JP2015043670A - 超音波モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】振動板に圧電素子を固定する面を研磨で均一面に仕上げる際に、両端から延出した支持部の反りやバリなどによる影響で、多大な研磨時間が必要となる。また、研磨後に振動板が異形となることで、超音波モータの性能が低下する。【解決手段】超音波モータにおいて、摩擦部材たるロータを移動させる振動板は、その振動板を保持手段に固定するための固定部と、中央部と固定部を結合するための連結部とを備え、加圧手段による加圧力でロータに対して振動板が加圧される方向において、平面部と摩擦摺動面との間に設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、振動子に楕円振動を発生させ、その振動子に対して摩擦部材を移動させることにより駆動する超音波モータに関する。
従来から無音動作、低速から高速までの駆動が可能、高トルク出力などの特徴を生かして、例えば、カメラやレンズの駆動源として超音波モータが採用されている。
たとえば、特許文献1に開示された超音波モータでは、摩擦部材と、振動板と圧電素子からなる振動子とから構成され、振動子は摩擦部材に加圧された摩擦接触状態で配置される。その摩擦接触状態で上記振動子に超音波振動が励起されると、振動子の摩擦部材と接している部分に楕円運動が生じ、摩擦部材と振動子が相対移動を行う。
振動子は、両側面から対称形で延出する支持部を有し、支持部の一部が振動子保持部材に固定される。また、振動板の中央部の矩形部の片面には圧電素子が接着され、対向する面に2つの突起部が形成され、摩擦部材と摩擦接触する。
一般的に、振動板に圧電素子を固定するにあたっては、固定する平面部を研磨工程により凹凸、反り、バリなどを除去し均一な平面に仕上げて、接着剤などにより固定を行う。これにより、圧電素子を振動板に密着させることができ、圧電素子に生じる変形を確実に振動板に伝えることが可能となる。
特開2011−254587号明細書 特開2004−304887号明細書
しかしながら、上述した特許文献1 に開示された上記超音波モータでは、振動板に反りや凹凸、変形などが発生すると、研磨工程に多大な時間を要するとともに、研磨後に異形になってしまうという問題がある。特に、振動子の振動板の支持部は剛性が低いため、反りや変形が発生しやすい。この支持部が、平面部側に突出するように反る、もしくは変形している場合、振動板の研磨の際には、この支持部付近から先に研磨されるため、全体として蒲鉾状の形になる問題がある。これは、振動板の共振周波数にズレやバラツキなど、超音波モータの性能の低下につながる。
また、特許文献1では、振動板の製造方法について一切考慮されておらず、一般的に安価な製造方法であるプレス成型を用いた場合、バリや反りが発生しやすく、そのため上記問題が生じてしまう。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、安価な製造方法を用いても、高いモータ性能を有する超音波モータを提供することを目的とする。
本発明の超音波モータは、振動板と圧電素子からなる振動子と、該振動子と摩擦接触する摩擦部材と、前記振動子を前記摩擦部材へ加圧する加圧手段と、前記振動子を保持する保持手段とを備え、前記振動子に発生する楕円運動によって、前記振動子と摩擦部材が相対移動する超音波モータにおいて、前記振動板は、中央部と、前記中央部の両端から対称形で延出し前記保持手段に連結される支持部とを備え、前記中央部は、前記圧電素子が固定される平面部と、該平面部の裏面側に前期摩擦部材と摩擦接触する前記摩擦摺動面を備え、前記支持部は、前記保持手段に固定するための固定部と、前記中央部と前記固定部を結合するための連結部を備え、前記固定部は、前記加圧手段による加圧方向において前記平面部と前記摩擦摺動面との間に設けられている構成とする。
本発明によれば、安価な製造方法を用いても、高いモータ性能を有する超音波モータを提供することができる。
超音波モータ全体を示す斜視図である。 超音波モータを分解した状態を示す斜視図である。 実施例1において振動板102の詳細を説明するための拡大斜視図である。(A)は振動板102が摩擦部材と接触する側の面を示した斜視図である。(B)は、その反対側の面を示した斜視図である。(C)は、振動板102の断面を示した図である。 振動板102を図3(C)の断面線B−Bで切断し、端面付近を拡大した拡大部分断面図である。 超音波モータにおいて、振動子付近を示した拡大断面図である。 実施例2にお振動板102の詳細を説明するための拡大斜視図である。(A)は振動板102が摩擦部材と接触する側の面を示した斜視図である。(B)は、その反対側の面を示した斜視図である。(C)は、振動板102の断面を示した図である。
[実施例1]
以下、図1および図2を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施例の超音波モータは、デジタルカメラのレンズ鏡筒などの駆動用アクチュエータとしてユニット化した回転駆動型モータを例に説明する。しかし、特許文献1に開示されているような直線駆動型モータに適用することも可能である。
図1は超音波モータ全体を示す斜視図、図2は図1の超音波モータを分解した状態を示す斜視図を示す。なお、それぞれの図において同一部材は同一符号で図示される。
超音波モータ1は、円環状の摩擦部材たるロータ101と、振動子104とを備える。
本実施例の超音波モータ1では、3組の振動子104が摩擦部材たるロータ101を回転駆動する。なお、図1においては、図の煩雑さを防ぐため3組の振動子のうち1組のみに符号を付す。
ロータ101は、円環の形状であって、その円環の中心を回転中心として、回転駆動される。振動子104は、振動板102と圧電素子103とにより構成される。圧電素子103は、振動板102の面上に接着剤などにより圧着される。圧電素子103に電圧を印加することにより、振動板102の振動が励起され、励起された振動がロータ101と接触する振動板102の摩擦接触面102dに楕円運動を発生させることができる。ロータ101は、この楕円運動により、振動子104に対して相対移動をするような回転駆動を行なう。
超音波モータ1は、ロータ101に対応する円環状のリング部材108を備え、振動子104は、圧電素子103の一の面には、その振動を吸収するため、フェルト106が貼り付けられていて、圧電素子103の面が保持手段105の側に位置するように、保持手段105に取り付けられる。保持手段105は、保持手段105の嵌合突起105aがリング部材108のロータ101側の面に配置される位置決め穴に挿嵌され、リング部材108に保持される。振動子104は、保持手段105を介して、リング部材108に保持される。保持手段105の中央部には貫通した開口部が形成されている。その開口部には、加圧部材107が挿嵌されていて、加圧部材107は、リング部材108とフェルト106との間に位置し、加圧部材107は、フェルト106を介して振動子104を加圧することが可能である。
ロータ101と反対側のリング部材108には、軸部材109と、板バネ110とからなる。加圧部材107と、軸部材109と、板バネ110とにより、加圧手段が形成される。加圧手段は、振動子104を摩擦部材たるロータ101に加圧しながら接触する。すなわち、軸部材109は、リング部材108を貫通する穴部に挿入され、摩擦接触面に垂直な方向にのみ移動可能に保持される。軸部材109の先端は、その穴部から加圧部材107に接触し、軸部材109の後端は、その両端がそれぞれビス111にてリング部材108へ固定されている板バネ110接触している。加圧部材107の先端中央付近には、凸部が設けられ、軸部材109の先端の平面部が接触している。板バネ110の弾性力により、軸部材109先端平面部が加圧部材107の凸部を加圧し、加圧部材107がフェルト106介して振動子104を摩擦部材たるロータ101に加圧しながら接触する。この加圧する方向を加圧方向と定義する。
以上のように、上述した各部材が組み立てられ、超音波モータとしてユニット化される。なお、実際のレンズ鏡筒などに組み込まれる際には、摩擦部材101をフォーカスやズーム機構に連結して駆動する。
次に、振動板102の詳細について説明する。図3は図1および2における振動板102の詳細を説明するための拡大斜視図で、図3(A)は摩擦部材101側からみた図、図3(B)は圧電素子103側からみた図、図3(C)は長手方向の側面からみた図である。なお、図3(C)のみ圧電素子103を点線で表示してある。
図において振動板102は、平らな面を有する中央部102aと、その中央部102aの両端から対称に延出する2か所の支持部102cとを備える。中央部102aの一の面には、2つの突起部102bが形成されている。
突起部102bの上端面には摩擦摺動面102dが設けられている。摩擦摺動面102dは、摩擦部材たるロータ101と当接する面である。特に、摩擦摺動面102dは、その当接状態を良好にするため、製造時には研磨工程などにより均一な平面に仕上げられる。突起部102bが形成されている中央部102aの面と反対側の平面部102eには、圧電素子103が接着剤などにより固定される。平面部102eも摩擦摺動面102dと同様に、製造時には研磨工程などにより均一な平面に仕上げられる。
一方、支持部102cには、保持手段105に固定するための固定部102fと、中央部102aと、固定部102fを中央部102aと連結するための2本の連結部102gを備える。なお、固定部102fと保持手段105との固定は、接着、溶着、溶接など種々のものが考えられるが、より強固な固定方法が望ましい。固定部102f付近は、おおよそ振動の節となるように設定されており、保持手段105に固定しても圧電素子103で発生した振動を伝達しにくいように構成されている。
固定部102fと連結部102gは、図3(C)に示すように、中央部102aに連結されている根本付近102hから先端に向かうほど平面部102eから離れていくような曲げが設けられている。すなわち、固定部102fと連結部102gは、図中矢印A部で示す摩擦摺動面102dと平面部102eの間となるように構成されている。すなわち、 固定部102fは、加圧手段107により振動子104が摩擦部材たるロータ101へ加圧される加圧方向における平面部102eの面の位置と摩擦摺動面102dの位置との間に位置するようにする。
このような構成とすることで、研磨が必要な平面部102eと、研磨が不要な固定部102fおよび連結部102gが同一面ではなくなる。これにより、その他の部分に研磨体があたることなく、ほぼ平面部102eのみを研磨することが可能となる。したがって、固定部102fおよび連結部102gが悪影響を与えることもなく、従来例に比べて研磨工程を大幅に短縮することができる。また、研磨後に振動板102が変形を起こすこともないため、高い性能を有する超音波モータを実現することが可能となる。
また、図3(C)のように、連結部102gの根本付近102hに曲げ部を設けることで、研磨工程の短縮を実現している。しかし、曲げを設けず、わざと固定部102fおよび連結部102gに反りを発生させるように構成してもよい。反り量としては、平面部102eの研磨量が数十ミクロン程度であるため、わずかな量でも十分な効果を生じる。特に、連結部102gは図に示すように剛性が低い形状であるため、容易に反りを発生させることができる。
また、本発明のような振動板102は、一般的にプレス成型によって生産されることが多く、本発明でもプレス成型を利用している。プレス成型では生産時にバリが発生し、これが研磨時に悪影響を与えてしまう。そこで、本発明ではバリの発生方向を考慮することで、研磨に悪影響を与えないようにしている。以下、図4を用いて詳細を説明する。
図4は、図3(C)の振動板102を断面線B−Bで切断し、端面付近を拡大した拡大部分断面図である。図4において、振動板102の平面部102eには圧電素子103が固定されており、振動板102の端面には、ダレ部102iとバリ部102jがプレス成型により形成される。プレス成型によるダレ部102iとバリ部102jは、プレス成型の工程において板材を金型でせん断する際に発生するもので、端面の稜線部全体に発生する。このとき、後工程にて研磨を行う際に、平面部102eの端面のバリ部102jがでることなく、ダレ部102iとなるようにプレス成型のせん断方向を設定する。そうすることで、研磨時にバリ部102jが悪影響を与えることがない。したがって、研磨工程短縮の効果がある。なお、摩擦摺動面102dも研磨により均一な面に仕上げるが、図3に示すように摩擦摺動面102dは、プレス成型の絞りにより形成されるためせん断面が存在しない。よって、バリによる悪影響は発生しない。
以上のような構成で、平面部102eに固定される圧電素子103には、フレキシブルプリント基板(不図示)が接続され、所望の交流電圧を印加することで、振動板102に加圧方向と駆動方向の2つの振動モードを励起する。このとき2つの振動モードの振動位相が所望の位相差となるように設定することで、摩擦摺動面102dには楕円運動が発生する。この楕円運動を図1、2に示すような3か所の振動子で発生させ、摩擦部材101に伝達することで、摩擦部材101を回転駆動させることが可能となる。なお、圧電素子103の構造や振動モードに関する詳細は、特許文献2に開示されている内容と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図5は、超音波モータ1の各部材を組込んだ状態であて、振動子104付近を示した拡大断面図である。各部材の組み込み方は、すでに説明したとおりである。3か所の振動子のうち1か所のみを拡大している。残りの2か所についても同様の構成であるため説明は省略する。図5は、振動板102の2か所の突起部102bの中心を結ぶ線を含む断面図である。
図5において、振動板102の2か所の突起部102bからの距離が等しく、ロータ101に直交する中心線201を定義する。振動子104の振動板102の突起部102bの摩擦接触面102dは、摩擦部材たるロータ101と摩擦接触状態で当接する。本実施例の振動板102は、図3で説明したように研磨工程短縮のために連結部102gには曲げが形成され、固定部102fは傾いた面となっている。よって、保持手段105の固定部102fと接触する面も、同様の傾きを有している。溶接や接着により強固に固定することが可能である。そして、圧電素子103に所定の電圧を印加することで、突起部102bの摩擦接触面102dには図に示すような楕円運動が生じる。
保持手段105は、リング部材108の穴部に嵌合して位置決めされ、中心線201方向に移動可能な構成となっている。また、加圧部材107は、保持手段105の開口部内に配置され、中心線201方向に移動可能な構成となっている。加圧部材107の加圧力により、摩擦接触状態で圧電素子103に所定の電圧を与えることで、振動板102の摩擦摺動面102dには楕円運動が発生し、摩擦部材101を回転させることができる。
なお実施例1は、リング部材108を含む振動子104側が固定され摩擦部材101を駆動する例で説明したが、逆に振動子104側が駆動され摩擦部材101が固定する構成でもよい。
[実施例2]
実施例2は、実施例1の変形例で、振動板102の連結部102gに2カ所の曲げを設けて、平面部102eと固定部102fが平行となるように構成した例である。
図6は実施例2における振動板102の詳細を説明するための拡大斜視図である。図6(A)は摩擦部材101側からみた図である。図6(B)は圧電素子103側からみた図である。図6(C)は長手方向の側面からみた図である。なお、実施例1と同記号を付した部材は、同様の部材であるため詳細な説明は省略する。
連結部102gは、図6(C)に示すように、中央部102aに連結されている根本付近と固定部102fに連結されている根本付近との2カ所に曲げ301が設けられている。平面部102eと固定部102fは平行となるように曲げ301が設定されている。
このとき、固定部102fと連結部102gは、図中矢印C部で示す摩擦摺動面102dと平面部102eの間となるように構成されている。このような構成とすることで、研磨が必要な平面部102eと、研磨が不要な固定部102fおよび連結部102gが同一面ではなくなる。そして、ほぼ平面部102eのみを研磨することが可能となる。したがって、従来例に比べて研磨工程を大幅に短縮することができる。また、研磨後の振動板が変形することがないため、高い性能を有する超音波モータを実現することが可能となる。
実施例2では、固定部102fが平面部102eと平行となるように構成としている。保持手段105に固定する際に、実施例1のような傾いた面を用意する必要がなく、より簡単に固定することが可能となる。また、固定部102fの位置をC部の範囲内で自由に変えることができるため、レイアウトの設計自由度が高くなっている。また、固定部102fの位置を変えることで、振動板102を平面に展開したときの全長を変えることもできるため共振周波数の設計自由度も向上している。
101 摩擦部材
102 振動板
102a 中央部
102c 支持部
102d 摩擦接触面
102e 平面部
102f 固定部
102g 連結部
103 圧電素子
104 振動子
105 保持手段
107 加圧部材
108 リング部材
109 軸部材

Claims (2)

  1. 振動板と、その振動板に振動を発生させる圧電素子とを有する振動子と、
    前記振動子を保持する保持手段と、
    前記振動子と摩擦接触し、前記振動によって前記振動子に対して相対移動する摩擦部材と、
    前記振動子を前記摩擦部材へ加圧して接触させる加圧手段とを有する超音波モータであって、
    前記振動板は、前記圧電素子が固定される平面部を有する中央部と、前記中央部の両端から延出して前記保持手段に連結される支持部とを備え、
    前記振動板は、前記平面部と反対側の面に前記摩擦部材と接触する摩擦摺動面を備え、
    前記支持部は、前記保持手段に固定するための固定部と、前記中央部と前記固定部を連結するための連結部を備え、
    前記固定部は、前記加圧手段により前記振動子が前記摩擦部材へ加圧される加圧方向における前記平面部の面の位置と前記摩擦摺動面の位置との間に位置することを特徴とする超音波モータ。
  2. 請求項1に記載の超音波モータにおいて、前記振動板はプレス成型により作られ、前記プレス成型では、前記中央部の前記平面部の端面がダレを形成するようにプレス成型のせん断方向が設定されていることを特徴とする超音波モータ。
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