JP3341503B2 - 抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル - Google Patents

抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル

Info

Publication number
JP3341503B2
JP3341503B2 JP30151294A JP30151294A JP3341503B2 JP 3341503 B2 JP3341503 B2 JP 3341503B2 JP 30151294 A JP30151294 A JP 30151294A JP 30151294 A JP30151294 A JP 30151294A JP 3341503 B2 JP3341503 B2 JP 3341503B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catheter
antithrombotic
heparin
medical material
blood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP30151294A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08131536A (ja
Inventor
義広 小山
直人 穂苅
謙次郎 毛利
井上  悟
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP30151294A priority Critical patent/JP3341503B2/ja
Publication of JPH08131536A publication Critical patent/JPH08131536A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3341503B2 publication Critical patent/JP3341503B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は新規な抗血栓性医療材
料に関し、カテーテルなどの医療用具に好適に用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、医療技術の高度化に伴って、医療
用具は、複雑で微細構造のものが多くなっている。例え
ば、カテーテルに於いては内腔を2つの通り道に分け、
一本のカテーテルで血液の流出・導入を同時に行うもの
や内腔を細くして患者の負担を軽減したもの等種々形状
のものが考案されている。
【0003】また、医療用具を構成する素材も従来から
多く使われている塩化ビニルのみならず、多種、多様な
医療用材料が使用されるようになってきている。
【0004】このような医療用材料に血液が接触すると
その表面で血液凝固が起こり、血栓が形成される。この
血栓の影響により、医療用具を用いて治療や測定を行う
場合に、薬剤の送液が出来なかったり測定感度が低下し
たりする。また、血栓は血流を停止させたり、血液と共
に移動して肺血栓症、脳血栓症、心筋梗塞などの合併症
の原因となる。
【0005】従って、これらの医療用材料を実際に使用
する際には、ヘパリン、フサン、クマリン等の抗凝固剤
を全身投与し、血液を非凝固性にすることにより血栓形
成を防止している。しかし、ヘパリンを全身投与すると
出血の危険性が著しく高くなるという大きな欠点があ
る。
【0006】そこで、医療用材料表面をヘパリン化材料
で抗血栓性化すれば、安全に治療あるいは診断を行うこ
とができる。
【0007】ヘパリン化抗血栓性材料は大きく3つに分
けることができる。
【0008】第1は試料中に単純にヘパリン(通常はヘ
パリンナトリウムとして)を混合した材料である。この
ような材料は血液と接触している間に、ヘパリンが血液
中に流出し、短時間で抗血栓性能がなくなる欠点を有し
ている。
【0009】第2はヘパリンの水酸基、カルボキシル基
またはアミノ基を用いて材料と共有結合させたものであ
る。たとえば、特開昭54−24478号公報にヘパリ
ンとアンチトロンビンとを共存させて担体に固定化した
ものや、特開平1−119261号公報にフィブロイン
にヘパリンをカップリング剤を用いて固定化する方法が
開示されている。このような材料は材料の合成が複雑で
あることおよびヘパリン自体の抗血栓性が低下してしま
うことなどの問題点がある。
【0010】第3の材料はヘパリンのアニオン性残基と
材料のカチオン性残基をイオン結合させたものである。
具体例としては、特開昭63−119773号公報、特
公平6−24592号公報及び特公平−24593号公
報に、4級アンモニウム塩を有する重合性塩基性化合物
とヘパリンのイオン結合複合体が開示されている。
【0011】このような化合物は第1、第2の材料に比
べて抗血栓性は優れているが、ポリマが溶解しにくく、
使用される溶媒が限定される欠点がある。従って、多様
化している医療用材料や、複雑・微細化した医療用具の
コーティングには適さない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の欠点を解消しようとするものであり、コーティン
グが容易で、長期にわたる抗血栓性を有する材料、特
に、素材の多様化、形状の複雑・微細化した医療用具を
コーティングできる抗血栓性医療材料を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するための下記の構成を有する。 「(1)重合度400〜550のポリ塩化ビニルと後述
する一般式[I]または一般式[II]で表されるアクリ
ル酸またはメタアクリル酸誘導体の共重合体にヘパリン
又はその塩をイオン結合してなるコーティングのための
抗血栓性医療材料。
【0014】(2)上記1項に記載の抗血栓性医療材料
をコーティングしたカテーテル。」本発明に係わる抗血
栓性材料において、ポリ塩化ビニルの重合度は、400
〜550であることが必要である。重合度が580を越
えるとポリマが溶解しにくくなり、溶媒が限定され、ま
た、溶けても溶解粘度が高くなり医療用具微細部のコー
ティングが難しくなる。
【0015】疎水性ポリマとしては、塩化ビニル、メタ
クリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビ
ニル、メタアクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、
中でも、種々の硬度を有する樹脂とすることができる、
また、機械的強度が優れるなどの点で、塩化ビニルが特
に好ましく用いられる。
【0016】親水性モノマとしては、ビニル化合物、ジ
ビニル化合物、環状エーテル化合物、環状イミン化合物
などが挙げられるが、中でも、ビニル化合物が好ましく
用いられる。
【0017】本発明において、親水性モノマと、疎水性
ポリマとの共重合の形態は、特に限定されるものではな
く、グラフト重合、ブロック重合などが挙げられるが、
中でも、医療用材料として優れた抗血栓性を発現するな
どの点で、グラフト重合が最も好ましい。
【0018】グラフト重合の場合、ビニル化合物として
は、次の一般式[I]または一般式[II]で表わされる
アクリル酸またはメタアクリル酸誘導体およびその4級
塩が、特に好ましく用いられる。
【0019】
【化3】 (R1 はHまたはCH3 、R2 ,R3 はCH3 またはC
2 5 、n=1〜3)
【0020】
【化4】 (R1 はHまたはCH3 、R2 はH,CH3 またはC2
5 、n=1〜90) 一般式[I]で表されるものの具体例としては、ジエチ
ルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
アクリレート、ジエチルアミノプロピルメタアクリレー
トなどがある。経済性や入手の容易さから、ジメチルア
ミノエチルメタクリレートが最も好ましく用いられる。
また、一般式[II]で表されるビニル化合物の具体例と
しては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポ
リエチレングリコールメタクリレートなどがあり、特に
メトキシポリエチレングリコールメタクリレートが好ま
しく用いられる。このような化合物はその親水性の他に
共重合能力が大きいなどの特徴をもつ。一般式[I]の
ビニル化合物と一般式[II]のビニル化合物を同時にグ
ラフト重合させると一般式[I]のグラフト重合が促進
され、また、得られるグラフトポリマーの親水性が向上
し、ヘパリンがポリマー鎖中にとり込まれ易くなるため
に抗血栓性が増大するという効果が表れる。さらにポリ
マの柔軟性が増し、成形しやすくなり、また長時間使用
しても血管内部や組織を傷つけないなどの優れた特性も
あわせて付与される。
【0021】一般式[I]および[II]で表されるビニ
ル化合物の重合体中における含有量は両者あわせて全ポ
リマーの1〜60重量%、さらには10〜50重量%が
好ましい。さらには、一般式[I]で表されるビニル化
合物と一般式[II]で表されるビニル化合物の含有量が
各々0. 5〜40重量%の範囲内である場合が特に好ま
しいが、特に前者と後者の比が1:2のものが好ましく
用いられる。
【0022】このようなグラフト率およびグラフト中の
一般式[I]と一般式[II]で表されるビニル化合物の
比率を持つグラフト重合体は強度や可撓性など、疎水性
ポリマの力学特性を維持しつつ、あわせて医療用材料と
して備えるべき種々の特性もあわせもついう効果を有す
る。
【0023】グラフト共重合体とするための方法は特に
限定されるものではないが、例えば、疎水性重合体をグ
ラフト活性化処理し、親水性モノマを添加して適当な重
合方法で重合させることにより得ることができる。
【0024】グラフト活性化処理法としては、例えば疎
水性重合体として塩化ビニルを用いた場合、塩素原子を
光照射などでラジカルを与えやすいジチオカルバメート
基に置換する方法などが好ましく用いられる。この方法
はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシドなど
適当な有機溶媒に塩化ビニル重合体を溶かして、これに
アルカリ金属ジアルキルジチオカルバメートを30〜7
0℃で反応させて、塩素原子の1〜10%をジチオカル
バメート基で置換することにより達成される。
【0025】重合方法は、光重合法、熱重合法、放射線
重合法などが用いられるが、中でも、光重合法が好まし
く用いられる。光源としては高圧水銀灯で十分である。
溶媒は前述のようなものが適宜用いられる。塩化ビニル
およびビニル化合物の濃度は、それぞれ2〜20重量
%、好ましくは5〜10重量%程度が適当であり、重合
温度は0〜40℃、特に10〜30℃が好ましい。
【0026】3級アミノ基の4級塩を含む共重合体の製
造に際しては、4級化成分を共重合成分として用いるの
みならず、該当する3級アミノ基を含有するモノマを重
合後、そのポリマ溶液に、あるいは3級アミノ基のまま
成形後その表面に4級化剤を作用させて得るなどの方法
を用いてもよい。特に成形後4級化する方法はポリマ溶
液が取扱い易く簡便な方法であり好ましい。成形後4級
化する方法についてさらに詳しく述べる。
【0027】以上の抗血栓性医療材料は、カテーテルな
どの各種基材にコーティングすることにより好ましく用
いることができ、基材と、上記共重合体との共通溶媒を
用いてコーティングする。ここで基材と共重合体の共通
溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノ
ン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ク
ロロホルムなど、およびこれらの混合溶媒などが用いら
れるが、成形の容易さなどの点で沸点が30〜80℃の
もの、例えばテトラヒドロフランなどが好ましい。グラ
フト共重合体の厚みは、コーティング溶液中の共重合体
濃度(1〜50重量%が好ましい)およびコーティング
回数により規定されるが、長期間体内で有効な抗血栓性
を発揮するためには、1μm以上好ましくは5μm以上
の厚みが良い。
【0028】コーティングされた基材は、次いで乾燥さ
れる。乾燥方法は空気、窒素あるいはアルゴンなど不活
性ガス雰囲気下で好ましく行われ、乾燥温度は用いる溶
媒の種類によって異なるが、室温〜100℃の範囲が適
当である。
【0029】さらに乾燥後、場合により、4級化反応を
するが、4級化剤をメタノール、アセトン等有機溶媒に
溶解し水を加えて混合溶媒としたものの中にコーティン
グ後乾燥された医療用成型物を入れて行う。4級化剤と
しては、臭化エチル等のハロゲン化アルキル、あるいは
臭化水素、モノクロル酢酸等の周知の4級化剤が用いら
れる。ここで水に対する有機溶媒は5〜90%、特に2
0〜50%が好ましい。また、反応温度は10〜70℃
好ましくは40〜60℃である。
【0030】このようにして得られたコーティング共重
合体層のヘパリン化は該コーティング層をヘパリンまた
はその塩の水溶液と接触させることにより行われる。こ
こで用いるヘパリンまたはその塩は、特に限定されない
が、通常はヘパリンナトリウム、ベンザルコニュウムヘ
パリンなどが用いられる。具体的には、ヘパリン濃度が
0.5重量%以上、好ましくは0.5〜5重量%のヘパ
リン水溶液中に好ましくは50〜80℃で数時間〜5日
間該コーティング共重合体を浸漬することにより行う。
この場合、ヘパリン水溶液中には0〜0.3NのNaC
lを含むことが好ましい。
【0031】ヘパリン化終了後、常温で真空乾燥し、必
要により、滅菌操作を行う。
【0032】医療材料の抗血栓性はin vitro,in vivo,e
x vivoなどその用途に応じた各種評価方法で評価される
が、これらの評価の結果、本発明による医療材料は極め
て優れた抗血栓性を有することが明らかとなった。
【0033】このようにして得られた抗血栓性医療材料
は血液と直接接触する医療用具の内外面コーティングに
用いることができる。医療用具としては例えば、カテー
テル、マルチルーメンカテーテル、体外循環用血液回路
のドリップチェンバーろ布網目、シースイントロジュサ
ー、カニューレ、ガイドワイヤー、バイパスチューブ、
人工腎臓、人工心臓、人工心臓弁、補助循環装置用体外
循環回路、人工腎臓用AVシャント人工血管、人工腎臓
用のフィルム又は中空糸状の透析膜、人工肺用のフィル
ム状または中空糸状の酸素交換膜、チューブ接続用コネ
クタなどをあげることができる。特に、カテーテル、マ
ルチルーメンカテーテル、シースイントロジュサー、体
外循環用血液回路のドリップチェンバーろ布網目などの
複雑微細な部分の内外面コーティングに好ましく用いる
ことができる。
【0034】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳細に説
明する。 実施例1 重合度550のポリ塩化ビニル120gを2リットルの
ジメチルホルムアミドに溶解し、2.704gのジエチ
ルジチオカルバミン酸ナトリウム塩を添加し、50℃で
3時間反応させ、メタノールに再沈後、乾燥させること
により、光グラフト活性化ポリ塩化ビニル(以下、DT
C化ポリ塩化ビニルと略す)を得た。
【0035】このDTC化ポリ塩化ビニル80gを12
50mlのテトラヒドロフランに溶解し、200gのメト
キシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリエチ
レングリコール部分の重合度20〜23)と80gのジ
メチルアミノエチルメタクリレートを添加し、光源内部
浸漬型光反応装置中で100W高圧水銀灯(ウシオ電機
UM−102)を30℃で9.5時間照射することによ
り光グラフト重合を行った。
【0036】このグラフト共重合体の組成は重量比で塩
化ビニル54%、メトキシポリエチレングリコールメタ
クリレート30%、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト16%であった。
【0037】このポリマをテトラヒドロフランの14重
量%溶液とし、塩化ビニルチューブ(長さ70cm、外径
1.0φ)の外面にコーティングした。コーティングチ
ューブは2時間室温に放置した後、一昼夜減圧乾燥し
た。このときのコーティング層の厚みは20μmであっ
た。
【0038】乾燥終了後、直径40φ、長さ1mのガラ
ス管の中に、コーティングチューブと四級化剤(メタノ
ール1対水3の混合溶液2リットルに臭化エチル200
mlを加え、2時間撹拌後同時間放置したものの上澄み溶
液)を入れ、50℃で23時間反応した。四級化剤をメ
タノール1対水3の溶液に置換して60℃で2回、未反
応の臭化エチルなどを抽出した。水洗、引き続いて、
0.1N−食塩水で洗浄し、ヘパリン1重量%の0.1
N−食塩水溶液を加え、60℃で46時間ヘパリン化反
応を行った。
【0039】反応終了後、60℃の水で未結合ヘパリン
および残留塩を除去して、抗血栓性評価用試料とした。
抗血栓性の評価は次のようにして行った。すなわち、3
〜4kgの家兎(雄)を用いて、下大静脈中に上記試料を
挿入した。7日間経過後、全身麻酔下にヘパリン(2〜
5mg/kg)を静注し、頚動脈から脱血した。その後、チ
ューブを挿入した静脈を長軸方向に開き、肉眼で血栓の
付着状況を調べた。このようにして得られた結果を図1
に示した。 比較例1 重合度1100のポリ塩化ビニルを用いた他は実施例1
と同様の方法で抗血栓性評価を行い、得られた結果を図
2に示した。 比較例2 グラフト共重合体を用いずに、実施例1と同様の方法で
抗血栓性評価を行い、得られた結果を図3に示した。図
1との比較から、本願発明の抗血栓性医療材料は血栓を
ほとんど付着させないことがわかった。 実施例2 実施例1のグラフト共重合体をテトラヒドロフランの5
重量%溶液とし、その溶液の中にポリウレタン製カテー
テル(内径1mm、長さ70cm)を浸漬して、減圧吸引
(圧力75mmH2 O)する方法でカテーテル内面にコー
ティングした。このときの溶液粘度、コーティング長お
よびコーティング膜厚を表1に示した。 比較例3 重合度1100のポリ塩化ビニルから合成したグラフト
共重合体を用いて、実施例2と同様の方法で、内面コー
ティングを行った。得られた結果を表1に示す。表1か
ら明らかなように、本願発明の材料はコーティング膜厚
を薄くすることなく、内面全長をコーティングできるこ
とがわかった。
【0040】
【表1】 実施例3 実施例2の内面コーティングしたカテーテルについて、
家兎を用いた体外バイパス法により抗血栓性を評価し
た。
【0041】すなわち、家兎(3〜4Kg)にペントバル
ビタールソーダを用いて静脈注射することによって麻酔
を行い、大腿動脈を遮断し、カテーテルを挿入した。次
に、大腿静脈も遮断し、カテーテルの他方を挿入した。
このようにして、ヘパリンを全身投与することなしに体
外循環を行い、血栓付着の有無、血流が停止する時間、
材料表面状態を調べた。家兎2羽について実験し、得ら
れた結果を表2に示した。 比較例4 内面コーティングしていないカテーテルについて実施例
3の抗血栓性評価を行った。得られた結果を表2に示
す。表2の比較から本願発明の材料の抗血栓性が優れて
いることがわかった。
【0042】
【表2】 実施例4 ポリエステル製メッシュ(径254×244μm)をフ
ェノール:四塩化炭素:メタノール=1:1:2の混合
溶液に10分間浸漬した後、表面をアセトンで洗浄し乾
燥した。実施例1で合成したグラフト共重合体をTH
F:フェノール=1:1の混合溶液に溶解し、7.5重
量%の溶液とした。その中に、上記方法で表面処理した
メッシュを35分間浸漬し、2分間自然乾燥した。その
後に圧搾空気を吹き付け、メッシュがポリマで閉塞しな
い状態でコーティングを行い、実施例1と同様の方法で
ヘパリンを固定した。
【0043】コーティングメッシュの抗血栓性評価は次
のようにして行った。体重13Kgのビーグル犬をネン
ブタールで麻酔し、大腿動静脈を露出切開した。切開部
位に市販の抗血栓性カテーテル(“アンスロン”カテー
テル:東レ(株)製)を挿入し、上記メッシュを含む血
液回路を接続の後、血液を循環させた。血流計(超音波
トランジェント血流計・T101:Transonic Systems
Inc 製)を血流導入側の回路に設置し、心臓の自然圧に
よる循環血流量が150ml/min以下になった時点で体外
循環を停止するようにした。得られた結果を図4に示す
が、6時間の時点でも血流量が低下せず、優れた抗血栓
性を有していることがわかった。 比較例5 未コーティングメッシュを用いて、実施例4と同様の方
法で抗血栓性評価を行った。得られた結果を図4に示す
が、1.5時間後血流量が低下し、体外循環を停止し
た。 実施例5 実施例1で合成したグラフト共重合体をテトラヒドロフ
ランとメチルイソブチルケトンの混合溶液(混合比8対
2)に溶解し、5重量%溶液とした。その中にダブルル
ーメンカテーテル(ウベ循研製)を20秒間浸漬し、過
剰のポリマを自然落下させて除いた後、減圧乾燥した。
このようにしてコーティングしたダブルルーメンカテー
テルに実施例1と同様の方法でヘパリンを固定化し、抗
血栓性の評価を行った。
【0044】評価は実施例4の抗血栓性カテーテルの代
わりに上記ダブルルーメンカテーテルを用い、メッシュ
を含まない血液回路で、初期血流量を80ml/minに設定
して体外循環を行った。循環5時間後のダブルルーメン
カテーテルの内腔の状態を図5に示すが、血流量の低下
は起こらず、血栓付着は殆どみられなかった。 比較例6 未コーティングのダブルルーメンカテーテルを用いて実
施例5と同様の方法で抗血栓性評価を行った。循環20
分後、血流量は停止した。カテーテルを輪切りにして内
腔の状態を観察したところ図5に示すように多量の血栓
が付着していた。 実施例6 実施例1で合成したグラフト共重合体をテトラヒドロフ
ランに溶解し、5%溶液とした。その中にシースイント
ロジュサー(素材:ポリウレタンとナイロンのブレン
ド、ジーマ社製)を10秒間浸漬し、過剰のポリマを自
然落下させて除いた後、一昼夜風乾した。このようにし
てコーティングしたシースイントロジュサーを実施例1
と同様の方法でヘパリンを固定化した。このシースイン
トロジュサーを1%トルイジンブルー水溶液に2分間浸
漬したところ紫色に染色され、ヘパリンが固定できてい
ることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】本願発明の抗血栓性医療材料を用いるこ
とによって、多様な素材および形状の複雑・微細な医療
用具のコーティングが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた血管留置7日後のカテーテ
ルの写真を示す。
【図2】比較例1で得られた血管留置7日後のカテーテ
ルの写真を示す。
【図3】比較例2で得られた血管留置7日後のカテーテ
ルの写真を示す。
【図4】実施例4および比較例5で得られたビーグル犬
による血液体外循環の結果を示す。
【図5】実施例5で得られたビーグル犬による血液体外
循環の結果を示す。
【図6】比較例6で得られたビーグル犬による血液体外
循環の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−14358(JP,A) 特開 昭48−69890(JP,A) 特開 昭55−60461(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 27/00 - 33/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合度400〜550のポリ塩化ビニルと
    一般式[I]または一般式[II]で表されるアクリル酸
    またはメタアクリル酸誘導体の共重合体にヘパリン又は
    その塩をイオン結合してなるコーティングのための抗血
    栓性医療材料。 【化1】 (R1はHまたはCH3、R2、R3はCH3またはC
    25、nは1〜3の整数を示す。) 【化2】 (R1はHまたはCH3、R2、はH、CH3またはC
    25、nは1〜90の整数を示す。)
  2. 【請求項2】請求項1記載の抗血栓性医療材料をコーテ
    ィングしたカテーテル。
  3. 【請求項3】該カテーテルが、マルチルーメンカテーテ
    ルである請求項2記載のカテーテル。
  4. 【請求項4】該カテーテルが、シースイントロジューサ
    ーである請求項2記載のカテーテル。
JP30151294A 1994-11-09 1994-11-09 抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル Expired - Lifetime JP3341503B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30151294A JP3341503B2 (ja) 1994-11-09 1994-11-09 抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30151294A JP3341503B2 (ja) 1994-11-09 1994-11-09 抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08131536A JPH08131536A (ja) 1996-05-28
JP3341503B2 true JP3341503B2 (ja) 2002-11-05

Family

ID=17897823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30151294A Expired - Lifetime JP3341503B2 (ja) 1994-11-09 1994-11-09 抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3341503B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014168198A1 (ja) 2013-04-12 2014-10-16 東レ株式会社 抗血栓性を有する人工血管
WO2015080177A1 (ja) 2013-11-28 2015-06-04 東レ株式会社 抗血栓性材料
WO2015080176A1 (ja) 2013-11-28 2015-06-04 東レ株式会社 抗血栓性材料

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5945457A (en) * 1997-10-01 1999-08-31 A.V. Topchiev Institute Of Petrochemical Synthesis, Russian Academy Of Science Process for preparing biologically compatible polymers and their use in medical devices
KR100378109B1 (ko) * 2000-10-24 2003-03-29 주식회사 메디프렉스 소수성 다중복합 헤파린 결합체, 그의 제조방법 및 용도
WO2011078208A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 東レ株式会社 抗血液凝固作用を有する親水性高分子化合物
WO2011156589A2 (en) 2010-06-09 2011-12-15 Semprus Biosciences Corp. Non-fouling, anti-microbial, anti-thrombogenic graft-from compositions
US20110305898A1 (en) 2010-06-09 2011-12-15 Zheng Zhang Non-fouling, anti-microbial, anti-thrombogenic graft compositions

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014168198A1 (ja) 2013-04-12 2014-10-16 東レ株式会社 抗血栓性を有する人工血管
US9662233B2 (en) 2013-04-12 2017-05-30 Toray Industries, Inc. Antithrombotic artificial blood vessel
WO2015080177A1 (ja) 2013-11-28 2015-06-04 東レ株式会社 抗血栓性材料
WO2015080176A1 (ja) 2013-11-28 2015-06-04 東レ株式会社 抗血栓性材料
KR20160065136A (ko) 2013-11-28 2016-06-08 도레이 카부시키가이샤 항혈전성 재료
US9795721B2 (en) 2013-11-28 2017-10-24 Toray Industries, Inc. Antithrombotic material

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08131536A (ja) 1996-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6270788B1 (en) Implantable medical device
US6340465B1 (en) Lubricious coatings for medical devices
US6143354A (en) One-step method for attachment of biomolecules to substrate surfaces
US5855618A (en) Polyurethanes grafted with polyethylene oxide chains containing covalently bonded heparin
EP1357952B1 (en) Method for coating medical device surfaces
EP0051354B1 (en) Antithrombogenic articles
US6540698B1 (en) Medical device having wet lubricity and method for its production
JP5969484B2 (ja) 抗血栓性材料および医療用具
JP6373872B2 (ja) 医療用具
JP3631781B2 (ja) 湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具
JP2021192838A (ja) 医療デバイス用潤滑コーティング
JP3341503B2 (ja) 抗血栓性医療材料およびそれを用いたカテーテル
JPH114883A (ja) 抗血栓性医療材料
EP1402871B1 (en) Antithrombotic compositions and medical instruments containing the same
JP6397889B2 (ja) 医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
JPS6343107B2 (ja)
JP2014147638A (ja) 医療用具の製造方法
JP3818684B2 (ja) 抗血栓性医療用基材及びその製造方法
JPH02144070A (ja) 易滑性医療材料
JP4347927B2 (ja) 抗血栓性医療用具の製造方法
JP4937451B2 (ja) 血管内ステント
JPH0975446A (ja) 抗血栓性を賦与した医療用基材
WO2013136849A1 (ja) 血液適合性材料および医療用具
JPH01262869A (ja) 抗血液凝固性医療用具
JP2018149270A (ja) 抗血栓性コーティング材

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130823

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term