以下、本発明を、Bluetooth通信機能を有するハンズフリー機能付き車載ナビゲーション装置(以下、車載ナビゲーション装置と称する)に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載ナビゲーション装置にあって発明の要部を機能ブロック図として示している。車載ナビゲーション装置1は、制御部2、Bluetooth通信部3(近距離通信手段)、操作部4、表示部5、作業メモリ6、記憶メモリ7、マイクロホン8およびスピーカ9を備えて構成されている。
制御部2は、本発明でいう制御手段、判定手段、表示制御手段、転送プロトコル制御手段、転送プロトコル切断手段、ハンズフリープロトコル制御手段、初期ハンズフリープロトコル通信手段、通信維持手段、電話帳転送設定手段、データ転送指定手段および手動転送プロトコル指示手段であって、車載ナビゲーション装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。Bluetooth通信部3は、本発明でいう発信履歴データ受信手段、着信履歴データ受信手段およびデータ受信手段であって、特に近距離無線通信手段であるBluetooth方式に対応した、Bluetooth通信機能付き携帯電話機(以下、携帯電話機と称する)10がBluetooth無線通信圏内に存在していれば、そのBluetooth無線通信圏内に存在している携帯電話機10との間で無線通信回線を確立してBluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。
本例でのBluetooth通信部3は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP(Hands Free Profile)および、電話帳データの転送、発着信履歴データの転送を行うためのPBAP(Phone Book Access Profile)に対応している。これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
携帯電話機10は、周知のように単独(ハンズフリー機器たる車載ナビゲーション装置1との間でHFPを接続していない状態)では、携帯電話網の基地局(図示せず)と携帯電話回線を確立して電話の発信処理および着信処理を単独で行うことが可能に構成されている。この場合、携帯電話機10は、発信処理としては例えばユーザがダイアルキー(「0」〜「9」の数字キー)(図示せず)を操作して発信先の電話番号を入力し、続いて発信キー(図示せず)を操作すると、当該電話番号を発信先として発信することでき、発信先の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
また、携帯電話機10は、着信処理としては発信元の携帯電話機が当該携帯電話機10を発信先として発信したことに応じて基地局から着信信号を受信すると、基地局から発信元の携帯電話機の電話番号を着信電話番号として受信し、ユーザが受話キー(図示せず)を操作すると、発信元の携帯電話機に応答することができ、発信元の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
また、携帯電話機10は、日時(日付時刻)を計時する時計部(図示せず)を有しており、上記した発信処理でダイアルキーから入力した発信電話番号と時計部が計時している日時に基づく発信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の発信履歴データを記憶保持している。また、携帯電話機10は、上記した着信処理で基地局から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の着信履歴データを記憶保持している。
また、携帯電話機10は、着信に対して応答しなかったときに基地局から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の不在着信履歴データを記憶保持している。さらに携帯電話機10は、電話番号と登録名との対応を1件分のデータとして複数件分の電話帳データを保持している。電話帳データとは、ユーザが電話番号と登録名とを入力し、これら電話番号と登録名とを対応付けて例えば500件程度、不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させておくものである。
ここで、電話帳データを保有している場合、上記発信履歴データ、着信履歴データには、上記登録名が含まれる。具体的には、基地局から受信した着信電話番号が電話帳データに登録された電話番号であり、この電話番号に登録名が電話帳データに登録されているかチェックし、存在する場合には、着信履歴データは、電話番号と、着信日時と、登録名とから構成される。不在着信履歴データも、同様な処理で、電話番号と、着信日時と、その登録名とからなる。発信履歴データも、上記発信処理で発信された電話番号が、電話帳データに登録された電話番号であるかチェックし、存在する場合は、発信日時と、発信電話番号と、その登録名とから構成される。
そして、ユーザは、電話帳データを読出して1つの電話番号を選択して発信することにより、電話番号を構成する数字に対応する全ての数字キーを一々入力しなくとも簡単な操作で間違いなく発信することができる。尚、携帯電話機10は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば最新の20件分を記憶可能であり、発信処理や着信処理や不在着信を行う毎に最古のデータを自動的に消去し、発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを更新する。そして、携帯電話機10は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFPおよび、電話帳データの転送、発着信履歴データの転送を行うためのPBAPに対応している。
携帯電話機10が、発着信履歴データの自動転送を規定しているPBAPに対応している場合には、Bluetooth通信部3との間で通信回線を確立した直後にPBAPを接続し、その時点で記憶している電話帳データを自動転送し、さらに、その時点で記憶している発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを自動転送する。これにより、携帯電話機10は、車載ナビゲーション装置1がBluetooth通信圏内に存在している場合には、単独で過去に発信処理を行って記憶した最大で20件分の発信履歴データや単独で過去に着信処理を行って記憶した最大で20件分の着信履歴データや単独で過去に不在着信処理を行って記憶した最大で20件分の不在着信履歴データを車載ナビゲーション装置1に自動転送する。
操作部4は、ユーザが操作するための本発明でいう操作手段であって、例えば表示部5に形成されるタッチキーから構成され、ユーザの操作を検出し、その操作内容を表す操作信号を制御部2に出力する。表示部5は、本発明でいう表示手段であって、制御部2から表示信号を入力すると、その入力した表示信号に基づいて表示画面を表示し、図11(a)および図12(a)に示すように、例えばユーザが電話番号を入力する表示画面として「0」〜「9」に対応したダイアルキーが配列された表示画面を表示する。
作業メモリ6は、本発明でいう発信履歴データ記憶手段、着信履歴データ記憶手段およびデータ記憶手段であって、揮発性のメモリから構成される。作業メモリ6は、携帯電話機10からユーザが何ら操作することなく自動転送された発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを記憶する。この場合、作業メモリ6は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば5件分を記憶可能である。記憶メモリ7は、不揮発性のメモリから構成され、各種データを記憶する。
この場合、制御部2は、ユーザが発信履歴データの表示要求を操作部4にて行うと、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データを表示部5に表示させ、ユーザが着信履歴データの表示要求を操作部4にて行うと、作業メモリ6に記憶されている着信履歴データを表示部5に表示させ、ユーザが電話帳データの表示要求を操作部4にて行うと、作業メモリ6に記憶されている電話帳データを表示部5に表示させる。尚、本実施形態の車載ナビゲーション装置1では、上記したように作業メモリ6に記憶される発信履歴データおよび着信履歴データはそれぞれ5件であり、表示部5に表示される最大表示件数もそれぞれ5件である(図11(b),(c)および図12(b),(c)参照)。
マイクロホン8は、音声を入力する音声入力手段であって、携帯電話機10を用いたハンズフリー通話を行うときに、ユーザが発した音声を入力し、スピーカ9は、音声出力手段であって、携帯電話機10を用いたハンズフリー通話を行うときに、通話相手の受話音声を出力する。すなわち、Bluetooth通信部3と携帯電話機10との間でBluetooth通信回線を確立してHFPでの無線通信を接続すると、制御部2は、マイクロホン8が入力した音声をBluetooth通信部3から携帯電話機10に送信させて携帯電話機10から携帯電話網に送信させると共に、携帯電話機10が携帯電話網から受信した音声を携帯電話機10からBluetooth通信部3に受信させてスピーカ9から出力させる。
尚、上記した車載ナビゲーション装置1は、図示した機能ブロックの他に、自車両の現在位置を検出する現在位置検出部としてのGPS装置、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索部、地図データが記録さている記録媒体から地図データを読取る地図データ読取部、VICS(登録商標)センターから配信されたVICS情報を受信するVICS情報受信部、ユーザが発した音声を音声認識する音声認識部などのナビゲーション動作に必要な機能ブロックをも備えて構成されている。
この場合、車載ナビゲーション装置1は、GPS衛星からGPS装置が受信したGPS無線信号からGPS日時情報を抽出して日時を取得し、その取得した日時を発信日時や着信日時として利用する。尚、このGPS日時情報から抽出した日時は、GPSの絶対日時であり、精度が極めて高い日時である。
上記した車載ナビゲーション装置1は、ACCスイッチ(車両機器への電源供給をオンオフするスイッチ)のオンオフに連動して起動・停止するように構成されている。車載ナビゲーション装置1は、例えばユーザが操作したことに応じてACCスイッチがオンからオフに切替わると、電源供給が停止され、この結果、装置電源がオンからオフに移行する。この場合、その直前に記憶メモリ7に記憶されている各種データは消去されないが(記憶保持されるが)、その直前に作業メモリ6に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データは消去されるように構成されている。
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図16を参照して説明する。尚、ここでは、携帯電話機10は、最大記憶可能件数である20件分の発信履歴データ、最大記憶可能件数である20件分の着信履歴データ、最大記憶可能件数である20件分の不在着信履歴データを既に保持(記憶)しており、この状態で、携帯電話機10を携帯するユーザが車両に近づいて車内に乗り込み、上記ACCスイッチがオンされることで、携帯電話機10が車載ナビゲーション装置1のBluetooth通信圏内に進入したことを前提として説明する。
最初に、車載ナビゲーション装置1において、制御部2が携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを受信する手順について、図2を参照して説明する。尚、ユーザは、車載ナビゲーション装置1にて、Bluetooth通信の相手となる携帯電話機10を予め登録している。例えば、これには初期通信設定時に、携帯電話機毎に4桁のパスワードを入力し、車載ナビゲーション装置1または携帯電話機10がお互いのみ知るリンクキー生成し、これをお互いで保持登録しておく。そして、初期接続時にリンクキーの認証を行うことで、通信接続すべき携帯電話機10を選択している。つまり、未登録の携帯電話機は、HFPでの通信接続およびPBAPでの通信接続が行われることは無く、基本的に、その車の所有者の携帯電話機が事前登録され、HFPでの無線通信およびPBAPでの無線通信が行われることとなる。
本例では、車載ナビゲーション装置1には、通信接続対象となる複数の携帯電話機10が登録されており、さらに、複数の携帯電話機10に対して例えば操作部4を操作して優先順位を予め設定しており、制御部2は当該優先順位を記憶している。例えば、これは、ドライバーによっては、複数の携帯電話機を所有している場合があるからである。
本例の前提として、車載ナビゲーション装置1のBluetooth通信部3は、HFPでの無線通信、PBAPでの無線通信の両プロトコルに対応し、且つ、これらを二つのプロファイルを同時接続(マルチプロファイル接続)に接続することができる。しかし、あえて、この同時接続処理を行わないようにしている。この理由としては、主として以下の3つが挙げられる。
(1)通信相手である携帯電話機10が、車載ナビゲーション装置1と同様に、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信には対応しているものの、同時接続には対応していない可能性があること。
(2)通信相手である携帯電話機10が、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信には対応し、かつ同時接続にも対応しているかもしれないが、同時接続を維持するためには、車載ナビゲーション装置1のBluetooth通信部3のソフトウエア処理が複雑になり、通信接続の安定性に不安があること。
(3)携帯電話機10は、世界で多数のメーカーが製造しており、車載ナビゲーション装置1としては、HFPでの無線通信およびPBAPでの無線通信に対応した全ての携帯電話機と接続することが求められること。
以上の理由のため、本例での車載ナビゲーション装置1は、HFPでの無線通信、PBAPでの無線通信ための、より確実な処理手順として、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信との同時接続をできる限り無くすため、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信とは時間的に分割したシリアル接続を行う。
説明に戻ると、制御部2は、優先順位が上位の携帯電話機10をHFPでの無線通信での通信接続対象として選択する(ステップS1)。ここで、本例では、最初にPBPでの通信接続を行わずに、先ずはHFPでの初期通信を自動的に試み、接続を開始する。この理由は、後述する。
次に、制御部2は、その選択した携帯電話機10に対してHFPでの初期通信を自動的に接続し(ステップS2)、HFPでの無線通信接続に成功したか否かを判定する(ステップS3)。ここで、制御部2は、HFPでの無線通信接続に成功した旨を判定すると(ステップS3にて「YES」)、直ちに、その接続しているHFPでの無線通信を自動的に切断し(ステップS4)、そのHFPでの無線通信接続に成功した携帯電話機10に対してPBAPでの無線通信を自動的に接続する(ステップS5)。
次いで、制御部2は、発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データの転送処理を開始するよう携帯電話機10にデータ転送要求を送信し(ステップS6)、発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データの転送処理がなされ、車載ハンズフリー装置1は、これらデータを受信する(ステップS6)。制御部2は、この転送処理が終了すると、次に、電話帳データの転送処理を、携帯電話機10に対して転送要求し、車載ハンズフリー装置1は、このデータを受信する(ステップS7)。この電話帳データの転送処理を終了すると、その接続しているPBAPでの無線通信を切断する(ステップS8)。
そして、制御部2は、そのPBAPでの無線通信を切断した携帯電話機10に対してHFPでの無線通信を再度、自動的に接続し(ステップS9)、ハンズフリー待受処理に移行する。このように本例では、HFP→PBAP→HFPの順に無線通信をシリアルに自動的に切り替える。これにより、多数のメーカーのHFPでの無線通信とPBAPでの無線通信とに対応した携帯電話機に対して、通信処理を確実に安定して行うことが可能となるし、車載ナビゲーション装置1でのソフトウェア処理を複雑化せずに済む。
これに対して、制御部2は、HFPでの無線通信接続に成功しなかった(失敗した)旨を判定すると(ステップS3にて「NO」)、優先順位が次位の携帯電話機10が存在するか否かを判定し(ステップS10)、優先順位が次位の携帯電話機10が存在する旨を判定すると(ステップS10にて「YES」)、その優先順位が次位の携帯電話機10を無線通信の接続対象として選択し(ステップS11)、上記したステップS2に戻り、上記した処理を繰返して行う。
ところで、制御部2は、上記した発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データの転送処理では、発信履歴データについては図3(a)に示すように携帯電話機10から登録名、発信電話番号および発信日時からなる発信履歴データを受信して作業メモリ6に記憶させ、着信履歴データについては図4(a)に示すように携帯電話機10から登録名、着信電話番号および着信日時からなる着信履歴データを受信して作業メモリ6に記憶させ、不在着信履歴データについては図5(a)に示すように携帯電話機10から登録名、不在着信電話番号および不在着信日時からなる不在着信履歴データを受信して作業メモリ6に記憶させる。
そして、制御部2は、これ以降、発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データの表示要求があると、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データを表示部5に表示させ、つまり、作業メモリ6に記憶されている電話帳データから登録名を読出すことなく、携帯電話機10から転送された登録名を表示部5に表示させる。
制御部2にて、S9でのHFPでの無線通信接続が行われると、車載ナビゲーション装置1側の操作部4で、発信処理、着信処理を行うことが可能となる。そして、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データを受信した後(S9でのHFPでの無線通信接続後)、操作部4の操作により、新たな発信処理、新たな着信処理および新たな不在着信処理を行い、その後に発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データの表示要求があると、携帯電話機10から転送された電話帳データを使用し、その発信処理、着信処理および不在着信処理を行った発信電話番号、着信電話番号および不在着信電話番号に対応する登録名が、電話帳データに存在する場合には、その登録名を表示部5に表示させる(図3(c)、図4(c)、図5(c)参照)。
つまり、制御部2は、新たな発信処理として、大森さんの電話番号へ発信処理した場合、電話帳データに大森さんの登録名が登録されている場合は、発信履歴データでは電話帳データから「大森○○」の登録名を読出して表示部5に表示させる。一方、制御部2は、新たな着信処理として、山岡さんから電話があった場合、この着信電話番号が電話帳データに登録されている場合は、着信履歴データでは電話帳データから「山岡○○」の登録名を読出して表示部5に表示させ、不在着信履歴データでは電話帳データから「金田○○」の登録名を読出して表示部5に表示させる。
また、制御部2は、発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データを纏めて最新の時刻順にしたがって表示する全履歴データの表示要求があると、着信履歴データおよび不在着信履歴データについては着信電話番号或いは不在着信電話番号が同一である(重複している)か否かに拘らず着信日時或いは不在着信日時が新しい方の着信履歴データおよび不在着信履歴データを全ての中から所定数選択して表示させる。一方、制御部2は、発信履歴データについては発信電話番号が同一である(重複している)発信履歴データのうち最新の発信履歴データのみを選択して表示させる(図6参照)。つまり、制御部2は、本実施形態では「吉田○○」の発信電話番号が重複しているので、発信日時が最新の発信履歴データ(発信日時が08月10日12:15の発信履歴データ)のみを表示させる。
次に、車載ナビゲーション装置1において、制御部2が携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを受信させて記憶させ、その記憶された発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データを用いて発信する手順について、図7ないし図16を参照して説明する。尚、ここでは、発信履歴データおよび着信履歴データについて説明するが、不在着信履歴データも同様である。
車載ナビゲーション装置1において、制御部2は、携帯電話機10が車載ナビゲーション装置1のBluetooth通信圏内に存在しており、Bluetooth通信部3が携帯電話機10との間で通信回線を確立した旨を判定すると(ステップS21にて「YES」)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データがBluetooth通信部3に自動転送される旨を待機する(ステップS22)。
そして、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データが自動転送された旨を判定すると(ステップS22にて「YES」)、その携帯電話機10から自動転送された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを作業メモリ6に記憶させる(ステップS23)。
この場合、制御部2は、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数がそれぞれ例えば20件であり、作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数がそれぞれ例えば5件であり、作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数が携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数よりも少ないので、以下の処理を行う。
すなわち、制御部2は、発信履歴データについては、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データのうち発信日時が古い発信履歴データを破棄し、携帯電話機10から自動転送された20件分の発信履歴データのうち発信日時が新しい5件分の発信履歴データを優先して作業メモリ6に携帯側発信履歴データとして記憶させる。また、制御部2は、着信履歴データについても発信履歴データと同様にして、着信履歴データのうち着信日時が古い着信履歴データを破棄し、携帯電話機10から自動転送された20件分の着信履歴データのうち着信日時が新しい5件分の着信履歴データを優先して作業メモリ6に携帯側着信履歴データとして記憶させる。
つまり、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データが自動転送された直後では、作業メモリ6の発信履歴データとして、図9(a)に示す発信履歴データを保持し、この状態からユーザが発信履歴データを表示させる操作を行うと、図11(b)に示す表示画面を表示部5に表示させる。また、制御部2は、携帯電話機10から着信履歴データが自動転送された直後では、作業メモリ6の着信履歴データとして、図10(a)に示す着信履歴データを保持し、この状態からユーザが着信履歴データを表示させる操作を行うと、図12(b)に示す表示画面を表示部5に表示させる。
このようにして、携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とがBluetooth通信回線を確立すると、携帯電話機10がBluetooth通信回線を確立する前に記憶しておいた発信履歴データや着信履歴データが車載ナビゲーション装置1の作業メモリ6に自動転送され、携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とが1つの電話システムを構成することになり、この電話システムによりハンズフリー通話を行うことが可能となる。そして、ユーザは、このようにして携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とが1つの電話システムを構成した以降では、ダイアルキー入力による発信操作、発信履歴に
よる発信操作、着信履歴による発信操作および電話帳による発信操作のいずれかを選択して発信操作を行なうことが可能となり、携帯電話網からの着信を待機することが可能となる。
ここで、本例では、Bluetooth通信の手順として、S5でPBAPでの無線通信接続→S8でPBAPでの無線通信を切断→S9でHFPでの無線通信接続を行うシリアルなプロファイル切り替えを行っている。このため、S9でHFPでの無線通信接続後において、携帯電話機10に対して新たな着信があった場合、もしくは操作部4にて新たな発信処理が行われた場合、携帯電話機10には、その着信および発信を含む着信履歴データ、発信履歴データは、結局、自己の履歴データであるため、自身のメモリに保持している。従って、車載ナビゲーション装置1の制御部2は、再度、携帯電話機10から、これら最新の発着信履歴データを取得するために、HFPでの無線通信中にPBAPでの無線通信(同時接続)を行うことも可能である。
しかしながら、同時接続は、できる限り避けるという考え方からして、シリアル接続において、HFPでの無線通信接続を切断し、PBAPでの無線通信接続を行うと、その間、ハンズフリー通話を行うために1つの電話システムを構成している、携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とが実質、分離された状態となり、ハンズフリー通話が行えなくなる状態が発生する。そこで、本例では、S9でHFPでの無線通信接続を行った場合、それ以降もHFPでの無線通信接続のみで、最新の発着信履歴データを車載ナビゲーション装置1で自己取得し、自己管理するようにしている。以下、これについて説明する。
制御部2は、ユーザがダイアルキー入力による発信操作を行ったか否かを判定し(ステップS24)、ユーザが発信履歴による発信操作を行ったか否かを判定し(ステップS25)、ユーザが着信履歴による発信操作を行ったか否かを判定し(ステップS26)、ユーザが電話帳による発信操作を行ったか否かを判定し(ステップS27)、携帯電話網から着信したか否かを判定する(ステップS28)。
ここで、制御部2は、ユーザがダイアルキー入力による発信操作を行った旨を判定すると(ステップS24にて「YES」)、ユーザがダイアルキーにより入力した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(ステップS29)。そして、制御部2は、ダイアルキー入力による発信処理を終了すると、図9(b)に示すように、その時点で作業メモリ6に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(ステップS30)、そのダイアルキー入力による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ6に自己発信履歴データとして追加記憶させる(ステップS31)。
すなわち、制御部2は、ユーザがダイアルキーを操作して例えば電話番号「09000000100」を入力し、当該電話番号「09000000100」を発信電話番号として発信する操作を行うと、図9(b)に示すように、電話番号「09000000100」を表す発信履歴データを作業メモリ6に自己発信履歴データとして追加記憶させる。この場合、制御部2は、電話番号「09000000100」に対応する発信日時として車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。つまり、図9(b)では、最新の電話番号「09000000100」の発信日時は車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時であり、残りの4件の電話番号の発信日時は携帯電話機10の時計部が取得した日時である。尚、制御部2は、この状態からユーザが発信履歴データを表示させる操作を行うと、図11(c)に示す表示画面を表示部5に表示させる。
また、制御部2は、ユーザが「履歴ボタン」4aを押下し、続いて「発信履歴ボタン」4bを押下したことにより、発信履歴による発信操作を行った旨を判定すると(ステップS25にて「YES」)、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データを参照し(ステップS32)、作業メモリ6に記憶されている電話帳データを参照し(ステップS33)、図11(b),(c)に示すように、発信履歴による発信操作画面を表示部5に表示させる(ステップS34)。この場合、制御部2は、発信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていれば、その電話番号に対応する登録名を表示部5に表示させ、一方、発信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていなければ、その電話番号を表示部5に表示させる。
次いで、制御部2は、そのうちからユーザが選択した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(ステップS35)。そして、制御部2は、発信履歴による発信処理を終了すると、この場合も、その時点で作業メモリ6に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(ステップS30)、その発信履歴による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ6に自己発信履歴データとして追加記憶させる(ステップS31)。この場合も、制御部2は、発信電話番号に対応する発信日時として車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。
また、制御部2は、ユーザが「履歴ボタン」4aを押下し、続いて「着信履歴ボタン」4cを押下したことにより、着信履歴による発信操作を行った旨を判定すると(ステップS26にて「YES」)、作業メモリ6に記憶されている着信履歴データを参照し(ステップS36)、作業メモリ6に記憶されている電話帳データを参照し(ステップS37)、図12(b),(c)に示すように、着信履歴による発信操作画面を表示部5に表示させる(ステップS38)。この場合、制御部2は、着信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていれば、その電話番号に対応する登録名を表示部5に表示させ、一方、着信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていなければ、その電話番号を表示部5に表示させる。
次いで、制御部2は、そのうちからユーザが選択した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(ステップS39)。そして、制御部2は、着信履歴による発信処理を終了すると、この場合も、その時点で作業メモリ6に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(ステップS30)、その着信履歴による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ6に自己発信履歴データとして追加記憶させる(ステップS31)。この場合も、制御部2は、発信電話番号に対応する発信日時として車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。
また、制御部2は、ユーザが「電話帳ボタン」4dを押下したことにより、電話帳による発信操作を行った旨を判定すると(ステップS27にて「YES」)、作業メモリ6に記憶されている電話帳データを参照し(ステップS40)、図13(b)に示すように、電話帳による発信操作画面を表示部5に表示させる(ステップS41)。次いで、制御部2は、そのうちからユーザが選択した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(ステップS42)。そして、制御部2は、電話帳による発信処理を終了すると、この場合も、その時点で作業メモリ6に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(ステップS30)、その電話帳による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ6に自己発信履歴データとして追加記憶させる(ステップS31)。この場合も、制御部2は、発信電話番号に対応する発信日時として車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。
さらに、制御部2は、携帯電話機10から通信部3を介して、携帯電話網から着信した旨を判定すると(ステップS28にて「YES」)、着信を知らせるための報知等の着信処理を行い(ステップS43)、着信処理が終了すると、その時点で作業メモリ6に記憶されている着信履歴データのうち着信日時が最古の着信履歴データを消去し(ステップS44)、その着信を表す自装置の最新の着信履歴データを作業メモリ6に自己着信履歴データとして追加記憶させる(ステップS45)。
すなわち、制御部2は、携帯電話網から電話番号「09000000200」を着信電話番号としてBluetooth通信部3を経由して受信すると、電話番号「09000000200」を表す着信履歴データを作業メモリ6に自己着信履歴データとして追加記憶させる。
このようにすることで、S9でのHFPでの無線通信接続以降、PBAPでの無線通信接続を行わなくとも、S9以降での新たな着信処理、発信処理があった場合、自己の発着信履歴データを追加し、ユーザーに表示させることが可能となる。この結果、やはり、HPFとPBAPとの同時接続を行わなくて済むし、S9でのHFP無線通信接続後、HFP無線通信接続を切断し、PBAPでの無線通信を接続する必要がなくなるので、1つの電話システムとなった携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とが、実質分離するようなことが防止できる。
次に、PBAPでの無線通信にて受信した発着信履歴データと、S9以降に発生した発信処理、着信処理にて発生した発着信履歴データの表示処理について説明する。
S9でHFP無線接続状態において、携帯電話機10は、着信時に、着信電話番号を車載ナビゲーション装置1に送信するが、このとき着信日時情報を送信しない。そのため、制御部2は、電話番号「09000000200」に対応する着信日時として車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。つまり、図10(b)では、最新の電話番号「09000000200」の着信日時は車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時であり、残りの4件の電話番号の着信日時は携帯電話機10の時計部が取得した日時である。尚、制御部2は、この状態からユーザが着信履歴データを表示させる操作を行うと、図12(c)に示す表示画面を表示部5に表示させる。
尚、以上は、作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数が携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数よりも少ない場合に、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データのうち発信日時や着信日時が古い発信履歴データや着信履歴データを破棄し、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データのうち発信日時や着信日時が新しい発信履歴データや着信履歴データを優先して作業メモリ6に記憶する場合を説明したが、PBAPでの無線通信を接続するときに車載ナビゲーション装置1が携帯電話機10に対して自動転送すべき件数(本実施形態では5件)を指定し、発信日時や着信日時が新しい発信履歴データや着信履歴データを優先して作業メモリ6に記憶するようにしても良い。
また、上記した構成では、車載ナビゲーション装置1において、新たな発信処理や新たな着信処理を行った場合に、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データや着信履歴データのうち最古の発信履歴データや最古の着信履歴データを消去する場合を説明したが、ユーザの視点からすると、下記のような要望があるため、制御部2が以下に示す代替処理を行っても良い。これは、本例のように、S9以降、PBAPでの無線通信接続を行わない場合に必要となる処理である。
すなわち、携帯電話機10の時計部が計時する日時と、車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時とを比較すると、携帯電話機10の時計部が計時する日時はGPS装置が取得した日時に比べて誤差が多く正確でない場合があり、また、ユーザが任意に設定することが可能であるので、ユーザが意図的に所定時間分(例えば10分)進めて設定したり逆に遅れて設定したりする場合がある。
したがって、仮にユーザが携帯電話機10の日時を所定時間分進めて設定しており、車載ナビゲーション装置1が当該進められて設定された日時を作業メモリ6に記憶していたとすると、この状態から携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データと車載ナビゲーション装置1の自装置の発信履歴データや着信履歴データとを日時順にしたがって並替えると、車載ナビゲーション装置1での新たな発信処理や新たな着信処理を行った発信履歴データや着信履歴データが、時間軸では最新であるにも拘らず、一覧表示の表示画面で最上位の欄に表示されることなく、最上位の欄以外の欄(例えば2番目や3番目の欄)に表示されることとなる。これでは、ユーザが記憶している時間軸と表示部5が表示する時間軸とにずれを発生し、ユーザが違和感を抱いてしまうことになる。
このような不具合に対応すべく、制御部2は、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データについては、それらのみの範囲内で最上位の欄以外の欄に日時順にしたがって並べて表示させ、自装置の新たな発信履歴データや新たな着信履歴データについては、最上位の欄に表示させる。これにより、ユーザが記憶している時間軸と調和して表示させることができ、ユーザに違和感を抱かせないようにすることができる。
尚、制御部2は、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データを日時順にしたがって並べて表示させる場合に、その発信履歴データや着信履歴データに含まれる日時データで並び替えしなくとも、それら発信履歴データや着信履歴データに発信順を表す発信順データや着信順を表す着信順データが含まれている場合であれば、それら発信順データや着信順データに基づいて発信履歴データや着信履歴データを並べて表示させても良い。
また、発信順データ、着信順データが明示的に含まれていない場合でも、携帯電話機10から、図3(a)、図4(a)、図5(a)のようなリスト形式でデータが送信され、車載ナビゲーション装置1で受信した場合、上位にあるデータほど、最新のデータであるというルールに基づき、表示させるようにしても良い。つまり、携帯電話機10は、車載ナビゲーション装置1にて、現実の発信順、着信順を識別可能な形式で、データを送信する。
この場合、例えば、携帯電話機10によっては、12時00分00秒にAさんから着信があり、12時00分30秒にBさんから着信があった場合、タイムスタンプを秒でなく、分までとすると、全く同じの12時00分となり、これが携帯電話機10の着信履歴データとして記憶されている。そして、このデータを車載ナビゲーション装置1で受信し、時間順に並び替えたとしても、順位が決められないので、携帯電話機10側で、発信順データ、着信順データを付与してもらったり、上記リスト形式で送信してもらうと都合が良い。これにより、ユーザが記憶している時間軸と調和して表示させることができ、ユーザに違和感を抱かせないようにすることができる。
これらの場合は、発信履歴データや着信履歴データに含まれる日時データは付属的なものとなり、上記した発信順データや着信順データがユーザの実際の着信順や発信順となる。尚、携帯電話機10は、その単独動作において、着信処理や発信処理を繰り返すが、自分単独の動作であるため、これは発着信の順番は、把握できるため、その順番通りに、発着信履歴を管理することが可能である。このため、自己の時計部による発信日時、着信日時にとらわれずに、発信毎や着信毎に発信順データや着信順データを付与して車載ナビゲーション装置1に送信して、車載ナビゲーション装置1で着信順データ、発信順データに基づいて発着信履歴データを並べるように処理する。もしくは発信順データや着信順データを付与せずに携帯電話機10で実際の発信順、着信順を判断して構成した上記リストを、車載ナビゲーション装置1に送信し、車載ナビゲーション装置1では、上記ルールに従って、実際の発信、着信順に並べるように処理する。
このようにすれば、仮に、携帯電話機10の時計が、あるタイミングで進めたり、遅くしたり設定すると、この直後に発信、着信が発生すると、携帯電話機10での発信履歴表示、着信履歴表示は、実際の順どおり表示されるが、各データに付加される発信日時、着信日時は、この表示順とは異なることとなる。したがって、このような発着信履歴データを、車載ナビゲーション装置1で発信日時、着信日時を基準に並び替えすると、実際とは異なる順に表示される。このため、上記発信順データ、着信順データの手法、もしくはリスト形式の手法は、実際の発着信順とならべるには、最も好都合であると言える。
この結果、制御部2は、携帯電話機10での実際の発信順通り、着信順通りに表示部5にデータを表示することができる。車載ナビゲーション装置1では、このようなデータ処理を行った後に、上記したように自己のダイアルキー入力での発信処理、発信履歴による発信処理、着信履歴による発信処理、電話帳データによる発信処理を行った場合、その時点で作業メモリ6に記憶されている発信履歴データのうち発信順データが最古の発信履歴データ、もしくは最古と見なされる発信履歴データを消去し、その発信履歴による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ6に自己発信履歴データとして追加記憶させる。一方、制御部2は、新たな着信処理が発生した場合、その時点で作業メモリ6に記憶されている着信履歴データのうち着信順データが最古の発信履歴データ、もしくは最古と見なされる着信履歴データを消去し、その着信履歴による着信を表す自装置の最新の着信履歴データを作業メモリ6に自己着信履歴データとして追加記憶させる。
これらの発信処理、着信処理の場合、制御部2は、発信電話番号に対応する発信日時、着信電話番号に対応する着信日時として車載ナビゲーション装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。このように、ユーザが記憶している時間軸と調和して表示させることができ、ユーザに違和感を抱かせないようにすることができる。
ただし、制御部2は、発信履歴データ、着信履歴データを纏めて表示する全履歴データの表示要求があった場合、上記発信履歴データだけ、上記着信履歴データだけを表示する場合に比べて、所定のソート処理が必要となる。つまり、上述のように着信履歴データや発信履歴データを実際の時間軸通りに、携帯電話機10から、発信順データや着信順データを含めて最新順が分かるように送信されたり、これらデータを含まずに上記リスト形式で送信された場合、上述のように車載ナビゲーション装置1は、受信したデータに含まれる発信日時、着信日時を基準とせずに、通知されたままの順に表示すると、発信履歴表示だけ、着信履歴表示だけの場合、携帯電話機10での表示順どおりに表示したものとなる。
しかし、全履歴データを表示する場合、以下の問題が生じる。車載ナビゲーション装置1では、確かに発信履歴データのうち最新データと、着信履歴データのうち最新データとを把握できるが、実際に、二つの最新データのうち最新かは把握できない。そこで、本例では、全履歴データを表示する場合は、発信履歴データに含まれる発信日時、着信履歴データに含まれる着信日時を比較し、日時が最新の方を、最新データとして表示する。例えば、5件の着信履歴データと、5件の発信履歴データの場合、10件を日時順にソートし、この順に表示する。これによって、ほとんどの場合、ほぼユーザの実際の時間軸通りに発信履歴データと着信履歴データを順に表示させることが可能となる。ただし、携帯電話機10でのタイムスタンプ機能が「分」までであると、12時00分00秒にAさんから着信があり、12時00分30秒にBさんへ発信した場合、発信日時と着信日時とは、全く同じの12時00分となるため、車載ナビゲーション装置1では、この場合、発信を着信より最新として表示したり、その逆といった所定の並べ替え処理を行う必要がある。
また、PBAPでの無線通信で受信した着信履歴データ3件(A〜C)の最新順が上述のように把握でき、PBAPで受信した発信履歴データ(D〜F)の最新順が把握できる場合、発信履歴データと着信履歴データの日時を、以下のように比較して、並べ替え処理を行う。
先ず、AとDの日時を比較し、新しいものを1番目(例えばA)とし、次にBとDを比較し、新しいものを2番目(例えばB)とする。次に、CとDとを比較し、新しいものを3番目(例えばD)とし、次にCとEの日時を比較し、新しいものを4番目(例えばC)とする。次に、残りのEとFとは、Eが最新なので、5番目をE、6番目をFとする。この場合、比較した日時が同じである場合、所定の並べ替えルールとして、発信を着信より優先する、もしくはその逆といったように並べ替える。
また、携帯電話機10では、電話帳データを転送する場合には当該電話帳データのデータ形式をBluetooth通信規格で規定されている「vCard」のデータフォーマットに変換して転送する必要があると共に、電話帳データが発信履歴データおよび着信履歴データに対して一般的にデータ更新の頻度が低いという事情がある。このことから、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データおよび着信履歴データをBluetooth通信部3により先に受信し、その後、携帯電話機10から電話帳データをBluetooth通信部3により受信しても良い。また、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データおよび着信履歴データをBluetooth通信部3により受信し、その後、ユーザが操作部4にて所定操作を行った場合に限って携帯電話機10から電話帳データをBluetooth通信部3により受信しても良い。
また、このようなユーザ操作での電話帳データを転送させるか自動転送させるかは、車載ナビゲーション装置1においてユーザが手動転送あるいは自動転送を選択して設定しておき、この設定に応じて転送処理を行うようにしても良い。自動転送による設定を「転送しない」に設定した状態で、S9でのHFPでの無線接続後に、ユーザによって手動転送操作を行って、電話帳データのみを転送するようにすることもできる。ただし、この手動転送操作によって、S9でのHFPでの無線通信接続は、切断され、PBAPでの無線通信接続がなされることとなり、データ転送が終了すると、再度、その携帯電話機10に対してHFPでの無線通信を接続し、ハンズフリー通話を可能な状態とする。
この「転送しない」と設定した場合、データ更新の頻度が高い発信履歴データや着信履歴データをデータ更新の頻度が低い電話帳データよりも優先して受信することができ、また、発信履歴データや着信履歴データを転送するにはデータ変換が必要でないものの電話帳データを転送するにはデータ変換が必要であるという事情から、転送時間が短い発信履歴データや着信履歴データを転送時間が長い電話帳データよりも優先して受信することができる。そして、発信履歴データ、着信履歴データのみを転送することで、転送するデータ量を低減できる。この結果、転送プロトコルでの通信を早期に行え、その後のハンズプロトコルでの通信を早期に行えることができるため、携帯電話機を車両に持ち込んだ場合に、ハンズフリー通話を行うまでの時間を短縮できる。さらに、データ更新の頻度が低く且つ転送時間が長い電話帳データを受信するか否かを、必要に応じて選択することができ、利便性を高めることができる。
ユーザの上記手動転送操作により、必要に応じて電話帳データを転送した場合、転送が終了すると、自動的にハンフリープロトコルでの通信を実行するため、その電話帳データを利用して、発信する際、ハンズフリー通話を行うことが可能となり、利便性が向上する。そして、さらには、手動転送操作による電話帳データの転送を行った場合には、電話帳データだけは不揮発性の記憶メモリ7に記憶しておき、記憶されたデータは次回の車載ナビゲーション装置1の起動時に記憶メモリ7から読出して電話帳データとして利用すると良い。
また、制御部2は、携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを当該携帯電話機10毎に区別して作業メモリ6に記憶させても良い。この場合、制御部2は、携帯電話機10と作業メモリ6に記憶させているデータとを例えば以下のようにして対応付ける。すなわち、携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを作業メモリ6に記憶させるときに、携帯電話機10から受信した当該携帯電話機10に個別に付与されている携帯電話機IDと車載ハンズフリー装置1に個別に付与されている装置IDとに基づいてリンクキーを生成し、その生成したリンクキーと各種データと対応付けて作業メモリ6に記憶させる。そして、制御部2は、これ以降に、携帯電話機10から携帯電話機IDを受信すると、その受信した携帯電話機IDと装置IDとに基づいてリンクキーを再度生成し、その生成したリンクキーに対応付けられて作業メモリ6に記憶されている各種データを更新する。
次に、S2でのHFP処理について詳述する。S2でのHFPおよびPBAPの接続を図15に示すフローチャートにしたがって制御する。すなわち、制御部2は、Bluetooth通信圏内に存在する携帯電話機10との間で通信回線を確立した旨を判定すると、HFPでの無線通信接続(起動)し(ステップS51)、携帯電話機10が通話中にあるか否かを判定する(ステップS52)。尚、携帯電話機10が通話中であるか待受中であるかは、HFPでの無線通信で通知され、車載ナビゲーション装置1が受信し、この受信した通信状態によって判断する。尚、S51は、S2の処理に対応している。
ここで、制御部2は、携帯電話機10が通話中にない旨なった、つまり着信を待ち受ける待受中となったことを、判定すると(ステップS52にて「NO」)、接続しているHFPでの無線通信を切断(終了)し(ステップS54)、PBAPでの無線通信を接続する(ステップS55)。つまり、制御部2は、携帯電話機10が通話中でなければ、接続したHFPでの無線通信を速やかに自動的に切断してPBAPでの無線通信を自動接続することにより、携帯電話機10から送信された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データをBluetooth通信部3により受信させることになる。
これに対して、制御部2は、携帯電話機10が通話中にある旨を判定すると(ステップS52にて「YES」)、その通話を車載ナビゲーション装置1を用いたハンズフリー通話を実行する可能性があるとして、HFPでの無線通信を維持する。尚、この通話を実行するかどうかは、基本的には、携帯電話機10に依存し、携帯電話機10が通話中にHFPでの無線通信接続すると、自動的に、Bluetooth通信部3に受話音声を送信する場合もあれば、一方、携帯電話機10での操作によってBluetooth通信部3に受話音声を送信する場合もある。
そして、制御部2は、携帯電話機10が通話を終了したか否かを判定し(ステップS53)、携帯電話機10が通話を終了した旨を判定すると(ステップS53にて「YES」)、接続しているHFPでの無線通信を切断(終了)し(ステップS54)、PBAPでの無線通信を接続する(ステップS35)。つまり、制御部2は、携帯電話機10が通話中であれば、接続したHFPでの無線通信を当該通話が終了した後に切断してPBAPでの無線通信を接続することにより、ユーザがハンズフリー通話を終了した後に携帯電話機10から送信された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データをBluetooth通信部3により受信させることになる。尚、S52、S53は、S3とS4との間の処理に対応している。
このように携帯電話機10が車載ナビゲーション装置1に接続される場合、その携帯電話機10が通話中かどうか判断し、通話中であるならば、PBAPでの無線通信接続に切り替えると、ハンズフリー通話に移行できないため、HFPでの無線通信を維持し、通話中はPBAPでの無線通信接続を行わない。そして、通話が終了したと判断されると、HFPでの無線通信を切断し、PBAPでの無線通信接続を行う。この結果、携帯電話機10が単独で通話している場合、スムーズにハンズフリー通話に切り替えることが可能となる。
また、制御部2は、携帯電話機10から着信履歴データとして応答した着信履歴と応答しなかった着信(不在着信)履歴とを区別して受信して記憶するようにしても良い。この場合、制御部2は、ユーザが「履歴ボタン」4aを押下し、続いて「着信履歴ボタン」4cを押下したことにより、着信履歴による発信操作を行った旨を判定すると、作業メモリ6に記憶されている着信履歴データを参照し、作業メモリ6に記憶されている電話帳データを参照し、図16(b),(c)に示すように、着信履歴による発信操作画面を表示部5に表示させるが、応答した着信である旨を表すアイコン図形(受話器と矢印との組合わせからなる図形)および応答しなかった着信(不在着信)である旨を表すアイコン図形(受話器と×印との組合わせからなる図形)のうちいずれかをデータ毎に表示させる。
尚、以上は、携帯電話機10から転送された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データが作業メモリ6に記憶される場合や電話帳データのみが記憶メモリ7に記憶される場合を説明したが、携帯電話機10から転送された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データが記憶メモリ7に記憶される構成であっても良く、そのような構成では、装置電源がオフされた場合であっても、記憶メモリ7に記憶された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データは記憶保持されることになる。
以上に説明したように本実施形態によれば、本例での車載ナビゲーション装置1は、HFP、PBAPでのより確実な処理手順として、HFPとPBAPとの同時接続をできる限り無くすため、HFPとPBAPとは時間的に分割したシリアル接続を行うことで、多数のメーカーのHFPとPBAPとに対応した携帯電話機に対して、通信処理を確実に安定して行うことが可能となる。また、車載ハンズフリー装置1での処理を複雑にせず、簡素な処理でPBAPとHFPとの処理を実行することが可能となる。
また、PBAPでの無線通信の切断後のHFPでの無線通信接続時に、携帯電話網への発信または携帯電話網からの着信を行うと、その時点で作業メモリ6に記憶している発信履歴データや着信履歴データのうち発信日時や着信日時が最古の発信履歴データや着信履歴データを消去し、自装置の発信履歴データや着信履歴データを作業メモリ6に追加記憶するように構成したので、携帯電話網への発信または携帯電話網からの着信を行う毎に、自装置の最新の発信履歴データや着信履歴データを記憶しておくことができる。
また、携帯電話機10との間で通信回線を確立した後に、S2にてHFPを接続した後に当該携帯電話機10が通話中であるか否かを判定し、当該携帯電話機10が通話中であるときには当該通話が終了した後に、PBAPでの無線通信を接続して当該携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを受信するように構成すれば、携帯電話機10からの発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データの転送による影響を受けることなくハンズフリー通話を行うことができる。
また、車載ナビゲーション装置1において、携帯電話機10との間でBluetooth通信回線を確立し、当該携帯電話機10がBluetooth通信回線を確立する前に記憶した発信履歴データや着信履歴データを当該携帯電話機10から受信すると、その発信履歴データや着信履歴データを自装置の発信履歴データや着信履歴データと同等に作業メモリ6に記憶し、これ以降、作業メモリ6に記憶した発信履歴データや着信履歴データによる発信操作を可能とするように構成したので、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データのうちから所望の電話番号を選択して発信することができると共に、自装置の発信履歴データや着信履歴データのうちからも所望の電話番号を選択して発信することができ、利便性を高めることができる。
また、発信履歴データや着信履歴データの表示要求が発生すると、作業メモリ6に発信履歴データや着信履歴データとして記憶されている発着信電話番号と同じ電話番号が記憶していれば、当該電話番号に対応する登録名を表示するように構成したので、携帯電話機10から受信した発信履歴データや着信履歴データを電話帳データに記憶している登録名により表示することができる。
また、発信処理を行う毎に、発信履歴データを一覧表示する表示画面にあって自装置の発信履歴データを発信日時が最新の発信履歴データとして表示したり、着信処理を行う毎に、着信履歴データを一覧表示する表示画面にあって自装置の着信履歴データを着信日時が最新の着信履歴データとして表示したりするように構成したので、携帯電話機10が取得する日時と車載ナビゲーション装置1が取得する日時とが一致しておらず、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データの発信日時や着信履歴データの着信日時と自装置の発信履歴データの発信日時や着信履歴データの着信日時とが時間軸で一致していない場合であっても、機器間の日時のずれによってユーザが違和感を抱いてしまうことを未然に回避することができる。
また、発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを携帯電話機10毎に区別して作業メモリ6に記憶するように構成すれば、携帯電話機10毎に発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを管理することができる。また、発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを携帯電話機10毎に区別して記憶メモリ7に記憶するように構成すれば、装置電源がオンする毎に携帯電話機10から電話帳データを受信する必要がなく、ユーザが自身の携帯電話機10に対応して記憶保持されている電話帳データを速やかに利用することができ、電話帳機能を使用するときの利便性を格段に高めることができる。
さらに、発信履歴データ、着信履歴データおよび不在着信履歴データを纏めて全履歴データとして表示する場合に、発信電話番号が同一の(重複する)発信履歴データについては発信日時が最新の電話番号のみを表示するように構成したので、履歴情報を増大させることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車載ハンズフリー装置は、ハンズフリー機能を主として実現するハンズフリー専用装置から構成されていても良いし、CDやラジオを再生する車両用オーディオ装置にハンズフリー機能を搭載した装置であっても良い。また、車載ナビゲーション装置1がポータブル性を有する(可搬タイプの)構成であっても良い。
携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とがBluetooth通信を行う構成に限らず、他の近距離無線通信を行う構成であっても良く、また、有線通信を行う構成であっても良い。
携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを記憶メモリ7に記憶し、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを受信する毎に発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを更新記憶する構成であっても良い。また、携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを作業メモリ6と記憶メモリ7との双方に記憶し、記憶メモリ7をバックアップメモリとして使用する構成であっても良い。
作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数は1件であっても良い。この場合は、車載ナビゲーション装置1での発信処理、着信処理があると、必ずPBAPでの無線通信接続で受信した発信履歴データ、着信履歴データが消去されることとなる。
また、車載ナビゲーション装置1において、複数の発信履歴データ、複数の着信履歴を同時に表示するようにしたが、1件ずつ表示するようにしても良い。この場合、例えば、先ず、最初に、最新のデータを表示し、操作部4の操作により、次に最新のデータを順に表示するようにしても良い。
作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数は1件であっても良い。この場合は、車載ナビゲーション装置1での発信処理、着信処理があると、必ずPBAPでの無線通信接続で受信した発信履歴データ、着信履歴データが消去されることとなる。
携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とがBluetooth通信回線を確立した場合に、発信履歴データや着信履歴データを自動転送する構成に限らず、ユーザが車載ナビゲーション装置1や携帯電話機10を操作することを条件として発信履歴データや着信履歴データや電話帳データを転送する構成であっても良い。
携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを当該携帯電話機10毎に区別して作業メモリ6に記憶させる場合に、携帯電話機10と作業メモリ6に記憶させているデータとをリンクキーを生成する方法により対応付ける構成に限らず、両者を他の方法により対応付ける構成であっても良い。