JP2015023803A - 飲食物の異味異臭をマスキングする方法及び該方法により得られる飲食物 - Google Patents

飲食物の異味異臭をマスキングする方法及び該方法により得られる飲食物 Download PDF

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Abstract

【課題】 健康食品素材、具体的には、朝鮮人参、ウコン、コラーゲン、穀類、卵、肉、野菜、魚、又は豆といった独特の異味異臭を有する素材を利用した飲食物が呈する不快味及び不快臭をマスキングする一方で、各飲食物が本来有する好ましい風味を引き立たせる方法およびその方法により得られる飲食物を提供すること。【解決手段】 朝鮮人参、ウコン、コラーゲン、穀類、卵、肉、野菜、魚、又は豆といった独特の異味異臭を有する素材を利用した飲食物の不快味及び不快臭をマスキングする方法であって、該飲食物中に少なくともD−プシコースを含む希少糖を0.15〜18重量部含有させることを特徴とする方法。【選択図】なし

Description

本発明は、飲食物の持つ不快臭をマスキングする一方で、該飲食物特有の好ましい風味を引き立たせる方法および該方法により風味の良い飲食物を提供するものである。より具体的には本発明は、朝鮮人参臭、ウコン臭、コラーゲン臭、豆臭、卵臭、酢酸臭、魚臭、肉臭、及び米糠臭や澱粉臭をはじめとする穀物臭を利用した飲食物の有する特異臭を低減すると同時に飲食物が本来有する好ましい風味を引き立たせる方法及び該方法により得られる好ましい風味を有する飲食物を提供する。
なお、飲食物の風味とは基本5味(塩味、甘味、酸味、苦味、旨味)のみによって限定されるものではなく、基本5味に対してコク(味の広がり、厚み、深みといった余韻)及び芳香さ若しくは芳醇さ(香りの広がり、厚み、深みといった余韻)が相加されて形成される味の全体的な印象を指す。
昨今、消費者の健康に対する関心の高まりに伴い、そのような健康を意識する消費者向けに開発された様々な飲食物が製造販売されている。しかしながら、そういった健康を意識した飲食物に使用される食品素材は独特の風味を有することが多い。また、健康志向及び消費動向の変化から年々売上が伸び続ける野菜サラダや煮物といった総菜には健康を害さないよう日持ち向上剤が多用されており、飲食物の好ましい風味を損ねる弊害が生じている。
例えば、健康食品素材の代表として挙げられるウコンや朝鮮人参は独特の不快臭及び苦味(不快臭はパナキシノール、苦味はサポニンなどに起因する)を有し、また、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドは原料となる豚皮や魚に由来する不快臭(トリメチルアミン、イソプロピルフェノール、脂肪酸などに起因する)を有している。大豆をはじめとする豆類は良質な蛋白質を含みノンコレステロールであることから健康志向の消費者に好まれるが、独特の豆臭(n−ヘキサナールをはじめとするアルデヒド類に起因する)を有しており、米をはじめとする穀物は特異な不快臭(硫黄化合物、カルボニル化合物、脂肪酸の酸化物などに起因)を有している。また、蛋白源である肉、魚及び卵は特有の生臭さ(トリメチルアミン、脂肪酸、硫黄化合物などに起因)を有している。また、煮物やサラダといった惣菜に頻繁に利用される野菜である大根、キャベツ、白菜などはアリルイソチオシアネートやジメチルジスルフィドに起因する異臭(いわゆる硫黄臭)を呈する。
よって、これら飲食物の有する異味異臭をマスキングしながらも好ましい風味を損なうことのない風味改善方法の提供が望まれている。
例えば、簡便に不快臭を軽減する方法のひとつに着香料(フレーバー)やアルコール類(ブランデー、リキュール、清酒、みりん、ワイン、紹興酒などの調理用アルコール類)などを添加する方法が広く一般に知られている。しかし、これらの方法によっては不快臭を完全に除くことは難しく、また、添加した特定のフレーバーやアルコール臭により食品本来の風味が損なわれるという問題があった。
その他、ココア末や緑茶粉砕物等の苦み成分と特定量の油脂を組み合わせることによって高麗人参やウコン等の不快な香味をマスキングする方法(特許文献1)、鶏飼料にイソマルトオリゴ糖を混合して給餌することにより硫化水素臭が低減された卵を得てこれを卵加工食品とする手法(特許文献2)、アブラナ科植物のキャベツの硫黄臭を除去する方法として、キャベツを細断後直ちに低温にてアルコール性溶媒で抽出して該溶媒を留去する方法(特許文献3)、酵母エキスかつカテキン、タンニン、及びゆずポリフェノールからなる群より選ばれる1種以上を含有させることによりコラーゲン臭を抑えたコラーゲンペプチド含有飲料(特許文献4)、セスキテルペンを含有する豆乳臭マスキング用組成物(特許文献5)などが開示されている。
しかし、これらは上記アルコールの場合と同様、マスキング効果を有する素材自体が独有の風味を有しているか、あるいは、鶏の飼育から始めるなどといった設備上および技術上の困難を伴うものであって、上述した健康食品素材の異味異臭をマスキングする簡便な方法は未だ開示されていない。
特開2008−043217号公報 特開2008−000049号公報 特開2004−000084号公報 特開2009−261370号公報 特開2004−105011号公報 特開2002−17392号公報 国際公開第2010/113785号
本発明は、上記健康食品素材が有する独特の不快臭をマスキングする一方でそれ以外の好ましい風味を引き立たせる方法およびその方法により好ましい風味を有する飲食物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記健康食品素材を使用することにより異味・異臭を呈することとなる飲食物に希少糖含有シロップを添加することにより、上記課題がいとも簡単に解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち具体的には、本発明は以下の技術的事項からなる。
第一の発明は、飲食物の風味改善方法であって、以下の(1)〜(4)からなる。
(1)飲食物の異味及び異臭をマスキングすることによって飲食物本来の好ましい風味を増強させる方法であって、飲食物の製造加工時又は飲食物の提供時若しくは喫食時に少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物中に0.04〜18質量%含有させることを特徴とする飲食物の風味改善方法。
(2)飲食物が朝鮮人参、ウコン、コラーゲン、穀類、卵、肉、野菜、魚又は豆から選ばれる一種以上をそのままあるいは加工処理されてなるものを含有することを特徴する上記(1)に記載の飲食物の風味改善方法。
(3)少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−フラクトース、異性化糖、D−グルコースおよび/または砂糖を原料として製造されてD−プシコースを0.5〜100質量%含んでなる希少糖含有シロップであることを特徴とする上記(1)又は(2)のいずれかに記載の飲食物の風味改善方法。
(4)少なくともD−プシコースを含む希少糖がD−アロースを0.2〜10質量%含んでなることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の飲食物の風味改善方法。
第二の発明は、風味が改善された飲食物であって、以下(5)からなる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法により得られる飲食物。
本発明によれば、飲食物の有する不快味及び不快臭、具体的には健康食品素材の代表として挙げられるウコンや朝鮮人参の有する不快臭及び苦味(不快臭はパナキシノール、苦味はサポニンなどに起因する)、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドは原料となる豚皮や魚に由来する不快臭(トリメチルアミン、イソプロピルフェノール、脂肪酸などに起因する)、大豆製品独特の豆臭(n−ヘキサナールをはじめとするアルデヒド類に起因する)、穀物の特異な不快臭(硫黄化合物、カルボニル化合物、脂肪酸の酸化物などに起因)、蛋白源である肉、魚及び卵は特有の生臭さ(トリメチルアミン、脂肪酸、硫黄化合物などに起因)、野菜である大根、キャベツ、白菜などの硫黄臭(アリルイソチオシアネートやジメチルジスルフィドに起因)をマスキングすることができる一方、飲食物が有する好ましい風味を生かすことができる。
本発明における朝鮮人参とは、ウコギ科に属する多年草の根茎を指し、高麗人参、オタネ人参とも称される。本発明において使用される朝鮮人参は、その根茎をそのまま若しくは乾燥させ、それらの粉砕物若しくはエキスを抽出したものの何れでもよく、さらにそれらの粉末品若しくは液状品であってもよい。
本発明におけるウコンとは、ショウガ科に属する多年草の根茎を指し、ターメリックなどとも呼ばれる。本発明において使用されるウコンは、その根茎をそのまま若しくは乾燥させ、それらの粉砕物若しくはエキスを抽出したものの何れでもよく、さらにそれらの粉末品若しくは液状品であってもよい。
本発明において穀物と穀類は同義であると定義し、米、小麦、トウモロコシなどの澱粉質を主体とする食用の種子に加え、種子でなくとも澱粉質を主体とする食用の茎や根である芋類、豆類、ひいてはこれら種子、茎、根から取り出された澱粉自体も指すものとする。
本発明における卵とは、食用の卵であれば鶏や鶉などの由来種は特に限定されず、卵を割卵して得られる全卵、全卵より分離された卵黄もしくは卵白、または卵黄と卵白を任意の割合で混合したものの何れであってもよい。また、その形態は液状又は固形状の何れであってもよく、例えば、冷凍、粉末化、殺菌、脱糖、酵素処理などの物理的処理が施されたものであっても、必要に応じて乳化剤、糖類、塩類、蛋白、アミノ酸などの少量があらかじめ添加されたものであってもよい。
本発明における豆類とは、マメ科に属する穀物全体を指し、飲食用として流通するものであれば何れでもよい。具体的には、小豆、ささげ、金時豆、手亡、うずらまめ、大福豆、白花まめ、そらまめ、えんどう、いんげん豆、大豆、落花生などが挙げられ、これらを加工して得られる餡や豆乳なども指す。
本発明の豆乳とは、水に浸漬して膨潤させた豆類を蒸煮・摩砕して得られる液体、あるいは、その液体からおからを分離して得られる液体をいい、その原料豆類の品種は特に限定されないが、なかでも大豆が好ましい。
大豆固形分量に関連していえば、JAS規格では、豆乳は大豆固形分8.0%以上、調整豆乳は大豆固形分6%以上、豆乳飲料は大豆固形分4%以上と定義されているが、これらのいずれも本発明の豆乳として用いることができる。
また、本発明にいうところの豆乳には、調整豆乳、豆乳飲料、大豆液、大豆飲料等も含む。また、大豆タンパク質を主成分としたプロテイン飲料類も含む。
本発明における希少糖とは、糖の基本単位である単糖(炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。)のうち、自然界に大量に存在するD−グルコース(ブドウ糖)に代表される「天然型単糖」に対して、自然界に微量にしか存在しない単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と定義付けられている。一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD- グルコース、D- ガラクトース、D- マンノース、D- リボース、D- キシロース、L- アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D- フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D- プシコース、D- タガトース、D- ソルボース、L- フラクトース、L- プシコース、L- タガトース、L- ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD- ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。希少糖の存在量は非常に少なく、例えばD−アロースは、D−グルコース(ブドウ糖)に比べて圧倒的に存在量が少ない。
そのなかでも、現在、大量生産が可能な希少糖は、D−プシコースとD−アロースである。D−プシコースは、ケトヘキソースに分類されるプシコースのD体であり、六炭糖である。また、D−アロースは、アルドースに分類されるアロースのD体であり、同じく六炭糖である。D−プシコースは、自然界から抽出されたもの、化学的又は生物学的な方法により合成されたもの等を含め、どのような手段により入手してもよい。D−アロースは、D−プシコースを含有する溶液にD−キシロースイソメラーゼを作用させて、D−プシコースからD−アロースを生成させる(特許文献6)などして入手できるが、この方法に限定せず、どのような手段により入手してもよい。
本発明における希少糖は、上述の希少糖(例えば、D−ソルボース、D−タガトース、L−ソルボース、D−プシコース、D−アロース、D−アルトロース)を適宜選択して用いる。特に、希少糖含有シロップの形態で用いるのが好ましい。希少糖含有シロップは、上述の希少糖(例えば、D−ソルボース、D−タガトース、L−ソルボース、D−プシコース、D−アロース、D−アルトロース)を適宜選択し、一般的なシロップ(液糖)に適宜混合することでも得られるが、市販品「レアシュガースウィート」(発売元:(株)レアスウィート、販売者:松谷化学工業(株))として、容易に入手することができる。
「レアシュガースウィート」は、異性化糖を原料とし、特許文献7に開示される手法により得られる希少糖を含有するシロップであり、希少糖として主にD−プシコースおよびD−アロースが含まれるように製造されたものである。該手法により得られる希少糖含有シロップに含まれる希少糖は、全糖に対する割合でD−プシコース0.5〜17質量%、D−アロース0.2〜10質量%であるが、未同定の希少糖も含まれる。
希少糖含有シロップを得る方法は、上記手法に限られるものではなく、単糖(D−グルコースやD−フラクトース)にアルカリを作用させ、19世紀後半に発見された反応、ロブリー・ドブリュイン−ファン エッケンシュタイン転位反応やレトロアルドール反応とそれに続くアルドール反応を起こさせ(以上の反応をアルカリ異性化反応と呼ぶ)、生じた各種単糖(希少糖含む)を含むシロップを広く「希少糖含有シロップ」と呼ぶことができ、D−グルコースおよび/もしくはD−フラクトースを原料として、D−グルコースおよび/もしくはD−フラクトース含量が55〜99質量%になるまでアルカリ異性化したシロップが使用される。
希少糖の測定方法は種々存在するが、高速液体クロマトグラフィーにより分離測定する方法が一般的であり、測定条件の一例として、特許文献7に記載の測定条件が挙げられる(検出器;RI、カラム;三菱化成(株)MCI GEL CK 08EC、カラム温度;80℃、移動相;精製水、移動相流量;0.4mL/min、試料注入量;10μL)。
前記希少糖含有シロップの製造に使用される原料としては、でん粉、砂糖、異性化糖、フラクトース、グルコースなどが挙げられる。異性化糖とは、特定組成比のD−グルコースとD−フラクトースを主組成分とする混合糖として広く捉えられ、一般的には、でん粉をアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られた、主にブドウ糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼまたはアルカリにより異性化したブドウ糖および果糖を主成分とする液状の糖のことを指す。JAS規格においては、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が50%未満のものを「ブドウ糖果糖液糖」、50%以上90%未満のものを「果糖ブドウ糖液糖」、90%以上のものを「高果糖液糖」、およびブドウ糖果糖液糖にブドウ糖果糖液糖を超えない量の砂糖を加えたものを「砂糖混合果糖ブドウ糖液糖」とよぶが、本発明の希少糖含有シロップの原料としては、何れの異性化糖を用いても構わない。
例えば、D-フラクトースを原料とした希少糖含有シロップは、D-プシコース5.2%、D-アロース1.8%、グルコース15.0%、D-フラクトース69.3%を含んでいる。また、異性化糖を原料とした希少糖含有シロップは、D-プシコース3.7%、D-アロース1.5%、グルコース45.9%、D-フラクトース37.7%を含み、D-グルコースを原料とすると、D-プシコース5.7%、D-アロース2.7%、グルコース47.4%、D-フラクトース32.1%を含んでいるが、原料および処理方法の違いにより含有糖組成は変化する。
以下における本発明の方法を説明するにあたり、「少なくともD−プシコースを含む希少糖」を、単に「希少糖」と称することがある。
本発明で、上記健康食品素材に起因する飲食物の不快臭及び不快味をマスキングするとともに該飲食物特有の風味を引き立たせるには、該飲食物に、少なくともD−プシコースを含む希少糖を含有させることを必要とする。すなわち、飲食品中で希少糖と各不快臭及び不快味を呈する物質が共存していることが必要であり、それには例えば食品材料にあらかじめ希少糖を添加して加工処理するか、加工処理中に含有させるか、あるいは希少糖を含有する水などの媒体中で食品材料を処理する煮込みなどの方法により、不快臭のマスキングができる。
本発明の方法により得られる飲食物としては、何れの形態の飲食物であってもよいが、具体的に挙げるとすれば、飲料(豆乳飲料、果実飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、茶飲料、紅茶飲料、スポーツ飲料、ニアウォーター、健康ドリンク、栄養ドリンク、ゼリー飲料、粉末飲料、美容ドリンク、アルコール飲料など)、菓子類(チョコレート、ガム、キャンディ、ケーキ、クッキー、クラッカー、ヨーグルト、アイスクリーム、ババロア、プリン、ゼリー、カスタードクリーム等の洋菓子及び饅頭や煎餅等の和菓子)、スナック類、パン類、麺類、練り製品、めんつゆ、たれ等の合わせ調味料、醤油、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、プロテインサプリメント等の健康補助食品、嚥下食などが挙げられる。
希少糖は甘味料としての特性を有し、特にD-プシコースは摂取してもエネルギー源として利用されず、蔗糖の約70%の甘さを有する。したがって、本発明により飲食物を製造する際に、不快臭等をマスキングするとともに該飲食物特有の風味を引き立たせるために必要とする量に加えて、蔗糖などの甘味料を代替する量を使用することができる。この際、D-プシコースなどの使用量が増加することによりマスキング作用などが大きくなることは言うまでもない。ただし、甘味との兼ね合いでマスキング効果に若干影響が及ぶ場合もある。
本発明で使用する希少糖としては、上述した公知の方法により製造される希少糖含有シロップやDープシコースを使用することが簡便であるとともに経済的にも適している。飲食物の全原材料中に、希少糖含有シロップ(希少糖含量15%の場合)では通常0.25〜15重量部、D−プシコースでは通常0.25〜20重量部が使用されるが、加工食品への甘味料として該シロップを使用するか否かによりその使用量は変動する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
なお実施例中、「少なくともD-プシコースを含む希少糖」としては市販品の希少糖含有シロップである「レアシュガースウィート」(固形分70%、糖組成:ブドウ糖44%、果糖30%、D−プシコースを含む全希少糖15%、ブドウ糖、果糖、希少糖以外の単糖6%、オリゴ糖5%)、又は希少糖であるD−プシコースを用いた。
(豆乳含有飲食物1−調整豆乳についての試験)
表1に示す配合の全原料を混合攪拌後、60℃の温度で高速ホモミクサーを用いて5000rpm・5分間の予備乳化を行なった。次いで溶液を高圧ホモゲナイザー200kg/cm2の圧力で均質化し、香料を添加後、これをビン容器に充填後85℃・30分間の殺菌を行ない、調整豆乳を製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときの豆の風味と青臭さ・エグ味のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、豆の風味が良い(5点)〜対照と同程度の豆の風味である(1点)、青臭さ・エグ味が弱い(5点)〜対照と同程度の青臭さ・エグ味である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。評価結果を表2に示す。総合評価として、平均点の合計が8.0以上の場合は非常に良好な風味である(◎)、6.0〜7.9点は良好な風味である(○)、4.0〜5.9点は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、3.9点以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
Figure 2015023803
(豆乳含有飲食物2−豆乳プリンについての試験)
表3に示す配合の全原料を混合攪拌後、60℃の温度で高速ホモミクサーを用いて5000rpm・5分間の予備乳化を行なった。次いで溶液を高圧ホモゲナイザー150kg/cm2の圧力で均質化し、香料を添加後、これをカップ容器に充填後85℃・30分間の殺菌を行ない、豆乳プリンを製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときの豆の風味と青臭さ・エグ味のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、豆の風味が良い(5点)〜対照と同程度の豆の風味である(1点)、青臭さ・エグ味が弱い(5点)〜対照と同程度の青臭さ・エグ味である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。その結果を表4に示す。総合評価として、平均点の合計が8.0以上の場合、非常に良好な風味である(◎)、6.0〜7.9点は良好な風味である(○)、4.0〜5.9点は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、3.9点以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
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(豆乳含有飲食物に関する評価)
表2、表4に示すように豆乳を含む飲食物に対しては、少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物100重量部中に0.08〜18.0重量部含有させることで、豆の青臭さ・エグ味が弱まり、かつ、豆の風味が際立った。希少糖が22.0質量%含有されると希少糖の甘みが強く感じられるためか、豆の青臭さ・エグ味を抑える効果が弱まった。
(コラーゲン含有飲食物1−コラーゲンドリンクについての試験)
表5、表7に示す配合の全原料を混合攪拌後、香料を添加した。これをビン容器に充填後85℃・10分間の殺菌を行ない、コラーゲンドリンクを製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときのコラーゲン臭のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、コラーゲン臭がほとんどしない(5点)〜対照と同程度のコラーゲン臭である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。その評価結果を表6、表8に示す。平均点が4.0以上の場合は非常に良好な風味である(◎)、3.9〜3.0は良好な風味である(○)、2.9〜2.0は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、1.9以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
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Figure 2015023803
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(コラーゲン含有飲食物2−コラーゲンゼリーについての試験)
表9に示す配合の全原料を混合攪拌後、85℃10分間加温し、香料を添加した。これをカップ容器に充填後85℃・30分間の殺菌を行ない、コラーゲン入りゼリーを製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときのコラーゲン臭のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、コラーゲンのマスキング効果が弱い(5点)〜対照と同程度のコラーゲン臭である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。その評価結果を表10に示す。平均点が4.0を超えるものは非常に良好な風味である(◎)、3.9〜3.0は良好な風味である(○)、2.9〜2.0は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、1.9以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
Figure 2015023803
(コラーゲン含有飲食物に関する評価)
表6,表8,表10に示すようにコラーゲン含有飲食物に対しては、少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物100重量部中に0.04〜15.0重量部含有させることで、コラーゲン臭が弱まった。希少糖を20.0質量%以上含むと希少糖の甘みが強く感じられるためか、コラーゲン臭を抑える効果が弱まった。また、D−プシコースよりも希少糖含有シロップのほうが少ない含有量で効果が大きく、複数種類の希少糖を含むことで相乗効果が発現したと示唆される。
(人参エキス含有飲料についての試験)
表11に示す配合の全原料を混合攪拌後、香料を添加した。これをビン容器に充填後85℃・10分間の殺菌を行ない、人参エキス入り飲料を製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときの人参エキスの苦味のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、人参エキスの苦味のマスキング効果が大きい(5点)〜対照と同程度の人参エキスの苦味である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。その評価結果を表12に示す。平均点が4.0を超えるものは非常に良好な風味である(◎)、3.9〜3.0は良好な風味である(○)、2.9〜2.0は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、1.9以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
Figure 2015023803
(人参エキス含有飲料の評価)
表12に示すように人参エキス含有飲食物に対しては、少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物100重量部中に0.35〜9.0重量部含有させることで、人参エキス臭が弱まった。希少糖を20.0質量%以上含むと希少糖の甘みが強く感じられるためか、人参エキス臭を抑える効果が弱まった。また、D−プシコースよりも希少糖含有シロップのほうが少ない含有量で効果が大きく、複数種類の希少糖を含むことで相乗効果が発現したと示唆される。
(ウコンエキス含有飲食物1−ウコンエキス入り飲料についての試験)
表13に示す配合の全原料を混合攪拌後、香料を添加した。これをビン容器に充填後85℃・10分間の殺菌を行ない、ウコンエキス入り飲料を製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときのウコンエキスの苦味のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、ウコンエキスの苦味のマスキング効果が大きい(5点)〜対照と同程度のウコンエキスの苦味である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。その評価結果を表14に示す。平均点が4.0を超えるものは非常に良好な風味である(◎)、3.9〜3.0は良好な風味である(○)、2.9〜2.0は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、1.9以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
Figure 2015023803
(ウコンエキス含有飲食物2−ウコンエキス入りゼリー飲料についての試験)
表15に示す配合の増粘多糖類以外の原料を混合攪拌後、85℃まで加熱、予め別に85℃10分で加温しておいた増粘多糖類と併せて、再度90℃まで加熱し、香料を添加した。これをチアパック容器に充填後85℃・30分間の殺菌を行ない、ウコンエキス入りゼリー飲料を製造した。
評価についてはパネラー10名により、対照と比較したときのウコンエキスの苦味のマスキングについて評価を行った。評価点は、対照と比較して、ウコンエキスの苦味のマスキング効果が大きい(5点)〜対照と同程度のウコンエキスの苦味である(1点)とし、パネラー10名の評価点の平均点を算出した。その評価結果を表16に示す。平均点が4.0を超えるものは総合的に非常に良好な風味である(◎)、3.9〜3.0は良好な風味である(○)、2.9〜2.0は風味は良いが本発明の効果が小さい(△)、1.9以下は本発明の効果がみられない(×)とした。
Figure 2015023803
Figure 2015023803
(ウコンエキス含有飲食物に関する評価)
表14、表16に示すようにウコンエキス含有飲食物に対しては、少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物100重量部中に0.26〜11.2重量部含有させることで、ウコンエキス臭が弱まった。希少糖を20.0質量%以上では希少糖の甘みが強く感じられるためかウコンエキス臭を抑える効果が弱まった。また、D−プシコースよりも希少糖含有シロップのほうが少ない含有量で効果が大きく、複数種類の希少糖を含むことで相乗効果が発現したと示唆される。
以上のように、少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物100重量部に対して0.04〜18.0重量部含有させることで健康食品素材が有する独特の不快臭をマスキングし、好ましい風味を引き立たせることが可能となる。
本発明によれば、健康食品素材の代表として挙げられるウコンや朝鮮人参の有する不快臭及び苦味(不快臭はパナキシノール、苦味はサポニンなどに起因する)、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドは原料となる豚皮や魚に由来する不快臭(トリメチルアミン、イソプロピルフェノール、脂肪酸などに起因する)、大豆製品独特の豆臭(n−ヘキサナールをはじめとするアルデヒド類に起因する)、穀物の特異な不快臭(硫黄化合物、カルボニル化合物、脂肪酸の酸化物などに起因)、蛋白源である肉、魚及び卵は特有の生臭さ(トリメチルアミン、脂肪酸、硫黄化合物などに起因)、野菜である大根、キャベツ、白菜などの硫黄臭(アリルイソチオシアネートやジメチルジスルフィドに起因)をマスキングすることができる一方、それ以外の好ましい風味を生かすことができ、独特の異味異臭を有する健康素材を利用していても風味の良い飲食物を提供することができる。

Claims (5)

  1. 飲食物の異味及び異臭をマスキングすることによって飲食物本来の好ましい風味を増強させる方法であって、飲食物の製造加工時又は飲食物の提供時若しくは喫食時に少なくともD−プシコースを含む希少糖を飲食物中に0.04〜18質量%含有させることを特徴とする飲食物の風味改善方法。
  2. 飲食物が朝鮮人参、ウコン、コラーゲン、穀類、卵、肉、野菜、魚又は豆から選ばれる一種以上をそのままあるいは加工処理されてなるものを含有することを特徴する請求項1に記載の飲食物の風味改善方法。
  3. 少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−フラクトース、異性化糖、D−グルコースおよび/または砂糖を原料として製造されてD−プシコースを0.5〜100質量%含んでなる希少糖含有シロップであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の飲食物の風味改善方法。
  4. 少なくともD−プシコースを含む希少糖がD−アロースを0.2〜10質量%含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲食物の風味改善方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られる飲食物。
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