以下、図面を参照しながら、本開示に係るハンズフリー装置、データ転送方法、及びプログラムの実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るハンズフリー装置1の使用形態の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のハンズフリー装置1は、車両3に搭載可能である。ハンズフリー装置1は、携帯電話機2との間で通信接続する。また、携帯電話機2は、携帯電話網を介して基地局40と無線通信する。携帯電話機2は、例えばスマートフォンであり、近距離無線通信手段であるBluetooth(登録商標)方式による通信機能を有する。なお、携帯電話機2は、Bluetooth方式による通信機能を有するものであれば、スマートフォン以外の種類の携帯電話機でも良い。
ハンズフリー装置1は、携帯電話機2を介して携帯電話網に接続する。これにより、例えば、車両3の運転者は、携帯電話機2を操作しなくとも、ハンズフリー装置1を操作することによって、電話の発着信をすることができる。ハンズフリー装置1は、例えば、車両3に搭載された車載ナビゲーション装置の一機能として実現されても良い。
図2は、本実施形態に係るハンズフリー装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態のハンズフリー装置1は、例えば、ハンズフリー機能付き車載ナビゲーション装置である。ハンズフリー装置1は、制御部12、Bluetooth通信部13、操作部14、表示部15、作業メモリ16、記憶メモリ17、マイクロホン18及びスピーカ19を備えて構成されている。
制御部12は、ハンズフリー装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。
Bluetooth通信部13は、近距離無線通信手段であるBluetooth方式に対応しており、Bluetooth無線通信圏内に存在している携帯電話機2との間で無線通信回線を確立して、Bluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。なお、この場合、携帯電話機2が、Bluetooth通信機能を有し、かつハンズフリー装置1のBluetooth無線通信圏内に存在していることを前提とする。
本実施形態でのBluetooth通信部13は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP(Hands Free Profile)及び、電話帳データの転送、発着信履歴データの転送を行うためのPBAP(Phone Book Access Profile)に対応している。これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
携帯電話機2は、周知のように単独(ハンズフリー機器たるハンズフリー装置1との間でHFPを接続していない状態)では、携帯電話網の基地局40と携帯電話回線を確立して電話の発信処理及び着信処理を単独で行うことが可能に構成されている。この場合、携帯電話機2は、発信処理としては例えばユーザがダイアルキー(「0」〜「9」の数字キー)(図示せず)を操作して発信先の電話番号を入力し、続いて発信キー(図示せず)を操作すると、当該電話番号を発信先として発信することでき、発信先の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
また、携帯電話機2は、着信処理としては発信元の携帯電話機が当該携帯電話機2を発信先として発信したことに応じて基地局40から着信信号を受信すると、基地局40から発信元の携帯電話機の電話番号を着信電話番号として受信し、ユーザが受話キー(図示せず)を操作すると、発信元の携帯電話機に応答することができ、発信元の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
また、携帯電話機2は、日時(日付時刻)を計時する時計部(図示せず)を有しており、上記した発信処理でダイアルキーから入力した発信電話番号と時計部が計時している日時に基づく発信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の発信履歴データを記憶保持している。また、携帯電話機2は、上記した着信処理で基地局40から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の着信履歴データを記憶保持している。
また、携帯電話機2は、着信に対して応答しなかったときに基地局40から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の不在着信履歴データを記憶保持している。さらに携帯電話機2は、電話番号と登録名との対応を1件分のデータとして複数件分の電話帳データを保持している。電話帳データとは、ユーザが電話番号と登録名とを入力し、これら電話番号と登録名とを対応付けて例えば500件程度、不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させておくものである。
携帯電話機2が電話帳データを保有している場合、上記発信履歴データ、着信履歴データには、上記登録名が含まれる。具体的には、基地局40から受信した着信電話番号が電話帳データに登録された電話番号であり、携帯電話機2は、この電話番号に登録名が電話帳データに登録されているかチェックし、存在する場合には、着信履歴データは、電話番号と、着信日時と、登録名とから構成される。不在着信履歴データも、同様な処理で、電話番号と、着信日時と、その登録名とからなる。携帯電話機2は、発信履歴データについても、上記発信処理で発信された電話番号が、電話帳データに登録された電話番号であるかチェックする。電話番号が電話帳データに登録されている場合は、発信履歴データは、発信日時と、発信電話番号と、その登録名とから構成される。
そして、ユーザは、携帯電話機2によって電話帳データから読み出された1つの電話番号を選択して発信することにより、電話番号を構成する数字に対応する全ての数字キーを一々入力しなくとも簡単な操作で間違いなく発信することができる。尚、携帯電話機2は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば最新の20件分を記憶可能であり、発信処理や着信処理や不在着信を行う毎に最古のデータを自動的に消去し、発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを更新する。そして、携帯電話機2は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP及び、電話帳データの転送、発着信履歴データの転送を行うためのPBAPに対応している。
携帯電話機2が、発着信履歴データの自動転送を規定しているPBAPに対応している場合には、Bluetooth通信部13との間で通信回線を確立した直後にPBAPを接続し、その時点で記憶している電話帳データを自動転送し、さらに、その時点で記憶している発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを自動転送する。これにより、携帯電話機2は、ハンズフリー装置1がBluetooth通信圏内に存在している場合には、単独で過去に発信処理を行って記憶した最大で20件分の発信履歴データや単独で過去に着信処理を行って記憶した最大で20件分の着信履歴データや単独で過去に不在着信処理を行って記憶した最大で20件分の不在着信履歴データをハンズフリー装置1に自動転送する。
本実施形態においては、発信履歴データ、着信履歴データ、及び不在着信履歴データを総称する場合、単に履歴データという。
ハンズフリー装置1の操作部14は、ユーザが操作するための本実施形態でいう操作手段であって、例えば表示部15に形成されるタッチキーから構成され、ユーザの操作を検出し、その操作内容を表す操作信号を制御部12に出力する。表示部15は、本実施形態でいう表示手段であって、制御部12から表示信号を入力すると、その入力した表示信号に基づいて表示画面を表示し、例えばユーザが電話番号を入力する表示画面として「0」〜「9」に対応したダイアルキーが配列された表示画面を表示する。表示部15は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであるが、これらに限定されるものではない。
作業メモリ16は、本実施形態でいう発信履歴データ記憶手段、着信履歴データ記憶手段及びデータ記憶手段であって、揮発性のメモリから構成される。作業メモリ16は、携帯電話機2からユーザが何ら操作することなく自動転送された発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを記憶する。この場合、作業メモリ16は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば5件分を記憶可能である。作業メモリ16は、例えばRAM(Random Access Memory)等である。
記憶メモリ17は、不揮発性のメモリから構成され、各種データを記憶する。記憶メモリ17は、例えばROM(Read Only Memory)である。また、記憶メモリ17は、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリ等の書き込み可能な記憶媒体であっても良い。
制御部12は、ユーザが発信履歴データの表示要求を操作部14にて行うと、作業メモリ16に記憶されている発信履歴データを表示部15に表示させ、ユーザが着信履歴データの表示要求を操作部14にて行うと、作業メモリ16に記憶されている着信履歴データを表示部15に表示させ、ユーザが電話帳データの表示要求を操作部14にて行うと、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを表示部15に表示させる。尚、本実施形態のハンズフリー装置1では、上記したように作業メモリ16に記憶される発信履歴データ及び着信履歴データはそれぞれ5件であり、表示部15に表示される最大表示件数もそれぞれ5件とする。なお、作業メモリ16に記憶されるこれらのデータの件数は一例であり、上述の例に限定されるものではない。
マイクロホン18は、音声を入力する音声入力手段であって、携帯電話機2を用いたハンズフリー通話を行うときに、ユーザが発した音声を入力する。スピーカ19は、音声出力手段であって、携帯電話機2を用いたハンズフリー通話を行うときに、通話相手の受話音声を出力する。すなわち、Bluetooth通信部13と携帯電話機2との間でBluetooth通信回線を確立してHFPでの無線通信を接続すると、制御部12は、マイクロホン18が入力した音声をBluetooth通信部13から携帯電話機2に送信させて携帯電話機2から携帯電話網に送信させると共に、携帯電話機2が携帯電話網から受信した音声を携帯電話機2からBluetooth通信部13に受信させてスピーカ19から出力させる。
尚、上記したハンズフリー装置1は、図示した機能ブロックの他に、自車両の現在位置を検出する現在位置検出部としてのGPS装置、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索部、地図データが記録さている記録媒体から地図データを読取る地図データ読取部、VICS(登録商標)センターから配信されたVICS情報を受信するVICS情報受信部、ユーザが発した音声を音声認識する音声認識部などのナビゲーション動作に必要な機能ブロックをも備えて構成されていても良い。この場合、ハンズフリー装置1は、GPS衛星からGPS装置が受信したGPS無線信号からGPS日時情報を抽出して日時を取得し、その取得した日時を発信日時や着信日時として利用しても良い。
上記したハンズフリー装置1は、ACCスイッチ(車両機器への電源供給をオンオフするスイッチ)のオンオフに連動して起動・停止するように構成されている。ハンズフリー装置1は、例えばユーザが操作したことに応じてACCスイッチがオンからオフに切替わると、電源供給が停止され、この結果、装置電源がオンからオフに移行する。この場合、その直前に記憶メモリ17に記憶されている各種データは消去されないが(記憶保持されるが)、その直前に作業メモリ16に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データは消去されるように構成されている。
次に、本実施形態のハンズフリー装置1の機能の詳細について説明する。図3は、本実施形態に係るハンズフリー装置1が備える機能の一例を示す図である。図3に示すように、本実施形態のハンズフリー装置1は、ハンズフリー装置1は、受付部101、ハンズフリー通話接続部102、第1のデータ転送制御部103、第2のデータ転送制御部104、表示制御部105、ハンズフリー通話実行部106、及び削除部107を備える。なお、第1のデータ転送制御部103と第2のデータ転送制御部104とを特に区別しない場合には、単にデータ転送制御部という。
受付部101、ハンズフリー通話接続部102、第1のデータ転送制御部103、第2のデータ転送制御部104、表示制御部105、ハンズフリー通話実行部106、及び削除部107は、制御部12が記憶メモリ17からプログラムを読み出して実行することにより、実現される。なお、図3に示す機能は一例であり、ハンズフリー装置1の制御部12はさらに他の機能を実現しても良い。
受付部101は、ユーザから各種の操作を受け付ける。例えば、受付部101は、ユーザが操作部14を操作した場合に、操作部14を介して、ユーザの操作を受け付ける。
例えば、受付部101は、ユーザから、携帯電話機2から転送された履歴データ及び電話帳データの削除の操作を受け付ける。また、受付部101は、後述の確認画面において、ユーザによる携帯電話機2から転送された履歴データ及び電話帳データの削除の操作を受け付ける。受付部101は、これらのデータの削除に関する操作を受け付けた場合、削除部107に、該操作を受け付けたことを通知する。
ハンズフリー通話接続部102は、HFPに準じて、携帯電話機2とハンズフリー通話可能に接続する。より詳細には、ハンズフリー通話接続部102は、Bluetooth通信部13を制御することにより、携帯電話機2とハンズフリー通話可能に接続する。
第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれか1つを、PBAPに準じた通信プロトコルによって携帯電話機2から受信する。本実施形態においては、第1のデータ転送制御部103は、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データの全てを、携帯電話機2から受信するものとする。
第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを、作業メモリ16に保存する。なお、記憶メモリ17がHDDまたはフラッシュメモリ等の書き込み可能な記憶媒体である場合、第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを記憶メモリ17に保存しても良い。
第2のデータ転送制御部104は、携帯電話機2に記憶されているその他のデータを、携帯電話機2から受信する。その他のデータとは、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データ以外のデータのうち、ハンズフリー装置1で使用されるデータのことである。
本実施形態においては、その他のデータは、図2に示すように、地点検索履歴、経路情報、検索ワード履歴、または楽曲リスト等である。その他のデータは、これらの全てを含むものであっても良いし、これらのデータの中の一部であっても良い。
地点検索履歴は、地図アプリケーションにおける検索結果等である。また、経路情報は、過去に携帯電話機2をカーナビゲーションシステムとして使用した場合における携帯電話機2の移動経路である。また、検索ワード履歴は、携帯電話機2から検索エンジンにアクセスして検索した単語の履歴である。また、楽曲リストは、携帯電話機2においてユーザが再生した楽曲のリスト等である。尚、その他のデータは、図2に例示したデータ以外のデータであっても良い。
例えば、第2のデータ転送制御部104は、Bluetooth通信部13を制御することにより、携帯電話機2に保存されたその他のデータを受信し、受信した伝言メモデータまたは留守番電話データを作業メモリ16に保存する。なお、記憶メモリ17がHDDまたはフラッシュメモリ等の書き込み可能な記憶媒体である場合、第2のデータ転送制御部104は、携帯電話機2から受信したその他のデータを記憶メモリ17に保存しても良い。
表示制御部105は、表示部15に各種の画面を表示させる。例えば、表示制御部105は、ユーザが電話番号を入力する表示画面としてダイアルキーが配列された表示画面を表示部15に表示させる。また、表示制御部105は、受付部101によって受け付けられたユーザの操作に従って、発信履歴データ、着信履歴データ、または電話帳データを表示部15に表示させる。
また、表示制御部105は、後述の削除部107によるデータの削除に関する所定の条件をユーザが設定可能な設定画面を表示部15に表示する。
図4は、本実施形態に係る設定画面の一例を示す図である。図4に示すように、本実施形態の設定画面では、携帯電話機2から転送されたデータの自動削除の“オン”と“オフ”、及び、自動削除が“オン”である場合における削除タイマーの“オン”と“オフ”を、ユーザが設定可能である。削除対象のデータは、少なくとも履歴データ及び電話帳データを含む。また、携帯電話機2から転送されたその他のデータも削除対象であっても良い。
また、図4に示す設定画面では、削除タイマーの設定時間についても、ユーザが設定可能であるものとしているが、削除タイマーの設定時間は、予め定められていても良い。この設定画面でユーザが設定した内容は、受付部101によって受け付けられ、削除部107に送出される。また、受付部101は、設定画面でユーザが設定した内容を、例えば記憶メモリ17に保存する。削除タイマーの設定時間は、本実施形態における所定の時間の一例である。
なお、図4に示す設定画面では、削除対象のデータに対して、一括して自動削除及び削除タイマーの設定を行っているが、個々のデータの種類ごとに、自動削除及び削除タイマーの設定が可能であっても良い。
また、表示制御部105は消去対象のデータをユーザが個別に選択可能な画面を表示部15に表示しても良い。例えば、ユーザが、電話帳データは削除対象としたいが、受発信の履歴データは削除せずにハンズフリー装置1に残したい、という場合に、個々のデータの自動削除の有無を、ユーザが設定可能であっても良い。
また、表示制御部105は、ユーザによる操作に応じて、データの手動削除を実行可能な削除画面を表示部15に表示する。該削除画面でデータの削除の実行操作をすることにより、ユーザは、任意のタイミングでデータを削除することができる。受付部101は、削除画面でユーザがデータの手動削除の操作をした場合、削除部107に通知する。
図3に戻り、ハンズフリー通話実行部106は、ハンズフリー通話接続部102によってHFP接続された携帯電話機2が電話を着信した場合、ハンズフリー通話を実行する。例えば、ハンズフリー通話実行部106は、携帯電話機2が着信した通話相手の受話音声をBluetooth通信部13を介して受信し、該受話音声をスピーカ19から出力させる。また、ハンズフリー通話実行部106は、ハンズフリー装置1のユーザがマイクロホン18に入力した音声を、Bluetooth通信部13から携帯電話機2に送信させて携帯電話機2から携帯電話網に送信させる。
削除部107は、所定の条件が満たされた場合に、携帯電話機2から転送されたデータを、作業メモリ16及び記憶メモリ17から削除する。なお、削除対象は履歴データ及び電話帳データだけでも良いし、携帯電話機2から転送されたその他のデータも削除対象となっても良い。また、携帯電話機2から転送されたデータだけではなく、ハンズフリー装置1の操作部14から入力されたデータについても、削除対象としても良い。
尚、削除の手法は特に限定されるものではないが、削除部107は、例えば、データの復元ができないように、データの消去を行うものとする。
所定の条件は、自動削除の設定の有無、削除タイマーの設定の有無、車両3の状態、ハンズフリー装置1と携帯電話機2との間の通信接続状態、及び手動削除の操作の有無、によって異なる。以下、本実施形態では、所定の条件を削除条件という。
図5は、本実施形態における自動削除及び削除タイマーの設定と、車両3の状態、ハンズフリー装置1と携帯電話機2との間の通信接続状態、及び手動削除の操作の有無との関係の一例を示す表である。
例えば、図5のパターン1に示すように、自動削除設定が“オン”かつ削除タイマーの設定が“オフ”である場合、削除条件は、「車両3のエンジンがオフになった後に、エンジンがオンになったこと」と、「携帯電話機2とのBluetooth(BT)接続切断後、同じ携帯電話機2と再度Bluetooth接続したこと」、「携帯電話機2とのBluetooth(BT)接続切断後、他の携帯電話機2とBluetooth接続したこと」、または「ユーザによる手動削除の操作を受け付けたこと」である。なお、エンジンがオフになったときは、つまりイグニッション電源がオフになった時である。また、図5における「設定時間」は、図4で説明した削除タイマーの設定時間である。
また、例えば、図5のパターン2に示すように、自動削除設定が“オン”かつ削除タイマーの設定が“オン”である場合、削除条件は、「車両3のエンジンがオフになってから設定時間以上経過後に、エンジンがオンになったこと」と、「携帯電話機2とのBluetooth(BT)接続切断から設定時間以上経過後に、同じ携帯電話機2と再度Bluetooth接続したこと」、「携帯電話機2とのBluetooth(BT)接続切断後、他の携帯電話機2とBluetooth接続したこと」、または「ユーザによる手動削除の操作を受け付けたこと」である。
自動削除設定が“オン”でも、削除タイマーの設定が“オン”である場合は、車両3のエンジンがオフになっても、設定時間経過前に再びエンジンがオンになった場合には、データは削除されない。また、携帯電話機2とのBluetooth接続が切断されても、設定時間経過前に再び同じ携帯電話機2と再度Bluetooth接続した場合には、データは削除されない。
つまり、削除タイマーの設定が“オン”である場合は、削除タイマーの設定が“オフ”である場合と比較して、設定時間分の時間的猶予がある。このため、例えば、車両3の運転者がコンビニエンスストア等で短時間の買物をするために車両3のエンジンをオフにした場合、設定時間内に再びエンジンをオンにすれば、データは削除されずに保持されている。また、車両3の運転者が携帯電話機2の電源を短時間オフにしたり、携帯電話機2もって車外に出たりすることによって携帯電話機2とのBluetooth接続が切断されても設定時間経過前に再び同じ携帯電話機2がハンズフリー装置1とBluetooth接続すれば、データは削除されずに保持されている。
ただし、削除タイマーの設定が“オン”である場合であっても、携帯電話機2とのBluetooth接続切断後、他の携帯電話機2とBluetooth接続した場合には、削除部107はデータを削除する。また、ユーザによって手動削除の操作がされた場合には、自動削除設定及び削除タイマーの設定に関わらず、削除部107はデータを削除する。
また、例えば、図5のパターン3に示すように、自動削除設定が“オフ”である場合、削除条件は、手動削除のみとなる。なお、削除タイマーの設定は、自動削除の実行タイミングに関するタイマー設定であるため、自動削除設定が“オフ”である場合には、削除タイマーの設定は自動的に“オフ”となる。
なお、図5に示す例では、自動削除設定が“オン”かつ削除タイマーの設定が“オフ”である場合には、携帯電話機2とのBluetooth接続切断後に、Bluetooth接続された携帯電話機2が、接続切断前の携帯電話機2と同一であっても異なっていてもデータの削除を行うように設定されているが、削除部107は、携帯電話機2とのBluetooth接続切断後に、Bluetooth接続された携帯電話機2が、接続切断前の携帯電話機2と同一である場合は削除をしないものとしても良い。
また、自動削除設定が“オン”かつ削除タイマーの設定が“オフ”である場合には、携帯電話機2とのBluetooth接続切断後に、次のBluetooth接続を待たず、削除部107がデータを削除するものとしても良い。
また、上述の削除条件はAND条件であり、いずれかの条件が満たされると、削除部107はデータを削除する。尚、図5に示す削除条件は一例であり、これらに限定されるものではない。
次に、上記した構成の作用について説明する。尚、本実施形態では、携帯電話機2は、最大記憶可能件数である20件分の発信履歴データ、最大記憶可能件数である20件分の着信履歴データ、最大記憶可能件数である20件分の不在着信履歴データを既に保持(記憶)しており、この状態で、携帯電話機2を携帯するユーザが車両3に近づいて車内に乗り込み、上記ACCスイッチがオンされることで、携帯電話機2がハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内に進入したことを前提として説明する。
最初に、ハンズフリー装置1において、制御部12が携帯電話機2から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、電話帳データ、伝言メモデータ、及び留守番電話データを受信する手順について説明する。尚、ユーザは、ハンズフリー装置1にて、Bluetooth通信の相手となる携帯電話機2を予め登録している。
例えば、ユーザは、初期通信設定時に、携帯電話機2毎に4桁のパスワードをハンズフリー装置1に入力する。ハンズフリー装置1と携帯電話機2は、互いの接続に使用するリンクキーを生成し、該リンクキーを保持する。そして、ハンズフリー装置1は、初期接続時にリンクキーの認証を行うことで、通信接続すべき携帯電話機2を選択している。つまり、ハンズフリー装置1と、未登録の携帯電話機との間では、HFPでの通信接続及びPBAPでの通信接続が行われることは無い。基本的に、車両3の所有者の携帯電話機2が事前登録され、該携帯電話機2とハンズフリー装置1との間でBluetooth通信が行われることとなる。なお、ハンズフリー装置1の通信対象の携帯電話機2の事前登録について、上述の手法は一例であり、これに限定されるものではない。
本例では、ハンズフリー装置1には、通信接続対象となる複数の携帯電話機2が登録されているものとする。また、複数の携帯電話機2に対して例えばユーザが操作部14を操作して優先順位を予め設定しており、作業メモリ16または記憶メモリ17は当該優先順位を記憶している。例えば、ドライバーによっては、複数の携帯電話機2を所有している場合があるため、ハンズフリー装置1には、このように複数の携帯電話機2の登録を可能とする。
図6は、本実施形態に係るデータ転送処理の流れの一例を示す図である。より詳細には、このフローチャートの処理は、ハンズフリー装置1が携帯電話機2と接続する際に実行される初期データ転送処理である。
まず、ハンズフリー通話接続部102は、優先順位が上位の携帯電話機2をHFPでの無線通信での通信接続対象として選択する(S1)。ここで、本例では、最初にPBAPでの通信接続を行わずに、先ずはHFPでの初期通信を自動的に試み、接続を開始する。
次に、ハンズフリー通話接続部102は、その選択した携帯電話機2に対してHFPでの初期通信を自動的に接続する処理を実行する(S2)。また、ハンズフリー通話接続部102は、HFPでの無線通信接続に成功したか否かを判定する(S3)。
ハンズフリー通話接続部102は、HFPでの無線通信接続に成功したと判定した場合(S3“YES”)、接続したHFPでの無線通信を自動的に切断する(S4)。
そして、第1のデータ転送制御部103は、HFPでの無線通信接続に成功した携帯電話機2に対してPBAPでの無線通信を自動的に接続する(S5)。
次に、第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2に対して、発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データの転送処理を開始するように、履歴データ転送要求を送信する(S6)。
履歴データ転送要求を受けた携帯電話機2は、PBAPに準じたBluetooth通信によって、発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データをハンズフリー装置1に転送する。第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から転送された発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
第1のデータ転送制御部103は、履歴データの転送処理が終了すると、次に、携帯電話機2に対して、電話帳データの転送処理を開始するように、電話帳データ転送要求を送信する(S7)。
電話帳データ転送要求を受けた携帯電話機2は、PBAPに準じたBluetooth通信によって、電話帳データをハンズフリー装置1に転送する。第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から転送された電話帳データを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
第1のデータ転送制御部103は、電話帳データの転送処理が終了すると、携帯電話機2との間のPBAPによる無線通信を切断する(S8)。
次に、第2のデータ転送制御部104は、携帯電話機2に対して、その他のデータ、つまり履歴データまたは電話帳データ以外のデータであってハンズフリー装置1への転送対象であるデータの転送処理を開始するように、伝言メモデータ転送要求を送信する(S9)。
その他のデータの転送要求を受けた携帯電話機2は、Bluetooth通信によって、その他のデータをハンズフリー装置1に転送する。第2のデータ転送制御部104は、携帯電話機2から転送されたその他のデータを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
なお、Bluetooth通信部13は、その他のデータの転送の処理においては、HFP及びPBAPを使用せずに、携帯電話機2との間で通信するものとする。その他のデータの転送処理に使用されるプロトコルは、特に限定されるものではない。
次に、ハンズフリー通話接続部102は、再び、携帯電話機2に対してHFPでの無線通信を自動的に接続する(S10)。
そして、ハンズフリー通話接続部102は、携帯電話機2とのHFPによる無線通信が確立すると、ハンズフリー(HF)待受処理に移行する。ハンズフリー待受処理の実行中は、ハンズフリー装置1は、携帯電話機2を介した電話の発信または受信が可能な状態となる。ハンズフリー装置1の電源が切断される、または携帯電話機2とのHFPによる無線通信が解除されるまで、ハンズフリー待受処理は継続する。携帯電話機2とのHFPによる無線通信が解除される場合とは、ユーザによってハンズフリー装置1または携帯電話機2に対して接続解除の操作が行われた場合、または、携帯電話機2がハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内から退出した場合等である。
このように本実施形態では、HFP→PBAP→HFPの順に無線通信をシリアルに自動的に切り替える。これにより、多数のメーカーのHFPでの無線通信とPBAPでの無線通信とに対応した携帯電話機に対して、通信処理を確実に安定して行うことが可能となる。また、このような手法により、ハンズフリー装置1でのソフトウェア処理の複雑化を低減することができる。
また、ハンズフリー通話接続部102は、HFPでの無線通信接続に成功しなかった(失敗した)旨を判定すると(S3“No”)、優先順位が次位の携帯電話機2が存在するか否かを判定する(S11)。
ハンズフリー通話接続部102は、優先順位が次位の携帯電話機2が存在する旨を判定した場合(S11“Yes”)、優先順位が次位の携帯電話機2を無線通信の接続対象として選択し(S12)、上記したS2に戻り、上記した処理を繰返して行う。
また、ハンズフリー通話接続部102は、優先順位が次位の携帯電話機2が存在しない旨を判定した場合(S11“No”)、このフローチャートの処理を終了する。
図6で説明した処理の流れでは、ハンズフリー装置1のBluetooth通信部13は、HFPでの無線通信、PBAPでの無線通信、及びこれらのプロトコルを使用しない伝言メモデータ及び留守番電話データの転送処理のための無線通信を同時接続(マルチプロファイル接続)せずに、シリアルに接続している。図6に示す例では、以下の3つの理由に基づいて、異なるプロトコルに基づく無線通信を同時に実行せず、シリアルに接続することを選択している。
(1)通信相手である携帯電話機2が、ハンズフリー装置1と同様に、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信には対応しているものの、同時接続には対応していない可能性があること。
(2)通信相手である携帯電話機2が、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信には対応し、かつ同時接続にも対応しているかもしれないが、同時接続を維持するためには、ハンズフリー装置1のBluetooth通信部13のソフトウェア処理が複雑になり、通信接続の安定性に不安があること。
(3)携帯電話機2は、世界で多数のメーカーが製造しており、ハンズフリー装置1としては、HFPでの無線通信及びPBAPでの無線通信に対応した全ての携帯電話機と接続することが求められること。
しかしながら、接続の流れはこれに限定されるものではない。例えば、ハンズフリー装置1及び携帯電話機2の仕様、または接続環境等に応じて、接続の流れは変更されても良い。例えば、ハンズフリー装置1のBluetooth通信部13は、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信を同時に接続しても良い。
また、次に、携帯電話機2からハンズフリー装置1に転送されたデータの削除処理の流れについて説明する。図7〜図10は、本実施形態に係るデータの削除処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、図7は、本実施形態に係る車両3のエンジンがONになった場合における削除条件の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートの処理は、ハンズフリー装置1が搭載された車両3のエンジンがオンになった場合に開始する。
まず、削除部107は、自動削除設定が“オン”であるか否かを判定する(S101)。
自動削除設定が“オン”である場合(S101“Yes”)、次に、削除部107は、削除タイマーの設定が“オン”であるか否かを判定する(S102)。
削除タイマーの設定が“オン”である場合(S102“Yes”)、次に、削除部107は、エンジンがオフになってから設定時間以上経過したか否かを判定する(S103)。例えば、削除部107は、前回エンジンがオフになった時刻と、現在時刻との差を算出し、当該差が設定時間以上であれば、エンジンがオフになってから設定時間以上が経過したと判定する。なお、前回エンジンがオフになった時刻は、例えば削除部107によって記憶メモリ17に保存される。なお、経過時間の判定の手法は、これに限定されるものではなく、公知の手法を適用することができる。
エンジンがオフになってから設定時間以上が経過したと判定した場合(S103“Yes”)、削除部107は、携帯電話機2から転送されたデータを、作業メモリ16及び記憶メモリ17から削除する(S104)。そして、後述の図9で説明する「エンジンOFF」、または後述の図8で説明する「Bluetooth(BT)接続」の処理に進む。
エンジンがオフになってから設定時間以上が経過していないと判定した場合(S103“No”)、削除部107は、データを削除せずに、「エンジンOFF」または「Bluetooth(BT)接続」の処理に進む。
また、自動削除設定が“オフ”である場合(S101“No”)、削除部107は、データを削除せずに、「エンジンOFF」または「Bluetooth(BT)接続」の処理に進む。
また、削除タイマーの設定が“オフ”である場合(S102“No”)、削除部107は、経過時間に関わらず、S104の処理に進み、データを削除する。
次に、図8は、本実施形態に係るハンズフリー装置1が携帯電話機2とBluetooth接続した場合における削除条件の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ハンズフリー装置1が携帯電話機2とBluetooth接続した場合に実行される。なお、この場合、処理のトリガとなるBluetooth接続は、HFP接続またはPBAP接続以外であっても良い。
まず、削除部107は、自動削除設定が“オン”であるか否かを判定する(S201)。
自動削除設定が“オン”である場合(S201“Yes”)、削除部107は、ハンズフリー装置1とBluetooth接続した携帯電話機2が、前回Bluetooth接続した携帯電話機2と同じ携帯電話機2であるか否かを判定する(S202)。
接続した携帯電話機2が前回接続した携帯電話機2と同じ携帯電話機2であると判定した場合(S202“Yes”)、削除部107は、削除タイマーの設定が“オン”であるか否かを判定する(S203)。
削除タイマーの設定が“オン”である場合(S203“Yes”)、削除部107は、携帯電話機2とのBluetooth(BT)接続切断から設定時間以上経過したか否かを判定する(S204)。
携帯電話機2とのBluetooth接続切断から設定時間以上経過したと判定した場合(S204“Yes”)、削除部107は、携帯電話機2から転送されたデータを、作業メモリ16及び記憶メモリ17から削除する(S205)。そして、後述の図10で説明する「Bluetooth(BT)切断」の処理に進む。なお、エンジンがオフになる場合には、ハンズフリー装置1と携帯電話機2とのBluetooth接続が切断されるため、図8に示すフローチャートの終了後、直接的に図9の「エンジンOFF」の処理には進まない。
また、携帯電話機2とのBluetooth接続切断から設定時間以上経過していないと判定した場合(S204“No”)、削除部107は、データを削除せずに、「Bluetooth(BT)切断」の処理に進む。
また、自動削除設定が“オフ”である場合(S201“No”)、削除部107は、データを削除せずに、「Bluetooth(BT)切断」の処理に進む。
また、接続した携帯電話機2が前回接続した携帯電話機2と異なる携帯電話機2であると判定した場合(S202“Yes”)、または、削除タイマーの設定が“オフ”である場合(S203“No”)は、削除部107は、S205の処理に進み、データを削除する。
次に、図9は、本実施形態に係る車両3のエンジンがオフになった場合における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートの処理は、ハンズフリー装置1が搭載された車両3のエンジンがオフになった場合に開始する。なお、車両3のエンジンがオフになった場合においても、ハンズフリー装置1の電源はすぐにはオフにならず、図9に示す処理を実行可能であるものとする。
まず、削除部107は、自動削除設定が“オン”であるか否かを判定する(S301)。
自動削除設定が“オン”である場合(S301“Yes”)、次に、削除部107は、削除タイマーの設定が“オン”であるか否かを判定する(S302)。
削除タイマーの設定が“オン”である場合(S302“Yes”)、次に、削除部107は、車両3のエンジンがオフになってからの時間の計測を開始する(S303)。
なお、時間の計測の手法は特に限定されるものではない。例えば、削除部107は、車両3のエンジンがオフになった後も、経過時間の計測を継続しても良い。この場合、車両3に搭載されたバッテリを電源としてハンズフリー装置1が起動を継続しても良い。あるいは、削除部107は、車両3のエンジンがオフになった時刻を、記憶メモリ17に保存しても良い。
そして、図7で説明した「エンジンON」の処理に進む。次に車両3のエンジンがオンになった場合には、図7で説明した処理が実行される。
また、自動削除設定が“オフ”である場合(S301“No”)、または削除タイマーの設定が“オフ”である場合(S302“No”)も、「エンジンON」の処理に進む。
次に、図10は、本実施形態に係るハンズフリー装置1と携帯電話機2とのBluetooth接続が切断した場合における処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ハンズフリー装置1と携帯電話機2とのBluetooth接続が切断した場合に実行される。
まず、削除部107は、自動削除設定が“オン”であるか否かを判定する(S401)。
自動削除設定が“オン”である場合(S401“Yes”)、次に、削除部107は、削除タイマーの設定が“オン”であるか否かを判定する(S402)。
削除タイマーの設定が“オン”である場合(S402“Yes”)、次に、削除部107は、Bluetooth接続が切断してからの時間の計測を開始する(S403)。
そして、図9で説明した「エンジンOFF」または図8で説明した「Bluetooth(BT)接続」の処理に進む。
また、自動削除設定が“オフ”である場合(S401“No”)、または削除タイマーの設定が“オフ”である場合(S402“No”)も、「エンジンOFF」または「Bluetooth(BT)接続」の処理に進む。
また、図6等で上記した発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データの転送処理について、さらに具体的に説明する。
図11は、本実施形態に係る発信履歴データと電話帳データの対応関係の一例を示す図である。より詳細には、図11(a)は、携帯電話機2に保存された発信履歴データの一例である。また、図11(b)は、携帯電話機2に保存された電話帳データの一例である。また、図11(c)は、ハンズフリー装置1において保存または表示される発信履歴データの一例である。
また、図12は、本実施形態に係る着信履歴データと電話帳データの対応関係の一例を示す図である。より詳細には、図12(a)は、携帯電話機2に保存された着信履歴データの一例である。また、図12(b)は、携帯電話機2に保存された電話帳データの一例である。また、図12(c)は、ハンズフリー装置1において保存または表示される着信履歴データの一例である。
また、図13は、本実施形態に係る不在着信履歴データと電話帳データの対応関係の一例を示す図である。より詳細には、図13(a)は、携帯電話機2に保存された不在着信履歴データの一例である。また、図13(b)は、携帯電話機2に保存された電話帳データの一例である。また、図13(c)は、ハンズフリー装置1において保存または表示される不在着信履歴データの一例である。
第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から、図11(a)に示す登録名、発信電話番号及び発信日時からなる発信履歴データを受信して作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶させる。
また、第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から図12(a)に示す登録名、着信電話番号及び着信日時からなる着信履歴データを受信して作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶させる。
また、第1のデータ転送制御部103は、携帯電話機2から図13(a)に示す登録名、不在着信電話番号及び不在着信日時からなる不在着信履歴データを受信して作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶させる。
また、携帯電話機2において着信履歴データ、発信履歴データ、及び不在着信履歴データに登録名が含まれない場合、第1のデータ転送制御部103は、着信履歴データ、発信履歴データ、及び不在着信履歴データに含まれる電話番号と、電話帳データにおいて該電話番号に対応付けられた登録名とを対応付けることにより、着信履歴データ、発信履歴データ、及び不在着信履歴データに登録名を追加して、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶させても良い。そして、表示制御部105は、発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データの表示要求があると、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データを表示部15に表示させる。つまり、表示制御部105は、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶されている電話帳データから登録名を読出すことなく、携帯電話機2から転送された登録名を表示部15に表示させることができる。
なお、着信履歴データ、発信履歴データ、及び不在着信履歴データは、登録名を含まない状態で作業メモリ16または記憶メモリ17に保存されても良い。この場合、表示制御部105は、着信履歴データ、発信履歴データ、及び不在着信履歴データに含まれる電話番号と、電話帳データにおいて該電話番号に対応付けられた登録名とを対応付けて表示部15に表示する。
図6のS10で説明したHFPの接続処理をハンズフリー通話接続部102が完了すると、ユーザがハンズフリー装置1側の操作部14を操作することにより、電話の発信処理及び着信処理を行うことが可能となる。
また、第1のデータ転送制御部103が、図6で説明した携帯電話機2との初期接続処理によって携帯電話機2から発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データを受信した後、ハンズフリー装置1または携帯電話機2において新たな発信処理、新たな着信処理または新たな不在着信処理が実行される場合がある。その後、ユーザが操作部14を操作して発信履歴データ、着信履歴データまたは不在着信履歴データの表示要求をした場合、表示制御部105は、新たな発信処理、着信処理または不在着信処理を行った発信電話番号、着信電話番号及び不在着信電話番号に対応する登録名が、携帯電話機2から転送された電話帳データに存在する場合には、図11(c)、図12(c)、図13(c)に示すように、該登録名を表示部15に表示させる。
より詳細には、ハンズフリー通話接続部102が新たな発信処理として、「加藤 一郎」の電話番号へ発信処理したとする。この場合、表示制御部105は、電話帳データに「加藤 一郎」の登録名が登録されている場合は、図11(c)に示すように電話帳データから「加藤 一郎」の登録名を読出して表示部15に表示させる。また、新たな着信処理として、「吉本 一郎」の電話番号から電話があった場合、表示制御部105は、この着信電話番号が電話帳データに登録されている場合は、図12(c)に示すように、電話帳データから「吉本 一郎」の登録名を読出して表示部15に表示させる。また、表示制御部105は、「渡邊 三郎」の電話番号から新たな不在着信があった場合は、図13(c)に示すように、電話帳データから「渡邊 三郎」の登録名を読出して表示部15に表示させる。
また、表示制御部105は、発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データを纏めて最新の時刻順にしたがって表示する全履歴データの表示要求があると、着信履歴データ及び不在着信履歴データについては着信電話番号或いは不在着信電話番号が同一である(重複している)か否かに拘らず着信日時或いは不在着信日時が新しい方の着信履歴データ及び不在着信履歴データを全ての中から所定数選択して表示させる。また、表示制御部105は、発信履歴データについては発信電話番号が同一である(重複している)発信履歴データのうち最新の発信履歴データのみを選択して表示させる。
図14は、本実施形態に係る発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び全履歴データの一例を示す図である。図14に示す例では「阿部 太郎」の発信電話番号が重複している。この場合、表示制御部105は、「阿部 太郎」の発信履歴のうち、発信日時が最新の発信履歴(発信日時が08月10日12:15の発信履歴データ)のみを表示させ、発信日時が最新ではない発信履歴は表示させない。
次に、ハンズフリー装置1において、制御部12が携帯電話機2から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを受信及び記憶する手順、及び、記憶された発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データを用いて発信する手順について説明する。尚、ここでは、発信履歴データ及び着信履歴データについて説明するが、不在着信履歴データも同様である。
図15及び図16は、本実施形態のハンズフリー装置1で実行される発信履歴データ及び着信履歴データ及び電話帳データを使用して電話を発信する処理の流れの一例を示す図である。なお、図15及び図16で制御部12によって実行される処理は、例えば、図3で説明した受付部101、ハンズフリー通話接続部102、第1のデータ転送制御部103、第2のデータ転送制御部104、表示制御部105、ハンズフリー通話実行部106、または削除部107によって実現される処理である。
ここで、図15、図16の中で説明する図17は、本実施形態に係る発信履歴データの一例を示す図である。また、図18は、本実施形態に係る着信履歴データの一例を示す図である。また、図19は、本実施形態に係る発信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の一例を示す図である。また、図20は、本実施形態に係る着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の一例を示す図である。また、図21は、本実施形態に係る電話帳からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の一例を示す図である。図22は、本実施形態に係る電話帳データの一例を示す図である。
図15のフローチャートに戻り、まず、ハンズフリー装置1の制御部12は、携帯電話機2がハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内に存在しており、Bluetooth通信部13が携帯電話機2との間で通信回線を確立した旨を判定すると(S121“Yes”)、携帯電話機2から発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データがBluetooth通信部13に自動転送されることを待機する(S122)。
そして、制御部12は、携帯電話機2から発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データが自動転送された旨を判定すると(S122“Yes”)、その携帯電話機2から自動転送された発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶させる(S123)。
ここで、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数がそれぞれ例えば20件であるとする。また、作業メモリ16に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数がそれぞれ例えば5件であるとする。つまり、作業メモリ16に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数が、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数よりも少ない。
この場合、制御部12は、例えば、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データのうち発信日時が古い発信履歴データを破棄し、携帯電話機2から自動転送された20件分の発信履歴データのうち発信日時が新しい5件分の発信履歴データを優先して作業メモリ16に携帯側発信履歴データとして記憶させる。また、制御部12は、着信履歴データのうち着信日時が古い着信履歴データを破棄し、携帯電話機2から自動転送された20件分の着信履歴データのうち着信日時が新しい5件分の着信履歴データを優先して作業メモリ16に携帯側着信履歴データとして記憶させる。
制御部12は、携帯電話機2から発信履歴データが自動転送された直後では、作業メモリ16の発信履歴データとして、図17(a)に示す発信履歴データを保持する。また、この状態からユーザが発信履歴データを表示させる操作を行うと、制御部12は、図19(b)に示す表示画面を表示部15に表示させる。また、制御部12は、携帯電話機2から着信履歴データが自動転送された直後では、作業メモリ16の着信履歴データとして、図18(a)に示す着信履歴データを保持し、この状態からユーザが着信履歴データを表示させる操作を行うと、図20(b)に示す表示画面を表示部15に表示させる。
このようにして、携帯電話機2とハンズフリー装置1とがBluetooth通信回線を確立すると、携帯電話機2がBluetooth通信回線を確立する前に記憶しておいた発信履歴データや着信履歴データがハンズフリー装置1の作業メモリ16に自動転送され、携帯電話機2とハンズフリー装置1とが1つの電話システムを構成することになり、この電話システムによりハンズフリー通話を行うことが可能となる。そして、ユーザは、このようにして携帯電話機2とハンズフリー装置1とが1つの電話システムを構成した以降では、ダイアルキー入力による発信操作、発信履歴による発信操作、着信履歴による発信操作及び電話帳による発信操作のいずれかを選択して発信操作を行なうことが可能となり、携帯電話網からの着信を待機することが可能となる。
ここで、本実施形態では、Bluetooth通信の手順として、図6のフローチャートに示すS5でPBAPでの無線通信接続をした後、S8でPBAPでの無線通信を切断し、S10でHFPでの無線通信接続を行う、というシリアルなプロファイル切り替えを行っている。このため、S10でHFPでの無線通信接続後において、携帯電話機2に対して新たな着信があった場合、もしくは操作部14にて新たな発信処理が行われた場合、携帯電話機2には、その着信及び発信を含む着信履歴データ、発信履歴データは、結局、自己の履歴データであるため、自身のメモリに保持している。従って、ハンズフリー装置1の制御部12は、再度、携帯電話機2から、これら最新の発着信履歴データを取得するために、HFPでの無線通信中にPBAPでの無線通信(同時接続)を行うことも可能である。
しかしながら、仮に、同時接続をできる限り避ける場合、シリアル接続において、HFPでの無線通信接続を切断し、PBAPでの無線通信接続を行うと、その間、ハンズフリー通話を行うために1つの電話システムを構成している、携帯電話機2とハンズフリー装置1とが実質、分離された状態となり、ハンズフリー通話が行えなくなる状態が発生する。そこで、本実施形態では、S10でHFPでの無線通信接続を行った場合、それ以降もHFPでの無線通信接続のみで、最新の発着信履歴データをハンズフリー装置1で自己取得し、自己管理するようにしている。以下、これについて説明する。
図15のフローチャートに戻り、制御部12は、ユーザがダイアルキー入力による発信操作を行ったか否かを判定し(S124)、ユーザが発信履歴による発信操作を行ったか否かを判定する(S125)。ここで、図16のフローチャートに続き、制御部12は、ユーザが着信履歴による発信操作を行ったか否かを判定し(S126)、ユーザが電話帳による発信操作を行ったか否かを判定し(S127)、携帯電話網から着信したか否かを判定する(S128)。
ここで、制御部12は、ユーザがダイアルキー入力による発信操作を行った旨を判定すると(S124“YES”)、ユーザがダイアルキーにより入力した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(S129)。そして、制御部12は、ダイアルキー入力による発信処理を終了すると、図17(b)に示すように、その時点で作業メモリ16に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(S130)、そのダイアルキー入力による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ16に自己発信履歴データとして追加記憶させる(S131)。
すなわち、制御部12は、ユーザがダイアルキーを操作して例えば電話番号「09000000100」を入力し、当該電話番号「09000000100」を発信電話番号として発信する操作を行うと、図17(b)に示すように、電話番号「09000000100」を表す発信履歴データを作業メモリ16に自己発信履歴データとして追加記憶させる。この場合、制御部12は、電話番号「09000000100」に対応する発信日時としてハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。つまり、図17(b)では、最新の電話番号「09000000100」の発信日時はハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時であり、残りの4件の電話番号の発信日時は携帯電話機2の時計部が取得した日時である。尚、制御部12は、この状態からユーザが発信履歴データを表示させる操作を行うと、図19(c)に示す表示画面を表示部15に表示させる。
また、制御部12は、ユーザが「履歴ボタン」4aを押下し、続いて「発信履歴ボタン」4bを押下したことにより、発信履歴による発信操作を行った旨を判定すると(S125“YES”)、作業メモリ16に記憶されている発信履歴データを参照し(S132)、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照し(S133)、図19(b),(c)に示すように、発信履歴による発信操作画面を表示部15に表示させる(S134)。この場合、制御部12は、発信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていれば、その電話番号に対応する登録名を表示部15に表示させ、一方、発信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていなければ、その電話番号を表示部15に表示させる。
次いで、制御部12は、ユーザが選択した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(S135)。そして、制御部12は、発信履歴による発信処理を終了すると、この場合も、その時点で作業メモリ16に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(S130)、その発信履歴による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ16に自己発信履歴データとして追加記憶させる(S131)。この場合も、制御部12は、発信電話番号に対応する発信日時としてハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。
また、制御部12は、ユーザが「履歴ボタン」4aを押下し、続いて「着信履歴ボタン」4cを押下したことにより、着信履歴による発信操作を行った旨を判定すると(S126“YES”)、作業メモリ16に記憶されている着信履歴データを参照し(S136)、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照し(S137)、図20(b),(c)に示すように、着信履歴による発信操作画面を表示部15に表示させる(S138)。この場合、制御部12は、着信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていれば、その電話番号に対応する登録名を表示部15に表示させ、一方、着信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていなければ、その電話番号を表示部15に表示させる。
次いで、制御部12は、ユーザが選択した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(S139)。そして、制御部12は、着信履歴による発信処理を終了すると、この場合も、その時点で作業メモリ16に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(S130)、その着信履歴による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ16に自己発信履歴データとして追加記憶させる(S131)。この場合も、制御部12は、発信電話番号に対応する発信日時としてハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。
また、制御部12は、ユーザが「電話帳ボタン」4dを押下したことにより、電話帳による発信操作を行った旨を判定すると(S127“YES”)、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照し(S140)、図21(b)に示すように、電話帳による発信操作画面を表示部15に表示させる(S141)。次いで、制御部12は、そのうちからユーザが選択した電話番号を発信電話番号として発信する発信処理を行う(S142)。そして、制御部12は、電話帳による発信処理を終了すると、この場合も、その時点で作業メモリ16に記憶されている発信履歴データのうち発信日時が最古の発信履歴データを消去し(S130)、その電話帳による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ16に自己発信履歴データとして追加記憶させる(S131)。この場合も、制御部12は、発信電話番号に対応する発信日時としてハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。
さらに、制御部12は、携帯電話機2からBluetooth通信部13を介して、携帯電話網から着信した旨を判定すると(S128“YES”)、着信を知らせるための報知等の着信処理を行い(S143)、着信処理が終了すると、その時点で作業メモリ16に記憶されている着信履歴データのうち着信日時が最古の着信履歴データを消去し(S144)、その着信を表す自装置の最新の着信履歴データを作業メモリ16に自己着信履歴データとして追加記憶させる(S145)。
すなわち、制御部12は、携帯電話網から電話番号「09000000200」を着信電話番号としてBluetooth通信部13を経由して受信すると、電話番号「09000000200」を表す着信履歴データを作業メモリ16に自己着信履歴データとして追加記憶させる。
このようにすることで、S10でのHFPでの無線通信接続以降、PBAPでの無線通信接続を行わなくとも、S1以降での新たな着信処理、発信処理があった場合、自己の発着信履歴データを追加し、表示部15に表示させることが可能となる。この結果、やはり、HPFとPBAPとの同時接続を行わなくて済むし、S10でのHFP無線通信接続後、HFP無線通信接続を切断し、PBAPでの無線通信を接続する必要がなくなるので、1つの電話システムとなった携帯電話機2とハンズフリー装置1とが、実質分離するようなことが防止できる。
次に、PBAPでの無線通信にて受信した発着信履歴データと、S10以降に発生した発信処理、着信処理にて発生した発着信履歴データの表示処理について説明する。
S10でHFP無線接続状態において、携帯電話機2は、着信時に、着信電話番号をハンズフリー装置1に送信するが、このとき着信日時情報を送信しない。そのため、制御部12は、電話番号「09000000200」に対応する着信日時としてハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。つまり、図18(b)では、最新の電話番号「09000000200」の着信日時はハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時であり、残りの4件の電話番号の着信日時は携帯電話機2の時計部が取得した日時である。尚、制御部12は、この状態からユーザが着信履歴データを表示させる操作を行うと、図20(c)に示す表示画面を表示部15に表示させる。
尚、以上は、作業メモリ16に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数が携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数よりも少ない場合に、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データのうち発信日時や着信日時が古い発信履歴データや着信履歴データを破棄し、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データのうち発信日時や着信日時が新しい発信履歴データや着信履歴データを優先して作業メモリ16に記憶する場合を説明したが、PBAPでの無線通信を接続するときにハンズフリー装置1が携帯電話機2に対して自動転送すべき件数(本実施形態では5件)を指定し、発信日時や着信日時が新しい発信履歴データや着信履歴データを優先して作業メモリ16に記憶するようにしても良い。
また、上記した構成では、ハンズフリー装置1において、新たな発信処理や新たな着信処理を行った場合に、作業メモリ16に記憶されている発信履歴データや着信履歴データのうち最古の発信履歴データや最古の着信履歴データを消去する場合を説明したが、ユーザの視点からすると、下記のような要望があるため、制御部12が以下に示す代替処理を行っても良い。これは、本例のように、S10以降、PBAPでの無線通信接続を行わない場合に必要となる処理である。
すなわち、携帯電話機2の時計部が計時する日時と、ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時とを比較すると、携帯電話機2の時計部が計時する日時はGPS装置が取得した日時に比べて誤差が多く正確でない場合があり、また、ユーザが任意に設定することが可能であるので、ユーザが意図的に所定時間分(例えば10分)進めて設定したり逆に遅れて設定したりする場合がある。
したがって、仮にユーザが携帯電話機2の日時を所定時間分進めて設定しており、ハンズフリー装置1が当該進められて設定された日時を作業メモリ16に記憶していたとすると、この状態から携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データとハンズフリー装置1の自装置の発信履歴データや着信履歴データとを日時順にしたがって並替えると、ハンズフリー装置1での新たな発信処理や新たな着信処理を行った発信履歴データや着信履歴データが、時間軸では最新であるにも拘らず、一覧表示の表示画面で最上位の欄に表示されることなく、最上位の欄以外の欄(例えば2番目や3番目の欄)に表示されることとなる。これでは、ユーザが記憶している時間軸と表示部15が表示する時間軸とにずれを発生し、ユーザが違和感を抱いてしまうことになる。
このような不具合に対応すべく、制御部12は、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データについては、それらのみの範囲内で最上位の欄以外の欄に日時順にしたがって並べて表示させ、自装置の新たな発信履歴データや新たな着信履歴データについては、最上位の欄に表示させる。これにより、ユーザが記憶している時間軸と調和して表示させることができ、ユーザに違和感を抱かせないようにすることができる。
尚、制御部12は、携帯電話機2から自動転送された発信履歴データや着信履歴データを日時順にしたがって並べて表示させる場合に、その発信履歴データや着信履歴データに含まれる日時データで並び替えしなくとも、それら発信履歴データや着信履歴データに発信順を表す発信順データや着信順を表す着信順データが含まれている場合であれば、それら発信順データや着信順データに基づいて発信履歴データや着信履歴データを並べて表示させても良い。
また、発信順データ、着信順データが明示的に含まれていない場合でも、携帯電話機2から、図11(a)、図12(a)、図13(a)のようなリスト形式でデータが送信され、ハンズフリー装置1で受信した場合、上位にあるデータほど、最新のデータであるというルールに基づき、表示させるようにしても良い。つまり、携帯電話機2は、ハンズフリー装置1にて、現実の発信順、着信順を識別可能な形式で、データを送信する。
この場合、例えば、携帯電話機2によっては、12時00分00秒にAさんから着信があり、12時00分30秒にBさんから着信があった場合、タイムスタンプを秒でなく、分までとすると、全く同じの12時00分となり、これが携帯電話機2の着信履歴データとして記憶されている。そして、このデータをハンズフリー装置1で受信し、時間順に並び替えたとしても、順位が決められないので、携帯電話機2側で、発信順データ、着信順データを付与してもらったり、上記リスト形式で送信してもらうと都合が良い。これにより、ユーザが記憶している時間軸と調和して表示させることができ、ユーザに違和感を抱かせないようにすることができる。
これらの場合は、発信履歴データや着信履歴データに含まれる日時データは付属的なものとなり、上記した発信順データや着信順データがユーザの実際の着信順や発信順となる。尚、携帯電話機2は、その単独動作において、着信処理や発信処理を繰り返すが、自分単独の動作であるため、これは発着信の順番は、把握できるため、その順番通りに、発着信履歴を管理することが可能である。このため、自己の時計部による発信日時、着信日時にとらわれずに、発信毎や着信毎に発信順データや着信順データを付与してハンズフリー装置1に送信して、ハンズフリー装置1で着信順データ、発信順データに基づいて発着信履歴データを並べるように処理する。もしくは発信順データや着信順データを付与せずに携帯電話機2で実際の発信順、着信順を判断して構成した上記リストを、ハンズフリー装置1に送信し、ハンズフリー装置1では、上記ルールに従って、実際の発信、着信順に並べるように処理する。
このようにすれば、仮に、携帯電話機2の時計が、あるタイミングで進めたり、遅くしたり設定すると、この直後に発信、着信が発生すると、携帯電話機2での発信履歴表示、着信履歴表示は、実際の順どおり表示されるが、各データに付加される発信日時、着信日時は、この表示順とは異なることとなる。したがって、このような発着信履歴データを、ハンズフリー装置1で発信日時、着信日時を基準に並び替えすると、実際とは異なる順に表示される。このため、上記発信順データ、着信順データの手法、もしくはリスト形式の手法は、実際の発着信順とならべるには、好都合であると言える。
この結果、制御部12は、携帯電話機2での実際の発信順通り、着信順通りに表示部15にデータを表示することができる。ハンズフリー装置1では、このようなデータ処理を行った後に、上記したように自己のダイアルキー入力での発信処理、発信履歴による発信処理、着信履歴による発信処理、電話帳データによる発信処理を行った場合、その時点で作業メモリ16に記憶されている発信履歴データのうち発信順データが最古の発信履歴データ、もしくは最古と見なされる発信履歴データを消去し、その発信履歴による発信を表す自装置の最新の発信履歴データを作業メモリ16に自己発信履歴データとして追加記憶させる。一方、制御部12は、新たな着信処理が発生した場合、その時点で作業メモリ16に記憶されている着信履歴データのうち着信順データが最古の発信履歴データ、もしくは最古と見なされる着信履歴データを消去し、その着信履歴による着信を表す自装置の最新の着信履歴データを作業メモリ16に自己着信履歴データとして追加記憶させる。
これらの発信処理、着信処理の場合、制御部12は、発信電話番号に対応する発信日時、着信電話番号に対応する着信日時としてハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶させる。このように、ユーザが記憶している時間軸と調和して表示させることができ、ユーザに違和感を抱かせないようにすることができる。
また、制御部12は、発信履歴データ、着信履歴データを纏めて表示する全履歴データの表示要求があった場合、上記発信履歴データだけ、上記着信履歴データだけを表示する場合に比べて、所定のソート処理が必要となる。つまり、上述のように着信履歴データや発信履歴データを実際の時間軸通りに、携帯電話機2から、発信順データや着信順データを含めて最新順が分かるように送信されたり、これらデータを含まずに上記リスト形式で送信された場合、上述のようにハンズフリー装置1は、受信したデータに含まれる発信日時、着信日時を基準とせずに、通知されたままの順に表示すると、発信履歴表示だけ、着信履歴表示だけの場合、携帯電話機2での表示順どおりに表示したものとなる。
ここで、全履歴データを表示する場合、ハンズフリー装置1では、発信履歴データのうち最新データと、着信履歴データのうち最新データとを把握できるが、実際に、二つの最新データのうち最新かを特定することは困難な場合がある。そこで、本例では、全履歴データを表示する場合は、制御部12は、発信履歴データに含まれる発信日時、着信履歴データに含まれる着信日時を比較し、日時が最新の方を、最新データとして表示する。例えば、制御部12は、5件の着信履歴データと、5件の発信履歴データの場合、10件を日時順にソートし、この順に表示する。これによって、ほとんどの場合、ほぼユーザの実際の時間軸通りに発信履歴データと着信履歴データを順に表示させることが可能となる。ただし、携帯電話機2でのタイムスタンプ機能が「分」までであると、12時00分00秒にAさんから着信があり、12時00分30秒にBさんへ発信した場合、発信日時と着信日時とは、全く同じの12時00分となるため、制御部12は、この場合、発信を着信より最新として表示したり、その逆といった所定の並べ替え処理を行う。
また、PBAPでの無線通信で受信した着信履歴データ3件(A〜C)の最新順が上述のように把握でき、PBAPで受信した発信履歴データ(D〜F)の最新順が把握できる場合、制御部12は、発信履歴データと着信履歴データの日時を、以下のように比較して、並べ替え処理を行う。
先ず、制御部12は、AとDの日時を比較し、新しいものを1番目(例えばA)とし、次にBとDを比較し、新しいものを2番目(例えばB)とする。次に、CとDとを比較し、新しいものを3番目(例えばD)とし、次にCとEの日時を比較し、新しいものを4番目(例えばC)とする。次に、制御部12は、残りのEとFとは、Eが最新なので、5番目をE、6番目をFとする。比較した日時が同じである場合、制御部12は、所定の並べ替えルールとして、発信を着信より優先する、もしくはその逆といったように並べ替える。
また、携帯電話機2では、電話帳データを転送する場合には当該電話帳データのデータ形式をBluetooth通信規格で規定されている「vCard」のデータフォーマットに変換して転送する必要があると共に、電話帳データが発信履歴データ及び着信履歴データに対して一般的にデータ更新の頻度が低いという事情がある。このことから、制御部12は、携帯電話機2から発信履歴データ及び着信履歴データをBluetooth通信部13によって先に受信し、その後、携帯電話機2から電話帳データをBluetooth通信部13によって受信しても良い。また、制御部12は、携帯電話機2から発信履歴データ及び着信履歴データをBluetooth通信部13によって受信し、その後、ユーザが操作部14にて所定操作を行った場合に限って携帯電話機2から電話帳データをBluetooth通信部13によって受信しても良い。
また、このようなユーザ操作での電話帳データを転送させるか自動転送させるかは、ハンズフリー装置1においてユーザが手動転送あるいは自動転送を選択して設定しておき、この設定に応じて転送処理を行うようにしても良い。自動転送による設定を「転送しない」に設定した状態で、HFPでの無線接続後に、ユーザによって手動転送操作を行って、電話帳データのみを転送するようにすることもできる。ただし、この手動転送操作によって、HFPでの無線通信接続は、切断され、PBAPでの無線通信接続がなされることとなり、データ転送が終了すると、再度、その携帯電話機2に対してHFPでの無線通信を接続し、ハンズフリー通話を可能な状態とする。
この「転送しない」と設定した場合、データ更新の頻度が高い発信履歴データや着信履歴データをデータ更新の頻度が低い電話帳データよりも優先して受信することができ、また、発信履歴データや着信履歴データを転送するにはデータ変換が必要でないものの電話帳データを転送するにはデータ変換が必要であるという事情から、転送時間が短い発信履歴データや着信履歴データを転送時間が長い電話帳データよりも優先して受信することができる。そして、発信履歴データ、着信履歴データのみを転送することで、転送するデータ量を低減できる。この結果、転送プロトコルでの通信を早期に行え、その後のハンズプロトコルでの通信を早期に行えることができるため、携帯電話機を車両に持ち込んだ場合に、ハンズフリー通話を行うまでの時間を短縮できる。さらに、データ更新の頻度が低く且つ転送時間が長い電話帳データを受信するか否かを、必要に応じて選択することができ、利便性を高めることができる。
ユーザの上記手動転送操作により、必要に応じて電話帳データを転送した場合、転送が終了すると、自動的にハンフリープロトコルでの通信を実行するため、その電話帳データを利用して、発信する際、ハンズフリー通話を行うことが可能となり、利便性が向上する。そして、さらには、手動転送操作による電話帳データの転送を行った場合には、電話帳データだけは不揮発性の記憶メモリ17に記憶しておき、記憶されたデータは次回のハンズフリー装置1の起動時に記憶メモリ17から読出して電話帳データとして利用すると良い。
また、制御部12は、携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、電話帳データ、及びその他のデータを当該携帯電話機2毎に区別して作業メモリ16に記憶させても良い。この場合、制御部12は、携帯電話機2と作業メモリ16に記憶させているデータとを例えば以下のようにして対応付ける。すなわち、携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、電話帳データ、及びその他のデータを作業メモリ16に記憶させるときに、携帯電話機2から受信した当該携帯電話機2に個別に付与されている携帯電話機IDとハンズフリー装置1に個別に付与されている装置IDとに基づいてリンクキーを生成し、その生成したリンクキーと各種データと対応付けて作業メモリ16に記憶させる。そして、制御部12は、これ以降に、携帯電話機2から携帯電話機IDを受信すると、その受信した携帯電話機IDと装置IDとに基づいてリンクキーを再度生成し、その生成したリンクキーに対応付けられて作業メモリ16に記憶されている各種データを更新する。
次に、上述の図6のフローチャートにおけるS2のHFP処理について詳述する。図23は、本実施形態に係るHFP処理の流れの詳細を示すフローチャートである。
ハンズフリー通話接続部102は、は、Bluetooth通信圏内に存在する携帯電話機2との間で通信回線を確立した旨を判定すると、HFPでの無線通信接続(起動)し(S151)、携帯電話機2が通話中にあるか否かを判定する(S152)。尚、携帯電話機2が通話中であるか待受中であるかは、HFPでの無線通信で通知され、ハンズフリー装置1が受信し、この受信した通信状態によって判断する。尚、S151は、S2の処理に対応している。
ここで、ハンズフリー通話接続部102は、携帯電話機2が通話中ではない、つまり着信を待ち受ける待受中となったことを、判定すると(S152“No”)、接続しているHFPでの無線通信を切断(終了)し(S154)、第1のデータ転送制御部103がPBAPでの無線通信を接続する(S155)。つまり、ハンズフリー通話接続部102は、携帯電話機2が通話中でなければ、接続したHFPでの無線通信を速やかに自動的に切断してPBAPでの無線通信を自動接続することにより、携帯電話機2から送信された発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データをBluetooth通信部13により受信させることになる。
また、ハンズフリー通話接続部102は、携帯電話機2が通話中にある旨を判定すると(S152“YES”)、その通話をハンズフリー装置1を用いたハンズフリー通話を実行する可能性があるとして、HFPでの無線通信を維持する。尚、この通話を実行するかどうかは、基本的には、携帯電話機2に依存し、携帯電話機2が通話中にHFPでの無線通信接続をすると、自動的に、Bluetooth通信部13に受話音声を送信する場合もあれば、一方、携帯電話機2での操作によってBluetooth通信部13に受話音声を送信する場合もある。
そして、ハンズフリー通話接続部102は、携帯電話機2が通話を終了したか否かを判定し(S153)、携帯電話機2が通話を終了した旨を判定すると(S153“Yes”)、接続しているHFPでの無線通信を切断(終了)し(S154“No”)、第1のデータ転送制御部103がPBAPでの無線通信を接続する(S155)。つまり、ハンズフリー通話接続部102は、携帯電話機2が通話中であれば、接続したHFPでの無線通信を当該通話が終了した後に切断してPBAPでの無線通信を接続することにより、ユーザがハンズフリー通話を終了した後に携帯電話機2から送信された発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データをBluetooth通信部13により受信させることになる。尚、S152、S153は、S3とS4との間の処理に対応している。
このように携帯電話機2がハンズフリー装置1に接続される場合、ハンズフリー装置1は、該携帯電話機2が通話中かどうか判断し、通話中であるならば、PBAPでの無線通信接続に切り替えると、ハンズフリー通話に移行できないため、HFPでの無線通信を維持し、通話中はPBAPでの無線通信接続を行わない。そして、通話が終了したと判断されると、HFPでの無線通信を切断し、PBAPでの無線通信接続を行う。この結果、携帯電話機2が単独で通話している場合、スムーズにハンズフリー通話に切り替えることが可能となる。
また、制御部12は、携帯電話機2から着信履歴データとして応答した着信履歴と応答しなかった着信(不在着信)履歴とを区別して受信して記憶するようにしても良い。図24は、本実施形態に係る着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の他の一例を示す図である。制御部12は、ユーザが「履歴ボタン」4aを押下し、続いて「着信履歴ボタン」4cを押下したことにより、着信履歴による発信操作を行った旨を判定すると、作業メモリ16に記憶されている着信履歴データを参照し、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照し、図24(b),(c)に示すように、着信履歴による発信操作画面を表示部15に表示させるが、応答した着信である旨を表すアイコン図形(受話器と矢印との組合わせからなる図形)及び応答しなかった着信(不在着信)である旨を表すアイコン図形(受話器と×印との組合わせからなる図形)のうちいずれかをデータ毎に表示させる。
このように、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、所定の条件が満たされた場合に、携帯電話機2から転送されたデータを削除することにより、ハンズフリー装置1に転送されたデータを適切なタイミングで削除することができる。
例えば、近年、カーシェアリングの利用が広まっている。ハンズフリー装置1がシェアカーに搭載された場合、ユーザが該シェアカーの利用を終了した後、他のユーザがハンズフリー装置1を使用する場合がある。このような場合に、ハンズフリー装置1が、ユーザの携帯電話機2から転送された履歴データ及び電話帳データを削除すれば、他のユーザにこれらのデータが開示されることを低減することができる。また、レンタカー等においても同様のことがいえる。
また、本実施形態において、所定の条件の1つは、携帯電話機2と通信接続が解除された後に、携帯電話機と異なる他の携帯電話機2が接続されたことである。このため、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、例えば、車両3に複数のユーザが乗車している場合において、車両3を運転するユーザが変わった場合、前のユーザの携帯電話機2から転送されたデータが、他のユーザに開示されることを低減することができる。
また、本実施形態において、所定の条件の1つは、携帯電話機2と通信接続が解除された後に、携帯電話機2と再度通信接続したことである。このため、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、携帯電話機2が同じ場合でも、ハンズフリー装置1の設定によっては、前回転送済みのデータを削除することで、データが開示される可能性をより低減することができる。
また、本実施形態において、所定の条件の1つは、携帯電話機2と通信接続が解除されてから所定の時間が経過した後に、携帯電話機2と再度通信接続したことである。このため、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、データの削除までに時間的猶予を設けることもできる。
また、本実施形態において、所定の条件の1つは、車両3のイグニッション電源がオフになった後に、イグニッション電源がオンになったことである。このため、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、車両3のエンジンがオフになった後、再び車両3のエンジンがオンになった際に、前回車両3が使用されたときに転送されたデータを削除することで、エンジンがオフの間に車両3の使用者が変わった場合に、新たなユーザに過去のデータが開示されることを低減することができる。
また、本実施形態において、所定の条件の1つは、車両3のイグニッション電源がオフになってから所定の時間が経過した後に、イグニッション電源がオンになったことである。このため、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、データの削除までに時間的猶予を設けることもできる。
また、本実施形態において、所定の条件の1つは、ユーザによるデータの手動削除の操作を受け付けたことである。このため、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、ユーザが所望のタイミングで、携帯電話機2から転送されたデータの削除を実行することができる。
尚、本実施形態においては、ハンズフリー装置1は、携帯電話機2とHFP及びPBAPによって接続するものとしたが、他の通信プロトコルを採用しても良い。また、ハンズフリー装置1及び携帯電話機2は、Bluetooth以外の無線通信規格によって接続しても良い。
尚、本実施形態においては、ハンズフリー通話接続部102とハンズフリー通話実行部106とを異なる機能部として説明したが、ハンズフリー通話接続部102が、ハンズフリー通話実行部106の機能を備えるものとしても良い。
尚、上述の各実施形態のハンズフリー装置1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。上述の各実施形態のハンズフリー装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上述の各実施形態のハンズフリー装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上述の各実施形態のハンズフリー装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
(変形例1)
尚、ハンズフリー装置1は、ユーザに、データ削除の要否を確認する通知をしても良い。例えば、本変形例のハンズフリー装置1の表示制御部105は、ユーザにデータの削除の要否を確認する確認画面を表示部15に表示する。
図25は、本変形例に係る確認画面の一例を示す図である。表示制御部105は、例えば、自動削除設定が“オフ”の場合に、車両3のエンジンがオフになったとき、つまりイグニッション電源がオフになったときに、ユーザにデータの削除の要否を確認する確認画面を表示部15に表示する。なお、確認画面の表示タイミングは、これに限定されるものではない。
確認画面は、例えば、待ち受け画面に重畳して表示されるポップアップ画面であっても良いし、表示部15の画面全体に表示されても良い。図25に示すように、確認画面は、「携帯電話から転送されたデータを削除しますか?」のように、ユーザに対してデータの削除の要否を確認するメッセージを含む。
確認画面において、ユーザが、「Yes」ボタンを押下すると、データの削除の操作が受付部101によって受け付けられる。これは、ユーザによる手動削除の一例である。また、ユーザが、「No」ボタンを押下すると、手動削除は実行されない。
また、本変形例において、削除条件は、「確認画面において、ユーザによるデータの削除の操作を受け付けたこと」を含む。
このため、本変形例のハンズフリー装置1によれば、ユーザがデータの削除を所望するにも関わらずデータの削除を失念する、ということを低減することができる。
(変形例2)
上述の実施形態では、車両3のエンジンがオフになることによりイグニッション電源がオフになった場合のデータ削除のタイミングについて説明したが、イグニッション電源がオンであっても、ハンズフリー装置1の装置電源をオフにすることが可能な構成を採用しても良い。
例えば、ハンズフリー装置1の装置電源がオフになった場合に、ハンズフリー装置1はスリープ状態に移行する。そして、本変形例において、自動削除設定が“オン”かつ削除タイマーの設定が“オン”である場合は、「ハンズフリー装置1がスリープ状態になった後に、所定の時間が経過したこと」が所定の条件の1つとなる。
また、本変形例において、自動削除設定が“オン”かつ削除タイマーの設定が“オフ”である場合は、「ハンズフリー装置1がスリープ状態になったこと」が所定の条件の1つとなる。
本変形例のハンズフリー装置1によれば、ハンズフリー装置1がスリープ状態になった場合においても、適切なタイミングでデータを削除することができる。
(変形例3)
また、上述の実施形態においては、ハンズフリー装置1は、携帯電話機2から転送されたデータを、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶するものとしたが、データの保存先をユーザが選択可能であっても良い。
例えば、表示制御部105は、携帯電話機2から転送されたデータを不揮発性の記憶メモリ17に保存するか否かを、ユーザが選択可能な選択画面を表示部15に表示しても良い。ユーザによって、携帯電話機2から転送されたデータを不揮発性の記憶メモリ17に保存しないことが選択された場合、携帯電話機2から転送されたデータは、揮発性の作業メモリ16にのみ保存される。この場合、自動削除設定が“オフ”であっても、ハンズフリー装置1の電源がオフになった場合には、携帯電話機2から転送されたデータは削除される。なお、自動削除設定が“オン”の場合、記憶メモリ17に記憶されたデータのみを自動削除する構成に限らず、作業メモリ16に記憶されたデータおよび記憶メモリ17に記憶されたデータの両方を自動削除する構成であってもよく、特に限定はされない。
(変形例4)
上述の各実施形態では、ハンズフリー装置1が車両3に搭載されるものとしたが、ハンズフリー装置1は車載装置に限定されるものではない。例えば、ハンズフリー装置1は、車両3外で、ユーザがハンズフリーで通話をする際に使用可能であっても良い。
(変形例5)
また、上述の各実施形態では、ハンズフリー装置1は、車両3に搭載された車載ナビゲーション装置の一機能として実現されるとしたが、当該構成に限定されるものではない。ハンズフリー装置1は、ハンズフリー機能を主として実現するハンズフリー専用装置から構成されていても良いし、CDやラジオを再生する車両用オーディオ装置にハンズフリー機能を搭載した装置であっても良い。また、ハンズフリー装置1がポータブル性を有する(可搬タイプの)構成であっても良い。
(変形例6)
また、上述の実施形態では、受付部101、ハンズフリー通話接続部102、第1のデータ転送制御部103、第2のデータ転送制御部104、表示制御部105、ハンズフリー通話実行部106、及び削除部107は、制御部12が記憶メモリ17からプログラムを読み出して実行することにより、実現されるものとしたが、これらの機能がハードウェア回路によって実現されても良い。
また、上述の実施形態では、1つのプロセッサが受付部101、ハンズフリー通話接続部102、第1のデータ転送制御部103、第2のデータ転送制御部104、表示制御部105、ハンズフリー通話実行部106、及び削除部107を実現するように説明したが、複数のプロセッサによってこれらの機能部が実現されても良い。
例えば、削除部107の機能は、制御部12とは異なるハードウェアプロセッサ等によって実現されても良い。
(その他の変形例)
また、ハンズフリー装置1は、携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、及び電話帳データを記憶メモリ17に記憶し、携帯電話機2から携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、及び電話帳データを受信する毎に、携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを更新記憶する構成であっても良い。また、携帯電話機2から受信した携帯電話機2から受信した発信履歴データ、着信履歴データ、及び電話帳データを作業メモリ16と記憶メモリ17との双方に記憶し、記憶メモリ17をバックアップメモリとして使用する構成であっても良い。
作業メモリ16に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数は1件であっても良い。この場合は、ハンズフリー装置1での発信処理、着信処理があると、必ずPBAPでの無線通信接続で受信した発信履歴データ、着信履歴データが消去されることとなる。
また、ハンズフリー装置1において、複数の発信履歴データ、複数の着信履歴を同時に表示するようにしたが、1件ずつ表示するようにしても良い。この場合、例えば、先ず、最初に、最新のデータを表示し、操作部14の操作により、次に最新のデータを順に表示するようにしても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。