略語および定義
以下の定義および方法は、本発明をよりよく定義し、本発明の実施の際に当業者を導くために提供される。特に明記しない限り、用語は、関連する技術分野の当業者によって通常の使用にしたがって理解される。
本発明またはその好ましい実施形態(複数可)の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1以上の要素があることを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「包含する(including)」および「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外のさらなる要素もある可能性があることを意味する。
脂肪族:特に明記しない限り、「脂肪族」または「脂肪族基」は、場合によって置換された、非芳香族炭化水素部分を意味する。この部分は、例えば、直線状、分枝状、または環状(例えば、単環式もしくは多環式、例えば、縮合、架橋、もしくはスピロ縮合多環式)、あるいはその組み合わせであり得る。特に明記しない限り、脂肪族基は1〜20個の炭素原子を含有する。
アルキル:特に明記しない限り、本明細書中で記載するアルキル基は、好ましくは、主鎖中に1〜8個の炭素原子を含有し、20個までの炭素原子を含有する低級アルキルである。それらは、直線状、分枝状または環状であり得、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
アミノ:特に明記しない限り、「アミノ」という用語は、本明細書中で単独または別の基の一部として用いられる場合、−NR1R2部分を示し、ここで、R1、およびR2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである。
アンモニウム:特に明記しない限り、「アンモニウム」という用語は、本明細書中で単独または別の基の一部として用いられる場合、−N+R1R2R3部分を示し、ここで、R1、R2およびR3は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである。
アミド(amide)またはアミド(amido):特に明記しない限り、「アミド(amide)」または「アミド(amido)」部分は、式−CONR1R2基を表し、ここで、R1およびR2は、「アミノ」という用語に関連して定義されるとおりである。「置換アミド」は、例えば、R1およびR2の少なくとも1つが水素以外である、式−CONR1R2の基を指す。「非置換アミド」は、例えば、R1およびR2がそれぞれ水素である、式−CONR1R2の基を指す。
アニオン性モノマー、アニオン性モノマー単位またはアニオン性繰り返し単位:特に明記しない限り、「アニオン性モノマー」、「アニオン性モノマー単位」または「アニオン性繰り返し単位」は、アニオンまたは他のアニオン性種を有するモノマーまたはモノマー単位であり、例えば、負に荷電した状態または非荷電状態で存在するが、非荷電状態では、例えば、親電子試薬(例えばpHに依存した方法で、例えば、プロトン(H+))もしくは保護基(例えば、カルボン酸エステル)の除去、または求核試薬の添加で、負に荷電するようになる可能性がある基である。ある例では、基は、ほぼ生理的pHで実質的に負に荷電するが、弱酸性pHでプロトン化を受け、実質的に中性になる。そのような基の非限定的な例としては、カルボキシル基、バルビツール酸およびその誘導体、キサンチンおよびその誘導体、ボロン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、ホスフェート、およびスルホンアミドが挙げられる。
アニオン性種またはアニオン性部分:特に明記しない限り、「アニオン性種」または「アニオン性部分」は、負に荷電しているかまたは非荷電状態で存在するが、非荷電状態で、例えば、親電子試薬(例えばpHに依存した方法で、例えば、プロトン(H+))もしくは他の保護基(例えば、カルボン酸エステル)の除去、または求核試薬の添加によって、負に荷電するようになる可能性がある、基、残基または分子である。ある例では、この基、残基または分子は、ほぼ生理的pHで実質的に負に荷電するが、弱酸性pHでプロトン化を受け、実質的に中性になる。
抗バイオフィルム活性:特に明記しない限り、「抗バイオフィルム活性」は、例えば、標準的連続流アッセイを用いて定量することができる。1つのそのようなアッセイでは、試料を50%ウシ胎仔血清と18〜20時間、120RPM、37℃にてプレインキュベートすることができる。プレインキュベーション後、試料を次いで変法CDC(mCDC)により細菌の継代培養に曝露して、1×PBS中106Cfu/mLの細菌懸濁液を作製する。リアクターをバッチ方式で2時間37℃にて撹拌しながら運転する。その後、試料を新しいリアクターに移す。滅菌培地の流れ(8mL/分)を撹拌しながら20〜23時間流す場合に好適な成長培地.1つの好ましい実施形態では、菌株は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(S.epidermidis、ATCC35984)であり、使用される成長培地は、1:10のトリプティックソイブロス(TSB)+0.25wt%グルコースである。別の好ましい実施形態において、菌株は大腸菌(Escherichia coli)(E. coli、ATCC25922)であり、成長培地は、1mMのMgSO4、0.2%グルコース、および0.5%カザミノ酸を追加したM63培地である。インキュベーション後、試料を100mLの1×PBSで5回リンスして、堅固に結合していない細菌を除去する。次いで、材料上に蓄積した細菌をバイオフィルム表面被覆率について巨視的に評価し、そしてPBSの新しい溶液中で音波処理によって除去し、細菌細胞の総数を平板希釈法によって定量化する。好ましくは、細菌数で少なくとも1、2、3または4log減少が、基準基体、すなわち、非汚染性ポリマー層が欠如した同じであるかまたは機能的に等しい基体に対して、非汚染性ポリマー層を有する製品上で見出される。基準基体と比べて付着細菌において1logの減少を有する製品は、1logの抗バイオフィルム活性を有すると言われる。基準基体に対して付着細菌において2log減少を有する製品は、2logの抗バイオフィルム活性を有するなどといわれている。
抗菌性:特に明記しない限り、「抗菌性」とは、細菌、酵母、真菌、マイコプラズマ、ウイルスまたはウイルス感染細胞、および/または原生動物をはじめとする微生物を殺滅(すなわち、殺菌性)、その成長を阻害(すなわち、静菌性)、および/またはそれらによる汚染を防止する分子および/または組成物を指す。細菌に関する抗菌活性は、例えば、標準的アッセイを用いて定量化することができる。1つのそのようなアッセイでは、試料を50%ウシ胎仔血清と18〜20時間120RPM、37℃にてプレインキュベートすることができる。プレインキュベーション後、試料を、終夜培養物から1×PBSまたは他の好適な培地中で希釈された1%トリプトンソイブロス(TSB)中1〜3×105CFU/mLのプランクトン濃度に希釈された、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S. aureus、ATCC25923)中に入れる。試料を細菌と24〜26時間、撹拌しながら(120rpm)37℃にてインキュベートする。TSBまたは他の培地の濃度は、使用される生物によって変化し得る。インキュベーション後、試料を、3mLのPBS中に5分間、240RPM、37℃にて入れて、材料に堅固に結合しない細菌を除去する。次いで、材料上に蓄積した細菌を、新しいPBS溶液中で音波処理によって除去し、細菌細胞の総数を平板希釈法によって定量化する。好ましくは、基準基体、すなわち、非汚染性ポリマー層が欠如した同じかまたは機能的に等しい基体に関するコロニー形成に対して、細菌数において少なくとも1、2、3または4log減少が起こる。基準基体よりもその上の細菌数が少ない表面は、細菌性コロニー形成を減少させると言うことができる。
抗菌ペプチド(AmP):特に明記しない限り、「抗菌ペプチド」(または「AmP」)は、細菌、酵母、真菌、マイコプラズマ、ウイルスもしくはウイルス感染細胞、および/または原生動物をはじめとする微生物を殺滅する(すなわち、抗菌性である)またはその成長を阻害する(すなわち、静菌性である)オリゴペプチド、ポリペプチド、またはペプチド模倣薬を指す。
抗血栓性:特に明記しない限り、「抗血栓性」は、血栓形成に抵抗する組成物の能力を指す。抗血栓性活性は、血栓症のエクスビボフローループモデルを用いて評価することができる。手短に言うと、10リットルまでの新鮮な血液を1匹の動物(ウシ)から集める。この血液をヘパリン処理して、凝固を防止し、ろ過して、微粒子を除去し、そして自己由来の放射標識された血小板を添加する。血液収集後8時間以内に、浴から製品上に血液をポンプで送り、次いで浴中に戻すフローループサーキットに、コーティングされた製品およびコーティングされていない製品を入れる。第2の蠕動ポンプによって製品の2つのポートを連結することにより、内腔を含む製品について第2の内部フローループサーキットを確立することができる。製品が配置されるチュービングのサイズおよび血流の速度は、試験される製品のサイズに基づいて調節することができる。好ましくは、製品が14〜15.5のフレンチ透析カテーテルである場合、内径約12.5〜25.4mmのチュービング直径を有するフローループサーキット中にそれらを配置する。血液を外側のサーキットに約2.5L/分の速度でポンプにより供給し、一方、内側のサーキット中の血液を約200〜400mL/分の速度でポンプにより供給する。製品が10個のフレンチロッドである場合、それらを内径約6.4mmのフローループサーキット中に配置し、血流速度は約200mL/分である。60〜120分後、製品を取り出し、血栓形成について視覚的に検査し、付着した血小板を、ガンマカウンターを用いて定量化する。内腔を含まない試料については、外側のサーキットのみを用いて、デバイスの外側上の血栓を測定することができる。場合によって、製品の末端のそれぞれを2cmまでにトリミングして、末端効果を排除することができる。
アリール:特に明記しない限り、「アリール」または「アリール基」は、系中の少なくとも1つの環が芳香族であり、系中の各環が3〜7個の環員を含む、合計5〜14個の環員を有する場合によって置換された単環式、二環式、および三環式環系を指す。「アリール」または「アル」という用語は、本明細書中で単独または別の基の一部として用いられる場合、場合によって置換された同素環芳香族基、好ましくは、環部分中に6〜12個の炭素を含有する単環式または二環式基、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルを示す。フェニルおよび置換フェニルがより好ましいアリールである。
結合した:特に明記しない限り、2つの部分または化合物は、一例として、1以上の共有結合、1以上の非共有相互作用(例えば、水素結合、イオン結合、静的力、ファンデルワールス相互作用、それらの組み合わせなど)、またはそれらの組み合わせを含む任意の相互作用によって結びつけられている場合に「結合して」いる。
生物活性剤/活性剤/生体分子:特に明記しない限り、「生物活性剤」または「活性剤」または「生体分子」は、本明細書中で同義的に用いられ、生物系に積極的または消極的に影響を及ぼす任意の有機もしくは無機治療、予防または診断薬を指す。例えば、生物活性剤は、アミノ酸、抗菌性ペプチド、免疫グロブリン、活性化、シグナリングまたはシグナル増幅分子、例えば限定されないが、タンパク質キナーゼ、サイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、成長因子、成長因子阻害剤、ホルモン、酵素、受容体ターゲティングリガンド、遺伝子サイレンシング剤、アンビセンス、アンチセンス、RNA、生細胞、コヒーシン、ラミニン、フィブロネクチン、フィブリノゲン、オステオカルシン、オステオポンチン、またはオステオプロテゲリンであり得る。生物活性剤は、アプタマー、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、オリグリオペプチド(oligliopeptide)、ポリペプチド、ポリマー、無機化合物、有機金属化合物、有機化合物または任意の合成もしくは天然の、化学的もしくは生物学的化合物であり得る。
生体適合性:特に明記しない限り、「生体適合性」は、材料が特定の状況で適切な宿主反応で機能する能力である。これは、国際規格ISO10993を用いて評価することができる。本明細書中で記載される生物学的適合性組成物は、好ましくは、実質的に非毒性である。
体液:特に明記しない限り、「体液」は、タンパク質および/または細胞を含有する生物によって産生される流体、ならびに微生物からの流体および分泌物である。これには、血液、唾液、尿、脳脊髄液、涙、精液、リンパ、腹水、痰、骨髄、滑液、房水、耳垢、気管支肺胞洗浄液、前立腺液、カウパー腺液または尿道球腺液、汗、糞便、嚢胞液、胸膜および腹膜液、糜粥、乳糜、胆汁、腸液、膿汁、皮脂、嘔吐、粘膜分泌、便中水、膵液、副鼻腔からの洗浄液、気管支肺吸引液、またはその任意の誘導体(例えば、血清、血漿)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
ブロックコポリマー:特に明記しない限り、「ブロックコポリマー」は共有結合によって結合した2以上のホモポリマーまたはコポリマーサブユニットを含む。2または3個の異なるブロックを有するブロックコポリマーは、それぞれ、ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーと呼ばれる。ジブロックコポリマーの一般的概略図(schematic generalization)は、式[AaBbCc...]m−[XxYyZz...]nによって表され、式中、各文字は、構成単位またはモノマー単位を表し、構成単位の各下付き文字は、特定のブロック中のその単位のモル分率、3つのドットは、各ブロック中のさらに多くの構成単位があり得る(さらに少ない場合もあり得る)ことを示し、mおよびnは、ジブロックコポリマー中の各ブロックの分子量を示す。概略図によって示唆されるように、数例では、各構成単位の数および性質は、各ブロックについて別々に制御される。概略図は、各ブロック中の構成単位の数または異なる種類の構成単位の数間の関係を意味するものではなく、また意味すると解釈されるべきではない。また、概略図は、特定のブロック内の構成単位の任意の特定の数または配置を記載することも意味しない。各ブロックにおいて、明らかに別の記載がない限り、構成単位は、純粋にランダムに、交互にランダムに、規則的に交互に、規則的ブロックまたはランダムブロック構造で配置される可能性がある。例えば、純粋にランダムな構造は、非限定的な形態:X−X−Y−Z−X−Y−Y−Z−Y−Z−Z−Z...を有し得る。非限定的で例示的な交互ランダム構造は、非限定的な形態:X−Y−X−Z−Y−X−Y−Z−Y−X−Z...を有し得、例示的規則的交互構造は、非限定的な形態:X−Y−Z−X−Y−Z−X−Y−Z...を有し得る。例示的な規則的ブロック構造は、以下の非限定的構造:...X−X−X−Y−Y−Y−Z−Z−Z−X−X−X...を有し得、一方、例示的なランダムブロック構造は、非限定的構造:...X−X−X−Z−Z−X−X−Y−Y−Y−Y−Z−Z−Z−X−X−Z−Z−Z−...を有し得る。グラジエントポリマーでは、1以上のモノマー単位の含有量は、ポリマーのα末端からω末端まで傾斜した方法で増加または減少する。前記の一般的な例のいずれにおいても、個々の構成単位もしくはブロックの特定の並置、またはブロック中の構成単位の数もしくはブロックの数は意図されず、またそれらは本明細書中で記載されるミセルを形成するブロックコポリマーの実際の構造に関係するかまたは制限すると解釈されるべきではない。本明細書中で記載されるように、構成単位を囲む括弧は、構成単位自体がブロックを形成することを意味せず、または意味すると解釈されるべきではない。すなわち、角括弧内の構成単位は、ブロック内の他の構成単位と任意の方法で、すなわち、純粋にランダム、交互ランダム、規則的交互、規則的ブロックまたはランダムブロック構造で組み合わせることができる。本明細書中で記載されるブロックコポリマーは、場合によって、交互、勾配またはランダムブロックコポリマーである。いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーは、デンドリマー、星形またはグラフトコポリマーである。
分枝:特に明記しない限り、「分枝」は、ポリマー鎖が2以上のポリマー鎖に分かれるポリマー構造を指す。
ブラシ/ポリマーブラシ:特に明記しない限り、「ブラシ」または「ポリマーブラシ」は、本明細書中で同義的に用いられ、グラフトフロム技術を用いて通常は単一の結合点を介して表面と結合するポリマー鎖を指す。ポリマーは、エンドグラフト(末端基を介する結合)または側鎖もしくは末端位置以外のポリマー鎖中の位置を介して結合することができる。ポリマーは、直線状または分枝状であり得る。例えば、本明細書中で記載されるポリマー鎖は、双性イオン性基を含有する複数の側鎖を含有し得る。側鎖は、単一の非汚染性部分またはモノマーおよび/もしくは非汚染性オリゴマー(例えば、2〜10個のモノマー残基)もしくはポリマー(例えば、>10個のモノマー残基)から構成され得る。
カルボキシアンモニウム:特に明記しない限り、「カルボキシアンモニウム」部分は、カルボキシレートおよびアンモニウム官能基を含む双性イオン部分であり、例えば、カルボキシアンモニウムモノマー、カルボキシアンモニウムオリゴマー、カルボキシアンモニウムポリマー、カルボキシアンモニウム繰り返し単位、および他のカルボキシアンモニウム含有材料を包含する。カルボキシベタインモノマー、オリゴマー、ポリマー、繰り返し単位および他のカルボキシベタイン材料が例示的カルボキシアンモニウム部分である。
カチオン性モノマー、カチオン性モノマー単位またはカチオン性繰り返し単位:特に明記しない限り、「カチオン性モノマー」、「カチオン性モノマー単位」または「カチオン性繰り返し単位」は、カチオンまたはカチオン性種、例えば、親電子試薬の添加(例えばpHに依存して、例えば、プロトン(H+)もしくはアルキルカチオン)または保護基もしくは求核試薬の除去)によって正電荷を有し得る部分を有するモノマーまたはモノマー単位もしくは繰り返し単位(「モノマー単位」および「繰り返し単位」という用語は交換可能に用いられる)である。
カチオン性種またはカチオン性部分:特に明記しない限り、「カチオン性種」または「カチオン性部分」は、正に荷電した状態または非荷電状態で存在するが、非荷電状態では、例えば親電子試薬の添加(例えば、pHに依存した方法で、例えば、プロトン(H+))または保護基もしくは求核試薬の除去によって正に荷電するようになる可能性がある、基、残基または分子である。ある例では、基、残基または分子は、永久的に荷電し、例えば、四級窒素原子を含む。
コーティング:特に明記しない限り、「コーティング」は、表面を処理または被覆する、任意の一次的、半永久的または永久的層(複数可)を指す。コーティングは、下にある基体の化学修飾であり得るか、または基体の表面への新しい材料の添加を含み得る。それは、基体に対する厚さの任意の増加または基体の表面化学組成の変化を含む。
複合培地:特に明記しない限り、「複合培地」は、生物物質の消化物を含有する体液または溶液を指す。例としては、カチオン調節ミュラーヒントンブロス、トリプティックソイブロス、ブレインハートインフュージョン、または任意の数の複合培地、ならびに任意の体液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
コポリマー:特に明記しない限り、「コポリマー」は、2、3またはそれ以上のモノマー種由来のポリマーを指し、交互コポリマー、周期性コポリマー、ランダムコポリマー、統計コポリマーおよびブロックコポリマーが挙げられる。
システイン:特に明記しない限り、「システイン」は、アミノ酸システインまたはその合成アナログを指し、この場合、このアナログは遊離スルフヒドリル基を含有する。
分解産物:特に明記しない限り、「分解産物」は、加水分解プロセス、酸化プロセス、酵素プロセス、または他の化学プロセスの結果として形成される原子、ラジカル、カチオン、アニオン、または水以外の分子である。
乾燥厚さ:特に明記しない限り、「乾燥厚さ」は、本明細書中でポリマー層に関連して用いられる場合、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたポリマー層の厚さを意味する。乾燥厚さを測定するために、試料を、液体窒素中に浸し、次いでウルトラミクロトームブレードで割断することによって画像化のために凍結割断する。金属基体に関しては、プライマーまたは非汚染性ポリマーを適用する前に切欠きをつけて、凍結割断をより容易にすることができる。凍結割断は、基体に対して垂直なポリマー層の厚さを測定するために、ポリマー修飾表面に対してほぼ直角な面で製品を割らなければならない。スパッターコーターを用いて、試料を90秒間金でスパッターコーティングし、次いで高真空下5kVで、電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)下でSE2検出器を用いて画像化する。例示的ミクロトームブレードには、Leica Ultracut UCT Ultramicrotomeが含まれ、例示的スパッターコーターにはCressington 208HRが含まれ、例示的SEMにはSupra55VP FESEM, Zeissが含まれる。乾燥厚さは、グラフトポリマーにおける化学シグナルの強度を、例えば、ATR−FTIRの使用によって分析することによって近似することができる。
フィブリノゲン吸着アッセイ:特に明記しない限り、「フィブリノゲン吸着アッセイ」は、フィブリノゲンに対する表面の能力を評価するために使用されるアッセイである。このアッセイでは、試験試料を、96ウェルマニホールド、ミクロ遠心管、または他の容器であり得る好適なサイズの容器中に入れる。以下の容積が深型96ウェルプレートに関して好適であるが、試験されるデバイスを適切に覆うために縮小することができる。試料を70%エタノール溶液で30分間滅菌し、試験群を実施あたり3〜4のnで実施する。試料容器を1×PBS中20mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)で1時間4℃にてブロックし、続いて1×PBSで3回リンスした後、試料を添加する。試料を、70μg/mLの非標識ヒトフィブリノゲン、1.4μg/mLのI−125放射性標識ヒトフィブリノゲン、35〜55μg/mLの水中BSA、場合によってクエン酸三ナトリウム、および場合によって塩化ナトリウムを含有する溶液に曝露する。BSAは、放射性標識フィブリノゲンとともに同時凍結乾燥される一般的な薬剤である。場合によって、BSAおよび放射性標識フィブリノゲンを、クエン酸三ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する凍結乾燥形態から溶解させることができる。試料を1時間37℃でオービタルシェーカー上、150RPMでインキュベートする。試験溶液を次いで取り出し、10mMのNaIで1分リンスを4回、そして1×PBSで1分リンスを1回実施する。試料をガンマカウンター中にロードする。カウンターは各試料について1−125カウント/分で放射能を測定し、このデータを用いて絶対フィブリノゲン吸着または非汚染性ポリマー層試料対基準基体、すなわち、非汚染性ポリマー層が欠如した同じまたは機能的に同等の基体の減少率(%)を計算する。減少率(%)は:(1−非汚染性試料CPM/基準基体の平均CPM)*100%に等しい。
全体的な平均乾燥厚さ:特に明記しない限り、「全体的な平均乾燥厚さ」は、本明細書中でポリマー層に関連して用いられる場合、少なくとも3、そして好ましくは少なくとも5の、ポリマー層を有する製品の部分全体にわたってほぼ均一に間隔を開けた代表的な位置の局所的平均乾燥厚さを平均することによって計算される平均を意味する。例えば、ポリマー層をカテーテルの留置部分に適用する場合、代表的な位置は、カテーテルの留置部分全体にわたってほぼ均一に間隔があいている。ポリマー層で覆われた製品の部分の最長寸法にわたる代表的な点で厚さを測定することが好ましい。全体的な平均乾燥厚さの標準偏差は、少なくとも5、そして好ましくは少なくとも10の、ポリマー層を有する製品の部分全体にわたってほぼ均一に間隔をあけた代表的な位置全体にわたる局所的平均乾燥厚さの標準偏差を計算することによって見いだされる。
全体的な平均加湿厚さ:特に明記しない限り、「全体的な平均加湿厚さ」は、本明細書中でポリマー層に関連して用いられる場合、少なくとも3、そして好ましくは少なくとも5の、ポリマー層を有する製品の部分全体にわたってほぼ均一に間隔を開けた代表的な位置の局所的平均加湿厚さを平均することによって計算される平均を意味する。例えば、ポリマー層をカテーテルの留置部分に適用する場合、代表的な位置は、カテーテルの留置部分全体にわたってほぼ均一に間隔があいている。ポリマー層で覆われた製品の部分の最長寸法全体にわたる代表的な点で厚さを測定することが好ましい。全体的な平均加湿厚さの標準偏差は、少なくとも5、そして好ましくは少なくとも10の、ポリマー層を有する製品の部分全体にわたってほぼ均一に間隔を開けた代表的な位置全体にわたる局所的平均加湿厚さの標準偏差を計算することによって見いだされる。
全体的な平均Rrms表面粗さ:特に明記しない限り、「全体的な平均Rrms表面粗さ」は、本明細書中でポリマー層に関連して用いられる場合、少なくとも5、そして好ましくは少なくとも10の、製品のポリマー層を有する部分にわたってほぼ均一に間隔を開けた代表的な位置のRrms表面粗さを平均することによって計算した平均を意味する。例えば、ポリマー層がカテーテルの留置部分に適用される場合、代表的な位置は、カテーテルの留置部分全体にわたってほぼ均一に間隔をあけている。ポリマー層で覆われている製品の部分の最長の寸法全体にわたる代表的な点での厚さを測定することが好ましい。全体的な平均Rrms表面粗さの標準偏差は、少なくとも5、そして好ましくは少なくとも10の、ポリマー層を有する製品の部分全体にわたってほぼ均一に間隔を開けた代表的な位置全体にわたる局所的平均Rrms表面粗さの標準偏差を計算することによって見いだされる。
グラフト:特に明記しない限り、「グラフト」という用語は、本明細書中でポリマーに関連して用いられる場合、「グラフトフロム」、「グラフトスルー」、もしくは「グラフトトゥー」アプローチ、またはそれらの組み合わせによって材料の表面をポリマーで修飾して、グラフトポリマーを形成することを意味する。
グラフトフロム法:特に明記しない限り、「グラフトフロム」という用語は、本明細書中で材料をポリマーで修飾するための方法に関連して用いられる場合、材料の表面または材料内のポリマーのインサイツ重合および成長を意味する。
グラフトフロムポリマー:特に明記しない限り、「グラフトフロムポリマー」という用語は、本明細書中で記載されるように、グラフトフロム法によって形成されるポリマーを意味する。
グラフトスルー法:特に明記しない限り、「グラフトスルー」という用語は、材料をポリマーで修飾するための方法に関連して用いられる場合、材料表面から提示される官能基によって重合され得る材料付近のモノマーのインサイツ重合を意味する。例えば、材料は、それによって重合が起こる表面から提示されるビニル基を有し得る。
グラフトスルーポリマー:特に明記しない限り、「グラフトスルーポリマー」という用語は、本明細書中で記載されるように、グラフトスルー法によって形成されるポリマーを意味する。
グラフトトゥー法:特に明記しない限り、「グラフトトゥー」という用語は、本明細書中、ポリマーで材料を修飾するための方法に関連して用いられる場合、予備合成されたポリマーで材料の表面を修飾することを意味する。
グラフトトゥーポリマー:特に明記しない限り、「グラフトトゥーポリマー」という用語は、本明細書中で記載されるように、グラフトトゥー法によって形成されるグラフトポリマーを意味する。
ヘテロアルキル:特に明記しない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1個の骨格炭素原子がヘテロ原子で置換されているアルキル基を意味する。
ヘテロアリール:特に明記しない限り、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個の環員、好ましくは各環中の5または6個の原子がヘテロ原子であるアリール基を意味する。ヘテロ芳香族基は、好ましくはその環中に1または2個の酸素原子、1または2個のイオウ原子、および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素またはヘテロ原子によって分子の残りに結合され得る。例示的ヘテロ芳香族化合物としては、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、またはイソキノリニルなどが挙げられる。例示的置換基としては、1以上の以下の基が挙げられる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト(すなわち、=O)、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
ヘテロ原子:特に明記しない限り、「ヘテロ原子」という用語は、水素または炭素以外の原子、例えば、塩素、ヨウ素、臭素、酸素、イオウ、窒素、リン、ホウ素、ヒ素、セレンまたはケイ素原子を意味する。
ヘテロシクロ:特に明記しない限り、「ヘテロシクロ」および「複素環式」という用語は、本明細書中で単独または別の基の一部として用いられる場合、少なくとも1つの環中に少なくとも1個のヘテロ原子を、好ましくは各環中に5または6個の原子を有する、場合によって置換された完全飽和または不飽和単環式または二環式芳香族または非芳香族基を示す。ヘテロシクロ基は、好ましくは、その環中に1または2個の酸素原子、1または2個のイオウ原子、および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素またはヘテロ原子によって分子の残りに結合され得る。例示的ヘテロシクロには、ヘテロ芳香族、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、またはイソキノリニルなどが含まれる。例示的置換基には、1以上の以下の基が含まれる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
ヘテロヒドロカルビル:特に明記しない限り、「ヘテロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1個の鎖炭素原子がヘテロ原子で置換されているヒドロカルビル基を意味する。
加湿厚さ:特に明記しない限り、「加湿厚さ」は、本明細書中でポリマー層に関連して用いられる場合、環境制御型走査電子顕微鏡(ESEMおよび約26%相対湿度)を用いたポリマー層の厚さを意味する。加湿厚さを測定するために、試料を、液体窒素中に浸し、次いでウルトラミクロトームブレードで割ることによって、イメージングのために凍結割断する。基体に対して垂直なポリマー層の厚さを測定するためには、凍結割断は、ポリマー修飾表面に対して直角な面で製品を割らなければならない。割断後、試料を水中に少なくとも1時間浸漬し、次いで液体窒素中に浸し、−8℃〜−12℃で冷却ステージに固定する。試料を次いで、環境制御型走査電子顕微鏡(E−SEM)を用いて走査型電子顕微鏡(SEM)下で最高の溶解可能な湿度(約26%または81Pa)でVPSE検出器を用いて画像化する。例示的ミクロトームブレードには、Leica Ultracut UCT Ultramicrotomeが含まれ、例示的SEMには、Supra55VP FESEM, Zeissが含まれ、例示的E−SEMには、Zeiss EVO 55が含まれる。
炭化水素またはヒドロカルビル:特に明記しない限り、「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書中で用いられる場合、元素炭素および水素だけからなる有機化合物またはラジカルを表す。これらの部分には、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分が含まれる。これらの部分には、他の脂肪族または環状炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分、例えばアルカリール、アルケンアリールおよびアルキンアリールも含まれる。特に明記しない限り、これらの部分は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む。
親水性:特に明記しない限り、「親水性」は、水に対して親和性を有する溶媒、分子、化合物、ポリマー、混合物、材料、または官能基を指す。そのような材料には、典型的には、1以上の親水性官能基、例えばヒドロキシル、双性イオン性、カルボキシ、アミノ、アミド、ホスフェート、スルホニル、水素結合形成、および/またはエーテル基が含まれる。
疎水性:特に明記しない限り、「疎水性」は、水によってはじかれる溶媒、分子、化合物、ポリマー、混合物、材料、または官能基を指す。そのような材料は、典型的には非極性官能基を含有する。
固定化/固定化された:特に明記しない限り、「固定化」または「固定化された」は、基体に直接または間接的に共有または非共有結合する材料または生物活性剤を指す。「同時固定化」は、2以上の薬剤の固定化を指す。
開始剤:特に明記しない限り、「開始剤」は、比較的穏やかな条件下でラジカルまたは他の種を産生することができ、重合反応を促進することができる物質または物質の組み合わせを指す。例えば、本明細書の別の箇所で記載されるレドックス対は、開始剤であり得る。
局所的平均乾燥厚さ:特に明記しない限り、「局所的平均乾燥厚さ」は、少なくとも3、そして好ましくは少なくとも5の、約10〜40マイクロメートルにわたる製品の断面全体にわたってほぼ均一に間隔をあけた代表的な位置の乾燥厚さ測定値を平均することによって計算される平均乾燥厚さである。局所的平均乾燥厚さの標準偏差は、少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも10の、約10〜40マイクロメートルにわたる製品の断面全体にわたってほぼ均一に間隔をあけた代表的な位置全体にわたる乾燥厚さの標準偏差を計算することによって決定される。
局所的平均加湿厚さ:特に明記しない限り、「局所的平均加湿厚さ」は、少なくとも3、そして好ましくは少なくとも5の、約10〜40マイクロメートルにわたる製品の断面全体にわたってほぼ均一に間隔を開けた代表的な位置の加湿厚さの測定値を平均することによって計算される平均加湿厚さである。局所的平均加湿厚さの標準偏差は、少なくとも5、そして好ましくは少なくとも10の、約10〜40マイクロメートルにわたる製品の全体にわたってほぼ均一に間隔をあけた代表的な位置全体にわたる加湿厚さの標準偏差を計算することによって決定することができる。
膜ターゲティング抗菌剤:特に明記しない限り、「膜ターゲティング抗菌剤」は、基体上に固定された場合にその殺菌または静菌活性を保持し、したがって固定化された抗菌性表面を形成するために使用できる任意の抗菌剤を指す。1つの実施形態では、膜ターゲティング抗菌剤は抗菌性ペプチドであり、別の実施形態では、四級アンモニウム化合物またはポリマーである。
非分解性:特に明記しない限り、「非分解性」は、生物学的環境内で、加水分解的、還元的、酵素的または酸化的のいずれかで著しく反応してさらに小さいかまたは簡単な成分に分裂することがない材料組成物を指す。
非汚染性組成物/非汚染性材料/非汚染性ポリマー/非汚染性ポリマー層:特に明記しない限り、「非汚染性組成物」または「非汚染性材料」または「非汚染性ポリマー」または「非汚染性ポリマー層」は、本明細書中では交換可能に用いられ、組成物を結合させる製品の表面のタンパク質耐性を提供または増大させる組成物である。例えば、基体に結合させる場合、そのような組成物は、基準基体、すなわち組成物が欠如した同じかまたは他の機能的に等価な基体に対する付着量に対して、血液タンパク質、血漿、細胞、組織および/または微生物をはじめとするタンパク質が基体に付着するのに抵抗することができる。好ましくは、基体表面は、ヒト血液の存在下で実質的に非汚染性である。好ましくは、付着量は、基準基体に対して、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%またはそれ以上、例えば、85%、90%、95%、99%、99.5%、99.9%またはそれ以上減少するであろう。表面の非汚染特性またはタンパク質耐性の1つの特に好ましい尺度は、本明細書中で記載されるフィブリノゲン吸着アッセイで吸着されるフィブリノゲンの量である。好ましくは、本明細書中で記載されるフィブリノゲン吸着アッセイを用いた吸着フィブリノゲンの量は、<125ng/cm2、<90ng/cm2、<70ng/cm2、<50ng/cm2、<30ng/cm2、<20ng/cm2、<15ng/cm2、<12ng/cm2、<10ng/cm2、<8ng/cm2、<6ng/cm2、<4ng/cm2、<2ng/cm2、<1ng/cm2、<0.5ng/cm2、または<0.25ng/cm2である。
非自然発生的アミノ酸:特に明記しない限り、「非自然発生的アミノ酸」は、自然界で見出されない任意のアミノ酸を指す。非天然アミノ酸には、任意のD−アミノ酸、自然界で見出されない側鎖を有するアミノ酸、およびペプチド模倣薬が含まれる。ペプチド模倣薬の例としては、b−ペプチド、g−ペプチド、およびd−ペプチド;らせん状またはシート状コンフォメーションをとり得る骨格を有するオリゴマー、たとえば、ビピリジンセグメントを利用する骨格を有する化合物、疎溶媒性相互作用を利用する骨格を有する化合物、側鎖相互作用を利用する骨格を有する化合物、水素結合相互作用を利用する骨格を有する化合物、および金属配位を利用する骨格を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。グリシンを除くヒト体内のアミノ酸はすべて、DおよびL形として存在する。天然に存在するほぼすべてのアミノ酸はL形である。D形のアミノ酸は高等生物のタンパク質では見いだされないが、いくつかの下等生物、たとえば細菌の細胞壁中に存在する。それらはまた、いくつかの抗生物質で、その中でも、ストレプトマイシン、アクチノマイシン、バシトラシン、およびテトラサイクリンで見いだされる。これらの抗生物質は、生存性および繁殖に必要なタンパク質の形成を妨害することによって、細菌細胞を殺すことができる。非自然発生的アミノ酸はさらに、非特異的タンパク質吸着に抵抗する側鎖を有する、体液中での抗菌性ペプチドの提示を増強するように設計することができる残基、および/またはペプチド内の非天然アミノ酸残基をモノマー単位として用いてポリマーブラシの合成を可能にする重合性側鎖も含む。
ポリマー:特に明記しない限り、「ポリマー」は、複数の繰り返し単位を含む天然および合成ホモポリマーおよびコポリマーを含み、特に明記しない限り、直線状、分枝、または樹状であり得る。コポリマーの例としては、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマー、スマートポリマー、温度反応性(例えば、NIPAM)、およびpH反応性(例えば、ピリジル系)ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリペプチド/ペプチド/オリゴペプチド:特に明記しない限り、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「オリゴペプチド」は、天然、合成またはその混合物を問わず、ペプチド結合により化学的に結合したアミノ酸から構成される有機化合物を含む。ペプチドは、典型的には3以上のアミノ酸、好ましくは9より多く、150未満、さらに好ましくは100未満、そして最も好ましくは9〜51のアミノ酸を含有する。ポリペプチドは、「外因性」、または「異種性」であり得、すなわち、生物または細胞にとって固有でない、その生物または細胞内のペプチド、例えば、細菌細胞によって産生されるヒトポリペプチドの産生であり得る。外因性とはさらに、細胞によって産生される内因性材料と比べて、細胞にとって固有でなく、細胞に添加される物質を指す。ペプチド結合は、1つのアミノ酸のカルボキシル基(酸素を有する炭素)と、第2のアミノ酸のアミノ窒素との間の単一の共有結合を含む。約10個より少ない構成アミノ酸を有する小さなペプチドは、典型的にはオリゴペプチドと呼ばれ、10個より多いアミノ酸を有するペプチドはポリペプチドと称される。10,000ダルトンより多い分子量(50〜100個のアミノ酸)を有する化合物は、通常、タンパク質と称される。
四級窒素:特に明記しない限り、「四級窒素」は、本明細書中で記載されるように、四級アンモニウムカチオンのメンバーである窒素原子を指す。
Rrms表面粗さ:特に明記しない限り、「Rrms表面粗さ」は、二乗平均平方根表面粗さを指し、これは、その理想形からの実際の表面の垂直偏差を測定する。粗さは、大規模な表面の変動の測定値とは異なる可能性がある表面の微細な粗さを指す。好ましくは、これは、原子間力顕微鏡検査(MFP−3D、Aslyum)を用いて約1〜30μm×1〜30μm、好ましくは20μm×20μmの視野全体にわたって測定することができる。試料を精製水で洗浄して、表面の塩を除去し、次いで風乾する。標準的シリコンカンチレバー(Olympus AC160TS、バネ定数42N/m)を、AC/Tapping様式での測定に用いる。Rrms表面粗さをAFMマシンに添付されたソフトウェア(IGOR Pro)によって計算する。別法として、粗さをスタイラス粗面計を用いて測定することができる。例えば、試料表面粗さは、Tencor P−16+粗面計によって、60度、2μmダイアモンドチップスタイラスで測定することができる。好ましくは、800μmスキャン長さを、20μm/秒のスキャン速度、50Hzのスキャン周波数、および2μgの負荷力(loading force)で選択する。同じ試料について少なくとも3つの異なる部位を測定し、そして少なくとも3つの試料から表面粗さを平均する。別法として、Rrms表面粗さは、好ましくは、光学粗面計の使用を含む非接触法によって測定することができる。例えば、試料表面粗さは、光学粗面計(Zeta Z20またはOlympus Lext OLS4000)によって測定される。好ましくは、3D画像を、50×対物レンズ下で光学粗面計によって撮影し、試料の表面粗さを次いで、画像を横切る少なくとも3本の異なる直線にそって測定する。少なくとも3個の異なる点を測定し、表面粗さを少なくとも3つの試料から平均する。好ましい例では、粗さ測定および3D画像化のためにOlympus LEXT OLS4000 3Dレーザー測定顕微鏡を使用する。408nmレーザーで低波長光技術を共焦点スキャニングと組み合わせて利用するLEXT顕微鏡を測定に用いることができる。測定される試料を両面テープによってスライドガラス上に取り付ける。デジタル3D画像をOlympus LEXT OLS4000レーザー共焦点顕微鏡(「LEXT」)でOlympus MPLAPON 50×対物レンズ下で撮影する。このようにして撮影されたデジタル画像は、256×256μm視野領域を有する。このLEXTマシンのZ−方向反復率は、Olympusによって0.012μm未満であることが証明されている。粗さを測定するために、各試料から少なくとも3つの画像を撮影し、9μmカットオフ長さを用いることによってRrms粗さを計算する。
溶媒で抽出可能な重合開始剤:特に明記しない限り、「溶媒で抽出可能な重合開始剤」は、製品内に組み込まれた、ラジカル重合を開始することができる任意の化合物を指し、ここで、開始剤またはその分解産物のいずれかは、好適な溶媒を用いて抽出することができる。一般に、抽出は、非極性または極性溶媒を使用することができる。例えば、水、アセトンもしくはエタノールなどの抽出溶媒;および/または開始剤および/またはその分解産物の溶解度が少なくとも1mg/Lである他の抽出溶媒。抽出は、抽出物の濃度の変化が1時間あたり5%を超えて増加しないために十分な時間で実施しなければならない。別法として、その後の抽出で抽出物された材料の量が最初の抽出で検出されるものの10%未満になるまで、または累積的な抽出された材料レベルで分析的に有意な増加が検出されなるまで抽出する。抽出条件は以下のものを含む:37℃で72時間;50℃で72時間;70℃で24時間;121℃で1時間。除去率は、6cm2/mL表面積/容積および/または0.2g試料/mLを含む。数例では、基体の完全な溶解が適切である可能性がある。抽出媒体中への浸漬を増強するために、材料を抽出前に小片に切り出さなければならず、例えば、ポリマー基体については、約10mm×50mmまたは5mm×25mmが適切である。使用される機器類としては、有機分析用高性能液体クロマトグラフィー・光ダイオードアレイ検出・質量分析法(HPLC−PDA−MS);有機分析用ガスクロマトグラフィー・質量分析法(GC−MS);金属分析用誘導結合プラズマ・発光分析または質量分析法(ICP−OESまたはICP−MS);ならびに場合によっては無機およびイオン分析用イオンクロマトグラフィー(IC)が挙げられる。時には、さらに高度なMS検出器、例えば飛行時間(TOF)を用いて、正確な質量情報を得る。ヘキサンおよびアルコール抽出は、GC−MSによって分析する。水およびアルコール抽出は、HPLCによって分析する。開始剤またはその分解産物を基体またはグラフトポリマーにおいて先に記載した方法によって定量化および/または検出することができる。これらには、FTIR−ATR、X線電子分光法(ESCA、X線光電子分光法、XPSとも呼ばれる)、二次イオン質量分析法(SIMS)、および表面増感ラマン分光法(SERS)が含まれる。例えば、以下の3つの方法のいずれかを用いて過酸化物を分光測光法で検出することができる:ヨウ化物法(塩化第2鉄の存在下で過酸化物によってヨウ化ナトリウムを酸化する)、DPPH法(ラジカルスカベンジャーである1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルで処理して、過酸化物を分解する)、またはペルオキシダーゼ法(グルタチオンペルオキシダーゼによって触媒されたグルタチオンでの還元と、それに続くグルタチオンレダクターゼの存在下でのNADPHの結合酸化の測定)。例えば、Fujimoto et al., Journal of Polymer Science Part A : Polymer Chemistry, Vol. 31, 1035-1043 (1993)を参照のこと。
安定な:特に明記しない限り、「安定な」は、材料に関連して本明細書中で用いられる場合、その材料が、長時間にわたって機能を保持することを意味する。1つの実施形態では、参照される材料は、少なくとも30日間37℃にて、タンパク質、培地、もしくは血清を含有する少なくとも1つのリン酸塩緩衝生理食塩水中で、またはインビボで参照される活性(または特性)の少なくとも90%を保持する。1つの実施形態では、参照される材料は、少なくとも90日間37℃にて、タンパク質、培地、もしくは血清を含有する少なくとも1つのリン酸塩緩衝生理食塩水中で、またはインビボで、参照される活性(または特性)の少なくとも80%を保持する。1つの実施形態では、参照される材料は、少なくとも30日間37℃にて参照される活性(または特性)の少なくとも90%を保持し、少なくとも90日間37℃にて参照される活性(または特性)の少なくとも80%を保持する。参照される活性または特性としては、表面接触角、非汚染性、抗血栓性、および/または抗菌活性を挙げることができる。
静的接触角:特に明記しない限り、「静的接触角」は、水/蒸気界面が、平衡状態で、または平衡状態付近で基体表面と直面する角度である。まず、試料を純粋なエタノールで5分間浸漬し、PBSで3回洗浄することによって接触角を測定する。試料を次いでPBS(150mM、pH7.4)内に24時間浸漬し、精製水で3回洗浄する。次いで、試料を5分間空気流下で乾燥した後、試験する。精製水滴(例えば、1μL)を試験表面上に置き、ビデオ接触角システム(例えば、VCA 2000, AST Inc.)を用いたCCDカメラを有する顕微鏡によって、液滴の形状を写真撮影し、接触角を次いで測定する(例えば、VCA Optima XEを使用)。接触角を測定するために用いられる水滴のサイズは、基体種類および組成に応じて変化し得る。5フレンチのデバイスに対して、例えば、0.1μLの精製水滴を用いることができる。
実質的に血液適合性:特に明記しない限り、「実質的に血液適合性」とは、組成物が、ISO10993−4で記載されているような血栓症、凝固、および補体活性化に関して適切に選択されたアッセイによって試験されるように、非血栓形成性および非免疫原性であることに加えて、実質的に非溶血性であることを意味する。
実質的に非細胞毒性:特に明記しない限り、「実質的に非細胞毒性」は、組成物の表面に接触するほ乳類細胞の代謝、増殖、または生存率を実質的に変更しない組成物を指す。これらは、抽出試験、直接接触試験および試験および間接接触試験を含む、材料の細胞毒性を評価するための3つの主要な試験を規定する国際規格ISO10993−5によって定量化することができる。
実質的に非溶血性表面:特に明記しない限り、「実質的に非溶血性表面」とは、以下のアッセイを適用した場合に、50%、好ましくは20%、さらに好ましくは10%、なお一層好ましくは5%、最も好ましくは1%のヒト赤血球を溶解しない組成物を意味する:10%洗浄され、プールされた赤血球のストック(Rockland Immunochemicals Inc, Gilbertsville, PA)をpH7.0で150mMのNaClおよび10mMのTrisの溶血緩衝液で0.25%まで希釈する。0.5cm2の抗菌性試料を0.75mLの0.25%赤血球懸濁液と1時間37℃でインキュベートする。固体試料を除去し、細胞を6000gで沈降させ、上清を除去し、そして分光光度計でOD414を測定する。全溶血は、10%の洗浄され、プールされた赤血球を滅菌脱イオン(DI)水中0.25%まで希釈し、1時間37℃でインキュベートすることによって定義され、0%溶血は、固体試料を含まない溶血緩衝液中0.25%赤血球の懸濁液を用いて定義される。
実質的に非毒性:特に明記しない限り、「実質的に非毒性」とは、実質的に血液適合性かつ実質的に非細胞毒性である表面を意味する。
置換された/場合によって置換された:特に明記しない限り、「置換された」および「場合によって置換された」という用語は、参照された基が、アセタール、アシル、アシルオキシ、アルケノキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキノキシ、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アジド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシル、シアノ、エステル、エーテル、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換ヘテロヒドロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロ脂環式、ヘテロアリール、ヒドロキシ、イソシアナート、イソチオシアナート、ケタール、ケト、メルカプト、ニトロ、パーハロアルキル、シリル、スルファモイル、スルフェート、スルフヒドリル、スルホンアミド、スルホネート、スルホニル、スルホキシド、チオカルボニル、チオシアナート、チオール、および/またはその保護された誘導体から個々に、そして独立して選択することができる、1以上のさらなる好適な基で置換されているか、または置換される可能性があることを意味する。「置換」または「置換された」には、そのような置換が、置換された原子および置換基の許容される結合価に従い、置換の結果、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離などによって自発的に変化しない化合物が得られるという条件が含まれると理解される。
基体:特に明記しない限り、「基体」は、それから非汚染性ポリマーがグラフトされる材料を指す。
スルホアンモニウム:特に明記しない限り、「スルホアンモニウム」部分は、スルフェートおよびアンモニウム官能基を含む双性イオン性部分であり、例えば、スルホアンモニウムモノマー、スルホアンモニウムオリゴマー、スルホアンモニウムポリマー、スルホアンモニウム繰り返し単位、および他のスルホアンモニウム含有材料を含む。スルホベタインモノマー、オリゴマー、ポリマー、繰り返し単位、および他のスルホベタイン材料が例示的なスルホアンモニウム部分である。
テザー/テザリング剤/リンカー:特に明記しない限り、「テザー」または「テザリング剤」または「リンカー」は、本明細書中で同義的に用いられ、1以上の非汚染性材料、1以上の生物活性剤、またはそれらの組み合わせを、分子が最終化学組成物の一部として残存する材料上に共有または非共有的に固定するために用いられる任意の分子、または分子のセット、またはポリマーを指す。テザーは、生物活性剤を固定するための1以上の部位を有する直線状または分枝状のいずれかであり得る。テザーは任意の長さであり得る。しかし、1つの実施形態では、テザーは長さが3オングストロームよりも長い。テザーは、非汚染性の、例えばモノマー、オリゴマー、もしくはポリマーまたは非汚染性非双性イオン性材料であり得る。テザーは、そのいずれかが非汚染性であり得る、基体またはポリマー上に直接固定化することができる。
アンダーコーティング層:特に明記しない限り、「アンダーコーティング層」は、非汚染性ポリマーがグラフトされる基体中に組み込まれた任意のコーティング、またはコーティングの組み合わせを指す。
双性イオン/双性イオン性材料:特に明記しない限り、「双性イオン」または「双性イオン性材料」は、カチオン性およびアニオン性基の両方を有する巨大分子、材料、または部分を指す。ほとんどの場合、これらの荷電基はバランスがとれ、その結果、正味電荷がゼロの材料が得られる。
双性イオン性ポリマー:特に明記しない限り、「双性イオン性ポリマー」は、ホモポリマーまたはコポリマーであり得、両性高分子電解質(例えば、異なるモノマー単位上に荷電基を有するポリマー)およびポリベタイン(同じモノマー単位上にアニオン性およびカチオン性基を有するポリマー)の両方を含む。例示的双性イオン性ポリマーには、2、3またはそれ以上のモノマーの、交互コポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーが含まれる。
本発明の種々の態様には、非汚染性グラフトポリマー層を有する製品、例えば医療器具の提供が示され得る。したがって、一般に、製品は基体とその基体からグラフトされたポリマー材料とを含む。驚くべきことに、非汚染性グラフトポリマー層は、例えば、基体に開始剤(複数可)を吸収させるか、または開始剤(複数可)を含む基体上に層を堆積させることによって、1以上の重合開始剤を基体中に組み入れ、そして基体からポリマーをグラフトすることによって提供することができることが見いだされた。特に好ましい実施形態において、ポリマー材料を、モノマーおよび溶媒系を含む重合混合物中で基体からグラフトさせ、ここで、基体は溶媒系によって著しく膨潤せず、そして組み込まれた開始剤は溶媒系中で限定された溶解度を有する。換言すると、基体中に組み込まれた開始剤(複数可)は、特に親水性の点で溶媒系に比べて逆相特性を有する。任意の特定の理論の束縛を受けることなく、この方法は、基体表面/重合混合物界面またはその付近で開始剤(複数可)の比較的高い局所濃度を提供し、そして分枝ポリマーを形成するための基体からのグラフト化およびグラフトポリマーに有利であると考えられる。
理論に関係なく、本発明のグラフトポリマーは、基体表面欠陥を均一にカバーし、性能を増強する、比較的高密度の分枝および親水性構造を含む。その結果、グラフトポリマーによって修飾された表面を有する製品は、改善された防汚性、および/または抗血栓特性ならびに、ある実施形態においては、改善された抗菌特性を有する。
一般的に言えば、小さな開始剤分子を、基体表面または基体表面付近で濃縮することができ、ここで、溶液中で合成された大きなポリマー分子よりも容易に、重合を開始し、伝播させることができる。その結果、そしてグラフトトゥーコーティングと比べると、さらに大きな表面密度を得ることができ、これは次に非汚染性能を改善する傾向がある。さらに、より長いポリマー鎖および/または分枝非汚染性鎖は性能をさらに改善する可能性がある。
医療器具および他の製品は広範囲に及ぶ材料のいずれかを含む。これらの材料のいくつかは、それらの固有の特性によって、タンパク質吸着および細胞/微生物付着に対してより大きな耐性を示す;例えば、親水性材料は、疎水性材料よりも低いタンパク質吸着を示す傾向がある。加えて、製造方法は、そのような材料の表面特性に大いに影響を及ぼす可能性がある;例えば、製造方法は、材料の多孔性、その粗さ(ミクロ粗さおよびマクロ粗さ)、材料の表面から突き出た異物封入体の取り込み、および類似の表面特性に影響を及ぼす可能性がある。これら、および他の因子のそれぞれは、タンパク質吸着および/または細胞/微生物付着に対する材料の耐性(またはその欠如)に寄与する可能性がある。
任意の特定の理論の束縛を受けることなく、本発明のグラフトフロム重合法は、タンパク質吸着および/または細胞/微生物付着に不利であり、加えて、細胞、細菌または他の微生物の付着に有利な基体中の部位を隠すかまたは他の方法で変更し得る分枝構造を有する、表面修飾、すなわち、非汚染性ポリマー層を提供すると、現在考えられている。したがって、例えば、そして製品の(非修飾)表面に対して、グラフトポリマー層は、製品表面のかき傷、ピンホール、空隙または、性能不全の部位として潜在的に別の方法で機能する可能性がある他の欠陥をカバーすることができるか、またはさらには部分的もしくは完全に埋めることさえできる。さらなる例として、比較的均一であり、十分に高密度であり、および/または十分に親水性である、製品の(非修飾)表面の表面粗さと少なくとも同程度の厚さを有するグラフトポリマー層は、タンパク質吸着および/または細胞/微生物付着に対する材料の耐性を著しく増大させることができる。
本発明の1つの態様において、非汚染性層を、例えば、基体または対象上の異なる場所で2または3次元パターンで基体または対象の一部分(複数可)のみに適用する。いくつかの実施形態において、非汚染性層を基体または対象上に、個別の、および/またはブレンドされた幾何学的特徴および/またはデザインをナノメートルからマイクロメートルからミリメートルまで及ぶ多くのスケールで有するようになる方法で、適用する。好ましい実施形態は、個別的非汚染性特徴(複数可)を制御可能に形成することを含み、これは基体の所望の部分を、開始剤の吸収および/または適用から、ならびに/あるいはグラフト重合から、選択的にマスクあるいはブロックすることを含む。1つの実施形態において、基体物質の一部を開始剤適用中にマスクする。1つの好ましい実施形態において、基体物質の一部を重合中にマスクする。マスキング技術を、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、生物組織(生死にかかわらず)、織り繊維および不織繊維、ケイ素などの半金属をはじめとする、本明細書中で記載する基体のいずれかに適用することができる。
本発明の種々の態様には、非汚染性ポリマーをいくつかの手段によって基体または対象上の個別的位置に制御可能に配置することが含まれる。ミリメートルスケール以上の位置、パターン、幾何学的特徴/デザインに関して、非汚染性ポリマーを制御可能に配置することは、非汚染性ポリマーが形成されない領域を物理的にマスキングすることによって、例えば、重合溶液の基体または対象表面への接近を阻害し、かくしてポリマー形成を阻害するテープ、スクリーン、レジスト、または他のブロッキング材料を適応するなどの技術を用いることによって、おこなうことができる。ミリメートル未満のスケールの位置、パターン、幾何学的特徴/デザインに関して、非汚染性ポリマーを制御可能に配置することは、フォトリソグラフィー手順(例えば、ステレオリソグラフィー、レーザー化学3次元ライティング、およびモジュール組立)、ミクロ接触プリンティング、または重合溶液の基体もしくは対象表面への接近を阻害し、かくしてポリマー形成を阻害するブロッキング材料のミクロスタンピングなどの技術を用いて、非汚染性ポリマーが形成されない領域を物理的にマスキングすることにより、達成することができる。加えて、マスキング材料は、デジタル適用法、例えばスプレージェット、バルブジェット、およびインクジェット印刷法によって任意のスケールで適用することができる。
いくつかの実施形態において、重合中のマスキングは、基体または対象の異なる領域上に異なるポリマーのミックスを適用できることを容認する。マスキング材料または薬剤の部分または種類を別個の位置から選択的に除去し、続いて異なるモノマーまたはモノマー混合物を用いたその後の重合ステップによって、非汚染性表面は、類似もしくは異なる非汚染性、寸法的、機械的、物理的、および/または化学的特性を有する任意の数の異なるポリマーから構成される構造にすることができる。
1つの実施形態は、開始剤が吸収された部分および/または非汚染性ポリマー部分を基体または対象から制御された方法で除去し、したがって任意のスケールで非汚染性ポリマーの位置、パターン、幾何学的特徴/デザインを作製することができる技術、例えば、レーザーアブレーション、研磨媒体流れ/スプレー、または直接接触物理的研磨/剥離を含む。
制御されたデザイン/パターンにおける非汚染性ポリマーの存在または不在を用いて、タンパク質および他の生体分子の相互作用、吸着、脱離の制御および/または調節ならびに細胞(真核生物、原核生物)の相互作用、吸着、脱離、増殖を制御および/または調節することができる。製品表面と直角なカラム、表面に沿ったチャンネル、または多くの他の幾何学的パターンを作製することをはじめとするプロセスに影響を及ぼし得る構造。機構のサイズまたは機構間の隙間は、影響を受けるタンパク質または細胞よりも小さい、ほぼ同じサイズ、またはより大きい可能性がある。吸着を減少させる構造は、非汚染性ポリマー表面修飾と相乗的であり、非汚染性能力を増強する可能性がある。
いかなる理論にも関係なく、グラフトポリマーを含む修飾表面を有する本発明の製品は、フィブリノゲン吸着アッセイで低いフィブリノゲン吸着を示す。一般に、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで125ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートし、そして吸着されたフィブリノゲンの量を、標準的プロトコルを用いて、好ましくは放射性標識フィブリノゲンを用いることによって測定する。1つの実施形態では、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで90ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートし、そして吸着されたフィブリノゲンの量を、標準的プロトコルを用いて、好ましくは放射性標識フィブリノゲンを用いることによって測定する。1つの実施形態では、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで70ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートし、そして吸着されたフィブリノゲンの量を、標準的プロトコルを用いて、好ましくは放射性標識フィブリノゲンを用いることによって測定する。1つの実施形態では、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで50ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートし、そして吸着されたフィブリノゲンの量を、標準的プロトコルを用いて、好ましくは放射性標識フィブリノゲンを用いることによって測定する。好ましくは、修飾表面は、そのようなアッセイで30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。さらに好ましくは、ある実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで20ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。なおいっそう好ましくは、ある実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで15ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで12ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、そのようなアッセイで、修飾表面は10ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで8ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで6ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで4ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで2ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで1ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで0.5ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、そのようなアッセイで0.25ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、双性イオンポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、この双性イオン性ポリマーをポリウレタンポリマーからグラフトする。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーを、ポリウレタンポリマーからグラフトする。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーをポリウレタンポリマーからグラフトする。
好ましい実施形態はさらに、本発明のグラフトポリマー層を有する基体について血栓の減少を示す。例えば、修飾された基体、すなわち、グラフトポリマー層を有する基体の血栓の減少は、基準基体、すなわち、グラフトポリマー層が欠如した同じかまたは他の機能的に等価な基体に対して、新しく収集された、ヘパリン処理され、放射性標識血小板を有するウシ血液に、それらをフローループにおいて2時間曝露することによって、評価することができる。抗血栓性能の評価として、試料を血栓症のエクスビボフローループモデル中に入れる。血栓症のエクスビボフローループモデルを用いて抗血栓性活性を評価することができる。手短に言うと、10リットルまでの新鮮な血液を単一の動物(ウシ)から集める。この血液をヘパリン処理して凝固を防止し、ろ過して微粒子を除去し、そして自己由来の放射標識された血小板を添加する。血液収集後8時間以内に、血液を浴から製品上にポンプで供給し、次いで浴に戻す、フローループサーキット中に、コーティングされた製品およびコーティングされていない製品を入れる。第2の内部フローループサーキットを、内腔を含む基体について、第2の蠕動ポンプにより基体の2つのポートを連結することによって、確立することができる。その中に製品を入れるチュービングのサイズおよび血流の速度は、試験される製品のサイズに基づいて調節することができる。好ましくは、製品が14〜15.5フレンチ透析カテーテルである場合、内径約12.5〜25.4mmのチュービング直径を有するフローループサーキット中にそれらを入れる。血液を約2.5L/分の速度で外側のサーキット中にポンプで供給し、一方、内側のサーキット中の血液を、約200〜400mL/分の速度にてポンプで供給する。製品が5フレンチPICCカテーテルシャフトである場合、それらを内径約6.4mmのフローループサーキットに入れ、血流速度は約200mL/分である。評価の間、内腔を溶液、例えば生理食塩水でロックすることができる。別法として、遠位先端を、例えば評価中にエポキシでシールすることができる。製品が10フレンチロッドである場合、それらを内径約6.4mmのフローループサーキット中に入れ、血流速度は約200mL/分である。60〜120分後、製品を取り出し、血栓形成について視覚的に検査し、そして付着した血小板を、ガンマカウンターを用いて定量化する。内腔を含まない試料については、外側のサーキットのみを用いてデバイスの外側上の血栓を測定することができる。このアッセイにおいて、好ましい実施形態は、基準基体と比べて吸着された血小板において少なくとも80%の減少を示し、血栓の実質的な目に見える減少を示す。例えば、ある実施形態において、基準基体に対して修飾基体について吸着された血小板において少なくとも90%減少する。好ましい実施形態は、基準基体に対して修飾基体について吸着された血小板において少なくとも98%の減少を示す。あるいは、好ましい実施形態において、修飾基体の血栓形成性は、47%(w/v)DI水中クエン酸ナトリウム溶液に3日以上曝露後、非修飾基体に比べて減少する。実施形態は、基準基体と比べて、修飾基体について血栓の目に見える減少を示す。好ましい実施形態は、吸着された血小板において基準基体と比べて修飾基体の少なくとも80%の減少および血栓の実質的に目に見える減少を示す。好ましい実施形態は、基準基体に対して修飾基体について吸着された血小板において少なくとも90%の減少を示す。好ましい実施形態は、基準基体と比べて修飾基体について少なくとも98%の減少を示す。あるいは、好ましい実施形態の血栓形成性は、動物血清および/または血漿に曝露後、非修飾基体と比べて減少する。例えば、好ましい実施形態の血栓形成性は、ヒトクエン酸血漿に37℃で55日曝露後、基準基体と比べて修飾基体について減少する。実施形態は、基準基体と比べて修飾基体について血栓の目に見える減少を示す。好ましい実施形態は、修飾基体について基準基体と比べて吸着された血小板において少なくとも80%の減少および血栓の実質的な目に見える減少を示す。好ましい実施形態は、修飾基体について基準基体に対して吸着された血小板において少なくとも90%減少を示す。好ましい実施形態は、修飾基体について基準基体と比べて吸着された血小板において少なくとも98%減少を示す。
好ましい実施形態は、修飾基体について少なくとも0.5log、1log、1.5log、2log、2.5log、3log、または4logの抗バイオフィルム活性を示す。さらに好ましい実施形態は、PBS、血清、または血漿製品に長時間曝露後に抗バイオフィルム活性を有する。1つの好ましい実施形態では、1logの抗バイオフィルム活性がPBS中37℃で30日貯蔵後に達成される。さらに好ましい実施形態では、1logの抗バイオフィルム活性がPBS中37℃で90日貯蔵後に達成される。1つの好ましい実施形態では、2logの抗バイオフィルム活性がPBS中37℃で30日貯蔵後に達成される。さらに好ましい実施形態では、2logの抗バイオフィルム活性がPBS中37℃で90日貯蔵後に達成される。1つの好ましい実施形態では、1logの抗バイオフィルム活性がヒトクエン酸血漿中37℃で30日貯蔵後に達成される。さらに好ましい実施形態では、1logの抗バイオフィルム活性がヒトクエン酸血漿中37℃で90日貯蔵後に達成される。1つの好ましい実施形態では、2logの抗バイオフィルム活性が、ヒトクエン酸血漿中37℃で30日貯蔵後に達成される。さらに好ましい実施形態では、2logの抗バイオフィルム活性が、ヒトクエン酸血漿中37℃で90日間貯蔵後に達成される。
好ましい実施形態は、PBSに長期曝露した後、タンパク質吸着に対して耐性を示し、これは加水分解安定性を示し得る。いくつかの実施形態において、修飾表面は、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日曝露した後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中で試料をインキュベートする、フィブリノゲン吸着アッセイで、125ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで90ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて、70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで70ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃にて、70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで50ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて、70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて、70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで20ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで15ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで12ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで10ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで8ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで6ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで4ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで2ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで1ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで0.5ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで0.25ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で30日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。
好ましい実施形態は、長時間PBSに曝露後にタンパク質吸着に対する耐性を示し、このことは、加水分解安定性を示す可能性がある。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで125ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで90ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで70ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで50ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで20ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面はフィブリノゲン吸着アッセイで15ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃にて90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで12ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで10ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで8ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このフィブリノゲン結合アッセイでは、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで6ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、この場合、試料を、PBSに37℃で90日曝露した後、70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中、37℃で60分間インキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで4ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分日間37℃で70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで2ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃で70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで1ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで0.5ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。いくつかの実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイで0.25ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し、このアッセイで、試料を、60分間37℃にて70μg/mLの、PBSに37℃で90日間曝露後のヒト血漿由来のフィブリノゲン中でインキュベートする。
一般に、基体の表面を任意の様々な非汚染性ポリマー材料で修飾することができる。例えば、非汚染性ポリマー材料は、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。コポリマーである場合、非汚染性ポリマー材料は、交互コポリマー(例えば、[AB...]n、周期性コポリマー(例えば、[AnBm...](式中、nおよびmは異なる)、統計コポリマー(モノマーが公知統計的法則にしたがって配列されるコポリマー)、ランダムコポリマー、あるいはブロックのそれぞれが独立してホモポリマーまたは交互、周期的、統計的もしくはランダムコポリマーであるブロックコポリマーであり得る。さらに、非汚染性ポリマー材料がコポリマーである場合、それは、ジブロック、トリブロックまたは他のポリブロックコポリマーであり得る。例えば、1つの好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料はホモポリマーを含む。別の好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料はランダムコポリマーを含む。さらに別の実施形態いおいて、非汚染性ポリマー材料はブロックコポリマー、たとえば、ジブロックまたはトリブロックコポリマーを含む。
1つの実施形態において、表面修飾、すなわち、グラフトポリマー、は、基体表面の表面粗さと少なくとも等しい厚さを有する。例えば、基体の表面が100nmの全体的な平均Rrms表面粗さを有する場合、この実施形態において、グラフトポリマー層が少なくとも100nmの全体的な平均乾燥厚さを有するのが好ましい。いくつかの実施形態において、基体表面は比較的滑らかであり、たとえば、2nmの全体的な平均Rrms表面粗さである。他の実施形態において、基体表面は著しく粗く、たとえば、1μmの全体的な平均Rrms表面粗さである。他の実施形態において、基体表面は、これらの値の中間の表面粗さ、たとえば75〜250nmの全体的な平均Rrms表面粗さを有するであろう。これらの実施形態のそれぞれにおいて、グラフトポリマー層の厚さが、基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さを超えるのが好ましい。したがって、例えば、1つの実施形態において、グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%である。さらなる例として、全体的な平均乾燥厚さは、基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%であり得る。さらなる例として、全体的な平均乾燥厚さは、基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも500%であり得る。さらなる例として、全体的な平均乾燥厚さは、基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも1,000%であり得る。好ましい実施形態において、グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて真空下で測定され、全体的な平均Rrms表面粗さは、原子間力顕微鏡を用いて測定される。1つの実施形態では、グラフトポリマー層は、この段落で記載される前記実施形態および例のそれぞれにおいて、双性イオン性ポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはスルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、双性イオン性ポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはカルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはスルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、そしてスルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。
1つの実施形態では、グラフトポリマー層は、優先的に、少なくとも部分的に基体表面中の欠陥を埋める。任意の特定の理論に束縛されることなく、基体中の陥凹または陥没は開始剤含有基体によって取り囲まれ、したがって陥凹または陥没内の重合を行うために利用可能な開始剤の量は、基体の平坦領域上よりも実質的に多い可能性がある。これは、これらの欠陥における重合および欠陥の充填を加速することができる。いくつかの実施形態において、周囲の表面に対して垂直な方向で測定して少なくとも100nmの深さおよび周囲の表面に対して平行な方向で測定して、少なくとも100nmである幅を有する陥凹の形態の欠陥は、グラフトポリマーで優先的に充填される可能性がある。
1つの実施形態では、グラフトポリマー層は表面粗さを著しく増大させない。例えば、1つの実施形態では、修飾表面、すなわち、グラフトポリマーを有する製品の表面は、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さの300%未満の表面粗さ値を有する。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さの250%以下である。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さの200%以下である。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さの150%以下である。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さ以下である。
1つの実施形態では、そして特に比較的大きな表面粗さ値を有する基体表面を有する製品について、グラフトポリマー層は、表面粗さを減少させることができる;換言すると、修飾表面、すなわち、グラフトポリマーを有する製品の表面は、基体の表面よりも少ない表面粗さを有する。例えば、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さよりも少なくとも50%少ない。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さよりも少なくとも25%少ない。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さよりも少なくとも10%少ない。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、修飾表面の全体的な平均Rrms表面粗さは、グラフトポリマー層のない製品の表面の全体的な平均Rrms表面粗さよりも少なくとも5%少ない。
相対的表面粗さに関係なく、修飾表面は好ましくは比較的低い表面粗さ値を有する。例えば、修飾表面は、好ましくは500nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、修飾表面は、400nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、300nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、200nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、150nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、100nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、75nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、50nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、25nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、10nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有し得る。さらなる例として、修飾表面は、好ましくは5nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、修飾表面は、好ましくは2nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、修飾表面は、好ましくは1nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。1つの実施形態では、グラフトポリマー層は、この段落で記載される前記実施形態および例のそれぞれにおいて、双性イオン性ポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、双性イオン性ポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはカルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。
1つの実施形態では、グラフトポリマー層は、基準基体、すなわち、非汚染性ポリマー層のない同じかまたは機能的に等価な基体よりも0.1マイクロメートル大きいサイズを有する目に見える突起の数を減らすことができる。例えば、そのような目に見える突起の数を少なくとも25%減少させることができる。さらなる例として、そのような目に見える突起の数を少なくとも50%減少させることができる。さらなる例として、そのような目に見える突起の数を少なくとも75%減少させることができる。さらなる例として、そのような目に見える突起の数を少なくとも90%減少させることができる。1つの実施形態では、グラフトポリマー層は、基準基体、すなわち、非汚染性ポリマー層のない同じかまたは機能的に等価な基体よりも0.5マイクロメートルより大きなサイズを有する目に見える突起の数を減少させることができる。例えば、そのような目に見える突起の数を少なくとも25%減少させることができる。さらなる例として、そのような目に見える突起の数を少なくとも50%減少させることができる。さらなる例として、そのような目に見える突起の数を少なくとも75%減少させることができる。さらなる例として、そのような目に見える突起の数を少なくとも90減少させることができる。
表面修飾が適用される製品およびその作用環境に応じて、グラフトポリマー層は、広範囲に及ぶ厚さのいずれかを有し得る。いくつかの適用に関して、例えば、非汚染性グラフトポリマー層は少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。いくつかの適用に関して、実質的にさらに厚いグラフトポリマー層が望ましい可能性がある。例えば、非汚染性グラフトポリマー層は、50マイクロメートルの全体的な平均乾燥厚さを有し得る。典型的には、しかしながら、非汚染性グラフトポリマー層は、さらに少ない平均厚さを有する。例えば、いくつかの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層は、10マイクロメートルまでの全体的な平均乾燥厚さを有する。さらなる例として、いくつかの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層は、1マイクロメートルまでの全体的な平均乾燥厚さを有する。さらなる例として、いくつかの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層は、500nmまでの全体的な平均乾燥厚さを有する。さらなる例として、いくつかの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層は、約100nm〜約1,000nmの範囲の全体的な平均乾燥厚さを有する。さらなる例として、いくつかの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層は、約300nm〜約600nmの範囲の全体的な平均乾燥厚さを有する。さらなる例として、いくつかの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層は、約200nm〜約400nmの範囲の全体的な平均乾燥厚さを有する。好ましい実施形態において、グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を真空下で用いて測定される。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、双性イオン性ポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはカルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはスルホベタインまたはカルボキシベタインを含有するポリマーであり、スルホベタインまたはカルボキシベタインを含有するポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。
一般に、表面修飾は、好ましくは均一な厚さを有する。例えば、1つの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えないことが一般的に好ましい。さらなる例として、1つの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差は、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない。さらなる例として、1つの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差は、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの20%を超えない。さらなる例として、1つの実施形態において、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差は、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの10%を超えない。厚さの標準偏差は、好ましくは少なくとも5回、さらに好ましくは少なくとも6〜10回の、ランダムに間隔をあけたグラフトポリマー層厚さの測定によって測定される。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、双性イオン性ポリマーであり、この双性イオン性ポリマーは、ポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、このカルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、そしてスルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するこのポリマーは、ポリウレタンポリマーからグラフトされる。
一般に、本発明の表面修飾は比較的親水性である。一般に、修飾表面は40度未満の静的接触角を示す。例えば、比較的疎水性のポリマー、例えばシリコーン、炭化水素ゴム、フルオロシリコーン、フルオロポリマーおよび少なくとも90度の固有接触角を有する他のポリマーからグラフトされた、本発明の非汚染性ポリマー材料を含む製品の修飾表面は、40度未満の静的接触角を示す可能性がある。さらなる例として、少なくとも90度の接触角を有する比較的疎水性基体からグラフトされた、本発明の非汚染性ポリマー材料を含む製品の修飾表面は、30度未満の静的接触角を示す可能性がある。さらなる例として、少なくとも90度の接触角を有する比較的疎水性基体からグラフトされた、本発明の非汚染性ポリマー材料を含む製品の修飾表面は、25度未満の静的接触角を示し得る。さらなる例として、少なくとも90度の接触角を有する比較的疎水性基体からグラフトされた、本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、20度未満の静的接触角を示し得る。さらなる例として、少なくとも90度の接触角を有する比較的疎水性基体からグラフトされた、本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、15度未満の静的接触角を示す可能性がある。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、双性イオン性ポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはカルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。
90度未満であるが、25度より大きい接触角を有するポリウレタン(脂肪族ポリカーボネートベースのポリウレタンを含む)などの低疎水性基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品は、25度未満の静的接触角を示す可能性がある。例えば、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、24度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、23度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、22度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、21度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、20度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、19度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、18度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、17度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、16度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、15度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、1つの実施形態において、少なくとも25度の接触角を有する基体からグラフトされた本発明の非汚染性ポリマー材料を有する製品の修飾表面は、約5〜約15度未満の静的接触角を示す。1つの実施形態では、非汚染性ポリマー材料は、この段落で記載される前記実施形態および例のそれぞれにおいて、双性イオン性ポリマーである。1つの実施形態において、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、双性イオン性ポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。
比較的親水性であることに加えて、本発明のグラフトポリマー層はさらに、限定された膨潤能を有する可能性がある。例えば、1つの実施形態において、グラフトポリマー層の乾燥厚さと、周囲条件下のグラフトポリマー層の厚さとの間の差は大きくない。例えば、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさは、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である。いくつかの適用に関して、さらに低い膨潤能でさえも望ましい可能性がある。例えば、そのような条件下でのグラフトポリマー層の厚さにおける差は、全体的な平均乾燥厚さの100%未満であり得る。さらなる例として、SEMおよびESEMによってそのような条件下で測定されるグラフトポリマー層の厚さにおける差は、全体的な平均乾燥厚さの50%未満であり得る。さらなる例として、SEMおよびESEMによってそのような条件下で測定されるグラフトポリマー層の厚さにおける差は、全体的な平均乾燥厚さの25%未満であり得る。さらなる例として、SEMおよびESEMによってそのような条件下で測定されるグラフトポリマー層の厚さにおける差は、全体的な平均乾燥厚さの10%未満であり得る。さらなる例として、SEMおよびESEMによってそのような条件下で測定されるグラフトポリマー層の厚さにおける差は、全体的な平均乾燥厚さの5%未満であり得る。さらなる例として、SEMおよびESEMによってそのような条件下で測定されるグラフトポリマー層の厚さにおける差は、全体的な平均乾燥厚さの1%未満であり得る。さらなる例として、そのような比較によって差は観察されない。1つの実施形態では、この段落で記載される前記実施形態および例のそれぞれにおけるグラフトポリマー層は双性イオン性ポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウム繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーである。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは双性イオン性ポリマーであり、双性イオン性ポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーはカルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーであり、カルボキシアンモニウムまたはスルホアンモニウムポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。1つの実施形態では、この段落で記載する前記例および実施形態のそれぞれにおけるグラフトポリマーは、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーであり、スルホベタインまたはカルボキシベタイン繰り返し単位を含有するポリマーはポリウレタンポリマーからグラフトされる。
有利には、本発明のプロセスを調整して、グラフトポリマー層の厚さ、厚さの均一性、親水性の程度(接触角)、および/または膨潤能、ならびに表面修飾された製品の表面粗さの独立制御を提供することができる。したがって、例えば、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの200%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの200%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの100%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの50%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの25%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの20%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの25%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの10%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの25%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの200%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの100%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの50%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの25%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの10%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの10%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの5%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、プロセスを制御して、25度未満の静的接触角を示し、ならびに基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さ、非汚染性グラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%を超えない非汚染性グラフトポリマー層の厚さについての標準偏差、および全体的な平均乾燥厚さの5%未満である、標準的走査電子顕微鏡(SEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境走査電子顕微鏡(ESEM)によって測定されるグラフトポリマー層の全体的な平均加湿厚さとの間の差の大きさを有するグラフトポリマー層を有する製品を提供することができる。さらなる例として、前記例のそれぞれにおいて、グラフトポリマー層は、100nm〜1,000nmの範囲の全体的な平均乾燥厚さを有し得る。
一般に、グラフトポリマー材料は、基体の表面付近の区域で、EDSマッピング、XPS、またはTOF−SIMSを用いて検出することができる。試料を、液体窒素中で凍結割断して、コーティング/基体界面を露出させることができる。破面を次いでAu/Ptの薄層でコーティングして、元素分析のためにエネルギー分散型X線分析装置(EDAX)を用いて走査型電子顕微鏡下で観察することができる。好適な装置には、FEI/Philips XL30 FEG ESEMが含まれる。ポリマー材料が表面付近の区域中に及ぶかどうかを評価するために、グラフトポリマー層を有する製品の部分全体にわたってほぼ均一に間隔をあけた、少なくとも25、そして好ましくは少なくとも50の代表的な位置を分析して、表面付近の区域中のポリマー材料の検出可能な増大を確認しなければならない。例えば、グラフトポリマー層をカテーテルの留置部分に適用する場合、代表的な位置は、カテーテルの留置部分全体にわたってほぼ均一に間隔をあけて配置される。グラフトポリマー層で覆われた製品の部分の最長寸法全体にわたって代表的な点で厚さを測定することが好ましい。
本明細書中でさらに詳細に記載するように、基体中に開始剤を組み入れることによって、ポリマー材料を表面から、および基体の表面付近の区域内からグラフトすることが可能になる。一般に、しかしながら、ポリマー材料が基体中あまり深くまで達しないのが好ましい;したがって、1つの実施形態において、ポリマー材料は表面付近の区域中に存在するが、さらに奥深い所では存在せず、すなわちバルクでは存在しない。表面付近の区域が達する最大深さは、少なくとも一部には、開始剤および基体中に開始剤を組み入れるために用いられる技術の関数である。典型的には、しかしながら、表面付近の区域の下方境界が、表面に対して垂直な方向で測定して、基体表面から20マイクロメートルを超えないのが一般的に好ましい。一例として、下方境界は、表面に対して垂直な方向で測定して、基体表面から15マイクロメートルを超えない可能性がある。さらなる例として、下方境界は、表面に対して垂直な方向で測定して、基体表面から10マイクロメートルを超えない可能性がある。同様に、表面付近の区域の最小深さ、すなわち、基体表面からの上方境界の距離もまた、少なくとも一部には、開始剤および開始剤を基体中に組み入れるために用いられる技術の関数である。典型的には、しかしながら、上方境界は、表面に対して垂直な方向で測定して、基体表面から少なくとも0.1マイクロメートルである。一例として、上方境界は、表面に対して垂直な方向で測定して、基体表面から少なくとも0.2マイクロメートルであり得る。さらなる例として、上方境界は、表面に対して垂直な方向で測定して、基体表面から少なくとも0.3マイクロメートルであり得る。
基体
一般に、基体は、例えば、1以上の金属、セラミック、ガラス、ポリマー、生物組織(生死にかかわらず)、織りおよび不織繊維、半金属、例えばケイ素、およびそれらの組み合わせから選択される広範囲に及ぶ材料のいずれかを含む。1つの実施形態では、基体は、2以上の材料の複合体である。例えば、基体は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、織りもしくは不織繊維または半金属コア上に「アンダーコーティング」、または「プレコーティング」と本明細書において称する場合もある、ポリマーコーティングを含み得る。あるいは、基体は、全体に、すなわち、その表面からそのバルク中までポリマー材料を含み得る。さらなる例として、基体は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、織りもしくは不織繊維または半金属コア内部層を覆うポリマーコーティングを含み得、これらは次に、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、織りもしくは不織繊維または半金属コアを覆う。
本明細書中でさらに詳細に記載するように、本発明の重合法の好ましい実施形態において、少なくとも1つの重合開始剤を基体中に組み入れる。このように、基体の表面付近の区域が、開始剤(複数可)について十分な容量を有するポリマーなどの材料を含むのが好ましい。したがって、例えば、基体が、金属、セラミック、ガラスまたは開始剤(複数可)について十分な容量を有する他の材料を含む場合、基体は、重合開始剤(複数可)について十分な容量を有するアンダーコートまたはプレコートを備えている。
1つの実施形態では、基体は、たとえば基底材料、例えば金属、セラミック、ガラス、半金属、ポリマーまたは他の材料と、その上のポリマーもしくは他の材料コーティング(例えば、本明細書中の他の箇所で記載するようなアンダーコーティングもしくはプレコーティング)などの2以上の材料の複合体であり得る。そのような場合では、表面付近の区域は、部分的に基底材料内に有り得、そして部分的にその上のポリマーまたは他の材料コーティング内にあり得る。
好適な金属材料としては、金属およびチタンベースの合金、例えば非合金チタン(ASTM F67)およびチタン合金、例えばASTM F1108、Ti−6Al−4V ELI(ASTM F136)、ニチノール(ASTM F2063)、ニッケルチタン合金、および熱記憶合金材料;ステンレス鋼(ASTM F138およびF139)、タンタル(ASTM F560)、パラジウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ニッケル−クロム、またはあるコバルト合金、例えばステライト、コバルト−クロム(バイタリウム、ASTM F75および鍛錬用コバルト−クロム(ASTM F90))、ならびにコバルト−クロム−ニッケル合金、例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)およびHASTELLOY(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
好適なセラミック材料としては、遷移元素の酸化物、炭化物、または窒化物、例えば酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、および酸化ジルコニウムが挙げられるがこれらに限定されるものではない。ケイ素ベースの材料、例えばシリカも用いることができる。
好適なポリマー材料としては、ポリアミド、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリアジン、ポリ(カーボネート)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグアニジン、ポリイミド、ポリケタール、ポリ(ケトン)、ポリオレフィン、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファジン、多糖、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリ尿素、ポリウレタン、ハロゲン化ポリマー、シリコーン、アルデヒド架橋樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ラテックス、またはそのコポリマーもしくはブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的ポリマーとしては、ポリスチレンおよび置換ポリスチレン、ポリアルキレン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリ(ウレタン)、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリエーテル(ポリアセタールを含む)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリフルオロカーボン、PEEK、テフロン、シリコーン、エポキシ樹脂、KEVLAR(登録商標)、NOMEX(登録商標)、DACRON(登録商標)、HYTREL(登録商標)、PEBAX(登録商標)、SURLYN(登録商標)、ナイロン、ポリアルケン、フェノール樹脂、PTFE、天然および合成エラストマー、接着剤およびシーラント、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、バイオポリマー、例えば多糖類およびその天然ラテックスコポリマー、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。1つの実施形態において、基体は、例えば、Lubrizol Corporationから入手可能であり、適切な押出剤および可塑剤とブレンドされた、おそらくはFDAまたは他の適切な規制機関よりインビボでの使用についてすでに認可された脂肪族ポリカーボネートベースのポリウレタンであるCARBOTHANE(登録商標)などの医療グレードポリウレタンである。好ましい基体としては、エラストラン、パールサン(pearlthane)、デスモパン、エスタン、ペレセン(pellethane)、イロガン(irogan)、エクセラストEC、ラリパー(laripur)、カーボサン(carbothane)、CARBOTHANE(登録商標)、イソプラスト、テコフレックス、テコフィリック、テコプラスト、テコサン、バイオマー(Ethicon)、バイオスパン、カルジオサン(cardiothane)51(アボサン(avothane))、カルジオマト(cardiomat)、クロノフレックスAL、クロノフレックスAR、クロノフレックスC、コープレックス、コアサン(corethane)、ミトラサン(mitrathane)、リンプラスト(rimplast)、トーヨーボーTM5、ビアロン(vialon)、エンカ(enka)PUR、コンフィール・アルカス(comfeel ulcus)、バイアソルブ、バイオクルーシブ、ブリスターフィルム、オプサイト、テガダーム、エピガード、リオフォーム(lyofoam)、オミダーム(omiderm)、マイクロタン(microthane)、およびスレタン(surethane)が挙げられる。
基体は、場合によって、放射線画像化を助けるために、放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウム、ビスマス塩、金箔、またはタンタルを含有し得る。
基体は、ゲル、液体、フィルム、粒子(ナノ粒子、微粒子、またはミリメートル直径ビーズ)、繊維(創傷被覆材、包帯、ガーゼ、テープ、パッド、スポンジ、例えば織りおよび不織スポンジおよび特に歯科または眼科手術用に設計されたもの)、血液貯蔵バッグ、外科用、医療用もしくは歯科用器具、血液酸素化装置、人工呼吸器、ポンプ、薬剤送達デバイス、チュービング、ワイヤリング、電極、避妊具、女性衛生用品、内視鏡、グラフト(小直径<6mmを含む)、ステント(冠状動脈、尿管、腎臓、胆管、結腸直腸、食道、肺、尿道、血管、末梢、神経血管を含む)、ステントグラフト(腹部、胸部、神経血管および末梢血管を含む)、ペースメーカー、植込み型心臓除細動器、心臓再同期療法デバイス、心血管デバイスリード、補助人工心臓およびドライブライン、心臓弁、下大静脈フィルター、血管内コイル、カテーテル(中心静脈、末梢中心、正中、末梢、トンネル型(tunneled)、透析アクセス、泌尿器、神経学的、腹膜、大動脈内バルーンポンプ、血管形成バルーン、診断用、介入、薬剤送達などを含む)、カテーテルコネクターおよびバルブ(無針コネクターを含む)、静脈内デリバリーラインおよびマニホールド、シャント(心臓、大脳、腰椎腹腔、肺、門脈体静脈、門脈大静脈などを含む)、創傷ドレイン(内部または外部、例えば脳室、脳室腹腔、および腰椎腹腔)、透析膜、タンパク質分離膜、注入ポート、人工内耳、気管内チューブ、気管切開チューブ、人工呼吸器呼吸管およびサーキット、ガイドワイヤ、液体貯留バッグ、薬剤送達バッグおよびチュービング、植込み型センサー(例えば、血管内、経皮、頭蓋内,グルコースセンサー)、診断用デバイス(例えば、マイクロ流体、マイクロ電気機械、および光学)、眼用デバイス、例えばコンタクトレンズ、眼内レンズおよび水晶体超音波吸引デバイス、矯正装置(例えば、股関節インプラント、膝インプラント、肩インプラント、脊椎インプラント(頸椎プレートシステム、椎弓根(pedicle)スクリューシステム、椎体間固定装置、人工椎間板、および他の可動性温存(motion preservation)デバイスを含む)、ねじ、プレート、リベット、ロッド、髄内釘、骨セメント、人工腱、および他の人工装具または骨折修復装置を含む)、歯科用インプラント、歯周部インプラント、胸部インプラント、ペニスインプラント、顎顔面インプラント、美容インプラント、バルブ、器具、足場、縫合材料、針、ヘルニア修復メッシュ、TVT(tensoin-free vaginal tape)および膣スリング、人工装具神経学的デバイス、組織再生または細胞培養装置、透析器、頭蓋インプラント、シリンジ、血液採取容器、陰嚢インプラント、ふくらはぎ(calve)インプラント、腰部インプラント、外眼性インプラント、ホーンインプラント、皮下インプラント、経皮インプラント、マグネットインプラント、マイクロ流体を含有する医療器具、体外で用いられる血液ベースのセンサー、センサーとして用いられるナノ粒子、IVカテーテルシース、あるいは体内もしくは身体と接触して用いられる他の医療器具またはこれらのいずれかの任意の部分の形態であり得るか、またはその一部を形成し得る。
基体は、ゲル、フォーム、液体、フィルム、コーティング、粒子(ナノ粒子、微粒子、もしくはミリメートル直径ビーズ)、繊維(織りおよび不織スポンジおよび布を含む)、船舶用および水中用コーティング(船舶、潜水艦、船舶用および流体動力学装置、水槽、水中用基礎構造、下水管、ならびに水管用コーティングを含む)、包装材料(食品、飲料、化粧品、および消費製品用包装を含む)、脱塩および水処理システム(凝縮器、スペーサー、パイプライン、および膜を含む)、分離膜(マクロろ過、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、および逆浸透ろ過用膜を含む)、容器を含む実験器具および消費製品(例えば、ペトリ皿、細胞培養皿、フラスコ、ビーカー)、バルブ、ニードル、テープ、シーラント、パイプ、およびチューブ、イヤリング、ボディリング、コンタクトレンズ、調理器具、ギヤ(外部/内部、スプー、らせん状、二重らせん状、斜角、ハイポイド、クラウン、ワーム、非円形など)、ターボ機械(タービンおよびコンプレッサ)、ポンプ(直接揚力、置換、速度、浮力、および重力)、プロペラ、ブレード、ナイフ、フロントガラス、およびガラス製品の形態であり得るか、またはこれらの一部を形成し得る。
1つの実施形態では、基体は、血管内に挿入されたカテーテル、例えば末梢から中心静脈まで挿入されるカテーテル(PICC)、中心静脈カテーテル(CVC)、または血液透析カテーテル、静脈弁、涙点プラグ、ならびに眼内デバイスおよびインプラントである。別の実施形態では、基体は、医療グレードポリウレタンもしくはCARBOTHANE(登録商標)から形成されるか、または医療グレードポリウレタンもしくはCARBOTHANE(登録商標)でコーティングされた材料から形成された、血管内に挿入されるカテーテルである。別の実施形態では、基体は、放射線画像化を助けるために放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウムまたはビスマス塩を含有する医療グレードポリウレタン、すなわちCARBOTHANE(登録商標)から形成されるか、または放射線画像化を助けるために放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウムまたはビスマス塩を含有する医療グレードポリウレタンすなわちCARBOTHANE(登録商標)でコーティングされた材料から形成される、血管内に挿入されるカテーテルである。
別の実施形態では、基体は、Tecothane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンから形成されるか、またはTecothane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンでコーティングされた材料から形成される、血管内に挿入されるカテーテルである。別の実施形態では、基体は、放射線画像化を助けるために放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウムまたはビスマス塩を含有するTecothane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンから形成されるか、または放射線画像化を助けるために放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウムまたはビスマス塩を含有するTecothane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンでコーティングされた材料から形成される、血管内に挿入されるカテーテルである。別の実施形態では、基体は、Pellethane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンから形成されるか、またはPellethane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンでコーティングされた材料から形成される、血管内に挿入されるカテーテルである。別の実施形態では、基体は、放射線画像化を助けるために放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウムまたはビスマス塩を含有するPellethane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンから形成されるか、または放射線画像化を助けるために放射性不透過性添加剤、例えば硫酸バリウムまたはビスマス塩を含有するPellethane(登録商標)などの医療グレードポリウレタンでコーティングされた材料から形成される、血管内に挿入されるカテーテルである。
医療器具基体は、多くの場合、複数の異なる材料から構成され、そのそれぞれはそれ自身の表面特性を有する。主に単一ポリマーから構成されるデバイスであっても、材料ブレンドから構成される可能性があり、可塑剤、放射性不透過性物質、および他の添加剤を含む可能性があり、それらはすべて基体表面特性に影響を及ぼす。コーティング付着および有効性を最大化するために均一表面組成物を保証するために、単一ポリマーまたはポリマーブレンドのプレコートを基体上に配置することができる。特定の実施形態では、アンダーコーティングコート(undercoating coat)は単一のポリマーを含有する。
ポリマープレコートまたはアンダーコートを、例えば、溶媒キャスティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、プラズマ重合、ローラーコーティング、静電コーティング、またはブラシコーティングなどの当該技術分野で公知の種々の技術を用いて基体上に堆積させることができる。例えば、プレコートまたはアンダーコートとして適用されるポリマーを、基体が実質的に不溶性である溶媒中に溶解させ、基体をその中に浸漬して、約100nm〜約500マイクロメートルのプレコートまたはアンダーコートポリマーの層を堆積させる。場合によって、堆積させたポリマーを基体に適用する際または適用した後に架橋させる。単一のポリマーアンダーコーティング層の使用は、例えば、均一な特性および濃度の官能基を有するコーティング表面が形成される可能性がある。
1つの好ましい実施形態では、基体欠陥を隠すポリマーで基体をプレコーティングする。プレコート厚さは、基体の全体的な平均Rrms表面粗さの量より少ないかまたは多い可能性がある。1つの好ましい実施形態では、基体は、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さを超える平均厚さを有するプレコートを有する。本明細書中の別の箇所で記載されているように、プレコーティングは、場合によって、開始剤または開始剤対の少なくとも1つのメンバーを含有し得る。
1つの実施形態では、基体の表面を処理して、プレコートの付着性を改善する。例えば、基体を酸化前処理に付して、ポリマープレコートに対する付着特性を増大させることができ;ポリマープレコートは、基体と反応して共有結合を形成する反応性基を含有し得る。さらなる例として、プレコートを受容する前に、基体を、小分子またはポリマー試薬を用いてシラン処理して、ポリマープレコートに対する付着特性を増大させることができる。さらなる例として、表面を交互に有機および水性処理に付してもよい。
アンダーコーティング層は、基体の放射線画像化を助けるために、放射性不透過性物質、例えばBaSO4またはビスマスを含んでいてもよい。1つの実施形態において、ポリマーは、ポリウレタンポリマー、例えば、Tecoflex−93AまたはCarbothane 85Aであり、場合によって、0〜40重量%のBaSO4を含有する。
アンダーコーティング層はさらに、ポリマー、例えばポリスチレンおよび置換ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ウレタン)、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリフルオロカーボン、PEEK、テフロン、シリコーン、エポキシ樹脂、KEVLAR(登録商標)、NOMEX(登録商標)、DACRON(登録商標)、HYTREL(登録商標)、PEBAX(登録商標)、SURLYN(登録商標)、ナイロン、ポリアルケン、フェノール樹脂、PTFE、天然および合成エラストマー、接着剤およびシーラント、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、バイオポリマー、例えば多糖類およびそれらの天然ラテックスコポリマー、ならびにそれらの組み合わせも含み得るが、これらに限定されるものではない。
プレコート基体を次いで、後述のコーティング法を用いてさらに官能化することができる。
さらに高密度の非汚染性材料が望ましい場合では、基体表面上に微細構造を形成することによって、製品の見かけの表面積を増大させることなく、表面から非汚染性材料をグラフトするための面積をさらに大きくすることができる。ヒドロゲルネットワークを含むポリマー基体に関して、この表面形態は、適切なポリマー構造設計により形成することができる。この方法の一例は、表面連結デンドリマーポリマーの成長である。デンドリマーのそれぞれの生成は、出現する双性イオン性部位の数を効率的に倍増させる。他のポリマー構造には、ブラシポリマー、例えばブラシコポリマー、コームポリマー、例えばコームコポリマー、直線状および分枝コポリマー、架橋ポリマー、ヒドロゲル、ポリマーブレンド、およびそれらの組み合わせが含まれる。
表面修飾
一般に、非汚染性ポリマー材料は、1以上の重合開始剤が組み入れられた基体からグラフトされる。1つの実施形態では、非汚染性ポリマー材料は、2以上の材料、例えば、金属、セラミック、ガラス、半金属、ポリマーまたは他の材料と、その上のポリマーもしくは他の材料コーティング(例えば、本明細書中で前述のアンダーコーティングまたはプレコーティング)などの基底材料の複合体である基体からグラフトされる。例えば、1つの実施形態では、非汚染性ポリマー材料は、ポリマーアンダーコート層、例えば、金属またはセラミックバルクを覆うポリウレタン層からグラフトされる。さらなる例として、1つの実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、ポリマーアンダーコート層、例えばポリウレタンなどのポリマーバルクを覆うポリウレタン層からグラフトされる。
好ましくは、基体からグラフトされる非汚染性ポリマー材料は、連鎖成長ポリマー(すなわち、付加重合によって形成されるポリマーまたはポリマーブロック)、またはそれらの組み合わせを含む。連鎖成長ポリマーは、例えば、二重または三重結合を組み入れたモノマー(複数可)、例えばオレフィンから誘導される付加ポリマーであり得る。さらなる例として、連鎖成長ポリマーは、開環重合反応によって環状モノマーから誘導される付加ポリマーを含み得る。したがって、ポリマーは、連鎖成長ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。好ましい実施形態において、連鎖成長付加ポリマーまたは2以上のモノマーの残基を含む連鎖成長添加コポリマーである。
本発明の1つの態様によれば、非汚染性ポリマー材料は、多官能性架橋剤を過度に使用することなく調製されるのが一般的に好ましい。例えば、非汚染性ポリマー材料は、50モル%未満の多価クロスリンカーの残基を含有するのが一般的に好ましい。1つのそのような実施形態において、非汚染性ポリマー材料は25モル%未満の多価クロスリンカーの残基を含有する。1つのそのような実施形態において、非汚染性ポリマー材料は10モル%未満の多価クロスリンカーを含有する。1つのそのような実施形態において、非汚染性ポリマー材料は5モル%未満の多価クロスリンカーの残基を含有する。1つのそのような実施形態において、非汚染性ポリマー材料は3モル%未満の多価クロスリンカーを含有する。1つのそのような実施形態において、非汚染性ポリマー材料は0.1モル%未満の多価クロスリンカーの残基を含有する。1つのそのような実施形態において、非汚染性ポリマー材料は多価クロスリンカーの残基を含有しない。
グラフト化、段階成長または連鎖成長技術により、非汚染性ポリマー材料は、任意の様々なポリマーの種類またはそれらの組み合わせを含み得る。ポリマー骨格は、中性(例えば、ポリアルキレンもしくはポリエーテル)であり得るか、または永久的に荷電した部分(例えば、環状または非環状四級化窒素原子)、または双性イオン性骨格(例えば、ホスホリルコリン骨格)さえも含有する。1つの実施形態では、したがって、非汚染性ポリマー材料は、ポリアミド、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリアジン、ポリ(カーボネート)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグアニジン、ポリイミド、ポリケタール、ポリ(ケトン)、ポリオレフィン、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファジン、多糖、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリ尿素、ポリウレタン、ハロゲン化ポリマー、シリコーン、炭化水素、エーテル−エステル、エーテル−アミドもしくはイオン化ポリエチレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーまたはコポリマーを含む。
ポリマーはさらに、親水性および疎水性、中性、アニオン性、カチオン性、または混合荷電の、広範囲に及ぶペンダント(側鎖)基も含み得る。例えば、ペンダント基は、中性親水性基、例えば、ヒドロキシ、オリゴ(エチレングリコール)および/またはポリ(エチレングリコール)部分を含み得るか、または荷電基、例えばアニオン性部分、カチオン性部分、および双性イオン性部分を含み得る。
双性イオン性基
双性イオンは、同じ分子内の隣接しない原子上に形式上の正および負電荷を有する分子であり、親電子試薬もしくは求核試薬の添加または除去によって、あるいは保護基の除去によってイオン化することができる分子である。双性イオン官能基を含有する天然および合成ポリマーはどちらも、タンパク質付着に抵抗することが示されている。1つの実施形態では、双性イオン性モノマーは、ホスホリルコリン部分、カルボキシアンモニウム部分、スルホアンモニウム部分、その誘導体、またはそれらの組み合わせを含有する。1つの実施形態では、双性イオン性モノマーは、カルボキシアンモニウム部分、スルホアンモニウム部分、その誘導体、またはそれらの組み合わせを含有する。1つの実施形態では、双性イオン性モノマーは、スルホベタイン部分またはカルボキシベタイン部分を含有する。双性イオン性ポリマーは、スルホベタインメタクリレートまたはカルボキシベタインメタクリレートモノマーなどの1以上のモノマーの存在下で、ポリマー基体中に存在するラジカルで重合を開始することによって形成することができる。
ポリスルホアンモニウムポリマー、例えばポリスルホベタイン、ポリカルボキシアンモニウムポリマー、例えばポリカルボキシベタインならびに他の天然および合成双性イオン成分(chemistry)を用いて、本明細書中で記載される生物医学的応用のための非汚染性材料を設計することができる。非汚染性材料に使用することができる天然双性イオン成分の数例には、これらに限定されるものではないが、アミノ酸、ペプチド、天然小分子、例えばこれらに限定されないが、Ν,Ν,Ν−トリメチルグリシン(グリシンベタイン)、トリメチルアミンオキシド(TMAO)、ジメチルスルホニオプロピオネートサルコシン、リセルグ酸およびサイロシビンが含まれる。非汚染性材料を作製するために使用できるさらなる合成双性イオンには、アミノカルボン酸(カルボキシベタイン)、アミノスルホン酸(スルホベタイン)、コカミドプロピルベタイン、キノノイド系双性イオン、デカフェニルフェロセン、および非天然アミノ酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。天然および合成ポリマーには、ペンダント基上、主鎖中、または末端基で、正に荷電した部分および負に荷電した部分の両方を有する混合荷電構造も含まれる。
生体適合性を改善し、(例えば、ステントまたは静脈弁の表面上の)血栓形成を低減し、そして溶液中に存在するタンパク質または細菌による汚染を低減するために、これらの天然または合成双性イオンを含有するか、またはこれらの天然または合成双性イオンから構成される材料を、表面、特に医療器具の表面からグラフトすることができる。これは、溶液中のタンパク質の非特異的結合がデバイスの所望のまたは必要な構造に悪影響を及ぼす表面について特に適用可能である。
1つの実施形態では、非汚染性ポリマーは、ポリマー骨格に共有結合、直接結合または間接結合した双性イオン性ペンダント基を含有する。双性イオン性ペンダント基は、例えば、アニオン性電荷の二価中心およびカチオン性電荷の一価中心、もしくはその逆を有することによって、または2個のカチオン性電荷の中心および1個のアニオン性電荷の中心、もしくはその逆を有することによって、全体的な正味電荷を有し得る。好ましくは、しかしながら、双性イオンは全体的な正味電荷を有さず、最も好ましくは一価カチオン性電荷の中心および一価アニオン性電荷の中心を有する。さらに、カチオン性電荷の中心(複数可)は、好ましくは永久的であり;すなわち、好ましくは、四級窒素、四級ホスホニウムまたは第三級スルホニウム基である。さらに、アニオン性電荷の中心(複数可)も、永久的であり;すなわち、それらは生理的pHで完全にイオン化され、好ましくは、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホネート、スルフェート、スルフィン酸、またはスルホネートである。
別の実施形態では、ポリマーは、ポリマー骨格に共有結合、直接結合または間接結合した双性イオン性ペンダント基を含有し、双性イオンは式ZI−3:
に対応し、
式中、
T8は、結合、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロであるか、またはT9およびT10ならびにそれらが結合している窒素原子と組み合わせて、窒素含有ヘテロ芳香族環を形成する、
T9およびT10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルもしくはヘテロシクロであるか、または、T9およびT10は、T8およびそれらが結合している窒素原子と組み合わせて、窒素含有ヘテロ芳香族環を形成し、
T11は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、エーテル、またはオキシル化アルキレンであり、
Z3は、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホネート、スルフェート、スルフィン酸、またはスルホネートであり、そして
*は、式ZI−3の双性イオンのポリマー骨格に対する直接的または間接的共有結合点を表す。
ポリマーが式ZI−3に対応する双性イオン性ペンダント基を含有する、ある好ましい実施形態において、T
8、T
9、T
10、およびT
11は、さらに狭い範囲の置換基から選択され、Z
3はカルボキシレートまたはスルフェートであり、双性イオンは、式ZI−4:
に対応し、式中、
*は、式ZI−4の双性イオンのポリマー骨格に対する直接的または間接的共有結合点を表し;T
12は、結合または−(CH
2)
m−(mは1〜3である)であり;T
13およびT
14は、独立して、水素、アルキル、または置換アルキルであり;T
15は、場合によって置換されたアルキレン、フェニレン、エーテル、またはオキシル化アルキレンであり;そしてZ
4は、カルボキシレートまたはスルフェートである。例えば、この実施形態において、T
13およびT
14は、独立して、水素または低級アルキル、例えば、メチル、エチル、またはプロピルであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
13およびT
14は、独立して、水素または低級アルキル、例えば、メチル、エチル、またはプロピルであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
n−(nは1〜8である)であり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
2−または−(CH
2)
3−であり得、そしてT
13およびT
14はメチルであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
2−または−(CH
2)
3−であり得、T
13およびT
14は、水素またはアルキルであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
12は−(CH
2)
2−であり得、T
13およびT
14はメチルであり得、T
15は−(CH
2)
2−であり得、そしてZ
4はカルボキシレートであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
12は−(CH
2)
2−であり得、T
13およびT
14はメチルであり得、T
15は−(CH
2)
3−であり得、そしてZ
4はスルフェートであり得る。
ポリマーが式ZI−3に対応する双性イオン性ペンダント基を含有する、ある好ましい実施形態において、T
8、T
9およびT
10ならびにそれらが結合している窒素原子は、窒素含有ヘテロ芳香族環を形成する。例えば、T
8、T
9およびT
10ならびにそれらが結合している窒素原子は、場合によって置換された、四級窒素原子を含有する複素環を形成し得る。1つのそのような実施形態は、式ZI−5:
に対応し、式中、
*は、式ZI−5の双性イオンのポリマー骨格に対する直接的または間接的共有結合点を表し;HETは、四級窒素原子を含有する複素環であり、T
15は、場合によって置換されたアルキレン、フェニレン、エーテル、またはオキシル化アルキレンであり;そしてZ
4は、カルボキシレートまたはスルフェートである。例えば、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
n−(nは1〜8である)であり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
2−または−(CH
2)
3−であり得、そしてZ
4は、カルボキシレートまたはスルフェートであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
3−であり得、Z
4はスルフェートであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は−(CH
2)
2−であり得、Z
4はカルボキシレートであり得る。式ZI−5に対応する例示的な双性イオンには、式ZI−6AおよびZI−6B:
に対応する双性イオンが含まれ、式中、
*は、式ZI−6AおよびZI−6Bの双性イオンのポリマー骨格に対する直接または間接的共有結合点を表し;T
15は、場合によって置換されたアルキレン、フェニレン、エーテル、またはオキシル化アルキレンであり;そしてZ
4はカルボキシレートまたはスルフェートである。例えば、この実施形態において、T
15は、−(CH
2)
n−であり得る(nは1〜8である)。さらなる例として、この実施形態において、T
15は−(CH
2)
2−または−(CH
2)
3−であり得、Z
4はカルボキシレートまたはスルフェートであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は−(CH
2)
3−であり得、Z
4はスルフェートであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
15は−(CH
2)
2−であり得、Z
4はカルボキシレートであり得る。
1つの実施形態では、ポリマーは、ポリマー骨格に直接的または間接的に共有結合した双性イオン性ペンダント基を含有し、そして双性イオンは式ZI−7:
に対応し、式中、T
4、T
5およびT
6は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり;T
12は、結合、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、またはヘテロシクロであり、
*は、式ZI−7の双性イオンのポリマー骨格に対する直接的または間接的共有結合点を示す。
1つの実施形態では、ポリマーは、ポリマー骨格に直接的または間接的に共有結合した双性イオン性ペンダント基を含有し、そして双性イオンは、式ZI−1:
に対応し、
式中、
T1およびT2は、独立して、酸素、イオウ、NHまたは結合であり、
T3は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、エーテル、またはオキシル化アルキレンであり、
Z1は、四級窒素、ホスホニウムまたはスルホニウムカチオン性基を含む部分であり、そして
*は、式ZI−1の双性イオンのポリマー骨格に対する直接的または間接的共有結合点を示す。
ポリマーが式ZI−1に対応する双性イオン性ペンダント基を含有する、ある好ましい実施形態において、T
1およびT
2は酸素であり、Z
1は四級窒素、および式ZI−2:
に対応する双性イオンであり、式中、
*は、式ZI−2の双性イオンのポリマー骨格に対する共有結合点を表し、T
3は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、またはオキシル化アルキレンであり、そしてT
4、T
5およびT
6は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである。例えば、この実施形態において、T
3は、−(CH
2)
n−(nは1〜8)であり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
4、T
5およびT
6は独立して、低級アルキル、例えば、メチル、エチルまたはプロピルであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
3は、−(CH
2)
n−(nは1〜3である)であり得、そしてT
4、T
5およびT
6は、独立して、低級アルキル、例えば、メチル、エチルまたはプロピルであり得る。さらなる例として、この実施形態において、T
3は、−(CH
2)
n−(nは1〜3である)であり得、そして1以上のT
4、T
5およびT
6は、置換ヒドロカルビル、例えばオリゴマーホスホリルコリン(例えば、式9)であり得る。
中性の親水性ペンダント基
一実施形態において、ポリマーは、直接的または間接的に、ポリマーの骨格に共有結合により結合した、中性の親水性ペンダント基を含有する。例示的な中性の親水基としては、ヒドロキシ、チオール、オキシル化されたアルキル(例えばオリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール)、エーテル、チオエ−テル等が挙げられる。1つのそのような特定の実施形態において、ポリマーは、以下の式POA−1:
に対応するアルコキシル化された部分を含むペンダント基を含有し、式中、aは1〜3であり、bは1〜8であり、各R
1およびR
2は独立して、水素、ハロゲン、および所望により置換された低級アルキルから成る群から選択され、R
3はヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、および*は、式POA−1に対応する部分と、ペンダント基の残りの部分および骨格との結合点を示す。例としては、1つのそのような実施形態において、各R
1およびR
2は水素であり、nは2または3である。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、各R
1およびR
2は水素であり、nは2または3であり、およびbは3〜5である。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、各R
1およびR
2は水素であり、nは2または3であり、bは3〜5であり、およびR
3はアルキルである。一実施形態において、繰り返し単位は、2〜20個のアルキレンオキシド単位を含有するマクロモノマーから誘導される。
繰り返し単位
一般的に、双性イオン性ペンダント基、中性の親水性ペンダント基、カチオン性ペンダント基および/またはアニオン性ペンダント基を含むホモポリマーまたはコポリマーは、広範なモノマーのいずれかの重合によって作製することができる。1つの好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、オレフィン性モノマーから誘導された繰り返し単位を含むホモポリマーまたはコポリマーである。従って、例えば、一実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、オレフィン性モノマーから誘導され、式1:
に対応する繰り返し単位を含み、
式中、
X1およびX2がそれぞれアリール、ヘテロアリール、およびヘテロ置換カルボニルから成る群から選択されない場合に限り、X1およびX2は独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、または置換カルボニルであり、
X3は水素、アルキルまたは置換アルキルであり、
X4は−OX40、−NX41X42、−N+X41X42X43、−SX40、アリール、ヘテロアリールまたはアシルであり、
X40は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロまたはアシルであり、ならびに
X41、X42およびX43は独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである。
非汚染性ポリマー材料が式1に対応する繰り返し単位を含むある実施形態において、繰り返し単位の少なくとも小部分のX
4が、アルコキシル化部分、双性イオン性部分、アニオン性部分、またはカチオン性部分を含むことが好ましい。そのような実施形態において、例えば、X
1およびX
2は水素であってもよく、ポリマーは式2:
に対応する繰り返し単位を含み、式中、X
3は水素、アルキルまたは置換アルキルであり、およびX
4は、オキシル化されたアルキレン部分、双性イオン性部分、アニオン性部分、またはカチオン性部分を含むペンダント基である。例えば、X
3は水素または低級アルキルであってもよい。さらなる例として、X
4は式POA−1に対応するオキシル化されたアルキレン部分を含むペンダント基であってもよい。さらなる例として、式2の繰り返し単位は、式ZI−1、ZI−2、ZI−3、ZI−4、ZI−5、ZI−6A、ZI−6B、またはZI−7に対応する双性イオン性部分を含む双性イオン性繰り返し単位であってもよい。さらなる例として、式2の繰り返し単位は、カチオン性繰り返し単位であってもよい。さらなる例として、式2の繰り返し単位は、アニオン性繰り返し単位であってもよい。さらなる例として、X
3は水素またはメチルであってもよく、およびX
4は、式POA−1に対応するオキシル化されたアルキレン部分、または式ZI−1、ZI−2、ZI−3、ZI−4、ZI−5、ZI−6A、ZI−6B、またはZI−7に対応する双性イオン性部分を含むペンダント基であってもよい。
1つの本発明における好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料は式2に対応する繰り返し単位を含み、ここでX
4はアシルであり、および該繰り返し単位は式3:
に対応し、式中、X
44は、オキシル化されたアルキレン部分、双性イオン性部分、アニオン性部分、またはカチオン性部分を含む。例えば、X
44は−OX
45、−NX
45X
46または−SX
45、であってもよく、ここでX
45は、オキシル化されたアルキレン部分、双性イオン性部分、アニオン性部分、またはカチオン性部分を含む置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロ部分であり、およびX
46は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである。例えば、X
3は水素または低級アルキルであってもよい。さらなる例として、X
44は−OX
45、または−NHX
45であってもよい。さらなる例として、X
44は−OX
45、または−NHX
45であってもよく、ここでX
45は式POA−1に対応するオキシル化されたアルキレン部分を含む。さらなる例として、X
44は−OX
45、または−NHX
45であってもよく、ここでX
45は、式ZI−1、ZI−2、ZI−3、ZI−4、ZI−5、ZI−6A、ZI−6B、またはZI−7に対応する双性イオン性部分を含む。さらなる例として、式3の繰り返し単位は、カチオン性繰り返し単位であってもよい。さらなる例として、式3の繰り返し単位は、アニオン性繰り返し単位であってもよい。さらなる例として、X
3は水素またはメチルであってもよく、およびX
44は、式POA−1に対応するオキシル化されたアルキレン部分または式ZI−1、ZI−2、ZI−3、ZI−4、ZI−5、ZI−6A、ZI−6B、もしくはZI−7に対応する双性イオン性部分を含んでもよい。1つの特に好ましい実施形態において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含み、およびX
44は−O(CH
2)
2N
+(CH
3)
2(CH
2)
nSO
3 −、−O(CH
2)
2N
+(CH
3)
2(CH
2)
nCO
2 −、−NH(CH
2)
3N
+(CH
3)
2(CH
2)
nCO
2 −、または−NH(CH
2)
3N
+(CH
3)
2(CH
2)
nSO
3 −であり、ここでnは1〜8である。一実施形態において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含み、およびX
44は−NH(CH
2)
mN(CH
2)
nCH
3(CH
2)
pSO
3、−NH(CH
2)
mN(CH
2)
nCH
3(CH
2)
pCO
2、−NH(CH
2)
mN
+[CH
2)
nCH
3]
2(CH
2)
pSO
3、−NH(CH
2)N
+[(CH
2)nCH
3]
2(CH
2)
PCO
2,−NH(CH
2)
mNシクロ−(CH
2)
pCO
2、または−NH(CH
2)
mNシクロ−(CH
2)
pSO
3であり(Nシクロは少なくとも1つの窒素元素を含む複素環構造または複素環誘導体である)、ここでmは1〜8であり;nは0〜5であり;およびpは1〜8である。一実施形態において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含み、およびX
44は−O(CH
2)
mN(CH
2)
nCH
3(CH
2)
pSO
3、−O(CH
2)
mN(CH
2)
nCH
3(CH
2)
pCO
2、−O(CH
2)
mN
+[(CH
2)
nCH
3]
2(CH
2)
pSO
3、−O(CH
2)N
+[CH
2)
nCH
3]
2(CH
2)
PCO
2、−O(CH
2)
mNシクロ−(CH
2)
pCO
2、または−O(CH
2)
mNシクロ−(CH
2)
pSO
3であり、ここでmは1〜8であり;nは0〜5であり;およびpは1〜8である。一実施形態において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含み、およびX
44は−O(CH
2)
2N
+(CH
3)
2(CH
2)SO
3、−O(CH
2)
2N
+(CH
3)
2(CH
2)
2CO
2、−NH(CH
2)
2N
+(CH
3)
2(CH
2)SO
3、−NH(CH
2)
2N
+(CH
3)
2(CH
2)
2CO
2、−NH(CH
2)
3N
+(CH
3)
2(CH
2)
3SO
3、−NH(CH
2)
3N
+(CH
3)
2(CH
2)
2CO
2、−O(CH
2)
2N
+(CH
2CH
3)
2(CH
2)
3SO
3、−O(CH
2)
2N
+(CH
2CH
3)
2(CH
2)
2CO
2、−O(CH
2)
2N
+(CH
2CH
2CH
2CH
3)
2(CH
2)
3SO
3,−O(CH
2)
2N
+(CH
2CH
2CH
2CH
3)
2(CH
2)
2CO
2または−NH(CH
2)
3Nシクロ−(CH
2)
3SO
3である。
1つの好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、双性イオン性ポリマーまたはコポリマーである。例えば、非汚染性ポリマー材料は、カルボキシベタイン繰り返し単位および/またはスルホベタイン繰り返し単位を含んでもよい。あるいは、非汚染性ポリマー材料は、アニオン性およびカチオン性の繰り返し単位を含む高分子両性電解質であってもよい。所望により、非汚染性ポリマーは、ポリ(酸化エチレン)繰り返し単位および/または他の中性のオレフィン性繰り返し単位を含んでもよい。従って、例えば、1つの好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、式4:
の繰り返し単位を含む双性イオン性ポリマーまたはコポリマーであり、aは0〜1であり;bは0〜1であり;cは0〜1であり;dは0〜1であり;mは1〜20であり;nおよびoは独立して0〜11であり;pおよびqは独立して0〜11であり;X
3は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;X
4は−OX
40,−NX
41X
42、−SX
40、アリール、ヘテロアリールまたはアシルであり;X
40は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロまたはアシルであり;X
41およびX
42は独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり;ならびにX
49は水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであるが、ただしa、b、cおよびdの合計が0より大きく、繰り返し単位DのX
4が繰り返し単位A、BおよびCの対応するペンダント基と異なる場合に限る。1つのそのような実施形態において、X
3はヒドロキシ置換アルキル、例えばヒドロキシプロピルなどである。
一実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、繰りAおよび/またはCの返し単位に対応する繰り返し単位を含む双性イオン性ポリマーであることが好ましい。例えば、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.2である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.3である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.4である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.5である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.6である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.7である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.8である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.9である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.1であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.2であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.3であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.4であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.5であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.6であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.7であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.8であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.9であり、bは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.2であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.3であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.4であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.5であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.6であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.7であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.8であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.9であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.1であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.2であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.3であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.4であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.5であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.6であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.7であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.8であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。さらなる例として、一実施形態において、aとcの合計は少なくとも0.9であり、bは少なくとも0.1であり、dは少なくとも0.1である。これらの例示的な実施形態の各々において、aは0であってもよく、cは0であってもよく、またはaおよびcはそれぞれ0より大きくてもよい。
1つの好ましい実施形態において、非汚染性ポリマー材料は式4の繰り返し単位を含む双性イオン性ポリマーまたはコポリマーであり、mは1〜8であり;X
3は水素、アルキルまたは置換アルキルであり、X
4は−OX
40、−NX
41X
42、−SX
40、アリール、ヘテロアリールまたはアシルであり;X
40は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロまたはアシルであり;X
41およびX
42は独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり;ならびにX
49は水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであるが、ただしDの繰り返しのX
4がA、BまたはCの繰り返し単位の対応するペンダント基と異なり、ならびにa、b、c、およびdの組み合わせが、以下の表Iに記載される組み合わせのセットのうちの1つから選択される場合に限る。
表I
一実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、式4の繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位を含む、高分子両性電解質の双性イオン性ポリマーまたはコポリマーである。すなわち、dは0より大きく、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の小部分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の小部分はカチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。例えば、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.1であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.2であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.3であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.4であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.5であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.6であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.7であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.8であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、dは少なくとも0.9であり、繰り返し単位Dに対応する繰り返し単位の約半分はアニオン性繰り返し単位であり(そのような単位のX4はアニオン性ペンダント基である)、および式4に対応する繰り返し単位の約半分は、カチオン性繰り返し単位である(そのような単位のX4はカチオン性ペンダント基である)。さらなる例として、本段落における前記実施例の各々において、残りの繰り返し単位は繰り返し単位Aに対応してもよい。さらなる例として、本段落における前記実施例の各々において、残りの繰り返し単位は繰り返し単位Bに対応してもよい。さらなる例として、本段落における前記実施例の各々において、残りの繰り返し単位は繰り返し単位Cに対応してもよい。
より好ましくは、非汚染性ポリマー材料は、式4の繰り返し単位Aおよび/または繰り返し単位Cに対応する繰り返し単位を含む双性イオン性ポリマーまたはコポリマーである。
ある実施形態において、非汚染性ポリマー材料は、以下の式5、式6、式7、式8、または式9:
に対応する繰り返し単位を含むホモポリマーまたはコポリマーであり、
HETは複素環構造の一部であり、
X3は水素、アルキルまたは置換アルキルであり、
X4は−OX40、−NX41X42、−SX40、アリール、ヘテロアリールまたはアシルであり、
X5はエステル、無水物、イミド、アミド、エーテル、チオエ−テル、チオエステル、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、ウレタン、または尿素であり;
X6はヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド,無水物,エステル、イミド、チオエステル、チオエ−テル、ウレタン、または尿素であり;
X7は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
X8はアニオン性部分であり;
X9はヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエ−テル、ウレタン、または尿素であり;
X10は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
X11はカチオン性部分であり;
X12はヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、または尿素であり;
X13は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
X14はアニオン性部分であり;
L1およびL2は独立してヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、または尿素であり;ならびに
X40は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロまたはアシルであり;ならびに
X41およびX42は独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである。
一実施形態において、非汚染性ポリマー材料は式7に対応する繰り返し単位を含み、ここで、ヘテロシクロ、HETは以下の式10、11または12:
に対応し、式中、X
6はヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、または尿素であり;X
7は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびにX
8はアニオン性部分である。
好適なコモノマーとしては、限定されないが、アクリレート類、アクリルアミド類、ビニル化合物類、多官能分子類、例えばジ、トリ、およびテトライソシアン酸塩類、ジ、トリ、およびテトラオール類、ジ、トリ、およびテトラアミン類、ならびにジ、トリ、およびテトラチオシアン酸塩類;環状モノマー類、例えばラクトン類およびラクタム類、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。簡潔にするために、例示的なメタクリレートモノマー類を以下に記載する(しかし、類似のアクリレート、アクリルアミドおよびメタクリルアミドモノマー類が、同様に記載され、同様に包含され得るということを理解するべきである):
荷電したメタクリレート類または第一級、第二級または第三級アミン基を有するメタクリレート類、例えば、3−スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド第四級塩、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチル−アンモニウムクロリド、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド)、2−アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、および2−(tert−ブチルアミノ−エチルメタクリレート。
アルキルメタクリレート類または他の疎水性のメタクリレート類、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸デシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、tert−ブチルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート。
反応性または架橋可能なメタクリレート類、例えば2−(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニル、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート3−(ジメチルクロロシリル)プロピルメタクリレート2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、グリコールメタクリレート、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、および2−ヒドロキシプロピル2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタラート。
他のメタクリレート類、例えばエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、およびエチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート。
多官能性モノマー類、例えばジ、トリ、またはテトラアクリレート類およびトリ、またはテトラアクリルアミド類を使用することにより、表面上でより高濃度の非汚染性の基を提供する、高度に分岐した構造を形成することができる。先に記載したように、非汚染性ポリマー材料は、非双性イオン性の非汚染性材料を、単独でまたは双性イオン性材料との組み合わせで、含んでもよい。これらの非汚染性の基は、様々な環境において、様々な程度の非汚染性能を有し得る。好適な非双性イオン性材料には、限定されないが、ポリエーテル類、例えばポリエチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)(PEO−PPO)ブロックコポリマー類、多糖類、例えばデキストラン、親水性ポリマー類、例えばポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシエチル−メタクリレート(HEMA)、アクリロニトリル−アクリルアミドコポリマー類、ヘパリン、ヘパリン断片、誘導体化されたヘパリン断片、ヒアルロン酸、混合電荷材料、および水素結合受容基類を含有する材料、例えば米国特許第7,276,286号に記載されるものなどが含まれる。好適なポリマー構造体には、限定されないが、式Iのモノマーを含有するポリマーまたはコポリマーが含まれ、ここでZlは非双性イオン性の非汚染性頭部基で置換されている。
一実施形態において、非汚染性材料は、スルホベタイン含有および/またはカルボキシベタイン含有モノマーから誘導された繰り返し単位を含むポリマーである。モノマーの例としては、メタクリル酸スルホベタイン(SBMA)、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン(CBMA)、カルボキシベタインアクリルアミドおよびカルボキシベタインメタクリルアミドが挙げられる。そのようなポリマーの例としては、限定されないが、ポリ(メタクリル酸カルボキシベタイン)(ポリCBMA)、ポリ(カルボキシベタインアクリルアミド)、ポリ(カルボキシベタインメタクリルアミド)ポリ(メタクリル酸スルホベタイン)(ポリSBMA)、ポリ(スルホベタインアクリルアミド)、およびポリ(スルホベタインメタクリルアミド)が挙げられる。別の実施形態において、非汚染性材料ポリマーは、CBMAまたはSBMAの残渣および1つまたは複数の追加のモノマーを含むポリマーである。追加のモノマーは、双性イオン性または非双性イオン性モノマーであってもよい。
いくつかの実施形態において、持続的に荷電した基を有する双性イオン性ポリマーを使用することが好ましく、いかなる理論にも束縛されるものではないが、荷電した基はイオン的に水と溶媒和するため、非汚染性能を改善し得る。双性イオン性ポリマー中で持続的な電荷を有し得る一般に使用される基の存在を、XPSを使用して検出することにより、表面の上部約1〜50nmに存在する元素を分析することができる。双性イオン中で一般に使用される1つの代表的な基は、第四級アミン基中の窒素である。スルホベタインにおいては、窒素の元素信号は、硫黄の信号とほぼ同じであり得る。さらに、TOF−SIMSなどの技術を使用することにより、グラフトされたポリマー層中の双性イオン性基を特定することができる。いくつかの好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー層は、窒素の、および所望により硫黄のXPS信号を含有する。
一般的に、グラフトされたポリマー材料は式1〜12のうちのいずれかに対応する繰り返し単位を含んでもよい。さらなる例として、グラフトされたポリマー材料は双性イオン性ポリマーを含んでもよい。さらなる例として、ポリマー材料は式1に対応する繰り返し単位を含んでもよい。さらなる例として、グラフトされたポリマー材料は式2に対応する繰り返し単位を含んでもよい。さらなる例として、グラフトされたポリマー材料は式3に対応する繰り返し単位を含んでもよい。さらなる例として、グラフトされたポリマー材料は式4に対応する繰り返し単位を含んでもよい。さらに、グラフトされたポリマー材料は、ペンダント基として、本明細書に開示されるペンダント基のうちのいずれかを含んでもよい。従って、例えば、グラフトされたポリマー材料は式ZI−1〜ZI−7またはPOA−1のうちのいずれかに対応するペンダント基を含んでもよい。1つの特に好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含む。別の特に好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、スルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つの特別に好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。一般的に、グラフトされたポリマー材料の高さおよびいずれの分岐も、表面の凹凸および欠陥を克服することの助けと成り得、増加した分岐は、汚染性材料の、非汚染層に浸透する能力を低減し得る。
1つの好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含み、および表面修飾部は、基体表面の表面粗さと少なくとも同じ厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、およびスルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含み、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%である全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのホモポリマーであり、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも50%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも60%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも70%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも80%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも90%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である全体的な平均乾燥厚さを有する。
別の好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含み、および表面修飾部、すなわちグラフトされたポリマー材料は、少なくとも50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、スルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、ポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーのホモポリマーであり、および真空下でのSEMによる測定において、少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも50%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および真空下でのSEMによる測定において、少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも60%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および真空下でのSEMによる測定において、少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも70%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および真空下でのSEMによる測定において、少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも80%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および真空下でのSEMによる測定において、少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも90%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および真空下でのSEMによる測定において、少なくとも約50nmの全体的な平均乾燥厚さを有する。さらなる例として、前述の実施形態の各々において、全体的な平均乾燥厚さはさらにより大きくてもよく、例えば少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、または少なくとも約500nmであってもよい。
別の好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含み、および表面修飾部、すなわちグラフトされたポリマー材料は、比較的均一な厚さを有する。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、スルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、ポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーのホモポリマーであり、および非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも50%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも60%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも70%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも80%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも90%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの標準偏差が、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの100%を超えない。さらなる例として、前述の実施形態の各々において、厚さの標準偏差はさらにより少なくてもよく、例えば、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの50%未満、非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの20%未満、または非汚染性のグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの10%未満であってもよい。
別の好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含み、基体表面およびグラフトされたポリマー材料の組み合わせが修飾表面を構成し、および修飾表面は40度未満の静的接触角を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、スルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、ポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーのホモポリマーであり、および修飾表面は、25度未満の静的接触角を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも50%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は、25度未満の静的接触角を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも60%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は、25度未満の静的接触角を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも70%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は、25度未満の静的接触角を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも80%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は、25度未満の静的接触角を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも90%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は、25度未満の静的接触角を示す。さらなる例として、前述の実施形態の各々において、修飾表面はさらにより小さくてもよい静的接触角、例えば24度未満、23度未満、22度未満、21度未満、20度未満、19度未満、18度未満、17度未満、16度未満、または15度未満を示す。
別の好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含み、およびグラフトされたポリマー材料、すなわちグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、スルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料はメタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、ポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーのホモポリマーであり、およびグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも50%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、およびグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも60%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、およびグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも70%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、およびグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも80%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、およびグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも90%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、およびグラフトされたポリマー層は、全体的な平均乾燥厚さの200%未満である容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。さらなる例として、前述の実施形態の各々において、グラフトされたポリマー層は、200%未満、例えば100%未満、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、1%未満、または0であってよい容積膨潤能(volumetric swelling capacity)を有し、該容積膨潤能(volumetric swelling capacity)は、標準の走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さと、環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)により測定されるグラフトされたポリマー層の全体的な平均加湿厚さの間の差異の大きさにより測定される。
別の好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、式1に対応し、双性イオン性ペンダント基を含み、基体表面およびグラフトされたポリマー材料の組み合わせは修飾表面を構成し、ならび該修飾表面はタンパク質に対する比較的低い親和性を示す。例えば、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイにおいて125ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し得る。さらなる例として、一実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイにおいて90ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し得る。さらなる例として、一実施形態において、修飾表面は、フィブリノゲン吸着アッセイにおいて70ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示し得る。さらなる例として、修飾表面が、フィブリノゲン吸着アッセイにおいて50ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示すことが、一般的に好ましい。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は式3に対応し、スルホベタインまたはカルボキシベタインペンダント基を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。1つのそのような好ましい実施形態において、ポリマー材料は、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドのモノマーのホモポリマーであり、および修飾表面は30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも50%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも60%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも70%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも80%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。1つのそのような好ましい実施形態において、グラフトされたポリマー材料は、モノマー残渣の少なくとも90%が、メタクリル酸スルホベタイン、アクリル酸スルホベタイン、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインメタクリルアミド、メタクリル酸カルボキシベタイン、アクリル酸カルボキシベタイン、カルボキシベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリルアミドの残渣であるコポリマーであり、および修飾表面は30ng/cm2未満のフィブリノゲン吸着を示す。さらなる例として、前述の実施形態の各々において、修飾表面は20ng/cm2未満、例えば15ng/cm2未満、12ng/cm2未満、10未満、8ng/cm2未満、6ng/cm2未満、4ng/cm2未満、2ng/cm2未満、1ng/cm2未満、0.5ng/cm2未満、または0.25ng/cm2未満であってもよいフィブリノゲン吸着を示す。
蛍光および比色分析標識
一実施形態においては、基体表面および/またはグラフトされたポリマー層を、1つまたは複数の比色分析標識、蛍光標識、またはそれらの組み合わせで、染色または標識する。これらの標識は、裸眼、分光法、顕微鏡検査法、またはそれらの組み合わせを用いて表面を可視化するために使用される。好適な顕微鏡検査法技術には、限定されないが、光学顕微鏡検査法、蛍光顕微鏡検査法、およびそれらの組み合わせが含まれる。
化学反応、または物理的吸着、例えば電荷−電荷間相互作用、疎水性相互座用、または親水性相互座用などにより、表面を染色することができる。標識化合物には、限定されないが、ローダミン、フルオレセイン、クマリン、オレンジB、クリスタルバイオレット、トルイジンブルー、メチルバイオレット、ヌクレアファストレッド、メチレンブルー、マラカイトグリーン、マゼンタ、アクリフラビンの化合物または誘導体、および他のアゾ化合物が含まれる。
別の実施形態においては、重合の間に、1つまたは複数の反応性標識モノマーをポリマー骨格中に組み入れることにより、グラフトされたポリマー、例えば、双性イオン性ポリマーを標識する。これらの標識モノマーには、限定されないが、FITC−メタクリレート、FITC−アクリレート、ローダミン−メタクリレート、ローダミン−アクリレート、それらの誘導体または他の蛍光性のアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、ビニル化合物、ジオールまたはジアミンのいずれかが含まれる。これらの基を組み入れることにより、共形性(conformality)および/またはグラフトされたポリマー層の厚さの簡便な測定を可能にすることができる。これは、下にあるデバイス上でグラフトされたポリマー層を製造する間の共形性検証のための、品質管理測定基準(quality control metric)として特に有用であり得る。
別の実施形態においては、電子顕微鏡(SEMまたはTEM)下で簡単に可視化することができる1つまたは複数の化合物で、グラフトされたポリマー層を染色する。これらの化合物には、限定されないが、四酸化オスミウムおよび四酸化ルテニウムが含まれる。
生物活性剤
治療薬、診断薬および/または予防薬を、本発明の製品上に固定化するか、さもなければ製品中に組み入れてもよい。そのような生物活性剤は、所望により含まれる場合、浸出可能であってもなくてもよい。例えば、制御されたもしくは制御されていない方法で(例えば、浸出により)、生物活性剤を溶解するかさもなければ基体内部に含有させ、または共有結合的にもしくは非共有結合的にグラフトされたポリマー層と会合させ、および浸出させるかさもなければ製品と解離させてもよい。これらの剤は、周囲のインビボ環境と、受動的にまたは能動的に相互作用し得る。これらの剤を、周囲のインビボの化学的性質または環境を変化させるために、使用することもできる。2つ以上の剤を基体表面に固定化してもよく、ここで2つの剤の活性は、どちらかの剤単独の活性よりも大きい。活性ではないとされる物質、材料または剤は、活性剤が物質、材料または剤上に固定された場合、活性となり得る。活性剤には、限定されないが、治療効果が既知または未知である、無機化合物、有機金属系化合物、有機化合物、またはいかなる合成もしくは天然、化学的もしくは生物学的化合物も含まれる。
一般的に、生物活性剤は、基体上、アンダーコーティング層上、グラフトされたポリマー層上、またはそれらの組み合わせに、共有結合的または非共有結合的に、直接固定化することができる。一実施形態においては、活性剤上の1つまたは複数の官能基を、基体、アンダーコーティング層、および/またはグラフトされたポリマー層上の1つまたは複数の官能基と反応させることにより、生物活性剤を共有結合的に固定化する。共有結合は、限定されないが、置換、付加、および縮合反応を含む、種々の反応メカニズムにより形成され得る。
典型的に、生物活性剤は、グラフトされたポリマー層が表面から成長してきた後に、グラフトされたポリマー層上に一般に固定化される。代替の実施形態においては、生物活性剤を、並んだ構造で、グラフトされたポリマー層と共固定してもよい。グラフトフロム法においては、テザーを表面から成長させ、活性剤を該テザー上に固定化することができる。あるいは、テザーを使用することなく、活性剤を表面上に直接固定化してもよい。
細胞接着剤を、本明細書に記載される組成物に固定化してもよい。細胞接着が他のタンパク質吸着と競合的なプロセスであり得るとするならば、複合環境において細胞を結合させる際の細胞接着剤の有効性は、表面が呈する非特異的タンパク質の吸着を表面上で減少させることにより強化することができる。さらに、細胞接着剤が特異的に標的としているもの以外のすべての細胞の接着に抵抗することは、表面の競合的ブロッキングを防ぐために有利であり得る。
望ましい細胞接着剤の例としては、限定されないが、インテグリン結合剤が含まれる。例示的なインテグリン結合剤としては、限定されないが、RGDペプチド類、およびRGDモチーフ類、YIGSRペプチド類、フィブロネクチン、ラミニンまたは他のタンパク質もしくはペプチド類を含むいくつかの変異体が挙げられる。これらのペプチドのより長い変異体は、より特異的な標的細胞結合を有し得る。さらに、局在的に高密度の細胞接着剤を提示する能力は、多様な相互座用を生み出すことによって、細胞接着の有効性を増加させ得る。他の細胞接着剤には、限定されないが、REDVペプチド類が含まれる。調整されたインテグリン結合剤を、骨結合(osteointegration)を含む、種々の用途に使用することができる。
特定の免疫細胞と結合する細胞接着剤にとっても、双性イオンへの結合は有益であり得る。免疫細胞の生体材料表面に対する接着は、これらの細胞を活性化し、表現型応答(phenotypic response)、例えば、いくつかの例においては望ましくない異物巨細胞への融合をもたらし得る、単球のマクロファージへの移行などのきかっけとなる。双性イオンが有するランダムなタンパク質汚染に対する固有の抵抗力は、好中球、単球、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレッサーT細胞、B−細胞および樹状細胞を含む免疫細胞に対する特異的リガンドとして作用する生体分子と結合する、独自のプラットフォームを提供する。適切なリガンドの選択により、これら細胞の有害な機能ではなく有益な機能が刺激され得る。これらのリガンドには、免疫細胞受容体、例えばインテグリン、セレクチン、補体、またはFcγなどと特異的に結合するペプチドまたはタンパク質が含まれる。これらの細胞関連タンパク質に結合すると、そのようなガンドは細胞内シグナル経路を刺激することができ、該シグナル経路は、細胞骨格再配列;ケモカイン、サイトカインおよび他の化学誘引物質を含む分子の産生および分泌;ならびにアポトーシスの誘導を含む応答をもたらす。双性イオンテザーを介した生体分子の提示により調整され得る望ましい作用には、炎症誘発性サイトカインの分泌の防止/減少、食作用の亢進、および組織−デバイス統合(tissue-device integration)に影響を与える可溶性因子放出の調節が含まれ得る。
骨結合(osteointegration)はまた、非汚染特性および双性イオンなどの非汚染性材料の安定した提示が有効であろう因子によっても促進または誘導され得る。骨結合(osteointegration)促進剤としては、限定されないが、骨形態形成タンパク質、例えばBMP2、およびそれらの短縮型類似体が挙げられる。非汚染性表面、例えば双性イオン性表面は、表面上で所望の細胞の再増殖を促進するよう設計された剤の活性を強化し得る。好中球およびマクロファージの接着を減少させることにより、異物反応が阻害され、所望の細胞接着および望ましい増殖プロセスが可能となり得る。
抗血栓剤の提示はまた、グラフトされたポリマー、例えば双性イオン性材料に結合した(tethered)際、他のテザーと比較して、より有効であり得る。血栓症の過程は、表面およびバルク経路の両方に関与している。双性イオンは、1つの経路を弱め、血小板の接着および活性化を低下させる能力を示している。血小板活性化の低下を補助するか、または血栓症に関するさらなる経路を直接標的とする有効な抗血栓剤を双性イオンテザーと組み合わせることにより、単独の血小板非接着性表面もしくは抗血栓剤のいずれかと比較して、抗血栓効果を高めることができる。好適な抗血栓剤としては、限定されないが、トロンボモジュリン、ヘパリン、ヘパリン断片、誘導体化されたヘパリン断片、ヒアルロン酸、可逆性アルブミン結合剤、組織プラスミノーゲン活性化因子結合剤、トランスグルタミナーゼ(transglutimase)、可逆性NO結合剤、ポリリジン、スルホン化ポリマー、ヒルジンを含むトロンビン阻害剤、ウロキナーゼ、およびストレプトキナーゼが挙げられる。
デバイスを中心とする(device-centered)感染は、依然として大きな問題のままである。非汚染性材料、例えば双性イオン材料は、それらのみで微生物の接着を減少させ、バイオフィルムの形成を遅らせることができる。微生物の接着およびバイオフィルムの防止は、非汚染性の表面、例えば双性イオン性表面上における、限定はされないが、膜ターゲティング抗菌剤、抗菌性ペプチドおよび小分子抗菌剤を含む抗菌剤の提示により、さらに強化され得る。一般的に、抗菌性ペプチドは、空間的に分離された疎水性領域および荷電した領域を有するカチオン性分子である。例示的な抗菌性ペプチドとしては、膜中でα−へリックス構造を形成する線状ペプチド、または膜中でジスルフィド架橋により所望により安定化しているβ−シート構造を形成するペプチドが挙げられる。代表的な抗菌性ペプチドとしては、限定されないが、カテリシジン類、デフェンシン類、ダームシジン、ならびにより具体的にはマガイニン2、プロテグリン、プロテグリン−1、メリチン、II−37、デルマセプチン01、セクロピン、カエリン(caerin)、オビスピリン(ovispirin)、セクロピンAメリチンハイブリッド、およびアラメチシン(alamethicin)、または他のAmP類のハイブリッドもしくは類似体が挙げられる。天然の抗菌ペプチドには、植物、ヒト、真菌、微生物、および昆虫を含む脊椎動物および非脊椎動物由来のペプチドが含まれる。
抗菌ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸(例えば合成もしくは半合成アミノ酸およびペプチド模倣体)、またはそれらの組み合わせから製造することができる。表面上で固定化された際にそれらの活性を維持する抗菌ペプチドは、一般的に膜ターゲティング抗菌剤と呼ばれる。抗菌ペプチドは、ペプチド上の官能基と、非汚染性のグラフトされたポリマー層、基体、および/または粗面塗り上の官能基を反応させることにより、非汚染性のグラフトされたポリマー層、基体、アンダーコーティング、またはそれらの組み合わせ上に固定化することができる。例えば、システイン残基を有するようにペプチドを設計することができ、該システイン残基のチオール基と表面上のチオール−反応基を反応させることにより、該ペプチドを表面上に固定するために使用することができる。
非汚染性材料、例えば双性イオンを介してこれらの剤を結合することにより、安定な、長期の活性がもたらされるであろう。さらに、バクテリアの接着およびバイオフィルムタンパク質を分解する酵素類、例えばグリコシラーゼ類、リアーゼ類、およびセリン−プロテアーゼ類、または微生物間コミュニケーションシグナル分子(microbial communication signal molecule)を分解する酵素類、例えばN−アシル−ホモセリンラクトンアシラーゼ類を固定化することによって、初期の微生物の接着イベントとその後のバイオフィルム形成の防止における効力を向上させ得る。
広範な抗菌剤または消毒薬は、基体または非汚染性ポリマーに組み入れられることにより、表面での抗菌活性を強化することができ、または放出されて製品の周囲環境において抗菌活性をもたらすことができる。好適な剤としては銀金属類、銀塩類、例えば銀スルファジアジン、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アルギン酸銀、アジ化銀、クエン酸銀、乳酸銀、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、チオシアン酸銀、銀−ナトリウム−水素−リン酸ジルコニウム、銀スルファジアジン、シクロヘキサン二酢酸銀およびとりわけ二銀2,5−ジクロロ−3,6−ジヒドロキシ−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン、ビスマス塩、例えば硝酸ビスマス、クエン酸ビスマス、またはとりわけサルチル酸ビスマス、亜鉛塩、セリウム塩、トリクロサン、クロルヘキシジン遊離塩基および酢酸クロルヘキシジンの組み合わせ、塩化ベンザルコニウム、クエン酸、ポビドンヨード、パラクロロメタキシレン、グラミシジン、ポリミキシン、ノルフロキサシン、トブラマイシン、スルファミロン、ポリヘキサメチレンビグアナイド、アレキシジン、ヨウ素、リファンピシン、ミコナゾール、バシトラシン、およびミノサイクリン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリンおよびバンコマイシンが挙げられる。
本発明で使用され得るビグアナイド化合物としては、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩およびクロルヘキシジン化合物が挙げられる。クロルヘキシジンは、化学化合物1,6ビス(N5−p−クロロフェニル−N1−ビグアニド)ヘキサン)を示す用語である。クロルヘキシジン化合物としては以下が挙げられる:クロルヘキシジン遊離塩基(「CHX」)およびクロルヘキシジン塩類、例えば、ジホスファニル酸クロルヘキシジン、ジグルコン酸クロルヘキシジン(「CHG」)、二酢酸クロルヘキシジン(「CHA」)、二塩酸クロルヘキシジン、二塩化クロルヘキシジン、二ヨウ化水素酸クロルヘキシジ、二過素酸クロルヘキシジン、二硝酸クロルヘキシジン、硫酸クロルヘキシジン、亜硫酸クロルヘキシジン、チオ硫酸クロルヘキシジン、二酸リン酸クロルヘキシジンリン(chlorhexidine di-acid phosphate)、ジフルオロリン酸クロルヘキシジン、二ギ酸クロルヘキシジン、二プロピオン酸クロルヘキシジン、ニヨード酪酸クロルヘキシジン、二−n−吉草酸クロルヘキシジン、ジカプロン酸クロルヘキシジン、マロン酸クロルヘキシジン、コハク酸クロルヘキシジン、リンゴ酸クロルヘキシジン、酒石酸クロルヘキシジン、二モノグリコール酸クロルヘキシジン、モノジグリコール酸クロルヘキシジン、二乳酸クロルヘキシジン、二−α−ヒドロキシイソ酪酸クロルヘキシジン、ジグルコヘプトン酸クロルヘキシジン、ジイソチオン酸クロルヘキシジン、二安息香酸クロルヘキシジン、二ケイ皮酸クロルヘキシジン、ジマンデル酸クロルヘキシジン、ジ−イソフタル酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジ−2−ヒドロキシ−ナプトアート、およびエンボン酸クロルヘキシジン。
本発明で使用され得るビスマス塩類としては、硝酸ビスマス、クエン酸ビスマス、サリチル酸ビスマス、ホウ酸ビスマス、マンデル酸ビスマス、パルミチン酸ビスマス、安息香酸ビスマス、およびビスマススルファジアジンが挙げられる。
本発明で使用され得るセリウム塩類としては、硝酸セリウム塩および硝酸セリウムに類似する水溶性を有する他のセリウム塩類が挙げられる。
銀含有化合物という用語は、本明細書において、別の分子に共有結合または非共有結合(例えばイオン結合)により結合していないかまたは結合している銀原子または銀イオンの形状のどちらかで銀を含む化合物を指し、限定されないが以下が含まれる:共有結合化合物、例えば銀スルファジアジン(「AgSD」)ならびに銀塩類、例えば酸化銀(「Ag2O」)、炭酸銀(「Ag2CO3」)、デオキシコール酸銀、サリチル酸銀、ヨウ化銀、硝酸銀(「AgNO3」)、パラアミノ安息香酸銀、パラアミノサリチル酸銀、アセチルサリチル酸銀、エチレンジアミン四酢酸銀(「Ag EDTA」)、ピクリン酸塩銀、タンパク銀、クエン酸銀、乳酸銀、およびラウリン酸銀。
本発明で使用され得る亜鉛塩類としては、酢酸亜鉛および酢酸亜鉛に類似した水溶性を有する他の亜鉛塩類が挙げられる。
上述で特定される生物活性剤のクラスは、基体または非汚染性ポリマーに組み入れられることにより、表面での抗菌活性を強化することができ、または放出されて製品の周囲環境において抗菌活性をもたらすことができる。
生物活性剤の追加の群/クラスは、基体または非汚染性ポリマーに組み入れられることにより、表面での抗菌活性を強化することができ、または放出されて製品の周囲環境において抗菌活性をもたらすことができ、例としては以下の群/クラスが挙げられる:
下熱薬、鎮痛薬および消炎薬(例えば、インドメタシン、アセチルサリチル酸、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナム酸、アズレン、フェナセチン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン、ベンザダック(benzadac)、フェニルブタゾン、フルフェナム酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール、フェナゾン、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、サザピリン(sazapyrine)、およびエトドラク)。オピオイド鎮痛薬(例えば、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、フェンタニル、アルフェンタニル、サフェンタニル、ヒドロモルフォン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン(phenopefidine)、コデイン、ジヒドロコデイン)。非選択的COX阻害剤、例えば、サリチル酸誘導体類、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、コリンマグネシウムトリサリチル酸、サルサラート、ジフルニサル、スルファサラジン、およびオルサラジン)。パラ−アミノフェノール誘導体類、例えば、アセトアミノフェン。インドールおよびインデン酢酸類、例えば、インドメタシンおよびスリンダク。ヘテロアリール酢酸類、例えば、トルメチン、ジクロフェナク(dicofenac)、およびケトロラク。アリールプロピオン酸類、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェンおよびオキサプロジン。アントラニル酸類(フェナム酸類)、例えば、メフェナム酸およびメロキシカム。エノール酸類、例えば、オキシカム類(ピロキシカム、メロキシカム)。アルカノン類、例えば、ナブメトン。選択的COX−2阻害剤(例えば、ジアリール置換フラノン類、例えばロフェコキシブ;ジアリール置換ピラゾール類、例えばセレコキシブ;インドール酢酸類、例えばエトドラク、およびスルホンアミド類、例えばニメスリド)
消炎ステロイド剤(例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン.トリアムシノロン、ベクロメタソン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone proprionate)、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、エタボン酸ロテプレドノール(loterednol etabonate)、およびモメタゾン、アクロメタゾン、デソニド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、クロコルトロン、デスオキシメタゾン、フルオシノロン、フルランドレノリド、モメタゾン、プレドニカルベート;アムシノニド、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、ハルシノニド、クロベタゾール、増強されたベタメタゾン、ジフロラゾン、ハロベタゾール、プレドニゾン、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロン、ならびにそれらの誘導体、ならびに)
抗潰瘍薬(例えば、エカベトナトリウム、エンプロスチル、スルピリド、塩酸セトラキサート、ゲファルナート、マレイン酸イルソグラジン、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、および塩酸ロキサチジンアセタート)
冠血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、二硝酸イソソルビド、塩酸ジルチアゼム、トラピジル、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、ベラパミル、ニカルジピン、塩酸ニカルジピン、および塩酸ベラパミル)
末梢血管拡張薬(例えば、酒石酸イフェンプロジル、マレイン酸シネパジド(cinepacide maleate)、シクランデレート(ciclandelate)、シナリジン(cynnaridine)、およびペントキシフィリン(pentoxyphylin)
抗生物質(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、セファレキシン、セフォキシチン(cefoxytin)およびセファロチン、エチルコハク酸エリスロマイシン、塩酸バカンピシリン(vacampicillin hydrochloride)、塩酸ミノサイクリン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、セフタジジム、セフロキシムナトリウム、アスポキシシリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、エチル炭酸エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、グルセプト酸エリスロマイシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、リンコマイシン、ナタマイシン、ニトロフラントイン、スペクチノマイシン、バンコマイシン、アズトレオナム(aztreonarn)、コリスチンIV、メトロニダゾール、チニダゾール、フシジン酸、トリメトプリム、および2−チオピリジンN−オキシド)
合成抗菌薬(例えば、ナリジキシン酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、およびスルファメトキサゾール−トリメトプリム)
抗ウイルス薬(例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル・プロドラッグ類、ファムシクロビル(famcyclovir)、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、n−ドコサノール、トロマンタジン、およびイドクスウリジン)
抗痙攣薬(例えば臭化プロパンテリン、硫酸アトロピン、臭化オキシトロピウム、臭化チメピジウム、臭化ブチルスコポラミン、塩化トロスピウム、臭化ブトロピウム、N−メチルスコポラミンメチル硫酸塩、および臭化メチルオクタトロピン)
鎮咳薬(例えば、ヒベンズ酸チペピジン(tipepedine hibenzate)、塩酸メチルエフェドリン、リン酸コデイン、トラニラスト、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジメモルファン、塩酸クロブチノール、塩酸ホミノベン、リン酸ベンプロペリン、塩酸エプラジノン、塩酸クロフェダノール、塩酸エフェドリン、ノスカピン、クエン酸ペントキシベリン、クエン酸オキセラジン、およびクエン酸イソアミニル(isoaminyl citrate))
去痰薬(例えば、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸エチルシスティン、および塩酸メチルシステイン)
気管支拡張薬(例えばテオフィリン、アミノフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、塩酸プロカテロール、塩酸トリメトキノール、ジプロフィリン(diprophilline)、硫酸サルブタモール、塩酸クロルプレナリン、フマル酸フォルモテロール、硫酸オルシプレナリン(ocriprenaline sulfate)、塩酸ピルブテロール(pilbuterol hydrochloride)、硫酸ヘキソプレナリン、メシル酸ビトルテロール、塩酸クレンブテロール、硫酸テルブタリン、塩酸マブテロール(malbuterol hydrochloride)、臭化水素酸フェノテロール、および塩酸メトキシフェナミン、(13)強心薬(例えば、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ドカルパミン、デノパミン、カフェイン、ジゴキシン、ジギトキシン、およびユビデカレノン)
利尿薬(例えば、フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド(triclormethiazide)、メチクロチアジド(methylclothiazide)、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、エチアジド、シクロペンチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロロシアジド(florothiazide)、ピレタニド、メフルシド、エタクリン酸、アゾセミド、およびクロフェナミド)
筋弛緩薬(例えば、カルバミン酸クロルフェネシン、塩酸トルペリゾン、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、メフェニシン(mefenicine)、クロルゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモール、クロルメザノン(chlormezazone)、メシル酸プリジノール、アフロクァロン、バクロフェン、およびダントロレンナトリウム)
脳代謝改善薬(例えば、ニセルゴリン、塩酸メクロフェノキサート、およびタルチレリン)、
マイナートランキライザー(例えば、オキサゾラム、ジアゼパム、クロチアゼパム、メダゼパム、テマゼパム、フルジアゼパム、メプロバメート、ニトラゼパム、およびクロルジアゼポキシド)
メジャートランキライザー(例えば、スルピリド、塩酸クロカプラミン、ゾテピン、クロルプロマジン、およびハロペリドール)
β遮断薬(例えば、フマル酸ビソプロロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ラベタロール(labetanol hydrochloride)、塩酸アセブトロール、塩酸ブフェトロール、塩酸アルプレノロール、塩酸アロチノロール、塩酸オクスプレノロール、ナドロール、塩酸ブクモロール(bucumorol hydrochloride)、塩酸インデノロール、マレイン酸ピリラミン、塩酸ベフノロール、および塩酸ブプラノロール)
抗不整脈薬(Antiarrthymics)(例えば、塩酸プロカインアミド、ジソピラミド、アジュマリン、硫酸キニジン、塩酸アプリンジン、塩酸プロパフェノン、塩酸メキシレチン、および塩酸アジミリド(azmilide hydrochloride))
抗痛風薬(Athrifuges)(例えば、アロプリノール、プロベネシド(probenicid)、コルヒチン、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、およびブコローム)
抗凝固薬/抗血小板薬(例えば、ヘパリン、コンドロイチン硫酸(chondroiten sulfate)、塩酸チクロピジン、ジクマロール、ワルファリンカリウム、および(2R,3R)−3−アセトキシ−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,3−ジヒドロ−8−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オネマレアート)
血栓溶解薬(例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、および組織プラスミノーゲン活性化因子、メチル(2E,3Z)−3−ベンジリデン−4−(3,5−ジメトキシ−α−メチルベンジリデン−e)−N−(4−メチルピペラジン−1−イル)−スクシンアマートヒドロクロリド)、
肝臓病薬(例えば、(±r−5−ヒドロキシメチル−t−7−(3,4−ジンネトキシフェニル)−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドル−オベンゾ[b]フラン−c−6−カルボキシラクトン)
抗てんかん薬(例えば、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、メタルビタル(metalbital)、およびカルバマゼピン)
抗ヒスタミン薬(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、メキタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸シプロヘプタジン、およびベシル酸ベポタスチン(bepotastin besilate))
制吐薬(例えば、塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド、ドンペリドン、およびメシル酸ベタヒスチンおよびマレイン酸トリメブチン)、
降圧薬(例えば、塩酸レセルピリン酸ジメチルアミノエチル、レシナミン、メチルドパ、塩酸プラゾシン(prazocin hydrochloride)、塩酸ブナゾシン、塩酸クロニジン、ブドララジン、ウラピジル、およびN−[6−[2−[(5−ブロモ−2−ピリミジニル)オキシ]エトキシ]−5−(4−メチルフェニル)−4−ピリミジニル]−4−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)ベンゼンスルホンアミドナトリウム)
高脂血症治療薬(例えば、プラバスタチンナトリウム、およびフルバスタチンナトリウム)
交感神経刺激薬(例えば、メシル酸ジヒドロエルゴタミンおよび塩酸イソプロテレノール、塩酸エチレフリン)
経口糖尿病治療薬(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、およびグリミジンナトリウム(glimidine sodium))
経口制癌剤(例えば、マリマスタット(malimastat))
アルカロイド麻薬(例えば、モルヒネ、コデイン、およびコカイン)
ビタミン剤(例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCおよび葉酸)
頻尿治療薬(例えば、塩酸フラボキセイト、塩酸オキシブチニン、および塩酸テロジリン(terolidine hydrochloride))
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(例えば、塩酸イミダプリル、マレイン酸エナラプリ、アラセプリル、および塩酸デラプリル)。
非ステロイド系抗炎症薬[適用可能な場合は、それらのラセミ混合物または個々の鏡像異性体を含む](例えば、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アルクロフェナク(aclofenac)、ジクロフェナク、アロキシプリン、ナプロキセン、アスピリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、スリンダク、デソキシスリンダク(desoxysulindac)、テノキシカム、トラマドール、ケトロラク(ketorolac)、フルフェニサル(flufenisal)、サルサレート、トリエタノールアミンサリチル酸塩、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン(cintazone)、フルフェナム酸、クロニセール(clonixerl)、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルチン、アロプリノール、オキシプリノール、塩酸ベンジダミン、ジメファダン(dimefadane)、インドキソール(indoxole)、イントラゾール(intrazole)、塩酸ミンバン(mimbane hydrochloride)、塩酸パラニレン(paranylene hydrochloride)、テトリダミン(tetrydamine)、塩酸ベンゾインドピリン(benzindopyrine hydrochloride)、フルプロフェン(fluprofen)、イブフェナク、ナプロキソール(naproxol)フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム(diflumidone sodium)、フェナモール(fenamole)、フルチアジン、メタザミド(metazamide)、塩酸レチミド(letimide hydrochloride)、塩酸ネキセリジン(nexeridine hydrochloride)、オクタザミド(octazamide)、モリナゾール(molinazole)、ネオシンコフェン、ニマゾール(nimazole)、クエン酸プロキサゾール(proxazole citrate)、テシカム(tesicam)、テシミド(tesimide)、トルメチン、およびトリフルミデート(triflumidate))
抗悪性腫瘍薬/血管新生阻害薬(例えば、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール(acodazole)、アクロナイシン、アドゼレシン、アラノシン、アルデスロイキン、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アモナファイド、アンプリジェン(ampligen)、アムサクリン、アンドロゲン類、アングイジン、アフィジコリングリシナート、アサレー(Asaley)、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、カルメット・ゲラン菌(BCG)、ベーカーズアンチフォール(可溶性)、β−2’−デオキシチオグアノシン、塩酸ビスアントレン、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、BWA773U82、BW502U83.塩酸、BW7U85メシレート、セラセミド(ceracemide)、カルベチマー(carbetimer)、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキノキサリンスルホンアミド、クロロゾトシン、クロモマイシンA3、シスプラチン、クラドリビン、コルチコステロイド類、コリネバクテリウムパルブム、CPT−11、クリスナトール(crisnatol)、シクロシチジン(cyclocytidine)、シクロホスファミド、シタラビン、シテムベナ、ダビスマレアート(dabis maleate)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デアザウリジン、デクスラゾキサン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアジコン、ジブロモデュルシトール(dibromodulcitol)、ジデムニンB、ジエチルジチオカルバマート、ジグリコアルデヒド、ジヒドロ−5−アザシチジン、ドキソルビシン、エキノマイシン、エダトレキサート、エデルフォシン(edelfosine)、エフロールニチン、エリオットの溶液、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、リン酸エストラムスチン、エストロゲン類、エタニダゾール、エチオフォス(ethiofos)、エトポシド、ファドラゾール(fadrazole)、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボン酢酸、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、Fluosol(登録商標)、フルタミド、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、酢酸ゴセレリン、ヘプスルファム(hepsulfam)、ヘキサメチレンビスアセタミド、ホモハリントニン、硫酸ヒドラジン、4−ヒドロキシアンドロステンジオン、ヒドロキシ尿素(hydroxyurea)、塩酸イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1αおよびβ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、4−イポメアノール、イプロプラチン、イソトレチノイン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソール、リポソームダウノルビシン、リポソームカプセル化ドキソルビシン、ロムスチン、ロニダミン、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、メノガリル、メルバロン、6−メルカプトプリン、メスナ、カルメット・ゲラン菌のメタノール抽出残渣、メトトレキサート、N−メチルホルムアミド、ミフェプリストン、ミトグアゾン、マイトマイシン−C、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、単球/マクロファージコロニー刺激因子、ナビロン、ナフォキシジン、ネオカルチノスタチン、酢酸オクトレオチド、オルマプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸(pala)、ペントスタチン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ピラルビシン、ピリトレキシム、塩酸ピロキサントロン(piroxantrone hydrochloride)、PIXY−321、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロゲスチン類、ピラゾフリン、ラゾキサン、サルグラモスチム、セムスチン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン(spiromustine)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル(sulofenur)、スラミンナトリウム、タモキシフェン、タキソテール、テガフール、テニポシド、テレフタラミジン(terephthalamidine)、テロキシロン(teroxirone)、チオグアニン、チオテパ、チミジン注射、チアゾフリン、トポテカン、トレミフェン、トレチノイン、塩酸トリフルオペラジン、トリフルリジン、トリメトレキサート、腫瘍壊死因子、ウラシルマスタード、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンゾリジン(vinzolidine)、ヨシ(Yoshi)864、ゾルビシン、およびそれらの混合物)
免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA、ミコフェノール酸、タクロリムス、ラパマイシン、ラパマイシン類似体、アザチオプリン、インターロイキンに対する組み換え型またはモノクローナル抗体、T細胞、B細胞および/またはそれらの受容体。
血管拡張薬(例えば、シクランデラート、イソキシスプリン、パパベリン、ジピリマドール(dipyrimadole)、二硝酸イソソルビド、フェントラミン、ニコチニルアルコール、コ・デルゴグリン(co-dergocrine)、ニコチン酸、三硝酸グリセリン(glycerl trinitrate)、四硝酸ペンタエリスリトール、およびキサンチノール)
抗増殖剤(例えば、パクリタキセル、アクチノマイシンD、ラパマイシン、タクロリムス、エベロリムス、デキサメタゾンおよびラパマイシン類似体)
局所麻酔薬(例えば、ベンゾカイン、ブピカイン、アメソカイン、リグノカイン、リドカイン、コカイン、シンコカイン、ジブカイン、メピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、ベラトリジン(特異的c−ファイバー遮断薬)およびプロカイン)
抗真菌剤(例えば、アモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビホナゾール、アンフォテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾールおよびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン(fezatione)、チクラトン、トルナフタート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオン(pyrithione)およびピリチオンナトリウム(sodium pyrithione))
標的細胞への微生物接着を遮断し、および/または伝染性病原体の侵入を阻害する剤/化学物質(例えば硫酸化およびスルホン酸化ポリマー、例えば、PC−515(カラギーナン)、Pro−2000、および2硫酸デキストリン)。
細胞中でのレトロウィルスの複製を防ぐ抗レトロウィルス薬(例えばPMPAゲル)
病原体に適さないように組織の状態を変化させる剤(例えば、粘膜のpHを変化させる物質(例えばBuffer GelおよびAcidform);
アレルギー応答または免疫応答および/または細胞増殖の治療薬または予防薬(例えば、種々のサイトカイン阻害剤、例えば、ヒト化抗サイトカイン抗体、抗サイトカイン受容体抗体、組み換えアンタゴニスト、または可溶性の受容体;種々のロイコトリエン修飾因子、例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、およびジロートン;免疫グロブリンE(IgE)阻害剤、例えば、オマリズマブ(抗lgEモノクローナル抗体)および分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤)およびSYKキナーゼ阻害剤)
再狭窄予防薬(例えば、パクリタキセル、シロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、バイオリムス、ミコフェノール酸、ABT−578、セリバスタチン(cervistatin)、シンバスタチン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、アクチノマイシD、アンジオペプチン(angiopeptin)、L−アルギニン、エストラジオール、17−β−エストラジオール、トラニラスト、メトトレキサート、バチマスタット(batimistat)、ハロフジノン、BCP−671、QP−2、ラトランクリンD(lantrunculin D)、サイトカラシンA、一酸化窒素、ならびに類似体類および誘導体類)
血管新生、線維芽細胞遊走、線維芽細胞増殖、ECM合成および組織再構築に関わる増殖因子および炎症性サイトカイン、例えば上皮増殖因子(EGF)ファミリー、形質転換増殖因子α(TGF−a)、形質転換増殖因子β(TGF−9−1、TGF−9−2、TGF−9−3、血小板由来の増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(酸性のaFGF;および塩基性のbFGF)、線維芽細胞刺激因子−1、アクチビン類、血管内皮増殖因子(VEGF−2、VEGF−3、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、胎盤増殖因子−PIGFを含む)、アンジオポエチン類、インスリン様増殖因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、結合組織増殖因子(CTGF)、骨髄コロニー刺激因子(CSF)、単球走化性タンパク質、顆粒球マクロファージコロニー刺激因(GM−CSF)、果粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、エリスロポエチン、インターロイキン類(特にIL−1、IL−8、およびIL−6)、腫瘍壊死因子−α(TNF9)、神経成長因子(NGF)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、ヒスタミン、エンドセリン−1、アンジオテンシンII、成長ホルモン(GH)、および合成ペプチド類、これらの因子の類似体または誘導体もまた、後述される特定のインプラント類およびデバイス類からの放出に好適である。他の例としては、CTGF(結合組織増殖因子);炎症性微小結晶類(例えば、結晶性ケイ酸塩類などの結晶性ミネラル類);ブロモクリプチン、メチルセルジド(methylsergide)、メトトレキサート、キトサン、N−カルボキシブチルキトサン、四塩化炭素、チオアセトアミド、フィブロシン(fibrosin)、エタノール、ブレオマイシン、一般的に一端または両端にArg−Gly−Asp(RGD)配列を含有する天然または合成ペプチド類(例えば米国特許第5,997,895号を参照のこと)、ならびに組織接着剤、例えば後述されるようなシアノアクリル酸および架橋ポリ(エチレングリコール)−メチル化コラーゲン組成物が挙げられる。線維形成誘発剤の他の例としては、骨形態形成蛋白質(例えばBMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7(OP−1)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、およびBMP−16が挙げられる。これらのうち、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、およびBMP−7は特に有用である。骨形態形成蛋白質は、例えば、米国特許第4,877,864号;同5,013,649号;同5,661,007号;同5,688,678号;同6,177,406号;同6,432,919号;および同6,534,268号ならびにWozney, J. M., et al. (1988) Science: 242(4885); 1528 1534に記載されている。
他の代表的な線維形成誘発剤としては、細胞外マトリックス成分(例えばフィブロネクチン、フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン(例えばウシコラーゲン)、原線維性および非原線維性コラーゲン、接着性糖タンパク質、プロテオグリカン類(例えば、ヘパリン硫酸塩、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸)、ヒアルロナン、酸性かつシステイン(SPARC)が豊富な分泌タンパク質、トロンボスポンジン類、テネイシン(tenacin)、および細胞接着分子(インテグリン類、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアルロン酸、エラスチン、ビトロネクチン(bitronectin)を含む)、基底膜に存在するタンパク質、およびフィブロシン(fibrosin))およびマトリックスメタロプロテアーゼの阻害剤、例えばTIMP(マトリックスメタロプロテアーゼの組織阻害剤)ならびに合成TIMP、例えばマリマスタット(marimistat)、バチマスタット(batimistat)、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、トロケード(TROCADE)、Ro−1130830、CGS27023A、およびBMS−275291が挙げられる。
抗血栓剤/または抗血小板薬としては、ヘパリン、ヘパリン断片、ヘパリンの有機塩、ヘパリン複合体(例えばヘパリン酸ベンザルコニウム、ヘパリン酸トリドデシルアンモニウム、ヘパリン−塩化トリドデシルメチルアンモニウム、ヘパリン−塩化ベンザルコニウム、ヘパリン−塩化ステルアルコニウム、ヘパリン−ポリ−N−ビニル−ピロリドン、ヘパリン−レシチン、ヘパリン−臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、ヘパリン−塩化ピリジニウム、およびヘパリン−合成糖脂質複合体を含む)、デキストラン、スルホン化炭水化物類、例えば硫酸デキストラン、クマジン、クマリン、ヘパリン類似物質、ダナパロイド、アルガトロバンキトサン硫酸塩、コンドロイチン硫酸、ダナパロイド、レピルジン、ヒルジン、AMP、アデノシン、2−クロロアデノシン、アスピリン、フェニルブタゾン、インドメタシン、メクロフェナム酸、ヒドロクロロキン、ジピリダモール、イロプロスト、ストレプトキナーゼ、ならびに因子Xa阻害剤、例えば、DX9065a、マグネシウム、および組織プラスミノーゲン活性化因子が挙げられる。一態様において、抗血栓剤は、修飾されたヘパリン化合物、例えば疎水的に修飾されたヘパリンまたは修飾されたヒルジン化合物(例えばステアリルコニウムヘパリン、ベンズアルコニウムヘパリン、セチルコニウムヘパリン、またはトルドデシルメチルアンモニウムヘパリン)である。抗血栓剤のさらなる例としては、プラスミノーゲン、lys−プラスミノーゲン、α−2−アンチプラスミン、ウロキナーゼ、チクロピジン、クロピドグレル、糖タンパク質llb/llla阻害剤、例えばアブシキシマブ(abcixamab)、エプチフィバチド、およびチロフィバン(tirogiban)が挙げられる。凝固率に影響し得る他の薬剤としては、グリコサミノグリカン類、ダナパロイド、4−ヒドロキクマリン、ワルファリンナトリウム、ジクマロール、フェンプロクーモン、インダン−1,3−ジオン,、アセノクマロール、アニシンジオン、ならびにブロマジオロン(bromadiolone)、ブロジファクム、ジフェナジオン、クロロファシノン、およびピンドン(pidnone)を含む殺鼠剤が挙げられる。
ポリペプチド薬(例えば、限定されないが、インスリン;増殖因子類、例えば上皮増殖因子(EGF)、インシュリン様増殖因子(IGF)、形質転換増殖因子(TGF)、神経成長因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、骨形態形成タンパク質(BMP)、繊維芽細胞成長因子等;ソマトスタチン;成長ホルモン;ソマトロピン;ソマトレム;カルシトニン;副甲状腺ホルモン;コロニー刺激因子類(CSF);凝固因子類;腫瘍壊死因子類;インターフェロン類;インターロイキン類;胃腸ペプチド類、例えば血管作用性小腸ペプチド(VIP)、コレシストキニン(cholecytokinin)(CCK)、ガストリン、セクレチン等;エリスロポエチン類;成長ホルモンおよびGRF;バソプレシン類;オクトレオチド;膵酵素類;ジスムターゼ類、例えばスーパーオキシドジスムターゼ;甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH);甲状腺刺激ホルモン;黄体形成ホルモン;LHRH;GHRH;組織プラスミノーゲン活性化因子類;マクロファージ活性化材料;絨毛性ゴナドトロピン;ヘパリン;心房性ナトリウム利尿ペプチド;ヘモグロビン;レトロウイルス・ベクター類;リラキシン;シクロスポリン;オキシトシン;およびペプチドまたはポリペプチドワクチン。細胞応答調整剤。(細胞応答調整剤には、走化性因子、例えば血小板由来増殖因子(PDGF)、色素上皮由来の要因(PEDF)、好中球活性化タンパク質、単球走化性タンパク質、マクロファージ炎症性タンパク質、SIS(小さな、誘致可能な、分泌された)タンパク質類、血小板因子、血小板塩基性タンパク質(platelet basic protein)、黒色腫増殖刺激活性、上皮増殖因子、形質転換増殖因子(α)、線維芽細胞増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、骨形態形成タンパク質類、および骨成長/軟骨誘導因子(αおよびβ)が含まれる)。他の細胞応答調整剤(例えば、インターロイキン1からインターロイキン10を含む、インターロイキン類、インターロイキン阻害剤またはインターロイキン受容体;α、βおよびγを含むインターフェロン類;エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を含む造血因子類;αおよびβを含む腫瘍壊死因子類;β−1、β−2、β−3、インヒビン、およびアクチビンを含む形質転換増殖因子類(β))。治療的酵素類(例えばプロテアーゼ類、ホスホリパーゼ類、リパーゼ類、グリコシダーゼ類、コレステロールエステラーゼ類、およびヌクレアーゼ類)。ペプチド−核酸(PNA)複合体類、多糖類−ペプチド複合体類、例えばグリコシル化ペプチド類;糖タンパク質類)、ポリ(エチレングリコール)−ポリペプチド複合体(PEG−イル化ポリペプチド類)、またはポリマー医薬品類。
抗体および抗体断片(例えば、限定されないが、治療用抗体には、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、エドレコロマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ラニビズマブ、サツモマブ(satumomab)、ペルツズマブ、およびダクリズマブが含まれる)。
治療用酵素類(例えば、組み換えヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(アルテプラーゼ)、リボヌクレアーゼA、リボヌクレアーゼU、コンドロイチナーゼ、ペグアスパラガーゼ、アルギニンデアミナーゼ、ビブリオリシン、サクロシダーゼ(sarcosidase)、N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ、グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrocidase)、αガラクトシダーゼ、およびラロニダーゼ)。
酵素阻害薬(例えば、塩化エドロホニウム、N−メチルフィゾスチグミン、臭化ネオスチグミン、硫酸フィソスチグミン、塩酸タクリン、タクリン、1−ヒドロキシマレアート、ヨードツベルシジン、p−ブロモテトラミソール、10−(α−ジエチルアミノプロピオニル)−フェノチアジンヒドロクロリド、塩化カルミダゾリウム、ヘミコリニウム−3,3,5−ジニトロカテコール、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤I、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤II、3−フェニルプロパルギルアミン(3-phenylpropargylaminie)、N−モノメチル−L−アルギニンアセタート、カルビドパ、3−ヒドロキシベンジルヒドラジン塩酸塩、塩酸ヒドララジン、塩酸クロルジリン、塩酸デプレニルL(−)、塩酸デプレニルD(+)、塩酸ヒドロキシルアミン、リン酸イプロニアジド、6−MeO−テトラヒドロ−9H−ピリド−インドール、ニアラミド、塩酸パルギリン、塩酸キナクリン、塩酸セミカルバジド、塩酸トラニルシプロミン、N,N−ジエチルアミノエチル−2,2−ジ−フェニルバレラートヒドロクロリド、3−イソブチル−1−メチルキサントン、塩酸パパベリン、インドメタシン(indomethacind)、2−シクロオクチル−2−ヒドロキシエチルアミンヒドロクロリド、2,3−ジクロロ−α−メチルベンジルアミン(DCMB)、8,9−ジクロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−2−ベンゾアゼピンヒドロクロリド、p−アミノグルテチミド、p−アミノグルテチミド酒石酸塩R(+)、p−アミノグルテチミド酒石酸塩S(−)、3−ヨードチロシン、α−メチルチロシンL(−)、α−メチルチロシンD(−)、アセタゾラミド(cetazolamide)、ジクロルフェナミド、6−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾールスルホンアミド、およびアロプリノール)。
ステロイド剤(例えばグルココルチコイド類、エストロゲン類、およびアンドロゲン類。例として、ステロイド類は以下を含んでもよい:デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、ピバル酸プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、酢酸トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フルニソリド(flunsolide)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン2ナトリウム(vetamethasone disodium phosphate)、リン酸ベタメタゾンナトリウム(vetamethasone sodium phosphate)、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸クロロプレドニゾン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、酢酸デゾキシコルチコステロン、ピバル酸デオキシコルチコステロン、デスオキシメタゾン(desoximethasone)、エストラジオール、フルオロコルチゾン、酢酸フルオロコルチゾン、酢酸ジクロリゾン、フルオロヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、フルプレドニソロン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、アンドロステロン、フルオキシメステロン、アルドステロン、メタアンドロステノロン、メチルアンドロステンジオール(methylandrostenediol)、メチルテストステロン、ノルエタンドロロン、テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、エキレニン、エキリン、安息香酸エストラジオール、ジプロピオン酸エストラジオール、エストリオール、エストロン、安息香酸エストロン、アセトキシプレグネノローン、酢酸アナゲストン、酢酸クロマジノン、酢酸フルオロゲストン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、ノルエチステロン(normethisterone)、プレグネノロン、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキジオンナトリウム、スピロノラクトン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プロメトロン(prometholone)、シピオン酸テストステロン、テストステロンフェニルアセタート、シピオン酸エストラジオール、およびノルエチノドレル、それらの類似体、またはそれらの組み合わせ)。
非ステロイド系抗炎症薬[適用可能な場合は、それらのラセミ混合物または個々の鏡像異性体を含む](例えば、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アルクロフェナク(aclofenac)、ジクロフェナク、アロキシプリン、ナプロキセン(aproxen)、アスピリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、スリンダク、デソキシスリンダク(desoxysulindac)、テノキシカム、トラマドール、ケトロラク(ketorolac)、フルフェニサル(flufenisal)、サルサレート、トリエタノールアミンサリチル酸塩、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン(cintazone)、フルフェナム酸、クロニセール(clonixerl)、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルチン、アロプリノール、オキシプリノール、塩酸ベンジダミン、ジメファダン(dimefadane)、インドキソール(indoxole)、イントラゾール(intrazole)、塩酸ミンバン(mimbane hydrochloride)、塩酸パラニレン(paranylene hydrochloride)、テトリダミン(tetrydamine)、塩酸ベンゾインドピリン(benzindopyrine hydrochloride)、フルプロフェン(fluprofen)、イブフェナク、ナプロキソール(naproxol)、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム(diflumidone sodium)、フェナモール(fenamole)、フルチアジン、メタザミド(metazamide)、塩酸レチミド(letimide hydrochloride)、塩酸ネキセリジン(nexeridine hydrochloride)、オクタザミド(octazamide)、モリナゾール(molinazole)、ネオシンコフェン、ニマゾール(nimazole)、クエン酸プロキサゾール(proxazole citrate)、テシカム(tesicam)、テシミド(tesimide)、トルメチン、およびトリフルミデート(triflumidate))。
上述の抗菌薬または消毒薬の製剤は、塩類または結晶類が使用される場合、剤の溶解度または物理的特性を変化させることにより、例えばナノ粒子類または質量あたりの減少したサイズまたは強化された表面積を有する他の製剤を使用することにより、強化することができる。
例えば双性イオン性表面などの非汚染性の表面はまた、バイオセンサーとしての使用において、抗体などの生体分子の固定化における特に誘因性のある表面を提供し得る。双性イオン性表面等の非汚染性の表面上に固定された抗体は、全血中で、抗体活性および抗原特異性の両方を保持することが実証されている。炎症性サイトカインなどの特異的な免疫経路の望ましくない活性化、または感染病原体の可能性があるものの存在を、大方は分泌された微生物毒素の検出によって発見する、「スマートな」埋め込み医療機器は、例えば、これらの脅威をモニタするように調整された特異的な抗体または生体分子を使用することにより設計することができる。その後、感染などの好ましくない結果が生じる前に、適切な治療戦略を用いることができる。インビボにおける双性イオン性分子の安定性は、その長命特性により、この種のシナリオにおいて比類のない優位性を提供する。
重合
本発明のポリマー表面修飾部は、限定されないが、フリーラジカル重合、イオン重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、窒素酸化物媒介重合(NMP)、可逆的付加開裂重合(RAFT)、開環メタセシス重合(ROMP)、テルル化合物媒介重合(TERP)、または非環式ジエンメタセシス重合(ADMET)、および紫外線、温度、またはレドックスフリーラジカルにより開始される重合を含む合成手段によって形成することができる。好ましい実施形態においては、酸化剤および還元剤の組み合わせ、すなわちレドックス対を、レドックスフリーラジカル重合における重合開始剤として使用して、ポリマーを形成する。
いくつかの実施形態において、ATRPにおいてしばしば使用される開始剤類およびリガンド類、例えばブロミン含有開始剤類およびビピリジンなどのリガンド類は、あるレベルにおいては非生体適合性であり得るため、本プロセスにおいては使用されないことが好ましい。さらなる実施形態において、ポリマー修飾物中、またはポリマー修飾物の水性もしくは有機性抽出物中において、検出可能なレベルのビピリジンを有さないことが好ましい。さらなる実施形態において、ポリマー修飾物中、またはポリマー修飾物の水性もしくは有機性抽出物中において、検出可能なレベルのブロミンを有さないことが好ましい。ビピリジンおよびブロミンは、HPLCまたはUV分析により検出することができる。
本明細書に記載される一般手順は、異なる基体材料、開始剤系、および/またはモノマー組成物に適応させるために、および高濃度の開始剤を基体またはアンダーコーティング層中および/または基体またはアンダーコーティング層上に組み入れるために、必要に応じて改変され得る。高い開始剤濃度は、組成物の非汚染活性を改善する非常に高密度にコーティングされた表面をもたらし得る。例えば、非常に高密度にコーティングされた表面は、汚染分子のコーティング中への浸透を減少させるポリマー鎖を含む。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、基体中に組み入れられた開始剤のリザーバーが、基体の表面および表面の近くからの、非汚染性ポリマーの再開および分岐を亢進し得るということが、現在理論化されている。この再開は、次に、非汚染性ポリマーの厚さ(換言すれば、基体表面に対して垂直の方向に、基体上で非汚染性ポリマーが伸長している距離)および分岐の度合いを増加させ得る。
一般に、および本明細書の他の箇所でより詳細に記載される通り、基体中へ開始剤を組み入れることにより、基体表面からおよび基体表面下の表面近くの領域内から、ポリマー材料をグラフトすることが可能になる。しかしながら、一般的に、グラフトされたポリマー材料は、基体中にあまり深くまで達しないことが好ましく;従って、一実施形態においてグラフトされたポリマー材料は、表面近くの領域に存在するが、より深部、すなわち基体バルクには存在しない。表面近くの領域が達する最大深度、すなわち基体表面から測定された表面近くの領域の下方境界までの距離は、少なくとも一部では、基体中に開始剤を組み入れるために使用される開始剤および技術の関数である。しかしながら、典型的には、下方境界が基体表面から20マイクロメーターより大きくないことが、一般に望ましい。例としては、下方境界は、基体表面から15マイクロメーターを超えないこともある。さらなる例として、下方境界は、基体表面から10マイクロメーターを超えないこともある。同様に、表面近くの領域の最小深度、すなわち基体表面からの、表面近くの領域の上方境界までの距離はまた、少なくとも部分的には、基体中に開始剤を組み入れるために使用される開始剤および技術の関数である。しかしながら、典型的には、上方境界は基体表面から少なくとも0.1マイクロメーターであろう。例としては、上方境界は、基体表面から少なくとも0.2マイクロメーターであってよい。さらなる例として、上方境界は、基体表面から少なくとも0.3マイクロメーターであってよい。
重合プロセスで形成される表面修飾部の質は、少なくとも部分的には、重合前の基体表面の質に影響される。例えば、製造プロセス、その後の基体の取り扱いの人為的産物として、および/または意図される基体組成物の一部として基体表面上に残存し得る粒子、ワックス、および他の組成物が、重合前に、意図的にまたは他の方法により、表面に混入され得る。基体表面はまた、有意な表面粗さ、物理的欠陥、例えばかき傷、133ピンホール、または空隙、および化学的欠陥、例えば基体内部に部分的にのみ含まれている放射線不透過化剤(radiopacifing agent)の粒子(例えば、硫酸バリウム、オキシ塩化ビスマス、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、酸化ランタン、五酸化タンタル、ならびに金属の金、銀、白金、パラジウム、タングステン、およびタンタル)を含み得る。例えば、硫酸バリウムを含む基体は、典型的に、基体内部に部分的に含まれ部分的に露出しているいくらかの硫酸バリウム粒子を有し;そのような硫酸バリウム粒子の露出した部分は、基体の表面から1マイクロメーター程度の高さまで達し得る(SEMを使用した基体表面からの測定において)。
一実施形態によれば、基体表面を、重合前に前処理することが好ましい。例えば、水、溶媒、界面活性剤、酵素、または他の洗浄用の溶液もしくはガスを使用して基体表面を洗浄することにより、基体表面上または近くに存在し得る粒子、ワックス、または他の外来性組成物を除去することができる。あるいは、またはさらに、基体表面を機械的、化学的、または化学機械的に処理することにより、物理的および化学的欠陥の発生率および/またはその重大度を減少させることができる。
一実施形態においては、重合前に、酸、塩基、キレート剤または反応物質などの組成物で基体を処理し、該組成物は、化学的欠陥として含まれるあらゆる組成物の集結を解消するかもしくはそれらと化学的に反応しおよび減少させ、または基体を膨潤さえさせて、粒子を基体から放出させる。例えば、硫酸バリウム粒子の露出した部分は、ミネラルまたは有機酸、および所望によりキレート剤を使用して、部分的にまたは完全に分解することができる。1つのそのような例示的な実施形態において、硫酸バリウム粒子を含むポリウレタンを塩酸で処理することにより、露出した硫酸バリウム粒子を少なくとも部分的に除去することができる。
一実施形態においては、重合前に基体を界面活性剤で処理することにより、基体表面上または表面近くに存在し得る粒子類、ワックス類、または他の外来性組成物を除去する。いくつかの好ましい界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、例えば、硫酸アルキル類:硫酸ラウリルアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(この化合物の別名はSDS、ドデシル硫酸ナトリウムである);アルキルエーテル硫酸塩類:ナトリウムラウリルエーテルスルファート(SLES)としても知られるラウレス硫酸ナトリウム、ナトリウムミレススルファート;スルホン酸塩類:例えばドクセート類:スルホコハク酸ジオクチルナトリウム;スルホン酸塩・フッ素系界面活性剤(sulfonate fluorosurfactant):ペルフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)、ペルフルオロブタンスルホン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩類;リン酸塩類:例えばアルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩;カルボン酸塩類:例えばアルキルカルボン酸塩類:脂肪酸塩類(石鹸類):ステアリン酸ナトリウム;ナトリウムラウロイルサルコシナート;カルボン酸塩・フッ素系界面活性剤(carboxylate fluorosurfactant):ペルフルオロノナン酸、ペルフルオロオクタン酸(PFOAまたはPFO)が挙げられる。いくつかの好ましい界面活性剤には、カチオン性界面活性剤、例えば、オクテニジン二塩酸塩;アルキルトリメチルアンモニウム塩類:臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムとしても知られる臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC);塩化セチルピリジニウム(CPC);ポリエトキシル化タローアミン(POEA);塩化ベンザルコニウム(BAC);塩化ベンゼトニウム(BZT);5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン;塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム;臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DODAB)もまた含まれる。いくつかの好ましい界面活性剤には、双性イオン性(両性)界面活性剤:例えばCHAPS(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1プロパンスルホナート);コクアミドプロピルヒドロキシスルタイン;アミノ酸類;イミノ酸類;コクアミドプロピルベタイン;レシチンもまた含まれる。いくつかの好ましい界面活性剤には非イオン界面活性剤、例えば脂肪族アルコール類:セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール(主にセチルアルコールおよびステアリルアルコール類から成る)、オレイルアルコール;ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル類(Brij):CH3(CH2)10−16(OC2H4)1−25OH:オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル;ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル類:CH3(CH2)10−16(OC3H6)1−25OH;グルコシドアルキルエーテル類:CH3(CH2)10−16(O−グルコシド)1−3OH;デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド;ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル類:C8H17(C6H4)(OC2H4)1−25OH;トリトンX−100;ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル類:C9H19(C6H4)((OC2H4)1−25OH:ノノキシノール−9;グリセロールアルキルエステル類:グリセリルラウレート;ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル類:ポリソルベート;ソルビタンアルキルエステル類:スパン類;コクアミドMEA、コクアミドDEA;ドデシルジメチルアミンオキシド;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロックコポリマー類:ポロキサマー類もまた含まれる。
あるいは、またはさらに、基体を重合前に、化学的、機械的または化学機械的に研磨することにより、表面粗さを減少させ、基体表面における亀裂、ピンホールおよび他の構造的欠陥のインシデントおよび/または重大度を減少させることができる。例えば、溶媒、例えばクロロホルム、ジオキサンまたはテトラヒドロフランの蒸気に曝露することにより、基体を溶媒研磨(solvent polish)してもよい。基体表面を研磨した後、非研磨基体の全体的な平均Rrms表面粗さ未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有することが好ましい。さらなる例として、一実施形態において、研磨された基体表面は、研磨されていない基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの90%以下である全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、一実施形態において、研磨された基体表面は、研磨されていない基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの75%以下である全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、一実施形態において、研磨された基体表面は、研磨されていない基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さの50%以下である全体的な平均Rrms表面粗さを有する。
あるいは、またはさらに、一実施形態においては、重合前に、プレコーティングまたはアンダーコーティング組成物として、本明細書で特定される組成物のいずれかで基体をプレコートすることにより、物理的欠陥を覆い、および/または基体表面の表面粗を低下させる。一般に、プレコートは、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さと同じであるかまたはそれを超える平均厚さを有することが好ましい。例えば、一実施形態において、プレコートは、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%である平均厚さを有する。さらなる例として、一実施形態において、プレコートは、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも200%である平均厚さを有する。さらなる例として、一実施形態において、プレコートは、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも300%である平均厚さを有する。さらなる例として、一実施形態において、プレコートは、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも400%である平均厚さを有する。加えて、プレコーティングは、基体表面の全体的な平均Rrms表面粗さを減少させることが望ましい。換言すれば、プレコートされた基体表面は、好ましくはコーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さと同じであるかまたはそれを超える平均厚さを有し、およびプレコートを適用する前の基体の全体的な平均Rrms表面粗さ未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。例えば、一実施形態において、プレコートされた基体表面は、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%の平均厚さを有し、およびプレコートを適用する前の基体の全体的な平均Rrms表面粗さの90%以下の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、一実施形態において、プレコートされた基体表面は、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%の平均厚さを有し、およびプレコートを適用する前の基体の全体的な平均Rrms表面粗さの75%以下の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。さらなる例として、一実施形態において、プレコートされた基体表面は、コーティングされていない基体の全体的な平均Rrms表面粗さの少なくとも110%の平均厚さを有し、およびプレコートを適用する前の基体の全体的な平均Rrms表面粗さの50%以下の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。
前処理のステップに関わらず、または前処理のステップを使用するかしないかにさえ関わらず、そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、100nm以下の全体的な平均Rrms表面粗さを有する。ある実施形態において、表面はさらに滑らかである。例えば、表面は、50nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有してもよい。いくつかの実施形態において、表面は20nm未満の全体的な平均Rrms表面粗さを有してもよい。
さらに、または代替として、および前処理のステップに関わらず、または前処理のステップを使用するかしないかにさえ関わらず、そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、約0.5マイクロメーターを超えるサイズ(すなわち、最長の寸法)を有し0.1欠陥/μm2未満である、視覚的に観察可能な表面欠陥密度(すなわち、20×20マイクロメーターのフィールドサイズにわたり視覚的に観察可能な数)の欠陥を有する。例えば、そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、約0.5マイクロメーターを超えるサイズを有し、0.05欠陥/μm2未満である表面欠陥密度の欠陥を有してもよい。さらなる例として、そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、約0.5マイクロメーターを超えるサイズを有し、0.01欠陥/μm2未満である表面欠陥密度の欠陥を有してもよい。さらなる例として、そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、約0.5マイクロメーターを超えるサイズを有し、0.002欠陥/μm2未満である表面欠陥密度の欠陥を有してもよい。さらなる例として、そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、約0.5マイクロメーターを超えるサイズを有し、0.001欠陥/μm2未満である表面欠陥密度の欠陥を有してもよい。
1つの本発明における好ましい実施形態においては、基体を、本明細書の他の箇所に記載されるプレコーティングまたはアンダーコーティング材料のうちのいずれかでプレコートする。1つのそのような実施形態において、プレコートは典型的に、少なくとも約100nmの平均厚さを有する。いくつかの実施形態においては、プレコートは実質的により厚くなり;例えば、プレコートは500マイクロメーターと同程度の平均厚さを有してもよい。しかしながら、一般には、プレコートはより薄くなる。例えば、プレコートは約150マイクロメーターの平均厚さを有してもよい。さらなる例として、プレコートは約10〜30マイクロメーターの平均厚さを有してもよい。
いくつかの例において、基体は、コーティングされる内表面および外表面を有する、複雑な形状または幾何学的形状を有する。例えば、多腔型カテーテルは、コーティングされ得る1つの外表面および2つ以上の長軸方向の管腔を有する。外側部分をコーティングするために外側部分をポリマー溶液中または分散液中に浸漬することと、腔内部分をコーティングするためにポリマー溶液または分散液を腔内部分を通して流すことを同時に行うことにより、ポリマーのプライマーコーティングを適用してもよい。コーティングの制御を達成するために使用するコーティングの適用パラメータとしては、溶媒系、固体率(%)、および粘度、ならびに硬化温度および時間が挙げられる。ポリマープライマー層に好適な溶媒としては、限定されないが、アルコール類、例えばメタノールまたはエタノールが挙げられる。適用および硬化温度は、下にある基体、例えば、ポリウレタン基体の物理的特性に影響を与えないように、例えば周囲温度〜50℃の間で変化し得る。固体含有量は0.5〜10%の間で変化し得、取扱いおよび適用が簡単に出来るように、溶液粘度は12cPを超えない範囲とする。
典型的なポリマー材料および典型的な基体材料の赤外線スペクトルおよび屈折率が独立して測定可能な場合、かつ修飾部またはコーティングの厚さが10nm〜5000nmの範囲である場合、ポリマー表面修飾部または基体上のコーティングの平均厚さは、減衰全反射(ATR)赤外分光法を使用して概算することができる。合成赤外吸収スペクトルのマトリックスは、主成分スペクトル(コーティング材料および基体材料のもの)およびベールの法則(A=εbC)を使用して構築することができ、ここで、光路長であるbは、指数関数的に減衰しかつ波長依存性である、ATRエバネッセント光の浸透深さで置き換えられる。次いで実験的に測定された試料を、マトリックス中の全ての合成スペクトルと比較し、最小のn次元のコサイン統計距離により決定される最も近い一致が、試料のポリマー表面修飾部またはコーティングの厚さのものである。
一実施形態において、例えば、ポリエーテルウレタン+10%〜50%のBaS04の基体上の、ホモポリマーSBMA(N−(3−スルフプロピル)−n−メタクリロキシエチル−n,n−ジメチルアンモニウムベタイン)ハイドロゲルの表面修飾部またはコーティングの平均厚さは、修飾部またはコーティングの厚さが10nm〜5000nmの間であり、かつ基体のBaS04含有量が+/−5%内の範囲である場合、減衰全反射(ATR)赤外分光法を使用して測定することができる。1037.0cm−1における振動SO3伸縮の吸光度値(994.7cm−1における吸光度値を差し引くことにより修正されたポイントベースライン(point baseline))を、1309.5cm−1でのウレタンピークの吸光度値(1340.0cm−1における吸光度値を差し引くことにより修正されたポイントベースライン(point baseline))で割ると、存在するSBMAの濃度に相対する値と等しくなる。相対値の自然対数をとり、0.1641を足し、次いで500を掛けることにより、上述した合成ATR IRマトリックスにおいて測定された、ホモポリマーハイドロゲルの表面修飾部またはコーティングの厚さに相関する値が得られる。
さらなる例として、ポリエーテルウレタン基体上のホモポリマーSBMA(N−(3−スルフプロピル)−n−メタクリロキシエチル−n,n−ジメチルアンモニウムベタイン)ハイドロゲルの表面修飾部またはコーティングの平均厚さは、修飾部またはコーティングの厚さが10nm〜5000nmの間範囲である場合、減衰全反射(ATR)赤外分光法を使用して測定することができる。1037.0cm−1における振動SO3伸縮の吸光度値(994.7cm−1における吸光度値を差し引くことにより修正されたポイントベースライン(point baseline))を、1309.5cm−1でのウレタンピークの吸光度値(1340.0cm−1における吸光度値を差し引くことにより修正されたポイントベースライン(point baseline))で割ると、存在するSBMAの濃度に相対する値と等しくなる。相対値の自然対数をとり、0.9899を足し、次いで500を掛けることにより、上述した合成ATR IRマトリックスにおいて測定された、ホモポリマーハイドロゲルの表面修飾部またはコーティングの厚さに相関する値が得られる。
好ましい実施形態においては、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の合計の厚さに対して、いくつかの考慮がなされる。例えば、一般的に、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマーが、デバイスの構成要素、例えば、管腔の直径等の寸法を実質的に変えないことが望ましい。従って、いくつかの実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さの合計は、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<1%である。いくつかの実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<0.5%である。いくつかの実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<0.25%である。さらなる実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<0.1%である。ある実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<0.05%である。さらなる実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<0.01%である。さらなる実施形態において、アンダーコーティングおよびグラフトされたポリマー層の全体的な平均乾燥厚さは、それが適用されるカテーテル管腔の直径の<0.001%である。
小さな重合開始剤分子を、重合が開始され伝播される基体表面または表面近くに集中させるように誘導するために、基体の表面エネルギーとは異なる大きさの表面張力を有する重合混合物溶媒系、および重合混合物溶媒系において限定された溶解度を有する1つまたは複数の重合開始剤が選択される。そこから非汚染性材料がグラフトされる基体表面は、疎水性でも親水性でもよく、および重合混合物溶媒系は水性でもよく、極性有機溶媒、極性有機溶媒の水性混合物、または水溶液の表面張力を改変するように設計されたいかなる有機化合物の水性混合物を含んでもよい。所望により、疎水性の基体に対しては、疎水性開始剤(複数可)および親水性の溶媒系、例えば水性媒体が選択される。基体が親水性である場合、少なくとも1つの親水性開始剤および非極性有機溶媒系が選択されることが好ましい。
基体(または重合開始剤が組み入れられる基体の少なくとも一部)は、重合混合物(例えば重合混合物溶媒系、重合モノマー、または両方により)によって有意には膨潤せず、および基体に組み入れられた開始剤(複数可)は、溶媒系において限定された溶解度を有することが好ましい。結果として、基体表面と重合混合物間の界面は、開始剤(複数可)の比較的高い局所的濃度を有し得、基体表面または表面近くからの非汚染性ポリマーの成長を開始し、およびグラフトされた非汚染性ポリマーからのポリマーの成長を(再)開始することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このアプローチが、基体からの、比較的高度に分岐した非汚染性ポリマーのグラフティングをもたらすと現在信じられている。
好ましい実施形態において、そこから非汚染性ポリマーがグラフトされる基体ポリマーは、重合混合物溶媒系中、25℃、平衡条件下において、30容積%を超えて膨潤しない。ある実施形態において、そこから非汚染性ポリマーがグラフトされる基体ポリマーは、重合混合物溶媒系中、25℃、平衡条件下において、15容積%を超えて膨潤しない。ある実施形態において、そこから非汚染性ポリマーがグラフトされる基体ポリマーは、重合混合物溶媒系中、25℃、平衡条件下において、5容積%を超えて膨潤しない。ある実施形態において、そこから非汚染性ポリマーがグラフトされる基体ポリマーは、重合混合物溶媒系中、25℃、平衡条件下において、膨潤しないかまたは収縮さえする。前述のとおり、基体は材料の複合物であってよい。そのような例において、重合開始剤が組み入れられる基体の表面近くの領域が、本明細書に記載される膨潤の基準を満たすことが好ましい。例えば、基体が金属、セラミック、ガラスまたは半金属材料を覆うプレコート材料のコーティングを含む実施形態において、プレコート材料のコーティングが、重合混合物溶媒系中、25℃、平衡条件下において、30容積%を超えて膨潤しないことが好ましい。
基体に組み入れられる開始剤(複数可)は、重合混合物から成る溶媒系中で限定された溶解度を有し、かつ本明細書で特定される開始剤のうちのいずれかを含むことが好ましい。一般的に、組み入れられる開始剤(複数可)は25〜175℃の10時間T1/2分解温度を有することが好ましい。1つの特定の実施形態において、組み入れられる開始剤(複数可)は、70〜130℃の10時間T1/2分解温度を有する。有利なことに、70〜130℃の10時間T1/2分解温度を有することは、レドックス反応による界面開始イベント(interfacial initiation event)の密度を増加させ、熱開始反応を事実上上回る傾向がある。
本明細書の他の箇所で記載される通り、開始剤はレドックス対を含んでもよく;そのような実施形態において、そのような対のうちの少なくとも1つのメンバーは、重合混合物溶媒系においてそのような限定された溶解度を有する。一実施形態において、レドックス対の両方のメンバーは重合混合物溶媒系において限定された溶解度を有する。代替の実施形態において、該対の1つのメンバーは、重合混合物溶媒系において可溶性であるが、もう1つは重合混合物溶媒系において限定された溶解度を有する。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、レドックス対の1つのメンバーは重合混合物溶媒系において可溶性であるが、もう1つは重合混合物溶媒系において限定された溶解度を有する場合、その2つは相分離されて、2相の界面において開始が強化され、それによって溶液重合が減少し、基体表面または基体表面近くでのグラフティングが増加する傾向があると現在信じられている。従って、例えば、レドックス対のメンバーのうちの少なくとも1つが重合混合物溶媒系において限定された溶解度を有する場合に限り、該対のどちらかのメンバーは疎水性であってもよく、該対のどちらかのメンバーは親水性であってもよい。1つの好ましい実施形態において、疎水性酸化剤は親水性還元剤と組み合わされる。別の好ましい実施形態において、親水性酸化剤は疎水性還元剤と組み合わされる。例えば、一実施形態において、レドックス対は、過酸化物および還元剤を含み、ここで該過酸化物は重合溶媒系において限定された溶解度を有し、該還元剤は重合溶媒系において高い溶解度を有する。さらなる例として、ある実施形態において、過酸化物は、疎水性の基体および相については3以上の分配係数log Pを有し、親水性の基体および相については3未満の分配係数log Pを有する。さらなる例として、ある実施形態において、過酸化物は、疎水性の基体および相については5以上の分配係数log Pを有し、親水性の基体および相については1未満の分配係数log Pを有する。さらなる例として、ある実施形態において、過酸化物は、疎水性の基体および相については7以上の分配係数log Pを有し、親水性の基体および相については−1未満の分配係数log Pを有する。さらなる例として、ある実施形態において、過酸化物は、疎水性の基体および相については9以上の分配係数log Pを有し、親水性の基体および相については−3未満の分配係数log Pを有する。
一実施形態においては、最初に開始剤前駆体を基体に組み入れ、該開始剤前駆体を開始剤へと活性化することにより、開始剤を基体に組み入れる。
本発明の一態様のとおり、重合開始剤(複数可)は、多様な技術により、基体中および/または基体上に組み入れることができる。1つのそのような方法においては、基体(先に記載されるプレコートまたはアンダーコートを有する基体を含む)を重合開始剤に浸す;すなわち、重合開始剤を基体中に吸収させる。一実施形態においては、開始剤(複数可)、すなわち開始剤または異なる開始剤の混合物を、基体表面中および/または基体表面上に物理吸着(physio-adsorption)により導入し、ここで該開始剤は溶媒または溶媒の組み合わせ中に溶解され、該基体(アンダーコーティング層有りまたは無しの)は、基体が十分な吸収を達成する時間および温度で、混合物中に浸漬される。基体は膨潤し、最終的に開始剤が基体中に吸収される。一般的に、浸漬の間に基体中に組み入れられる開始剤の量は、少なくとも部分的には、溶媒系中の開始剤の溶解度、基体中の開始剤の溶解度、ならびに浸漬の時間、温度および溶液中の開始剤の濃度、ならびに基体および開始剤の化学的組成の関数である。
好ましい実施形態において、重合開始剤(複数可)を吸収させる基体表面は、天然または合成のポリマーを含む。代替の実施形態において、基体は、天然または合成のポリマー、生物組織(生死にかかわらず)、織または不織繊維、およびそれらの組み合わせの中からから選択される、吸収可能な材料である。ある(コーティングされていない)基体、例えば金属、セラミック、ガラス、および半金属の基体は、十分な開始剤を吸収する能力を欠く。従って、一般的に、これらの基体に対しては、金属、セラミック、ガラス、または半金属の基体の表面を、そこからポリマー材料をグラフトし得るアンダーコーティングまたはプレコーティングにより、プレコートすることが望ましい。例えば、金属、セラミック、ガラス、および半金属の基体は、ポリアミド、ポリアミン、ポリ無水物、ポリアジン、ポリ(炭酸塩)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグアニジン、ポリイミド、ポリケタール、ポリ(ケトン)、ポリオレフィン、ポリ(オルトエステル)、ポリフォスファジン、多糖類、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリ尿素、ポリウレタン、ハロゲン化ポリマー、シリコーン、アルデヒドで架橋された樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ラテックス、もしくはコポリマーならびにそれらの混合物から選択されるポリマーでプレコートされていてもよく、プレコートされた基体を、前述のようにして吸収させる。
溶媒溶液中の開始剤の濃度を変えることにより、および/または1回の開始剤の吸収期間の間、基体を開始剤溶液に浸漬する時間の長さを変えることにより、または開始剤の吸収期間を必要に応じて何回でも繰り返すことにより、基体に導入される開始剤の量を調節することができる。温度は、それほど重要ではなく、温度は一般的な室温〜昇温の範囲とする。複数の開始剤吸収の期間を使用する場合、後続の吸収期間で使用される開始剤は、先の開始剤吸収期間で使用される開始剤と同じであっても違ってもよく、または該開始剤との混合物であってもよい。一般的には、重合が開始される前に少なくとも数秒間、開始剤含有溶液に基体を浸漬する。いくつかの実施形態においては、より長い時間、開始剤含有溶液に基体を浸漬する。例えば、少なくとも数分間、開始剤含有溶液に基体を浸してもよい。さらなる例としては、重合が開始される前に、少なくとも約15分間、基体を開始剤含有溶液に浸漬してもよい。いくつかの実施形態において、70〜130℃の10時間T1/2分解温度を有する開始剤については、重合が開始される前に、少なくとも1時間、室温または昇温で、基体を開始剤含有溶液に浸漬する。さらなる実施形態においては、重合が開始される前に、少なくとも2時間、基体を開始剤含有溶液に浸漬する。さらなる実施形態においては、重合が開始される前に、少なくとも16時間、基体を開始剤含有溶液に浸漬する。時間、温度、および開始剤含有溶液中の開始剤の濃度に応じて、基体中の開始剤の濃度勾配を設定してもよい。いくつかの実施形態において、表面により近い基体中においてはより高い濃度の開始剤を有することが好ましくあり得る。記載される通り、開始剤は、開始剤含有溶液中に、様々な濃度で存在してよい。一般的に、開始剤含有溶液中の開始剤の濃度は、少なくとも0.01重量%であろう。例えば、いくつかの実施形態において、開始剤の濃度は一般的に少なくとも0.1重量%であろう。いくつかの実施形態において、濃度はさらに高く、例えば少なくとも0.5重量%であろう。いくつかの実施形態において、濃度はさらに高く、例えば少なくとも1重量%であろう。いくつかの実施形態において、濃度はさらに高く、例えば少なくとも10重量%であろう。ある例示的な実施形態において、開始剤含有溶液中の開始剤の濃度は約0.2〜約1重量%の範囲であろう。ある例示的な実施形態において、開始剤含有溶液中の開始剤の濃度は約0.2〜約10重量%の範囲であろう。ある例示的な実施形態において、開始剤含有溶液中の開始剤の濃度は約0.5〜約5重量%の範囲であろう。ある例示的な実施形態において、開始剤含有溶液中の開始剤の濃度は約0.75〜約3重量%の範囲であろう。これらの実施形態の各々において、開始剤は、本明細書の他の箇所に記載される、UV開始剤、熱開始剤またはレドックス開始剤のうちの1つであることが好ましい。
吸収プロセスの結果として、吸収済みの基体は、約0.001重量%の開始剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、吸収済みの基体はより多くの量、例えば少なくとも約0.01重量%の開始剤を含む。例えば、いくつかの実施形態において、吸収済みの基体は、少なくとも約0.1重量%を含む。さらなる例として、いくつかの実施形態において、吸収済みの基体は、約0.05重量%〜約2重量%の開始剤を含む。さらなる例として、いくつかの実施形態において、吸収済みの基体は、約0.1重量%〜約1重量%の開始剤を含む。さらなる例として、いくつかの実施形態において、吸収済みの基体は、約0.2重量%〜約0.5重量%の開始剤を含む。さらなる例として、いくつかの実施形態において、吸収済みの基体は、約1重量%〜約10%の開始剤を含む。しかしながら、典型的には、吸収済みの基体は、約20重量%未満の開始剤を含む。これらの実施形態の各々において、開始剤は、本明細書の他の箇所に記載される、UV開始剤、熱開始剤またはレドックス開始剤のうちの1つであることが好ましい。基体に開始剤を吸収させるために使用する溶媒は、様々な程度まで、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を膨潤させる能力を有してもよい。典型的には、吸収溶媒は、室温および周囲圧力下で、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を900容積%未満、膨潤させる能力を有する。例えば、1つのそのような実施形態において、吸収溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を750容積%未満、膨潤させる能力を有する。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、吸収溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を500容積%未満、膨潤させる能力を有する。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、吸収溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を250容積%未満、膨潤させる能力を有する。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、吸収溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を100容積%未満、膨潤させる能力を有する。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、吸収溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を100容積%未満、膨潤させる能力を有する。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、吸収溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を25容積%未満、膨潤させる能力を有する。
好ましい実施形態において、吸収済みの基体は、溶媒、所望によりその基体を膨潤させる溶媒を使用して洗浄し、および所望により乾燥させることが好ましい。他の実施形態においては、吸収溶媒と同じでも違ってもよい溶媒で基体を洗浄し、または基体を洗浄しないこともある。例えば、洗浄溶媒は、基体を膨潤させてもよく、基体を収縮させてもよく、またはどちらでなくてもよい。一実施形態においては、基体を乾燥させるか、部分的に乾燥させるか、または乾燥させない。所望により、溶媒の交換があってもよい。
代替の方法においては、開始剤(複数可)の共沈着(co-deposition)により、コーティング成分として、すなわち本明細書に記載される、基体表面上のプレコーティングまたはアンダーコーティングとして、開始剤(複数可)を基体中に組み入れる。例えば、開始剤(複数可)およびポリマーの溶液中に、基体を浸漬することにより、ポリマーおよび開始剤の薄膜を基体上に沈着させる。あるいは、開始剤(複数可)および第二の材料、例えばポリマー材料の流動性混合物のプレコート層を基体表面に沈着させる。従ってプレコーティングは、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、生物組織(生死にかかわらず)、織または不織繊維、ケイ素などの半金属を含む、本明細書に記載の基体のうちのいずれにも適用することができる。例えば、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、生物組織、線維、または半金属は、ポリマーおよび開始剤の混合物でプレコートされていてもよく、該ポリマーは、ポリアミド、ポリアミン、ポリ無水物、ポリアジン、ポリ(炭酸塩)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグアニジン、ポリイミド、ポリケタール、ポリ(ケトン)、ポリオレフィン、ポリ(オルトエステル)、ポリフォスファジン、多糖類、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリ尿素、ポリウレタン、ハロゲン化ポリマー、シリコーン、アルデヒドで架橋された樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ラテックス、またはそのコポリマーもしくは混合物から選択される。
一実施形態において、ポリマーと共沈着した開始剤の量は、比較的大きい。ある実施形態において、例えば、開始剤の、共沈着したポリマーに対する重量比は、それぞれ少なくとも1:1000であろう。いくつかの実施形態において、開始剤の、共沈着したポリマーに対する重量比はさらに大きくなり、例えば、それぞれ少なくとも1:100、1:10、1:1、10:1、100:1、または1000:1であろう。典型的には、開始剤の、ポリマーに対する比率は約1:1〜約20:1の範囲であろう。さらに、共沈着層(すなわち、共沈着した開始剤およびポリマーを含む層)は、少なくとも100nmの厚さを有する。例えば、一実施形態において、共沈着層は、約100nm〜約500マイクロメーターの厚さを有する。これらの実施形態の各々において、開始剤は、本明細書の他の箇所に記載される、UV開始剤、熱開始剤またはレドックス開始剤のうちの1つであることが好ましい。
ある好ましい実施形態において、共沈着層は、共沈着したポリマーとして、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエステル、ゾルゲル類、またはそれらの組み合わせを含む。従って、例えば、一実施形態において、共沈着層は、約100nm〜約50マイクロメーターの厚さを有し、開始剤の、共沈着層中のポリマーに対する重量比は、それぞれ少なくとも1:1000であろう。あるより具体的な実施形態において、共沈着層は、共沈着ポリマーとしてポリウレタンを含み、約1〜50マイクロメーターの厚さを有する。さらなる例として、共沈着層は、約10〜30マイクロメーターの平均厚さを有してもよい。さらなる例として、これらの例示的な実施形態の各々において、共沈着層は、それぞれ約1:1,000〜約20:1の、開始剤のポリマーに対する重量比を有してもよい。さらに、これらの例示的な実施形態の各々において、開始剤は、本明細書の他の箇所に記載される、UV開始剤、熱開始剤またはレドックス開始剤のうちの1つであることが好ましい。
開始剤(複数可)およびポリマーをプレコートとして共沈着させるために使用される溶媒および/または溶媒混合物は、基体を様々な程度まで膨潤させる能力を有し得る。典型的に、共沈着溶媒は、室温および周囲圧力下で、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を900容積%未満、膨潤させる。例えば、1つのそのような実施形態において、共沈着溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を100容積%未満、膨潤させる。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、共沈着溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を100容積%未満、膨潤させる。さらなる例として、1つのそのような実施形態において、共沈着溶媒は、基体(または開始剤を吸収させる基体の少なくとも一部)を25容積%未満、膨潤させる。好ましい実施形態においては、共沈着層を、好ましくは、溶媒および/または溶媒混合物、所望により基体を膨潤させる溶媒を使用して洗浄し、所望により乾燥することが好ましい。あるいは、共沈着層を、溶媒および/または溶媒混合物、所望により基体を限定的に膨潤させる溶媒および/または溶媒混合物を使用して洗浄し、所望により乾燥することが好ましい。あるいは、共沈着層を、溶媒を使用しては洗浄せず、所望により乾燥する。
1つの例示的な実施形態において、適切な重量のウレタンペレットを、好適な有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン中に溶解し、および溶液を第二溶媒、例えばメタノールで希釈することにより、1%〜5%(wt/wt)のウレタンを含有する溶液を作製することができる。メタノールの最終濃度は、好ましくは10%〜90%の間、より好ましくは15%〜85%の間、最も好ましくは60%である。1つまたは複数の好適な開始剤分子、例えば過酸化ベンゾイルまたは過酸化ジクミルを、典型的に約0.25%〜約10%の濃度で、ポリマー溶液に添加する。しかしながら、0.25%より低い濃度および10%を超える濃度も使用することができる。所望のコーティング厚さおよび/または開始剤の表面濃度が達成されるまで、いずれの所望の基体をも、一度または複数回、ポリマー/開始剤溶液に曝露してよい。基体を複数回曝露する場合は、溶液へのそれぞれの曝露の合間に、例えば蒸発などにより、溶媒を典型的に、コーティングされた基体から除去する。最後の曝露後、重合反応混合物中に配置する前に、基体を所望により、少なくとも10分間静置して、いかなる残存溶媒をも蒸発させる。
別の代替の方法においては、エアロゾル沈着または吹付塗プロセスを用いて、開始剤(複数可)を基体中および/または基体上に組み入れる。開始剤(複数可)を、単一溶媒、共溶媒、または混合溶媒系と混合し、定方向、荷電または非荷電エアロゾル沈着法を用いて、基体表面に適用する。例えば、開始剤(複数可)を有機溶媒混合物と混合し、圧縮空気噴霧を用いてエアロゾルとして基体表面上に沈着させる。基体表面中および/または基体表面上に物理吸着された開始剤の量は、溶媒が蒸発する前に、エアロゾルが基体表面上に留まる時間の量を変化させることにより調節することができ、その結果、基体(例えば、表面上の滞留時間が長いほどより多くの開始剤が基体バルクへ移動し得、逆もまた然りである)バルクに吸収される開始剤の量に影響を与えることができる。基体上のエアロゾルの滞留時間は、溶媒系中の低沸点溶媒と高沸点溶媒の割合を変化させることによってエアロゾルの沸点を変化させることにより、調節することができる。さらに、基体上および/または基体中に適用される開始剤の量は、エアロゾルの流量、エアロゾルガス混合物、エアロゾルの液滴サイズ、エアロゾルの電荷、基体の電荷、エアロゾルの沈着環境(温度、圧力、および/または雰囲気)、ならびに適用されるエアロゾルの量を変化させることにより、調節することができる。エアロゾル沈着は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、生物組織(生死にかかわらず)、織または不織繊維、ケイ素などの半金属を含む、本明細書に記載の基体のうちのいずれにも適用することができる。
組み入れる方法に関わらず、開始剤は、基体に吸収させることにより、または開始剤を含むコーティングを基体上に沈着させることにより、基体に組み入れられる。組み入れられた開始剤は、1つの開始剤の種、または2つ以上の開始剤の種を含んでもよい。例えば、1つまたは複数の種の紫外線(UV)開始剤、1つまたは複数の種の熱開始剤、および/または1つまたは複数の種のレドックス開始剤を、基体に組み入れてもよい。より具体的には、1つの本発明における好ましい実施形態において、本明細書の他の箇所で記載される表面近くの領域の上方および下方境界の間に、開始剤(複数可)を組み入れる。現在までの実験的な証拠に基づき、いかなる特定の理論にも束縛されるものでもないが、組み入れられた開始剤は、基体表面からと同様に、表面近くの領域内部からのポリマー材料のグラフティングをも許容するようである。
理論に関わらず、基体に組み入れられる開始剤の量は、重合前に、基体中で開始剤を検出すること、および重合後に、基体中で開始剤またはその分解生成物を検出することを可能にするのに十分であることが一般的に好ましい。一般的に、抽出においては非極性溶媒および極性溶媒の両方を使用し得る。例えば、水、アセトンまたはエタノールなどの抽出溶媒;ならび/または開始剤の溶解度および/もしくはその分解生成物が少なくとも1mg/Lである他の抽出溶媒などである。抽出は、抽出物の濃度の変化が、1時間あたり5%を超えて増加しないように、十分な時間、実行されるべきである。あるいは、その後の抽出で抽出された材料の量が、最初の抽出において検出されたものの10%未満になるまで、または累積的な抽出材料レベルにおいて分析的に有意な増加が検出されなくなるまで抽出する。例示的な抽出条件としては以下が挙げられる:37℃で72時間;50度で72時間;70℃で24時間;および121℃で1時間。例示的な抽出比率としては以下が挙げられる:6cm2/mL 表面積/容積、および/または0.2g試料/mL。いくつかの例においては、基体の完全な溶解が適切であり得る。抽出媒体中での浸漬を高めるために、抽出前に、材料を小さな断片に切断しなければならず、例えば、ポリマー基体においては約10mm×50mmまたは5mm×25mmが適切である。
分析に使用される計測手段の例としては、有機物分析のための高速液体クロマトグラフィー−フォトダイオードアレイ検出−質量分析法(HPLC−PDA−MS);有機物分析のためのガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS);金属分析のための誘導結合プラズマ発光分光法または質量分析法(ICP−OESまたはICP−MS);および無機物およびイオン分析のためのイオンクロマトグラフィー(IC)が挙げられる。正確な質量情報を得るために、より高度なMS検出器、例えば飛行時間型(TOF)を使用することもできる。ヘキサンおよびアルコール抽出物は、例えばGC−MSおよびHPLCにより分析する。水およびアルコール抽出物は、例えばHPLCにより分析する。
先に記載される方法により、基体またはグラフトされたポリマー中で、開始剤またはその分解生成物を定量化および/または検出することができる。これらには、FTIR−ATR、化学分析のための電子分光法(ESCA、X線光電子分光法(XPS)とも呼ばれる)、二次イオン質量分析(SIMS)、および表面増強ラマン分光法(SERS)が含まれる。例えば、以下の3つの方法のうちのいずれかを使用して、過酸化物を分光測光法で検出することができる:ヨウ化物法(塩化第二鉄の存在下で、過酸化物によってヨウ化ナトリウムを酸化する)、DPPH法(ラジカルスカベンジャーである、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルで処理して、過酸化物を分解する)、またはペルオキシダーゼ法(グルタチオンペルオキシダーゼによって触媒されたグルタチオンの還元と、それに続くグルタチオンレダクターゼの存在下でのNADPHの結合酸化の測定)。例えば、Fujimoto et al., Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry, Vol. 31, 1035-1043 (1993)を参照のこと。
同様に、開始剤(複数可)および/またはその分解生成物を、好適な溶媒、例えば水、アセトンまたはエタノールを使用して基体/グラフトされたポリマーから抽出し、先に記載される方法により、基体またはグラフトされたポリマー中で定量化および/または検出することもできる。これらには、FTIR−ATR、化学分析のための電子分光法(ESCA、X線光電子分光法(XPS)とも呼ばれる)、二次イオン質量分析(SIMS)、および表面増強ラマン分光法(SERS)が含まれる。例えば、以下の3つの方法のうちのいずれかを使用して、過酸化物を分光測光法で検出することができる:ヨウ化物法(塩化第二鉄の存在下で、過酸化物によってヨウ化ナトリウムを酸化する)、DPPH法(ラジカルスカベンジャーである、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルで処理して、過酸化物を分解する)、またはペルオキシダーゼ法(グルタチオンペルオキシダーゼによって触媒されたグルタチオンの還元と、それに続くグルタチオンレダクターゼの存在下でのNADPHの結合酸化の測定)。例えば、Fujimoto et al., Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry, Vol. 31, 1035-1043 (1993)を参照のこと。
別の実施形態において、重合前の基体中における開始剤の定量化および/もしくは検出、または重合後の基体中における開始剤もしくはその分解生成物の定量化および/もしくは検出は、抽出、およびその後様々な分析技術のうちのいずれかを行うことにより達成することができる。例えば、抽出物中の開始剤またはその分解生成物の量の定量化および/または検出は、UV/VIS、FTIR、核磁気分光法、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、および液体クロマトグラフィーを含む、分光法およびクロマトグラフィーを使用して達成することができる。
モノマーは、それらの反応率により、交代性コポリマー、各モノマーの予め指定された比率を有する周期性コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはホモポリマーが得られるように選択することができる。各モノマー単位上に2つより多い反応基を含有することにより、星形ポリマー、デンドリマー、規則的に分岐したポリマー、ランダムに分岐したポリマー、およびブラシポリマーの形成が可能になる。一般的に、モノマーは、本明細書に記載されるモノマーのうちのいずれかから選択されてもよい。従って、例えば、モノマーは、式ZI−1〜ZI−7に対応するペンダント基のうちのいずれかを含んでもよい。さらなる例として、重合により、モノマーは、式1〜12のうちのいずれかに対応する繰り返し単位を有するポリマーを提供することができる。好ましい実施形態において、モノマーは、重合混合物溶媒系と混和性である。
疎水性基体の表面修飾のためのプロセスにおいて、好ましくは親水性溶媒系が使用される。好ましくは水溶液が使用され、所望によりイオン類または緩衝剤類、たとえばナトリウム、アンモニウム、カリウム、塩化物、リン酸塩、または酢酸塩が含まれる。親水基体を修飾するプロセスにおいて、好ましくは疎水性の溶媒系が使用される。そのようなプロセスにおいて、好ましい媒体は有機溶媒、典型的には非極性有機溶媒、またはその混合物である。例示的な有機溶媒としては、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、および脂肪族アルコール類のうちの1つまたは複数が挙げられる。好ましい実施形態において、溶媒系は基体(またはそこからポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を、25容積%を超えて膨潤させない。例えば、1つのそのような実施形態において、溶媒系は基体(またはそこからポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を、10容積%を超えて膨潤させない。好ましい実施形態において、溶媒系は基体(またはそこからポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を、5容積%を超えて膨潤させない。一実施形態において、溶媒系は基体(またはそこからポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を縮小させてもよい。
1つの特に好ましい実施形態においては、非汚染性ポリマー材料を、連鎖成長付加重合(chain growth addition polymerization)により基体からグラフトする。本明細書に記載される重合条件は一般的に、他の重合方法と比較して穏やかであり、従って下にある基体の機械的性質、柔軟性、または寸法の特性を有意には変化させない。1つの好ましい実施形態においては、例えば、60℃を超過しない温度で重合を実施する。比較的広い範囲のpH、例えば約0〜10にわたって、重合を実施してもよい。一実施形態においては、約2〜8のpHで重合反応を実施する。例えば、DCPおよびグルコン酸第一鉄をレドックス対として使用する場合、約6〜8のpHで重合反応を実施してもよい。さらなる例として、過酸化ベンゾイルおよびグルコン酸第一鉄をレドックス対として使用する場合、約4〜6のpHで重合反応を実施してもよい。さらなる例として、O,O−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート(「TBEC」)およびグルコン酸第一鉄をレドックス対として使用する場合、約5〜7のpHで重合反応を実施してもよい。
ラジカル重合プロセスの例としては、限定されないが、UV、温度、およびレドックスにより開始されるプロセスが挙げられる。特定の実施形態においては、最初に1つまたは複数の開始剤、例えば紫外線(UV)開始剤、熱開始剤、またはレドックス開始剤を基体中に組み入れ、表面から1つまたは複数のモノマーの重合を開始させることにより、ポリマーを基体からグラフトする。好ましくは、基体に開始剤を吸収させることにより、または開始剤を含む層、例えばアンダーコーティング層(本明細書において時に共沈着層と呼ばれる)で基体をコーティングすることにより、基体に開始剤を組み入れる。重合は典型的に、開始剤を吸収した基体を、重合されるモノマーの溶液または懸濁液に曝露することによって開始される。溶媒溶液中のポリマーの濃度、ポリマー溶液の表面張力、重合温度、ポリマー溶液のpH、重合溶液の撹拌または流動条件を変化させることにより、1回の重合期間の間に基体をポリマー溶液に浸漬させる時間の長さを変化させることにより、および/または重合期間を必要に応じて何度でも繰り返すことにより、基体に導入されるポリマーの量を調節することができる。複数の重合期間を使用する場合は、後続する重合期間において使用されるポリマーは、先の重合期間において使用されるポリマーと、同じであっても違ってもよく、またはそれとの混合物であってもよい。
連鎖移動剤をモノマー溶液に添加することにより、グラフト−フロムラジカル重合反応動態(graft-from radical polymerization reaction kinetics)を媒介することができる。連鎖移動剤には、限定されないが、ハロゲン炭素類、チオール類、ジチオカルバミン酸塩類、トリチオ炭酸塩類、ジチオエステル類、キサントゲン酸塩類、第一級および第二級アルコール類を含む分子が含まれる。連鎖移動剤の例としては、ブロモトリクロロメタン、4−メチルベンゼンチオ−ル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、およびイソプロパノールが挙げられる。一実施形態において、ラジカル重合グラフティングは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を使用して媒介される。一実施形態において、ラジカル重合グラフティングは、可逆的付加断片化移動(RAFT)剤を使用して媒介される。RAFT剤の例としては、2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−2−メチルプロプイオン酸、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオアート、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボナート、4−シアノ−4(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタン酸、4−シアノ−4[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィド、シアノメチルドデシルトリチオカルボナート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオアート、ならびにそれらの類似体および誘導体が挙げられる。
酸素は、開始剤により生成されたフリーラジカルと素早く反応して安定したラジカル種を形成し、それが今度は他のラジカル種と反応して、重合を停止させる非反応種を形成することができるため、フリーラジカル重合において阻害剤として作用し得る。従って、重合前および重合の間に酸素を除去するために、窒素またはアルゴンまたは真空で脱気することで酸素を含まない環境を作る方法が、一般的に使用される。しかしながら、ある実施形態において、商業生産におけるそのような脱気のステップを必要としないことが好ましいこともあるだろう。1つの好ましい実施形態において、重合方法はATRP以外の方法である;ATRPは、典型的に、製造の間に達成することが困難な、厳格な酸素レベル制御を必要とする。
あるいは、リアクターを反応混合物で満たし、それによって物理的にリアクター中の酸素を置き換えることにより、システム中の酸素を最小化してもよい。別の実施形態において、反応混合物に、酸素を除去する試薬を添加してもよい。好適な酸素除去試薬には、限定されないが、(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム、リボフラビン、およびアスコルビン酸が含まれる。これらの剤は、重合が不活性雰囲気を用いない場合、生じるポリマーの有効性を改善し得る。
モノマーおよび溶媒系に加えて、重合混合物は、所望により、表面のグラフティングを促進するためのフリーラジカル阻害剤を含んでもよい。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェナザチオニウムクロリド、トリエチレンジアミン、t−ブチルカテコール、ブチルヒドロキシトルエンおよび4−t−ブチルフェノールを含むフリーラジカル阻害剤のグラフティング溶液への添加が、溶液重合を減少させ、それにより基体表面/重合混合物界面またはその近くにおいて、より多くのモノマーをグラフティングのために使用可能にすることができると、現在信じられている。
可塑剤は、表面重合の間および/またはその後のいつでも、グラフトされたポリマーに組み入れることができる。好ましい実施形態においては、親水性可塑剤(例えばクエン酸エステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、および/またはポリエチレングリコール[<2000Mw])を、重合後の水による洗浄期間中に、グラフトされたポリマーに組み入れる。
i.UV開始剤
一実施形態において、開始剤は紫外線(UV)開始剤である。典型的には、基体および開始剤を、水性の、脱気した、双性イオン性モノマーを含む溶液中に置き、UV光に露光し、ラジカル重合を開始する。1つの例示的な実施形態において、UV光は、100W UVにより生成される、365nmのピーク波長を有する。
UVラジカル開始剤の例としては、限定されないが、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロフィオフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、3’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−エトキシアセトフェノン、4’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−フェノキシアセトフェノン、4’tert−ブチル−2’,6’−ジメチルアセトフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド/2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、4,4’−ジメチルベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン、2−メチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、3−ヒドロキシベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ビス[2−(1−プロペニル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルマート、ミヒラーケトン、スルホニウム類、ヨージウム類(iodiums)、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ジジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミドペルフルオロ−1ブタンスルホナート、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート、2−tert−ブチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩一水和物、カンホルキノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、10−メチルフェノチアジン、チオキサントネス、およびIRGRCURE 2959が挙げられる。
ii.熱開始剤
別の実施形態においては、上述されるUV開始剤の代わりに加熱活性化(熱)開始剤を使用し、水性のモノマー溶液の温度を所望の温度まで加熱し、所望の重合度が達成されるまで該温度を一定に保つことにより、グラフト−フロム重合を開始する。
好適な熱開始剤には、限定されないが、tert−アミルペルオキシベンゾアート、4,4−アゾビス(4−シアノバイエル酸)、2,2’−アゾビス[(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,3,ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(アイブン)、過酸化ベンゾイル、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、ビス(1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルアセタート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化ジクミル、過酸化ラウロイル、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウムが含まれる。
溶液が加熱される温度は、とりわけ、モノマーおよび/または開始剤、および/または基体に依存する。熱ラジカル開始剤の例としては、限定されないが、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)および1,1’アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)が挙げられる。好ましいグラフティング温度は、選択される開始剤の10時間T1/2に近い。グラフト−フロムラジカル重合反応は、開始剤の半減期を超えて加熱することにより、温度的に急冷され得る。
iii.レドックス開始剤
別の実施形態においては、基体表面から重合を開始するために、レドックス開始剤系が使用される。レドックス開始剤系は、典型的に、開始剤の対:酸化剤および還元剤を含む。本明細書に記載されるレドックスの化学作用を改変することにより、非汚染性ポリマー材料、例えば、双性イオン性ポリマー材料を作製することができる。レドックスによる開始は、穏やかな条件下でフリーラジカルを効果的に生成するための、一電子移動反応とみなされる。好適な酸化剤としては、限定されないが、過酸化物ヒドロペルオキシド、過硫酸塩類、ペルオキシ炭酸塩類、ペルオキシ二硫酸塩類、ペルオキシ二リン酸塩、過マンガン酸塩、金属、例えばMn(III)、Ce(IV)、V(V)、Co(III)、Cr(VI)およびFe(III)の塩類が挙げられる。
好適な還元剤としては、限定されないが、金属塩類、例えばFe(II)、Cr(II)、V(II)、Ti(III)、Cu(II)、およびAg(I)の塩類、ならびに硫黄、ヒドロキシ酸類、アルコール類、チオール類、ケトン類、アルデヒド類、アミン、およびアミド類の酸素酸類が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、還元剤は、鉄(II)塩、例えば、L−アスコルビン酸鉄(II)、硫酸第一鉄、酢酸鉄(II)、アセチルアセトン酸鉄(II)、硫酸エチレン二アンモニウム鉄(II)、グルコン酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、または硫酸鉄(II)である。
重合は、レドックス反応により直接形成されたラジカルにより、および/またはレドックス反応の間に形成された過渡ラジカルによる基体からの水素原子の引き抜きにより形成されるマクロラジカルにより、開始され得る。
一実施形態においては、基体をアンダーコーティングでコーティングし、アンダーコーティング層からレドックス重合により非汚染性材料をグラフトする。アンダーコーティングには、酸化剤または還元剤が含まれる。好ましい実施形態において、アンダーコーティング層には、1つまたは複数の還元剤、例えば、酸類、アルコール、チオール類、ケトン類、アルデヒド類、アミン類およびアミド類が含まれる。酸化剤を使用して、アンダーコーティング層の1つまたは複数の官能基と反応させることにより、グラフト−フロム重合を開始させるラジカルを形成する。
特定の実施形態において、アンダーコーティング層は、シラノールおよび/またはヒドロキシル基を含む脂肪族鎖のペンダント基を有するコポリマーである。そのような材料を使用することにより、ポリマー基体、例えばポリウレタン(PU)上のアンダーコーティング層を形成することができる。酸化剤、例えばCe(IV)の塩を、穏やかな条件下でヒドロキシル基と反応させて、アンダーコーティング層中にヒドロキシルラジカルを形成させ、双性イオン性ポリマーを成長させる。
さらに別の実施形態においては、過酸化物と金属塩(例えばフェントン反応に使用されるFe(II))の対をレドックス重合において使用し、ポリウレタンなどのポリマーから双性イオン性ポリマーをグラフトする。重合で使用するための過酸化物としては、過酸化ジアシル類、過酸化ジアルキル類、ジペルオキシケタール類、ヒドロペルオキシド類、過酸化ケトン類、ペルオキシ二炭酸塩類、およびペルオキシエステル類が挙げられる。例示的な過酸化ジアシル類としては、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化コハク酸、および過酸化ベンゾイルが挙げられる。例示的な過酸化ジアルキル類としては、過酸化ジクミル、2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、過酸化クミルt−ブチル、異性体のa,a’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン混合物、過酸化ジ(t−アミル)、過酸化ジ(t−ブチル)、および2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンが挙げられる。例示的なジペルオキシケタール類としては、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレラート、エチル3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)ブタノアートおよびエチル3,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブチラートが挙げられる。例示的なヒドロペルオキシド類としては、クメンヒドロペルオキシドおよびt−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。例示的な過酸化ケトン類としては、メチルエチルケトンペルオキシド混合物および2,4−ペンタンジオンペルオキシドが挙げられる。例示的なペルオキシ二炭酸類としては、ジ(n−プロピル)ペルオキシ二炭酸、ジ(セクブチル)ペルオキシ二炭酸、およびジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシ二炭酸が挙げられる。例示的なペルオキシエステル類としては、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルペルオキシネオデカノアートアルファクミルペルオキシネオデカノアート、t−アミルペルオキシネオデカノアート、t−ブチルペルオキシネオデカノアート、t−アミルペルオキシピバラート、t−ブチルペルオキシピバラート、2,5−ジ(2エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート,t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、t−アミルペルオキシアセタート、t−ブチルペルオキシアセタート、t−ブチルペルオキシアセタート、t−ブチルペルオキシベンゾアート、OO−(t−アミル)O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、OO−(t−ブチル)−O−イソプロピルモノペルオキシカルボナート、OO−(t−ブチル)−O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、ポリエーテルポリ−t−ブチルペルオキシカルボナート、およびt−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアートが挙げられる。
前述の過酸化物類、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化水素、または過酸化ジクミルのうちのいずれかを、ポリウレタンなどのポリマーに、有機溶媒中の過酸化物溶液中に予定された時間浸漬させることにより吸収させ、乾燥させる。過酸化物含有ポリマーを、モノマーの溶液中に入れる。還元剤、例えばFe(II)の塩類、例えば塩化Fe(II)、硫酸Fe(II)、硫酸Fe(II)アンモニウム、またはグルコン酸Fe(II)を、室温または昇温で、モノマー溶液に添加することにより、レドックス重合を開始する。
製品の表面の修飾および/または表面グラフト重合のために、疎水性−親水性レドックス開始剤の対を使用することが、特に有用であることが分かっている。例えば、一実施形態においては、疎水性−親水性レドックス開始剤の対の疎水性メンバーを、上述のとおり、疎水性の基体に組み入れる。次いで基体表面を、モノマー、典型的には親水性モノマー、およびレドックス対の親水性メンバーを含有する水性の重合混合物で処理する。本方法は、修飾されるべき露出した外表面および内表面(例えばカテーテルなど)、ならびに容易に露光することができないいずれかの基体を有する構成要素からポリマーをグラフトする場合、特に有利である。さらに、そのような系は重合混合物/基体表面の界面から離れた重合混合物のバルクにおいて、非グラフト重合の程度を最小化する傾向がある。
好ましい実施形態において、親水性−疎水性レドックス対は、疎水性酸化剤/親水性還元剤の対であり、ここで(i)疎水性酸化剤は、tert−アミルペルオキシベンゾアート、O,O−t−ブチル−O(2−エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナート、過酸化ベンゾイル、2,2−ビス(tertブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ビス(tertブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3ヘキシン、ビス(1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,1−ビス(tertブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルアセタート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化ジクミル、過酸化ラウロイル、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、または1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)であり、および(ii)親水性還元剤はFe2+、Cr2+、V2+、Ti3+、Co2+、Cu+、またはアミン;遷移金属イオン複合物、例えばアセチルアセトン酸(II)銅、HS03−、S03 2−、S203 2−、またはS205 2である。例示的な組み合わせとしては、前述の過酸化物およびFe2+のうちのいずれかが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、またはO,O−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナートが、Fe2+との組み合わせで使用される。
代替の実施形態において、親水性−疎水性のレドックス対は、親水性酸化剤/疎水性還元剤の対であり、ここで、(i)親水性酸化剤は、過酢酸、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、Fe3+、ClO3−、H2O2、Ce4+、V5+、Cr6+、もしくはMn3+、またはそれらの組み合わせであり、;および(ii)疎水性還元剤はアルコール、カルボン酸、アミン、もしくはホウ素アルキル、またはその組み合わせである。
他の好適なレドックス系としては、(1)有機−無機レドックス対、例えばCe4+、V5+、Cr6+、Mn3+によるアルコールの酸化物;(2)レドックス対の構成要素として作用し得るモノマー、例えば、チオ硫酸塩+アクリルアミド、チオ硫酸塩+メタクリル酸、およびN,N−ジメチルアニリン+メタクリル酸メチル、および(5)ホウ素アルキル−酸素系が挙げられる。
iv.例示的な開始剤
例示的な開始剤としては、限定されないが、過酸化ジアシル類、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジアセチル、過酸化コハク酸、二コハク酸ペルオキシド、およびジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドが挙げられる。好ましい実施形態において、過酸化ジアシルは、芳香族の過酸化ジアシル、例えば過酸化ベンゾイルである。
他の例示的な開始剤としては、限定されないが、ペルオキシ二炭酸類、例えば、ジエチルペルオキシジカルボナート、ジ−n−ブチルペルオキシジカルボナート、ジイソブチルペルオキシジカルボナート、ジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカルボナート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカルボナート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、ジ−n−プロピルペルオキシジカルボナート、およびジイソプロピルペルオキシジカルボナート;ペルオキシエステル類、例えば、t−ブチルペルネオデカノアート、t−ブチルおよびt−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノアート、ならびにt−ブチルペルオキシベンゾアート;t−ブチルおよびt−アミルモノペルオキシ2−エチルヘキシルカルボナートをベースにしたモノペルオキシ炭酸塩類;過硫酸塩類、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、および過硫酸ナトリウム;クメンヒドロキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ(tert−アミル)ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、2−ブタノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−アミルペルオキシド、過酸化ジクミル、過酸化ラウロイル、tert−ブチルペルアセタート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカルボナート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、4−ニトロベゼンカルボペルオキソ酸t−ブチルエステル、シクロヘキサノンペルオキシド、[(メチルペルオキシ)(ジフェニル)メチル]ベンゼン、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、および2,4,6−トリフェニルフェノキシル二量体が挙げられる。
内表面および外表面の両方にコーティングを必要とする基体に対しては、重合を開始するためにさらなる考慮が必要である。熱開始剤を使用することはできる;しかしながら、典型的に必要とされる昇温は、基体材料に悪影響を与え得る。UVベースのアプローチは、材料を透過するか、または、例えば、管腔中に通した光ファイバーの光源などにより腔内に適用できるように設計されなければならない。これは、基体ポリマーにより吸収されないUV波長において不安定な光活動性の開始剤を選択することにより、達成することができる。一般的に、より低い波長のUV照射は、より高い波長のUVよりも、より吸収されにくく、より容易に透過する。
対照的に、重合は光分解的には開始されないため、レドックスの化学反応は一般的に、重合を開始するために光源への直線視野を必要とせず、従って、カテーテルの内腔などの、UV光源に露光することが難しい1つまたは複数の表面を有する基体をコーティングするために有利であり得る。さらに、レドックス重合は典型的に、低温、例えば60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、35℃未満、または30℃未満で実施し得る。
グラフト−フロム重合は、カチオン性またはアニオン性反応を介して伝播することができ、ここで基体表面はカチオン性もしくはアニオン性開始剤として作用するか、またはカチオン性もしくはアニオン性開始剤が基体上に固定化され、およびモノマーは反応性オレフィンを含む。アニオン性重合の例としては、ポリカプロラクトンまたはポリカプロラクタムの合成の場合のような、アニオン開環が挙げられ、ここで重合は、ペンダント双性イオン基を含む環式構造中でラクトンまたはラクタム部分を介して進行する。あるいは、1つまたは複数の不飽和単位およびペンダント双性イオン基を含む有機環が重合する。一実施形態においては、ペンダントオレフィンがモノマー単位中に含まれ、例えば開環メタセシス重合における場合のように(ROMP)、架橋のために使用される。
使用方法
上述された材料は、そこへ非汚染性材料をグラフトする医療機器または他の製品の形態であってもよい。好適なデバイスとしては、限定されないが、手術、医療もしくは歯科用器具、眼科用装置、創傷治療用品(包帯、縫合糸、細胞足場、骨セメント、粒子)、電気機器、インプラント、足場材料、縫合材料、バルブ、ペースメーカー、ステント類、カテーテル、ロッド類、インプラント、骨折固定装置、ポンプ、チュービング、ワイヤリング、電極、避妊具、婦人用衛生用品、内視鏡、創傷被覆材および組織、特にヒト組織と接触する他の機器類が挙げられる。
一実施形態においては、非汚染性材料を、線維性材料から直接グラフトするか、線維性材料に組み入れるか、線維性材料から間接的にグラフトする(例えば異なる表面コーティング上にコーティングするなど)。これらには、以下が含まれる:創傷被覆材、包帯、ガーゼ、テープ、パッド、織または不織繊維スポンジ類および歯科または眼科手術のために特に設計されたもの(例えば、U.S. Patent Nos. 4,098,728; 4,211,227; 4,636,208; 5,180,375; and 6,711,879を参照のこと)を含むスポンジ、外科用ドレープとして使用される紙またはポリマー材料、使い捨ておむつ、テープ、包帯、婦人用用品、縫合糸、および他の線維性材料。
線維性の材料もまた、細胞培養および組織工学用デバイスにおいて有用である。細菌および真菌の汚染は、真核細胞培養における主要な問題であり、これは、培養の汚染を最小化または除去する安全で有効な方法を提供する。
非汚染剤(non-fouling agent)はまた、ナノ粒子、微小粒子、ミリメートルビーズを含む粒子に容易に結合し、または上述したような細胞培養、および薬剤送達を含む多様な用途において使用されるミセルに形成される。非汚染性、生体適合性のポリマーミセルは、免疫応答の活性化を防止することにより、タンパク質の変性を予防し、所望の治療薬のより密やかな送達を可能にするであろう。
非汚染性材料はまた、ポリマー、金属、またはセラミックの基体に直接適用するか、またはそれらに組み入れることが出来る。好適な機器としては、限定されないが、以下が挙げられる:手術、医療もしくは歯科用器具、血液酸素付加装置、ポンプ、チュービング、ワイヤリング、電極、避妊具、婦人用衛生用品、内視鏡、グラフト、ステント、ペースメーカー、植込み型除細動器、心臓再同期療法装置、補助人工心臓、心臓弁、カテーテル(血管、泌尿器、神経、腹膜、介入性カテーテル等を含む)、シャント、創傷ドレイン、透析膜、注入ポート、人工内耳、気管内チューブ、ガイドワイヤー、液貯留バッグ(fluid collection bag)、センサー、創傷治療用品(包帯剤、絆創膏、縫合糸、細胞足場、骨セメント、粒子)、眼科用装置、整形外科用デバイス(股関節インプラント、膝関節インプラント、脊椎インプラント、スクリュー、プレート、リベット、ロッド、髄内釘、骨セメント、人工腱、および他の義装具もしくは骨折修復デバイス)、歯科インプラント、乳房インプラント、陰茎インプラント、顎顔面インプラント、美容インプラント、バルブ、電気機器、足場材料、縫合材料、針、ヘルニア修復メッシュ、テンションフリー膣テープおよび膣スリング、組織再生もしくは細胞培養デバイス、または体内もしくは体と接触して用いられる他の医療機器またはこれらのうちのいずれかのあらゆる部分。好ましくは、本明細書の非汚染性コーティングは、限定されないが、柔軟性、耐久性、よじれ抵抗、摩擦抵抗、温度および電気伝導率、引張強度、硬度、ならびに破壊圧力を含む、機器の所望の物理的特性に、有意に悪影響を与えない。
一実施形態において、基体は、血管内に挿入されるカテーテル、例えば、末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC)、中心静脈カテーテル(CVC)または血液透析カテーテル、静脈弁、涙点プラグ、ならびに眼内デバイスおよびインプラントである。
別の実施形態において、基体は、医療グレードのポリウレタンまたはCARBOTHANE(登録商標)から形成されるか、または医療グレードのポリウレタンでコーティングされた材料から形成された血管内に挿入されるカテーテルである。
1つの特定の実施形態において、カテーテルは、複数の管腔を含む細長いカテーテル本体を含む。例えば、カテーテルは、二腔カテーテルまたは三腔カテーテルであってもよい。管腔は同軸であっても、並行していてもよい。1つの例示的な実施形態において、カテーテル本体は、それぞれ「D」の形をした並行した2つの管腔を有し、該カテーテル本体の長さは5cmより長く;典型的に、そのようなカテーテルのカテーテル本体は、少なくとも11cmの長さを有する。1つの特に好ましい実施形態において、カテーテル本体は医療グレードのポリカーボネート・ベースの、脂肪族および芳香族ポリウレタンである。
非汚染性材料を、白カビ(mildew)、バクテリア汚染を防ぐために塗料および他のコーティングおよびフィルターに添加してもよく、ならびに汚染を防止することが望ましい他の用途、例えば海洋用途(船体コーティング);コンタクトレンズ;歯科インプラント;インビボセンサー用のコーティング;分離用デバイス、例えば微生物懸濁液、生体分子分離、蛋白質分画、細胞分離、廃水処理、バイオリアクターのための膜;および食品加工において、添加してもよい。
他の用途としては、織物、添加物、電気/光学電気機器、カーボンナノチューブ、梱包材、および着色剤/インクにおける適用のための繊維、微粒子、およびフィルムの処理が挙げられる。
本発明を詳細に記載してきたが、添付の請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、改変および変更が可能であることが明らかであろう。さらに、本開示におけるすべての実施例は、非限定的な例として提供されることを理解するべきである。
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに例証するために提供される。以下の実施例に開示される技術は、本願発明者が本発明の実施においてよく機能することを発見したアプローチを示し、従ってその実施のための様式の例を構成するとみなすことができるということを、当業者は理解するべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であり、それでも尚、類似または同様の結果を得ることが出来るということを理解するべきである。
全ての実施例のための放射性標識法
試験試料を、96ウェルマニホールド、ミクロ遠心管、または他の容器であってもよい、好適なサイズの容器に入れる。96ウェルプレートには以下の容積が適切であるが、試験されるデバイスを適切に覆うように調節してもよい。試料を、70%エタノール溶液で30分間滅菌し、試験群を実施あたり3〜4のnで実施する。試料容器を、1×PBS中の20mg/mLのウシ血清アルブミンで、1時間4℃にてブロックし、続いて1×PBSで3回すすぎ、その後試料を添加する。1.4μg/mLのl−125放射標識フィブリノゲンを含む、70μg/mLの非標識フィブリノゲンの溶液300μLに、試料を曝露する。試料を37℃で1時間インキュベートし、150RPMでオービタルシェーカーにかける。次いで試験溶液を除去し、10mM Nalでの1分間のすすぎを4回、1×PBSでの1分間のすすぎを1回実施する。試料をガンマカウンター中にロードする。カウンターは、各試料に対する、1−125カウント/分で放射能を測定し、このデータを使用して、非汚染性ポリマー層を欠いた同一または機能的に同等な基体である基準基体に対する、非汚染性ポリマー層試料の減少率(%)を算出する。減少率(%)は、(1−非汚染性試料CPM/基準基体の平均CPM)*100%に等しい。
実施例1−チタン基体
チタンクーポン(99.5%、厚さ0.25mm、1×0.5cm)を、まず超音波処理下、アセトンで10分間洗浄し、空気中で乾燥し、次いでピラニア溶液で30分間処理した。洗浄および乾燥後、0.1%BPを含む1%ポリウレタン(Tecoflex)/THF溶液で試料をコーティングし、暗所で30分間風乾した。次いでクーポンをさらに3回浸漬被覆し、3晩にわたり暗所で乾燥した。反応前に溶液を30分間窒素で洗い流し、UVリアクターで14時間反応させた。試料をPBSですすいだ。放射標識法を使用したフィブリノゲン吸着の測定は、フィブリノゲン吸着が75%減少したことを示す。
実施例2−ポリカーボネート基体
ポリカーボネートの中心柱に、10wt%のBP/アセトン溶液を6時間吸収させた。試料を暗所、室温で一晩保管した。試料を、反応前に水で洗浄した。反応は、反応チューブ中で行い、10wt%カルボキシベタインアクリルアミド溶液をチューブに添加した。反応前に、アルゴンを通気することにより、30分間の脱気を行った。反応物を、UV光に6時間露光した(100W UVランプにより生成された365nmのピーク波長)。PBSで洗浄した後、試料はELISAにおいて、92.7%のフィブリノゲン減少を示した。
ELISAアッセイにおいて、試料を10%(v/v)ウシ胎児血清中、37℃で90分間インキュベートすることにより、フィブリノゲンにより占められていない領域をブロックした。試料をすすぎ、清浄なウェルに移し入れ、10%(v/v)ウシ胎児血清中の、5.5μg/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗フィブリノゲンとともに1時間インキュベートした。再び試料をすすぎ、1mg/mLのo−フェニレンジアミンの色素原および0.02%(v/v)過酸化水素を含む0.1Mのリン酸塩−クエン酸塩緩衝剤とともに、清浄なウェルに移し入れた。37℃で20分間インキュベートすることにより、酵素により誘導される呈色反応が生じ、2.0Nの硫酸の添加により、該反応を終了させる。次いで光強度の吸光度を、マイクロプレートリーダーを使用して測定し、対照(すなわち、基準基体)に相対するタンパク質吸を特定した。混合タンパク質溶液、例えば全血漿に対しては、表面プラズモン共鳴法(SPR)または光導波路光モード分光法(OWLS)を使用ことにより、溶液中に存在する各タンパク質のための個々の抗原を使用する必要なく、表面のタンパク質吸着を測定することが出来る。
実施例3−ポリプロピレン基体
ポリプロピレンクーポン(厚さ0.4''、1×0.5cm)に5%BPO/トルエン溶液を2時間吸収させ、次いで20mLバイアル中の20wt%のSBMA溶液および5mMのグルコン酸Fe(II)と、40℃で5時間、反応させた。放射標識法を使用したフィブリノゲン吸着の測定は、フィブリノゲン吸着がグラフティングの後、94±1%減少したことを示す。37℃で60分間、70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中にて試料をインキュベートするフィブリノゲン吸着アッセイにおいて、フィブリノゲンの絶対吸着量は、14ng/cm2であった。
実施例4−シリコーン基体
シリコーンチューブに5%の過酸化ジクミル(DCP)/ヘプタン類の溶液を2時間吸収させ、一晩乾燥した。次いでチューブを、20wt%のSBMA溶液および5mMのグルコン酸Fe(II)と、100rpmで振盪しながら37℃で24時間、反応させた。放射標識法を使用したフィブリノゲン吸着の測定は、フィブリノゲン吸着がグラフティング後、73±4%減少したことを示す。
実施例5−MPCモノマー
ポリウレタン(Carbothane(登録商標))ロッドに、1wt%のTBEC/アセトン溶液を3時間吸収させた。20−mLバイアル中の、5mMのグルコン酸第一鉄を含む10%メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)中で、レドックス反応を実施した。反応を、150rpmで振盪しながら60℃で一晩維持した。次いで試料を、一晩150rpmで振盪しながら、20mLのPBSで3回洗浄した。試料を70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中37℃で60分間インキュベートするフィブリノゲン吸着アッセイにおいて、試料の非修飾末端に対する調整を含めた、修飾された試料上のフィブリノゲン絶対吸着量は33ng/cm2であり、対照からの減少は96%であった。
実施例6−高分子両性電解質/混合電荷
ポリウレタン(Carbothane(登録商標))ロッド(3cm)に、1wt%過酸化ベンゾイル(BPO)/アセトン溶液を3時間吸収させた。250mL丸底フラスコ中の、5mMのグルコン酸第一鉄を含む10%の混合モノマー(メタクリル酸スルホプロピルカリウム塩(「SMP」)および[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドメタクリレート(「META」))中で、レドックス反応を実施した。撹拌しながら、60℃で5時間、反応を維持した。ついで試料をPBSで3回洗浄した。表面上でのフィブリノゲン減少を、放射標識法により測定し、以下の表に報告する。試料を70μg/mLのヒト血漿由来のフィブリノゲン中37℃で60分間インキュベートするフィブリノゲン吸着アッセイにおける、試料の非修飾末端に対する調整を含めた、フィブリノゲンの絶対吸着および対照からの減少を、以下の表に示す。
実施例7−表面接触角測定
フラットシリコーン試料(Sylgard 184、ダウコーニング社(Dow Corning)、ミシガン州))およびシリコーンチューブ(TYGON 3350、コールパーマーインストルメントカンパニー(Cole-Parmer Instrument Company)、イリノイ州)を、実施例4に記載される通り、SBMAで修飾した。さらに、フラットポリウレタンフィルム(Tecoflex、SG93A、ルーブリゾール社(Lubrizol))を実施例4に記載される通り、SBMAで修飾した。試料をまず純粋エタノールに5分間浸漬し、PBSで3回洗浄した。次いで試料をPBS(150mM、pH7.4)中に24時間浸漬し、精製水で3回洗浄した。次いで試料を、試験前に、気流を用いて5分間乾燥した。ビデオ接触角システム(VCA2000、エーエスティー社(AST Inc.))を使用して、接触角を測定した。精製水(1μL)を一滴、試験表面上に置いた。次いで液滴の形状を、CCDカメラを備えた顕微鏡で撮影し、VCA Optima XEを使用して接触角を測定した。以下は得られた接触角測定値である。
実施例8−コーティングの乾燥および加湿厚さ測定
膨潤分析のための硫酸バリウムDDチューブ試料(25cm)を含むポリウレタン(Carbothane(登録商標))を乾燥保管から出し、(反応後、1X PBS中ですすぎ、次いで一晩風乾し、滅菌バッグ中で保管した)、4%の水性の四酸化オスミウム中に直接入れた。全ての修飾された試料を、大型の25cmの処理済みチューブから切り出した。2つの修飾された試料を四酸化オスミウムで染色し、3つ目の試料は未染色のままにした。四酸化オスミウム中に試料を一晩静置し、次いで蒸留水で徹底的にすすいだ。いずれの湿式染色した試料をもエタノールで脱水し(50、60、70、80、90、および95%エタノールの溶液中にそれぞれ2分間浸漬する)、次いで風乾した。
すべての試料を、画像化するために、液体窒素中に浸漬することにより凍結割断し、次いでウルトラミクロトームブレード(Leica Ultracut UCT Ultramicrotome)で砕いた。凍結割断した試料の半分を蒸留水に入れ、他の半分を高真空下での乾燥イメージングのために準備した。乾燥試料を、スパッタコーター(Cressington 208HR)を使用して、金中で90秒間スパッタコーティングし、次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)(Supra55VP FESEM、ツァイス社(Zeiss))下でSE2検出器を使用し、5kVの高真空下で画像化した。乾燥したコーティングの厚さを、界面に沿って測定した(Ldry)。
湿潤試料を、水中に約4時間浸漬した後、まず画像化した。それらを、液体窒素中に湿ったまま浸漬し、次いで−8℃に設定された冷却ステージに固定した。試料を次いで、最高解像可能湿度(highest resolvable humidity)(約26%または81Pa)で、環境制御形SEM(E−SEM)(ツァイス社(Zeiss)EVO55)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)(Supra55VP FESEM、ツァイス社(Zeiss))下で、VPSE検出器を使用して画像化した。試料を温め、冷却ステージから取り除いた際、試料がまだ確実に湿っているようにした。試料を少なくとも1時間1X PBSに浸漬した後、最終測定を行った(1X PBS中に入れる前、試料を蒸留水に一晩浸漬した)。画像化する直前に、試料をすばやく水ですすいで表面のすべての塩を除去し、次いで液体窒素中に浸漬し、冷却ステージに固定した。水を含んだ試料の厚さを、界面に沿って測定した(Lhyd)。
コーティングの線形膨潤性(linear swellability)を以下により算出した:
LSW=(Lhyd−Ldry)/Ldry×100%
厚さおよび線形膨潤性(linear swellability)の結果を、以下の表に記載する。
実施例9−開始剤の浸透測定
反応後に異なる開始剤(10%過酸化ジクミルおよび1%過酸化ベンゾイル)を吸収させたポリウレタンのロッド(20%のBaS04を含む10個のFrench Carbothane(登録商標)のロッド)を、カミソリ刃で、横断面で切断した。横断表面を、Nicolet iN−10 IR顕微鏡(サーモサイエンティフィック社(Thermo Scientific))FTIR下で分析した。減衰全反射(ATR)チップから得たIRスペクトルを使用することにより、吸収された開始剤の、試料の端からの浸透深さを検出した。10%過酸化ジクミル(「DCP」)を吸収させたポリウレタンロッド中心のATR−FTIRスペクトルは、ca.700cm−1(DCPの特徴的ピーク)で強いピークを示し、1%過酸化ベンゾイル(「BPO」)を吸収させたポリウレタンロッドの中心のATR−FTIRスペクトルは、ca.700cm−1(BPOの特徴的ピーク)で強いピークを示した。
実施例10−SBMAおよびOEGMAの比較性能
ポリウレタン(Carbothane(登録商標))ロッド(3cm)に、10wt%の過酸化ジクミル(DCP)/アセトン、または1wt%のO,O−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナート(「TBEC」)/アセトン溶液のいずれかを、2時間吸収させた。5mMのグルコン酸第一鉄を含む10%SBMAまたは1%OEGMAを使用して、吸収済みの試料上で修飾を行った。撹拌しながら60℃で5時間、反応を維持した。次いで試料をPBSで3回洗浄した。
結果は、標準レドックス 10%SBMAおよび1%OEGMAモノマー間の差異を表す。1%OEGMAは、mCDC大腸菌(E.coli)中で試験した際、標準レドックス 10%SBMA(log減少=2.24)と比較して、劣性の性能を示した(log減少=0.86)。
実施例11−タンパク質抵抗性−カテーテル壁
カテーテル(613.7±1.8mm本体長)にO,O−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナート(「TBEC」)を吸収させ、SBMAモノマーおよびFe(II)反応溶液で修飾した。修飾された試料(ロット「A」および「B」)を洗浄し、乾燥した。
試料のシャフトの外側部分のタンパク質抵抗性を、放射標識法を使用して測定し、結果を以下の表に示す。
実施例12−接触角
ポリウレタン(Tecothane(登録商標))−30%BaSO
4−5FR DD管腔カテーテル(562.2±0.9mm本体長)にO,O−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナート(「TBEC」)を吸収させ、SBMAモノマーおよびFe(II)反応溶液で修飾した。これらのデバイスのシャフトの外側部分および修飾されていない対照に対する接触角を以下に示す。
実施例13−表面粗さ
ポリウレタン(Tecothane(登録商標))−30%BaSO
4の5FR二重D管腔チューブ試料(長さ3cm)にTBECの溶液を吸収させ、洗浄し、乾燥した。次いで吸収済みの試料を、一部の試料に対しては2時間、その他に対しては3時間、SBMAの水溶液およびグルコン酸鉄(II)で修飾し、PBSで洗浄した。IR分析による推定厚さ、およびLEXT共焦点顕微鏡法で測定した粗さを決定し、以下の表に示す。粗さ(R
rms)は、修飾されていないものについては0.259μm、2時間修飾された試料については0.162μm、および3時間修飾された試料については0.107μmであった。修飾部の厚さは、2時間修飾された試料については677nm、3時間修飾された試料については1218nmであった。
実施例14−残留開始剤の可視化
過酸化物などの酸化剤の存在下では、ヨウ化物は、ヨウ素に転換される。過酸化物の相対量は、試験物をヨウ化物塩の溶液で処理し、得られた橙色−褐色のヨウ素染色の有無および/または強度を比較することにより、定性的に測定することが出来る。3〜6gのNal塩を10mLのEtOH(試薬アルコール、95%)に添加し、混合物を10秒間ボルテックスし、ボルテックスした混合物を10分間静置して塩を溶解させ、次いで混合物をPTFEフィルター(0.45μm)で濾過して、すべての未溶解粒子を除去することにより、ヨウ化物溶液を作製した。各試験物(例えば長さ1.5cm)を、例えば、試験管中の上述で作製された1mLのエタノール性Nal溶液に、1分間浸漬した。次いで試験物を取り出し、気流により1分間乾燥し、溶媒を除去した。次いで試験物を8mLのシンチレーションバイアルに入れてキャップを締め、60℃のオーブン中に45分間置いて、表面に発色させる。次いで染色の有無を記録し、黄色のトーンチャート(0〜10の範囲で)で比較して暗度番号を得ることが出来た。
4セットの試験物を、ヨウ化ナトリウムの溶液中に浸漬し、すすぎ、記載される通り60℃のオーブン中で加熱した。第1セットは、未処理のポリウレタン(Tecothane(登録商標)97A)−30%BaSO4 5FR二重D管腔チューブであった。第2セットは、TBECを吸収させたが、表面修飾部を成長させていないポリウレタン(Tecothane(登録商標))97A−30% BaSO4 5FR二重D管腔チューブであった。第3および第4セットは、TBECを吸収させ、SBMAで表面修飾したポリウレタン(Tecothane 97A(登録商標))−30%BaSO4 5FR二重D管腔チューブであった。ヨウ素染色は、第1セットでは観察されなかったが、他の3セットでは観察された。
実施例15−抽出による残留開始剤の測定
試験物(ポリウレタン(Tecothane(登録商標))97A−30%BaSO
4 5FR二重D管腔チューブ)にTBECを吸収させ、SBMAで表面修飾した。抽出条件を以下の表に要約する。結果は、開始剤が95%エタノールで抽出されたことを示す。
実施例16−IRによる残留開始剤の測定
過酸化ジクミルを吸収させ、グルコン酸鉄(II)の存在下で、SBMAで表面修飾し、洗浄し、乾燥した25cmのポリウレタン(Carbothane(登録商標))−BaSO4 14FR二重管腔チューブのIR分析は、クミル基の存在を示す、699cm−1でのピークを示した。
実施例17−GCMSによる残留開始剤の定量化
ポリウレタン(Tecothane(登録商標))−30%BaSO4−5FR DD管腔カテーテルに、O,O−t−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナート(「TBEC」)を吸収させ、吸収済みの試料のうちの一部を、SBMAモノマーおよびFe(II)反応溶液で表面修飾した。吸収のみさせた試料、および表面修飾された試料を洗浄し、乾燥した。修飾された試料の一部を、洗浄および乾燥する前に、イソプロパノールで洗浄した。
過酸化物およびそれらの分解生成物の定量化:GCMSを使用したTBEC(OO−tert−ブチルO−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート)の定量化。TBECの量を、メタノール性試料抽出物のGCMS分析に基づいて測定した。抽出前に、試料を低温により微粉末に粉砕した。5m1の一定分量のメタノールを、約370mgの各試料に添加した。静かに撹拌しながら、抽出を継続した。GCMSによる分析の前に、試料を0.2pmのPTFEシリンジフィルターで濾過した。目的の化合物は分解しやすい傾向があり、GCMSにより観察される一連の分解生成物を生じるため、定量化は、TBEC標準物質の分析において観察される主要な分解生成物であるエチルヘキサノール(試料中、他のエチルヘキサノール源はないと仮定して)に基づいて行われる。メタノール中のTBEC標準物の一連の希釈物を作製し、エチルヘキサノールのピークに基づいて、検量線を作製した。作成された検量線に基づいてTBECの濃度を算出し、各試料中の組成率(%)を、以下の方程式を用いて算出した:TBEC組成率(%)=濃度(mg/mL)×5mLの抽出された試料の質量(mg)×100%。試料抽出物に対して算出された、平均TBEC組成率(%)の値の要約を、以下の表に示す。
実施例18−表面修飾部厚さの差異
異なるSBMA修飾部の厚さを有する、修飾されたポリウレタン(Tecothane(登録商標)97A)30%BaSO
4 5FR二重D管腔チューブの血栓形成性。
(a)Tecothane−BaSO
4 5FR、DD管腔チューブにTBECを吸収させ、グルコン酸鉄(II)水溶液からのSBMAで修飾した。グラフティングの時間を調節することにより、IR分析により推定される、チューブ外側の、異なるグラフトされたSBMAの厚さの修飾部を得た。これらを以下の表に要約する。
(b)以下の特徴を有する、本明細書に記載されるフローモデルを使用した、カテーテルのインビトロ評価:カテーテルチューブの末端を、5分間のエポキシ樹脂接着により密封し、20cmのカテーテルチューブ本体を、ループ内に挿入した。60〜90分の間、流量は200mL/分であった。次いでカテーテルチューブ試験物を生理食塩水ですすぎ、撮影し、切断し(末端(先端)で1cm、挿入部で2cm)、接着した放射標識された血小板を、ガンマカウンターを使用して計測した。結果を以下の表に要約する。
実施例19−表面粗さ評価
ポリウレタン(Tecothane(登録商標))−30%BaSO4−5FR DD管腔カテーテル(562.2±0.9mm本体長)に、O,O−t−ブチル−O−(2エチルヘキシル)モノ−ペルオキシカルボナート(「TBEC」)を吸収させ、SBMAモノマーおよびFe(II)反応溶液で修飾した。修飾された試料を洗浄し乾燥した。LEXT共焦点顕微鏡イメージングおよび粗度分析により、修飾された試料の表面粗さを、修飾されていない試料と比較した。ガラスのスライドに、両面テープにより試料をマウントした。Olympus MPLAPON 50X対物レンズ下で、Olympus LEXT OLS4000レーザー共焦点顕微鏡(「LEXT」)を使用して、デジタル3−D画像を撮影した。この方法で撮影したデジタル画像は、256×256μmのフィールド領域を有する。このLEXT機器のZ方向の再現性(repeatability)は、0.012μm未満であることが、オリンパス社(Olympus)により認証されている。粗さを測定するために、少なくとも各試料の3つの画像を撮影し、9μmカットオフレングスを使用してRrms粗さを算出した。測定において、修飾されていない基体は0.321μmのRrmsを有し、修飾された基体は0.199μmのRrmsを有した。