本発明は電子機器等に用いられる電子部品用パッケージのベース、及び電子部品用パッケージのベースに関する。
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動板の表面に金属薄膜電極が形成され、この金属薄膜電極を外気から保護するために水晶振動板(具体的には金属薄膜電極)が気密封止されている。
これら圧電振動デバイスは部品の表面実装化の要求から、セラミック材料からなるパッケージ内に気密的に収納する構成が増加している。例えば、特許文献1には、水晶振動板の搭載部を有するベース(実装基板)と断面が逆凹形の蓋(カバー)とからなり、これらを気密的に封止したセラミック材料からなるパッケージを回路基板に搭載し、はんだなどの導電性接合材を介して接合する構成が開示されている。
この従来の圧電振動デバイスでは、ベースの底面に端子電極が形成され、はんだ(導電性接合材)の這い上がりによる接続状態を確認するために、当該端子電極がベースの側面に形成されたキャスタレーションによりベースの底面から側面に延出している。
ところで、この従来の圧電振動デバイスを搭載する回路基板には、加工の容易性とコスト的なメリットから、網目状のガラス繊維にエポキシ樹脂材を含浸させたいわゆるガラスエポキシ基板が広く使用されている。また、この回路基板の電極パターン上部には、スクリーン印刷などの手法により、はんだペーストが塗布されている。そして、この回路基板の電極パターンに、上記圧電振動デバイスのパッケージの端子電極を重ね合わせた状態で搭載して、溶融炉(加熱炉など)にてはんだペーストを溶融させて回路基板上に圧電振動デバイスをはんだ接合している。
しかしながら、パッケージと回路基板との間で熱膨張差により、これらパッケージと回路基板とを接合するはんだに応力が生じ、クラックが発生することがある。特に、パッケージとしてアルミナ等のセラミック材料を用い、回路基板としてガラスエポキシ基板を用いた組み合わせ構成であって、さらに車載用などの耐熱用途向けに使用した場合、高温環境下で当該パッケージと回路基板とを使用するので、パッケージの熱膨張係数に対して回路基板の熱膨張係数が大きくなり、はんだから疲労破壊が生じやすくなる。このように、通常の温度環境ではそれほど問題にならなかったはんだクラックの問題点が高温環境では顕著にあらわれ、さらに当該パッケージと回路基板とに衝撃が加わると、はんだクラック部分から剥離が生じるといった問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、電子部品用のパッケージの回路基板への搭載接合の信頼性を向上させた電子部品用パッケージのベース、及び電子部品用パッケージを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子部品用パッケージのベースは、電子部品素子を保持するものであり、当該ベースの底面は平面視矩形とされ、前記底面には、外部の回路基板と導電性接合材を用いて接合する複数の端子電極が形成され、前記底面に対してその一角位置に偏位して、1つの前記端子電極からなる第1の端子電極、あるいは2つ以上の前記端子電極が並列に形成されて構成される第1の端子電極群が形成され、前記底面に対して前記一角位置の対角位置にあたる第1の対角位置に偏位して、1つの前記端子電極からなる第2の端子電極、あるいは2つ以上の前記端子電極が並列に形成されて構成される第2の端子電極群が形成され、前記一角位置に対して前記底面の短辺方向に対向する他角位置と、前記底面に対して前記他角位置の対角位置にあたる第2の対角位置とは、前記端子電極が形成されない無電極領域とされ、当該ベースの少なくとも側面から前記底面にかけてキャスタレーションが形成され、前記キャスタレーションに前記端子電極と接続された側面端子電極が形成されたことを特徴とする。さらに、本発明にかかる電子部品用パッケージは、この本発明にかかる電子部品素子を保持するベースと、当該電子部品素子を気密封止する蓋とを有することを特徴とする。具体的に、本発明にかかる電子部品用パッケージを表面実装型の水晶振動子のパッケージに適用する場合、前記グランド端子電極は金属からなる前記蓋と電気的に接続される部材として用いてもよい。また、本発明にかかる電子部品用パッケージを水晶フィルタに適用する場合、前記グランド端子電極はフィルタのアース電極とされてもよい。また、本発明にかかる電子部品用パッケージを水晶発振器に適用する場合、前記グランド端子電極は金属からなる前記蓋と電気的に接続される部材として用いてもよく、また、電子部品素子としてICを用いた場合のICのグランド端子電極として用いてもよい。
上記構成により、前記第1の端子電極あるいは前記第1の端子電極群と、前記第2の端子電極あるいは前記第2の端子電極群とが形成されているので、はんだなどの前記導電性接合材によって回路基板と電気的機械的に接合する際に接続性を低下させることがない。また、前記導電性接合材によって回路基板と電気的機械的に接合する際に当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)と回路基板との間で熱膨張差が生じても、前記一角位置に対して前記ベースの底面の短辺方向に対向する他角位置と、前記ベースの底面に対して前記他角位置の対角位置にあたる第2の対角位置とは、前記端子電極が形成されない前記無電極領域とされるので、この前記無電極領域に向かって当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の接合時に発生する応力を逃がすことができる。結果として当該電子部品用パッケージと回路基板との間に介在する前記導電性接合材に応力が集中して、前記導電性接合材から疲労破壊が生じにくくすることができる。
特に、回路基板がガラスエポキシ基板からなるものに対して、前記ベースにセラミック材料を用いた場合、前記端子電極がメタライズにより形成された電子部品用パッケージを導電性接合材で接合するものでは、互いの熱膨張差の影響が高くなり、導電性接合材のクラック(例えば、はんだクラック)の悪影響が生じやすかった。これに対して、本発明によれば、これらの部材(構成)の組み合わせたものに対しても、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の応力を緩和し、当該電子部品用パッケージと回路基板との間に介在する前記導電性接合材にクラックを発生させない。また、特別の加工工程を経ることなく、従来からのメタライズの技術により、熱膨張の応力緩和できる端子電極の構造が得られるので、極めて容易かつ安価に形成することができる。
ところで、近年、回路基板への表面実装型電子部品の実装はリフローはんだ付けによる手法が実施されている。すなわち、回路基板の配線パッドに対してはんだペーストを塗布し、その上部に表面実装型電子部品の端子電極を重畳させて搭載した後、加熱炉などではんだペーストを溶融してはんだ付けが実施されている。
これに対して、上記した特許文献1の端子構成では、リフローはんだ付けによる手法で回路基板へ電子部品用パッケージ(具体的にベース)を実装すると、回路基板の配線パッド形状や面積によって、電子部品用パッケージ(具体的にベース)が平面的に回転して搭載実装されることがあった。このような現象は特許文献1のようにベースの対角方向に端子電極が配置されたものではあらわれやすく、対角方向に端子電極が配置された電子部品用パッケージにおける改善すべき問題点となっている。
これに対して、本発明は、上記の目的を達成するだけでなく、この問題点も解決することができ、電子部品用のパッケージと回路基板の搭載接合の信頼性を向上させたより信頼性の高い電子部品用パッケージを提供することができる。
具体的に、本発明によれば、上記したように、前記ベースの少なくとも側面から底面にかけてキャスタレーションが形成され、前記キャスタレーションに前記端子電極と接続された側面端子電極が形成されているので、前記側面端子電極に対して、前記導電性接合材によるフィレットの形成が促進され、前記導電性接合材によるフィレットが前記キャスタレーションに食い込んでアンカー効果を生じる。その結果として、回路基板との接合強度を高めるだけでなく、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的に回転する力を前記導電性接合材によるフィレットにより止められる。
また、前記ベースの底面の辺に前記キャスタレーションを形成することで前記ベースの底面の角部分に前記キャスタレーションを形成する場合にくらべて、前記キャスタレーションの面積を拡大することができ、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の強度を低下させることもない。
従って、前記導電性接合材のクラック等の悪影響を抑制するだけでなく、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的に回転して搭載実装されることもなくなり、当該電子部品用パッケージの回路基板への搭載接合の信頼性を向上させたより信頼性の高い電子部品用パッケージが得られる。
また、前記構成において、前記ベースの底面の両短辺中央部に少なくとも前記キャスタレーションが形成されてもよい。
この場合、上述の作用効果に加え、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の長辺方向で互いに離隔する方向へ張力を生じさせることができるので、さらなる回路基板との接合強度を高めるだけでなく、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的に回転する力をより一層抑制することができる。特に、前記ベースの両短辺中央部に形成される前記キャスタレーションは互いに同形状で対向するように構成することが好ましい。この構成によれば、対向する前記側面端子電極に対して互いに均一な状態で前記導電性接合材によるフィレットの形成が促進され、前記導電性接合材によるフィレットが前記キャスタレーションに食い込んでアンカー効果を生じる。その結果として、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の長辺方向で互いに離隔する方向へ各々に均等な状態で張力を生じさせ、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的に回転する力をより一層抑制することができる。
また、前記構成において、前記ベースの底面の両長辺に少なくとも前記キャスタレーションが形成されてもよい。
この場合、上述の作用効果に加え、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の短辺方向で互いに離隔する方向へ張力を生じさせることができるので、さらなる回路基板との接合強度を高めるだけでなく、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的に回転する力をより一層抑制することができる。特に、前記ベースの両長辺中央部に形成される前記キャスタレーションは互いに同形状で対向するように構成することが好ましい。この構成によれば、対向する前記側面端子電極に対して互いに均一な状態で前記導電性接合材によるフィレットの形成が促進され、前記導電性接合材によるフィレットが前記キャスタレーションに食い込んでアンカー効果を生じる。その結果として、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)の短辺方向で互いに離隔する方向へ各々に均等な状態で張力を生じさせ、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的に回転する力をより一層抑制することができる。
また、前記構成において、前記側面端子電極は、前記ベースの上端部(上面)にまで伸長(延出)して形成されてもよい。すなわち、前記側面端子電極が前記ベースの底面部(底面)から上端部に伸長して形成されていることで、上述の作用効果に加え、前記側面端子電極に形成される導電性接合材によるフィレットの這い上がり性を高めることができ、回路基板とのさらなる接合強度の向上と、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)が平面的な回転抑制力の向上が期待できる。加えて、前記導電性接合材によるフィレットの視認性が向上することで検査がより確実に行えるので、当該電子部品用パッケージの回路基板への搭載接合のさらなる信頼性を高めることができる。
また、前記構成において、前記端子電極の一部に同材質のメタライズからなるバンプが形成されてもよい。
この場合、上述の作用効果に加え、より効率的に応力を緩和できるとともに緩衝効果の高い構成となる。しかも、前記バンプで浮き上がった隙間部分に前記導電性接合材がたまり、その結果、前記バンプを形成した前記端子電極と回路基板との接合面積が増大し、当該電子部品用パッケージ(具体的に前記ベース)と回路基板との接合強度をより高めることができる。また、同材質のメタライズを積層することで極めて容易かつ安価に前記バンプを形成できる。
また、前記構成において、前記第1の端子電極あるいは前記第1の端子電極群に前記バンプが形成され、前記第2の端子電極あるいは前記第2の端子電極群に前記バンプが形成され、前記第1の端子電極あるいは前記第1の端子電極群に形成された前記バンプと、前記第2の端子電極あるいは前記第2の端子電極群に形成された前記バンプとは、前記ベースの底面の長辺方向に離間されてもよい。
この場合、当該電子部品用パッケージを回路基板に前記導電性接合材を介して接合する際に、当該電子部品用パッケージ(具体的にベース)と回路基板との間の熱膨張係数差により回路基板に生じる応力を厚み方向に逃がして当該応力を緩和するのに好適である。
また、前記構成において、前記第1の端子電極あるいは前記第1の端子電極群に前記バンプが形成され、前記第2の端子電極あるいは前記第2の端子電極群に前記バンプが形成され、前記第1の端子電極あるいは前記第1の端子電極群に形成された前記バンプと、前記第2の端子電極あるいは前記第2の端子電極群に形成された前記バンプとは、前記ベースの底面の長辺方向に近接されてもよい。
この場合、当該電子部品用パッケージを回路基板に前記導電性接合材を介して接合する際に、当該電子部品用パッケージ(具体的にベース)と回路基板との間の熱膨張係数差により回路基板に生じる応力を平面方向に逃がして(伸縮させて)当該応力を緩和するのに好適である。
本発明によれば、当該電子部品用パッケージの回路基板への搭載接合の信頼性を向上させることができる。
図1は、本発明の実施例1にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図2は、図1に示すA1−A1線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図3は、実施例1の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図4は、実施例1の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図5は、実施例1の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図6は、本発明の実施例1−2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図7は、実施例1−2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図8は、実施例1−2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図9は、実施例1−2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図10は、実施例1−2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図11は、実施例1−2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図12は、本発明の実施例1−3にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図13は、図12に示すB1−B1線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図14は、本発明の実施例1−4にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図15は、本発明の実施例2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図16は、図15に示すA21−A21線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図17は、図15に示すB2方向から視た表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略側面図である。
図18は、実施例2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図19は、実施例2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図20は、実施例2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図21は、本発明の実施例2―2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図22は、図21に示すA22−A22線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図23は、実施例2―2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図24は、実施例2―2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図25は、実施例2―2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図26は、実施例2―2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図27は、実施例2―2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図28は、実施例2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図29は、本発明の実施例3にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図30は、図29に示すA31−A31線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図31は、図29に示すA32−A32線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図32は、図29に示すA33−A33線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図33は、本発明の実施例3−2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
図34は、図33に示すB31−B31線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図35は、図33に示すB32−B32線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
図36は、図33に示すB33−B33線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、電子部品として表面実装型の水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
本発明の実施例1にかかる表面実装型の水晶振動子について、図面を参照して説明する。図1は、実施例1にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。図2は、図1に示すA1−A1線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。また、図3〜図5は、実施例1の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
実施例1にかかる表面実装型の水晶振動子は、図1,2に示すように、電子部品素子である水晶振動板3と、上部が開口した凹部を有し水晶振動板3を保持する(収納する)ベース1と、ベース1の開口部に接合してベース1に保持した水晶振動板3を気密封止する蓋2(本発明でいう金属蓋)とからなる。
ベース1は、全体として直方体で、アルミナ等のセラミックとタングステンやモリブデン等の導電材料を適宜積層した構成からなる。このベース1は、図2に示すように、断面視凹形の収納部10と、収納部10を囲むようにその周囲に設けられた堤部11を有する。具体的に、ベース1は、矩形(平面視矩形)の平板形状のセラミックのベース基体1aと、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズ(平面視外形サイズ)がベース基体1aとほぼ等しいセラミックの枠体1bからなり、枠体1bの上面に導電材料11aが積層され、ベース基体1aと枠体1bと導電材料11aとが一体的に焼成されている。
なお、堤部11の上面は平坦であり、堤部11上に図示しない封止部材や金属層が形成されている。本実施例1では、例えば、金属層は、タングステンやモリブデン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成である。
また、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4には、上下にキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。すなわち、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4であってベース1の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけてキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。また、キャスタレーションC1,C3の下方に(ベース1の底面から側面の下方一部にかけて)連結電極である側面端子電極121,131が形成され、側面端子電極121,131は後述の端子電極12,13と電気的につながっている(接続されている)。
ベース1の底面は平面視矩形とされ、このベース1の底面には、外部の回路基板4(図2参照)に導電性接合材Dを用いて接合する4つの端子電極12,13,14,15が形成されている。端子電極12,13は、後述する水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する端子電極であり、キャスタレーションC1,C3を介して側面端子電極121,131(側面端子電極131は図示省略)によりベース1の内部の底面に形成された電極パッド122,132(電極パッド132は図示省略)へと延出して電気的に接続されている。端子電極14,15は、後述する蓋2と電気的に接続されたグランド外部接続端子(グランド端子電極)(本発明でいうグランド端子電極)として機能する端子電極であり、ビア(例えば図1の黒丸参照)と配線パターン(図示省略)により導電材料11aと電気的に延出されている。なお、これらの端子電極12,13,14,15、側面端子電極121,131、電極パッド122,132は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
電極パッド122,132間には、水晶振動板3(本発明でいう電子部品素子)が搭載されている。水晶振動板3の表裏面には一対の励振電極と引出電極が形成されている。一対の励振電極と引出電極は、例えば水晶振動板3に接して(水晶振動板3上から)クロム,金の順に、クロム,金,クロムの順に、クロム,銀,クロムの順に、あるいはクロム,銀の順に積層して形成されている。これら各電極(一対の励振電極と引出電極)は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。そして、電極パッド122,132に対して水晶振動板3の引出電極が導電性接合材(図示せず)により導電接合され、ベース1に水晶振動板3が保持されている。例えば、水晶振動板3の励振電極と、ベース1の電極パッド122,123との導電接合には、導電性樹脂接着剤や金属バンプ・ろう材などの導電性接合材を用いることができる。
ベース1を気密封止する蓋2には、金属母材に金属ろう材等の封止材が形成された金属部材が用いられる。蓋2は、例えば、上面からニッケルメッキ層、コバール母材、銅中間層、銀ろう層の順に積層された多層構成であり、銀ろう層がベース1の金属層と接合される。蓋2の平面視外形はベース1の当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。なお、封止部材として銀ろうを用いることに限らず他の封止用ろう材を用いてもよく、また金や金錫などのメッキ層で封止部材を構成してもよい。
このようなベース1の収納部10に水晶振動板3を格納し、蓋2にて被覆してシーム溶接やビーム照射による溶接、あるいは加熱炉によるろう接などの手法により気密封止を行うことで表面実装型の水晶振動子の完成となる。また、水晶振動子の完成品は、図1に示すように、ガラスエポキシ材からなる回路基板4の配線パッド41,42の上部に、例えばはんだ等の導電性接合材Dを介して接合される。
本発明では、ベース1の底面に形成された端子電極12,13,14,15に特徴があるので、以下詳細を説明する。
本実施例1では、ベース1の底面に対してその一角位置である角K1の位置に偏って(偏位して)、2つの端子電極12,14がベース1の底面の短辺方向に並列に形成されて構成される第1の端子電極群が形成されている。また、ベース1の底面に対してその角K1の対角位置にあたる第1の対角位置である角K3の位置に偏って(偏位して)、2つの端子電極13,15がベース1の底面の短辺方向に並列に形成されて構成される第2の端子電極群が形成されている。また、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置(本発明でいう他角位置)と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。加えて、第1の端子電極群と第2の端子電極群は、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において点対称に配されている。また、端子電極12,13は同一形状からなり、端子電極14,15は同一形状からなる。さらに、第1の端子電極群と第2の端子電極群とは、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において対称形状(点対称の形状)とされる。
これらの構成により、本実施例1では、一角位置にあたる角K1に形成された第1の端子電極群と、角1と対角位置にあたる角K3に偏って形成された第2の端子電極群を有しているので、はんだなどの導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に接続性を低下させることがない。また、導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に水晶振動子(具体的にベース1)と回路基板4との熱膨張差が生じても、一角位置に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角位置(角K2の位置)と、ベース1の底面に対して他角位置の対角位置にあたる第2の対角位置(角K4の位置)とは、端子電極12〜15が形成されない無電極領域16,17とされるので、この第1の端子電極群と第2の端子電極群から無電極領域16,17に向かって水晶振動子(具体的にベース1)の接合時に発生する応力を逃がすことができる。結果として、水晶振動子と回路基板4との間に介在する導電性接合材Dに応力が集中して、導電性接合材Dから疲労破壊が生じにくくすることができる。
また、対角に位置する第1の端子電極群と第2の端子電極群とではそれぞれ分割構成されているので、第1の端子電極群と第2の端子電極群における周辺長は、第1の端子電極群と第2の端子電極群とをそれぞれ単一の端子電極で構成した場合と比較して、全体として端子電極の周辺長が増大し、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)の開口を生じにくくすることもできる。
特に、回路基板がガラスエポキシ基板からなるものに対して、ベース1にセラミック材料を用いた場合、端子電極12〜15がメタライズにより形成された水晶振動子のパッケージを導電性接合材Dで接合するものでは、互いの熱膨張差の影響が高くなり、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)の悪影響が生じやすかった。これに対して、本実施例1によれば、これらの部材(構成)の組み合わせたものに対しても、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)の応力を緩和し、当該水晶振動子のパッケージと回路基板4との間に介在する導電性接合材Dにクラックを発生させない。また、特別の加工工程を経ることなく、従来からのメタライズの技術により、熱膨張の応力緩和できる端子電極12〜15の構造が得られるので、極めて容易かつ安価に形成することができる。
加えて、本実施例1によれば、上記したように、端子電極14,15を蓋2と電気的に接続されたグランド端子電極として設定することができるので、外部の回路基板4などの回路(外部回路)で発生した電磁ノイズを蓋2でとらえ、電磁ノイズをグランド端子(グランド端子電極)を介して取り除くことができる。結果として、水晶振動子内部の水晶振動板3に対して電磁ノイズの悪影響を排除することができる。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
従って、本実施例1によれは、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)等の悪影響を抑制し、当該水晶振動子のパッケージの回路基板4への搭載接合の信頼性を向上させることができ、さらにEMS対策することが容易なより信頼性の高い水晶振動子のパッケージが得られる。
また、上記構成に加えて、ベース1の底面に対してその一角位置に偏位して第1の端子電極群が形成され、ベース1の底面に対して一角位置の対角位置にあたる第1の対角位置に偏位して第2の端子電極群が形成され、第1の端子電極群と第2の端子電極群とは、互いにベース1の底面の平面視中心点を中心にして点対称に形成されてもよい。
このような構成であれば、上述の作用効果に加えて、各端子電極群(第1の端子電極群と第2の端子電極群)の方向性がなくなり、ベースの底面の中心点(平面視中心点)から偏りのない、より効率的な応力緩和が行え、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)等の発生を飛躍的に抑制することができる。
また、本実施例1では、並列に形成された(隣接する)端子電極12,14の間のギャップ寸法W3が0.1mm以上に設定されている。また、並列に形成された(隣接する)端子電極13,15の間のギャップ寸法W3が0.1mm以上に設定されている。また、これら端子電極12,14の間のギャップ寸法W3と、端子電極13,15の間のギャップ寸法W3は互いに同じに設定され、同一寸法(ギャップ寸法W3)となっている。また、無電極領域16,17のベース1の底面の短辺方向の寸法W2が、ベース1の底面の短辺方向の全幅寸法W1(短辺の寸法)に対して15%〜40%に設定されている。具体的に、本実施例1では、全幅寸法W1を2.5mm、寸法W2を0.9mmとし、ギャップ寸法W3を0.2mmにて設定している。このため、並列に形成された端子電極12,14の間における短絡や、端子電極13,15の間における短絡の危険性を無くすことができる。さらに、水晶振動子(具体的にベース1)の端子電極形成領域(第1の端子電極群と第2の端子電極群を形成した領域)から無電極領域16,17に向かって応力を緩和する性能を低下させることがない。
なお、無電極領域16,17の寸法を、ベース1の底面の短辺方向の全幅寸法に対して15%より小さく設定すると、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)の中心点(平面視中心点)で平面的に回転させるように応力緩和作用が働きにくくなり、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)等の発生を抑制することができない。また、無電極領域16,17の寸法を、ベース1の底面の短辺方向の全幅寸法に対して40%より大きく設定すると、ギャップ寸法W3を確保することが困難となり、並列に形成された(隣接する)端子電極12,14、や端子電極13,15の間の短絡の危険性が増すだけでなく、端子電極12〜15の面積や幅寸法を必要以上に縮小させなければならなくなるという問題が生じる。特に、端子電極12〜15を縮小することにより、当該水晶振動子のパッケージの回路基板4への導電性接合材Dによる接合強度が低下したり、水晶振動板3の電気的接続性が劣化することが懸念される。
また、本実施例1の端子電極12〜15は、キャスタレーションC1,C3の部分を除いてベース1の底面の辺から隔離してベース1の底面のみに形成している。これは、細分溝(ブレーク溝)を介してベース1がマトリックス状に配置されてなる焼成前のセラミックグリーンシートにおいて、細分溝から接しない状態で端子電極用のメタライズパターンが形成されることに関係する。セラミックグリーンシートが焼成された後に各ベース1として細分溝で分断する際に、端子電極用のメタライズパターンが細分溝にまたがって形成されることによって分断作業性を妨げないようにしている。
本実施例1では、ベース1の底面の角K1と角K3に最も近接した端子電極12,13を水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する端子電極として設定しているが、これに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、互いを入れ替え、角K1と角K3に最も近接した端子電極14,15をグランド外部接続端子(グランド端子電極)として機能する端子電極として設定してもよい。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、端子電極12〜15のベース1の底面での配置は、本実施例1に示す形態に限らず、図4に示すように、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14が長辺方向に並列に形成された第1の端子電極群を構成し、角K1の対角である角K3に偏って2つの端子電極13,15が長辺方向に並列に形成された第2の端子電極群を構成してもよい。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、本実施例1の形態に限らず、図5に示すように、ベース1の底面に端子電極12,13,14が形成されてもよい。この図5に示す実施例の場合、端子電極12,13は水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する端子電極である。また、端子電極14のみが蓋2と接続されたグランド外部接続端子(グランド端子電極)として機能する端子電極として設定したものである。すなわち、この図5に示す実施例では、各端子電極12,13,14のうち、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14が短辺方向に並列に形成された第1の端子電極群を構成し、角K1の対角である角K3に偏って1つの端子電極13が形成された第2の端子電極を構成している。
次に、本発明による実施例1の他の例(実施例1−2)にかかる表面実装型の水晶振動子を、図6〜図11を用いて説明する。図6は実施例1−2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図であり、図7〜図11は実施例1−2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。なお、実施例1と同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例1−2にかかる水晶振動子の第1の端子電極群では、図6に示すように、一角位置(角K1の位置)に最も近接した端子電極12が、他の端子電極14より面積が大きく形成されるとともに幅広に形成されている。また、第2の端子電極群では、他角位置(角K3の位置)に最も近接した端子電極13が、他の端子電極15より面積が大きく形成されるとともに幅広に形成されている。また、この実施例1−2では、端子電極12,13が水晶振動板3と接続する入出力外部接続端子に設定されている。
上記した実施例1−2の構成により、ベース1の角K1と角K3に近接する領域を水晶振動子(ベース1)と回路基板4との導電性接合材Dによる接合強度が最も強い接合領域としながら、並列に形成された端子電極(第1の端子電極群および第2の端子電極群)から無電極領域16,17に向かって接合強度を段階的に弱めて接合領域を構成することができる。結果として、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板Dとの間で熱膨張差が生じても、ベース1の端子電極形成領域(具体的に第1の端子電極群および第2の端子電極群を形成した領域)から無電極領域16,17に向かって水晶振動子(ベース1)の応力を逃がす作用がより高められる。つまり、水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)の底面における中心点で平面的に回転させるように応力緩和作用を高めて偏りのないより効率的な応力緩和が行え、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)の発生を飛躍的に抑制することができる。また、回路基板4との導電性接合材Dによる水晶振動板3(電子部品素子)の電気的接続性が劣化することがなくなる。加えて、水晶振動板3の入出力外部接続端子12,13に対して検査用の測定プローブ等が接触不良を起こす危険性がなくなるので、より確実かつ信頼性の高い検査が実現でき、水晶振動子の電気的性能の向上や歩留まり向上に寄与する構成が実現できる。
なお、第1の端子電極群および第2の端子電極群それぞれにおいて、端子電極12,13を、他の端子電極14,15より大きく面積を形成するか幅広に形成する構成とし、さらに水晶振動板3と接続する入出力外部接続端子に設定しているが、端子電極12,13を入出力外部接続端子に設定しなくてもよい。しかしながら、本実施例1−2に示すように、端子電極12,13を、他の端子電極14,15より大きく面積を形成するか幅広に形成する構成とし、さらに水晶振動板3と接続する入出力外部接続端子に設定する構成が好適である。
また、本実施例1−2にかかる第1の端子電極群および第2の端子電極群では、端子電極12,13が、他の端子電極14,15より面積が大きく形成されるとともに幅広に形成されているが、これに限定されるものではなく、第1の端子電極群および第2の端子電極群のいずれかの端子電極群において1つの端子電極が他の端子電極より面積が大きく形成されるか幅広に形成され、電子部品素子と電気的に接続される端子電極となっていれば、上記した効果を有する。
具体的に、図6に示すように、第1の端子電極群が、ベース1の底面に対して角K1の位置に偏って、2つの端子電極12,14がベース1の底面の短辺方向に沿って並列に形成されて構成されている。また、第2の端子電極群が、ベース1の底面に対して角K1の対角位置にあたる第1の対角位置の角K3の位置に偏って、2つの端子電極13,15がベース1の底面の短辺方向に沿って並列に形成されて構成されている。
加えて、端子電極12,13は、水晶振動板3と接続される入出力外部接続端子であり、端子電極14,15は、グランド外部接続端子(グランド端子電極)である。また、端子電極12,13は、これら端子電極12,13に対してそれぞれベース1の底面の短辺方向に並列する端子電極14,15より、ベース1の底面の角K1、角K3に近接配置されている。また、これら端子電極12,13は、端子電極14,15よりも幅寸法を大きく(幅広に)設定した形成となっている。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
なお、上記した図6に示す実施例では、グランド端子電極である端子電極14,15が、ベース1の底面の短辺方向の位置について正対称に形成されていないが、これは一例であり、図7に示すように、蓋2と電気的に接続されるグランド端子電極である端子電極14,15が、ベース1の底面の短辺方向の位置について正対称に形成されてもよい。
この図7に示す例では、ベース1の底面の長辺方向に沿った分割ラインLが設定され、分割ラインLにより分割されることで、端子電極12,14の分割電極が形成される。また、同様に、分割ラインLにより分割されることで、端子電極13,15の分割電極が形成される。また、第1の端子電極および第2の端子電極の分割ラインLにより無電極領域16,17側に位置するように分割された各端子電極14,15は、ベース1の底面の両短辺中央部に対向してそれぞれ形成されている。なお、グランド端子電極である端子電極14,15のベース1の底面における面積は、入出力外部接続端子である端子電極12,13のベース1の底面における面積と比べて夫々50%以下に設定され、このように、50%以下の面積とすることで接合強度の低下を抑えることができる。
さらに具体的に、この図7に示す例では、ベース1の底面には、外部の回路基板4と導電性接合材Dを用いて接合する2つの端子電極が形成され、ベース1の底面に対してその一角位置である角K1の位置に偏位して、1つの端子電極からなる第1の端子電極が形成され、ベース1の底面に対して角K1の位置の対角位置にあたる第1の対角位置である角K3に偏位して、1つの端子電極からなる第2の端子電極が形成されている。そして、第1の端子電極と第2の端子電極とが、分割ラインLにより分割されて、第1の端子電極から端子電極12,14が形成され、第2の端子電極から端子電極13,15が形成される。なお、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角位置である角K2の位置と、ベース1の底面に対して角K2の位置の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とが、端子電極が形成されない無電極領域とされている。
上記図7に示す例の構成によれば、ベース1の底面の辺方向に沿った分割ラインLが設定され、第1の端子電極(端子電極12,14)と第2の端子電極(端子電極13,15)とがそれぞれ分割ラインLにより分割されるので、端子電極の周辺長が全体として増大され、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)の開口を生じにくくすることもできる。また、導電性接合材Dのクラック等の悪影響を抑制し、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)の回路基板4への搭載接合の信頼性を向上させる。
また、図7に示す例の構成によれば、第1の端子電極(端子電極12,14)と第2の端子電極(端子電極13,15)とがそれぞれ分割ラインLにより分割されるので、各端子電極12,13,14,15の接合領域が均一化されて、回路基板4への接合状態(搭載状態)にバラツキが生じない。その結果、回路基板4へベース1を接合する際に、ベース1の長辺方向あるいは短辺方向への不要な伸び縮みの応力が生じない。
また、図7に示す例の構成によれば、第1の端子電極(端子電極12,14)と第2の端子電極(端子電極13,15)とがそれぞれ分割ラインLにより分割されるので、一角位置(角K1の位置)と第1の対角位置(角K3の位置)に偏位して端子電極12,13,14,15が形成され、他角位置(角K2の位置)と第2の対角位置(角K4の位置)とが無電極領域16,17とされた構成であっても、端子電極が3端子以上の複数の端子をベース1に形成することができ、その特徴的な作用効果を有することができる。具体的に、回路基板4へベース1を接合する際に、無電極領域16,17に応力を逃がしてベース1の長辺方向あるいは短辺方向への不要な伸び縮みの応力が生じない。また、ベース1において実際に対向する端子電極(本実施例では端子電極14,15)の端子電極領域が形成されることで、ベース1の回路基板4への接合強度を高めつつ、水晶振動子(具体的にベース1)が回路基板4上で三次元的にねじれることを抑えることができる。その結果、ベース1の回路基板4への搭載による回路基板4の反りなどの不具合の影響を軽減することができる。
また、図7に示す例の構成によれば、第1の端子電極および第2の端子電極の分割ラインLにより無電極領域16,17側に位置するように分割された各端子電極14,15は、ベース1の底面の両短辺中央部に対向してそれぞれ形成されるので、上記した第1の端子電極(端子電極12,14)と第2の端子電極(端子電極13,15)とがそれぞれ分割ラインLにより分割されることによる上記した作用効果が顕著となる。具体的に、導電性接合材Dのクラック等の悪影響を抑制するだけでなく、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転して搭載実装されることがなくなる。特に、図7に示すように、2つの分割ラインLの間にグランド端子電極である端子電極14,15を形成することで、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転して搭載実装されることがなくなる。
また、図7に示す例の構成によれば、端子電極14,15は、蓋2と電気的に接続されるグランド端子電極として設定されるので、外部の回路基板4の回路で発生した電磁ノイズを蓋2でとらえ、電磁ノイズを端子電極14,15を介して取り除くことができる。結果として、当該水晶振動子のパッケージを回路基板4へ接合する際の接合強度を低下させることなく、さらに、当該水晶振動子のパッケージの内部の電子部品素子(水晶振動板3)に対して電磁ノイズの悪影響を排除することができる。
なお、ベース1の底面の短辺方向の位置について正対称に形成された形態は、図7に示す例に限定されるものではなく、図8に示す例であってもよい。
この図8に示す例では、ベース1の底面の両短辺中央部に、互いに同寸法同形状で正対向するキャスタレーションC5,C6が上下に形成され、これらキャスタレーションC5,C6の上下全体に(ベース1の底面から側面を介して上面にかけて)側面端子電極141,151が形成されている。これらキャスタレーションC5,C6に、それぞれ端子電極14,15が延出形成され、端子電極14,15が側面端子電極141,151に電気的につながっている(接続されている)。
また、図7に示す例と同様に、2つの分割ラインLの間にグランド端子電極である端子電極14,15を形成することで、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転して搭載実装されることがなくなる。また、図8では、端子電極14,15のみならず、キャスタレーションC5,C6および側面端子電極141,151も2つの分割ラインLの間であって、端子電極14,15間の延長線上に形成されているので、図7に示す例と比べて、導電性接合材Dのフィレット形成による回路基板4へのベース1の接合強度の向上と、回路基板4にベース1を搭載する際に回路基板4上におけるベース1の平面的な回転抑制の効果が高まる。
なお、図7,図8に示す例では、ベース1の底面の長辺方向に沿った分割ラインLにより、第1の端子電極と第2の端子電極がそれぞれ2つずつの端子電極(端子電極12,13,14,15)に分割されているが、この分割ラインLの方向はベース1の底面の辺方向に設定されていればよく、ベース1の底面の短辺方向であってもよい。
また、図6〜図8に示す実施例以外の他の具体例として、図9に示すように、第1の端子電極群が、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。また、第2の端子電極群が、角K1の対角である角K3に偏って2つの端子電極13,15がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。
加えて、端子電極12,13は、水晶振動板3と接続される入出力外部接続端子であり、端子電極14,15は、グランド外部接続端子(グランド端子電極)である。また、端子電極12,13は、これら端子電極12,13それぞれと並列する端子電極14,15よりベース1の角K1、角K3に近接配置されている。また、これら端子電極12,13は、端子電極14,15よりも幅寸法を大きく設定した形成となっている。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、他の具体例として、図10に示すように、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14が形成されている。これら端子電極12,14が角K1と角K3とを結ぶ対角線に沿って分割されるとともに並列に形成されて構成される第1の端子電極群が、ベース1の底面に形成されている。また、ベース1の底面の角K1の対角である角K3に偏って2つの端子電極13,15が形成されている。これら端子電極13,15が角K1と角K3とを結ぶ対角線に沿って分割されるとともに並列に形成されて構成される第2の端子電極群が、ベース1の底面に形成されている。
加えて、端子電極12,13は、水晶振動板3と接続される入出力外部接続端子であり、端子電極14,15は、グランド外部接続端子(グランド端子電極)である。また、端子電極12,13は、これら端子電極12,13にそれぞれ並列する端子電極14,15より面積が大きくなるように形成されている。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、他の具体例として、図11に示すように、第1の端子電極群が、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。また、第2の端子電極群が、ベース1の底面の角K1の対角である角K3に偏って2つの端子電極13,15がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。
加えて、端子電極12,13は、水晶振動板3と接続される入出力外部接続端子であり、端子電極14,15は、グランド外部接続端子(グランド端子電極)である。また、端子電極12,13は、これら端子電極12,13に並列する端子電極14,15よりベース1の角K1、角K3に近接配置されている。また、これら端子電極12,13は、端子電極14,15より面積が大きくなるように形成されている。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
次に、本発明による実施例1の他の例(実施例1−3)にかかる表面実装型の水晶振動子を、図12、図13を用いて説明する。図12は実施例1−3にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図であり、図13は、図12に示すB−B線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。なお、実施例1と同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例1−3にかかる水晶振動子では、図12に示すように、第1の端子電極群が、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14が、ベース1の底面の短辺方向に並列に形成されて構成される。また、第2の端子電極群が、角K1の対角である角K3に偏って2つの端子電極13,15がベース1の底面の短辺方向に並列に形成されて構成される。
加えて、各端子電極12,13,14,15の上部には、各端子電極12,13,14,15より若干小さくほぼ同形状(平面視同形状)のバンプ12B,13B,14B,15Bがそれぞれ形成されている。これらバンプ12B,13B,14B,15Bは、端子電極12,13,14,15のメタライズ上部に同材質のメタライズ(タングステン、モリブデン等)を所望の形状で積層して形成されている。これら端子電極12,13,14,15とバンプ12B,13B,14B,15Bは、これらのメタライズ材料がベース1と一体的に焼成され、当該メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成されている。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
本実施例1−3では、これらの構成により、ベース1と回路基板4との熱膨張差による応力が生じても、バンプ12B,13B,14B,15Bと端子電極12,13,14,15の段差によって、より効率的に応力を緩和させることができる。しかもこの構成によれば、バンプ12B,13B,14B,15Bによりベース1と回路基板4との間で浮き上がった隙間部分に導電性接合材Dがたまるので、このたまった導電性接合材Dによりベース1と回路基板4との接合強度をより高めることができる。また、端子電極12,13,14,15に同材質のメタライズを積層することで極めて容易かつ安価にバンプ12B,13B,14B,15Bを形成することができる。
次に、本発明による実施例1の他の例(実施例1−4)にかかる表面実装型の水晶振動子を、図14を用いて説明する。図14は実施例1−4にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。なお、実施例1と同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例1−4にかかる水晶振動子では、図14に示すように、ベース1の底面の角K1に偏って第1の端子電極12が形成され、角K1の対角である角K3に偏って第2の端子電極13が形成されている。
また、本実施例1−4では、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。
加えて、第1の端子電極12と第2の端子電極13は、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において点対称に配されている。また、端子電極12,13は同一形状からなる。これら第1の端子電極12と第2の端子電極13とは、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において対称形状(点対称の形状)とされる。さらに、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)には、第1の端子電極12と第2の端子電極13より面積(平面視面積)が小さいグランド端子電極14が形成され、このグランド端子電極14は、蓋2と電気的に接続される。
本実施例1−4では、これらの構成により、一角位置である角K1の位置に第1の端子電極12が形成され、その対角位置である角K3の位置に第2の端子電極13が形成されているので、導電性接合材D(はんだ等)によって回路基板4と電気的機械的に接合する際に接続性を低下させることがない。また、導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に水晶振動子(ベース1)と回路基板4との熱膨張差が生じても、第1の端子電極12と第2の端子電極13から無電極領域16,17に向かって水晶振動子(ベース1)の応力を逃がすことができる。結果として、水晶振動子と回路基板4との間に介在する導電性接合材Dに応力が集中して、導電性接合材Dから疲労破壊が生じにくくすることができる。
加えて、端子電極14が蓋2と接続されたグランド端子電極として設定しているので、外部の回路基板4の回路で発生した電磁ノイズを蓋2でとらえ、当該電磁ノイズをグランド端子電極である端子電極14を介して取り除くことができる。結果として、水晶振動子内部の水晶振動板3に対して電磁ノイズの悪影響を排除することができる。なお、端子電極14は、第1の端子電極12および第2の端子電極13より面積が小さくベース1の中心点O(平面視中心点)に形成されているので、上記応力緩和作用を阻害することがない。
次に、本発明の実施例2にかかる表面実装型の水晶振動子について、図面を参照して説明する。図15は、実施例2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。図16は、図15に示すA2−A2線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。図17は、図15に示すB2方向から視た表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略側面図である。また、図18〜図20は、実施例2の変形例にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。
なお、この実施例2にかかる表面実装型の水晶振動子は、上記した実施例1やその変形例などにかかる端子電極を含む電極の構成とキャスタレーションの構成が異なるだけ、他の構成は同一構成からなり、同一構成による作用効果は実施例1やその変形例などと同様の作用効果を有する。そのため、実施例1やその変形例などと同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例2にかかる表面実装型の水晶振動子は、図15,図16に示すように、電子部品素子である水晶振動板3と、上部が開口した凹部を有し水晶振動板3を保持する(収納する)ベース1と、ベース1の開口部に接合してベース1に保持した水晶振動板3を気密封止する蓋2とからなる。
ベース1は、全体として直方体で、アルミナ等のセラミックとタングステンやモリブデン等の導電材料を適宜積層した構成からなる。このベース1は、図16に示すように、断面視凹形の収納部10と、収納部10を囲むようにその周囲に設けられた堤部11を有する。具体的に、ベース1は、矩形(平面視矩形)の平板形状のセラミックのベース基体1aと、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズ(平面視外形サイズ)がベース基体1aとほぼ等しいセラミックの枠体1bからなり、ベース基体1aと枠体1bとが一体的に焼成されている。
なお、堤部11の上面は平坦であり、蓋2との封止領域となっている。また、堤部11上には封止構成に応じて封止部材や金属層を形成してもよい。例えば、金属層として、タングステンやモリブデン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成が挙げられる。
また、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4には、上下に円形状(平面視円形状)のキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。すなわち、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4であってベース1の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけてキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。
また、ベース1の底面の両短辺中央部に、互いに同寸法同形状で正対向するキャスタレーションC5,C6が上下に形成されている。本実施例2では、キャスタレーションC5,C6は、例えば幅寸法Wを0.5mmとした長円形状に形成されている。これらキャスタレーションC5,C6の上下全体に(ベース1の底面から側面を介して上面にかけて)連結電極である側面端子電極121,131が形成され、側面端子電極121,131は後述の端子電極12,13と電気的につながっている(接続されている)。すなわち、側面端子電極121,131は、キャスタレーションC5,C6のみに形成されている。そして、この側面端子電極121,131の幅寸法は0.5mmに設定され、ベース1の上端部(上面)にまで延出して形成されている。このように、側面端子電極121,131をキャスタレーションC5,C6)のみに形成することで、側面端子電極121,131自体の形成が容易となり、その幅寸法の設定が容易となって、好ましい形態となるが、これに限定されるものではなく、側面端子電極121,131がキャスタレーションC5,C6からはみ出して形成されてもよい。
ベース1の底面は平面視矩形とされ、このベース1の底面には、外部の回路基板4(図16参照)に導電性接合材Dを用いて接合する2つの端子電極12,13が形成されている。端子電極12,13は、後述する水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する端子電極であり、キャスタレーションC5,C6を介して側面端子電極121,131(側面端子電極131は図示省略)によりベース1の内部の底面に形成された電極パッド122,132(電極パッド132は図示省略)へと延出して電気的に接続されている。なお、これらの端子電極12,13、側面端子電極121,131、電極パッド122,132は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
電極パッド122,132間には、水晶振動板3(本発明でいう電子部品素子)が搭載されている。水晶振動板3の表裏面には一対の励振電極と引出電極が形成されている。一対の励振電極と引出電極は、例えば水晶振動板3に接して(水晶振動板3上から)クロム,金の順に、クロム,金,クロムの順に、クロム,銀,クロムの順に、あるいはクロム,銀の順に積層して形成されている。これら各電極(一対の励振電極と引出電極)は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。そして、電極パッド122,132に対して水晶振動板3の引出電極が導電性接合材(図示せず)により導電接合され、ベース1に水晶振動板3が保持されている。例えば、水晶振動板3の励振電極と、ベース1の電極パッド122,123との導電接合には、導電性樹脂接着剤や金属バンプやろう材などの導電性接合材を用いることができる。
ベース1を気密封止する蓋2には、アルミナ等のセラミックにガラス等の封止材が形成された構成のものが用いられる。蓋2の平面視外形はベース1の当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。
このようなベース1の収納部10に水晶振動板3を格納し、蓋2にて被覆して加熱炉などの中で気密封止を行うことで表面実装型の水晶振動子の完成となる。また、水晶振動子の完成品は、図15に示すように、ガラスエポキシ材からなる回路基板4の配線パッド41,42の上部に、例えばはんだ等の導電性接合材Dを介して接合される。
なお、封止方法に応じて蓋2に金属母材に金属ろう材等の封止材が形成された金属部材を用いてもよい。この場合、シーム溶接やビーム照射による溶接、あるいは加熱炉などによるろう接などの手法により、水晶振動板3を蓋2とベース1により気密封止することができる。
本発明では、ベース1の底面に形成された端子電極12,13と、キャスタレーションC5,C6と、側面端子電極121,131との構成の組み合わせに特徴があるので、以下、この特徴的な構成の詳細を説明する。
本実施例2では、ベース1の底面に対してその一角位置である角K1の位置に偏って(偏位して)、1つの端子電極(具体的に第1の端子電極12)が形成されている。また、ベース1の底面に対してその角K1の対角位置にあたる第1の対角位置である角K3の位置に偏って(偏位して)、1つの端子電極(具体的に第2の端子電極13)が形成されている。
また、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置(本発明でいう他角位置)と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。
加えて、第1の端子電極12と第2の端子電極13は、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において点対称に配されている。また、端子電極12,13は同一形状からなる。
これらの構成により、本実施例2では、一角位置にあたる角K1に形成された第1の端子電極12と、角1と対角位置にあたる角K3に偏って形成された第2の端子電極13を有しているので、はんだなどの導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に接続性を低下させることがない。また、導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に水晶振動子(具体的にベース1)と回路基板4との熱膨張差が生じても、一角位置に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角位置(角K2の位置)と、ベース1の底面に対して他角位置の対角位置にあたる第2の対角位置(角K4の位置)とは、第1の端子電極12と第2の端子電極13が形成されない無電極領域16,17とされるので、この第1の端子電極12と第2の端子電極13から無電極領域16,17に向かって水晶振動子(具体的にベース1)の接合時に発生する応力を逃がすことができる。結果として、水晶振動子と回路基板4との間に介在する導電性接合材Dに応力が集中して、導電性接合材Dから疲労破壊が生じにくくすることができる。
また、図17に示すように、対向する側面端子電極121,131に対して互いに均一な状態で導電性接合材Dによるフィレットの形成が促進される。加えて、導電性接合材DによるフィレットがキャスタレーションC5,C6に食い込んでアンカー効果を生じる。その結果として、水晶振動子(ベース1)の底面の長辺方向で互いに離隔する方向へ各々に均等な状態で張力を生じさせ、回路基板4との接合強度を高めるだけでなく、水晶振動子(ベース1)が平面的に回転する力を抑制することができる。
また、側面端子電極121,131は、キャスタレーションC5,C6の上下全体のみに(ベース1の底面部から側面を介して上端部にかけて)に形成され、これら側面端子電極121,131の幅寸法が0.5mmとされているので、側面端子電極121,131に形成される(接着される)はんだなどの導電性接合材Dによるフィレットがより幅広な形状となって強固なものとなり、ベース1(側面端子電極121,131)と回路基板4(配線パッド41,42)とのさらなる接合強度の向上と、水晶振動子(ベース1)が平面的な回転抑制力の向上が期待できる。加えて、はんだなどの導電性接合材Dによるフィレットの視認性が向上することで検査がより確実に行えるので、水晶振動子の回路基板4への搭載接合のさらなる信頼性を高めることができる。なお、側面端子電極121,131はベース1の上端部にまで延出して形成するものに限らず、ベース1の途中まで形成したものであってもよい。
なお、側面端子電極121,131の幅寸法が0.5mmとされているが、0.5mm以上であってベース1の底面の短辺の幅寸法未満にて形成することで、上記同様にはんだなどの導電性接合材Dによるフィレットの幅広化と視認性向上が期待でき、当該水晶振動子のパッケージと回路基板4の搭載接合のさらなる信頼性を高めることができる。
また、第1の端子電極12と第2の端子電極13がベース1の底面の平面視中心点(中心点O)を中心にして点対称で構成されることで、これら第1の端子電極12と第2の端子電極13の互いの方向性がなくなり、水晶振動子の搭載作業性が向上するだけでなく、ベース1の中心点Oから偏りのないより効率的な応力緩和が行え、導電性接合材Dのクラック(はんだクラック等)の発生を飛躍的に抑制することができる。
また、本実施例2にかかる第1の端子電極12および第2の端子電極13は、キャスタレーションC5,C6の部分を除いてベース1の底面の辺から隔離してベース1の底面のみに形成している。これは、細分溝(ブレーク溝)を介してベース1がマトリックス状に配置された焼成前のセラミックグリーンシートにおいて、細分溝から接しない状態で端子電極用のメタライズパターンが形成されることに関係する。セラミックグリーンシートが焼成された後に各ベース1として細分溝で分断する際に、端子電極用のメタライズパターンが細分溝にまたがって形成されることによって分断作業性を妨げないようにしている。
本実施例2では、ベース1の底面の角K1と角K3に最も近接した第1の端子電極12と第2の端子電極13を水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する2端子電極として設定したものを例示している。しかしながら、入出力外部接続端子以外の機能端子を第1の端子電極12と第2の端子電極13との少なくとも一方に加味してもよい。以下、その具体例について図面とともに説明する。
具体的に、図18に示すように、ベース1の底面に対してその一角位置である角K1の位置に偏って(偏位して)、2つの端子電極12,14がベース1の底面の短辺方向に並列に形成されて構成される第1の端子電極群が形成されている。また、ベース1の底面に対してその角K1の対角位置にあたる第1の対角位置である角K3の位置に偏って(偏位して)、2つの端子電極13,15がベース1の底面の短辺方向に並列に形成されて構成される第2の端子電極群が形成されている。また、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置(本発明でいう他角位置)と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。加えて、第1の端子電極群と第2の端子電極群は、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において点対称に配されている。また、端子電極12,13は同一形状からなり、端子電極14,15は同一形状からなる。さらに、第1の端子電極群と第2の端子電極群とは、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において対称形状(点対称の形状)とされる。
なお、端子電極12,13は、水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能するものであり、端子電極14,15は、金属性の蓋2(図示せず)とキャスタレーションC5,C6を介して接続されたグランド端子電極として機能するものである。
具体的に、ベース1の底面の両短辺中央部に、互いに同寸法同形状で正対向するキャスタレーションC5,C6が上下に形成されている。本実施例2では、キャスタレーションC5,C6は、例えば幅寸法Wを0.5mmとした長円形状に形成されている。これらキャスタレーションC5,C6の上下全体に(ベース1の底面から側面を介して上面にかけて)側面端子電極141,151が形成され、側面端子電極141,151は端子電極14,15と電気的につながっている(接続されている)。すなわち、側面端子電極141,151は、キャスタレーションC5,C6のみに形成されている。そして、この側面端子電極141,151の幅寸法は0.5mmに設定され、ベース1の上端部(上面)にまで延出して形成されている。このように、側面端子電極141,151をキャスタレーションC5,C6のみに形成することで、側面端子電極141,151自体の形成が容易となり、その幅寸法の設定が容易となって、好ましい形態となるが、これに限定されるものではなく、側面端子電極141,151がキャスタレーションC5,C6からはみ出して形成されてもよい。
上記した構成からなる図18に示す本実施例2の変形例によれば、上記本実施例2の作用効果に加えて、外部の回路基板4の回路で発生した電磁ノイズを金属性の蓋2でとらえ、当該電磁ノイズがグランド端子電極である端子電極14,15を介して取り除くことができる。結果として、水晶振動子内部の水晶振動板3に対して電磁ノイズの悪影響を排除することができる。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、他の具体例として、図19に示すように、第1の端子電極群が、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。また、第2の端子電極群が、角K1の対角である角K3に偏って2つの端子電極13,15がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。
また、端子電極12,13は、水晶振動板3と接続される入出力外部接続端子であり、端子電極14,15は、金属性の蓋2(図示せず)とビアを介して接続されたグランド外部接続端子(グランド端子電極)である。また、端子電極12,13は、これら端子電極12,13それぞれと並列する端子電極14,15よりベース1の角K1、角K3に近接配置されている。また、端子電極12はキャスタレーションC1,C5まで延出形成され、端子電極13はキャスタレーションC3,C6まで延出形成されている。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置(本発明でいう他角位置)と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。加えて、第1の端子電極群と第2の端子電極群は、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において点対称に配されている。また、端子電極12,13は同一形状からなり、端子電極14,15は同一形状からなる。さらに、第1の端子電極群と第2の端子電極群とは、ベース1の底面の中心点O(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において対称形状(点対称の形状)とされる。
また、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4には、上下に円形状(平面視円形状)のキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。すなわち、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4であってベース1の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけてキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。
さらに、ベース1の底面の両短辺中央部に、互いに同寸法同形状で正対向するキャスタレーションC5,C6が上下に形成されている。本実施例2では、キャスタレーションC5,C6は、例えば幅寸法Wを0.5mmとした長円形状に形成されている。これらキャスタレーションC5,C6の上下全体に(ベース1の底面から側面を介して上面にかけて)側面端子電極121,131が形成され、側面端子電極121,131は端子電極12,13と電気的につながっている(接続されている)。すなわち、側面端子電極121,131は、キャスタレーションC5,C6のみに形成されている。そして、この側面端子電極121,131の幅寸法は0.5mmに設定され、ベース1の上端部(上面)にまで延出して形成されている。このように、側面端子電極121,131をキャスタレーションC5,C6のみに形成することで、側面端子電極121,131自体の形成が容易となり、その幅寸法の設定が容易となって、好ましい形態となるが、これに限定されるものではなく、側面端子電極121,131がキャスタレーションC5,C6からはみ出して形成されてもよい。
上記した構成からなる図19に示す本実施例2の変形例によれば、上記第1の実施形態の作用効果に加えて、外部の回路基板4の回路で発生した電磁ノイズを金属性の蓋2でとらえ、当該電磁ノイズがグランド端子電極である端子電極14,15を介して取り除くことができる。結果として、水晶振動子内部の水晶振動板3に対して電磁ノイズの悪影響を排除することができる。なお、端子電極14,15のうち一方のみをグランド端子電極として設定してもよい。
また、他の具体例では、図20に示すように、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4には、上下に円形状(平面視円形状)のキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。また、ベース1の底面の両短辺中央部に、互いに同寸法同形状で正対向する長円形状のキャスタレーションC5,C6が上下に形成されている。これらキャスタレーションC5,C6の下側に(ベース1の底面から側面にかけて)側面端子電極131,141が形成され、側面端子電極131,141は端子電極13,14と電気的につながっている(接続されている)。すなわち、側面端子電極131,141は、キャスタレーションC5,C6のみに形成されている。
図20に示すように、第1の端子電極群が、ベース1の底面の角K1に偏って2つの端子電極12,14がベース1の底面の長辺方向に並列に形成されて構成されている。また、角K1の対角である角K3に偏って1つの端子電極13がベース1の底面に形成されている。また、端子電極12,13は、水晶振動板3と接続される入出力外部接続端子であり、端子電極14は、金属性の蓋2(図示せず)とキャスタレーションC5を介して接続されたグランド端子電極である。
端子電極12は、端子電極12と並列する端子電極14よりベース1の角K1に近接配置され、端子電極13は、ベース1の角K3に近接配置されている。また、端子電極12はキャスタレーションC1まで延出形成され、端子電極13はキャスタレーションC6まで延出形成され、端子電極14はキャスタレーションC5まで延出形成されている。
また、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置(本発明でいう他角位置)と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。
上記した構成からなる図20に示す本実施例2の変形例によれば、本実施例2の作用効果に加えて、外部の回路基板4の回路で発生した電磁ノイズを金属性の蓋2でとらえ、当該電磁ノイズがグランド端子電極である端子電極14を介して取り除くことができる。結果として、水晶振動子内部の水晶振動板3に対して電磁ノイズの悪影響を排除することができる。
次に、本発明による実施例2の他の例(実施例2−2)にかかる表面実装型の水晶振動子を、図21、図22を用いて説明する。図21は実施例2−2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図であり、図22は、図21に示すA22−A22線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。なお、実施例2と同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例2−2にかかる水晶振動子では、図21に示すように、第1の端子電極12が、ベース1の底面の角K1に偏って形成されている。また、第2の端子電極13が、角K1の対角である角K3に偏って形成されている。
加えて、各端子電極12,13の上部には、各端子電極12,13より若干小さくほぼ同形状(平面視同形状)のバンプ12B,13Bがそれぞれ形成されている。これらバンプ12B,13Bは、端子電極12,13のメタライズ上部に同材質のメタライズ(タングステン、モリブデン等)を所望の形状で積層して形成されている。これら端子電極12,13とバンプ12B,13Bは、これらのメタライズ材料がベース1と一体的に焼成され、当該メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成されている。
本実施例2−2では、これらの構成により、ベース1と回路基板4との熱膨張差による応力が生じても、バンプ12B,13Bと端子電極12,13の段差によって、より効率的に応力を緩和させることができる。しかもこの構成によれば、バンプ12B,13Bによりベース1と回路基板4との間で浮き上がった隙間部分に導電性接合材Dがたまるので、このたまった導電性接合材Dによりベース1と回路基板4との接合強度をより高めることができる。また、端子電極12,13に同材質のメタライズを積層することで極めて容易かつ安価にバンプ12B,13Bを形成することができる。
上記した実施例2やその変形例、および実施例2−2では、ベース1の底面の両短辺中央部に同寸法同形状で正対向するように形成されたキャスタレーション(具体的にキャスタレーションC5,C6)と側面端子電極(具体的に、側面端子電極121,131,141,151のいずれかの側面端子電極)について説明しているが、ベース1の底面の両短辺中央部付近で、これらキャスタレーションC5,C6(側面端子電極含む)が正対向するのではなくその一部が対向したものでもよく、互いに異寸法のキャスタレーションC5,C6(側面端子電極含む)や異形状のキャスタレーションC5,C6(側面端子電極含む)を組み合わせてもよい。
また、上記した実施例2やその変形例、および実施例2−2では、キャスタレーションC5,C6(側面端子電極含む)がベース1(ベース1の底面)の短辺に形成されているが、これに限定されるものではなく、ベース1(ベース1の底面)の長辺にキャスタレーションや側面端子電極が形成されてもよい。このように、ベース1のいずれかの辺部分に1つ以上のキャスタレーションと側面端子電極を形成することで、側面端子電極に対してはんだなど導電性接合材によるフィレットの形成が促進され、はんだなどの導電性接合材によるフィレットがキャスタレーションに食い込んでアンカー効果を生じる。その結果として、水晶振動子の回路基板への接合強度を高めるだけでなく、電子部品用パッケージである水晶振動子用のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転する力をはんだなどの導電性接合材によるフィレットにより止められる。
具体的に、ベース1(ベース1の底面)の長辺にキャスタレーションや側面端子電極が形成された例を図23に示す。
この図23に示す例では、ベース1(ベース1の底面)の長辺にキャスタレーションC7,C8や側面端子電極123,133が形成され、この側面端子電極123,133ている。
この図23に示す例では、ベース1の底面の両長辺の角K1および角K3近傍に偏位して、互いに同寸法同形状のキャスタレーションC7,C8が上下に形成され、これらキャスタレーションC7,C8の上下全体に(ベース1の底面から側面を介して上面にかけて)側面端子電極123,133が形成されている。これらキャスタレーションC7,C8に、それぞれ端子電極12,13が延出形成され、端子電極12,13が、キャスタレーションC5,C6に形成された側面端子電極121,131だけでなく、側面端子電極123,133にも電気的につながっている(接続されている)。
この場合、上述の実施例2やその変形例、および実施例2−2の作用効果に加え、さらなる回路基板4との接合強度を高めるだけでなく、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転する力をより一層抑制することができる。
なお、図23に示す例では、ベース1の底面の両長辺の角K1および角K3近傍に偏位して、キャスタレーションC7,C8が形成されているが、これに限定されるものではない。特に、ベース1の両長辺中央部に互いに同形状のキャスタレーションが対向して形成されることが好ましい。この構成によれば、対向するキャスタレーションに形成された側面端子電極に対して互いに均一な状態で導電性接合材Dによるフィレットの形成が促進され、導電性接合材Dによるフィレットがキャスタレーションに食い込んでアンカー効果を生じる。その結果として、当該水晶振動子のパッケージの短辺方向で互いに離隔する方向へ各々に均等な状態で張力を生じさせ、当該水晶振動子のパッケージが平面的に回転する力をより一層抑制することができる。
また、上記した図21,図22に示す実施例2−2では、各端子電極12,13の上部に各端子電極12,13より若干小さくほぼ同形状(平面視同形状)のバンプ12B,13Bがそれぞれ形成されているが、バンプ12B,13Bの形状はこれに限定されるものではない。例えば、図24,図25,図26,図27に示すバンプ12B,13Bの形状であってもよい。
図24に示すバンプ12B,13Bは、キャスタレーションC5,C6に、それぞれ端子電極12,13とともに延出形成され、バンプ12B,13Bが、キャスタレーションC5,C6に形成された側面端子電極121,131に電気的につながっている(接続されている)。このようにバンプ12B,13Bが、キャスタレーションC5,C6に形成された側面端子電極121,131に電気的につながることで、導電性接合材Dがベース1の内側(内方)へ逃げてゆくことが少なくなり、フィレットの形成がしやすくなってベース1の回路基板4への接合強度も向上する。
図25に示すバンプ12B,13Bは、第1の端子電極である端子電極12と第2の端子電極である端子電極13に形成されている。これら端子電極12に形成されたバンプ12Bと、端子電極13に形成されたバンプ13Bとは、ベース1の底面の長辺方向に近接されている。
この図25に示すように、端子電極12に形成されたバンプ12Bと、端子電極13に形成されたバンプ13Bとが、ベース1の底面の長辺方向に近接されることで、当該水晶振動子のパッケージを回路基板4に導電性接合材Dを介して接合する際に、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板4との間の熱膨張係数差により回路基板4に生じる応力を平面方向に逃がして(伸縮させて)当該応力を緩和することができる。
図26に示すバンプ12B,13Bは、第1の端子電極である端子電極12と第2の端子電極である端子電極13に形成されている。これら端子電極12に形成されたバンプ12Bと、端子電極13に形成されたバンプ13Bとは、ベース1の底面の長辺方向に離間されている。
この図26に示すように、端子電極12に形成されたバンプ12Bと、端子電極13に形成されたバンプ13Bとが、ベース1の底面の長辺方向に離間されることで、当該水晶振動子のパッケージを回路基板4に導電性接合材Dを介して接合する際に、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板4との間の熱膨張係数差により回路基板4に生じる応力を厚み方向に逃がして当該応力を緩和することができる。
図27に示すバンプ12B,13Bは、第1の端子電極である端子電極12と第2の端子電極である端子電極13に形成されている。これら端子電極12に形成されたバンプ12Bと、端子電極13に形成されたバンプ13Bとは、ベース1の底面の長辺方向に正対向した状態で近接されている。
この図27に示すように、端子電極12に形成されたバンプ12Bと、端子電極13に形成されたバンプ13Bとが、ベース1の底面の長辺方向に正対向した状態で近接されることで、当該水晶振動子のパッケージを回路基板4に導電性接合材Dを介して接合する際に、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板4との間の熱膨張係数差により回路基板4に生じる応力を平面方向に逃がして(伸縮させて)当該応力を緩和することができる。具体的に、各端子電極12,13の接合領域が均一化されて、回路基板4への接合状態(搭載状態)にバラツキが生じない。その結果、回路基板4へベース1を接合する際に、ベース1の長辺方向あるいは短辺方向への不要な伸び縮みの応力が生じない。また、図27に示す例では、図25に示す例と比べてバンプ12B,13Bを小さくしているので、さらに回路基板当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板4との間の熱膨張係数差により回路基板4に生じる応力を逃がす方向を多くして、効率よく応力を緩和することができる。
また、上記した実施例2や実施例2−2、およびその変形例では、端子電極からキャスタレーションに形成された側面端子電極までの電極の引回しの長さを短く設定しているが、これに限定されるものではなく、図28に示すように、端子電極からキャスタレーションに形成された側面端子電極までの電極の引回しの長さを長く設定してもよい。また、図28に示す例だけではなく、ビアをベース1の底面に形成して端子電極12,13からビアまでの電極の引回しの構成としてもよい。
図28に示す第1の端子電極である端子電極12と第2の端子電極である端子電極13は、ベース1の底面の中央付近において、底面の長辺方向に正対向した状態で近接されている。このように、ベース1の底面の中央付近に端子電極12と端子電極13が形成されることで、当該水晶振動子のパッケージを回路基板4に導電性接合材Dを介して接合する際に、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板4との間の熱膨張係数差により回路基板4に生じる応力を平面方向に逃がして(伸縮させて)当該応力を緩和することができる。具体的に、各端子電極12,13の接合領域が均一化されて、回路基板4への接合状態(搭載状態)にバラツキが生じない。その結果、回路基板4へベース1を接合する際に、ベース1の長辺方向あるいは短辺方向への不要な伸び縮みの応力が生じない。また、図28に示す例では、上記した他の例と比べて端子電極12,13の面積(平面視面積)を小さくしているので、さらに回路基板当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)と回路基板4との間の熱膨張係数差により回路基板4に生じる応力を逃がす方向を多くして、効率よく応力を緩和することができる。
次に、本発明の実施例3にかかる表面実装型の水晶振動子について、図面を参照して説明する。図29は、実施例3にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。図30は、図29に示すA31−A31線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。図31は、図29に示すA32−A32線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。図32は、図29に示すA33−A33線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。
なお、この実施例3にかかる表面実装型の水晶振動子は、上記した実施例1,2やその変形例などにかかる端子電極を含む電極の構成とキャスタレーションの構成が異なるだけ、他の構成は同一構成からなり、同一構成による作用効果は実施例1,2やその変形例などと同様の作用効果を有する。そのため、実施例1,2やその変形例などと同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例3にかかる表面実装型の水晶振動子は、図29〜図32に示すように、電子部品素子である水晶振動板3と、上部が開口した凹部を有し水晶振動板3を保持する(収納する)ベース1と、ベース1の開口部に接合してベース1に保持した水晶振動板3を気密封止する蓋2とからなる。
ベース1は、全体として直方体で、アルミナ等のセラミックとタングステンやモリブデン等の導電材料を適宜積層した構成からなる。このベース1は、図30に示すように、断面視凹形の収納部10と、収納部10を囲むようにその周囲に設けられた堤部11を有する。具体的に、ベース1は、矩形(平面視矩形)の平板形状のセラミックのベース基体1aと、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズ(平面視外形サイズ)がベース基体1aとほぼ等しいセラミックの枠体1bからなり、ベース基体1aと枠体1bとが一体的に焼成されている。
なお、堤部11の上面は平坦であり、蓋2との封止領域となっている。また、堤部11上には封止構成に応じて封止部材や金属層を形成してもよい。例えば、金属層として、タングステンやモリブデン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成が挙げられる。
また、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4には、上下に円形状(平面視円形状)のキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。すなわち、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4であってベース1の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけてキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。
また、ベース1の底面の両短辺中央部に、互いに同寸法同形状で正対向するキャスタレーションC5,C6が上下に形成されている。本実施例2では、キャスタレーションC5,C6は、例えば幅寸法Wを0.5mmとした長円形状に形成されている。これらキャスタレーションC5,C6の上下全体に(ベース1の底面から側面を介して上面にかけて)連結電極である側面端子電極121,131が形成され、側面端子電極121,131は後述の端子電極12,13と電気的につながっている(接続されている)。すなわち、側面端子電極121,131は、キャスタレーションC5,C6のみに形成されている。そして、この側面端子電極121,131の幅寸法は0.5mmに設定され、ベース1の上端部(上面)にまで延出して形成されている。このように、側面端子電極121,131をキャスタレーションC5,C6)のみに形成することで、側面端子電極121,131自体の形成が容易となり、その幅寸法の設定が容易となって、好ましい形態となるが、これに限定されるものではなく、側面端子電極121,131がキャスタレーションC5,C6からはみ出して形成されてもよい。
ベース1の底面は平面視矩形とされ、このベース1の底面には、外部の回路基板4(図30参照)に導電性接合材Dを用いて接合する2つの端子電極12,13が形成されている。端子電極12,13は、後述する水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する端子電極であり、キャスタレーションC5,C6を介して側面端子電極121,131(側面端子電極131は図示省略)によりベース1の内部の底面に形成された電極パッド122,132(電極パッド132は図示省略)へと延出して電気的に接続されている。なお、これらの端子電極12,13、側面端子電極121,131、電極パッド122,132は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
電極パッド122,132間には、水晶振動板3(本発明でいう電子部品素子)が搭載されている。水晶振動板3の表裏面には一対の励振電極と引出電極が形成されている。一対の励振電極と引出電極は、例えば水晶振動板3に接して(水晶振動板3上から)クロム,金の順に、クロム,金,クロムの順に、クロム,銀,クロムの順に、あるいはクロム,銀の順に積層して形成されている。これら各電極(一対の励振電極と引出電極)は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。そして、電極パッド122,132に対して水晶振動板3の引出電極が導電性接合材(図示せず)により導電接合され、ベース1に水晶振動板3が保持されている。例えば、水晶振動板3の励振電極と、ベース1の電極パッド122,123との導電接合には、導電性樹脂接着剤や金属バンプやろう材などの導電性接合材を用いることができる。
ベース1を気密封止する蓋2には、アルミナ等のセラミックにガラス等の封止材が形成された構成のものが用いられる。蓋2の平面視外形はベース1の当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。
このようなベース1の収納部10に水晶振動板3を格納し、蓋2にて被覆して加熱炉などの中で気密封止を行うことで表面実装型の水晶振動子の完成となる。また、水晶振動子の完成品は、図29,図30に示すように、ガラスエポキシ材からなる回路基板4の配線パッド41,42の上部に、例えばはんだ等の導電性接合材Dを介して接合される。
なお、封止方法に応じて蓋2に金属母材に金属ろう材等の封止材が形成された金属部材を用いてもよい。この場合、シーム溶接やビーム照射による溶接、あるいは加熱炉などによるろう接などの手法により、水晶振動板3を蓋2とベース1により気密封止することができる。
本発明では、ベース1の底面の中心点O1を中心にして点対称に形成された端子電極12,13と、回路基板4の配線パッド41,42に対してベース1の端子電極12,13を重畳させて接合した際の各端子電極12,13の端部から各配線パッド41,42の端部までの最短ギャップ寸法G1〜G4の定義付けの構成と、の組み合わせに特徴があるので、以下、この特徴的な構成の詳細を説明する。
本実施例3では、ベース1の底面に対してその一角位置である角K1の位置に偏って(偏位して)、1つの矩形状の端子電極(具体的に第1の端子電極12)が形成されている。また、ベース1の底面に対してその角K1の対角位置にあたる第1の対角位置である角K3の位置に偏って(偏位して)、1つの矩形状の端子電極(具体的に第2の端子電極13)が形成されている。
また、角K1に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角である角K2の位置(本発明でいう他角位置)と、ベース1の底面に対して他角K2の対角位置にあたる第2の対角位置である角K4の位置とは、ベース1の底面の短辺に沿って端子電極が形成されない無電極領域16,17とされている。
加えて、第1の端子電極12と第2の端子電極13は、ベース1の底面の中心点O1(平面視中心点)を中心にしてベース1の底面において点対称に配されている。また、端子電極12,13は同一形状からなる。
また、回路基板4の配線パッド41,42に対してベース1の第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させてベース1を回路基板4に接合した際に、各第1の端子電極12および第2の端子電極13の無電極領域16,17側の端部から配線パッド41,42の端部までの最短ギャップ寸法G1が互いに同一寸法とされる。具体的に、配線パッド41,42に対して第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させて接合した際の、ベース1の底面の短辺方向における第1の端子電極12の無電極領域16側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)から配線パッド41の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法と、ベース1の底面の短辺方向における第2の端子電極13の無電極領域17側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)から配線パッド42の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法とが、同一寸法の最短ギャップ寸法G1である。
また、回路基板4の配線パッド41,42に対してベース1の第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させてベース1を回路基板4に接合した際に、各第1の端子電極12および第2の端子電極13の無電極領域16,17側の端部と対向する端部から配線パッド41,42の端部までの最短ギャップ寸法G2が互いに同一寸法とされる。具体的に、配線パッド41,42に対して第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させて接合した際の、ベース1の底面の短辺方向における第1の端子電極12の無電極領域16側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド41の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法と、ベース1の底面の短辺方向における第2の端子電極13の無電極領域17側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド42の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法とが、同一寸法の最短ギャップ寸法G2である。
また、回路基板4の配線パッド41,42に対してベース1の第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させてベース1を回路基板4に接合した際に、各第1の端子電極12および第2の端子電極13のベース1の中心点O1側の端部から配線パッド41,42の端部までの最短ギャップ寸法G3が同一寸法とされる。具体的に、配線パッド41,42に対して第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させて接合した際の、ベース1の底面の長辺方向における第1の端子電極12の無電極領域17側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド41の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法と、ベース1の底面の長辺方向における第2の端子電極13の無電極領域16側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド42の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法とが、同一寸法の最短ギャップ寸法G3である。
また、上記した最短ギャップ寸法G1と最短ギャップ寸法G3とが互いに同一寸法に設定され、この状態で回路基板4の配線パッド41,42に対してベース1の端子電極12,13が配置され、導電性接合材Dを介してベース1が回路基板4に接合されている。このとき、例えば回路基板4の配線パッド41,42中心間の中点O2と、ベースの端子電極12,13中心間の中点O3は、合致している(同一位置となる)。
これらの構成により、本実施例3では、一角位置にあたる角K1に形成された第1の端子電極12と、角1と対角位置にあたる角K3に偏って形成された第2の端子電極13を有しているので、はんだなどの導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に接続性を低下させることがない。また、導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に水晶振動子(具体的にベース1)と回路基板4との熱膨張差が生じても、一角位置に対してベース1の底面の短辺方向に対向する他角位置(角K2の位置)と、ベース1の底面に対して他角位置の対角位置にあたる第2の対角位置(角K4の位置)とは、第1の端子電極12と第2の端子電極13が形成されない無電極領域16,17とされるので、この第1の端子電極12と第2の端子電極13から無電極領域16,17に向かって水晶振動子(具体的にベース1)の接合時に発生する応力を逃がすことができる。結果として、水晶振動子と回路基板4との間に介在する導電性接合材Dに応力が集中して、導電性接合材Dから疲労破壊が生じにくくすることができる。
また、第1の端子電極12と第2の端子電極13が、ベース1の底面の中心点O1を中心にして点対称で構成されるので、第1の端子電極12と第2の端子電極13の互いの方向性がなくなり、水晶振動子の搭載作業性が向上するだけでなく、ベースの中心点O1から偏りのないより効率的な応力緩和が行え、はんだクラック等の発生を飛躍的に抑制することができる。
また、本実施例3にかかる第1の端子電極12および第2の端子電極13は、キャスタレーションC5,C6の部分を除いてベース1の底面の辺から隔離してベース1の底面のみに形成している。これは、細分溝(ブレーク溝)を介してベース1がマトリックス状に配置された焼成前のセラミックグリーンシートにおいて、細分溝から接しない状態で端子電極用のメタライズパターンが形成されることに関係する。セラミックグリーンシートが焼成された後に各ベース1として細分溝で分断する際に、端子電極用のメタライズパターンが細分溝にまたがって形成されることによって分断作業性を妨げないようにしている。
また、本実施例3では、図29,図31,図32に示すように、第1の端子電極12と第2の端子電極13それぞれについて、無電極領域16,17側の端部から配線パッド41,42の端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法F1が、互いにほぼ同一寸法の状態で形成される。具体的に、最短ギャップ寸法G1,G2,G3に関して、第1の端子電極12と配線パッド41におけるギャップ寸法と、第2の端子電極13と配線パッド42におけるギャップ寸法とで同一寸法とされるので、ベース1の底面の短辺方向における第1の端子電極12の無電極領域16側となる端部から配線パッド41の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法と、ベース1の底面の短辺方向における第2の端子電極13の無電極領域17側となる端部から配線パッド42の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法とが、同一寸法のフィレットの幅寸法F1となる。
また、同様に、図29,図31,図32に示すように、第1の端子電極12と第2の端子電極13それぞれについて、無電極領域16,17側の端部と対向する端部から配線パッド41,42の端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法F2が、互いにほぼ同一寸法の状態で形成される。具体的に、ベース1の底面の短辺方向における第1の端子電極12の無電極領域16側の端部と対向する端部(本発明でいう平面視一角側端部)から配線パッド41の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法と、ベース1の底面の短辺方向における第2の端子電極13の無電極領域17側の端部と対向する第1の対角位置である角K3の平面視角側端部(平面視角側端部)から配線パッド42の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法とが、同一寸法のフィレットの幅寸法F2となる。
また、同様に、図29,図30に示すように、第1の端子電極12と第2の端子電極13それぞれについて、ベース1の底面の中心O1側の端部から配線パッド41,42の端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法F3が、互いにほぼ同一寸法の状態で形成される。具体的に、ベース1の底面の長辺方向における第1の端子電極12の無電極領域17側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド41の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法と、ベース1の底面の長辺方向における第2の端子電極13の無電極領域16側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)から配線パッド42の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法とが、同一寸法のフィレットの幅寸法F3となる。また、最短ギャップ寸法G1と最短ギャップ寸法G3とが互いに同一寸法として形成されている。
上記したように、最短ギャップ寸法G1と最短ギャップ寸法G3とが互いに同一寸法として形成されているので、導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法F1とF3とが同一寸法の状態で形成される。このため、互いの導電性接合材Dによるフィレットによる張力のバランスが保たれ、水晶振動子(ベース1)が平面的に回転する力が抑制することができる。特にギャップ寸法G1とG3をそれぞれ同一寸法に設定することで、各第1の端子電極12および第2の端子電極13から各無電極領域16,17に向かって平面的に回転する力がより効果的に抑制される。
従って、導電性接合材Dのクラック(例えば、はんだクラック)等の悪影響を抑制するだけでなく、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転して搭載実装されることもなくなり、当該水晶振動子のパッケージの回路基板4への搭載接合の信頼性を向上させることができる。
なお、本実施例3では、さらに、これらギャップ寸法G1、G2、G3に加えて、回路基板4の配線パッド41,42に対してベース1の第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させてベース1を回路基板4に接合した際に、各第1の端子電極12および第2の端子電極13のベース1の底面の中心点O1側の端部と対向する端部から配線パッド41,42の端部までの最短ギャップ寸法G4が互いに同一寸法される。具体的に、配線パッド41,42に対して第1の端子電極12および第2の端子電極13を重畳させて接合した際の、ベース1の底面の長辺方向における第1の端子電極12の無電極領域17側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド41の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法と、ベース1の底面の長辺方向における第2の端子電極13の無電極領域16側となる端部(本発明でいう平面視無電極領域側端部)と対向する端部から配線パッド42の平面視端部までの間の最短ギャップ寸法とが、同一寸法の最短ギャップ寸法G4である。
また、本実施例3では、このように、さらに最短ギャップ寸法G4が設定されることで、図29,図30に示すように、第1の端子電極12と第2の端子電極13それぞれについて、無電極領域16,17側の端部と対向する端部から配線パッド41,42の端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法F4が、互いにほぼ同一寸法の状態で形成される。具体的に、ベース1の底面の長辺方向における第1の端子電極12の無電極領域17側の端部と対向する端部(本発明でいう平面視一角側端部)から配線パッド41の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法と、ベース1の底面の長辺方向における第2の端子電極13の無電極領域16側の端部と対向する第1の対角位置である角K3の平面視角側端部(平面視角側端部)から配線パッド42の平面視端部までに形成される導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法とが、同一寸法のフィレットの幅寸法F4となる。また、最短ギャップ寸法G2と最短ギャップ寸法G4とが互いに同一寸法として形成されている。
このように、最短ギャップ寸法G4がさらに設定されることで、互いのはんだなどの導電性接合材Dによるフィレットによる張力のバランスが保たれ、水晶振動子(ベース1)が長辺方向にずれが生じることがなくなる。この長辺方向のずれ込みによって水晶振動子(ベース1)の平面的な回転に影響する力も抑制することができるので、結果として水晶振動子(ベース1)が平面的に回転する力がより一層抑制することができる。
また、上記したように、最短ギャップ寸法G2と最短ギャップ寸法G4とが互いに同一寸法として形成されているので、導電性接合材Dによるフィレットの幅寸法F2とフィレットの幅寸法F4とが同一寸法となり、互いの導電性接合材Dによるフィレットによる張力がほぼ同一となり、当該水晶振動子のパッケージ(具体的にベース1)が平面的に回転する力が発生しない。
さらに、上記したように、本実施例3では、これらギャップ寸法G1、G2、G3、G4に加えて、第1の端子電極12の端部から配線パッド41の端部までの周状のギャップ領域(GA1)と、第2の端子電極13の端部から配線パッド42の端部までの周状のギャップ領域(GA2)とが、ベース1の底面の中心点O1(平面視中心点)を中心に点対称に形成されていることが好ましい。
この場合、第1の端子電極12と第2の端子電極13に形成される導電性接合材Dによるフィレットも互いにほぼ同一形状となり、さらに、ベース1の底面の中心点O1を中心にして点対称に形成されるので、互いの導電性接合材Dによるフィレットによる張力がほぼ同一となり、水晶振動子(ベース1)が平面的に回転する力が発生しない。
次に、本発明による実施例3の他の例(実施例3−2)にかかる表面実装型の水晶振動子を、図33〜図36を用いて説明する。図33は、実施例3−2にかかる表面実装型の水晶振動子の概略底面図である。図34は、図33に示すB31−B31線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。図35は、図33に示すB32−B32線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。図36は、図33に示すB33−B33線断面図であり、表面実装型の水晶振動子を回路基板に搭載した状態の概略一部断面図である。なお、実施例3と同様の部分は同番号を付すとともに、説明の一部を割愛する。
実施例3−2にかかる水晶振動子では、図33に示すように、第1の端子電極12が、ベース1の底面の角K1に偏って形成されている。また、第2の端子電極13が、角K1の対角である角K3に偏って形成されている。
加えて、各端子電極12,13の上部には、各端子電極12,13より若干小さくほぼ同形状(平面視同形状)のバンプ12B,13Bがそれぞれ形成されている。これらバンプ12B,13Bは、端子電極12,13のメタライズ上部に同材質のメタライズ(タングステン、モリブデン等)を所望の形状で積層して形成されている。これら端子電極12,13とバンプ12B,13Bは、これらのメタライズ材料がベース1と一体的に焼成され、当該メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成されている。
本実施例3−2では、これらの構成により、ベース1と回路基板4との熱膨張差による応力が生じても、バンプ12B,13Bと端子電極12,13の段差によって、より効率的に応力を緩和させることができる。しかもこの構成によれば、バンプ12B,13Bによりベース1と回路基板4との間で浮き上がった隙間部分に導電性接合材Dがたまるので、このたまった導電性接合材Dによりベース1と回路基板4との接合強度をより高めることができる。また、端子電極12,13に同材質のメタライズを積層することで極めて容易かつ安価にバンプ12B,13Bを形成することができる。
また、本実施例3−2では、図34〜図36に示すように、第1の端子電極12および第2の端子電極13と配線パッド41,42とにおける最短ギャップ寸法G1,G2,G3がそれぞれ同一寸法とされ、さらに最短ギャップ寸法G1と最短ギャップ寸法G3とが互いに同一寸法とされているだけでなく、最短ギャップ寸法G1,G2,G3,G4の全ての寸法が同一寸法に設定されている。
このように最短ギャップ寸法G1,G2,G3,G4が全て同一寸法に設定されることにより、フィレットの幅寸法F1,F2,F3,F4が、第1の端子電極12と第2の端子電極13で全て略同一寸法の状態で形成される。従って、第1の端子電極12と第2の端子電極13で互いの導電性接合材Dによるフィレットによる張力のバランスが水晶振動子(ベース1)の短辺方向および長辺方向で同一の状態で保たれ、水晶振動子(ベース1)が平面的に回転する力が発生しない。
また、上記した実施例3および実施例3−2では、ギャップ寸法G1、G2、G3、G4に加えて、第1の端子電極12の端部から配線パッド41の端部までの周状のギャップ領域(GA1)と、第2の端子電極13の端部から配線パッド42の端部までの周状のギャップ領域(GA2)とがベース1の底面の中心点O1(平面視中心点)を中心に点対称に形成されている形態について説明しているが、これらの構成に限るものでない。
さらに、上記した各実施例では、表面実装型の水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器など電子機器等に用いられる他の表面実装型の電子部品用パッケージにも適用できる。なお、本発明にかかる電子部品用パッケージを水晶フィルタに適用する場合、グランド端子電極はフィルタのアース電極とされてもよい。また、本発明にかかる電子部品用パッケージを水晶発振器に適用する場合、グランド端子電極は、金属からなる蓋と電気的に接続される部材として用いてもよく、また、電子部品素子としてICを用いた場合のICのグランド端子電極として用いてもよい。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
また、この出願は、2007年8月23日に日本で出願された特願2007−216859号や、2007年9月14日に日本で出願された特願2007−238742号や、2007年9月21日に日本で出願された特願2007−246280号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
本発明は、表面実装型の水晶振動子や水晶フィルタや水晶発振器など電子機器等に用いられる表面実装型の電子部品用パッケージに適用できる。
1 ベース
2 蓋
3 水晶振動板(電子部品素子)
4 回路基板