32の背面平面部に対して保持ホルダー35をその内面側の横長突起部35aを中央部磁性体コア32の背面平面部の横長凹溝部32bに嵌合係合させて合体させる。
【0037】
また、中央部磁性体コア32の長手方向両端部側にそれぞれ端部磁性体コア33・34を中央部磁性体コア32を延長した形でならべて配設する。このとき、励磁コイル31の巻き始め側のコイル線材の端部をその側の端部磁性体コア33のアーチ形状の内側空間を通して端部磁性体コア33の外側に導き出す。端部磁性体コア33・34は励磁コイル31の長手方向両端部で中央部磁性体コア32の長手方向両端部からはみ出した部分に対応位置する。
【0038】
上記の励磁コイル31、磁性体コア32・33・34、保持ホルダー35の組み付け体の外側に絶縁性の熱収縮性チューブ36を被せて該チューブを十分に熱収縮させる。絶縁性の熱収縮性チューブ36は例えばシリコン樹脂系あるいはフッ素樹脂系のものであり、本例では熱収縮前の外径40mm・厚さ0.3mmで、外径30mmに熱収縮させたとき肉厚が0.4mmとなる熱収縮性チューブを用いた。
【0039】
熱収縮性チューブ36を十分に熱収縮させることで、平板状うず巻き型の励磁コイル31の中央部は中央部磁性体コア32の半円弧面部に対応して該半円弧面部に沿って成形され、また励磁コイル31の長手方向両端部はそれぞれ端部励磁コイル33・34の半円弧面部に対応して該半円弧面部に沿って成形される。即ち定着ローラ内曲面に沿った形状に成形される。また励磁コイル31、磁性体コア32・33・34、保持ホルダー35が一体に固定化されて励磁コイル−磁性体コアユニット3が構成される。図2はこの励磁コイル−磁性体コアユニット3の一部切欠きの外観斜視図である。
【0040】
励磁コイル−磁性体コアユニット3の特に励磁コイル31の定着ローラ内曲面との対向面が絶縁性の熱収縮性チューブ36で覆われることで、該チューブ36が励磁コイル31と定着ローラ内曲面とを電気絶縁する役目も果たし、電気的安全性が向上する。
【0041】
励磁コイル31のコイル線材の端部を内側に通さない側の端部磁性体コア34は中実の磁性体コアでもよい。
【0042】
▲5▼.上記の励磁コイル−磁性体コアユニット3を定着ローラ1の中空内に挿入し、定着ローラ内曲面に沿った形状に成形されている励磁コイル31面部分を定着ローラ内曲面に近接させた所定の位置・角度姿勢にユニット3を調整して該ユニット3の保持ホルダー35の両端部を装置本体側の不図示の不動支持部にビス止めして固定支持させる。35bは保持ホルダー35の両端部に具備させた止めビス挿通孔である。
【0043】
本参考例では、定着ローラ1の横断面において、励磁コイル31の中央部(中央部磁性体コア32の半円弧面部の横長突起部32a)が定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接ニップ部Nよりも定着ローラ1の回転方向上流側にずれて位置するように励磁コイル−磁性体コアユニット3を図1のように傾かせた角度姿勢で配設している。これは励磁コイル31が対向している定着ローラ1の導電層が局部的に発熱するため、その発熱部が圧接ニップ部Nの直前になる様にすることで効率よく圧接ニップ部Nでトナー画像tと記録材Pに供給するためである。
【0044】
d)定着ローラ1の加熱と温調制御
励磁コイル31は高周波コンバーター4に接続してあり10〜100[kHz]の交流電流が印加され、2000[W]程度までの高周波電力が供給される。励磁コイル31に流れる交流電流によって誘導された磁界は導電性である定着ローラ1の芯金シリンダ11の内面付近に渦電流を流し、芯金シリンダ11にジュール発熱を発生させる(電磁誘導発熱)。この芯金シリンダ11の電磁誘導発熱で定着ローラ1が加熱状態となる。
【0045】
温度センサー5は例えばサーミスタであり、定着ローラ1の局所的に発熱する部分の表面に当接するように配置され、この温度センサー5の定着ローラ表面温度検出信号が制御回路6に入力する。制御回路6は温度センサー5から入力する定着ローラ表面温度検出信号をもとに高周波コンバーター4を制御して高周波コンバーター4から励磁コイル31への電力供給を増減させることで、定着ローラ1の表面温度が所定の一定温度になる様自動制御される。
【0046】
e)定着動作
定着ローラ1が回転駆動され、これに伴い加圧ローラ2も従動回転し、磁束発生手段としての励磁コイル−磁性体コアユニット3の発生磁束の作用により定着ローラ1の芯金シリンダ11が電磁誘導発熱して定着ローラ1の表面温度が所定の一定温度になる様自動制御された状態において、定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接ニップ部Nに、不図示の作像機構部から搬送された未定着トナー画像tを形成担持した記録材Pが搬送ガイド7で案内されて導入される。この場合、記録材Pの未定着トナー画像形成担持面側が定着ローラ1に対面する。
【0047】
定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接ニップ部Nに導入された記録材Pは圧接ニップ部Nを挟持搬送され、定着ローラ1で加熱されて、未定着トナー画像tが記録材Pに溶融定着される。
【0048】
圧接ニップ部Nを通った記録材Pは定着ローラ1から分離して排出搬送されていく。分離爪8は定着ローラ1の表面に当接させて配置され、記録材Pが圧接ニップ部通過後に定着ローラ1面に張り付いてしまった場合に定着ローラ1面から強制的に分離させてしてジャムを防止するためのものである。
【0049】
而して、本参考例では、一旦平面形状に成形した励磁コイル31を予め定着ローラ1の内曲面に沿った形状に加工されている磁性体コア32・33・34の面に熱収縮チューブ35を用いて再成形して励磁コイル−磁性体コアユニット3とすることで、励磁コイル31の定着ローラ導電層(芯金シリンダ11)に面する面積が広く、励磁コイル31と定着ローラ導電層11との距離が励磁コイル全体にわたって均一になるように作用して被加熱体を効率よく発熱させることができ、かつ励磁コイル31の形状が簡単で製法が簡素化されて量産性を向上させることができて低コスト化が可能となる。
【0050】
そして励磁コイル31の長手方向両端部ではこの励磁コイル長手方向両端部において定着ローラ1側とは反対側に励磁コイル31の曲面に沿う様に配設した端部磁性体コア33・34が該磁性体コアが対応している定着ローラ部分により強い磁界を作るように作用することで定着ローラ1の長手方向両端部からの熱の逃げを補って定着ローラ1の長手方向中央部と両端部とでの温度差を小さくすることができて、定着ローラ1の長手方向の表面温度を均一化する事ができる。
【0051】
即ち、端部磁性体コア33・34によって効率の良い磁気回路を作ることができ、該端部磁性体コア33・34に対応する定着ローラ端部部分の導電層(芯金シリンダ11)を貫く磁束密度が大きくなって定着ローラ端部部分の導電層での発熱量が増え、定着ローラ両端部からの熱の逃げを補うことができ、結果、定着ローラ1の長手方向中央部と両端部とでの温度差を小さくすることができて、定着ローラ1の長手方向の表面温度を均一化する事ができる。
【0052】
具体的に、端部磁性体コア33・34がない場合には定着ローラ長手方向の表面温度分布が図5の破線グラフBの様に不均一で中央部と両端部で45℃の温度差があったものを、端部磁性体コア33・34を配設することで実線グラフAの様に中央部と両端部での温度差を10℃以内に均一化することができる。
【0053】
またこれにより電磁誘導加熱方式の定着装置および該定着装置を備えた画像形成装置について高性能化、低コスト化等をすることができる。
【0054】
〈実施例〉(図6)
本実施例においては、上記参考例の励磁コイル−磁性体コアユニット3の中央部磁性体コア32を図6の励磁コイル−磁性体コアユニット3の分解斜視図に示すように複数枚の直方体形状の磁性体コアを組み合わせて用いて横断面がT字となる様に配設して構成した。本実施例においては直方体形状の磁性体コアを合計9個用いており、T字型の断面で3分割、長手で3分割してある。
【0055】
また励磁コイル31は図4の要領で作成した平板状うず巻き型の励磁コイルを定着ローラ1の内面形状に沿う様に予めプレス加工などを施した立体的形状のものである。
【0056】
その他の励磁コイル−磁性体コアユニット3の構成部材、組み立て要領については第一の実施例の励磁コイル−磁性体コアユニット3と同様である。
【0057】
本実施例の励磁コイル−磁性体コアユニット3及び定着装置も参考例のものと同様の作用効果を有する。
【0058】
また本実施例では中央部磁性体コア32を複数枚の直方体形状の磁性体コアを組み合わせて用いて断面がT字になる様に配設して構成することで、端部磁性体コア33・34との協同で定着ローラ表面温度の長手方向の分布は均一のままにして簡単な形状の安価な磁性体コアを用いる事が可能で定着装置のコストを下げることができる。
【0059】
7は上記例の誘導加熱装置を画像加熱定着装置として具備させた画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
【0060】
41は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラムと記す)であり、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0061】
感光体ドラム41はその回転過程において、まず、帯電装置としての帯電ローラ42によって所定の極性・電位に一様に帯電される。
【0062】
次に、露光装置としてのレーザ光学系(レーザスキャナ)43による、目的の画像情報パターンに対応したレーザビーム走査露光Lを受ける。これにより感光体ドラム41面に目的の画像情報パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0063】
感光体ドラム41面に形成された静電潜像は現像装置44でトナー現像されて可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法等が用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
【0064】
感光体ドラム41面に形成されたトナー画像は、感光体ドラム41と転写ローラ45とで形成される転写ニップ部46において、給紙部47から該転写ニップ部46に所定の制御タイミングにて給送された記録材(転写材)Pに対して順次に転写される。感光体ドラム41上のトナー画像は転写ローラ45にトナーの帯電極性とは逆の極性の電圧が印加されることで記録材P上に順次に転写される。
【0065】
本例の画像形成装置において給紙部47はカセット給紙部であり、給紙カセット内に積載収納させた記録材Pが給紙ローラ48と不図示の1枚分離部材とによって1枚分離給送され、搬送ローラ対49、トップセンサー50を含むシートパス51を通って転写ニップ部46に所定の制御タイミングにて給送される。
【0066】
カセット給紙部47からシートパス51を通って転写ニップ部46に給送される記録材Pはシートパス51の途中に設けたトップセンサー50で先端が認識され、これに同期して感光体ドラム41上に画像が形成される。
【0067】
転写ニップ部46にてトナー画像の転写を受けた記録材Pは感光体ドラム41面から順次に分離されてガイド53を通って定着装置54へ搬送され、該定着装置でトナー画像の加熱定着処理を受ける。定着装置54は上記例の誘導加熱装置である。
【0068】
定着装置54をでた画像定着済みの記録材Pは搬送ローラ対55を含むシートパス56を通って排出ローラ対57で排紙トレイ部58に排出される。
【0069】
一方、記録材Pに対するトナー画像転写後(紙分離後)に感光体ドラム41上に残留する転写残留トナーや紙粉等の汚染付着物はクリーナー52により感光体ドラム41表面より除去され、表面清掃された感光体ドラム41は繰り返して作像に供される。
【0070】
画像形成装置に関して、記録材に対する顕画剤像の形成原理・プロセスは任意である。
【0071】
本発明の定着装置には、画像を担持した記録材を加熱して艶等の表面性を改質したり、仮定着する等の像加熱装置も含まれる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置について、被加熱体を効率よく発熱させること、かつ被加熱体表面温度を長手方向に渡って均一化すること、しかも簡素な構成により量産性を向上させて低コスト化等を可能にする。また、高性能化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例における定着装置の要部の横断面模型図
【図2】 励磁コイル−磁性体コアユニットの一部切欠きの外観斜視図
【図3】 励磁コイル−磁性体コアユニットの分解斜視図
【図4】 励磁コイルの作製要領図
【図5】 定着ローラの長手に沿う表面温度分布グラフ
【図6】 実施例における励磁コイル−磁性体コアユニットの分解斜視図
【図7】像形成装置例の概略構成図
【符号の説明】
1・・定着ローラ
11・・芯金シリンダ(導電層)
12・・離型層
2・・加圧ローラ
3・・励磁コイル−磁性体コアユニット(磁束発生手段)
31・・励磁コイル
32〜34・・磁性体コア(中央部磁性体コア、端部磁性体コア)
35・・保持ホルダー
36・・熱収縮性チューブ
4・・高周波コンバーター(励磁回路)
5・・温度センサー
6・・制御回路
7・・記録材搬送ガイド
8・・分離爪
P・・記録材
t・・未定着トナー画像

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  1. 磁束を生ずる励磁コイルと、磁束により生ずる誘導電流により発熱する発熱体と、を有し、発熱体の電磁誘導発熱により記録材上に形成されたトナー画像を溶融定着する定着装置において、
    励磁コイルは直方体形状の棒材にコイル線材を平面的に巻きつけて棒材を抜いて形成され、発熱体の曲面形状に沿わせて予め変形させたものであり、磁性体コアに設けられている突起部に棒材抜き孔部を嵌め合わせると共にコイルの長手方向両端部の発熱体側とは反対側にコイルの曲面に沿う様に設けられている磁性体コアにコイルの両端を沿わせてから、コイルと磁性体コアの外側から被せて熱収縮させる熱収縮チューブを有することを特徴とする定着装置。
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