JP2020089322A - 飲食品の濃厚感付与増強剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明によれば、3−メチル−2(5H)−フラノンを飲食品に添加することで、あるいは3−メチル−2(5H)−フラノンと共に4−ビニルグアイアコールを飲食品に添加することで、濃厚感が付与増強された飲食品を提供することができる。
なお、本明細書において特に明記しない限り、濃度の単位(%、ppm、ppb、ppt)は、質量基準である。
特に、近年、一層美味しい飲食品を追求するグルメ志向、高級品志向、そして低カロリーの飲食品を求める健康志向の風潮の中で、飲食品が有する好ましい自然な甘さ、コク、ボリューム感、重厚感、果汁感、果実感などといった濃厚な風味(濃厚感)を付与増強することは重要な課題である。
例えば、ビセニン−2を用いることにより、果実風味の無果汁飲料や、果汁含量の低い果汁飲料に対し、高果汁飲料のような風味、コク、ボリューム感、濃厚感などの果汁感を付与する方法である(特許文献1)。
また、焙煎コーヒーを水、極性有機溶媒又はこれらの混合物で抽出して得られる抽出物を分画処理して得られた分画分子量10000以上の画分を用いて、乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物又は乳製品代用品の香味を損なわずに「こく」やボリューム感を付与・増強する方法も提案されている(特許文献2)。
上記のように、飲食品に好ましい香味を付与又は増強する方法が提案されているが、いずれも特定の飲食品に関するものであり、不特定多数の飲食品に適用可能という汎用性に乏しい点で使いづらいという問題点、あるいは、製法が複雑であるためコスト的に不利であるという問題点がある。
そこで、多種多様な飲食品に適用可能で汎用性に優れ、自然で好ましい濃厚な香味を付与でき、製造コスト的に有利な濃厚感付与増強剤の提供が要望されている。
すなわち本発明は、以下に示すとおりのものである。
〔2〕濃厚感付与増強剤中に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1ppb〜20質量%含有することを特徴とする、前記濃厚感付与増強剤。
〔3〕有効成分として4−ビニルグアイアコールをさらに含有することを特徴とする、前記濃厚感付与増強剤。
〔4〕濃厚感付与増強剤中に4−ビニルグアイアコールを1×10-3ppt〜20質量%含有することを特徴とする、前記濃厚感付与増強剤。
〔5〕前記濃厚感付与増強剤を含有することを特徴とする飲食品。
〔6〕3−メチル−2(5H)−フラノンの含有量が0.1ppt〜200ppmであることを特徴とする、前記飲食品。
〔7〕4−ビニルグアイアコールを1×10-6ppt〜200ppm含有することを特徴とする、前記飲食品。
〔8〕前記飲食品がフルーツ風味飲食品、嗜好飲料、乳風味飲食品、菓子、調理加工食品であることを特徴とする、前記飲食品。
〔9〕飲食品に、3−メチル−2(5H)−フラノンを添加することを特徴とする、飲食品の濃厚感付与増強方法。
〔10〕飲食品中の3−メチル−2(5H)−フラノンの濃度が、0.1ppt〜200ppmになるように添加することを特徴とする、前記飲食品の濃厚感付与増強方法。
〔11〕さらに4−ビニルグアイアコールを添加することを特徴とする、前記飲食品の濃
厚感付与増強方法。
〔12〕飲食品中の4−ビニルグアイアコールの濃度が1×10-6ppt〜200ppmになるように添加することを特徴とする、前記濃厚感付与増強方法。
〔13〕前記飲食品が、フルーツ風味飲食品、嗜好飲料、乳風味飲食品、菓子、調理加工食品であることを特徴とする、前記濃厚感付与増強方法。
さらに、各種の飲料や食品に幅広く利用できるので汎用性が高く、飲料メーカーや加工食品メーカーにとって利便性が高い。
また、乳や乳製品、若しくは乳製品を含有する飲食品、乳製品代用品といった乳風味飲食品に対し、乳本来の独特な好ましい香味やコク、ボリューム感を付与することができる。
さらに、コーヒー、ココア、茶飲料等の嗜好飲料に対して、豆や茶葉等が本来有している特有の自然で好ましい香味やふくらみなどを付与することができる。
各種の飲料、食品それぞれの特性に対応した濃厚感、すなわち、自然な甘さ、コク、ボリューム感、重厚感、果汁感、果実感、本物感や自然な果実風味などの濃厚な風味を付与増強することができる点で優れている。
(1)濃厚感
本発明の濃厚感付与増強剤が増強する対象である濃厚感は、一般に、濃厚な味わい、味が濃いこと、こってりしていることを意味するが、食品香料の専門家であるフーレーバリスト(Flavorist;食品香料を調香する調香師)が連想する語を列挙すると、飲食品の有している好ましい自然な甘さ、コク、ボリューム感、重厚感、果汁感、果実感、ジューシー感、熟感などといった呈味感である。つまり、濃厚感は、飲食品のおいしさの向上、本物感や自然な果実風味に寄与する味覚の一要素であると言える。
例えば、果実味の無果汁飲料や、果汁飲料といったフルーツ風味飲食品に関しては、自然な香味、コク、ボリューム、果実感、果汁感、混濁感、本物感や自然な果実風味などである。
食品においては、乳本来の独特な好ましい香味や「こく」(深みのある濃厚な味わい)、ボリューム感、こってり感である。
また、コーヒー、ココア、茶飲料(緑茶、ウーロン茶、紅茶など)等の嗜好飲料においては、豆や茶葉等が本来有している特有の自然で好ましい香味やふくらみ、豊潤さ、ボリューム感、コク、深み、コーヒー豆感をもたらすような香気や呈味である。
一方、食品においては、調理加工食品、例えば、クリームシチューやビーフシチューなどのシチュー類;カレー;ミートソース、ドミグラスソース、ホワイトソース、トマトソースなどのソース類といった、複数の食材を使い、煮込み、味付けなどの調理加工を行った食品(洋食、和食を問わない)が呈する濃厚、豊かな味わい、おいしさの厚み、まろやかさ、各種食材から滲み出た呈味物質が混ざって醸し出される煮込み感である。
構造式(1)〜(4)の化合物はいずれも甘いカラメル様の香気を有する香料素材としてよく知られた物質であり、飲食品に甘い香味を付与する目的で汎用されている。これらの化合物は、後述の試験例で検証するように、着香料としての力価が格段に高いにもかかわらず、本願発明の有効成分である3−メチル−2(5H)−フラノンのような飲食品に濃厚感を付与・増強する効果をほとんど発揮できないことは予想外であった。
濃厚感付与増強剤の調製に使用する溶媒は、特に限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールの他、トリアセチン、トリエチルシトレート、食用油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどを、単独又は混合して使用することができる。
本発明の濃厚感付与増強剤は、必須有効成分である上記の3−メチル−2(5H)−フラノンに加え、さらに付加的有効成分として4−ビニルグアイアコールを併用することができる。
4−ビニルグアイアコールは4−ビニル−2−メトキシフェノールとも呼ばれる化合物であり、スパイシー、クローブ様の香気を有し、食品用香料として使用されている化合物である。入手方法としては、市販品を適宜購入して使用することができる。
3−メチル−2(5H)−フラノンと4−ビニルグアイアコールを併用することによって、それぞれ単独使用した場合よりも高い濃厚感付与増強効果が認められる。
さらに、本発明の濃厚感付与増強剤は、上記の有効成分である3−メチル−2(5H)−フラノン及び4−ビニルグアイアコールの他に、必要に応じて、飲食品用の各種香料などを付加的成分として適宜配合することができる。
例えば、「特許庁公報 周知慣用技術集(香料)第II部 食品用香料」(平成12(2000)年1月14日発行、日本国特許庁)等に記載された香料原料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油、合成香料)、各種植物エキス、酸化防止剤等が例示され、それぞれ本発明の効果を損なわない量で濃厚感付与増強剤に配合することができる。
(1)対象となる飲食品
濃厚感付与増強の対象となる飲食品としては、例えば、ニアウォーター、無果汁炭酸飲料、果汁入り飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、乳飲料、乳性飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、コーヒー飲料、 緑茶、紅茶、ウーロン茶等の飲料を挙げることができる。
中でも、消費者が濃厚な風味を期待するような飲料や食品が好ましく、フルーツ風味飲食品、嗜好飲料、乳風味飲食品、調理加工食品が好適である。
本発明の濃厚感付与増強剤を飲食品に添加する場合、その添加量は、必須有効成分である3−メチル−2(5H)−フラノンの飲食品中での含有量に基づき決定することが好ましい。
3−メチル−2(5H)−フラノンの飲食品中での含有量は、特に限定されるものではなく、対象となる飲食品にもよるが、0.1ppt〜200ppmであり、好ましくは1ppt〜100ppmであり、さらに好ましくは10ppt〜50ppmである。
3−メチル−2(5H)−フラノンの飲食品中での含有量が0.1pptより少ないと、濃厚感を付与増強する効果に乏しく、一方、200ppmより多くなると、3−メチル−2(5H)−フラノン自体の香味が感じられるようになり、飲食品本来の香味が損なわれる恐れがある。
コーヒー飲料においては、0.01ppb〜100ppmであり、最適添加量は1ppb〜10ppmである。
コーヒー飲料以外の飲料においては、0.1ppt〜100ppmであり、最適添加量は1ppt〜10ppmである。
菓子においては、1ppt〜200ppmであり、最適添加量は10ppt〜100ppmである。
調理加工食品においては、0.1ppb〜200ppmであり、最適添加量は10ppb〜100ppmである。
4−ビニルグアイアコールの飲食品中での含有量が1×10-6ppt未満の場合は、濃厚感を付与増強する効果に乏しく、一方、200ppmより多いと、4−ビニルグアイアコールのスパイシーな香味が感じられるようになり、3−メチル−2(5H)−フラノンとの併用による濃厚感増強効果が却って損なわれる傾向となる。
コーヒー飲料においては、1ppt〜200ppmであり、最適添加量は100ppt〜10ppmである。
コーヒー飲料以外の飲料においては、1×10-6 ppt〜10ppmであり、最適添加量は1×10-5 ppt〜1ppmである。
菓子においては、1×10-6 ppt〜10ppmであり、最適添加量は1×10-5 ppt〜1ppmである。
調理加工食品においては、0.02ppm〜5ppmであり、最適添加量は0.1ppm〜0.5ppmである。
なお、乳又はクリーム入りコーヒー飲料やコーヒー味アイスクリームのようにコーヒーとそれ以外の飲食品の組み合わせの場合は、それぞれの好適な添加量範囲が重複する範囲
が好ましい。
コーヒー飲料においては、1:0.0001〜1:1であり、好ましくは1:0.01〜1:1である。
コーヒー飲料以外の飲料においては、1:1×10-10〜1:1×10-5であり、好ましくは1:1×10-9〜1:10-7である。
菓子においては、1:0.0001〜1:1であり、好ましくは1:0.001〜1:0.1である。
調理加工食品においては、1:0.0001〜1:1であり、好ましくは1:0.01〜1:1である。
〔試験例1〕
市販のインスタントコーヒー2gを熱湯140mLに溶解し、ブラックコーヒー飲料を調製した。このブラックコーヒー飲料に3−メチル−2(5H)−フラノンを表2記載の濃度になるように添加し、評価サンプルであるコーヒー飲料を作製し、3−メチル−2(5H)−フラノン無添加のコーヒー飲料を対照として、熟練した専門パネル3名による濃厚感についての評価を行った。
評価結果を表2に示した。ここで、官能評価結果は、以下の表1に記載の基準で採点したパネルの平均点である。
市販のオレンジ果汁飲料(オレンジ果汁30%含有)に3−メチル−2(5H)−フラノンを添加し評価サンプルであるオレンジ果汁飲料を作製した。このオレンジ果汁飲料について試験例1と同じ基準で専門パネルによる濃厚感の評価を行った。結果を表3に示した。
〔試験例3〕
市販の各種飲料に3−メチル−2(5H)−フラノンを添加し、試験例1と同じ基準で3名の専門パネルによる評価を行った。結果を表4に示した。
〔試験例4〕
3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1質量%添加したバニラ香料(小川香料株式会社製)を、市販のショートニングに3−メチル−2(5H)−フラノンの含有量が1ppmとなるように配合し、よく撹拌後均一にして評価サンプルを調製した。ミルク、緑茶香料を配合した3−メチル−2(5H)−フラノン1ppm含有ショートニングの評価サンプルも同様に調製した。
さらに3−メチル−2(5H)−フラノンを添加した各種香料を配合したマーガリン、準チョコレート、水あめの評価サンプルを調製し、試験例1と同様の基準で6名の専門パネルによる評価を行った。結果を表5に示した。
〔試験例5〕
3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1質量%添加した表6記載の各種調理食品系香料(小川香料株式会社製)を、湯に3−メチル−2(5H)−フラノンの含有量が2ppmとなるように配合し、よく撹拌後均一にして評価サンプルを調製した。試験例1と同様の基準で4名の専門パネルによる評価を行った。結果を表6に示した。
〔試験例6〕
市販のオレンジ果汁(果汁100%)に3−メチル−2(5H)−フラノン及び構造が類似する他のフラノン類を10ppb、100ppb添加して評価サンプルであるオレンジ果汁飲料を作製した。このオレンジ果汁飲料について試験例1と同じ基準で専門パネルによる濃厚感の評価を行った。結果を表7に示した。
市販の各種飲料に3−メチル−2(5H)−フラノン及び構造が類似する他のフラノン類を10ppb添加し、専門パネルによる評価を行った。結果を表8に示した。
〔試験例8〕
市販のブラックコーヒー、果汁100%オレンジジュース、果汁100%グレープジュ
ース、牛乳に3−メチル−2(5H)−フラノン、4−ビニルグアイアコールをそれぞれ所定量添加したサンプル、及び3−メチル−2(5H)−フラノンと4−ビニルグアイアコールを所定量併用したサンプルを作製した。無添加品(両有効成分とも無添加)を対象にそれぞれのサンプルを3名の専門パネルで評価した結果を表10に示した。ここで、官能評価結果は、以下の表9に記載の基準で採点したパネルの平均点である。
果汁100%オレンジジュースでは4−ビニルグアイアコールのみを添加したサンプルは渋み、苦味が感じられ、やや焼けた印象となった。一方、3−メチル−2(5H)−フラノンと4−ビニルグアイアコールを併用すると、3−メチル−2(5H)−フラノン単独の場合よりも立体的な果汁感が感じられ、濃厚感がより強く感じられた。
2(5H)−フラノン単独の場合よりも立体感のある果汁感が感じられ濃厚感がより強く感じられた。
牛乳では4−ビニルグアイアコールのみを添加したサンプルは雑味が感じられるだけであったが、3−メチル−2(5H)−フラノンと4−ビニルグアイアコールを併用すると、3−メチル−2(5H)−フラノン単独の場合よりも乳感が強く、後半にのびのある濃厚感が感じられた。
バニラ香料(小川香料株式会社製)に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1質量%、4−ビニルグアイアコールを0.001質量%、3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.001質量%それぞれ添加したバニラ香料3品を作製し、市販のショートニングに0.1質量%ずつ添加して3種の評価用サンプルを調製した。
緑茶香料、チョコレート香料(いずれも小川香料株式会社製)についても同様に3品の評価サンプルを調製した。無添加品(両有効成分とも無添加)を対象にそれぞれのサンプルを3名の専門パネルで評価した結果を表11に示した。
官能評価結果は、表9に記載の基準で採点したパネルの平均点である。
3−メチル−2(5H)−フラノンのみを添加した緑茶香料は無添加の場合に比べ柔らかい甘さが付与されたが、4−ビニルグアイアコールを併用すると3−メチル−2(5H)−フラノン単独の場合よりも濃厚な抹茶感が強く感じられた。
3−メチル−2(5H)−フラノンのみを添加したチョコレート香料は無添加の場合に比べカカオの厚みが強くなったが、4−ビニルグアイアコールを併用するとカカオの黒さ(カカオらしい香味)が感じられ、3−メチル−2(5H)−フラノン単独の場合よりも立体感(本物らしさ)がより強く感じられるようになった。
チキン香料(小川香料株式会社製)に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.2質量%、4−ビニルグアイアコールを0.01質量%、3−メチル−2(5H)−フラノンを0.2質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.01質量%それぞれ添加した香料3品を作製し、これらを湯に0.1質量%ずつ添加して3種の評価用サンプルを調製した。ポ
ーク香料(小川香料株式会社製)についても同様に3品の評価サンプルを調製した。また、鰹節香料(小川香料株式会社製)に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.2質量%、4−ビニルグアイアコールを0.02質量%、3−メチル−2(5H)−フラノンを0.2質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.02質量%それぞれ添加した香料を、湯に0.1質量%ずつ添加して3種の評価用サンプルを調製した。
それぞれのサンプルについて無添加品(両有効成分とも無添加)を対象にそれぞれのサンプルを3名の専門パネルで評価した結果を表12に示した。官能評価結果は、表9に記載の基準で採点したパネルの平均点である。
3−メチル−2(5H)−フラノンのみを添加したポーク香料は無添加品に比べて甘さ、調理感が付与されたが、4−ビニルグアイアコールを併用すると、3−メチル−2(5H)−フラノン単独の場合よりも肉感、濃厚感がより強く感じられた。
3−メチル−2(5H)−フラノンのみを添加した鰹節香料は無添加品に比べて濃厚感が付与されたが、4−ビニルグアイアコールを併用すると、3−メチル−2(5H)−フラノン単独の場合よりもまろやかさが増し、鰹節らしさがより強くなった。
水に果糖ブドウ糖液糖10質量部、砂糖5質量部、ゲル化剤1質量部を加え、85℃まで加温し、オレンジ濃縮果汁3質量部、クエン酸0.1質量部を添加し撹拌溶解した。これに3−メチル−2(5H)−フラノンを0.01質量%添加したオレンジ香料(小川香料株式会社製)を0.1質量部配合し、全量を100質量部に補正後、85℃で20分間殺菌してオレンジゼリーを調製した。同様に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.01質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.1ppt添加したオレンジ香料を配合したオレンジゼリーを調製した。
ショートニング15質量部、砂糖30質量部、全卵3質量部、食塩1質量部、3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1質量%添加したバニラ香料(小川香料株式会社製)を0.1質量部配合し、30分間撹拌後、30分間エージングを行った。得られた生地を型に流し入れ、220℃、5分焼成し、ハードビスケットを調製した。同様に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.001質量%添加したバニラ香料を配合したハードビスケットを調製した。
砂糖60質量部、水あめ40質量部、水35質量部を合わせて155℃まで加熱した後、130℃まで冷却し、3−メチル−2(5H)−フラノンを0.005質量%添加した緑茶香料(小川香料株式会社製)を0.1質量部配合し、混合、成型し、緑茶風味ハードキャンディーを調製した。同様に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.005質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.00005質量%添加した緑茶香料を配合した緑茶風味ハードキャンディーを調製した。
カカオマス20質量部を砕いた後、湯煎(40℃)で溶かし、粉糖43質量部、ココアバター10質量部、カカオマス20質量部を混合しローラーで細かくした。これにココアバター7質量部、レシチン0.4質量部、3−メチル−2(5H)−フラノンを0.05質量%添加したチョコレート香料(小川香料株式会社製)を0.2質量部配合し40℃にて3分間撹拌した。次に26〜27℃にて5分間撹拌し、チョコレートシード0.05gを加えよく混ぜ、型に流し込んだ後、冷蔵庫で冷却してチョコレートを調製した。
同様に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.05質量%及び4−ビニルグアイアコールを0.00005質量%添加したチョコレート香料を配合したチョコレートを調製した。
ヘット32質量部と小麦粉13質量部を焙煎して得た小麦粉ルーに、食塩7質量部、砂糖8質量部、カレー粉10質量部、調味料2質量部、オニオンパウダー6質量部、香辛料・果実ミックスパウダー4質量部、ビーフエキス3質量部、ビーフ香味油3質量部、澱粉7質量部、粉乳5質量部配合した。これに3−メチル−2(5H)−フラノン0.01質量%添加したビーフ香料(小川香料株式会社製)0.1質量部を配合し、110℃達温まで加熱混合処理した後、冷却固化してビーフカレールウを調製した。
同様に、3−メチル−2(5H)−フラノン0.01質量%、4−ビニルグアイアコール0.001質量%添加したビーフ香料を配合したビーフカレールウを調製した。
バター25質量部、パーム脂25質量部、小麦粉50質量部を弱火で炒め、牛乳500質量部、水590質量部、チキンコンソメ2質量部、食塩6質量部を加え、弱火で粘度が出るまで加熱しホワイトソースとする。
鶏肉(2cm角)100質量部、玉ねぎスライス100質量部、人参(ダイス状)30質量部、じゃがいも(ダイス状)70質量部を湯通しし、ホワイトソースに添加し、3−メチル−2(5H)−フラノン0.02質量%添加したチキン香料(小川香料株式会社製)1質量部を配合して15分煮込み、クリームシチューを調製した。
同様に、3−メチル−2(5H)−フラノン0.02質量%、4−ビニルグアイアコール0.001質量%添加したチキン香料を配合したクリームシチューを調製した。
牛乳10質量部、水80質量部、コーンペースト10質量部、砂糖2質量部、チキンコンソメ1質量部、食塩0.5質量部を加熱撹拌し、10000rpm、5分間乳化を行った。これに3−メチル−2(5H)−フラノン0.00005質量部添加し、コーンスープを調製した。同様に3−メチル−2(5H)−フラノン0.00005質量部、4−ビニルグアイアコール0.00001質量部添加したコーンスープを調製した。
Claims (13)
- 3−メチル−2(5H)−フラノンを有効成分として含有することを特徴とする、濃厚感付与増強剤。
- 濃厚感付与増強剤中に3−メチル−2(5H)−フラノンを0.1ppb〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1記載の濃厚感付与増強剤。
- 有効成分として4−ビニルグアイアコールをさらに含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の濃厚感付与増強剤。
- 濃厚感付与増強剤中に4−ビニルグアイアコールを1×10-3ppt〜20質量%含有することを特徴とする、請求項3記載の濃厚感付与増強剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の濃厚感付与増強剤を含有することを特徴とする飲食品。
- 3−メチル−2(5H)−フラノンの含有量が0.1ppt〜200ppmであることを特徴とする、請求項5記載の飲食品。
- 4−ビニルグアイアコールを1×10-6ppt〜200ppm含有することを特徴とする、請求項5又は6記載の飲食品。
- 前記飲食品がフルーツ風味飲食品、嗜好飲料、乳風味飲食品、菓子、調理加工食品であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の飲食品。
- 飲食品に、3−メチル−2(5H)−フラノンを添加することを特徴とする、飲食品の濃厚感付与増強方法。
- 飲食品中の3−メチル−2(5H)−フラノンの濃度が、0.1ppt〜200ppmになるように添加することを特徴とする、請求項9記載の飲食品の濃厚感付与増強方法。
- さらに4−ビニルグアイアコールを添加することを特徴とする、請求項9又は10記載の飲食品の濃厚感付与増強方法。
- 飲食品中の4−ビニルグアイアコールの濃度が1×10-6ppt〜200ppmになるように添加することを特徴とする、請求項11記載の飲食品の濃厚感付与増強方法。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の飲食品が、フルーツ風味飲食品、嗜好飲料、乳風味飲食品、菓子、調理加工食品であることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の飲食品の濃厚感付与増強方法。
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